JP2006077064A - 新規ポリイミド、ポリイミド樹脂組成物、およびそれを用いた難燃性樹脂組成物、並びにポリアミド酸 - Google Patents

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好史 岡田
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Abstract

【課題】
難燃性の高いポリイミド、ポリイミド樹脂組成物、該ポリイミドと熱可塑性樹脂や熱硬化性化合物とを混合した難燃性樹脂組成物、ならびにポリイミド樹脂成形体、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を提供することである。
【解決手段】
イミド骨格にホスファゼンを導入することで、難燃性の高いポリイミドを提供することができる。また、このポリイミドを含むことを特徴とするポリイミド樹脂組成物、該ポリイミドと熱可塑性樹脂や熱硬化性化合物とを混合しても、難燃性の高い樹脂組成物、ポリイミド樹脂成形体、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃効果の高いポリイミド、ポリイミド樹脂組成物、難燃性樹脂組成物、ポリアミド酸に関するものである。
ポリイミドは、種々の有機ポリマ−の中でも耐熱性に優れているため、宇宙、航空分野から電子通信分野、OA機器分野など幅広く用いられている。
一般的にポリイミドは、溶液に不溶のものが多く、加工性に乏しい。そのため、前駆体であるポリアミド酸の状態でフィルムやその他の成形体に加工した後で、イミド化することが一般的である。
最近の研究で、溶媒に溶解する可溶性ポリイミドが報告されている。(特許文献1、特許文献2)可溶性ポリイミドを用いれば、溶液で塗布乾燥するだけで任意の部位に被覆することが出来る。また、既にイミド化しているため、通常のポリアミド酸からポリイミドへの転化に必要な250℃以上の高温の加熱を必要としないため、好ましい。
しかしながらこの可溶性ポリイミドを接着剤として用いた場合、Tgよりも高い温度で貼り合わせる必要があり、高温にさらす必要がある。また、可溶性ポリイミドのTg自体を低くすると、可溶性ポリイミドの耐熱性が低下するため好ましくない。
加工性と耐熱性を両立する方法として、可溶性ポリミドと熱硬化性化合物を混合した耐熱性樹脂組成物が報告されている。(特許文献3、特許文献4)
通常電子機器に用いられる材料には、難燃性が要求される。可溶性ポリイミド自体は難燃性を有しているが、熱可塑性樹脂や熱硬化性化合物を混合した場合、難燃性が低下してしまうという問題がある。
特開平7−173287号公報 特開平7−166148号公報 特開平7−242820号公報 特開平8−27430号公報
難燃性の高いポリイミド、ポリイミド樹脂組成物、該ポリイミドと熱可塑性樹脂や熱硬化性化合物とを混合した難燃性樹脂組成物、ならびにポリイミド樹脂成形体、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を提供すること、である。
本発明は、以下のホスファゼン骨格を有することを特徴とするポリイミド、ポリイミド樹脂組成物、該ポリイミドと熱可塑性樹脂や熱硬化性化合物とを混合した難燃性樹脂組成物、ならびにポリイミド樹脂成形体、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を提供するものであり、これにより上記課題を解決しうる。
本発明の第一は、
ホスファゼン骨格を有することを特徴とするポリイミド、
であり、ポリイミド樹脂組成物中にホスファゼン骨格を有するため高い難燃性を有するポリイミドを提供することができる。
本発明の第二は、
下記式(1)の構造を有することを特徴とする請求項1記載のポリイミド、
である。
Figure 2006077064
(式中R1はホスファゼン骨格を有する4価の有機基を示し、R2は、ジアミンからアミノ基を除いた2価の有機基あるいはジイソシアネートからイソシアネート基を除いた2価の有機基を示す。)
本発明の第三は、
式(1)において、R1が式(2)の構造を有することを特徴とする請求項2記載のポリイミド、
である。
(式中mは3〜25の整数を示す。R3及びR4はフェニル基または式(3)に示される構造を示し、式(2)の化合物中で式(3)に示される構造を2以上含む。)
Figure 2006077064
Figure 2006077064
本発明の第四は、
式(4)で表される酸無水物を原料として用いることを特徴とする請求項1〜3記載のポリイミド、
である。
Figure 2006077064
(式中mは3〜25の整数を示す。R3およびR4はフェニル基または式(5)に示される酸無水物骨格を示し、式(4)の化合物中で式(5)に示される酸無水物骨格を2以上含む。)
Figure 2006077064
本発明の第五は、
請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドを含むことを特徴とする、ポリイミド樹脂組成物、
である。
本発明の第六は、
請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドに加えて、熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする、難燃性樹脂組成物、
であり、本発明のポリイミドの難燃性が高いため、熱可塑性樹脂を含有しても難燃性を保持しうる。
本発明の第七は、
請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドに加えて、熱硬化性化合物を含有することを特徴とする、難燃性樹脂組成物、
であり、本発明のポリイミドの難燃性が高いため、熱硬化性化合物を含有しても難燃性を保持しうる。
本発明の第八は、
請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドを含むことを特徴とする、ポリイミド樹脂成形体、
である。本発明の難燃性の高いポリイミドを用いることにより、難燃性の高いポリイミド樹脂成形体を達成しうる。
本発明の第九は、
請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドの前駆体である、ポリアミド酸、
である。本発明の難燃性の高いポリイミド酸を使用することにより、難燃性の高いポリイミドを提供しうる。
ポリイミドの中にホスファゼン骨格を導入することで、ポリイミドの難燃性を更に高めることができる。また、そのポリイミドを使用したポリイミド樹脂組成物やポリイミド樹脂成形体でも、同様に、難燃性を実現することができる。該ポリイミドと熱可塑性樹脂や熱硬化性化合物とを混合した難燃性樹脂組成物においても難燃性を実現することが出来る。ホスファゼン骨格を導入したポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を提供することによって、難燃性の高いポリイミドを実現できる。
本発明に用いられるホスファゼン骨格を有することを特徴とするポリイミドについて説明する。
本発明に用いられるホスファゼン骨格を有することを特徴するポリイミドは、ホスファゼン骨格を有する酸無水物またはホスファゼン骨格を有するジアミンを原料として作製される。ホスファゼン骨格を有する限りにおいては、酸無水物やジアミンの構造には特に限定を受けるものではない。
本発明のポリイミドは、好ましくは、式(4)で表される酸無水物を原料として用いる。
Figure 2006077064
(式中mは3〜25の整数を示す。R3およびR4はフェニル基または式(5)に示される酸無水物骨格を示し、式(4)の化合物中で式(5)の酸無水物骨格を2以上含む。)
Figure 2006077064
まず最初に、式(4)の酸無水物の合成法について説明する。
フェノール性水酸基を有するホスファゼン化合物とトリメリット酸やトリメリット酸クロライドとを反応させて本発明のホスファゼン骨格を有する酸無水物を合成する。
まず最初に、本発明に用いられるフェノール性水酸基(ヒドロキシル基)を有するホスファゼン化合物について説明する。
ここでヒドロキシル基を有する環状及び/又は鎖状のホスファゼン化合物は、例えば、(非特許文献1)、(非特許文献2)、(特許文献5)、(非特許文献3)等に記載の方法に従って製造できる。例えば、2価フェノールの一方の水酸基がメチル基又はベンジル基で保護された4−メトキシフェノール、4−(ベンジルオキシ)フェノールのリチウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩と塩化ホスホニトリル(特許文献6〜7)とを反応させ、その後にピリジンハロゲン化水素酸塩又は三臭化ホウ素等との反応によって、メチル基又はベンジル基を脱保護し、水酸基に変えることで製造できる。また、ヒドロキシアルキルフェノールのリチウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩と塩化ホスホニトリルとを反応させることによっても製造できる。また、部分的にヒドロキシ基置換フェノキシ基を有する環状及び/又は鎖状のホスファゼン化合物の製造は、2価フェノールの一方の水酸基がメチル基又はベンジル基で保護された4−メトキシフェノール、4−(ベンジルオキシ)フェノール及び/又はヒドロキシアルキルフェノールのリチウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩と塩化ホスホニトリルの反応の際に、アルコール系又はフェノール系化合物のリチウム塩、ナトリウム塩又はカリウム塩を同時に使用することにより製造できる。
横山正明ら、工業化学雑誌,Vol.67,No.9,p.1378(1964) 奥橋朋也ら、工業化学雑誌,Vol.73,No.6,p.1164 (1970) 特開昭58−219190号公報 Alessandro Medici,et.al.,Macromolecules,Vol.25,No.10,p.2569(1992) 特開昭54−145394号公報 特開昭54−145395号公報 具体的な方法について説明する。
式(6)で表される環状ジクロルホスファゼン化合物(式中mは3〜25の整数を示す。)に対して、
Figure 2006077064
式(7)で表されるアルカリ金属フェノラート(式中Mはアルカリ金属を示す。)と、
Figure 2006077064
式(8)(式中Mは前記に同じ。)で表されるアルキルオキシ基を有するアルカリ金属フェノラートとを
Figure 2006077064
反応させることにより、
式(9)で表されるメトキシフェニル基を導入した環状ホスファゼン(式中mは3〜25の整数を示す。R5及びR6はフェニル基或いはメトキシフェニル基(基−C64OCH3)を示す。)を得ることが出来る。
Figure 2006077064
式(9)で表される化合物を、その後にピリジンハロゲン化水素酸塩又は三臭化ホウ素等との反応によって、メチル基又はベンジル基を脱保護し、水酸基に変えることで、
式(10)(式中mは3〜25の整数を示す。R7及びR8はフェニル基或いは基−C64OHを示す。)で示される、対応するフェノール性水酸基を有する環状ホスファゼン化合物(式(10))
Figure 2006077064
を製造することが出来る。
次にフェノール性水酸基を有するホスファゼン化合物とトリメリット酸やトリメリット酸クロライドとを反応させて本発明のホスファゼン骨格を有する酸無水物を合成法について説明する。
フェノール性水酸基を有するホスファゼン化合物と、トリメリット酸クロライドとの、反応は、有機溶媒中ピリジン等の3級アミンの存在下で反応させることにより容易に合成出来る。反応溶媒は、トルエン・キシレン等の芳香族系溶媒、アセトン・メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル・γブチロラクトン等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒など、非プロトン性溶媒であれば各種溶媒を使用することが出来る。反応温度は、−20℃〜120℃程度であり、反応も数時間で完結する。
フェノール性水酸基を有するホスファゼン化合物と、トリメリット酸との、反応は、ピリジン等の3級アミンの存在下で、p−トルエンスルフォン酸クロライドやジシクロヘキシルカルボジイミドやリン系縮合剤と反応することにより合成することが出来る。反応溶媒は、トルエン・キシレン等の芳香族系溶媒、アセトン・メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル・γブチロラクトン等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒など、非プロトン性溶媒であれば各種溶媒を使用することが出来る。反応温度は、0℃〜120℃程度であり、反応は数時間で完結する。
このようにしてフェノール性水酸基を有するホスファゼン化合物と、トリメリット酸やトリメリット酸クロライドとを、反応させて式(4)で表される本発明のホスファゼン骨格を有する酸無水物を得ることができる。(式中mは3〜25の整数を示す。R3及びR4はフェニル基あるいは式(5)に示される酸無水物骨格を示し、式(4)の化合物中で、式(5)に示される酸無水物骨格を、2以上含む。)
Figure 2006077064
Figure 2006077064
本発明のポリイミド樹脂組成物には、原料として必ず式(4)の酸無水物を用いるが、それ以外の酸二無水物を一部用いてもよい。酸二無水物であれば特に限定されないが、例えば
2,2´−ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4´−テトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4‘−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;
等を挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
有機溶媒への溶解性の高いポリイミドを得るためには、2,2’−ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物を一部用いることが望ましい。
ポリイミドの合成は、酸無水物とジアミン化合物或いは酸無水物とジイソシアネートの反応により行われる。
本発明のポリイミド樹脂組成物に用いられるジアミン化合物或いはジイソシアネートには特に制限されないが以下のような化合物を例示することが出来る。
例えばまず最初にジアミン化合物を例示すると、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノフェニルエタン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−ジジアミノフェニルスルフィド、4,4’−ジジアミノフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2‘−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;
ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン;
および脂環式ジアミン;
また、式(11)に示されるシロキサンジアミン等を挙げることができる。(式中、R9は、C1〜C12のアルキル基或いはフェニル基、xは1〜20の整数、yは1〜40の整数を示す。)これらのジアミン化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
Figure 2006077064
芳香族ジアミンを用いる場合、m−位(3−)にアミノ基を持つジアミンを用いれば、溶媒への溶解性が向上する傾向にあるため好ましい。
ジイソシアネート化合物は、左記に上げたジアミン化合物のアミノ基をイソシアネート基に代えた構造のものを用いる事が出来る。その他に、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、 1,5−ペンタメチレンジイソシアネ−ト、 1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、 2,2,4−トリメチル−1,6−へキサメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、3−イソシアネ−トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネ−ト(イソホロンジイソシアネ−ト)、1,3−ビス(イソシアネ−トメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、トリジンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト等を挙げることが出来る。
ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸は、 0.5g/N−メチル−2−ピロリドン100 mlの濃度溶液として、30℃における対数粘度が 0.2〜 4.0の範囲であり、より好ましくは0.3〜 2.0の範囲である。ポリアミック酸は、酸成分とジアミン成分とを有機溶媒中で30℃以下、好ましくは20℃以下の反応温度下に 3〜12時間付加重合反応させて得られる。
この重合反応における有機溶媒として、例えばN,N−ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチレンホスホアミド等が挙げられ、これらは単独又は 2種以上混合して使用することができる。
上記のようにして得られたポリアミック酸(ポリアミド酸)は、次いで脱水環化され、ポリイミド樹脂とする。脱水環化する方法は公知の方法を用いることができ、例えば、無水酢酸とピリジンによる化学環化法、或いはトルエン、キシレン等の還流による熱環化法等を使用することができる。このポリイミド樹脂溶液は、脱水する際用いた無水酢酸、ピリジン、或いはトルエン、キシレン等を含んでいるため、水、メタノール等の貧溶剤へポリイミド樹脂溶液を投入、再沈殿し、さらにこれを乾燥しポリイミド樹脂の粉末とする。
これを所望の有機溶媒へ溶解させ、本発明の好ましい態様の一つである有機溶媒可溶性ポリイミドの溶液とする。
ここで使用する有機溶媒としては、前述したポリアミック酸(ポリアミド酸)の合成に用いた溶媒の他、使用するポリイミド樹脂が溶解するものであれば汎用の有機溶媒を単独または混合して使用することができる。
これらの溶媒を用いた本発明の好ましい態様の一つである有機溶媒可溶性ポリイミド樹脂の有機溶媒溶液の濃度は、本発明の使用目的、使用方法によって適宜決定すればよいので、特に限定されるものではないが、通常1〜30重量%の間で使用される。
その他のポリアミド酸をポリイミドに脱水環化する方法として、ポリアミド酸溶液を減圧下で、加熱・脱水する方法がある。この方法は、イミド化により生成する水を加熱・減圧し、積極的に系外に除去するため、加水分解を抑え、分子量低下を避けることができる。また、用いた原料の酸二無水物中に、加水分解により開環したテトラカルボン酸或いは、酸二無水物の片方が加水開環したもの等が混入することによってポリアミド酸の重合反応が停止した場合でも、イミド化の際に減圧・加熱することにより、開環した酸二無水物が再び閉環して酸二無水物となり、イミド化中に系内に残っているアミンと反応することにより分子量の向上が期待できる。
前記イミド化の加熱条件としては、一般的には80〜400℃程度である。イミド化が効率よく行われ、しかも水が効率よく除かれるためには、100℃以上、更には120℃以上であることが好ましい。前記加熱温度の上限は、用いるポリイミドの熱分解温度以下に設定することが望ましく、通常、250〜350℃程度でイミド化はほぼ完了するため、上限温度をこの程度に設定することもできる。減圧する際の圧力条件は、圧力が小さいほうが好ましいが、上記加熱条件で、イミド化時に生成する水が効率よく除去される圧力であればよい。具体的には、減圧加熱する圧力は0.9〜0.001気圧であり、望ましくは、0.8〜0.001気圧、さらに望ましくは、0.7〜0.01気圧である。
次に、ポリアミド酸溶液を減圧下で加熱乾燥して直接イミド化する具体的な方法について説明する。減圧下、加熱乾燥できるなら方法は問わないが、バッチ式の方法として、真空オーブン、連続式の方法として、例えば減圧装置の付随した2軸或いは3軸押出し機により実施できる。これらの方式は、生産量により選択される。ここでいう減圧装置の付随した2軸或いは3軸押出し機とは、熱可塑性樹脂の加熱溶融押出しを行う、一般的な溶融押出し機に、減圧して溶媒を除去する装置を付随させたものがあげられる。2軸あるいは3軸の押出し機によりポリアミド酸溶液が、押出し機により混練されながら溶媒とイミド化時に生成した水を除去され、ポリイミドとなる。
また、ポリイミドは、酸二無水物とジイソシアナートの反応によっても得ることができる。酸二無水物については、前述の酸二無水物を用いることができる。また、ジイソシアナートについては、前述のジアミンに相当するジイソシアナートを用いることができる。本発明においては、溶剤溶解性と耐熱性の面で、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタンおよびそれらに対応するイソシアネートを用いることが好ましい。
イソシアネートをポリイミドの原料として用いる場合、使用できる有機溶剤はたとえば、N、N−ジメチルホルムアミド(N,N−ジメチルフォルムアミド)、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジエチルアセトアミド、N、N−ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスファミドなどのアミド系有機溶剤、N−メチルカプロラクタムなどのラクタム系有機溶剤、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチル尿素などの尿素系有機溶剤、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ビス(2−メトキシエチル)エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エタン]などの炭化水素系有機溶剤、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライムなどのエーテル系有機溶剤、γ−ブチロラクトンなどのエステル系有機溶剤、ピリジン、ピコリンなどのピリジン系有機溶剤、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどの硫黄系有機溶剤、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロベンゼンなどのニトロ系有機溶剤、アセトニトリルなどのニトリル系有機溶剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない、また、上記有機溶剤は単独でもあるいは2種以上の混合系でも用いることができる。
反応温度は通常50〜220℃が好ましい。また、反応は無触媒でも行えるが、イソシアネートと活性水素化合物の反応に対する触媒、たとえば、3級アミン類、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、あるいはコバルト、チタニウム、錫、亜鉛などの金属、半金属化合物などの存在下に行っても良い。
本発明の好ましい態様である溶剤可溶性ポリイミドのうち、ポリエーテルイミドは、酸二無水物或いはジアミン成分に、エーテル結合を有するモノマーを用いる場合に得られるイミドの総称であり、合成法は前述の溶剤可溶性ポリイミドと同様の方法で得ることが出来る。
ポリイミド系樹脂のうち、ポリアミドイミド、ポリエステルイミドを得るに際しては、酸成分として、無水トリメリット酸を用いることにより得ることができる。アミドイミドの場合、無水トリメリット酸とジイソシアナートの反応により得ることが出来る。用いる溶媒や反応温度は、前述の通りである。
無水トリメリット酸の他に共重合することができる酸成分としては、たとえば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸、イタコン酸無水物、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの脂肪族あるいは脂環族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルメタン−4、4−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4−ジカルボン酸、ビス[(4−カルボキシ)フタルイミド]−4、4−ジフェニルエーテル、ビス[(4−カルボキシ)フタルイミド]−a、a’−メタキシレン、5−ヒドロキシイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2−4−トリカルボン酸およびこれらの酸無水物、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、3,3’,4’オキシジフタル酸などのテトラカルボン酸およびこれらの二無水物が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
ジアミンに関しては、前述のジアミンを用いることが出来る。
ポリエステルイミドは、無水トリメリット酸とジアミンの反応により式(12)の様なイミド環を有するジカルボン酸を合成し、その他の前述のシュウ酸、マロン酸等のジカルボンや、ジオールと脱水縮合することにより得ることができる。(式中R10は、2価の有機基を示す。)
Figure 2006077064
本発明に係るポリイミド系樹脂の分子量最適値は各組成および用途によって異なるが、通常は、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃での対数粘度の値にして0.1〜2.5(デシリットル/グラム)の範囲にあることが好ましい。
脂肪族化合物成分および脂環族化合物成分については、前述の脂肪族カルボン酸、脂環族カルボン酸、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、脂肪族ジアミン等を選択する事によりイミド骨格の中導入することが出来る。好適なものとして、ダイマー酸、水添ダイマー酸、イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタンおよびそれらに対応するイソシアネートなどが挙げられる。
また、ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド付加物については、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノールなどのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。アルキレンオキサイド付加量については特に限定されないが、熱安定性の面では平均で片末端5モル以下、好ましくは3モル以下、より好ましくは2モル以下である。
これらの成分は共重合量に対する溶剤溶解性改良の効果が大きく、実質的な耐熱性低下量が小さい特徴があり、共重合量は全カルボン酸成分または全アミン成分に対して、1〜100モル%の範囲であることが必要である。これにより、芳香族系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤への溶解性が特に改良される。
本発明に係る耐熱性樹脂組成物において用いられるポリイミド系樹脂は、既にイミド化されているポリイミドおよび硬化時にイミド化するポリアミック酸(ポリアミド酸)のいずれでも良いが、配合時に反応が起こりにくく安定性の高い、既にイミド化されたポリイミドを用いるほうが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物には、ホスファゼン骨格を有するポリイミド樹脂組成物にくわえて、熱可塑性樹脂或いは熱硬化性化合物のいずれも使用することができる。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、スチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(MABS樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアミド(脂肪族系及び/又は芳香族系)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリチオエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリカルボジイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、複合プラスチック等を挙げることができる。
<熱硬化性化合物>
熱硬化性化合物としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、シアン酸エステル化合物、アクリルやメタクリルやビニル等のビニル基を有する化合物等を例示することが出来る。
エポキシ化合物としては例えば、エピコート828(ジャパンエポキシレジン株式会社製)等のビスフェノール樹脂、180S65(ジャパンエポキシレジン株式会社製)等のオルソクレゾールノボラック樹脂、157S70(ジャパンエポキシレジン株式会社製)等のビスフェノールAノボラック樹脂、1032H60(ジャパンエポキシレジン株式会社製)等のトリスヒドロキシフェニルメタンノボラック樹脂、ESN375等のナフタレンアラルキルノボラック樹脂、テトラフェニロールエタン1031S(ジャパンエポキシレジン株式会社製)、YGD414S(東都化成)、トリスヒドロキシフェニルメタンEPPN502H(日本化薬)、特殊ビスフェノールVG3101L(三井化学)、特殊ナフトールNC7000(日本化薬)、TETRAD−X、TETRAD−C(三菱瓦斯化学社製)等のグリシジルアミン型樹脂などがあげられる。
またイソシアネート化合物として例えば、脂肪族、脂環族または芳香族のジイソシアネ−ト等があり、例えば1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,5−ペンタメチレンジイソシアネ−ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、2,2,4−トリメチル−1,6−へキサメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、3−イソシアネ−トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネ−ト(イソホロンジイソシアネ−ト)、1,3−ビス(イソシアネ−トメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、トリジンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト等を挙げることが出来る。
さらに、イソシアネ−ト化合物として、脂肪族、脂環族または芳香族のイソシアネ−トから誘導されるもの、例えばイソシアヌレ−ト変性イソシアネ−ト、ビュレット変性イソシアネ−ト、ウレタン変性イソシアネ−ト等であってもよい。また、本発明に用いるイソシアネ−ト化合物は、好適にはイソシアネ−ト化合物のイソシアネ−ト基をブロック剤でブロックしたブロックイソシアネ−トが好適に使用される。
前記のブロック化剤としては例えば、アルコ−ル系、フェノ−ル系、活性メチレン系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾ−ル系、尿素系、オキシム系、アミン系、重亜硫酸塩、イミン系、イミド系化合物、ピリジン系化合物等があり、これらを単独あるいは、混合して使用してもよい。具体的なブロック化剤としては、アルコ−ル系としてメタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、2エチルヘキサノ−ル、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビト−ル、ベンジルアルコ−ル、シクロヘキサノ−ル等、フェノ−ル系として、フェノ−ル、クレゾ−ル、エチルフェノ−ル、ブチルフェノ−ル、ノニルフェノ−ル、ジノニルフェノ−ル、スチレン化フェノ−ル、ヒドロキシ安息香酸エステル等、活性メチレン系として、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等、メルカプタン系として、ブチルメルカプタン、 ドデシルメルカプタン等、酸アミド系として、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等、酸イミド系として、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾ−ル系として、イミダゾ−ル、2−メチルイミダゾ−ル、尿素系として、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等、オキシム系として、ホルムアルデヒドオキシム、アセトアルデヒドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等、アミン系として、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール等、イミン系として、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等、重亜硫酸塩として、重亜硫酸ソ−ダ等、ピリジン系として、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリン等が挙げられる。
特に、第一工業製薬社製のエラストロン[商品名BN−P17、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト ブッロク化体]、同社のエラストロン[BN−04、BN−08、BN−44、BN−45:ウレタン変性イソシアネートブッロク化体1分子当たり3〜5官能。いずれも水エマルジョン品で乾燥単離後使用可能]などを好適に使用することができる。
アクリルやメタクリルやビニル等のビニル基を有する化合物等としては、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジアクリレート・ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、β−メタクロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−メタクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ラウリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタクロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ3−メタクロキシプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、1−アクリロイルオキシプロピル−2−フタレート、イソステアリルアクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−メキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールメタクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル]プロパン、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸トリ(エタンアクリレート)、ペンタスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、イソシアヌル酸トリアリル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリル−1,3,5−ベンゼンカルボキシレート、トリアリルアミン、トリアリルシトレート、トリアリルフォスフェート、アロバービタル(5,5−ジアリルバルビツル酸)、ジアリルアミン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジスルフィド、ジアリルエーテル、ザリルシアルレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、1,3−ジアリロキシ−2−プロパノール、ジアリルスルフィドジアリルマレエート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジメタクリレート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジアクリレート等が好ましいが、これらに限定されない。架橋密度を向上するためには、特に2官能以上のモノマーを用いることが望ましい。
これらの熱硬化性化合物は、本発明のポリイミド樹脂組成物100重量部に対し、1〜200重量部配合することが好ましく、3〜150重量部の範囲がさらに好ましい。1〜200重量部の範囲を逸脱すると、加工性が低下したり、難燃性が確保されないことがある。
なお、熱硬化性化合物として、1種類の化合物を用いても良いし、数種を混合して用いてもよい。
シアン酸エステル化合物とは、シアン酸エステルを分子内にもっていれば特に限定されないが、以下のように例示することができる。
具体的な化学式として、式(13)を例示することができる。
Figure 2006077064
(R11 は同一でも異なってもよく、水素かアルキル基、パーフルオロアルキル基、アリール基、またはハロゲンであり、Aは単結合、未置換メチレン基、水素原子の1つまたは2つをアルキル基、パーフルオロアルキル基、および/またはアリール基で置換した置換メチレン基、5員もしくは6員の環状脂肪族基、スルホン基、2価の硫黄、酸素、2価のカルボニル基、メチレン基が置換又は未置換のキシリレン基、フェニル基である。wは4である。)
その他のシアン酸エステルの例としては、1,3−ジシアネートベンゼン、1,4−ジシアネートベンゼン、1,3,5−トリシアネートベンゼン1,3−ジシアネートナフタレン、1,4−ジシアネートナフタレン、1,6−ジシアネートナフタレン、1,8−ジシアネートナフタレン、2,6−ジシアネートナフタレン、2,7−ジシアネートナフタレン、1,3,6−トリシアネートナフタレン、2,2−ビス(3,5−ジシクロ−4−シアネートフェニル)プロパン、トリス(4−シアネートフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアネートフェニル)ホスフェート、およびフェノール樹脂とハロゲン化シアンとの反応により得られるベンゼン多核体のポリシアネート化合物等が挙げられる。例示したシアン酸エステルを加熱してオリゴマー化したものも同様に使用することができる。
このシアン酸エステル化合物は、本発明の新規ポリイミド樹脂組成物100重量部に対し、1〜200重量部配合することが好ましく、3〜150重量部の範囲がさらに好ましい。1〜200重量部の範囲を逸脱すると、加工性が低下したり、難燃性が確保されないことがあるなお、シアン酸エステル化合物として、1種類の化合物を用いても良いし、数種を混合して用いてもよい。
また、本発明のホスファゼン骨格を有する酸無水物以外に、リン化合物を含んでもよい。
本発明のホスファゼン骨格を有する酸無水物は、熱分解温度が高く耐熱性が高い。よって混合する熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の分解温度が、ホスファゼン骨格を有する酸無水物よりも低い場合、混合する熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の分解温度よりも低いリン化合物を少量添加することにより、更に難燃効果が高くなるため好ましい。
好ましいリン化合物として、ホスフィン、ホスフィンオキサイド、リン酸エステル(縮合リン酸エステルも含む)、亜リン酸エステル、ホスファゼン(酸無水物構造を含まない)などのリン化合物などを例示することができる。このなかでもホスフィンオキサイド、またはリン酸エステル(縮合リン酸エステルも含む)、ホスファゼンが特に好ましい。難燃剤として用いるリン化合物のリン含量は5.0重量%、さらに好ましくは7.0%以上であることが好ましい。
さらには、難燃性を付与でき、かつ耐加水分解性を持つという点から、例えば、SPE−100(大塚化学製 ホスファゼン化合物)、SPH−100(大塚化学製 ホスファゼン化合物)、TPP(トリフェニルホスフェート)、TCP(トリクレジルホスフェート)、TXP(トリキシレニルホスフェート)、CDP(クレジルジフェニルホスフェート)、PX−110(クレジル2,6−キシレニルホスフェート)(いずれも大八化学製)などのリン酸エステル、CR−733S(レゾシノ−ルジホスフェート)、CR−741、CR−747、PX−200)(いずれも大八化学製)などの非ハロゲン系縮合リン酸エステル、ビスコートV3PA(大阪有機化学工業製)、MR−260(大八化学製)などのリン酸(メタ)アクリレート、亜リン酸トリフェニルエステルなどの亜リン酸エステルなどが挙げられる。
これらのリン化合物は、本発明のポリイミド樹脂組成物の量に対して、100〜1重量%使用することが好ましく、50〜5重量%使用することが更に好ましい。
<成形体>
本発明で言うところの、成形体とは、当該樹脂組成物を、フィルム状、ペレット状、発泡体状、ブロック状等に成形したのものを言い、特に制約を受ける物では無い。成形の方法は、押し出し成形、ブロー成形、真空成形、射出成形、ダイ押し出し、等を含む。
<難燃性>の評価等
UL−94の試験法に基づき、難燃性の評価を行う。難燃性の高いのが、V−0であり、V−1,V−2の順に、難燃性の程度が低くなる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
<合成例1>(原料ホスファゼンの合成)
還流冷却器、温度計、撹拌機、三塩化リン滴下器及び塩素ガス吹き込み管を備えた5Lのフラスコにクロルベンゼン2.5L、塩化アンモニウム182.5g(3.4モル)及び塩化亜鉛2.5gを仕込んで混合分散液を得た。該分散液を温度130℃に加熱して還流下で三塩化リン425.5gを9g/分の速度で48分間にわたって滴下すると同時に塩素ガス227gを5g/分の速度で46分間にわたって供給した。三塩化リン及び塩素ガスを供給した後、更に150分間還流(131℃)を行って反応を完結した。次いで吸引濾過して未反応の塩化アンモニウムを除去し、濾液を1.0〜3.0hPaの減圧下にて30〜50℃でクロルベンゼンを留去して反応生成物352gを得た。該反応生成物の三塩化リンを基準とした収率は98.1%であった。クロルベンゼンに再溶解し、再結晶によってヘキサクロロシクロトリホスファゼン及びオクタクロロシクロテトラホスファゼンの混合物(226g,ヘキサクロロシクロトリホスファゼン:76%,オクタクロロシクロテトラホスファゼン:24%)を得た。また、先に得たヘキサクロロシクロトリホスファゼン及びオクタクロロシクロテトラホスファゼンの混合物を、ヘキサンを用い3回再結晶することで、純度99.9%のヘキサクロロシクロトリホスファゼン155gを得た。
<合成例2>水酸基当量363(部分的にヒドロキシ基を有するホスファゼンの合成)
還流冷却器、温度計、撹拌機、滴下ロートを備えた2Lの4ツ口フラスコに純度99.9%のヘキサクロロシクロトリホスファゼン58g(0.5ユニットモル、NPCl2を1ユニットとする)、THF100mLを仕込んで溶液を得た。次に別に調製した4−メトキシフェノールのNa塩のTHF溶液(4−メトキシフェノール43.4(0.35モル)、ナトリウム7.6g(0.33g−atom)、THF200mLを撹拌しながら、1時間かけて上記ヘキサクロロシクロトリホスファゼンのTHF溶液に滴下した。反応は激しい発熱であるので、反応温度が30℃ を越えないように適宜冷却して反応を行った。滴下終了後、引き続き6時間60℃ で撹拌反応を行った。該反応にて得られた部分置換体の残存塩素量は27.11%であり、推定構造は、N33Cl4.0(OC64OCH32.0である。次に別に調製したナトリウムフェノラートのTHF溶液(フェノール79.1g(0.85モル)、ナトリウム18.4g(0.8g−atom)、THF200mLを、反応温度が30℃ 以下になるように冷却制御し1時間かけて滴下した。次いで室温下で5時間、還流温度で3時間反応を行い、反応を完結した。反応終了後、溶媒のTHFを減圧下に留去し、次にトルエン500mLを加えて生成物を再溶解し、更に水300mLを加えて水洗分液した。有機層を5%水酸化ナトリウム水溶液による洗浄及び2%水酸化ナトリウム水溶液による洗浄を各々1回行った後に、5重量%塩酸水溶液で1回洗浄、5%炭酸水素ナトリウム水で1回洗浄し、さらに水で2回洗浄し、水層を中性とした。次に有機層を分液し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、トルエンを留去して淡黄色油状の生成物110.0g(収率91%)を得た。残存塩素量は0.01%以下であった。上記の方法で得た4−メトキシフェノキシ基とフェノキシ基が混合置換したシクロトリホスファゼン96.8g(0.40ユニットモル)とピリジン塩酸塩583.6g(5.05モル)を、2Lの4ツ口フラスコに仕込み、徐々に昇温し、205〜210℃で1時間反応を行った。その後の操作は合成例2と同様に行い、黄色固体75.0g(収率77.5%)を得た。残存塩素量は0.01%以下であり、水酸基含有量は4.7%であった。(理論値4.7%、組成式N33(OPh)4.0(OC64OH)2.0水酸機当量363)
<合成例3>ホスファゼン骨格を有する酸無水物の合成
撹拌機と滴下ロートのついた反応容器に、トリメリット酸クロライド21.06g(100mmol)、メチルエチルケトン50gをとり、室温で撹拌する。合成例2で合成した部分的に水酸基を有するホスファゼン(組成式N33(OPh)4.0(OC64OH)2.0)36.3g(OH基準で100mmol)をメチルエチルケトン50g、ピリジン9.5gに溶解し、上記反応溶液に室温で滴下し、1時間室温で撹拌した。その後、2時間還流撹拌を行った。次いで、氷水で反応容器を30分冷却した。これまでの反応はすべて窒素気流下で行った。
析出したピリジンの塩酸塩を濾別後、濾液を濃縮し、濃縮液にアセトン30gを加え、濃縮物を溶解した。この溶液を蒸留水200gに投入し、撹拌を1時間続けた。析出した粘調な液体をとりだし、真空オーブンで乾燥(120℃2時間)を行い46.5gの酸無水物を得た。この酸無水物を無水酢酸60gに溶かし、2時間140℃で加熱後、真空オーブンで乾燥(120℃2時間)を行い目的の酸無水物43gを得た。(収率80%)とする。
1H−NMR:測定条件Varian社製 Gemini300 操作周波数300Hz、溶媒DMSO−d6
トリメリット酸由来芳香環δ7.8〜8.6 6H、それ以外の芳香環δ6.9〜7.5 28H
(実施例1)本発明のポリイミドの合成
和歌山精化製ジアミン BAPS−M(ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン 8.61g(20ミリモル)、信越化学製ジアミンKF−8010 8.3g(10ミリモル)、ジメチルフォルムアミド60gを撹拌機のついた反応容器にとり、溶解した。次いで合成例3で合成したホスファゼン骨格を有する酸無水物32.21g(30ミリモル)を添加し、2時間窒素気流下で撹拌を行った。
反応終了後、反応溶液を180℃2時間真空オーブンで乾燥・イミド化を行い、46.5gのホスファゼン骨格を有するポリイミドを得た。
このポリイミドをジオキソランに20重量%になるように溶解し、アルミ箔上に塗布後、乾燥した。アルミ箔をエッチングにより除去し、25μm厚みのポリイミドのフィルムを得た。このフィルムは、UL−94の規格に沿って、難燃性をしらべたところ、V−0相当の難燃性があることがわかった。
(実施例2)本発明のポリイミドの合成
三井化学製ジアミン APB(1,3−ビス−[3−アミノフェノキシ]ベンゼン) 7.31g(25ミリモル)、和歌山精化性ジアミン HAB(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル)1.08g(5ミリモル)、ジメチルフォルムアミド60gを撹拌機のついた反応容器にとり、溶解した。次いで合成例3で合成したホスファゼン骨格を有する酸無水物26.85g(25ミリモル)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物1.61g(5ミリモル)を添加し、2時間窒素気流下で撹拌を行った。
反応終了後、反応溶液を180℃2時間真空オーブンで乾燥・イミド化を行い、34gのホスファゼン骨格を有するポリイミドを得た。
このポリイミドをジオキソランに20重量%になるように溶解し、アルミ箔上に塗布後、乾燥した。アルミ箔をエッチングにより除去し、25μm厚みのポリイミドのフィルムを得た。このフィルムは、UL−94の規格に沿って難燃性をしらべたところ、V−0相当の難燃性があることがわかった。
(実施例3)本発明のポリイミドと熱可塑性樹脂との混合
芳香族ポリカーボネート樹脂25重量部及びABS樹脂重量15部からなる樹脂に、実施例1で製造したポリイミド60重量部をジメチルフォルムアミドに溶解し、アルミ箔上に塗布後、乾燥した。アルミ箔をエッチングにより除去し、25μm厚みのフィルムを得た。このフィルムは、UL−94の規格に沿って難燃性をしらべたところ、V−0相当の難燃性があることがわかった。
(比較例1)ホスファゼン骨格を持たない通常のポリイミド+熱可塑性樹脂
合成例3で合成したホスファゼン骨格を有する酸無水物の代わりに、ホスファゼン骨格を有しない酸無水物2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート)−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物17.3g(30ミリモル)を用いた他は、実施例1と同様にしてポリイミド組成物32gを得た。
実施例1で製造したポリイミド 60重量部の代わりに比較例1で合成したポリイミドを用いた他は実施例3と同様に25μm厚みのフィルムを作製した。このフィルムは、UL−94の規格に沿って難燃性をしらべたところ、難燃性が無かった。
(実施例4)本発明のポリイミド+エポキシ樹脂
実施例1で製造したポリイミド 65重量部とエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製エポキシ樹脂 エピコート1001) 32重量部、エポキシ硬化剤(4,4’−ジアミノメタン) 3重量部をジメチルフォルムアミドに溶解し、アルミ箔上に塗布乾燥後、170℃2時間加熱した。アルミ箔をエッチングにより除去し、25μm厚みのフィルムを得た。このフィルムは、UL−94の規格に沿って難燃性をしらべたところ、V−0相当の難燃性が有ることがわかった。
(比較例2)通常のポリイミド+エポキシ
実施例4でもちいた実施例1で製造したポリイミドの代わりに、比較例1で合成したポリイミドを用いた他は実施例4と同様に25μm厚みのフィルムを作製した。このフィルムは、UL−94の規格に沿って難燃性をしらべたところ、難燃性が無かった。
(実施例5)本発明のポリイミド+イソシアナート(イソシアネート)
実施例1で製造したポリイミド 70重量部と4,4’−メチレンビス(フェニルイソシナナート) 30重量部をジメチルフォルムアミドに溶解し、アルミ箔上に塗布乾燥後、170℃2時間加熱した。アルミ箔をエッチングにより除去し、25μm厚みのフィルムを得た。このフィルムは、UL−94の規格に沿って難燃性をしらべたところ、V−0相当の難燃性が有ることがわかった。
(比較例3)通常の(ホスファゼン骨格を有しない)ポリイミド+イソシアナート
実施例5でもちいた実施例1で製造したポリイミドの代わりに、比較例1で合成したポリイミドを用いた他は実施例5と同様に25μm厚みのフィルムを作製した。このフィルムは、UL−94の規格に沿って難燃性をしらべたところ、難燃性が無かった。
(実施例6)本発明のポリイミド+シアン酸エステル
実施例1で製造したポリイミド 70重量部とビスフェノールAジシアナート30重量部をジメチルフォルムアミドに溶解し、アルミ箔上に塗布乾燥後、170℃2時間加熱した。アルミ箔をエッチングにより除去し、25μm厚みのフィルムを得た。このフィルムは、UL−94の規格に沿って難燃性をしらべたところ、V−0相当の難燃性が有ることがわかった。
(比較例4)通常の(ホスファゼン骨格を有しない)ポリイミド+シアン酸エステル
実施例6でもちいた実施例1で製造したポリイミドの代わりに、比較例1で合成したポリイミドを用いた他は実施例6と同様に25μm厚みのフィルムを作製した。このフィルムは、UL−94の規格に沿って難燃性をしらべたところ、難燃性が無かった。
(実施例7)本発明のポリイミド+アクリル樹脂
実施例1で製造したポリイミド 65重量部とアクリル樹脂(ダイセルユーピーシー製3708) 35重量部をジメチルフォルムアミドに溶解し、アルミ箔上に塗布乾燥後、170℃2時間加熱した。アルミ箔をエッチングにより除去し、25μm厚みのフィルムを得た。このフィルムは、UL−94の規格に沿って難燃性をしらべたところ、V−0相当の難燃性が有ることがわかった。
(比較例5)通常の(ホスファゼン骨格を有しない)ポリイミド+アクリル樹脂
実施例7でもちいた実施例1で製造したポリイミドの代わりに、比較例1で合成したポリイミド樹脂組成物を用いた他は実施例7と同様に25μm厚みのフィルムを作製した。このフィルムは、UL−94の規格に沿って難燃性をしらべたところ、難燃性が無かった。

Claims (9)

  1. ホスファゼン骨格を有することを特徴とするポリイミド。
  2. 下記式(1)の構造を有することを特徴とする請求項1記載のポリイミド。
    Figure 2006077064
    (式中R1はホスファゼン骨格を有する4価の有機基を示し、R2は、ジアミンからアミノ基を除いた2価の有機基あるいはジイソシアネートからイソシアネート基を除いた2価の有機基を示す。)
  3. 式(1)において、R1が式(2)の構造を有することを特徴とする請求項2記載のポリイミド。(式中mは3〜25の整数を示す。R3及びR4はフェニル基または式(3)に示される構造を示し、式(2)の化合物中で式(3)に示される構造を2以上含む。)
    Figure 2006077064
    Figure 2006077064
  4. 式(4)で表される酸無水物を原料として用いることを特徴とする請求項1〜3記載のポリイミド。
    Figure 2006077064
    (式中mは3〜25の整数を示す。R3およびR4はフェニル基または式(5)に示される酸無水物骨格を示し、式(4)の化合物中で式(5)に示される酸無水物骨格を2以上含む。)
    Figure 2006077064
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドを含むことを特徴とする、ポリイミド樹脂組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドに加えて、熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする、難燃性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドに加えて、熱硬化性化合物を含有することを特徴とする、難燃性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドを含むことを特徴とする、ポリイミド樹脂成形体。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドの前駆体である、ポリアミド酸。
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