JP5916160B2 - エポキシ化合物組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、組成物、特に、エポキシ化合物の組成物に関する。
産業用および民生用の機器並びに電気製品などの分野において、合成樹脂は、その加工性、耐薬品性、耐候性、電気的特性および機械的強度等の点で他の材料に比べて優位性を有するため多用されており、また、その使用量が増加している。しかし、合成樹脂は、燃焼し易い性質を有するため、難燃性の付与が求められており、近年その要求性能が次第に高まっている。このため、LSI等の電子部品の封止剤や基板等に使用されている樹脂組成物、例えばエポキシ樹脂組成物は、難燃化するために、ハロゲン含有化合物や、ハロゲン含有化合物と酸化アンチモンなどのアンチモン化合物との混合物が一般的な難燃剤として添加されている。ところが、このような難燃剤を配合した樹脂組成物は、燃焼時や成形時等において、環境汚染のおそれがあるハロゲン系ガスを発生する可能性がある。また、ハロゲン系ガスは、電子部品の電気的特性や機械的特性を阻害する可能性がある。そこで、最近では、合成樹脂用の難燃剤として、燃焼時や成形時等においてハロゲン系ガスが発生しにくい非ハロゲン系のもの、例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水和物系難燃剤やリン酸エステル系、縮合リン酸エステル系、リン酸アミド系、ポリリン酸アンモニウム系およびホスファゼン系などのリン系難燃剤が多用されるようになっている。
このうち、金属水和物系難燃剤は、脱水熱分解の吸熱反応とそれに伴う水の放出が合成樹脂の熱分解や燃焼開始温度と重複した温度領域で起こることで難燃化効果を発揮するが、その効果を高めるためには樹脂組成物に対して多量に配合する必要がある。このため、この種の難燃剤を含む樹脂組成物の成形品は、機械的強度が損なわれるという欠点がある。一方、リン系難燃剤のうち、リン酸エステル系および縮合リン酸エステル系のものは、可塑効果を有するため、難燃性を高めるために樹脂組成物に対して多量に添加すると、樹脂成形品の機械的強度が低下するなどの欠点が生じる。また、リン酸エステル系、リン酸アミド系およびポリリン酸アンモニウム系のものは、容易に加水分解することから、機械的および電気的な長期信頼性が要求される樹脂成形品の製造用材料においては実質的に使用が困難である。これらに対し、ホスファゼン系の難燃剤は、他のリン系難燃剤に比べて可塑効果および加水分解性が小さく、樹脂組成物に対する添加量を大きくすることができるため、下記の特許文献1〜5に記載のように、合成樹脂用の有効な難燃剤として多用されつつある。しかし、ホスファゼン系の難燃剤は、樹脂組成物に対する添加量を増やすと、高温下における樹脂成形品の信頼性を損なう可能性がある。具体的には、熱可塑性樹脂系の樹脂組成物の場合は、高温下においてその樹脂成形体からホスファゼン系の難燃剤がブリードアウト(溶出)し易く、また、熱硬化性樹脂系の樹脂組成物の場合は、高温下においてその樹脂成形品にフクレ等の変形が発生し、当該樹脂成形品が積層基板等の電気・電子分野において用いられる場合は変形によるショートを引き起こす可能性がある。
そこで、ホスファゼン系の難燃剤は、高温下での樹脂成形品の信頼性(高温信頼性)を高めるための改良が検討されており、その例として下記の特許文献6〜10には、反応性基を有するホスファゼン系の難燃剤およびそれを用いたエポキシ樹脂組成物またはポリイミド樹脂組成物が開示されている。この種のホスファゼン系難燃剤は、樹脂組成物に対して多量に添加した場合であっても樹脂成形品の高温信頼性を損ないにくいが、添加量を増しても樹脂成形品の難燃性を効果的に高めるのが困難という、それに要求される本質的効果の点で不十分であり、また、樹脂成形品の耐熱性(主にガラス転移温度で評価される)を損なうこともある。
一方、エポキシ樹脂組成物においては、樹脂成形品の耐熱性、機械特性(強靱性)および高温信頼性(耐水性を高めることで改善できる)を高めるための改良が検討されており、その例として下記の特許文献11〜14には、オキサゾリドン環を有する難燃性エポキシ樹脂組成物が開示されている。この難燃性エポキシ樹脂組成物は、要求されている耐熱性および機械特性(強靱性)、並びに高温信頼性(耐水性)をほぼ達成した樹脂成形品を実現することができるが、当該樹脂成形品は難燃性が不十分である。ところが、当該樹脂成形品の難燃性を高めるため、上記難燃性エポキシ樹脂組成物にリン酸エステル系、縮合リン酸エステル系、ホスファフェナンスレン系、ホスファゼン系若しくはポリフェニレンエーテル系等の難燃剤または難燃助剤を加えると、その樹脂成形品は、耐熱性または高温信頼性のいずれかに不具合が発生する。
特開2000−103939号公報 特開2004−83671号公報 特開2004−210849号公報 特開2005−8835号公報 特開2005−248134号公報 特開平6−247989号公報 特開平10−259292号公報 特開2003−302751号公報 特開2003−342339号公報 特開2004−143465号公報 特開平8−127635号公報 特開2002−308965号公報 特開2003−119253号公報 WO2006/001445号公報
本発明の目的は、耐熱性および高温信頼性を損なわずに、樹脂成形体の難燃性を高めることにある。
本発明者らは、上述の課題を解決すべく研究を重ねた結果、樹脂成形体用の材料においてホスファゼン環とエポキシ基とを同時に有するエポキシ化合物を用いた場合、優れた耐熱性(高いガラス転移温度)および高温信頼性(耐水性)を示し、同時に難燃性に優れていることを見出した。
本発明は、多官能性グリシジル化合物とヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物とを反応させる、ホスファゼン環とエポキシ基とを有するエポキシ化合物を少なくとも二種類含むエポキシ化合物組成物の製造方法に関するものである
ここで用いられる多官能性グリシジル化合物は、例えば、グリシジルエーテル類、グリシジルエステル類、グリシジルアミン類、脂肪族エポキシド類および脂環式エポキシド類からなる群から選ばれる少なくとも一つである。また、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、下記の式(1)で示されるものである。
Figure 0005916160
式(1)中、nは1〜6の整数を示し、Aは次のA1基、A2基およびA3基からなる群から選ばれる基を示し、かつ、少なくとも一つがA3基である。
A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
A3基:下記の式(2)で示されるヒドロキシアリールオキシ基および下記の式(3)で示されるヒドロキシフェニル置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
Figure 0005916160
式(2)中、Yはビフェニレン若しくはナフチレンを示す。
Figure 0005916160
式(3)中、Zは、O、S、SO、CH、CHCH、C(CH、C(CF、C(CH)CHCH若しくはCOを示す。
式(1)で示されるヒドロキシ基を有する環状ホスファゼン化合物は、(2n+4)個のAの内の1〜(2n+2)個がA3基であるものが好ましい。また、式(1)のnは、1若しくは2が好ましい。或いは、式(1)のヒドロキシ基を有する環状ホスファゼン化合物は、式(1)のnが異なる二種以上のものを含むものが好ましい。
本発明の製造方法により得られるエポキシ化合物組成物は、特有の構造を有するエポキシ化合物、すなわち、ホスファゼン環とエポキシ基とを同時に有するエポキシ化合物を少なくとも二種類含むものであるため、目的に応じた所望の形状等にそれ自体を硬化させるか、或いは、樹脂材料と混合してこの混合物を硬化させると、耐熱性および高温信頼性とともに難燃性に優れた樹脂成形体を製造することができる。
本発明に係る樹脂成形体用組成物の調製方法は、本発明の製造方法により得られるエポキシ化合物組成物と、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂成分とを混合する。この調製方法により得られる樹脂成形体用組成物は、耐熱性および高温信頼性とともに難燃性に優れ、他の樹脂成分により得られる特性を備えた樹脂成形体を形成することができる。
本発明の樹脂成形体は、本発明のエポキシ化合物組成物を硬化させて得られるもの、或いは、本発明の樹脂成形体用組成物を硬化させて得られるものである。この樹脂成形体は、耐熱性および高温信頼性とともに難燃性に優れている。
本発明の電子部品は、本発明の樹脂成形体を用いたものである。この電子部品は、耐熱性および高温信頼性とともに難燃性に優れている。
本発明の他の目的および効果は、以下の詳細な説明において触れる。
エポキシ化合物組成物
本発明のエポキシ化合物組成物は、ホスファゼン環とエポキシ基とを有する化合物、すなわち、ホスファゼン環とエポキシ基とを同時に有するエポキシ化合物を少なくとも二種類含むものである。この組成物に含まれるエポキシ化合物において、エポキシ基は、通常、グリシジル基として含まれる。また、この組成物に含まれるエポキシ化合物は、低分子のものであってもよいし、高分子のものであってもよい。
本発明のエポキシ化合物組成物において、エポキシ当量は、200〜10,000g/eq.が好ましく、250〜2,000g/eq.がより好ましい。エポキシ当量が200g/eq.未満の場合は、高温信頼性(耐水性)の良好な樹脂成形体が得られにくくなる可能性がある。逆に、10,000g/eq.を超える場合は、耐熱性および難燃性の良好な樹脂成形体が得られにくくなる。
ここで、エポキシ化合物組成物のエポキシ当量は、JIS K−7236「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」において規定された方法により求めることができる。
本発明のエポキシ化合物組成物に含まれるエポキシ化合物は、1分子当たりにおけるエポキシ基の平均官能数が1以上であるが、当該平均官能数は1.2〜5が好ましく、1.2〜3がより好ましい。この平均官能数が1.2未満の場合は、耐熱性の良好な樹脂成形体が得られにくくなる可能性がある。逆に、5を超える場合は、耐熱性の良好な樹脂成形体を得ることはできるが、樹脂成形体の高温信頼性が低下する可能性がある。
エポキシ化合物組成物の製造方法
本発明のエポキシ化合物組成物は、通常、多官能性グリシジル化合物と、ヒドロキシ基を有する環状ホスファゼン化合物、すなわち、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物とを反応させることで製造することができる。この反応では、多官能性グリシジル化合物のグリシジル基の一部とヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物のヒドロキシ基とが反応して両化合物が結合し、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物に由来のホスファゼン環および多官能性グリシジル化合物に由来のエポキシ基を有するエポキシ化合物になる。そして、ヒドロキシ基含有ホスファゼン化合物は、通常、構造が異なる複数種類のものの混合物であるため、上述のような反応により、二種類以上の上記エポキシ化合物を含むエポキシ化合物組成物が得られる。
この製造方法において用いられる多官能性グリシジル化合物は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、好ましいものとしてはグリシジルエーテル類、グリシジルエステル類、グリシジルアミン類、脂肪族エポキシド類、脂環式エポキシド類およびトリグリシジルイソシアヌレートを例示することができる。
グリシジルエーテル類としては、例えば、フェノールのグリシジルエーテル類、ノボラックのポリグリシジルエーテル類およびアルキルグリシジルエーテル類等が挙げられる。フェノールのグリシジルエーテル類としては、例えば、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、ビスフェノール−AD、ビスフェノール−S、テトラメチルビスフェノール−A、テトラメチルビスフェノール−F、テトラメチルビスフェノール−AD、テトラメチルビスフェノール−S、ビフェノールおよびジヒドロキシナフタレン等の2価フェノール類をグリシジル化した化合物を挙げることができるが、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよび4,4−(1−{4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル}エチリデン)ビスフェノール等のトリス(グリシジルオキシフェニル)アルカン類やアミノフェノール等をグリシジル化した化合物も挙げることができる。ノボラックのポリグリシジルエーテル類としては、例えば、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、ビフェニルノボラック、ビスフェノール−Aノボラックおよびナフトールノボラック等のノボラックをグリシジル化した化合物が挙げられる。アルキルグリシジルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテルおよびネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
グリシジルエステル類としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステルやダイマー酸のジグリシジルエステル等が挙げられる。グリシジルアミン類としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−パラ−アミノフェノールおよびトリグリシジル−メタ−アミノフェノール等が挙げられる。脂肪族エポキシド類としては、例えば、エポキシ化ポリブタジエンおよびエポキシ化大豆油等が挙げられる。脂環式エポキシド類としては、例えば、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレートおよび3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等が挙げられる。
多官能性グリシジル化合物のうち、好ましいものはグリシジルエーテル類である。特に、2価のフェノール類のグリシジルエーテル類が好ましく、ビスフェノール−Aのグリシジルエーテル若しくはビスフェノール−Fのグリシジルエーテルが特に好ましい。多官能性グリシジル化合物は、二種以上のものが併用されてもよい。
多官能性グリシジル化合物のエポキシ当量は、260g/eq.以下が好ましい。特に、160〜220g/eq.が好ましく、170〜200g/eq.がより好ましい。多官能性グリシジル化合物のエポキシ当量が260g/eq.を超えると、本発明のエポキシ化合物組成物は、溶融粘度が高くなって流動性が低下し、取扱いが困難になる可能性がある。また、多官能性グリシジル化合物のアルコール性ヒドロキシ基は1.0eq./kg以下が好ましい。特に、0.05〜0.7eq./kgが好ましく、0.1〜0.5eq./kgがより好ましい。多官能性グリシジル化合物のアルコール性ヒドロキシ基が多くなりすぎると、本発明のエポキシ化合物組成物の製造時において、反応安定性が低下する可能性がある。
一方、この製造方法において用いられるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、例えば下記の式(1)で表されるものである。
Figure 0005916160
式(1)において、nは、1から6の整数を示しているが、1から4の整数が好ましく、1若しくは2が特に好ましい。すなわち、式(1)で表わされるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物として特に好ましいものは、nが1のヒドロキシ基を有するシクロトリホスファゼン(3量体)およびnが2のヒドロキシ基を有するシクロテトラホスファゼン(4量体)である。ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、nが異なる二種以上のものの混合物であってもよい。
また、式(1)において、Aは、下記のA1基、A2基およびA3基からなる群から選ばれた基を示している。但し、Aのうちの少なくとも一つはA3基である。
[A1基]
炭素数が1〜8のアルコキシ基。このアルコキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよい。
このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、エテニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルオキシ基、4−ペンテニルオキシ基、2−ヘキセニルオキシ基、1−プロピル−2−ブテニルオキシ基、5−オクテニルオキシ基、ベンジルオキシ基および2−フェニルエトキシ基等を挙げることができる。このうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、2−プロペニルオキシ基およびベンジルオキシ基が好ましく、エトキシ基およびn−プロポキシ基が特に好ましい。
[A2基]
炭素数が6〜20のアリールオキシ基。このアリールオキシ基は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよい。
このようなアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、エチルメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、イソプロピルメチルフェノキシ基、イソプロピルエチルフェノキシ基、ジイソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ペンチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、エテニルフェノキシ基、1−プロペニルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、イソプロペニルフェノキシ基、1−ブテニルフェノキシ基、sec−ブテニルフェノキシ基、1−ペンテニルフェノキシ基、1−ヘキセニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基およびフェナントリルオキシ基等を挙げることができる。このうち、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、ジエチルフェノキシ基、2−プロペニルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が好ましく、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基およびナフチルオキシ基が特に好ましい。
[A3基]
下記の式(2)で示されるヒドロキシアリールオキシ基、下記の式(3)で示されるヒドロキシフェニル置換フェニルオキシ基および下記の式(4)で示されるヒドロキシ基置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
Figure 0005916160
式(2)中、Yは、フェニレン、ビフェニレン若しくはナフチレンを示す。
式(2)で示されるヒドロキシアリールオキシ基は、具体的には、2−ヒドロキシルフェニルオキシ基、3−ヒドロキシルフェニルオキシ基、4−ヒドロキシルフェニルオキシ基、3’−ヒドロキシルフェニル−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシルフェニル−4−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基、5−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基および6−ヒドロキシルナフチル−2−オキシ基である。
Figure 0005916160
式(3)において、Zは、O、S、SO、CH、CHCH、C(CH、C(CF、C(CH)CHCH若しくはCOを示す。したがって、式(3)で示されるヒドロキシフェニル置換フェニルオキシ基は、具体的には、4’−ヒドロキシフェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシベンジル−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニルエチリデン−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニルヘキサフルオロイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニル(1’−メチルプロピリデン)−4−フェニルオキシ基および4’−ヒドロキシベンゾイル−4−フェニルオキシ基である。
Figure 0005916160
式(4)中、E〜Eは、少なくとも一つがヒドロキシ基でありかつ少なくとも一つが炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる基であり、残りが水素原子である。
式(4)で示されるヒドロキシ基置換フェニルオキシ基は、例えば、2−ヒドロキシ−3−メチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−3,4−ジメチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−3,6−ジメチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−2,4−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−3,6−ジメチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−3,4,5−トリメチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−3,4,6−トリメチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−3,5,6−トリメチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4,5,6−トリメチル−フェニルオキシ基、2,4,5−トリメチル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、2,5,6−トリメチル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4,5,6−トリメチル−フェニルオキシ基、2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、2,3,6−トリメチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−2,4,5,6−テトラメチル−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラメチル−フェニルオキシ基、2,3−ジヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、2,3−ジヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2,4−ジヒドロキシ−3−メチル−フェニルオキシ基、2,4−ジヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、2,4−ジヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2,5−ジヒドロキシ−3−メチル−フェニルオキシ基、2,5−ジヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、2,5−ジヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2,6−ジヒドロキシ−3−メチル−フェニルオキシ基、2,6−ジヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、2,6−ジヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−3−エチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4−エチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−5−エチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−6−エチル−フェニルオキシ基、2−エチル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−エチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−エチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−6−エチル−フェニルオキシ基、2−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−3−アリル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4−アリル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−5−アリル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−6−アリル−フェニルオキシ基、2−アリル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−アリル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−アリル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−6−アリル−フェニルオキシ基、2−アリル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−アリル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−3−フェニル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4−フェニル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−5−フェニル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−6−フェニル−フェニルオキシ基、2−フェニル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−フェニル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−フェニル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−6−フェニル−フェニルオキシ基、2−フェニル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−フェニル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、2−メチル−3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、2−メチル−4−ヒドロキシ−5−エチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−ヒドロキシ−6−エチル−フェニルオキシ基、2−エチル−3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、2−エチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基および2−エチル−4−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基である。
このうちで好ましいものは、2−ヒドロキシ−3−メチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、2−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−2,4−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−3,6−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−エチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−エチル−フェニルオキシ基、3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、2−アリル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−アリル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−アリル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−6−アリル−フェニルオキシ基、2−アリル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−アリル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、2−フェニル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−フェニル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−フェニル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−6−フェニル−フェニルオキシ基、2−フェニル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基および3−フェニル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基である。
特に、2−メチル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−エチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−エチル−フェニルオキシ基および3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基が好ましい。
式(1)において、Aは、(2n+4)個含まれており、このうちの少なくとも一つがA3基である。したがって、本発明において用いられる式(1)で表されるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、次の形態に大別することができる。
[形態1]
(2n+4)個の全てのAがA3基のものである。この場合、Aは、全てが同じA3基であってもよいし、二種以上のA3基であってもよい。
このような形態のヒドロキシ基を有する環状ホスファゼン化合物の具体例としては、式(1)のnが1であるヒドロキシ基を有するシクロトリホスファゼン化合物、式(1)のnが2であるヒドロキシ基を有するシクロテトラホスファゼン化合物、式(1)のnが3であるヒドロキシ基を有するシクロペンタホスファゼン化合物および式(1)のnが4であるヒドロキシ基を有するシクロヘキサホスファゼン化合物であって、Aの全てが、4−ヒドロキシフェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニル−4−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基、5−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基、6−ヒドロキシルナフチル−2−オキシ基、4’−ヒドロキシフェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、2−メチル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−エチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−エチル−フェニルオキシ基および3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基からなるA3基群から選ばれた一種のA3基であるもの並びにAの全てが当該A3基群から選ばれた二種以上のA3基であるもの並びにこれらの任意の混合物を挙げることができる。
[形態2]
(2n+4)個のAのうちの一部(すなわち、少なくとも一つ)がA3基であり、他のAがA1基およびA2基から選ばれた基のものである。この場合、A3基以外の他のAは、全てが同じA1基若しくはA2基であってもよいし、二種以上のA1基若しくはA2基または一種若しくは二種以上のA1基とA2基とが混在した状態であってもよい。
この形態のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物として好ましいものは、(2n+4)個のAのうちの1〜(2n+2)個がA3基のものである。特に、式(1)のnが1であるヒドロキシ基を有するシクロトリホスファゼン化合物、式(1)のnが2であるヒドロキシ基を有するシクロテトラホスファゼン化合物、式(1)のnが3であるヒドロキシ基を有するシクロペンタホスファゼン化合物および式(1)のnが4であるヒドロキシ基を有するシクロヘキサホスファゼン化合物であって、(2n+4)個のAのうちの1〜(2n+2)個がA3基のもの並びにこれらの任意の混合物が好ましい。ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物としてこの種のものを用いると、他のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物を用いる場合に比べ、耐熱性(特に、ガラス転移温度が高い)および高温信頼性により優れた樹脂成形体を実現可能な点において有利である。
なお、(2n+4)個のAのうちの1〜(2n+2)個がA3基であるか否かは、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物またはその製造過程における中間体のTOF−MS分析により確認することができる。
このような形態のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物の具体例としては、式(1)のnが1であるヒドロキシ基を有するシクロトリホスファゼン化合物、式(1)のnが2であるヒドロキシ基を有するシクロテトラホスファゼン化合物、式(1)のnが3であるヒドロキシ基を有するシクロペンタホスファゼン化合物または式(1)のnが4であるヒドロキシ基を有するシクロヘキサホスファゼン化合物であって、Aが、A3基である4−ヒドロキシフェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシフェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシフェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である5−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である5−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である5−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−4−エチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−4−エチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−4−エチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−5−エチル−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−5−エチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−5−エチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA1基であるn−プロポキシ基との組合せのもの、A3基である3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのものおよびA3基である3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの並びにこれらの任意の混合物を挙げることができる。
このうち、式(1)のnが1であるヒドロキシ基を有するシクロトリホスファゼン化合物、式(1)のnが2であるヒドロキシ基を有するシクロテトラホスファゼン化合物、式(1)のnが3であるヒドロキシ基を有するシクロペンタホスファゼン化合物、式(1)のnが4であるヒドロキシ基を有するシクロヘキサホスファゼン化合物であって、Aが、A3基である4−ヒドロキシフェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である5−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのものおよびA3基である3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの並びにこれらの任意の混合物が好ましい。
特に、式(1)のnが1であるヒドロキシ基を有するシクロトリホスファゼン化合物若しくは式(1)のnが2であるヒドロキシ基を有するシクロテトラホスファゼン化合物であって、Aが、A3基である4−ヒドロキシフェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である5−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、A3基である4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、A3基である3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのものおよびA3基である3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの並びにこれらの任意の混合物が好ましい。
ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物としては、ヒドロキシ基に加え、グリシジル基を同時に有するものを用いることもできる。このような化合物としては、例えば、式(1)のnが1であるヒドロキシ基を有するシクロトリホスファゼン化合物または式(1)のnが2であるヒドロキシ基を有するシクロテトラホスファゼン化合物であって、Aの全てが、4−ヒドロキシフェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニル−4−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシナフチル−1−オキシ基、5−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基、6−ヒドロキシルナフチル−2−オキシ基、4’−ヒドロキシフェニルオキシ−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニルチオ−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基、4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基、2−メチル−3−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−6−メチル−フェニルオキシ基、2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−4−エチル−フェニルオキシ基、3−ヒドロキシ−5−エチル−フェニルオキシ基および3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基からなるA3基群から選ばれた一種のA3基であるもの、Aの全てが、当該A3基群から選ばれた二種以上のA3基であるもの、Aが、A3基である4−ヒドロキシフェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である4’−ヒドロキシフェニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である5−ヒドロキシルナフチル−1−オキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である4’−ヒドロキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である4’−ヒドロキシフェニルスルホニル−4−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン−4−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である3−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である2−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である3−メチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのもの、Aが、A3基である3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるフェノキシ基との組合せのもの、並びに、Aが、A3基である3−エチル−4−ヒドロキシ−フェニルオキシ基とA2基であるメチルフェノキシ基との組合せのものからなる群から選ばれた同種または異種のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物の混合物であって、当該混合物に含まれるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物の一部において、そのヒドロキシ基がグリシジルオキシ基に変換されているものを挙げることができる。
A3基として式(2)で示されるヒドロキシアリールオキシ基を有するヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物およびA3基として式(3)で示されるヒドロキシフェニル置換フェニルオキシ基を有するヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、下記の文献15〜19に記載された方法を参照して製造することができる。
文献15
特開昭58−219190号公報
文献16
特開2007−153747号公報
文献17
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS,H.R.ALLCOCK著,1972年刊,ACADEMIC PRESS社
文献18
Alessandro Medici,et.al., Macromolecules, Vol.25,No.10,p.2569(1992)
文献19
PHOSPHAZENES、A WORLDWIDE INSIGHT、M.GLERIA、R.DE JAEGER著、2004年刊、NOVA SCIENCE PUBLISHERS INC.社
一方、A3基として式(4)で示されるヒドロキシ基置換フェニルオキシ基を有するヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物(以下、「式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物」という場合がある)は、次のような方法により製造することができる。
先ず、下記の式(5)で表される環状ホスホニトリルジハライドを用意する。
Figure 0005916160
式(5)において、nは、3から8の整数を示している。また、Xは、ハロゲン原子を示し、好ましくはフッ素原子若しくは塩素原子である。因みに、ここで用意する環状ホスホニトリルジハライドは、nが異なる数種類のものの混合物であってもよい。
このような環状ホスホニトリルジハライドの製造方法その他は、各種の文献、例えば、下記のような文献20、21に記載されている。
文献20
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS,H.R.ALLCOCK著,1972年刊,ACADEMIC PRESS社
文献21
PHOSPHAZENES,A WORLDWIDE INSIGHT,M.GLERIA,R.DE JAEGER著,2004年刊,NOVA SCIENCE PUBLISHERS INC.社
これらの文献に記載されているように、式(5)で表される環状ホスホニトリルジハライドは、通常、重合度が3から8程度の環状ホスホニトリルジハライドと鎖状ホスホニトリルジハライドとの混合物として得られる。このため、式(5)で表される環状ホスホニトリルジハライドは、上記各文献に記載されているように、当該混合物から溶媒への溶解度の差を利用して鎖状ホスホニトリルジハライドを取り除いて入手するか、或いは、当該混合物から環状ホスホニトリルジハライドを蒸留または再結晶によって分離して入手する必要がある。
この製造方法において用いる環状ホスホニトリルジハライドとして好ましいものは、例えば、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン(nが3のもの)、オクタフルオロシクロテトラホスファゼン(nが4のもの)、デカフルオロシクロペンタホスファゼン(nが5のもの)、ドデカフルオロシクロヘキサホスファゼン(nが6のもの)、ヘキサフルオロシクロトリホスファゼンとオクタフルオロシクロテトラホスファゼンとの混合物、nが3から8の環状ホスホニトリルジフルオリドの混合物、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(nが3のもの)、オクタクロロシクロテトラホスファゼン(nが4のもの)、デカクロロシクロペンタホスファゼン(nが5のもの)、ドデカクロロシクロヘキサホスファゼン(nが6のもの)、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンとオクタクロロシクロテトラホスファゼンとの混合物およびnが3から8の環状ホスホニトリルジクロリドの混合物等である。このうち、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンとオクタクロロシクロテトラホスファゼンとの混合物およびnが3から8の環状ホスホニトリルジクロリドの混合物がより好ましく、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンとオクタクロロシクロテトラホスファゼンとの混合物およびnが3から8の環状ホスホニトリルジクロリドの混合物が特に好ましい。
また、上述の環状ホスホニトリルジハライドと反応させる化合物として、次の化合物B1、化合物B2および化合物B3を用意する。
[化合物B1]
炭素数が1〜8のアルコール類。
このアルコール類は、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよい。
このようなアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノ−ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、ビニルアルコール、1−プロペン−1−オール、2−プロペン−1−オール(アリルアルコール)、1−メチル−1−エテン−1−オール、3−ブテン−1−オール、2−メチル−2−プロペン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール、2−ヘプテン−4−オール、5−オクテン−1−オール、ベンジルアルコールおよびフェネチルアルコール等を挙げることができる。このうち、メタノール、エタノール、n−プロパノール、アリルアルコールおよびベンジルアルコールが好ましく、エタノールおよびn−プロパノールが特に好ましい。
[化合物B2]
炭素数が6〜20のフェノール類。
このフェノール類は、炭素数が1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよい。
このようなフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、ジメチルフェノール、エチルフェノール、エチルメチルフェノール、ジエチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、イソプロピルエチルフェノール、ジイソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、n−ペンチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、ビニルフェノール、1−プロペニルフェノール、2−プロペニルフェノール、イソプロペニルフェノール、1−ブテニルフェノール、sec−ブテニルフェノール、1−ペンテニルフェノール、1−ヘキセニルフェノール、フェニルフェノール、ナフトール、アントラノールおよびフェナントラノール等を挙げることができる。このうち、フェノール、クレゾール、ジメチルフェノール、ジエチルフェノール、2−プロペニルフェノール、フェニルフェノールおよびナフトールが好ましく、フェノール、クレゾール、ジメチルフェノールおよびナフトールが特に好ましい。
[化合物B3]
下記の式(6)で表されるアシル基置換フェノール類。
Figure 0005916160
式(6)において、L〜Lは、少なくとも一つがアシル基でありかつ少なくとも一つが炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる基であり、残りが水素原子である。
アシル基は、種類が限定されるものではなく、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、ステアロイル基、オキサリル基、スクシニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基およびアニソイル基等を挙げることができる。但し、化合物B3は、入手しやすく、また、式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物を製造するための合成操作を簡便に実施することができることから、アシル基としてアセチル基を有するものを用いるのが好ましい。
化合物B3として用いられるアセチル基置換フェノール類としては、例えば、2−メチル−3−アセチルフェノール、3−アセチル−4−メチルフェノール、3−アセチル−5−メチルフェノール、3−アセチル−6−メチルフェノール、2−メチル−4−アセチルフェノール、3−メチル−4−アセチルフェノール、4−アセチル−3,5−ジメチルフェノール、3−アセチル−4−エチルフェノール、3−アセチル−5−エチルフェノールおよび3−エチル−4−アセチルフェノール等を挙げることができる。このうち、3−アセチル−4−メチルフェノール、3−アセチル−5−メチルフェノール、2−メチル−4−アセチルフェノール、3−メチル−4−アセチルフェノール、4−アセチル−3,5−ジメチルフェノールおよび3−エチル−4−アセチルフェノールが好ましく、3−アセチル−4−メチルフェノール、2−メチル−4−アセチルフェノール、3−メチル−4−アセチルフェノールおよび4−アセチル−3,5−ジメチルフェノールが特に好ましい。
式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物の製造方法では、上述の式(3)で表される環状ホスホニトリルジハライドと上述の化合物B1〜B3とを反応させることにより、環状ホスホニトリルジハライドの全ハロゲン原子を、少なくとも一つが下記のG3基により置換されるよう下記のG1基、G2基およびG3基からなる群から選ばれた基により置換し、環状ホスホニトリル置換体を製造する(工程1)。
[G1基]
炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基で置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
この基は、化合物B1によりハロゲン原子と置換されるものであり、既述のA1基に該当する。
[G2基]
炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも1種の基で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
この基は、化合物B2によりハロゲン原子と置換されるものであり、既述のA2基に該当する。
[G3基]
下記の式(7)で示されるアシル基置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
Figure 0005916160
この基は、化合物B3によりハロゲン原子と置換されるものである。
式(7)において、L〜Lは、少なくとも一つがアシル基でありかつ少なくとも一つが炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基であり、残りが水素原子である。
この製造工程では、製造する式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物の種類に応じて、すなわち、上述の形態1に係る式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物を製造する場合と、上述の形態2に係る式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物を製造する場合とに応じて、化合物B1〜B3を適宜選択して使用する。具体的には次の通りである。
[形態1の式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物を製造する場合]
この場合は、環状ホスホニトリルジハライドと化合物B3とを反応させ、環状ホスホニトリルジハライドのハロゲン原子(以下、活性ハロゲン原子という場合がある)の全てを化合物B3に由来のG3基で置換する。ここで用いられる化合物B3は、上述のアシル基置換フェノール類のうちの一種若しくは二種以上である。環状ホスホニトリルジハライドと化合物B3とを反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの全ての活性ハロゲン原子をG3基で置換する方法としては、次のいずれかの方法を採用することができる。
<方法A−a>
環状ホスホニトリルジハライドと化合物B3のアルカリ金属塩とを反応させる。
この方法による場合、化合物B3のアルカリ金属塩の使用量は、通常、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の量の1.0〜2.0当量に設定するのが好ましく、1.05〜1.3当量に設定するのがより好ましい。当該使用量が1.0当量未満の場合は、活性ハロゲン原子の一部が残留し、得られた式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物を用いたエポキシ化合物組成物が所要の効果を示さない可能性がある。一方、当該使用量が2.0当量を超える場合は、反応生成物の分離・精製が困難になるおそれがあり、また、不経済である。
<方法A−b>
環状ホスホニトリルジハライドと化合物B3とを、ハロゲン化水素を捕捉可能な塩基の存在下で反応させる。
この方法による場合、化合物B3の使用量は、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の量の1.0〜2.0当量に設定するのが好ましく、1.05〜1.3当量に設定するのがより好ましい。当該使用量が1.0当量未満の場合は、活性ハロゲン原子の一部が残留し、得られた式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物を用いたエポキシ化合物組成物が所要の効果を示さない可能性がある。一方、当該使用量が2.0当量を超える場合は、反応生成物の分離・精製が困難になるおそれがあり、また、不経済である。また、塩基の使用量は、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の量の1.1〜2.1当量に設定するのが好ましく、1.1〜1.4当量に設定するのがより好ましい。当該使用量が1.1当量未満の場合は、活性ハロゲン原子の一部が残留し、式(4)置換基ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物を用いたエポキシ化合物組成物が所要の効果を示さない可能性がある。一方、当該使用量が2.1当量を超える場合は、反応生成物の分離・精製が困難になるおそれがあり、また、不経済である。
[形態2の式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物を製造する場合]
この場合は、環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B3のうちの少なくとも一種と、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物とを反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの一部の活性ハロゲン原子を化合物B3に由来のG3基で置換し、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B1に由来のG1基および化合物B2に由来のG2基のうちの少なくとも一つの基で置換する。このための方法としては、次のいずれかの方法を採用することができる。
<方法B−a>
環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B3のアルカリ金属塩と、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物のアルカリ金属塩との混合物を反応させ、活性ハロゲン原子の全てを置換する。当該混合物において、化合物B3のアルカリ金属塩の割合は、製造する式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物の種類に応じて適宜設定することができる。
この方法による場合、上述の混合物の使用量は、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の量の1.0〜2.0当量に設定するのが好ましく、1.05〜1.3当量に設定するのがより好ましい。当該使用量が1.0当量未満の場合は、活性ハロゲン原子の一部が残留し、得られた式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物を用いたエポキシ化合物組成物が所要の効果を示さない可能性がある。一方、当該使用量が2.0当量を超える場合は、反応生成物の分離・精製が困難になるおそれがあり、また、不経済である。
<方法B−b>
環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B3と、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物との混合物を、ハロゲン化水素を捕捉可能な塩基の存在下で反応させ、活性ハロゲン原子の全てを置換する。当該混合物において、化合物B3の割合は、製造する式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物の種類に応じて適宜設定することができる。
この方法による場合、上述の混合物の使用量は、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の量の1.0〜2.0当量に設定するのが好ましく、1.05〜1.3当量に設定するのがより好ましい。当該使用量が1.0当量未満の場合は、活性ハロゲン原子の一部が残留し、得られた式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物を用いたエポキシ化合物組成物が所要の効果を示さない可能性がある。一方、当該使用量が2.0当量を超える場合は、反応生成物の分離・精製が困難になるおそれがあり、また、不経済である。また、塩基の使用量は、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の量の1.1〜2.1当量に設定するのが好ましく、1.1〜1.4当量に設定するのがより好ましい。当該使用量が1.1当量未満の場合は、活性ハロゲン原子の一部が残留し、式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物を用いたエポキシ化合物組成物が所要の効果を示さない可能性がある。一方、当該使用量が2.1当量を超える場合は、反応生成物の分離・精製が困難になるおそれがあり、また、不経済である。
<方法B−c>
先ず、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B3を反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B3に由来のG3基により置換した部分置換体を得る(第一工程)。次に、得られた部分置換体に対して化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物を反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B1に由来のG1基および化合物B2に由来のG2基のうちの少なくとも一つにより置換する(第二工程)。
この方法の第一工程は、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B3のアルカリ金属塩を反応させて実施してもよいし、環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B3をハロゲン化水素を捕捉可能な塩基の存在下で反応させてもよい。また、第二工程は、第一工程で得た部分置換体に対して化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物のアルカリ金属塩を反応させて実施してもよいし、第一工程で得た部分置換体に対し、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物をハロゲン化水素を捕捉可能な塩基の存在下で反応させてもよい。
<方法B−d>
先ず、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物を反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B1に由来のG1基および化合物B2に由来のG2基のうちの少なくとも一つにより置換した部分置換体を得る(第一工程)。次に、得られた部分置換体に対して化合物B3を反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B3に由来のG3基により置換する(第二工程)。
この方法の第一工程は、環状ホスホニトリルジハライドに対して化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物のアルカリ金属塩を反応させて実施してもよいし、環状ホスホニトリルジハライドに対し、化合物B1および化合物B2のうちの少なくとも一つの化合物をハロゲン化水素を捕捉可能な塩基の存在下で反応させてもよい。また、第二工程は、第一工程で得た部分置換体に対して化合物B3のアルカリ金属塩を反応させて実施してもよいし、第一工程で得た部分置換体に対し、化合物B3をハロゲン化水素を捕捉可能な塩基の存在下で反応させてもよい。
上述の各方法において用いられるアルカリ金属塩は、通常、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩およびセシウム塩が好ましい。特に、ナトリウム塩およびカリウム塩が好ましい。このようなアルカリ金属塩は、化合物B1〜B3と、金属リチウム、金属ナトリウム若しくは金属カリウム等との脱水素反応、または、化合物B1〜B3と、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物との混合物からの脱水反応によって得ることができる。
また、上述の各方法において用いられる、ハロゲン化水素を捕捉可能な塩基は、特に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジイソプロピルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジンおよび4−ジイソプロピルアミノピリジン等の脂肪族若しくは芳香族アミン類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩並びに水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物等を用いるのが好ましい。特に、トリエチルアミン、ピリジン若しくは水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物を用いるのが好ましい。
上述の環状ホスホニトリルジハライドと化合物B1〜B3との反応は、上述のいずれの方法についても、無溶媒で実施することができ、また、溶媒を使用して実施することもできる。溶媒を使用する場合、溶媒の種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではないが、通常、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジエトキシエタンおよびジフェニルエーテル等のエーテル系、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、キシレン、エチルベンゼンおよびイソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素系、クロロホルムおよび塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、ウンデカンおよびドデカン等の脂肪族炭化水素系、ピリジン等の複素環式芳香族炭化水素系、第三級アミン系並びにシアン化合物系等の有機溶媒を用いるのが好ましい。このうち、分子内にエーテル結合を有し、かつ、化合物B1〜B3およびそれらのアルカリ金属塩の溶解度が高いエーテル系の有機溶媒および水との分離が容易である芳香族炭化水素系の有機溶媒を用いるのが特に好ましい。
上述の環状ホスホニトリルジハライドと化合物B1〜B3とを反応させる際の反応温度は、上述のいずれの方法によるか、或いは、反応生成物の熱安定性等を考慮して適宜設定することができる。但し、溶媒を用いて当該反応を実施する場合は、通常、−20℃から溶媒の沸点までの温度範囲に反応温度を設定するのが好ましい。一方、無溶媒で当該反応を実施する場合、反応温度は、通常、40〜200℃の範囲に設定するのが好ましい。
なお、式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物として上述の形態2に係るもの、特に、式(1)における(2n+4)個のAの内の1〜(2n+2)個がA3基のものを製造する場合は、上述の方法B−c若しくは方法B−dを採用するのが好ましい。
ここで、方法B−cを採用する場合は、先ず、環状ホスホニトリルジハライドのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を調製する。そして、この溶媒溶液に対し、化合物B3のアルカリ金属塩のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液または化合物B3とハロゲン化水素を捕捉可能な塩基とのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を、通常、−20〜50℃の温度で3〜24時間かけて添加し、また、同温度範囲で1〜24時間反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B3に由来のG3基により置換した部分置換体を製造する。次に、得られた部分置換体のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液に対し、化合物B1および化合物B2から選ばれた少なくとも一つの化合物のアルカリ金属塩のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液または化合物B1および化合物B2から選ばれた少なくとも一つの化合物とハロゲン化水素を捕捉可能な塩基とのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を、通常、0〜50℃の温度で3〜24時間かけて添加し、また、0℃から溶媒の沸点までの温度で反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B1に由来のG1基および化合物B2に由来のG2基のうちの少なくとも一つにより置換する。
一方、方法B−dを採用する場合は、先ず、環状ホスホニトリルジハライドのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を調製する。そして、この溶媒溶液に対し、化合物B1および化合物B2から選ばれた少なくとも一つの化合物のアルカリ金属塩のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液または化合物B1および化合物B2から選ばれた少なくとも一つの化合物とハロゲン化水素を捕捉可能な塩基とのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を、通常、−20〜50℃の温度で3〜24時間かけて添加し、また、同温度範囲で1〜24時間反応させ、環状ホスホニトリルジハライドの活性ハロゲン原子の一部を化合物B1に由来のG1基および化合物B2に由来のG2基のうちの少なくとも一つにより置換した部分置換体を製造する。次に、得られた部分置換体のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液に対し、化合物B3のアルカリ金属塩のエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液または化合物B3とハロゲン化水素を捕捉可能な塩基とのエーテル系溶媒溶液若しくは芳香族炭化水素系溶媒溶液を、通常、0〜50℃の温度で3〜24時間かけて添加し、また、0℃から溶媒の沸点までの温度で反応させ、残りの活性ハロゲン原子の全てを化合物B3に由来のG3基により置換する。
次に、上述の工程1において得た環状ホスホニトリル置換体、すなわち、アシル基含有環状ホスホニトリル置換体を酸化し、アシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を製造する(工程2)。より具体的には、アシル基含有環状ホスホニトリル置換体のアシル基を酸化してアシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を製造する。
アシル基含有環状ホスホニトリル置換体の酸化方法は、アシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を得ることができる方法であれば特に限定されるものではないが、通常はバイヤー−ビリガー酸化によるのが好ましい。アシル基含有環状ホスホニトリル置換体の酸化のためのバイヤー−ビリガー酸化において用いることができる酸化剤は、特に制限されるものではなく、各種の公知の過酸化物である。具体的には、無機過酸化物、有機過酸化物、過酸化水素、過酸化尿素、遷移金属のペルオキソ錯体並びに有機酸、無機酸、ルイス酸、有機過酸、無機過酸およびジオキシランからなる群から選ばれた少なくとも一つとペルオキソ化合物との混合物を挙げることができる。これらの酸化剤は、適宜混合して用いることもできる。また、バイヤー−ビリヤー型モノオキシゲナーゼ(酸素添加酵素)を用いることもできる。
無機過酸化物の例としては、過酸化アンモニウム、アルカリ金属過酸化物、過硫酸アンモニウム、アルカリ金属過硫酸塩、過ホウ酸アンモニウム、アルカリ金属過ホウ酸塩、過炭酸アンモニウム、アルカリ金属過炭酸塩、アルカリ土類金属過酸化物、過酸化亜鉛およびこれらの化合物の任意の組合わせによる混合物を挙げることができる。アルカリ金属過酸化物として好ましいものは、過酸化ナトリウムである。
有機過酸化物の例としては、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、メンチルヒドロペルオキシド、1−メチルシクロヘキサンヒドロペルオキシドおよびこれらの化合物の任意の組合わせによる混合物を挙げることができる。
遷移金属のペルオキソ錯体の例としては、遷移金属である鉄、マンガン、バナジウムまたはモリブデンのペルオキソ錯体およびこれらのペルオキソ錯体の任意の組合わせによる混合物を挙げることができる。このペルオキソ錯体は、2種または3種以上の遷移金属を含んでいてもよい。
無機酸とペルオキソ化合物との混合物の例としては、硫酸とペルオキソ二硫酸カリウムとの混合物を挙げることができ、また、ルイス酸とペルオキソ化合物との混合物の例としては、三フッ化ホウ素と過酸化水素との混合物を挙げることができる。
有機過酸の例としては、過蟻酸、過酢酸、トリフルオロ過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸、モノ過フタル酸マグネシウムおよびこれらの任意の組合わせによる混合物を挙げることができる。
無機過酸の例としては、過硫酸、過炭酸、過モノ燐酸およびこれらの混合物を挙げることができる。
なお、上述の酸化剤は、純粋な形態または各種の酸化剤の混合物の形態のいずれの形態で用いてもよいが、純粋な形態で用いるのが好ましい。
この工程において用いられる酸化剤の必要量、特に、アシル基含有環状ホスホニトリル置換体のアシル基に対する酸化剤の当量は、アシル基含有環状ホスホニトリル置換体と酸化剤との反応性に依存するが、通常は、アシル基含有環状ホスホニトリル置換体のアセチル基に対する酸化剤の当量を1〜10の範囲に設定するのが好ましく、1.05〜1.5の範囲に設定するのがより好ましく、1.1〜1.3の範囲に設定するのが特に好ましい。
この工程は、無溶媒で実施してもよいし、溶媒を使用して実施してもよい。溶媒を使用する場合、溶媒の種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン化炭化水素系化合物(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンまたは1,1,2,2−テトラクロロエタン)、パラフィン系化合物(例えば、ヘキサン、ペンタンまたはリグロイン)、エーテル系化合物(例えば、ジエチルエーテル)、酸アミド系化合物(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、ニトリル系化合物(例えば、アセトニトリル)、二硫化炭素、ニトロ脂肪族化合物(例えば、ニトロメタン)若しくはニトロ芳香族化合物(例えば、ニトロベンゼン)またはこれらの溶媒の混合物を使用することができる。このうち、ハロゲン化炭化水素系化合物を用いるのが好ましい。
次に、工程2において得たアシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を脱アシル化し、アシルオキシ基をヒドロキシ基に変換する(工程3)。これにより、目的の式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物が得られる。
この工程での脱アシル化は、無溶媒で実施してもよいし、溶媒を使用して実施してもよい。溶媒を使用する場合、溶媒の種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されるものではないが、通常は工程2において使用可能なものと同様のものを用いることができる。
この工程での脱アシル化は、酸性またはアルカリ性条件下で実施するか、或いは、酵素を用いて実施するのが好ましい。これらの脱アシル化の方法は公知であり、その条件は公知の方法に基づいて適宜設定することが出来る。例えば、酸性またはアルカリ性条件下で加水分解することで脱アシル化する場合は、有機溶媒(例えば、エタノール、THFまたはジオキサン等)中において、酸(例えば、鉱酸や有機酸等)またはアルカリ(例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物または炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等)の水溶液を用いて−10〜90℃で行うことができる。一方、酵素を用いて加水分解することで脱アシル化する場合は、有機溶媒(例えば、エタノールやジメチルスルフォキシド等)と水との混合溶液中において、エステル分解酵素(例えば、エステラーゼやリパーゼ等)を用いて0〜50℃で行うことができる。この際、有機溶媒と水との混合溶液に緩衝液を存在させてもよい。
工程3は、工程2で得られたアシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を反応液から単離し、それに対して適用することで実施することができるが、工程2で得られたアシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を含む反応液に対してそのまま適用することで実施することもできる。
なお、工程2で得られたアシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体を反応液から単離する方法および工程3で得られた式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物を反応液から単離する方法としては、濾過、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーおよび再結晶等の通常の分離方法を採用することができる。また、工程2で得られたアシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体および工程3で得られた式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物は、同様の方法で精製することができる。
工程2、3における反応条件は、工程2で酸化するアシル基含有環状ホスホニトリル置換体の種類、酸化剤の種類および使用量、反応溶媒の有無および目的とする式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物の物性や用途等に応じて広い範囲から適宜選択することができる。
因みに、工程2におけるアシル基含有環状ホスホニトリル置換体の酸化および工程3におけるアシルオキシ基含有環状ホスホニトリル置換体の加水分解は、各種の文献、特に、下記の文献22〜24記載の方法を参照して実施することができる。
文献22
HASSALL,C.H.著,IN: ADAMS,R.(ED.),ORGANIC REACTIONS,WEILY社,NEW YORK,1957年刊,VOL.9,73−106.
文献23
KROW,G.R.著,IN: PAQUETTE,L.A.(ED.),ORGANIC REACTIONS,WEILY社,NEW YORK,1993年刊,VOL.43,251−798.
文献24
KYTE,B.G.,ROUVIERE,P.,CHENG,Q.,STEWART,J.D.,J.ORG.CHEM.,2004年刊,VOL.69(1),12−17.
式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物は、上述の製造方法により製造することができるが、他の方法で製造することもできる。例えば、保護基を脱離させることでヒドロキシ基となる部位を有する所定構造の置換環状ホスファゼン化合物から、その保護基を脱離することで製造することもできる。より具体的には、式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物のヒドロキシ基が保護基により保護された化合物に相当するものを合成し、この化合物から保護基を脱離させることで目的の式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物を製造することもできる。
ここで、ヒドロキシ基の保護基としては、例えば、メチル基、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、2−メトキシエトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、1−エトキシエチル基、tert−ブチル基、アリル基、ベンジル基、o−ニトロベンジル基、トリフェニルメチル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基およびトリイソプロピルシリル基等を挙げることができる。これらの保護基のうち、メチル基、メトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基、tert−ブチル基、アリル基、ベンジル基およびtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、メチル基、メトキシメチル基、tert−ブチル基、アリル基およびベンジル基が特に好ましい。
これらの保護基を脱離させるための方法は、多数の公知文献に記載されており、保護基の種類および保護基の安定性等に応じて各種の脱保護反応から選択することができる。例えば、保護基がメチル基の場合、環状ホスホニトリル置換体を三フッ化ホウ素、ヨウ化トリメチルシラン若しくはピリジン塩酸塩と反応させるのが好ましい。また、保護基がtert−ブチル基の場合、環状ホスホニトリル置換体をトリフルオロ酢酸、臭化水素若しくはヨウ化トリメチルシランと反応させるのが好ましい。さらに、保護基がベンジル基の場合、環状ホスホニトリル置換体を水素/Pd−C、金属ナトリウム/アンモニア、ヨウ化トリメチルシラン、水素化リチウムアルミニウム、三臭化ホウ素若しくは三フッ化ホウ素と反応させるのが好ましい。
このような保護基の脱離により得られる、目的とする式(4)置換基含有環状ホスファゼン化合物は、濾過、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィーおよび再結晶等の通常の分離精製方法により、反応系から単離精製することができる。
ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物において、水酸基当量(1当量の水酸基を含む環状ホスファゼン化合物の質量g)は、100〜5,000g/eq.が好ましく、130〜1,000g/eq.がより好ましい。水酸基当量が100g/eq.未満の場合は、高温信頼性(耐水性)の良好な樹脂成形体が得られにくくなる可能性がある。逆に、5,000g/eq.を超える場合は、耐熱性(ガラス転移温度)の良好な樹脂成形体が得られにくくなる可能性がある。
上述の多官能性グリシジル化合物とヒドロキシ基を有する環状ホスファゼン化合物との反応において、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物の使用量は、通常、そのヒドロキシ基が、多官能性グリシジル化合物中のエポキシ基に対し、10〜60当量%になるよう設定するのが好ましく、15〜50当量%になるよう設定するのがより好ましい。10当量%未満の場合は、難燃性の良好な樹脂成形体が得られにくくなる可能性がある。逆に、60当量%を超える場合、エポキシ化合物組成物は、エポキシ当量が大きくなって溶融粘度が高くなるため、流動性が低下し、取扱いが困難になる可能性がある。
因みに、本発明のエポキシ化合物組成物におけるエポキシ当量は、多官能性グリシジル化合物とヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物との使用量を上記範囲において調整することで、既述の好ましい範囲に設定することができる。
多官能性グリシジル化合物とヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物との反応は、これら自体では反応が遅いために高温で反応させる必要があり、その結果、反応を制御するのが困難になることから、触媒を用いるのが好ましい。触媒を用いることで、多官能性グリシジル化合物のエポキシ基とヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物のヒドロキシ基とを比較的低温で速やかに反応させることができるようになるため、反応を制御しやすくなり、目的のエポキシ化合物組成物を容易に製造することができる。
ここで用いられる触媒は、例えば、第四級アンモニウム塩類、第四級ホスホニウム塩類およびこれらの混合物である。第四級アンモニウム塩類としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライドおよびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等を例示することができる。これらは二種以上のものが併用されてもよい。また、第四級ホスホニウム塩類としては、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライドおよびトリオクチルエチルホスホニウムブロマイド等を例示することができる。これらは二種以上のものが併用されてもよい。また、触媒は、第四級アンモニウム塩類と第四級ホスホニウム塩類四級ホスホニウム塩とを併用したものであってもよい。
触媒は、通常、多官能性グリシジル化合物の0.01〜10重量%の範囲で使用するのが好ましく、0.1〜5重量%の範囲で使用するのがより好ましい。
多官能性グリシジル化合物とヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物との反応においては、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物とは別の他のヒドロキシ基を有する化合物を併用することもできる。このようなヒドロキシ基を有する他の化合物を用いることで、後述する樹脂成形体の耐熱性(ガラス転移温度)および難燃性を調整することができる。
ヒドロキシ基を有する他の化合物としては、例えば、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、ビスフェノール−AD、ビスフェノール−S、テトラメチルビスフェノール−A、テトラメチルビスフェノール−F、テトラメチルビスフェノール−AD、テトラメチルビスフェノール−S、ビフェノールおよびジヒドロキシナフタレン等の2価フェノール類、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよび4,4−[1−〔4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン]ビスフェノール等のトリス(ヒドロキシフェニル)アルカン類が挙げられる。ヒドロキシ基を有するこれらの化合物は、二種以上のものを併用することもできる。
ヒドロキシ基を有する他の化合物を使用する場合、その使用量は、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物に対して300当量%以下に設定するのが好ましく、100当量%以下に設定するのがより好ましい。この使用量が300当量%を超える場合は、難燃性の良好な樹脂成形体が得られにくくなる可能性がある。
多官能性グリシジル化合物とヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物との反応は、無溶剤で行うこともできるし、適当な溶剤の存在下で行うこともできる。反応時に触媒を用いる場合は、前者においても、当該触媒を適用な溶剤で希釈して用いることができる。ここで用いる溶剤は、トルエン、キシレン、メチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン(THF)、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドおよびN,N−ジメチルアセトアミド等の活性水素を含まない溶剤が好ましい。
また、反応温度は、通常、80〜220℃に設定するのが好ましく、100〜200℃に設定するのがより好ましい。反応温度がこの温度範囲外のときは、触媒の活性が高まりにくくなるため、反応が遅くなったり、反応の制御が困難になったりする可能性がある。
多官能性グリシジル化合物とヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物との反応では、多官能性グリシジル化合物を加熱して乾燥空気や窒素を吹き込み、多官能性グリシジル化合物中の水分を極力除去した後、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物および触媒を投入するのが好ましい。ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物および触媒の投入は、同時に一括して行ってもよいが、反応の進行を効果的に制御するために、それぞれ別々に若しくは同時に、数回に分けて(すなわち断続的に)または連続的に徐々に投入するのが好ましい。連続的に投入する場合、その投入時間は、1〜10時間に設定するのが好ましく、2〜5時間に設定するのがより好ましい。
上述の反応は、多官能性グリシジル化合物中のエポキシ基の10〜60当量%、好ましくは15〜50当量%がヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物と反応するよう制御するのが好ましい。エポキシ基の10当量%未満しか反応しない場合は、得られるエポキシ化合物組成物から高い耐熱性と難燃性とを兼ね備えた樹脂成形体を得るのが困難になる可能性がある。逆に、60当量%を超えると、得られるエポキシ化合物組成物を用いて満足な高温信頼性を有する樹脂成形体を形成するのが困難になる可能性がある。多官能性グリシジル化合物中のエポキシ基のうち、ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物のヒドロキシ基との反応に関与するものの割合は、通常、赤外分光法や核磁気共鳴分光法等の機器分析で定量する方法などにより確認することができる。
エポキシ化合物組成物の利用法
本発明のエポキシ化合物組成物は、樹脂成形体を製造するための材料として用いることができる。ここで、本発明のエポキシ化合物組成物は、それを単独で所望の形状に硬化させることで樹脂成形体を形成することができるが、樹脂成形体に所望の特性を付与するために、他の樹脂成分と混合して硬化させることで樹脂成形体を形成することもできる。以下、本発明のエポキシ化合物組成物および当該組成物と他のエポキシ樹脂とを混合した組成物を纏めて「樹脂成形体用組成物」という場合がある。
エポキシ化合物組成物と混合可能な樹脂成分は、各種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂である。これらの樹脂成分は、天然のものであってもよいし、合成のものであってもよい。使用可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンエーテルの一部または全部にカルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、無水ジカルボキシル基などの反応性官能基をグラフト反応や共重合などの方法により導入した変性ポリフェニレンエーテル、脂肪族系ポリアミドおよび芳香族系ポリアミドなどを挙げることができる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリウレタン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド−シアン酸エステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド系樹脂、ポリカルボジイミド樹脂およびエポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの各種樹脂成分は、必要に応じて二種以上のものを併用することもできる。
本発明のエポキシ化合物組成物を他の樹脂成分と混合して調製した樹脂成形体用組成物において、本発明のエポキシ化合物組成物の使用量は、混合する樹脂成分の種類やその用途(樹脂成形体の用途)等の各種条件に応じて適宜設定することができるが、通常、固形分換算での他の樹脂成分100重量部に対して0.1〜200重量部に設定するのが好ましく、0.5〜100重量部に設定するのがより好ましく、1〜50重量部に設定するのがさらに好ましい。本発明のエポキシ化合物組成物の使用量が0.1重量部未満の場合は、樹脂成形体用組成物を用いて形成した樹脂成形体が十分な難燃性を示さない可能性がある。逆に、200重量部を超えると、得られる樹脂成形体において、混合した樹脂成分により期待することができる特性が得られにくくなる可能性がある。
樹脂成形体用組成物を硬化させるためには、硬化剤や硬化促進剤を用いることができる。ここで使用可能な硬化剤は、樹脂成形体用組成物の硬化形態に応じて選択することができる。
例えば、エポキシ基を用いた硬化形態の場合、硬化剤としては、エチレンジアミン、トリエチレンペンタミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、ダイマー酸変性エチレンジアミン、N−エチルアミノピペラジン等の脂肪族アミン類、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェノルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェノルエーテル等の芳香族アミン類、メルカプトプロピオン酸エステルやエポキシ樹脂の末端メルカプト化合物等のメルカプタン類、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、ビスフェノール−AD、ビスフェノール−S、テトラメチルビスフェノール−A、テトラメチルビスフェノール−F、テトラメチルビスフェノール−AD、テトラメチルビスフェノール−S、テトラブロモビスフェノール−A、テトラクロロビスフェノール−A、テトラフルオロビスフェノール−Aおよび4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノールなどのビスフェノール類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノール−Aノボラック、臭素化フェノールノボラックおよび臭素化ビスフェノール−Aノボラック等のフェノール樹脂類、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、水酸基を有するホスファゼン化合物類、ポリアゼライン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸および無水ピロメリット酸等の酸無水物類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールおよび2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジン類、ジメチルベンジルアミンおよび1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)等の第三級アミン類、三フッ化ホウ素等のルイス酸およびそれらの塩類、トリフェニルホスフィン化合物並びにジシアンジアミド等が挙げられる。これらは、二種以上のものが併用されてもよい。
エポキシ基の変性により組み込まれた架橋性基や、変性により生成した第二級ヒドロキシ基を用いた硬化形態の場合は、硬化剤として、メラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物およびブロックイソシアネート化合物等が用いられる。メラミン樹脂としては、例えば、ヘキサメトキシメチロールメラミン、メチル・ブチル化メラミン、ブチル化メラミン等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4(または2,4,4)−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートおよびノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネート並びにこれらのジイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートが挙げられる。
ジイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネートおよびアロファネート型ポリイソシアネート等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は二種以上のものが併用されてもよい。ブロックイソシアネート化合物としては、例えば、上述のジイソシアネートやポリイソシアネート化合物をブロック剤でブロックした化合物が用いられる。このブロックイソシアネート化合物を調製するためのブロック剤としては、例えば、アルコール類、フェノール類、オキシム類、ラクタム類および活性メチレン類等が挙げられる。これらのブロック剤は、二種以上のものが併用されても良い。
さらに、エポキシ基とシアナト基との反応を用いた硬化形態の場合は、硬化剤として、シアン酸エステル化合物を用いることができる。シアン酸エステル化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)ブタン、ノボラック樹脂およびハロゲン化シアンの反応により得られるもの並びにシアナト基を有するホスファゼン化合物を挙げることができる。シアン酸エステル化合物は、二種以上のものが併用されても良い。
硬化剤の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、樹脂成形体用組成物に対し、0.1〜90重量%に設定するのが好ましく、0.1〜50重量%に設定するのがより好ましい。
また、硬化剤としては、エポキシ化合物を用いることもできる。この場合に使用可能なエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、グリシジルエーテル類、グリシジルエステル類、グリシジルアミン類、脂肪族エポキシド類および脂環式エポキシド類およびトリグリシジルイソシアヌレートを挙げることができる。
グリシジルエーテル類としては、例えば、フェノールのグリシジルエーテル類、ノボラックのポリグリシジルエーテル類およびアルキルグリシジルエーテル類等が挙げられる。フェノールのグリシジルエーテル類の具体例としては、例えば、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、ビスフェノール−AD、ビスフェノール−S、テトラメチルビスフェノール−A、テトラメチルビスフェノール−F、テトラメチルビスフェノール−AD、テトラメチルビスフェノール−S、ビフェノールおよびジヒドロキシナフタレン等の2価フェノール類をグリシジル化した化合物を挙げることができるが、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよび4,4−[1−〔4−〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕フェニル〕エチリデン]ビスフェノール等のトリス(グリシジルオキシフェニル)アルカン類やアミノフェノール等をグリシジル化した化合物も挙げることができる。ノボラックのポリグリシジルエーテル類としては、例えば、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、ビフェニルノボラック、ビスフェノール−Aノボラックおよびナフトールノボラック等のノボラックをグリシジル化した化合物が挙げられる。アルキルグリシジルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテルおよびネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
グリシジルエステル類としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステルやダイマー酸のジグリシジルエステル等が挙げられる。グリシジルアミン類としては、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−パラ−アミノフェノールおよびトリグリシジル−メタ−アミノフェノール等が挙げられる。脂肪族エポキシド類としては、例えば、エポキシ化ポリブタジエンおよびエポキシ化大豆油等が挙げられる。脂環式エポキシド類としては、例えば、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレートおよび3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物は、二種以上のものを併用することもできる。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、有機リン化合物(ホスフィン類)、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩、アミノトリアゾール類および錫系や亜鉛系等の金属触媒類などが使用される。また、第二級アミノ基をアクリロニトリル、イソシアネート、メラミンまたはアクリレートなどでマスク化して潜在性を持たしたイミダゾール化合物を用いることもできる。ここで用いられるイミダゾール化合物は、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾリン、2−ウンデシルイミダゾリンおよび2−フェニル−4−メチルイミダゾリンなどである。硬化促進剤は、二種以上のものが併用されてもよい。
硬化促進剤の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、樹脂成形体用組成物の100重量部に対し、0.01〜5重量部に設定するのが好ましい。この使用量が0.01重量部未満の場合は硬化促進剤を用いることによる効果が得られにくく、逆に、5重量部を超える場合は硬化促進剤を添加した樹脂成形体用組成物の保存性が悪化する可能性がある。
樹脂成形体用組成物は、必要に応じて公知の反応性希釈剤が配合されていてもよい。利用可能な反応性希釈剤は、特に限定されるものではないが、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルおよびアリルグリシジルエーテル等の脂肪族アルキルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートおよび第三級カルボン酸グリシジルエステル等のアルキルグリシジルエステル、スチレンオキサイド並びにフェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、パラ−s−ブチルフェニルグリシジルエーテルおよびノニルフェニルグリシジルエーテル等の芳香族アルキルグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらの反応性希釈剤は、二種以上のものが併用されてもよい。
また、樹脂成形体用組成物は、必要に応じ、溶剤を含んでもよい。使用可能な溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリットおよびナフサ等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブチルセロソルブおよびブチルカルビトール等のアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミドやN,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類並びに水などであり、目的および用途に応じて適宜選択して使用することが出来る。また、溶剤は、二種以上のものを併用することもできる。
樹脂成形体用組成物は、樹脂成分の種類や用途等に応じ、目的とする物性を損なわない範囲で、樹脂成形体の製造用材料において常用される各種の充填剤や添加剤等を配合することもできる。
使用可能な充填剤は、公知の各種のものであり、例えば、粘土、クレー、カオリン、ベントナイト、長石およびマイカ等のケイ酸アルミナ、タルクおよび滑石等のケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム(ワラストナイト)、軽石粉等のケイ酸塩、天然シリカ、焼成シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、ホワイトカーボン、アエロジル、ケイ砂、石英粉およびケイ藻土等の無水ケイ酸若しくはケイ酸、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデンおよび酸化亜鉛等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウムおよび炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸バリウムおよび硫酸マグネシウム等の硫酸塩、チタン酸カリウムおよびチタン酸バリウム等のチタン酸塩、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、カーボンブラックおよびグラファイト等の炭素類、ホウ酸亜鉛およびモリブデン酸亜鉛等の亜鉛化合物、ガラスバルーン、シラスバルーンおよびフェノールバルーン等の無機若しくは有機のバルーン、ガラス繊維、ガラス布およびガラス微粉末等のガラス類、並びに、アルミナシリカ繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、炭素繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、液晶繊維およびPBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)繊維等の繊維類を例示することができる。充填材は、二種以上のものを併用することもできる。
また、使用可能な添加剤としては、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系およびベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系およびヒドラジド系等の酸化防止剤、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、リン酸アミド、リン酸アミドエステル、リン酸アンモニウムおよび赤リンなどのリン系、メラミン、メラミンシアヌレート、メラム、メレム、メロンおよびサクシノグアナミン等の窒素系、シリコーン系、臭素系並びに塩素化パラフィンなどの難燃剤、三酸化アンチモン等の難燃助剤、シラン系やチタン系等のカップリング剤、染料、顔料、着色剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、重合禁止剤、ハジキ防止剤、消泡剤、離型剤並びに帯電防止剤等を例示することができる。添加剤は、二種以上のものを併用することもできる。
樹脂成形体用組成物を硬化させて得られる硬化物、すなわち樹脂成形体は、実質的に、本発明のエポキシ化合物組成物に由来のホスファゼン環を有する重合体からなるため、耐熱性(高いガラス転移温度)および高温信頼性(耐水性)に優れ、同時に難燃性においても優れている。このため、樹脂成形体用組成物は、各種の分野において用いられる樹脂成形体の製造用材料として、広く用いることができる。
例えば、樹脂成形体用組成物は、粉体塗料、電着塗料、PCM(プレコートメタル用)塗料等の塗料、接着剤、シーリング材、成型材料、複合材料、積層板および封止材等の材料として好適に使用される。特に、樹脂成形体用組成物は、電気・電子部品の製造用材料として好適であり、この組成物を用いて形成された半導体封止用材料や回路基板(特に、金属張り積層板、プリント配線板用基板、プリント配線板用接着剤、プリント配線板用接着剤シート、プリント配線板用絶縁性回路保護膜、プリント配線板用導電ペースト、多層プリント配線板用封止剤、層間絶縁材料、絶縁性接着材料、回路保護剤、カバーレイフィルムおよびカバーインクなど)を用いた電子部品は、耐熱性、機械特性、高温信頼性および難燃性に優れ、安定な作動を期待することができる。
樹脂成形体用組成物を電気・電子分野用の材料、特に、LSI等の電子部品の封止剤や基板等に用いる場合、本発明のエポキシ化合物組成物と混合する樹脂成分としては、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、ポリイミド樹脂または変性ポリフェニレンエーテル樹脂を選択するのが好ましい。
以下に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下において、「unit mol」の「unit」は、環状ホスファゼン化合物の最小構成単位、例えば、一般式(1)については(PNA)を意味する。また、以下においては、特に断りがない限り、「%」および「部」とあるのは、それぞれ「重量%」および「重量部」を意味する。
以下の合成例で得られた環状ホスファゼン化合物および実施例等で得られたエポキシ化合物組成物等は、H−NMRスペクトルおよび31P−NMRスペクトルの測定、CHNP元素分析、IRスペクトルの測定、アルカリ溶融後の硝酸銀を用いた電位差滴定法による塩素元素(残留塩素)の分析、マイクロウエーブ湿式分解後のICP−AESによるリン元素の分析並びにTOF−MS分析の結果に基づいて同定した。また、ヒドロキシ基を有する環状ホスファゼン化合物の水酸基当量は、JIS K 0070−1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」において規定された水酸基価測定方法の中和滴定法に従って水酸基価(mgKOH/g)を測定し、その値を水酸基当量(g/eq.)に変換した。
また、実施例および比較例において得られた組成物のエポキシ当量は、JIS K−7236「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」において規定された方法に従い、1当量のエポキシ基を含む組成物の質量g(g/eq.)を測定したものである。
合成例1(形態2に係るヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
[工程1:置換シクロトリホスファゼンの製造工程]
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた5リットルの反応器中にトルエン3,550mL、98%フェノール591g(6.2mol)および44%NaOH水溶液549gを仕込んだ。これを窒素雰囲気下で還流加熱し、共沸脱水により反応器内の水分を除去(回収水:約470mL)した後、常圧濃縮(留出トルエン:1,056g)してフェノールのナトリウム塩を調製した。このスラリー溶液を25℃に冷却し、テトラヒドロフラン(THF)1,400gを仕込んで均一溶液とした。
一方、撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた10リットルの反応器中にヘキサクロロシクロトリホスファゼンのトルエン溶液〔ヘキサクロロシクロトリホスファゼン700g(6.0unit mol)、トルエン3,516g〕を仕込んだ。そして、上記フェノールのナトリウム塩溶液を撹拌下5℃で6時間かけて滴下し、25℃で撹拌反応を2時間行ってフェノキシ部分置換クロロシクロトリホスファゼンを得た。
続いて、撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた20リットルの反応器中にトルエン6,600mL、99%p−メトキシフェノール978g(7.8mol)、85%KOH470gおよび水560mLを仕込んだ。これを窒素雰囲気下で還流加熱し、共沸脱水により反応器内の水分を除去(回収水:約760mL)した後、常圧濃縮(留出トルエン:1,577g)してメトキシフェノールのカリウム塩を調製した。この反応液に上記フェノキシ部分置換クロロシクロトリホスファゼンを添加し、常圧濃縮(留出トルエン:3,223g)して還流下(110℃)で撹拌反応を12時間行った。反応終了後、2%NaOH水溶液3,000mLを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を5%NaOH水溶液で洗浄し、更に水で洗浄した後、塩酸でpHを4に調整し、トルエン層を分液して濃縮したところ、淡黄色の生成物1,532g(収率:97%)が得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 3.8(9H),フェニルC−H 6.6〜6.7(6H),6.8〜6.9(6H),6.9〜7.0(6H),7.1〜7.3(9H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.5
◎TOF−MS(m/z)
755,785,815
◎残存塩素分析:
<0.01%
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[N(OCOCH(OC]、[N(OCOCH(OC]および[N(OCOCH(OC]の混合物であり、その平均組成が[NP(OCOCH1.01(OC0.99であることを確認した。
[工程2:脱保護基工程]
撹拌機、温度計、還流冷却管、および窒素導入管を備えた5リットルの反応器中に上記生成物1,422g(5.4unit mol)、トルエン1,200mLおよびピリジン510g(6.4mol)を仕込んだ。これにHClガス300g(8.2mol)を吹き込んだ後、加熱濃縮(留出トルエン:1,373g)し、200℃で撹拌反応を8時間行った。反応終了後冷却し、メチルイソブチルケトン(MIBK)4,000mLおよび1M塩酸2,000mLを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を1M塩酸で洗浄した後に水で洗浄し、NaOH水溶液でpHを6に調整してから分液して有機層をさらに水で洗浄して濃縮したところ、ガラス状の生成物1,319g(収率:98%)が得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
フェニルC−H 6.6〜7.3(27H),−OH 8.3〜8.4(3H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.7
◎水酸基当量:
244g/eq.(理論値245g/eq.)
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[N(OCOH)(OC]、[N(OCOH)(OC]および[N(OCOH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[NP(OCOH)1.01(OC0.99であることを確認した。
合成例2(形態2に係るヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
[工程1:置換シクロトリホスファゼンの製造]
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中に48%NaOH水溶液41.7g(0.50mol)、トルエン1,200mLおよび4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノール170.2g(0.50mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去(回収水:約30mL)し、4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノールのナトリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF600mLを仕込んで均一溶液とした。
一方、撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコ中に48%KOH水溶液87.7g(0.75mol)、トルエン550mLおよびフェノール70.6g(0.75mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去(回収水:約58mL)し、フェノールのカリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF200mLを仕込んで均一溶液とした。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた5リットルのフラスコ中にヘキサクロロシクロトリホスファゼンのTHF溶液〔ヘキサクロロシクロトリホスファゼン58.0g(0.50unit mol)、THF300mL〕を仕込んだ。これに上記4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノールのナトリウム塩溶液を撹拌下5℃で6時間かけて滴下し、25℃で撹拌反応を4時間行った。続いて、この反応液に上記フェノールのカリウム塩溶液を撹拌下、25℃で1時間かけて滴下し、還流下(103℃)で撹拌反応を2時間行った。反応終了後、反応液を約1,000mLまで濃縮し、トルエン200mLと水400mLとを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を5%NaOH水溶液で2回洗浄した後に2%硫酸で中和し、更に水で3回洗浄してからトルエンを留去したところ、淡黄色固体の生成物201.1g(収率:87%)が得られた。この生成物はガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH− 5.1(2H),フェニルC−H 6.7〜7.0(4H),7.0〜7.2(5H),7.3〜7.4(5H),7.6〜7.9(4H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:62.9%,H:4.2%,N:3.0%,P:6.7%
実測値 C:62.9%,H:4.2%,N:3.1%,P:6.9%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
1187,1434,1680
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[N(OC−SO−COCH(OC]、[N(OC−SO−COCH(OC]および[N(OC−SO−COCH(OC]の混合物であり、その平均組成が[NP(OC−SO−COCH0.95(OC1.05であることを確認した。
[工程2:脱保護基工程]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に工程1で得られた生成物139.5g(0.30unit mol)とトルエン800mLとを仕込み、窒素雰囲気下で三臭化ホウ素26.9mL(0.29mol)を5〜10℃で4時間かけて滴下した後、25〜30℃で12時間撹拌熟成した。反応後、反応液を水800mLに添加し、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を水で3回洗浄した後にトルエンを留去したところ、茶色固体の生成物105.9g(収率:93%)が得られた。この生成物はガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
フェニルC−H 6.8〜7.3(9H),7.7〜7.9(4H),−OH 9.5(1H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.6
◎CHNP元素分析:
理論値 C:56.0%,H:3.4%,N:3.7%,P:8.2%
実測値 C:55.7%,H:3.7%,N:3.8%,P:8.4%
◎水酸基当量:
378g/eq.(理論値380g/eq.)
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[N(OC−SO−COH)(OC]、[N(OC−SO−COH)(OC]および[N(OC−SO−COH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[NP(OC−SO−COH)0.95(OC1.05であることを確認した。
合成例3(形態1に係るヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
[工程1:置換シクロホスファゼンの製造]
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中に48%KOH水溶液152.0g(1.30mol)、トルエン2,000mLおよび4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノール442.5g(1.30mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去(回収水:約102mL)し、4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノールのカリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF400mLを仕込んで均一溶液とした。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた5リットルのフラスコ中にクロロホスファゼンのTHF溶液〔ヘキサクロロシクロトリホスファゼン52.2g(0.45unit mol)、オクタクロロシクロテトラホスファゼン5.8g(0.05unit mol)、THF300mL〕を仕込み、上記4’−ベンジルオキシフェニルスルホニル−4−フェノールのカリウム塩溶液を撹拌下25℃で1時間かけて滴下した後、還流下(86℃)で8時間撹拌して反応を行った。反応終了後、反応液を約1,500mLまで濃縮し、トルエン500mLと水1,000mLとを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を5%NaOH水溶液で2回洗浄した後に2%硫酸で中和し、更に水で3回洗浄した後にトルエンを留去したところ、白色固体の生成物314.8g(収率:87%)が得られた。この生成物の融点(融解ピーク温度)は149℃であった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
−CH− 5.0(4H),フェニルC−H 6.8〜7.9(26H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.5,四量体(P=N) −12.4
◎CHNP元素分析:
理論値 C:63.1%,H:4.2%,N:1.9%,P:4.3%
実測値 C:62.8%,H:4.4%,N:2.1%,P:4.2%
◎残存塩素分析:
<0.01%
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[NP(OC−SO−COCHおよび[NP(OC−SO−COCHの混合物であることを確認した。
[工程2:脱保護基工程]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた2リットルのフラスコ中に工程1で得られた生成物217.1g(0.30unit mol)および酢酸800mLを仕込み、窒素雰囲気下で30%臭化水素酸/酢酸溶液323.6g(1.20mol)を5〜10℃で2時間かけて滴下した後、50℃で8時間撹拌熟成した。反応終了後、反応液を濃縮して過剰の臭化水素酸と酢酸とを留去し、残留物にメチルイソブチルケトン700mLと水600mLとを添加して溶解した後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を水で3回洗浄した後にメチルイソブチルケトンを留去したところ、白色固体の生成物145.1g(収率:89%)が得られた。この生成物はガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
フェニルC−H 6.8〜7.9(16H),−OH 9.5(2H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.5,四量体(P=N) −12.4
◎CHNP元素分析:
理論値 C:53.0%,H:3.3%,N:2.6%,P:5.7%
実測値 C:52.8%,H:3.6%,N:2.5%,P:5.6%
◎水酸基当量:
274g/eq.(理論値272g/eq.)
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[NP(OC−SO−COH)および[NP(OC−SO−COH)の混合物であることを確認した。
合成例4(形態2に係るヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
[工程1:置換シクロトリホスファゼンの製造]
撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコ中に48%NaOH水溶液41.7g(0.50mol)、トルエン250mLおよびフェノール47.1g(0.50mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去(回収水:約29mL)し、フェノールのナトリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF200mLを仕込んで均一溶液とした。
一方、撹拌機、温度計、還流冷却管、水分離用受器および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中に48%KOH水溶液87.7g(0.75mol)、トルエン1,500mLおよび4’−ベンジルオキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノール238.8g(0.75mol)を仕込んだ。これを窒素雰囲気下で撹拌加熱して共沸脱水によりフラスコ内の水分を除去(回収水:約59mL)し、4’−ベンジルオキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノールのカリウム塩を調製した。このスラリー溶液を20℃に冷却し、THF500mLを仕込んで均一溶液とした。
次に、撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた5リットルのフラスコ中にヘキサクロロシクロトリホスファゼンのTHF溶液〔ヘキサクロロシクロトリホスファゼン58.0g(0.50unit mol)、THF500mL〕を仕込み、上記フェノールのナトリウム塩溶液を撹拌下5℃で6時間かけて滴下し、25℃で撹拌反応を2時間行った。続いて、この反応液に上記の4’−ベンジルオキシフェニルイソプロピリデン−4−フェノールのカリウム塩溶液を撹拌下25℃で1時間かけて滴下し、還流下(85℃)で撹拌反応を14時間行った。反応終了後、反応液を約1,000mLまで濃縮し、トルエン500mLと水1,000mLを加えて内容物を溶解させた後、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を5%NaOH水溶液で2回洗浄した後に2%硫酸で中和し、更に水で3回洗浄した後にトルエンを留去したところ、茶色固体の生成物221.9g(収率:96%)が得られた。この生成物はガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 1.6(6H),−CH− 5.0(2H),フェニルC−H 6.8〜6.9(5H),7.0〜7.1(8H),7.2〜7.4(5H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.9
◎CHNP元素分析:
理論値 C:74.0%,H:5.8%,N:3.0%,P:6.7%
実測値 C:74.2%,H:5.8%,N:2.9%,P:6.6%
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎TOF−MS(m/z):
1143,1368,1592
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[N(OC−C(CH−COCH(OC]、[N(OC−C(CH−COCH(OC]および[N(OC−C(CH−COCH(OC]の混合物であり、その平均組成が[NP(OC−C(CH−COCH1.03(OC0.97であることを確認した。
[工程2:脱保護基工程]
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた3リットルのフラスコ中に工程1で得られた生成物138.7g(0.30unit mol)、Pd/C(Degussa社製の商品名「E 101 NE/W」:10%Pd)3.8gおよびメタノール2,500mLを仕込み、水素雰囲気下50℃で5時間撹拌反応した。反応終了後、反応液を濾過してPd/Cを除去し、この濾液を濃縮してメタノールを留去した。そして、残留物にメチルイソブチルケトン1,000mLと水700mLとを添加して溶解し、分液ロートにて有機層を分液した。この有機層を水で3回洗浄し、メチルイソブチルケトンを留去したところ、茶色固体の生成物96.4g(収率:87%)が得られた。この生成物はガラス状固体のため明確な融点を示さなかった。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
−CH 1.7(6H),フェニルC−H 6.8〜6.9(4H),6.9〜7.2(5H),7.2〜7.3(4H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.0
◎CHNP元素分析:
理論値 C:69.2%,H:5.5%,N:3.8%,P:8.4%
実測値 C:69.3%,H:5.3%,N:3.8%,P:8.3%
◎水酸基当量:
371g/eq.(理論値369g/eq.)
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[NP(OC−C(CH−COH)1.03(OC0.97であることを確認した。
合成例5(形態2に係るヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
[工程1:上記方法B−cによるアセチル基含有環状ホスファゼン化合物の製造]
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを取り付けた5リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下でヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g,1.50unit mol)を仕込み、トルエン(2,000mL)を加えて溶解した。これにナトリウム4−アセチル−3−メチルフェノキシド(215.1g,1.25mol)のTHF(450mL)溶液を5時間かけて滴下した後、25℃にて24時間撹拌した。この反応液を予め調製したナトリウムフェノキシド(140.5g,2.65mol)のトルエン(1,250g)懸濁液に投入後、110℃にて3時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、5%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)を加えて分液ロートに移した。水層を分離後、トルエン層を5%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)で洗浄後、希硝酸にて中和して水洗した。トルエン層を減圧濃縮し、418.8g(収率:98.7%)の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.4(6H), 2.5(6H), 6.7〜7.5(26H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.2〜10.3
◎残存塩素分析:
<0.01%
以上の分析結果から、この工程で得た生成物は、[N(OC(CH)COCH)(OC]、[N(OC(CH)COCH(OC]および[N(OC(CH)COCH(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CH)COCH2.0(OC4.0]の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
[工程2:バイヤー−ビリガー酸化工程]
温度計、撹拌機および滴下ロートを取り付けた1リットルの4つ口フラスコに、工程1にて得られた化合物(187.8g,0.70unit mol)、トリフルオロ酢酸無水物(100mL)およびジクロロメタン(200mL)を仕込み、内温0℃以下で60%過酸化水素水(48.7g,0.86mol)を滴下した後、内温25℃にて3時間撹拌した。反応終了を確認後、反応混合物を分液ロートに移し、20%亜硫酸水素ナトリウム水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄した後、乾燥、濃縮して193.3g(収率98.9%)の褐色油状の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.2(6H), 2.4(6H), 6.8〜7.3(26H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.5〜10.4
以上の分析結果から、この工程で得た生成物は、[N(OC(CH)OCOCH)(OC]、[N(OC(CH)OCOCH(OC]および[N(OC(CH)OCOCH(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CH)OCOCH2.0(OC4.0]であることを確認した。
[工程3:脱アセチル化工程]
温度計および撹拌機を取り付けた1リットルの4つ口フラスコに、工程2で得られた化合物(167.5g,0.60unit mol)、メタノール(100mL)および48%水酸化ナトリウム水溶液(70.9g,0.86mol)を仕込み、室温にて4時間撹拌した。反応の終了を確認後、メタノールを留去して得られた濃縮残渣に脱イオン水(900mL)を加えて溶解し、30%硝酸にてpH6に調整した。この溶液を分液ロートに移してメチルイソブチルケトン(MIBK)にて抽出後、MIBK層を脱イオン水にて2回洗浄した。MIBK層を乾燥後に濃縮し、140.5g(収率93.2%)の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.1(6H), 6.5〜7.3(26H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.1〜10.3
◎CHNP元素分析:
理論値 C:60.6%,H:4.6%,N:5.6%,P:12.3%
実測値 C:60.5%,H:4.5%,N:5.7%,P:12.5%
◎TOF−MS(m/z):
724,754,784
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎水酸基当量:
375g/eq.(理論値377g/eq.)
以上の分析結果から、この生成物は、[N(OC(CH)OH)(OC]、[N(OC(CH)OH)(OC]および[N(OC(CH)OH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CH)OH)2.0(OC4.0]であることを確認した。
合成例6(形態2に係るヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
[工程1:上記方法B−cによるアセチル基含有環状ホスファゼン化合物の製造]
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを取り付けた3リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下で水素化ナトリウム(76.0g, 3.17mol)を仕込み、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g,1.50unit mol)のTHF(700mL)溶液を加えた。これを0℃に維持しながら、2−メチル−4−アセチルフェノール(150.2g,1.0mol)のTHF(200mL)溶液を1時間かけて滴下後、1時間撹拌した。この反応液にフェノール(207.0g,2.2mol)のTHF(200mL)溶液を1時間かけて滴下後、70℃にて6時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、トルエン(1,000mL)および5%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)を加えて分液ロートに移した。水層を分離後、トルエン層を5%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)で洗浄した。トルエン層を希硝酸にて中和後、水層を分離した。トルエン層を脱イオン水で洗浄後に減圧濃縮し、312.3g(収率:77.5%)の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.08(6H), 2.52(6H), 6.9〜7.8(26H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.1〜9.6
◎残存塩素分析:
<0.01%
以上の分析結果から、この生成物は、[N(OC(CH)COCH)(OC]、[N(OC(CH)COCH(OC]および[N(OC(CH)COCH(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CH)COCH2.0(OC4.0]の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
[工程2:バイヤー−ビリガー酸化工程]
温度計、撹拌機、還流冷却管および滴下ロートを取り付けた1リットルの4つ口フラスコに、工程1にて得られた化合物(188.0g,0.70unit mol)およびアセトニトリル(300mL)を仕込み、内温0℃以下で予め調製した2M過リン酸のアセトニトリル溶液(350mL,0.70mol)を滴下した。25℃で2時間撹拌後、トルエン(500mL)を加えて分液ロートに移し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水を用いてこの順序で洗浄後、乾燥、濃縮して184.5g(収率94.4%)の褐色油状の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.2(6H), 2.3(6H), 6.8〜7.3(26H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.6〜10.3
以上の分析結果から、この生成物は、[N(OC(CH)OCOCH)(OC]、[N(OC(CH)OCOCH(OC]および[N(OC(CH)OCOCH(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CH)OCOCH2.0(OC4.0]の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
[工程3:脱アセチル化工程]
温度計および撹拌機を取り付けた1リットルの4つ口フラスコに、工程2で得られた化合物(167.5g,0.60unit mol)、メタノール(200mL)および炭酸カリウム(55.3g,0.40mol)を仕込み、25℃で3時間撹拌した。溶媒を留去後、濃縮残渣に水(300mL)を加えて分液ロートに移した。水層からMIBKにて生成物を抽出後、MIBK層を脱イオン水にて2回洗浄した。MIBK層を乾燥、濃縮して149.1g(収率98.9%)の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.0(6H), 6.4〜7.4(26H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.0〜11.5
◎CHNP元素分析:
理論値 C:60.6%,H:4.6%,N:5.6%,P:12.3%
実測値 C:60.7%,H:4.5%,N:5.6%,P:12.4%
◎TOF−MS(m/z):
724,754,784
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎水酸基当量:
371g/eq.(理論値377g/eq.)
以上の分析結果から、この工程で得られた生成物は、[N(OC(CH)OH)(OC]、[N(OC(CH)OH)(OC]および[N(OC(CH)OH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CH)OH)2.0(OC4.0]であることを確認した。
合成例7(形態2に係るヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物の製造)
[工程1:上記方法B−dによるアセチル基含有環状ホスファゼン化合物の製造]
温度計、撹拌機、冷却管および滴下ロートを取り付けた3リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下で水素化ナトリウム(76.0g, 3.20mol)を仕込み、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン(173.8g,1.50unit mol)のTHF(700mL)溶液を加えた。これを0℃に維持しながら、フェノール(188.2g,2.00mol)のTHF(250mL)溶液を1時間かけて滴下した。反応混合物を1時間撹拌後、これに2,6−ジメチル−4−アセチルフェノール(180.6g,1.10mol)のTHF(250mL)溶液を1時間かけて滴下し、70℃にて6時間還流した。反応混合物を室温に冷却後、トルエン(1,150mL)および5%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)を加えて分液ロートに移した。水層を分離後、トルエン層を5%水酸化ナトリウム水溶液(500mL)にて洗浄した。トルエン層を希硝酸にて中和後、水洗した。トルエン層を減圧濃縮し、388.6g(収率:94.0%)の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.04(12H), 2.49(6H),6.9〜7.8(24H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.3〜9.7
◎残存塩素分析:
<0.01%
以上の分析結果から、この生成物は、[N(OC(CHCOCH)(OC]、[N(OC(CHCOCH(OC]および[N(OC(CHCOCH(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CHCOCH1.9(OC4.1]の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
[工程2:バイヤー−ビリガー酸化工程]
温度計、撹拌機、還流冷却管および滴下ロートを取り付けた1リットルの4つ口フラスコに、工程1にて得られた化合物(192.9g,0.70unit mol)およびクロロホルム(300mL)を仕込み、内温0℃以下でm−クロロ過安息香酸(207.1g,1.20mol)を分割投入した。反応液を2時間還流撹拌後、分液ロートに移して20%亜硫酸水素ナトリウム水溶液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和食塩水にて洗浄した。クロロホルム層を乾燥後、減圧濃縮して185.0g(収率92.5%)の褐色油状の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.2(6H), 2.3(12H)6.8〜7.3(24H)
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.4〜10.6
以上の分析結果から、この生成物は、[N(OC(CHOCOCH)(OC]、[N(OC(CHOCOCH(OC]および[N(OC(CHOCOCH(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CHOCOCH1.9(OC4.1]の環状ホスファゼン化合物であることを確認した。
[工程3:脱アセチル化工程]
温度計、撹拌機および還流冷却管を取り付けた3リットルの4つ口フラスコに、工程2で得られた化合物(171.4g,0.60unit mol)、アセトン(200mL)および3M塩酸(20mL)を仕込み、3時間還流撹拌した。アセトンを減圧留去後、濃縮残渣に飽和重炭酸ナトリウム水溶液(300mL)を加えて分液ロートに移した。水層から生成物をMIBKにて抽出後、MIBK層を脱イオン水にて2回洗浄した。MIBK層を乾燥、濃縮して151.9g(収率96.6%)の生成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
H−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
2.0(12H),6.4〜7.3(24H),8.2(2H)
31P−NMRスペクトル(重アセトン中、δ、ppm):
三量体(P=N) 9.2〜10.2
◎CHNP元素分析:
理論値 C:61.4%,H:4.9%,N:5.4%,P:11.9%
実測値 C:61.2%,H:4.8%,N:5.5%,P:11.7%
◎TOF−MS(m/z):
738,782,826
◎残存塩素分析:
<0.01%
◎水酸基当量:
373g/eq.(理論値374g/eq.)
以上の分析結果から、この生成物は、[N(OC(CHOH)(OC]、[N(OC(CHOH)(OC]および[N(OC(CHOH)(OC]の混合物であり、その平均組成が[N(OC(CHOH)2.1(OC3.9]であることを確認した。
合成例8(環状ホスファゼン化合物の製造)
PHOSPHORUS−NITROGEN COMPOUNDS,H.R.ALLCOCK著,1972年刊,151頁,ACADEMIC PRESS社(先に挙げた文献17)に記載されている方法に従い、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン81%とオクタクロロシクロテトラホスファゼン19%とのクロロシクロホスファゼン混合物を用いて[NP(OCと[NP(OCとの混合物(白色固体/融点:65〜112℃)を得た。
実施例1(エポキシ化合物組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた300ミリリットルのフラスコ中に合成例1で製造したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物(平均組成:[NP(OCOH)1.01(OC0.99)24.7g(0.10unit mol)、グリシジルエーテル類である2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン40.9g(0.12mol)およびトリフェニルホスフィン1.31g(0.005mol)を仕込み、140℃で撹拌反応を2時間行った。反応終了後、反応液を25℃まで冷却したところ、微黄色の粘稠物質66.8gが得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
◎IRスペクトル(KBr Pellet、cm−1):
ホスファゼン環(P=N) 1171,グリシジル基(エポキシC−O) 1243
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 1.6, グリシジル 2.7,2.9,3.3,4.0,4.2, エポキシ開環部位 4.2,4.4, フェニルC−H 6.6−7.2
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.5
◎エポキシ当量
479g/eq.(理論値 478g/eq.)
以上の分析結果およびGPC分析から、この生成物は、原料物質の[NP(OCOH)1.01(OC0.99を含まず、ホスファゼン環を有する多官能性エポキシ化合物と、過剰に用いた2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパンとからなる混合物であることを確認した。
実施例2(エポキシ化合物組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた300ミリリットルのフラスコ中に合成例1で製造したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物(平均組成:[NP(OCOH)1.01(OC0.99)24.7g(0.10unit mol)、グリシジルエーテル類である2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン68.1g(0.20mol)およびトリフェニルホスフィン2.6g(0.01mol)を仕込み、140℃で撹拌反応を2時間行った。反応終了後に反応液を25℃まで冷却したところ、微黄色の粘稠物質95.1gが得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
◎IRスペクトル(KBr Pellet、cm−1):
ホスファゼン環(P=N) 1172,グリシジル基(エポキシC−O) 1243
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 1.6, グリシジル 2.7,2.9,3.3,4.0,4.2, エポキシ開環部位 4.2,4.4, フェニルC−H 6.6−7.2
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.5
◎エポキシ当量
322g/eq.(理論値 318g/eq.)
以上の分析結果およびGPC分析から、この生成物は、原料物質の[NP(OCOH)1.01(OC0.99を含まず、ホスファゼン環を有する多官能性エポキシ化合物と、過剰に用いた2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパンとからなる混合物であることを確認した。
実施例3(エポキシ化合物組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた300ミリリットルのフラスコ中に合成例1で製造したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物(平均組成:[NP(OCOH)1.01(OC0.99)24.7g(0.10unit mol)、グリシジルエーテル類であるオルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテル(日本化薬株式会社の商品名「EOCN-104S」:エポキシ当量218g/eq.)43.6g(0.20eq.)およびトリフェニルホスフィン1.3g(0.005mol)を仕込み、130℃で撹拌反応を2時間行った。反応終了後に反応液を25℃まで冷却したところ、微黄色の粘稠物質69.3gが得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
◎IRスペクトル(KBr Pellet、cm−1):
ホスファゼン環(P=N) 1173,グリシジル基(エポキシC−O) 1241
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 1.6, グリシジル 2.7,2.9,3.3,4.0,4.2, エポキシ開環部位 4.2,4.4, フェニルC−H 6.6−7.2
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.5
◎エポキシ当量
703g/eq.(理論値 696g/eq.)
以上の分析結果およびGPC分析から、この生成物は、原料物質の[NP(OCOH)1.01(OC0.99を含まず、ホスファゼン環を有する多官能性エポキシ化合物と、過剰に用いたオルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテルとからなる混合物であることを確認した。
実施例4(エポキシ化合物組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた300ミリリットルのフラスコ中に合成例2で製造したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物(平均組成:[NP(OC−SO−COH)0.95(OC1.05)38.7g(0.10unit mol)、グリシジルエーテル類である2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン68.1g(0.20mol)およびトリフェニルホスフィン2.6g(0.01mol)を仕込み、140℃で撹拌反応を6時間行った。反応終了後に反応液を25℃まで冷却したところ、茶色固体の油状物109.3gが得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
◎IRスペクトル(KBr Pellet、cm−1):
ホスファゼン環(P=N) 1174,グリシジル基(エポキシC−O) 1241,スルホン(S=O) 1160,1312
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
グリシジル 2.7,2.9,3.3,4.0,4.2, エポキシ開環部位 4.2,4.4, フェニルC−H 7.2−7.9
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.9
◎エポキシ当量
368g/eq.(理論値 365g/eq.)
以上の分析結果およびGPC分析から、この生成物は、原料物質の[NP(OC−SO−COH)0.95(OC1.05を含まず、ホスファゼン環を有する多官能性エポキシ化合物と、過剰に用いた2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパンとからなる混合物であることを確認した。
実施例5(エポキシ化合物組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた300ミリリットルのフラスコ中に合成例3で製造したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物([NP(OC−SO−COH)と[NP(OC−SO−COH)との混合物)54.4g(0.10unit mol)、グリシジルエーテル類である2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン68.1g(0.20mol)およびトリフェニルホスフィン2.6g(0.01mol)を仕込み、130℃で撹拌反応を1時間行った。反応終了後に反応液を25℃まで冷却したところ、褐色の油状物124.8gが得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
◎IRスペクトル(KBr Pellet、cm−1):
ホスファゼン環(P=N) 1174,グリシジル基(エポキシC−O) 1241,スルホン(S=O) 1160,1312
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 1.6, グリシジル 2.7,2.9,3.3,4.0,4.2, エポキシ開環部位 4.2,4.4, フェニルC−H 7.2−7.9
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.3
◎エポキシ当量
633g/eq.(理論値 626g/eq.)
この分析結果および、GPC分析より、この生成物は、原料物質のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物([NP(OC−SO−COH)と[NP(OC−SO−COH)との混合物)を含まず、ホスファゼン環を有する多官能性エポキシ化合物と、過剰に用いた2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパンとからなる混合物であることを確認した。
実施例6(エポキシ化合物組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた300ミリリットルのフラスコ中に合成例4で製造したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物(推定構造:[NP(OC−C(CH−COH)1.03(OC0.97)36.9g(0.10unit mol)、グリシジルエーテル類である2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン68.1g(0.20mol)およびトリフェニルホスフィン2.6g(0.01mol)を仕込み、130℃で撹拌反応を1時間行った。反応終了後に反応液を25℃まで冷却したところ、褐色の油状物107.3gが得られた。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
◎IRスペクトル(KBr Pellet、cm−1):
ホスファゼン環(P=N) 1174,グリシジル基(エポキシC−O) 1241
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 1.6, グリシジル 2.7,2.9,3.3,4.0,4.2, エポキシ開環部位 4.2,4.4, フェニルC−H 6.6−7.2
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.3
◎エポキシ当量
361g/eq.(理論値359g/eq.)
この分析結果およびGPC分析より、この生成物は、原料物質のヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物[NP(OC−C(CH−COH)1.03(OC0.97を含まず、ホスファゼン環を有する多官能性エポキシ化合物と、過剰に用いた2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパンとからなる混合物であることを確認した。
実施例7(エポキシ化合物組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコ中に合成例5で製造したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物(平均組成:[N(OC(CH)OH)2.0(OC4.0]/水酸基当量:375g/eq.)100g、グリシジルエーテル類である2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン(エポキシ当量:160g/eq.)90g、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)2gおよびTHF200mLを仕込み、60℃で20時間撹拌反応を行った。GPC分析にて原料の消失を確認後、THFを減圧留去した。残渣をクロロホルム400mLに希釈して分液ロートに移し、1%硝酸200mLで洗浄した。クロロホルム層を脱イオン水で中性になるまで洗浄後、乾燥、減圧濃縮して190gのエポキシ化合物組成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
◎IRスペクトル(KBr Pellet、cm−1):
ホスファゼン環(P=N) 1,171,グリシジル基(エポキシC−O) 1,243
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.1,2.6,2.8,3.2,3.8−4.2,6.6−7.2
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.5
◎エポキシ当量:
706g/eq.(理論値 699g/eq.)
以上の分析結果およびGPC分析から、この生成物は原料物質の[N(OC(CH)OH)2.0(OC4.0]を含まず、ホスファゼン環を有する多官能性エポキシ化合物と、過剰に用いた2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)メタンとからなる混合物であることを確認した。
実施例8(エポキシ化合物組成物の製造)
温度計、撹拌機、還流冷却管および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコ中に合成例6で合成したヒドロキシ基を有する環状ホスファゼン化合物(平均組成:[N(OC(CH)OH)2.0(OC4.0]/水酸基当量:371g/eq.)100g、グリシジルエーテル類である2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン91g、DBU2gおよびTHF200mLを仕込み、60℃で24時間撹拌した。GPC分析にて原料の消失を確認後、THFを減圧留去した。残渣をクロロホルム400mLに希釈して分液ロートに移し、1%硝酸200mLで洗浄した。クロロホルム層を脱イオン水で中性になるまで洗浄後、乾燥、減圧濃縮し、191gのエポキシ化合物組成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
◎IRスペクトル(KBr Pellet、cm−1):
ホスファゼン環(P=N) 1,171,グリシジル基(エポキシC−O) 1,243
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.0,2.6,2.8,3.2,3.8−4.2,6.4−7.2
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.5
◎エポキシ当量
705g/eq.(理論値 699g/eq.)
以上の分析結果およびGPC分析から、この生成物は、原料物質の[N(OC(CH)OH)2.0(OC4.0]を含まず、ホスファゼン環を有する多官能性エポキシ化合物と、過剰に用いた2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)メタンとからなる混合物であることを確認した。
実施例9(エポキシ化合物組成物の製造)
温度計、撹拌機、還流冷却管および窒素導入管を備えた1リットルのフラスコ中に合成例7で合成したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物(平均組成:[N(OC(CHOH)2.1(OC3.9]/水酸基当量:373g/eq.)100g、グリシジルエーテル類である2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)メタン90g、DBU2gおよびTHF200mLを仕込み、60℃で24時間撹拌した。GPC分析にて原料の消失を確認後、THFを減圧留去した。残渣をクロロホルム400mLに希釈して分液ロートに移し、1%硝酸200mLで洗浄した。クロロホルム層を脱イオン水で中性になるまで洗浄後、共沸脱水および減圧濃縮し、190gのエポキシ化合物組成物を得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
◎IRスペクトル(KBr Pellet、cm−1):
ホスファゼン環(P=N) 1,171、グリシジル基(エポキシC−O) 1,243
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
2.0,2.6,2.8,3.8−4.2,6.6−7.2
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.5
◎エポキシ当量:
720g/eq.(理論値 713g/eq.)
以上の分析結果およびGPC分析から、この生成物は、原料物質の[N(OC(CHOH)2.1(OC3.9]を含まず、ホスファゼン環を有する多官能性エポキシ化合物と、過剰に用いた2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)メタンとからなる混合物であることを確認した。
実施例10(エポキシ化合物組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた300ミリリットルのフラスコ中に合成例5で製造したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物(平均組成:[N(OC(CH)OH)2.0(OC4.0]/水酸基当量:375g/eq.)100.0g、グリシジルエーテル類であるオルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテル(日本化薬株式会社の商品名「EOCN-1020−65」:エポキシ当量197g/eq.)105.1gおよびトリフェニルホスフィン2.0gを仕込み、130℃で2時間加熱撹拌した。反応液を25℃まで冷却し、微黄色の固体物質210.1gを得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
◎IRスペクトル(KBr Pellet、cm−1):
ホスファゼン環(P=N) 1173,グリシジル基(エポキシC−O) 1241
H−NMRスペクトル(DMSO−d中、δ、ppm):
1.6, 2.1, 2.7, 2.9, 3.3, 4.0, 4.2, 4.4,6.6−7.2
31P−NMRスペクトル(DMSO−d中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.5
◎エポキシ当量
739g/eq.(理論値 727g/eq.)
以上の分析結果およびGPC分析から、この生成物は、原料物質の[N(OC(CH)OH)2.0(OC4.0]を含まず、ホスファゼン環を有する多官能性エポキシ化合物と、過剰に用いたオルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテルとからなる混合物であることを確認した。
実施例11(エポキシ化合物組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた300ミリリットルのフラスコ中に合成例6で製造したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物(平均組成:[N(OC(CH)OH)2.0(OC4.0]/水酸基当量:371g/eq.)100.0g、グリシジルエーテル類であるオルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテル(日本化薬株式会社の商品名「EOCN-1020−65」:エポキシ当量197g/eq.)106.2gおよびトリフェニルホスフィン2.0gを仕込み、130℃で2時間加熱撹拌した。反応液を25℃まで冷却し、褐色の固体物質211.2gを得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
◎IRスペクトル(KBr Pellet、cm−1):
ホスファゼン環(P=N) 1173,グリシジル基(エポキシC−O) 1241
H−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
−CH 1.6, グリシジル 2.7, 2.9, 3.3, 4.0, 4.2, エポキシ開環部位 4.2, 4.4, フェニルC−H 6.6−7.2
31P−NMRスペクトル(重クロロホルム中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.5
◎エポキシ当量
745g/eq.(理論値 727g/eq.)
以上の分析結果およびGPC分析から、この生成物は、原料物質の[N(OC(CH)OH)2.0(OC4.0]を含まず、ホスファゼン環を有する多官能性エポキシ化合物と、過剰に用いたオルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテルとからなる混合物であることを確認した。
実施例12(エポキシ化合物組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管および窒素導入管を備えた300ミリリットルのフラスコ中に合成例7で製造したヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物(平均組成:[N(OC(CHOH)2.1(OC3.9]/水酸基当量:373g/eq.)100.0g、グリシジルエーテル類であるオルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテル(日本化薬株式会社の商品名「EOCN-1020−65」:エポキシ当量197g/eq.)106.2gおよびトリフェニルホスフィン2.0gを仕込み、130℃で2時間加熱撹拌した。反応液を25℃まで冷却し、褐色の固体物質211.2gを得た。この生成物の分析結果は以下の通りであった。
◎IRスペクトル(KBr Pellet、cm−1):
ホスファゼン環(P=N) 1173,グリシジル基(エポキシC−O) 1241
H−NMRスペクトル(DMSO−d中、δ、ppm):
−CH 1.6, グリシジル 2.7, 2.9, 3.3, 4.0, 4.2, エポキシ開環部位 4.2, 4.4, フェニルC−H 6.6−7.2
31P−NMRスペクトル(DMSO−d中、δ、ppm):
三量体(P=N) 10.5
◎エポキシ当量
782g/eq.(理論値 765g/eq.)
以上の分析結果およびGPC分析から、この生成物は、原料物質の[N(OC(CHOH)2.1(OC3.9]を含まず、ホスファゼン環を有する多官能性エポキシ化合物と、過剰に用いた、オルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテルとからなる混合物であることを確認した。
実施例13〜18(樹脂成形体の作製)
実施例1から6で製造したエポキシ化合物組成物のうちの一つ50.0部とジシアンジアミド1.0部とを混合して均一にした後、これをPTFEの型に流し込んで160℃で2時間および190℃で3時間加熱して硬化させ、1/16インチ厚および5mm厚の二種類のシート状硬化物(樹脂成形体)を作製した。このシート状硬化物は、IRスペクトルによってエポキシ基の吸収が完全に消失していることを確認した。
比較例1
ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社の商品名「jER828」:エポキシ当量189g/eq.)40.0部、合成例8で合成した環状ホスファゼン化合物7.0部およびジシアンジアミド1.0部を混合して均一にし、実施例13〜18と同様にしてシート状硬化物を作製した。
比較例2
ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社の商品名「jER828」:エポキシ当量189g/eq.)40.0部、合成例8で合成した環状ホスファゼン化合物15.0部およびジシアンジアミド1.0部を混合して均一にし、実施例13〜18と同様にしてシート状硬化物を作製した。
実施例19〜24(樹脂成形体の作製)
実施例7から12で製造したエポキシ化合物組成物のうちの一つ50.0部とジシアンジアミド1.0部とを混合して均一にした後、これをPTFE製の型に流し込んで160℃で2時間および190℃で3時間加熱し硬化させ、1/16インチ厚および5mm厚の二種類のシート状硬化物(樹脂成形体)を作製した。このシート状硬化物は、IRスペクトルによってエポキシ基の吸収が完全に消失していることを確認した。
評価1
実施例13〜24および比較例1,2で得られたシート状硬化物について、燃焼性、高温信頼性および耐熱性を調べた。燃焼性および耐熱性は1/16インチ厚のシート状硬化物を用いて評価した。また、耐熱性は5mm厚のシート状硬化物を用いて評価した。各項目の評価方法は次の通りである。結果を表1に示す。
(燃焼性)
アンダーライターズラボラトリーズ(Underwriter’s Laboratories Inc.)のUL−94規格垂直燃焼試験に基づき、10回接炎時の合計燃焼時間と燃焼時の滴下物による綿着火の有無により、V−0、V−1、V−2および規格外の四段階に分類した。評価基準を以下に示す。難燃性レベルはV−0>V−1>V−2>規格外の順に低下する。
V−0:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が50秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が5秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは30秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
V−1:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)すべての試験片で滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がない。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
V−2:下記の条件を全て満たす。
(A)試験片5本を1本につき二回ずつ、合計10回の接炎後からの消炎時間の合計が250秒以内。
(B)試験片5本を1本につき二回ずつ接炎を行い、それぞれの接炎後からの消炎時間が30秒以内。
(C)試験片5本のうち、少なくとも1本は、滴下物による、300mm下の脱脂綿への着火がある。
(D)すべての試験片で、二回目の接炎後のグローイングは60秒以内。
(E)すべての試験片で、クランプまでフレーミングしない。
(高温信頼性)
シート状硬化物を80℃、相対湿度85%の恒温恒湿装置に48時間保管した後、288℃で20分間処理し、外観の変化を観察した。表1において、「有」は、シート状化合物の表面にブリードアウトによる外観変化がないこと(すなわち、高温信頼性があること)を示す。また、「無」は、シート状化合物の表面にブリードアウトによる外観変化があること(すなわち、高温信頼性がないこと)を示す。
(耐熱性)
セイコー電子工業株式会社の商品名「DMS−200」を用い、測定長(測定治具間隔)を20mmとして下記の条件下でシート状硬化物の貯蔵弾性率(ε’)の測定を行い、当該貯蔵弾性率(ε’)の変曲点をガラス転移温度(℃)とした。このガラス転移温度は、高いほど耐熱性に優れていることを示す。
測定雰囲気:乾燥空気雰囲気
測定温度:20〜400℃の範囲内
測定試料:幅9mm、長さ40mmにスリットしたシート状硬化物
Figure 0005916160
表1から明らかなように、実施例13〜24および比較例1,2のシート状硬化物は、いずれも難燃性に優れているが、比較例1,2は耐熱性および高温信頼性を欠くのに対し、実施例13〜24はこれらの項目においても優れている。
実施例25〜30(樹脂成形体の作製)
実施例1、2および4で製造したエポキシ化合物組成物、オルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテル(日本化薬株式会社の商品名「EOCN−104S」:エポキシ当量218g/eq.)、ジシアンジアミドおよび2―エチル―4−メチルイミダゾールを表2に示す割合で混合し、樹脂ワニスを調製した。このワニスをガラスクロス(日東紡績株式会社製の商品名「WEA7628」:処理シラン系)に含浸塗布して150℃で乾燥させ、樹脂分50%のプリプレグを得た。
比較例3,4
合成例8で製造した環状ホスファゼン化合物、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社の商品名「jER828」:エポキシ当量189g/eq.)、オルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテル(日本化薬株式会社の商品名「EOCN-104S」:エポキシ当量218g/eq.)、ジシアンジアミドおよび2―エチル―4−メチルイミダゾールを表2に示す割合で混合し、樹脂ワニスを調製した。そして、この樹脂ワニスを用い、実施例25〜30と同様にしてプリプレグを得た。
実施例31〜36(樹脂成形体の作製)
実施例7〜12で製造したエポキシ化合物組成物、オルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテル(日本化薬株式会社の商品名「EOCN−104S」:エポキシ当量218g/eq.)、ジシアンジアミドおよび2―メチルイミダゾールを表3に示す割合で混合し、樹脂ワニスを調製した。このワニスをガラスクロス(日東紡績株式会社の商品名「WEA7628」:処理シラン系)に含浸塗布して150℃で乾燥させ、樹脂分50%のプリプレグを得た。
比較例5,6
合成例8で製造した環状ホスファゼン化合物、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン株式会社の商品名「jER828」:エポキシ当量189g/eq.)、オルソクレゾールノボラックのグリシジルエーテル(日本化薬株式会社の商品名「EOCN−104S」:エポキシ当量218g/eq.)、ジシアンジアミドおよび2―メチルイミダゾールを表3に示す割合で混合し、樹脂ワニスを調製した。そして、この樹脂ワニスを用い、実施例31〜36と同様にしてプリプレグを得た。
評価2
実施例25〜36および比較例3〜6で得られた各プリプレグを8枚ずつ重ね、その両面に厚さ18μmの銅箔を重ねて温度170℃、圧力32kg/cm(3.1MPa)の条件で1時間加熱加圧成形した。これにより得られた両面銅張積層板の両面をエッチングし、試料(1.6mm厚)を得た。得られた試料について、評価1と同じ方法で燃焼性および高温信頼性を評価した。また、試料の耐熱性は、実施例25〜36および比較例3〜6で得られた樹脂ワニスのガラス転移温度により評価した。このガラス転移温度は、樹脂ワニスをオーブン中で170℃/1時間硬化し、TMA(SEIKO社製の「TMA/SS220」)にて昇温速度10℃/分の条件で測定した。結果を表2,3に示す。
Figure 0005916160
Figure 0005916160
表2,3から明らかなように、実施例25〜36および比較例3〜6のプリプレグを用いて調製した試料は、いずれも難燃性に優れているが、比較例3〜6は耐熱性および高温信頼性を欠くのに対し、実施例25〜36はこれらの項目においても優れている。

Claims (6)

  1. 多官能性グリシジル化合物と、下記の式(1)で示されるヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物とを反応させる、ホスファゼン環とエポキシ基とを有するエポキシ化合物を少なくとも二種類含むエポキシ化合物組成物の製造方法
    Figure 0005916160

    (式(1)中、nは1〜6の整数を示し、Aは下記のA1基、A2基およびA3基からなる群から選ばれる基を示し、かつ、少なくとも一つがA3基である。
    A1基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよい、炭素数が1〜8のアルコキシ基。
    A2基:炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選ばれる少なくとも一種の基で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリールオキシ基。
    A3基:下記の式(2)で示されるヒドロキシアリールオキシ基および下記の式(3)で示されるヒドロキシフェニル置換フェニルオキシ基からなる群から選ばれる基。
    Figure 0005916160

    式(2)中、Yはビフェニレン若しくはナフチレンを示す。
    Figure 0005916160

    式(3)中、Zは、O、S、SO 、CH 、CHCH 、C(CH 、C(CF 、C(CH )CH CH 若しくはCOを示す。)
  2. 前記多官能性グリシジル化合物は、グリシジルエーテル類、グリシジルエステル類、グリシジルアミン類、脂肪族エポキシド類および脂環式エポキシド類からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1に記載のエポキシ化合物組成物の製造方法
  3. 式(1)において、(2n+4)個のAの内の1〜(2n+2)個がA3基である、請求項1または2に記載のエポキシ化合物組成物の製造方法
  4. 式(1)のnが1若しくは2である、請求項1から3のいずれかに記載のエポキシ化合物組成物の製造方法
  5. 前記ヒドロキシ基含有環状ホスファゼン化合物は、式(1)のnが異なる二種以上のものを含んでいる、請求項1から3のいずれかに記載のエポキシ化合物組成物の製造方法
  6. 請求項1からのいずれかに記載の製造方法により得られるエポキシ化合物組成物と熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一種の樹脂成分とを混合する、樹脂成形体用組成物の調製方法
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