JP2005037430A - 光学装置、およびプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光学装置24は、色光毎に画像情報に応じて変調する3つの光変調装置240と、各光変調装置240で変調された各色光を合成するクロスダイクロイックプリズム244と、ピンスペーサ247とを備える。そして、このピンスペーサ247を介して光変調装置240がクロスダイクロイックプリズム244に対して固定される。ピンスペーサ247は、2つのピン状突起247Aと、これらピン状突起247Aにおけるクロスダイクロイックプリズム244側の一端から離隔した部分で2つのピン状突起247Aを互いに連結する連結部247Bとで構成される。
【選択図】 図8
Description
本発明は、複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記光変調装置で変調された各色光を合成して射出する色合成光学装置とが一体的に設けられた光学装置、およびプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来、光源から射出された光束を3色の色光に分離する色分離光学系と、色光毎に画像情報に応じて変調する3枚の光変調装置と、各光変調装置で変調された光束を合成する色合成光学装置とを備える3板式のプロジェクタが知られている。
このような三板式のプロジェクタでは、該プロジェクタの小型化を図るために、以下に示すように、色合成光学装置に対して3つの光変調装置を接合固定した光学装置が採用されている。
【0003】
例えば、このような光学装置として、複数のピンスペーサを介して、色合成光学装置に対して3つの光変調装置を接合固定する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
具体的に、光変調装置は、光変調を実施する光変調素子と、この光変調素子の画像形成領域に応じて開口を有し、該光変調素子を収納する保持枠とで構成される。ここで、保持枠には、開口周縁に4つの孔が形成されている。そして、保持枠に光変調素子を収納保持させた状態で、4つのピンスペーサを保持枠に形成された4つの孔にそれぞれ挿通し、各ピンスペーサの端面を色合成光学装置の光束入射端面に接着固定するとともに、各ピンスペーサの側面と各孔の内側面とを接着固定することで光変調装置および色合成光学装置を接合固定している。
【0004】
また、例えば、上述した複数のピンスペーサを一体化した光学装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
具体的に、この光学装置は、光変調装置を保持する略矩形板状の保持部材を備え、この保持部材の四隅角部分には、板面から面外方向に4つのピンが突出している。この保持部材において、これら4つのピンを連結する板面は、色合成光学装置の上下端面に設けられた台座の側面、または色合成光学装置の光束入射側端面に接着固定されている。そして、色合成光学装置に対して光変調装置を接合固定する際には、保持部材を台座の側面、または色合成光学装置の光束入射側端面に装着した状態で、光変調装置を構成する保持枠の4つの孔に保持部材の4つのピンを挿通させるように保持部材に対して光変調装置を設置し、4つのピンの側面と保持枠の4つの孔の内側面とを接着固定する。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−221588号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2003−121931号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、光変調素子に発生する熱を効率的に冷却するとともに、光変調装置の製造コストの低減を図るために、光変調装置を構成する保持枠を板金加工等により形成する構造が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載の光学装置に、上述した光変調装置を採用した場合には、保持枠が薄型化するため、各ピンスペーサの側面と保持枠に形成された各孔の内側面との接着面積が確保できず、光学装置製造時にも、ピンスペーサの自重により傾いた状態で接合されてしまう。また、プロジェクタを長期間使用するにしたがって、傾いて接合されたピンスペーサを接着する接着剤の量の差による熱膨張量の差が発生し、色合成光学装置に対して固定された3つの光変調装置の相互位置がずれ、結果的に投写画像に画素ずれが生じるおそれがある。
【0008】
また、特許文献2に記載の光学装置に、上述した光変調装置を採用した場合には、4つのピンが板体に連結されているので、4つのピンの傾斜を回避できる。しかしながら、保持部材の板面が台座の側面または色合成光学装置の光束入射側端面に接着固定されるため、保持部材と台座、または保持部材と色合成光学装置の各部材間の接着面積が大きくなる。このため、これら各部材の熱膨張係数が異なる構成の場合には、各部材間の熱応力が大きくなり、色合成光学装置に対して固定された3つの光変調装置の相互位置を良好に維持することが困難となる。
【0009】
本発明の目的は、複数の光変調装置における相互の位置ずれを回避し、画素ずれのない良好な光学像を形成できる光学装置、およびプロジェクタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学装置は、複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記光変調装置で変調された各色光を合成して射出する色合成光学装置とが一体的に設けられた光学装置であって、前記光変調装置は、光変調を実施する光変調素子と、この光変調装置の画像形成領域に応じた開口、およびこの開口周縁に複数の孔を有し、前記光変調素子を収納する保持枠とを備え、当該光学装置は、前記複数の孔に対応する複数のピンを具備し、前記複数のピンが前記複数の孔に挿通され、前記複数のピンを介して前記光変調装置および前記色合成光学装置が一体構成されたものであり、前記複数のピンのうち、少なくとも2つのピンは、前記色合成光学装置側の一端から離隔した部分で互いに連結されていることを特徴とする。
【0011】
ここで、保持枠の孔は、少なくとも2つ以上形成すればよく、その数、および形成位置は特に限定しない。また、ピンは、この保持枠の孔の数に対応して設ければよい。
また、複数のピンは、少なくとも2つのピンが互いに連結していればよく、3つ以上のピンが相互に連結していてもよい。
さらに、少なくとも2つのピンは、各ピンにおける色合成光学装置側の一端を互いに連結する構成を除けば、各ピンにおけるいずれの位置で連結してもよい。
さらにまた、複数のピンの一端は、例えば、色合成光学装置の光束入射端面に直接接合してもよく、または色合成光学装置に対して固定された他の部材に接合してもよい。
【0012】
本発明によれば、光学装置は、複数のピンを備え、これら複数のピンのうち、少なくとも2つのピンは、互いに連結されているので、保持枠が薄型化して各ピンの側面と保持枠に形成された各孔の内側面との接着面積が確保できない場合であっても、従来のような複数のピンが別体とされる構成と比較して、ピン自体の自重により各ピンが傾斜することを回避できる。
また、少なくとも2つのピンの連結部分は、各ピンにおける色合成光学装置側の一端から離隔した部分で各ピンを互いに連結するので、光変調装置を支持する各ピンの一端が、例えば色合成光学装置の光束入射側端面等に接着固定されることとなる。このため、従来のような光変調装置を支持する保持部材において、複数のピンを連結する連結部分である板面が色合成光学装置の光束入射側端面等に接着固定される構成と比較して、光変調装置を支持する各ピンと色合成光学装置等との接着面積が小さくなり、各ピンと色合成光学装置等との熱膨張係数が異なる場合であっても、各部材間に生じる熱応力により各ピンが受ける影響が小さくなり、各ピンの位置ずれを回避できる。
したがって、上述した構成の光学装置では、各ピンの傾斜および各ピンの位置ずれを回避することにより、複数の光変調装置における相互の位置ずれを回避し、画素ずれのない良好な光学像を形成でき、本発明の目的を達成できる。
また、少なくとも2つのピンが互いに連結されているので、従来のような複数のピンがそれぞれ別体とされる構成と比較して、ピンを光変調装置における保持枠の孔に挿通しやすく、光学装置を容易に製造できる。
【0013】
本発明の光学装置では、前記少なくとも2つのピンは、前記光変調装置の光束入射側で互いに連結されていることが好ましい。
本発明によれば、少なくとも2つのピンの連結部分が光変調装置の光束入射側に位置するので、ピンを介して色合成光学装置に対して光変調装置を接合する際に、連結部分を色合成光学装置側に押圧することで、各ピンの一端を例えば色合成光学装置の光束入射側端面等に確実に接合できる。したがって、色合成光学装置と光変調装置との接合状態を適切な状態とすることができる。
【0014】
本発明の光学装置では、前記少なくとも2つのピンの連結部分には、入射光の光学特性を変換する光学変換素子を貼り付けても良い。
ここで、光学変換素子としては、例えば、偏光板、位相差板、色補正板、または視野角補償板等を採用できる。
本発明によれば、少なくとも2つのピンの連結部分に、例えば、光変調装置の光路前段に配置される入射側偏光板を貼り付ければ、光学装置のさらなる小型化を図れる。
【0015】
本発明の光学装置では、前記少なくとも2つのピンの連結部分は、当該光学装置に送風される冷却空気の流路に沿って延びていることが好ましい。
本発明によれば、少なくとも2つのピンの連結部分が、光学装置に送風される冷却空気の流路に沿って延びる構成とすることで、この連結部分により冷却空気の流れを塞ぐことがない。また、この連結部分が冷却空気の案内部として機能することとなる。したがって、光学装置にて発生した熱により温められた空気が光学装置の近傍に滞留することがなく、常に新鮮な冷却空気が光学装置に送風されることとなり、光学装置の冷却効率を向上できる。
【0016】
本発明の光学装置では、前記保持枠は、前記光変調素子を収納する凹形枠体と、前記複数の孔を有し、この凹形枠体に収納された光変調素子を押圧固定する支持板とを備え、前記複数の孔は、前記支持板に形成された孔の内周縁を面外方向に突出させたバーリング孔であることが好ましい。
ここで、保持枠としては、例えば、射出成形等により成形された成形品としてもよく、板金加工により形成してもよい。例えば、保持枠を板金加工により形成した場合には、光変調素子の放熱特性を向上できるとともに、光変調装置の製造コストの低減を図れる。
本発明によれば、保持枠は、凹形枠体および支持板を備え、支持板には、ピンを挿通可能とする複数の孔が形成され、これら複数の孔はバーリング孔であるので、孔の軸方向の長さ寸法が実質的に長くなり、ピンの側面と孔の内側面との接着面積を確保できる。したがって、上述した少なくとも2つのピンが連結された構成とともに、ピンの傾斜を回避できる。
【0017】
本発明のプロジェクタは、光源と、上述した光学装置と、前記光学装置から射出される光学像を拡大投写する投写光学装置とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクタは、上述した光学装置を備えているので、上述した光学装置と同様の作用・効果を享受できる。
また、プロジェクタは、画素ずれのない良好な光学像を形成できる光学装置を備えているので、投写光学装置により鮮明な画像を投写できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔1〕プロジェクタの構造
図1は、本実施形態に係る光学装置を備えたプロジェクタ1の構造を示す斜視図である。
プロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、スクリーン等の投写面上に拡大投写する。このプロジェクタ1は、図1に示すように、平面視L字状の光学ユニット2と、この光学ユニット2の一端と接続する投写光学装置としての投写レンズ3とを備えている。
なお、具体的な図示は省略したが、プロジェクタ1は、光学ユニット2および投写レンズ3の他、外部から供給された電力をプロジェクタ1の構成部材に提供する電源ユニット、光学ユニット2の後述する液晶パネルを駆動制御する制御基板、プロジェクタ1の構成部材に冷却空気を送風する冷却ファンを有する冷却ユニット等を備えて構成される。
【0019】
光学ユニット2は、図示しない制御基板による制御の下、外部からの画像情報に応じて光学像を形成する。この光学ユニット2は、具体的には後述するが、図1に示すように、容器状に形成された下ライトガイド251およびこの下ライトガイド251の開口部分を閉塞する上ライトガイド252を有するライトガイド25と、このライトガイド25内に収納配置される複数の光学部品と、ライトガイド25と接続され、投写レンズ3を支持するヘッド体26とを備えている。
投写レンズ3は、光学ユニット2により画像情報に応じて変調された光学像を拡大投写する。この投写レンズ3は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成され、複数のレンズの相対位置を変更可能な図示しないレバーを備え、投写像のフォーカス調整、および倍率調整可能に構成されている。
【0020】
〔2〕光学ユニット2の構造
〔2−1〕光学ユニット2の光学系の構成
図2は、光学ユニット2の内部構造を模式的に示す平面図である。具体的に、図2は、光学ユニット2における上ライトガイド252を取り外した図である。
ライトガイド25内に収納される複数の光学部品は、図2に示すように、インテグレータ照明光学系21と、色分離光学系22と、リレー光学系23と、光変調装置および色合成光学装置を一体化した光学装置24とで構成されている。
インテグレータ照明光学系21は、光源から射出された光束を照明光軸直交面内における照度を均一にするための光学系である。このインテグレータ照明光学系21は、図2に示すように、光源装置211、第1レンズアレイ212、第2レンズアレイ213、偏光変換素子214、および重畳レンズ215を備えて構成される。
【0021】
光源装置211は、放射光源としての光源ランプ216、リフレクタ217、およびリフレクタ217の光束射出面を覆う防爆ガラス218を備える。そして、光源ランプ216から射出された放射状の光束は、リフレクタ217で反射されて略平行光束とされ、外部へと射出される。本実施形態では、光源ランプ216として、高圧水銀ランプを採用し、リフレクタ217として、放物面鏡を採用している。なお、光源ランプ216としては、高圧水銀ランプに限らず、例えばメタルハライドランプやハロゲンランプ等を採用してもよい。また、リフレクタ217として放物面鏡を採用しているが、これに限らず、楕円面鏡からなるリフレクタの射出面に平行化凹レンズを配置した構成を採用してもよい。
【0022】
第1レンズアレイ212は、照明光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備している。各小レンズは、光源ランプ216から射出された光束を部分光束に分割し、照明光軸方向に射出する。
第2レンズアレイ213は、第1レンズアレイ212と略同様の構成であり、小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備する。この第2レンズアレイ213は、重畳レンズ215とともに、第1レンズアレイ212の各小レンズの像を光学装置24の後述する液晶パネル241R,241G,241Bの画像形成領域に結像させる機能を有する。
【0023】
偏光変換素子214は、第2レンズアレイ213からの光を略1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、光学装置24での光の利用効率が高められている。
具体的に、偏光変換素子214によって略1種類の偏光光に変換された各部分光束は、重畳レンズ215によって最終的に光学装置24の後述する液晶パネル241R,241G,241Bの画像形成領域にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル241R,241G,241Bを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源ランプ216からの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子214を用いることにより、光源ランプ216から射出された光束を略1種類の偏光光に変換し、光学装置24における光の利用効率を高めている。なお、このような偏光変換素子214は、例えば、特開平8−304739号公報に紹介されている。
【0024】
色分離光学系22は、2枚のダイクロイックミラー221,222と、反射ミラー223とを備える。インテグレータ照明光学系21から射出された複数の部分光束は、2枚のダイクロイックミラー221により赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離される。
リレー光学系23は、入射側レンズ231と、リレーレンズ233と、反射ミラー232,234とを備えている。このリレー光学系23は、色分離光学系22で分離された色光である青色光を光学装置24の後述する液晶パネル241Bまで導く機能を有している。
【0025】
この際、色分離光学系22のダイクロイックミラー221では、インテグレータ照明光学系21から射出された光束のうち、緑色光成分と青色光成分とは透過し、赤色光成分は反射する。ダイクロイックミラー221によって反射した赤色光は、反射ミラー223で反射し、フィールドレンズ224を通って、赤色用の液晶パネル241Rに到達する。このフィールドレンズ224は、第2レンズアレイ213から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル241G,241Bの光入射側に設けられたフィールドレンズ224も同様である。
【0026】
また、ダイクロイックミラー221を透過した青色光と緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー222によって反射し、フィールドレンズ224を通って、緑色光用の液晶パネル241Gに到達する。一方、青色光は、ダイクロイックミラー222を透過してリレー光学系23を通り、さらにフィールドレンズ224を通って、青色光用の液晶パネル241Bに到達する。
なお、青色光にリレー光学系23が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ231に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ224に伝えるためである。なお、リレー光学系23には、3つの色光のうちの青色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、赤色光を通す構成としてもよい。
【0027】
光学装置24は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成する。この光学装置24は、色分離光学系22で分離された各色光が入射される3つの入射側偏光板242と、各入射側偏光板242の後段に配置される、液晶パネル241R,241G,241Bおよび3つの光学変換板243と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム244とを備える。
なお、光学装置24の詳細な構造については、後述する。
【0028】
〔2−2〕ライトガイド25の構造
ライトガイド25は、図1または図2に示すように、上述した光学部品21,22,23が収納される下ライトガイド251と、この下ライトガイド251の上面の開口部分を塞ぐ上ライトガイド252と、光源装置211を除く光学部品21,22,23を下ライトガイド251の所定位置に位置決めする位置決め部材253とを備える。
【0029】
図3は、下ライトガイド251の構造を示す斜視図である。
下ライトガイド251は、アルミニウムの平板を板金加工することにより形成されたものであり、図1ないし図3に示すように、光源装置211が収納される光源収納部251Aと、光源装置211を除く他の光学部品21,22,23(図2)が収納される部品収納部251Bとを備える。これら光源収納部251Aおよび部品収納部251Bは、絞り加工により容器状に形成され、光源収納部251Aは、下方側が開口され、部品収納部251Bは、上方側が開口されている。また、光源収納部251Aおよび部品収納部251Bの接続部分には、光源装置211から射出される光束が通過するように切削等により開口251C(図3)が形成されている。
なお、これら光源収納部251Aおよび部品収納部251Bは、一つの平板から絞り加工によりそれぞれ光源収納部251Aおよび部品収納部251Bを形成してもよい。また、2つの平板を絞り加工によりそれぞれ光源収納部251Aおよび部品収納部251Bを形成し、ねじ等により2つの部材を機械的に接合する構成、または、溶接により2つの部材を接合する構成を採用してもよい。
【0030】
光源収納部251Aは、図示しない下方側の開口から光源装置211(図2)が収納配置される。この光源収納部251Aの側面には、図示は省略するが、光源装置211に発生する熱により温められた空気が光源収納部251A内に滞留しないように、切削等によりスリット状の開口部が形成されている。
部品収納部251Bは、図3に示すように、一端側が光源収納部251Aと接続し、他端側が平面視略コ字状である容器状に形成され、この他端側にヘッド体26が接続される。
この部品収納部251Bにおいて、側面には、光学部品212〜215,231,233(図2)の位置に応じて、該側面の一部が部品収納部251Bの内側に切り起こされ、複数の孔251B1が形成されている。また、側面には、光学部品223,232,234(図2)の位置に応じて、内部に向けて貫通する円形状の複数の孔251B2が形成されている。さらに、平面視略コ字状内側の側面には、光源装置211(図2)から射出され、色分離光学系22(図2)により分離された3つの色光が光学装置24(図2)に向けて通過可能に切削等により切り欠き251B3が形成されている。
また、この部品収納部251Bにおいて、図示は省略するが、底面部分および上端部分には、ねじ溝を有する複数のバーリング孔が形成されている。
【0031】
上ライトガイド252は、図1に示すように、アルミニウムの平板であり、切削等により、下ライトガイド251の部品収納部251Bの上端側の開口部分を塞ぐように形成されている。また、この上ライトガイド252には、図示は省略するが、複数の孔が形成され、この孔と下ライトガイド251に形成された図示しないバーリング孔とを介してねじ等により下ライトガイド251に対して上ライトガイド252が固定される。
ここで、上述の下ライトガイド251の光源収納部251Aおよび部品収納部251Bの内面、および上ライトガイド252の下面には、ブラックアルマイト処理が施されている。
【0032】
位置決め部材253は、図1または図2に示すように、第1レンズアレイ212、第2レンズアレイ213、偏光変換素子214、重畳レンズ215、入射側レンズ231、およびリレーレンズ233をそれぞれ位置決めする第1位置決め部材253Aと、ダイクロイックミラー221,222をそれぞれ位置決めする第2位置決め部材253B(図2)と、反射ミラー223,232,234をそれぞれ位置決めする第3位置決め部材253Cとを備えている。なお、これら位置決め部材253は、次に述べる光学部品の保持構造にて具体的に説明する。
【0033】
〔2−3〕光学部品の保持構造
次に、ライトガイド25に対する、光源装置211を除く光学部品21,22,23の保持構造を説明する。
なお、この光学部品の保持構造としては、その類似した構造により3つの保持構造に分類できる。すなわち、第1レンズアレイ212、第2レンズアレイ213、偏光変換素子214、重畳レンズ215、入射側レンズ231、およびリレーレンズ233を保持するレンズの保持構造、ダイクロイックミラー221,222を保持するダイクロイックミラーの保持構造、および反射ミラー223,232,234を保持する反射ミラーの保持構造に分類できる。以下では、これら3つの保持構造を順次、説明する。
【0034】
〔2−3−1〕レンズの保持構造
図4は、レンズの保持構造を説明するための図である。なお、上述のように、光学部品212〜215,231,233の保持構造は、類似した構造であり、ここでは主に、重畳レンズ215の保持構造を説明する。
重畳レンズ215は、図4に示すように、平面視円形状であり、光束入射側端面および光束射出側端面が球面状に膨出する凸レンズとして構成されている。そして、この重畳レンズ215を保持する部材としては、上述した複数の第1位置決め部材253Aのうちの2つの第1位置決め部材253Aが用いられる。
【0035】
第1位置決め部材253Aは、下ライトガイド251の側面に形成された孔251B1に挿通される四角柱状の部材であり、紫外線光を透過する合成樹脂(アクリル材)から構成されている。また、この第1位置決め部材253Aにおいて、四角柱状の一方の端面には、断面略V字状の溝部253A1が形成されている。この溝部253A1は、重畳レンズ215の外周端部の断面形状と略同一形状を有するように形成されている。
ここで、下ライトガイド251の孔251B1において、切り起こされた側面の一部は、第1位置決め部材253Aの支持面251B4として構成される。
【0036】
そして、これら第1位置決め部材253は、下ライトガイド251の側面に形成された孔251B1を介して、溝部253A1が重畳レンズ215の外周端部に当接することで該重畳レンズ215を左右方向から挟持する。この際、第1位置決め部材253と支持面251B4との間、および第1位置決め部材253の溝部253A1と重畳レンズ215の外周端部との間には、紫外線硬化型接着剤が充填され、第1位置決め部材253を介して紫外線を照射して接着剤を硬化させることで重畳レンズ215がライトガイド25に対して保持固定される。
なお、その他の光学部品212〜214,231,233の保持構造についても、上述した重畳レンズ215の保持構造と略同様である。
【0037】
〔2−3−2〕ダイクロイックミラーの保持構造
図5は、ダイクロイックミラーの保持構造を説明するための図である。なお、上述のように、ダイクロイックミラー221,222の保持構造は、類似した構造であり、ここでは主に、ダイクロイックミラー222の保持構造を説明する。
ダイクロイックミラー222は、図5に示すように、平面視矩形状であり、上述した第2位置決め部材253Bにより保持される。
第2位置決め部材253Bは、図5に示すように、下ライトガイド251の部品収納部251Bの底面に固定される板状の台座253B1と、この台座253B1の上面に固定され、断面視L字形状を有する一対の板状部材253B2と、この一対の板状部材253B2およびダイクロイックミラー222の左右側端部の間に介装されるスペーサ253B3とを備えている。
【0038】
このうち、一対の板状部材253B2は、断面視L字形状の一方の端面が台座253B1の上面に固定され、他方の端面が台座253B1の上方に延び、下ライトガイド251の部品収納部251Bの側面に略平行に対向配置される。そして、これら一対の板状部材253B2の間に、ダイクロイックミラー222が傾斜して配置され、該ダイクロイックミラー222の左右端部と該板状部材253B2の他方の端面とが対向配置する。
これら一対の板状部材253B2において、他方の端面には、該端面の一部が対向する板状部材253B2側に三角形状に切り起こされ、この切り起こされた部分がスペーサ253B3を支持する支持面253B4として構成されている。
また、これら一対の板状部材253B2において、他方の端面のうち、フィールドレンズ224(図2)側の端面には、ダイクロイックミラー222にて反射されたG色光を通過させるための開口253B5が形成されている。
【0039】
スペーサ253B3は、三角柱状の部材であり、第1位置決め部材253Aと同様に、紫外線光を透過する合成樹脂(アクリル材)から構成されている。そして、このスペーサ253B3は、支持面253B4に支持されるとともに、ダイクロイックミラー222の左右端部と板状部材253B2との間に介装される。この際、スペーサ253B3の三角柱状の斜面の傾斜方向は、ダイクロイックミラー222の傾斜方向と略同一の方向となるように構成されている。また、スペーサ253B3と支持面253B4との間、およびスペーサ253B3の斜面とダイクロイックミラー222の外周端部との間には、紫外線硬化型接着剤が充填され、スペーサ253B3を介して紫外線を照射して接着剤を硬化させることでダイクロイックミラー222がライトガイド25に対して保持固定される。
なお、ダイクロイックミラー221の保持構造についても、上述したダイクロイックミラー222の保持構造と同様である。
【0040】
〔2−3−3〕反射ミラーの保持構造
図6は、反射ミラーの保持構造を説明するための図である。なお、上述のように、反射ミラー223,232,234の保持構造は、類似した構造であり、ここでは主に、反射ミラー232の保持構造を説明する。
反射ミラー232は、図6に示すように、平面視矩形状であり、一方の端面に高反射性のアルミニウム等が蒸着された反射面を有している。そして、この反射ミラー232を保持する部材としては、上述した第3位置決め部材253Cが用いられる。
【0041】
第3位置決め部材253Cは、紫外線光を透過する合成樹脂(アクリル材)から構成され、板体253C1と、この板体253C1の一方の端面の四隅部分から該端面に直交して突出する円柱状の4つのピン253C2とを備えている。
そして、この第3位置決め部材253Cは、下ライトガイド251の側面に形成された孔251B2を介して、ピン253C2が挿通され、該ピン253C2の先端が反射ミラー232の反射面の裏面に当接する。この際、ピン253C2と反射ミラー232の反射面の裏面との間、およびピン253C2の外周と孔251B2との間には、紫外線硬化型接着剤が充填され、第3位置決め部材253Cを介して紫外線を照射して接着剤を硬化させることで反射ミラー232がライトガイド25に対して保持固定される。
なお、その他の反射ミラー223,234の保持構造についても、上述した反射ミラー232の保持構造と同様である。
【0042】
上述した第1位置決め部材253A、スペーサ253B3、および第3位置決め部材253Cはアクリル材にて構成されていたが、これに限らず、紫外線光を透過する他の合成樹脂で構成してもよく、その他、光学ガラス、水晶、サファイア、石英等にて構成してもよい。
また、レンズの保持構造、ダイクロイックミラーの保持構造、および反射ミラーの保持構造にて用いられる紫外線硬化型接着剤としては、種々のものを採用できるが、アクリレートを主成分とし、粘性が17000Pのものが好ましい。
【0043】
〔2−4〕ヘッド体26の構造
ヘッド体26は、マグネシウム合金で構成され、側面略L字状に形成されている。このヘッド体26は、図2に示すように、投写レンズ3、および光学装置24を一体化する。そして、このヘッド体26は、側面略L字状の垂直面外側に形成されるレンズ支持部261と、側面略L字状の水平面上側に形成される載置面262と、この載置面262上に突設されるフィールドレンズ保持部263とを備えている。
なお、ヘッド体26は、マグネシウム合金に限らず、アルミニウム、マグネシウム、チタン、あるいはこれらを主材料とした合金等の金属によって構成してもよい。
【0044】
レンズ支持部261は、図1または図2に示すように、略矩形状に形成され、その四隅部分に表裏を貫通して投写レンズ3を固定するための図示しない固定用雌ねじ孔が形成されている。そして、このレンズ支持部261は、投写レンズ3の図示しない孔を介して固定用雌ねじ孔にねじ等が螺合することで、投写レンズ3を支持固定する。
載置面262は、図2に示すように、平面視略矩形状に形成されている。この載置面262において、レンズ支持部261近傍であって左右方向略中央部分に、光学装置24が載置固定される。また、この載置面262において、各液晶パネル241R,241G,241B側には、図示しない冷却ユニットから送風される冷却空気を流通させる4つの切り欠き262Aが形成されている。
【0045】
フィールドレンズ保持部263は、載置面262に形成された切り欠き262Aの角隅部分から上方に向けて立設されたものであり、フィールドレンズ224を保持固定する。
ここで、上述したヘッド体26において、例えば、載置面262には、図示は省略するが、複数の孔が形成され、この孔と下ライトガイド251に形成された図示しないバーリング孔とを介してねじ等により下ライトガイド251に対してヘッド体26が固定される。
【0046】
〔3〕光学装置24の構造
次に、図7または図8を参照して、光学装置24の構造について詳説する。
図7は、光学装置24の概略構成を示す全体斜視図である。
図8は、光学装置24の構造を示す分解斜視図である。なお、図8では、説明を簡略化するために、B色光用の液晶パネル241B側のみを分解している。R色光用、G色光用の液晶パネル241R,241G側も同様のものとする。
光学装置24は、図7または図8に示すように、光学変換素子としての3つの入射側偏光板242と、液晶パネル241R,241G,241Bを有する光変調装置240と、3つの光学変換板243と、3つの熱伝導板245と、クロスダイクロイックプリズム244(図8)と、台座246と、ピンスペーサ247と、弾性部材248(図9)とを備える。そして、光学装置24は、図7に示すように、これら光学部品240,242〜248が一体的にユニット化して構成されている。
【0047】
入射側偏光板242は、図7または図8に示すように、光学装置24の最も光束入射側に配置され、色分離光学系22を介した色光のうち、一定方向の偏光光のみを透過させ、その他の光束を吸収する。この入射側偏光板242は、図7または図8に示すように、基板242Aと、偏光軸が所定方向とされた状態で、この基板242Aの光束入射側端面に貼り付けられる光学変換膜としての偏光膜242Bとを備える。
基板242Aは、矩形状の板材であり、例えば、サファイアガラス、水晶、石英、または蛍石等にて構成できる。
偏光膜242Bは、矩形状のフィルムであり、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素を吸着・分散させてフィルム状とした後に、このフィルム状のものを一定方向に延伸し、その後、延伸されたフィルムの両面にアセテートセルロース系のフィルムを接着剤で積層することにより構成されている。
【0048】
光変調装置240は、図8に示すように、光変調素子としての液晶パネル241B(241R,241G)と、この液晶パネル241Rを保持する保持枠249とを備える。
液晶パネル241B(241R,241G)は、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、対向配置される一対の透明基板内に液晶が密封封入されている。そして、この液晶パネル241B(241R,241G)は、入射側偏光板242を介して入射する光束を画像情報に応じて変調して射出する。
【0049】
保持枠249は、液晶パネル241B(241R,241G)を収容する凹形枠体249Aと、この凹形枠体249Aと係合し収納した液晶パネル241B(241R,241G)を押圧固定する支持板249Bとを備える。これら凹形枠体249Aおよび支持板249Bには、液晶パネル241B(241R,241B)のパネル面に対応する位置に開口部249Cが設けられている。そして、液晶パネル241B(241R,241G)は、この開口部249Cで露出し、この部分が画像形成領域となる。すなわち、液晶パネル241B(241R,241G)のこの部分に色光B(R,G)が導入され、画像情報に応じて光学像が形成される。
【0050】
凹形枠体249Aは、断面略コ字状の形状を有し、コ字状内側に図示しない収容部が設けられ、この収容部にて液晶パネル241B(241R,241G)を収容する。また、この凹形枠体249Aは、コ字状基端側から見た場合に、支持板249Bの左右幅寸法と略同様の左右幅寸法であり、支持板249Bの高さ寸法よりも小さい高さ寸法で構成されるとともに、上方の左右角端部が切り欠かれ、ピンスペーサ247と機械的に干渉しないように形成されている。
この凹形枠体249Aにおいて、基端部分から延びるコ字状端縁の外側面には、支持板249Bと係合するためのフック249Dが形成されている。
また、この凹形枠体249Aにおいて、光束入射側端面の上方側には、上端部から開口部249Cに向けて延びる複数のフィン249Eが形成されている。
【0051】
支持板249Bは、平面視矩形枠状に形成されている。
この支持板249Bにおいて、四隅角部分には、ピンスペーサ247を挿通可能とする孔249Fが形成されている。
この孔249Fは、その内周縁が光束入射側に向けて突出するように形成されたバーリング孔である。
また、この支持板249Bにおいて、左右辺縁の略中央部分には、光束入射側に突出し、凹形枠体249Aのフック249Dと係合するフック係合部249Gが形成されている。そして、凹形枠体249Aのフック249Dと、支持板249Bのフック係合部249Gとが係合することにより、凹形枠体249Aと支持板249Bとが固定される。
【0052】
なお、上述した保持枠249は、成形または板金加工により形成できる。また、その材料としては、例えば、インバーおよび42Ni−Fe等の鉄−ニッケル合金、マグネシウム合金、アルミニウム合金、炭素鋼、黄銅、ステンレス等の金属、または、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等のカーボンフィラーを混入させた樹脂(ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、液晶樹脂等)等を採用できる。
【0053】
光学変換板243は、光変調装置240から射出された光束の光学特性を変換する。この光学変換板243は、図8に示すように、第1光学変換板243Aと、第2光学変換板243Bとを備える。
第1光学変換板243Aは、入射側偏光板242と略同様の機能を有し、液晶パネル241B(241R,241G)から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみを透過させ、その他の光束を吸収するものであり、透過させる偏光光の偏光軸は、入射側偏光板242における透過させる偏光光の偏光軸に対して直交するように設定されている。この第1光学変換板243Aは、図8に示すように、基板243A1と、偏光軸が所定方向とされた状態で、この基板243A1の光束入射側端面に貼り付けられる偏光膜243A2とを備える。
【0054】
基板243A1は、水晶製の矩形の板材である。この基板243A1は、光学軸方向で9.3W/(m・K)の熱伝導率を有し、この光学軸と直交する方向で5.4W/(m・K)の熱伝導率を有する。なお、基板243A1は、水晶の他、サファイアガラス、石英、または蛍石等で構成してもよい。
偏光膜243A2は、入射側偏光板242の偏光膜242Bと同様の構成である。
そして、この第1光学変換板243Aは、基板243A1の光学軸が所定方向とされた状態で、クロスダイクロイックプリズム244の光束入射側端面に貼り付けられる。なお、この第1光学変換板243Aの貼付方向については、後述の熱伝導板245の説明と同時に説明する。
【0055】
第2光学変換板243Bは、第1光学変換板243Aと同様に、液晶パネル241B(241R,241G)から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみを透過させ、その他の光束を吸収するとともに、液晶パネル241B(241R,241G)から射出された光束の視野角を拡大する。この第2光学変換板243Bは、図8に示すように、基板243B1と、この基板243B1の光束射出側端面に貼り付けられる偏光膜243B2と、基板243B1の光束入射側端面に貼り付けられる視野角補償膜243B3とを備える。
【0056】
基板243B1は、上述した基板243A1と同様のものである。なお、この基板243B1の貼付方向および貼付位置は、後述の熱伝導板245の説明と同時に説明する。
偏光膜243B2は、上述した偏光膜243A2と同様のものであるが光吸収特性が異なる。また、この偏光膜243B2は、その偏光軸が偏光膜243A2と平行となる状態で基板243B1の光束射出側端面に貼り付けられる。
視野角補償膜243B3は、液晶パネル241R,241G,241Bで生じる複屈折を補償し、液晶パネル241R,241G,241Bで形成された光学像の視野角を補正する。そして、視野角補償膜243B3により、投写画像の視野角が拡大され、かつ投写画像のコントラストが向上する。
【0057】
熱伝導板245は、アルミニウムの平板を板金加工することにより略矩形状に形成されている。そして、この熱伝導板245は、第2光学変換板243Bを支持固定するとともに、第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続し、第1光学変換板243A、および第2光学変換板243Bからの熱を伝導可能とする。この熱伝導板245は、図8に示すように、板状部材245Aと、この板状部材245Aから光束入射側に突出する突出部245Bとを備える。
なお、熱伝導板245としては、アルミニウムの他、電気亜鉛メッキ鋼板等にて構成してもよく、射出成型等による成型により形成される熱伝導率の高い合成樹脂製、インバー等の鉄−ニッケル合金、Mg合金、Al合金等の成型品から構成してもよい。
【0058】
板状部材245Aにおいて、略中央部分には、切削等により開口245A1が形成されている。この開口245A1の寸法は、第1光学変換板243Aの基板243A1の外形寸法と略同一か若しくは若干大きく形成され、この開口245A1に基板243A1が嵌合可能となっている。
また、板状部材245Aにおいて、上下端部が貼付部245A2となり、この貼付部245A2の光束射出端面が台座246の側面に熱伝達可能に固定される。この貼付部245A2には、上下辺縁略中央部分に開口245A1に向けて熱間挙動差吸収用の切り欠き245A3が形成されている。
【0059】
突出部245Bは、板状部材245Aにおける開口245A1の左右辺縁に位置し、該開口245A1の切り起こしの一部であり、光束入射側に突出するとともに先端部分が内側に曲折し、断面視L字状に形成されている。この突出部245Bの突出寸法は、クロスダイクロイックプリズム244に対して第1光学変換板243Aおよび熱伝導板245が設置された状態で、第1光学変換板243Aが熱伝導板245の開口245A1から突出する寸法と略同一か若しくは若干大きく形成されている。そして、この突出部245Bの断面視L字状の内側端面が第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続し、接続面245B1として機能する。また、突出部245Bにおいて、断面視L字状の光束入射端面に第2光学変換板243Bが支持固定される。
【0060】
ここで、第1光学変換板243Aは、該第1光学変換板243Aの基板243A1の光学軸が熱伝導板245の突出部245B同士が対向する方向、すなわち、左右方向に向くように、クロスダイクロイックプリズム244に貼り付けられる。
また、第2光学変換板243Bは、該第2光学変換板243Bの基板243B1の光学軸が熱伝導板245の突出部245B同士が対向する方向、すなわち、左右方向に向くように、熱伝導板245の突出部245Bに支持固定される。
この際、第1光学変換板243Aにおける偏光膜243A2の偏光軸、および第2光学変換板243Bにおける偏光膜243B2の偏光軸とは平行する状態となる。また、これら偏光膜243A2および偏光膜243B2の偏光軸は、入射側偏光板242における偏光膜の偏光軸と直交する状態となる。
上述したように第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bを支持することにより、偏光膜243A2,243B2、または視野角補償膜243B3に発生した熱は、熱伝導率が比較的高い光学軸方向に沿って突出部245Bに伝達されるので、第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bの放熱特性を向上できる。
【0061】
クロスダイクロイックプリズム244は、第2光学変換板243から射出され、色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する。このクロスダイクロイックプリズム244には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。
台座246は、クロスダイクロイックプリズム244の上下面(光束入射端面と直交する一対の端面)に固定される。この台座246は、図8に示すように、クロスダイクロイックプリズム244の上面に固定される上台座246Aと、クロスダイクロイックプリズム244の下面に固定される下台座246Bとを備える。
【0062】
上台座246Aは、略直方体状に形成され、外周形状はクロスダイクロイックプリズム244よりも若干小さく、側面がクロスダイクロイックプリズム244の側面よりも内側に離間して配置される。
下台座246Bは、クロスダイクロイックプリズム244の下面を支持固定するプリズム固定板246B1と、プリズム固定板246B1と接続し、光学装置24全体を支持固定する支持体246B2とを備える。
プリズム固定板246B1は、略直方体状に形成され、その上面には球面状の膨出部246B3が形成されている。そして、クロスダイクロイックプリズム244とプリズム固定板246B1とは、接着剤等により固定される。この膨出部246B3により、クロスダイクロイックプリズム244の下面とプリズム固定板246B1とは点で接触することとなる。したがって、クロスダイクロイックプリズム244の4つの直角プリズムの切断精度が悪い状態であっても、クロスダイクロイックプリズム244を三次元的に位置調整することができ、クロスダイクロイックプリズム244をプリズム固定板246B1に適切に固定できる。
また、プリズム固定板246B1の下面には、図示は省略するが、位置決め突起を有する位置決め部が形成され、この位置決め部によりヘッド体26(図1、図2)の所定位置に位置付けられる。
【0063】
支持体246B2は、略矩形状の板体であり、その外形寸法は、クロスダイクロイックプリズム244の外形寸法よりも大きく形成されている。また、この支持体246B2は、図示は省略するが、略中央部分にプリズム固定板246B1を設置するための開口を有している。そして、この開口には、プリズム固定板246B1を所定位置に設置するための位置決め部を有し、プリズム固定板246B1は、支持体246B2の所定位置に設置される。この際、プリズム固定板246B1の下面が支持体246B2の開口から露出する。
この支持体246B2において、その四隅部分には、外側に拡がるように延出する延出部246B4が形成されている。また、この延出部246B4の上面には、光学装置24が組み立てられた状態で、光変調装置240の保持枠249の左右端縁に沿って延び、該保持枠249と熱伝達可能に接続する導熱部246B5が形成されている。
なお、プリズム固定板246B1と支持体246B2とを別体とせずに、一体的に構成してもよい。また、支持体246B2とヘッド体26(図1、図2)とを別体とせずに、一体的に形成する構成を採用してもよい。
【0064】
これら上台座246Aおよび下台座246Bは、マグネシウム合金で構成されている。ただし、これら上台座246Aおよび下台座246Bの材料は、マグネシウム合金に限られない。例えば、軽量で熱伝導性が良好な、Al,Mg,Tiやこれらの合金、インバーおよび42Ni−Fe等の鉄−ニッケル合金、炭素鋼、黄銅、ステンレス等の金属、または、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等のカーボンフィラーを混入させた樹脂(ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、液晶樹脂等)を用いてもよい。
【0065】
ピンスペーサ247は、光変調装置240を熱伝導板245に支持固定するものであり、図8に示すように、平面視略コ字状に形成される2体で構成される。これら各ピンスペーサ247は、2つのピンとしてのピン状突起247Aと、これら2つのピン状突起247Aを連結する連結部分としての連結部247Bとを備える。これらピン状突起247Aおよび連結部247Bは、紫外線光を透過する合成樹脂(アクリル材)を射出成形等により成形される成形品であり、一体的に形成される。
ピン状突起247Aは、略円柱形状を有し、光変調装置240における保持枠249の支持板249Bの孔249Fに挿通され、一端が熱伝導板245の光束入射端面に固定される。
【0066】
連結部247Bは、2つのピン状突起247Aの他端同士を連結するものであり、図7または図8に示すように、各ピン状突起247Aの他端部分から該ピン状突起247Aと直交方向で光変調装置240を避けるように外側に向けて延びる。また、その先端部分が略90°曲折し、該ピン状突起247Aの延出方向で光束入射側に向けて延びる。さらに、その先端部分が略90°曲折し、下方または上方に延びて接続している。
すなわち、連結部247Bは、この形状により、光学装置24が組み立てられた状態では、図7に示すように、光変調装置240の光束入射側で上下方向に延びるように配置される。そして、この連結部247Bの光束入射側端面には、基板242Aの光束射出側端面が当接するように入射側偏光板242が貼り付けられる。
【0067】
なお、ピンスペーサ247は、アクリル材に限らず、紫外線光を透過する他の合成樹脂で構成してもよく、その他、光学ガラス、水晶、サファイア、石英、または蛍石等にて構成してもよい。また、紫外線光を透過する材料に限らず、金属等の熱伝導率の高い部材をピンスペーサ247として採用してもよい。
【0068】
図9は、光学装置24における弾性部材248の配置状態を示す図である。具体的に、図9は、光学装置24における液晶パネル241R側を上方から見た平面図を示している。
弾性部材248は、熱伝導性が良好でありかつ、弾性を有するゴム部材で形成され、各部材間に介装される。そして、この弾性部材248は、各部材間を熱伝達可能に接続する。この弾性部材248としては、例えば、アルミニウム、銀、またはカーボン等の粉末を混入したゴム部材等を採用できる。この弾性部材248は、図9に示すように、第1弾性部材248Aと、第2弾性部材248Bと、第3弾性部材248Cとを備える。
【0069】
第1弾性部材248Aは、熱伝導板245の2つの貼付部245A2と、上台座246Aの側面および下台座246Bにおけるプリズム固定板246B1の側面との間に介装され、熱伝導板245および台座246を熱伝達可能に接続する。
第2弾性部材248Bは、熱伝導板245における突出部245Bの接続面245B1と第1光学変換板243Aの基板243A1との間に介装され、第1光学変換板243Aおよび熱伝導板245を熱伝達可能に接続する。
そして、光学装置24を組み立てる際には、熱伝導板245をクロスダイクロイックプリズム244に向けて押圧し、上述した第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bを圧縮する。このようにすることで、第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bの各部材に対する密着性が向上し、各部材間における熱伝達特性を良好にする。
第3弾性部材248Cは、下台座246Bにおける支持体246B2の導熱部246B5と光変調装置240における保持枠249の左右側面とを接続するように配置され、光変調装置240および下台座246Bを熱伝達可能に接続する。
【0070】
〔4〕実施形態の効果
(1)光学装置24は、クロスダイクロイックプリズム244の各光束入射側端面に対して2つのピンスペーサ247を備え、各ピンスペーサ247は、2つのピン状突起247Aと、これらピン状突起247Aにおける光束入射側の他端同士を連結する連結部247Bとで構成される。このことにより、ピン状突起247Aが挿通される光変調装置240の孔249Fの軸方向の長さ寸法が短い場合であっても、従来のような複数のピンがそれぞれ別体とされる構成と比較して、ピンスペーサ247の自重により各ピン状突起247Aが傾斜することを回避できる。したがって、光学装置24は、各ピン状突起247Aの傾斜を回避することにより、3つの光変調装置240における相互の位置ずれを回避でき、画素ずれのない良好な光学像を形成できる。
【0071】
(2)2つのピン状突起247Aは、連結部247Bにより各ピン状突起247Aにおける光束入射側の他端同士で連結されるので、光変調装置240を支持する各ピン状突起247Aの光束射出側の一端が、熱伝導板245の光束入射側端面に接着固定されることとなる。このため、光変調装置240を支持する各ピン状突起247Aと熱伝導板245の光束入射側端面との接着面積が比較的小さくなり、各ピンスペーサ247と熱伝導板245との部材間に生じる熱応力により各ピンスペーサ247が受ける影響が小さくなり、各ピンスペーサ247の位置ずれを回避できる。したがって、光学装置24は、各ピンスペーサ247の位置ずれを回避することにより、3つの光変調装置240における相互の位置ずれを回避でき、画素ずれのない良好な光学像を形成できる。
【0072】
(3)2つのピン状突起247Aが連結部247Bにて互いに連結されているので、従来のように各ピンがそれぞれ別体とされる構成と比較して、ピンスペーサ247を光変調装置240における保持枠249の孔249Fに挿通しやすく、光学装置24を容易に製造できる。
(4)連結部247Bは、2つのピン状突起247Aの光束入射側の他端同士を連結し、光変調装置240の光束入射側に位置するので、ピンスペーサ247を介してクロスダイクロイックプリズム244に対して光変調装置240を接合固定する際に、該連結部247Bをクロスダイクロイックプリズム244側に押押圧することで、各ピン状突起247Aの光束射出側の一端を熱伝導板245の光束入射側端面に確実に当接できる。したがって、ピンスペーサ247を確実に熱伝導板245に接着固定でき、クロスダイクロイックプリズム244に対する光変調装置240の接合状態を適切な状態とすることができる。
【0073】
(5)連結部247Bの光束入射側端面には、入射側偏光板242が貼り付けられているので、入射側偏光板242を保持する保持部材を別途設ける必要がなく、光学装置24の小型化を図れるとともに、光学装置24の製造コストの低減を図れる。また、このような構成により、例えば、入射側偏光板242が一体化していない光学装置と比較して、入射側偏光板242および光学変換板243の相互の位置を調整する際に、光学装置24をライトガイド25内に収納しなくても、光学装置24単体で位置調整を実施できる。したがって、光学装置24の製造をさらに容易に実施できる。
【0074】
(6)連結部247Bは、上下の2つのピン状突起247Aを連結し、上下方向に沿って延びるので、光学装置24の各光束入射端面において、下方から上方に向けて冷却空気を流通させる場合、または上方から下方に向けて冷却空気を流通させる場合に、この連結部247Bにより冷却空気の流れを塞ぐことがない。また、この連結部247Bが冷却空気の案内部として機能する。したがって、光学装置24にて発生した熱により温められた空気が光学装置24の近傍に滞留することがなく、常に新鮮な冷却空気が光学装置24に送風されることとなり、光学装置24の冷却効率を向上できる。
【0075】
(7)保持枠249は、凹形枠体249Aおよび支持板249Bを備え、支持板249Bには、ピンスペーサ247におけるピン状突起247Aを挿通可能とする4つの孔249Fが形成され、これらの孔249Fは、バーリング孔である。このことにより、孔249Fの軸方向の長さ寸法が実質的に長くなり、ピン状突起247Aの側面と孔249Fの内側面との接着面積を確保できる。したがって、ピンスペーサ247の構造とともに、ピン状突起247Aの傾斜を回避できる。
【0076】
(8)光学装置24は、熱伝導板245を備え、この熱伝導板245は、光学変換板243と熱伝達可能に接続するとともに、クロスダイクロイックプリズム244の上下両面に固定された台座246の側面と熱伝達可能に接続する。このことにより、熱伝導板245を介して、光学変換板243に発生した熱を台座246に放熱できる。また、光変調装置240は、第3弾性部材248Cを介して下台座246Bの導熱部246B5と接続する。このことにより、光変調装置240で発生した熱を導熱部246B5に放熱できる。したがって、光学変換板243および光変調装置240の放熱特性を向上し、光学装置24の冷却効率を向上できる。さらに、光学装置24は、下台座246Bの支持体246B2を介して金属製のヘッド体26に載置固定され、このヘッド体26は、金属製のライトガイド25に固定される。このことにより、光変調装置240および光学変換板243にて発生した熱は、台座246まで辿った後、さらにヘッド体26〜ライトガイド25に伝達される。したがって、光学装置24に熱が篭ることがなく、光学装置24の冷却効率をさらに向上できる。
【0077】
(9)熱伝導板245の貼付部245A2と台座246の側面とが第1弾性部材248Aにより接続されているので、熱による各部材の寸法変化(膨張、収縮)を第1弾性部材248Aにて吸収できる。したがって、熱伝導板245および台座246の接続状態を保持でき、画素ずれ等をさらに防止し、光学装置24にて良好な光学像を形成できる。
(10)プロジェクタ1は、上述した光学装置24を含んで構成されているので、投写レンズ3により鮮明な画像をスクリーン上に投写できる。
【0078】
〔5〕実施形態の変形
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。
前記実施形態では、保持枠249において、孔249Fが4つ形成されていたが、これに限らず、少なくとも2つ以上形成されていればよい。また、これらの孔249Fの形成位置も特に限定されず、開口部249Cの周縁部分であればよい。ピンスペーサ247を構成するピン状突起247Aも保持枠249の孔249Fの数に対応して設ければよい。
【0079】
前記実施形態では、4つのピン状突起247Aのうち、上下の2つのピン状突起247Aが連結部247Bにて連結される構成を説明したが、これに限らない。少なくとも2つのピン状突起247Aを連結する構成であればよく、例えば、4つのピン状突起247Aのうち、3つのピン状突起247Aを連結する構成としてもよく、4つ全てのピン状突起247Aを連結する構成としてもよい。
【0080】
前記実施形態では、上下の2つのピン状突起247Aは、各ピン状突起247Aの光束入射側の他端同士が連結部247Bにて連結される構成を説明したが、これに限らない。各ピン状突起247Aの光束射出側の一端同士を連結する構成を除けば、各ピン状突起247Aにおけるいずれの位置で連結してもよい。
前記実施形態において、光学装置24の構成は、上述した実施形態の構成に限らない。例えば、光学装置24を構成する熱伝導板245を省略し、各ピン状突起247Aの光束射出側の一端を、クロスダイクロイックプリズム244の光束入射端面、または台座246の側面に固定してもよい。
【0081】
前記実施形態では、ピンスペーサ247における連結部247Bの光束入射側端面には、入射側偏光板242が貼り付けられた構成を説明したが、これに限らず、その他、位相差板、色補正板、または視野角補償板等を貼り付けてもよい。
前記実施形態では、保持枠249は、凹形枠体249Aと支持板249Bとで構成され、支持板249Bに4つの孔249Fが形成された構成であったが、これに限らず、凹形枠体に孔が形成された従来の保持枠を採用してもよい。
【0082】
前記実施形態では、下台座246Bにおける支持体246B2は、導熱部246B5を有し、第3弾性部材248Cを介して光変調装置240の保持枠249と熱伝達可能に接続されている構成を説明したが、これに限らない。例えば、導熱部246B5を光変調装置240の他、熱伝導板245の左右辺縁と熱伝達可能に接続してもよい。このような構成では、熱伝導板245〜導熱部246B5の熱伝達経路を確保できるので、第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bの放熱特性をさらに向上させることができる。
【0083】
前記実施形態において、ライトガイド25の形状および構成は、上述した形状および構成に限らない。例えば、ライトガイド25は、固体状の部材である位置決め部材253を具備し、光学部品212〜215,221〜223,231〜234を、該位置決め部材253とともにライトガイド25に対して固定する構成を説明したが、これに限らず、例えば、位置決め部材を液状の部材から構成する。例えば、この液状の位置決め部材としては、光硬化型接着剤または熱硬化型接着剤等の接着剤を採用できる。そして、例えば、下ライトガイド251の部品収納部251B、または上ライトガイド252に光学部品212〜215,221〜223,231〜234と当接する部分を形成しておく。そして、この当接部分に光硬化型接着剤、または熱硬化型接着剤を塗布して光学部品212〜215,221〜223,231〜234を当接させ、外部の光軸調整治具等を用いて光学部品212〜215,221〜223,231〜234の位置調整を実施する。この際、光学部品212〜215,221〜223,231〜234は、光硬化型接着剤、または熱硬化型接着剤の表面張力によりライトガイド25に対して所定位置で位置決めされる。この後、光硬化型接着剤、または熱硬化型接着剤を硬化させて光学部品212〜215,221〜223,231〜234をライトガイド25に対して固定する。このような構成では、光学部品212〜215,221〜223,231〜234がライトガイド25に収納された状態で、固体状の位置決め部材253を省略できるので、光学ユニット2の軽量化を図れる。
【0084】
前記実施形態では、3つの光変調装置を用いたプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、1つの光変調装置のみを用いたプロジェクタ、2つの光変調装置を用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の光変調装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の光変調装置を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の光変調装置を用いてもよい。
前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投写を行なうフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投写を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
【0085】
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0086】
【実施例】
本発明の効果を確認するために以下の実験を実施した。
以下の実験では、前記実施形態における光学装置24の他、光学装置24と構造の異なる2つの光学装置をそれぞれ使用する。
光学装置24を使用した実験を実施例1とし、光学装置24と構造の異なる2つの光学装置を使用した実験をそれぞれ比較例1および比較例2とする。
比較例1に使用した光学装置は、実施例1に用いた光学装置24において、ピンスペーサ247の連結部247Bを省略し、4つのピン状突起247Aがそれぞれ別体で構成されたものである。
【0087】
また、比較例2に使用した光学装置は、実施例1に用いた光学装置24の光変調装置240、クロスダイクロイックプリズム244、および台座246と略同様の部材とともに、光変調装置を保持する保持部材、および、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に貼り付けられる射出側偏光板を備える。
このうち、保持部材は、ポリカーボネートを射出成形等により成形した成形品であり、光変調装置の画像形成領域に対応する開口を有する略矩形板状に構成され、四隅角部分には、板面から面外方向に4つのピン状突起が突出している。そして、これら4つのピン状突起を連結する連結部分である板面は、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に接着固定される。
【0088】
以上の実施例1、比較例1,2では、それぞれ3つの光学装置を、高温環境下(85℃)において長時間(72時間)放置する高温放置実験、および、所定の環境下において温度を−25℃〜65℃に変化させるヒートショック実験を実施し、各光学装置における液晶パネルの画素ずれ量を比較した。結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
ここで、画素ずれ量の測定では、各実験前に所定の画素位置を基準画素位置として設定しておき、実験後に所定の画素位置を測定し、測定した画素位置と基準画素位置との偏差を画素ずれ量として算出する。
【0091】
結果として、比較例1では、表1に示すように、高温放置実験後およびヒートショック実験後の双方で、大きい画素ずれ量を示した。高温放置実験後およびヒートショック実験後の双方の光学装置を確認すると、光変調装置を支持固定する4つのピン状突起が熱伝導板に対して傾斜していた。これは、高温環境下または所定の環境下での温度変化において、光学装置製造時に、ピン状突起がその自重により傾いて接着されたこと、傾いて接着されたピン状突起の接着剤の量の差による熱膨張量の差により、クロスダイクロイックプリズムに対して固定された3つの光変調装置の相互の位置がずれたものと考えられる。そして、比較例1では、このようなピン状突起の傾斜が大きい画素ずれ量を引き起こしている。
【0092】
比較例2では、表1に示すように、高温放置実験後の画素ずれ量は、小さい値を示したが、ヒートショック実験後の画素ずれ量は、若干大きい値を示した。高温放置実験後およびヒートショック実験後の双方の光学装置を確認すると、比較例1にて確認されたピン状突起の傾斜は見られなかった。ヒートショック実験後では、保持部材とクロスダイクロイックプリズムとが熱膨張係数が異なるため、所定の環境下での温度変化によりこれら各部材間の熱応力が大きくなり、クロスダイクロイックプリズムに対して固定された保持部材の位置が良好に維持されず、光変調装置の位置がずれてしまったものと考えられる。
【0093】
実施例1では、高温放置実験後およびヒートショック実験後の双方の光学装置24を確認すると、比較例1にて確認されたピン状突起247Aの傾斜は見られず、表1に示すように、高温放置実験後およびヒートショック実験後の双方で、比較的小さい画素ずれ量を示した。これは、連結部247Bがピン状突起247Aの傾斜を回避しているものと考えられる。また、光変調装置240を支持固定するピンスペーサ247は、ピン状突起247Aの一端が熱伝導板245の光束入射側端面と接合しているので、ピンスペーサ247と熱伝導板245との接合面積が小さい。このため、ヒートショック実験において、所定の環境下で温度を変化させても、熱伝導板245とピンスペーサ247との間に発生する熱応力がピンスペーサ247に与える影響が小さく、ピンスペーサ247の位置ずれを回避できたものと考えられる。
したがって、本発明の光学装置24の構造を採用することで、光変調装置240の位置ずれを回避し、画素ずれのない良好な光学像を形成できることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光学装置を備えたプロジェクタの構造を示す斜視図。
【図2】前記実施形態における光学ユニットの内部構造を模式的に示す平面図。
【図3】前記実施形態における下ライトガイドの構造を示す斜視図。
【図4】前記実施形態におけるレンズの保持構造を説明するための図。
【図5】前記実施形態におけるダイクロイックミラーの保持構造を説明するための図。
【図6】前記実施形態における反射ミラーの保持構造を説明するための図。
【図7】前記実施形態における光学装置の概略構成を示す全体斜視図。
【図8】前記実施形態における光学装置の構造を示す分解斜視図。
【図9】前記実施形態における光学装置の弾性部材の配置状態を示す図。
【符号の説明】
1・・・プロジェクタ、3・・・投写レンズ(投写光学装置)、24・・・光学装置、211・・・光源装置、240・・・光変調装置、241R,241G,241B・・・液晶パネル(光変調素子)、242・・・入射側偏光板(光学変換素子)、247A・・・ピン状突起(ピン)、247B・・・連結部(連結部分)、249・・・保持枠、249A・・・凹形枠体、249B・・・支持板、249C・・・開口、249F・・・孔。
Claims (6)
- 複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記光変調装置で変調された各色光を合成して射出する色合成光学装置とが一体的に設けられた光学装置であって、
前記光変調装置は、光変調を実施する光変調素子と、この光変調装置の画像形成領域に応じた開口、およびこの開口周縁に複数の孔を有し、前記光変調素子を収納する保持枠とを備え、
当該光学装置は、前記複数の孔に対応する複数のピンを具備し、前記複数のピンが前記複数の孔に挿通され、前記複数のピンを介して前記光変調装置および前記色合成光学装置が一体構成されたものであり、
前記複数のピンのうち、少なくとも2つのピンは、前記色合成光学装置側の一端から離隔した部分で互いに連結されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1に記載の光学装置において、
前記少なくとも2つのピンは、前記光変調装置の光束入射側で互いに連結されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項2に記載の光学装置において、
前記少なくとも2つのピンの連結部分には、入射光の光学特性を変換する光学変換素子が貼り付けられていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学装置において、
前記少なくとも2つのピンの連結部分は、当該光学装置に送風される冷却空気の流路に沿って延びていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学装置において、
前記保持枠は、前記光変調素子を収納する凹形枠体と、前記複数の孔を有し、この凹形枠体に収納された光変調素子を押圧固定する支持板とを備え、
前記複数の孔は、前記支持板に形成された孔の内周縁を面外方向に突出させたバーリング孔であることを特徴とする光学装置。 - 光源と、請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学装置と、前記光学装置から射出される光学像を拡大投写する投写光学装置とを備えていることを特徴とするプロジェクタ。
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