JP2012226121A - 偏光変換素子、偏光変換ユニット及び投射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の透光性基板と、透光性基板間に交互に設けた偏光分離膜及び反射膜と、を有する光学素子と、光学素子の光出射面に配置し、光学素子からの出射光の偏光面をθ回転させる積層波長板20と、を備えた偏光変換素子において、透光性基板を接着する接着層の厚みを5μm以上10μm以下とし、積層波長板20は、波長λの光に対して、位相差Γ1の第1の波長板30と、位相差Γ2の第2の波長板40と、を各々の光学軸が交差するように積層し、位相差Γ1と位相差Γ2との関係は、|Γ1−Γ2|=180(deg)であり、第1の波長板30の光学軸方位角θ1と第2の波長板40の光学軸方位角θ2とは互いに直交するようにした。
【選択図】図17
Description
この投射装置では、光の利用効率を向上させるために、光源装置から出射されたランダムな偏光(互いに偏光面が直交するP偏光とS偏光や、偏光面の方向が様々な直線偏光が混在した光、円偏光、楕円偏光、等の偏光)を有する光(以下、ランダム光と称す)を複数の中間光束に分割し、この分割された中間光束を1種類の直線偏光光に変換し、統一して出射するために偏光変換素子が用いられている。
なお、かかる偏光変換素子は、特許文献1や特許文献2に開示されているような構造を有するものが一般的であった。
前記PBS膜を透過したP偏光光束は、1/2波長板に入射すると、位相が180(deg)ずれることにより、S偏光の光に変換されて1/2波長板から入射し、前記PBS膜を反射したS偏光光束は、反射ミラー膜でさらに反射して、前記PBSアレイの1/2波長板が配置されていない領域の出射面から出射する。
結果として、前記偏光変換素子から出射する光はS偏光の光に統一されることとなる。
ただし、上記とは逆に、前記PBS膜においてS偏光光束を透過してP偏光光束を反射するようにし、前記PBS膜を透過したS偏光光束を1/2波長板によりP偏光光束に変換し、前記PBS膜で反射したP偏光光束を反射ミラー膜で反射して前記PBSアレイの1/2波長板が配置されていない領域の出射面から出射させるようにすることで、偏光変換素子から出射する光をP偏光に統一することも出来る。
偏光分離膜91及び反射(ミラー)膜92が形成された透光性基板98と、これらの膜が形成されていない透光性基板98と、を接着層93により交互に貼り合わせ、この貼り合わせた積層体を所定の角度、例えば45(deg)(あるいは135(deg))で切り出し、その切断面を研磨して、光入射面951及び光出射面952を形成した素子本体95に、接合層96を介して位相差板97を接合している。
ところで、上記のような構成を有する偏光変換素子を採用した液晶プロジェクター等に用いられる光源としての白色の光源ランプは、近年、高出力化、短アーク長化が進行しており、上述のPBSアレイ、及び1/2波長板に対する熱負荷が増大している。
そこで、特許文献3では、偏光分離素子アレイに、水晶部材により形成され、偏光分離膜で分離されたいずれか一方の直線偏光光束の偏光軸を他方の直線偏光光束の偏光軸に変換する複数の位相差板を、前記偏光分離素子アレイの光束射出側に、所定の厚さを有するスペーサ部材を介して配置することを特徴とする偏光変換ユニットが提案されている。更に、前記スペーサ部材が被着体の貼り直しが可能となるように両面テープとすることが記載されている。
ところが、図29に示したような偏光変換素子を作成する際に、透光性基板98を積層して接着するために従来用いられる接着剤(接着層93)だと、高輝度ランプ光に対応出来ず、劣化して光の透過率が低下してしまうという問題があった。
その原因としては、従来用いられる接着剤が短波長光の吸収率が高い成分で構成されていること、粘度が高いために塗布量が多くなって接着層93が厚くなりその結果光の吸収量が多くなること、分解温度が低い成分で構成されていること、などが考えられる。
また、接着層93近傍における透光性基板98の角部981が削られることで、光が有効に透過する領域が小さくなるという問題もある。
さらに、以上説明したような偏光変換素子に用いられる1/2波長板(位相差板)としては、光の三原色であるR、G、Bの3波長帯を用いる液晶プロジェクターに適用可能なように、所定の波長の光に対して位相差が180(deg)となり、偏光変換効率が1となって確実にP偏光をS偏光に変換し、あるいはS偏光をP偏光に変換可能な仕様を有する1/2波長板が求められている。
また、それのみならず、1/2波長板は、偏光変換素子へ入射する光の入射角度0±3(deg)から0±10(deg)の範囲で、確実に光学特性を発揮することが求められる。
本発明の目的は、上記の課題を解決するためになされたものであり、接着剤として、耐熱・耐光性能に優れた紫外線硬化製樹脂接着剤を用い、更に、入射する光に対して確実に1/2波長板として機能する波長板を備えた偏光変換素子の構造を実現することを目的とする。
θ1=45(deg)
θ2=135(deg)
又は
θ1=135(deg)
θ2=45(deg)
を満足する偏光変換素子を特徴とする。
また、接着層の厚みが10μm以下であり、十分に薄いため、光入射面などを研磨する際に透光性基板の角部が削られてしまうことがない。従って、光の透過領域が狭くなるという問題もない。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る偏光変換素子の一例を示す図である。
図1に示すように、本発明に係る偏光変換素子1は、上述のPBSアレイである素子本体(光学素子)10と、素子本体10に選択的に接合された、水晶等の無機光学結晶からなる位相差板(積層1/2波長板)20と、を備える。
水晶等の無機光学結晶は、熱伝導性に優れるため、背景技術で述べた有機系材料で作製した位相板に比べ、耐熱性に優れ、高熱による光学特性の劣化の懸念がない。
また、位相差板の材質としては、水晶の他に、リチウムタンタレート、サファイアなども適用可能である。
なお、後述する図25に示すように、偏光変換素子1においては、2つの素子本体10を連結して組み込むが、図1では、一部のみを表示している。
図1に示すように、素子本体10は、複数の透光性基板11と、複数の透光性基板11の間に交互に設けられた偏光分離膜(偏光分離部)12及び反射膜(反射部)13と、複数の透光性基板11の間にそれぞれ設けられて、透光性基板11を接着する接着層14と、を備えている。
また、素子本体10は、光入射面16あるいは光出射面17に対して所定の傾斜角度を有する接合面11aにより複数の透光性基板11を偏光分離膜(偏光分離部)12と反射膜(反射部)13とを交互に挟んで接着層14により接合されている。
偏光分離膜12は、外部からの入力光(S偏光光及びP偏光光)のうち、P偏光光を選択的に透過させ、S偏光光を反射させる。
反射膜13は、偏光分離膜12により反射されたS偏光光を、光出射面17に向けて反射させる。
ここで、接着層14は、その厚みが5μm以上10μm以下である。
接着層14は、変性アクリレート又は変性メタクリレートを主成分とする紫外線硬化型の接着剤により形成されるため、上記のような厚みとすることが出来る。
従来の紫外線硬化型の接着剤では、変性アクレート又は変性メタクリレートを主成分としていなかったために、粘度が高く、接着層の厚みが10μm以上20μm以下となってしまっていた。
これにより、透光性基板11と位相差板20とが十分に接合されず、位相差板20が、剥がれやすくなる。
また、透光性基板11と、位相差板20との間に発生した気泡により光の透過率が落ちる。
しかし、接着層の厚みが5μm以上10μm以下であれば、透光性基板11の角部が削れにくい為に気泡が発生せず、位相差板20が透光性基板11から剥がれやすくなったり、光の透過率が落ちたりする不具合を解消することが出来る。
なお、本実施形態に用いられる接着剤としては、例えば、UT20、HR54(商品名、株式会社アーデル製)などが挙げられる。
この位相差板20は、上記のように水晶により作製された1/2波長板であり、偏光分離膜12を透過したP偏光光をS偏光光に変換する。
ただし、偏光変換素子1において、P偏光光に統一して出射する場合には、位相差板20を反射膜13の上部に設けるようにする。
なお、接合層21は、分子接合するプラズマ重合膜であり、その主材料は、ポリオルガノシロキサンである。プラズマ重合膜は、プラズマ重合法により形成されてシロキサン結合を含み、結晶化度が45%以下であるSi骨格と、このSi骨格に結合する有機基からなる脱離機とを含む。そして、エネルギーを付与して表面付近に存在する脱離基がSi骨格から脱離することにより、接着性を発現する。
上記したが、図2(A)に示すように、プラズマ重合膜は、Si骨格21Bを含むシロキサン結合(Si−O)21Aと、Si骨格21Bと結合してる脱離基21Cと、を含む。
図2(A)に示すようなプラズマ重合膜よりなる接合層21にエネルギーが付与されると、図2(B)に示す通り、図2(A)に示されていた脱離基21Cが、Si骨格21Bから脱離する。これにより、接合層21の表面及び内部に、活性手21Dが生じ、活性化される。
その結果、接合層21の表面に接着性が発現する。このような接着性が発現すると、接合層21は強固に接合可能となる。なお、接合層21のSi骨格21Bの結晶化度は45%以下であることが好ましく、40%以下であることがより好ましい。これにより、Si骨格21Bは充分にランダムな原子構造を含むものとなり、これにより、Si骨格21Bの特性が顕在化する。
ここで、「活性化させる」とは、接合層21の表面及び内部の脱離基21Cが脱離して、Si骨格21Bにおいて終端化されていない結合手(以下、「未結合手」または「ダングリングボンド」ともいう。)が生じた状態や、この未結合手が水酸基(OH基)によって終端化された状態、または、これらの状態が混在した状態のことをいう。
従って、活性手21Dとは、未結合手(ダングリングボンド)、または未結合手が水酸基によって終端化されたもののことをいい、このような活性手21Dによれば、接合層21の強固な接合が可能となる。
また、接着剤を用いない無機的な接合方法であるので、接着剤の劣化によって光学特性が影響を受けることがない。
また、接着層14の厚みが5μm以上10μ以下であることで、透光性基板11の角部が削れにくいことで、プラズマ重合法により隙間無く接合層21を形成して、透光性基板11と位相差板20とを強力に接合出来る。
なお、位相差板20と光出射面17との接合方法は、このプラズマ重合法に限ることはなく、上記した変性メタクリレート又は変性アクリレートを主成分とする接着剤によって接合してもよい。
原子拡散接合法とは、まず、真空容器内におけるスパッタリングやイオンプレーティング等の真空成膜により、素子本体10を構成する透光性基板11及び位相差板20に、それぞれ微結晶連続薄膜を成膜する。そして、微結晶連続薄膜同士を、成膜中又は成膜後に重ね合わせて、接合界面及び結晶粒界において原子拡散を生じさせることにより、透光性基板11及び位相差板20の間で強固に接合する方法である。
なお、微結晶連続薄膜同士を重ね合わせるだけでなく、透光性基板11及び位相差板20のいずれか一方に微結晶連続薄膜を形成し、他方に微結晶構造を形成し、そしてこれらの微結晶連続薄膜と微結晶構造とを重ね合わせることにより、原子拡散接合を実施することも出来る。
この場合も、接着剤を用いない無機的な接合方法であるので、接着剤の劣化によって光学特性が影響を受けることがない。
図4は、図3の偏光変換素子の一部分を拡大して示した断面図である。
なお、図1と同様の構成については、同じ符号を付して詳細な説明を省略している。
図3、図4に示す偏光変換素子は、PBSアレイとしての素子本体10と、素子本体10に接合され、1/2波長板として機能し、入射した直線偏光の偏光面を90(deg)回転させて出射する水晶製の位相差板20と、を備える。
素子本体10は、略直方体形状であり、2つの素子本体10A、10Bが向かい合う長手方向の端部同士を互いに接合し、接合面10Cに対して対称関係となっている。
この素子本体10は、互いに略平行な光入射面10Dと光出射面10Eとを有する。
また、素子本体10は、複数の透光性基板11との間に、長手方向に沿って交互に並んで配置された偏光分離膜12と反射膜13とを有する。
また、複数の透光性基板11は、それぞれ光入射面10D或いは、光出射面10Eに対して所定の傾斜角度を有した接合面11aによって接合されている。
偏光分離膜12は、光入射面10Dに入射した光を、偏光方向が互いに直交する異なる2種類の直線偏光に分離して一方の直線偏光を透過させ、他方の直線偏光を反射させる。
本実施形態では、偏光分離膜12は、光入射面10Dに入射したランダム偏光光のうちP偏光光を選択的に透過させ、S偏光光を反射させる。
反射膜13は、偏光分離膜12により反射された他方の直線偏光を反射し、光路の向きを変える。即ち、反射膜13は、偏光分離膜12にて反射されたS偏光光を光出射面10Eに向けて反射させる。
素子本体10は、図4に示すように、複数の透光性基板11を互いに接合する接着層14を有する。
更に、変性アクリレート又は変性メタクリレートを主成分とする紫外線硬化型の接着剤を用いると、接着層14の厚みを5μm以上10μmと薄くできる。変性アクリレート又は変性メタクリレートを主成分とする紫外線硬化型の接着剤としては、例えば、UT20、HR154(商品名、株式会社アーデル製)などが挙げられる。
接着層14は、所定の厚さW1を有する。
位相差板20は、偏光分離膜12を透過したP偏光光に180(deg)の位相差を生じさせて当該P偏光光の偏光面を90(deg)回転させるので、反射膜13により反射されたS偏光光の偏光面と平行な直線偏光、即ち、S偏光光に変換して出射する。
また、図3に示すように、位相差板20は、櫛状(すだれ状)である。
この位相差板20(20A、20B)は素子本体10に接合されて光が透過しない基部20C(20C1、20C2)と、この基部20Cから延在され、光が透過する位相差部20D(20D1、20D2)と、を有する。
即ち、基部20Cは、素子本体10の光学領域である有効エリア(E)の外に配置されている。基部20Cの長手方向、即ち、偏光分離膜12と反射膜13とが交互に並べられた方向に沿って、接合されている。
即ち、一方の位相差板20Aの基部20C1は、他方の位相差板20Bにおける位相差部20D2の先端部20E2に接近しており、他方の位相差板20Bの基部20C2は、一方の位相差板20Aにおける位相差部20D1の先端部20E1に接近している。
なお、基部20Cは、その主平面が、長尺の矩形状であり、その幅は、例えば3mmから4mm程度である。
この接合膜は、接着層14と同様に、紫外線硬化型等の光学系接着剤やプラズマ重合膜により設けられている。接合膜は、光路上に配置されない、光学領域である有効エリアEの外側に配置されることが望ましいため、基部20Cと素子本体10の長手方向に並行な端縁部10F、10Gとの間にのみ形成されていることが望ましい。
位相差板20(位相差部20D)は、いわば短冊状であり、その厚さは基部20Cと同じである。位相差部20Dは、基部20Cから延在され、素子本体10の光出射面10Eにおける偏光分離膜12の上部の領域に配置されている。隣り合う複数の位相差部20Dは、互いに所定幅の隙間W2をもって配置されており、隙間W2には、反射膜13で反射されたS偏光光がそのまま通過する。
位相差部20Dは、図4に示すように、それぞれ素子本体10の光出射面10Eに対向する光入射面20Fを有する。
図3、図4の構成によれば、位相差板20の位相差部20Dが、素子本体10に接着剤により接着されないので、接着剤の劣化による光学特性の劣化を回避することが出来る。
また、複数の位相差部20Dが、基部20Cと一体となっているため、位相差板20の素子本体10への組み付けも容易である。
図5は、さらに他の実施形態に係る偏光変換素子を示す分解斜視図であり、図5(a)は、偏光変換素子の概観斜視図であり、図5(b)は、偏光変換素子の組み立てを説明する組立図である。
図5を参照して、他の実施形態に係る偏光変換素子1の構成と組み立て方法を説明する。
偏光変換素子1は、平板状の素子本体10と、水晶部材により形成された短冊状の複数の位相差板20と、2つのスペーサ部材としての両面テープ25と、を備えて構成されている。
図5(b)に示すように、偏光変換素子1の組み立ては、最初に、平板状の素子本体10の光束射出側面で、素子本体10の上下(Z方向)両端部に各々両面テープ25を貼着する。
次に、貼着した両面テープ25の上方(Y方向)から各位相差板20を、偏光分離膜12に対応する各々の位置に合致させて両面テープ25の上面に載置し、各位相差板20を押圧する。この一連の組み立て工程により、偏光変換素子1が完成する。なお、この組み立ては、組み立て用の治具を用いて行なわれる。
なお、両面テープ25は、被着体の貼り直しが可能である。また、両面テープ25のテープ厚みは、0.15mmのものを用いている。このような両面テープ25を用いることにより、各位相差板20を両面テープ25の上面に載置した際、何らかの理由により、載置した位置が適正でなかった場合には、適正な位置ではない位相差板20を、両面テープ25から剥がして貼り直している。
このようにして組み立てられた偏光変換素子1は、素子本体10の光束射出側の両端部と、位相差板20の光束入射側の両端部との間に両面テープ25を挟み込んだ形態となる。なお、両面テープ25は、偏光変換素子1において、光源から射出された光束の有効範囲外の部位に各々位置している。
製造工程は、大きく分けて膜形成工程と、接着工程と、切断工程と、研磨工程と、から成っている。
図6乃至図12は、本実施形態にかかる偏光変換素子、特に素子本体の製造工程を説明する図である。
[膜形成工程]
最初の膜形成工程では、図6に示すように、まず複数の透光性基板(ガラス等の無色透明基板)11Aが準備される。これらの透光性基板11Aは、互いに略平行な第1面11A1及び第2面11A2を有している。
複数の透光性基板11Aのうち、いくつかの透光性基板11Aの第1面11A1には、偏光分離膜12が形成され、第2面11A2には、反射膜13が形成される。
その他の透光性基板11Aの第1面11A1及び第2面11A2には、これらの膜の何れかが形成されるか、あるいは何れの膜も形成されていない。
図7に示す接着工程では、偏光分離膜12及び反射膜13が形成された透光性基板11Aと、これらの膜が形成されていない透光性基板11Aと、が接着剤14Aによって交互に貼り合わされる。このとき、偏光分離膜12と反射膜13とが透光性基板11Aを挟んで交互に積層されるようにする。
ここで、接着剤14Aとして変成アクリレート又は変性メタクリレートを主成分とする接着剤を使用し、その塗布量は、硬化後の厚みが5〜10μmとなるように調整する。
これにより、偏光分離膜12と透光性基板11Aの間と、反射膜13及び第2の透光性基板の間に、それぞれ接着層14が形成される。そして、複数の透光性基板11Aが接合された積層体400が形成される。
なお、透光性基板11Aの第1面11A1にほぼ平行な方向から紫外線を照射してもよい。
下記の表1に示したように、紫外線(UV)照射量を変化させて硬化試験1から硬化試験7までを実施した。その結果、引張強度については、表1、図9(A)、(B)に示すようになり、せん断強度については、表1、図10(A)、(B)に示すようになった。
すなわち、図9(A)、(B)に示すように、紫外線照射量が15,000mJ/cm2以上45,000mJ/cm2以下、特に20,000mJ/cm2以上35,000mJ/cm2以下の場合、接着層14の引張強度が高くなるため好ましい。また、図10(A)、(B)に示すように、紫外線照射量が15,000mJ/cm2以上60,000mJ/cm2以下、特に25,000mJ/cm2以上50,000mJ/cm2以下の場合は、接着層14のせん断強度が高くなるために好ましい。なお、表1中、各硬化試験は、2回ずつ実施している。
[表1]
図12に示す、続く研磨工程では、切り出された積層ブロック410の切断面410Aを研磨装置500で研磨することにより、偏光変換素子1の素子本体10が得られる。
実施例1及び比較例1により、本発明に用いる接着剤(接着層)の耐熱性について評価した。
図13は、実施例1及び従来例1の耐熱性試験を示す図である。
実施例1では、接着剤(UT20 株式会社アーデル製)により、2枚のガラス板を貼り合わせ、所定量の紫外線を照射した。これにより、実施例1の試験片600を作製した。
一方、比較例1では、従来の接着剤(PHOTOボンド300 サンライズMSI株式会社製)により2枚のガラス板を貼り合わせ、所定量の紫外線を照射した。これにより、比較例1の試験片601を作製した。
これら試験片600、601を固定枠610内に固定した後、試験片600、601をプロジェクターの偏光変換素子を設置すべき場所に組み込み、試験片600、601に光源ランプの光が照射された時、試験片の温度が120℃となるようにプロジェクターの冷却機構を調整した。図13では、3800時間この環境下に放置した場合の試験結果が示されている。
さらに、試験片600、601をこの環境下に放置し続けた結果、4800時間後に、試験601の接着層では激しい黄変が見られた。一方で、試験片600の接着層では、光学特性に影響のない程度の若干の黄変が見られるに留まった。
従って、本発明の接着剤により形成された接着層は耐熱性に優れていることが分かる。
(実施例2から実施例11まで、及び比較例2)
実施例2から実施例11まで、及び比較例2により、本発明の偏光変換素子における光入射面及び光出射面の平坦度を評価した。
図14は、本発明に係る実施例2から実施例6までの平坦度試験の結果を示す図であり、図15は、本発明に係る実施例7から実施例11までの平坦度試験の結果を示す図であり、図16は、比較例2の平坦度試験の結果を示す図である。
(実施例2から実施例6まで)
実施例2では、実施例1と同様の接着剤を用いて、後述する図25に示すような素子本体10を作製した。そして、図25に示される左右の2つの素子本体10のうち、左側の素子本体10を用いた。そして、下記の測定方法により、その素子本体10の光入射面16の略中央における断面図を得た。ここで、断面図では、図25の左右方向の断面図である。
得られた断面図において、比較的上側に大きく膨らんだ凸部を選び、その凸部の左右近傍の凹部の頂点を線で結んだ。この線から、凸部の頂点までの距離を縦軸のスケールで換算して、「高低差」を算出した。
(実施例7から実施例11まで、及び比較例2)
実施例7から実施例11まででは、それぞれ実施例2から実施例6までで作製した素子本体10の光出射面17について、実施例2と同様に断面図を得た。得られた断面図により、実施例2と同様にして、「高低差」を2点算出した。
比較例2では、接着剤として、比較例1と同様の接着剤を用いた以外は、実施例2と同様にして素子本体を作製し、その光出射面を測定した断面図を得た。得られた断面図より実施例2と同様にして、「高低差」を2点算出した。
断面図の測定方法としては、レーザー干渉計G102S(フジノン株式会社(現富士フイルム株式会社製))により、素子本体の光入射面又は光出射面を照射して、素子本体からの反射光と元々の平行光とを干渉させることによって、干渉縞を得る。なお、レーザー干渉計で設定した光の波長は、685nmである。
得られた干渉縞を干渉縞解析ソフトウェア(フジノン株式会社(現富士フイルム株式会社製))で解析することにより、光入射面又は光出射面の断面図を得る。
図14、図15で示すように、本発明の接着剤を用いた実施例2から実施例11まででは、光入射面及び光出射面における高低差が小さいため、平坦度が優れていることがわかった。
一方、図16に示すように、従来の接着剤を用いた比較例では、光入射面における高低差が大きいため、平坦度が悪いことが分かった。
以下に、本発明の実施の形態に係る位相差板の構成を説明する。
図17は、本発明の実施の形態に係る位相差板の一例としての高次モード積層1/2波長板(以下、積層1/2波長板)の構成を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。
図17(a)に示すように、本発明に係る積層1/2波長板20は、水晶等の無機光学結晶を用いた高次モードの第1の波長板30と、第2の波長板40と、を夫々の光学軸31、41が交差するように貼り合わせた構成を備え、全体として、光源側から入射する直線偏光光Aの位相を180(deg)ずらし、偏光面をθ=90(deg)回転させた直線偏光光Bに変換して出射する1/2波長板として機能するように構成する。
また、図17(b)に示すように、第1の波長板30の光学軸方位角をθ1、第2の波長板40の光学軸方位角をθ2とする。
なお、光学軸方位角とは、結晶光学軸と、積層波長板に入射する直線偏光光の偏光面とのなす角度である。
また、第1の波長板30及び第2の波長板40の切断角度は、夫々90(deg)Z(水晶板の主面における法線方向と光学軸(Z軸)の交差角度が90(deg))とである。
|Γ1−Γ2|=180(deg)・・・(1)
となるようにした。
例えば、
Γ1=2110(deg)、
Γ2=1930(deg)
を満足するように第1及び第2の波長板30、40の厚みを設定する。
波長λの光に対する位相差Γと波長板の板厚tとの関係はΓ=2π/λ×(ne−no)×t(neは異常光の屈折率、neは常光の屈折率)であり、Γ1=2110(deg)、Γ2=1930(deg)の場合、第1の波長板30の板厚t1と、第2の波長板40の板厚t2は、
t1=0.3305(mm)
t2=0.3023(mm)
となる。
なお、積層1/2波長板20は、液晶プロジェクターに必要な各波長帯(R(赤:400nm帯)、G(緑:500nm帯)、B(青:675nm))を含む広帯域において、偏光変換効率がほぼ0.8以上、特にG帯域ではほぼ1.0となり、位相差が180(deg)となること求められる。
その結果、第1の波長板30の光学軸方位角θ1と第2の波長板40の光学軸方位角θ2の関係が、
θ1=45(deg)・・・(2)
θ2=135(deg)・・・(3)
θ2−θ1=90(deg)・・・(4)(互いの光学軸方位角が直交する)
を満足することで、上記RGB3波長帯を含む広帯域の入射光に対して位相差が180(deg)となり、偏光変換効率がほぼ1となることが見出された。
ここで、設計波長λの取りうる値の範囲は、490≦λ≦550(nm)となる。
図18では、第1の波長板30の光学軸方位角θ1、第2の波長板40の光学軸方位角θ2を、図17の場合とは逆にしている。
すなわち、
Γ1=1930(deg)
Γ2=2110(deg)、
θ1=135(deg)
θ2=45(deg)
θ1−θ2=90(deg)
を満足することにより、上記3波長帯を含む広波長帯の光に対して位相差が180(deg)となり、偏光変換効率がほぼ1となる。
この場合も、設計波長λの取りうる値の範囲は、490≦λ≦550(nm)となる。
はじめに、本発明に係る積層1/2波長板の実施例を見つけ出した計算手法を簡単に説明する。直線偏光が2枚の波長板を透過した後の偏光状態は、ミューラ行列、又はジョン
ズ行列を用いて表すことができる。
E=R2・R1・I (5)
ここで、Iは入射光の偏光状態、Eは出射光の偏光状態を表すベクトルである。R1は積層1/2波長板20における第1の波長板30のミューラ行列、R2は第2の波長板40のミューラ行列で、夫々次式で表される。
・・・(6)
・・・(7)
第1及び第2の波長板30、40夫々の位相差Γ1、Γ2、光学軸方位角度θ1、θ2を設定して、式(6)、(7)よりミューラ行列R1、R2を求める。
行列としてミューラ行列を用いた場合について説明すると、出射光の偏光状態Eは次式で表される。
・・・(8)
Eの行列要素S01、S11、S21、S31はストークスパラメータと呼ばれ、偏光状態を表している。このストークスパラメータを用いて、波長板の位相差Γは次式のように表される。
・・・(9)
Γ=(2m−1)×π 但し、mは正の整数
このように、式(9)を用いて位相差を算出することができる。
また、上記のように、図17、図18に示す積層1/2波長板20は、直線偏光の偏光面を、所定の回転角度θだけ回転させる機能を有しており、例えば、水平方向の振動面を持つ直線偏光Aを入力光として、偏光面をθ=90(deg)だけ回転(位相変調)させて水平方向の振動面を持つ直線偏光Bとして出射させる。
この位相変調(90(deg)回転)は図19のポアンカレ球で考えると、入射、偏光状態P0からP2へ変調させることであり、このとき必要な位相差は180(deg)である。
積層1/2波長板20が、完全に1/2波長板として機能している場合、赤道上の所定の位置P0から偏光方向が赤道に対して平行な方向となる直線偏光Aとして光線が入射すると、第1の波長板30によって光軸R1(2・θ1)を中心にして50(deg)(50+360×6=2110)回転してP1へ移され、さらに第2の波長板40によって光軸R2(2・θ2)を中心にして130(deg)(130+360×5=1930)回転してP2(赤道上)に到達し、直線偏光Aに対してθ=90(deg)回転した直線偏光Bとなって1/2波長板20を出射することになる。
なお、P2は、P0から180(deg)回転した赤道上の点である。
具体的には、偏光子の行列Pの透過軸を90(deg)に設定し、行列Pと出射光偏光状態を表す行列Eとの積から得られる行列Tのストークスパラメータより、90(deg)方向の偏光面成分の光量を算出することができる。出射光偏光状態を表す行列Eと、偏光子の行列Pとの、積は次式のようになる。
即ち、偏光子の行列Pの透過軸を所定の角度に設定し、前記光射光の偏光状態Eを表わす行列Eと偏光子の行列Pとの積をTとすると、Tは次式で表される。
ここで、行列Tは変換効率を表し、その要素のストークスパラメータで表すと次式のように表される。
・・・(11)
ここで、ベクトルTのストークスパラメータのS02が光量を表している。入射光量を1に設定すればS02が変換効率となる。
ここで、ベクトルTのストークスパラメータS02が光量を表し、入射光量を1に設定
すると、ストークスパラメータS02が変換効率となる。従って、積層1/2波長板1の
変換効率Tは、第1、第2及び第3の波長板2、3、4の高次モード次数n、所定の波長(例えば波長が、設計波長λ=520nmのとき)での位相差Γ1、Γ2、Γ3、光学軸方位角θ1、θ2、θ3を様々に変化させて、シミュレーションすることができる。
位相差、変換効率とも積層1/2波長板を透過した後の偏光状態を表す行列Eから求めることができる。
シミュレーションを繰り返し行い、所望の広範囲の波長帯において、変換効率が良い場合の上記パラメータを選び出した。
図17に示す積層1/2波長板20の第1及び第2の波長板30、40の切断角度が夫々90(deg)Z(水晶板の主面における法線方向と光学軸(Z軸)との交差角度が90(deg))、波長λを520nmとしたとき、第1の波長板30の位相差Γ1、光学軸方位角θ1が夫々2110(=130+360×6)(deg)、45(deg)、第2の波長板の位相差Γ2、光学軸方位角θ2が夫々1930(=130+360×5)(deg)、135(deg)に設定した場合に、積層1/2波長板20の変換効率をシミュレーションにより求めた結果、良好な波長−変換効率(偏光変換効率)が得られた(後述)。
なお、光学軸方位角θ1、θ2の範囲は、要求仕様に応じて或いは許容誤差として、設定角度から±5(deg)の範囲で有効である。
赤道上の所定の位置P0から偏光方向が赤道に対して平行な方向となる直線偏光Aとして光線が入射すると、第1の波長板30によって光軸R1(2θ1)を中心にして130(deg)(360×5+130=1930(deg))回転してP1(赤道上)へ移され、さらに第2の波長板40によって光軸R2(2θ2)を中心にして、50(deg)(360×6+50=2110(deg))回転してP2(赤道上)に到達し、直線偏光Aに対してθ=90(deg)だけ回転した直線偏光Bとなって1/2波長板20を出射することが分かる。
すなわち、第1波長板30、第2の波長板40の光学軸方位角、位相差を入れ替えても、図17(図19)の場合と同様に位相差180(deg)となり全体として1/2波長板として機能していることが分かる。
いずれの場合も、全ての曲線がほぼ重なった状態であり、液晶プロジェクターで用いる青、緑、赤の波長は夫々400nm帯、500nm帯、675nm帯であるので、上記パラメータの積層1/2波長板1の変換効率は、入射角に±10までのズレがあったとしても、必要な波長帯で0.8以上、G帯域ではほぼ1.0となることが確認された。
いずれの場合も、全ての曲線がほぼ重なった状態であり、液晶プロジェクターで用いる青、緑、赤の波長は夫々400nm帯、500nm帯、675nm帯であるので、上記パラメータの積層1/2波長板1の変換効率は、入射角に±10(deg)までのズレがあったとしても、必要な波長帯で0.8以上、G帯域ではほぼ1.0となることが判明した。
いずれの場合も、全ての曲線がほぼ重なった状態であり、液晶プロジェクターで用いる青、緑、赤の波長は夫々400nm帯、500nm帯、675nm帯であるので、上記パラメータの積層1/2波長板1の変換効率は、入射角に±10(deg)までのズレがあったとしても、必要な波長帯、450〜700nmの帯域で0.8以上、G帯域ではほぼ1.0となることが判明した。
なお、積層1/2波長板が対応すべき波長帯は、RGBのみならず、他の波長の色を加えた、4波長、5波長にも対応可能としてもよい。
図25は、図24の偏光変換ユニットの分解斜視図である。
図23、図24に示す偏光変換ユニット120は、ユニット枠200と、本発明の偏光変換素子1と、遮光板210と、レンズアレイ220と、クリップ230と、を備えている。ユニット枠200の一方の開口面(図25では下面)側からは、後述する2つの偏光変換素子本体を有する偏光変換素子1が挿入され、もう一方の開口面(図25では上面)側からは、遮光板210とレンズアレイ220とがこの順に挿入される。これらの光学素子210、220は、ユニット枠200に収納された状態で、4つのクリップ230で上下2方向から挟持される。クリップ230は弾性体で形成されているので容易に着脱することができ、偏光変換ユニット120の各部品もユニット枠に容易に着脱することができる。
かかるユニット枠200によって、偏光変換素子1を、光源からの光束が偏光変換素子1(特に後述のPBS膜)に入射する角度が常に一定になってPS変換が正確に行える姿勢で、液晶プロジェクターに組み込むことが出来る。
図26、図27は、図5に示した態様の偏光変換素子の固定方法を示す図である。
図26、図27は、偏光変換装置を光束射出側から見た斜視図である。
偏光変換素子1は、図26に示す固定枠700に収容(固定)される。
固定枠700は、第1固定枠710と第2固定枠730とで構成されている。第1固定枠710は、偏光変換素子1の光束入射側に配置され(図27)、第2固定枠730は、偏光変換素子1の光束射出側に配置されている(図26)。
第1固定枠710は、平面視略矩形状で枠形状をなしており、その内面側に偏光変換素子1の素子本体10が接着固定される。
また、第2固定枠730は位相差板20の光束射出側で、位相差板20の両端部に各々配置されている。そして、第2固定枠730は、本実施形態では、長方形の板状に形成される押え板731、735として構成されている。なお、以降の説明において、適宜、第2固定枠730を押え板731、735と呼称する。
なお、偏光変換素子1は、弾性を有する弾性部材としてのシリコン接着剤740を有して構成されている。そして、偏光変換素子1は、位相差板20の端部にこのシリコン接着剤740を塗布した後、押え板731、735を、シリコン接着剤740を塗布した上部方向から、第1固定枠710に形成した腕部718に載置し、鍔付きのねじ750(図26)で腕部718に固定する構成となっている。
図28に示す投写型表示装置(液晶プロジェクター)100は、光源110と、第1のレンズアレイ111と、本発明に係る偏光変換素子を組み込んだ偏光変換ユニット120と、重畳レンズ121と、で構成される照明光学系を備えている。また、ダイクロイックミラー131、132と、反射ミラー133とを含む色光分離光学系130を備えている。さらに、入射側レンズ140と、リレーレンズ141と、反射ミラー142、143とを含む導光光学系を備えている。また、3枚のフィールドレンズ144、145、146と、3枚の液晶ライトバルブ150R、150G、150Bと、クロスダイクロイックプリズム160と、投写レンズ170と、を備えている。
反射ミラー146は、重畳レンズ121から射出された光を色光分離光学系130の方向に反射する機能を有している。色光分離光学系130は、2枚のダイクロイックミラー131、132により、重畳レンズ121から射出される光を、赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。第1のダイクロイックミラー131は、重畳レンズ121から射出される光のうち赤色光成分を透過させるとともに、青色光成分と緑色光成分とを反射する。第1のダイクロイックミラー131を透過した赤色光は、反射ミラー133で反射され、フィールドレンズ144を通って赤光用の液晶ライトバルブ150Rに達する。このフィールドレンズ144は、重畳レンズ121から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶ライトバルブの前に設けられたフィールドレンズ145、146も同様である。
なお、青色光に導光光学系が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ140に入射した光束をそのまま、フィールドレンズ146に伝えるためである。
3つの液晶ライトバルブ150R、150G、150Bから射出された3色の変調光は、クロスダイクロイックプリズム160に入射する。
クロスダイクロイックプリズム160は、3色の変調光を合成してカラー画像を形成する色光合成部としての機能を有している。クロスダイクロイックプリズム160には、赤光を反射する誘電体多層膜と、青光を反射する誘電体多層膜と、が4つの直角プリズムの界面に略X字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3色の変調光が合成されて、カラー画像を投写するための合成光が形成される。クロスダイクロイックプリズム160で生成された合成光は、投写レンズ170の方向に射出される。投写レンズ170は、この合成光を投写スクリーン上に投写する機能を有し、投写スクリーン上にカラー画像を表示する。
また、本発明にように、本発明の偏光変換素子は、異なる複数の波長帯で、確実に1/2波長板として機能する位相差板(積層1/2波長板)を備えているので、高輝度で鮮明な映像を投射可能な液晶プロジェクターを実現できる。
Claims (8)
- 互いに略平行な光入射面及び光出射面を有し、
前記光入射面あるいは前記光出射面に対して所定の傾斜角度を有する接合面によって接着剤を介して接合された複数の透光性基板と、
複数の前記透光性基板の間の境界部に交互に設けられ、前記光入射面に入射した光を偏光方向が互いに直交する異なる2種類の直線偏光に分離して一方の直線偏光を透過させ、他方の直線偏光を反射する偏光分離部と、反射された前記他方の直線偏光光束を反射し、光路の向きを変える反射部と、を有する光学素子と、
前記光出射面に配置され、前記2種類の直線偏光のうち何れか一方の直線偏光の偏光面を回転させて他方の直線偏光の偏光面と平行な直線偏光に変換して出射する位相差板と、を備え、
前記接着層は、紫外線硬化型の接着剤であり、厚みが5μm以上10μm以下であり、
前記位相差板は、前記光出射面であって、前記偏光分離部の上部の領域又は前記反射部の上部の領域に配置され、
波長λの光に対して、位相差Γ1の第1の波長板と、波長λの光に対して、位相差Γ2の第2の波長板と、を各々の光学軸が交差するように積層してなり、
入射する直線偏光の偏光面を回転角θ=90(deg)回転させた直線偏光に変換して出射する位相差板であって、
前記位相差Γ1と前記位相差Γ2との関係は、
|Γ1−Γ2|=180(deg)
を満足し、
前記第1の波長板の光学軸方位角θ1と前記第2の波長板の光学軸方位角θ2とは互いに直交し、
θ1=45(deg)
θ2=135(deg)
又は、
θ1=135(deg)
θ2=45(deg)
を満足することを特徴とする偏光変換素子。 - 前記位相差板は、
前記光学素子の端縁部に、前記偏光分離部と前記反射部とが交互に並べられた方向に沿って接合された基部と、
該基部に連続して形成され、且つ前記偏光分離部又は前記反射部の前記光出射面側に配置された複数の位相差部本体と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の偏光変換素子。 - 請求項1又は2に記載の偏光変換素子において、
前記接着層は、変性アクリレート又は変性メタクリレートを主成分とすることを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項1乃至3の何れか一項に記載の偏光変換素子において、
前記位相差板と前記光出射面とは、接合層により接合され、
前記接合層は、シロキサン結合(Si−O)を含む原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合する脱離基と、を含み、
前記Si骨格のうち、前記脱離基が脱離したSi骨格の未結合手が活性手となって、前記位相差板と前記光出射面とを接合していることを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項1乃至3の何れか一項に記載の偏光変換素子において、
前記透光性基板と前記位相差板とは、接合層により接合され、
前記接合層は、前記透光性基板に設けられた微結晶連続薄膜と、前記位相差板に設けられた微結晶連続薄膜とを接触させて、前記透光性基板の微結晶連続薄膜と前記位相差板の微結晶連続薄膜との接触界面及び結晶粒界に原子拡散を生じさせる原子拡散接合法により形成される、又は、前記透光性基板及び前記位相差板のうちの何れか一方に設けられた微結晶連続薄膜と、何れか他方に設けられた微結晶構造とを接触させて、前記微結晶連続薄膜と前記微結晶構造との接触界面及び結晶粒界に原子拡散を生じさせる原子拡散接合法により形成されることを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項1乃至5の何れか一項に記載の偏光変換素子において、
前記位相差板の材質が、無機光学結晶であることを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項1乃至6の何れか一項に記載の偏光変換素子と、当該偏光変換素子を固定する固定枠と、を備えることを特徴とする偏光変換ユニット。
- 光を出射する光源装置と、
該光源装置からの光を、1種類の偏光光に変換する請求項7に記載の偏光変換ユニットと、
当該偏光変換ユニットからの偏光光を画像情報に応じて光学像を形成する光変調装置と、
該光変調装置にて形成された前記光学像を拡大投射する投射光学装置と、
を備えることを特徴とする投射装置。
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