JP6686443B2 - 波長板、偏光変換素子、およびプロジェクター - Google Patents
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Description
偏光変換素子は、入射する光を第1の直線偏光と第2の直線偏光とに分離する偏光ビームスプリッター(PBS)プリズムと、第1の直線偏光および第2の直線偏光のいずれか一方を他方に変換する1/2波長板とを備える。
偏光変換素子は、光源から射出された光束が集光する部分で高温になるため、偏光変換素子の劣化を低減させるように構成されたプロジェクター(投射型表示装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、特許文献1に記載されているプロジェクターは、駆動機構により偏光変換素子を変位させ、輝度集中部が分散されるように構成されている。
また、波長板は、上述したように光入射側の第1波長板と第2波長板、および光射出側の第3波長板と第4波長板とがそれぞれプラズマ重合膜により接合されているので、接着材による接合に比べ、耐熱性および耐光性を高めることができる。また、光学軸方位角が異なる4枚を用いることによって、高温下で互いに異なる方向に反る恐れがあるが、第2波長板と第3波長板との間には空隙が設けられているので、第1波長板と第2波長板との剥がれや、第3波長板と第4波長板との剥がれを抑えると共に、表面積が増えることによる放熱性を高めることができる。
したがって、広範囲の波長領域において偏光変換効率を高めると共に、耐熱性および耐光性を高めた波長板を提供することが可能となる。
また、反射膜が接着材を介して透光性基材に接合されるように偏光変換素子を構成しても、この接着材には光が照射されないので、高耐熱性および高耐光性を維持しつつ、偏光変換素子の製造の簡素化が可能となる。
本実施形態のプロジェクターは、光源から射出された光を画像情報に応じて変調し、変調した光をスクリーン等の投写面に拡大投写する。なお、以下に示す各図は、各構成要素を図面上で認識され得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜異ならせたものである。
図1は、本実施形態のプロジェクター300の概略構成を示す模式図である。
プロジェクター300は、図1に示すように、外装を構成する外装筐体300A、および外装筐体内に収容される光学ユニット3、制御部(図示省略)を備えている。なお、図示は省略するが、外装筐体300Aの内には、さらに、光学ユニット3等を冷却する冷却装置や制御部等に電力を供給する電源装置等が配置されている。
光学ユニット3は、図1に示すように、光源装置30に加え、インテグレーター照明光学系31、色分離光学系32、リレー光学系33、電気光学装置34、投写光学装置としての投写レンズ35、およびこれらの光学部品を光路上の所定位置に配置する光学部品用筐体36を備える。
第1レンズアレイ311は、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有しており、光源装置30から射出された光を複数の部分光に分割する。第2レンズアレイ312は、第1レンズアレイ311と略同様の構成を有しており、重畳レンズ314とともに、部分光を後述する液晶パネル341の表面に略重畳させる。
偏光変換ユニット1は、偏光変換素子10を備え、第2レンズアレイ312から射出されたランダム光を液晶パネル341で利用可能な直線偏光に揃える。偏光変換ユニット1については後で詳細に説明する。
液晶パネル341R,341G,341Bは、供給された画像信号に基づいて、色分離光学系32から射出された各色光を変調し、各色の画像光を形成する。
投写レンズ35は、複数のレンズ(図示省略)を備え、クロスダイクロイックプリズム344にて合成された光をスクリーン上に拡大投写する。
ここで偏光変換ユニット1について詳細に説明する。
図2は、第2レンズアレイ312および偏光変換ユニット1の断面図である。
偏光変換ユニット1は、図2に示すように、偏光変換素子10、遮光板19、および図示しない保持枠を備えている。
図3は、偏光変換素子10の斜視図である。
偏光変換素子10は、図2、図3に示すように、素子本体10A、波長板20、および両面粘着材181,182を有している。
素子本体10Aは、光射出面10eに沿う方向に順次接合された複数の透光性基材110と、複数の透光性基材110の間に交互に設けられた偏光分離膜120および反射膜130とを有し、複数の透光性基材110が順次接合される方向における中心10cを挟んで対称に形成されている。なお、光源装置30から射出される光の方向を+Z方向、複数の透光性基材110が順次接合される方向をX方向、Z方向およびX方向に直交する方向をY方向とする。
具体的に、母材111は、偏光分離膜120が分子接合するプラズマ重合膜150を介して母材112に接合され、反射膜130が紫外線硬化型の接着材160を介して母材112に接合される。プラズマ重合膜は、主材料がポリオルガノシロキサンである。プラズマ重合膜は、プラズマ重合法により形成されてシロキサン結合を含み、Si骨格と、このSi骨格に結合する有機基からなる脱離機とを含む。そして、エネルギーを付与して表面付近に存在する脱離基がSi骨格から脱離することにより、接着性を発現する。
そして、交互に接合された複数の母材111,112は、接合される端面に対して所定の角度で切断される。その結果、光入射面10iおよび光射出面10eが形成され、切断された母材111,112は、接合される端面が光射出面10eに所定の角度(本実施形態では45°)を有して透光性基材110として形成される。すなわち、複数の透光性基材110は、光入射面10iに所定の角度を有して順次接合される。そして、偏光分離膜120および反射膜130は、複数の透光性基材110の間に交互に配置される。
図示しない保持枠は、素子本体10Aおよび遮光板19の周縁部を保持する。
偏光分離膜120は、入射した光を第1の直線偏光(P偏光)と第2の直線偏光(S偏光)とに分離し、P偏光を透過させ、かつ、S偏光を反射する。
反射膜130は、偏光分離膜120により反射されたS偏光を光射出面10eに向けて反射する。
このように、偏光変換素子10は、第2レンズアレイ312から射出されたランダム光をS偏光に揃えて射出する。
ここで、波長板20について詳細に説明する。
図4は、波長板20の構成を説明するための斜視図である。
波長板20は、図2、図4に示すように、光射出面10e側から順次配置される第1波長板21、第2波長板22、第3波長板23、および第4波長板24を有している。すなわち、第2波長板22は、第1波長板21の光射出側に配置され、第3波長板23は、第2波長板22の光射出側に配置される。そして、第4波長板24は、第3波長板23の光射出側に配置される。
具体的に、第1ユニット20Aは、図3に示すように、光射出面10eのY方向における両端部に配置された両面粘着材181を介して素子本体10Aに固定される。第2ユニット20Bは、第1ユニット20AのY方向における両端部および両面粘着材181に積層された両面粘着材182を介して素子本体10Aに固定される。その結果、波長板20は、図2に示すように、第1ユニット20A(第1波長板21)と光射出面10eとの間に空隙20Gaが設けられ、第1ユニット20Aと第2ユニット20Bとの間(第2波長板22と第3波長板23との間)に空隙20Gbが設けられて配置される。
第1波長板21〜第4波長板24は、互いに異なる光学軸方位角を有している。そして、第1波長板21〜第4波長板24は、全体として、偏光分離膜120から射出されたP偏光の位相を180°ずらし、偏光面を90°回転させたS偏光に変換するように、光学軸方位角、および位相差が設定されている。光学軸方位角とは、結晶光学軸Axと波長板20に入射するS偏光の偏光面とのなす角度である。
また、光学軸方位角θ1、θ2、θ3、θ4は、上述した角度に限らず以下に示す角度であってもよい。θ1=67.5°、θ2=157.5°、θ3=22.5°、θ4=112.5°、あるいは、θ1=157.5°、θ2=67.5°、θ3=112.5°、θ4=22.5°、あるいはθ1=112.5°、θ2=22.5°、θ3=157.5°、θ4=67.5°。また、光学軸方位角θ1、θ2、θ3、θ4の許容公差としては、設定角度に対して±2°程度である。
波長λの光に対する位相差Γ1、Γ2は、以下の式(1)、式(2)で示される。
〔数1〕
Γ1=2π/λ×|ne−no|×|t1−t2|・・・(1)
〔数2〕
Γ2=2π/λ×|ne−no|×|t3−t4|・・・(2)
ここで、ne:異常光の屈折率、no:常光の屈折率、t1:第1波長板21の板厚、t2:第2波長板22の板厚、t3:第3波長板23の板厚、t4:第4波長板24の板厚とする。
〔数3〕
|t1−t2|=λ/(2×|ne−no|)・・・(3)
〔数4〕
|t3−t4|=λ/(2×|ne−no|)・・・(4)
その結果、例えば、t1=t3=0.2821mm、t2=t4=0.3103mmを得た。また、式(3)、(4)を満足していれば、t1≠t3、t2≠t4であってもよく、t1>t2かつt3>t4であってもよい。また、|t1−t2|、|t3−t4|の設定値に対する許容公差は、±5%程度である。
一方、本実施形態の波長板20においては、波長が約460nm〜約600nmの領域で略100%となり、波長400nmにおいて約93%、波長700nmにおいて約97%となり、広範囲の波長領域において偏光変換効率が高いものとなる。
なお、第1波長板21〜第4波長板24は、人工水晶でも天然水晶でもよく、また、無機結晶材料であれば、水晶に限らず、例えば、サファイア等を用いることが可能である。
(1)波長板20は、上述した第1波長板21〜第4波長板24で構成されているので、広範囲の波長領域において偏光変換効率を高めた1/2波長板を形成することが可能となる。
また、波長板20は、第1波長板21と第2波長板22、および第3波長板23と第4波長板24とがそれぞれプラズマ重合膜により接合されているので、接着材による接合に比べ、耐熱性および耐光性を高めることができる。また、光学軸方位角が異なる4枚を用いることによって、高温下で互いに異なる方向に反る恐れがあるが、第2波長板22と第3波長板23との間には空隙20Gbが設けられているので、第1波長板21と第2波長板22との剥がれや、第3波長板23と第4波長板24との剥がれを抑えると共に、表面積が増えることによる放熱性を高めることができる。
したがって、広範囲の波長領域において偏光変換効率を高めると共に、耐熱性および耐光性を高めた波長板20を提供することが可能となる。
また、偏光変換素子10は、反射膜130が接着材160を介して透光性基材110に接合されているが、この接着材160には光が照射されないので、高耐熱性および高耐光性を維持しつつ、製造の簡素化が可能となる。
なお、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態の波長板20は、第1ユニット20A(第1波長板21)が光射出面10eから離間して配置されているが、第1波長板21がプラズマ重合膜を介して光射出面10eに接合されるように構成してもよい。
Claims (6)
- 無機結晶材料で形成され、光学軸方位角がθ1である第1波長板と、
前記無機結晶材料で形成され、光学軸方位角がθ2である第2波長板と、
前記無機結晶材料で形成され、光学軸方位角がθ3である第3波長板と、
前記無機結晶材料で形成され、光学軸方位角がθ4である第4波長板と、
を備え、
前記第2波長板は、前記第1波長板の光射出側にプラズマ重合膜を介して接合され、
前記第3波長板は、前記第2波長板の光射出側に空隙を有して配置され、
前記第4波長板は、前記第3波長板の光射出側にプラズマ重合膜を介して接合され、
前記θ1と前記θ2との差、および前記θ3と前記θ4との差がそれぞれ90°で、前記θ2と前記θ3との差が45°であることを特徴とする波長板。 - 請求項1に記載の波長板であって、
前記第1波長板、前記第2波長板、前記第3波長板、および前記第4波長板は、水晶で形成されていることを特徴とする波長板。 - 光が入射する光入射面および光を射出する光射出面を有し、前記光入射面に所定の角度を有して順次接合された複数の透光性基材と、
前記複数の透光性基材の間に交互に設けられた偏光分離膜および反射膜と、
請求項1または請求項2に記載の波長板と、
を備え、
前記偏光分離膜は、前記光入射面から入射した光を第1の直線偏光と第2の直線偏光とに分離し、前記第1の直線偏光を透過させ、かつ前記第2の直線偏光を反射し、
前記反射膜は、前記偏光分離膜で反射した前記第2の直線偏光を前記光射出面に向けて反射し、
前記波長板は、前記第1の直線偏光および前記第2の直線偏光のいずれか一方を他方に変換することを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項3に記載の偏光変換素子であって、
前記第1波長板は、前記光射出面から離間して配置されていることを特徴とする偏光変換素子。 - 請求項3または請求項4に記載の偏光変換素子であって、
前記偏光分離膜は、プラズマ重合膜を介して前記透光性基材に接合されていることを特徴とする偏光変換素子。 - 光源と、
前記光源から射出された光を前記第1の直線偏光または前記第2の直線偏光に変換する請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載の偏光変換素子と、
前記偏光変換素子から射出された光を変調する光変調装置と、
前記光変調装置で変調された光を投写する投写光学装置と、
を備えることを特徴とするプロジェクター。
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