JP2010101992A - 光学物品の製造方法およびその光学物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】偏光分離変換素子1は、第1の透光性部材11と第2の透光性部材12とが偏光分離変換部13を間に挟んで交互に配置された平板状部材である。第1の透光性部材11を形成するための短冊状光学ブロック、第1の接着層131、位相差板132を形成するための短冊状位相差板からなる積層体の短冊状光学ブロックを研磨する第1の研磨工程を実施した後、短冊状位相差板を研磨する第2の研磨工程を実施する。
【選択図】図2
Description
このような光学物品として、それぞれ内部に反射膜が設けられた2つの透光性部材の間に偏光分離膜を挟んで順次積層し、これらの透光性部材の前記偏光分離膜の光射出面側に水晶位相板を設けた偏光分離素子(PS変換素子)がある。
このような光学物品は、各部材が接着剤で接着固定され、種々の方法で製造されている。偏光分離変換部は、通常、偏光分離膜と水晶位相板とから構成され、第1の透光性部材と水晶位相板とが接着剤を介して接着固定された積層体を得る。そして、この積層体を研磨することにより所定の厚みに形成されるが、この場合、第1の透光性部材、接着剤、水晶位相板の順で積層されており、水晶位相板を研磨することで積層体の総厚の調整を行うのが一般的であった。
本適用例にかかる光学物品の製造方法は、透光性部材と、無機性結晶材料と、を備えた光学物品の製造方法であって、第1の透光性部材の一方の面と前記無機性結晶材料の一方の面とを接着剤からなる第1の接着層で接着する研磨前接着工程と、前記無機性結晶材料の他方の面を基準面として前記第1の透光性部材の他方の面を研磨する第1の研磨工程と、前記第1の透光性部材の他方の面を基準面として前記無機性結晶材料を所定の厚みに研磨する第2の研磨工程と、を備えたことを特徴とする。
この構成の本適用例では、透光性部材と無機性結晶材料層とを備えた光学物品の製造方法において、まず、無機性結晶材料が接着された第1の透光性部材の接着面ではない他方の面を研磨することによりこの第1の透光性部材の他方の面が無機性結晶材料の他方の面と平行になるように形成する。その後、形成された第1の透光性部材の他方の面を基準面として支持した状態で無機性結晶材料層の研磨を行う。この方法によって、無機性結晶材料の面内の厚みを均一にすることができるので、偏光変換効率に優れるとともに、無機性結晶材料を含む光学物品を高精度に加工することができる。
本適用例にかかる光学物品の製造方法は、前記第1の透光性部材、前記第1の接着層および前記無機性結晶材料からなる積層体と、接着剤からなる第2の接着層と、偏光分離膜と、第2の透光性部材と、反射膜と、接着剤からなる第3の接着層と、を順に繰り返し積層する積層工程を備え、前記積層体を、以下の式(1)を満たす厚みに形成する。
t1=t2−t3−t4 ・・・(1)
式中、t1は前記積層体の厚み、t2は前記第2の透光性部材の厚み、t3は前記第2の接着層の厚み、t4は前記第3の接着層の厚みである。
本適用例にかかる光学物品の製造方法は、前記第1の透光性部材、前記第1の接着層および前記無機性結晶材料からなる積層体と、偏光分離膜と、接着剤からなる第2の接着層と、第2の透光性部材と、反射膜と、接着剤からなる第3の接着層と、を順に繰り返し積層する積層工程を備え、前記積層体を、以下の式(2)を満たす厚みに形成する。
t1=t2+t3−t4 ・・・(2)
式中、t1は前記積層体の厚み、t2は前記第2の透光性部材の厚み、t3は前記第2の接着層の厚み、t4は前記第3の接着層の厚みである。
本適用例にかかる光学物品の製造方法は、前記第1の透光性部材、前記第1の接着層および前記無機性結晶材料からなる積層体と、接着剤からなる第2の接着層と、偏光分離膜と、第2の透光性部材と、接着剤からなる第3の接着層と、反射膜と、を順に繰り返し積層する積層工程を備え、前記積層体を、以下の式(3)を満たす厚みに形成する。
t1=t2−t3+t4 ・・・(3)
式中、t1は前記積層体の厚み、t2は前記第2の透光性部材の厚み、t3は前記第2の接着層の厚み、t4は前記第3の接着層の厚みである。
本適用例にかかる光学物品の製造方法は、前記無機性結晶材料は水晶であり、前記光学物品は、前記透光性部材と前記水晶と偏光分離膜と反射膜とが積層されてなる偏光ビームスプリッタである。
この構成の本適用例では、水晶からなる無機性結晶材料を用いて前述の工程で製造することにより、高精度に加工することができ、その結果優れた偏光変換効率を備えた偏光ビームスプリッタ(Polarized Beam Splitter、PBS)を製造することができる。
本適用例にかかる光学物品は、透光性部材と、無機性結晶材料と、前記透光性部材と前記無機性結晶材料とを接着している接着層と、を備えた光学物品であって、前記無機性結晶材料の表面と、前記接着層と前記無機性結晶材料層との界面と、が実用上平行であることを特徴とする。
この構成の本適用例では、無機性結晶材料層の厚みが均一となるので、偏光変換効率に優れた光学物品を提供することができる。
本適用例にかかる光学物品は、前記無機性結晶材料は水晶であり、前記光学物品は、前記透光性部材と前記水晶と偏光分離膜と反射膜とが積層されてなる偏光ビームスプリッタである。
この構成の本適用例では、前述のように均一の厚みを有する水晶からなる無機性結晶材料層に偏光分離膜および反射膜が積層された偏光ビームスプリッタ(Polarized Beam Splitter、PBS)であるので、前述と同様の作用効果を奏することができる。
[第1実施形態]
第1実施形態を図1から図7に基づいて説明する。図1は第1実施形態にかかる偏光分離変換素子の端面を示す図であり、図2および図3は図1の要部を示す断面図である。ここで、偏光分離変換素子は、光学物品としてPS変換素子(または偏光ビームスプリッタ、Polarized Beam Splitter、PBS)と称されるものである。この偏光分離変換素子は、例えば、液晶プロジェクタ装置に用いられている。
図1において、偏光分離変換素子1は、第1の透光性部材11と第2の透光性部材12とが偏光分離変換部13を間に挟んで交互に配置された平板状部材である。第1の透光性部材11と第2の透光性部材12とにはそれぞれ反射部14が設けられている。反射部14は隣り合う偏光分離変換部13の間の中間位置に配置されている。
第1の透光性部材11及び第2の透光性部材12は、その光入射側の平面と光出射側の平面とが平行とされ、これらの平面に対して45°の角度をもって偏光分離変換部13と反射部14とが互いに平行に配置されている。本実施形態では、偏光分離変換素子1は左右対称構造としたが、一方向のみに平行配置された非対称な構造でもよい。
偏光分離変換部13は、図2に示される通り、第1の接着層131と位相差板132と第2の接着層133と偏光分離膜134と、を備えている。
第1の接着層131および第2の接着層133は接着剤からなる層であり、接着剤としては一般的な光硬化型接着剤を使用することができる。
位相差板132は、短冊状の1/2波長板であり、無機性結晶材料を用いることができる。無機性結晶材料としては、例えば、SiO2の単結晶からなる水晶が挙げられ、この水晶は人工水晶でも天然水晶でもよい。
偏光分離膜134は、入射した光線束(S偏光とP偏光)を、S偏光の部分光束(S偏光)とP偏光の部分光束(P偏光)とに分離し、S偏光とP偏光のいずれか一方を選択的に透過させ、他方を選択的に反射する性質を有する膜である。例えば、図3に示すように、S偏光を反射し、P偏光を透過する。偏光分離膜134は、異なる材質の層、例えば、酸化ケイ素(SiO2)の層、ランタンアルミネートの層及びフッ化マグネシウム(MgF2)の層が積層されて構成される。これらの層は複数層で構成されるものであり、本実施形態では図示しないが、例えば、5層で構成される。第1の透光性部材11側から第2の透光性部材12側に向かうに従って、第1層、第2層、第3層、第4層、第5層となり、第1の透光性部材11に直接設けられる。これらの層のうち第1層、及び第5層が酸化ケイ素(SiO2)の層であり、第3層がフッ化マグネシウム(MgF2)の層であり、第2層及び第4層がランタンアルミネートの層である。
反射膜141は、誘電体多層膜を積層することによって形成される。もちろん、反射膜141を構成する誘電体多層膜は、偏光分離膜134を構成するものとは異なる組成および構成を有している。反射膜141としては、偏光分離膜134で反射された直線偏光成分(S偏光またはP偏光)のみを選択的に反射し、他の直線偏光成分は反射しないような誘電体多層膜で構成されたものが好ましい。
反射膜141は、アルミニウムを蒸着することによって形成するようにしてもよい。誘電体多層膜で反射膜141を形成した場合には、特定の直線偏光成分(たとえばS偏光)を約98%程度の反射率で反射することができる。一方、アルミニウム膜では、反射率は高々92%程度である。従って、誘電体多層膜で反射膜141を形成するようにすれば、偏光ビームスプリッタアレイから出射される光量を高めることができる。さらに、誘電体多層膜は、アルミニウム膜よりも光の吸収が少ないので、発熱も少ないという利点もある。なお、特定の直線偏光成分の反射率を向上させるには、反射膜141を構成する誘電体多層膜(通常は2種類の膜が交互に積層された構造である)を構成するそれぞれの膜の厚さ、あるいは膜の材料を最適化すれば良い。
第3の接着層142は、第1の接着層131および第2の接着層133で用いられたものと同様のものを使用することができる。
第1の透光性部材11の厚みをt11、第1の接着層131の厚みをt12、位相差板132の厚みをt13、第2の透光性部材12の厚みをt2、第2の接着層133の厚みをt3、第3の接着層142の厚みをt4とする。
ここで、偏光分離変換素子1に入射する入射光に対する射出光の光量を確保するためには、偏光分離膜134の中間位置から第1の透光性部材11を含む反射膜141の中間位置までのピッチL1と、偏光分離膜134の中間位置から第2の透光性部材12を含む反射膜141の中間位置までのピッチL2と、が同一(L1=L2)であることが好ましい。すなわち、t2=t11+t12+t13+t3+t4となり、第1の透光性部材11と第1の接着層131と位相差板132とからなる積層物の厚みt1は、以下の式で定義される。なお、偏光分離膜134と反射膜141の膜厚は他の層の厚みに比べて無視できる程に小さい。
t1=t2−t3−t4 ・・・(1)
まず、第1の透光性部材11を形成するための短冊状光学ブロック11Aと第2の透光性部材12を形成するための短冊状光学ブロック12Aとを用意する。これらの短冊状光学ブロック11A,12Aの材質は第1の透光性部材11や第2の透光性部材12と同じである。
図4(A)に示すように、短冊状光学ブロック11Aの一方の面に接着剤を塗布して第1の接着層131を形成し、この第1の接着層131によって、短冊状位相差板132Aを接着させる。このように、短冊状光学ブロック11A、第1の接着層131、短冊状位相差板132Aからなる積層体を積層体20とする。
研磨を行う装置としては、図5(A)に示されるように、平板状の支持板91と、支持板91の支持面91Aに平行な研磨面92Aを有し、支持面91Aに対して研磨面92Aを平行に保った状態で円を描くように動作可能な砥石92を有する装置を用いる。
[2−1.第1の研磨工程]
図5(A)に示すように、複数の積層体20を、短冊状位相差板132Aが支持面91Aに接する状態となるように支持板91上で支持する。各積層体20は、短冊状光学ブロック11Aおよび第1の接着層131の厚みが同一ではなく、また、一つの積層体20においても短冊状光学ブロック11Aおよび第1の接着層131の厚みが不均一となっている。
第1の研磨工程では、このような厚みにばらつきのある積層体20が所定の厚みとなるように、例えば、短冊状光学ブロック11Aを図5(A)に示すラインlの位置まで研磨することにより、積層体20の総厚を均一にする。これにより、ラインlの位置に基準面20Aが形成される。また、この基準面20Aは短冊状位相板132Aの表面と実用上平行な面に形成されている。
次に、図5(B)に示すように、積層体20を反転させ、基準面20Aが支持面91Aに接する状態となるように支持板91上で支持する。第1の研磨工程で、積層体20の総厚みが均一であり、且つ短冊状位相板132Aの表面と支持面91Aは平行に支持されるので、短冊状位相板132Aは均一に研磨される。そして、短冊状位相差板132Aが研磨され、厚みがt1の積層体20が形成される。
図4(B)に示すように、短冊状光学ブロック12Aの一方の面に偏光分離膜134を形成するための偏光分離膜134Aを形成し、一方の面とは反対側の面に反射膜141を形成するための反射膜141Aを形成する。偏光分離膜134Aおよび反射膜141Aの形成方法は、真空蒸着,イオンアシスト蒸着、イオンプレーティング法、スパッタ法等の従来の方法を用いて形成する。このようして得られた積層体を積層体30とする。
図4(C)に示すように、積層体20の短冊状光学ブロック11Aと積層体30の反射膜141とを接着剤を介して貼り合わせ、一体化させる。ここで塗布した接着剤からなる層は、第3の接着層142となる。このようにして得られた積層体を積層体40とする。
そして、積層体40を、接着剤からなる第2の接着層133を介して複数積層し、図6(A)に示されるような積層体50を作成する。
切断工程では、積層体50を所定形状に切断する。
図6(A)に示されるように、両端部が揃えられた状態の積層体50を用意する。
そして、図6(B)に示されるように、積層された短冊状光学ブロック11A,12Aに、その平面に対して45°の方向Lに沿って所定間隔毎に切断する。切断された1つのブロック11Cを図7(A)に示す。図7(A)に示される通り、ブロック11Cは端面が平行四辺形とされる。そして、ブロック11Cには偏光分離変換部13と反射部14とが所定間隔毎に配置された構造となる。その後、ブロック11Cの所定位置をその平面に対して垂直な方向V1に沿って切断する。
[6.接合工程]
図7(B)に示される通り、切断されたブロック11Cを左右に並べて接合し、偏光分離変換素子1が成形される。
(1)短冊状光学ブロック11Aを用意し、この短冊状光学ブロック11Aの一方の面に接着剤からなる第1の接着層131を介して短冊状位相差板132Aを接着させて積層体20を形成する。そして、積層体20の短冊状位相差板132Aが支持面91Aに接する状態となるように支持板91上で支持して短冊状光学ブロック11Aを研磨することにより積層体20の総厚を均一にした後、積層体20を基準面20Aが支持面91Aに接する状態に反転させ、短冊状位相差板132Aを研磨する方法を採用した。そのため、短冊状光学ブロック11Aまたは第1の接着層131の厚みが不均一であったとしても、最初に短冊状光学ブロック11Aを研磨して積層体20の総厚を均一化するので、その後の第2の研磨工程において、短冊状位相差板132Aの厚みを均一に研磨することができる。すなわち、短冊状位相差板132Aの表面と、短冊状位相差板132Aと第1の接着層131との界面と、が平行な状態に保たれる。したがって、偏光変換効率に影響を及ぼすことのない高精度な偏光分離変換素子1を製造することができる。
次に、本発明の第2実施形態を図8および図9に基づいて説明する。第2実施形態では、偏光分離変換素子の偏光分離変換部の構成および製造方法が第1実施形態とは異なる。
図8は本発明の第2実施形態の光学物品である偏光分離変換素子を示す要部拡大断面図であり、図9は第2実施形態における積層工程を説明する概略図である。
図8において、偏光分離変換部15は、第1の接着層151と位相差板152と偏光分離膜153と第2の接着層154と、を備えている。
偏光分離膜153は第1実施形態の偏光分離膜134と同様の構成であり、位相差板152は第1実施形態の位相差板132と同様の構成である。第1の接着層151および第2の接着層154に使用される接着剤も第1実施形態で使用したものと同様のものを使用することができる。
第1の透光性部材11の厚みをt11、第1の接着層151の厚みをt12、位相差板152の厚みをt13、第2の透光性部材12の厚みをt2、第2の接着層154の厚みをt3、第3の接着層142の厚みをt4とする。
ここで、偏光分離変換素子6に入射する入射光に対する射出光の光量を確保するためには、偏光分離膜153の中間位置から第1の透光性部材11を含む反射膜141の中間位置までのピッチL1と、偏光分離膜153の中間位置から第2の透光性部材12を含む反射膜141の中間位置までのピッチL2と、が同一(L1=L2)であることが好ましい。すなわち、t11+t12+t13+t4=t2+t3となり、第1の透光性部材11と第1の接着層151と位相差板152とからなる積層体の厚みt1は、以下の式で定義される。なお、偏光分離膜153と反射膜141の膜厚は他の層の厚みに比べて無視できる程に小さい。
t1=t2+t3−t4 ・・・(2)
[1.研磨前接着工程]
まず、第1の透光性部材11を形成するための短冊状光学ブロック11Aを用意し、図9(A)に示すように、短冊状光学ブロック11Aの一方の面に接着剤を塗布して第1の接着層151を形成し、この第1の接着層151の上に位相差板152を形成するための短冊状位相差板152Aを積層して、接着させる。このように、短冊状光学ブロック11A、第1の接着層151および短冊状位相差板152Aからなる積層体を積層体61とする。
研磨工程では、積層体61の両方の面を研磨して所定の厚み、すなわち前述の式(2)で示されるt1の厚みに加工する。研磨方法としては、第1実施形態で用いた装置を用い、同様の方法で第1の研磨工程および第2の研磨工程を実施する。
[3.偏光分離膜形成工程]
次に、所定の厚みにされた積層体61の短冊状位相差板152Aの上に偏光分離膜153を形成するための偏光分離膜153Aを真空蒸着,イオンアシスト蒸着、イオンプレーティング法、スパッタ法等の従来の方法を用いて形成する。このようにして得られた積層体を積層体63とする。
図9(B)に示すように、短冊状光学ブロック12Aの一方の面に反射膜141を形成するための反射膜141Aを真空蒸着,イオンアシスト蒸着、イオンプレーティング法、スパッタ法等の従来の方法を用いて形成する。このようして得られた積層体を積層体64とする。
図9(C)に示すように、積層体63の短冊状光学ブロック11Aと積層体64の反射膜141Aとを接着剤を介して貼り合わせ、一体化させる。ここで塗布した接着剤は、第3の接着層142となる。このようにして得られた積層体を積層体65とする。
そして、積層体65を、第2の接着層154となる接着層を介して複数積層する。
従って、第2実施形態では、第1実施形態の効果(1)(2)と同様の効果を奏することができる。
次に、本発明の第3実施形態を図10および図11に基づいて説明する。第3実施形態では、偏光分離変換素子の反射部の構成および製造方法が第1実施形態とは異なる。
図10は本発明の第3実施形態の光学物品である偏光分離変換素子を示す要部拡大断面図であり、図11は第3実施形態における積層工程を説明する概略図である。
図10において、反射部16は、第1の透光性部材11側から順に反射膜161、第3の接着層162が積層されている。反射膜161は第1実施形態の反射膜141と同様の構成であり、第3の接着層162に使用される接着剤も第1実施形態で使用したものと同様のものを使用することができる。
第1の透光性部材11の厚みをt11、第1の接着層131の厚みをt12、位相差板132の厚みをt13、第2の透光性部材12の厚みをt2、第2の接着層133の厚みをt3、第3の接着層162の厚みをt4とする。
ここで、偏光分離変換素子7に入射する入射光に対する射出光の光量を確保するためには、偏光分離膜134の中間位置から第1の透光性部材11を含む反射膜161の中間位置までのピッチL1と、偏光分離膜134の中間位置から第2の透光性部材12を含む反射膜161の中間位置までのピッチL2と、が同一(L1=L2)であることが好ましい。すなわち、t11+t12+t13+t3=t2+t4となり、第1の透光性部材11と第1の接着層131と位相差板132とからなる積層体の厚みt1は、以下の式で定義される。なお、偏光分離膜と反射膜の膜厚は他の層の厚みに比べて無視できる程に小さい。
t1=t2−t3+t4 ・・・(3)
[1.研磨前接着工程]
まず、第1の透光性部材11を形成するための短冊状光学ブロック11Aを用意し、図11(A)に示すように、短冊状光学ブロック11Aの一方の面に接着剤を塗布して第1の接着層131を形成し、この第1の接着層131の上に位相差板132を形成するための短冊状位相差板132Aを積層して接着させる。このようにして得られた積層体を積層体71とする。
研磨工程では、積層体71の両方の面を研磨して所定の厚み、すなわち前述の式(3)で示されるt1の厚みに加工する。研磨方法としては、第1実施形態で用いた装置を用い、同様の方法で第1の研磨工程および第2の研磨工程を実施する。
次に、所定の厚みにされた積層体71の短冊状光学ブロック11Aの他方の面に反射膜161を形成するための反射膜161Aを真空蒸着,イオンアシスト蒸着、イオンプレーティング法、スパッタ法等の従来の方法を用いて形成する。このようして得られた積層体を積層体72とする。
図11(B)に示すように、短冊状光学ブロック12Aの一方の面に偏光分離膜134を形成するための偏光分離膜134Aを真空蒸着,イオンアシスト蒸着、イオンプレーティング法、スパッタ法等の従来の方法を用いて形成する。このようにして得られた積層体を積層体73とする。
図11(C)に示すように、積層体72の反射膜161Aと積層体73の短冊状光学ブロック12Aを接着剤を介して貼り合わせ、一体化させる。ここで塗布した接着剤は、第3の接着層162となる。このようにして得られた積層体を積層体74とする。
そして、積層体74を、接着剤からなる第2の接着層133を介して複数積層する。
従って、第3実施形態では、第1実施形態の効果(1)(2)と同様の効果を奏することができる。
[実施例1]
実施例1は第1実施形態に対応した偏光分離変換素子1の実施例である。各層に用いた材料と厚みは以下の通りである。
第1の透光性部材および第2の透光性部材:ガラス(SCHOTT社(独)製、商品名「B270」)、厚み2〜3mm
位相差板 :人工水晶、目標中心厚み30μm
接着層 :光硬化型接着剤(アーデル社製、商品名「UT20」)、厚み数μm
偏光分離膜:第1実施形態に記載の材料、厚み数μm
反射膜 :第1実施形態に記載の材料、厚み数μm
そして、これらの偏光分離変換素子について、各波長における偏光変換効率を日立製分光光度計U4100を用いて測定した。測定結果を図12に示す。
実施例1と同様の構成の偏光分離変換素子を、従来の方法で複数作成した。すなわち、積層体20の短冊状光学ブロック11Aが支持面91Aに接する状態となるように支持板91上で支持して短冊状位相差板132Aを研磨した後、積層体20を反転させ、短冊状位相差板132Aが支持面91Aに接する状態となるように支持板91上で支持して短冊状光学ブロック11Aを研磨して、厚みt1の積層体20を形成した。
そして、これらの偏光分離変換素子について、各波長における偏光変換効率を日立製分光光度計U4100を用いて測定した。測定結果を図13に示す。
また、図12および図13からわかるように、波長500nm以上600nm以下の領域において、偏光変換効率が安定して高くなっている。
Claims (7)
- 透光性部材と、無機性結晶材料と、を備えた光学物品の製造方法であって、
第1の透光性部材の一方の面と前記無機性結晶材料の一方の面とを接着剤からなる第1の接着層で接着する研磨前接着工程と、
前記無機性結晶材料の他方の面を基準面として前記第1の透光性部材の他方の面を研磨する第1の研磨工程と、
前記第1の透光性部材の他方の面を基準面として前記無機性結晶材料を所定の厚みに研磨する第2の研磨工程と、を備えたことを特徴とする光学物品の製造方法。 - 請求項1に記載の光学物品の製造方法において、
前記第1の透光性部材、前記第1の接着層および前記無機性結晶材料からなる積層体と、接着剤からなる第2の接着層と、偏光分離膜と、第2の透光性部材と、反射膜と、接着剤からなる第3の接着層と、を順に繰り返し積層する積層工程を備え、
前記積層体を、以下の式(1)を満たす厚みに形成することを特徴とする光学物品の製造方法。
t1=t2−t3−t4 ・・・(1)
(式中、t1は前記積層体の厚み、t2は前記第2の透光性部材の厚み、t3は前記第2の接着層の厚み、t4は前記第3の接着層の厚みである。) - 請求項1に記載の光学物品の製造方法において、
前記第1の透光性部材、前記第1の接着層および前記無機性結晶材料からなる積層体と、偏光分離膜と、接着剤からなる第2の接着層と、第2の透光性部材と、反射膜と、接着剤からなる第3の接着層と、を順に繰り返し積層する積層工程を備え、
前記積層体を、以下の式(2)を満たす厚みに形成することを特徴とする光学物品の製造方法。
t1=t2+t3−t4 ・・・(2)
(式中、t1は前記積層体の厚み、t2は前記第2の透光性部材の厚み、t3は前記第2の接着層の厚み、t4は前記第3の接着層の厚みである。) - 請求項1に記載の光学物品の製造方法において、
前記第1の透光性部材、前記第1の接着層および前記無機性結晶材料からなる積層体と、接着剤からなる第2の接着層と、偏光分離膜と、第2の透光性部材と、接着剤からなる第3の接着層と、反射膜と、を順に繰り返し積層する積層工程を備え、
前記積層体を、以下の式(3)を満たす厚みに形成することを特徴とする光学物品の製造方法。
t1=t2−t3+t4 ・・・(3)
(式中、t1は前記積層体の厚み、t2は前記第2の透光性部材の厚み、t3は前記第2の接着層の厚み、t4は前記第3の接着層の厚みである。) - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学物品の製造方法において、
前記無機性結晶材料は水晶であり、
前記光学物品は、前記透光性部材と前記水晶と偏光分離膜と反射膜とが積層されてなる偏光ビームスプリッタであることを特徴とする光学物品の製造方法。 - 透光性部材と、無機性結晶材料と、前記透光性部材と前記無機性結晶材料とを接着している接着層と、を備えた光学物品であって、
前記無機性結晶材料の表面と、前記接着層と前記無機性結晶材料層との界面と、が実用上平行であることを特徴とする光学物品。 - 請求項6に記載の光学物品において、
前記無機性結晶材料は水晶であり、
前記光学物品は、前記透光性部材と前記水晶と偏光分離膜と反射膜とが積層されてなる偏光ビームスプリッタであることを特徴とする光学物品。
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