JP2005099779A - 水晶板及びこれを用いた表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 サファイヤと類似した光学特性を有し、サファイヤよりも低価格な材料及び表示装置を提供すること。
【解決手段】 切り出した水晶110のZ面を結晶方位測定器500で測定する。前記Z面の結晶方位がZ面から所定の角度になるように、Z面を基準にして水晶110から水晶板を切り出す。切り出した水晶板のZ軸に対して、光を透過する透過光軸とのなす角度が±10度以下になるようにする。
【選択図】 図9

Description

本発明は、水晶板及びこれを用いた液晶プロジェクタなどの表示装置に関する。
近年、表示装置における液晶プロジェクタ装置では、偏光板で生じた熱を分散させる為にアルミナの単結晶であるサファイヤを偏光板に貼り付けて使われる傾向にある。サファイヤは光透過性の高い素材としては熱伝導率が高く、偏光板で生じた熱を分散させるには適した素材の1つである。従来の液晶プロジェクタは、サファイヤ板の周辺にドライホーニング法ですりガラス状にしておき、このすりガラス状の部分に接合台座金属を付着させて、サファイヤと支持台を融着させる(特許文献1参照。)。
サファイヤの光透過特性としては光の波長で160nm〜6、000nmと広範囲であるが、透過率は通常の可視光で界面反射に起因する透過率低下を考慮に入れても88%程度と石英ガラス等の透過率98%以上と比較すると低い。従って、1枚のサファイヤ板を通過するだけで約10%もの光が減衰する事になる(特許文献2参照。)。
特開2002−72161号公報(第2−4頁、第1図) 特開2002−311202号公報(第6−7頁、第14図)
液晶プロジェクタはデータを表示するデータプロジェクタとしてビジネス面で多用された為、表示をより鮮明に見せる必要があった。そのため、輝度やコントラストと言った性能に重点が置かれていた。ところが、廉価版の装置が市場に登場する事により、ホームシアター等の家庭用装置に市場が移行して来ている。家庭用の装置でも輝度やコントラストと言った性能も重要ではあるが、そのなかでも特に求められる重要なファクターは価格である。サファイヤを製造するには、アルミナの融点が2、040度であり比較的高温である。アルミナを実質に溶解させる為には、摂氏約2、200度の高温が必要であり、その為多量の電気を用いて溶解るつぼを熱する必要がある。つまり、サファイヤ結晶の育成はコスト掛かり、それを使用した製品コストも高いと言う結果になる。また、サファイヤ板の加工においても、サファイヤの硬度がビッカース定義で2000〜2200と堅く、加工に特殊な研磨剤や装置が必要となる。また、堅い為に加工に時間がかかるので、加工コストにおいても高価なものになる。事実、液晶プロジェクタに於けるサファイヤ板の価格効果率はサファイヤ板以外の部品、例えばクロス・プリズムと比較して充分追従できていない。
一方、液晶プロジェクタ用の光学系は、ランプから放射された光を有効に使える改善が成されてきている。初期の液晶プロジェクタでは、入射側の偏光板に入る光の偏波面が統一されていなかったために、入射側偏光板で遮られ、熱に変わる光成分が多かった。この無駄を省くために、光偏波面を回転させ同一偏波面に変換する光学部品の開発や、出射側の偏光板を遮光性の異なった複数の偏光板を多段で使用することで、1枚当たりの偏光板で発生する熱量を減らすことが可能となった。
サファイヤ板を偏光板に貼り付けて偏光板の放熱効果を促進する方法はサファイヤの熱伝導率が高いために有利であるが、反面光学部品としてのサファイヤは透過率として88%程度しかなく、無反射コートを施して表面反射を減らしても実用レベルで透過率が91%でしかなく、高透過性の光学系を作るには不利であった。
また、高輝度表示体の用に高輝度液晶プロジェクタ装置ほどの発熱はないものの、光路上で発生した熱の放熱を促進する為に熱伝導率が比較的高く、光透過率の高い材料で作成されて部品が必要となって来ている。
サファイヤに代わる素材を検討した結果、水晶が素材として本課題を解決するため適切と判明した。検討する際に用いた条件として、光学部品として可視領域、特に450nm、540nm、670nmの波長について95%を越える透過率を示し、サファイヤ板の熱伝導率に対してより近い熱伝導率を持ち、物理的に安定な構造を持ち、工業的に安定に供給されていて、かつ、価格がサファイヤ板より安価になることを条件とした。
サファイヤと水晶を物理指標の点から比較してみる。摂氏20度におけるサファイヤの熱伝導率は、0.066cal/cm/sec/℃であり、摂氏20度における水晶の熱伝導率はZ軸に平行の場合0.032cal/cm/sec/℃であり、Z軸に垂直方向は0.017cal/cm/sec/℃である。熱伝導率の点では、水晶はサファイヤの半分程度となっている。また、水晶は切り出す面によって熱伝導率が異なり、Z軸に平行な面の熱伝導率はZ軸に垂直な面のそれの2倍である。人工水晶は、200nmから2000nmまでほぼ一定で98%程度の透過率を持つ。なお、水晶の熱容量は、摂氏0度に於いて0.166cal/g-℃であり、摂氏25度に於けるサファイヤの0.186cal/g-℃に近似している。結晶の硬度は、ビッカース定義でサファイヤが2000〜2200、水晶が1103となる。
製造法に於いて、水晶は水熱法が一般的な製造法で、オートクレーブで6ヶ月以上の期間をかけて成長させるのが一般的である。水晶は自然界に存在しており、宝飾品などに使われるほど物理的に安定しており、一方、水晶発振子やフィルター等に多用されるため、工業的に安定した供給がある。
反面、旋光性があり、水晶はZ軸を回転軸として珪素原子と酸素原子が螺旋状に配置されているため、Z軸に垂直に切り出した平行平面に直線偏光を入射させると水晶結晶内を伝搬する直線偏光の偏派面が旋回する現象を有する(水晶デバイスの解説と応用 日本水晶デバイス工業界発行2002 4頁参照)。
水晶結晶から水晶板を切り出す際に必要な条件を次に上げる。
第1に、人工水晶は図1のA及びBの形状をしている。中央には種結晶が種結晶は再結晶化の時に再利用するため、種結晶をのみを除去しZ軸方向に成長した部分のみを用います。従って、種結晶の切断の際にY軸に対して精度良く切断する必要がある。つまり、Y軸に対して高い角度も持った切断をすると、材料歩留まりが低下する。次に、水晶は結晶面によって熱伝導率が大きく変化するため、水晶の熱伝導率を最大する為にはZ軸に平行に切り出す必要がある。従って、透過光軸はY軸又はX軸に垂直な面になる。第3に、同様に切り出した水晶板にZ軸に垂直成分が出てくると、水晶の旋光性の影響が出てくる為、加工が可能な限り水晶板の切り出しは極力Z軸に平行が好ましい。水晶板の切り出し角度は種結晶を除去する際の加工に依存する為、種結晶を除去する際の切断角度を定義することが必要となった。
上記の3要素、材料歩留まり、熱伝導率、旋光性成分の影響、及び種結晶の形状を踏まえて、種結晶の切断角度をY軸に対して10度以内と定義した。水晶板の切り出しは種結晶切断面を基準として行うので、水晶板の切り出し角度は光軸、即ちZ軸に垂直な面に対して10度と定義した。
従って、本発明の水晶板は、光を透過する透過光軸と、Z軸と有し、前記透過光軸と前記Z軸との成す角度が±10度以下である。
本発明の水晶板は、立体を構成するいずれかの面と、Z軸を有し、前記いずれかの面と前記Z軸との成す角度が±10度以下である。
本発明の表示装置は、画像を表示する液晶パネルと、前記液晶パネルの少なくとも一部が上記水晶板で構成する。
本発明の表示装置は、画像を表示する液晶パネルと、前記液晶パネルに対して少なくと
も入射光側に上記水晶板を配置し、前記液晶パネルと前記水晶板の少なくとも一部を外壁で覆う。このとき、前記液晶パネルの少なくとも一部が上記水晶板で構成するようにしてもよい。
本発明の表示装置は、画像を表示する液晶パネルと、上記水晶板と、前記水晶板の光が透過される面のいずれか一つの面に、直接又は間接的に光を偏光する偏光板を取り付けた偏光板付き水晶単体と、を有し、前記偏光板付き水晶単体を前記液晶パネルの入射光側か透過光側の少なくともいずれか一方に配置する。ここで、前記液晶パネルの少なくとも一部が上記水晶板で構成するようにしてもよい。
本発明の表示装置は、前記偏光板付き水晶単体の少なくとも一部を保持する支持台を有するようにしてもよい。
また、水晶は、原料の市場価格がサファイヤと比べて安く、加工もサファイヤに比べて簡便に行うことができる。水晶の放熱効果を最大限に引き出す方法、つまり熱伝導率が最大となる様な加工をする事で、より安価な製品の実現に寄与する。
本発明は、水晶板の一面とZ軸が成す角度が±10度以下の水晶板を用いることで、熱伝導率ではサファイヤに劣るが、透過性の高い材料を供給することが可能となった。
水晶は結晶の硬度がサファイヤの半分程度であり、硬度の面から早い加工が期待される。また、構成元素が珪素や酸素であるため、石英や結晶化ガラスと同じであり、研磨剤等も石英や無機ガラスの研磨に用いられるものを使える利点がある。
これらの水晶板を表示装置に使用することで、サファイヤの放熱性の点では劣るものの、透過効率ではサファイヤをしのぐ表示装置を安価に製造することができる。
本発明の実施例を図面を用いて説明する。
図1は、天然水晶の形状と結晶軸方向を表している。天然水晶10は、結晶工学分類では3方晶に分類される。6角形の形状を下面に於いた時、6角形の各辺の中央を突っ切り軸がY軸(Y′軸、Y″軸)である。これに対して、6角形の頂点を突っ切る軸がX軸(X′軸、X″軸)である。このY軸及びX軸に垂直で、更に下面の6角形に垂直な軸がZ軸である。Z軸は光学軸であると共に成長軸でもある。人工的に水晶を成長させると、良質な結晶構造を持つ部分を多く作る事から結晶の形状が異なる。
図2は、人工的に水晶の結晶を成長させた場合の結晶形状と結晶軸である。図2AはZ軸に対して垂直な面の断面図であり、図2BはZ軸に対して水平な面の断面図である。人工水晶100の結晶の成長には、Y軸に伸びた種結晶110を用いる。Y軸方向の結晶成長は著しく遅い為に、Z軸やX軸に対しする結晶成長と比較すると、Y軸方向には結晶成長は無視できるほど小さい。ここで、120は基準面(X面)である。
同様に、結晶は図2Bで示すZ軸方向に最大の成長率を持つ為、図2Bの上下に太くなる形状で結晶が成長する。つまり、人工水晶100の結晶として使用する部分は、Z軸方向に成長した結晶を使う事になる。また、熱伝導率を最大にするためには、Z軸に平行な面に切り出す必要がある。従って、種結晶110の板に垂直に長方形の水晶板を切り出す事で、材料効率と熱伝導率を最大にする事が出来る。
次に、水晶の具体的な加工方法に付いて説明する。図3は、水晶板の切り出す加工を示すフローチャートである。先ずは人工的に育成された水晶結晶100を用意する(工程101)。ここでは、水熱合成法が広く一般的に使用されていることから、この水熱合成法を使用する。なお、育成方法は水熱合成法に限らず、いずれの方法を使用しても構わない。
水晶結晶100の種結晶110に垂直な面を探す(工程102)。通常、この面は未加工の水晶結晶でもほぼ平らな面を有しており、容易に判定出来る。
次に、この面を切削して平らな面にする(工程103)。図4は、X面を基準面とする基準面を作成する斜視図である。切削には平面研削盤を用いるのが一般的である。研削ホイール300のダイヤ砥石部310は、メタルボンド型またはレジンボンド型を用いる。人工水晶100は、接着面130を固定台310に接着等で固定する。ここで、研削ホイール300で研削された面が基準面120である。
次に、切削した面の結晶方位測定を行う(工程104)。図5は、X線結晶方位測定器を用いて基準面の結晶方位を測定する方法を示す模式図である。基準面120の結晶方位測定には、一般的にX線結晶方位測定器500を用いる。測定条件は陰極に銅を使用した場合は、38.91をオフセット角として用いる。測定の結果、正確な面が出ていない場合は、角度オフセットを修正する方向に更に切削する(工程105)。正確な面が出た場合はこの面に接着剤を塗布し、貼り付けを行う(工程106)。接着剤の種類は、瞬間接着剤等の常温で接着効果を得られる物が好ましい。水晶は摂氏573.3度がキューリー温度で、これを境に結晶構造がα型とβ型に変化する為、融解型の接着剤はこれより低い温度で使用するのが好ましい。
次に種結晶板に並行、且つ種結晶板の両側を切断し(工程107)、種結晶110を除去する。図6は、人工水晶結晶100の切断箇所を示す模式図である。種結晶にはエッチチャンネルなどに代表される線状欠陥が多く含まれている為、光学材料としては不向きである上、種結晶110として再利用できる為、種結晶110を取り出す事は性能面とコスト面で利点がある。種結晶110を除去された水晶結晶100を更に寸足らず部分、つまり希望する水晶板の大きさに寸法が満たない部分の切断を行う。
図7は寸足らず部分の切断箇所を示す模式図である。種結晶110を除き、寸足らず部分を除いた水晶結晶100、ランバート800は基準面に垂直な種結晶切り出し面、つまりZ面を結晶方位測定器500でその角度を測定する(工程108)。結晶方位の測定にはX線結晶方位測定器500を用いる。測定条件としては陰極に銅を用いた場合にオフセット角度は38.91度である。
図8は、Z面の結晶方位測定方法を示す模式図である。Z面の結晶方位がZ面から±0.5度の角度であれば、Z面を基準に取り水晶板の切り出しを行う(工程109)。切り出しには一般的にマルチワイヤーソーが用いられる。本実施例ではワイヤー径0.25mmを使用し、切削材は一般的にはGC80番からGC320番の砥粒を用いるが、本実施例ではGC160番を用いた。また、切断加工に付いては、事前にランバート800を外周研削してから切断する方法もある。もし、切断時のチッピングによってエッジが破損す
るようなときは、外周成形を切断後に行うことで回避することができる。
次に、板状に切り出された水晶結晶の研磨に付いて説明する。水晶板の研磨方法には、両面同時に加工する両面同時研磨法と各面を各1回研磨する片面2回研磨法がある。両面同時研磨法は、上面と下面を一度に研磨する事から研磨精度の高い研磨方法である。反面、片面、2回研磨は接着剤で加工物を研磨盤等に貼り付けるので、接着精度が悪いと研磨精度を落ち易いと言う特徴を有する。両面研磨法に付いては研磨材や加工条件等を変えて用いる。同様に、片面2回研磨法に付いては、例えば特許第3329593号記載の研磨方法に基に、研磨材と加工条件等を変えて用いる。本実施例では表面の平坦度を重視する目的から、両面同時研磨法を用いる。
次に、図10〜図14を用いて、実際の研磨工程に付いて説明する。図10は水晶板の外周を成形の方法を示す模式図であり、図11は粗研摩用両面研磨機を用いてラッピングを行う模式図であり、図13は斜面取り装置を示す。また、図14は研磨工程のフローチャートである。
先ず、切断された水晶板の外周成形を行う。外周成形には、一般的に平面研削盤やロータリ研削盤等を用いて行われることが多く、本実施例では平面研削盤1010を用いた。切断された水晶板1000を切断前の方向に並べて平面研削盤1010の上に固定する(工程201)。平面研削盤1010に固定された水晶板1000の外周を研削ホイール300で研削する(工程202)。研削の順番はZ面以外の部分から開始し、最後にZ面の研削を行う。Z面を最後に研削するのは、Z面は結晶方位測定した基準面である為、他の面をZ面基準で加工し終わった後の加工でないと他の面の角度精度に影響が出るからである。
次に、外周成形の終わった水晶板1000を粗研磨する(工程203)。図11に示す様に、水晶板1000を粗研磨用のキャリア1130に入れ、両面研磨機1010で粗研磨をする。粗研磨に用いられる両面研磨機用の研磨定盤1110、1120は鋳鉄製で溝切り定盤を用いる。粗研磨に用いられる研磨剤は一般的にGC80番からGC2000番までを使用するが、本実施例では第1の粗研磨加工でGC320番を、第2の粗研磨加工でGC1600番を用いた。研磨剤は、上定盤1110の上部に設けられた研摩剤戸井1113から研磨剤チューブ1115を通って、下定盤1120に流れる。キャリア1130の材質に付いてはブルースチール材が一般的に使われているが、水晶エッジのチッピングを押さえる目的から、本実施例ではグラスファイバー製のキャリアを用いた。研磨は、上定盤1110の回転方向と下定盤1120の回転方向が異なるように回転させて行う。
粗研磨が終了した水晶板1000を洗浄する(工程204)。洗浄溶剤は市水(水道水)が一般的である。
次に水晶板1000の斜面取りを行う(工程205)。図12に示すように、面取りホイール1210は、一般的にダイヤ粒子が埋め込まれている。本実施例では、3ミクロン平均粒径のダイヤを埋め込んだメタルボンド型を使用した。斜面取りの角度は、角度治具1220を用いて、通常45度と35度で使用されることが多い。本実施例では45度で面取り加工を行った。面取り加工数は一枚の水晶板1000に於いて、4面上下で計16面の加工を行った。斜面取りの効果としては、次工程の鏡面研磨工程に於いて、水晶板1000の斜面が立っていると、研磨パッド1340に傷を付けてしまったり、水晶板1000の斜面粒子が脱落して研磨面に傷が付くことを防ぐ効果がある。
粗研磨工程同様、斜面取りが終わった水晶板1000をキャリア1330に入れ鏡面研磨する(工程206)。研磨定盤1310、1320にはコルク状の研磨パッド1340
を貼り付けたものを用いる。コルク状の研磨パットを使用するのは、コルクパッドが弾力性に富んでいる上にアクリル製の研磨パッドと比較して価格が安いからである。その上、多孔質である為、研磨剤の保持が容易でもある。研磨剤は酸化セリウムの乳化溶液を用いる。酸化セリウムは、研磨剤の硬さや粒子径に於いてビッカース硬度400〜800程度の材料、例で言えば無機ガラス、水晶、硬質ガラス等の鏡面研磨剤として最適である。硬過ぎると鏡面に成らずミクロの傷が出来るので、適当に研磨剤の表面が丸まる事が好ましい。酸化セリウムは価格的にも安価で、一般的に広く使われている。キャリアの材質は粗研磨同様グラスファイバーを用いた。
次に鏡面研磨を終えた水晶板1000を洗浄する(工程207)。洗浄剤は水洗い後、ガラス磨き洗剤やアルコールを用いる。研磨液は一般的に滑りを良くする目的や、加工面の温度を上げて研磨効率を高める目的で、油脂分を添加して作る。この油脂が加工物の表面に付着してしまうので、その油脂分を除去する目的でアルコールや油脂が解け安い強アルカリ性のガラス磨きを使うのである。
最後に洗浄を終えた水晶板1000を検査する(工程208)。検査内容は一般的に傷等を検査する外観検査と、外形寸法等を測定する寸法検査である。
液晶プロジェクタに用いられる水晶板は、偏光板を水晶板に貼って用いるため、水晶板の熱伝導率が重要となる。偏光板は、光変調する画像によって遮光する場所と遮光量が異なる為、遮光に依って発生した熱をいち早く分散させる必要がある。部分的な熱の蓄積があると、この熱による温度上昇が発生する。偏光板は有機化合物で構成されているので、この温度上昇により偏光板が劣化してしまう。水晶は、この部分的な熱の蓄積を分散させて、偏光板が熱によって劣化してしまうことを防止する。
水晶結晶は、Z軸に平行な面がZ軸に垂直な面に対して約2.3倍の熱伝導率を持つ。水晶結晶の熱伝導率は、Z軸に平行な面に於いて0.032cal/cm/sec/℃であるが、Z
軸に垂直な面では0.017cal/cm/sec/℃となる。従って、熱伝導率の高いZ軸に平行
な面を使用する。また、水晶結晶の熱伝導率は、Z軸と成す角度にほぼ比例すると考えられることから、水晶板の熱伝導率が高ければ高いほど、高い性能を維持出来ることになる。このとき、熱伝導率が最大となる値を最大熱伝導率とすると、性能をある程度維持しながら価格を抑えようとする場合、熱伝導率の許容値である最大熱伝導率に対して±25%が妥当である。この範囲で熱伝導率を維持するにしても水晶板を切り出す際の前記要素、材料歩留まり、旋光性成分の影響及び種結晶の切り出し角度の影響を考慮に入れると、水晶板表面に対する軸精度は±10度となる。なお、この値は分単位や秒単位の軸精度を要求される電気的な応用に用いられる水晶板の結晶軸精度と比較する非常にラフな値である。
また、本実施例では、Z面をX線結晶方位測定器で切り出し面とZ面の角度を測定する事でこの面を基準に加工し、水晶板のZ軸方位を保証する方法を取っている。軸精度が比較的ラフな値でも十分である為、加工毎の結晶方位測定を行って製品の軸精度を確認する必要性が低くなる。そこで、水晶板の一面とZ軸が成す角度が±10度以下の水晶板としておくことで、軸精度確認作業を少なくすることができ、作業の迅速性と製造コストを低減する効果がある。
次に、実施例1の水晶板が、液晶パネルの一部に用いられる場合に付いて説明する。図15は、水晶板1540を使用した液晶パネルの斜視図である。光源からの光によって、偏光板の周囲は高温となる。例えば、液晶プロジェクタに使用される液晶パネルは、偏光板と液晶パネルが近接していることが多く、液晶パネルは偏光板から出される熱で影響を受け易い。通常の液晶パネル1500の耐熱温度保証値は、摂氏70度前後である。液晶パネル内にXドライバー1510とYドライバ電極1530などを形成している面と対抗
する面に、水晶板1540を貼り付ける。液晶パネル1500に用いられる水晶板1540は、水晶板1540面内の蓄熱を分散させ、温度を全体的に下げる目的で使われる。なお、液晶パネル1500を構成するガラスを全てあるいはその一部を、水晶板1540に置き換えて使用することも可能である。
次に、実施例1の水晶板を液晶パネル外装に使用した実施例を説明する。図16は水晶板を液晶パネル外装に使用した斜視図と断面図を示す。液晶パネル本体1620の光透過面の前後にそれぞれ無機ガラス1610、1615を配置する。更に光が入射される側の無機ガラス1610の前方に水晶板1600を配置する。そして、液晶パネル本体1620、無機ガラス1610、1615と水晶板1600の上下と両側面を外壁1630で覆う。また、水晶板1600と無機ガラス1610との間をグリス等で満たす。ここで使用するグリス等は、熱の伝導を抑えるために入れるので、熱伝導性が低いほうが好ましい。液晶パネル本体1620の前に無機ガラス1610を介して、水晶板1600を配置した場合、水晶板1600の熱分布を均一にして温度を下げる効果と無機ガラス1610は熱伝導率が低い為に、水晶板1600の熱が液晶パネル本体1610に伝わりにくく、液晶パネル本体1620に於ける温度上昇を抑える効果がある。
なお、全てあるいはその一部の無機ガラス1610、1615を、水晶板に置き換えても構わない。また、外壁1630に水晶板1600を使用しても構わない。
次に、実施例1の水晶板を液晶プロジェクタに使用する場合について説明する。図17は、水晶板の斜視図及び側面図である。図18は、水晶板を支持台に取り付けた斜視図及び断面図である。図19は、水晶板を使用した液晶プロジェクタの光変調機の斜視図及び断面図である。
図17において、偏光板付き水晶単体1800は、水晶板1840の光透過面に一方に反射防止膜1830を形成する。さらに、反射防止膜1830の水晶板1840とは反対面に偏光板1810を取り付ける。また、水晶板1840の反射防止膜1830を形成した面と反対の面に、無反射コーティングを施すか或いは広角フィルム1820を貼り付ける。無反射コーティングを施したり或いは広角フィルム1820を貼るのは、迷光を防ぐためである。なお、無反射コーティング又は広角フィルム1820の代わりに、金属膜等で光学的遮蔽を行ってもよい。
次に、偏光板付き水晶単体1800を支持台1720、1725に取り付けて、偏光板付き水晶1700とする。偏光板付き水晶単体1800の4つの端面を支持台1720、1725で固定する。偏光板付き水晶単体1800の左右の端面を取り付ける支持台1720は、偏光板1810が取り付けられていない水晶板1840の部分を保持するための溝1722が設けられている。偏光板付き水晶単体1800は、溝1722された後、有機系の接着剤で固めて固定する。なお、有機系接着剤を使用するときは、有機系接着剤が一般的に熱伝導性に乏しい為、水晶板面内に分散した熱はファンによる送風で発散させるのが好ましい。ここで使用される水晶板1840は、高光透過性と高熱分散性、つまり高熱伝導率を有する面が偏光板を貼る面となるようにするのが好ましい。
また、偏光板付き水晶単体1800の上下の端面を保持する支持台1725は、偏光板付き水晶単体1800を保持する溝を設けていない。偏光板付き水晶単体1800と支持台1725は、有機系接着剤で接着される。このようにして、偏光板付き水晶単体1800の上下左右の端面が、支持台1720、1725に固定される。なお、支持台1720、1725に設ける溝は、支持台1720あるいは支持台1725のどちらに設けても構
わないし、両方に設けてもかまない。更に、偏光板付き水晶単体1800と支持台1720、1725がきちんと固定されるならば、溝を設けなくても構わない。
液晶プロジェクタの光変調機は、2つの偏光板付き水晶1700を使用する。2つの偏光板付き水晶1700は、液晶パネル1920の透過光側と透過光側にそれぞれ配置する。液晶パネル1920の透過光側に配置される偏光板付き水晶1700は、偏光板1810を透過光側に向ける。液晶パネル1920の透過光側に配置される偏光板付き水晶1700は、偏光板1810を透過光側に向ける。
透過光が透過光側の偏光板付き水晶1700に入射されると、透過光が偏光板に均一に当たるので、均一的な発熱になる。また、液晶パネル1920を透過した光は、液晶パネル1920で光変調されるので、液晶パネル1920面内の画像情報に因って液晶パネル1920面内の偏光角度が変わる。この偏光角度により、透過光側の偏光板付き水晶1700で光が透過されないで遮蔽されると、この光が熱となる。つまり、透過光側の偏光板付き水晶1700における発熱は、光変調する画像に依って決まり、その発熱は面内で不均一である。
偏光板1810は、有機フィルムの上に有機高分子化合物の鎖を長く伸ばした構造を持つ為、熱に弱い。発熱に因って偏光板1810全体または部分的に温度が上がると、偏光板が発熱に耐え切れずに性能が劣化してしまう。何れの場合も、偏光板付き水晶1700には、蓄熱した部分の熱を分散させ、蓄熱した部分の温度を下げる性能が求められる。
なお、透過光側の偏光板付き水晶1700で熱が遮蔽されるようであれば、透過光側には偏光板付き水晶1700を使用せずに、無機ガラスに偏光板1810を貼り付けたものを用いても構わないし、液晶パネル1920に直接偏光板1810を貼り付けても構わない。
天然水晶の結晶形状と結晶軸を示した立体図である。 人工水晶の結晶形状と結晶軸を示した平面図と断面図である。(A)がZ軸に対して垂直面を示した平面図であり、(B)はZ軸に対して水平面を示した平面図である。 水晶板の切り出し加工を示すフローチャートである。 水晶の基準面の切削状態を示す模式図である。 水晶の基準面の結晶方位測定を示す模式図である。 水晶の種結晶の除去部分を示す平面図である。 水晶の寸足らず部の切り落とし部分を示す平面図である。 Z面における結晶方位測定を示す模式図である。 ランバートの切断を示す模式図である。 水晶板の外周研削手法を示す斜視図である。 粗研磨用両面研磨機とラッピングを示す模式図である。 斜面取り装置の斜視図である。 鏡面研磨用両面研磨機を示す斜視図である。 水晶板の研磨を示すフローチャートである。 水晶板を使用した液晶パネルの斜視図である。 水晶板を液晶パネル外装に使用したときの斜視図及び平面図である。 偏光板付き水晶単体の斜視図及び断面図である。 偏光板付き水晶の斜視図及び断面図である。 液晶プロジェクタの光変調機を示した斜視図と断面図を示す。
符号の説明
10 天然水晶
100 人工水晶
110 種結晶
1600、1840 水晶板
1810 偏光板
1500、1620、1920液晶パネル

Claims (7)

  1. 光を透過する透過光軸と、Z軸と有し、
    前記透過光軸と前記Z軸との成す角度が±10度以下である水晶板。
  2. 立体を構成するいずれかの面と、Z軸を有し、
    前記いずれかの面と前記Z軸との成す角度が±10度以下である水晶板。
  3. 画像を表示する液晶パネルと、
    前記液晶パネルの少なくとも一部を請求項1又は2に記載された水晶板で構成した表示装置。
  4. 画像を表示する液晶パネルと、
    前記液晶パネルに対して少なくとも入射光側に請求項1又は2に記載された水晶板を配置し、
    前記液晶パネルと前記水晶板の少なくとも一部を外壁で覆う表示装置。
  5. 画像を表示する液晶パネルと、
    請求項1又は2に記載された水晶板を有し、
    前記水晶板の光が透過される面のいずれか一つの面に、直接又は間接的に光を偏光する偏光板を取り付けた偏光板付き水晶単体と、を有し
    前記偏光板付き水晶単体を前記液晶パネルの入射光側か透過光側の少なくともいずれか一方に配置した表示装置。
  6. 前記偏光板付き水晶単体の少なくとも一部を保持する支持台を有する請求項5に記載された表示装置。
  7. 前記液晶パネルの少なくとも一部が請求項1又は2に記載された水晶板で構成した請求項4乃至6のいずれかに記載された表示装置。
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JP2010101992A (ja) * 2008-10-22 2010-05-06 Epson Toyocom Corp 光学物品の製造方法およびその光学物品
WO2020012733A1 (ja) * 2018-07-09 2020-01-16 株式会社村田製作所 人工水晶部材及びそれを用いた光学素子

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