JP2004341277A - 光学装置、およびプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストを低減できる光学装置、およびこれを用いるプロジェクタを提供すること。
【解決手段】複数の色光を各色光毎に変調する複数の光変調装置42Rと、各光変調装置42Rで形成された光学像を合成する色合成光学装置43とを備える光学装置40は、光変調装置42Rの保持枠60と、色合成光学装置43の光束入射端面431に取り付けられる固定部材70とを備え、保持枠60は、筒状またはピン状の突起64を有し、固定部材70は、保持枠60の筒状突起64に挿入されるピン状突起74、または保持枠60のピン状突起64が挿入される筒状突起74を備える。両突起の突出部分で十分な接合面積を確保できるので、保持枠60の形状に関わらず、色合成光学装置43に対して光変調装置42Rを確実に固定できる。板金加工等により保持枠60を形成すれば製造コストを低減でき、装置の小型化も図られる。
【選択図】図2
【解決手段】複数の色光を各色光毎に変調する複数の光変調装置42Rと、各光変調装置42Rで形成された光学像を合成する色合成光学装置43とを備える光学装置40は、光変調装置42Rの保持枠60と、色合成光学装置43の光束入射端面431に取り付けられる固定部材70とを備え、保持枠60は、筒状またはピン状の突起64を有し、固定部材70は、保持枠60の筒状突起64に挿入されるピン状突起74、または保持枠60のピン状突起64が挿入される筒状突起74を備える。両突起の突出部分で十分な接合面積を確保できるので、保持枠60の形状に関わらず、色合成光学装置43に対して光変調装置42Rを確実に固定できる。板金加工等により保持枠60を形成すれば製造コストを低減でき、装置の小型化も図られる。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の色光を各色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、各光変調装置と対向する複数の光束入射端面を有し、各光変調装置で形成された光学像を合成する色合成光学装置とを備える光学装置、および、この光学装置を用いるプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、光源から射出される光束をダイクロイックミラー等を用いた色分離光学系によって三原色の赤、緑、青の色光に分離するとともに、液晶パネル等を用いた3つの光変調装置により色光ごとに画像情報に応じて変調し、変調された各色光を、クロスダイクロイックプリズム等の色合成光学装置で合成し、投写レンズを介してカラー画像を拡大投写する、いわゆる三板式のプロジェクタが知られている。
このような三板式のプロジェクタに用いられる光学装置としては、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に液晶パネルを楔状のスペーサやピンスペーサを介して接合固定したものが知られている。このような光学装置は、液晶パネルがプリズムに直接接合固定されているため、液晶パネルを単独で支持する構造を設ける必要がなく、プロジェクタの小型化に大きく寄与するものである。
【0003】
この構造の例としては、立方体状とされるクロスダイクロイックプリズムの複数の光束入射端面と交差する端面に台座を取り付けるとともに、この台座から液晶パネル側に延びる細いピンを、液晶パネルを保持する枠に形成された孔に挿入し、ピンとこの枠とを接着固定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、他の例としては、樹脂製のねじを、液晶パネルを保持する枠に形成された孔にクロスダイクロイックプリズムとは反対側から挿入し、先の例と略同様に取り付けられている樹脂製の台座が有するねじ孔まで到達させ、ねじとねじ孔とを加熱溶融して溶着するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
光変調装置としての液晶パネルは、一対の透明基板間に液晶材料が封入されたパネル本体と、この液晶パネル本体を収納する保持枠を備えて構成される。
そして、この保持枠には、液晶パネル本体に応じた位置に矩形の開口部が形成されており、その開口部周縁四隅部分にピンスペーサを挿入する孔が形成されている。
光学装置の製造に際しては、光硬化性接着剤を塗布したピンを保持枠の孔に挿入し、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に対する各液晶パネルの相対位置を調整した後、紫外線を照射して接着剤を硬化させ、各液晶パネルをクロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に固定する。
このような従来の取付方法では、液晶パネル本体を保持する保持枠として、液晶パネルの放熱性を向上させるため、アルミニウム、マグネシウム等の金属材料が採用され、液晶パネルを収納するとともにピンとの接着面積を確保するために、金属材料を成形した容器状のものが用いられる(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−227583号公報(段落[実施例]、図1)
【特許文献2】
特開2002−268032号公報(段落[0010][0012]、図4)
【特許文献3】
特開2000−221588号公報(段落[0042]、図5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような型成形した保持枠は、型代が高く、工程等が複雑となるため製造コストが高騰してしまうという問題がある。
一方、板金加工等により保持枠を製造することも考えられるが、金属板を加工した保持枠のままでは、ピンスペーサおよび保持枠の接合面積が板厚部分しかなく、十分な取付強度を確保できないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、製造コストが高騰することなく、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に液晶パネルを十分固定することのできる光学装置およびプロジェクタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学装置は、複数の色光を各色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、各光変調装置と対向する複数の光束入射端面を有し、各光変調装置で形成された光学像を合成する色合成光学装置とを備える光学装置であって、光変調装置は、光変調素子と、この光変調素子の画像形成領域に応じた開口部が形成されるとともに光変調素子を保持する板状の保持枠を備え、この光変調装置は、色合成光学装置の光束入射端面に沿って取り付けられる固定部材を介して光束入射端面と対抗配置され、保持枠は、開口部周縁に、保持枠の板状面から突出する筒状またはピン状の突起を備え、固定部材は、保持枠の筒状突起に挿入されるピン状突起、または保持枠のピン状突起が挿入される筒状突起を備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、固定部材は、色合成光学装置の光束入射端面に応じた開口部を有する板状体と、この板状体に突設される筒状またはピン状の突起とを備えて構成することができる。
また、保持枠および固定部材の材料としては、液晶パネルの放熱性を確保するために金属材料を採用するのが好ましい。金属材料としては、例えばアルミニウム、マグネシウム等を採用できるが、線熱膨張係数の小さいインバーを採用するのがより好ましい。
さらに、筒状突起またはピン状突起は、金属板面上に溶接等によって接合したり、ねじ等を用いて機械的に固定することにより、保持枠及び固定部材から突設させることが可能である。
そして、筒状突起内とピン状突起との隙間部分を接着剤で介在させて固定することができ、この接着剤としては、例えば、光硬化性接着剤または熱硬化性接着剤を採用することができる。
【0010】
この発明によれば、保持枠と固定部材との取付を、筒状突起内にピン状突起を挿入して行うので、両突起の突出部分で十分な接合面積を確保でき、保持枠の形状に関わらず、色合成光学装置に対して光変調装置を確実に固定することができる。
したがって、板金材料等を利用して保持枠を形成することができるため、製造コストを低減できる。また、保持枠をかさばらない形状、例えば、薄板状とすることが可能となるので、光学装置の小型化も図ることができる。
【0011】
本発明では、保持枠の突起はピン状突起であり、このピン状突起が挿入される固定部材の筒状突起は、この固定部材の板状体に形成される孔の内周縁を面外方向に突出させて板状体と一体的に形成されていることが好ましい。
この発明によれば、固定部材の筒状突起が固定部材の板状体と一体形成されることにより、部品点数を削減できるとともに、固定部材に筒状突起を突設する作業が不要となるため、製造コストをさらに低減できる。
【0012】
本発明では、固定部材は、板金加工による金属製の板状体を備えて構成され、筒状突起は、板金加工により板状体に形成された孔の内周縁を面外方向に突出させたバーリング孔からなることが好ましい。
この発明によれば、固定部材のプレス成形と同時にバーリング孔を形成できるので、製造コストをさらに低減できる。
【0013】
本発明では、保持枠は、開口部が形成される板状部と、この板状部の開口部周縁に形成される孔と、この孔に挿入される螺合部材と、挿入された螺合部材により板状部に固定可能とされるピン状突起とを備えて構成されることが好ましい。
ここで、ピン状突起としては、内部に雌ねじを形成した合成樹脂製や金属製によるものを採用することができる。
この発明によれば、ピン状突起を保持枠に対し螺合部材で固定して突設することにより、ピン状突起と筒状突起とを接合して保持枠を固定部材に固定した後であっても、螺合部材の螺合を解くことで、保持枠のみを取り外すことができる。
したがって、液晶パネル等に不具合があった場合、保持枠ごと取り外して確認並びに交換することができ、リワーク性に優れた光学装置とすることができる。
【0014】
本発明では、保持枠の突起は筒状突起であり、この筒状突起に挿入される固定部材のピン状突起の突出方向先端部分は、ピン先端に向かって次第に縮径する先細り形状とされていることが好ましい。
ここで、保持枠の筒状突起は、保持枠の板状面から固定部材のピン状突起の基端側に突出するように設けてもよく、逆に、保持枠の板状面を貫通するピン状突起が挿入されるように、ピン状突起の挿入方向先端側に突出するように設けてもよい。また、保持枠の板状面から面外両方向に突出するように設けても構わない。
この発明によれば、ピン先端側が先細り形状とされているため、ピン状突起に接着剤を塗布した状態でもピン状突起を筒状突起に挿入し易い。そのうえ、光硬化性接着剤を用いてピン先端側から光を照射すれば、ピン先端の光の反射や吸収が抑制されるので、接着剤を迅速に硬化させることができ、製造効率に優れる。
【0015】
本発明では、保持枠の筒状突起は、該保持枠の板状面から、ピン状突起の挿入方向先端側に向かって突出していることが好ましい。
この発明によれば、保持枠の筒状突起が色合成光学装置とは反対側に突出していることにより、光変調装置および色合成光学装置の対向距離に関わらず、筒状突起およびピン状突起の突出寸法を大きく設定することができる。
したがって、このように長い突出部分で接合面積を大きく確保することができるので、光変調装置と色合成光学装置との取付強度を向上できる。特に、ピン状突起の径が細い場合に有効である。
また、光変調装置および色合成光学装置間にピン状突起のみを配置すれば、これらの間に吹き付けられる冷却風を速やかに流すことができ、光変調装置および色合成光学装置間に配置される射出側偏光板や視野角補償板の冷却効率を向上できる。
【0016】
本発明では、保持枠の筒状突起は、該保持枠の板状面から、ピン状突起の基端側に向かって突出していることが好ましい。
この発明によれば、保持枠と固定部材との対向間に筒状突起およびピン状突起を納め、保持枠の光束入射側から部材を突出させなくても済むので、光学装置およびプロジェクタの小型化が図られる。なお、ピンの径を太く設定すれば、その分、筒状突起およびピン状突起の接合面積が拡張されて、取付強度が向上する。
【0017】
本発明では、ピン状突起は、光透過性部材から構成されていることことが好ましい。
このような光透過性部材としては、例えば、アクリル部材等を採用できる。
この発明によれば、ピン状突起が光透過性部材とされることより、光硬化性接着剤を用いてピン先端側から光を照射すれば、ピン状突起が挿入される筒状突起との接着部分にピン状突起内部を通じて光が行き渡るので、接着剤を迅速に硬化させることができる。
【0018】
本発明のプロジェクタは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、拡大投写するプロジェクタであって、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の光学装置を備えることを特徴とする。
この発明によれば、前述のような光源装置を用いることで、製造コストを低減でき、かつ、小型化されたプロジェクタを提供できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の各実施形態に係るプロジェクタ1の光学系を表す模式図が示され、このプロジェクタ1は、光源から射出された光束を、画像情報に応じて変調して光学像を形成し、スクリーン上に拡大投写する光学機器であり、光源装置10、均一照明光学系20、色分離光学系30、リレー光学系35、光学装置40、および投写光学系50を備えて構成されている。そして、光学系20〜光学装置40を構成する光学素子は、所定の照明光軸Aが設定されたライトガイド2内に位置決め調整後固定され、収納されている。
なお、光学装置40を構成する光学素子の配置、固定等については、特徴的な部分を後述する。
【0020】
光源装置10は、発光管11から放射された光束を一定方向に揃えて射出し、光学装置40を照明するものであり、発光管11、楕円リフレクタ12、副反射鏡13、および平行化凹レンズ14を備えている。
そして、発光管11から放射された光束は、楕円リフレクタ12により装置前方側に射出方向を揃えて収束光として射出され、平行化凹レンズ14によって平行化され、均一照明光学系20に射出される。
【0021】
均一照明光学系20は、光源装置10から射出された光束を複数の部分光束に分割し、照明領域の面内照度を均一化する光学系であり、第1レンズアレイ21、第2レンズアレイ22、偏光変換素子23、および重畳レンズ24、および反射ミラー25を備えている。
第1レンズアレイ21は、発光管11から射出された光束を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、照明光軸Aと直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えて構成され、各小レンズの輪郭形状は、後述する光学装置40を構成する液晶パネル42R、42G、42Bの画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。
第2レンズアレイ22は、重畳レンズ24と共に前述した第1レンズアレイ21により分割された複数の部分光束を集光する光学素子であり、第1レンズアレイ21と同様に照明光軸Aに直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えた構成であるが、集光を目的としているため、各小レンズの輪郭形状が液晶パネル42R、42G、42Bの画像形成領域の形状と対応している必要はない。
【0022】
偏光変換素子23は、第1レンズアレイ21により分割された各部分光束の偏光方向を一方向の直線偏光に揃える偏光変換素子である。
この偏光変換素子23は、図示を略したが、照明光軸Aに対して傾斜配置される偏光分離膜および反射ミラーを交互に配列した構成を具備する。偏光分離膜は、各部分光束に含まれるP偏光光束およびS偏光光束のうち、一方の偏光光束を透過し、他方の偏光光束を反射する。反射された他方の偏光光束は、反射ミラーによって曲折され、一方の偏光光束の射出方向、すなわち照明光軸Aに沿った方向に射出される。射出された偏光光束のいずれかは、偏光変換素子23の光束射出面に設けられる位相差板によって偏光変換され、すべての偏光光束の偏光方向が揃えられる。このような偏光変換素子23を用いることにより、発光管11から射出される光束を、一方向の偏光光束に揃えることができるため、光学装置40で利用する光源光の利用率を向上することができる。
【0023】
重畳レンズ24は、第1レンズアレイ21、第2レンズアレイ22、および偏光変換素子23を経た複数の部分光束を集光して液晶パネル42R、42G、42Bの画像形成領域上に重畳させる光学素子である。この重畳レンズ24は、本例では球面レンズであるが、非球面レンズを用いることも可能である。
この重畳レンズ24から射出された光束は、反射ミラー25で曲折されて色分離光学系30に射出される。
【0024】
色分離光学系30は、2枚のダイクロイックミラー31、32と、反射ミラー33とを備え、ダイクロイックミラー31、32より均一照明光学系20から射出された複数の部分光束を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する機能を具備する。
ダイクロイックミラー31、32は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子であり、光路前段に配置されるダイクロイックミラー31は、赤色光を透過し、その他の色光を反射するミラーである。光路後段に配置されるダイクロイックミラー32は、緑色光を反射し、青色光を透過するミラーである。
【0025】
リレー光学系35は、入射側レンズ36と、リレーレンズ38と、反射ミラー37、39とを備え、色分離光学系30を構成するダイクロイックミラー32を透過した青色光を光学装置40まで導く機能を有している。なお、青色光の光路にこのようなリレー光学系35が設けられているのは、青色光の光路長が他の色光の光路長よりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。本例においては青色光の光路長が長いのでこのような構成とされているが赤色光の光路長を長くする構成も考えられる。
【0026】
前述したダイクロイックミラー31により分離された赤色光は、反射ミラー33により曲折された後、フィールドレンズ41を介して光学装置40に供給される。また、ダイクロイックミラー32により分離された緑色光は、そのままフィールドレンズ41を介して光学装置40に供給される。さらに、青色光は、リレー光学系35を構成するレンズ36、38および反射ミラー37、39により集光、曲折されてフィールドレンズ41を介して光学装置40に供給される。なお、光学装置40の各色光の光路前段に設けられるフィールドレンズ41は、第2レンズアレイ22から射出された各部分光束を、照明光軸に対して並行な光束に変換するために設けられている。
【0027】
光学装置40は、入射した光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、照明対象となる光変調装置としての液晶パネル42と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム43とを備えて構成される。なお、フィールドレンズ41および各液晶パネル42R、42G、42Bの間には、入射側偏光板44が介在配置され、図示を略したが、各液晶パネル42R、42G、42Bおよびクロスダイクロイックプリズム43の間には、射出側偏光板が介在配置され、入射側偏光板44、液晶パネル42R、42G、42B、および射出側偏光板によって入射する各色光の光変調が行われる。
【0028】
液晶パネル42R、42G、42Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入したものであり、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に従って、入射側偏光板44から射出された偏光光束の偏光方向を変調する。この液晶パネル42R、42G、42Bの変調を行う画像形成領域は、矩形状であり、その対角寸法は、例えば0.7インチである。
【0029】
クロスダイクロイックプリズム43は、射出側偏光板から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム43は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせて構成される略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。このX字の略中央で交差する一方の線分に対応する誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の線分に対応する誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光および青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
そして、クロスダイクロイックプリズム43から射出されたカラー画像は、投写光学系50によって拡大投写され、図示を略したスクリーン上で大画面画像を形成する。
【0030】
前述のように、光学装置40はライトガイド2内に固定されているが、光学装置40の固定手段、および、光学装置40を構成する各光学素子の固定手段について、以下詳述する。
光学装置40の側面図である図2に示すように、液晶パネル42Rは、クロスダイクロイックプリズム43の光束入射端面431に対向するように離間配置されている。実際の光学装置40は、3枚の液晶パネル42R、42G、42Bが、クロスダイクロイックプリズム43の各側面に配置されて構成されているが(図1参照)、液晶パネル42R、42G、42Bそれぞれをクロスダイクロイックプリズム43に対して配置する態様は、すべて同様である。
したがって、これより先、主に液晶パネル42Rについて図示、説明を行うとともに、液晶パネル42G、42Bについては図示、説明ともに適宜省略する。また、既に説明した、フィールドレンズ41、および入射側偏光板44についても図示を省略する。
【0031】
光学装置40を構成する液晶パネル42R、42G、42B、およびクロスダイクロイックプリズム43を、ライトガイド2に固定する手段について簡単に説明する。
図2に示すように、クロスダイクロイックプリズム43は、底面が台座46に取り付けられ、台座46から延びる固定腕部47にてライトガイド2に固定されている。そして、液晶パネル42R、42G、42Bは、このクロスダイクロイックプリズム43の各側面に取り付けられ、クロスダイクロイックプリズム43とユニット化されて光学装置40を構成している。つまり、液晶パネル42R、42G、42Bは、クロスダイクロイックプリズム43を通じて、ライトガイド2に固定されている。
なお、クロスダイクロイックプリズム43の上面に台座を取り付けてライトガイド2に固定する構成としてもよい。
【0032】
このようにユニット化されている液晶パネル42Rおよびクロスダイクロイックプリズム43は、これから説明するように、それぞれが対向間に取付部材を備えている。
液晶パネル42Rは、詳述すれば、前述した一対の透明なガラス基板としての駆動基板421と対向基板422との間に液晶が封入されているとともに、駆動基板421と対向基板422との間から、制御用ケーブル423が延出している構成である。液晶パネル42Rを構成するこれらの基板等の一式を、クロスダイクロイックプリズム43との近接側から保持枠60が保持しており、保持枠60は、液晶パネル42Rをクロスダイクロイックプリズム43に取り付ける取付部材とされている。
【0033】
保持枠60の形状、特に取付部分について、図2、および、光学装置40の分解斜視図である図3に基づいて説明する。
略矩形状とされる保持枠60は、略矩形状に開口させた開口部61が形成された薄板状であり、インバーを用いて板金加工により形成されている。保持枠60の平面部分は板状面62として機能し、この板状面62の四隅には、孔63が形成されている(図3参照)。そして、これらの孔63に、別部品として、孔63に対応する外径を有する略筒状に成形されたスリーブ64が挿入されることにより、スリーブ64は、保持枠60の筒状突起としての機能を備える。すなわち、スリーブ64は、孔63の周囲と連続して、保持枠60と一体的に機能するものである。なお、スリーブ64は、アクリル樹脂を用いた射出成形品である。
図2における、液晶パネル42Rの取付部分を拡大する図4(A)に示すように、スリーブ64の端部外周には、つば部641が形成されているとともに、つば部641は、孔63の周囲に当接している。また、スリーブ64には、内周側の一端から他端まで、ピン挿入時の空気の逃げ孔となる溝642が形成されている(図4(B)参照)。
【0034】
一方、図2に示すように、クロスダイクロイックプリズム43には、側面に沿って固定部材70が接着固定され、固定部材70は、クロスダイクロイックプリズム43を液晶パネル42Rに取り付ける取付部材とされている。
アクリル樹脂を用いて略矩形状に形成されている固定部材70の平面部分である板状体72には、クロスダイクロイックプリズム43の光束入射端面431に応じた略矩形状の開口部71が形成されるとともに、板状体72の四隅には、一の面外方向に突出する丸棒状のピンスペーサ74が形成されている(図3参照)。これらのピンスペーサ74は、固定部材70のピン状突起としての機能を備えるものである。なお、固定部材70には、射出側偏光板45が両面テープまたは透明接着剤により取り付けられている。
ピンスペーサ74は、スリーブ64の内径に対して隙間を生ずる径を有し、ピン先端741は先細り形状とされる。また、ピンスペーサ74は、基端側の径に段差が付けられており、径が一回り大きく形成された基端部分が、基端部742とされている。
基端部742は、この径の大きさにより、固定部材70に突設されるピンスペーサ74の補強部材としても機能する。なお、固定部材70は、ピンスペーサ74も含め、アクリル樹脂を用いて射出成形により一体形成されている。
【0035】
以下、液晶パネル42Rとクロスダイクロイックプリズム43との取付手段について、図2および図3に基づいて説明する。
前述のように、液晶パネル42Rとクロスダイクロイックプリズム43とは、保持枠60および固定部材70を介して取り付けられる。
保持枠60には、スリーブ64がつば部641の裏側を固定部材70側の孔63周囲に当接するように挿入されて突設されるとともに、固定部材70から突出するピンスペーサ74が、つば部641からスリーブ64に挿入される。このスリーブ64は筒状突起として、ピンスペーサ74はピン状突起として機能する。挿入の状態を明らかにするために、図2および図4においてスリーブ64を一部断面として表している。
このように、スリーブ64とピンスペーサ74の突出部分で、保持枠60および固定部材70を介して、液晶パネル42Rとクロスダイクロイックプリズム43とが取り付けられる。
なお、前述のようにスリーブ64を孔63に挿入してから、ピンスペーサ74をスリーブ64に挿入してもよいし、ピンスペーサ74をスリーブ64にあらかじめ通してから、ピンスペーサ74をスリーブ64ごと孔63に挿入しても構わない。
【0036】
液晶パネル42Rと、クロスダイクロイックプリズム43との取付工程について説明を加えるが、接着剤の塗布、突起の挿入、位置調整、接着剤硬化の手順により、スリーブ64とピンスペーサ74とを接着固定するものを例にとって説明する。
なお、この例では、固定部材70をクロスダイクロイックプリズム43の光束入射端面431に紫外線硬化性接着剤で接着し、接着剤の硬化前は、固定部材70を任意の保持手段により保持し、かつ、任意の位置調整手段により位置調整可能としておく。この保持手段および位置調整手段としては、複数軸の駆動装置が考えられる。また、液晶パネル42R、42G、42Bは、それぞれの保持枠60と、あらかじめ一体化されているものとする。
【0037】
まず、スリーブ64の内周またはピンスペーサ74の外周、およびつば部641の裏側または孔63の周囲に紫外線硬化性接着剤を塗布し、既に取付手段で説明したように、例えば、スリーブ64を孔63に通してつば部641の裏側を孔63周囲に当接させたうえで、ピンスペーサ74をスリーブ64に挿入する。この際、基端部742が保持枠60に近接するまでピンスペーサ74を挿入せずに、ピンスペーサ74の中程に保持枠60が位置付く程度に、ピンスペーサ74をスリーブ64に挿入する。このような作業は、複数軸の駆動装置により、保持枠60および固定部材70を保持して行うことが考えられる。
【0038】
続いて、ピンスペーサ74とスリーブ64との隙間に塗布されている接着剤が硬化しないうちに、適宜、液晶パネル42Rとクロスダイクロイックプリズム43との位置関係を補正するために、固定部材70とクロスダイクロイックプリズム43との角度調整、および、保持枠60と固定部材70との間隔調整を行う。
この間隔調整は、投写光学系50と正対する液晶パネル42G(図1参照)について行った後、液晶パネル42Gの位置を基準として液晶パネル42R、42Bについて行うことが好ましい。これらの3枚の液晶パネル42R、42G、42Bの位置関係が調和して画素に色のずれを生じないように調整する。
このような角度調整、間隔調整についても複数軸の駆動装置を用いることができ、例えば、該駆動装置により、クロスダイクロイックプリズム43および固定部材70を保持するとともに保持枠60を固定部材70の近接方向に移動させる一方、光学装置40が形成する画像を、投写光学系50によりスクリーンに投写し、適正な角度、位置を判別することで実現できる。
この間隔調整の際、塗布された接着剤の余剰分は溝642に集まるので、接着剤が液晶パネル42Rに流れることはない。また、スリーブ64は、つば部641にて孔63に沿うため、孔63から全体が抜け出ることがない。さらに、保持枠60と固定部材70との間隔は、スリーブ64に挿入できない径を有する基端部742の寸法につば部641の寸法を加えた寸法を最低限として確保される。
【0039】
接着固定手順では、ピン先端741側から紫外線を照射すれば、前述のように塗布された紫外線硬化性接着剤を硬化させて、接着部分を固定することができる。
具体的には、ピンスペーサ74の外周とスリーブ64の内周とが、保持枠60とつば部641の裏側とが、および、固定部材70とクロスダイクロイックプリズム43とが接着固定される。ピンスペーサ74、スリーブ64、および固定部材70は紫外線を透過するアクリル樹脂で形成されているとともに、ピン先端741はテーパ状であるので、ピンスペーサ74先端側からの入射光は、ピンスペーサ74全体を透過し、スリーブ64、および固定部材70まで到達するためである。
なお、紫外線硬化性接着剤と、アクリル等の紫外線透過性材質を用いる替わりに、熱硬化性接着剤と、金属等の熱伝導性材質を用い、ホットエア等により加温して接着固定することも可能である。
以上の取付工程を、3枚の液晶パネル42R、42G、42Bについて連続的に、あるいは並列的に行うことで、液晶パネル42R、42G、42B、およびクロスダイクロイックプリズム43を取り付けることができる。
なお、前述の取付工程は、あくまでひとつの例である。接着剤を塗布する箇所は任意とされ、スリーブ64およびピンスペーサ74等を、接着手段以外の、例えば、溶着等の手段によって固定しても構わない。また、保持枠60と固定部材70との位置調整を行いながら接着剤を塗布するのもよい。またさらに、溝642から接着剤を注入することも考えられる。
【0040】
このような第1実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)保持枠60と固定部材70との取付を、スリーブ64内にピンスペーサ74を挿入して行うので、スリーブ64内周とピンスペーサ74外周の突出部分で十分な接合面積を確保でき、保持枠60の形状に関わらず、例えば、本例のように保持枠60を板金加工により薄板状に形成する場合にも、クロスダイクロイックプリズム43に対して液晶パネル42R、42G、42Bを確実に固定することができる。
具体的には、固定部材70から延びるピン等を保持枠60の孔63に単に挿入して取り付けるような場合は、固定部材70と保持枠60とを孔63の断面でしか接合できないことと比べ、保持枠60と固定部材70との接合面積が、スリーブ64およびピンスペーサ74を通じ、保持枠60および固定部材70の面外方向に拡張されているので、十分な取付強度を得ることができる。
したがって、板金加工等により保持枠60を形成できるため、製造コストを低減できるとともに、光学装置40およびプロジェクタ1の小型化も図ることができる。また、取付強度が高いことにより、光学装置40およびプロジェクタ1の耐衝撃性が良好となる。
【0041】
(2)ピン先端741が先細り形状とされているため、ピンスペーサ74に接着剤を塗布した状態でピンスペーサ74をスリーブ64に挿入し易い。そのうえ、ピン先端741の光の反射や吸収を低減できるため、本例のように、ピン先端741側から紫外線を照射することで紫外線硬化性接着剤を迅速に硬化させることができ、製造効率に優れる。
【0042】
(3)スリーブ64は、保持枠60の固定部材70側から光束入射側にかけて、光束入射側に向かって保持枠60の面外方向に突設されているので、ピンスペーサ74は、スリーブ64を介して孔63に挿入され、光束入射側に突出する
スリーブ64は、液晶パネル42R、42G、42Bとクロスダイクロイックプリズム43との対向距離に関わらず、筒長を光束入射側に延長できるので、スリーブ64およびピンスペーサ74の突出寸法は比較的大きく設定されている。
このように寸法の大きい突出部分を接合面積として確保できるので、スリーブ64およびピンスペーサ74の径に関わらず、取付強度を向上することができる。
【0043】
(4)スリーブ64、固定部材70、およびピンスペーサ74が、紫外線を透過するアクリル樹脂で形成されているとともに、固定部材70とクロスダイクロイックプリズム43とが、スリーブ64とピンスペーサ74とが、および、つば部641と保持枠60とが、紫外線硬化性接着剤により接着されている。さらに、ピン先端741は先細り形状とされている。
これにより、ピン先端741側から紫外線を照射すれば、光束がピンスペーサ74全体を透過し、スリーブ64、および固定部材70まで入射するので、接着剤を迅速に硬化させ、固定することができる。
なお、ピンスペーサ74だけを光透過性としても同様の作用効果を得ることができるが、本例のように、スリーブ64、固定部材70等もすべて光透過性の材質とする方が、光利用効率が高まるので効果が大きい。また、材質間の熱膨張率の差により接着剤が剥離する等の問題も生じない。
【0044】
(5)クロスダイクロイックプリズム43と熱膨張率が近似するインバーを材料として保持枠60を形成していることより、保持枠60およびクロスダイクロイックプリズム43に熱膨張を生じても、液晶パネル42R、42G、42Bとクロスダイクロイックプリズム43との位置ずれから生じる画素ずれを抑制できる。
【0045】
(6)スリーブ64は、端部につば部641が形成され、つば部641が孔63の周囲に当接するように孔63に挿入され、保持枠60に突設される。
これにより、つば部641を保持枠60と固定部材70との接合面積に含めることができ、スリーブ64に挿入されるピン74が振れにくいという点からも、取付強度が向上する。
【0046】
(7)スリーブ64とピンスペーサ74とを接着剤で固定していることにより、この接着剤の硬化前に、保持枠60と固定部材70とを相互に進退させて、液晶パネル42R、42G、42Bとクロスダイクロイックプリズム43との間隔を調整できる。ここで、ピンスペーサ74の基端部742によって、前述のように、保持枠60と固定部材70との最小間隔は確保されている。
また、固定部材70とクロスダイクロイックプリズム43との取付にも接着剤を使用しているため、固定部材70に取り付けられる保持枠60の保持する液晶パネル42R、42G、42Bと、クロスダイクロイックプリズム43との相対位置も調整することができる。
したがって、これらのような位置調整を行うことで、液晶パネル42R、42G、42Bとクロスダイクロイックプリズム43との位置ずれをから生じる画素ずれを防止できる。
さらに、液晶パネル42R、42G、42Bとクロスダイクロイックプリズム43との最小間隔が確保されるので、各種部品の放熱、および、通風による冷却を助け、熱変形に起因する画素ずれが抑制されるとともに、各種部品の熱による劣化も低減できる。
【0047】
(8)スリーブ64の内周側の一端から他端まで延びる溝642が形成されていることにより、スリーブ64にピンスペーサ74を挿入させる際に、溝642から空気が逃げて挿入し易い。
また、スリーブ64とピンスペーサ74とを接着する際、余剰の接着剤を溝642で受け止め、液晶パネル42R、42G、42Bに流れることを防止できるので、光学像の画質に支障が出ることがない。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
第1実施形態では、スリーブ64が孔63に挿入されて保持枠60の光束入射側に突設されているとともに、ピンスペーサ74は、スリーブ64に被覆された状態で孔63に挿入されていた。(図2参照)。
これに対し、第2実施形態では、光学装置40の側面図である図5に示すように、スリーブ64Aを保持枠60の固定部材70側の孔63周囲に配置し、ピンスペーサ74Aは、スリーブ64Aに被覆されずに直接孔63に挿入されている点が第1実施形態とは相違する。
このように、第1実施形態と第2実施形態では、スリーブ64、ピンスペーサ74、および孔63との挿入関係が相違するとともに、後述するように、スリーブ64およびピンスペーサ74の長さ・径等が相違するが、保持枠60の筒状突起としてのスリーブ64に、保持枠60の筒状突起としてのピンスペーサ74を挿入する点は共通している。
【0049】
図5における、保持枠60および固定部材70の取付部分を拡大する図6(A)に示すように、スリーブ64Aは、孔63の径に対応して外径が比較的大きく、かつ、筒長が比較的短い略筒状体として形成されている。スリーブ64Aの端部外周には、内径に対応するつば部641Aが形成されている。
一方、ピンスペーサ74Aは、長さが比較的短く、かつ、径が比較的大きい丸棒体として形成されている。ピンスペーサ74A先端は、先細り形状のピン先端741Aとされ、ピンスペーサ74Aの基端付近の、径が一回り大きい段差部分は、基端部742Aとされている。
なお、図6(B)に示す保持枠60は、図6(A)のスリーブ64Aよりも肉厚に形成されたスリーブ64Bおよびつば部641Bを有しており、ピンスペーサ74Bの基端部742Bの寸法は、より小さくなっている。このように、筒状突起やピン状突起の形状は、材質の強度等に合わせ、適宜設計すればよい。スリーブやピンを、金属材料により肉薄に形成する、または、樹脂等により肉厚に形成する等が考えられるが、これに限られたものではない。
【0050】
スリーブ64Aは、保持枠60の固定部材70側の孔63周囲に、つば部641Aの表側にて配置かつ突設されるとともに、固定部材70から突出するピンスペーサ74Aが、つば部641Aからスリーブ64Aに挿入される(図5参照)。ピンスペーサ74Aは、スリーブ64Aに続いて、孔63にも挿入されることとなる。また、スリーブ64Aは、保持枠60から固定部材70に向かって突出し、スリーブ64Aと基端部742との合計の寸法により、保持枠60と固定部材70との最小間隔が確保されている。
なお、前述のようにスリーブ64Aを孔63に配置してから、ピンスペーサ74Aをスリーブ64Aに挿入してもよいし、ピンスペーサ74Aをスリーブ64Aにあらかじめ通しておいてから、ピンスペーサ74Aを孔63に挿入しても構わない。スリーブ64A内とピンスペーサ74Aとの間には隙間があり、前述したように、クロスダイクロイックプリズム43に対する液晶パネル42R、42G、42Bの位置調整が可能である。
【0051】
このような第2実施形態に係る光学装置40によれば、前述の(1)、(2)、および(4)〜(8)で述べた効果に加えて、次のような効果がある。
(9)ピンスペーサ74Aは、比較的径が大きく、かつ、長さが短く形成され、スリーブ64Aは、ピンスペーサ74Aに対応する径、長さに形成されている。さらに、スリーブ64Aが固定部材70側に向かって保持枠60から突設されている。
これにより、保持枠60の光束入射側にピンスペーサ74Aが突出する寸法が小さいので、光学装置40およびプロジェクタ1を小型化することができる。ピンスペーサ74Aの径が比較的太い分、スリーブ64Aおよびピンスペーサ74Aの接合面積が拡張されて、取付強度が向上する。
【0052】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
第1実施形態では、保持枠60の筒状突起としてのスリーブ64に、固定部材70のピン状突起としてのピンスペーサ74を挿入していた(図2参照)。また、第2実施形態でも同様であった(図5参照)。
これと反対に、第3実施形態は、光学装置40の側面図である図7に示すように、保持枠60のピン状突起64Cを、固定部材70の筒状突起74Cに挿入している点が相違する。さらに、保持枠60の略矩形状の枠部分は板状部65Cとして機能し、この板状部65Cの四隅には孔66Cが形成されるとともに、別途、螺合部材としてのねじ67Cを有している点が相違する。
【0053】
図7における、保持枠60および固定部材70の取付部分を拡大する図8(A)に示すように、保持枠60のピン状突起64Cは、内部に雌ねじが形成されており、この内部は、孔66Cに対応する内径を有する。
また、固定部材70は金属製であり、略矩形状に形成されている固定部材70の板状部分は、板状体72Cとして機能し、この板状部分にクロスダイクロイックプリズム43の光束入射端面431に応じた略矩形状の開口部71が形成されるとともに、この板状部分の四隅には、保持枠60の孔66Cに対応する部分に板金加工により形成された孔の内周縁を面外方向に突出させたバーリング孔から筒状突起74Cが形成されている。この筒状突起74Cは、ピン状突起64Cの外径に対して隙間を生ずる径を有する。
また、螺合部材としてのねじ67Cは、頭部付きのねじであり、孔66Cに対応する径を有する。
なお、図8(A)に示す筒状突起74Dは樹脂製であるとともに肉厚に形成されている。このように、材質等を考慮の上、筒状突起74D等の形状等は適宜設計すればよい。
【0054】
ピン状突起64Cは、固定部材70から突出する筒状突起74Cに挿入される(図7参照)。そして、ねじ67Cは、固定部材70とは反対側から孔66Cを介してピン状突起64Cと螺合してピン状突起64Cを固定するので、保持枠60は、ねじ67Cの頭部のつば裏671Cとピン状突起64Cの端部とで挟まれるように保持される。
ピン状突起64Cを筒状突起74Cに挿入する際に、隙間部分に接着剤を塗布し、接着剤の硬化前に、保持枠60と固定部材70とを相互に進退させれば、液晶パネル42Rとクロスダイクロイックプリズム43との間隔調整がなされる。
なお、前述のように、ピン状突起64Cを筒状突起74Cに挿入してから、ねじ67Cをピン状突起64Cに螺合させてもよいし、ねじ67Cをピン状突起64Cにあらかじめ螺合させてから、ピン状突起64Cを筒状突起74Cに挿入しても構わない。保持枠60と固定部材70間の最小間隔は、ピン状突起64Cおよび筒状突起74Cのうち長い方の寸法を最小として確保されている。
【0055】
このような第3実施形態に係る光学装置40によれば、前述の(1)、(5)、および(7)で述べた効果を、保持枠の筒状突起(スリーブ64)から固定部材の筒状突起74Cへ、並びに、固定部材のピン状突起(ピンスペーサ74)から保持枠のピン状突起64Cへ置き換えることで、略同様に奏することができる。加えて、次のような効果がある。
(10)固定部材70のプレス成形と同時にバーリング孔を形成し、このバーリング孔を筒状突起74Cとすることができるので、固定部材に筒状突起を突設する作業が不要となり、製造コストをさらに低減できる。
また、筒状突起74Cはバーリング部分で開口するので、ピン状突起64Cを筒状突起74Cに挿入する際、空気の逃げ孔に供される。
(11)ピン状突起64Cを、ねじ67Cによって保持枠60に固定しているので、ピン状突起64Cを筒状突起74Cに挿入して保持枠60を固定部材70に固定しても、ねじ67Cとピン状突起64Cの螺合部分で、保持枠60を着脱可能である。
したがって、液晶パネル42R、42G、42B等に不具合を生じた場合、保持枠60ごと取り外して確認並びに交換することができる。保持枠60と固定部材70とを引き剥がさなくて済むので、液晶パネル42Rを傷付ける心配もなく、リワーク性に優れる。
また、保持枠60を、ピン状突起64Cとねじ67C頭部のつば裏671Cとで挟んで固定するので、ピン状突起64Cが振れにくく、取付強度も向上する。
【0056】
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
筒状突起としてのスリーブ64等、および、ピン状突起としてのピンスペーサ74等は、前記各実施形態の形状等に限定されない。スリーブ64および筒状突起74C等を、角筒状・角柱状としたり、柱・筒形状を基礎とする他の形状としたものも、本発明に含まれるものである。
例えば、スリーブ64を、スリット状に開口させる、または、半円筒状の部材としてピンスペーサ74を支持させ、上半筒部分を省略する、あるいは、複数の部分筒状片として花弁状にピンスペーサ74を保持する等が考えられる。
要するに、孔63・66Cの周囲に接する部材を備え、この部材を通して、保持枠60と固定部材70の接する面積が拡張すれば、本発明の目的を達することができる。筒状突起とピン状突起は、様々に組み合わせ可能であり、保持枠60および固定部材70からそれぞれ突出する突起をともに筒状として、互いに嵌合させるものであってもよい。
また、筒状突起と筒状突起との組み合わせにピンを付加し、これらの筒にピンを挿入するものとしたり、ピン状突起とピン状突起との組み合わせに筒を付加し、これらのピンを筒に挿入することも考えられる。
【0057】
図9は、光学装置40の筒状突起とピン状突起を示す部分拡大図であり、本発明の変形例を示すものである。
筒状突起としてのスリーブ64Eは、基端は孔63に挿入されて保持枠60に突設され、孔63断面から保持枠60の面沿いにL字状に幅員が増大するように径が拡大され、突出部分が断面略C字状に形成されている。ピン状突起としてのピンスペーサ74Eは、ピン先端741Eが軽度にテーパされており、基端部742Eは寸法が小さく設けられ、スリーブ64EのC字状開口から挿入される。
この例によっても、前記各実施形態同様、保持枠60および固定部材70を介して液晶パネル42R、42G、42Bと、クロスダイクロイックプリズム43とを十分な強度で固定することができるほか、スリーブ64Eの基端部分からピンスペーサ74Eの先端とC字状部分との隙間に接着剤を充填して、スリーブ64Eとピンスペーサ74Eとを接着可能である。
【0058】
前記各実施形態では、筒状突起(スリーブ64等・筒状突起74C等)内とピン状突起(ピンスペーサ74等・ピン状突起64C等)との隙間部分に接着剤を介在させて接着固定していたが、接着剤を使用せずに、溶着等の接合手段によってもよい。ただし、接着剤を使用する方が、位置決めされた位置に正確に固定し易い。
また、筒状突起にピン状突起を挿入可能であれば、筒状突起内とピン状突起との間の隙間はなくてもよい。例えば、ピン状突起を、弾性を有するとともに中間部位が膨出する樽状に形成し、筒状突起に嵌合させる構成としてもよい。
【0059】
前記各実施形態では、筒状突起(スリーブ64等・筒状突起74C等)にピン状突起(ピンスペーサ74等・ピン状突起64C等)を挿入することにより、保持枠60と固定部材70とを固定しているが、液晶パネル42R、42G、42Bと、クロスダイクロイックプリズム43との間の他の部材、あるいはプロジェクタ1を構成するその他の光学部品間にも、本発明の固定手段を適用しうる。
【0060】
前記各実施形態では、3つの光変調装置を用いた光学装置を採用したが、これに限らず、例えば、1つの光変調装置を用いたいわゆる単板式の光学装置としてもよい。また、光変調装置として液晶パネルを採用したが、これに限らず、マイクロミラーを用いたデバイス等、液晶以外の光変調装置を採用してもよい。さらに、透過型の光変調装置ではなく、反射型の光変調装置を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の前記各実施形態に係るプロジェクタの光学系の構造を表す模式図。
【図2】本発明の第1実施形態における光学装置の側面図。
【図3】前記実施形態における光学装置の部分拡大図。
【図4】前記実施形態における光学装置の分解斜視図。
【図5】本発明の第2実施形態における光学装置の側面図。
【図6】前記実施形態における光学装置の部分拡大図。
【図7】本発明の第3実施形態における光学装置の側面図。
【図8】前記実施形態における光学装置の部分拡大図。
【図9】本発明の変形例における光学装置の部分拡大図。
【符号の説明】
1…プロジェクタ、40…光学装置、42R,42G,42B…液晶パネル(光変調装置)、43…クロスダイクロイックプリズム(色合成光学装置)、431…光束入射端面、60…保持枠、61…開口部、62…板状面、63…孔、64,64A,64B,64E…スリーブ(筒状突起)、64C…ピン状突起、65C…板状部、66C…孔、67C…ねじ(螺合部材)、70…固定部材、71…開口部、72…板状体、74,74A,74E…ピンスペーサ(ピン状突起)、74C,74D…筒状突起、741,741A,741B,741E…ピン先端。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の色光を各色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、各光変調装置と対向する複数の光束入射端面を有し、各光変調装置で形成された光学像を合成する色合成光学装置とを備える光学装置、および、この光学装置を用いるプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、光源から射出される光束をダイクロイックミラー等を用いた色分離光学系によって三原色の赤、緑、青の色光に分離するとともに、液晶パネル等を用いた3つの光変調装置により色光ごとに画像情報に応じて変調し、変調された各色光を、クロスダイクロイックプリズム等の色合成光学装置で合成し、投写レンズを介してカラー画像を拡大投写する、いわゆる三板式のプロジェクタが知られている。
このような三板式のプロジェクタに用いられる光学装置としては、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に液晶パネルを楔状のスペーサやピンスペーサを介して接合固定したものが知られている。このような光学装置は、液晶パネルがプリズムに直接接合固定されているため、液晶パネルを単独で支持する構造を設ける必要がなく、プロジェクタの小型化に大きく寄与するものである。
【0003】
この構造の例としては、立方体状とされるクロスダイクロイックプリズムの複数の光束入射端面と交差する端面に台座を取り付けるとともに、この台座から液晶パネル側に延びる細いピンを、液晶パネルを保持する枠に形成された孔に挿入し、ピンとこの枠とを接着固定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、他の例としては、樹脂製のねじを、液晶パネルを保持する枠に形成された孔にクロスダイクロイックプリズムとは反対側から挿入し、先の例と略同様に取り付けられている樹脂製の台座が有するねじ孔まで到達させ、ねじとねじ孔とを加熱溶融して溶着するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
光変調装置としての液晶パネルは、一対の透明基板間に液晶材料が封入されたパネル本体と、この液晶パネル本体を収納する保持枠を備えて構成される。
そして、この保持枠には、液晶パネル本体に応じた位置に矩形の開口部が形成されており、その開口部周縁四隅部分にピンスペーサを挿入する孔が形成されている。
光学装置の製造に際しては、光硬化性接着剤を塗布したピンを保持枠の孔に挿入し、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に対する各液晶パネルの相対位置を調整した後、紫外線を照射して接着剤を硬化させ、各液晶パネルをクロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に固定する。
このような従来の取付方法では、液晶パネル本体を保持する保持枠として、液晶パネルの放熱性を向上させるため、アルミニウム、マグネシウム等の金属材料が採用され、液晶パネルを収納するとともにピンとの接着面積を確保するために、金属材料を成形した容器状のものが用いられる(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−227583号公報(段落[実施例]、図1)
【特許文献2】
特開2002−268032号公報(段落[0010][0012]、図4)
【特許文献3】
特開2000−221588号公報(段落[0042]、図5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような型成形した保持枠は、型代が高く、工程等が複雑となるため製造コストが高騰してしまうという問題がある。
一方、板金加工等により保持枠を製造することも考えられるが、金属板を加工した保持枠のままでは、ピンスペーサおよび保持枠の接合面積が板厚部分しかなく、十分な取付強度を確保できないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、製造コストが高騰することなく、クロスダイクロイックプリズムの光束入射端面に液晶パネルを十分固定することのできる光学装置およびプロジェクタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学装置は、複数の色光を各色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、各光変調装置と対向する複数の光束入射端面を有し、各光変調装置で形成された光学像を合成する色合成光学装置とを備える光学装置であって、光変調装置は、光変調素子と、この光変調素子の画像形成領域に応じた開口部が形成されるとともに光変調素子を保持する板状の保持枠を備え、この光変調装置は、色合成光学装置の光束入射端面に沿って取り付けられる固定部材を介して光束入射端面と対抗配置され、保持枠は、開口部周縁に、保持枠の板状面から突出する筒状またはピン状の突起を備え、固定部材は、保持枠の筒状突起に挿入されるピン状突起、または保持枠のピン状突起が挿入される筒状突起を備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、固定部材は、色合成光学装置の光束入射端面に応じた開口部を有する板状体と、この板状体に突設される筒状またはピン状の突起とを備えて構成することができる。
また、保持枠および固定部材の材料としては、液晶パネルの放熱性を確保するために金属材料を採用するのが好ましい。金属材料としては、例えばアルミニウム、マグネシウム等を採用できるが、線熱膨張係数の小さいインバーを採用するのがより好ましい。
さらに、筒状突起またはピン状突起は、金属板面上に溶接等によって接合したり、ねじ等を用いて機械的に固定することにより、保持枠及び固定部材から突設させることが可能である。
そして、筒状突起内とピン状突起との隙間部分を接着剤で介在させて固定することができ、この接着剤としては、例えば、光硬化性接着剤または熱硬化性接着剤を採用することができる。
【0010】
この発明によれば、保持枠と固定部材との取付を、筒状突起内にピン状突起を挿入して行うので、両突起の突出部分で十分な接合面積を確保でき、保持枠の形状に関わらず、色合成光学装置に対して光変調装置を確実に固定することができる。
したがって、板金材料等を利用して保持枠を形成することができるため、製造コストを低減できる。また、保持枠をかさばらない形状、例えば、薄板状とすることが可能となるので、光学装置の小型化も図ることができる。
【0011】
本発明では、保持枠の突起はピン状突起であり、このピン状突起が挿入される固定部材の筒状突起は、この固定部材の板状体に形成される孔の内周縁を面外方向に突出させて板状体と一体的に形成されていることが好ましい。
この発明によれば、固定部材の筒状突起が固定部材の板状体と一体形成されることにより、部品点数を削減できるとともに、固定部材に筒状突起を突設する作業が不要となるため、製造コストをさらに低減できる。
【0012】
本発明では、固定部材は、板金加工による金属製の板状体を備えて構成され、筒状突起は、板金加工により板状体に形成された孔の内周縁を面外方向に突出させたバーリング孔からなることが好ましい。
この発明によれば、固定部材のプレス成形と同時にバーリング孔を形成できるので、製造コストをさらに低減できる。
【0013】
本発明では、保持枠は、開口部が形成される板状部と、この板状部の開口部周縁に形成される孔と、この孔に挿入される螺合部材と、挿入された螺合部材により板状部に固定可能とされるピン状突起とを備えて構成されることが好ましい。
ここで、ピン状突起としては、内部に雌ねじを形成した合成樹脂製や金属製によるものを採用することができる。
この発明によれば、ピン状突起を保持枠に対し螺合部材で固定して突設することにより、ピン状突起と筒状突起とを接合して保持枠を固定部材に固定した後であっても、螺合部材の螺合を解くことで、保持枠のみを取り外すことができる。
したがって、液晶パネル等に不具合があった場合、保持枠ごと取り外して確認並びに交換することができ、リワーク性に優れた光学装置とすることができる。
【0014】
本発明では、保持枠の突起は筒状突起であり、この筒状突起に挿入される固定部材のピン状突起の突出方向先端部分は、ピン先端に向かって次第に縮径する先細り形状とされていることが好ましい。
ここで、保持枠の筒状突起は、保持枠の板状面から固定部材のピン状突起の基端側に突出するように設けてもよく、逆に、保持枠の板状面を貫通するピン状突起が挿入されるように、ピン状突起の挿入方向先端側に突出するように設けてもよい。また、保持枠の板状面から面外両方向に突出するように設けても構わない。
この発明によれば、ピン先端側が先細り形状とされているため、ピン状突起に接着剤を塗布した状態でもピン状突起を筒状突起に挿入し易い。そのうえ、光硬化性接着剤を用いてピン先端側から光を照射すれば、ピン先端の光の反射や吸収が抑制されるので、接着剤を迅速に硬化させることができ、製造効率に優れる。
【0015】
本発明では、保持枠の筒状突起は、該保持枠の板状面から、ピン状突起の挿入方向先端側に向かって突出していることが好ましい。
この発明によれば、保持枠の筒状突起が色合成光学装置とは反対側に突出していることにより、光変調装置および色合成光学装置の対向距離に関わらず、筒状突起およびピン状突起の突出寸法を大きく設定することができる。
したがって、このように長い突出部分で接合面積を大きく確保することができるので、光変調装置と色合成光学装置との取付強度を向上できる。特に、ピン状突起の径が細い場合に有効である。
また、光変調装置および色合成光学装置間にピン状突起のみを配置すれば、これらの間に吹き付けられる冷却風を速やかに流すことができ、光変調装置および色合成光学装置間に配置される射出側偏光板や視野角補償板の冷却効率を向上できる。
【0016】
本発明では、保持枠の筒状突起は、該保持枠の板状面から、ピン状突起の基端側に向かって突出していることが好ましい。
この発明によれば、保持枠と固定部材との対向間に筒状突起およびピン状突起を納め、保持枠の光束入射側から部材を突出させなくても済むので、光学装置およびプロジェクタの小型化が図られる。なお、ピンの径を太く設定すれば、その分、筒状突起およびピン状突起の接合面積が拡張されて、取付強度が向上する。
【0017】
本発明では、ピン状突起は、光透過性部材から構成されていることことが好ましい。
このような光透過性部材としては、例えば、アクリル部材等を採用できる。
この発明によれば、ピン状突起が光透過性部材とされることより、光硬化性接着剤を用いてピン先端側から光を照射すれば、ピン状突起が挿入される筒状突起との接着部分にピン状突起内部を通じて光が行き渡るので、接着剤を迅速に硬化させることができる。
【0018】
本発明のプロジェクタは、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、拡大投写するプロジェクタであって、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の光学装置を備えることを特徴とする。
この発明によれば、前述のような光源装置を用いることで、製造コストを低減でき、かつ、小型化されたプロジェクタを提供できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の各実施形態に係るプロジェクタ1の光学系を表す模式図が示され、このプロジェクタ1は、光源から射出された光束を、画像情報に応じて変調して光学像を形成し、スクリーン上に拡大投写する光学機器であり、光源装置10、均一照明光学系20、色分離光学系30、リレー光学系35、光学装置40、および投写光学系50を備えて構成されている。そして、光学系20〜光学装置40を構成する光学素子は、所定の照明光軸Aが設定されたライトガイド2内に位置決め調整後固定され、収納されている。
なお、光学装置40を構成する光学素子の配置、固定等については、特徴的な部分を後述する。
【0020】
光源装置10は、発光管11から放射された光束を一定方向に揃えて射出し、光学装置40を照明するものであり、発光管11、楕円リフレクタ12、副反射鏡13、および平行化凹レンズ14を備えている。
そして、発光管11から放射された光束は、楕円リフレクタ12により装置前方側に射出方向を揃えて収束光として射出され、平行化凹レンズ14によって平行化され、均一照明光学系20に射出される。
【0021】
均一照明光学系20は、光源装置10から射出された光束を複数の部分光束に分割し、照明領域の面内照度を均一化する光学系であり、第1レンズアレイ21、第2レンズアレイ22、偏光変換素子23、および重畳レンズ24、および反射ミラー25を備えている。
第1レンズアレイ21は、発光管11から射出された光束を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、照明光軸Aと直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えて構成され、各小レンズの輪郭形状は、後述する光学装置40を構成する液晶パネル42R、42G、42Bの画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。
第2レンズアレイ22は、重畳レンズ24と共に前述した第1レンズアレイ21により分割された複数の部分光束を集光する光学素子であり、第1レンズアレイ21と同様に照明光軸Aに直交する面内にマトリクス状に配列される複数の小レンズを備えた構成であるが、集光を目的としているため、各小レンズの輪郭形状が液晶パネル42R、42G、42Bの画像形成領域の形状と対応している必要はない。
【0022】
偏光変換素子23は、第1レンズアレイ21により分割された各部分光束の偏光方向を一方向の直線偏光に揃える偏光変換素子である。
この偏光変換素子23は、図示を略したが、照明光軸Aに対して傾斜配置される偏光分離膜および反射ミラーを交互に配列した構成を具備する。偏光分離膜は、各部分光束に含まれるP偏光光束およびS偏光光束のうち、一方の偏光光束を透過し、他方の偏光光束を反射する。反射された他方の偏光光束は、反射ミラーによって曲折され、一方の偏光光束の射出方向、すなわち照明光軸Aに沿った方向に射出される。射出された偏光光束のいずれかは、偏光変換素子23の光束射出面に設けられる位相差板によって偏光変換され、すべての偏光光束の偏光方向が揃えられる。このような偏光変換素子23を用いることにより、発光管11から射出される光束を、一方向の偏光光束に揃えることができるため、光学装置40で利用する光源光の利用率を向上することができる。
【0023】
重畳レンズ24は、第1レンズアレイ21、第2レンズアレイ22、および偏光変換素子23を経た複数の部分光束を集光して液晶パネル42R、42G、42Bの画像形成領域上に重畳させる光学素子である。この重畳レンズ24は、本例では球面レンズであるが、非球面レンズを用いることも可能である。
この重畳レンズ24から射出された光束は、反射ミラー25で曲折されて色分離光学系30に射出される。
【0024】
色分離光学系30は、2枚のダイクロイックミラー31、32と、反射ミラー33とを備え、ダイクロイックミラー31、32より均一照明光学系20から射出された複数の部分光束を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する機能を具備する。
ダイクロイックミラー31、32は、基板上に所定の波長領域の光束を反射し、他の波長の光束を透過する波長選択膜が形成された光学素子であり、光路前段に配置されるダイクロイックミラー31は、赤色光を透過し、その他の色光を反射するミラーである。光路後段に配置されるダイクロイックミラー32は、緑色光を反射し、青色光を透過するミラーである。
【0025】
リレー光学系35は、入射側レンズ36と、リレーレンズ38と、反射ミラー37、39とを備え、色分離光学系30を構成するダイクロイックミラー32を透過した青色光を光学装置40まで導く機能を有している。なお、青色光の光路にこのようなリレー光学系35が設けられているのは、青色光の光路長が他の色光の光路長よりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。本例においては青色光の光路長が長いのでこのような構成とされているが赤色光の光路長を長くする構成も考えられる。
【0026】
前述したダイクロイックミラー31により分離された赤色光は、反射ミラー33により曲折された後、フィールドレンズ41を介して光学装置40に供給される。また、ダイクロイックミラー32により分離された緑色光は、そのままフィールドレンズ41を介して光学装置40に供給される。さらに、青色光は、リレー光学系35を構成するレンズ36、38および反射ミラー37、39により集光、曲折されてフィールドレンズ41を介して光学装置40に供給される。なお、光学装置40の各色光の光路前段に設けられるフィールドレンズ41は、第2レンズアレイ22から射出された各部分光束を、照明光軸に対して並行な光束に変換するために設けられている。
【0027】
光学装置40は、入射した光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、照明対象となる光変調装置としての液晶パネル42と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム43とを備えて構成される。なお、フィールドレンズ41および各液晶パネル42R、42G、42Bの間には、入射側偏光板44が介在配置され、図示を略したが、各液晶パネル42R、42G、42Bおよびクロスダイクロイックプリズム43の間には、射出側偏光板が介在配置され、入射側偏光板44、液晶パネル42R、42G、42B、および射出側偏光板によって入射する各色光の光変調が行われる。
【0028】
液晶パネル42R、42G、42Bは、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶を密閉封入したものであり、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、与えられた画像信号に従って、入射側偏光板44から射出された偏光光束の偏光方向を変調する。この液晶パネル42R、42G、42Bの変調を行う画像形成領域は、矩形状であり、その対角寸法は、例えば0.7インチである。
【0029】
クロスダイクロイックプリズム43は、射出側偏光板から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学素子である。このクロスダイクロイックプリズム43は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせて構成される略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。このX字の略中央で交差する一方の線分に対応する誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の線分に対応する誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光および青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
そして、クロスダイクロイックプリズム43から射出されたカラー画像は、投写光学系50によって拡大投写され、図示を略したスクリーン上で大画面画像を形成する。
【0030】
前述のように、光学装置40はライトガイド2内に固定されているが、光学装置40の固定手段、および、光学装置40を構成する各光学素子の固定手段について、以下詳述する。
光学装置40の側面図である図2に示すように、液晶パネル42Rは、クロスダイクロイックプリズム43の光束入射端面431に対向するように離間配置されている。実際の光学装置40は、3枚の液晶パネル42R、42G、42Bが、クロスダイクロイックプリズム43の各側面に配置されて構成されているが(図1参照)、液晶パネル42R、42G、42Bそれぞれをクロスダイクロイックプリズム43に対して配置する態様は、すべて同様である。
したがって、これより先、主に液晶パネル42Rについて図示、説明を行うとともに、液晶パネル42G、42Bについては図示、説明ともに適宜省略する。また、既に説明した、フィールドレンズ41、および入射側偏光板44についても図示を省略する。
【0031】
光学装置40を構成する液晶パネル42R、42G、42B、およびクロスダイクロイックプリズム43を、ライトガイド2に固定する手段について簡単に説明する。
図2に示すように、クロスダイクロイックプリズム43は、底面が台座46に取り付けられ、台座46から延びる固定腕部47にてライトガイド2に固定されている。そして、液晶パネル42R、42G、42Bは、このクロスダイクロイックプリズム43の各側面に取り付けられ、クロスダイクロイックプリズム43とユニット化されて光学装置40を構成している。つまり、液晶パネル42R、42G、42Bは、クロスダイクロイックプリズム43を通じて、ライトガイド2に固定されている。
なお、クロスダイクロイックプリズム43の上面に台座を取り付けてライトガイド2に固定する構成としてもよい。
【0032】
このようにユニット化されている液晶パネル42Rおよびクロスダイクロイックプリズム43は、これから説明するように、それぞれが対向間に取付部材を備えている。
液晶パネル42Rは、詳述すれば、前述した一対の透明なガラス基板としての駆動基板421と対向基板422との間に液晶が封入されているとともに、駆動基板421と対向基板422との間から、制御用ケーブル423が延出している構成である。液晶パネル42Rを構成するこれらの基板等の一式を、クロスダイクロイックプリズム43との近接側から保持枠60が保持しており、保持枠60は、液晶パネル42Rをクロスダイクロイックプリズム43に取り付ける取付部材とされている。
【0033】
保持枠60の形状、特に取付部分について、図2、および、光学装置40の分解斜視図である図3に基づいて説明する。
略矩形状とされる保持枠60は、略矩形状に開口させた開口部61が形成された薄板状であり、インバーを用いて板金加工により形成されている。保持枠60の平面部分は板状面62として機能し、この板状面62の四隅には、孔63が形成されている(図3参照)。そして、これらの孔63に、別部品として、孔63に対応する外径を有する略筒状に成形されたスリーブ64が挿入されることにより、スリーブ64は、保持枠60の筒状突起としての機能を備える。すなわち、スリーブ64は、孔63の周囲と連続して、保持枠60と一体的に機能するものである。なお、スリーブ64は、アクリル樹脂を用いた射出成形品である。
図2における、液晶パネル42Rの取付部分を拡大する図4(A)に示すように、スリーブ64の端部外周には、つば部641が形成されているとともに、つば部641は、孔63の周囲に当接している。また、スリーブ64には、内周側の一端から他端まで、ピン挿入時の空気の逃げ孔となる溝642が形成されている(図4(B)参照)。
【0034】
一方、図2に示すように、クロスダイクロイックプリズム43には、側面に沿って固定部材70が接着固定され、固定部材70は、クロスダイクロイックプリズム43を液晶パネル42Rに取り付ける取付部材とされている。
アクリル樹脂を用いて略矩形状に形成されている固定部材70の平面部分である板状体72には、クロスダイクロイックプリズム43の光束入射端面431に応じた略矩形状の開口部71が形成されるとともに、板状体72の四隅には、一の面外方向に突出する丸棒状のピンスペーサ74が形成されている(図3参照)。これらのピンスペーサ74は、固定部材70のピン状突起としての機能を備えるものである。なお、固定部材70には、射出側偏光板45が両面テープまたは透明接着剤により取り付けられている。
ピンスペーサ74は、スリーブ64の内径に対して隙間を生ずる径を有し、ピン先端741は先細り形状とされる。また、ピンスペーサ74は、基端側の径に段差が付けられており、径が一回り大きく形成された基端部分が、基端部742とされている。
基端部742は、この径の大きさにより、固定部材70に突設されるピンスペーサ74の補強部材としても機能する。なお、固定部材70は、ピンスペーサ74も含め、アクリル樹脂を用いて射出成形により一体形成されている。
【0035】
以下、液晶パネル42Rとクロスダイクロイックプリズム43との取付手段について、図2および図3に基づいて説明する。
前述のように、液晶パネル42Rとクロスダイクロイックプリズム43とは、保持枠60および固定部材70を介して取り付けられる。
保持枠60には、スリーブ64がつば部641の裏側を固定部材70側の孔63周囲に当接するように挿入されて突設されるとともに、固定部材70から突出するピンスペーサ74が、つば部641からスリーブ64に挿入される。このスリーブ64は筒状突起として、ピンスペーサ74はピン状突起として機能する。挿入の状態を明らかにするために、図2および図4においてスリーブ64を一部断面として表している。
このように、スリーブ64とピンスペーサ74の突出部分で、保持枠60および固定部材70を介して、液晶パネル42Rとクロスダイクロイックプリズム43とが取り付けられる。
なお、前述のようにスリーブ64を孔63に挿入してから、ピンスペーサ74をスリーブ64に挿入してもよいし、ピンスペーサ74をスリーブ64にあらかじめ通してから、ピンスペーサ74をスリーブ64ごと孔63に挿入しても構わない。
【0036】
液晶パネル42Rと、クロスダイクロイックプリズム43との取付工程について説明を加えるが、接着剤の塗布、突起の挿入、位置調整、接着剤硬化の手順により、スリーブ64とピンスペーサ74とを接着固定するものを例にとって説明する。
なお、この例では、固定部材70をクロスダイクロイックプリズム43の光束入射端面431に紫外線硬化性接着剤で接着し、接着剤の硬化前は、固定部材70を任意の保持手段により保持し、かつ、任意の位置調整手段により位置調整可能としておく。この保持手段および位置調整手段としては、複数軸の駆動装置が考えられる。また、液晶パネル42R、42G、42Bは、それぞれの保持枠60と、あらかじめ一体化されているものとする。
【0037】
まず、スリーブ64の内周またはピンスペーサ74の外周、およびつば部641の裏側または孔63の周囲に紫外線硬化性接着剤を塗布し、既に取付手段で説明したように、例えば、スリーブ64を孔63に通してつば部641の裏側を孔63周囲に当接させたうえで、ピンスペーサ74をスリーブ64に挿入する。この際、基端部742が保持枠60に近接するまでピンスペーサ74を挿入せずに、ピンスペーサ74の中程に保持枠60が位置付く程度に、ピンスペーサ74をスリーブ64に挿入する。このような作業は、複数軸の駆動装置により、保持枠60および固定部材70を保持して行うことが考えられる。
【0038】
続いて、ピンスペーサ74とスリーブ64との隙間に塗布されている接着剤が硬化しないうちに、適宜、液晶パネル42Rとクロスダイクロイックプリズム43との位置関係を補正するために、固定部材70とクロスダイクロイックプリズム43との角度調整、および、保持枠60と固定部材70との間隔調整を行う。
この間隔調整は、投写光学系50と正対する液晶パネル42G(図1参照)について行った後、液晶パネル42Gの位置を基準として液晶パネル42R、42Bについて行うことが好ましい。これらの3枚の液晶パネル42R、42G、42Bの位置関係が調和して画素に色のずれを生じないように調整する。
このような角度調整、間隔調整についても複数軸の駆動装置を用いることができ、例えば、該駆動装置により、クロスダイクロイックプリズム43および固定部材70を保持するとともに保持枠60を固定部材70の近接方向に移動させる一方、光学装置40が形成する画像を、投写光学系50によりスクリーンに投写し、適正な角度、位置を判別することで実現できる。
この間隔調整の際、塗布された接着剤の余剰分は溝642に集まるので、接着剤が液晶パネル42Rに流れることはない。また、スリーブ64は、つば部641にて孔63に沿うため、孔63から全体が抜け出ることがない。さらに、保持枠60と固定部材70との間隔は、スリーブ64に挿入できない径を有する基端部742の寸法につば部641の寸法を加えた寸法を最低限として確保される。
【0039】
接着固定手順では、ピン先端741側から紫外線を照射すれば、前述のように塗布された紫外線硬化性接着剤を硬化させて、接着部分を固定することができる。
具体的には、ピンスペーサ74の外周とスリーブ64の内周とが、保持枠60とつば部641の裏側とが、および、固定部材70とクロスダイクロイックプリズム43とが接着固定される。ピンスペーサ74、スリーブ64、および固定部材70は紫外線を透過するアクリル樹脂で形成されているとともに、ピン先端741はテーパ状であるので、ピンスペーサ74先端側からの入射光は、ピンスペーサ74全体を透過し、スリーブ64、および固定部材70まで到達するためである。
なお、紫外線硬化性接着剤と、アクリル等の紫外線透過性材質を用いる替わりに、熱硬化性接着剤と、金属等の熱伝導性材質を用い、ホットエア等により加温して接着固定することも可能である。
以上の取付工程を、3枚の液晶パネル42R、42G、42Bについて連続的に、あるいは並列的に行うことで、液晶パネル42R、42G、42B、およびクロスダイクロイックプリズム43を取り付けることができる。
なお、前述の取付工程は、あくまでひとつの例である。接着剤を塗布する箇所は任意とされ、スリーブ64およびピンスペーサ74等を、接着手段以外の、例えば、溶着等の手段によって固定しても構わない。また、保持枠60と固定部材70との位置調整を行いながら接着剤を塗布するのもよい。またさらに、溝642から接着剤を注入することも考えられる。
【0040】
このような第1実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)保持枠60と固定部材70との取付を、スリーブ64内にピンスペーサ74を挿入して行うので、スリーブ64内周とピンスペーサ74外周の突出部分で十分な接合面積を確保でき、保持枠60の形状に関わらず、例えば、本例のように保持枠60を板金加工により薄板状に形成する場合にも、クロスダイクロイックプリズム43に対して液晶パネル42R、42G、42Bを確実に固定することができる。
具体的には、固定部材70から延びるピン等を保持枠60の孔63に単に挿入して取り付けるような場合は、固定部材70と保持枠60とを孔63の断面でしか接合できないことと比べ、保持枠60と固定部材70との接合面積が、スリーブ64およびピンスペーサ74を通じ、保持枠60および固定部材70の面外方向に拡張されているので、十分な取付強度を得ることができる。
したがって、板金加工等により保持枠60を形成できるため、製造コストを低減できるとともに、光学装置40およびプロジェクタ1の小型化も図ることができる。また、取付強度が高いことにより、光学装置40およびプロジェクタ1の耐衝撃性が良好となる。
【0041】
(2)ピン先端741が先細り形状とされているため、ピンスペーサ74に接着剤を塗布した状態でピンスペーサ74をスリーブ64に挿入し易い。そのうえ、ピン先端741の光の反射や吸収を低減できるため、本例のように、ピン先端741側から紫外線を照射することで紫外線硬化性接着剤を迅速に硬化させることができ、製造効率に優れる。
【0042】
(3)スリーブ64は、保持枠60の固定部材70側から光束入射側にかけて、光束入射側に向かって保持枠60の面外方向に突設されているので、ピンスペーサ74は、スリーブ64を介して孔63に挿入され、光束入射側に突出する
スリーブ64は、液晶パネル42R、42G、42Bとクロスダイクロイックプリズム43との対向距離に関わらず、筒長を光束入射側に延長できるので、スリーブ64およびピンスペーサ74の突出寸法は比較的大きく設定されている。
このように寸法の大きい突出部分を接合面積として確保できるので、スリーブ64およびピンスペーサ74の径に関わらず、取付強度を向上することができる。
【0043】
(4)スリーブ64、固定部材70、およびピンスペーサ74が、紫外線を透過するアクリル樹脂で形成されているとともに、固定部材70とクロスダイクロイックプリズム43とが、スリーブ64とピンスペーサ74とが、および、つば部641と保持枠60とが、紫外線硬化性接着剤により接着されている。さらに、ピン先端741は先細り形状とされている。
これにより、ピン先端741側から紫外線を照射すれば、光束がピンスペーサ74全体を透過し、スリーブ64、および固定部材70まで入射するので、接着剤を迅速に硬化させ、固定することができる。
なお、ピンスペーサ74だけを光透過性としても同様の作用効果を得ることができるが、本例のように、スリーブ64、固定部材70等もすべて光透過性の材質とする方が、光利用効率が高まるので効果が大きい。また、材質間の熱膨張率の差により接着剤が剥離する等の問題も生じない。
【0044】
(5)クロスダイクロイックプリズム43と熱膨張率が近似するインバーを材料として保持枠60を形成していることより、保持枠60およびクロスダイクロイックプリズム43に熱膨張を生じても、液晶パネル42R、42G、42Bとクロスダイクロイックプリズム43との位置ずれから生じる画素ずれを抑制できる。
【0045】
(6)スリーブ64は、端部につば部641が形成され、つば部641が孔63の周囲に当接するように孔63に挿入され、保持枠60に突設される。
これにより、つば部641を保持枠60と固定部材70との接合面積に含めることができ、スリーブ64に挿入されるピン74が振れにくいという点からも、取付強度が向上する。
【0046】
(7)スリーブ64とピンスペーサ74とを接着剤で固定していることにより、この接着剤の硬化前に、保持枠60と固定部材70とを相互に進退させて、液晶パネル42R、42G、42Bとクロスダイクロイックプリズム43との間隔を調整できる。ここで、ピンスペーサ74の基端部742によって、前述のように、保持枠60と固定部材70との最小間隔は確保されている。
また、固定部材70とクロスダイクロイックプリズム43との取付にも接着剤を使用しているため、固定部材70に取り付けられる保持枠60の保持する液晶パネル42R、42G、42Bと、クロスダイクロイックプリズム43との相対位置も調整することができる。
したがって、これらのような位置調整を行うことで、液晶パネル42R、42G、42Bとクロスダイクロイックプリズム43との位置ずれをから生じる画素ずれを防止できる。
さらに、液晶パネル42R、42G、42Bとクロスダイクロイックプリズム43との最小間隔が確保されるので、各種部品の放熱、および、通風による冷却を助け、熱変形に起因する画素ずれが抑制されるとともに、各種部品の熱による劣化も低減できる。
【0047】
(8)スリーブ64の内周側の一端から他端まで延びる溝642が形成されていることにより、スリーブ64にピンスペーサ74を挿入させる際に、溝642から空気が逃げて挿入し易い。
また、スリーブ64とピンスペーサ74とを接着する際、余剰の接着剤を溝642で受け止め、液晶パネル42R、42G、42Bに流れることを防止できるので、光学像の画質に支障が出ることがない。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の説明では、既に説明した実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
第1実施形態では、スリーブ64が孔63に挿入されて保持枠60の光束入射側に突設されているとともに、ピンスペーサ74は、スリーブ64に被覆された状態で孔63に挿入されていた。(図2参照)。
これに対し、第2実施形態では、光学装置40の側面図である図5に示すように、スリーブ64Aを保持枠60の固定部材70側の孔63周囲に配置し、ピンスペーサ74Aは、スリーブ64Aに被覆されずに直接孔63に挿入されている点が第1実施形態とは相違する。
このように、第1実施形態と第2実施形態では、スリーブ64、ピンスペーサ74、および孔63との挿入関係が相違するとともに、後述するように、スリーブ64およびピンスペーサ74の長さ・径等が相違するが、保持枠60の筒状突起としてのスリーブ64に、保持枠60の筒状突起としてのピンスペーサ74を挿入する点は共通している。
【0049】
図5における、保持枠60および固定部材70の取付部分を拡大する図6(A)に示すように、スリーブ64Aは、孔63の径に対応して外径が比較的大きく、かつ、筒長が比較的短い略筒状体として形成されている。スリーブ64Aの端部外周には、内径に対応するつば部641Aが形成されている。
一方、ピンスペーサ74Aは、長さが比較的短く、かつ、径が比較的大きい丸棒体として形成されている。ピンスペーサ74A先端は、先細り形状のピン先端741Aとされ、ピンスペーサ74Aの基端付近の、径が一回り大きい段差部分は、基端部742Aとされている。
なお、図6(B)に示す保持枠60は、図6(A)のスリーブ64Aよりも肉厚に形成されたスリーブ64Bおよびつば部641Bを有しており、ピンスペーサ74Bの基端部742Bの寸法は、より小さくなっている。このように、筒状突起やピン状突起の形状は、材質の強度等に合わせ、適宜設計すればよい。スリーブやピンを、金属材料により肉薄に形成する、または、樹脂等により肉厚に形成する等が考えられるが、これに限られたものではない。
【0050】
スリーブ64Aは、保持枠60の固定部材70側の孔63周囲に、つば部641Aの表側にて配置かつ突設されるとともに、固定部材70から突出するピンスペーサ74Aが、つば部641Aからスリーブ64Aに挿入される(図5参照)。ピンスペーサ74Aは、スリーブ64Aに続いて、孔63にも挿入されることとなる。また、スリーブ64Aは、保持枠60から固定部材70に向かって突出し、スリーブ64Aと基端部742との合計の寸法により、保持枠60と固定部材70との最小間隔が確保されている。
なお、前述のようにスリーブ64Aを孔63に配置してから、ピンスペーサ74Aをスリーブ64Aに挿入してもよいし、ピンスペーサ74Aをスリーブ64Aにあらかじめ通しておいてから、ピンスペーサ74Aを孔63に挿入しても構わない。スリーブ64A内とピンスペーサ74Aとの間には隙間があり、前述したように、クロスダイクロイックプリズム43に対する液晶パネル42R、42G、42Bの位置調整が可能である。
【0051】
このような第2実施形態に係る光学装置40によれば、前述の(1)、(2)、および(4)〜(8)で述べた効果に加えて、次のような効果がある。
(9)ピンスペーサ74Aは、比較的径が大きく、かつ、長さが短く形成され、スリーブ64Aは、ピンスペーサ74Aに対応する径、長さに形成されている。さらに、スリーブ64Aが固定部材70側に向かって保持枠60から突設されている。
これにより、保持枠60の光束入射側にピンスペーサ74Aが突出する寸法が小さいので、光学装置40およびプロジェクタ1を小型化することができる。ピンスペーサ74Aの径が比較的太い分、スリーブ64Aおよびピンスペーサ74Aの接合面積が拡張されて、取付強度が向上する。
【0052】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
第1実施形態では、保持枠60の筒状突起としてのスリーブ64に、固定部材70のピン状突起としてのピンスペーサ74を挿入していた(図2参照)。また、第2実施形態でも同様であった(図5参照)。
これと反対に、第3実施形態は、光学装置40の側面図である図7に示すように、保持枠60のピン状突起64Cを、固定部材70の筒状突起74Cに挿入している点が相違する。さらに、保持枠60の略矩形状の枠部分は板状部65Cとして機能し、この板状部65Cの四隅には孔66Cが形成されるとともに、別途、螺合部材としてのねじ67Cを有している点が相違する。
【0053】
図7における、保持枠60および固定部材70の取付部分を拡大する図8(A)に示すように、保持枠60のピン状突起64Cは、内部に雌ねじが形成されており、この内部は、孔66Cに対応する内径を有する。
また、固定部材70は金属製であり、略矩形状に形成されている固定部材70の板状部分は、板状体72Cとして機能し、この板状部分にクロスダイクロイックプリズム43の光束入射端面431に応じた略矩形状の開口部71が形成されるとともに、この板状部分の四隅には、保持枠60の孔66Cに対応する部分に板金加工により形成された孔の内周縁を面外方向に突出させたバーリング孔から筒状突起74Cが形成されている。この筒状突起74Cは、ピン状突起64Cの外径に対して隙間を生ずる径を有する。
また、螺合部材としてのねじ67Cは、頭部付きのねじであり、孔66Cに対応する径を有する。
なお、図8(A)に示す筒状突起74Dは樹脂製であるとともに肉厚に形成されている。このように、材質等を考慮の上、筒状突起74D等の形状等は適宜設計すればよい。
【0054】
ピン状突起64Cは、固定部材70から突出する筒状突起74Cに挿入される(図7参照)。そして、ねじ67Cは、固定部材70とは反対側から孔66Cを介してピン状突起64Cと螺合してピン状突起64Cを固定するので、保持枠60は、ねじ67Cの頭部のつば裏671Cとピン状突起64Cの端部とで挟まれるように保持される。
ピン状突起64Cを筒状突起74Cに挿入する際に、隙間部分に接着剤を塗布し、接着剤の硬化前に、保持枠60と固定部材70とを相互に進退させれば、液晶パネル42Rとクロスダイクロイックプリズム43との間隔調整がなされる。
なお、前述のように、ピン状突起64Cを筒状突起74Cに挿入してから、ねじ67Cをピン状突起64Cに螺合させてもよいし、ねじ67Cをピン状突起64Cにあらかじめ螺合させてから、ピン状突起64Cを筒状突起74Cに挿入しても構わない。保持枠60と固定部材70間の最小間隔は、ピン状突起64Cおよび筒状突起74Cのうち長い方の寸法を最小として確保されている。
【0055】
このような第3実施形態に係る光学装置40によれば、前述の(1)、(5)、および(7)で述べた効果を、保持枠の筒状突起(スリーブ64)から固定部材の筒状突起74Cへ、並びに、固定部材のピン状突起(ピンスペーサ74)から保持枠のピン状突起64Cへ置き換えることで、略同様に奏することができる。加えて、次のような効果がある。
(10)固定部材70のプレス成形と同時にバーリング孔を形成し、このバーリング孔を筒状突起74Cとすることができるので、固定部材に筒状突起を突設する作業が不要となり、製造コストをさらに低減できる。
また、筒状突起74Cはバーリング部分で開口するので、ピン状突起64Cを筒状突起74Cに挿入する際、空気の逃げ孔に供される。
(11)ピン状突起64Cを、ねじ67Cによって保持枠60に固定しているので、ピン状突起64Cを筒状突起74Cに挿入して保持枠60を固定部材70に固定しても、ねじ67Cとピン状突起64Cの螺合部分で、保持枠60を着脱可能である。
したがって、液晶パネル42R、42G、42B等に不具合を生じた場合、保持枠60ごと取り外して確認並びに交換することができる。保持枠60と固定部材70とを引き剥がさなくて済むので、液晶パネル42Rを傷付ける心配もなく、リワーク性に優れる。
また、保持枠60を、ピン状突起64Cとねじ67C頭部のつば裏671Cとで挟んで固定するので、ピン状突起64Cが振れにくく、取付強度も向上する。
【0056】
なお、本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
筒状突起としてのスリーブ64等、および、ピン状突起としてのピンスペーサ74等は、前記各実施形態の形状等に限定されない。スリーブ64および筒状突起74C等を、角筒状・角柱状としたり、柱・筒形状を基礎とする他の形状としたものも、本発明に含まれるものである。
例えば、スリーブ64を、スリット状に開口させる、または、半円筒状の部材としてピンスペーサ74を支持させ、上半筒部分を省略する、あるいは、複数の部分筒状片として花弁状にピンスペーサ74を保持する等が考えられる。
要するに、孔63・66Cの周囲に接する部材を備え、この部材を通して、保持枠60と固定部材70の接する面積が拡張すれば、本発明の目的を達することができる。筒状突起とピン状突起は、様々に組み合わせ可能であり、保持枠60および固定部材70からそれぞれ突出する突起をともに筒状として、互いに嵌合させるものであってもよい。
また、筒状突起と筒状突起との組み合わせにピンを付加し、これらの筒にピンを挿入するものとしたり、ピン状突起とピン状突起との組み合わせに筒を付加し、これらのピンを筒に挿入することも考えられる。
【0057】
図9は、光学装置40の筒状突起とピン状突起を示す部分拡大図であり、本発明の変形例を示すものである。
筒状突起としてのスリーブ64Eは、基端は孔63に挿入されて保持枠60に突設され、孔63断面から保持枠60の面沿いにL字状に幅員が増大するように径が拡大され、突出部分が断面略C字状に形成されている。ピン状突起としてのピンスペーサ74Eは、ピン先端741Eが軽度にテーパされており、基端部742Eは寸法が小さく設けられ、スリーブ64EのC字状開口から挿入される。
この例によっても、前記各実施形態同様、保持枠60および固定部材70を介して液晶パネル42R、42G、42Bと、クロスダイクロイックプリズム43とを十分な強度で固定することができるほか、スリーブ64Eの基端部分からピンスペーサ74Eの先端とC字状部分との隙間に接着剤を充填して、スリーブ64Eとピンスペーサ74Eとを接着可能である。
【0058】
前記各実施形態では、筒状突起(スリーブ64等・筒状突起74C等)内とピン状突起(ピンスペーサ74等・ピン状突起64C等)との隙間部分に接着剤を介在させて接着固定していたが、接着剤を使用せずに、溶着等の接合手段によってもよい。ただし、接着剤を使用する方が、位置決めされた位置に正確に固定し易い。
また、筒状突起にピン状突起を挿入可能であれば、筒状突起内とピン状突起との間の隙間はなくてもよい。例えば、ピン状突起を、弾性を有するとともに中間部位が膨出する樽状に形成し、筒状突起に嵌合させる構成としてもよい。
【0059】
前記各実施形態では、筒状突起(スリーブ64等・筒状突起74C等)にピン状突起(ピンスペーサ74等・ピン状突起64C等)を挿入することにより、保持枠60と固定部材70とを固定しているが、液晶パネル42R、42G、42Bと、クロスダイクロイックプリズム43との間の他の部材、あるいはプロジェクタ1を構成するその他の光学部品間にも、本発明の固定手段を適用しうる。
【0060】
前記各実施形態では、3つの光変調装置を用いた光学装置を採用したが、これに限らず、例えば、1つの光変調装置を用いたいわゆる単板式の光学装置としてもよい。また、光変調装置として液晶パネルを採用したが、これに限らず、マイクロミラーを用いたデバイス等、液晶以外の光変調装置を採用してもよい。さらに、透過型の光変調装置ではなく、反射型の光変調装置を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の前記各実施形態に係るプロジェクタの光学系の構造を表す模式図。
【図2】本発明の第1実施形態における光学装置の側面図。
【図3】前記実施形態における光学装置の部分拡大図。
【図4】前記実施形態における光学装置の分解斜視図。
【図5】本発明の第2実施形態における光学装置の側面図。
【図6】前記実施形態における光学装置の部分拡大図。
【図7】本発明の第3実施形態における光学装置の側面図。
【図8】前記実施形態における光学装置の部分拡大図。
【図9】本発明の変形例における光学装置の部分拡大図。
【符号の説明】
1…プロジェクタ、40…光学装置、42R,42G,42B…液晶パネル(光変調装置)、43…クロスダイクロイックプリズム(色合成光学装置)、431…光束入射端面、60…保持枠、61…開口部、62…板状面、63…孔、64,64A,64B,64E…スリーブ(筒状突起)、64C…ピン状突起、65C…板状部、66C…孔、67C…ねじ(螺合部材)、70…固定部材、71…開口部、72…板状体、74,74A,74E…ピンスペーサ(ピン状突起)、74C,74D…筒状突起、741,741A,741B,741E…ピン先端。
Claims (9)
- 複数の色光を各色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、各光変調装置と対向する複数の光束入射端面を有し、各光変調装置で形成された光学像を合成する色合成光学装置とを備える光学装置であって、
前記光変調装置は、光変調素子と、この光変調素子の画像形成領域に応じた開口部が形成されるとともに前記光変調素子を保持する板状の保持枠を備え、
この光変調装置は、前記色合成光学装置の光束入射端面に沿って取り付けられる固定部材を介して前記光束入射端面と対抗配置され、
前記保持枠は、前記開口部周縁に、前記保持枠の板状面から突出する筒状またはピン状の突起を備え、
前記固定部材は、前記保持枠の筒状突起に挿入されるピン状突起、または前記保持枠のピン状突起が挿入される筒状突起を備えることを特徴とする光学装置。 - 請求項1に記載の光学装置において、
前記保持枠の突起はピン状突起であり、
このピン状突起が挿入される前記固定部材の筒状突起は、この固定部材の板状体に形成される孔の内周縁を面外方向に突出させて前記板状体と一体的に形成されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項2に記載の光学装置において、
前記固定部材は、板金加工による金属製の板状体を備えて構成され、
前記筒状突起は、板金加工により板状体に形成された孔の内周縁を面外方向に突出させたバーリング孔からなることを特徴とする光学装置。 - 請求項2または請求項3に記載の光学装置において、
前記保持枠は、前記開口部が形成される板状部と、この板状部の開口部周縁に形成される孔と、この孔に挿入される螺合部材と、挿入された螺合部材により前記板状部に固定されるピン状突起とを備えて構成されることを特徴とする光学装置。 - 請求項1に記載の光学装置において、
前記保持枠の突起は筒状突起であり、
この筒状突起に挿入される前記固定部材のピン状突起の突出方向先端部分は、ピン先端に向かって次第に縮径する先細り形状とされていることを特徴とする光学装置。 - 請求項5に記載の光学装置において、
前記保持枠の筒状突起は、該保持枠の板状面から、前記ピン状突起の挿入方向先端側に向かって突出していることを特徴とする光学装置。 - 請求項5に記載の光学装置において、
前記保持枠の筒状突起は、該保持枠の板状面から、前記ピン状突起の挿入方向基端側に向かって突出していることを特徴とする光学装置。 - 請求項5〜請求項7のいずれかに記載の光学装置において、
前記ピン状突起は、光透過性部材から構成されていることを特徴とする光学装置。 - 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、拡大投写するプロジェクタであって、
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の光学装置を備えることを特徴とするプロジェクタ。
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