JP2004341111A - 光学装置、光学装置の製造方法、およびプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】光学変換膜の放熱特性の向上を低コストで実現できる光学装置、およびプロジェクタを提供する。
【解決手段】光学装置24は、色光毎に画像情報に応じて変調する3つの光変調装置240と、各光変調装置240で変調された各色光を合成するクロスダイクロイックプリズム244と、クロスダイクロイックプリズム244の上下面に固定される熱伝導性材料からなる台座246と、クロスダイクロイックプリズム244の光束入射端面に貼り付けられる熱伝導性材料からなる基板243A1、およびこの基板243A1に貼り付けられ、光変調装置240から射出される光束の光学特性を変換する偏光膜243A2を有する第1光学変換板243Aと、台座246の側面に固定され、第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続する熱伝導性材料からなる熱伝導板245とを備える。
【選択図】 図8
【解決手段】光学装置24は、色光毎に画像情報に応じて変調する3つの光変調装置240と、各光変調装置240で変調された各色光を合成するクロスダイクロイックプリズム244と、クロスダイクロイックプリズム244の上下面に固定される熱伝導性材料からなる台座246と、クロスダイクロイックプリズム244の光束入射端面に貼り付けられる熱伝導性材料からなる基板243A1、およびこの基板243A1に貼り付けられ、光変調装置240から射出される光束の光学特性を変換する偏光膜243A2を有する第1光学変換板243Aと、台座246の側面に固定され、第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続する熱伝導性材料からなる熱伝導板245とを備える。
【選択図】 図8
Description
【0001】
本発明は、複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、これら光変調装置で変調された各色光を合成して射出する色合成光学装置とを備えた光学装置、光学装置の製造方法、およびプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来、光源から射出された光束を3色の色光に分離する色分離光学系と、色光毎に画像情報に応じて変調する3枚の光変調装置と、各光変調装置で変調された光束を合成するクロスダイクロイックプリズムとを備える3板式のプロジェクタが知られている(特許文献1参照)。
この光変調装置の入射側および射出側には、入射された光束のうち偏光軸に沿った方向の光束のみを透過させ、その他の方向の光束を吸収して、所定の偏光光として射出する光学変換板としての偏光板がそれぞれ配置されている。
このような偏光板は、例えば、高い熱伝導率を有するサファイア基板上に偏光膜が貼付されることで構成され、偏光膜における光の吸収に伴う発熱をサファイア基板に放熱する構造となっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−221588号公報(図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、光変調装置の後段に配置される偏光板は、クロスダイクロイックプリズムの光束入射側端面に直接貼り付けられているので、偏光膜からサファイア基板に伝達した熱を外部に放熱することが困難である、という問題がある。
このような問題を解決するために、例えば、以下のような構成が考えられる。
すなわち、クロスダイクロイックプリズムを支持する台座としてのプリズム支持板を熱伝導性材料から構成する。また、偏光板を構成するサファイア基板のサイズを大きく形成する。そして、サファイア基板とプリズム支持板とを接続し、偏光膜からサファイア基板に伝達した熱をプリズム支持板に放熱する。
しかしながら、このような構成では、サファイア基板のサイズを大きくする必要があり、光学装置のコスト低減を図れない、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、光学変換膜の放熱特性の向上を低コストで実現できる光学装置、およびプロジェクタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学装置は、複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記光変調装置で変調された各色光を合成して射出する色合成光学装置とを備えた光学装置であって、前記色合成光学装置の光束入射端面と交差する一対の端面のうち、少なくともいずれか一方の端面に固定され、熱伝導性材料からなる台座と、前記色合成光学装置の光束入射端面に貼り付けられる熱伝導性材料からなる透明部材、およびこの透明部材に貼り付けられ、前記光変調装置から射出される光束の光学特性を変換する光学変換膜を有する第1光学変換板と、光束を通過可能とする開口を有し、前記台座の側面に固定され、前記第1光学変換板と熱伝達可能に接続する熱伝導性材料からなる熱伝導板とを備えていることを特徴とする。
ここで、光学変換膜としては、例えば、偏光膜、位相差膜、色補正膜、または視野角補償膜等を採用できる。
また、透明基板としては、例えば、サファイア、水晶、石英、または蛍石等で構成できる。
【0007】
本発明では、光学装置は、熱伝導板を備え、この熱伝導板は、色合成光学装置の光束入射端面に貼り付けられた第1光学変換板と熱伝達可能に接続する。また、この熱伝導板は、熱伝導性材料からなる台座の側面に固定される。このことにより、光源からの光束の照射により光学変換膜に発生した熱を透明部材〜色合成光学装置〜台座の熱伝達経路の他、透明部材〜熱伝導板〜台座の熱伝達経路を辿って放熱できる。
また、光学変換板は、色合成光学装置の光束入射端面に貼り付けられた状態でよいので、透明部材のサイズを大きくして台座と接続させなくても、光学変換膜に発生した熱を放熱できる。すなわち、透明部材のサイズの増加による光学装置のコスト増加を回避できる。
したがって、光学変換膜の放熱特性の向上を低コストで実現でき、本発明の目的を達成できる。
【0008】
本発明の光学装置では、前記熱伝導板には、前記開口周縁から光束入射側に突出するとともに、先端部分が内側に曲折し、断面視L字形状を有する突出部が形成され、前記突出部の断面視L字形状の内側端面は、前記光学変換板と熱伝達可能に接続する接続面として構成されていることが好ましい。
ここで、突出部の形成位置は、開口周縁であれば特に限定されない。例えば、開口周縁にかけて開口を囲うように形成してもよく、開口周縁の一部にのみ形成してもよい。
本発明では、熱伝導板には、断面視L字形状を有する突出部が形成され、この突出部の断面視L字形状の内側端面が第1光学変換板との接続面として構成される。このことにより、熱伝導板と第1光学変換板との接続する面積を確実に確保でき、第1光学変換板における光学変換膜の放熱特性をさらに向上できる。
【0009】
本発明の光学装置では、前記光変調装置から射出される光束の光学特性を変換する光学変換膜、およびこの光学変換膜が貼り付けられ、熱伝導性材料からなる透明部材を有する第2光学変換板を備え、前記熱伝導板には、前記開口周縁から光束入射側に突出するとともに、先端部分が内側に曲折し、断面視L字形状を有する突出部が形成され、前記突出部は、断面視L字形状の光束入射側端面にて前記第2光学変換板を支持固定することが好ましい。
ここで、第2光学変換板における光学変換膜および透明部材としては、例えば、上述した第1光学変換板と同様の構成を採用できる。光学変換膜としては、例えば、偏光膜、位相差膜、色補正膜、または視野角補償膜等を採用できる。また、透明基板としては、例えば、サファイア、水晶、石英、または蛍石等で構成できる。第1光学変換板と第2光学変換板とは、同一の機能を有する構成であってもよく、異なる機能を有する構成であってもよい。
本発明によれば、突出部は、断面視L字形状の光束入射側端面にて第2光学変換板を支持固定するので、第2光学変換板を支持固定する支持板を別途設ける必要がなく、光学装置の小型化を図れる。また、第2光学変換板における光学変換膜に発生する熱も熱伝導板を介して放熱できる。さらに、光変調装置の後段に、第1光学変換板および第2光学変換板を設けることで、光学装置にて良好な光学像を形成できる。
【0010】
本発明の光学装置では、前記第2光学変換板は、2つの前記光学変換膜を有し、前記透明部材の光束入射側端面および光束射出側端面にそれぞれ前記光学変換膜が貼り付けられて構成されていることが好ましい。
ここで、第2光学変換板における透明部材の光束入射側端面および光束射出側端面にそれぞれ貼り付けられる光学変換膜は、例えば、上述した偏光膜、位相差膜、色補正膜、および視野角補償膜のうちの2つを採用できる。また、同一の機能を有する光学変換膜、例えば、偏光膜を透明部材の光束入射側端面および光束射出側端面にそれぞれ貼り付ける構成としてもよい。
本発明によれば、第2光学変換板は、1つの透明部材の光束入射側端面および光束射出側端面のそれぞれに光学変換膜が貼り付けられて構成されているので、2つの光学変換膜のそれぞれに透明部材を設ける必要がなく、光学装置の製造コストをさらに低減できる。
【0011】
本発明の光学装置では、前記突出部は、前記開口の上下辺縁または左右辺縁に形成され、前記第1光学変換板の透明部材および/または前記第2光学変換板の透明部材は、光学結晶材料から構成され、その光学軸が対向する前記突出部の方向に向くように前記色合成光学装置の光束入射側端面および/または前記突出部の光束入射側端面に支持固定されていることが好ましい。
ところで、光学結晶材料の特性としては、光学軸方向、およびこの光学軸と直交する方向において、熱伝導率が異なる。通常は、光学軸方向において、高い熱伝導率を有する。
本発明では、突出部は、開口の上下辺縁または左右辺縁に形成される。そして、第1光学変換板の透明部材および/または第2光学変換板の透明部材は、その光学軸が対向する突出部の方向に向くように固定されている。このことにより、熱伝導率が比較的高い光軸方向に沿って突出部に熱が伝達されるので、第1光学変換板における光学変換膜および/または第2光学変換板における光学変換膜の放熱特性をさらに向上できる。
【0012】
本発明の光学装置では、前記熱伝導板は、板金加工により形成され、前記突出部は、前記熱伝導板の一部を切り起こすことにより形成されていることが好ましい。
本発明によれば、熱伝導板は、板金加工により形成されているので、該熱伝導板を製造するにあたって、さらに容易に製造でき、光学装置の製造コストをさらに低減できる。
【0013】
本発明の光学装置では、前記熱伝導板と、前記台座および/または前記第1光学変換板との間には、熱伝導性の弾性部材が介装されていることが好ましい。
ここで、熱伝導性の弾性部材としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、またはカーボン等の金属粉を混入したゴム部材等を採用できる。
ところで、熱伝導板と台座とが異なる部材で構成されている場合には、第1光学変換板等からの熱による熱伝導板および台座の寸法変化(膨張、収縮)により、熱伝導板と台座との界面には大きい熱応力が発生する。
その結果、この熱応力により熱伝導板と台座との接続状態が崩れ、例えば、熱伝導板に光変調装置が支持固定されている場合には、各光変調装置の相互位置がずれ、画素ずれが生じる。
また、第1光学変換板等からの熱により、熱伝導板および第1光学変換板の寸法変化(膨張、収縮)が生じた場合には、熱伝導板と第1光学変換板との間で機械的干渉が生じるおそれがある。
【0014】
本発明では、熱伝導板と、台座および/または第1光学変換板とが、熱伝導性の弾性部材を介して接続されていることにより、熱による各部材の寸法変化(膨張、収縮)を弾性部材が吸収できる。例えば、熱伝導板と台座との間に弾性部材が介装されている場合には、熱伝導板および台座の接続状態を保持でき、画素ずれ等を防止し、光学装置にて良好な光学像を形成できる。また、例えば、熱伝導板と第1光学変換板との間に弾性部材が介装されている場合には、熱伝導板および第1光学変換板との機械的干渉を回避でき、第1光学変換板の機能的信頼性を確保できる。
また、この弾性部材は、熱伝導性を有していることにより、熱伝導板から台座、および/または、第1光学変換板から熱伝導板への放熱特性を改善し、第1光学変換板における光学変換膜の冷却効率を向上させることができる。
さらに、第1光学変換板等による熱で、弾性部材自体も熱膨張し、この弾性部材の熱膨張により、熱伝導板と台座および/または第1光学変換板との部材間の密着性が向上し、第1光学変換板における光学変換膜の放熱特性をさらに向上できる。
【0015】
本発明の光学装置では、前記熱伝導板は、スペーサを介して前記光変調装置を支持固定することが好ましい。
本発明によれば、光変調装置は、スペーサを介して熱伝導板に支持固定されているので、スペーサを介して色合成光学装置に直接、支持固定される構成と比較して、色合成光学装置の小型化を図れ、ひいては光学装置の小型化を図れる。
【0016】
前記台座は、前記熱伝導板の左右端縁に沿って垂設される導熱部を有し、前記導熱部は、前記熱伝導板および/または前記光変調装置と熱伝達可能に接続することが好ましい。
本発明によれば、台座は、導熱部を有し、この導熱部は、熱伝導板および/または光変調装置と熱伝達可能に接続するので、透明部材〜色合成光学装置〜台座、および、透明部材〜熱伝導板〜台座の熱伝達経路の他、透明部材〜熱伝導板〜導熱部、および/または光変調装置〜導熱部の熱伝達経路を確保でき、光学装置の放熱特性をさらに向上できる。
【0017】
本発明の光学装置の製造方法は、複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記光変調装置で変調された各色光を合成して射出する色合成光学装置とを備えた光学装置の製造方法であって、
前記光学装置は、熱伝導性材料からなる台座と、熱伝導性材料からなる透明部材、およびこの透明部材に貼り付けられ、前記光変調装置から射出される光束の光学特性を変換する光学変換膜を有する第1光学変換板と、光束を通過可能とする開口を有し、熱伝導性材料からなる熱伝導板とを備え、前記色合成光学装置の光束入射端面と交差する一対の端面のうち、少なくともいずれか一方の端面に前記台座を位置決め固定する台座固定工程と、部材設置治具を用いて前記色合成光学装置の光束入射端面に前記第1光学変換板を位置決め固定する第1光学変換板固定工程と、前記部材設置治具を用いて前記第1光学変換板と熱伝達可能に接続させるとともに前記台座の側面に前記熱伝導板を位置決め固定する熱伝導板固定工程と、前記色合成光学装置に対して前記光変調装置を位置決め固定する光変調装置固定工程とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、光学装置の製造方法は、台座固定工程と、第1光学変換板固定工程と、熱伝導板固定工程と、光変調装置固定工程とを備えているので、上述した光学装置と同様の作用・効果を享受できる。
また、光学装置の製造方法では、第1光学変換板固定工程および熱伝導板固定工程において、部材設置治具を用いるので光学装置の製造を容易にし、光学装置の製造コストの低減を図れる。
【0018】
本発明の光学装置の製造方法では、前記部材設置治具は、前記色合成光学装置の光束入射端面に前記第1光学変換板を位置決めする第1光学変換板設置治具を有し、前記第1光学変換板設置治具は、前記台座が位置決め固定された色合成光学装置を載置固定する基台と、前記第1光学変換板を保持するとともに、前記基台の所定位置に位置決め固定される位置決めプレートとを備え、前記第1光学変換板固定工程は、前記基台に前記台座が位置決め固定された色合成光学装置を載置固定する色合成光学装置固定手順と、前記位置決めプレートに前記第1光学変換板を保持させる第1光学変換板保持手順と、前記第1光学変換板を保持した位置決めプレートを前記基台に固定するプレート設置手順と、前記色合成光学装置に対して前記第1光学変換板を位置固定する第1光学変換板位置固定手順とを備えていることが好ましい。
本発明では、部材設置治具は、第1光学変換板設置治具を有し、この第1光学変換板設置治具は、基台および位置決めプレートを備えている。そして、第1光学変換板固定工程では、第1光学変換板設置治具を用いて、色合成光学装置固定手順、第1光学変換板保持手順、およびプレート設置手順が実施される。この後、色合成光学装置に対する所定位置に位置決めされた第1光学変換板を、色合成光学装置に対して位置固定する。このことにより、色合成光学装置に対して第1光学変換板を容易に位置決め固定でき、光学装置の製造をさらに容易にし、製造コストのさらなる低減を図れる。
【0019】
本発明の光学装置の製造方法では、前記部材設置治具は、前記台座の側面に前記熱伝導板を位置決めする熱伝導板設置治具を有し、前記熱伝導板設置治具は、前記台座および前記第1光学変換板が位置決め固定された色合成光学装置を載置固定する基台と、前記熱伝導板を保持するとともに前記基台の所定位置に位置決め固定される位置決めプレートとを備え、前記熱伝導板固定工程は、前記基台に前記台座および前記第1光学変換板が位置決め固定された色合成光学装置を載置固定する色合成光学装置固定手順と、前記位置決めプレートに前記熱伝導板を保持させる熱伝導板保持手順と、前記熱伝導板を保持した位置決めプレートを前記基台に固定するプレート設置手順と、前記台座に対して前記熱伝導板を位置固定する熱伝導板位置固定手順とを備えていることが好ましい。
本発明では、部材設置治具は、熱伝導板設置治具を有し、この熱伝導板設置治具は、基台および位置決めプレートを備えている。そして、熱伝導板固定工程では、熱伝導板設置治具を用いて、色合成光学装置固定手順、熱伝導板保持手順、およびプレート設置手順が実施される。この後、色合成光学装置および台座に対する所定位置に位置決めされた熱伝導板を、台座に対して位置固定する。このことにより、色合成光学装置および台座に対して熱伝導板を容易に位置決め固定でき、光学装置の製造をさらに容易にし、製造コストのさらなる低減を図れる。
【0020】
本発明の光学装置の製造方法では、前記熱伝導板と、前記台座および/または前記第1光学変換板との間には、熱伝導性の弾性部材が介装され、前記熱伝導板設置治具は、位置決めプレートに保持された熱伝導板を前記台座に対して押圧する押圧部を備え、前記熱伝導板固定工程は、前記プレート設置手順の後、前記押圧部により前記熱伝導板を前記台座に対して押圧し、前記台座および/または前記第1光学変換板との間に介装される前記弾性部材を圧縮する弾性部材押圧手順を備えていることが好ましい。
本発明では、熱伝導板設置治具は、押圧部を備えている。そして、熱伝導板固定工程では、プレート設置手順の後、弾性部材押圧手順を備え、この弾性部材押圧手順では、押圧部により熱伝導板を台座に対して押圧し、台座および/または第1光学変換板との間に介装される弾性部材を圧縮する。このことにより、弾性部材における台座および/または第1光学変換板と熱伝導板との密着性が向上され、第1光学変換板の放熱特性をさらに向上できる。
【0021】
本発明のプロジェクタは、光源と、上述した光学装置と、この光学装置から射出される光学像を拡大投写する投写光学装置とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクタは、上述した光学装置を備えているので、上述した光学装置と同様の作用・効果を享受できる。
また、プロジェクタは、低コストの光学装置を備えることにより、該プロジェクタ自体の製造コストも低減できる。
さらに、プロジェクタは、冷却効率の良好な光学装置を備えることにより、画素ずれのない良好な光学像をスクリーンに投写できる。また、光源から射出される光束の輝度を高く設定でき、鮮明な光学像をスクリーンに投写できる。さらに、ファン等の冷却能力を強化する必要がないから、プロジェクタの省エネルギ化、静音化、および小型化も図れる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔1〕プロジェクタの構造
図1は、本実施形態に係る光学装置を備えたプロジェクタ1の構造を示す斜視図である。
プロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、スクリーン等の投写面上に拡大投写する。このプロジェクタ1は、図1に示すように、平面視L字状の光学ユニット2と、この光学ユニット2の一端と接続する投写光学装置としての投写レンズ3とを備えている。
なお、具体的な図示は省略したが、プロジェクタ1は、光学ユニット2および投写レンズ3の他、外部から供給された電力をプロジェクタ1の構成部材に提供する電源ユニット、光学ユニット2の後述する液晶パネルを駆動制御する制御基板、プロジェクタ1の構成部材に冷却空気を送風する冷却ファンを有する冷却ユニット等を備えて構成される。
【0023】
光学ユニット2は、図示しない制御基板による制御の下、外部からの画像情報に応じて光学像を形成する。この光学ユニット2は、具体的には後述するが、図1に示すように、容器状に形成された下ライトガイド251およびこの下ライトガイド251の開口部分を閉塞する上ライトガイド252を有するライトガイド25と、このライトガイド25内に収納配置される複数の光学部品と、ライトガイド25と接続され、投写レンズ3を支持するヘッド体26とを備えている。
投写レンズ3は、光学ユニット2により画像情報に応じて変調された光学像を拡大投写する。この投写レンズ3は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成され、複数のレンズの相対位置を変更可能な図示しないレバーを備え、投写像のフォーカス調整、および倍率調整可能に構成されている。
【0024】
〔2〕光学ユニット2の構造
〔2−1〕光学ユニット2の光学系の構成
図2は、光学ユニット2の内部構造を模式的に示す平面図である。具体的に、図2は、光学ユニット2における上ライトガイド252を取り外した図である。
ライトガイド25内に収納される複数の光学部品は、図2に示すように、インテグレータ照明光学系21と、色分離光学系22と、リレー光学系23と、光変調装置および色合成光学装置を一体化した光学装置24とで構成されている。
インテグレータ照明光学系21は、光源から射出された光束を照明光軸直交面内における照度を均一にするための光学系である。このインテグレータ照明光学系21は、図2に示すように、光源装置211、第1レンズアレイ212、第2レンズアレイ213、偏光変換素子214、および重畳レンズ215を備えて構成される。
【0025】
光源装置211は、放射光源としての光源ランプ216、リフレクタ217、およびリフレクタ217の光束射出面を覆う防爆ガラス218を備える。そして、光源ランプ216から射出された放射状の光束は、リフレクタ217で反射されて略平行光束とされ、外部へと射出される。本実施形態では、光源ランプ216として、高圧水銀ランプを採用し、リフレクタ217として、放物面鏡を採用している。なお、光源ランプ216としては、高圧水銀ランプに限らず、例えばメタルハライドランプやハロゲンランプ等を採用してもよい。また、リフレクタ217として放物面鏡を採用しているが、これに限らず、楕円面鏡からなるリフレクタの射出面に平行化凹レンズを配置した構成を採用してもよい。
【0026】
第1レンズアレイ212は、照明光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備している。各小レンズは、光源ランプ216から射出された光束を部分光束に分割し、照明光軸方向に射出する。
第2レンズアレイ213は、第1レンズアレイ212と略同様の構成であり、小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備する。この第2レンズアレイ213は、重畳レンズ215とともに、第1レンズアレイ212の各小レンズの像を光学装置24の後述する液晶パネル241R,241G,241Bの画像形成領域に結像させる機能を有する。
【0027】
偏光変換素子214は、第2レンズアレイ213からの光を略1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、光学装置24での光の利用効率が高められている。
具体的に、偏光変換素子214によって略1種類の偏光光に変換された各部分光束は、重畳レンズ215によって最終的に光学装置24の後述する液晶パネル241R,241G,241Bの画像形成領域にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル241R,241G,241Bを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源ランプ216からの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子214を用いることにより、光源ランプ216から射出された光束を略1種類の偏光光に変換し、光学装置24における光の利用効率を高めている。なお、このような偏光変換素子214は、例えば、特開平8−304739号公報に紹介されている。
【0028】
色分離光学系22は、2枚のダイクロイックミラー221,222と、反射ミラー223とを備える。インテグレータ照明光学系21から射出された複数の部分光束は、2枚のダイクロイックミラー221により赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離される。
リレー光学系23は、入射側レンズ231と、リレーレンズ233と、反射ミラー232,234とを備えている。このリレー光学系23は、色分離光学系22で分離された色光である青色光を光学装置24の後述する液晶パネル241Bまで導く機能を有している。
【0029】
この際、色分離光学系22のダイクロイックミラー221では、インテグレータ照明光学系21から射出された光束のうち、緑色光成分と青色光成分とは透過し、赤色光成分は反射する。ダイクロイックミラー221によって反射した赤色光は、反射ミラー223で反射し、フィールドレンズ224を通って、赤色用の液晶パネル241Rに到達する。このフィールドレンズ224は、第2レンズアレイ213から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル241G,241Bの光入射側に設けられたフィールドレンズ224も同様である。
【0030】
また、ダイクロイックミラー221を透過した青色光と緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー222によって反射し、フィールドレンズ224を通って、緑色光用の液晶パネル241Gに到達する。一方、青色光は、ダイクロイックミラー222を透過してリレー光学系23を通り、さらにフィールドレンズ224を通って、青色光用の液晶パネル241Bに到達する。
なお、青色光にリレー光学系23が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ231に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ224に伝えるためである。なお、リレー光学系23には、3つの色光のうちの青色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、赤色光を通す構成としてもよい。
【0031】
光学装置24は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成する。この光学装置24は、色分離光学系22で分離された各色光が入射される3つの入射側偏光板242と、各入射側偏光板242の後段に配置され、液晶パネル241R,241G,241B、光学変換板243、および色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム244が一体的にユニット化された光学装置本体24A(図7)とを備える。
入射側偏光板242は、色分離光学系22で分離された色光のうち、一定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収する。
光学装置本体24Aは、入射側偏光板242を介して入射する光束を変調し、各変調された光束を合成して光学像を射出する。なお、この光学装置本体24Aの詳細な構造については、後述する。
なお、光学装置24において、入射側偏光板242と光学装置本体24Aとを別体として構成したが、これに限らず、液晶パネル241R,241G,241B、光学変換板243、およびクロスダイクロイックプリズム244とともに、入射側偏光板242を一体的にユニット化して構成してもよい。
【0032】
〔2−2〕ライトガイド25の構造
ライトガイド25は、図1または図2に示すように、上述した光学部品21,22,23が収納される下ライトガイド251と、この下ライトガイド251の上面の開口部分を塞ぐ上ライトガイド252と、光源装置211を除く光学部品21,22,23を下ライトガイド251の所定位置に位置決めする位置決め部材253とを備える。
【0033】
図3は、下ライトガイド251の構造を示す斜視図である。
下ライトガイド251は、アルミニウムの平板を板金加工することにより形成されたものであり、図1ないし図3に示すように、光源装置211が収納される光源収納部251Aと、光源装置211を除く他の光学部品21,22,23(図2)が収納される部品収納部251Bとを備える。これら光源収納部251Aおよび部品収納部251Bは、絞り加工により容器状に形成され、光源収納部251Aは、下方側が開口され、部品収納部251Bは、上方側が開口されている。また、光源収納部251Aおよび部品収納部251Bの接続部分には、光源装置211から射出される光束が通過するように切削等により開口251C(図3)が形成されている。
なお、これら光源収納部251Aおよび部品収納部251Bは、一つの平板から絞り加工によりそれぞれ光源収納部251Aおよび部品収納部251Bを形成してもよい。また、2つの平板を絞り加工によりそれぞれ光源収納部251Aおよび部品収納部251Bを形成し、ねじ等により2つの部材を機械的に接合する構成、または、溶接により2つの部材を接合する構成を採用してもよい。
【0034】
光源収納部251Aは、図示しない下方側の開口から光源装置211(図2)が収納配置される。この光源収納部251Aの側面には、図示は省略するが、光源装置211に発生する熱により温められた空気が光源収納部251A内に滞留しないように、切削等によりスリット状の開口部が形成されている。
部品収納部251Bは、図3に示すように、一端側が光源収納部251Aと接続し、他端側が平面視略コ字状である容器状に形成され、この他端側にヘッド体26が接続される。
この部品収納部251Bにおいて、側面には、光学部品212〜215,231,233(図2)の位置に応じて、該側面の一部が部品収納部251Bの内側に切り起こされ、複数の孔251B1が形成されている。また、側面には、光学部品223,232,234(図2)の位置に応じて、内部に向けて貫通する円形状の複数の孔251B2が形成されている。さらに、平面視略コ字状内側の側面には、光源装置211(図2)から射出され、色分離光学系22(図2)により分離された3つの色光が光学装置24(図2)に向けて通過可能に切削等により切り欠き251B3が形成されている。
また、この部品収納部251Bにおいて、図示は省略するが、底面部分および上端部分には、ねじ溝を有する複数のバーリング孔が形成されている。
【0035】
上ライトガイド252は、図1に示すように、アルミニウムの平板であり、切削等により、下ライトガイド251の部品収納部251Bの上端側の開口部分を塞ぐように形成されている。また、この上ライトガイド252には、図示は省略するが、複数の孔が形成され、この孔と下ライトガイド251に形成された図示しないバーリング孔とを介してねじ等により下ライトガイド251に対して上ライトガイド252が固定される。
ここで、上述の下ライトガイド251の光源収納部251Aおよび部品収納部251Bの内面、および上ライトガイド252の下面には、ブラックアルマイト処理が施されている。
【0036】
位置決め部材253は、図1または図2に示すように、第1レンズアレイ212、第2レンズアレイ213、偏光変換素子214、重畳レンズ215、入射側レンズ231、およびリレーレンズ233をそれぞれ位置決めする第1位置決め部材253Aと、ダイクロイックミラー221,222をそれぞれ位置決めする第2位置決め部材253B(図2)と、反射ミラー223,232,234をそれぞれ位置決めする第3位置決め部材253Cとを備えている。なお、これら位置決め部材253は、次に述べる光学部品の保持構造にて具体的に説明する。
【0037】
〔2−3〕光学部品の保持構造
次に、ライトガイド25に対する、光源装置211を除く光学部品21,22,23の保持構造を説明する。
なお、この光学部品の保持構造としては、その類似した構造により3つの保持構造に分類できる。すなわち、第1レンズアレイ212、第2レンズアレイ213、偏光変換素子214、重畳レンズ215、入射側レンズ231、およびリレーレンズ233を保持するレンズの保持構造、ダイクロイックミラー221,222を保持するダイクロイックミラーの保持構造、および反射ミラー223,232,234を保持する反射ミラーの保持構造に分類できる。以下では、これら3つの保持構造を順次、説明する。
【0038】
〔2−3−1〕レンズの保持構造
図4は、レンズの保持構造を説明するための図である。なお、上述のように、光学部品212〜215,231,233の保持構造は、類似した構造であり、ここでは主に、重畳レンズ215の保持構造を説明する。
重畳レンズ215は、図4に示すように、平面視円形状であり、光束入射側端面および光束射出側端面が球面状に膨出する凸レンズとして構成されている。そして、この重畳レンズ215を保持する部材としては、上述した複数の第1位置決め部材253Aのうちの2つの第1位置決め部材253Aが用いられる。
【0039】
第1位置決め部材253Aは、下ライトガイド251の側面に形成された孔251B1に挿通される四角柱状の部材であり、紫外線光を透過する合成樹脂(アクリル材)から構成されている。また、この第1位置決め部材253Aにおいて、四角柱状の一方の端面には、断面略V字状の溝部253A1が形成されている。この溝部253A1は、重畳レンズ215の外周端部の断面形状と略同一形状を有するように形成されている。
ここで、下ライトガイド251の孔251B1において、切り起こされた側面の一部は、第1位置決め部材253Aの支持面251B4として構成される。
【0040】
そして、これら第1位置決め部材253は、下ライトガイド251の側面に形成された孔251B1を介して、溝部253A1が重畳レンズ215の外周端部に当接することで該重畳レンズ215を左右方向から挟持する。この際、第1位置決め部材253と支持面251B4との間、および第1位置決め部材253の溝部253A1と重畳レンズ215の外周端部との間には、紫外線硬化型接着剤が充填され、第1位置決め部材253を介して紫外線を照射して接着剤を硬化させることで重畳レンズ215がライトガイド25に対して保持固定される。
なお、その他の光学部品212〜214,231,233の保持構造についても、上述した重畳レンズ215の保持構造と略同様である。
【0041】
〔2−3−2〕ダイクロイックミラーの保持構造
図5は、ダイクロイックミラーの保持構造を説明するための図である。なお、上述のように、ダイクロイックミラー221,222の保持構造は、類似した構造であり、ここでは主に、ダイクロイックミラー222の保持構造を説明する。
ダイクロイックミラー222は、図5に示すように、平面視矩形状であり、上述した第2位置決め部材253Bにより保持される。
第2位置決め部材253Bは、図5に示すように、下ライトガイド251の部品収納部251Bの底面に固定される板状の台座253B1と、この台座253B1の上面に固定され、断面視L字形状を有する一対の板状部材253B2と、この一対の板状部材253B2およびダイクロイックミラー222の左右側端部の間に介装されるスペーサ253B3とを備えている。
【0042】
このうち、一対の板状部材253B2は、断面視L字形状の一方の端面が台座253B1の上面に固定され、他方の端面が台座253B1の上方に延び、下ライトガイド251の部品収納部251Bの側面に略平行に対向配置される。そして、これら一対の板状部材253B2の間に、ダイクロイックミラー222が傾斜して配置され、該ダイクロイックミラー222の左右端部と該板状部材253B2の他方の端面とが対向配置する。
これら一対の板状部材253B2において、他方の端面には、該端面の一部が対向する板状部材253B2側に三角形状に切り起こされ、この切り起こされた部分がスペーサ253B3を支持する支持面253B4として構成されている。
また、これら一対の板状部材253B2において、他方の端面のうち、フィールドレンズ224(図2)側の端面には、ダイクロイックミラー222にて反射されたG色光を通過させるための開口253B5が形成されている。
【0043】
スペーサ253B3は、三角柱状の部材であり、第1位置決め部材253Aと同様に、紫外線光を透過する合成樹脂(アクリル材)から構成されている。そして、このスペーサ253B3は、支持面253B4に支持されるとともに、ダイクロイックミラー222の左右端部と板状部材253B2との間に介装される。この際、スペーサ253B3の三角柱状の斜面の傾斜方向は、ダイクロイックミラー222の傾斜方向と略同一の方向となるように構成されている。また、スペーサ253B3と支持面253B4との間、およびスペーサ253B3の斜面とダイクロイックミラー222の外周端部との間には、紫外線硬化型接着剤が充填され、スペーサ253B3を介して紫外線を照射して接着剤を硬化させることでダイクロイックミラー222がライトガイド25に対して保持固定される。
なお、ダイクロイックミラー221の保持構造についても、上述したダイクロイックミラー222の保持構造と同様である。
【0044】
〔2−3−3〕反射ミラーの保持構造
図6は、反射ミラーの保持構造を説明するための図である。なお、上述のように、反射ミラー223,232,234の保持構造は、類似した構造であり、ここでは主に、反射ミラー232の保持構造を説明する。
反射ミラー232は、図6に示すように、平面視矩形状であり、一方の端面に高反射性のアルミニウム等が蒸着された反射面を有している。そして、この反射ミラー232を保持する部材としては、上述した第3位置決め部材253Cが用いられる。
【0045】
第3位置決め部材253Cは、紫外線光を透過する合成樹脂(アクリル材)から構成され、板体253C1と、この板体253C1の一方の端面の四隅部分から該端面に直交して突出する円柱状の4つのピン253C2とを備えている。
そして、この第3位置決め部材253Cは、下ライトガイド251の側面に形成された孔251B2を介して、ピン253C2が挿通され、該ピン253C2の先端が反射ミラー232の反射面の裏面に当接する。この際、ピン253C2と反射ミラー232の反射面の裏面との間、およびピン253C2の外周と孔251B2との間には、紫外線硬化型接着剤が充填され、第3位置決め部材253Cを介して紫外線を照射して接着剤を硬化させることで反射ミラー232がライトガイド25に対して保持固定される。
なお、その他の反射ミラー223,234の保持構造についても、上述した反射ミラー232の保持構造と同様である。
【0046】
上述した第1位置決め部材253A、スペーサ253B3、および第3位置決め部材253Cはアクリル材にて構成されていたが、これに限らず、紫外線光を透過する他の合成樹脂で構成してもよく、その他、光学ガラス、水晶、サファイア、石英等にて構成してもよい。
また、レンズの保持構造、ダイクロイックミラーの保持構造、および反射ミラーの保持構造にて用いられる紫外線硬化型接着剤としては、種々のものを採用できるが、アクリレートを主成分とし、粘性が17000Pのものが好ましい。
【0047】
〔2−4〕ヘッド体26の構造
ヘッド体26は、マグネシウム合金で構成され、側面略L字状に形成されている。このヘッド体26は、図2に示すように、投写レンズ3、および光学装置24を一体化する。そして、このヘッド体26は、側面略L字状の垂直面外側に形成されるレンズ支持部261と、側面略L字状の水平面上側に形成される載置面262と、この載置面262上に突設されるフィールドレンズ保持部263とを備えている。
なお、ヘッド体26は、マグネシウム合金に限らず、アルミニウム、マグネシウム、チタン、あるいはこれらを主材料とした合金等の金属によって構成してもよい。
【0048】
レンズ支持部261は、図1または図2に示すように、略矩形状に形成され、その四隅部分に表裏を貫通して投写レンズ3を固定するための図示しない固定用雌ねじ孔が形成されている。そして、このレンズ支持部261は、投写レンズ3の図示しない孔を介して固定用雌ねじ孔にねじ等が螺合することで、投写レンズ3を支持固定する。
載置面262は、図2に示すように、平面視略矩形状に形成されている。この載置面262において、レンズ支持部261近傍であって左右方向略中央部分に、光学装置本体24Aが載置固定される。また、この載置面262において、各液晶パネル241R,241G,241B側には、図示しない冷却ユニットから送風される冷却空気を流通させる4つの切り欠き262Aが形成されている。
【0049】
フィールドレンズ保持部263は、載置面262に形成された切り欠き262Aの角隅部分から上方に向けて立設されたものであり、フィールドレンズ224を保持固定する。
ここで、上述したヘッド体26において、例えば、載置面262には、図示は省略するが、複数の孔が形成され、この孔と下ライトガイド251に形成された図示しないバーリング孔とを介してねじ等により下ライトガイド251に対してヘッド体26が固定される。
なお、入射側偏光板242の固定構造については、具体的な図示を省略したが、フィールドレンズ224の光束射出面に偏光膜を貼付する構成としてもよく、フィールドレンズ保持部263と同様に載置面262から上方に向けて突出する部材を設け、この突設された部材に入射側偏光板242を保持固定する構造を採用してもよい。
【0050】
〔3〕光学装置本体24Aの構造
次に、図7または図8を参照して、光学装置本体24Aの構造について詳説する。
図7は、光学装置本体24Aの概略構成を示す全体斜視図である。
図8は、光学装置本体24Aの構造を示す分解斜視図である。なお、図8では、説明を簡略化するために、B色光用の液晶パネル241B側のみを分解している。R色光用、G色光用の液晶パネル241R,241G側も同様のものとする。
光学装置本体24Aは、図7または図8に示すように、液晶パネル241R,241G,241Bを有する光変調装置240と、3つの光学変換板243と、3つの熱伝導板245と、クロスダイクロイックプリズム244と、台座246と、ピンスペーサ247と、弾性部材248(図9)とを備える。そして、光学装置本体24Aは、図7に示すように、これら光変調装置240、光学変換板243、熱伝導板245、クロスダイクロイックプリズム244、台座246、ピンスペーサ247、および弾性部材248(図9)が一体的にユニット化して構成されている。
【0051】
光変調装置240は、図8に示すように、液晶パネル241B(241R,241G)と、この液晶パネル241Rを保持する保持枠249とを備える。
液晶パネル241B(241R,241G)は、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、対向配置される一対の透明基板内に液晶が密封封入されている。そして、この液晶パネル241B(241R,241G)は、入射側偏光板242(図2)を介して入射する光束を画像情報に応じて変調して射出する。
保持枠249は、液晶パネル241B(241R,241G)を収容する収容部249Aと、この収容部249Aと係合し収納した液晶パネル241B(241R,241G)を押圧固定する支持板249B(図7、液晶パネル241B側参照)とを備える。
【0052】
これら収容部249Aおよび支持板249Bには、液晶パネル241B(241R,241G)のパネル面に対応する位置に開口部249Cが設けられている。そして、液晶パネル241B(241R,241G)は、この開口部249Cで露出し、この部分が画像形成領域となる。すなわち、液晶パネル241B(241R,241G)のこの部分に色光B(R,G)が導入され、画像情報に応じて光学像が形成される。
また、これら収容部249Aおよび支持板249Bには、その四隅部分にピンスペーサ247を挿通可能とする孔249Dが形成されている。
ここで、収容部249Aと支持板249Bとの固定は、図8に示すように、支持板249Bの左右両側に設けたフック249Eと、収容部249Aの対応する箇所に設けたフック係合部249Fとの係合により行う。
この保持枠249は、例えば、インバーおよび42Ni−Fe等の鉄−ニッケル合金、マグネシウム合金、アルミニウム合金、炭素鋼、黄銅、ステンレス等の金属、または、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等のカーボンフィラーを混入させた樹脂(ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、液晶樹脂等)で構成されている。
【0053】
光学変換板243は、光変調装置240から射出された光束の光学特性を変換する。この光学変換板243は、図8に示すように、第1光学変換板243Aと、第2光学変換板243Bとを備える。
第1光学変換板243Aは、入射側偏光板242(図2)と略同様の機能を有し、液晶パネル241B(241R,241G)から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみを透過させ、その他の光束を吸収するものであり、透過させる偏光光の偏光軸は、入射側偏光板242(図2)における透過させる偏光光の偏光軸に対して直交するように設定されている。この第1光学偏光板243Aは、図8に示すように、透明部材としての基板243A1と、偏光軸が所定方向とされた状態で、この基板243A1の光束入射側端面に貼り付けられる光学変換膜としての偏光膜243A2とを備える。
【0054】
基板243A1は、水晶製の矩形の板材である。この基板243A1は、光学軸方向で9.3W/(m・K)の熱伝導率を有し、この光学軸と直交する方向で5.4W/(m・K)の熱伝導率を有する。なお、基板243A1は、水晶の他、サファイアガラス、石英、または蛍石等で構成してもよい。
偏光膜243A2は、矩形状のフィルムであり、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素を吸着・分散させてフィルム状とした後に、このフィルム状のものを一定方向に延伸し、その後、延伸されたフィルムの両面にアセテートセルロース系のフィルムを接着剤で積層することにより構成されている。
そして、この第1光学変換板243Aは、基板243A1の光学軸が所定方向とされた状態で、クロスダイクロイックプリズム244の光束入射側端面に貼り付けられる。なお、この第1光学変換板243Aの貼付方向については、後述の熱伝導板245の説明と同時に説明する。
【0055】
第2光学変換板243Bは、第1光学変換板243Aと同様に、液晶パネル241B(241R,241G)から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみを透過させ、その他の光束を吸収するとともに、液晶パネル241B(241R,241G)から射出された光束の視野角を拡大する。この第2光学変換板243Bは、図8に示すように、透明部材としての基板243B1と、この基板243B1の光束射出側端面に貼り付けられる光学変換膜としての偏光膜243B2と、基板243B1の光束入射側端面に貼り付けられる光学変換膜としての視野角補償膜243B3とを備える。
【0056】
基板243B1は、上述した基板243A1と同様のものである。なお、この基板243B1の貼付方向および貼付位置は、後述の熱伝導板245の説明と同時に説明する。
偏光膜243B2は、上述した偏光膜243A2と同様のものであるが光吸収特性が異なる。また、この偏光膜243B2は、その偏光軸が偏光膜243A2と平行となる状態で基板243B1の光束射出側端面に貼り付けられる。
視野角補償膜243B3は、液晶パネル241R,241G,241Bで生じる複屈折を補償し、液晶パネル241R,241G,241Bで形成された光学像の視野角を補正する。そして、視野角補償膜243B3により、投写画像の視野角が拡大され、かつ投写画像のコントラストが向上する。
【0057】
熱伝導板245は、アルミニウムの平板を板金加工することにより略矩形状に形成されている。そして、この熱伝導板245は、第2光学変換板243Bを支持固定するとともに、第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続し、第1光学変換板243A、および第2光学変換板243Bからの熱を伝導可能とする。この熱伝導板245は、図8に示すように、板状部材245Aと、この板状部材245Aから光束入射側に突出する突出部245Bとを備える。
板状部材245Aにおいて、略中央部分には、切削等により開口245A1が形成されている。この開口245A1の寸法は、第1光学変換板243Aの基板243A1の外形寸法と略同一か若しくは若干大きく形成され、この開口245A1に基板243A1が嵌合可能となっている。
また、板状部材245Aにおいて、上下端部が貼付部245A2となり、この貼付部245A2の光束射出端面が台座246の側面に熱伝達可能に固定される。この貼付部245A2には、上下辺縁略中央部分に開口245A1に向けて熱間挙動差吸収用の切り欠き245A3が形成されている。
【0058】
突出部245Bは、板状部材245Aにおける開口245A1の左右辺縁に位置し、該開口245A1の切り起こしの一部であり、光束入射側に突出するとともに先端部分が内側に曲折し、断面視L字状に形成されている。この突出部245Bの突出寸法は、クロスダイクロイックプリズム244に対して第1光学変換板243Aおよび熱伝導板245が設置された状態で、第1光学変換板243Aが熱伝導板245の開口245A1から突出する寸法と略同一か若しくは若干大きく形成されている。そして、この突出部245Bの断面視L字状の内側端面が第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続し、接続面245B1として機能する。また、突出部245Bにおいて、断面視L字状の光束入射端面に第2光学変換板243Bが支持固定される。
【0059】
ここで、第1光学変換板243Aは、該第1光学変換板243Aの基板243A1の光学軸が熱伝導板245の突出部245B同士が対向する方向、すなわち、左右方向に向くように、クロスダイクロイックプリズム244に貼り付けられる。
また、第2光学変換板243Bは、該第2光学変換板243Bの基板243B1の光学軸が熱伝導板245の突出部245B同士が対向する方向、すなわち、左右方向に向くように、熱伝導板245の突出部245Bに支持固定される。
この際、第1光学変換板243Aにおける偏光膜243A2の偏光軸、および第2光学変換板243Bにおける偏光膜243B2の偏光軸とは平行する状態となる。また、これら偏光膜243A2および偏光膜243B2の偏光軸は、入射側偏光板242における偏光膜の偏光軸と直交する状態となる。
【0060】
クロスダイクロイックプリズム244は、第2光学変換板243から射出され、色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する。このクロスダイクロイックプリズム244には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。
台座246は、クロスダイクロイックプリズム244の上下面(光束入射端面と直交する一対の端面)に固定される。この台座246は、図8に示すように、クロスダイクロイックプリズム244の上面に固定される上台座246Aと、クロスダイクロイックプリズム244の下面に固定される下台座246Bとを備える。
【0061】
上台座246Aは、略直方体状に形成され、外周形状はクロスダイクロイックプリズム244よりも若干小さく、側面がクロスダイクロイックプリズム244の側面よりも内側に離間して配置される。
下台座246Bは、クロスダイクロイックプリズム244の下面を支持固定するプリズム固定板246B1と、プリズム固定板246B1と接続し、光学装置本体24A全体を支持固定する支持体246B2とを備える。
プリズム固定板246B1は、略直方体状に形成され、その上面には球面状の膨出部246B3が形成されている。そして、クロスダイクロイックプリズム244とプリズム固定板246B1とは、接着剤等により固定される。この膨出部246B3により、クロスダイクロイックプリズム244の下面とプリズム固定板246B1とは点で接触することとなる。したがって、クロスダイクロイックプリズム244の4つの直角プリズムの切断精度が悪い状態であっても、クロスダイクロイックプリズム244を三次元的に位置調整することができ、クロスダイクロイックプリズム244をプリズム固定板246B1に適切に固定できる。
また、プリズム固定板246B1の下面には、図示は省略するが、位置決め突起を有する位置決め部が形成され、この位置決め部によりヘッド体26(図1、図2)の所定位置に位置付けられる。
【0062】
支持体246B2は、略矩形状の板体であり、その外形寸法は、クロスダイクロイックプリズム244の外形寸法よりも大きく形成されている。また、この支持体246B2は、図示は省略するが、略中央部分にプリズム固定板246B1を設置するための開口を有している。そして、この開口には、プリズム固定板246B1を所定位置に設置するための位置決め部を有し、プリズム固定部246B1は、支持体246B2の所定位置に設置される。この際、プリズム固定板246B1の下面が支持体246B2の開口から露出する。
この支持体246B2において、その四隅部分には、外側に拡がるように延出する延出部246B4が形成されている。また、この延出部246B4の上面には、光学装置本体24Aが組み立てられた状態で、光変調装置240の保持枠249の左右端縁に沿って延び、該保持枠249と熱伝達可能に接続する導熱部246B5が形成されている。
なお、プリズム固定板246B1と支持体246B2とを別体とせずに、一体的に構成してもよい。また、支持体246B2とヘッド体26(図1、図2)とを別体とせずに、一体的に形成する構成を採用してもよい。
【0063】
これら上台座246Aおよび下台座246Bは、マグネシウム合金で構成されている。ただし、これら上台座246Aおよび下台座246Bの材料は、マグネシウム合金に限られない。例えば、軽量で熱伝導性が良好な、Al,Mg,Tiやこれらの合金、インバーおよび42Ni−Fe等の鉄−ニッケル合金、炭素鋼、黄銅、ステンレス等の金属、または、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等のカーボンフィラーを混入させた樹脂(ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、液晶樹脂等)を用いてもよい。
【0064】
ピンスペーサ247は、図8に示すように、略円柱形状を有し、紫外線光を透過する合成樹脂(アクリル材)から構成されている。このピンスペーサ247は、光変調装置240における保持枠249の孔249Dに挿通され、一端が熱伝導板245の光束入射端面に固定されることで、光変調装置240を熱伝導板245に支持固定する。
なお、このピンスペーサ247は、アクリル材に限らず、紫外線光を透過する他の合成樹脂で構成してもよく、その他、光学ガラス、水晶、サファイア、石英、または蛍石等にて構成してもよい。また、紫外線光を透過する材料に限らず、金属等の熱伝導率の高い部材をピンスペーサ247として採用してもよい。さらに、ピンスペーサ247の数は、4つに限らず、2つ以上あればよい。この場合、光変調装置240における保持枠249の孔249Dの数もピンスペーサ247の数に対応するように形成すればよい。
【0065】
図9は、光学装置本体24Aにおける弾性部材248の配置状態を示す図である。具体的に、図9は、光学装置本体24Aにおける液晶パネル241B側を上方から見た平面図を示している。
弾性部材248は、熱伝導性が良好でありかつ、弾性を有するゴム部材で形成され、各部材間に介装される。そして、この弾性部材248は、各部材間を熱伝達可能に接続する。この弾性部材248としては、例えば、アルミニウム、銀、またはカーボン等の金属粉を混入したゴム部材等を採用できる。この弾性部材248は、図9に示すように、第1弾性部材248Aと、第2弾性部材248Bと、第3弾性部材248Cとを備える。
【0066】
第1弾性部材248Aは、熱伝導板245の2つの貼付部245A2と、上台座246Aの側面および下台座246Bにおけるプリズム固定板246B1の側面との間に介装され、熱伝導板245および台座246を熱伝達可能に接続する。
第2弾性部材248Bは、熱伝導板245における突出部245Bの接続面245B1と第1光学変換板243Aの基板243A1との間に介装され、第1光学変換板243Aおよび熱伝導板245を熱伝達可能に接続する。
第3弾性部材248Cは、下台座246Bにおける支持体246B2の導熱部246B5と光変調装置240における保持枠249の左右側面とを接続するように配置され、光変調装置240および下台座246Bを熱伝達可能に接続する。
【0067】
上述したクロスダイクロイックプリズム244に対して、第1光学変換板243A、上台座246A、および熱伝導板245を位置決め固定する際には、以下に述べる部材設置治具100が用いられる。
【0068】
〔4〕部材設置治具100の構造
部材設置治具100は、クロスダイクロイックプリズム244に対する所定位置に、第1光学変換板243A、上台座246A、および熱伝導板245をそれぞれ位置決めする3つの治具から構成される。以下では、これら3つの治具を順次、説明する。
【0069】
〔4−1〕第1部材設置治具300の構造
先ず、図10を参照して、クロスダイクロイックプリズム244に対する所定位置に第1光学変換板243Aを位置決めする第1光学変換板設置治具としての第1部材設置治具300を説明する。
図10は、第1部材設置治具300の構造を示す斜視図である。
第1部材設置治具300は、図10に示すように、基台310と、この基台310に対する所定位置に設置可能とされる3つの位置決めプレート320とを備える。
【0070】
図11は、基台310の構造を示す分解斜視図である。
基台310は、クロスダイクロイックプリズム244およびプリズム固定板246B1が一体化されたユニットAを所定位置に載置固定するとともに、3つの位置決めプレート320(図10)を所定位置に設置する。この基台310は、図11に示すように、載置部311と、第1プレート支持部312と、第2プレート支持部313とを備える。
載置部311は、対向する一対の端面における幅方向略中央部分に凹部311Aを有し、平面視略H字状に形成されている。
この載置部311において、上面には、プリズム固定板246B1の下面に形成された図示しない位置決め突起に対応して位置決め孔311Bが形成されている。そして、この上面にてユニットAが載置固定される。
【0071】
また、この載置部311において、凹部311Aの形成されていない面一の端面には、第1プレート支持部312および第2プレート支持部313が接続する。そして、これら端面には、第1プレート支持部312および第2プレート支持部313を固定するための2つの孔311Cがそれぞれ形成されている。また、第2プレート支持部313が固定される端面には、第2プレート支持部313とともに、3つの位置決めプレート320のうちのG色光用の第1光学変換板243Aを位置決めする位置決めプレート320の下方側端部が接続する。そして、この端面には、第2プレート支持部313を固定するための図示しない2つの孔の他、位置決めプレート320を固定するための図示しない孔が形成されている。
【0072】
さらに、この載置部311において、2つの凹部311Aには、R,B色光用の第1光学変換板243Aをそれぞれ位置決めする位置決めプレート320の下方側端部が嵌合する。そして、2つの凹部311Aの底部には、R,B色光用の第1光学変換板243Aをそれぞれ位置決めする位置決めプレート320を固定するための孔311Dが形成されている。
上述したように、載置部311において、第2プレート支持部313が固定される端面、および2つの凹部311Aは、3つの位置決めプレート320と当接し、位置決めプレート320を基台310に対する所定位置に設置させる外形位置基準面として機能する。
【0073】
第1プレート支持部312は、矩形状の板体から構成されている。
この第1プレート支持部312には、表裏面を貫通してねじ314を挿通可能とする孔312Aが形成されている。そして、この孔312Aを介して載置部311の孔311Cにねじ314を螺合させることで第1プレート支持部312が載置部311の所定位置に固定される。
また、この第1プレート支持部312において、載置部311と当接する端面の上方側角隅部分には、該端面から突出し、R,B色光用の第1光学変換板243Aをそれぞれ位置決めする位置決めプレート320の端縁と当接する当接部312Bが形成されている。この当接部312Bは、位置決めプレート320と当接することで、位置決めプレート320を基台310に対する所定位置に設置させる外形位置基準面として機能する。
【0074】
第2プレート支持部313は、平面視略コ字状に形成され、コ字状の基端部分が載置部311に接続し、コ字状内側にてG色光用の第1光学変換板243Aを位置決めする位置決めプレート320を支持する。
この第2プレート支持部313において、コ字状内側は、略段付状の形状を有し、下方側の幅寸法が上方側の幅寸法よりも小さくなるように形成されている。この下方側の幅寸法は、載置部311の凹部311Aの幅寸法と略同一に形成されている。
また、この第2プレート支持部313において、コ字状の基端部分には、表裏面を貫通してねじ314を挿通可能とする孔313Aが形成されている。そして、この孔313Aを介して載置部311の図示しない孔にねじ314を螺合させることで第2プレート支持部313が載置部311の所定位置に固定される。なお、この状態では、図示は省略するが、第2プレート支持部313におけるコ字状内側を介して載置部311に形成された位置決めプレート320を固定するための図示しない孔が露出する。
さらに、この第2プレート支持部313において、コ字状端縁の先端部分には、該先端部分から突出し、3つの位置決めプレート320の端縁と当接する当接部313Bが形成されている。この当接部313Bは、上述した第1プレート支持部312の当接部312Bと同様に、位置決めプレート320と当接することで、位置決めプレート320を基台310に対する所定位置に設置させる外形位置基準面として機能する。
【0075】
図12、図13は、位置決めプレート320の構造を示す図である。
位置決めプレート320は、R,G,B色光用の3つの第1光学変換板243Aを保持するとともに、保持した状態で基台310の所定位置に設置されることで、第1光学変換板243Aを基台310に設置されたクロスダイクロイックプリズム244の所定位置に位置決めする。この位置決めプレート320は、図12または図13に示すように、プレート本体321と、押えばね322と、固定ねじ323とを備える。
プレート本体321は、板状部材で構成され、上述した基台310における載置部311の凹部311A、および第2プレート支持部313のコ字状内側の下方部分に対応するように、下方端部の幅方向略中央部分が下方側に突出する形状を有している。
【0076】
このプレート本体321において、一方の端面(裏面)には、図12に示すように、該端面から突出し、第1光学変換板243Aを保持する平面視コ字状の収納部321Aが形成されている。
この収納部321Aにおけるコ字状内側端面は、第1光学変換板243Aにおける基板243A1の左右側端面および下方側端面と当接し、第1光学変換板243Aをプレート本体321の所定位置に位置決めする。すなわち、収納部321Aにおける左右側端面および下方側端面が第1光学変換板243Aの外形位置基準面として機能する。
また、この収納部321Aの突出方向の寸法は、第1光学変換板243Aにおける基板243A1の厚み寸法よりも小さく形成されている。このため、収納部321Aに第1光学変換板243Aが収納された状態では、図13に示すように、収納部321Aの先端よりも第1光学変換板243Aの光束射出端面が突出する。
さらに、この収納部321Aには、図12または図13に示すように、第1光学変換板243Aにおける基板243A1の光束入射側端面と当接する段付部321Aを有し、第1光学変換板243Aが該収納部321Aに収納された状態では、該収納部321Aと第1光学変換板243Aにおける偏光膜243A2との間に所定の隙間が形成される。
【0077】
また、このプレート本体321において、他方の端面(表面)には、図13に示すように、内側に窪み、押えばね322を設置する凹部321Bが形成されている。この凹部321Bの底部には、表裏面を貫通して、押えばね322の一部を収納部321A側に挿通可能とする孔321Cと、押えばね322を凹部321Bに固定する固定ねじ323と螺合する孔321Dとが形成されている。
さらに、このプレート本体321において、下方側端部には、表裏面を貫通して、位置決めプレート320を載置部311に固定するねじ324(図10)を挿通可能とする孔321Eが形成されている。そして、この孔321Eを介してねじ324を載置部311の孔311D(図11)に螺合させることで位置決めプレート320が基台310に固定される。
【0078】
押えばね322は、薄い板状部材から構成されている。この押えばね322は、図12または図13に示すように、該板状部材の一部が例えば切り起こし等に形成され、板状部材の端面から突出する付勢部322Aと、付勢部322Aの上方に位置し、該押えばね322をプレート本体321の凹部321Bに固定する固定ねじ323を挿通可能とする孔322Bとを有している。
このうち、付勢部322Aは、下方側から上方側に向けて折り曲げることにより形成され、図13に示すように、凹部321Bに形成された孔321Cに挿通される。そして、この付勢部322Aは、第1光学変換板243Aが収納部321Aに収納され、押えばね322が凹部321Bに設置された状態では、第1光学変換板243Aの上方側端面を下方側に付勢する。すなわち、この押えばね322により、第1光学変換板243Aを収納部321Aの外形位置基準面に確実に当接させる。
【0079】
〔4−2〕第2部材設置治具400の構造
次に、図14を参照して、クロスダイクロイックプリズム244に対する所定位置に上台座246Aを位置決めする第2部材設置治具400を説明する。
図14は、第2部材設置治具400の構造を示す側面図である。
第2部材設置治具400は、図14に示すように、基台410と、支持部420と、トグル機構430と、上台座押圧部440とを備える。
基台410は、ユニットAおよび第1光学変換板243Aが一体化されたユニットBを所定位置に載置固定する。この基台410は、図14に示すように、載置部411と、この載置部411から立設する側面部412と、この側面部412に固定され、上台座246AをユニットBに対する所定位置に位置決めする位置決め部413とを備える。
このうち、載置部411の上面は、上述した第1部材設置治具300における載置部311と同様に、位置決め孔411Aを有し、ユニットBを載置固定する。
また、位置決め部413は、側面部412の上面に固定され、平面視略L字状の形状を有している。そして、このL字状内側面が上台座246Aと当接することで、上台座246AがユニットBに対する所定位置に位置決めされる。
【0080】
支持部420は、側面視略L字状に形成され、一方の端面が基台410の側面部412に固定され、トグル機構430および上台座押圧部440を支持する。
この支持部420において、他方の端面には、軸受け部421と、支持案内部422とが形成されている。
軸受け部421は、支持部420における他方の端面から突出し、トグル機構430を回動自在に軸支する。
支持案内部422は、上台座押圧部440を摺動自在に支持するとともに、上台座押圧部440の摺動方向を案内する。この支持案内部422は、側面視略L字状に形成され、一方の端面が支持部420に固定される。また、他方の端面には、上台座押圧部440を挿通可能とする孔422Aが形成されている。
【0081】
トグル機構430は、上台座押圧部440を支持部420における支持案内部422に対して摺動させる。このトグル機構430は、図13に示すように、ハンドル431と、ジョイント432とを備える。
ハンドル431は、支持部420の軸受け部421を中心として回動することで、ジョイント432を介して上台座押圧部440を摺動させる。このハンドル431は、一端が支持部420の軸受け部421に軸支される回動部431Aと、この回動部431Aの近傍に位置し、ジョイント432の一端と回動自在に接続する接続部431Bと、作業者により把持可能に構成される把持部431Cとを備える。
【0082】
ジョイント432は、ハンドル431の動きに連動し、ハンドル431に与えられる力を上台座押圧部440に伝達する。このジョイント432は、平面視L字状に形成され、一端がハンドル431の接続部431Bに回動自在に軸支されるとともに、他端が上台座押圧部440と回動自在に接続する。
上台座押圧部440は、略柱状に形成され、一端がジョイント432と接続する。そして、この上台座押圧部440は、ハンドル431の動きによりジョイント432を介して摺動し、他端にてユニットBに対する所定位置に設置された上台座246Aの上面を下方に押圧可能となっている。
【0083】
〔4−3〕第3部材設置治具500の構造
次に、図15または図16を参照して、クロスダイクロイックプリズム244に対する所定位置に熱伝導板245を位置決めする熱伝導板設置治具としての第3部材設置治具500を説明する。
図15、図16は、第3部材設置治具500の構造を示す図である。具体的に、図15は、第3部材設置治具500の側面を示す図であり、図16は、基台510に対する3つの位置決めプレート550の設置状態を示す断面図である。
第3部材設置治具500は、図15に示すように、基台510と、支持部520と、トグル機構530と、上台座押圧部540と、3つの位置決めプレート550とを備える。
【0084】
基台510は、ユニットBおよび上台座246Aが一体化されたユニットCを所定位置に載置固定するとともに、3つの位置決めプレート550を所定位置に設置する。この基台510は、図15に示すように、略矩形形状を有する載置部511と、この載置部511における4つの側面のうちの一方の側面から立設する側面部512と、この側面部512に固定される上面部513とを備える。
このうち、載置部511において、側面部512が固定される側面以外の3つの側面には、凹部511Aが形成されている。この凹部511Aには、3つの位置決めプレート550の下方側端部が嵌合する。そして、この凹部511Aは、位置決めプレート550の下方側端部と当接し、位置決めプレート550を基台510に対する所定位置に設置させる外形位置基準面として機能する。また、この凹部511Aの底部には、3つの位置決めプレート550を基台510に固定するための図示しない孔が形成されている。さらに、載置部511の上面には、上述した第1部材設置治具300における載置部311と同様に、図示しない位置決め孔が形成され、該上面にてユニットCを載置固定する。
【0085】
また、上面部513は、略矩形状の板体で構成されている。そして、上面部513における3方の側面は、3つの位置決めプレート550と当接し、位置決めプレート550を基台510に対する所定位置に設置させる外形位置基準面として機能する。また、この上面部513の3方の側面には、3つの位置決めプレート550を基台510に固定するための図示しない孔が形成されている。さらに、この上面部513には、表裏を貫通して、上台座押圧部540の一部を挿通可能とする孔513Aが形成されている。
なお、支持部520、トグル機構530、および上台座押圧部540は、上述した第2部材設置治具400における支持部420、トグル機構430、および上台座押圧部440と同様の構造であり、同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0086】
位置決めプレート550は、R,G,B色光用の3つの第2光学変換板243Bが貼り付けられた3つの熱伝導板245を保持するとともに、保持した状態で基台510の所定位置に設置されることで、第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245を基台510に設置されたユニットCの所定位置に位置決めする。この位置決めプレート550は、図15または図16に示すように、プレート本体551と、押圧部552とを備える。
プレート本体551は、略矩形状の板状部材で構成され、図15に示すように、下方端部の幅方向略中央部分が上述した基台510における載置部511の凹部511Aに対応するように、下方側に突出する形状を有し、第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245を保持する。
【0087】
このプレート本体551において、一方の端面(裏面)には、図15または図16に示すように、内側に窪み、第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245のうち、第2光学変換板243Bが貼り付けられた突出部245Bを収納支持する収納部551Aが形成されている。
この収納部551Aは、熱伝導板245における突出部245Bの外周寸法と略同一の寸法を有し、平面視略矩形状に形成されている。この収納部551Aには、上下の端面に沿って段付部551A1(図15)が形成され、この段付部551A1に突出部245Bの上下端部における光束入射側端面が当接する。すなわち、収納部551Aにおける上下左右の端面および段付部551A1が第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245の外形位置基準面として機能する。なお、図示は省略するが、この段付部551A1により、第2光学変換板243Bが貼り付けられた熱伝導板245が収納部551Aに収納された状態では、第2光学変換板243Aにおける視野角補償膜243B3と収納部551Aとの間に所定の隙間が形成される。
【0088】
また、このプレート本体551において、他方の端面(表面)には、図15または図16に示すように、内側に窪み、押圧部552を設置する凹部551Bが形成されている。
この凹部551Bは、収納部551Aの裏側に位置し、収納部551Aに収納される突出部245Bに貼り付けられた第2光学変換板243Bの外周寸法と略同一に形成されている。この凹部551Bにおいて、四隅部分には、収納部551Aに向けて貫通し、押圧部552の後述する押圧ピン552Cを挿通可能とする孔551B1(図16)が形成されている。また、この凹部551Bにおいて、幅方向略中央部分には、上下に並列し、押圧部552の後述する押圧ねじ552Bと螺合可能とする2つのねじ孔551B2が形成されている。
【0089】
さらに、このプレート本体551において、上方側端部および下方側端部には、表裏面を貫通して位置決めプレート550を基台510における上面部513および載置部511に固定する図示しないねじを挿通可能とする図示しない孔が形成されている。そして、この孔を介してねじ560(図15)を上面部513の側面に形成された図示しない孔および載置部511の側面に形成された図示しない孔に螺合させることで位置決めプレート550が基台510に固定される。
【0090】
押圧部552は、プレート本体551の収納部551Aに収納された第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245を基台510に設置されたユニットC側に押圧する。この押圧部552は、図15または図16に示すように、押圧板552Aと、2つの押圧ねじ552Bと、4つの押圧ピン552C(図16)とを備える。
押圧板552Aは、略矩形状の板体で構成され、凹部551Bの外周寸法と略同一に形成されている。この押圧板552Aの幅方向略中央部分には、上下に並列し、押圧ねじ552Bを挿通可能とする2つの孔552A1が形成されている。
【0091】
押圧ねじ552Bは、押圧板552Aの孔552A1に遊嵌配置され、プレート本体551の凹部551Bに形成されたねじ孔551B2と螺合する。そして、押圧ねじ552Bの螺合状態を変更することで、押圧板552Aを凹部551Bの厚み方向に進退移動させる。
押圧ピン552Cは、略柱状に形成され、一端が押圧板552Aにおけるプレート本体551に対向する端面の四隅部分に固定されている。そして、押圧ねじ552Bの螺合状態の変更による押圧板552Aの進退移動により、押圧ピン552Cの他端がプレート本体551の収納部551Aに収納された第2光学変換板243Bの基板243B1の四隅部分を押圧可能に構成されている。
【0092】
〔5〕光学装置本体24Aの製造方法
次に、図17を参照して、光学装置本体24Aの製造方法を説明する。なお、説明にあたり適宜、図7ないし図16を参照する。
図17は、光学装置本体24Aの製造方法を説明するためのフローチャートである。
先ず、下台座246Bにおけるプリズム固定板246B1にクロスダイクロイックプリズム244を固定してユニットAを組み立てる(処理S1:台座固定工程)。このユニットAの組み立ては、図18に示すフローチャートにしたがって実施される。
具体的に、プリズム固定板246B1を所定位置に設置し、プリズム固定板246B1の膨出部246B3に紫外線硬化型接着剤を塗布する(処理S11)。
処理S11の後、図示しないプリズム位置調整用治具を用いて、接着剤が塗布された膨出部246B3上にクロスダイクロイックプリズム244を設置する(処理S12)。
【0093】
処理S12の後、図示しないプリズム位置調整用治具を用いて、クロスダイクロイックプリズム244の位置調整を実施する(処理S13)。例えば、白色レーザ光をクロスダイクロイックプリズム244の三方の光束入射端面に照射し、光束射出端面から射出される光束に基づいてプリズム固定板246B1に対してクロスダイクロイックプリズム244を位置調整してもよい。また、例えば、クロスダイクロイックプリズム244の上面を撮像し、この撮像されたクロスダイクロイックプリズム244の上面の画像に基づいてクロスダイクロイックプリズム244をプリズム固定板246B1に対して位置調整してもよい。
【0094】
処理S13において、プリズム固定板246B1に対するクロスダイクロイックプリズム244の位置調整を実施した後、クロスダイクロイックプリズム244の下面とプリズム固定板246B1の膨出部B3との間に充填された紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射して硬化させる(処理S14)。
以上のような工程にて、ユニットAが組み立てられる。
【0095】
次に、処理S1において組み立てられたユニットAに対して、第1光学変換板243Aを位置決め固定し、ユニットBを組み立てる(処理S2:第1光学変換板固定工程)。このユニットBの組み立ては、図19に示すフローチャートにしたがって実施される。
具体的に、図11に示すように、ユニットAにおけるプリズム固定板246B1の下面に形成された図示しない位置決め突起を第1部材設置治具300における基台310の載置部311に形成された位置決め孔311Bに嵌合させ、ユニットAを基台310の所定位置に設置する(処理S21:色合成光学装置固定手順)。
【0096】
処理S21の後、図12または図13に示すように、押えばね322をプレート本体321の凹部321Bに設置し、押えばね322の付勢部322Aをたわませて開いた状態で、基板243A1の光束射出端面の所定位置に偏光膜243A2が貼り付けられた3つの第1光学変換板243Aを、3つの位置決めプレート320におけるプレート本体321の収納部321Aにそれぞれ収納する(処理S22:第1光学変換板保持手順)。そして、ねじ323により、押えばね322をプレート本体321の凹部321Bに固定する。この状態では、押えばね322の付勢部322Aにより第1光学変換板243Aの上方側端面が下方側に付勢され、第1光学変換板243Aの外周端面が収納部321Aの外形位置基準面に当接する。
処理S22の後、基台310上に設置されたユニットAにおけるクロスダイクロイックプリズム244の光束入射端面略中央部分に紫外線硬化型接着剤を塗布する(処理S23)。
【0097】
処理S22において第1光学変換板243Aがプレート本体321における収納部321Aの所定位置に収納保持された3つの位置決めプレート320を基台310に設置する(処理S24:プレート設置手順)。
具体的に、図10に示すように、プレート本体321の下方側端部が、基台310における2つの凹部311Aおよび第2プレート支持部313のC字状内側における下方側端部にそれぞれ嵌合するように基台310に設置する。そして、ねじ324をプレート本体321の孔321Eを介して載置部311の孔311Dに螺合させて位置決めプレート320を基台310に固定する。
この状態では、3つの位置決めプレート320は、載置部311の側面、第1プレート支持部312の当接部312B、および第2プレート支持部313の当接部313Bと当接し、基台310に対する所定位置に設置されている。すなわち、位置決めプレート320に収納保持された第1光学変換板243Aは、ユニットAに対する所定位置に位置決めされた状態である。
【0098】
処理S21〜S24の工程によりユニットAおよび第1光学変換板243Aを保持した第1部材設置治具300をUV(Ultra Violet)硬化炉にいれ、ユニットAにおけるクロスダイクロイックプリズム244と第1光学変換板243Aにおける基板243A1との間に介在する紫外線硬化型接着剤を硬化させる(処理S25:第1光学変換板位置固定手順)。
以上のような工程にて、ユニットBが組み立てられる。
【0099】
次に、処理S2において組み立てられたユニットBに対して、上台座246Aを位置決め固定し、ユニットCを組み立てる(処理S3)。このユニットCの組み立ては、図20に示すフローチャートにしたがって実施される。
具体的に、図14に示すように、ユニットBにおけるプリズム固定板246B1の下面に形成された図示しない位置決め突起を第2部材設置治具400における基台410の載置部411に形成された位置決め孔411Aに嵌合させ、ユニットBを基台410の所定位置に設置する(処理S31)。
処理S31の後、ユニットBにおけるクロスダイクロイックプリズム244の上面に嫌気性接着剤を塗布する(処理S32)。
【0100】
処理S32の後、図14に示すように、上台座246Aの側面を基台410における位置決め部413のL字状内側面に当接するように、ユニットBにおけるクロスダイクロイックプリズム244の上面に上台座246Aを設置する(処理S33)。この状態では、位置決め部413により、ユニットBに対する所定位置に上台座246Aが位置決めされる。
処理S33の後、図14に示すように、第2部材設置治具400のトグル機構430を操作し、上台座押圧部440を下方に移動させ、該上台座押圧部440により上台座246AをユニットBに対して押圧して固定する(処理S34)。
処理S31〜S34の工程によりユニットBおよび上台座246Aを保持した第2部材設置治具400を乾燥機内に放置し(例えば、65℃の雰囲気内に15分)、上台座246Aとクロスダイクロイックプリズム244との間に介在する嫌気性接着剤を硬化させる(処理S35)。
以上のような工程にて、ユニットCが組み立てられる。
【0101】
次に、処理S3において組み立てられたユニットCに対して、第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245を位置決め固定し、ユニットDを組み立てる(処理S4:熱伝導板固定工程)。このユニットDの組み立ては、図21に示すフローチャートにしたがって実施される。
具体的に、図15に示すように、ユニットCにおけるプリズム固定板246B1の下面に形成された図示しない位置決め突起を第3部材設置治具500における基台510の載置部511に形成された図示しない位置決め孔に嵌合させ、ユニットCを基台510の所定位置に設置する(処理S41:色合成光学装置固定手順)。
【0102】
処理S41の後、図15に示すように、第3部材設置治具500のトグル機構530を操作し、上台座押圧部540を下方に移動させ、該上台座押圧部540によりユニットCを基台510の載置部511に対して押圧して固定する(処理S42)。
処理S42の後、3つの第2光学変換板243Bにおける熱伝導板245との接合部の両面テープ貼り付け保護紙を剥離した状態で、これら第2光学変換板243Bを位置決めプレート550の所定位置に設置する(処理S43)。
処理S43の後、熱伝導板245を第3部材設置治具500の3つの位置決めプレート550にそれぞれ設置する。このとき、第2光学変換板243Bと熱伝導板245とが両面テープにより接合される(処理S44:熱伝導板保持手順)。この状態では、収納部551Aにおける上下左右の端面および段付部551A1が熱伝導板245の突出部245Bと当接し、熱伝導板245が位置決めプレート550の所定位置に設置される。
【0103】
処理S44において位置決めプレート550に設置された熱伝導板245の貼付部245A2の光束射出側端面、および突出部245Bの接続面245B1に嫌気性接着剤を塗布する(処理S45)。
処理S45の後、弾性部材248をユニットCの所定位置に貼り付ける(処理S46)。
具体的に、第1弾性部材248AをユニットCにおける上台座246Aの3つの側面およびプリズム固定板246B1の3つの側面に貼り付ける。また、第2弾性部材248BをユニットCにおける第1光学変換板243Aの光束入射側端面の4つの角部分に貼り付ける。
【0104】
処理S44において第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245を収納保持した位置決めプレート550を基台510に設置する(処理S47:プレート設置手順)。
具体的に、図15に示すように、プレート本体551の下方側端部が、基台510における載置部511の3つの凹部511Aにそれぞれ嵌合するように基台510に設置する。そして、ねじ560をプレート本体551の図示しない孔を介して基台510における上面部513の側面に形成された図示しない孔、および載置部511の側面に形成された図示しない孔に螺合させて位置決めプレート550を基台510に固定する。
この状態では、3つの位置決めプレート550は、下方側端部が載置部511の3つの凹部511Aと当接した状態であり、基台510に対する所定位置に設置された状態となる。すなわち、位置決めプレート550に収納保持された第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245は、ユニットCに対する所定位置に位置決めされた状態である。
【0105】
処理S47において基台510に位置決めプレート550を設置した後、図15または図16に示すように、位置決めプレート550の押圧部552を操作し、該押圧部552の押圧ピン552Cにより位置決めプレート550の収納部551Aに収納された第2光学変換板243Bの基板243B1の四隅部分をユニットCに対して押圧する(処理S48:弾性部材押圧手順)。この押圧により、図15に示すように、熱伝導板245もユニットCに対して押圧され、熱伝導板245の貼付部245A2と、ユニットCにおける上台座246Aおよびプリズム固定板246B1の間に介在する第1弾性部材248Aが圧縮される。また、図16に示すように、熱伝導板245の接続面245B1とユニットCにおける第1光学変換板243Aとの間に介在する第2弾性部材248Bも圧縮される。そして、圧縮された第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bは、各部材に密着する。
【0106】
処理S41〜S48の工程によりユニットC、および第2光学変換板243Bが貼り付けられた熱伝導板245を保持した第3部材設置治具500を乾燥機内に放置し(例えば、65℃の雰囲気内に15分)、熱伝導板245の貼付部245A2、および、熱伝導板245の接続面245B1と、第1光学変換板243Aとの間に介在する嫌気性接着剤を硬化させる(処理S49:熱伝導板位置固定手順)。
以上のような工程にて、ユニットDが組み立てられる。
【0107】
次に、ピンスペーサ247の外周に紫外線硬化型接着剤を塗布する(処理S5)。
処理S5において接着剤が塗布されたピンスペーサ247を光変調装置240における保持枠249の孔249Dに挿通し、一端をユニットDにおける熱伝導板245の貼付部245A2の光束入射端面に装着して光変調装置240をユニットDに設置する(処理S6)。
処理S6の後、ピンスペーサ247と熱伝導板245との間、およびピンスペーサ247と光変調装置240における保持枠249の孔249Dとの間の紫外線硬化型接着剤が未硬化な状態で、光変調装置240(液晶パネル241R,241G,241B)の位置調整を実施する(処理S7)。
処理S7において、光変調装置240の位置調整を実施した後に、紫外線硬化型接着剤を硬化させて固定する(処理S8)。
すなわち、処理S6〜S8の工程が、本発明に係る光変調装置固定工程に相当する。
【0108】
なお、処理S7およびS8における光変調装置240(液晶パネル241R,241G,241B)の位置調整および位置固定は、例えば、以下のように実施する。
先ず、投写レンズ3(図1、図2)と正対する光変調装置240(液晶パネル241G)について、ピンスペーサ247と光変調装置240における保持枠249の孔249Dとの接合部、すなわち、ピンスペーサ247に対して光変調装置240を摺動させることによって、フォーカス調整を実施し、熱伝導板245の貼付部245A2の光束入射端面とピンスペーサ247との接合面を摺動面としてアライメント調整を実施する。ここで、フォーカス調整とは、Z軸方向と、X軸を中心とした回転方向(Xθ方向)と、Y軸を中心とした回転方向(Yθ方向)の調整を意味する。アライメント調整とは、投写レンズ3の光軸方向をZ方向、これに直交する2軸をX,Y軸とした場合、X軸方向と、Y軸方向と、XY平面内の回転方向(θ方向)の調整を意味する。
【0109】
そして、所定の位置に光変調装置240(液晶パネル241G)を調整した後、光束入射側から保持枠249の孔249Dに向けて紫外線を照射する。そして、照射された紫外線は、ピンスペーサ247内を通過し、ピンスペーサ247と熱伝導板245の貼付部245A2の光束入射端面との間に介在する紫外線硬化型接着剤、およびピンスペーサ247と保持枠249の孔249Dとの間に介在する紫外線硬化型接着剤を硬化する。
次に、位置調整と固定が完了した光変調装置240(液晶パネル241G)を基準として、上記と同様に、その他の光変調装置240(液晶パネル241R,241B)の位置調整および固定を実施する。
【0110】
処理S1〜S8の工程により組み立てられたユニットにおけるプリズム固定板246B1に支持体246B2を設置する(処理S9)。この際、支持体246B2の導熱部246B5と光変調装置240における保持枠249の左右端縁との間に、第3弾性部材248Cが介在するように支持体246B2をプリズム固定板246B1に設置する。
以上のような工程により光学装置本体24Aが製造される。
【0111】
〔6〕実施形態の効果
(1)光学装置24は、熱伝導板245を備え、この熱伝導板245は、クロスダイクロイックプリズム244の光束入射端面に貼り付けられた第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続する。また、この熱伝導板245は、貼付部245A2の光束射出側端面により台座246の側面に熱伝達可能に接続する。このことにより、光源装置211からの光束の照射により偏光膜243A2に発生した熱を基板243A1〜クロスダイクロイックプリズム244〜台座246の熱伝達経路の他、基板243A1〜熱伝導板245〜台座246の熱伝達経路を辿って放熱できる。
【0112】
(2)第1光学変換板243Aは、クロスダイクロイックプリズム244の光束入射端面に貼り付けられた状態で十分に放熱可能となるので、基板243A1のサイズを大きくして台座246と接続させる必要がない。したがって、基板243A1のサイズの増加による光学装置24のコスト増加を回避できる。
(3)光学装置24は、台座246を構成する下台座246Bの支持体246B2を介してマグネシウム合金から構成されるヘッド体26に載置固定される。また、ヘッド体26は、アルミニウムから構成されるライトガイド25に固定される。このことにより、基板243A1〜熱伝導板245〜台座246の熱伝達経路を辿った熱は、さらにヘッド体26〜ライトガイド25に伝達される。したがって、光学装置24に熱が篭ることがなく、光学装置24の放熱特性を向上できる。
【0113】
(4)熱伝導板245は、断面視L字形状を有する突出部245Bを備え、この突出部245Bは、板状部材245Aに形成された開口245A1の左右辺縁に位置する。そして、この突出部245Bは、断面視L字形状の内側面である接続面245B1にて第1光学変換板243における光束入射側端面の左右端部と熱伝達可能に接続する。このことにより、熱伝導板245と第1光学変換板243Aとの接続する面積を確実に確保でき、第1光学変換板243Aにおける偏光膜243A2の放熱特性をさらに向上できる。
【0114】
(5)突出部245Bは、断面視L字形状の光束入射側端面にて第2光学変換板243Bを支持固定するので、第2光学変換板243Bを支持固定する支持板を別途設ける必要がなく、光学装置24の小型化を図れる。また、第2光学変換板243Bにおける偏光膜243B2および視野角補償膜243B3に発生する熱も熱伝導板245を介して放熱できる。さらに、光変調装置240の後段に、第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bを設けることで、光学装置24にて良好な光学像を形成できる。
【0115】
(6)第2光学変換板243Bは、1つの基板243B1の光束入射側端面および光束射出側端面のそれぞれに視野角補償膜243B3および偏光膜243B3が貼り付けられて構成されているので、2つの視野角補償膜243B3および偏光膜243B3のそれぞれに基板を設ける必要がなく、光学装置24の製造コストをさらに低減できる。
(7)第1光学変換板243Aの基板243A1、および第2光学変換板243Bの基板243B1は、光学結晶材料である水晶から構成される。そして、これら基板243A1および基板243B1は、その光学軸が対向する突出部245Bの方向に向くように固定される。このことにより、熱伝導率が比較的高い光学軸方向に沿って突出部245Bに熱が伝達されるので、第1光学変換板243Aにおける偏光膜243A2、第2光学変換板243Bにおける視野角補償膜243B3および偏光膜243B3の放熱特性をさらに向上できる。
(8)熱伝導板245は、アルミニウム、マグネシウム、または鉄などの平板を板金加工することにより形成されているので、該熱伝導板245を製造するにあたって、さらに容易に製造でき、光学装置24の製造コストをさらに低減できる。
【0116】
(9)熱伝導板245の貼付部245A2と台座246の側面とが第1弾性部材248Aにより接続されているので、熱による各部材の寸法変化(膨張、収縮)を第1弾性部材248Aにて吸収できる。したがって、熱伝導板245および台座246の接続状態を保持でき、画素ずれ等を防止し、光学装置24にて良好な光学像を形成できる。
(10)熱伝導板245の接続面245B1と第1光学変換板243Bとが第2弾性部材248Bにより接続されているので、熱による各部材の寸法変化(膨張、収縮)を第2弾性部材248Bにて吸収できる。したがって、熱により熱伝導板245および第1光学変換板243Aに寸法変化が生じた場合でも、熱伝導板245および第1光学変換板243Aとの機械的干渉を回避でき、第1光学変換板243Aの機能的信頼性を確保できる。
【0117】
(11)第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bは、熱伝導性を有しているので、熱伝導板245から台座246、および、第1光学変換板243Aから熱伝導板245への放熱特性を改善し、第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bにおける光学変換膜243A2,243B2,243B3の冷却効率を向上させることができる。
(12)第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243B等による熱で、第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248B自体が熱膨張し、第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bの各部材に対する密着性がさらに向上し、第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bにおける光学変換膜243A2,243B2,243B3の放熱特性をさらに向上できる。
【0118】
(13)熱伝導板245は、ピンスペーサ247を介して光変調装置240を支持固定するので、スペーサを介してクロスダイクロイックプリズム244に直接、支持固定される構成と比較して、クロスダイクロイックプリズム244の小型化を図れ、ひいては光学装置24の小型化を図れる。
(14)台座246における下台座246Bは、プリズム固定板246B1と支持体246B2とを備えている。そして、この支持体246B2には、導熱部246B5が形成され、この導熱部246B5は、第3弾性部材248Cを介して光変調装置240と熱伝達可能に接続する。このことにより、光変調装置240〜導熱部246B5(台座246)の熱伝達経路を確保でき、光学装置24の放熱特性をさらに向上できる。
【0119】
(15)第1部材設置治具300および第3部材設置治具500は、それぞれ基台310,510および位置決めプレート320,550を備えているので、基台310,510に対して位置決めプレート320,550を固定するだけで、ユニットAに対する第1光学変換板243Aの位置決め、およびユニットCに対する熱伝導板245の位置決めを容易に実施できる。
(16)第3部材設置治具500の位置決めプレート550は、押圧部552を有し、熱伝導板245をユニットCに対して固定する際に、押圧部552を操作することで熱伝導板245に貼り付けられた第2光学変換板243Bの基板243B1をユニットCに対して押圧しながら固定する。このことにより、第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bの各部材に対する密着性が向上し、第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bにおける光学変換膜243A2,243B2,243B3の放熱特性を向上できる。また、
【0120】
(17)ライトガイド25を構成する下ライトガイド251および上ライトガイド252は、熱伝導板245と同様に、アルミニウムまたはマグネシウムの平板を板金加工するか、またはアルミニウム、マグネシウムのダイキャスト成型することにより形成される。このことにより、光学装置24およびライトガイド25の製造コストを低減でき、ひいては光学ユニット2の製造コストを低減できる。
(18)プロジェクタ1は、上述した低コストの光学装置24を備えているので、該プロジェクタ1自体の製造コストも低減できる。また、プロジェクタ1は、上述した放熱特性の良好な光学装置24を備えているので、画素ずれのない良好な光学像をスクリーンに投写できる。さらに、光源装置211から射出される光束の輝度を高く設定でき、鮮明な光学像をスクリーンに投写できる。さらにまた、冷却ユニットを構成するファン等の冷却能力を強化する必要がないから、プロジェクタ1の省エネルギ化、静音化、および小型化も図れる。
【0121】
〔7〕実施形態の変形
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
前記実施形態では、光学変換膜として偏光膜を挙げて説明したが、これに限らず、位相差膜、色補正膜、または視野角補正膜等を採用した構成としてもよい。
前記実施形態では、熱伝導板245は、アルミニウムから構成されていたが、これに限らず、電気亜鉛メッキ鋼板等にて構成してもよく、射出成型等による成型により形成される合成樹脂製、インバー等の鉄−ニッケル合金、Mg合金、Al合金等の成型品から構成してもよい。
【0122】
前記実施形態では、熱伝導板245は、突出部245Bを備え、この突出部245Bの接続面245B1により第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続していたが、これに限らない。熱伝導板245は、第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続していればよく、熱伝導板245と第1光学変換板243Aとの接続構造は、特に限定されない。
例えば、熱伝導板245から突出部245Bを省略し、熱伝導板245の開口245A1の周縁と第1光学変換板243Aの外周端面とを熱伝達可能に接続する構成を採用してもよい。このような構成では、熱伝導板245の製造を容易にし、製造コストを低減できる。
また、例えば、熱伝導板245の突出部245Bを開口245A1の左右辺縁に限らず、開口245A1の周縁全体にかけて形成する構成を採用してもよい。このような構成では、熱伝導板245と第1光学変換板243Aとの接続面積を大きくすることができ、第1光学変換板243Aから熱伝導板245への放熱特性をさらに向上できる。
【0123】
前記実施形態では、熱伝導板245の突出部245Bは、第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続するとともに、第2光学変換板243Bを支持固定する構成であったが、これに限らない。
例えば、突出部245Bを、第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続する第1突出部、および第2光学変換板243Bを支持固定する第2突出部の2つに分けて形成してもよい。また、この第1突出部を開口245A1の上下辺縁および左右辺縁のいずれか一方に形成し、第2突出部を開口245A1の上下辺縁および左右辺縁のいずれか他方に形成してもよい。
【0124】
前記実施形態では、熱伝導板245と台座246との間、および熱伝導板245と第1光学変換板243Aとの間に第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bが介在する構成であったが、これに限らない。例えば、これら第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bを省略し、熱伝導板245および台座246、熱伝導板245および第1光学変換板243Aを直接、接続する構成を採用してもよい。このような構成では、部材の省略から、光学装置24の製造を容易にし、製造コストの低減を図れる。
【0125】
前記実施形態では、下台座246Bにおける支持体246B2は、導熱部246B5を有し、第3弾性部材248Cを介して光変調装置240の保持枠249と熱伝達可能に接続されている構成を説明したが、これに限らない。例えば、導熱部246B5を光変調装置240の他、熱伝導板245の左右辺縁と熱伝達可能に接続してもよい。このような構成では、熱伝導板245〜導熱部246B5の熱伝達経路を確保できるので、第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bの放熱特性をさらに向上させることができる。
【0126】
前記実施形態では、台座246は、上台座246Aおよび下台座246Bを備えた構成を説明したが、上台座246Aおよび下台座246Bのうちのいずれか一方のみで構成してもよい。
前記実施形態では、光学装置24を製造する際に、第1部材設置治具300、第2部材設置治具400、および第3部材設置治具500を用いていたが、これら部材設置治具300,400,500の構造は、これに限らない。
前記実施形態では、第3部材設置治具500における押圧部552は、押圧板552A、押圧ねじ552B、および押圧ピン552Cで構成されていたが、これに限らず、熱伝導板245を台座246に対して押圧する構成であれば、他の構成であっても構わない。
また、前記実施形態において、光学装置24の製造方法は、図17ないし図21に示す方法に限らない。
【0127】
前記実施形態において、ライトガイド25の形状および構成は、上述した形状および構成に限らない。例えば、ライトガイド25は、固体状の部材である位置決め部材253を具備し、光学部品212〜215,221〜223,231〜234を、該位置決め部材253とともにライトガイド25に対して固定する構成を説明したが、これに限らず、例えば、位置決め部材を液状の部材から構成する。例えば、この液状の位置決め部材としては、光硬化型接着剤または熱硬化型接着剤等の接着剤を採用できる。そして、例えば、下ライトガイド251の部品収納部251B、または上ライトガイド252に光学部品212〜215,221〜223,231〜234と当接する部分を形成しておく。そして、この当接部分に光硬化型接着剤、または熱硬化型接着剤を塗布して光学部品212〜215,221〜223,231〜234を当接させ、外部の光軸調整治具等を用いて光学部品212〜215,221〜223,231〜234の位置調整を実施する。この際、光学部品212〜215,221〜223,231〜234は、光硬化型接着剤、または熱硬化型接着剤の表面張力によりライトガイド25に対して所定位置で位置決めされる。この後、光硬化型接着剤、または熱硬化型接着剤を硬化させて光学部品212〜215,221〜223,231〜234をライトガイド25に対して固定する。このような構成では、光学部品212〜215,221〜223,231〜234がライトガイド25に収納された状態で、固体状の位置決め部材253を省略できるので、光学ユニット2の軽量化を図れる。
【0128】
前記実施形態では、光学装置本体24Aの製造に、紫外線硬化型接着剤および嫌気性接着剤を用いていたが、これに限らない。紫外線硬化型接着剤および嫌気性接着剤の他、熱硬化型接着剤を用い、位置固定時にホットエア等により硬化させる構成を採用してもよい。
前記実施形態では、3つの光変調装置を用いたプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、2つの光変調装置を用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の光変調装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の光変調装置を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の光変調装置を用いてもよい。
前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投写を行なうフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投写を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光学装置を備えたプロジェクタの構造を示す斜視図。
【図2】前記実施形態における光学ユニットの内部構造を模式的に示す平面図。
【図3】前記実施形態における下ライトガイドの構造を示す斜視図。
【図4】前記実施形態におけるレンズの保持構造を説明するための図。
【図5】前記実施形態におけるダイクロイックミラーの保持構造を説明するための図。
【図6】前記実施形態における反射ミラーの保持構造を説明するための図。
【図7】前記実施形態における光学装置本体の概略構成を示す全体斜視図。
【図8】前記実施形態における光学装置本体の構造を示す分解斜視図。
【図9】前記実施形態における光学装置本体の弾性部材の配置状態を示す図。
【図10】前記実施形態における第1部材設置治具の構造を示す斜視図。
【図11】前記実施形態における第1部材設置治具の基台の構造を示す分解斜視図。
【図12】前記実施形態における第1部材設置治具の位置決めプレートの構造を示す図。
【図13】前記実施形態における第1部材設置治具の位置決めプレートの構造を示す図。
【図14】前記実施形態における第2部材設置治具の構造を示す側面図。
【図15】前記実施形態における第3部材設置治具の構造を示す図。
【図16】前記実施形態における第3部材設置治具の構造を示す図。
【図17】前記実施形態における光学装置本体の製造方法を説明するためのフローチャート。
【図18】前記実施形態における光学装置本体の製造方法を説明するためのフローチャート。
【図19】前記実施形態における光学装置本体の製造方法を説明するためのフローチャート。
【図20】前記実施形態における光学装置本体の製造方法を説明するためのフローチャート。
【図21】前記実施形態における光学装置本体の製造方法を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
1・・・プロジェクタ、3・・・投写レンズ(投写光学装置)、24・・・光学装置、211・・・光源装置、100・・・部材設置治具、240・・・光変調装置、243A・・・第1光学変換板、243A1・・・基板(透明部材)、243A2・・・偏光膜(光学変換膜)、243B・・・第2光学変換板、243B1・・・基板(透明部材)、243B2・・・視野角補償膜(光学変換膜)、243B3・・・偏光膜(光学変換膜)、244・・・クロスダイクロイックプリズム(色合成光学装置)、245・・・熱伝導板、245A1・・・開口、245B・・・突出部、245B2・・・接続面、246・・・台座、246B5・・・導熱部、247・・・ピンスペーサ、248・・・弾性部材、300・・・第1部材設置治具(第1光学変換板設置治具)、310・・・基台、320・・・位置決めプレート、500・・・第3部材設置治具(熱伝導板設置治具)、510・・・基台、550・・・位置決めプレート、552・・・押圧部、S1・・・台座固定工程、S2・・・第1光学変換板固定工程、S4・・・熱伝導板固定工程、S6〜S8・・・光変調装置固定工程、S21,S41・・・色合成光学装置固定手順、S22・・・第1光学変換板保持手順、S24,S47・・・プレート設置手順、S25・・・第1光学変換板位置固定手順、S44・・・熱伝導板保持手順、S48・・・弾性部材押圧手順。
本発明は、複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、これら光変調装置で変調された各色光を合成して射出する色合成光学装置とを備えた光学装置、光学装置の製造方法、およびプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来、光源から射出された光束を3色の色光に分離する色分離光学系と、色光毎に画像情報に応じて変調する3枚の光変調装置と、各光変調装置で変調された光束を合成するクロスダイクロイックプリズムとを備える3板式のプロジェクタが知られている(特許文献1参照)。
この光変調装置の入射側および射出側には、入射された光束のうち偏光軸に沿った方向の光束のみを透過させ、その他の方向の光束を吸収して、所定の偏光光として射出する光学変換板としての偏光板がそれぞれ配置されている。
このような偏光板は、例えば、高い熱伝導率を有するサファイア基板上に偏光膜が貼付されることで構成され、偏光膜における光の吸収に伴う発熱をサファイア基板に放熱する構造となっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−221588号公報(図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、光変調装置の後段に配置される偏光板は、クロスダイクロイックプリズムの光束入射側端面に直接貼り付けられているので、偏光膜からサファイア基板に伝達した熱を外部に放熱することが困難である、という問題がある。
このような問題を解決するために、例えば、以下のような構成が考えられる。
すなわち、クロスダイクロイックプリズムを支持する台座としてのプリズム支持板を熱伝導性材料から構成する。また、偏光板を構成するサファイア基板のサイズを大きく形成する。そして、サファイア基板とプリズム支持板とを接続し、偏光膜からサファイア基板に伝達した熱をプリズム支持板に放熱する。
しかしながら、このような構成では、サファイア基板のサイズを大きくする必要があり、光学装置のコスト低減を図れない、という問題がある。
【0005】
本発明の目的は、光学変換膜の放熱特性の向上を低コストで実現できる光学装置、およびプロジェクタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学装置は、複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記光変調装置で変調された各色光を合成して射出する色合成光学装置とを備えた光学装置であって、前記色合成光学装置の光束入射端面と交差する一対の端面のうち、少なくともいずれか一方の端面に固定され、熱伝導性材料からなる台座と、前記色合成光学装置の光束入射端面に貼り付けられる熱伝導性材料からなる透明部材、およびこの透明部材に貼り付けられ、前記光変調装置から射出される光束の光学特性を変換する光学変換膜を有する第1光学変換板と、光束を通過可能とする開口を有し、前記台座の側面に固定され、前記第1光学変換板と熱伝達可能に接続する熱伝導性材料からなる熱伝導板とを備えていることを特徴とする。
ここで、光学変換膜としては、例えば、偏光膜、位相差膜、色補正膜、または視野角補償膜等を採用できる。
また、透明基板としては、例えば、サファイア、水晶、石英、または蛍石等で構成できる。
【0007】
本発明では、光学装置は、熱伝導板を備え、この熱伝導板は、色合成光学装置の光束入射端面に貼り付けられた第1光学変換板と熱伝達可能に接続する。また、この熱伝導板は、熱伝導性材料からなる台座の側面に固定される。このことにより、光源からの光束の照射により光学変換膜に発生した熱を透明部材〜色合成光学装置〜台座の熱伝達経路の他、透明部材〜熱伝導板〜台座の熱伝達経路を辿って放熱できる。
また、光学変換板は、色合成光学装置の光束入射端面に貼り付けられた状態でよいので、透明部材のサイズを大きくして台座と接続させなくても、光学変換膜に発生した熱を放熱できる。すなわち、透明部材のサイズの増加による光学装置のコスト増加を回避できる。
したがって、光学変換膜の放熱特性の向上を低コストで実現でき、本発明の目的を達成できる。
【0008】
本発明の光学装置では、前記熱伝導板には、前記開口周縁から光束入射側に突出するとともに、先端部分が内側に曲折し、断面視L字形状を有する突出部が形成され、前記突出部の断面視L字形状の内側端面は、前記光学変換板と熱伝達可能に接続する接続面として構成されていることが好ましい。
ここで、突出部の形成位置は、開口周縁であれば特に限定されない。例えば、開口周縁にかけて開口を囲うように形成してもよく、開口周縁の一部にのみ形成してもよい。
本発明では、熱伝導板には、断面視L字形状を有する突出部が形成され、この突出部の断面視L字形状の内側端面が第1光学変換板との接続面として構成される。このことにより、熱伝導板と第1光学変換板との接続する面積を確実に確保でき、第1光学変換板における光学変換膜の放熱特性をさらに向上できる。
【0009】
本発明の光学装置では、前記光変調装置から射出される光束の光学特性を変換する光学変換膜、およびこの光学変換膜が貼り付けられ、熱伝導性材料からなる透明部材を有する第2光学変換板を備え、前記熱伝導板には、前記開口周縁から光束入射側に突出するとともに、先端部分が内側に曲折し、断面視L字形状を有する突出部が形成され、前記突出部は、断面視L字形状の光束入射側端面にて前記第2光学変換板を支持固定することが好ましい。
ここで、第2光学変換板における光学変換膜および透明部材としては、例えば、上述した第1光学変換板と同様の構成を採用できる。光学変換膜としては、例えば、偏光膜、位相差膜、色補正膜、または視野角補償膜等を採用できる。また、透明基板としては、例えば、サファイア、水晶、石英、または蛍石等で構成できる。第1光学変換板と第2光学変換板とは、同一の機能を有する構成であってもよく、異なる機能を有する構成であってもよい。
本発明によれば、突出部は、断面視L字形状の光束入射側端面にて第2光学変換板を支持固定するので、第2光学変換板を支持固定する支持板を別途設ける必要がなく、光学装置の小型化を図れる。また、第2光学変換板における光学変換膜に発生する熱も熱伝導板を介して放熱できる。さらに、光変調装置の後段に、第1光学変換板および第2光学変換板を設けることで、光学装置にて良好な光学像を形成できる。
【0010】
本発明の光学装置では、前記第2光学変換板は、2つの前記光学変換膜を有し、前記透明部材の光束入射側端面および光束射出側端面にそれぞれ前記光学変換膜が貼り付けられて構成されていることが好ましい。
ここで、第2光学変換板における透明部材の光束入射側端面および光束射出側端面にそれぞれ貼り付けられる光学変換膜は、例えば、上述した偏光膜、位相差膜、色補正膜、および視野角補償膜のうちの2つを採用できる。また、同一の機能を有する光学変換膜、例えば、偏光膜を透明部材の光束入射側端面および光束射出側端面にそれぞれ貼り付ける構成としてもよい。
本発明によれば、第2光学変換板は、1つの透明部材の光束入射側端面および光束射出側端面のそれぞれに光学変換膜が貼り付けられて構成されているので、2つの光学変換膜のそれぞれに透明部材を設ける必要がなく、光学装置の製造コストをさらに低減できる。
【0011】
本発明の光学装置では、前記突出部は、前記開口の上下辺縁または左右辺縁に形成され、前記第1光学変換板の透明部材および/または前記第2光学変換板の透明部材は、光学結晶材料から構成され、その光学軸が対向する前記突出部の方向に向くように前記色合成光学装置の光束入射側端面および/または前記突出部の光束入射側端面に支持固定されていることが好ましい。
ところで、光学結晶材料の特性としては、光学軸方向、およびこの光学軸と直交する方向において、熱伝導率が異なる。通常は、光学軸方向において、高い熱伝導率を有する。
本発明では、突出部は、開口の上下辺縁または左右辺縁に形成される。そして、第1光学変換板の透明部材および/または第2光学変換板の透明部材は、その光学軸が対向する突出部の方向に向くように固定されている。このことにより、熱伝導率が比較的高い光軸方向に沿って突出部に熱が伝達されるので、第1光学変換板における光学変換膜および/または第2光学変換板における光学変換膜の放熱特性をさらに向上できる。
【0012】
本発明の光学装置では、前記熱伝導板は、板金加工により形成され、前記突出部は、前記熱伝導板の一部を切り起こすことにより形成されていることが好ましい。
本発明によれば、熱伝導板は、板金加工により形成されているので、該熱伝導板を製造するにあたって、さらに容易に製造でき、光学装置の製造コストをさらに低減できる。
【0013】
本発明の光学装置では、前記熱伝導板と、前記台座および/または前記第1光学変換板との間には、熱伝導性の弾性部材が介装されていることが好ましい。
ここで、熱伝導性の弾性部材としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、またはカーボン等の金属粉を混入したゴム部材等を採用できる。
ところで、熱伝導板と台座とが異なる部材で構成されている場合には、第1光学変換板等からの熱による熱伝導板および台座の寸法変化(膨張、収縮)により、熱伝導板と台座との界面には大きい熱応力が発生する。
その結果、この熱応力により熱伝導板と台座との接続状態が崩れ、例えば、熱伝導板に光変調装置が支持固定されている場合には、各光変調装置の相互位置がずれ、画素ずれが生じる。
また、第1光学変換板等からの熱により、熱伝導板および第1光学変換板の寸法変化(膨張、収縮)が生じた場合には、熱伝導板と第1光学変換板との間で機械的干渉が生じるおそれがある。
【0014】
本発明では、熱伝導板と、台座および/または第1光学変換板とが、熱伝導性の弾性部材を介して接続されていることにより、熱による各部材の寸法変化(膨張、収縮)を弾性部材が吸収できる。例えば、熱伝導板と台座との間に弾性部材が介装されている場合には、熱伝導板および台座の接続状態を保持でき、画素ずれ等を防止し、光学装置にて良好な光学像を形成できる。また、例えば、熱伝導板と第1光学変換板との間に弾性部材が介装されている場合には、熱伝導板および第1光学変換板との機械的干渉を回避でき、第1光学変換板の機能的信頼性を確保できる。
また、この弾性部材は、熱伝導性を有していることにより、熱伝導板から台座、および/または、第1光学変換板から熱伝導板への放熱特性を改善し、第1光学変換板における光学変換膜の冷却効率を向上させることができる。
さらに、第1光学変換板等による熱で、弾性部材自体も熱膨張し、この弾性部材の熱膨張により、熱伝導板と台座および/または第1光学変換板との部材間の密着性が向上し、第1光学変換板における光学変換膜の放熱特性をさらに向上できる。
【0015】
本発明の光学装置では、前記熱伝導板は、スペーサを介して前記光変調装置を支持固定することが好ましい。
本発明によれば、光変調装置は、スペーサを介して熱伝導板に支持固定されているので、スペーサを介して色合成光学装置に直接、支持固定される構成と比較して、色合成光学装置の小型化を図れ、ひいては光学装置の小型化を図れる。
【0016】
前記台座は、前記熱伝導板の左右端縁に沿って垂設される導熱部を有し、前記導熱部は、前記熱伝導板および/または前記光変調装置と熱伝達可能に接続することが好ましい。
本発明によれば、台座は、導熱部を有し、この導熱部は、熱伝導板および/または光変調装置と熱伝達可能に接続するので、透明部材〜色合成光学装置〜台座、および、透明部材〜熱伝導板〜台座の熱伝達経路の他、透明部材〜熱伝導板〜導熱部、および/または光変調装置〜導熱部の熱伝達経路を確保でき、光学装置の放熱特性をさらに向上できる。
【0017】
本発明の光学装置の製造方法は、複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記光変調装置で変調された各色光を合成して射出する色合成光学装置とを備えた光学装置の製造方法であって、
前記光学装置は、熱伝導性材料からなる台座と、熱伝導性材料からなる透明部材、およびこの透明部材に貼り付けられ、前記光変調装置から射出される光束の光学特性を変換する光学変換膜を有する第1光学変換板と、光束を通過可能とする開口を有し、熱伝導性材料からなる熱伝導板とを備え、前記色合成光学装置の光束入射端面と交差する一対の端面のうち、少なくともいずれか一方の端面に前記台座を位置決め固定する台座固定工程と、部材設置治具を用いて前記色合成光学装置の光束入射端面に前記第1光学変換板を位置決め固定する第1光学変換板固定工程と、前記部材設置治具を用いて前記第1光学変換板と熱伝達可能に接続させるとともに前記台座の側面に前記熱伝導板を位置決め固定する熱伝導板固定工程と、前記色合成光学装置に対して前記光変調装置を位置決め固定する光変調装置固定工程とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、光学装置の製造方法は、台座固定工程と、第1光学変換板固定工程と、熱伝導板固定工程と、光変調装置固定工程とを備えているので、上述した光学装置と同様の作用・効果を享受できる。
また、光学装置の製造方法では、第1光学変換板固定工程および熱伝導板固定工程において、部材設置治具を用いるので光学装置の製造を容易にし、光学装置の製造コストの低減を図れる。
【0018】
本発明の光学装置の製造方法では、前記部材設置治具は、前記色合成光学装置の光束入射端面に前記第1光学変換板を位置決めする第1光学変換板設置治具を有し、前記第1光学変換板設置治具は、前記台座が位置決め固定された色合成光学装置を載置固定する基台と、前記第1光学変換板を保持するとともに、前記基台の所定位置に位置決め固定される位置決めプレートとを備え、前記第1光学変換板固定工程は、前記基台に前記台座が位置決め固定された色合成光学装置を載置固定する色合成光学装置固定手順と、前記位置決めプレートに前記第1光学変換板を保持させる第1光学変換板保持手順と、前記第1光学変換板を保持した位置決めプレートを前記基台に固定するプレート設置手順と、前記色合成光学装置に対して前記第1光学変換板を位置固定する第1光学変換板位置固定手順とを備えていることが好ましい。
本発明では、部材設置治具は、第1光学変換板設置治具を有し、この第1光学変換板設置治具は、基台および位置決めプレートを備えている。そして、第1光学変換板固定工程では、第1光学変換板設置治具を用いて、色合成光学装置固定手順、第1光学変換板保持手順、およびプレート設置手順が実施される。この後、色合成光学装置に対する所定位置に位置決めされた第1光学変換板を、色合成光学装置に対して位置固定する。このことにより、色合成光学装置に対して第1光学変換板を容易に位置決め固定でき、光学装置の製造をさらに容易にし、製造コストのさらなる低減を図れる。
【0019】
本発明の光学装置の製造方法では、前記部材設置治具は、前記台座の側面に前記熱伝導板を位置決めする熱伝導板設置治具を有し、前記熱伝導板設置治具は、前記台座および前記第1光学変換板が位置決め固定された色合成光学装置を載置固定する基台と、前記熱伝導板を保持するとともに前記基台の所定位置に位置決め固定される位置決めプレートとを備え、前記熱伝導板固定工程は、前記基台に前記台座および前記第1光学変換板が位置決め固定された色合成光学装置を載置固定する色合成光学装置固定手順と、前記位置決めプレートに前記熱伝導板を保持させる熱伝導板保持手順と、前記熱伝導板を保持した位置決めプレートを前記基台に固定するプレート設置手順と、前記台座に対して前記熱伝導板を位置固定する熱伝導板位置固定手順とを備えていることが好ましい。
本発明では、部材設置治具は、熱伝導板設置治具を有し、この熱伝導板設置治具は、基台および位置決めプレートを備えている。そして、熱伝導板固定工程では、熱伝導板設置治具を用いて、色合成光学装置固定手順、熱伝導板保持手順、およびプレート設置手順が実施される。この後、色合成光学装置および台座に対する所定位置に位置決めされた熱伝導板を、台座に対して位置固定する。このことにより、色合成光学装置および台座に対して熱伝導板を容易に位置決め固定でき、光学装置の製造をさらに容易にし、製造コストのさらなる低減を図れる。
【0020】
本発明の光学装置の製造方法では、前記熱伝導板と、前記台座および/または前記第1光学変換板との間には、熱伝導性の弾性部材が介装され、前記熱伝導板設置治具は、位置決めプレートに保持された熱伝導板を前記台座に対して押圧する押圧部を備え、前記熱伝導板固定工程は、前記プレート設置手順の後、前記押圧部により前記熱伝導板を前記台座に対して押圧し、前記台座および/または前記第1光学変換板との間に介装される前記弾性部材を圧縮する弾性部材押圧手順を備えていることが好ましい。
本発明では、熱伝導板設置治具は、押圧部を備えている。そして、熱伝導板固定工程では、プレート設置手順の後、弾性部材押圧手順を備え、この弾性部材押圧手順では、押圧部により熱伝導板を台座に対して押圧し、台座および/または第1光学変換板との間に介装される弾性部材を圧縮する。このことにより、弾性部材における台座および/または第1光学変換板と熱伝導板との密着性が向上され、第1光学変換板の放熱特性をさらに向上できる。
【0021】
本発明のプロジェクタは、光源と、上述した光学装置と、この光学装置から射出される光学像を拡大投写する投写光学装置とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、プロジェクタは、上述した光学装置を備えているので、上述した光学装置と同様の作用・効果を享受できる。
また、プロジェクタは、低コストの光学装置を備えることにより、該プロジェクタ自体の製造コストも低減できる。
さらに、プロジェクタは、冷却効率の良好な光学装置を備えることにより、画素ずれのない良好な光学像をスクリーンに投写できる。また、光源から射出される光束の輝度を高く設定でき、鮮明な光学像をスクリーンに投写できる。さらに、ファン等の冷却能力を強化する必要がないから、プロジェクタの省エネルギ化、静音化、および小型化も図れる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔1〕プロジェクタの構造
図1は、本実施形態に係る光学装置を備えたプロジェクタ1の構造を示す斜視図である。
プロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、スクリーン等の投写面上に拡大投写する。このプロジェクタ1は、図1に示すように、平面視L字状の光学ユニット2と、この光学ユニット2の一端と接続する投写光学装置としての投写レンズ3とを備えている。
なお、具体的な図示は省略したが、プロジェクタ1は、光学ユニット2および投写レンズ3の他、外部から供給された電力をプロジェクタ1の構成部材に提供する電源ユニット、光学ユニット2の後述する液晶パネルを駆動制御する制御基板、プロジェクタ1の構成部材に冷却空気を送風する冷却ファンを有する冷却ユニット等を備えて構成される。
【0023】
光学ユニット2は、図示しない制御基板による制御の下、外部からの画像情報に応じて光学像を形成する。この光学ユニット2は、具体的には後述するが、図1に示すように、容器状に形成された下ライトガイド251およびこの下ライトガイド251の開口部分を閉塞する上ライトガイド252を有するライトガイド25と、このライトガイド25内に収納配置される複数の光学部品と、ライトガイド25と接続され、投写レンズ3を支持するヘッド体26とを備えている。
投写レンズ3は、光学ユニット2により画像情報に応じて変調された光学像を拡大投写する。この投写レンズ3は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成され、複数のレンズの相対位置を変更可能な図示しないレバーを備え、投写像のフォーカス調整、および倍率調整可能に構成されている。
【0024】
〔2〕光学ユニット2の構造
〔2−1〕光学ユニット2の光学系の構成
図2は、光学ユニット2の内部構造を模式的に示す平面図である。具体的に、図2は、光学ユニット2における上ライトガイド252を取り外した図である。
ライトガイド25内に収納される複数の光学部品は、図2に示すように、インテグレータ照明光学系21と、色分離光学系22と、リレー光学系23と、光変調装置および色合成光学装置を一体化した光学装置24とで構成されている。
インテグレータ照明光学系21は、光源から射出された光束を照明光軸直交面内における照度を均一にするための光学系である。このインテグレータ照明光学系21は、図2に示すように、光源装置211、第1レンズアレイ212、第2レンズアレイ213、偏光変換素子214、および重畳レンズ215を備えて構成される。
【0025】
光源装置211は、放射光源としての光源ランプ216、リフレクタ217、およびリフレクタ217の光束射出面を覆う防爆ガラス218を備える。そして、光源ランプ216から射出された放射状の光束は、リフレクタ217で反射されて略平行光束とされ、外部へと射出される。本実施形態では、光源ランプ216として、高圧水銀ランプを採用し、リフレクタ217として、放物面鏡を採用している。なお、光源ランプ216としては、高圧水銀ランプに限らず、例えばメタルハライドランプやハロゲンランプ等を採用してもよい。また、リフレクタ217として放物面鏡を採用しているが、これに限らず、楕円面鏡からなるリフレクタの射出面に平行化凹レンズを配置した構成を採用してもよい。
【0026】
第1レンズアレイ212は、照明光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備している。各小レンズは、光源ランプ216から射出された光束を部分光束に分割し、照明光軸方向に射出する。
第2レンズアレイ213は、第1レンズアレイ212と略同様の構成であり、小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備する。この第2レンズアレイ213は、重畳レンズ215とともに、第1レンズアレイ212の各小レンズの像を光学装置24の後述する液晶パネル241R,241G,241Bの画像形成領域に結像させる機能を有する。
【0027】
偏光変換素子214は、第2レンズアレイ213からの光を略1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、光学装置24での光の利用効率が高められている。
具体的に、偏光変換素子214によって略1種類の偏光光に変換された各部分光束は、重畳レンズ215によって最終的に光学装置24の後述する液晶パネル241R,241G,241Bの画像形成領域にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル241R,241G,241Bを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源ランプ216からの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子214を用いることにより、光源ランプ216から射出された光束を略1種類の偏光光に変換し、光学装置24における光の利用効率を高めている。なお、このような偏光変換素子214は、例えば、特開平8−304739号公報に紹介されている。
【0028】
色分離光学系22は、2枚のダイクロイックミラー221,222と、反射ミラー223とを備える。インテグレータ照明光学系21から射出された複数の部分光束は、2枚のダイクロイックミラー221により赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離される。
リレー光学系23は、入射側レンズ231と、リレーレンズ233と、反射ミラー232,234とを備えている。このリレー光学系23は、色分離光学系22で分離された色光である青色光を光学装置24の後述する液晶パネル241Bまで導く機能を有している。
【0029】
この際、色分離光学系22のダイクロイックミラー221では、インテグレータ照明光学系21から射出された光束のうち、緑色光成分と青色光成分とは透過し、赤色光成分は反射する。ダイクロイックミラー221によって反射した赤色光は、反射ミラー223で反射し、フィールドレンズ224を通って、赤色用の液晶パネル241Rに到達する。このフィールドレンズ224は、第2レンズアレイ213から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル241G,241Bの光入射側に設けられたフィールドレンズ224も同様である。
【0030】
また、ダイクロイックミラー221を透過した青色光と緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー222によって反射し、フィールドレンズ224を通って、緑色光用の液晶パネル241Gに到達する。一方、青色光は、ダイクロイックミラー222を透過してリレー光学系23を通り、さらにフィールドレンズ224を通って、青色光用の液晶パネル241Bに到達する。
なお、青色光にリレー光学系23が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ231に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ224に伝えるためである。なお、リレー光学系23には、3つの色光のうちの青色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、赤色光を通す構成としてもよい。
【0031】
光学装置24は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成する。この光学装置24は、色分離光学系22で分離された各色光が入射される3つの入射側偏光板242と、各入射側偏光板242の後段に配置され、液晶パネル241R,241G,241B、光学変換板243、および色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム244が一体的にユニット化された光学装置本体24A(図7)とを備える。
入射側偏光板242は、色分離光学系22で分離された色光のうち、一定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収する。
光学装置本体24Aは、入射側偏光板242を介して入射する光束を変調し、各変調された光束を合成して光学像を射出する。なお、この光学装置本体24Aの詳細な構造については、後述する。
なお、光学装置24において、入射側偏光板242と光学装置本体24Aとを別体として構成したが、これに限らず、液晶パネル241R,241G,241B、光学変換板243、およびクロスダイクロイックプリズム244とともに、入射側偏光板242を一体的にユニット化して構成してもよい。
【0032】
〔2−2〕ライトガイド25の構造
ライトガイド25は、図1または図2に示すように、上述した光学部品21,22,23が収納される下ライトガイド251と、この下ライトガイド251の上面の開口部分を塞ぐ上ライトガイド252と、光源装置211を除く光学部品21,22,23を下ライトガイド251の所定位置に位置決めする位置決め部材253とを備える。
【0033】
図3は、下ライトガイド251の構造を示す斜視図である。
下ライトガイド251は、アルミニウムの平板を板金加工することにより形成されたものであり、図1ないし図3に示すように、光源装置211が収納される光源収納部251Aと、光源装置211を除く他の光学部品21,22,23(図2)が収納される部品収納部251Bとを備える。これら光源収納部251Aおよび部品収納部251Bは、絞り加工により容器状に形成され、光源収納部251Aは、下方側が開口され、部品収納部251Bは、上方側が開口されている。また、光源収納部251Aおよび部品収納部251Bの接続部分には、光源装置211から射出される光束が通過するように切削等により開口251C(図3)が形成されている。
なお、これら光源収納部251Aおよび部品収納部251Bは、一つの平板から絞り加工によりそれぞれ光源収納部251Aおよび部品収納部251Bを形成してもよい。また、2つの平板を絞り加工によりそれぞれ光源収納部251Aおよび部品収納部251Bを形成し、ねじ等により2つの部材を機械的に接合する構成、または、溶接により2つの部材を接合する構成を採用してもよい。
【0034】
光源収納部251Aは、図示しない下方側の開口から光源装置211(図2)が収納配置される。この光源収納部251Aの側面には、図示は省略するが、光源装置211に発生する熱により温められた空気が光源収納部251A内に滞留しないように、切削等によりスリット状の開口部が形成されている。
部品収納部251Bは、図3に示すように、一端側が光源収納部251Aと接続し、他端側が平面視略コ字状である容器状に形成され、この他端側にヘッド体26が接続される。
この部品収納部251Bにおいて、側面には、光学部品212〜215,231,233(図2)の位置に応じて、該側面の一部が部品収納部251Bの内側に切り起こされ、複数の孔251B1が形成されている。また、側面には、光学部品223,232,234(図2)の位置に応じて、内部に向けて貫通する円形状の複数の孔251B2が形成されている。さらに、平面視略コ字状内側の側面には、光源装置211(図2)から射出され、色分離光学系22(図2)により分離された3つの色光が光学装置24(図2)に向けて通過可能に切削等により切り欠き251B3が形成されている。
また、この部品収納部251Bにおいて、図示は省略するが、底面部分および上端部分には、ねじ溝を有する複数のバーリング孔が形成されている。
【0035】
上ライトガイド252は、図1に示すように、アルミニウムの平板であり、切削等により、下ライトガイド251の部品収納部251Bの上端側の開口部分を塞ぐように形成されている。また、この上ライトガイド252には、図示は省略するが、複数の孔が形成され、この孔と下ライトガイド251に形成された図示しないバーリング孔とを介してねじ等により下ライトガイド251に対して上ライトガイド252が固定される。
ここで、上述の下ライトガイド251の光源収納部251Aおよび部品収納部251Bの内面、および上ライトガイド252の下面には、ブラックアルマイト処理が施されている。
【0036】
位置決め部材253は、図1または図2に示すように、第1レンズアレイ212、第2レンズアレイ213、偏光変換素子214、重畳レンズ215、入射側レンズ231、およびリレーレンズ233をそれぞれ位置決めする第1位置決め部材253Aと、ダイクロイックミラー221,222をそれぞれ位置決めする第2位置決め部材253B(図2)と、反射ミラー223,232,234をそれぞれ位置決めする第3位置決め部材253Cとを備えている。なお、これら位置決め部材253は、次に述べる光学部品の保持構造にて具体的に説明する。
【0037】
〔2−3〕光学部品の保持構造
次に、ライトガイド25に対する、光源装置211を除く光学部品21,22,23の保持構造を説明する。
なお、この光学部品の保持構造としては、その類似した構造により3つの保持構造に分類できる。すなわち、第1レンズアレイ212、第2レンズアレイ213、偏光変換素子214、重畳レンズ215、入射側レンズ231、およびリレーレンズ233を保持するレンズの保持構造、ダイクロイックミラー221,222を保持するダイクロイックミラーの保持構造、および反射ミラー223,232,234を保持する反射ミラーの保持構造に分類できる。以下では、これら3つの保持構造を順次、説明する。
【0038】
〔2−3−1〕レンズの保持構造
図4は、レンズの保持構造を説明するための図である。なお、上述のように、光学部品212〜215,231,233の保持構造は、類似した構造であり、ここでは主に、重畳レンズ215の保持構造を説明する。
重畳レンズ215は、図4に示すように、平面視円形状であり、光束入射側端面および光束射出側端面が球面状に膨出する凸レンズとして構成されている。そして、この重畳レンズ215を保持する部材としては、上述した複数の第1位置決め部材253Aのうちの2つの第1位置決め部材253Aが用いられる。
【0039】
第1位置決め部材253Aは、下ライトガイド251の側面に形成された孔251B1に挿通される四角柱状の部材であり、紫外線光を透過する合成樹脂(アクリル材)から構成されている。また、この第1位置決め部材253Aにおいて、四角柱状の一方の端面には、断面略V字状の溝部253A1が形成されている。この溝部253A1は、重畳レンズ215の外周端部の断面形状と略同一形状を有するように形成されている。
ここで、下ライトガイド251の孔251B1において、切り起こされた側面の一部は、第1位置決め部材253Aの支持面251B4として構成される。
【0040】
そして、これら第1位置決め部材253は、下ライトガイド251の側面に形成された孔251B1を介して、溝部253A1が重畳レンズ215の外周端部に当接することで該重畳レンズ215を左右方向から挟持する。この際、第1位置決め部材253と支持面251B4との間、および第1位置決め部材253の溝部253A1と重畳レンズ215の外周端部との間には、紫外線硬化型接着剤が充填され、第1位置決め部材253を介して紫外線を照射して接着剤を硬化させることで重畳レンズ215がライトガイド25に対して保持固定される。
なお、その他の光学部品212〜214,231,233の保持構造についても、上述した重畳レンズ215の保持構造と略同様である。
【0041】
〔2−3−2〕ダイクロイックミラーの保持構造
図5は、ダイクロイックミラーの保持構造を説明するための図である。なお、上述のように、ダイクロイックミラー221,222の保持構造は、類似した構造であり、ここでは主に、ダイクロイックミラー222の保持構造を説明する。
ダイクロイックミラー222は、図5に示すように、平面視矩形状であり、上述した第2位置決め部材253Bにより保持される。
第2位置決め部材253Bは、図5に示すように、下ライトガイド251の部品収納部251Bの底面に固定される板状の台座253B1と、この台座253B1の上面に固定され、断面視L字形状を有する一対の板状部材253B2と、この一対の板状部材253B2およびダイクロイックミラー222の左右側端部の間に介装されるスペーサ253B3とを備えている。
【0042】
このうち、一対の板状部材253B2は、断面視L字形状の一方の端面が台座253B1の上面に固定され、他方の端面が台座253B1の上方に延び、下ライトガイド251の部品収納部251Bの側面に略平行に対向配置される。そして、これら一対の板状部材253B2の間に、ダイクロイックミラー222が傾斜して配置され、該ダイクロイックミラー222の左右端部と該板状部材253B2の他方の端面とが対向配置する。
これら一対の板状部材253B2において、他方の端面には、該端面の一部が対向する板状部材253B2側に三角形状に切り起こされ、この切り起こされた部分がスペーサ253B3を支持する支持面253B4として構成されている。
また、これら一対の板状部材253B2において、他方の端面のうち、フィールドレンズ224(図2)側の端面には、ダイクロイックミラー222にて反射されたG色光を通過させるための開口253B5が形成されている。
【0043】
スペーサ253B3は、三角柱状の部材であり、第1位置決め部材253Aと同様に、紫外線光を透過する合成樹脂(アクリル材)から構成されている。そして、このスペーサ253B3は、支持面253B4に支持されるとともに、ダイクロイックミラー222の左右端部と板状部材253B2との間に介装される。この際、スペーサ253B3の三角柱状の斜面の傾斜方向は、ダイクロイックミラー222の傾斜方向と略同一の方向となるように構成されている。また、スペーサ253B3と支持面253B4との間、およびスペーサ253B3の斜面とダイクロイックミラー222の外周端部との間には、紫外線硬化型接着剤が充填され、スペーサ253B3を介して紫外線を照射して接着剤を硬化させることでダイクロイックミラー222がライトガイド25に対して保持固定される。
なお、ダイクロイックミラー221の保持構造についても、上述したダイクロイックミラー222の保持構造と同様である。
【0044】
〔2−3−3〕反射ミラーの保持構造
図6は、反射ミラーの保持構造を説明するための図である。なお、上述のように、反射ミラー223,232,234の保持構造は、類似した構造であり、ここでは主に、反射ミラー232の保持構造を説明する。
反射ミラー232は、図6に示すように、平面視矩形状であり、一方の端面に高反射性のアルミニウム等が蒸着された反射面を有している。そして、この反射ミラー232を保持する部材としては、上述した第3位置決め部材253Cが用いられる。
【0045】
第3位置決め部材253Cは、紫外線光を透過する合成樹脂(アクリル材)から構成され、板体253C1と、この板体253C1の一方の端面の四隅部分から該端面に直交して突出する円柱状の4つのピン253C2とを備えている。
そして、この第3位置決め部材253Cは、下ライトガイド251の側面に形成された孔251B2を介して、ピン253C2が挿通され、該ピン253C2の先端が反射ミラー232の反射面の裏面に当接する。この際、ピン253C2と反射ミラー232の反射面の裏面との間、およびピン253C2の外周と孔251B2との間には、紫外線硬化型接着剤が充填され、第3位置決め部材253Cを介して紫外線を照射して接着剤を硬化させることで反射ミラー232がライトガイド25に対して保持固定される。
なお、その他の反射ミラー223,234の保持構造についても、上述した反射ミラー232の保持構造と同様である。
【0046】
上述した第1位置決め部材253A、スペーサ253B3、および第3位置決め部材253Cはアクリル材にて構成されていたが、これに限らず、紫外線光を透過する他の合成樹脂で構成してもよく、その他、光学ガラス、水晶、サファイア、石英等にて構成してもよい。
また、レンズの保持構造、ダイクロイックミラーの保持構造、および反射ミラーの保持構造にて用いられる紫外線硬化型接着剤としては、種々のものを採用できるが、アクリレートを主成分とし、粘性が17000Pのものが好ましい。
【0047】
〔2−4〕ヘッド体26の構造
ヘッド体26は、マグネシウム合金で構成され、側面略L字状に形成されている。このヘッド体26は、図2に示すように、投写レンズ3、および光学装置24を一体化する。そして、このヘッド体26は、側面略L字状の垂直面外側に形成されるレンズ支持部261と、側面略L字状の水平面上側に形成される載置面262と、この載置面262上に突設されるフィールドレンズ保持部263とを備えている。
なお、ヘッド体26は、マグネシウム合金に限らず、アルミニウム、マグネシウム、チタン、あるいはこれらを主材料とした合金等の金属によって構成してもよい。
【0048】
レンズ支持部261は、図1または図2に示すように、略矩形状に形成され、その四隅部分に表裏を貫通して投写レンズ3を固定するための図示しない固定用雌ねじ孔が形成されている。そして、このレンズ支持部261は、投写レンズ3の図示しない孔を介して固定用雌ねじ孔にねじ等が螺合することで、投写レンズ3を支持固定する。
載置面262は、図2に示すように、平面視略矩形状に形成されている。この載置面262において、レンズ支持部261近傍であって左右方向略中央部分に、光学装置本体24Aが載置固定される。また、この載置面262において、各液晶パネル241R,241G,241B側には、図示しない冷却ユニットから送風される冷却空気を流通させる4つの切り欠き262Aが形成されている。
【0049】
フィールドレンズ保持部263は、載置面262に形成された切り欠き262Aの角隅部分から上方に向けて立設されたものであり、フィールドレンズ224を保持固定する。
ここで、上述したヘッド体26において、例えば、載置面262には、図示は省略するが、複数の孔が形成され、この孔と下ライトガイド251に形成された図示しないバーリング孔とを介してねじ等により下ライトガイド251に対してヘッド体26が固定される。
なお、入射側偏光板242の固定構造については、具体的な図示を省略したが、フィールドレンズ224の光束射出面に偏光膜を貼付する構成としてもよく、フィールドレンズ保持部263と同様に載置面262から上方に向けて突出する部材を設け、この突設された部材に入射側偏光板242を保持固定する構造を採用してもよい。
【0050】
〔3〕光学装置本体24Aの構造
次に、図7または図8を参照して、光学装置本体24Aの構造について詳説する。
図7は、光学装置本体24Aの概略構成を示す全体斜視図である。
図8は、光学装置本体24Aの構造を示す分解斜視図である。なお、図8では、説明を簡略化するために、B色光用の液晶パネル241B側のみを分解している。R色光用、G色光用の液晶パネル241R,241G側も同様のものとする。
光学装置本体24Aは、図7または図8に示すように、液晶パネル241R,241G,241Bを有する光変調装置240と、3つの光学変換板243と、3つの熱伝導板245と、クロスダイクロイックプリズム244と、台座246と、ピンスペーサ247と、弾性部材248(図9)とを備える。そして、光学装置本体24Aは、図7に示すように、これら光変調装置240、光学変換板243、熱伝導板245、クロスダイクロイックプリズム244、台座246、ピンスペーサ247、および弾性部材248(図9)が一体的にユニット化して構成されている。
【0051】
光変調装置240は、図8に示すように、液晶パネル241B(241R,241G)と、この液晶パネル241Rを保持する保持枠249とを備える。
液晶パネル241B(241R,241G)は、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、対向配置される一対の透明基板内に液晶が密封封入されている。そして、この液晶パネル241B(241R,241G)は、入射側偏光板242(図2)を介して入射する光束を画像情報に応じて変調して射出する。
保持枠249は、液晶パネル241B(241R,241G)を収容する収容部249Aと、この収容部249Aと係合し収納した液晶パネル241B(241R,241G)を押圧固定する支持板249B(図7、液晶パネル241B側参照)とを備える。
【0052】
これら収容部249Aおよび支持板249Bには、液晶パネル241B(241R,241G)のパネル面に対応する位置に開口部249Cが設けられている。そして、液晶パネル241B(241R,241G)は、この開口部249Cで露出し、この部分が画像形成領域となる。すなわち、液晶パネル241B(241R,241G)のこの部分に色光B(R,G)が導入され、画像情報に応じて光学像が形成される。
また、これら収容部249Aおよび支持板249Bには、その四隅部分にピンスペーサ247を挿通可能とする孔249Dが形成されている。
ここで、収容部249Aと支持板249Bとの固定は、図8に示すように、支持板249Bの左右両側に設けたフック249Eと、収容部249Aの対応する箇所に設けたフック係合部249Fとの係合により行う。
この保持枠249は、例えば、インバーおよび42Ni−Fe等の鉄−ニッケル合金、マグネシウム合金、アルミニウム合金、炭素鋼、黄銅、ステンレス等の金属、または、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等のカーボンフィラーを混入させた樹脂(ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、液晶樹脂等)で構成されている。
【0053】
光学変換板243は、光変調装置240から射出された光束の光学特性を変換する。この光学変換板243は、図8に示すように、第1光学変換板243Aと、第2光学変換板243Bとを備える。
第1光学変換板243Aは、入射側偏光板242(図2)と略同様の機能を有し、液晶パネル241B(241R,241G)から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみを透過させ、その他の光束を吸収するものであり、透過させる偏光光の偏光軸は、入射側偏光板242(図2)における透過させる偏光光の偏光軸に対して直交するように設定されている。この第1光学偏光板243Aは、図8に示すように、透明部材としての基板243A1と、偏光軸が所定方向とされた状態で、この基板243A1の光束入射側端面に貼り付けられる光学変換膜としての偏光膜243A2とを備える。
【0054】
基板243A1は、水晶製の矩形の板材である。この基板243A1は、光学軸方向で9.3W/(m・K)の熱伝導率を有し、この光学軸と直交する方向で5.4W/(m・K)の熱伝導率を有する。なお、基板243A1は、水晶の他、サファイアガラス、石英、または蛍石等で構成してもよい。
偏光膜243A2は、矩形状のフィルムであり、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素を吸着・分散させてフィルム状とした後に、このフィルム状のものを一定方向に延伸し、その後、延伸されたフィルムの両面にアセテートセルロース系のフィルムを接着剤で積層することにより構成されている。
そして、この第1光学変換板243Aは、基板243A1の光学軸が所定方向とされた状態で、クロスダイクロイックプリズム244の光束入射側端面に貼り付けられる。なお、この第1光学変換板243Aの貼付方向については、後述の熱伝導板245の説明と同時に説明する。
【0055】
第2光学変換板243Bは、第1光学変換板243Aと同様に、液晶パネル241B(241R,241G)から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみを透過させ、その他の光束を吸収するとともに、液晶パネル241B(241R,241G)から射出された光束の視野角を拡大する。この第2光学変換板243Bは、図8に示すように、透明部材としての基板243B1と、この基板243B1の光束射出側端面に貼り付けられる光学変換膜としての偏光膜243B2と、基板243B1の光束入射側端面に貼り付けられる光学変換膜としての視野角補償膜243B3とを備える。
【0056】
基板243B1は、上述した基板243A1と同様のものである。なお、この基板243B1の貼付方向および貼付位置は、後述の熱伝導板245の説明と同時に説明する。
偏光膜243B2は、上述した偏光膜243A2と同様のものであるが光吸収特性が異なる。また、この偏光膜243B2は、その偏光軸が偏光膜243A2と平行となる状態で基板243B1の光束射出側端面に貼り付けられる。
視野角補償膜243B3は、液晶パネル241R,241G,241Bで生じる複屈折を補償し、液晶パネル241R,241G,241Bで形成された光学像の視野角を補正する。そして、視野角補償膜243B3により、投写画像の視野角が拡大され、かつ投写画像のコントラストが向上する。
【0057】
熱伝導板245は、アルミニウムの平板を板金加工することにより略矩形状に形成されている。そして、この熱伝導板245は、第2光学変換板243Bを支持固定するとともに、第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続し、第1光学変換板243A、および第2光学変換板243Bからの熱を伝導可能とする。この熱伝導板245は、図8に示すように、板状部材245Aと、この板状部材245Aから光束入射側に突出する突出部245Bとを備える。
板状部材245Aにおいて、略中央部分には、切削等により開口245A1が形成されている。この開口245A1の寸法は、第1光学変換板243Aの基板243A1の外形寸法と略同一か若しくは若干大きく形成され、この開口245A1に基板243A1が嵌合可能となっている。
また、板状部材245Aにおいて、上下端部が貼付部245A2となり、この貼付部245A2の光束射出端面が台座246の側面に熱伝達可能に固定される。この貼付部245A2には、上下辺縁略中央部分に開口245A1に向けて熱間挙動差吸収用の切り欠き245A3が形成されている。
【0058】
突出部245Bは、板状部材245Aにおける開口245A1の左右辺縁に位置し、該開口245A1の切り起こしの一部であり、光束入射側に突出するとともに先端部分が内側に曲折し、断面視L字状に形成されている。この突出部245Bの突出寸法は、クロスダイクロイックプリズム244に対して第1光学変換板243Aおよび熱伝導板245が設置された状態で、第1光学変換板243Aが熱伝導板245の開口245A1から突出する寸法と略同一か若しくは若干大きく形成されている。そして、この突出部245Bの断面視L字状の内側端面が第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続し、接続面245B1として機能する。また、突出部245Bにおいて、断面視L字状の光束入射端面に第2光学変換板243Bが支持固定される。
【0059】
ここで、第1光学変換板243Aは、該第1光学変換板243Aの基板243A1の光学軸が熱伝導板245の突出部245B同士が対向する方向、すなわち、左右方向に向くように、クロスダイクロイックプリズム244に貼り付けられる。
また、第2光学変換板243Bは、該第2光学変換板243Bの基板243B1の光学軸が熱伝導板245の突出部245B同士が対向する方向、すなわち、左右方向に向くように、熱伝導板245の突出部245Bに支持固定される。
この際、第1光学変換板243Aにおける偏光膜243A2の偏光軸、および第2光学変換板243Bにおける偏光膜243B2の偏光軸とは平行する状態となる。また、これら偏光膜243A2および偏光膜243B2の偏光軸は、入射側偏光板242における偏光膜の偏光軸と直交する状態となる。
【0060】
クロスダイクロイックプリズム244は、第2光学変換板243から射出され、色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する。このクロスダイクロイックプリズム244には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。
台座246は、クロスダイクロイックプリズム244の上下面(光束入射端面と直交する一対の端面)に固定される。この台座246は、図8に示すように、クロスダイクロイックプリズム244の上面に固定される上台座246Aと、クロスダイクロイックプリズム244の下面に固定される下台座246Bとを備える。
【0061】
上台座246Aは、略直方体状に形成され、外周形状はクロスダイクロイックプリズム244よりも若干小さく、側面がクロスダイクロイックプリズム244の側面よりも内側に離間して配置される。
下台座246Bは、クロスダイクロイックプリズム244の下面を支持固定するプリズム固定板246B1と、プリズム固定板246B1と接続し、光学装置本体24A全体を支持固定する支持体246B2とを備える。
プリズム固定板246B1は、略直方体状に形成され、その上面には球面状の膨出部246B3が形成されている。そして、クロスダイクロイックプリズム244とプリズム固定板246B1とは、接着剤等により固定される。この膨出部246B3により、クロスダイクロイックプリズム244の下面とプリズム固定板246B1とは点で接触することとなる。したがって、クロスダイクロイックプリズム244の4つの直角プリズムの切断精度が悪い状態であっても、クロスダイクロイックプリズム244を三次元的に位置調整することができ、クロスダイクロイックプリズム244をプリズム固定板246B1に適切に固定できる。
また、プリズム固定板246B1の下面には、図示は省略するが、位置決め突起を有する位置決め部が形成され、この位置決め部によりヘッド体26(図1、図2)の所定位置に位置付けられる。
【0062】
支持体246B2は、略矩形状の板体であり、その外形寸法は、クロスダイクロイックプリズム244の外形寸法よりも大きく形成されている。また、この支持体246B2は、図示は省略するが、略中央部分にプリズム固定板246B1を設置するための開口を有している。そして、この開口には、プリズム固定板246B1を所定位置に設置するための位置決め部を有し、プリズム固定部246B1は、支持体246B2の所定位置に設置される。この際、プリズム固定板246B1の下面が支持体246B2の開口から露出する。
この支持体246B2において、その四隅部分には、外側に拡がるように延出する延出部246B4が形成されている。また、この延出部246B4の上面には、光学装置本体24Aが組み立てられた状態で、光変調装置240の保持枠249の左右端縁に沿って延び、該保持枠249と熱伝達可能に接続する導熱部246B5が形成されている。
なお、プリズム固定板246B1と支持体246B2とを別体とせずに、一体的に構成してもよい。また、支持体246B2とヘッド体26(図1、図2)とを別体とせずに、一体的に形成する構成を採用してもよい。
【0063】
これら上台座246Aおよび下台座246Bは、マグネシウム合金で構成されている。ただし、これら上台座246Aおよび下台座246Bの材料は、マグネシウム合金に限られない。例えば、軽量で熱伝導性が良好な、Al,Mg,Tiやこれらの合金、インバーおよび42Ni−Fe等の鉄−ニッケル合金、炭素鋼、黄銅、ステンレス等の金属、または、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ等のカーボンフィラーを混入させた樹脂(ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、液晶樹脂等)を用いてもよい。
【0064】
ピンスペーサ247は、図8に示すように、略円柱形状を有し、紫外線光を透過する合成樹脂(アクリル材)から構成されている。このピンスペーサ247は、光変調装置240における保持枠249の孔249Dに挿通され、一端が熱伝導板245の光束入射端面に固定されることで、光変調装置240を熱伝導板245に支持固定する。
なお、このピンスペーサ247は、アクリル材に限らず、紫外線光を透過する他の合成樹脂で構成してもよく、その他、光学ガラス、水晶、サファイア、石英、または蛍石等にて構成してもよい。また、紫外線光を透過する材料に限らず、金属等の熱伝導率の高い部材をピンスペーサ247として採用してもよい。さらに、ピンスペーサ247の数は、4つに限らず、2つ以上あればよい。この場合、光変調装置240における保持枠249の孔249Dの数もピンスペーサ247の数に対応するように形成すればよい。
【0065】
図9は、光学装置本体24Aにおける弾性部材248の配置状態を示す図である。具体的に、図9は、光学装置本体24Aにおける液晶パネル241B側を上方から見た平面図を示している。
弾性部材248は、熱伝導性が良好でありかつ、弾性を有するゴム部材で形成され、各部材間に介装される。そして、この弾性部材248は、各部材間を熱伝達可能に接続する。この弾性部材248としては、例えば、アルミニウム、銀、またはカーボン等の金属粉を混入したゴム部材等を採用できる。この弾性部材248は、図9に示すように、第1弾性部材248Aと、第2弾性部材248Bと、第3弾性部材248Cとを備える。
【0066】
第1弾性部材248Aは、熱伝導板245の2つの貼付部245A2と、上台座246Aの側面および下台座246Bにおけるプリズム固定板246B1の側面との間に介装され、熱伝導板245および台座246を熱伝達可能に接続する。
第2弾性部材248Bは、熱伝導板245における突出部245Bの接続面245B1と第1光学変換板243Aの基板243A1との間に介装され、第1光学変換板243Aおよび熱伝導板245を熱伝達可能に接続する。
第3弾性部材248Cは、下台座246Bにおける支持体246B2の導熱部246B5と光変調装置240における保持枠249の左右側面とを接続するように配置され、光変調装置240および下台座246Bを熱伝達可能に接続する。
【0067】
上述したクロスダイクロイックプリズム244に対して、第1光学変換板243A、上台座246A、および熱伝導板245を位置決め固定する際には、以下に述べる部材設置治具100が用いられる。
【0068】
〔4〕部材設置治具100の構造
部材設置治具100は、クロスダイクロイックプリズム244に対する所定位置に、第1光学変換板243A、上台座246A、および熱伝導板245をそれぞれ位置決めする3つの治具から構成される。以下では、これら3つの治具を順次、説明する。
【0069】
〔4−1〕第1部材設置治具300の構造
先ず、図10を参照して、クロスダイクロイックプリズム244に対する所定位置に第1光学変換板243Aを位置決めする第1光学変換板設置治具としての第1部材設置治具300を説明する。
図10は、第1部材設置治具300の構造を示す斜視図である。
第1部材設置治具300は、図10に示すように、基台310と、この基台310に対する所定位置に設置可能とされる3つの位置決めプレート320とを備える。
【0070】
図11は、基台310の構造を示す分解斜視図である。
基台310は、クロスダイクロイックプリズム244およびプリズム固定板246B1が一体化されたユニットAを所定位置に載置固定するとともに、3つの位置決めプレート320(図10)を所定位置に設置する。この基台310は、図11に示すように、載置部311と、第1プレート支持部312と、第2プレート支持部313とを備える。
載置部311は、対向する一対の端面における幅方向略中央部分に凹部311Aを有し、平面視略H字状に形成されている。
この載置部311において、上面には、プリズム固定板246B1の下面に形成された図示しない位置決め突起に対応して位置決め孔311Bが形成されている。そして、この上面にてユニットAが載置固定される。
【0071】
また、この載置部311において、凹部311Aの形成されていない面一の端面には、第1プレート支持部312および第2プレート支持部313が接続する。そして、これら端面には、第1プレート支持部312および第2プレート支持部313を固定するための2つの孔311Cがそれぞれ形成されている。また、第2プレート支持部313が固定される端面には、第2プレート支持部313とともに、3つの位置決めプレート320のうちのG色光用の第1光学変換板243Aを位置決めする位置決めプレート320の下方側端部が接続する。そして、この端面には、第2プレート支持部313を固定するための図示しない2つの孔の他、位置決めプレート320を固定するための図示しない孔が形成されている。
【0072】
さらに、この載置部311において、2つの凹部311Aには、R,B色光用の第1光学変換板243Aをそれぞれ位置決めする位置決めプレート320の下方側端部が嵌合する。そして、2つの凹部311Aの底部には、R,B色光用の第1光学変換板243Aをそれぞれ位置決めする位置決めプレート320を固定するための孔311Dが形成されている。
上述したように、載置部311において、第2プレート支持部313が固定される端面、および2つの凹部311Aは、3つの位置決めプレート320と当接し、位置決めプレート320を基台310に対する所定位置に設置させる外形位置基準面として機能する。
【0073】
第1プレート支持部312は、矩形状の板体から構成されている。
この第1プレート支持部312には、表裏面を貫通してねじ314を挿通可能とする孔312Aが形成されている。そして、この孔312Aを介して載置部311の孔311Cにねじ314を螺合させることで第1プレート支持部312が載置部311の所定位置に固定される。
また、この第1プレート支持部312において、載置部311と当接する端面の上方側角隅部分には、該端面から突出し、R,B色光用の第1光学変換板243Aをそれぞれ位置決めする位置決めプレート320の端縁と当接する当接部312Bが形成されている。この当接部312Bは、位置決めプレート320と当接することで、位置決めプレート320を基台310に対する所定位置に設置させる外形位置基準面として機能する。
【0074】
第2プレート支持部313は、平面視略コ字状に形成され、コ字状の基端部分が載置部311に接続し、コ字状内側にてG色光用の第1光学変換板243Aを位置決めする位置決めプレート320を支持する。
この第2プレート支持部313において、コ字状内側は、略段付状の形状を有し、下方側の幅寸法が上方側の幅寸法よりも小さくなるように形成されている。この下方側の幅寸法は、載置部311の凹部311Aの幅寸法と略同一に形成されている。
また、この第2プレート支持部313において、コ字状の基端部分には、表裏面を貫通してねじ314を挿通可能とする孔313Aが形成されている。そして、この孔313Aを介して載置部311の図示しない孔にねじ314を螺合させることで第2プレート支持部313が載置部311の所定位置に固定される。なお、この状態では、図示は省略するが、第2プレート支持部313におけるコ字状内側を介して載置部311に形成された位置決めプレート320を固定するための図示しない孔が露出する。
さらに、この第2プレート支持部313において、コ字状端縁の先端部分には、該先端部分から突出し、3つの位置決めプレート320の端縁と当接する当接部313Bが形成されている。この当接部313Bは、上述した第1プレート支持部312の当接部312Bと同様に、位置決めプレート320と当接することで、位置決めプレート320を基台310に対する所定位置に設置させる外形位置基準面として機能する。
【0075】
図12、図13は、位置決めプレート320の構造を示す図である。
位置決めプレート320は、R,G,B色光用の3つの第1光学変換板243Aを保持するとともに、保持した状態で基台310の所定位置に設置されることで、第1光学変換板243Aを基台310に設置されたクロスダイクロイックプリズム244の所定位置に位置決めする。この位置決めプレート320は、図12または図13に示すように、プレート本体321と、押えばね322と、固定ねじ323とを備える。
プレート本体321は、板状部材で構成され、上述した基台310における載置部311の凹部311A、および第2プレート支持部313のコ字状内側の下方部分に対応するように、下方端部の幅方向略中央部分が下方側に突出する形状を有している。
【0076】
このプレート本体321において、一方の端面(裏面)には、図12に示すように、該端面から突出し、第1光学変換板243Aを保持する平面視コ字状の収納部321Aが形成されている。
この収納部321Aにおけるコ字状内側端面は、第1光学変換板243Aにおける基板243A1の左右側端面および下方側端面と当接し、第1光学変換板243Aをプレート本体321の所定位置に位置決めする。すなわち、収納部321Aにおける左右側端面および下方側端面が第1光学変換板243Aの外形位置基準面として機能する。
また、この収納部321Aの突出方向の寸法は、第1光学変換板243Aにおける基板243A1の厚み寸法よりも小さく形成されている。このため、収納部321Aに第1光学変換板243Aが収納された状態では、図13に示すように、収納部321Aの先端よりも第1光学変換板243Aの光束射出端面が突出する。
さらに、この収納部321Aには、図12または図13に示すように、第1光学変換板243Aにおける基板243A1の光束入射側端面と当接する段付部321Aを有し、第1光学変換板243Aが該収納部321Aに収納された状態では、該収納部321Aと第1光学変換板243Aにおける偏光膜243A2との間に所定の隙間が形成される。
【0077】
また、このプレート本体321において、他方の端面(表面)には、図13に示すように、内側に窪み、押えばね322を設置する凹部321Bが形成されている。この凹部321Bの底部には、表裏面を貫通して、押えばね322の一部を収納部321A側に挿通可能とする孔321Cと、押えばね322を凹部321Bに固定する固定ねじ323と螺合する孔321Dとが形成されている。
さらに、このプレート本体321において、下方側端部には、表裏面を貫通して、位置決めプレート320を載置部311に固定するねじ324(図10)を挿通可能とする孔321Eが形成されている。そして、この孔321Eを介してねじ324を載置部311の孔311D(図11)に螺合させることで位置決めプレート320が基台310に固定される。
【0078】
押えばね322は、薄い板状部材から構成されている。この押えばね322は、図12または図13に示すように、該板状部材の一部が例えば切り起こし等に形成され、板状部材の端面から突出する付勢部322Aと、付勢部322Aの上方に位置し、該押えばね322をプレート本体321の凹部321Bに固定する固定ねじ323を挿通可能とする孔322Bとを有している。
このうち、付勢部322Aは、下方側から上方側に向けて折り曲げることにより形成され、図13に示すように、凹部321Bに形成された孔321Cに挿通される。そして、この付勢部322Aは、第1光学変換板243Aが収納部321Aに収納され、押えばね322が凹部321Bに設置された状態では、第1光学変換板243Aの上方側端面を下方側に付勢する。すなわち、この押えばね322により、第1光学変換板243Aを収納部321Aの外形位置基準面に確実に当接させる。
【0079】
〔4−2〕第2部材設置治具400の構造
次に、図14を参照して、クロスダイクロイックプリズム244に対する所定位置に上台座246Aを位置決めする第2部材設置治具400を説明する。
図14は、第2部材設置治具400の構造を示す側面図である。
第2部材設置治具400は、図14に示すように、基台410と、支持部420と、トグル機構430と、上台座押圧部440とを備える。
基台410は、ユニットAおよび第1光学変換板243Aが一体化されたユニットBを所定位置に載置固定する。この基台410は、図14に示すように、載置部411と、この載置部411から立設する側面部412と、この側面部412に固定され、上台座246AをユニットBに対する所定位置に位置決めする位置決め部413とを備える。
このうち、載置部411の上面は、上述した第1部材設置治具300における載置部311と同様に、位置決め孔411Aを有し、ユニットBを載置固定する。
また、位置決め部413は、側面部412の上面に固定され、平面視略L字状の形状を有している。そして、このL字状内側面が上台座246Aと当接することで、上台座246AがユニットBに対する所定位置に位置決めされる。
【0080】
支持部420は、側面視略L字状に形成され、一方の端面が基台410の側面部412に固定され、トグル機構430および上台座押圧部440を支持する。
この支持部420において、他方の端面には、軸受け部421と、支持案内部422とが形成されている。
軸受け部421は、支持部420における他方の端面から突出し、トグル機構430を回動自在に軸支する。
支持案内部422は、上台座押圧部440を摺動自在に支持するとともに、上台座押圧部440の摺動方向を案内する。この支持案内部422は、側面視略L字状に形成され、一方の端面が支持部420に固定される。また、他方の端面には、上台座押圧部440を挿通可能とする孔422Aが形成されている。
【0081】
トグル機構430は、上台座押圧部440を支持部420における支持案内部422に対して摺動させる。このトグル機構430は、図13に示すように、ハンドル431と、ジョイント432とを備える。
ハンドル431は、支持部420の軸受け部421を中心として回動することで、ジョイント432を介して上台座押圧部440を摺動させる。このハンドル431は、一端が支持部420の軸受け部421に軸支される回動部431Aと、この回動部431Aの近傍に位置し、ジョイント432の一端と回動自在に接続する接続部431Bと、作業者により把持可能に構成される把持部431Cとを備える。
【0082】
ジョイント432は、ハンドル431の動きに連動し、ハンドル431に与えられる力を上台座押圧部440に伝達する。このジョイント432は、平面視L字状に形成され、一端がハンドル431の接続部431Bに回動自在に軸支されるとともに、他端が上台座押圧部440と回動自在に接続する。
上台座押圧部440は、略柱状に形成され、一端がジョイント432と接続する。そして、この上台座押圧部440は、ハンドル431の動きによりジョイント432を介して摺動し、他端にてユニットBに対する所定位置に設置された上台座246Aの上面を下方に押圧可能となっている。
【0083】
〔4−3〕第3部材設置治具500の構造
次に、図15または図16を参照して、クロスダイクロイックプリズム244に対する所定位置に熱伝導板245を位置決めする熱伝導板設置治具としての第3部材設置治具500を説明する。
図15、図16は、第3部材設置治具500の構造を示す図である。具体的に、図15は、第3部材設置治具500の側面を示す図であり、図16は、基台510に対する3つの位置決めプレート550の設置状態を示す断面図である。
第3部材設置治具500は、図15に示すように、基台510と、支持部520と、トグル機構530と、上台座押圧部540と、3つの位置決めプレート550とを備える。
【0084】
基台510は、ユニットBおよび上台座246Aが一体化されたユニットCを所定位置に載置固定するとともに、3つの位置決めプレート550を所定位置に設置する。この基台510は、図15に示すように、略矩形形状を有する載置部511と、この載置部511における4つの側面のうちの一方の側面から立設する側面部512と、この側面部512に固定される上面部513とを備える。
このうち、載置部511において、側面部512が固定される側面以外の3つの側面には、凹部511Aが形成されている。この凹部511Aには、3つの位置決めプレート550の下方側端部が嵌合する。そして、この凹部511Aは、位置決めプレート550の下方側端部と当接し、位置決めプレート550を基台510に対する所定位置に設置させる外形位置基準面として機能する。また、この凹部511Aの底部には、3つの位置決めプレート550を基台510に固定するための図示しない孔が形成されている。さらに、載置部511の上面には、上述した第1部材設置治具300における載置部311と同様に、図示しない位置決め孔が形成され、該上面にてユニットCを載置固定する。
【0085】
また、上面部513は、略矩形状の板体で構成されている。そして、上面部513における3方の側面は、3つの位置決めプレート550と当接し、位置決めプレート550を基台510に対する所定位置に設置させる外形位置基準面として機能する。また、この上面部513の3方の側面には、3つの位置決めプレート550を基台510に固定するための図示しない孔が形成されている。さらに、この上面部513には、表裏を貫通して、上台座押圧部540の一部を挿通可能とする孔513Aが形成されている。
なお、支持部520、トグル機構530、および上台座押圧部540は、上述した第2部材設置治具400における支持部420、トグル機構430、および上台座押圧部440と同様の構造であり、同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0086】
位置決めプレート550は、R,G,B色光用の3つの第2光学変換板243Bが貼り付けられた3つの熱伝導板245を保持するとともに、保持した状態で基台510の所定位置に設置されることで、第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245を基台510に設置されたユニットCの所定位置に位置決めする。この位置決めプレート550は、図15または図16に示すように、プレート本体551と、押圧部552とを備える。
プレート本体551は、略矩形状の板状部材で構成され、図15に示すように、下方端部の幅方向略中央部分が上述した基台510における載置部511の凹部511Aに対応するように、下方側に突出する形状を有し、第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245を保持する。
【0087】
このプレート本体551において、一方の端面(裏面)には、図15または図16に示すように、内側に窪み、第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245のうち、第2光学変換板243Bが貼り付けられた突出部245Bを収納支持する収納部551Aが形成されている。
この収納部551Aは、熱伝導板245における突出部245Bの外周寸法と略同一の寸法を有し、平面視略矩形状に形成されている。この収納部551Aには、上下の端面に沿って段付部551A1(図15)が形成され、この段付部551A1に突出部245Bの上下端部における光束入射側端面が当接する。すなわち、収納部551Aにおける上下左右の端面および段付部551A1が第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245の外形位置基準面として機能する。なお、図示は省略するが、この段付部551A1により、第2光学変換板243Bが貼り付けられた熱伝導板245が収納部551Aに収納された状態では、第2光学変換板243Aにおける視野角補償膜243B3と収納部551Aとの間に所定の隙間が形成される。
【0088】
また、このプレート本体551において、他方の端面(表面)には、図15または図16に示すように、内側に窪み、押圧部552を設置する凹部551Bが形成されている。
この凹部551Bは、収納部551Aの裏側に位置し、収納部551Aに収納される突出部245Bに貼り付けられた第2光学変換板243Bの外周寸法と略同一に形成されている。この凹部551Bにおいて、四隅部分には、収納部551Aに向けて貫通し、押圧部552の後述する押圧ピン552Cを挿通可能とする孔551B1(図16)が形成されている。また、この凹部551Bにおいて、幅方向略中央部分には、上下に並列し、押圧部552の後述する押圧ねじ552Bと螺合可能とする2つのねじ孔551B2が形成されている。
【0089】
さらに、このプレート本体551において、上方側端部および下方側端部には、表裏面を貫通して位置決めプレート550を基台510における上面部513および載置部511に固定する図示しないねじを挿通可能とする図示しない孔が形成されている。そして、この孔を介してねじ560(図15)を上面部513の側面に形成された図示しない孔および載置部511の側面に形成された図示しない孔に螺合させることで位置決めプレート550が基台510に固定される。
【0090】
押圧部552は、プレート本体551の収納部551Aに収納された第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245を基台510に設置されたユニットC側に押圧する。この押圧部552は、図15または図16に示すように、押圧板552Aと、2つの押圧ねじ552Bと、4つの押圧ピン552C(図16)とを備える。
押圧板552Aは、略矩形状の板体で構成され、凹部551Bの外周寸法と略同一に形成されている。この押圧板552Aの幅方向略中央部分には、上下に並列し、押圧ねじ552Bを挿通可能とする2つの孔552A1が形成されている。
【0091】
押圧ねじ552Bは、押圧板552Aの孔552A1に遊嵌配置され、プレート本体551の凹部551Bに形成されたねじ孔551B2と螺合する。そして、押圧ねじ552Bの螺合状態を変更することで、押圧板552Aを凹部551Bの厚み方向に進退移動させる。
押圧ピン552Cは、略柱状に形成され、一端が押圧板552Aにおけるプレート本体551に対向する端面の四隅部分に固定されている。そして、押圧ねじ552Bの螺合状態の変更による押圧板552Aの進退移動により、押圧ピン552Cの他端がプレート本体551の収納部551Aに収納された第2光学変換板243Bの基板243B1の四隅部分を押圧可能に構成されている。
【0092】
〔5〕光学装置本体24Aの製造方法
次に、図17を参照して、光学装置本体24Aの製造方法を説明する。なお、説明にあたり適宜、図7ないし図16を参照する。
図17は、光学装置本体24Aの製造方法を説明するためのフローチャートである。
先ず、下台座246Bにおけるプリズム固定板246B1にクロスダイクロイックプリズム244を固定してユニットAを組み立てる(処理S1:台座固定工程)。このユニットAの組み立ては、図18に示すフローチャートにしたがって実施される。
具体的に、プリズム固定板246B1を所定位置に設置し、プリズム固定板246B1の膨出部246B3に紫外線硬化型接着剤を塗布する(処理S11)。
処理S11の後、図示しないプリズム位置調整用治具を用いて、接着剤が塗布された膨出部246B3上にクロスダイクロイックプリズム244を設置する(処理S12)。
【0093】
処理S12の後、図示しないプリズム位置調整用治具を用いて、クロスダイクロイックプリズム244の位置調整を実施する(処理S13)。例えば、白色レーザ光をクロスダイクロイックプリズム244の三方の光束入射端面に照射し、光束射出端面から射出される光束に基づいてプリズム固定板246B1に対してクロスダイクロイックプリズム244を位置調整してもよい。また、例えば、クロスダイクロイックプリズム244の上面を撮像し、この撮像されたクロスダイクロイックプリズム244の上面の画像に基づいてクロスダイクロイックプリズム244をプリズム固定板246B1に対して位置調整してもよい。
【0094】
処理S13において、プリズム固定板246B1に対するクロスダイクロイックプリズム244の位置調整を実施した後、クロスダイクロイックプリズム244の下面とプリズム固定板246B1の膨出部B3との間に充填された紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射して硬化させる(処理S14)。
以上のような工程にて、ユニットAが組み立てられる。
【0095】
次に、処理S1において組み立てられたユニットAに対して、第1光学変換板243Aを位置決め固定し、ユニットBを組み立てる(処理S2:第1光学変換板固定工程)。このユニットBの組み立ては、図19に示すフローチャートにしたがって実施される。
具体的に、図11に示すように、ユニットAにおけるプリズム固定板246B1の下面に形成された図示しない位置決め突起を第1部材設置治具300における基台310の載置部311に形成された位置決め孔311Bに嵌合させ、ユニットAを基台310の所定位置に設置する(処理S21:色合成光学装置固定手順)。
【0096】
処理S21の後、図12または図13に示すように、押えばね322をプレート本体321の凹部321Bに設置し、押えばね322の付勢部322Aをたわませて開いた状態で、基板243A1の光束射出端面の所定位置に偏光膜243A2が貼り付けられた3つの第1光学変換板243Aを、3つの位置決めプレート320におけるプレート本体321の収納部321Aにそれぞれ収納する(処理S22:第1光学変換板保持手順)。そして、ねじ323により、押えばね322をプレート本体321の凹部321Bに固定する。この状態では、押えばね322の付勢部322Aにより第1光学変換板243Aの上方側端面が下方側に付勢され、第1光学変換板243Aの外周端面が収納部321Aの外形位置基準面に当接する。
処理S22の後、基台310上に設置されたユニットAにおけるクロスダイクロイックプリズム244の光束入射端面略中央部分に紫外線硬化型接着剤を塗布する(処理S23)。
【0097】
処理S22において第1光学変換板243Aがプレート本体321における収納部321Aの所定位置に収納保持された3つの位置決めプレート320を基台310に設置する(処理S24:プレート設置手順)。
具体的に、図10に示すように、プレート本体321の下方側端部が、基台310における2つの凹部311Aおよび第2プレート支持部313のC字状内側における下方側端部にそれぞれ嵌合するように基台310に設置する。そして、ねじ324をプレート本体321の孔321Eを介して載置部311の孔311Dに螺合させて位置決めプレート320を基台310に固定する。
この状態では、3つの位置決めプレート320は、載置部311の側面、第1プレート支持部312の当接部312B、および第2プレート支持部313の当接部313Bと当接し、基台310に対する所定位置に設置されている。すなわち、位置決めプレート320に収納保持された第1光学変換板243Aは、ユニットAに対する所定位置に位置決めされた状態である。
【0098】
処理S21〜S24の工程によりユニットAおよび第1光学変換板243Aを保持した第1部材設置治具300をUV(Ultra Violet)硬化炉にいれ、ユニットAにおけるクロスダイクロイックプリズム244と第1光学変換板243Aにおける基板243A1との間に介在する紫外線硬化型接着剤を硬化させる(処理S25:第1光学変換板位置固定手順)。
以上のような工程にて、ユニットBが組み立てられる。
【0099】
次に、処理S2において組み立てられたユニットBに対して、上台座246Aを位置決め固定し、ユニットCを組み立てる(処理S3)。このユニットCの組み立ては、図20に示すフローチャートにしたがって実施される。
具体的に、図14に示すように、ユニットBにおけるプリズム固定板246B1の下面に形成された図示しない位置決め突起を第2部材設置治具400における基台410の載置部411に形成された位置決め孔411Aに嵌合させ、ユニットBを基台410の所定位置に設置する(処理S31)。
処理S31の後、ユニットBにおけるクロスダイクロイックプリズム244の上面に嫌気性接着剤を塗布する(処理S32)。
【0100】
処理S32の後、図14に示すように、上台座246Aの側面を基台410における位置決め部413のL字状内側面に当接するように、ユニットBにおけるクロスダイクロイックプリズム244の上面に上台座246Aを設置する(処理S33)。この状態では、位置決め部413により、ユニットBに対する所定位置に上台座246Aが位置決めされる。
処理S33の後、図14に示すように、第2部材設置治具400のトグル機構430を操作し、上台座押圧部440を下方に移動させ、該上台座押圧部440により上台座246AをユニットBに対して押圧して固定する(処理S34)。
処理S31〜S34の工程によりユニットBおよび上台座246Aを保持した第2部材設置治具400を乾燥機内に放置し(例えば、65℃の雰囲気内に15分)、上台座246Aとクロスダイクロイックプリズム244との間に介在する嫌気性接着剤を硬化させる(処理S35)。
以上のような工程にて、ユニットCが組み立てられる。
【0101】
次に、処理S3において組み立てられたユニットCに対して、第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245を位置決め固定し、ユニットDを組み立てる(処理S4:熱伝導板固定工程)。このユニットDの組み立ては、図21に示すフローチャートにしたがって実施される。
具体的に、図15に示すように、ユニットCにおけるプリズム固定板246B1の下面に形成された図示しない位置決め突起を第3部材設置治具500における基台510の載置部511に形成された図示しない位置決め孔に嵌合させ、ユニットCを基台510の所定位置に設置する(処理S41:色合成光学装置固定手順)。
【0102】
処理S41の後、図15に示すように、第3部材設置治具500のトグル機構530を操作し、上台座押圧部540を下方に移動させ、該上台座押圧部540によりユニットCを基台510の載置部511に対して押圧して固定する(処理S42)。
処理S42の後、3つの第2光学変換板243Bにおける熱伝導板245との接合部の両面テープ貼り付け保護紙を剥離した状態で、これら第2光学変換板243Bを位置決めプレート550の所定位置に設置する(処理S43)。
処理S43の後、熱伝導板245を第3部材設置治具500の3つの位置決めプレート550にそれぞれ設置する。このとき、第2光学変換板243Bと熱伝導板245とが両面テープにより接合される(処理S44:熱伝導板保持手順)。この状態では、収納部551Aにおける上下左右の端面および段付部551A1が熱伝導板245の突出部245Bと当接し、熱伝導板245が位置決めプレート550の所定位置に設置される。
【0103】
処理S44において位置決めプレート550に設置された熱伝導板245の貼付部245A2の光束射出側端面、および突出部245Bの接続面245B1に嫌気性接着剤を塗布する(処理S45)。
処理S45の後、弾性部材248をユニットCの所定位置に貼り付ける(処理S46)。
具体的に、第1弾性部材248AをユニットCにおける上台座246Aの3つの側面およびプリズム固定板246B1の3つの側面に貼り付ける。また、第2弾性部材248BをユニットCにおける第1光学変換板243Aの光束入射側端面の4つの角部分に貼り付ける。
【0104】
処理S44において第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245を収納保持した位置決めプレート550を基台510に設置する(処理S47:プレート設置手順)。
具体的に、図15に示すように、プレート本体551の下方側端部が、基台510における載置部511の3つの凹部511Aにそれぞれ嵌合するように基台510に設置する。そして、ねじ560をプレート本体551の図示しない孔を介して基台510における上面部513の側面に形成された図示しない孔、および載置部511の側面に形成された図示しない孔に螺合させて位置決めプレート550を基台510に固定する。
この状態では、3つの位置決めプレート550は、下方側端部が載置部511の3つの凹部511Aと当接した状態であり、基台510に対する所定位置に設置された状態となる。すなわち、位置決めプレート550に収納保持された第2光学変換板243Bおよび熱伝導板245は、ユニットCに対する所定位置に位置決めされた状態である。
【0105】
処理S47において基台510に位置決めプレート550を設置した後、図15または図16に示すように、位置決めプレート550の押圧部552を操作し、該押圧部552の押圧ピン552Cにより位置決めプレート550の収納部551Aに収納された第2光学変換板243Bの基板243B1の四隅部分をユニットCに対して押圧する(処理S48:弾性部材押圧手順)。この押圧により、図15に示すように、熱伝導板245もユニットCに対して押圧され、熱伝導板245の貼付部245A2と、ユニットCにおける上台座246Aおよびプリズム固定板246B1の間に介在する第1弾性部材248Aが圧縮される。また、図16に示すように、熱伝導板245の接続面245B1とユニットCにおける第1光学変換板243Aとの間に介在する第2弾性部材248Bも圧縮される。そして、圧縮された第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bは、各部材に密着する。
【0106】
処理S41〜S48の工程によりユニットC、および第2光学変換板243Bが貼り付けられた熱伝導板245を保持した第3部材設置治具500を乾燥機内に放置し(例えば、65℃の雰囲気内に15分)、熱伝導板245の貼付部245A2、および、熱伝導板245の接続面245B1と、第1光学変換板243Aとの間に介在する嫌気性接着剤を硬化させる(処理S49:熱伝導板位置固定手順)。
以上のような工程にて、ユニットDが組み立てられる。
【0107】
次に、ピンスペーサ247の外周に紫外線硬化型接着剤を塗布する(処理S5)。
処理S5において接着剤が塗布されたピンスペーサ247を光変調装置240における保持枠249の孔249Dに挿通し、一端をユニットDにおける熱伝導板245の貼付部245A2の光束入射端面に装着して光変調装置240をユニットDに設置する(処理S6)。
処理S6の後、ピンスペーサ247と熱伝導板245との間、およびピンスペーサ247と光変調装置240における保持枠249の孔249Dとの間の紫外線硬化型接着剤が未硬化な状態で、光変調装置240(液晶パネル241R,241G,241B)の位置調整を実施する(処理S7)。
処理S7において、光変調装置240の位置調整を実施した後に、紫外線硬化型接着剤を硬化させて固定する(処理S8)。
すなわち、処理S6〜S8の工程が、本発明に係る光変調装置固定工程に相当する。
【0108】
なお、処理S7およびS8における光変調装置240(液晶パネル241R,241G,241B)の位置調整および位置固定は、例えば、以下のように実施する。
先ず、投写レンズ3(図1、図2)と正対する光変調装置240(液晶パネル241G)について、ピンスペーサ247と光変調装置240における保持枠249の孔249Dとの接合部、すなわち、ピンスペーサ247に対して光変調装置240を摺動させることによって、フォーカス調整を実施し、熱伝導板245の貼付部245A2の光束入射端面とピンスペーサ247との接合面を摺動面としてアライメント調整を実施する。ここで、フォーカス調整とは、Z軸方向と、X軸を中心とした回転方向(Xθ方向)と、Y軸を中心とした回転方向(Yθ方向)の調整を意味する。アライメント調整とは、投写レンズ3の光軸方向をZ方向、これに直交する2軸をX,Y軸とした場合、X軸方向と、Y軸方向と、XY平面内の回転方向(θ方向)の調整を意味する。
【0109】
そして、所定の位置に光変調装置240(液晶パネル241G)を調整した後、光束入射側から保持枠249の孔249Dに向けて紫外線を照射する。そして、照射された紫外線は、ピンスペーサ247内を通過し、ピンスペーサ247と熱伝導板245の貼付部245A2の光束入射端面との間に介在する紫外線硬化型接着剤、およびピンスペーサ247と保持枠249の孔249Dとの間に介在する紫外線硬化型接着剤を硬化する。
次に、位置調整と固定が完了した光変調装置240(液晶パネル241G)を基準として、上記と同様に、その他の光変調装置240(液晶パネル241R,241B)の位置調整および固定を実施する。
【0110】
処理S1〜S8の工程により組み立てられたユニットにおけるプリズム固定板246B1に支持体246B2を設置する(処理S9)。この際、支持体246B2の導熱部246B5と光変調装置240における保持枠249の左右端縁との間に、第3弾性部材248Cが介在するように支持体246B2をプリズム固定板246B1に設置する。
以上のような工程により光学装置本体24Aが製造される。
【0111】
〔6〕実施形態の効果
(1)光学装置24は、熱伝導板245を備え、この熱伝導板245は、クロスダイクロイックプリズム244の光束入射端面に貼り付けられた第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続する。また、この熱伝導板245は、貼付部245A2の光束射出側端面により台座246の側面に熱伝達可能に接続する。このことにより、光源装置211からの光束の照射により偏光膜243A2に発生した熱を基板243A1〜クロスダイクロイックプリズム244〜台座246の熱伝達経路の他、基板243A1〜熱伝導板245〜台座246の熱伝達経路を辿って放熱できる。
【0112】
(2)第1光学変換板243Aは、クロスダイクロイックプリズム244の光束入射端面に貼り付けられた状態で十分に放熱可能となるので、基板243A1のサイズを大きくして台座246と接続させる必要がない。したがって、基板243A1のサイズの増加による光学装置24のコスト増加を回避できる。
(3)光学装置24は、台座246を構成する下台座246Bの支持体246B2を介してマグネシウム合金から構成されるヘッド体26に載置固定される。また、ヘッド体26は、アルミニウムから構成されるライトガイド25に固定される。このことにより、基板243A1〜熱伝導板245〜台座246の熱伝達経路を辿った熱は、さらにヘッド体26〜ライトガイド25に伝達される。したがって、光学装置24に熱が篭ることがなく、光学装置24の放熱特性を向上できる。
【0113】
(4)熱伝導板245は、断面視L字形状を有する突出部245Bを備え、この突出部245Bは、板状部材245Aに形成された開口245A1の左右辺縁に位置する。そして、この突出部245Bは、断面視L字形状の内側面である接続面245B1にて第1光学変換板243における光束入射側端面の左右端部と熱伝達可能に接続する。このことにより、熱伝導板245と第1光学変換板243Aとの接続する面積を確実に確保でき、第1光学変換板243Aにおける偏光膜243A2の放熱特性をさらに向上できる。
【0114】
(5)突出部245Bは、断面視L字形状の光束入射側端面にて第2光学変換板243Bを支持固定するので、第2光学変換板243Bを支持固定する支持板を別途設ける必要がなく、光学装置24の小型化を図れる。また、第2光学変換板243Bにおける偏光膜243B2および視野角補償膜243B3に発生する熱も熱伝導板245を介して放熱できる。さらに、光変調装置240の後段に、第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bを設けることで、光学装置24にて良好な光学像を形成できる。
【0115】
(6)第2光学変換板243Bは、1つの基板243B1の光束入射側端面および光束射出側端面のそれぞれに視野角補償膜243B3および偏光膜243B3が貼り付けられて構成されているので、2つの視野角補償膜243B3および偏光膜243B3のそれぞれに基板を設ける必要がなく、光学装置24の製造コストをさらに低減できる。
(7)第1光学変換板243Aの基板243A1、および第2光学変換板243Bの基板243B1は、光学結晶材料である水晶から構成される。そして、これら基板243A1および基板243B1は、その光学軸が対向する突出部245Bの方向に向くように固定される。このことにより、熱伝導率が比較的高い光学軸方向に沿って突出部245Bに熱が伝達されるので、第1光学変換板243Aにおける偏光膜243A2、第2光学変換板243Bにおける視野角補償膜243B3および偏光膜243B3の放熱特性をさらに向上できる。
(8)熱伝導板245は、アルミニウム、マグネシウム、または鉄などの平板を板金加工することにより形成されているので、該熱伝導板245を製造するにあたって、さらに容易に製造でき、光学装置24の製造コストをさらに低減できる。
【0116】
(9)熱伝導板245の貼付部245A2と台座246の側面とが第1弾性部材248Aにより接続されているので、熱による各部材の寸法変化(膨張、収縮)を第1弾性部材248Aにて吸収できる。したがって、熱伝導板245および台座246の接続状態を保持でき、画素ずれ等を防止し、光学装置24にて良好な光学像を形成できる。
(10)熱伝導板245の接続面245B1と第1光学変換板243Bとが第2弾性部材248Bにより接続されているので、熱による各部材の寸法変化(膨張、収縮)を第2弾性部材248Bにて吸収できる。したがって、熱により熱伝導板245および第1光学変換板243Aに寸法変化が生じた場合でも、熱伝導板245および第1光学変換板243Aとの機械的干渉を回避でき、第1光学変換板243Aの機能的信頼性を確保できる。
【0117】
(11)第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bは、熱伝導性を有しているので、熱伝導板245から台座246、および、第1光学変換板243Aから熱伝導板245への放熱特性を改善し、第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bにおける光学変換膜243A2,243B2,243B3の冷却効率を向上させることができる。
(12)第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243B等による熱で、第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248B自体が熱膨張し、第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bの各部材に対する密着性がさらに向上し、第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bにおける光学変換膜243A2,243B2,243B3の放熱特性をさらに向上できる。
【0118】
(13)熱伝導板245は、ピンスペーサ247を介して光変調装置240を支持固定するので、スペーサを介してクロスダイクロイックプリズム244に直接、支持固定される構成と比較して、クロスダイクロイックプリズム244の小型化を図れ、ひいては光学装置24の小型化を図れる。
(14)台座246における下台座246Bは、プリズム固定板246B1と支持体246B2とを備えている。そして、この支持体246B2には、導熱部246B5が形成され、この導熱部246B5は、第3弾性部材248Cを介して光変調装置240と熱伝達可能に接続する。このことにより、光変調装置240〜導熱部246B5(台座246)の熱伝達経路を確保でき、光学装置24の放熱特性をさらに向上できる。
【0119】
(15)第1部材設置治具300および第3部材設置治具500は、それぞれ基台310,510および位置決めプレート320,550を備えているので、基台310,510に対して位置決めプレート320,550を固定するだけで、ユニットAに対する第1光学変換板243Aの位置決め、およびユニットCに対する熱伝導板245の位置決めを容易に実施できる。
(16)第3部材設置治具500の位置決めプレート550は、押圧部552を有し、熱伝導板245をユニットCに対して固定する際に、押圧部552を操作することで熱伝導板245に貼り付けられた第2光学変換板243Bの基板243B1をユニットCに対して押圧しながら固定する。このことにより、第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bの各部材に対する密着性が向上し、第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bにおける光学変換膜243A2,243B2,243B3の放熱特性を向上できる。また、
【0120】
(17)ライトガイド25を構成する下ライトガイド251および上ライトガイド252は、熱伝導板245と同様に、アルミニウムまたはマグネシウムの平板を板金加工するか、またはアルミニウム、マグネシウムのダイキャスト成型することにより形成される。このことにより、光学装置24およびライトガイド25の製造コストを低減でき、ひいては光学ユニット2の製造コストを低減できる。
(18)プロジェクタ1は、上述した低コストの光学装置24を備えているので、該プロジェクタ1自体の製造コストも低減できる。また、プロジェクタ1は、上述した放熱特性の良好な光学装置24を備えているので、画素ずれのない良好な光学像をスクリーンに投写できる。さらに、光源装置211から射出される光束の輝度を高く設定でき、鮮明な光学像をスクリーンに投写できる。さらにまた、冷却ユニットを構成するファン等の冷却能力を強化する必要がないから、プロジェクタ1の省エネルギ化、静音化、および小型化も図れる。
【0121】
〔7〕実施形態の変形
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
前記実施形態では、光学変換膜として偏光膜を挙げて説明したが、これに限らず、位相差膜、色補正膜、または視野角補正膜等を採用した構成としてもよい。
前記実施形態では、熱伝導板245は、アルミニウムから構成されていたが、これに限らず、電気亜鉛メッキ鋼板等にて構成してもよく、射出成型等による成型により形成される合成樹脂製、インバー等の鉄−ニッケル合金、Mg合金、Al合金等の成型品から構成してもよい。
【0122】
前記実施形態では、熱伝導板245は、突出部245Bを備え、この突出部245Bの接続面245B1により第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続していたが、これに限らない。熱伝導板245は、第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続していればよく、熱伝導板245と第1光学変換板243Aとの接続構造は、特に限定されない。
例えば、熱伝導板245から突出部245Bを省略し、熱伝導板245の開口245A1の周縁と第1光学変換板243Aの外周端面とを熱伝達可能に接続する構成を採用してもよい。このような構成では、熱伝導板245の製造を容易にし、製造コストを低減できる。
また、例えば、熱伝導板245の突出部245Bを開口245A1の左右辺縁に限らず、開口245A1の周縁全体にかけて形成する構成を採用してもよい。このような構成では、熱伝導板245と第1光学変換板243Aとの接続面積を大きくすることができ、第1光学変換板243Aから熱伝導板245への放熱特性をさらに向上できる。
【0123】
前記実施形態では、熱伝導板245の突出部245Bは、第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続するとともに、第2光学変換板243Bを支持固定する構成であったが、これに限らない。
例えば、突出部245Bを、第1光学変換板243Aと熱伝達可能に接続する第1突出部、および第2光学変換板243Bを支持固定する第2突出部の2つに分けて形成してもよい。また、この第1突出部を開口245A1の上下辺縁および左右辺縁のいずれか一方に形成し、第2突出部を開口245A1の上下辺縁および左右辺縁のいずれか他方に形成してもよい。
【0124】
前記実施形態では、熱伝導板245と台座246との間、および熱伝導板245と第1光学変換板243Aとの間に第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bが介在する構成であったが、これに限らない。例えば、これら第1弾性部材248Aおよび第2弾性部材248Bを省略し、熱伝導板245および台座246、熱伝導板245および第1光学変換板243Aを直接、接続する構成を採用してもよい。このような構成では、部材の省略から、光学装置24の製造を容易にし、製造コストの低減を図れる。
【0125】
前記実施形態では、下台座246Bにおける支持体246B2は、導熱部246B5を有し、第3弾性部材248Cを介して光変調装置240の保持枠249と熱伝達可能に接続されている構成を説明したが、これに限らない。例えば、導熱部246B5を光変調装置240の他、熱伝導板245の左右辺縁と熱伝達可能に接続してもよい。このような構成では、熱伝導板245〜導熱部246B5の熱伝達経路を確保できるので、第1光学変換板243Aおよび第2光学変換板243Bの放熱特性をさらに向上させることができる。
【0126】
前記実施形態では、台座246は、上台座246Aおよび下台座246Bを備えた構成を説明したが、上台座246Aおよび下台座246Bのうちのいずれか一方のみで構成してもよい。
前記実施形態では、光学装置24を製造する際に、第1部材設置治具300、第2部材設置治具400、および第3部材設置治具500を用いていたが、これら部材設置治具300,400,500の構造は、これに限らない。
前記実施形態では、第3部材設置治具500における押圧部552は、押圧板552A、押圧ねじ552B、および押圧ピン552Cで構成されていたが、これに限らず、熱伝導板245を台座246に対して押圧する構成であれば、他の構成であっても構わない。
また、前記実施形態において、光学装置24の製造方法は、図17ないし図21に示す方法に限らない。
【0127】
前記実施形態において、ライトガイド25の形状および構成は、上述した形状および構成に限らない。例えば、ライトガイド25は、固体状の部材である位置決め部材253を具備し、光学部品212〜215,221〜223,231〜234を、該位置決め部材253とともにライトガイド25に対して固定する構成を説明したが、これに限らず、例えば、位置決め部材を液状の部材から構成する。例えば、この液状の位置決め部材としては、光硬化型接着剤または熱硬化型接着剤等の接着剤を採用できる。そして、例えば、下ライトガイド251の部品収納部251B、または上ライトガイド252に光学部品212〜215,221〜223,231〜234と当接する部分を形成しておく。そして、この当接部分に光硬化型接着剤、または熱硬化型接着剤を塗布して光学部品212〜215,221〜223,231〜234を当接させ、外部の光軸調整治具等を用いて光学部品212〜215,221〜223,231〜234の位置調整を実施する。この際、光学部品212〜215,221〜223,231〜234は、光硬化型接着剤、または熱硬化型接着剤の表面張力によりライトガイド25に対して所定位置で位置決めされる。この後、光硬化型接着剤、または熱硬化型接着剤を硬化させて光学部品212〜215,221〜223,231〜234をライトガイド25に対して固定する。このような構成では、光学部品212〜215,221〜223,231〜234がライトガイド25に収納された状態で、固体状の位置決め部材253を省略できるので、光学ユニット2の軽量化を図れる。
【0128】
前記実施形態では、光学装置本体24Aの製造に、紫外線硬化型接着剤および嫌気性接着剤を用いていたが、これに限らない。紫外線硬化型接着剤および嫌気性接着剤の他、熱硬化型接着剤を用い、位置固定時にホットエア等により硬化させる構成を採用してもよい。
前記実施形態では、3つの光変調装置を用いたプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、2つの光変調装置を用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の光変調装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の光変調装置を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の光変調装置を用いてもよい。
前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投写を行なうフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投写を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光学装置を備えたプロジェクタの構造を示す斜視図。
【図2】前記実施形態における光学ユニットの内部構造を模式的に示す平面図。
【図3】前記実施形態における下ライトガイドの構造を示す斜視図。
【図4】前記実施形態におけるレンズの保持構造を説明するための図。
【図5】前記実施形態におけるダイクロイックミラーの保持構造を説明するための図。
【図6】前記実施形態における反射ミラーの保持構造を説明するための図。
【図7】前記実施形態における光学装置本体の概略構成を示す全体斜視図。
【図8】前記実施形態における光学装置本体の構造を示す分解斜視図。
【図9】前記実施形態における光学装置本体の弾性部材の配置状態を示す図。
【図10】前記実施形態における第1部材設置治具の構造を示す斜視図。
【図11】前記実施形態における第1部材設置治具の基台の構造を示す分解斜視図。
【図12】前記実施形態における第1部材設置治具の位置決めプレートの構造を示す図。
【図13】前記実施形態における第1部材設置治具の位置決めプレートの構造を示す図。
【図14】前記実施形態における第2部材設置治具の構造を示す側面図。
【図15】前記実施形態における第3部材設置治具の構造を示す図。
【図16】前記実施形態における第3部材設置治具の構造を示す図。
【図17】前記実施形態における光学装置本体の製造方法を説明するためのフローチャート。
【図18】前記実施形態における光学装置本体の製造方法を説明するためのフローチャート。
【図19】前記実施形態における光学装置本体の製造方法を説明するためのフローチャート。
【図20】前記実施形態における光学装置本体の製造方法を説明するためのフローチャート。
【図21】前記実施形態における光学装置本体の製造方法を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
1・・・プロジェクタ、3・・・投写レンズ(投写光学装置)、24・・・光学装置、211・・・光源装置、100・・・部材設置治具、240・・・光変調装置、243A・・・第1光学変換板、243A1・・・基板(透明部材)、243A2・・・偏光膜(光学変換膜)、243B・・・第2光学変換板、243B1・・・基板(透明部材)、243B2・・・視野角補償膜(光学変換膜)、243B3・・・偏光膜(光学変換膜)、244・・・クロスダイクロイックプリズム(色合成光学装置)、245・・・熱伝導板、245A1・・・開口、245B・・・突出部、245B2・・・接続面、246・・・台座、246B5・・・導熱部、247・・・ピンスペーサ、248・・・弾性部材、300・・・第1部材設置治具(第1光学変換板設置治具)、310・・・基台、320・・・位置決めプレート、500・・・第3部材設置治具(熱伝導板設置治具)、510・・・基台、550・・・位置決めプレート、552・・・押圧部、S1・・・台座固定工程、S2・・・第1光学変換板固定工程、S4・・・熱伝導板固定工程、S6〜S8・・・光変調装置固定工程、S21,S41・・・色合成光学装置固定手順、S22・・・第1光学変換板保持手順、S24,S47・・・プレート設置手順、S25・・・第1光学変換板位置固定手順、S44・・・熱伝導板保持手順、S48・・・弾性部材押圧手順。
Claims (14)
- 複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記光変調装置で変調された各色光を合成して射出する色合成光学装置とを備えた光学装置であって、
前記色合成光学装置の光束入射端面と交差する一対の端面のうち、少なくともいずれか一方の端面に固定され、熱伝導性材料からなる台座と、
前記色合成光学装置の光束入射端面に貼り付けられる熱伝導性材料からなる透明部材、およびこの透明部材に貼り付けられ、前記光変調装置から射出される光束の光学特性を変換する光学変換膜を有する第1光学変換板と、
光束を通過可能とする開口を有し、前記台座の側面に固定され、前記第1光学変換板と熱伝達可能に接続する熱伝導性材料からなる熱伝導板とを備えていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1に記載の光学装置において、
前記熱伝導板には、前記開口周縁から光束入射側に突出するとともに、先端部分が内側に曲折し、断面視L字形状を有する突出部が形成され、
前記突出部の断面視L字形状の内側端面は、前記光学変換板と熱伝達可能に接続する接続面として構成されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1または請求項2に記載の光学装置において、
前記光変調装置から射出される光束の光学特性を変換する光学変換膜、およびこの光学変換膜が貼り付けられ、熱伝導性材料からなる透明部材を有する第2光学変換板を備え、
前記熱伝導板には、前記開口周縁から光束入射側に突出するとともに、先端部分が内側に曲折し、断面視L字形状を有する突出部が形成され、
前記突出部は、断面視L字形状の光束入射側端面にて前記第2光学変換板を支持固定することを特徴とする光学装置。 - 請求項3に記載の光学装置において、
前記第2光学変換板は、2つの前記光学変換膜を有し、前記透明部材の光束入射側端面および光束射出側端面にそれぞれ前記光学変換膜が貼り付けられて構成されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項2から請求項4のいずれかに記載の光学装置において、
前記突出部は、前記開口の上下辺縁または左右辺縁に形成され、
前記第1光学変換板の透明部材および/または前記第2光学変換板の透明部材は、光学結晶材料から構成され、その光学軸が対向する前記突出部の方向に向くように前記色合成光学装置の光束入射側端面および/または前記突出部の光束入射側端面に支持固定されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項2から請求項5のいずれかに記載の光学装置において、
前記熱伝導板は、板金加工により形成され、
前記突出部は、前記熱伝導板の一部を切り起こすことにより形成されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の光学装置において、
前記熱伝導板と、前記台座および/または前記第1光学変換板との間には、熱伝導性の弾性部材が介装されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の光学装置において、
前記熱伝導板は、スペーサを介して前記光変調装置を支持固定することを特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項8のいずれかに記載の光学装置において、
前記台座は、前記熱伝導板の左右端縁に沿って垂設される導熱部を有し、
前記導熱部は、前記熱伝導板および/または前記光変調装置と熱伝達可能に接続することを特徴とする光学装置。 - 複数の色光を色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記光変調装置で変調された各色光を合成して射出する色合成光学装置とを備えた光学装置の製造方法であって、
前記光学装置は、熱伝導性材料からなる台座と、熱伝導性材料からなる透明部材、およびこの透明部材に貼り付けられ、前記光変調装置から射出される光束の光学特性を変換する光学変換膜を有する第1光学変換板と、光束を通過可能とする開口を有し、熱伝導性材料からなる熱伝導板とを備え、
前記色合成光学装置の光束入射端面と交差する一対の端面のうち、少なくともいずれか一方の端面に前記台座を位置決め固定する台座固定工程と、
部材設置治具を用いて前記色合成光学装置の光束入射端面に前記第1光学変換板を位置決め固定する第1光学変換板固定工程と、
前記部材設置治具を用いて前記第1光学変換板と熱伝達可能に接続させるとともに前記台座の側面に前記熱伝導板を位置決め固定する熱伝導板固定工程と、
前記色合成光学装置に対して前記光変調装置を位置決め固定する光変調装置固定工程とを備えていることを特徴とする光学装置の製造方法。 - 請求項10に記載の光学装置の製造方法において、
前記部材設置治具は、前記色合成光学装置の光束入射端面に前記第1光学変換板を位置決めする第1光学変換板設置治具を有し、
前記第1光学変換板設置治具は、前記台座が位置決め固定された色合成光学装置を載置固定する基台と、前記第1光学変換板を保持するとともに、前記基台の所定位置に位置決め固定される位置決めプレートとを備え、
前記第1光学変換板固定工程は、前記基台に前記台座が位置決め固定された色合成光学装置を載置固定する色合成光学装置固定手順と、前記位置決めプレートに前記第1光学変換板を保持させる第1光学変換板保持手順と、前記第1光学変換板を保持した位置決めプレートを前記基台に固定するプレート設置手順と、前記色合成光学装置に対して前記第1光学変換板を位置固定する第1光学変換板位置固定手順とを備えていることを特徴とする光学装置の製造方法。 - 請求項10または請求項11に記載の光学装置の製造方法において、
前記部材設置治具は、前記台座の側面に前記熱伝導板を位置決めする熱伝導板設置治具を有し、
前記熱伝導板設置治具は、前記台座および前記第1光学変換板が位置決め固定された色合成光学装置を載置固定する基台と、前記熱伝導板を保持するとともに前記基台の所定位置に位置決め固定される位置決めプレートとを備え、
前記熱伝導板固定工程は、前記基台に前記台座および前記第1光学変換板が位置決め固定された色合成光学装置を載置固定する色合成光学装置固定手順と、前記位置決めプレートに前記熱伝導板を保持させる熱伝導板保持手順と、前記熱伝導板を保持した位置決めプレートを前記基台に固定するプレート設置手順と、前記台座に対して前記熱伝導板を位置固定する熱伝導板位置固定手順とを備えていることを特徴とする光学装置の製造方法。 - 請求項12に記載の光学装置の製造方法において、
前記熱伝導板と、前記台座および/または前記第1光学変換板との間には、熱伝導性の弾性部材が介装され、
前記熱伝導板設置治具は、位置決めプレートに保持された熱伝導板を前記台座に対して押圧する押圧部を備え、
前記熱伝導板固定工程は、前記プレート設置手順の後、前記押圧部により前記熱伝導板を前記台座に対して押圧し、前記台座および/または前記第1光学変換板との間に介装される前記弾性部材を圧縮する弾性部材押圧手順を備えていることを特徴とする光学装置の製造方法。 - 光源と、請求項1から請求項9のいずれかに記載の光学装置と、前記光学装置から射出される光学像を拡大投写する投写光学装置とを備えていることを特徴とするプロジェクタ。
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-
2003
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