JP2005023477A - 捺染方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の捺染方法においては、少なくとも着色剤と樹脂からなるトナーを用いて、転写性付与性を有し、かつ、水洗工程で除去可能な前処理剤がコーティングされた布に電子写真方式により直接捺染する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用液体現像剤を用いて布地にプリントする捺染方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
捺染法は、糸、編織物、二次製品等色々な形態の繊維品に適用され、版形式及び機械操作によって凹版を用いるローラ捺染、孔版によるスクリーン、型紙捺染が主流である。スクリーン捺染には手工捺染、半自動スクリーン捺染機、自動走行スクリーン捺染機による捺染、フラット型及びロータリー式自動スクリーン捺染機による捺染などがある。しかし、ローラ捺染は、金属ローラに図柄を彫刻する工程が煩雑でローラの取り扱い等も大変であり、スクリーン捺染は、スクリーンの製造に時間がかかり、捺染作業に手間がかかる等の問題があった。また、ロータリー式スクリーン捺染もスクリーンの製作、ローラの彫刻等に時間がかかる等の問題があった。このように従来からの捺染法はその製作工程が煩雑で、出来上がりまで長期間を費やされるため、簡便な捺染法が望まれていた。
【0003】
近年、従来の彫刻製版工程を省略し、短期間で製作が可能なインクジェットを用いた捺染方法が提案されている(特開平10−195776号公報、特許第2995135号公報参照)。しかし、インクジェットによる捺染方式は、濃度を上げることができない、捺染していくうちに濃度が変化してしまう等の欠点があった。
【0004】
これらの問題を解決するため、電子写真方式を用いた捺染方法が最近開発されている(特許文献1、特許文献2)。この方法は、感光体上に静電潜像を形成し、トナーを付着させ、これを布類に転写し、熱によりトナーを定着させるものである。しかし、この捺染方法は乾式トナーを用いたものであり、トナー層厚が厚いため、風合、肌触りが良くない、樹脂により物理的に繊維に付着させているため、布の裏面まで捺染されない、摩擦堅牢度、耐洗濯特性が劣る等の問題があった。
【0005】
一方、液体現像剤を用いた電子写真方式による捺染方法も提案された(特許文献3、特許文献4)。これは、昇華染料を用いた液体現像剤をイオン流により現像し、図柄を転写物に印刷し、これを布類に重ね合せ昇華熱転写するものである。この方法は、肌触り等も自然で、かつ、簡便な方法であるが、カラーの場合、2色目に重ねた濃度が出にくい、耐洗濯性に劣る等の欠点があった。また、布の裏面までトナーが染込まず、両面捺染する必要があった。加えて作業が煩雑で、布に転写後、不要になった紙(転写物)がムダになるなどの問題があった。また、電子写真方式の場合はインクジェット方式に比べ布の平滑性により濃度が左右され、平滑性の悪い布では布の凸部にしかトナーが転写されないため濃度が低くなる欠点があった。
【0006】
尚、電子写真で用いられる電子写真用現像剤は、乾式現像剤、液体現像剤に大別されるが、液体現像剤は、そのトナー粒径が小さいことから鮮明な画像が得られる有利さがある。液体現像剤は、一般には、結着樹脂と着色剤と電荷制御剤とを高抵抗の非水溶媒中に分散し、粒径0.1〜2.0μm程度のトナー粒子を作ることによって製造されている。画像形成の方法においても乾式現像剤を用いたプロセスのように重い鉄粉キャリアを使用しないため、マシンへの負荷が少なく、高速プリントに対応できるメリットがある。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−027474号公報
【特許文献2】
特開平5−033275号公報
【特許文献3】
特開平9−73198号公報
【特許文献4】
特開平10−239916号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑み、電子写真用トナー、中でも液体現像剤を用いて平滑性の悪い布に対しても濃度が高く、地汚れがなく、高解像の画像が得られる捺染方法を提供すること、また、転写時にマシン内に繊維が混入するのを防止できる捺染方法を提供すること、さらに捺染作業を大幅に効率化し、オンデマンド性を持たせた、ムダのない捺染方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、以下に示す捺染方法が提供される。
〔1〕少なくとも着色剤と樹脂からなるトナーを用いて、転写性付与性を有し、かつ、水洗工程で除去可能な前処理剤がコーティングされた布に電子写真方式により直接捺染することを特徴とする捺染方法。
〔2〕前記〔1〕記載の捺染方法において、前記前処理剤が、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、トラガンドゴム、ローカストビンゴム、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、シリカ、カオリン、アルミナのいずれか少なくとも一つであることを特徴とする捺染方法。
〔3〕前記〔1〕または〔2〕記載の捺染方法において、前記前処理剤がコーティングされた布の体積抵抗が2×105〜1×1016Ω・cmであることを特徴とする捺染方法。
〔4〕前記〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の捺染方法において、前記トナーが体積抵抗109〜1016Ω・cmの担体液中に、少なくとも着色剤と樹脂を分散させた液体現像剤であることを特徴とする捺染方法。
〔5〕前記〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載の捺染方法において、前記着色剤が染料であることを特徴とする捺染方法。
〔6〕前記〔5〕記載の捺染方法において、前記染料の純度が80〜100%であることを特徴とする捺染方法。
〔7〕前記〔1〕乃至〔6〕のいずれかに記載の捺染方法において、前記着色剤がフミン酸、フミン酸塩、又はフミン酸誘導体の存在下で水溶性樹脂を用いて混練又はフラッシング処理されていることを特徴とする捺染方法。
〔8〕前記〔4〕乃至〔7〕のいずれかに記載の捺染方法において、前記液体現像剤の担体液が、沸点130℃以上の脂肪族飽和炭化水素であることを特徴とする捺染方法。
〔9〕前記〔4〕乃至〔8〕記載の捺染方法において、前記液体現像剤を構成する樹脂の一部として少なくともアルカリ可溶性樹脂または水溶性樹脂を含有することを特徴とする捺染方法。
〔10〕前記〔9〕記載の捺染方法において、前記アルカリ可溶性樹脂または水溶性樹脂のアルカリ溶液または水に対する溶解率が20〜100%であることを特徴とする捺染方法。
〔11〕前記〔9〕記載の捺染方法において、前記アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の酸価が0〜2000mg/KOHであることを特徴とする捺染方法。
〔12〕前記〔4〕乃至〔11〕のいずれかに記載の捺染方法において、前記液体現像剤の平均粒径が0.1〜5μmであることを特徴とする捺染方法。
〔13〕前記〔1〕乃至〔12〕のいずれかに記載の捺染方法において、静電潜像を感光体上で現像した後、感光体に転写ローラで圧力をかけ、感光体上の画像を布上に転写させることを特徴とする捺染方法。
〔14〕前記〔1〕乃至〔12〕のいずれかに記載の捺染方法において、静電潜像を感光体上で現像し、得られた画像を中間転写体に転写した後、該画像を布上に2次転写させることを特徴とする捺染方法。
〔15〕前記〔14〕記載の捺染方法において、2次転写前に中間転写体に溶媒を吹きかける工程を含むことを特徴とする捺染方法。
〔16〕前記〔13〕乃至〔15〕のいずれかに記載の捺染方法において、感光体の線速に対してトナーを現像するための現像ローラの線速が1.2倍〜6倍、過剰溶剤を除去するスクイズローラの線速が1.2〜4倍であることを特徴とする捺染方法。
〔17〕前記〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の捺染方法において、前記トナーが、着色剤が染料である電子写真用乾式トナーであることを特徴とする捺染方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は布の表面に前処理剤をコーティングし、電子写真方式により捺染を行うことを特徴とする捺染方法である。布表面に前処理剤をコーティングすることにより、平滑性の悪い布においても布表面の凹凸を低減することができるため転写性が向上し、布上濃度を高めることができる。発色工程で染料は前処理剤中を浸透して、布上に定着でき、前処理剤は、発色工程、水洗工程等の後工程で除去され布の風合に悪影響を及ぼさない。
【0011】
前処理剤の使用は、これまでインクジェット方式による捺染の場合の滲み防止や発色性の向上を目的として多数の提案がある(特開2000−226780号公報、特開2002−348786号公報等)が、本発明はこれらとは異なり、電子写真方式による捺染における転写性の向上を目的とするものである。
【0012】
また、本発明によれば、地肌部に僅かに付着した地汚れは、前処理剤をコーティングしていることで、水洗工程で除去できるため、地汚れのない捺染が可能となる。更には、前処理剤のコーティングにより布のケバダチを抑えることができ、マシン内に繊維が混入するのを防止できる。特にクリーニングブレード等に繊維が付着すると黒スジ等の異常画像の発生につながるため、高品質な捺染を得るためには有効である。
【0013】
本発明における前処理剤としては、一般的に捺染で用いられるものが使用でき、例えば、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、グリセリン、トラガンドゴム、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルホルマール、ローカストビンゴム、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、シリカ、ゼラチン、Mg、Ca、Ba、ハロゲン化物、Na2So4、NaCl、KCl、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3、多孔性嵩高微粒子、ポリアミン類、カチオン活性剤、ノニオン活性剤、アニオン活性剤、4級アンモニウムポリマー、クレー、タルク、カオリン、アルミナ、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、チタンホワイトなどが挙げられる。
【0014】
前処理剤をコーティングした布の体積抵抗は2×105〜1×1016Ω・cm以上であることが望ましい。抵抗の低い前処理剤をコーティングすると、布の抵抗を低くしてしまい、電気的に転写性を低下させることになる。また、マイナスの液体現像剤を使用する場合はカチオン系の前処理剤が、プラスの液体現像剤を使用する場合はアニオン系の前処理剤が転写性向上につながる傾向がある。
【0015】
次に、本発明に使用できる着色剤としては、酸性染料、反応染料、直接染料、分散染料、カチオン染料、有機顔料、無機顔料等が用いられる。例えば、直接染料では、ダイレクトファストイエローR、ダイレクトファーストイエローGC、ダイレクトファーストオレンジ、ダイレクトスカイブルー5B、ダイレクトスプラレッド3B、コプランチングリーンG、ダイレクトファストブラックD等、酸性染料では、アシッドブリリアントスカーレト3R、アシッドバイオレット5B、アリザリンダイレクトブルーA2G、アシッドサイアニン6B、アシッドサイアニングリーンG、アシッドファーストブラックVLG等、カチオン染料では、カチオンイエロー3G、カチオンゴールデンイエローGL、カチオンオレンジR、カチオンブリリアントレッド4G、カチオンブルー5G等、分散染料では、ディスパースファーストイエローG、ディスパースブルーFFR、ディスパースブルーグリーンB、ディスパースイエロー5G、ディスパースレッドFB等、反応性染料では、リアクティブオレンジ2R、リアクティブレッド3B、リアクティブブルー3G、リアクティブブリリアントブルーR、リアクティブブラックB等があげられる。
【0016】
また、無機顔料では、プリンテックスV、スペシャルブラック15、スペシャルブラック4、三菱#44、#30、MR−11、リーガル400、660、ブラックパール900、1100等のカーボンブラック、有機顔料では、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ローダミンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、メチルバイオレットレーキ、ピーコックブルーレーキ、ナフトールグリーンB、ナフトールグリーンY、ナフトールイエローS、ナフトールレッド、リソールファーストイエロー2G、パーマネントレッド4R、ブリリアントファーストスカーレット、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、リソールレッド、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッドF5R等があげられる。
【0017】
紙への印刷に用いる場合は顔料が望ましいが、捺染に用いる場合は、染料を着色剤にした方が、風合、染着性、洗濯堅牢度に優れるので好ましい。
【0018】
染料を使用する場合は、捺染布の材質により、染料を選択した方が染色性、洗濯堅牢度は良く、例えばポリエステル繊維では、分散染料、セルロース繊維では、反応性染料、直接染料、アクリル繊維ではカチオン染料、ポリアミド繊維や羊毛繊維では酸性染料が好ましい。特に分散染料や顔料を使用した場合は繊維との化学的な結合がないため、このような樹脂で物理的に繊維に付けることで、洗濯堅牢度を高めることができる。また、反応性染料や酸性染料などで官能基の極性を抑えたいときに、このような樹脂で包んで帯電性能を安定化させる場合も有効である。しかし、樹脂の含有量を多くしてしまうと裏面への染込みや繊維の風合が、悪くなるので、着色剤に対して4倍以下の量に抑えることが望ましい。
【0019】
本発明においては、染料の純度が80〜100%であることが望ましい。市販の粉体染料は、染料純度50%程度で、食塩、芒硝が多量に入っている場合が多く、液の抵抗、帯電性に悪影響を与えるため、精製するか、初めから塩類含有量の少ない染料を用いたほうが、良好である。
【0020】
本発明においては、トナーが体積抵抗109〜1016Ω・cmの担体液中に、少なくとも着色剤と樹脂を分散させた液体現像剤であることが好ましい。
上記担体液としては、高抵抗で低誘電率のものが良く、イソパラフィン系炭化水素、シリコーン系オイル等が良好である。イソパラフィン系炭化水素は、アイソパーC、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV(エクソン化学)などがあり、シリコーン系オイルとしては、KF96 1〜10000cst(信越シリコン)、SH200、SH344(東レシリコン)、TSF451(東芝シリコン)などがある。中でも沸点が130℃以上の飽和炭化水素は、現像剤の臭気、安全性の点で良好である。これらの溶媒は、後工程の加熱、スチーミングの段階で蒸発させることができる。
【0021】
また、本発明において併用することが好ましい分散用樹脂としては、
【0022】
【化1】
(式中、R1はHまたはCH3を、nは6〜20の整数を表わす。)
であらわされるビニルモノマーAと
【0023】
【化2】
で表わされるビニルモノマー及びビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンより選ばれるモノマーBの各一種づつもしくは、数種の共重合体、グラフト共重合体があげられる。
【0024】
また、前記液体現像剤を構成する樹脂の一部にはアルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂を含有させると、発色工程、水洗工程でトナー中の樹脂が溶解し、布から脱離するため、風合の良好な捺染布が得られる。
【0025】
発色工程、水洗工程では、100℃前後でスチーミング後、0.1〜2%程度のアルカリで処理するが、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂を含有させないと、樹脂分が残り、風合を劣化させる原因となるが、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂を含有させることにより、発色工程、水洗工程で樹脂が離脱し、風合の良好な捺染が得られる。
【0026】
アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂のアルカリ水溶液に対する溶解率は20%以上あれば風合は大きく向上する。50%以上であれば更に望ましい。
【0027】
アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂としては、水溶性メラミン樹脂、水溶性ロジン変性樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、コラーゲン、ゼラチン、デンプン、キトサン等がある。商品としては、クラレ社製ポバール(PVA)、イソバン(イソブチレン/マレイン酸樹脂)、ハリマ化成製ネオトール、ハリディプ(アルキッド樹脂、アクリル樹脂)、日本合成化学社製エコアティ(PVA)、ナガセケムテックス社製デコナール(エポキシ樹脂)、日本純薬社製ジュリアー(アクリル樹脂)、カブセン(ポリエステル樹脂)などが挙げられる。
【0028】
アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の酸価は0〜2000mg/KOHであることが望ましく2000mg/KOHより高いと現像特性が低下する。
【0029】
特に、アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂で着色剤をフラッシング処理を行った場合は画像面で優れた現像剤が得られる。
フラッシング処理とは、色素を水に溶かした含水液に、更に樹脂分散媒を加え、フラッシャーと呼ばれるニーダー中で良く混合し、顔料のまわりに存在する水を後から添加される樹脂分散媒によって置換する処理をいう。この操作により取出される水を排出し、樹脂溶液中に顔料が分散された状態とし乾燥させて、溶剤を除去し、得られた塊を粉砕することにより着色剤の粉末が得られる。
【0030】
フラッシングする際の着色剤と樹脂の割合は、樹脂100重量部に対して着色剤10〜60重量部が適当である。フラッシング処理には、フミン酸、フミン酸塩(Na塩、NH4塩など)またはフミン酸誘導体の存在下に行うのが特に有利である。これら添加されるフミン酸類の量は、着色剤含水液の0.1〜30重量%程度が適当である。
【0031】
液体現像剤を構成するトナー粒子の平均粒径は0.1μm〜5μmが望ましく、0.1μm〜3μmがより望ましい。0.1μm以下では、十分な濃度が得られない場合やニジミが発生しやすくなる場合があり、5μm以上では、色彩、解像性が悪くなる場合がある。
【0032】
本発明で用いる液体現像剤は、着色剤、樹脂、担体液をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミルなどの分散機に投入、分散、混練を行い濃縮現像剤を調製し、これを担持液中に分散させることにより得ることができる。
【0033】
本発明においては、静電潜像を感光体上で現像した後、感光体に転写ローラで圧力をかけ、感光体上の画像を布上に転写することが好ましい。この場合、感光体に現像後、転写ローラで0.1〜3Kg/cm2の圧力をかけ転写することがより好ましく、平滑性の悪い転写紙や捺染の場合は転写性が向上し、高濃度の画像を形成できる。
【0034】
また、本発明においては、静電潜像を感光体上で現像し、得られた画像を中間転写体に転写した後、該画像を布上に2次転写させることも好ましい。中間転写体を用いて転写すると、更に高い圧力がかけられるため転写性が向上する。しかし、中間転写体を用いない場合よりも転写時の溶媒量が少なくなるため、2次転写前に中間転写体に溶媒を吹きかける工程を含むことがより好ましい。具体的には、2次転写前に中間転写体上に脂肪族炭化水素やシリコーンオイル等の溶媒を吹き付け転写に必要な溶媒量を確保することが望ましい。吹き付け量は0.20〜0.70mg/cm2程度が良好である。
【0035】
また、捺染の場合、濃度の向上のためには現像付着量を上げたり、あるいは、現像後リバースローラの溶剤スクイズ量を少なくすることにより、感光体上の現像液量を多くして布への溶剤染込み量を増やすと効果がある。
感光体の線速に対して現像ローラの線速が1.2倍〜6倍、スクイズローラの線速が1.2〜6倍、より望ましくは、現像ローラの線速が2倍〜4倍、スクイズローラの線速が2〜4倍、更に望ましくは、スクイズローラの線速が2〜3倍で表面濃度、裏面濃度は高くなる。
ローラと感光体のギャップは50〜250μm、リバースローラのギャップは30〜150μmが良好である。
【0036】
また、本発明においては、担体液を含まない乾式トナーを用いることもできる。この場合、従来、乾式トナーの欠点であった風合い、肌触りが改善される。また、前処理剤の使用により転写性が向上することにより濃度が向上し、地汚れ防止も向上する。
【0037】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、部はすべて重量部を表す。
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを300部加え、1時間分散し、これを濃縮現像剤とした。
前処理剤としてトラガンドゴムをナイロン布にコーティングした。
【0038】
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを350部加え、1時間分散し、これを濃縮現像剤とした。
また、前処理剤としてポリビンルホルマールをポリエステル布にコーティングした。
【0039】
をニーダで混練、フラッシング処理した。
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを250部加え、1時間分散し、これを濃縮現像剤とした。
また、前処理剤として水溶性ウレタン樹脂をポリエステル布にコーティングした。
【0040】
(実施例4)
実施例1の直接染料(日本化薬 Kayafect Red P 純度50%)を純度90%に精製して用いた以外は、実施例1と同様にして濃縮現像剤を作製した。
また、前処理剤として、実施例1同様にトラガンドゴムをナイロン布にコーティングした。
【0041】
(実施例5)
実施例2の分散媒をアイソパーHからシリコーンオイル(KF−96 2cst)に変えた以外は全て実施例2と同様にして濃縮現像剤を作製した。
また、前処理剤として、実施例2同様にポリビンルホルマールをポリエステル布にコーティングした。
【0042】
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを350部加え、1時間分散し、これを濃縮現像剤とした。
また、前処理剤として水溶性ポリエステルをポリエステル布にコーティングした。
【0043】
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを350部加え、1時間分散し、これを濃縮現像剤とした。
また、前処理剤として水溶性ポリエステルをポリエステル布にコーティングした。
【0044】
を混練粉砕し乾式トナーを得た。
また、前処理剤としてカルボキシメチルセルロースをポリエステル布にコーティングした。
【0045】
実施例1〜7で得た濃縮現像剤を希釈率100g/lに調整し、図2の装置で繊維に捺染を行った。また、スチーミング、アルカリ処理等それぞれの繊維に適切な後処理を行った。その結果を表1に示す。
実施例8の乾式トナーは、乾式複写機で布に転写させた。
【0046】
(実施例9)
実施例3の液体現像剤を用いて、チャージ転写(転写圧0.1Kg/cm2以下)の図1の装置で捺染を行った。
(実施例10)
実施例3の液体現像剤を用いて、中間転写体を取り付けた図3の装置で捺染を行った。
(実施例11)
2次転写前にアイソパーHを0.3mg/cm2以上吹きかけた以外は、実施例10と同様に捺染を行った。
実施例8〜11の結果を表1に示す。
【0047】
(比較例1〜11)
布に前処理剤をコーティングしない以外は実施例1〜11と同様にして捺染を行った。表1に結果を示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1中、
*画像濃度はX−Riteにより測定。
*地汚れは地汚れ段階見本布による。5:最良、1:最悪
*風合は風合段階見本布による。
5:布のみと同程度の柔らかさ、4:柔らかい、3:中程度、2:やや硬い、1:硬い
*解像性は、段階見本による。5:最良、1:最悪
*転写率はテープ剥離法による濃度から算出。
転写率=(転写前感光体上濃度−転写後感光体残濃度)/(転写前感光体上濃度)×100%
*クロスジは、1000枚捺染後サンプルを段階見本により評価。5:最良、1:最悪。
【0050】
以上の結果より明らかなとおり、本発明の捺染方法により、布濃度が高く、高解像な捺染布が得られることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の捺染方法によれば、前処理された布に電子写真方式により直接捺染することから、濃度、地汚れ、解像性、転写性において優れ、さらに、転写時、マシン内への繊維片の混入が防止され、また、オンデマンド性に優れた捺染を施すことができる。
【0052】
請求項2の捺染方法によれば、前処理剤が、アルギン酸ソーダなど水に溶け糊状となるものなど特定の物質を選択したことから、発色・水洗工程で除去できるため風合に優れ、また布表面の平滑性向上ができるため転写性に優れ、品質の良好な捺染を得ることができる。
【0053】
請求項3の捺染方法によれば、前処理剤でコーティングされた布の体積抵抗が2×105〜1×1016Ω・cmであることから、優れた転写性が得られる。
【0054】
請求項3の捺染方法によれば、電子写真用液体現像剤による捺染であることから、上記効果に加え、更に濃度、地汚れ、解像性、転写性、繊維片の混入防止に優れた捺染を行うことができる。
【0055】
請求項5の捺染方法によれば、上記着色剤が染料であることから、染色性、耐洗濯性が良く、画像濃度が高い。
【0056】
請求項6の捺染方法によれば、上記染料の純度が80〜100%であることから、高品質の画像を提供することができる。
【0057】
請求項7の捺染方法によれば、上記液体現像剤の担体液が沸点130℃以上の脂肪族飽和炭化水素であることから、高品質の画像を提供することができる。
【0058】
請求項8の捺染方法によれば、上記液体現像剤の樹脂の一部として少なくともアルカリ可溶性樹脂または水溶性樹脂を含有することから、風合いの良好な高品質の画像を提供することができる。
【0059】
請求項9の捺染方法によれば、上記アルカリ可溶性樹脂または水溶性樹脂のアルカリ溶液または水に対する溶解率が20〜100%であることから、風合いの良好な画像を提供することができる。
【0060】
請求項10の捺染方法によれば、上記アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の酸価が0〜2000mg/KOHであることから、高品質の画像を提供することができる。
【0061】
請求項11の捺染方法によれば、上記着色剤がフミン酸、フミン酸塩、又はフミン酸誘導体の存在下で水溶性樹脂を用いて混練又はフラッシング処理されていることから、高品質の画像を提供することができる。
【0062】
請求項12の捺染方法によれば、上記液体現像剤の平均粒径が0.1〜5μmであることから、高品質な画像を提供することができる。
【0063】
請求項13の捺染方法によれば、静電潜像を感光体上で現像した後、感光体に転写ローラで圧力をかけ、感光体上の画像を布上に転写させることから、平滑性の悪い紙や布への転写性が良好となる。
【0064】
請求項14の捺染方法によれば、静電潜像を感光体上で現像し、得られた画像を中間転写体に転写した後、該画像を布上に2次転写させることから、平滑性の悪い紙や布への転写性が良好となる。
【0065】
請求項15の捺染方法によれば、2次転写前に中間転写体に溶媒を吹きかける工程を含むことから、さらに転写性が良好となる。
【0066】
請求項16の捺染方法によれば、感光体の線速に対してトナーを現像するための現像ローラの線速が1.2倍〜6倍、過剰溶剤を除去するスクイズローラの線速が1.2〜4倍であることから、高品質の画像を得ることができる。
【0067】
請求項17の捺染方法によれば、上記トナーが、着色剤が染料である電子写真用乾式トナーであることから、高画質で風合いの良い良好な画像得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】湿式の電子写真方式の複写機の例を示す概略図。
【図2】湿式の電子写真方式の複写機の他の例を示す概略図。
【図3】湿式の電子写真方式の複写機の他の例を示す概略図。
【符号の説明】
1 感光体
2 耐電圧付与部材
3 露光
4 現像ローラ
5 リバースローラ
6 捺染布の搬送ルート
7 転写電圧付与部材(転写チャージャー)
7′ 転写電圧付与部材(転写ローラ)
8 布分離部材
9 クリーニングブレード
10 クリーニングローラ
11 除電
12 液体トナー
13 中間転写部材
Claims (17)
- 少なくとも着色剤と樹脂からなるトナーを用いて、転写性付与性を有し、かつ、水洗工程で除去可能な前処理剤がコーティングされた布に電子写真方式により直接捺染することを特徴とする捺染方法。
- 請求項1記載の捺染方法において、前記前処理剤が、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、トラガンドゴム、ローカストビンゴム、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、シリカ、カオリン、アルミナのいずれか少なくとも一つであることを特徴とする捺染方法。
- 請求項1または2記載の捺染方法において、前記前処理剤がコーティングされた布の体積抵抗が2×105〜1×1016Ω・cmであることを特徴とする捺染方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の捺染方法において、前記トナーが体積抵抗109〜1016Ω・cmの担体液中に、少なくとも着色剤と樹脂を分散させた液体現像剤であることを特徴とする捺染方法。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の捺染方法において、前記着色剤が染料であることを特徴とする捺染方法。
- 請求項5記載の捺染方法において、前記染料の純度が80〜100%であることを特徴とする捺染方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の捺染方法において、前記着色剤がフミン酸、フミン酸塩、又はフミン酸誘導体の存在下で水溶性樹脂を用いて混練又はフラッシング処理されていることを特徴とする捺染方法。
- 請求項4乃至7のいずれかに記載の捺染方法において、前記液体現像剤の担体液が、沸点130℃以上の脂肪族飽和炭化水素であることを特徴とする捺染方法。
- 請求項4乃至8記載の捺染方法において、前記液体現像剤を構成する樹脂の一部として少なくともアルカリ可溶性樹脂または水溶性樹脂を含有することを特徴とする捺染方法。
- 請求項9記載の捺染方法において、前記アルカリ可溶性樹脂または水溶性樹脂のアルカリ溶液または水に対する溶解率が20〜100%であることを特徴とする捺染方法。
- 請求項9記載の捺染方法において、前記アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の酸価が0〜2000mg/KOHであることを特徴とする捺染方法。
- 請求項4乃至11のいずれかに記載の捺染方法において、前記液体現像剤の平均粒径が0.1〜5μmであることを特徴とする捺染方法。
- 請求項1乃至12のいずれかに記載の捺染方法において、静電潜像を感光体上で現像した後、感光体に転写ローラで圧力をかけ、感光体上の画像を布上に転写させることを特徴とする捺染方法。
- 請求項1乃至12のいずれかに記載の捺染方法において、静電潜像を感光体上で現像し、得られた画像を中間転写体に転写した後、該画像を布上に2次転写させることを特徴とする捺染方法。
- 請求項14記載の捺染方法において、2次転写前に中間転写体に溶媒を吹きかける工程を含むことを特徴とする捺染方法。
- 請求項13乃至15のいずれかに記載の捺染方法において、感光体の線速に対してトナーを現像するための現像ローラの線速が1.2倍〜6倍、過剰溶剤を除去するスクイズローラの線速が1.2〜4倍であることを特徴とする捺染方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の捺染方法において、前記トナーが、着色剤が染料である電子写真用乾式トナーであることを特徴とする捺染方法。
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