JP4657593B2 - 電子写真捺染方法 - Google Patents
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しかし、この電子写真方式による捺染方法は乾式トナーを用いたものであり、トナー層厚が厚いため、肌触りが良くない、樹脂により物理的に繊維に付着させているため、摩擦堅牢度、耐洗濯特性が劣る等の問題があった。
本発明は、体積抵抗109Ω・cm以上高抵抗低誘電率の担体液中に、着色剤を分散させた液体トナーを電子写真方式により、捺染布に直接捺染することを特徴とした電子写真捺染方法において、転写布がアルカリで前処理されていることを特徴とする電子写真捺染方法である。
前処理するアルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、リン酸ナトリウム、重炭酸ソーダ、ケイ酸ナトリウムなどの水溶液で濃度は0.1〜15%、pHは7.5〜13程度が望ましい。濃度は薄すぎても、濃すぎても染着性は低下する。また、これらのアルカリと伴に尿素を含有させると更に染着性が高まる。染料の布への浸透性が向上するためと考えられる。
具体例としては、C.I.リアクティブイエロー2,15,37,42,76,95;C.I.リアクティブレッド21,22,24,33,45,111,112,114,180,218,226;C.I.リアクティブブルー15,19,21,38,49,72,77,176,203,220;C.I.リアクティブブラック5,8,31,39等が挙げられる。転写基材はこれらの反応性染料と反応できるOH基、NH2基、SH基等の官能基を持っていることが必要であり、綿や絹が適応できる。
添加する樹脂成分は、ポリオレフィン樹脂やポリエスエル樹脂が良好である。特にこれらの樹脂にアルカリ可溶性、水溶性樹脂をブレンドしたものは、基材に反応させる工程で、水蒸気やアルカリを用いる場合に反応性が高まりより好ましい。
0.5%NaOH水溶液100gとアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂10gを混合し、100℃で10分間加熱する。
その後、5μmフィルターでろ過し、フィルター残さを乾燥し計量する。
溶解率(%)=[(10(g)−フィルター残さ重量(g))/10(g)]×100(%)
アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の全樹脂成分に対する割合は10〜80%が望ましい。更に望ましくは30〜70%である。アルカリ可溶樹脂以外のポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂分が少ないとトナーの帯電性が低下し、アルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂分が少ないと反応性が低下する。
その他、低分子量タイプは三井化学(株)のハイワックス720P、410P、420P、320P、210P、220P、110P、4202E、ポリオレフィン樹脂を変性しカルボキシル基を導入したものは、日本石油化学(株)製Nポリマー、東燃石油化学(株)製東燃CMP−HAシリーズ、三菱油化(株)製MODIC、製鉄化学工業(株)製ザイクセン、三井東圧化学(株)製ロンプライ、三井石油化学工業(株)製アドマー等、また、エチレンとアクリル酸との共重合体では、ダウケミカル社製ダウEAAコポリマー、三菱油化(株)ユカロンEAA、三井・デュポンポリケミカル(株)ニュクレル、住友化学(株)アクリフト等、更に、エチレンとアクリル酸又はメタアクリル酸との共重合体、或いは更にそれらを架橋させた所謂アイオノマーでは米国デュポン社製サーリン、三井・デュポンポリケミカル(株)製ハイミラン、旭ダウ(株)製コーボレンラテックス等、BASF(株)EVA1ワックス添加、また、エチレンとアクリル酸エステルとの共重合体では日本ユニカー(株)製DPD−6169等、更に、カルボキシル性のカルボニル基を含有するポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
商品としては、クラレ社製ポバール(PVA)、イソバン(イソブチレン/マレイン酸樹脂)、ハリマ化成製ネオトール、ハリディプ(アルキッド樹脂、アクリル樹脂)、日本合成化学社製エコアティ(PVA)、ナガセケムテックス社製デコナール(エポキシ樹脂)、日本純薬社製ジュリアー(アクリル樹脂)、カブセン(ポリエステル樹脂)などが挙げられる。
酸価は0〜2000mg/KOHであることが望ましく2000mg/KOHより高いと現像特性が低下する。
フラッシング処理とは、色素を水に溶かした含水液に、更に樹脂分散媒を加え、フラッシャーと呼ばれるニーダー中で良く混合し、顔料のまわりに存在する水を後から添加される樹脂分散媒によって置換する処理をいう。
この操作により取出される水を排出し、樹脂溶液中に顔料が分散された状態とし乾燥させて、溶剤を除去し、得られた塊を粉砕することにより着色剤の粉末が得られる。
フラッシングする際の着色剤と樹脂の割合は、樹脂100重量部に対して着色剤10〜60重量部が適当である。フラッシング処理には、フミン酸、フミン酸塩(Na塩、NH4塩など)またはフミン酸誘導体の存在下に行うのが特に有利である。これら添加されるフミン酸類の量は、着色剤含水液の0.1〜30重量%程度が適当である。
で表わされるビニルモノマーAと下記一般式(4)
で表わされるビニルモノマー及びビニルピリジン、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンより選ばれるモノマーBの各一種ずつもしくは、数種の共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。
また、中間転写体を用いて転写する場合も、更に高い圧力がかけられるため転写性が向上する。しかし、中間転写体を用いない場合よりも転写時の溶媒量が少なくなるため、捺染の場合は、2次転写前に中間転写体上に脂肪族炭化水素やシリコーンオイル等の溶媒を吹き付け転写に必要な溶媒量を確保することが望ましい。
吹き付け量は0.20〜0.70mg/cm2程度が良好である。
また、捺染の場合、濃度を向上のためには現像付着量を上げたり、あるいは、現像後リバースローラの溶剤スクイズ量を少なくすることにより、感光体上の現像液量を多くして布への溶剤染込み量を増やすと効果がある。
感光体の線速に対して現像ローラの線速が1.2倍〜6倍、スクイズローラの線速が1.2〜4倍、望ましくは、現像ローラの線速が2倍〜4倍、スクイズローラの線速が2〜3倍で表面濃度、裏面濃度は高くなる。
ローラと感光体のギャップは50〜250μm、リバースローラのギャップは30〜150μmが良好である。
また、本技術はそのまま担体液を含まない乾式トナーとしても応用できる。
反応性染料(チバケミカル Cibacron Red P−6B) 60部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
240部
アイソパーH 190部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを300部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。布の前処理は2%重炭酸ソーダ(NaHCO3)(濃度2%)溶液を綿布に塗布して行った。
反応性染料(日本化薬 Kayacion Turq.P−3GF) 55部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
150部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)
(エバフレックス)(三井・デュポン) 80部
アイソパーH 190部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを300部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
布の前処理は3%重炭酸ソーダ(NaHCO3)(濃度4%)、尿素(H2NCONH2)(濃度6%)混合溶液を綿布に塗布して行った。
反応性染料(日本化薬 Kayacion Turq.P−3GF) 50部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(80/10/5/5)共重合体のアイソパーG20%溶液
110部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)
(エバフレックス)(三井・デュポン) 50部
水溶性樹脂 ポバール(PVA)(クラレ) 60部
アイソパーG 180部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーGを300部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
布の前処理はケイ酸ナトリウム(Na2O・SiO2)(濃度3%)、尿素(H2NCONH2)(濃度5%)混合溶液を絹布に塗布して行った。
反応性染料(日本化薬Kayacion Black) 50部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・メタクリル酸共重合樹脂)
(ニュクレル)(三井・デュポン) 40部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 70部
を混練粉砕した。
上記混練粉砕物 90部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(80/10/5/5)共重合体のアイソパーL20%溶液
120部
アイソパーL 200部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーL350部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
布の前処理は重炭酸ソーダ(NaHCO3)(濃度2%)、尿素(H2NCONH2)(濃度7%)混合溶液を綿布に塗布して行った。
反応性染料(日本化薬 Kayacion Yellow P−7G) 50部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)
(エバフレックス)(三井・デュポン) 20部
水溶性樹脂 ハリディブ(水溶性アルキド樹脂)(ハリマ化成) 80部
ニトロフミン酸 3部
をニーダ混練、フラッシング処理した。
上記フラッシング混練物 70部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(80/10/5/5)共重合体のポリアルファオレフィン(SHF−21)20%溶液 100部
ポリアルファオレフィン(SHF−21) 250部
荷電制御剤 5部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにSHF−21を250部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
布の前処理は重炭酸ソーダ(NaHCO3)(濃度2%)、尿素(H2NCONH2)(濃度7%)混合溶液を綿布に塗布して行った。
実施例1の反応性染料(チバケミカル Cibacron Red P−6B)を純度95%に精製して用いた以外は、実施例1と同一にして濃縮トナーを作成した。
布の前処理は重炭酸ソーダ(NaHCO3)(濃度2%)、尿素(H2NCONH2)(濃度7%)混合溶液を綿布に塗布して行った。
反応性染料(チバケミカル Cibacron Red P−6B) 40部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・メタクリル酸共重合樹脂)
(ニュクレル)(三井・デュポン) 5部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 95部
を混練粉砕した。
上記混練粉砕物 90部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
120部
アイソパーH 200部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを350部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
布の前処理は重炭酸ソーダ(NaHCO3)(濃度2%)、尿素(H2NCONH2)(濃度7%)混合溶液を綿布に塗布して行った。
反応性染料(チバケミカル Cibacron Red P−6B) 40部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・メタクリル酸共重合樹脂アイオノマー)
(ハイミラン)(三井・デュポン) 95部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 5部
を混練粉砕した。
上記混練粉砕物 90部
ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸/グリシジルメタアクリレート(80/10/5/5)共重合体のアイソパーH20%溶液
120部
アイソパーH 200部
荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
をボールミルに入れて24時間分散後、さらにアイソパーHを350部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
布の前処理は重炭酸ソーダ(NaHCO3)(濃度2%)、尿素(H2NCONH2)(濃度7%)混合溶液を綿布に塗布して行った。
反応性染料(チバケミカル Cibacron Red P−6B) 30部
ポリオレフィン樹脂(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)
(デュミラン)(武田薬品) 30部
水溶性樹脂 カブセン(水溶性ポリエステル)(ナガセケムテックス) 30部
CCA(サリチル酸誘導体の金属錯体) 3部
を混練粉砕し乾式トナーを得た。
布の前処理は重炭酸ソーダ(NaHCO3)(濃度4%)、尿素(H2NCONH2)(濃度8%)混合溶液を綿布に塗布して行った。
実施例1〜8のトナーを用い前処理を行っていない布を用いて、後述する図2の装置で捺染を行った後、ケイ酸ナトリウム(Na2O・SiO2)(濃度3%)塗布後、20時間放置し、水洗、ソーピングを行い比較例1〜8とした。比較例9の乾式トナーは、乾式複写機で捺染を行った後ケイ酸ナトリウム(Na2O・SiO2)(濃度3%)塗布後、20時間放置し、水洗、ソーピングを行った。
*ベタ均一性、にじみは段階見本による
(ランク5:最良、ランク1:悪)
*染着率は、(染着、発色処理後ID/染着、発色処理前ID)×100%で評価した。
*平均粒径は島津SA−CP3にて測定した。
図1は、本発明の電子写真捺染方法の一例である。帯電電圧付与部材1により、感光体2に電荷を与え、露光3により非画像部の電荷を消去する。感光体2はセレン感光体、有機感光体、アモルファスシリコン感光体が使用できる。感光体の表面電位は、400v〜1600vの範囲が良好である。
現像ローラ4は感光体2と順方向に回転し、スクイズローラ6は逆方向に回転させ、感光体2に対する線速は現像ローラ4が1.2倍〜6倍、スクイズローラ6は1.2倍〜4倍が効果的である。転写電圧は500〜4000vの範囲が良好である。
2 感光体
3 露光
4 現像ローラ
5 液体現像剤
6 スクイズローラ
7 部材
7a 転写電圧付与ローラ
8 捺染布
9 クリーニングブレード
10 クリーニングローラ
11 除電
12 中間転写部材
Claims (6)
- 体積抵抗109Ω・cm以上高抵抗低誘電率の担体液中に、反応性染料を分散させた液体トナーを用い、捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法であって、転写布がアルカリで前処理されていることを特徴とする電子写真捺染方法。
- 体積抵抗109Ω・cm以上高抵抗低誘電率の担体液中に、反応性染料を分散させた液体トナーを用い、捺染布に直接捺染する電子写真捺染方法であって、転写布がアルカリと尿素で前処理されていることを特徴とする電子写真捺染方法。
- 前記アルカリが重炭酸ソーダであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真捺染方法。
- 前記反応性染料の純度が80〜100%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真捺染方法。
- 前記液体トナーが樹脂を含有し、樹脂の一部がアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子写真捺染方法。
- 前記樹脂成分中のアルカリ可溶性樹脂又は水溶性樹脂の割合が10〜80%であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真捺染方法。
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