JP2008304757A - 電子写真液体捺染用トナー及び電子写真捺染方法 - Google Patents
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Abstract
Description
捺染では染料を布に付着させた後、蒸熱、高圧、高温、アルカリ処理など発色処理を行い、布に染料を固着させる必要がある。発色処理で固着化が不十分であると、固着されない染料がソーピング時に除去され、布上にて十分な濃度が得られない。
図1に示すとおり、本発明では液体捺染用トナー(トナー粒子t0)の分散媒t3として上記脂肪酸エステルが用いられるが、この分散媒t3を用いることにより染料t2の固着効果が高まり捺染濃度が向上する。すなわち、染料t2を布Fに付着させた後、蒸熱など発色処理が行われるが、その発色処理で樹脂t1中に含有されている染料t2と分散媒t3との親和性から染料t2が分散媒t3を介して布(被転写体)40へ移行しやすくなり、樹脂t1中に残存する染料t2がほとんどなくなるためと考えられる。このことは、図1(c)に示したように、捺染処理の発色処理後のように、布の中には染料のみ移行し、樹脂は染料と離れて布表面に付着している状態になると思われる。なお、図1で、(a)はトナー粒子Tの布Fへの転写直後、(b)は発色処理後、(c)はソーピング後、のそれぞれの状態を表している。
まず、本発明の液体トナーの分散媒として用いる脂肪酸エステルは、脂肪酸とアルコールのエステル化によって作ることが可能である。
製造方法としては、脂肪酸とアルコールの反応によるエステル化反応による方法、エステルとアルコール又はエステルと脂肪酸などから合成するエステル交換反応による方法などが一般的である。
エステル化反応による方法は脂肪酸とアルコールとを混合し、トルエンなどの共沸脱水剤を加えて熱することにより、水を留出させながら反応させる。触媒としてはp−トルエンスルホン酸などのブレンステッド酸、酸化亜鉛、酸化チタン、テトライソプロピルチタナートなどのルイス酸を用いる。
沸点は100〜350℃が望ましい。この範囲ならば、発色工程での問題がなく、高品質の画像が得られる。100℃未満では転写前に溶媒が揮発し易く転写性向上の効果が低減したり、臭気、安全性、揮発溶媒蒸気の点で作業者にとって好ましくない。350℃を超えると、溶媒が揮発しにくく、発色工程で溶媒が除去できず発色特性に問題が生じる。350℃以下であれば、後工程の加熱、スチーミングの段階で蒸発させることができる。
(1)食塩、芒硝などの無機塩類を溶解せずに染料のみを溶解する溶媒(N,N−ジメチ
ルホルムアミドなど)を用いて染料を抽出する。
(2)上記(1)で表される染料の溶解液に、該染料を溶解しない溶媒(アセトンなど)
を混合し染料を析出させる。
(3)(析出させた染料重量/初めの染料重量)×100(%)で純度を算出する。
この分子量範囲の樹脂は繊維に対する固着力、皮膜強度が弱く、本発明の分散媒と組合せることによりソーピング処理により95%以上の樹脂を除去できる。
特に好ましい樹脂の種類はロジン変性ポリエステル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、低分子ポリエチレン樹脂、低分子ポリプロピレン樹脂などがある。
攪拌機、温度計、冷却管、滴下ロートを備えた3LのフラスコにアイソパーH500gを仕込み、90℃に加熱し、攪拌しながらラウリルメタアクリレート(三菱レイヨン社製アクリエステルL)100g、グリシジルメタアクリレート(アクリエステルG)20g、メタクリル酸(三菱レイヨン社製)15g、アズビスイソブチロニトリル1gよりなるモノマー溶液を2時間かけて滴下する。その後、95℃に保ち5時間重合を行う。
この範囲ならば高品質の画像が得られる。ζ電位が10mVよりも低いとトナー粒子が凝集したり、電気泳動性が低下し地汚れしたり、濃度が低下したりする。またζ電位が200mVよりも高いと感光体付着量が低下し濃度が低下する場合がある。
実施例により限定されるものではない。
なお、捺染対象には、反応染料トナーの場合は太さが40番手の200本ブロード(縦糸120本/インチ、横糸80本/インチ)綿布を、分散染料トナーの場合はポリエステルサテン布を紙に貼り付けて用いた。
また、実施例及び比較例における「部」は全て「重量部」であり、共重合体のモノマーの混合比は重量比である。
トナーの重量平均粒径は、島津製作所SA−CP3により測定した。島津製作所SA−CP3はStokesの抵抗則にもとづく遠心沈降法によって粒子径を算出している。(大きな粒子ほど早く沈降し透過性が高くなる)。沈降最上面から一定距離のところで光学的にトナーの透過濃度を測定することによって粒子の沈降速度、粒径を求める。
(測定方法)
(1)SA−CP3用セルにアイソパーHを入れゼロ点設定。
(2)分球式濁度計で透過率15%程度になるまでトナーをアイソパーHで希釈して調整。濃度調整には10mm石英セルを使用。
(測定には適正濃度のトナーをセットする必要があるため。)
(SA−CP3にセットしたとき、80~120%の範囲にあればよい。)
(100%が最適)
(3)この濃度調整液をSA−CP3用セルに充填しACCEL480(加速度480rpm/min)、MODE:CENT、3〜16チャンネルの条件で測定。
下記材料をピンミルに入れて10時間分散後、更にカプリル酸ブチルを300部加え、1時間分散し、これを濃縮捺染トナーとした。
この濃縮捺染トナー100gとカプリル酸ブチル0.3L(リットル)とアイソパーH 0.7L(リットル)を混合した現像剤を用いて、図2の装置で電子写真捺染を行った。
(トナー材料)
・分散染料(Sumikaron Red E−FBL)(住友化学社製)(純度50%)40部とポリエチレン樹脂(A−C629)(ハネウエル社製)45部を溶融混練粉砕したもの 85部
・ラウリルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のカプリル酸ブチル20重量%溶液 100部
・カプリル酸ブチル(日清オイリオ社製) 180部
・荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
下記の材料をボールミルに入れて72時間分散後、更にカプロン酸ヘキシルを250部加え、1時間分散し、これを濃縮捺染トナーとした。
この濃縮捺染トナー100gとカプロン酸ヘキシル0.4LとアイソパーL、0.6Lを混合した現像剤を用いて、図3の装置で電子写真捺染を行った。
(トナー材料)
・分散染料(Kayalon Polyester Turquoise Blue GL−S)(精製処理純度90%)(日本化薬社製)25部とポリエチレン樹脂(210P)(三井化学社製)50部を溶融混練粉砕したもの 80部
・ステアリルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のカプロン酸ヘキシル20重量%溶液 105部
・カプロン酸ヘキシル(日清オイリオ社製) 185部
・荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
下記の材料をボールミルに入れて48時間分散後、更にカプロン酸オクチルを250部加え、1時間分散し、これを濃縮捺染トナーとした。
この濃縮捺染トナー100gとカプロン酸オクチル0.2LとアイソパーH0.8Lを混合した現像剤を用いて、図3の装置で電子写真捺染を行った。
(トナー材料)
・反応染料(Cibacron Turquoise Blue FGF−P )(精製処理純度85%)(チバケミカル社製)60部とポリエチレン樹脂(171P)(三洋化成社製)35部を溶融混練粉砕したもの 95部
・2エチルヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のカプロン酸オクチル30重量%溶液 100部
・カプロン酸オクチル(日清オイリオ社製) 250部
・荷電制御剤(オクタン酸ジルコニウム) 5部
実施例1の分散染料(Sumikaron Red E−FBL)(純度50重量%品)を純度90重量%に精製して用いた点以外は、実施例1と同様にして濃縮捺染トナーを作製した。
この濃縮捺染トナー100gとカプリル酸ブチル0.3LとアイソパーH 0.7Lを混合した現像剤を用いて、図3の装置で電子写真捺染を行った。
実施例3の濃縮トナー100gとカプリル酸エチル1Lを混合した現像剤により図3の装置で電子写真捺染を行った。
下記の材料をバッチ式サンドミルに入れて12時間分散後、更にミリスチン酸イソプロピルを350部加え、1時間分散し、これを濃縮捺染トナーとした。
この濃縮捺染トナー100gとミリスチン酸イソプロピル0.6LとエクソールD40 0.4Lを混合した現像剤を用いて、図3の装置で電子写真捺染を行った。
(トナー材料)
・分散染料(FS−Red1339)(純度98%)22部とエチレン酢ビ樹脂(EV150)(三井デュポンポリケミカル社製)46部を溶融混練粉砕したもの 68部
・2−エチルヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のミリスチン酸イソプロピル35重量%溶液
120部
・ミリスチン酸イソプロピル(日清オイリオ社製) 200部
・荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
下記の材料をバッチ式サンドミルに入れて12時間分散後、更にカプロン酸エチルを350部加え、1時間分散し、これを濃縮捺染トナーとした。
この濃縮捺染トナー100gとカプリン酸ヘキシル1Lを混合した現像剤を用いて、図3の装置で電子写真捺染を行った。
(トナー材料)
・反応染料(Remazol Black B)(純度97%に精製処理したもの)30部とロジン変性マレイン酸樹脂(MRG−H)(日立化成社製)38部を溶融混練粉砕したもの 68部
・2−エチルヘキシルメタクリレート/メチルメタクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のカプリン酸ブチル20重量%溶液 50部
・カプリン酸ブチル(日清オイリオ社製) 100部
・ペラルゴン酸ヘキシル(日清オイリオ社製) 100部
・荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
下記の材料をボールミルに入れて36時間分散後、更にヘキサン酸オクチルを280部加え、1時間分散し、これを濃縮捺染トナーとした。
この濃縮捺染トナー100gとヘキサン酸オクチル0.5L(リットル)、アイソパーH 0.5L(リットル)を混合した現像剤を用いて、図3の装置で電子写真捺染を行った。
(トナー材料)
・反応染料(Cibacron Black FBG−A)(純度70%に精製処理したもの)50部とポリエチレン樹脂(420P)(三井化学社製)30部を溶融混練粉砕したもの 80部
・ラウリルメタアクリレート/メチルメタアクリルレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のヘキサン酸オクチル15重量%溶液 30部
・ヘキサン酸オクチル(日清オイリオ社製) 170部
・荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 2部
実施例3の濃縮捺染トナー100gとヘキサン酸ヘキシル0.3L(リットル)、アイソパーM0.7L(リットル)を混合した現像剤を用いて、中間転写体を取り付けた図4の装置で電子写真捺染を行った。
2次転写前にアイソパーHを0.3mg/cm2吹き付けた点以外は、実施例9と同様にして電子写真捺染を行った。
下記の材料をピンミルに入れて10時間分散後、更にアイソパーHを300部加え、1時間分散し、これを濃縮捺染トナーとした。
この濃縮捺染トナー100gとアイソパーH 1L(リットル)を混合した現像剤を用いて、図2の装置で電子写真捺染を行った。
(トナー材料)
・分散染料(Sumikaron Red E−FBL)(住友化学社製)(純度50%)40部とエポキシ樹脂(エピコート1002)(ジャパンエポキシレジン社製)35部を溶融混練粉砕したもの 85部
・ラウリルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH20重量%溶液 100部
・アイソパーH 180部
・荷電制御剤(ナフテン酸ジルコニウム) 3部
下記の材料をボールミルに入れて72時間分散後、更にアイソパーHを320部加え、1時間分散し、これを濃縮トナーとした。
この濃縮捺染トナー100gとアイソパーH 1L(リットル)を混合した現像剤を用いて、図3の装置で電子写真捺染を行った。
・反応染料(Cibacron Turquoise Blue FGF−P )(精製処理純度55%)(チバケミカル社製)45部と石油樹脂(ピコテックスLC)(ハーキュレス社製)50部を溶融混練粉砕したもの 95部
・ステアリルメタクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸(80/10/10)共重合体のアイソパーH30重量%溶液 100部
・アイソパーH 250部
・荷電制御剤(オクタン酸ジルコニウム) 5部
上記実施例及び比較例の各現像剤による捺染により、得られた各捺染布を下記のように発色固着水洗処理を行った後、表1〜表2に示す項目の評価を下記評価方法及び評価基準により行った。結果を表1〜表2に示す。
ポリエステル布を用いた実施例1、2、4、5、6、9、10及び比較例1は、捺染布に175℃で30分蒸熱処理を行い、炭酸ナトリウム2g/L、ハイドロサルファイト2g/Lの80℃温水で20分処理を行った。
得られた捺染布を十分乾燥させた後、画像品質や風合の評価を実施した。
・画像濃度は網点面積100%部の4点をX−Riteにより測定し平均した。
・ブリード率は発色固着処理前後の1mm斜め線を20倍に拡大し、線幅を計測し算出した。発色後は図7のように繊維に添って染料が移行するため、移行した先端部の幅を測定し、下記式1により算出した。
ブリード率=(発色固着処理後線幅/発色固着処理前線幅)×100%
・風合は全ベタ画像の捺染布を20cm×20cmに切断し、風合段階見本布により評価した。
評価は5段階(5:布のみと同程度の柔らかさ、4:柔らかい、3:中程度、2:やや硬い、1:硬い)
・地汚れは地汚れ段階見本布による。評価は5段階(5:最良、1:最悪)
・重量平均粒径は島津製作所SA−CP3による。
捺染トナーを積分球式濁度計で透過率15%程度になるまでアイソパーで希釈し、SA−CP3用セルに充填しACCEL480、MODE:CENT、3〜16チャンネルの条件で測定。
・ζ電位は大塚電子ELS−8000による。
セル:低誘電率セル、電界:500V/cm、6回測定平均モードで測定。
・解像性、濃度均一性は、段階見本による。評価は5段階(5:最良、1:最悪)
・転写率はテープ剥離法により転写前後の濃度を測定し、下記式2により算出した。
転写率=〔(転写前感光体上濃度−転写後感光体残濃度)/(転写前感光体上濃度)〕×100%
実施例4は染料純度を上げているため実施例1に比べ画像濃度が高い。
また、比較例1、2の捺染トナーは、本発明の分散媒、樹脂を用いていないため捺染濃度が低く、風合が悪かった。
t1 樹脂
t2 染料
t3 分散媒
40 捺染布(被転写体)
Claims (14)
- 前記脂肪酸エステルが植物を原料として得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真液体捺染用トナー。
- 前記脂肪酸エステルがカプリル酸ブチル、カプロン酸オクチル、カプロン酸ヘキシルのいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真液体捺染用トナー。
- 前記着色剤が染料であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子写真液体捺染用トナー。
- 前記染料の純度が80〜100重量%であることを特徴とする請求項4に記載の電子写真液体捺染用トナー。
- 前記樹脂がGPC法で測定した数平均分子量500〜20000の樹脂を含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電子写真液体捺染用トナー。
- 前記数平均分子量500〜20000の樹脂が全樹脂に対して50〜90重量%であることを特徴とする請求項6に記載の電子写真液体捺染用トナー。
- 前記樹脂の着色剤に対する割合〔(樹脂/着色剤)×100%〕が50〜250重量%であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の電子写真液体捺染用トナー。
- 前記トナーのζ電位の絶対値が10〜200mVであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の電子写真液体捺染用トナー。
- 前記トナー中のトナー粒子の重量平均粒径が0.1〜5μmであることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の電子写真液体捺染用トナー。
- 請求項1ないし10のいずれかに記載の電子写真液体捺染用トナーを用い、感光体上の静電潜像を現像した後、転写ローラで圧力及び静電力により画像を被転写体に転写させることを特徴とする電子写真捺染方法。
- 請求項1ないし10のいずれかに記載の電子写真液体捺染用トナーを用い、感光体上の静電潜像を現像し、中間転写体にトナー像を1次転写した後、画像を被転写体に2次転写させることを特徴とする電子写真捺染方法。
- 2次転写前に中間転写体に溶媒を吹き付ける工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の電子写真捺染方法。
- タンデム型に感光体を配置し、搬送ベルト上に貼り付けた被転写体に画像を転写し、フルカラー捺染することを特徴とする請求項11ないし13のいずれかに記載の電子写真捺染方法。
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JP2007152603A JP2008304757A (ja) | 2007-06-08 | 2007-06-08 | 電子写真液体捺染用トナー及び電子写真捺染方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019107381A1 (ja) * | 2017-11-29 | 2019-06-06 | 花王株式会社 | 液体現像剤 |
JP2019101112A (ja) * | 2017-11-29 | 2019-06-24 | 花王株式会社 | 液体現像剤 |
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2007
- 2007-06-08 JP JP2007152603A patent/JP2008304757A/ja active Pending
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