JP2004538085A - オーラルケア物質送達ストリップ - Google Patents

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Abstract

歯、歯肉および/または粘膜組織にオーラルヘルスケア物質を送達するための装置であって、口腔内で許容される可撓性材料からなるストリップを備え、ストリップにはオーラルヘルスケア物質が付着されているか、そのバルク内にオーラルヘルスケア物質が含浸されており、歯の表面に接着させることができるが、その接着機能がオーラルヘルスケア物質とは別に備えられている装置。。好適な一装置は、塑性変形可能材料からなるストリップを含み、このストリップに吸着剤材料層が装着され、その上に、過酸化物含有歯白色化ゲルが適用されている。
【選択図】図1

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、オーラルケア物質または組成物を、歯、歯肉組織および粘膜組織などの口腔表面に送達するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性フィルムのストリップを含む送達装置であって、その一方の表面にその装置を歯の表面に装着する接着剤としても作用するオーラルヘルスケア物質が塗布された、オーラルヘルスケア物質を歯および口腔組織に送達するための送達装置は周知である。例えば、国際公開第98/55044号、米国特許第5,989,569号、同第5,879,691号、同第5,894,017号、国際公開第98/55079号、同第95/16488号、米国特許第6,045,811号、国際公開第00/07518号、および米国特許第2,835,628号を参照されたい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の装置では、取扱いが難しく、使用時に不快感のあることが課題である。消費者の観点から見ればまず、オーラルケア用送達装置として簡単かつ有効であり、使用時に目立たないだけでなく、低コストで、かさばらないことが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の1つの目的は、歯の表面にオーラルヘルスケア物質を送達するための改良装置を提供することである。オーラルヘルスケア物質が接着剤の役割も果たす従来の装置では、相容性のある接着剤とオーラルヘルスケア物質とを使用しなければならないなどの欠点があったが、本発明はこの課題を軽減することを目的としている。
【0005】
本発明によれば、歯、歯肉および/または粘膜組織の口腔表面にオーラルヘルスケア物質を送達するための送達装置が提供される。この装置は、
歯の表面および/またはそれに隣接する軟組織に適用可能なストリップ表面を有する、口腔内で許容される可撓性材料からなるストリップを備え、
そのストリップが、そのストリップ表面から歯の表面および/またはそれに隣接する軟組織へと移動できる、そのストリップ表面上に付着された、かつ/またはそのストリップのバルク(bulk)内に含浸されたオーラルヘルスケア物質を有し、
そのストリップが、適用される歯の表面および/またはそれに隣接する軟組織に接着することができ、
この接着機能が、オーラルヘルスケア物質とは別に提供されている装置である。
【0006】
接着機能とオーラルヘルスケア物質とを分離することにより、多くの選択肢の中からストリップの構成を決定できるようになる。
【0007】
口腔内で許容される材料からなるストリップは、押し付けるなど、ユーザーが歯の表面形状に対して圧力をかけることで歯の表面に適用でき、取外しもユーザーが簡単にできるのであれば、天然、合成を問わずいずれの材料を使用して形成してもよい。ただし、歯の表面形状にぴったり適合するように、ストリップを可撓性に富むものにしなければならない。
【0008】
この適合を、永久的な変形により行うことができる。すなわち、ストリップを塑性変形させて歯の表面に適合させた後、その元の形状にほとんど、または全く戻らない状態とする。このため、ストリップに例えば塑性変形可能材料を含めることができる。用語「塑性変形可能」とは、その材料が、少なくともストリップ形状の場合、ユーザーの指や手の圧力により体温以下の温度で簡単に変形して、ユーザーの歯の全体形状に装置をフィットさせ得るものであり、好ましくは、歯と歯との間の隙間内にも変形できるものであることをいう。通常、塑性変形可能装置は、250,000パスカル未満の圧力を印可することで、例えば、ストリップを変形して、ユーザーの歯および/または口腔組織の形状にフィットさせられるように塑性変形できるものでなければならない。適した塑性変形可能材料の例として、ワックス、特に、歯形状の注型製造に適した周知の種類などの歯科用ワックスが挙げられる。本発明における塑性変形可能材料は、好ましくは、このワックスを含む。こうした塑性変形可能材料を塑性変形させて、歯および歯と歯との間の空間の形状に密着させることで、この材料から接着機能が得られる。これにより、オーラルヘルスケア物質による接着機能の有無に関わらずそれとは別に、歯を把持することができる。塑性変形可能材料により得られるこの把持作用は、材料とこれを適用する歯および/または口腔組織の表面と間の摩擦によるものであっても、かつ/または、材料がその表面形状に追従し(accommodate)、表面凹部内に嵌合して把持することによる「デッドフォールド」作用によるものであってもよい。
【0009】
別法として、非永久的変形により、ストリップを歯の表面に適合させることも可能である。すなわちこの場合、ストリップは弾性的に変形するだけであり、歯の表面から取外せば、その元の形状まで、またはほぼその形状まで復帰する。
【0010】
こうしたストリップ材料は、口腔と相容性があり、ユーザーにとって快適なものでなければならない。この材料に、ポリマー性フィルムや、織布または不織布である布帛材料を含めることができる。また、この材料は、透明でも不透明でも、あるいは、見た目に目立たないように、または口の中では目立つように着色されたものでもよい。これには、上述したように、白、青、ピンクなどの色をしたさまざまなグレードの歯科用ワックスが利用可能である。この材料に、例えば製造業者や小売業者のロゴ、または他の目に見える印を印刷することができる。別法として、またはこれに加えて、この材料ストリップに二酸化チタンなどの着色剤を入れて、ストリップを明るい白色にすることもできる。
【0011】
このストリップは、単層でも複層でもよい。例えば、異なる種類の複数層を用いれば、それぞれの有利な特性が得られる。オーラルヘルスケア物質をこのストリップ材料に直接適用することができる。例えば、ワックスなどの塑性変形可能材料からなるストリップにオーラルヘルスケア物質を1層として適用すれば、この装置は、1層または複数層のワックス層と、その上に層として塗布されたオーラルヘルスケア物質を含むことになる。あるいは、例えば、オーラルヘルスケア物質を担持できる内側(すなわち、歯の表面に近い方、または歯の表面の隣)キャリア層と、使用時にその物質の剥離や落下を防止するためなどの外側バリア層とを設けてもよい。例えば、1層または複数層を、連続気泡または独立気泡発泡体sにすることができ、連続気泡にすれば、その気泡内にオーラルヘルスケア物質を有利に担持させることができる。例えば、ストリップの少なくとも一方の表面に、吸収性材料からなるキャリア層を装着することができる。この吸収性材料を、好ましくは、織布または不織布による布帛とし、好ましくは不織布とする。適した不織布帛の例として、ポリプロピレン、ビスコース、またはポリプロピレン−ビスコースブレンドが挙げられる。この吸収性材料で、ストリップの少なくとも一方の表面全体を覆ってもよい。
【0012】
例えば、複数層を含むストリップの別の種類として、上述した外側裏打層と、歯や他の口腔組織表面に隣接して配置される内側接触層とを含め、この内側層を多孔質とすることにより、オーラルヘルスケア物質をこの内側層と外側層との間に入れて、使用時に多孔質接触層を介して放出できるようにしてもよい。外側層には例えば、本明細書に記載の塑性変形可能なワックスを含め、内側層にも同様のワックスを含めることができる。この外側層および内側層の間に、オーラルヘルスケア物質のためのポケットを画成することができる。内側層に、発泡材料などの多孔質材料もしくは不織布などの吸収性材料を含めるか、または複数の穴をあけた、比較的浸透性の低い材料を含めることができる。場合によって、ストリップの接触層に、着脱自在な保護層を使用前に付与しておく必要がある。こうしたストリップは、外側層上にオーラルヘルスケア物質をパッチとして配置し、その上に内側層を積層して、パッチの周囲でこの2層間を適切に接合することで作製することができる。
【0013】
ストリップ材料に、例えばテクスチャを付けて、オーラルヘルスケア物質を担持しやすい表面を形成する、またはユーザーの快適度を高めることができる。例えば、ストリップ材料の表面にウェルや窪みを形成する、または表面をスポンジ状にして、オーラルヘルスケア物質および/または接着剤材料を含有させることができる。このストリップ材料を、一般に周知の種類である、ヒドロゲルポリマーなどの親水性材料にしてもよい。別法として、ストリップ材料を疎水性にすることもできる。例えば、複数層状のストリップに、1層または複数層の親水性層と、1層または複数層の疎水性層とを含めることができる。ストリップ材料全体、または複数層によるストリップの1層または複数層を、口内環境にて生分解性としてもよい。適したフィルム材料の例として、米国特許第2,835,628号および国際公開第00/07518号に開示されている、セルロースまたはポリエチレンを主成分とする材料、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびPTFEなどのフッ素化ポリマーが挙げられる。
【0014】
このストリップの形状およびサイズを、それぞれの歯の表面に対応させて、どれか1本の歯に適用できるものにしても、あるいは好ましくは、複数本の歯に同時に適用できるものにして、適用する複数本の歯列全体の長さおよび高さとほぼ一致する長さおよび幅の細長いストリップにしてもよい。あるいは、またこの方が好ましいが、ストリップの幅を、歯の高さを超える寸法にして、ストリップを歯冠越しに歯の裏側へ曲げるまたは折って、歯の裏側表面に接触させることも可能である。
【0015】
本明細書でいう用語「オーラルヘルスケア物質」とは、治療用、予防用および審美用有効物質またはその組成物をいう。こうした物質で対処できる口腔状態の例として、これらに限定するものではないが、歯の外見上および構造上の変更、白色化、着色漂白、着色除去、歯垢除去、歯石除去、窩洞予防および処置、炎症性および/または出血性歯肉、粘膜の創傷、損傷、潰瘍、アフタ性潰瘍、口唇ヘルペス、歯の膿瘍、歯および/または歯肉の痛み、歯の過敏性(温度変化に対するものなど)、こうした症状および微生物増殖などの他の原因により起こる口臭の除去などの1つ以上が挙げられる。
【0016】
適したオーラルヘルスケア有効物質として、口腔内に使用しても安全であると一般に考えられており、口腔内の健康状態全般を変化させられる物質のすべてが含まれる。本発明で使用するオーラルヘルスケア物質の濃度は一般に、約0.01%〜約40%であってよく、好ましくは約0.1%〜20%である。
【0017】
本発明で使用するオーラルヘルスケア物質に、当技術分野で使用される、上述した数多くの有効物質を含めることができる。以下に、本発明で使用可能なオーラルヘルスケア有効物質の例を列挙するが、これらに限定するものではない。
【0018】
本発明によるオーラルヘルスケア物質に、歯の白色化用有効物質を含めることができ、これらは、過酸化物、金属亜塩素酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過酸塩、およびこれらの組合わせからなる群から選択されるものである。適した過酸化化合物の例として、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、およびこれらの混合物が挙げられる。好適な過酸化物は、過酸化水素である。適した金属亜塩素酸塩の例としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウムおよび亜塩素酸カリウムが挙げられる。白色化有効物質の例に、次亜塩素酸塩および二酸化塩素も加えられる。好適な亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウムである。
【0019】
デンタルケア製品に使用されていることで知られている歯石予防剤には、リン酸類が含まれている。リン酸類の例として、ピロリン酸、ポリリン酸、ポリホスホネートおよびこれらの混合物が挙げられる。ピロリン酸が、デンタルケア製品に使用されているものとして最もよく知られている。歯に送達されるピロリン酸イオンはピロリン酸塩に由来しており、本発明による組成物に有用なピロリン酸塩として、ジアルカリ金属ピロリン酸塩、テトラアルカリ金属ピロリン酸塩、およびこれらの混合物が挙げられる。ピロリン酸二水素二ナトリウム(Na)、ピロリン酸四ナトリウム(Na)およびピロリン酸四カリウム(K)の非水和物ならびに水和物が好適である。結石予防リン酸類の例として、ピロリン酸カリウムおよびピロリン酸ナトリウム;トリポリリン酸ナトリウム;エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホネート、1−アザシクロヘプタン−1,1−ジホスホネートおよび直鎖状アルキルジホスホネートなどのジホスホネート;直鎖状カルボン酸、クエン酸ナトリウムおよびクエン酸亜鉛が挙げられる。
【0020】
ピロリン酸塩の代わりに、またはピロリン酸塩と組み合わせて使用できる作用物質の例として、ポリアクリレートなどの合成アニオンポリマー、およびGaffarらに付与された米国特許第54,627,977号などに記載されている無水マレイン酸またはマレイン酸およびメチルビニルエーテルのコポリマー(Gantrez(商標)など)を含む材料、ならびに、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリリン酸塩(トリポリリン酸塩;ヘキサメタリン酸塩など)、ジホスホネート(EHDP、AHPなど)、ポリペプチド(ポリアスパラギン酸およびポリグルタミン酸など)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
フッ化イオン源は、虫歯予防材料としてオーラルヘルスケア組成物内に使用されることでよく知られている。フッ化イオンは、虫歯予防用に数多くのオーラルヘルスケア組成物内に含まれているため、本発明においても同様にこれを組入れることができる。
【0022】
抗菌剤も、本発明のオーラルヘルスケア組成物または物質内に含めることができる。抗菌剤の例として、これらに限定するものではないが、一般にトリクロサンと呼ばれる5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール、クロルヘキシジン、アレキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、サリチルアミド、臭化ドミフェン、塩化セチルピリジニウム(CPC)、テトラデシルピリジニウムクロリド(TPC)、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC)、オクテニジン、デルモピノール、オクタピノールおよび他のピペリジノ誘導体、ナイアシン調製物;亜鉛/第1スズイオン剤;オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシシリン、ミノサイクリンおよびメトロニダゾールなどの抗生剤;上記抗菌抗歯垢剤の類似体および塩が挙げられる。
【0023】
抗炎症剤も、本発明のオーラルヘルスケア組成物または物質内に含めることができる。この例として、これらに限定するものではないが、非ステロイド抗炎症剤またはNSAID、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、アスピリン、ケトプロフェン、ピロキシカムおよびメクロフェナム酸が挙げられる。
【0024】
栄養素を用いれば口腔内の状態を改善することができるため、栄養素も、本発明のオーラルヘルスケア物質または組成物中内に含めることができる。この例として、ミネラル類、ビタミン類、口腔用栄養強壮剤、溶腸性栄養強壮剤、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
個々の酵素または相容性である酵素類の組合わせも、本発明のオーラルヘルスケア組成物または物質内に含めることができる。酵素類は、生物装置内の化学反応に対する生物学的触媒である。これが作用する基質と結び付いて中間の酵素−基質複合体を形成すると、この複合体が反応生成物と特定の酵素機能を継続する遊離酵素とに転換される。
【0026】
酵素類を口腔内の洗浄に用いるといくつかの利点が得られる。プロテアーゼを用いると、歯の表面に吸収されて、歯垢へと発展する第1の層である皮膜を形成する唾液タンパク質を分解する。プロテアーゼをリパーゼと共に用いると、細菌の細胞壁および膜の構造成分を形成するタンパク質および脂質を溶解させることにより細菌を破壊する。デキストラナーゼは、細菌接着のマトリクスを形成する、細菌により生成される有機骨格構造を分解する。プロテアーゼおよびアミラーゼは、歯垢形成に関わるだけでなく、カルシウムを結合する炭水化物−タンパク質複合体を分解して鉱化を防ぐことにより、歯石の形成を防止する。
【0027】
本発明に有用な酵素類には、市販されているプロテアーゼ、グルカノヒドロラーゼ、エンドグリコシダーゼ、アミラーゼ、ヌタナーゼ、リパーゼおよびムチナーゼまたはこれらの相容性混合物のいずれも含められる。この中でも、プロテアーゼ、デキストラナーゼ、エンドグリコシダーゼ、およびムルタナーゼが好適であり、パパイン、エンドグリシダーゼ、またはデキストラナーゼとムタナーゼとの混合物が最も好適である。
【0028】
本発明と併用できる他の材料に、周知の口内用および喉用製品を含めることができる。その例として、これらに限定するものではないが、抗真菌剤、抗生剤、および鎮痛剤が挙げられる。
【0029】
酸化防止剤は、本発明の例などの組成物内で有用なものとして一般に認識されている。本発明によるオーラルヘルスケア組成物または物質内に含めることのできる酸化防止剤の例として、これらに限定するものではないが、ビタミンE、アスコルビン酸、尿酸、カロテノイド、ビタミンA、フラボノイドおよびポリフェノール、薬草による酸化防止剤、メラトニン、アミノインドール、リポ酸およびこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
ヒスタミン−2(H−2)受容体アンタゴニスト化合物(H−2拮抗体)を、本発明によるオーラルヘルスケア組成物内に用いることができる。本明細書でいう選択的H−2アンタゴニストは、H−2受容体を遮断するが、ヒスタミン−1(H−1)受容体の遮断には重要な活性を持たない化合物である。
【0031】
本発明によるオーラルヘルスケア物質を、固体粒子などの乾燥形態にしても、粘性液体、ペースト、ゲル、溶液などの流体形態にしても、他の適した形態にしてもよい。好ましくは、この物質を、水性または非水性(グリセロールを主成分とする場合など)ゲル形態とし、これにゲル化剤または増粘剤を含めることができる。場合によって、この配合物にゲル化剤を添加して、有効成分を口腔組織に接着しやすくしなければならない。適した添加剤の例として、水溶性に限度のあるポリマー、ならびに水溶性を持たないポリマーが挙げられる。本発明に有用となる適切なゲル化剤の例として、カルボキシポリメチレン;カルボキシメチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、ポリアキサマー、カラギナン、Veegum、カルボキシビニルポリマー、および、カラヤガム、キサンタンガム、グアーガム、アラビックガム、トラガカントガムなどの天然ガム、およびこれらの混合物が挙げられる。本発明に使用するための好適なゲル化剤は、Carbopol(登録商標)の商品名でB.F.Goodrich Companyから入手可能なカルボキシポリメチレンである。特に好適なCarbopolには、Carbopol934、940、941、956およびこれらの混合物が含まれる。
【0032】
オーラルヘルスケア物質が水性ゲルであれば、このゲル組成物内に含まれる水分を脱イオン化して、有機不純物を取り除くことが好ましい。pH調整剤を添加して、ゲルの保存安定性を最適化し、物質を口腔組織に対して安全なものにすることができる。このpH調整剤すなわち緩衝剤として、オーラルヘルスケア物質のpHを調節するのに適した材料であればいずれを用いてもよい。適した材料として、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、スズ酸ナトリウム、トリエタノールアミン、クエン酸、塩酸、クエン酸ナトリウムおよびこれらの組合わせが挙げられる。物質または組成物のpHを適した数値に調節するように、pH調整剤を十分な量で添加する。適した数値として約4.5〜約11(材料のProxigelのpHは約4.7〜5.2)が挙げられ、これが約5.5〜約8.5であれば好ましく、約6〜約7であればより好ましい。pH調整剤は、一般に、オーラルヘルスケア物質の約0.01%〜約15重量%の量で含有され、約0.05〜約5重量%で含有されることが好ましい。
【0033】
オーラルヘルスケア物質または組成物に追加キャリア材料を添加することができる。この材料は一般に、湿潤剤類であり、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールなどを含む。オーラルヘルスケア物質には、この物質の他に、物質の放出性および/または活性度を改質するための触媒および/または賦活剤(potentiator)などの、1種類または複数種類の物質エンハンサーを含めることができる。本発明による装置にさらに、香料、着色剤などの追加物質を含めることができる。これらの追加物質を、例えば、上述したオーラルヘルスケア物質および接着剤の場合と同様の方法で、必要に応じて変更を加えながら、ストリップの表面上に付着させても、またはストリップのバルク(bulk)内に含浸させてもよい。
【0034】
オーラルヘルスケア物質は、好ましくは、歯白色化物質であり、好ましくは過酸化物含有ゲルである。場合により、過酸化水素などの過酸化物や有機過酸化物を含むグリセロールを主成分とするゲルが適切である。適切なゲルが米国特許第3,657,413号に開示されており、例として、Block Drug Company(米国)(GlaxoSmithKline公開有限責任会社に買収されて以降)からPROXIGEL(商標)として販売されているものが挙げられる。他の好適な過酸化物含有ゲルの例は、上記引用文献に開示されている。過酸化物材料の有効性を、触媒、すなわち過酸化物−触媒の2成分系により強化することができる。このオーラルヘルスケア物質をストリップの表面に付着させることができる。例えば、ゲルを、上述したように、ワックスストリップなどの塑性変形可能なストリップの表面上に層として直接付着させることができる。あるいは、ゲルを上述したキャリア層内に吸収させる、ストリップ材料のバルク内に含浸させる、または、上述したような複数層からなるストリップの層と層との間に付着させることも可能である。
【0035】
上述したように物質をストリップ材料の表面上に付着させる方法は周知であり、その例として、シルクスクリーン印刷などの印刷、物質を含浸させたローラ内への給送、注入、ポンプとノズル、噴霧、浸漬などが挙げられる。物質をストリップ材料のバルク内に含浸させる方法も周知であり、その例として、物質をストリップ材料と混合してからストリップを形成する、または、物質がストリップ内に含浸させられる条件下にてストリップを物質に曝露することが挙げられる。あるいは、例えばストリップ材料は気泡材料、特に連続気泡材料であってもよく、物質を気泡内に導入することにより、物質をストリップ材料内に含浸させることもできる。物質をストリップ材料上に付着させる、またはストリップ材料内に含浸させるための適切な技法のいくつかが、例えば、経皮パッチ技術から周知である。この物質はその後、物質を溶解させる口腔内の湿気作用により、または、口腔内に含まれる唾液アミラーゼなどの化学物質、酵素類の影響により、ストリップから放出され得る。
【0036】
本発明による装置に、字句、商標、社名ロゴ、カラー領域などの1つまたは複数の目に見える印を付けることができ、または目に見えるラインやノッチを含む位置合わせ構造を付けて、ユーザーが装置を歯に対して適切な位置に適用しやすくすることができる。こうした位置合わせ構造には例えば、装置を歯に適用する際、どちらの方向を上向きにしたらよいかを示す印や、1対の装置のうち、どちらが上側の歯用で、どちらが下側の歯用であるかを示す印を含めることができる。このように、装置を視覚的により人目を引くものにする、かつ/または、より簡単に使用できるものにすることができる。こうした印(1つまたは複数)を、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの従来の印刷処理により、吸収性材料層を装着した表面とは反対の塑性変形可能材料表面に適用することができる。
【0037】
目に見える印をストリップ表面に付与した場合、カバー層をその上に適用して、例えばその印を保護することができる。このカバー層を透明または半透明にして、カバー層を介しても印が見えるようにすることができる。
【0038】
このカバー層は、ロール掛けなど、カバー層の材料を塑性変形可能材料と接触させた状態でプレスすることにより、塑性変形可能材料に適用することができる。
【0039】
歯の表面に接触する表面とは反対側に不透過性裏打層を設けると好ましい場合がある。
【0040】
本発明をさまざまな形態として実現することができる。
【0041】
本発明による好適な一形態は、塑性変形可能材料からなるストリップを含む。その表面の少なくとも一方に吸収性材料層が装着され、この吸収性材料層の上にオーラルヘルスケア物質が付与される。
【0042】
この好適な一形態では、塑性変形可能材料に上述した歯科用ワックスを含めることができ、その厚さは0.2〜1.0mmであれば適切であり、0.2〜0.5mmであれば好ましく、およそ0.4〜0.5mmであれば最も好ましい。周知の種類の歯科用ワックスにロール掛けを施してこの厚さにし、ストリップ形状に形成することができる。
【0043】
この好適な一形態における吸収性材料を、好ましくは織布または不織布による布帛とし、不織布とすることが好ましい。適した不織布の1例は、ポリプロピレン−ビスコースブレンドである。この吸収性布帛層として適した厚さは、0.05〜0.2mmであり、0.075〜0.125mmとすれば好ましく、およそ0.1mmとすれば特に好ましい。好適には、このワックスと吸着性材料とを組み合わせたストリップ全体の厚さを、およそ0.7mmとすることができる。吸収性布帛層を、塑性変形可能材料からなるストリップに周知の方法で装着することができ、その方法の例として、布帛をストリップ表面に接触させ、カレンダー処理などで圧力を印可する方法が挙げられる。こうして塑性変形可能材料を吸収性布帛の繊維内に押し入れて、これらを接合させることができる。
【0044】
この好適な一形態では、オーラルヘルスケア物質を、好ましくは上述した過酸化物含有ゲルとする。通常、このゲルを、ローラを用いて適用する方法などの従来の方法で吸収性布帛に適用することができる。すると、ゲルはその吸着性材料内に浸透し、この材料に完全に吸収させることができるか、または、いくらかが表面層として残る可能性がある。上述した歯白色化ゲルなどの物質は吸収性布帛内に吸収されるため、この吸収性布帛を用いることで、この物質を装置に保持しやすくなることがわかっている。布帛に好適な厚さとして上述した数値は、十分な量のゲルを装置に保持するのに適したものであることがわかっている。この吸収性布帛はまた、この物質が流体ゲルである場合、装置を歯に対して押し付けた際に、この物質がストリップと歯表面との間から押出されることを防止する役割も果たしている。通常、過酸化物含有ゲル物質は250〜750mgの範囲で充填され、この量を250〜500mgとすると好ましい。装置に充填されるオーラルヘルスケア物質のすべてが実際に口腔表面に最終的に接触するわけではなく、過酸化物含有ゲルを用いた試験を行ったところ、充填した物質のおよそ70%が歯の表面まで実際に移動したことに留意されたい。
【0045】
この好適な一形態では、ワックスなどの塑性変形可能材料からなるストリップに、上述したように、1つまたは複数の目に見える印を付けることができる。これは通常、吸収性材料層が装着されている表面とは反対の塑性変形可能材料表面に適用される。目に見える印を付与する場合、上述したように、その印の上にカバー層を適用することが好ましい。このカバー層は、塑性変形可能材料層と同じ材料(ワックスなど)を含み、印を事実上、塑性変形可能材料内に埋設させる、またはワックス材料からなるストリップとカバー層との間に挟持することが好ましい。
【0046】
このカバー層は、カバー層材料を塑性変形可能材料に接触させた状態でプレスし、例えばロール掛けすることにより、塑性変形可能材料に適用することができる。
【0047】
塑性変形可能材料としてシートまたはリールテープ(reel)の形態で入手した歯科用ワックスを用いる本発明による装置の上述した好適形態を製造する通常のプロセスに、以下のステップを含めることができる。
【0048】
必要であれば、ワックス材料の表面を洗浄する。入手した歯科用ワックスの表面には、ココナッツ油などの汚れがついている可能性があるため、通常、表面の洗浄に適した不織布などで表面を拭取る。表面の汚れが実質的にないワックスを準備するために、連続押出処理を用いてもよい。
【0049】
このワックス材料の第1のシートの第1の表面上に、目に見える印を印刷することができる。このために、1台または複数台のインクジェットプリンタを用いると適切である。この際、適したインクを使用し、口腔内で許容されるインクを使用することが好ましい。
【0050】
ワックス材料の第2のカバーシートを、第1のシートの第1の表面に積層して、印刷した印を第1のシートと第2のシートとの間に挟持し、事実上その印を、積層した歯科用ワックスシート内に埋設することができる。この作業を、第1および第2のシートを一緒にローラ間に挿入し、適した圧力または必要であれば高温にて(例えば、表面温度およそ85℃、200mm/秒の速度にて)ロール掛けするなどして、プレスすることで実行できる。当業者であれば、容易にこの温度を決定することができる。
【0051】
こうして積層したシートを、上述した数値などの適した厚さに圧縮するために、ローラ間などで圧縮してサイズ変更することができる。
【0052】
次に、この積層したワックスストリップに吸収性布帛層を周知の方法で装着することができる。これには、布帛を、第1のシートの第1の表面とは反対の表面に接触させて、圧力を印可するなどの方法が挙げられる。例えば、積層したワックスシートと布帛とを、一緒にローラ間に給送してローラ掛けしてもよい。こうして、塑性変形可能材料を吸収性布帛の繊維間に押し入れて、これらを接合させることができる。
【0053】
ワックスシートをローラ間で圧縮する上記ステップにおいて、ワックスがローラに粘着しないように、紙などの「犠牲」材料からなるシートをワックスシートとローラとの間に準備しなければならない場合もある。例えば、場合により、ワックスを準備する好適な一方法が、これを連続的にシートとして剥離紙キャリア上で注型することとなる。
【0054】
積層した材料シートを、ダイカッターなどを用いて切断し、形状を整えることができる。次に、オーラルヘルスケア物質を、ローラまたは好ましくは吐出ポンプおよびノズルなどにより適用する従来の方法を用いて、吸収性材料層に適用することができる。
【0055】
本発明の別の形態において、このオーラルヘルスケア物質と接着剤材料とを、ストリップ表面に対して、分離した(separate)別個の(discrete)複数個所に付着させることができる。
【0056】
この接着剤は、ストリップ材料を歯の表面または歯肉などの口腔表面、他の皮膚表面や粘膜に粘着させ、それにより、オーラルヘルスケア物質を付着または含浸させたストリップ部分を歯の表面に接触させ、後にユーザーが簡単に剥すことができるように使用できる接着剤であればいずれでもよい。適した接着剤の例として、皮膚用、歯肉用、粘膜用接着剤が挙げられるが、オーラルヘルスケア物質が効果を発揮するまで、口腔環境内の湿気、化学物質および酵素類に十分長い時間耐え得ると同時に、使用後は溶解性および/または生分解性となり得るものでなければならない。適した接着剤に、例えば、疎水性および/または非水溶性ポリマー装置を含めることができる。適した接着剤として、例えば、口内の湿気、化学物質または酵素類などの影響下にて口内環境に接触することで粘着性となる乾燥接着剤などの感圧および感湿接着剤を含めることができる。適した接着剤は周知であり、その例として、天然ガム、合成樹脂、天然および合成ゴム、および、周知の接着剤テープに使用されている、他のさまざまな粘着性物質が挙げられる。適した接着剤材料は、米国特許第2,835,628号ですでに長年周知となっている。上述したように、本発明によるストリップ材料の表面にウェルまたは窪みを設ける、またはその表面をスポンジ状にして、接着剤材料を入れることができる。
【0057】
本発明のこの形態に対するさまざまな実施形態について、以下に説明する。
【0058】
一実施形態において、オーラルヘルスケア物質および接着剤を、ストリップ表面上に、別々に間隔を置いた複数個所に付着させることができる。例えば、接着剤をストリップ上の一定箇所に付着させ、そのストリップ部分を歯肉表面などの歯の表面と隣合う口腔表面に粘着させることにより、オーラルヘルスケア物質が付着または含浸しているストリップの別の部分を歯の表面に接触させることができる。
【0059】
あるいは、この接着剤およびオーラルヘルスケア物質を、歯や歯肉表面などの同じ種類の組織に接触させられる位置に、別々に間隔を置いて配置することができる。例えば、オーラルヘルスケア物質と接着剤とを、それぞれ別々のスポットまたはパッチとしてストリップ表面上に付着させることができる。このパッチまたはスポットは、例えば、歯の表面上で場所によってオーラルヘルスケア物質の効果がもたらされない箇所が生じないように、比較的小さくしなければならない。例えば、オーラルヘルスケア物質と接着剤とを、それぞれ平行に、ストリップ表面上に別々のラインとして付着させることができる。例えば、オーラルヘルスケア物質を、接着剤の縁取りで一部または全部を縁取られた1つまたは複数のパッチとして付着させることができる。例えば、こうしたオーラルヘルスケア物質のパッチは、ストリップ表面全体を実質的にカバーする1つの大きなパッチからなり、その長手方向縁部を接着剤のラインで縁取るか、または接着剤の縁取りで完全にそのパッチを包囲することができる。これとは反対に、接着剤を、オーラルヘルスケア物質の縁取りで一部または全部を縁取られた1つまたは複数のパッチとして付着させることができる。この実施形態の場合、オーラルヘルスケア物質を、口腔環境内の水分、化学物質および/または酵素類の作用でこの物質を溶脱させられる、固体、ポリマーまたはゲルマトリクスの形態である放出用組成物内に入れることができる。この放出用組成物の生成に適した技術は周知であり、その例として、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース類などを用いる技術が挙げられる。この接着剤を、例えば、疎水性または非水溶性接着剤とすることができ、オーラルヘルスケアのパッチを取り囲む縁取りとして接着剤を用いる場合、この接着剤による縁取りを、ストリップ縁部からのオーラルヘルスケア物質の漏れを防止するバリアとすることができる。
【0060】
別の実施形態において、オーラルヘルスケア物質および/または接着剤をカプセル状にすることができる。カプセル化の例として、マイクロカプセルまたはマクロカプセル内に封入することが挙げられる。マイクロカプセル封入の方法は周知であり、この方法では例えば、物質の液滴をカプセル材料層内に液相にて封入して、その液体から分離する。このカプセルをシート表面上に付着させて、またはシート表面に隣接させて、例えば、ストリップを歯の表面に適用する際の圧力、またはこれに引き続く噛合わせ動作による圧力により、または口内環境内における温度、湿気、pH、化学物質または酵素類の作用によりカプセル壁部を溶脱させることにより、物理的または化学的に破裂させることができる。例えば、オーラルヘルスケア物質および接着剤の各カプセルを、第2の接着剤により、またはストリップ材料内にカプセルを埋設させることにより、ストリップ表面に装着させることができる。例えば、接着剤の薄い層をストリップ表面上に付着させ、オーラルヘルスケア物質のカプセルを、この接着剤層内に完全に埋設できなければ少なくとも部分的に埋設させる、または接着剤層の表面上に配置することができる。例えば、これと反対の構造として、オーラルヘルスケア物質の放出用組成物を薄膜としてストリップ表面上に付着させ、接着剤のカプセルを、この組成物層内に完全に埋設できなければ少なくとも部分的に埋設させることができる。例えば、こうしたカプセルは、ストリップ表面に接合した気泡フィルム材料のマイクロバブルの形態であってもよく、それによって例えば、この気泡の壁部でストリップ自体を構成することができる。
【0061】
別の実施形態において、この物質および/または接着剤を、口内の湿気、化学物質または酵素類などの口内環境の影響を受けてその含有成分を放出することのできる、ペレットまたはマイクロペレットなどの顆粒として提供することができ、またはこうした放出を実現できるようにこの物質および/または接着剤にコーティングを施すことができる。特定pHにて溶解する周知のEudragit(商標)ポリマーなどのコーティングポリマーを使用するする、顆粒化およびペレット化の方法が知られている。こうして形成した顆粒を、ストリップ表面上または表面に隣接して付着させることができる。例えば、オーラルヘルスケア物質および接着剤の各顆粒を、第2の接着剤により、またはこの顆粒をストリップ材料内に埋設することにより、ストリップ表面に装着することができる。例えば、接着剤を薄い層としてストリップ表面上に付着させ、オーラルヘルスケア物質の顆粒を、この接着剤層内に完全に埋設できなければ少なくとも部分的に埋設させることができる。例えば、これとは反対の構造として、オーラルヘルスケア物質の放出用組成物を薄い層としてストリップ表面上に付着させ、接着剤の顆粒を、この組成物層内に完全にまたは部分的に埋設させることができる。
【0062】
例えば、接着剤およびオーラルヘルスケア物質のカプセルおよび/または顆粒を、ストリップ表面全体に実質的に均一に配置することも、別法として、接着剤および物質のカプセルおよび/または顆粒をストリップ表面上の別々の個所に配置することもできる。あるいは、接着剤またはオーラルヘルスケア物質の一方をカプセルまたは顆粒として準備し、もう一方をストリップ上に付着させる、またはストリップ内に含浸させることも可能である。例えば、接着剤を、歯の表面と隣合う口腔表面に接触するストリップ部分に、付着させる、含浸させる、またはカプセルや顆粒として形成するなどの方法で配置し、歯の表面に接触するストリップ部分(1つまたは複数)に、オーラルヘルスケア物質を付着させる、含浸させる、またはカプセルや顆粒として形成するなどの方法で配置することができる。
【0063】
上述したようにオーラルヘルスケア物質をカプセルや顆粒としてストリップ表面上に付着させる実施形態では、このカプセルまたは顆粒を、上述した不織布材料などの多孔質膜層でカバーすることができる。この膜層を設けることにより、カプセルや顆粒をストリップ表面上に保持しやすくなり、カプセルを用いる場合には、カプセルがその含有成分を放出するために開口した時点で、有効材料成分を通過させつつ、そのカプセル外被の破片を留めやすくなる。このような実施形態を、例えば、顆粒および/またはカプセルをストリップ表面上に付着させ、そのストリップ上にてカプセル上に膜層を積層させることで、製造することができる。例えば、カプセルおよび/または顆粒をストリップ上の一領域内に付着させ、その領域周囲のストリップに、膜層を接合させることもできる。
【0064】
上述した賦活剤および/または触媒を、他のカプセルまたは顆粒内に入れて、その含有成分を口内に放出させることができる。別法として、かかる賦活剤および/または触媒は、例えばオーラルヘルスケア物質のカプセルまたは顆粒の外側コーティングとしてそのカプセルまたは顆粒の外側に施すことができ、あるいは、例えば、オーラルヘルスケア物質のカプセルまたは顆粒を装着または埋設する材料層として、そのカプセルまたは顆粒に隣接するストリップ材料上に付着させるか、もしくはストリップ材料内に含浸させるなどにより提供することができる。
【0065】
別の実施形態において、接着剤およびオーラルヘルスケア物質を、ストリップ表面上に別々の層として付着させることができる。例えば、放出組成物の形態などとしてのオーラルヘルスケア物質層を、ストリップ表面に隣接させて接触させるなど、ストリップ表面に相対的に近位に付着させ、接着剤層を、オーラルヘルスケア物質からなる下層に隣接させ、接触させるなど、ストリップ表面から相対的に遠位に付着させることができる。この構造の場合、接着剤によりストリップは歯の表面に粘着し、例えば、接着剤層が口内環境の影響を受けて透過性になることにより、オーラルヘルスケア物質を、接着剤層を介して通過させることができる。この構造における接着剤層には、この層を貫通する1つまたは複数の穴を設けて、オーラルヘルスケア物質が接着剤層を通過できるようにすることができる。別法として、例えば、接着剤層を、ストリップ表面に隣接させて接触させるなど、ストリップ表面に相対的に近位に付着させ、放出用組成物の形態などであるオーラルヘルスケア物質層を、接着剤からなる下層に隣接し、接触させるなど、ストリップ表面から相対的に遠位に付着させることができる。この構造の場合、オーラルヘルスケア物質層にこれを貫通する1つまたは複数の穴を設けて、接着剤がオーラルヘルスケア物質層を通過できるようにしなければならない可能性がある。この構造では、ストリップを歯の表面に適用する際に圧力をかけることで、下にある層から材料を通過させることができる。
【0066】
別の実施形態において、ストリップ材料の固有の性質を利用して、これを歯の表面に接着することができる。例えば、口内の湿気の影響を受けた表面張力により、ストリップ材料を歯の表面に接着させることができる。例えば、ストリップ材料を、例えば粘膜接着特性を有する親水性ポリマーにすることができる。例えば、このフィルムに、接着剤材料を含浸または分散させて含めることができる。この接着剤材料を、口内環境の湿気、化学物質または酵素類に接触することで粘着性となる乾燥接着剤材料とすると適切である。あるいは、例えばストリップ材料を気泡材料、具体的には連続気泡材料にし、オーラルヘルスケア物質をこの気泡内に導入することで接着剤をストリップ材料内に含浸させることができる。オーラルヘルスケア物質を、スポット、パッチ、ラインとしてストリップ表面上に付着させてもよく、または、ストリップ表面上に、接着剤を通過させられる多孔質層や穿孔層などの層として付着させてもよい。
【0067】
本発明の別の形態によれば、機械的接着手段を単独または本明細書に開示した他の接着装置との組合せとして用いて、接着機能を得ることができる。好適実施形態では、ストリップと歯や他の口腔表面との間を、塑性変形可能材料、具体的には上述したワックスを含むストリップにより機械的に接着する。ワックスを用いることで、歯の形状や他の口腔表面にストリップを追従させるためにユーザーがストリップを塑性変形させる、具体的に言えば窩洞や歯と歯との間の隙間内に嵌合させることにより、機械的把持力によりストリップをそこに接着させることができる。上述したゲル材料などのオーラルヘルスケア物質層をこの上に付着させることができる。こうした把持力は、例えば、部分的真空や表面張力効果の形成により得られるストリップと歯の表面との間の表面効果により強化することができる。例えば、ストリップの表面上に、歯と歯との間の隙間間隔とほぼ同じ間隔で固定具を設けて、この固定具を歯と歯との間の隙間内に嵌合させることができる。例えば、歯の表面に接触するストリップ表面に微小吸込口を設けることができる。すなわち、ストリップ表面に複数の小さなキャビティを設け、歯の表面に押し付けることによりそのキャビティから空気を逃して部分的に真空を形成することができ、よってストリップが空気圧により歯の表面に保持されることになる。このような固定具や微小吸込口を、歯の表面に接触するストリップ表面に設けることができる。このストリップを、例えば、口内の湿気、化学物質または酵素類の作用により軟らかくなる伸張性とすると、これをユーザーの歯と歯との間の隙間空間に適合させることができる。歯の表面、例えば口内の湿気、化学物質または酵素類や他の口内環境の特徴に接触すると収縮して、歯の表面を物理的把持できるストリップ材料によっても、別の「機械的」接着力が得られる。
【0068】
次に、上述した装置の好適形態などの、本発明による装置に適した形状について説明する。本発明による装置は、細長い形状にすることが適切であり、その長さは、ユーザーの歯の前側表面に対して配置した状態において、複数本の歯にわたって延在するだけの十分な寸法とする。この装置を、少なくともユーザーの犬歯から例えば小臼歯まで延在するだけの十分な長さとすると適切である。
【0069】
この装置の幅は、ユーザーの歯に対して配置した状態において、歯肉ラインから少なくとも歯肉ラインから遠位にある前歯の冠部まで延在するだけの十分な寸法とすると適切である。折り曲げない状態でのストリップの幅は、歯肉ラインから冠部までの歯の高さよりも大きい寸法であることが適切であり、ストリップの少なくとも一部は、歯の冠部越しに曲がるまたは折れるように、かつ歯の冠部および裏側表面に接触できるように、実質的に長手方向の折り曲げ軸を中心に折り曲げることが可能である。すなわち、折り曲げられた装置部分の断面は実質的に「U」または「V」字形状であり、2本のアーム部が折り曲げ軸で連結されており、各アーム部は「U」または「V」字の「咬合部」内に面する内側の表面を有し、オーラルヘルスケア物質はこの内側の歯接触表面上に存在する。第1のアーム部の内側向き表面が歯の一方の表面、例えば口の内側向きの表面に適用され、第2のアーム部の内側向き表面がその歯の反対の表面、例えば、歯の前側表面などの口の外側向きの表面に適用されるように、このストリップを歯に適用することができる。
【0070】
必要であれば、接着剤材料を第1の内側向き表面に付着させ、オーラルヘルスケア物質を第2の内側向き表面に付着させることができる。ただし、上述した装置の好適形態では、塑性変形可能なワックスを、例えば歯間空間などの中に嵌合させるなど、歯の形状に物理的、すなわち機械的に追従させることにより、この装置をユーザーの歯にしっかり装着することができると考えられる。この装着を行うために、ユーザーが圧力をかけることができる。この好適形態の装置にオーラルヘルスケア物質として好適な過酸化物含有ゲルを用いる場合、このゲルが実際には、接着剤としてではなく粘り気のある潤滑剤として作用して、装置と歯の表面との間の接着状態を低減する可能性がある。
【0071】
本発明による装置は、上側の歯に適用されるのか、下側の歯に適用されるのかによって、さまざまな形状をとることができる。一般に、上側用にも下側用にも、この装置を実質的に矩形または台形にして、例えば、角部および/または端部に丸みを持たせることができる。
【0072】
適切に上側の歯に適用する装置として、この装置を実質的に矩形とし、その長手方向側部(long side)を凹状に湾曲させることができる。下側の歯に適用する装置として、この装置を実質的に矩形とし、その長手方向側部を凸状に湾曲させるか、あるいは、略矩形とし、その長手方向側部を凹状に湾曲させるか、または長手方向側部に凹状の窪みを形成することができる。
【0073】
適切に特に上側の歯に適用する装置として、この装置の長手方向側部からタブを延出させることができる。例えば、このタブを実質的に矩形とすることができる。このタブを用いることにより、ユーザーによる装置の取扱いおよび歯の表面への適用を容易にすることができる。
【0074】
この装置の寸法は、実際には原則として、ユーザーの歯の典型的寸法により決定される。通常、この装置の寸法は長さおよそ4〜10cm、幅およそ1.0〜3cmであり、通常、長さおよそ7〜8cm、幅およそ2〜2.5cmとする。この寸法であれば、ストリップをユーザーの歯の冠部上で「U」字形状に折り曲げてその前側表面にも裏側表面にも適用できる適切な幅であることがわかっている。この寸法は、上述したようにおよそ200〜750mgの過酸化物含有ゲルの充填に適切である。
【0075】
オーラルヘルスケア物質を、ストリップ材料から歯の表面に放出させるために、ストリップ材料内に含浸させる場合、上述した選択肢とは別の方法を用いることも可能である。
【0076】
本発明による装置を使用する通常の方法を以下に説明する。本発明による装置を、例えば、ストリップを歯の表面やこれに隣接する位置に配置するためにユーザーの指やアプリケータ装置を用いて、手動でユーザーの歯(1本または複数本)の表面に適用することができる。物質を担持している表面を歯の前側表面に接触させた状態でストリップの長手方向部分をユーザーの歯列に合わせて、装置を歯の前側表面に対して押し付けることで、この装置をユーザーによりユーザー自身の歯に適用できる。
【0077】
この装置の好適形態を用いる場合、ストリップ材料が塑性変形することにより、装置を歯のプロフィールと同じ形状にして、歯と歯との間の隙間内に嵌合させることができる。装置の幅が歯の長さを超えている場合には、これを歯の遠位端越しに折り曲げて、歯の裏側表面に接触させ、裏側表面に対して押し付けることで、歯の裏側表面と同じ形状にすることができる。タブが設けられている場合には、これを利用すると、ユーザーは装置を配置しやすくなる。
【0078】
この装置の好適形態が塑性変形することにより、この装置は、変形するために加えた圧力が解放された後も、ユーザーなどにより装置が外されるまでその変形した形状を保持する。この装置を歯の形状に嵌合させるように適合させることと、この装置を歯の遠位端越しに折り曲げて歯の裏側表面に接触させることとの組合せにより、この装置を歯に対する一定位置に保持するための原則的な力が得られる。さらに、この塑性変形による把持力に加えて、唾液などの口内流体による表面張力、装置に対する唇などの隣合う口内表面の圧力を含む1種類または複数種類の力によっても、この装置を歯に対して保持することができる。
【0079】
この装置を、オーラルヘルスケア物質がその効果を発揮するだけの十分に長い時間、ユーザーの歯に接触した状態で放置する。この使用時間は、個々のユーザー、都合、ユーザーの歯の状態、必要な白色化度合いなどの所望する医療上の効果などに応じてさまざまである。例えば、この時間を10分という短時間にしても、2時間などの長時間にしてもよく、この装置を、30分ずつを2回など、1日に複数回適用することも可能である。また、この装置を、歯の白色化などの所望するオーラルヘルスケア効果が得られるまで、7〜14日間などの日数にわたり同じような使用時間で繰り返し使用することも可能である。この装置を歯に接触した状態にしていれば、オーラルヘルスケア物質は歯の表面に直接接触した状態に保持され、塑性変形可能材料のカバー層により、口内流体により流されることや隣接する口内表面との接触により除去されることがないようになっている。使用後、この装置を単純に歯から取外して廃棄し、所望に応じてユーザーが口をゆすぎ、かつ/または歯を磨いて、残留している医療物質を流すことができる。接着機能と有効機能とを分離したことにより、特に、接着効果はほとんどまたは全くない上記のゲル材料を使用するが、塑性変形可能なワックス材料などによって歯を機械的に把持することで得られる機械的接着を使用することにより、装置の使用後に歯および口腔組織からこの物質を流し去ることが特に容易となっている。
【0080】
この装置は、オーラルヘルスケア物質を汚染しない、かつ/または損失しないように、オーラルヘルスケア物質上に保護用カバーフィルムを設けて提供することができる。このフィルムは、剥離容易なフィルムにすることができる。
【0081】
本発明による個々の装置は、例えば、対応サイズに形成された、略平坦な外囲容器などの容器(sachet)に入れて供給することができる。適宜、そのような容器は片側面にて開かれるようにし、それにより中に入れられた装置を、物質を振り落としかねない長手方向の摺動動作を必要とせずに取出すことができるようにする。こうした装置含有容器を十分な数用意して、それらを1つの外パッケージに入れることにより、ユーザーが1回の使用コースを完了できるようにすると適切であり得る。このパッケージ、または個々の容器に使用方法を記載しても、またはパッケージに取扱い説明書を同封してもよい。以下に、本発明を添付の図面のみを参照しながら、実施例を用いて説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0082】
図1を参照すると、厚さをおよそ0.005〜0.02mmとする薄い可撓性ポリエチレンなどのポリマー材料からなるストリップ10の平面図が示されている。このストリップ10は、角に丸みを付けた略矩形であり、その幅「W」はヒトの歯の長さとほぼ等しく、長さ「L」はヒトの歯数本の幅とほぼ等しくなっている。ストリップ10を、例えばユーザーの歯の前側表面に軽く押し付け、さらに強く押してストリップ10を変形させることにより、表面11を歯と接触している状態で、その歯の形状に追従させることができる。
【0083】
このストリップ10の表面11には、オーラルヘルスケア物質12のパッチと接着剤13のパッチがそれぞれ、わずかな隙間14をおいて個々に付着されている。オーラルヘルスケア物質12が歯の表面上で場所によって効果を発揮しないところがないように、パッチ12、13は比較的小さくなっている(すなわち、図1では一律の縮尺に従わずに描かれている)。パッチ12、13は、図示では矩形であるが、いずれの形状でもよく、好ましくは碁盤目形状とする。
【0084】
図2を参照すると、オーラルヘルスケア物質は、ストリップ10の表面にパッチ21のパターンとして付着されている。このパッチを、接着剤22が縁取りとして完全に取り囲んでいるが、この場合も、接着剤22とパッチ21との間に細い隙間23が残る。
【0085】
図3および図4を参照すると、オーラルヘルスケア物質は1つの大きなパッチ31、41としてストリップ30、40の表面に付着されて、ストリップ30、40の表面全体を実質的にカバーしている(一律の縮尺に従わずに描かれている)。パッチ31の長手方向縁部に沿って、接着剤32がラインとして施されており、図4では、接着剤の直線状の縁取り42がオーラルヘルスケア物質を完全に取り囲んでいる。オーラルヘルスケア物質31、41のパッチと接着剤32、42との間には細い隙間33、43が設けられている。図3および図4において、オーラルヘルスケア物質パッチ31、41には、オーラルヘルスケア物質を含有し、オーラルヘルスケア物質を口内に溶脱させ得る放出用組成物が含まれている。縁取り42は、ストリップの縁部からオーラルヘルスケア物質が流出するのを防止するバリアとして機能し得る。
【0086】
図5を参照すると、ストリップ50の縦断面図が示されている。この場合、オーラルヘルスケア物質と接着剤とはそれぞれマイクロカプセル51および52に封入されるか、あるいはストリップ50の表面53上の接着剤によって付着させたマクロカプセル(図示せず)に封入される。カプセル51、52を破るには、例えば、ストリップ50を歯の表面に適用する際の圧力、またはそれに引き続いて歯を噛み合わせることによる圧力を利用することができる。
【0087】
図6を参照すると、ストリップ60の縦断面図が示されている。このストリップ60には接着剤61が層として表面62上に設けられ、オーラルヘルスケア物質のカプセル63が、その接着剤層63内に埋設されている。あるいは、層63が、ストリップの表面62に付着されたオーラルヘルスケア物質の組成物層を含んでもよく、そこからオーラルヘルスケア物質が放出され、カプセル63が接着剤を含んでいてもよい。いずれの場合も、上述したように、カプセルは圧力で破ることができる。
【0088】
図7を参照すると、ストリップ70の縦断面図が示されており、ストリップ70の表面72には接着剤71の層が付着されている。オーラルヘルスケア物質のカプセル73は、この接着剤層の上面に配置されてストリップに装着されている。歯の表面に適用する際、ストリップ70は接着剤71により歯の表面に粘着し、圧力でカプセル73が破られて、オーラルヘルスケア物質が放出する。
【0089】
図8を参照すると、上述したようにポリエチレンフィルムであるストリップ80の縦断面図が示されている。気泡フィルム材料のマイクロバブル81がストリップ80の表面に接合されており、これにより、各バブルの下側壁部が、ストリップ80の表面82自体を構成するようになっている。このマイクロバブル81は、図5に類似した構造においてカプセルとして使用するか、または図6に図示したように埋設することができる。
【0090】
図5から図8に例示した実施形態すべてにおいて、上述したカプセルの代わりに、ペレットまたはマイクロペレットを用いることができる。
【0091】
図9および図10を参照すると、ストリップ90、100には、接着剤およびオーラルヘルスケア物質が別々の層として、すなわち、接着剤層91、101とオーラルヘルスケア物質層92、102として、表面上に付着されている。オーラルヘルスケア物質層91、101は、接着剤層92、102の下に設けられた放出用組成物の形態である。接着剤層91、101がストリップ10を歯の表面に粘着させると、例えば、接着剤層92、102が口内環境の影響により透過性となるため、下層91、101からオーラルヘルスケア物質が接着剤層92、102を通過して放出される。図10に図示したように、接着剤層102には、オーラルヘルスケア物質が層101から接着剤層102を通過できるようにするために、層102を貫通する穴103が設けられている。あるいは、下層91、101に接着剤層を含め、上層92、102に放出用組成物としてオーラルヘルスケア物質層を含めてもよく、この場合も任意に、接着剤がオーラルヘルスケア物質層102を通過できるようにするため、層102を貫通する穴103を設けることができる。
【0092】
図11および図12を参照すると、ストリップ110、120の縦断面図が示されている。オーラルヘルスケア物質は、周知の頬側(バッカル(buccal))送達装置に用いられる方法など、これを溶脱して口内に放出させることが可能な周知の方法を用いて、ストリップ110、120のバルク内に含浸されている。接着剤材料は層111としてストリップ110、120の表面上に付着されており、この層111に穴を設けて、オーラルヘルスケア物質を通過させることができる。図12では、カプセル状または顆粒状にされた接着剤121が、第2の接着剤(図示せず)などにより、ストリップの表面に付着されている。図11および図12のストリップを用いて、これを歯の表面に適用し、接着剤111でストリップを歯の表面に粘着させることができる。または図12に図示した場合には、接着剤をカプセルまたは顆粒121から放出させて、ストリップを歯の表面に粘着させることができる。粘着させた後、オーラルヘルスケア物質がストリップ110、120から放出される。図11および図12のストリップ110、120には、不透過性裏打層112、122が設けられている。
【0093】
図13を参照すると、ストリップ130の縦断面図が示されている。このストリップでは、オーラルヘルスケア物質を表面上に付着させ、または内部に含浸させ、任意に接着剤を、図1から図12を参照しながら説明した方法のいずれかにより表面上に付着させることができる。ストリップ130の表面には小さい固定具131が、歯と歯の間の隙間の間隔とほぼ同じ間隔で設けられている。この固定具131は、ストリップ130の表面132から垂直に延び、かつストリップ130の幅全体を横切って延出する小型ストリップを含む。この固定具131は、歯と歯の間の隙間内に嵌合させられるものである。図13に図示したストリップ130は、例えば口内の湿気、化学物質または酵素類の作用により軟化し、伸張可能となるため、各ユーザーの歯と歯と間の隙間の間隔に合わせることができる。
【0094】
図14は、2本のアーム部141、142が折り目で連結された状態である、実質的に断面が「U」字状のストリップ140の縦断面図を示している。各アーム部141、142は、「U」の「咬合部」内に向いた表面141A、142Aを有する。この構造により、141などの第1のアーム部の内側表面141Aを歯の前側表面に適用し、第2のアーム部142の内側表面142Aを歯の裏側表面に適用して、ストリップを歯(図示せず)に適用できるようになっている。接着剤材料143は、第1の内側表面141Aに付着され、オーラルヘルスケア物質144は、第2の内側表面142Aに付着されていてもよい。あるいは、ストリップ10の材料バルク内にオーラルヘルスケア物質を含浸させてもよい。いずれの場合もオーラルヘルスケア物質はストリップ140から放出されて、歯の前側表面に接触する。ストリップ140の材料を弾性にして、ストリップ140を、永久的に変形させることなく、その材料に固有のバネ性把持力で歯上に保持できるようにしてもよい。
【0095】
図15は、窪み151を設けてその中にオーラルヘルスケア物質152を入れたポリエチレン材料などからなるストリップ150を図示している。窪み151と窪み151との間には接着剤材料153が付着されている。オーラルヘルスケア物質152を窪み151内に固定し、この窪み151を、口内環境にて破れてオーラルヘルスケア物質152を放出させる溶融性カバーフィルム154で閉じることができる。反対の構造として、窪み151に接着剤を入れ、オーラルヘルスケア物質152を含む放出用組成物を窪み151と窪み151との間に付着させることもできる。
【0096】
図16は、歯列161と歯肉162を示す図である。
【0097】
図16Aには、ストリップ160が図示されており、この場合、ストリップ160は、接着剤(図示せず)により歯表面に取付けられて、ストリップ160上に付着された、またはストリップ160内に含浸されたオーラルヘルスケア物質の効果が歯だけに、または原則として歯にもたらされるようになっている。
【0098】
図16Bでは、ストリップ160が図示されており、この場合、ストリップ160は、接着剤(図示せず)により歯161と歯肉162双方の表面に取付けられて、ストリップ160上に付着された、またはストリップ160内に含浸されたオーラルヘルスケア物質の効果が歯161と歯肉162双方の表面にもたらされるようになっている。
【0099】
図16Cでは、歯肉用接着剤163がラインとして用いられており、これにより、ストリップ160が歯肉162に粘着し、ストリップ160の一部が歯と接触した状態となる。オーラルヘルスケア物質(図示せず)はストリップ160から放出され、歯161の表面にその効果をもたらす。
【0100】
図16は、図1から図14で示したストリップを下面から見たものであり、ストリップ160で隠れてしまっている歯161は点線で図示されている。
【0101】
図17から図25は、本発明による装置の好適な一形態に関する。
【0102】
図17を参照すると、本発明による装置170の断面が図示されている。この装置は、塑性変形可能材料からなるストリップ171を備えており、この材料は、歯科用ワックス(米国オハイオ州Cleveland のThe Kindt−Collins Co.から入手可能なSW12またはSW13シートワックス)、Strahl & Pitschから入手可能なS&Pワックス1、ワックスX1または歯科用ワックスII(わずかに臭いがあるため、香料入り)、あるいは13324として周知のWitcoから入手可能なワックスである。こうしたワックスはシート状であるため、この形態で使用しても、およそ0.3mmの厚さのシートに成形してもよい。ストリップ171の片側表面171Aに接合されているのが、疎水性吸収性布帛の層172である。この布帛は、不織のポリプロピレン/ビスコースブレンド(英国SomersetのBFF Non Wovensから入手可能なHYN−35等級の不織布)である。層172の厚さはおよそ0.1mmである。表面171Aの反対側が表面171Bであり、これをストリップ171の「上側表面(または上面)」とする。層172は、非圧縮形態ではおよそ0.5mmの厚さであり、およそ0.5mm厚さのストリップ171から出発して、これをこの布帛に接触させ、ストリップ171および布帛の組合せを加熱したローラ間に(例えば表面温度がおよそ85℃のローラに、200mm/秒の速度で)挿入して圧搾することによりストリップ171に接合された状態となる。こうして、ストリップ171の材料を圧力により布帛の繊維内に押し込めて互いに接合させる。層172に付着されて吸収されるのは、歯白色化ゲル173であり、これは、The Block Drug Companyから販売されている歯白色化ゲル物質PROXIGEL(商標)である。米国特許第3,657,413号の実施例1および実施例2に開示されているゲルが適切である。ゲル173を、例えば、ローラやブラシを用いて布帛172に適用すると、その大半は布帛層に吸収されるが、いくらかが層172の表面上に残る場合もある。
【0103】
図18を参照すると、本発明の別の形態180が、図17と同様に断面として示されており、図17に対応する構造部分に同じ番号が付与されている。目に見える印181が、インクジェット印刷などの従来の印刷技法を用いて表面171B上に印刷されている。上述したワックスは比較的容易に印刷できる材料である。塑性変形可能材料171の上側表面171Bに、塑性変形可能材料171と同じワックス材料によるカバー層182が設けられており、これにより、層171と層182との間に印181が挟持されて、印181が事実上、塑性変形可能材料171、182内に埋設されるようになっている。このカバー層182を半透明にして、印181がこの層182を介して見えるようにする。カバー層182は、例えば、第2のワックス層182を第1の層171上に直接成形(キャスティング)して(例えばスロットダイキャスティング)、層171に適用する。あるいは、ストリップ171と層182の材料シートとを互いに加熱しながらプレスして、ストリップ171と層182とを、ワックスの一体型として合体させて、第2の層182を適用することもできる。次いで、合体した層171および182を、例えばおよそ0.5mmなどの適した厚さにプレスして、サイズを整えることができる。
【0104】
次に、吸収性材層172を、図17について説明した方法と同様に、層171に適用することができる。層182、171、172の厚さは全体でおよそ0.7mmである。
【0105】
上述したプレス操作は、当業者には従来通りの方法で種々のストリップを圧縮ローラ内に通過させることにより実施することができる。
【0106】
図17および図18に具体的に例示した装置において、ゲル173の通常の充填量は、ストリップ1本当たりおよそ250〜350mgである。
【0107】
図19〜24を参照すると、本発明による装置の好適形態に対するさまざまな全体形状が示されている。
【0108】
図19、20、21には、上側の歯に適した装置が図示されている。図19の装置190は、角に丸みをもたせた略矩形で、およそ7.5cm×1.75cmの寸法であり、長手方向側部190Aおよび190Bはわずかに凸状に湾曲している。図20および図21による装置200および210は、略矩形で、それぞれの寸法がおよそ7.5cm×1.75cmとおよそ6×2.3cmとなっている。この2つの場合、長手方向側部200A、200Bと210A、210Bはわずかに凹状に湾曲している。各装置200、210の長手方向側部200B、210Bからは、略矩形のタブ201、211が突出している。装置210の場合、タブ211の縁部と長手方向側部210Bの間の角度部分に、小さい切込み部212が形成されている。
【0109】
図22、23、24には、下側の歯に適した装置が図示されている。装置220、230、240は、すべて略矩形で、およそ7cm×2cmの寸法である。装置220、230の場合、下方側部220A、230Aはわずかに凸状に湾曲し、上方縁部220B、230Bはわずかに凹状に湾曲している。図24の装置240の場合、下方側部240Aは直線状であり、上方側部240Bがわずかに凹状に湾曲している。
【0110】
上側の歯用の装置210と下側の歯用の装置230との組合わせが好適である。
【0111】
図25、26、27には、図21に図示した装置210が歯に適用された状態が図示されている。
【0112】
図25を参照すると、図21に図示した装置210が、以下の方法でユーザーの上側の歯に適用されている。図25Aは、切歯251、犬歯252および第1小臼歯253を含む、ユーザーの上側前の歯列を示している。図25は、ユーザーの歯をその正面から見た状態の図である。装置210が歯251〜253の前側表面に適用されており、その上方長手方向側部210Aが歯肉254に重なっている。反対側の長手方向側部210Bは、歯肉ライン254から離れた、歯251〜253の冠部255(ほぼ)を超えて延在しており、タブ211が下向きに延出している。図25Bに図示したように、装置210は、歯251〜253の裏側表面に接触するように、長手方向折り目ライン256に沿って折られる、または曲げられる。装置210の長さは、ユーザーの犬歯252の端部までカバーする寸法となっている。吸収性布帛172およびそこに充填されている歯の白色化物質173は、歯251〜253の表面に接触した状態にある。装置230の場合も、切歯、犬歯および第1小臼歯を含む下側の歯の前側表面に同様に適用することができる。この場合も、その折り目ラインで折って、または曲げて、歯の冠部と裏側表面との双方に装置230を接触させる。
【0113】
図26を参照すると、図26Aには、切歯251から第1小臼歯253まで延びたユーザーの歯251〜253のラインが平面図として示されている。装置210が歯251〜253の前側表面に適用されており、強い締付け動作を加えることにより、ワックス層171が可塑的に変形されている。吸収性布帛172およびそこに充填されている歯の白色化物質173は、歯251〜253の表面に接触した状態にある。締付け圧力により、装置210が、251〜253の前側表面の湾曲形状全体とユーザーの歯251〜253の間にある隙間261の陥凹形状とに追従するようになる。装置260は歯251〜253の冠部上で折られて、歯251〜253の裏側表面の湾曲形状全体と歯251〜253の裏側表面間にある隙間261の陥凹形状にも追従している。
【0114】
図27は、歯肉272から突出した、図26に図示した歯列251〜253の個々の歯271の断面図である。装置210が歯の表面に適用され、布帛層172および物質173が歯271に接触した状態にある。ユーザーが強い締付け動作を加えたため、ストリップ210は、歯の前側表面271Aの湾曲形状に追従し、歯271の冠部273上で折られて歯271Bの裏側表面271Bに接触し、裏側表面271Bの湾曲形状にも追従している。
【0115】
ワックス層171、182の塑性変形を利用した装置210の歯251〜253の個々の形状全体への密着により、装置210を、摩擦とデッドフォールドとを利用してユーザーの歯周囲に把持させ、適当な使用期間の間、一定位置に保持することができる。したがって、ユーザーが、装置210を歯から持上げて、必要と感じた場合には口をゆすいで、装置210を外すまでの適当な使用期間の間、装置210を歯251〜253に接触させた状態で保持することができる。
【0116】
図28は、本発明による別の装置280の断面図である。この装置は、外側裏打層281と、歯や他の口腔組織表面に隣接して位置する内側接触層282とを含む複数層を組み合わせたストリップである。この外側層281も内側層282も塑性変形可能な歯科用ワックスで製造されている。内側層に多数の小さな穴283をあけることにより、内側層を多孔質にすることができる。オーラルヘルスケア物質284は、内側層281と外側層282との間のポケットに供給されており、使用時にこの2層281、282を互いの方向に押すことで、オーラルヘルスケア物質284を穴284から放出できるようになっている。外側層281と内側層282とを、ポケット境界部(perimeter)285にて互いに積層する。使用前には、穴からオーラルヘルスケア物質284が漏れないように、内側接触層282を着脱自在な保護層286でカバーしておく。保護層286は、タブ287を引張れば、図示の方向に剥すことができる。
【0117】
図29は、本発明による別の装置290の断面図である。この装置は、塑性変形可能なワックスと、ワックスの表面上に接着剤(図示せず)の薄膜により粘着されたオーラルヘルスケア物質を含有するマイクロカプセル292とを含むストリップ291を備えている。カプセル292は、不織布材料の多孔質被膜層293でカバーされている。これにより、カプセル292をストリップ表面上に保持しやすくなり、カプセル292がその含有成分を放出するために開口した時点で、有効材料成分を通過させつつ、そのカプセル外被の破片を留めやすくする。被膜層293は、カプセル292を付着させる領域の周囲294でストリップに接合される。別の形態として、カプセル292をストリップ291の表面上に付着させ、被膜293をストリップ291の表面に接着剤により接着させてもよい。
【0118】
図30は、本発明による別の装置300の断面図であり、この装置は、厚さがおよそ0.7mmである、上述した種類と同じ塑性変形可能なワックス層301を含む。上述の装置より厚くしたことにより、不織布層がなくてもワックス層の強度が高められている。ストリップ301の一方の表面上には、過酸化物含有ゲルの層302が付着されている。この装置300を、図19および図20で例示した例と同様の形状に製造することができる。例えば、装置300に層302を設けず、ユーザーが別の容器から層302を適用してもよい。上述したように、装置300をユーザーの歯の形状に適合させて、摩擦やデッドフォールド性を利用してそこに装着させることができる。
【0119】
装置170〜300を、ユーザーの上側の歯と下側の歯との双方に同時に適用することができる。上方および下方ストリップそれぞれのワックスストリップ171は、上方および下方ストリップが装着されている間は接触しても一般には互いに粘着しないことがわかっている。ただし、装置170〜290のうちの1つの装置のみを、一度に上側または下側の歯にのみ適用して使用することも可能である。
【0120】
図31および図32は、本発明による装置10、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、280、290に適する容器310を図示している。この容器310は、例えば装置10などの装置の形状とほぼ同じ形状の、箔積層体からなる外囲壁部311が画成する平坦な外囲容器を含む。装置の使用時には、タブ313を引張って容器310の外囲壁部311の一部312を剥し、容器310に開口部を形成して、中に入れられている装置10などの装置を取出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】オーラルヘルスケア物質のパッチおよび接着剤のパッチを付着させたストリップの表面を示す平面図である。
【図2】オーラルヘルスケア物質のパッチおよびそれを取り囲む接着剤を付着させたストリップの表面を示す平面図である。
【図3】オーラルヘルスケア物質をパッチとして、および接着剤をラインとして付着させたストリップの表面を示す平面図である。
【図4】オーラルヘルスケア物質のパッチおよびそれを取り囲む縁取りとしての接着剤を付着させたストリップの表面を示す平面図である。
【図5】カプセル状のオーラルヘルスケア物質と接着剤とを付着させたストリップの縦断面図である。
【図6】カプセル状のオーラルヘルスケア物質が接着剤層内に埋設されて付着されているストリップの縦断面図である。
【図7】カプセル状のオーラルヘルスケア物質と接着剤層とを付着させたストリップの縦断面図である。
【図8】オーラルヘルスケア物質および/または接着剤のカプセル化に適したマイクロバブルを有するストリップの縦断面図である。
【図9】接着剤およびオーラルヘルスケア物質の層を付着させたストリップの縦断面図である。
【図10】接着剤およびオーラルヘルスケア物質の層を付着させたストリップの縦断面図である。
【図11】オーラルヘルスケア物質が含浸されているストリップの縦断面図である。
【図12】オーラルヘルスケア物質が含浸されているストリップの縦断面図である。
【図13】小型固定具を具備するストリップの縦断面図である。
【図14】「U」字状の断面を有するストリップの断面図である。
【図15】オーラルヘルスケア物質を中に含有するのに適した小さな窪みを有するストリップの縦断面図である。
【図16】図1から図15に示した装置を使用している状態を示す図である。
【図17】本発明による装置の好適な一形態の断面図である。
【図18】本発明による別の好適な一形態の断面図である。
【図19】上側の歯に適した、本発明による装置の好適な一形態の平面図である。
【図20】上側の歯に適した、本発明による装置の好適な一形態の平面図である。
【図21】上側の歯に適した、本発明による装置の好適な一形態の平面図である。
【図22】下側の歯に適した、本発明による装置の好適な一形態の平面図である。
【図23】下側の歯に適した、本発明による装置の好適な一形態の平面図である。
【図24】下側の歯に適した、本発明による装置の好適な一形態の平面図である。
【図25】図17から図23に示した装置がユーザーの歯に取付けられた状態を示す図である。
【図26】図17から図23に示した装置がユーザーの歯に取付けられた状態を示す図である。
【図27】図17から図23に示した装置が所定の位置に取り付けられた歯の断面図である。
【図28】本発明による別の装置を示す図である。
【図29】本発明による別の装置を示す図である。
【図30】本発明による別の装置を示す図である。
【図31】本発明による装置に適したパッケージを示す図である。
【図32】本発明による装置に適したパッケージを示す図である。

Claims (38)

  1. オーラルヘルスケア物質を歯、歯肉組織および/または粘膜組織の口腔表面に送達するための送達装置であって、
    歯の表面および/またはそれに隣接する軟組織に適用可能なストリップ表面を有する、口腔内で許容される可撓性材料からなるストリップを備え、
    前記ストリップが、そのストリップ表面から歯の表面および/またはこれに隣接する軟組織へと移動できる、そのストリップ表面上に付着された、かつ/またはそのストリップのバルク内に含浸されたオーラルヘルスケア物質を有し、
    前記ストリップが、そのストリップが適用される歯の表面および/またはこれに隣接する軟組織に接着可能であり、
    前記接着の機能が、前記オーラルヘルスケア物質とは別に提供されている、送達装置。
  2. 前記ストリップが塑性変形可能材料を含む、請求項1に記載の送達装置。
  3. 前記塑性変形可能材料がワックスを含む、請求項2に記載の送達装置。
  4. ユーザーが指または手で圧力をかけることによってストリップの形態の前記塑性変形可能材料が変形し、前記装置をユーザーの歯の形状全体に密着させることができる、請求項2または3に記載の装置。
  5. 歯の形状に塑性変形可能材料が物理的に適合することによって歯への装置の装着が生じるように、塑性変形可能材料で製造されている、請求項4に記載の装置。
  6. 装置をユーザーの歯の前側表面から裏側表面にかけて歯越しに折るまたは曲げることができるように前記材料が塑性変形可能であり、それにより、前記装置を、ユーザーの歯の前側表面と裏側表面の両方に接触させることができる、請求項4または5に記載の装置。
  7. 前記ストリップが、前記オーラルヘルスケア物質を担持でき、かつユーザーの歯と接触して配置することができる内側キャリア層と、外側バリア層とを有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の送達装置。
  8. 塑性変形可能材料からなるバリア層を有し、そのバリア層の少なくとも一方の表面に吸収性材料からなるキャリア層が付着されており、その吸収性材料からなるキャリア層上にオーラルヘルスケア物質が存在する、請求項7に記載の送達装置。
  9. 前記吸収性材料が吸収性布帛である、請求項8に記載の装置。
  10. 前記布帛が不織布である、請求項9に記載の装置。
  11. 前記不織布がポリプロピレン−ビスコースブレンドである、請求項10に記載の装置。
  12. 前記オーラルヘルスケア物質と、接着剤材料とが、前記ストリップ表面に対して分離した別個の位置に付着されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
  13. 前記接着剤が、前記ストリップの一部を歯の表面に隣接した口腔表面に粘着できるようにストリップ表面の所定の位置に付着されており、それにより、前記オーラルヘルスケア物質が付着されているかまたは前記オーラルヘルスケア物質が内部に含浸されている前記ストリップの別の部分を、前記歯の表面と接触させることができる、請求項12に記載の装置。
  14. 前記オーラルヘルスケア物質と接着剤とが、前記表面上のそれぞれ別個のスポット、パッチ、またはラインとして前記表面上に付着されている、請求項12または13に記載の装置。
  15. 前記オーラルヘルスケア物質が、前記接着剤からなる縁取りによって一部が縁取られているか、または完全に囲まれている1つまたは複数のパッチとして付着されている、請求項14に記載の装置。
  16. 前記接着剤と、オーラルヘルスケア物質とが、前記ストリップの表面上に分離した別個の層として付着されている、請求項11に記載の装置。
  17. 前記ストリップ材料が、その固有の性質として歯の表面に対する接着性を有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の装置。
  18. 機械的接着手段が、単独で、または他のいずれかの接着手段との組合せで、接着機能をもたらす、請求項1〜17のいずれか一項に記載の装置。
  19. 前記オーラルヘルスケア物質および/または接着剤がカプセル化されている、請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
  20. 前記オーラルヘルスケア物質および/または接着剤が、口内環境の影響を受けるとその含有成分を放出することのできる顆粒として提供されている、請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置。
  21. 前記顆粒またはカプセルが、多孔質膜層でカバーされている、請求項19または20に記載の装置。
  22. 外側裏打層と、歯または他の口腔組織表面に隣接して配置される多孔質の内側接触層とを有し、前記外側裏打層と内側接触層との間にオーラルヘルスケア物質が提供されている、請求項1〜21のいずれか一項に記載の装置。
  23. 目に見える1つまたは複数の印が付与された、請求項1〜22のいずれか一項に記載の送達装置。
  24. 前記1つまたは複数の印の上にカバー層が適用されている、請求項23に記載の送達装置。
  25. 塑性変形可能材料からなるバリア層を有し、そのバリア層の少なくとも一方の表面に吸収性材料からなるキャリア層が付着されており、そのキャリア層上にオーラルヘルスケア物質が存在し、キャリア層を有する表面とは反対のバリア層表面に1つまたは複数の印が付されており、その1つまたは複数の印の上にカバー層が設けられている、請求項23または24に記載の装置。
  26. 前記印が、事実上、前記塑性変形可能材料内に埋設されるように、前記カバー層が前記塑性変形可能材料と同じ材料で形成されている、請求項25に記載の装置。
  27. 前記オーラルヘルスケア物質が歯白色化物質である、請求項1〜26のいずれか一項に記載の送達装置。
  28. 前記オーラルヘルスケア物質がゲルの形態である、請求項1〜27のいずれか一項に記載の送達装置。
  29. 前記オーラルヘルスケア物質が過酸化物含有ゲルである、請求項27または28に記載の送達装置。
  30. ユーザーの歯の前側表面に対して配置された場合に複数本の歯にわたって延在するのに十分な長さと、ユーザーの歯に対して配置された場合に歯肉ラインから、前記歯肉ラインから離れた少なくとも前歯の冠部までの間に延在するのに十分な幅とを有する細長い形状である、請求項1〜29のいずれか一項に記載の装置。
  31. 曲げられていない状態の前記ストリップが、前記歯肉ラインから前記冠部までの前記歯の高さを超える寸法の幅を有し、前記ストリップの少なくとも一部を実質的に長手方向折り目軸を中心に折ることにより、前記冠部越しに曲げるまたは折ることができ、ユーザーの歯の前記冠部および裏側表面に接触させることができる、請求項30に記載の装置。
  32. 実質的に矩形であり、長手方向側部が凹状に湾曲している、請求項30または31に記載の送達装置。
  33. 実質的に矩形で、長手方向側部が凸状に湾曲しているか、または、略矩形で、長手方向側部が凹状に湾曲しているか、もしくは長手方向側部に凹状の窪みが設けられている、請求項30、31または32に記載の装置。
  34. 長手方向側部から延出するタブを有する、請求項30〜33のいずれか一項に記載の装置。
  35. 前記ストリップの少なくとも一部を、断面が実質的に「U」または「V」字形状となるように折り曲げることができ、ここで2本のアーム部が折り曲げ軸で連結されており、各アーム部は「U」または「V」字の「咬合部」内に面する内側の表面を有し、この内側の歯接触表面上にオーラルヘルスケア物質が存在する、請求項34に記載の装置。
  36. 請求項1〜35のいずれか一項に記載の装置の使用方法であって、ストリップのオーラルヘルスケア物質担持表面をユーザーの歯の前側表面に接触させた状態でストリップの長手方向寸法をユーザーの歯列に位置合わせして、装置をユーザーの歯表面に手動で適用するステップと、前記装置を歯の前側表面に対して押し付けて、前記装置とユーザーの歯とを前記オーラルヘルスケア物質がその効果を発揮するのに十分な時間にわたり接触させた状態にするステップと、前記装置を取外すステップとを含む、方法。
  37. 前記吸収性材料を前記ストリップの前記表面に接触させて圧力を印可し、次いで前記オーラルヘルスケア物質を前記吸収性材料に適用することを含む、請求項7〜11のいずれか一項に記載の装置の製造方法。
  38. 歯科用ワックスをシート形態で準備するステップと、
    任意に、前記ワックス材料からなるシートの表面を洗浄するステップと、
    前記ワックス材料からなる第1のシートの第1の表面上に目に見える印を印刷するステップと、
    前記第1のシートの第1の表面に、ワックス材料からなる第2のカバーシートを積層して、前記印刷された印を、前記第1のシートと前記第2のシートとの間に挟持するステップと、
    前記積層された第1および第2のシートを圧縮して、適切な厚さにサイズ変更するステップと、
    前記積層されたワックスストリップに吸収性布帛層を装着するステップと、
    前記積層された材料シートを切断して形状を整えるステップと、
    前記吸収性材料層に前記オーラルヘルスケア物質を適用するステップと
    を含む、請求項37に記載の方法。
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