JP2004354954A - ホトレジスト組成物及びそれを用いたレジストパターン形成方法 - Google Patents

ホトレジスト組成物及びそれを用いたレジストパターン形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半導体集積回路のリソグラフィーによるパターン加工精度として90nm以下のライン・アンド・スペース(1:1)を良好な形状で達成可能なレジスト特性を有するホトレジスト組成物を提供する。
【解決手段】(A)(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基を共に有する脂肪族環式基を含むアルカリ可溶性の構成単位(a1)を含んでなる、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する重合体、(B)光照射により酸を発生する酸発生剤、及び(C)(c1)極性基を有する第3級アミン、(c2)炭素数6以上15以下の第3級アルキルアミン又は(c3)アンモニウム塩から選ばれる含窒素化合物を含有していることを特徴とするホトレジスト組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リソグラフィーによる半導体集積回路のパターニングに用いられるホトレジスト組成物および該組成物を用いたレジストパターン形成方法に関するもので、詳しくは、解像性、パターン形成性などのレジスト特性を200nmより短波長の光源、特にはFエキシマレーザーによる微細パターニングに適合できる程度にまで向上させたホトレジスト組成物および該組成物を用いたレジストパターン形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路パターンの微細化は、光リソグラフィーおよびその周辺技術の進歩により達成されてきたといっても過言ではない。この光リソグラフィーは、周知のように、大きく分けて2つの技術に支えられている。一つは、ステッパーやスキャナーと呼ばれる縮小投影露光装置の露光波長や開口数であり、他の一つは、前記縮小投影露光装置によってマスクパターンが転写されることになるホトレジスト組成物の転写解像性を主体としたレジスト特性である。これらが車の両輪のように作用し合って光リソグラフィーによる半導体集積回路パターンの加工精度を向上させてきた。
【0003】
縮小投影露光装置に用いられる光源は、回路パターンの高解像度化の要請を受けて、ますます短波長化されている。一般に、レジスト解像性約0.5μmでは水銀ランプの主要スペクトルが436nmのg線が、約0.5〜0.30μmでは同じく水銀ランプの主要スペクトルが365nmのi線が用いられ、約0.30〜0.15μmでは248nmのKrFエキシマレーザー光が用いられ、約0.15μm以下では193nmのArFエキシマレーザー光が用いられており、さらなる微細化のために157nmのFエキシマレーザー光、126nmのArエキシマレーザー光又はEUV(極端紫外光、波長13nm)の使用が検討されている。
【0004】
一方、ホトレジスト組成物について見てみると、現在では、有機又は無機反射防止膜との組み合わせや照明系の工夫もあり、KrFエキシマレーザー光を用いたリソグラフィーにおいて、KrF用ホトレジストの延命化がなされ、λ/2以下の約110nmを視野に入れたホトレジスト組成物の開発が行われている。また、ArFエキシマレーザー光を用いたリソグラフィーにおいて、将来の約90nmノード以下の量産に向けて、好適なArF用ホトレジスト組成物の提供が望まれている。そして、前記Fエキシマレーザーを用いたリソグラフィーは、将来の約65nm以下の微細加工技術を担うものとして注目されており、このFエキシマレーザーを用いたリソグラフィーによる微細加工にも十分に適用可能なホトレジスト組成物の開発が進められている。
【0005】
周知のように、リソグラフィーでは、実現しようとする半導体集積回路パターンの陰画または陽画パターンを反映したマスクを介して、短波長光を積層半導体基板上に塗布したホトレジスト層に照射する(露光)。ホトレジスト組成物は、照射光に反応してアルカリに対して不溶化(ネガ)もしくは溶解可能(ポジ)になる感光性ポリマーを主成分として含有しており、パターン光の照射後、露光によるレジスト層の反応を確実にするための加熱(post exposure bake、以下「PEB」と略すことがある)を行い、続いて、現像して溶解可能な部分が除去されることにより、実現しようとする回路パターンを正確に反映したホトレジストパターン層を積層半導体基板上に形成する。この後、パターン化したホトレジスト層を加熱(post bake)により十分に硬化させて次工程のエッチングへの耐性を持たせることもある。エッチング工程では、パターン化したホトレジスト層をマスクとして積層半導体基板の表面層あるいは上部層をパターンに沿ってドライエッチングする。
【0006】
したがって、ホトレジスト組成物に要求される主な特性は、まず解像性を得ることであり、そのためにはレジスト層の表面部分ばかりでなく基板側の底面部分にまでパターン照射光が届き、照射部分のレジスト層を底面部分まで十分に感光させることができるような「照射光に対する透明性」を有すること、そして、パターン光の照射を受けた後のアルカリ可溶部分とアルカリ不溶部分とが明確に差別化され、アルカリ現像液によって高い解像性のパターンが得られることである。前述の照射光のさらなる短波長化に対応するレジスト組成物を開発する場合も、もちろん、この主要特性を確保することが重要となる。次世代の光源となるFエキシマレーザー光によるリソグラフィーに用いることのできるレジスト組成物のベースポリマーには、Fエキシマレーザー光の主要スペクトルである157nmに高い透明性が必要となる。しかしながら、既存のレジスト材料は、まさに、この波長157nmに吸収を持つため、すなわち、波長157nmの照射光に対する透明性が低いため、既存のレジスト材料から次世代のレジスト組成物を得ることはできない。
【0007】
このように、ホトレジスト組成物を提供する技術分野では、現在、この波長157nmに高い透明性を有する新規なポリマーの開発が課題となっている。現在までのところ、フッ素(F)やシリコン(Si)を導入することによって波長157nmを主要スペクトルとする照射光に対する透明性を確保するとともに、露光後の現像特性を左右するアルカリ可溶性や、パターン転写解像性、そして耐エッチング性といったレジスト性能を兼ね備えた新規なポリマーの開発が進められている。そして、有望なベースポリマーとして、テトラフルオロエチレン共重合ポリマー(非特許文献1および特許文献1)、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンの環化重合により形成されるフッ素含有単環式ポリマー(非特許文献2)等の数多くのポリマーが、報告されている。
【0008】
前記非特許文献1および特許文献1に開示のテトラフルオロエチレン共重合ポリマー(以下、従来ポリマーAと記す)は、波長157nmに対する透明性に優れ、耐プラズマエッチング性もあり、高いガラス転位点を持ち、慣用の0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド現像液に相溶性があるとされており、次世代ホトレジスト組成物のベースポリマーとして有望であると考えられる。
【0009】
前記非特許文献1には、従来ポリマーAの具体的例として、テトラフルオロエチレン(49重量%)/ノルボルネン(51重量%)からなる共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA1と記す)、テトラフルオロエチレン(41重量%)/ノルボルネン(46重量%)/酢酸ビニル(12重量%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA2と記す)、テトラフルオロエチレン(43重量%)/ノルボルネン(38重量%)/酢酸ビニル(20重量%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA3と記す)、テトラフルオロエチレン(43重量%)/ノルボルネン(28重量%)/酢酸ビニル(29重量%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA4と記す)、テトラフルオロエチレン(36重量%)/ノルボルネン(47重量%)/t−ブチルアクリレート(17重量%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA5と記す)、テトラフルオロエチレン(28重量%)/ノルボルネン(38重量%)/t−ブチルアクリレート(34重量%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA6と記す)、およびテトラフルオロエチレン(42重量%)/ノルボルネン(41重量%)/5−ノルボルネン−2−カルボン酸−t−ブチルエステル(17重量%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA7と記す)が、開示されている。
【0010】
この非特許文献1には、波長157nmの露光により十分なパターン転写解像性を得るためには、膜厚を正規化したレジスト膜の吸収係数(光学定数)を2.5(μm−1)以下とする必要があると教示されているが、前記各ポリマーの測定された光学定数は、それぞれ、1.3(従来ポリマーA1)、2.0(従来ポリマーA2)、2.1(従来ポリマーA3)、2.6(従来ポリマーA4)、2.4(従来ポリマーA5)、3.6(従来ポリマーA6)となっており(従来ポリマーA7は未測定)、概ね良好な値を示している。したがって、この従来ポリマーAは、波長157nmのレーザー光を露光することを念頭においた場合の透明性からは、次世代レジスト組成物のベースポリマーとして合格圏内に入ることになる。
【0011】
一方、特許文献1には、従来ポリマーAの具体的例として、多数例が開示されているが、例えば、2元共重合ポリマーとして、テトラフルオロエチレン(0.3モル)/ヘキサフルオロイソプロパノール置換ノルボルネン(0.2モル)からなる2元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA8と記す)が挙げられ、3元共重合ポリマーとして、テトラフロオロエチレン(46モル%)/ヘキサフルオロイソプロパノール置換ノルボルネン(27モル%)/OCHC(CFOCHOCH置換ノルボルネン(27モル%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA9と記す)が挙げられている。前記従来ポリマーA8の波長157nm照射光における吸収係数は、1.27μm−1(膜厚67.5nm)、1.40μm−1(膜厚52.3nm)と良好であり、前記従来ポリマーA9の波長157nmにおける吸収係数は、2.40μm−1(膜厚69.2nm)、2.17μm−1(54.9nm)であり、透明性は、共に、次世代レジスト組成物のベースポリマーとして合格範囲内にある。さらに、この特許文献1では、得られた従来ポリマーAをベースポリマーとして、ホトレジスト組成物を調製し、これを基板上に塗布して、レジスト膜とし、この膜にパターンを形成して、パターン解像性を検証している。例えば、前記従来ポリマーA8をベースポリマーとしたホトレジスト組成物では、0.312重量%の従来ポリマーA8に対して、1.800重量%の2−ヘプタノン、1.648重量%のシクロヘキサノン、0.080重量%のt−ブチルリトコレート、そして、0.160重量%のトリフェニルスルフォニウムトリフラート(5重量%シクロヘキサノン溶液)を添加している。このホトレジスト組成物からレジスト膜を形成し、波長157nmのパターン光を照射し、レジストパターンを形成している。また、前記従来ポリマーA9についても、このポリマーをベースポリマーとして、同様にレジスト膜を形成し、波長157nmのパターン光を照射して、レジストパターンを形成している。その他の組成のポリマーについても、同様にレジスト膜およびそのパターン化が試みられている。しかしながら、これらのパターン化の実施例では、どの程度の解像性が実現できたのかの評価については、まったく開示されていない。
【0012】
したがって、この特許文献1においては、従来ポリマーAの157nm波長光に対する透明性が良好であり、従来ポリマーAは波長157nmの照射光を用いた微細リソグラフィー用のホトレジスト組成物のベースポリマーとして有望であることは確認できるものの、次世代半導体集積回路の実際のパターンに必要とされるレジストパターンのライン幅を達成できているか、できているとすれば、そのパターン形状の良否はどうであるのか等のパターン解像性については、不明である。
【0013】
また、非特許文献2においては、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンの環化重合により形成されるフッ素含有単環式ポリマー(以下、従来ポリマーBと記す)について、吸光係数、Tg、現像液への溶解性、レジスト溶媒への溶解性等を評価し、それらの特性が良好であることを確認し、レジスト組成物を調製し、100nmのレジストパターンを形成している。
このことから、従来ポリマーAと同様に波長157nmの照射光を用いた微細リソグラフィー用のホトレジスト組成物のベースポリマーとして有望であることは確認できる。
【0014】
他方、下記特許文献2にはF用レジストに公知の含窒素化合物を添加することが記載されている。
【0015】
しかしながら、上記従来のポリマーAやB(以下、従来ポリマーA,Bを合わせて「従来ポリマー」という)とある種の含窒素化合物を組み合わせて用いても、90nmや80nmのレジストパターンは解像はできても、レジストトップ部分が丸くなるなどのレジストパターン形状は不十分である。そして、従来の技術にも説明したように、Fエキシマレーザーを用いたリソグラフィーは、将来の約65nm以下の微細加工技術を担うものとして注目されていることから、70nm以下のレジストパターンで実用化を目指している。しかしながら、80nm以下のレジストパターンでは、レジストトップ部の丸みは、いっそう悪化する。従って、その問題の解決は重要な課題となっている。
また、SiONのような含窒素膜を有する無機基板や有機反射防止膜を設けた基板上でも解像性やそのパターン形状も不十分であるなどの問題がある。
【0016】
【非特許文献1】
M. K. Crawford, et al., “New Material for 157 nm Photoresists: Characterization and Properties” Proceedings of SPIE, Vol. 3999, (2000)
pp357 −364
【非特許文献2】
S. Kodama et al., “Synthesis of Novel Fluoropolymer for 157 nm Photoresists by Cyclo−polymerization” Proceedings of SPIE, Vol. 4690, (2002) pp76 −83
【特許文献1】
国際公開第WO 00/67072号パンフレット
【特許文献2】
特開2003−2925号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、90nm以下の超微細パターンの形状や無機基板や有機反射防止膜を設けた基板上での解像性やレジストパターン形状の改善を目的とし、次世代の微細加工にも十分に適用可能なレジスト特性を持ったホトレジスト組成物を提供することを課題とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本願発明者らは、(A)(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基を共に有する脂肪族環式基を含むアルカリ可溶性の構成単位(a1)を含んでなる、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する重合体と、特定の含窒素化合物とを組み合わせることにより、従来の問題点を解決し得、特にパターン形状を中心としたレジスト特性を向上させる予想以上の効果を挙げ得ることが判明した。そのような含窒素化合物としては、(c1)極性基を有する第3級アミン、(c2)炭素数7以上15以下の第3級アルキルアミン又は(c3)アンモニウム塩から選ばれる含窒素化合物が適当である。
【0019】
なお、重合体(A)をベースポリマーとするレジスト組成物は、いわゆる化学増幅型のレジスト組成物であるので、露光後のレジストのアルカリ可溶化あるいはアルカリ不溶化反応の触媒となる酸を発生させる酸発生剤を必須構成として含有する。
【0020】
本発明者らは、前記知見に基づいて、本発明ホトレジスト組成物を調製し、このホトレジスト組成物を用いて、半導体基板上にレジスト層を形成し、このレジスト層に、Fステッパーを用いて、100nm以下のライン・アンド・スペースと、最も微細なパターンでは50nmのライン・アンド・スペースを形成することができたばかりでなく、その形成ラインの断面形状も矩形を呈することが知見された。
【0021】
【発明の実施の形態】
前記構成の本発明にかかるホトレジスト組成物におけるベースポリマーである重合体(A)は、(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基を共に有する脂肪族環式基を含むアルカリ可溶性の構成単位(a1)を含んでなる、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する重合体である。
【0022】
本発明の重合体(A)成分は、特許文献1や非特許文献2に記載されているように公知である。そして、(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基を共に有する脂肪族環式基を含むアルカリ可溶性の構成単位(a1)有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する重合体であれば、限定されるものではない。
【0023】
酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するとは、露光部における該重合体の変化であり、露光部にてアルカリ可溶性が増大すれば、露光部はアルカリ可溶性となるため、ポジ型レジストとして用いられ、他方、露光部にてアルカリ可溶性が減少すれば、露光部はアルカリ不溶性となるため、ネガ型レジストとして用いることができる。
【0024】
(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基を共に有する脂肪族環式基を含むアルカリ可溶性の構成単位(a1)とは、前記(i)と(ii)をともに有する有機基が脂肪族環式基に結合しており、該環式基を構成単位中に有するものであればよい。
【0025】
該脂肪族環式基とは、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テロラシクロアルカンなどの単環又は多環式炭化水素から1個又は複数個の水素原子を除いた基などを例示できる。
多環式炭化水素は、より具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個又は複数個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
これらの中でもシクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナンから水素原子を除き誘導される基が工業上好ましい。
【0026】
前記(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基としては、フッ素原子又は低級アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基などが挙げられるが、工業的には、フッ素原子やトリフルオロメチル基が好ましい。
【0027】
前記(ii)アルコール性水酸基とは、単にヒドロキシル基であってもよいし、ヒドロキシ基を有するアルキルオキシ基、アルキルオキシアルキル基又はアルキル基のようなアルコール性水酸基含有アルキルオキシ基、アルコール性水酸基含有アルキルオキシアルキル基又はアルコール性水酸基含有アルキル基等が挙げられる。該アルキルオキシ基、該アルキルオキシアルキル基又は該アルキル基としては、低級アルキルオキシ基、低級アルキルオキシ低級アルキル基、低級アルキル基が挙げられる。
【0028】
前記低級アルキルオキシ基としては、具体的には、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基等が挙げられ、低級アルキルオキシ低級アルキル基としては、具体的には、メチルオキシメチル基、エチルオキシメチル基、プロピルオキシメチル基、ブチルオキシメチル基等が挙げられ、低級アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0029】
また、前記 (ii)のアルコール性水酸基含有アルキルオキシ基、アルコール性水酸基含有アルキルオキシアルキル基又はアルコール性水酸基含有アルキル基における該アルキルオキシ基、該アルキルオキシアルキル基又は該アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものでもよい。
好ましくは、前記アルコール性水酸基含有アルキルオキシ基又はアルコール性水酸基含有アルキルオキシアルキル基におけるそれらのアルキルオキシ部の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたもの、前記アルコール性水酸基含有アルキル基では、そのアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたもの、すなわち、アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシ基、アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシアルキル基又はアルコール性水酸基含有フルオロアルキル基が挙げられる。
【0030】
前記アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシ基としては、(HO)C(CFCHO−基(2−ビス(ヘキサフルオロメチル)−2−ヒドロキシ−エチルオキシ基、(HO)C(CFCHCHO−基(3−ビス(ヘキサフルオロメチル)−3−ヒドロキシ−プロピルオキシ基等が挙げられ、アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシアルキル基としては、(HO)C(CFCHO−CH−基、(HO)C(CFCHCHO−CH−基等が挙げられ、アルコール性水酸基含有フルオロアルキル基としては、(HO)C(CFCH−基(2−ビス(ヘキサフルオロメチル)−2−ヒドロキシ−エチル基、(HO)C(CFCHCH−基(3−ビス(ヘキサフルオロメチル)−3−ヒドロキシ−プロピル基、等が挙げられる。
【0031】
これらの(i)や(ii)の基は、前記脂肪族環式基に直接結合していればよい。特には、(a1)構成単位がアルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシ基、アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシアルキル基又はアルコール性水酸基含有フルオロアルキル基がノルボルネン環に結合し、該ノルボルネン環の2重結合が開裂して形成される下記一般式(1)で表される単位が透明性とアルカリ可溶性及び耐ドライエッチング性に優れ、また工業的に入手しやすく好ましい。
【0032】
【化1】
Figure 2004354954
(式中、Zは酸素原子、オキシメチレン基(−O(CH)−)、または単結合であり、nとmは独立して1〜5の整数である。)
【0033】
そして、そのような(a1)単位と組み合わせて用いられる重合体単位は、これまで公知のものであれば、限定されない。ポジ型の酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する重合体(A−1)として用いる場合、公知の酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリルエステルから誘導される構成単位(a2)が解像性に優れるので好ましい。
【0034】
このような構成単位(a2)としては、tert−ブチル(メタ)アクリレート、tert−アミル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の第3級アルキルエステルから誘導される構成単位が挙げられる。
【0035】
そして、本発明の重合体(A)は、さらに重合体の透明性を向上させるフッ素化アルキレン構成単位(a3)を含んでなる、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する重合体(A−2)であってもよい。このような構成単位(a3)を含むことにより、透明性がさらに向上する。該構成単位(a3)としては、テトラフルオロエチレンから誘導される単位が好ましい。
【0036】
以下に、重合体(A−1)と重合体(A−2)を表す一般式(2)と(3)を示す。
【0037】
【化2】
Figure 2004354954
(式中、Z,n,mは前記一般式(1)の場合と同じであり、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは酸解離性溶解抑制基である。)
【0038】
【化3】
Figure 2004354954
(式中、Z,n,m,およびRおよびRは前記一般式(2)の場合と同じである。)
【0039】
また、前記した一般式(1)を含む重合体(A−1)と重合体(A−2)とは、異なる構造式であるが、(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基を共に有する脂肪族環式基を含むアルカリ可溶性の構成単位(a1)を含んでなる、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する重合体の概念の中に含まれる以下のような構成単位を有するものでもよい。
【0040】
すなわち、構成単位(a1)において、(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基は脂肪族環式上にそれぞれ結合し、該環式基が主鎖を構成しているものである。
該、(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基としては、前記したものと同様なものが挙げられる。また、(ii)アルコール性水酸基とは、単にヒドロキシル基である。
【0041】
このような単位を有する重合体(A)は、非特許文献2に記載されたものであり、水酸基とフッ素原子を有するジエン化合物の環化重合により形成される。該ジエン化合物としては、透明性、耐ドライエッチング性に優れる5員環や6員環を有する重合体を形成しやすいヘプタジエンが好ましく、さらには、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン(CF=CFCFC(CF)(OH)CHCH=CH)の環化重合により形成される重合体が工業上最も好ましい。
【0042】
ポジ型の酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する重合体(A−3)として用いる場合、そのアルコール性水酸基の水素原子が酸解離性溶解抑制基で置換された構成単位(a4)を含んでなる重合体が好ましい。その酸解離性溶解抑制基としては、鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜15のアルキルオキシメチル基が、酸の解離性から好ましく、特にはメトキシメチル基のような低級アルコキシメチル基が解像性とパターン形状に優れ好ましい。なお、該酸解離性溶解抑制基は全体の水酸基に対して、10〜40%、好ましくは15〜30%の範囲であると、パターン形成能に優れ好ましい。
【0043】
以下に、重合体(A−3)を表す一般式(4)を示す。
【化4】
Figure 2004354954
(式中、Rは水素原子またはC1〜C15のアルキルオキシメチル基であり、m,nはそれぞれ10〜50モル%である。)
【0044】
このような重合体(A)は、公知の方法、特許文献1や非特許文献2に記載の方法によって、合成できる。また、該(A)成分の樹脂のGPCによるポリスチレン換算質量平均分子量は、特に限定するものではないが5000〜80000、さらに好ましくは8000〜50000とされる。
【0045】
また、(A)成分は、1種または2種以上の樹脂から構成することができ、例えば、上述の(A−1)、(A−2)、及び(A−3)から選ばれる幾つかを2種以上混合して用いてもよいし、さらに、他に従来公知のホトレジスト組成物用樹脂を混合して用いることもできる。
【0046】
(B)成分:
(B)成分としては、ポジ型、ネガ型共に従来化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。いろいろな酸発生剤が提案されているが、特には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートなどのオニウム塩などのオニウム塩、が好ましい。なかでもフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするスルホニウム塩が適度な酸の強度とレジスト膜中での拡散性を有することから好ましい。
【0047】
この(B)成分は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、例えば(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部とされる。この範囲より少ないと潜像形成が不十分となるし、多いとレジスト組成物としての保存安定性を損なう恐れがある。
【0048】
(C)成分:
(C)成分は、本発明の重合体(A)と組み合わせて用いた場合、特に微細なパターンの形状改善効果を有するものであり、(c1)極性基を有する第3級アミン、(c2)炭素数6以上15以下の第3級アルキルアミン又は(c3)アンモニウム塩から選ばれる含窒素化合物である。
【0049】
前記(c1)における極性基としては、ヒドロキシル基が、レジストパターントップ部分の膜減りの低減効果に優れることから、好ましい。特にはレジスト膜中への残存しやすさから、低級の第3級アルカノールアミンが好ましい。そのようなアミンとしては、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミンなどが挙げられる。
【0050】
前記(c2)としては、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリデカニルアミン、トリドデシルアミン、トリテトラデカニルアミンなどが挙げられ、レジストパターントップ部分の膜減りの低減効果に優れることから、好ましい。なお、窒素に結合する3つのアルキル基は、炭素数6以上15以下のアルキル基であれば、同一でも異なってもよい。
【0051】
前記(c3)としては、アンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン等の第4級アルキルアンモニウムイオンと乳酸のような水酸基を有する有機カルボン酸のイオンとの塩が挙げられ、レジストパターントップ部分の膜減りの低減効果に優れることから、好ましい。
【0052】
これらの含窒素化合物は、(A)成分100質量部に対して通常0.01〜2質量部の範囲で用いられる。この範囲より少ないと、パターンの形状改善効果が得られないし、多すぎると感度が劣化するため好ましくない。
【0053】
さらに、本発明においては、酸の存在下で分解(例えば、加水分解される)されることにより、アルカリ可溶性が増大する低分子量化合物である溶解抑止剤を添加してもよい。溶解抑止剤は、露光後の不溶部分の現像液による溶解作用を抑止することのできる。現像が幾分過度になった場合は、まずパターンの角部分の溶解が進みやすいが、溶解抑止剤を添加しておけば、前記パターン角部の溶解を防止することができ、パターンのコントラストを良好に確保することができる。
【0054】
本発明に用いる溶解抑止剤は、例えば、分子量200〜500の少なくともひとつの芳香族環又は脂肪族環を有するフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシル基の官能基に酸の存在下で解離し得、アルカリに対する溶解抑制能を有する一種以上の置換基を導入した化合物を挙げることができる。このような酸解離性置換基としては、例えば、第3級アルキル基、第3級アルコキシカルボニル基、第3級アルコキシカルボニルアルキル基、鎖状又は環状のアルコキシアルキル基等を挙げることができる。
【0055】
具体的にはtert−ブチル基のような第3級アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基のような第3級アルコキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基のような第3級アルコキシカルボニルアルキル基、メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、1−プロポキシエチル基のような鎖状アルコキシアルキル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基のような環状アルコキシアルキル基等が挙げられる。
【0056】
そのような溶解抑制剤としては、リトコール酸のような胆汁酸のカルボキシル基の水素原子を第3級アルキル基で置換した化合物や次のようなフッ素含有化合物を好ましいものとして挙げることができる。特には、後者のフッ素含有化合物がパターン形状に優れ好ましい。
【0057】
該フッ素含有化合物としては、次の化学式で表される化合物が挙げられる。
【化5】
Figure 2004354954
【0058】
本発明にかかるホトレジスト組成物における溶解抑止剤の添加量は、主成分ポリマー100重量部に対して、2〜30重量部、好ましくは3〜10重量部が適当である。溶解抑止剤の添加量が2重量部を下回ると溶解抑止効果が現れない。逆に添加量が30重量部を超えると、レジストの耐熱性が低下してしまう。
【0059】
また、本発明においては、前記(C)成分の添加による感度劣化防止等の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。
【0060】
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
【0061】
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ‐n‐ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸‐ジ‐n‐ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。該有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
【0062】
本発明のホトレジスト組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分、及び(C)成分、さらに必要に応じて添加される任意成分を有機溶剤に溶解し、均一な溶液として用いられる。そのような有機溶剤としては、具体的には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルピン酸メチル、ピルピン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。中でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)などが好ましい。
該有機溶剤の量はレジスト膜を形成する上で基板等に塗布可能な濃度とされる。
【0063】
また、本発明のホトレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを添加含有させることができる。
【0064】
本発明のレジストパターンを形成する方法は、上記説明したホトレジスト組成物を用いて、通常のリソグラフィープロセスによりレジストパターンを形成するものである。そのような方法とは、まず、基板上にホトレジスト組成物を回転塗布などにより塗布して、乾燥させレジスト膜を形成する。次いで、マスクパターンを介して選択的に露光し、露光後加熱する。最後にアルカリ水溶液にて現像し、レジストパターンが形成できる。なお、さらにポストベーク処理を必要に応じて行ってもよい。光源としては、限定されるものではないが、200nm以下の遠紫外光、具体的にはArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極端紫外光)など、電子線、軟X線、X線などを使用することができる。特には、Fエキシマレーザーが好ましい。
【0065】
基板には、有機又は無機の反射防止膜やSiON、窒化ケイ素(SiN)、四窒化三ケイ素(Si)等の各種薄膜を設けた基板が用いられる。
【0066】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。以下に示す実施例は、本発明を好適に説明する例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
【0067】
(実施例1)
本発明のホトレジスト組成物の主成分とする共重合ポリマー(A)として、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン(CF=CFCFC(CF)(OH)CHCH=CH)とその水酸基の水素原子がメトキシメチル基で置換されたジエン化合物の環化重合により形成された重合体(以下ポリマー1という)を用いた。
【0068】
この重合体の構造式は下記のとおりである。その重量平均分子量は4万であった。メトキシメチル基の導入率は、ヒドロキシル基全体に対し、20%であった。
【化6】
Figure 2004354954
(式中、RはCHOCHまたは水素原子であり、m:nは50モル%:50モル%である。)
【0069】
この共重合ポリマー100重量部に対して、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート(以下TPS−Nfという)を5重量部、トリイソプロパノールアミン0.1重量部、サリチル酸0.1重量部及び次の化学式で表される溶解抑止剤(以下溶解抑止剤1という)5重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMEAという)1100重量部に溶解させて、均一な溶液として、ホトレジスト組成物を得た。
【化7】
Figure 2004354954
【0070】
他方、有機系反射防止膜組成物「AR−19」(商品名、Shipley社製)を、スピンナーを用いてシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で焼成して乾燥させることにより、膜厚82nmの有機系反射防止膜を形成した。そして、上記で得られたホトレジスト組成物を、スピンナーを用いて上記反射防止膜上に塗布し、ホットプレート上で90℃、90秒間プレベークして、乾燥させることにより、反射防止膜上に膜厚150nmのレジスト層を形成した。
【0071】
次に、マスクパターンを介して、Exitech社製のFエキシマレーザー縮小投影露光装置(NA(開口数)=0.85,σ=0.3)により、Fエキシマレーザー(157nm)を用いて、位相シフトマスクを介して選択的に照射した。次に110℃、90秒間の条件でPEB処理し、さらに23℃にてアルカリ現像液で60秒間現像した。アルカリ現像液としては2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた。
【0072】
このようにして得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、65nmのラインアンドスペースパターン1:1が形成され、そのパターン形状断面は矩形性の高い良好なものであった。また、その際の感度は30.5mJ/cmであった。同様にして、50nmのラインアンドスペースパターン1:1.5も形成でき、そのパターン形状断面は矩形性の高い良好なものであった。その際の感度は28mJ/cmであった。
【0073】
(実施例2−8と比較例1−4)
実施例1において、表1に示すようなホトレジスト組成、パターニング条件、露光装置に変え、パターニングした結果を表1に示す。なお、パターニング条件にて記載してない点は、実施例1と同じである。
【0074】
【表1】
Figure 2004354954
【0075】
以上、実施例2−8と比較例1−4においては、ArFエキシマレーザーによる結果では、特定の含窒素化合物と公知のフッ素化共重合ポリマーを用いると、レジストパターン形状の垂直性が向上していることがわかる。そして、実際Fエキシマレーザーによる結果では、実施例1〜3の結果より、最も微小なパターンで50nmのレジストパターンが良好な形状で形成できた。このことから、波長157nmの照射光によるリソグラフィーにより90nm以下のライン・アンド・スペースの解像性達成でき、垂直性の高い良好なレジストパターン形状が得られることが当業者には明らかである。
【0076】
(実施例9)
実施例1で用いたものと同じフッ素含有単環式ポリマー100重量部と、TPS−NF(トリフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート)2.5重量部と、トリn−ドデシルアミン0.1重量部と、サリチル酸0.1重量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)1260重量部に投入、混合して、ホトレジスト組成物を得た。
【0077】
レジスト膜を形成するための半導体基板として、表面に84nm厚の有機反射防止膜(DUV−30J ブリューワ・サイエンス社製)が形成された直径200mmの半導体基板を用いた。この反射防止膜上に、前述のホトレジスト組成物をスピンコーティングにより均一に塗布し、70℃で90秒間加熱し、乾燥させて、200nmの膜厚のレジスト膜を得た。
【0078】
前記レジスト膜にFエキシマレーザー露光装置(Exitech社製 NA=0.85、σ=0.6)を用いて157nm波長光をハーフトーンタイプの位相シフトマスクを介して照射した。
【0079】
前記露光後、110℃にて90秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%濃度の溶液でパターンの現像を行った。現像温度は22℃、現像時間は60秒間であった。現像後、脱イオン水にて洗浄を行い、乾燥した。
【0080】
その結果、基板上には、レジストパターンとして、孔径100nmホールパターン(ホールとスペースの比は1:1)が形成された。この時の露光線量は24.2mJ/cmであった。このパターンのラインの断面形状を観察したところ、はっきりした矩形を呈していた。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のホトレジスト組成物では、レジストパターンとして、例えば90nm以下のライン・アンド・スペース(1:1)や孔径100nm程度のホールパターン(ホールとスペースの比は1:1)等の超微細パターンの形状や、無機基板や有機反射防止膜を設けた基板上での解像性や、レジストパターン形状の改善が達成される。また、レジストパターンの欠陥、スカム(残さ)、基板密着性のよい矩形性に優れるレジストパターンを形成することができる。
【0082】
本発明では、かかる波長157nmにおける透明性の高いベースポリマーに対して、特定の含窒素化合物を組み合わせることによって、初めて、60nm以下のライン・アンド・スペースという微細オーダーのレジストパターン解像性を実用レベルで可能としている。

Claims (20)

  1. (A)(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基を共に有する脂肪族環式基を含むアルカリ可溶性の構成単位(a1)を含んでなる、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する重合体、(B)光照射により酸を発生する酸発生剤、及び(C)(c1)極性基を有する第3級アミン、(c2)炭素数7以上15以下の第3級アルキルアミン又は(c3)アンモニウム塩から選ばれる含窒素化合物を含有していることを特徴とするホトレジスト組成物。
  2. 前記構成単位(a1)は、アルコール性水酸基含有アルキルオキシ基、アルコール性水酸基含有アルキルオキシアルキル基又はアルコール性水酸基含有アルキル基が脂肪族環式基に結合した構成単位であり、該アルキルオキシ基、該アルキルオキシアルキル基又は該アルキル基はそれらの水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていることを特徴とする請求項1に記載のホトレジスト組成物。
  3. 前記脂肪族環式基が多環式炭化水素基であることを特徴とする請求項2に記載のホトレジスト組成物。
  4. 前記多環式炭化水素基がノルボルナンから誘導される基であることを特徴とする請求項3に記載のホトレジスト組成物。
  5. 前記ノルボルナンから誘導される基がノルボルネン環であり、前記アルコール性水酸基含有アルキルオキシ基又はアルコール性水酸基含有アルキルオキシアルキル基は、それらのアルキルオキシ部の水素原子の一部がフッ素原子で置換されており、アルコール性水酸基含有アルキル基は、そのアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されており、前記ノルボルネン環の2重結合が開裂して前記構成単位(a1)を形成していることを特徴とする請求項4記載のホトレジスト組成物。
  6. 前記重合体(A)がさらに酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリルエステルから誘導される構成単位(a2)を含んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のホトレジスト組成物。
  7. 前記重合体(A)がさらに重合体の透明性を向上させるフッ素化アルキレン構成単位(a3)を含んでいることを特徴とする請求項6に記載のホトレジスト組成物。
  8. 前記酸解離性溶解抑制基が第3級アルキル基であることを特徴とする請求項6又は7に記載のホトレジスト組成物。
  9. 前記構成単位(a3)がテトラフルオロエチレンから誘導される単位であることを特徴とする請求項7又は8に記載のホトレジスト組成物。
  10. 前記構成単位(a1)において、前記(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基は脂肪族環式上にそれぞれ結合し、該環式基が主鎖を構成していることを特徴とする請求項1に記載のホトレジスト組成物。
  11. 前記構成単位(a1)が、水酸基とフッ素原子を有するジエン化合物の環化重合により形成される単位であることを特徴とする請求項10に記載のホトレジスト組成物。
  12. 前記ジエン化合物がヘプタジエンであることを特徴とする請求項11に記載のホトレジスト組成物。
  13. 前記ヘプタジエンが1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン(CF=CFCFC(CF)(OH)CHCH=CH)であることを特徴とする請求項12に記載のホトレジスト組成物。
  14. 前記重合体(A)が、前記構成単位(a1)のアルコール性水酸基の水素原子が酸解離性溶解抑制基で置換された構成単位(a4)をさらに含んでいることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1つに記載のホトレジスト組成物。
  15. 前記酸解離性溶解抑制基が鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜15のアルキルオキシメチル基であることを特徴とする請求項14に記載のホトレジスト組成物。
  16. 前記第3級アミン(c1)における極性基が水酸基であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載のホトレジスト組成物。
  17. 前記第3級アミン(c1)が低級の第3級アルカノールアミンであることを特徴とする請求項16に記載のホトレジスト組成物。
  18. 前記アンモニウム塩(c3)が第4級アルキルアンモニウム塩であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1つに記載のホトレジスト組成物。
  19. 請求項1〜18のいずれか1つのホトレジスト組成物を基板上に塗布して、レジスト膜を形成し、選択的露光、露光後加熱及び現像を施し、レジストパターンを形成する方法。
  20. 光源がFエキシマレーザーである請求項19記載のレジストパターンを形成する方法。
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