JP4243981B2 - ホトレジスト組成物及びそれを用いたレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リソグラフィーによる半導体集積回路のパターニングに用いられるホトレジスト組成物および該組成物を用いたレジストパターン形成方法に関するもので、詳しくは、解像性、パターン形成性などのレジスト特性を波長200nm以下の光源、特にF2エキシマレーザーを用いて微細パターニングに適合できる程度にまで向上させたホトレジスト組成物および該組成物を用いたレジストパターン形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路パターンの微細化は、光リソグラフィーおよびその周辺技術の進歩により達成されてきたといっても過言ではない。この光リソグラフィーは、周知のように、大きく分けて2つの技術に支えられている。一つは、ステッパーやスキャナーと呼ばれる縮小投影露光装置の露光波長や開口数であり、他の一つは、前記縮小投影露光装置によってマスクパターンが転写されることになるホトレジスト組成物の転写解像性を主体としたレジスト特性である。これらが車の両輪のように作用し合って光リソグラフィーによる半導体集積回路パターンの加工精度を向上させてきた。
【0003】
縮小投影露光装置に用いられる光源は、回路パターンの高解像度化の要請を受けて、ますます短波長化されている。一般に、レジスト解像性約0.5μmでは水銀ランプの主要スペクトルが436nmのg線が、約0.5〜0.30μmでは同じく水銀ランプの主要スペクトルが365nmのi線が用いられ、約0.30〜0.15μmでは248nmのKrFエキシマレーザー光が用いられ、約0.15μm以下では193nmのArFエキシマレーザー光が用いられており、さらなる微細化のために157nmのF2エキシマレーザー光や126nmのAr2エキシマレーザー光、EUV(極端紫外線 波長13nm)の使用が検討されている。
【0004】
一方、ホトレジスト組成物について見てみると、現在では、有機又は無機反射防止膜との組み合わせや照明系の工夫もあり、KrFエキシマレーザー光を用いたリソグラフィーにおいて、KrF用ホトレジストの延命化がなされ、λ/2以下の約110nmを視野に入れたホトレジスト組成物の開発が行われている。また、ArFエキシマレーザー光を用いたリソグラフィーにおいて、将来の約90nmノード以下の量産に向けて、好適なArF用ホトレジスト組成物の提供が望まれている。そして、前記F2エキシマレーザーを用いたリソグラフィーは、将来の65nm以下の微細加工技術を担うものとして注目されており、このF2エキシマレーザーを用いたリソグラフィーによる微細加工にも十分に適用可能なホトレジスト組成物の開発が進められている。
【0005】
周知のように、リソグラフィーでは、実現しようとする半導体集積回路パターンの陰画または陽画パターンを反映したマスクを介して、短波長光を積層半導体基板上に塗布したホトレジスト層に照射する(露光)。ホトレジスト組成物は、照射光に反応してアルカリに対して不溶化(ネガ)もしくは溶解可能(ポジ)になる感光性ポリマーを主成分として含有しており、パターン光の照射後、露光によるレジスト層の反応を確実にするための加熱(post exposure bake、以下「PEB」と略すことがある)を行い、続いて、現像して溶解可能な部分が除去されることにより、実現しようとする回路パターンを正確に反映したホトレジストパターン層を積層半導体基板上に形成する。この後、パターン化したホトレジスト層を加熱(post bake)により十分に硬化させて次工程のエッチングへの耐性を持たせることもある。エッチング工程では、パターン化したホトレジスト層をマスクとして積層半導体基板の表面層あるいは上部層をパターンに沿ってドライエッチングする。
【0006】
したがって、ホトレジスト組成物に要求される主な特性は、まず解像性を得ることであり、そのためにはレジスト層の表面部分ばかりでなく基板側の底面部分にまでパターン照射光が届き、照射部分の厚み全体をレジスト層を底面部分まで十分に感光させることができるような「照射光に対する透明性」を有すること、そして、パターン光の照射を受けた後のアルカリ可溶部分とアルカリ不溶部分とが明確に差別化され、アルカリ現像液によって高い解像性のパターンが得られることである。前述の照射光のさらなる短波長化に対応するレジスト組成物を開発する場合も、もちろん、この主要特性を確保することが重要となる。次世代のステッパーの光源となるF2エキシマレーザー光によるリソグラフィーに用いることのできるレジスト組成物のベースポリマーには、F2エキシマレーザー光の主要スペクトルである157nmに高い透明性が必要となる。しかしながら、既存のレジスト材料は、まさに、この波長157nmに吸収を持つため、すなわち、波長157nmの照射光に対する透明性が低いため、既存のレジスト材料から次世代のレジスト組成物を得ることはできない。
【0007】
このように、ホトレジスト組成物を提供する技術分野では、現在、この波長157nmに高い透明性を有する新規なポリマーの開発が課題となっている。現在までのところ、フッ素(F)やシリコン(Si)を導入することによって波長157nmを主要スペクトルとする照射光に対する透明性を確保するとともに、露光後の現像特性を左右するアルカリ可溶性や、パターン転写解像性、そして耐エッチング性といったレジスト性能を兼ね備えた新規なポリマーの開発が進められている。そして、有望なベースポリマーとして、フッ素含有ノルボルネンポリマー(非特許文献1および特許文献1)、フッ素含有単環式ポリマー(特許文献2及び非特許文献2)等の数多くのポリマーが、報告されている。
【0008】
特許文献1及び非特許文献1に開示のフッ素含有ノルボルネンポリマー(以下、従来ポリマーAと略す)と特許文献2及び非特許文献2に開示のフッ素含有単環式ポリマー(以下、従来ポリマーBと記す)は次世代ホトレジスト組成物のベースポリマーとして有望であると考えられる。
【0009】
前記非特許文献1には、従来ポリマーAの具体的例として、テトラフルオロエチレン(49重量%)/ノルボルネン(51重量%)からなる共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA1と記す)、テトラフルオロエチレン(41重量%)/ノルボルネン(46重量%)/酢酸ビニル(12重量%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA2と記す)、テトラフルオロエチレン(43重量%)/ノルボルネン(38重量%)/酢酸ビニル(20重量%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA3と記す)、テトラフルオロエチレン(43重量%)/ノルボルネン(28重量%)/酢酸ビニル(29重量%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA4と記す)、テトラフルオロエチレン(36重量%)/ノルボルネン(47重量%)/t−ブチルアクリレート(17重量%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA5と記す)、テトラフルオロエチレン(28重量%)/ノルボルネン(38重量%)/t−ブチルアクリレート(34重量%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA6と記す)、およびテトラフルオロエチレン(42重量%)/ノルボルネン(41重量%)/5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステル(17重量%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA7と記す)が、開示されている。
【0010】
この非特許文献1には、波長157nmの露光により十分なパターン転写解像性を得るためには、膜厚を正規化したレジスト膜の吸収係数(光学定数)を2.5(μm-1)以下とする必要があると教示されているが、前記各ポリマーの測定された光学定数は、それぞれ、1.3(従来ポリマーA1)、2.0(従来ポリマーA2)、2.1(従来ポリマーA3)、2.6(従来ポリマーA4)、2.4(従来ポリマーA5)、3.6(従来ポリマーA6)となっており(従来ポリマーA7は未測定)、概ね良好な値を示している。したがって、この従来ポリマーAは、波長157nmのレーザー光を露光することを念頭においた場合の透明性からは、次世代レジスト組成物のベースポリマーとして合格圏内に入ることになる。
【0011】
一方、特許文献1には、従来ポリマーAの具体的例として、多数例が開示されているが、例えば、2元共重合ポリマーとして、テトラフルオロエチレン(0.3モル)/ヘキサフルオロイソプロパノール置換ノルボルネン(0.2モル)からなる2元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA8と記す)が挙げられ、3元共重合ポリマーとして、テトラフロオロエチレン(46モル%)/ヘキサフルオロイソプロパノール置換ノルボルネン(27モル%)/OCH2C(CF3)2OCH2OCH3置換ノルボルネン(27モル%)からなる3元共重合ポリマー(以下、従来ポリマーA9と記す)が挙げられている。前記従来ポリマーA8の波長157nm照射光における吸収係数は、1.27μm-1(膜厚67.5nm)、1.40μm-1(膜厚52.3nm)と良好であり、前記従来ポリマーA9の波長157nmにおける吸収係数は、2.40μm-1(膜厚69.2nm)、2.17μm-1(54.9nm)であり、透明性は、共に、次世代レジスト組成物のベースポリマーとして合格範囲内にある。さらに、この特許文献1では、得られた従来ポリマーAをベースポリマーとして、ホトレジスト組成物を調製し、これを基板上に塗布して、レジスト膜とし、この膜にパターンを形成して、パターン解像性を検証している。例えば、前記従来ポリマーA8をベースポリマーとしたホトレジスト組成物では、0.312重量%の従来ポリマーA8に対して、1.800重量%の2−ヘプタノン、1.648重量%のシクロヘキサノン、0.080重量%のt−ブチルリトコレート、そして、0.160重量%のトリフェニルスルフォニウムトリフラート(5重量%シクロヘキサノン溶液)を添加している。このホトレジスト組成物からレジスト膜を形成し、波長157nmのパターン光を照射し、レジストパターンを形成している。また、前記従来ポリマーA9についても、このポリマーをベースポリマーとして、同様にレジスト膜を形成し、波長157nmのパターン光を照射して、レジストパターンを形成している。その他の組成のポリマーについても、同様にレジスト膜およびそのパターン化が試みられている。しかしながら、これらのパターン化の実施例では、どの程度の解像性が実現できたのかの評価については、まったく開示されていない。
【0012】
したがって、この特許文献1においては、従来ポリマーAの157nm波長光に対する透明性が良好であり、従来ポリマーAは波長157nmの照射光を用いた微細リソグラフィー用のホトレジスト組成物のベースポリマーとして有望であることは確認できるものの、次世代半導体集積回路の実際のパターンに必要とされるレジストパターンのライン幅を達成できているか、できているとすれば、そのパターン形状の良否はどうであるのか等のパターン解像性については、不明である。
【0013】
しかしながら、前記非特許文献1および特許文献1に開示のテトラフルオロエチレン共重合ポリマー(従来ポリマーA)は、波長157nmに対する透明性に優れ、耐プラズマエッチング性もあり、高いガラス転位点を持ち、慣用の0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド現像液に相溶性があるとされており、次世代ホトレジスト組成物のベースポリマーとして有望であると考えられる。
【0014】
他方、特許文献2に開示の従来ポリマーBは、下記式(9)で示される化合物またはその誘導体からなるジエン系モノマー(a)のモノマー単位と含フッ素ビニルモノマー(b)のモノマー単位とが環化反応した環状構造の繰り返し単位を含み、かつ含フッ素ビニルモノマーに由来するブロック化された酸性基を有するフッ素含有単環式ポリマーである。
CH2=CH−X−CH=CH2 (9)
上記式(1)中、Xはメチレン基または酸素原子を表す。また、前記(a)の誘導体には、アルキル置換体および水酸基置換体を含み、置換アルキル基は炭素数1ないし4の低級アルキル基が好ましい、とされている。
【0015】
特許文献2には、従来ポリマーBの具体的例として、4つの合成例が開示されている。
【0016】
合成例1では、13.6gのCH2=CHCH2CH=CH(以下、モノマー1と記す)と、136.0gのCF2=CFOCF2CF2C(CF3)OCOC(CH3)3(以下、モノマー2と記す)と、10質量%のジイソプロピルパーオキシカーボネートのトリクロロトリフルオロエタン溶液10mLとを、0.3Lのトリクロロトリフルオロエタン溶媒に導入し、加熱、重合させて、17.4gのポリマーBを得ている(以下、従来ポリマーB1と記す)。この従来ポリマーB1における前記モノマー1単位/モノマー2単位=35/65(モル%)であり、ポリスチレン換算数平均分子量は10,200である。
【0017】
合成例2では、14.0gのCH2=CHOCH=CH2(以下、モノマー3と記す)と、36.08gの前記モノマー2と、10質量%のジイソプロピルパーオキシカーボネートのトリクロロトリフルオロエタン溶液10mLとを、150gのトリクロロトリフルオロエタン溶媒に導入し、加熱、重合させて、12.2gの従来ポリマーBを得ている(以下、従来ポリマーB2と記す)。この従来ポリマーB2における前記モノマー3単位/モノマー2単位=31/69(モル%)であり、ポリスチレン換算数平均分子量は14,500である。
【0018】
合成例3では、16.8gのCH2=CHCH(OH)CH=CH2(以下、モノマー4と記す)と、150.5gの前記モノマー2と、10質量%のジイソプロピルパーオキシカーボネートのトリクロロトリフルオロエタン溶液10mLとを、150gのトリクロロトリフルオロエタン溶媒に導入し、加熱、重合させて、10.8gの従来ポリマーBを得ている(以下、従来ポリマーB3と記す)。この従来ポリマーB3における前記モノマー4単位/モノマー2単位=38/62(モル%)であり、ポリスチレン換算数平均分子量は12,300である。
【0019】
合成例4では、13.6gのモノマー1と、117.9gのCF2=CFOCF2CF2C(CF3)(CH3)OCOC(CH3)3(以下、モノマー5と記す)と、10質量%のジイソプロピルパーオキシカーボネートのトリクロロトリフルオロエタン溶液10mLとを、150gのトリクロロトリフルオロエタン溶媒に導入し、加熱、重合させて、9.4gの従来ポリマーBを得ている(以下、従来ポリマーB4と記す)。この従来ポリマーB4における前記モノマー1単位/モノマー5単位=39/61(モル%)であり、ポリスチレン換算数平均分子量は11,800である。
【0020】
さらに、この特許文献2では、得られた従来ポリマーBをベースポリマーとして、ホトレジスト組成物を調製し、これを基板上に塗布して、レジスト膜とし、この膜にパターンを形成して、パターン解像性を検証している。すなわち、前記各従来ポリマーB1〜B4の100質量部と、トリメチルスルホニウムトリフレート5質量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート700質量部に溶解してレジスト組成物を得て、この組成物をシリコン基板上にスピンコーティングにより均一に塗布し、80度分間加熱して、0.3μm(300nm)のレジスト膜を得ている。従来ポリマーB1からB4に対応するレジスト膜の197nm照射光に対する透過率は、それぞれ、72%、68%、65%、71%であったとしている。また、それぞれの解像度は、ライン・アンド・スペース・パターンで0.25μm(250nm)、0.25μm(250nm)、0.24μm(240nm)、0.24μm(240nm)の寸法が可能であったとしている。
【0021】
このように、特許文献2では、レジスト膜厚0.3μm(300nm)で、0.24〜0.25μm(250nm)のライン・アンド・スペースの解像性が得られているが、F2エキシマレーザーの157nm波長光での露光は実施されておらず、157nm波長光に対する透明性(光学定数)およびレジストパターンの解像性は、不明である。F2エキシマレーザーを用いる場合の想定レジスト膜厚120ないし150nmであり、ライン・アンド・スペース・パターンを形成した場合の所望とされる解像度は、150nm以下、好ましくは100nm以下である。また、レジスト膜の所望とされる透明度については、前記非特許文献1に記載のように、波長157nmの露光により十分なパターン転写解像性を得るためには、膜厚を正規化したレジスト膜の吸収係数(光学定数)を2.5(μm-1)以下とする必要がある。
【0022】
したがって、この特許文献2においては、従来ポリマーBの193nm波長光に対する透明性が良好であり、従来ポリマーBは波長193nmの照射光を用いた微細リソグラフィー用のホトレジスト組成物のベースポリマーとして有望であることは確認できるものの、次世代半導体集積回路の実際のパターンに必要とされる波長157nm照射光に対する透明性はどの程度なのか、そして、この波長157nm照射光によって所望のレジストパターンのライン幅を達成できるか、できるとすれば、そのパターン形状の良否はどうであるのか等のパターン解像性については、不明である。
【0023】
また、非特許文献2においては、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエンの環化重合により形成されるフッ素含有単環式ポリマーについて、吸光係数、Tg、現像液への溶解性、レジスト溶媒への溶解性等を評価し、それらの特性が良好であることを確認し、レジスト組成物を調整し、100nmのレジストパターンを形成している。
【0024】
このことから、従来ポリマーAと同様に波長157nmの照射光を用いた微細リソグラフィー用のホトレジスト組成物のベースポリマーとして有望であることは確認できる。
【0025】
他方、特許文献1には、リトコール酸のtert−ブチルエステルのような公知の溶解抑制剤を添加することが記載されている。
【0026】
【非特許文献1】
M. K. Crawford, et al., “New Material for 157 nm Photoresists: Characterization and Properties” Proceedings of SPIE, Vol. 3999, (2000) pp357 -364
【非特許文献2】
Shun-ichi Kodama, et al.,“Synthesis of Novel Fluoropolymer for 157nm Photoresists by Cyclo−polymerization” Proceedings of SPIE, Vol. 4690, (2002) pp76 -83
【特許文献1】
国際公開第WO 00/67072号パンフレット
【特許文献2】
特開2002−90997号公報
【0027】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のポリマーAやB(以下、従来ポリマーA,Bを合わせて「従来ポリマー」という)とある種の溶解抑制剤を組み合わせて用いても、90nmや80nmのレジストパターンは解像はできても、レジストトップ部分が丸くなるなどのレジストパターン形状は不十分である。そして、従来の技術にも説明したように、F2エキシマレーザーを用いたリソグラフィーは、将来の約65nm以下の微細加工技術を担うものとして注目されていることから、70nm以下のレジストパターンで実用化を目指している。しかしながら、80nm以下のレジストパターンでは、レジストトップ部の丸みは、いっそう悪化する。従って、その問題の解決は重要な課題となっている。
【0028】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、90nm以下の超微細パターンの解像性やレジストパターン形状の改善を目的とし、次世代の微細加工にも十分に適用可能なレジスト特性を持ったホトレジスト組成物を提供することを課題とするものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本願発明者らは、(A)(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基を共に有する脂肪族環式基を含むアルカリ可溶性の構成単位(a1)を含んでなる、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する重合体と、特定の溶解抑止剤とを組み合わせることにより、従来の問題点を解決し得、特にパターン形状を中心としたレジスト特性を向上させる予想以上の効果を挙げ得ることが判明した。そのような溶解抑止剤としては、フッ素原子を有し、芳香族又は脂肪族の環基を有する化合物が適当である。
【0030】
なお、重合体(A)をベースポリマーとするレジスト組成物は、いわゆる化学増幅型のレジスト組成物であるので、露光後のレジストのアルカリ可溶化あるいはアルカリ不溶化反応の触媒となる酸を発生させる酸発生剤を必須構成として含有する。
【0031】
本発明者らは、前記知見に基づいて、本発明ホトレジスト組成物を調製し、このホトレジスト組成物を用いて、半導体基板上にレジスト層を形成し、このレジスト層に、F2ステッパーを用いて、最も微細なレジストパターンで50nmのライン・アンド・スペースが形成できその断面形状が矩形を呈することが知見された。
【0032】
【発明の実施の形態】
前記構成の本発明にかかるホトレジスト組成物におけるベースポリマーである重合体(A)は、(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基を共に有する脂肪族環式基を含むアルカリ可溶性の構成単位(a1)を含んでなる、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する重合体である。
【0033】
本発明の重合体(A)は、特許文献1や非特許文献2に記載されているように公知である。そして、(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基を共に有する脂肪族環式基を含むアルカリ可溶性の構成単位(a1)有し、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する重合体であれば、限定されるものではない。
【0034】
酸の作用によりアルカリ可溶性が変化するとは、露光部における該重合体の変化であり、露光部にてアルカリ可溶性が増大すれば、露光部はアルカリ可溶性となるため、ポジ型レジストとして用いられ、他方、露光部にてアルカリ可溶性が減少すれば、露光部はアルカリ不溶性となるため、ネガ型レジストとして用いることができる。
【0035】
(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基を共に有する脂肪族環式基を含むアルカリ可溶性の構成単位(a1)とは、前記(i)と(ii)をともに有する有機基が脂肪族環式基に結合しており、該環式基を構成単位中に有するものであればよい。
【0036】
該脂肪族環式基とは、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テロラシクロアルカンなどの単環又は多環式炭化水素から1個又は複数個の水素原子を除いた基などを例示できる。
多環式炭化水素は、より具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個又は複数個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
これらの中でもシクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナンから水素原子を除き誘導される基が工業上好ましい。
【0037】
(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基としては、フッ素原子又は低級アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基などが挙げられるが、工業的には、フッ素原子やトリフルオロメチル基が好ましい。
【0038】
(ii)アルコール性水酸基とは、単にヒドロキシル基であってもよいし、ヒドロキシ基を有するアルキルオキシ基、アルキルオキシアルキル基又はアルキル基のようなアルコール性水酸基含有アルキルオキシ基、アルコール性水酸基含有アルキルオキシアルキル基又はアルコール性水酸基含有アルキル基等が挙げられる。該アルキルオキシ基、該アルキルオキシアルキル基又は該アルキル基としては、低級アルキルオキシ基、低級アルキルオキシ低級アルキル基、低級アルキル基が挙げられる。
【0039】
低級アルキルオキシ基としては、具体的には、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基等が挙げられ、低級アルキルオキシ低級アルキル基としては、具体的には、メチルオキシメチル基、エチルオキシメチル基、プロピルオキシメチル基、ブチルオキシメチル基等が挙げられ、低級アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0040】
また、前記 (ii)のアルコール性水酸基含有アルキルオキシ基、アルコール性水酸基含有アルキルオキシアルキル基又はアルコール性水酸基含有アルキル基における該アルキルオキシ基、該アルキルオキシアルキル基又は該アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものでもよい。好ましくは、前記アルコール性水酸基含有アルキルオキシ基又はアルコール性水酸基含有アルキルオキシアルキル基におけるそれらのアルキルオキシ部の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたもの、前記アルコール性水酸基含有アルキル基では、そのアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたもの、すなわち、アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシ基、アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシアルキル基又はアルコール性水酸基含有フルオロアルキル基が挙げられる。
【0041】
アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシ基としては、(HO)C(CF3)2CH2O−基(2−ビス(ヘキサフルオロメチル)−2−ヒドロキシ−エチルオキシ基、(HO)C(CF3)2CH2CH2O−基(3−ビス(ヘキサフルオロメチル)−3−ヒドロキシ−プロピルオキシ基等が挙げられ、アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシアルキル基としては、(HO)C(CF3)2CH2O−CH2−基、(HO)C(CF3)2CH2CH2O−CH2−基等が挙げられ、アルコール性水酸基含有フルオロアルキル基としては、(HO)C(CF3)2CH2−基(2−ビス(ヘキサフルオロメチル)−2−ヒドロキシ−エチル基、(HO)C(CF3)2CH2CH2−基(3−ビス(ヘキサフルオロメチル)−3−ヒドロキシ−プロピル基、等が挙げられる。
【0042】
これらの(i)や(ii)の基は、前記脂肪族環式基に直接結合していればよい。特には、(a1)構成単位がアルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシ基、アルコール性水酸基含有フルオロアルキルオキシアルキル基又はアルコール性水酸基含有フルオロアルキル基がノルボルネン環に結合し、該ノルボルネン環の2重結合が開裂して形成される下記一般式(10)で表される単位が透明性とアルカリ可溶性及び対ドライエッチング性に優れ、また工業的に入手しやすく好ましい。
【化4】
(式中、Zは、酸素原子、オキシメチレン基(−O(CH2)−)、または単結合であり、n’とm’は、それぞれ独立して1〜5の整数である。)
【0043】
そして、そのような(a1)単位と組み合わせて用いられる重合体単位は、これまで公知のものであれば、限定されない。ポジ型の酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する重合体(A−1)として用いる場合、公知の酸解離性溶解抑制基を有する(メタ)アクリルエステルから誘導される構成単位(a2)が解像性に優れるので好ましい。
【0044】
このような構成単位(a2)としては、tert−ブチル(メタ)アクリレート、tert−アミル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の第3級アルキルエステルから誘導される構成単位が挙げられる。
【0045】
そして、本発明の重合体(A)は、さらに重合体の透明性を向上させるフッ素化アルキレン構成単位(a3)を含んでなる、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する重合体(A−2)であってもよい。このような構成単位(a3)を含むことにより、透明性がさらに向上する。該構成単位(a3)としては、テトラフルオロエチレンから誘導される単位が好ましい。
【0046】
以下に、重合体(A−1)と重合体(A−2)を表す一般式(11)(12)を示す。
【化5】
(式中、Z,n’,m’は前記一般式(10)の場合と同じであり、R3は水素原子またはメチル基であり、R4は酸解離性溶解抑制基である。)
【0047】
【化6】
(式中、Z,n’,m’,R3およびR4は前記一般式(11)の場合と同じである。)
【0048】
また、前記した一般式(10)を含む重合体(A−1)と重合体(A−2)とは、異なる構造式であるが、(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基を共に有する脂肪族環式基を含むアルカリ可溶性の構成単位(a1)を含んでなる、酸の作用によりアルカリ可溶性が変化する重合体の概念の中に含まれる以下のような構成単位を有するものでもよい。
【0049】
すなわち、構成単位(a1)において、(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基は脂肪族環式上にそれぞれ結合し、該環式基が主鎖を構成しているものである。
該、(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基としては、前記したものと同様なものが挙げられる。また、(ii)アルコール性水酸基とは、単にヒドロキシル基である。
【0050】
このような単位を有する重合体(A)は、非特許文献2に記載されたものであり、水酸基とフッ素原子を有するジエン化合物の環化重合により形成される。該ジエン化合物としては、透明性、対ドライエッチング性に優れる5員環や6員環を有する重合体を形成しやすいヘプタジエンが好ましく、さらには、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン(CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2)の環化重合により形成される重合体が工業上最も好ましい。
【0051】
ポジ型の酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する重合体(A−3)として用いる場合、そのアルコール性水酸基の水素原子が酸解離性溶解抑制基で置換された構成単位(a4)を含んでなる重合体が好ましい。その酸解離性溶解抑制基としては、鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜15のアルキルオキシメチル基が、酸の解離性から好ましく、特にはメトキシメチル基のような低級アルコキシメチル基が解像性とパターン形状に優れ好ましい。なお、該酸解離性溶解抑制基は全体の水酸基に対して、10〜40%、好ましくは15〜30%の範囲であると、パターン形成能に優れ好ましい。
【0052】
以下に、重合体(A−3)を表す一般式(13)を示す。
【化7】
(式中、R5は水素原子またはC1〜C15のアルキルオキシメチル基であり、x、yはそれぞれ10〜50モル%である。)
【0053】
このような重合体(A)は、公知の方法、特許文献1や非特許文献2に記載の方法によって、合成できる。また、該(A)成分の樹脂のGPCによるポリスチレン換算質量平均分子量は、特に限定するものではないが5000〜80000、さらに好ましくは8000〜50000とされる。
【0054】
また、(A)成分は、1種または2種以上の樹脂から構成することができ、例えば、上述の(A−1)、(A−2)、及び(A−3)から選ばれる幾つかを2種以上混合して用いてもよいし、さらに、他に従来公知のホトレジスト組成物用樹脂を混合して用いることもできる。
【0055】
(B)成分:
(B)成分としては、ポジ型、ネガ型共に従来化学増幅型レジストにおける酸発生剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。いろいろな酸発生剤が提案されているが、特には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネートなどのオニウム塩などのオニウム塩、が好ましい。なかでもフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオンとするスルホニウム塩が適度な酸の強度とレジスト膜中での拡散性を有することから好ましい。
【0056】
この(B)成分は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、例えば(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部とされる。この範囲より少ないと潜像形成が不十分となるし、多いとレジスト組成物としての保存安定性を損なう恐れがある。
【0057】
この本発明のホトレジスト組成物における必須添加物である(C)フッ素原子を有する溶解抑止剤としては、例えば、少なくともひとつのフッ素原子が結合し、かつ酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増加する好ましくは分子量100以上500以下の低分子量フェノール、アルコールあるいはカルボン酸化合物における該フェノール、アルコールあるいはカルボン酸の水酸基の水素原子の一部を酸に不安定で、アルカリに対する溶解抑制能を有する置換基(酸解離性溶解抑制基)で置換した化合物を挙げることできる。
【0058】
このような酸解離性置換基としては、例えば、第3級アルキル基、第3級アルコキシカルボニル基、第3級アルコキシカルボニルアルキル基、鎖状又は環状のアルコキシアルキル基等を挙げることができる。
【0059】
具体的にはtert−ブチル基のような第3級アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基のような第3級アルコキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基第3級アルコキシカルボニルアルキル基、メトキシメチル基、tert−アミルオキシメチル基、4-tertブチル−シクロヘキシルオキシメチル基のような鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜15のアルキルオキシメチル基が挙げられる。
【0060】
このような化合物としては、例えば、一般式(1)又は(2)
【化8】
【化9】
(R1は水素原子、アルキル基、アルコキシル基、又はフッ素原子であり、R2は酸解離性溶解抑制基であり、Aは−C(CnF2n+1)(CmF2m+1)−O−CO−O―、−C(CnF2n+1)(CmF2m+1)−O−、又は−O−CO−O―であり、n、m、p、及びqはそれぞれ独立して1〜4の整数である。但し、Aが−O−CO−O―のときは、R1はフッ素原子である。)で表される化合物を挙げることができる。これら一般式で示される化合物の具体例としては、下記化学式(3)〜(8)
【化10】
で示される化合物等を挙げることができる。また、その他の具体的な化合物としては、3,3’,5,5’−テトラフルオロ[(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジ−t−ブトキシカルボニル]、4,4’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール−4,4’−ジ−t−ブトキシカルボニル、2−トリフルオロメチルベンゼンカルボン酸1,1−t−ブチルエステル、2−トリフルオロメチルシクロヘキサンカルボン酸−t−ブチルエステル等が挙げられる。
【0061】
これらの中でも、上記(3)〜(8)で表される化合物が透明性が高く、微細なパターン形状に優れることから、好ましい。
【0062】
前記酸解離性溶解抑制基R2は、鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜15のアルキルオキシメチル基又は第3級アルキル基が好ましい。中でも、前記化学式(6)や(7)で表される化合物が好ましい。
【0063】
本発明にかかるホトレジスト組成物における溶解抑止剤の添加量は、主成分ポリマー(A)成分100重量部に対して、2〜30重量部、好ましくは3〜10重量部が適当である。溶解抑止剤の添加量が2重量部を下回ると溶解抑止効果が現れない。逆に添加量が30重量部を超えると、レジストの耐熱性が低下してしまう。
【0064】
溶解抑止剤は、フッ素原子を含することにより、157nm波長光に対する透明性が格段に向上する。本発明者らは、フッ素原子を有する溶解抑止剤を用いた場合とフッ素原子を有さない溶解抑止剤を用いた場合とを比較したが、溶解抑止剤としてフッ素原子を有するタイプを用いると、パターン解像性が格段に向上することを確認している。
【0065】
本発明のレジスト組成物には、パターン光の照射により露光部に発生した酸の必要以上の拡散を防止する作用を発揮するアミン類やアンモニウム塩を添加しても良いし、添加することが望ましい。このアミン類としては、水酸基を有するアミンまたはアミン塩が適当である。
【0066】
前記アミンとしては、本発明の実施例で用いたトリイソプロパノールアミンの他に、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミンなどの脂肪族第二級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N−エチル−N−メチルブチルアミンなどの脂肪族第三級アミン、N,N−ジメチルモノエタノールアミン、N,N−ジエチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの第三級アルカノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−エチル−N−メチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N−メチルジフェニルアミン、N−エチルジフェニルアミン、N−エチルジフェニルアミン、トリフェニルアミンなどの芳香族第三級アミンなどを挙げることができる。
【0067】
また、前記アミン塩としては、本発明の実施例で用いたテトラブチルアンモニウム乳酸塩のようなアンモニウム塩の他に、前記アミンから誘導されたアミン塩を用いることができる。
これらの中でも、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミンなどの低級の第3級アルカノールアミン;トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリデカニルアミン、トリドデシルアミン、トリテトラデカニルアミンなど炭素数6以上15以下のトリアルキルアミン;アンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン等の第4級アルキルアンモニウムイオンと乳酸のような水酸基を有する有機カルボン酸のイオンとの塩がレジストパターントップ部分の膜減りの低減効果に優れることから、好ましい。なお、上記トリアルキルアミンにおける窒素に結合する3つのアルキル基は、炭素数6以上15以下のアルキル基であれば、同一でも異なってもよい。
【0068】
本発明にかかるホトレジスト組成物におけるアミン類やアンモニウム塩は、一種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、このアミン類やアンモニウム塩の添加量は、おおよそ、主成分ポリマー(A)100重量部に対して、0.01〜2重量部が適当である。アミン類やアンモニウム塩の添加量が0.01重量部を下回ると、その添加による効果が期待できない。逆にその添加量が2重量部を超えると、感度が劣化するため好ましくない。
【0069】
また、本発明においては、前記アミン類やアンモニウム塩成分の添加による感度劣化防止等の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。
【0070】
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
【0071】
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ‐n‐ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸‐ジ‐n‐ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。該有機カルボン酸又はリンのオキソ酸若しくはその誘導体成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
【0072】
本発明のホトレジスト組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分、及び(C)成分、さらに必要に応じて添加される任意成分を有機溶剤に溶解し、均一な溶液として用いられる。そのような有機溶剤としては、具体的には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルピン酸メチル、ピルピン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。中でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル(EL)などが好ましい。
該有機溶剤の量はレジスト膜を形成する上で基板等に塗布可能な濃度とされる。
【0073】
また、本発明のホトレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを添加含有させることができる。
【0074】
本発明のレジストパターンを形成する方法は、上記説明したホトレジスト組成物を用いて、通常のリソグラフィープロセスによりレジストパターンを形成するものである。そのような方法とは、まず、基板上にホトレジスト組成物を回転塗布などにより塗布して、乾燥させレジスト膜を形成する。次いで、マスクパターンを介して選択的に露光し、露光後加熱する。最後にアルカリ水溶液にて現像し、レジストパターンが形成できる。なお、さらにポストベーク処理を必要に応じて行ってもよい。光源としては、限定されるものではないが、200nm以下の遠紫外光、具体的にはArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(極端紫外光)など、電子線、軟X線、X線などを使用することができる。特には、F2エキシマレーザーが好ましい。
【0075】
基板には、有機又は無機の反射防止膜やSiON、窒化ケイ素(SiN)、四窒化三ケイ素(Si3N4)等の各種薄膜を設けた基板が用いられる。
【0076】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。以下に示す実施例は、本発明を好適に説明する例示に過ぎず、なんら本発明を限定するものではない。
【0077】
200nm以下の波長に対しての有効性を確認するために、ArFエキシマレーザー(波長193nm)を用いて評価を行った。
【0078】
(実施例1)
本発明のホトレジスト組成物の主成分とする共重合ポリマー(A)として、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン(CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2)とその水酸基の水素原子がメトキシメチル基で置換されたジエン化合物の環化重合により形成された重合体を用いた。
【0079】
この重合体の構造式は次のとおり。その重量平均分子量は4万であった。メトキシメチル基の導入率は、ヒドロキシル基全体に対し、20%であり、x、yはそれぞれ50モル%であった。
【化11】
【0080】
このフッ素含有単環式ポリマー100重量部と、TPS−NF(トリフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート)4重量部と、トリイソプロパノールアミン0.4重量部と、上記[化3]中の化学式(6)で表されるフッ素原子を有する溶解抑止剤5重量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)1100重量部に投入、混合して、ホトレジスト組成物を得た。
【0081】
レジスト膜を形成するための半導体基板として、表面に85nm厚の反射防止膜(AR19、シプレー社製)が形成された半導体基板を用いた。この半導体基板上に(すなわち、前記反射防止膜上に)、前述のホトレジスト組成物をスピンコーティングにより均一に塗布し、95℃で90秒間加熱し、乾燥させて、250nmの膜厚のレジスト膜を得た。
【0082】
前記レジスト膜にArF露光装置S−302A(Nikon社製 NA=0.60、2/3輪帯)を用いて193nm波長光をマスクを介して照射した。
【0083】
前記露光後、120℃にて90秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%濃度の溶液でパターンの現像を行った。現像温度は23℃、現像時間は60秒間であった。現像後、脱イオン水にて洗浄を行い、乾燥した。
【0084】
その結果、基板上には、120nmライン・アンド・スペース(1:1)のパターンが形成された。この時の露光線量は13mJ/cm2であった。
このパターンのラインの断面形状を観察したところ、はっきりした矩形を呈していた。
【0085】
(実施例2)
上記[化3]中の化学式(6)で表されるフッ素原子を有する溶解抑止剤のかわりに上記[化3]中の化学式(7)で表されるフッ素原子を有する溶解抑止剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてレジスト膜の形成、レジスト膜へのパターン光の照射、現像、および洗浄を行った。
【0086】
その結果、基板上には、120nmライン・アンド・スペース(1:1)のパターンが形成された。この時の露光線量は13mJ/cm2であった。このパターンのラインの断面形状を観察したところ、はっきりした矩形を呈していた。
【0087】
(比較例1)
レジスト組成分としてフッ素原子を有する溶解抑止剤を含まないこと以外は前記実施例1と同様の組成分によりホトレジスト組成分を調製し、実施例1と同様にしてレジスト膜の形成、レジスト膜へのパターン光の照射、現像、および洗浄を行った。その結果、200nm以下のライン・アンド・スペースのパターンにおいて顕著な膜べりが観察された。ラインの断面形状は、角部が丸くなっており、矩形でなかった。
【0088】
(比較例2)
レジスト組成分として上記[化3]中の化学式(6)で表されるフッ素原子を有する溶解抑止剤のかわりに公知の溶解抑止剤として、リトコール酸tert−ブチルエステル5重量部を用いたこと以外は前記実施例1と同様の組成分によりホトレジスト組成分を調製し、実施例1と同様にしてレジスト膜の形成、レジスト膜へのパターン光の照射、現像、および洗浄を行った。その結果、200nm以下のライン・アンド・スペースのパターンにおいて顕著な膜べりが観察された。ラインの断面形状は、角部が丸くなっており、矩形でなかった。
【0089】
前記実施例1〜2では、次世代レジスト用のベースポリマーとして有望なフッ素含有単環式ポリマーをベースポリマーに用いるとともに、レジスト組成物に、フッ素原子を有する溶解抑止剤を添加することで120nmライン・アンド・スペースのパターンを形成することができた。しかも、このパターンのラインの断面形状ははっきりした矩形を保持しており、波長193nmの光源に対して有効であることがわかった。
【0090】
これに対して、比較例1は、フッ素原子を有する溶解抑止剤を添加しないこと以外、実施例1と同様の組成にするとともに、同様にして露光、現像、洗浄、および乾燥して、パターン形成を実施したが、200nmサイズ以下のパターンでは膜べりなどにより形状に大きな乱れが生じて実用にはならない状態であった。この比較例1から、前記フッ素含有単環式ポリマーをベースポリマーに用いたレジスト組成物では、フッ素含有溶解抑止剤が必須であることが分かる。
【0091】
また、比較例2では、公知の溶解抑止剤を添加したこと以外、実施例1と同様の組成にするとともに、同様にして露光、現像、洗浄、および乾燥して、パターン形成を実施したが、200nmサイズ以下のパターンでは膜べりなどにより形状に大きな乱れが生じて実用にはならない状態であった。
【0092】
実施例1〜2において本発明のレジスト組成物はArFエキシマレーザーに対して有効であることを確認した。次に、実施例3〜8においては該レジスト組成物を用いて波長157nmのF2エキシマレーザー露光装置(Exitech (NA=0.85、σ=0.3)を用いて評価を行った。
【0093】
(実施例3)
実施例1のホトレジスト組成物を用いてF2エキシマレーザー露光を行った。
半導体基板上に、82nm厚の反射防止膜(AR19 シプレー社製)設けた後、ホトレジスト組成物をスピンコーティングにより均一に塗布し、110℃で60秒間加熱し、乾燥させて、150nmの膜厚のレジスト膜を得た。尚、得られたレジスト膜の波長157nmに対する光学定数は、3.0(abs/μm)以下であった。
【0094】
前記レジスト膜にF2エキシマレーザーをマスクを介して照射した。前記露光後、110℃にて90秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%濃度の溶液でパターンの現像を行った。現像温度は23℃、現像時間は60秒間であった。現像後、脱イオン水にて洗浄を行い、乾燥した。
【0095】
その結果、基板上には、65nmライン・アンド・スペース(1:1)のパターンが形成された。この時の露光線量は30.5mJ/cm2であった。また、50nmのライン・アンド・スペース(1:1.5)も形成されていた。これらのパターンのラインの断面形状を観察したところ、はっきりした矩形を呈していた。
【0096】
(実施例4)
実施例2のホトレジスト組成物を用いて評価を行った。
半導体基板上に、82nm厚の反射防止膜(AR19 シプレー社製)設けた後、ホトレジスト組成物をスピンコーティングにより均一に塗布し、110℃で60秒間加熱し、乾燥させて、150nmの膜厚のレジスト膜を得た。尚、得られたレジスト膜の波長157nmに対する光学定数は、3.0(abs/μm)以下であった。
【0097】
前記レジスト膜にF2エキシマレーザーをマスクを介して照射した。前記露光後、110℃にて90秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%濃度の溶液でパターンの現像を行った。現像温度は23℃、現像時間は60秒間であった。現像後、脱イオン水にて洗浄を行い、乾燥した。
【0098】
その結果、基板上には、65nmライン・アンド・スペース(1:1)のパターンが形成された。この時の露光線量は30.5mJ/cm2であった。また、50nmのライン・アンド・スペース(1:1.5)も形成されていた。これらのパターンのラインの断面形状を観察したところ、はっきりした矩形を呈していた。
【0099】
(実施例5)
実施例3のホトレジスト組成物にサリチル酸0.1重量部添加したこと以外は、実施例3と同様にして行った。
【0100】
その結果、基板上には、65nmライン・アンド・スペース(1:1)のパターンが形成された。また、50nmのライン・アンド・スペース(1:1.5)も形成されていた。これらのパターンのラインの断面形状を観察したところ、はっきりした矩形を呈していた。
【0101】
(実施例6)
実施例4のホトレジスト組成物にサリチル酸0.1重量部添加したこと以外は、実施例4と同様にして行った。
【0102】
その結果、基板上には、65nmライン・アンド・スペース(1:1)のパターンが形成された。また、50nmのライン・アンド・スペース(1:1.5)も形成されていた。これらのパターンのラインの断面形状を観察したところ、はっきりした矩形を呈していた。
【0103】
(実施例7)
実施例1で用いたものと同じフッ素含有単環式ポリマー100重量部と、TPS−NF(トリフェニルスルホニウムパーフルオロブタンスルホネート)5重量部と、トリイソプロパノールアミン0.1重量部と、サリチル酸0.1重量部と、化学式(6)で表されるフッ素原子を有する溶解抑止剤5重量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)1260重量部に投入、混合して、ホトレジスト組成物を得た。
【0104】
レジスト膜を形成するための半導体基板として、表面に20nm厚の無機反射防止膜SiONが形成された直径200mmの半導体基板を用いた。この反射防止膜上に、前述のホトレジスト組成物をスピンコーティングにより均一に塗布し、90℃で90秒間加熱し、乾燥させて、150nmの膜厚のレジスト膜を得た。
【0105】
前記レジスト膜にF2エキシマレーザー露光装置(Exitech社製 NA=0.85、σ=0.3)を用いて157nm波長光をレベンソンタイプの位相シフトマスクを介して照射した。
【0106】
前記露光後、110℃にて90秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%濃度の溶液でパターンの現像を行った。現像温度は22℃、現像時間は60秒間であった。現像後、脱イオン水にて洗浄を行い、乾燥した。
【0107】
その結果、基板上には、65nmライン・アンド・スペース(1:1)のパターンが形成された。この時の露光線量は26mJ/cm2であった。このパターンのラインの断面形状を観察したところ、はっきりした矩形を呈していた。
【0108】
(実施例8)
実施例1で用いたものと同じフッ素含有単環式ポリマー100重量部と、TPS−NF5重量部と、トリイソプロパノールアミン0.4重量部と、上記化学式(6)で表されるフッ素原子を有する溶解抑止剤5重量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)1260重量部に投入、混合して、ホトレジスト組成物を得た。
【0109】
レジスト膜を形成するための半導体基板として、表面に82nm厚の有機反射防止膜(AR−19 シップレー社製)が形成された直径300mmの半導体基板を用いた。この反射防止膜上に、前述のホトレジスト組成物をスピンコーティングにより均一に塗布し、80℃で90秒間加熱し、乾燥させて、220nmの膜厚のレジスト膜を得た。
【0110】
前記レジスト膜にArFエキシマレーザー露光装置NSR−S305B(ニコン社製 NA=0.68、2/3輪帯)を用いて193nm波長光をマスクを介して照射した。
【0111】
前記露光後、110℃にて90秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%濃度の溶液でパターンの現像を行った。現像温度は22℃、現像時間は60秒間であった。現像後、脱イオン水にて洗浄を行い、乾燥した。
【0112】
その結果、基板上には、110nmライン・アンド・スペース(1:1)のパターンが形成された。この時の露光線量は11.2mJ/cm2であった。このパターンのラインの断面形状を観察したところ、はっきりした矩形を呈していた。
【0113】
また、本実施例8においては、半導体基板として直径300mmのシリコンウエーハという従来よりも大口径基板を用いたので、基板面内の塗布膜の均一性(coating uniformity)と得られたレジストパターンの均一性(CD uniformity)についても評価した。
【0114】
まず、塗布膜の均一性(coating uniformity)は、以下のようにして求めた。すなわち、連続して13枚の上記半導体基板を作成し、その各基板に対して53点の乾燥後のレジスト膜厚を測定した。その結果、目的とする220nmのレジスト膜厚に対して、基板間での平均膜厚差は1%以内であり、基板面内膜厚差は2%以内であった。
【0115】
次に、レジストパターンの均一性(CD uniformity)は、以下のようにして求めた。すなわち、連続して13枚の上記半導体基板を作成し、その各基板に対して上記のようにしてレジストパターンを形成し、次いで49点の形成されたレジストパターンのサイズを測定した。その結果、目的とする110nmライン・アンド・スペース1:1に対して、基板間での平均レジストパターンサイズは2%以内であった。
【0116】
本実施例8により、本発明のホトレジスト組成物を用いると、直径300mmの半導体基板上でも乾燥後レジスト膜が非常に均一性よく形成できるとともに、その後に行なわれる選択的露光、露光後加熱、現像により形成されたレジストパターンにおいても、均一性の良いレジストパターンが形成されることが明らかとなった。
【0117】
(比較例3)
比較例2のレジスト組成物において、TPS−NFを5重量部へ変え、トリイソプロパノールアミンを0.1重量部へ変え、さらにサリチル酸0.1重量部を加えた以外は、同様にしてレジスト組成物を調製して評価を行った。半導体基板上に、82nm厚の反射防止膜(AR19 シプレー社製)設けた後、ホトレジスト組成物をスピンコーティングにより均一に塗布し、90℃で900秒間加熱し、乾燥させて、150nmの膜厚のレジスト膜を得た。
【0118】
前記レジスト膜にF2エキシマレーザーをマスクを介して照射した。前記露光後、110℃にて90秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%濃度の溶液でパターンの現像を行った。現像温度は23℃、現像時間は60秒間であった。現像後、脱イオン水にて洗浄を行い、乾燥した。
【0119】
その結果、90nm以下のライン・アンド・スペース(1:1)パターンが形成されたものの、パターン膜べりが観測され、パターン形状は丸くなり矩形ではなかった。この時の露光線量は26mJ/cm2であった。それ以下の微細パターンは形成できなかった。
【0120】
(比較例4)
比較例1のレジスト組成物において、TPS−NFを5重量部へ変え、トリイソプロパノールアミンを0.1重量部へ変え、さらにサリチル酸0.1重量部を加えた以外は、同様にしてレジスト組成物を調製して評価を行った。半導体基板上に、82nm厚の反射防止膜(AR19 シプレー社製)設けた後、ホトレジスト組成物をスピンコーティングにより均一に塗布し、90℃で90秒間加熱し、乾燥させて、150nmの膜厚のレジスト膜を得た。
【0121】
前記レジスト膜にF2エキシマレーザーをマスクを介して照射した。前記露光後、110℃にて90秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38重量%濃度の溶液でパターンの現像を行った。現像温度は23℃、現像時間は60秒間であった。現像後、脱イオン水にて洗浄を行い、乾燥した。
【0122】
その結果、90nm以下のライン・アンド・スペース(1:1)パターンが形成されたものの、顕著なパターン膜べりが観測され、パターン形状は丸くなり矩形ではなかった。この時の露光線量は28mJ/cm2であった。それ以下の微細パターンは形成できなかった。
【0123】
(比較例5)
前記比較例3のレジスト組成物において、サリチル酸を用いなかったこと以外は、同様にしてレジスト組成物を調製して評価を行った。
【0124】
その結果、90nm以下のライン・アンド・スペース(1:1)パターンが形成されたものの、パターン膜べりが観測され、パターン形状は丸くなり矩形ではなかった。
【0125】
(比較例6)
前記比較例4のレジスト組成物において、サリチル酸を用いなかったこと以外は、同様にしてレジスト組成物を調製して評価を行った。
【0126】
その結果、90nm以下のライン・アンド・スペース(1:1)パターンが形成されたものの、顕著なパターン膜べりが観測され、パターン形状は丸くなり矩形ではなかった。
【0127】
前記実施例3〜6では、次世代レジスト用のベースポリマーとして有望なフッ素含有単環式ポリマーをベースポリマーに用いるとともに、レジスト組成物に、フッ素原子を有する溶解抑止剤を添加することによって、従来困難であった65nmライン・アンド・スペース(1:1)や50nmのライン・アンド・スペース(1:1.5)のパターンを形成することができた。しかも、これらのパターンのラインの断面形状ははっきりした矩形を保持していた。
【0128】
これに対して、比較例3と5は公知の溶解抑制剤を用い、比較例4と6は、溶解抑止剤を添加せずパターン形成を実施したが、90nm以下のライン・アンド・スペース(1:1)において、顕著にパターン膜べりが観測された。また、パターン形状は丸くなり矩形ではなく実用にはならない状態であった。この比較例3〜6から、前記フッ素含有単環式ポリマーをベースポリマーに用いたレジスト組成物では、フッ素原子を有する溶解抑止剤が必須であることが分かる。
【0129】
これらの結果から、公知のフッ素含有ポリマーを用いて、波長200nm以下、特にF2エキシマレーザーの照射光によるリソグラフィーによりライン・アンド・スペースのサイズが150nm以下、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは90nm以下のパターン解像性を得ることのできるホトレジスト組成物を得るためには、前記フッ素含有ポリマーを主成分とし、光照射により酸を発生する酸発生剤とフッ素原子を有する溶解抑止剤とを含有していることが重要であることが、理解される。
【0130】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかるホトレジスト組成物は、90nm以下の超微細パターンの形状や無機基板や有機反射防止膜を設けた基板上での解像性やレジストパターン形状の改善が達成される。また、レジストパターンの欠陥、スカム(残さ)、基板密着性のよい矩形性に優れるレジストパターンを形成することができる。本発明では、かかる波長157nmにおける透明性の高いベースポリマーに対して、特定の溶解抑制剤を組み合わせることによって、初めて、60nm以下のライン・アンド・スペースという微細オーダーのレジストパターン解像性を実用レベルで可能としており、さらには大口径基板に対する塗布膜の均一性、レジストパターンの均一性に優れる。
Claims (12)
- (A)(i)フッ素原子又はフッ素化アルキル基及び(ii)アルコール性水酸基が脂肪族環式基にそれぞれ結合し、該環式基が主鎖を構成しているアルカリ可溶性の構成単位(a1)と、前記構成単位(a1)の全アルコール性水酸基の水素原子の15〜40%が酸解離性溶解抑制基で置換された構成単位(a4)とを含んでなる、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する重合体、(B)光照射により酸を発生する酸発生剤、及び(C)フッ素原子を有する溶解抑止剤を含有し、
前記溶解抑止剤(C)は、少なくとも1つのフッ素原子が結合し、かつ酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が増加する分子量100〜500の低分子量フェノール、アルコール、又はカルボン酸化合物における該フェノール、アルコール、又はカルボン酸の水酸基の水素原子の一部が酸解離性溶解抑制基で置換された化合物であることを特徴とするホトレジスト組成物。 - 前記構成単位(a1)が、水酸基とフッ素原子とを有するジエン化合物の環化重合により形成される単位であることを特徴とする請求項1に記載のホトレジスト組成物。
- 前記ジエン化合物がヘプタジエンであることを特徴とする請求項2に記載のホトレジスト組成物。
- 前記ヘプタジエンが、1,1,2,3,3−ペンタフルオロ−4−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−1,6−ヘプタジエン(CF2=CFCF2C(CF3)(OH)CH2CH=CH2)であることを特徴とする請求項3に記載のホトレジスト組成物。
- 前記構成単位(a4)の酸解離性溶解抑制基が、鎖状、分岐状、又は環状の炭素数1〜15のアルキルオキシメチル基であることを特徴とする請求項4に記載のホトレジスト組成物。
- 前記R2が、鎖状、分岐状、又は環状の炭素数1〜15のアルキルオキシメチル基又は第3級アルキル基であることを特徴とする請求項6記載のホトレジスト組成物。
- 前記溶解抑止剤(C)の添加量が、前記重合体(A)100重量部に対して、2〜30重量部であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のホトレジスト組成物。
- 添加成分としてさらにアミン類を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のホトレジスト組成物。
- 請求項1〜10のいずれかのホトレジスト組成物を基板上に塗布して、レジスト膜を形成し、選択的露光、露光後加熱、及び現像を施し、レジストパターンを形成する方法。
- 光源がF2エキシマレーザーである請求項11記載のレジストパターンを形成する方法。
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