JP2004353697A - ボールねじ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ボールをすくい上げるときに発生する騒音や振動を低減して耐久性および作動性の向上を図ることのできるボールねじ装置を提供する。
【解決手段】ボール循環チューブ17の両端部をボールねじ溝13,14のリード角方向に沿って折り曲げるとともに、ボール循環チューブ17の両端部の一部21をナット12の軸方向に対して直角な角度で加工する。
【選択図】 図4
【解決手段】ボール循環チューブ17の両端部をボールねじ溝13,14のリード角方向に沿って折り曲げるとともに、ボール循環チューブ17の両端部の一部21をナット12の軸方向に対して直角な角度で加工する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械等においてモータなどの回転運動を直線運動に変換する機構部として用いられるボールねじに関し、特に、ボールを循環させるボール循環部材としてボール循環チューブを用いたボールねじに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、チューブ式と称されるボールねじ装置は、ねじ軸と、このねじ軸に外嵌された円筒状のナットとを備えており、ねじ軸またはナットの一方を軸芯回りに回転させると、ナットに組み込まれた多数のボールがねじ軸の外周面とナットの内周面に相対向して形成されたボールねじ溝間を転動するようになっている。また、この種のボールねじ装置はねじ軸とナットの両ボールねじ溝間に形成された螺旋状ボール転動路との間でボールを循環させるU字状のボール循環チューブを備えており、螺旋状ボール転動路を転動するボールはボール循環チューブの端部に設けられたタング部によってねじ軸と垂直な方向にすくい上げられるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなボールねじ装置は、1つのナットに複数のボール循環回路を形成できるため、定格負荷容量を高めることができるが、次のような問題点を有していた。すなわち、上述した従来のボールねじ装置では、ボール転動路を転動するボールの進行方向とすくい上げ方向とがボールねじ溝のリード角分だけずれているため、ボール転動路を転動するボールがすくい上げられるときにボール循環チューブのタング部と衝突する。このため、騒音や振動などが発生し、ボールねじ装置の作動性や耐久性を低下させることがあった。また、ボールの公転速度によってはボール循環チューブのタング部が疲労破壊を起こすことから、ボールの最高公転速度が制限されるという問題もあった。さらに、ボール転動路を転動するボールがボール循環チューブのタング部に衝突することによって、ボールに付着しているグリース等の潤滑剤が微粒子状の発塵物質となって飛散するため、ボールねじ装置の周辺環境が発塵物質によって汚染される可能性があった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、ボールをすくい上げるときに発生する騒音や振動を低減して耐久性および作動性の向上を図ることのできるボールねじ装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、外周面に螺旋状のボールねじ溝を有するねじ軸と、前記ボールねじ溝に対向する螺旋状のボールねじ溝を有するナットと、前記ねじ軸とナットの前記ボールねじ溝間を転動する多数のボールと、前記ボールねじ溝間に形成された螺旋状ボール転動路との間で前記ボールを循環させるためのU字状ボール循環チューブとを備え、前記ボール循環チューブの両端部を前記ナットに形成されたボール循環穴に挿入して前記ボールを循環させるようにしたボールねじ装置において、前記ボール循環チューブの両端部を前記ボールねじ溝のリード角方向に沿って折り曲げ、かつ前記ボール循環チューブの両端部の一部を前記ナットの軸方向に対して直角な角度で加工して前記ボール循環チューブの両端部を前記ボール循環穴に容易に挿入可能としたことを特徴とする。
【0005】
このような構成によると、螺旋状ボール転動路を転動するボールがボールねじ溝のリード角に沿う方向にすくい上げられ、ねじ軸と垂直な方向にボールをすくい上げた場合と比較してボール循環チューブの端部に衝突するボールの衝突力が軽減されるので、ボールをすくい上げるときに発生する騒音や振動を低減してボールねじ装置の耐久性および作動性の向上を図ることができる。
【0006】
この場合、請求項2記載の発明のように、前記ボール循環チューブのボールすくい上げ角度をほぼ0°としてもよい。また、請求項3記載の発明のように、各ボールの間に樹脂製スペーサを介在させると、ボール同士の衝突が樹脂製スペーサによって抑制されるので、ボール同士の衝突に起因する騒音の発生やボールの損傷等を防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図4は本発明の第1の実施形態を示す図で、図1は本発明の第1の実施形態に係るボールねじ装置の軸方向断面図である。同図に示されるように、本発明の第1の実施形態に係るボールねじ装置10は、断面が円形のねじ軸11と、このねじ軸11に外嵌された円筒状のナット12とを備えており、ねじ軸11の外周面には螺旋状のボールねじ溝13が形成されている。このボールねじ溝13はナット12の内周面に形成された螺旋状のボールねじ溝14と対向しており、ねじ軸11またはナット12の一方が軸芯回りに回転すると、ナット12に組み込まれた多数のボール15がボールねじ溝13,14間を転動するようになっている。
【0008】
また、ボールねじ装置10はボールねじ溝13,14間に形成された螺旋状ボール転動路16との間でボール15を循環させるU字状のボール循環チューブ17を備えている。このボール循環チューブ17の両端部はナット12に形成された二つのボール循環穴18にそれぞれ挿入されており、螺旋状ボール転動路16を転動するボール15はボール循環チューブ17の端部により所定方向にすくい上げられるようになっている。さらに、ボールねじ装置10は円盤状に樹脂成形された多数のスペーサ19を備えており、これらのスペーサ19は各ボール15の間に配置されている。なお、ボール循環チューブ17は例えば金属パイプをほぼU字状に曲げ加工して形成されている。
【0009】
図2はスペーサ19の断面図であり、同図に示されるように、スペーサ19の両端面には凹状のボール接触面20が形成されている。このボール接触面20の断面は二つの円弧20a,20bをゴシックアーチ状に組み合わせた形状となっており、各ボール15はボール接触面20の円弧20a,20bと線接触するようになっている。なお、スペーサ20の中心部には、グリース等の潤滑剤を溜めておくための貫通孔21が形成されている。
【0010】
図3は図1に示すボールねじ装置の要部を示す図であり、同図に示されるように、ボール循環チューブ17の両端部はボールねじ溝13,14のリード角α方向に沿って折り曲げられている。
図4はボール循環チューブ17の両端部とボール循環孔18との嵌合関係を模式的に示す図であり、同図に示されるように、ボール循環チューブ17の両端部には加工部21が設けられている。この加工部21はボール循環チューブ17の両端部の一部をナット12の軸方向に対して直角な方向で削り加工して形成されており、ボール循環孔18と嵌合するようになっている。
【0011】
図5はボール循環チューブ17のボールすくい上げ角度を示す図であり、(a)はボール循環チューブ17のボールすくい上げ角度βがβ>0°の場合を示している。また、(b)はボール循環チューブ17のボールすくい上げ角度βがβ=0°の場合を示しており、本実施形態では、ボール循環チューブ17のボールすくい上げ角度βがほぼ0°となっている。
【0012】
上述のように、ボール循環チューブ17の両端部をボールねじ溝13,14のリード角α方向に沿って折り曲げると、螺旋状ボール転動路16を転動するボール15がボールねじ溝13のリード角αに沿う方向にすくい上げられ、ねじ軸11と垂直な方向にボール15をすくい上げた場合と比較してボール循環チューブ17の端部に衝突するボール15の衝突力が軽減される。したがって、ボール15をすくい上げるときに発生する騒音や振動を低減してボールねじ装置の耐久性および作動性の向上を図ることができる。
【0013】
また、ボール15との衝突によりボール循環チューブ17の端部が疲労破壊を起こすこともないので、ボール15の公転速度がボール循環チューブ17の強度によって制限されることもない。さらに、螺旋状ボール転動路16を転動するボール15がボール循環チューブ17の端部に衝突することによって、ボール15に付着しているグリース等の潤滑剤が微粒子状の発塵物質となって飛散することもない。
【0014】
また、上述した第1の実施形態のように、ボール循環チューブ17の両端部の一部をナット12の軸方向に対して直角な角度で加工した加工部21を設けたことにより、両端部が加工されていないボール循環チューブ22(図9参照)と比較して、ボール循環チューブ17の両端部をボール循環穴18内に挿入し易くなるので、ボールねじ装置の組立を容易に行うことができる。なお、図9に示すボール循環チューブ22は、その両端部がボールねじ溝のリード方向に沿って折り曲げられているため、図10に示す従来のボール循環チューブ23と比較して、ボールをタング部に衝突させずにすくい上げることができるが、ボール循環チューブの両端部の一部がボール循環穴18と嵌合するように加工されていないため、ナット12のボール循環穴18内にボール循環チューブ17の両端部を容易に挿入できないという難点を有している。
【0015】
また、上述した第1の実施形態のように、各ボール15の間に樹脂製スペーサ19を設けることにより、ボール同士の衝突がスペーサ19によって抑制されるので、ボール同士の衝突に起因する騒音の発生やボール15の損傷等を防止することができる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上述した第1の実施形態では金属パイプをU字状に曲げ加工してボール循環チューブ17を形成したが、図6及び図7に示す第2の実施形態のように、ボール循環チューブ17を半円形にプレス加工された二つのプレス成形部材24,24から形成しても良い。また、第1の実施形態では加工部21を削り加工で形成したが、図6及び図7に示す第2の実施形態のように、加工部21をプレス加工で形成しても良い。また、第1及び第2の実施形態では両端にタング部を持たないボール循環チューブ17を使用したが、図8に示す第3の実施形態のように、両端にタング部17aを有するボール循環チューブ17を使用してもよい。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、螺旋状ボール転動路を転動するボールがボールねじ溝のリード角に沿う方向にすくい上げられ、ねじ軸と垂直な方向にボールをすくい上げた場合と比較してボール循環チューブの端部に衝突するボールの衝突力が軽減されるので、ボールをすくい上げるときに発生する騒音や振動を低減してボールねじ装置の耐久性および作動性の向上を図ることができる。また、ボールとの衝突によりボール循環チューブの端部が疲労破壊を起こすこともないので、ボールの公転速度がボール循環チューブの強度によって制限されることもない。さらに、螺旋状ボール転動路を転動するボールがボール循環チューブの端部に衝突することによって、ボールに付着しているグリース等の潤滑剤が微粒子状の発塵物質となって飛散することもない。更に、ボール循環チューブの両端部をボール循環穴に容易に挿入可能である。
【0017】
請求項2の発明によれば、ボール循環チューブのボールすくい上げ角度をほぼ0°としたことで、ねじ軸側ボールねじ溝とナット側ボール溝とで形成された螺旋状ボール転動路とボール循環チューブとの繋ぎ目部でボールをよりスムーズに転動させることが可能となるので、ボールねじ装置の耐久性および作動性をより向上させることができる。
請求項3の発明によれば、ボール同士の衝突が樹脂製スペーサによって抑制されるので、上述した効果に加え、ボール同士の衝突に起因する騒音の発生やボールの損傷等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るボールねじ装置の軸方向断面図である。
【図2】図1に示されるスペーサの断面図である。
【図3】図1に示すボールねじ装置の要部を示す図である。
【図4】図1に示されるボール循環チューブの両端部とボール循環孔との嵌合関係を模式的に示す図である。
【図5】ボール循環チューブのボールすくい上げ角度βがβ>0°の場合とβ=0°の場合を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るボールねじ装置の要部を示す図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う矢視断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るボールねじ装置の要部を示す図である。
【図9】ボールねじ装置のボール循環チューブを示す図である。
【図10】従来のボールねじ装置のボール循環チューブを示す図である。
【符号の説明】
11 ねじ軸
12 ナット
13,14 ボールねじ溝
15 ボール
16 螺旋状ボール転動路
17 ボール循環チューブ
18 ボール循環穴
19 スペーサ
21 加工部
【発明の属する技術分野】
本発明は、工作機械等においてモータなどの回転運動を直線運動に変換する機構部として用いられるボールねじに関し、特に、ボールを循環させるボール循環部材としてボール循環チューブを用いたボールねじに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、チューブ式と称されるボールねじ装置は、ねじ軸と、このねじ軸に外嵌された円筒状のナットとを備えており、ねじ軸またはナットの一方を軸芯回りに回転させると、ナットに組み込まれた多数のボールがねじ軸の外周面とナットの内周面に相対向して形成されたボールねじ溝間を転動するようになっている。また、この種のボールねじ装置はねじ軸とナットの両ボールねじ溝間に形成された螺旋状ボール転動路との間でボールを循環させるU字状のボール循環チューブを備えており、螺旋状ボール転動路を転動するボールはボール循環チューブの端部に設けられたタング部によってねじ軸と垂直な方向にすくい上げられるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなボールねじ装置は、1つのナットに複数のボール循環回路を形成できるため、定格負荷容量を高めることができるが、次のような問題点を有していた。すなわち、上述した従来のボールねじ装置では、ボール転動路を転動するボールの進行方向とすくい上げ方向とがボールねじ溝のリード角分だけずれているため、ボール転動路を転動するボールがすくい上げられるときにボール循環チューブのタング部と衝突する。このため、騒音や振動などが発生し、ボールねじ装置の作動性や耐久性を低下させることがあった。また、ボールの公転速度によってはボール循環チューブのタング部が疲労破壊を起こすことから、ボールの最高公転速度が制限されるという問題もあった。さらに、ボール転動路を転動するボールがボール循環チューブのタング部に衝突することによって、ボールに付着しているグリース等の潤滑剤が微粒子状の発塵物質となって飛散するため、ボールねじ装置の周辺環境が発塵物質によって汚染される可能性があった。
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、ボールをすくい上げるときに発生する騒音や振動を低減して耐久性および作動性の向上を図ることのできるボールねじ装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、外周面に螺旋状のボールねじ溝を有するねじ軸と、前記ボールねじ溝に対向する螺旋状のボールねじ溝を有するナットと、前記ねじ軸とナットの前記ボールねじ溝間を転動する多数のボールと、前記ボールねじ溝間に形成された螺旋状ボール転動路との間で前記ボールを循環させるためのU字状ボール循環チューブとを備え、前記ボール循環チューブの両端部を前記ナットに形成されたボール循環穴に挿入して前記ボールを循環させるようにしたボールねじ装置において、前記ボール循環チューブの両端部を前記ボールねじ溝のリード角方向に沿って折り曲げ、かつ前記ボール循環チューブの両端部の一部を前記ナットの軸方向に対して直角な角度で加工して前記ボール循環チューブの両端部を前記ボール循環穴に容易に挿入可能としたことを特徴とする。
【0005】
このような構成によると、螺旋状ボール転動路を転動するボールがボールねじ溝のリード角に沿う方向にすくい上げられ、ねじ軸と垂直な方向にボールをすくい上げた場合と比較してボール循環チューブの端部に衝突するボールの衝突力が軽減されるので、ボールをすくい上げるときに発生する騒音や振動を低減してボールねじ装置の耐久性および作動性の向上を図ることができる。
【0006】
この場合、請求項2記載の発明のように、前記ボール循環チューブのボールすくい上げ角度をほぼ0°としてもよい。また、請求項3記載の発明のように、各ボールの間に樹脂製スペーサを介在させると、ボール同士の衝突が樹脂製スペーサによって抑制されるので、ボール同士の衝突に起因する騒音の発生やボールの損傷等を防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図4は本発明の第1の実施形態を示す図で、図1は本発明の第1の実施形態に係るボールねじ装置の軸方向断面図である。同図に示されるように、本発明の第1の実施形態に係るボールねじ装置10は、断面が円形のねじ軸11と、このねじ軸11に外嵌された円筒状のナット12とを備えており、ねじ軸11の外周面には螺旋状のボールねじ溝13が形成されている。このボールねじ溝13はナット12の内周面に形成された螺旋状のボールねじ溝14と対向しており、ねじ軸11またはナット12の一方が軸芯回りに回転すると、ナット12に組み込まれた多数のボール15がボールねじ溝13,14間を転動するようになっている。
【0008】
また、ボールねじ装置10はボールねじ溝13,14間に形成された螺旋状ボール転動路16との間でボール15を循環させるU字状のボール循環チューブ17を備えている。このボール循環チューブ17の両端部はナット12に形成された二つのボール循環穴18にそれぞれ挿入されており、螺旋状ボール転動路16を転動するボール15はボール循環チューブ17の端部により所定方向にすくい上げられるようになっている。さらに、ボールねじ装置10は円盤状に樹脂成形された多数のスペーサ19を備えており、これらのスペーサ19は各ボール15の間に配置されている。なお、ボール循環チューブ17は例えば金属パイプをほぼU字状に曲げ加工して形成されている。
【0009】
図2はスペーサ19の断面図であり、同図に示されるように、スペーサ19の両端面には凹状のボール接触面20が形成されている。このボール接触面20の断面は二つの円弧20a,20bをゴシックアーチ状に組み合わせた形状となっており、各ボール15はボール接触面20の円弧20a,20bと線接触するようになっている。なお、スペーサ20の中心部には、グリース等の潤滑剤を溜めておくための貫通孔21が形成されている。
【0010】
図3は図1に示すボールねじ装置の要部を示す図であり、同図に示されるように、ボール循環チューブ17の両端部はボールねじ溝13,14のリード角α方向に沿って折り曲げられている。
図4はボール循環チューブ17の両端部とボール循環孔18との嵌合関係を模式的に示す図であり、同図に示されるように、ボール循環チューブ17の両端部には加工部21が設けられている。この加工部21はボール循環チューブ17の両端部の一部をナット12の軸方向に対して直角な方向で削り加工して形成されており、ボール循環孔18と嵌合するようになっている。
【0011】
図5はボール循環チューブ17のボールすくい上げ角度を示す図であり、(a)はボール循環チューブ17のボールすくい上げ角度βがβ>0°の場合を示している。また、(b)はボール循環チューブ17のボールすくい上げ角度βがβ=0°の場合を示しており、本実施形態では、ボール循環チューブ17のボールすくい上げ角度βがほぼ0°となっている。
【0012】
上述のように、ボール循環チューブ17の両端部をボールねじ溝13,14のリード角α方向に沿って折り曲げると、螺旋状ボール転動路16を転動するボール15がボールねじ溝13のリード角αに沿う方向にすくい上げられ、ねじ軸11と垂直な方向にボール15をすくい上げた場合と比較してボール循環チューブ17の端部に衝突するボール15の衝突力が軽減される。したがって、ボール15をすくい上げるときに発生する騒音や振動を低減してボールねじ装置の耐久性および作動性の向上を図ることができる。
【0013】
また、ボール15との衝突によりボール循環チューブ17の端部が疲労破壊を起こすこともないので、ボール15の公転速度がボール循環チューブ17の強度によって制限されることもない。さらに、螺旋状ボール転動路16を転動するボール15がボール循環チューブ17の端部に衝突することによって、ボール15に付着しているグリース等の潤滑剤が微粒子状の発塵物質となって飛散することもない。
【0014】
また、上述した第1の実施形態のように、ボール循環チューブ17の両端部の一部をナット12の軸方向に対して直角な角度で加工した加工部21を設けたことにより、両端部が加工されていないボール循環チューブ22(図9参照)と比較して、ボール循環チューブ17の両端部をボール循環穴18内に挿入し易くなるので、ボールねじ装置の組立を容易に行うことができる。なお、図9に示すボール循環チューブ22は、その両端部がボールねじ溝のリード方向に沿って折り曲げられているため、図10に示す従来のボール循環チューブ23と比較して、ボールをタング部に衝突させずにすくい上げることができるが、ボール循環チューブの両端部の一部がボール循環穴18と嵌合するように加工されていないため、ナット12のボール循環穴18内にボール循環チューブ17の両端部を容易に挿入できないという難点を有している。
【0015】
また、上述した第1の実施形態のように、各ボール15の間に樹脂製スペーサ19を設けることにより、ボール同士の衝突がスペーサ19によって抑制されるので、ボール同士の衝突に起因する騒音の発生やボール15の損傷等を防止することができる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上述した第1の実施形態では金属パイプをU字状に曲げ加工してボール循環チューブ17を形成したが、図6及び図7に示す第2の実施形態のように、ボール循環チューブ17を半円形にプレス加工された二つのプレス成形部材24,24から形成しても良い。また、第1の実施形態では加工部21を削り加工で形成したが、図6及び図7に示す第2の実施形態のように、加工部21をプレス加工で形成しても良い。また、第1及び第2の実施形態では両端にタング部を持たないボール循環チューブ17を使用したが、図8に示す第3の実施形態のように、両端にタング部17aを有するボール循環チューブ17を使用してもよい。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、螺旋状ボール転動路を転動するボールがボールねじ溝のリード角に沿う方向にすくい上げられ、ねじ軸と垂直な方向にボールをすくい上げた場合と比較してボール循環チューブの端部に衝突するボールの衝突力が軽減されるので、ボールをすくい上げるときに発生する騒音や振動を低減してボールねじ装置の耐久性および作動性の向上を図ることができる。また、ボールとの衝突によりボール循環チューブの端部が疲労破壊を起こすこともないので、ボールの公転速度がボール循環チューブの強度によって制限されることもない。さらに、螺旋状ボール転動路を転動するボールがボール循環チューブの端部に衝突することによって、ボールに付着しているグリース等の潤滑剤が微粒子状の発塵物質となって飛散することもない。更に、ボール循環チューブの両端部をボール循環穴に容易に挿入可能である。
【0017】
請求項2の発明によれば、ボール循環チューブのボールすくい上げ角度をほぼ0°としたことで、ねじ軸側ボールねじ溝とナット側ボール溝とで形成された螺旋状ボール転動路とボール循環チューブとの繋ぎ目部でボールをよりスムーズに転動させることが可能となるので、ボールねじ装置の耐久性および作動性をより向上させることができる。
請求項3の発明によれば、ボール同士の衝突が樹脂製スペーサによって抑制されるので、上述した効果に加え、ボール同士の衝突に起因する騒音の発生やボールの損傷等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るボールねじ装置の軸方向断面図である。
【図2】図1に示されるスペーサの断面図である。
【図3】図1に示すボールねじ装置の要部を示す図である。
【図4】図1に示されるボール循環チューブの両端部とボール循環孔との嵌合関係を模式的に示す図である。
【図5】ボール循環チューブのボールすくい上げ角度βがβ>0°の場合とβ=0°の場合を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るボールねじ装置の要部を示す図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う矢視断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るボールねじ装置の要部を示す図である。
【図9】ボールねじ装置のボール循環チューブを示す図である。
【図10】従来のボールねじ装置のボール循環チューブを示す図である。
【符号の説明】
11 ねじ軸
12 ナット
13,14 ボールねじ溝
15 ボール
16 螺旋状ボール転動路
17 ボール循環チューブ
18 ボール循環穴
19 スペーサ
21 加工部
Claims (3)
- 外周面に螺旋状のボールねじ溝を有するねじ軸と、前記ボールねじ溝に対向する螺旋状のボールねじ溝を有するナットと、前記ねじ軸とナットの前記ボールねじ溝間を転動する多数のボールと、前記ボールねじ溝間に形成された螺旋状ボール転動路との間で前記ボールを循環させるためのU字状ボール循環チューブとを備え、前記ボール循環チューブの両端部を前記ナットに形成されたボール循環穴に挿入して前記ボールを循環させるようにしたボールねじ装置において、
前記ボール循環チューブの両端部を前記ボールねじ溝のリード角方向に沿って折り曲げ、かつ前記ボール循環チューブの両端部の一部を前記ナットの軸方向に対して直角な角度で加工して前記ボール循環チューブの両端部を前記ボール循環穴に容易に挿入可能としたことを特徴とするボールねじ装置。 - 前記ボール循環チューブのボールすくい上げ角度をほぼ0°としたことを特徴とする請求項1記載のボールねじ装置。
- 前記各ボールの間に樹脂製スペーサを介在させたことを特徴とする請求項1又は2記載のボールねじ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003149015A JP2004353697A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | ボールねじ装置 |
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Cited By (2)
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-
2003
- 2003-05-27 JP JP2003149015A patent/JP2004353697A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007126084A1 (ja) * | 2006-04-28 | 2007-11-08 | Thk Co., Ltd. | ねじ装置及びその製造方法 |
US8132479B2 (en) | 2006-04-28 | 2012-03-13 | Thk Co., Ltd. | Screw device and method of manufacturing the same |
JP2012112432A (ja) * | 2010-11-24 | 2012-06-14 | Nsk Ltd | リターンチューブ及びその製造方法、並びにボールねじ |
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