JP2004347066A - 車両の制御装置および制御方法 - Google Patents

車両の制御装置および制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガレージシフト時にバックラッシュが詰まることによるガタ詰めショックを発生させない。
【解決手段】自動変速機の制御方法は、ガレージシフト変速要求があると(S100にてYES)、前操作を読出すステップ(S102)と、AT油温を検知するステップ(S104)と、前操作とAT油温とに基づいてバックラッシュがあると判断されると(S106にてYES)、ガタ詰め制御を行なうステップ(S110)と、予め定められた時間が経過するまでにブレーキオフされないと(S114にてNO)、ガタ詰め制御を継続して行ないその後予め定められた時間が経過すると(S112にてYES)、要求されたガレージシフト変速処理を行なうステップ(S118)とを含む。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機の制御技術に関し、特に、ガレージシフト時のショックを防止する制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載される自動変速機の中には、トルクコンバータなどの流体継手と遊星歯車式減速機構とから構成される有段式の自動変速機や、油圧によって有効径を変化させる2つのプーリとそれらプーリに巻き掛けらた金属ベルトとから構成される無段式の自動変速機がある。
【0003】
有段式の自動変速機は、エンジンと、トルクコンバータ等の流体継手を介して接続される。有段式の自動変速機は、複数の動力伝達経路を有してなる変速機構(遊星歯車式減速機構)から構成され、たとえば、アクセル開度および車速に基づいて自動的に動力伝達経路の切換えを行なう、すなわち自動的に変速比(走行速度段)の切換えを行なうように構成される。有段式の自動変速機においては、摩擦要素である、クラッチ要素やブレーキ要素やワンウェイクラッチ要素が、所定の状態に係合および解放されることにより、ギヤ段が決定される。
【0004】
無段式の自動変速機も、エンジンとトルクコンバータ等の流体継手を介して接続される。たとえばベルト式無段変速機は、金属ベルトと一対のプーリとを用いて、油圧によってプーリの有効径を変化させることで連続的に無段の変速を実現する。詳しくは、無端金属ベルトが、入力軸に取付けられた入力側プーリおよび出力軸に取付けられた出力側プーリに巻き掛けられて使用される。入力側プーリおよび出力側プーリは、溝幅を無段階に変えられる1対のシーブをそれぞれ備え、溝幅を変えることで、無端金属ベルトの入力側プーリおよび出力側プーリに対する巻付け半径が変わり、これにより入力軸と出力軸との間の回転数比、すなわち変速比を連続的に無段階に変化させることができる。
【0005】
このようないずれのタイプの自動変速機においても、一般的に、自動変速機を有した車両には運転者により操作されるシフトレバーが設けられ、シフトレバー操作に基づいて変速ポジション(たとえば、後進走行ポジション、ニュートラルポジション、前進走行ポジション)が設定されている。
【0006】
このような構成を有する自動変速機を搭載した車両が、道路走行前の車庫出しや道路走行後の車庫入れ等のために、パーキング(P)ポジションから後進走行のための後進走行(R)ポジション、あるいはニュートラル(N)ポジションから走行のための前進走行(D)ポジションまたは後進走行(R)ポジションへのシフト、いわゆるガレージシフトが行なわれる。
【0007】
ところで、車両に搭載されて駆動系を構成する自動変速機や差動装置(デファレンシャルギヤ)や、四輪駆動車の場合には4駆用のトランスファ(副変速機)を構成する機械部品である、歯車やスプラインには、それらの寸法公差に基づくバックラッシュが必ず発生する。このようなバックラッシュが詰まるときに打音が発生する場合がある。
【0008】
特開2002−89681号公報(特許文献1)は、複数の摩擦要素のうち第1の摩擦要素を作動油圧の上昇により締結させるとともに、第1の摩擦要素の作動油圧に係わる圧力信号を受けて設定時間後に第2の摩擦要素を作動油圧の低下により解放させる、摩擦要素の掛け替え(いわゆるクラッチtoクラッチ変速)により行なう変速動作において、突き上げショックや自動変速機の歯車変速機構における歯車間のバックラッシュ打音の発生を避ける変速制御装置を開示する。この変速制御装置は、複数の摩擦要素のうち第1の摩擦要素を作動油圧の上昇により締結させるとともに、第1の摩擦要素の作動油圧に係わる圧力信号を受けて設定時間後に第2の摩擦要素を作動油圧の低下により解放させ、これら第1および第2の摩擦要素の掛け替えにより行なう変速を有し、この掛け替えに際しては第1の摩擦要素のロスストローク終了が検知された後、第2の摩擦要素に係わる作動油圧を設定勾配で低下させるとともに第1の摩擦要素に係わる作動油圧を所定勾配で上昇させるようにした自動変速機において、ロスストローク終了を検知する際の油圧を、実際のロスストローク終了時の作動油圧よりもわずかに大きく設定する。
【0009】
この変速制御装置によると、複数の摩擦要素のうち第1の摩擦要素(締結側摩擦要素)を作動油圧の上昇により締結させるとともに、この締結側摩擦要素の作動油圧に係わる圧力信号を受けて設定時間後に第2の摩擦要素(解放側摩擦要素)を作動油圧の低下により解放させて行なう自動変速機の掛け替え変速に際しては、締結側摩擦要素が作動油圧の上昇によりロスストロークを終了したのを検知した後、解放側摩擦要素に係わる作動油圧を設定勾配で低下させるとともに締結側摩擦要素に係わる作動油圧を所定勾配で上昇させることにより掛け替え変速を進行させる。ロスストローク終了を検知する際の油圧を、実際のロスストローク終了時の作動油圧よりもわずかに大きく設定しているため、締結側摩擦要素および解放側摩擦要素それぞれの締結容量が小さい状態から油圧制御を行なうこととなる。それゆえ、トルクフェーズにおける大きなトルク引き込みや、長い引き時間の発生を防ぐことができ、それによって変速機出力トルクゼロクロスおよび、その直後の大きな突き上げショックや、また自動変速機の歯車変速機構における歯車間のバックラッシュ打音の発生を避けることが可能となる。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−89681号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示された変速制御装置においては、クラッチtoクラッチ変速を前提として、歯車の歯のすきまが詰まるときに打音が発生するように片寄っていてバックラッシュが実際に発生しているか否かにかかわらず、制御が行なわれる。また、クラッチtoクラッチ変速を含む自動変速機の変速には作動油が用いられる。この作動油は温度によりその粘性が大きく異なる特性を有する。そのため、油温によっても打音の発生の有無が左右されるが、特許文献1においてはこのような点が考慮されていない。すなわち、特許文献1に開示された変速制御装置においてはクラッチtoクラッチ変速を前提としたものであって、クラッチtoクラッチ変速を含み、さらにクラッチtoクラッチ変速に限定されない変速動作において適用されるものではない。
【0012】
上述したように、ガレージシフト時においては、所定のポジションを形成するように特定のクラッチを係合状態にしたり解放状態にしたりする(このときクラッチtoクラッチ変速ではない)。たとえば、後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションにして、その後続けてニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションにする場合がある。このような場合、後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションにするときには、自動変速機内の特定のクラッチ(C3)を係合状態から解放状態に変更する。ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションにするときには、自動変速機内の特定のクラッチ(C1)を解放状態から係合状態に変更する。
【0013】
このような状態において、先に行なわれた、後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションに変速されたときに、作動油の油温が高い場合にはその粘性が低く作動油が移動し易いので自動変速機を構成するたとえば遊星歯車の歯のすきまが後進走行状態が終了したそのままの状態(すなわち、バックラッシュが片寄った位置の状態)になる。この状態から次に行なわれるニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションにされると、後進走行(R)ポジションの状態から歯車が逆の方向に動くので、その片寄った状態が逆の状態になる。すなわち、ニュートラル(N)状態を境にして、歯車機構におけるバックラッシュの位置が急激に変化して、歯面どうしが衝撃的に当たる打音、それに伴うショックといった、いわゆるガタ詰めショックが生じて、運転者に不快感を与えてしまう。このような問題は、クラッチtoクラッチ変速を前提とした特許文献1に開示された変速制御装置を用いて解決できるものではない。
【0014】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、クラッチtoクラッチ変速に限定されないで適用されるものであって、その目的は、ガレージシフト時などにおいて、変速時間を極力長引かせないようにして、バックラッシュの詰まり状態に応じて自動変速機を制御することにより、ガタ詰めショックによる運転者に不快感を与えない、自動変速機の制御装置および制御方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に係る車両の制御装置は、自動変速機を搭載した車両を制御する。この制御装置は、車両が停止状態から走行状態への変速動作を検出するための検出手段と、車両の駆動系を構成する機械部品のバックラッシュの状態を検知するための検知手段と、変速動作を自動変速機に実行させるときに、バックラッシュの状態に基づいて、自動変速機の作動油の油圧を制御するための制御手段とを含む。
【0016】
第1の発明によると、検出手段は、ガレージシフトのようにニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへの変速動作を検出すると、検知手段がバックラッシュの状態を検知する。このとき、検知手段は、ガレージシフトされる前の変速動作(ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへガレージシフトする前の変速動作)が、後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションへの変速動作であると、車両の走行方向が逆方向になる変速動作であることを検知して、これに基づいて、バックラッシュの状態を検知したり、自動変速機の作動油の油温に基づいてバックラッシュの状態を検知したりする。車両の走行状態が逆になる場合において、作動油の油温が高く作動油の粘性が低い場合にはバックラッシュの状態は自動変速機内のクラッチに引き摺られないため、ニュートラル(N)ポジションであっても後進走行(R)ポジション側に片寄ったままの状態になり、車両の走行方向が逆になるとバックラッシュによるガタ詰めショックが発生する状態になる。すなわち、この状態で、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションにガレージシフトされると、歯車機構におけるバックラッシュの位置が急激に変化して、歯面どうしが衝撃的に当たるガタ詰めショックが生じてしまう。このため、制御手段は、このようなバックラッシュの状態である場合には、前進走行(D)ポジションを形成するための摩擦要素を係合させる作動油の油圧を低くしたり、最初低くして次に高くしたり、最初低くして次に徐々に高くしたりして、摩擦要素を緩やかに係合させてバックラッシュによるガタ詰めショックを防止する。このようにすると、バックラッシュが発生している状態で、車両の走行方向が逆になるような変速を行なっても、急にバックラッシュの位置が変化することはなくガタ詰めショックが生じない。このような油圧制御を実行するとガレージシフトに要する時間が長くなるが、バックラッシュの状態を検知してガタ詰めショックが生じる場合に限定して、このような油圧制御を行なうので、毎回ガレージシフトするときに変速時間が長引くわけではない。その結果、ガレージシフト時に、変速時間を極力長引かせないようにして、バックラッシュの詰まり状態に応じて自動変速機を制御することにより、ガタ詰めショックによる運転者に不快感を与えない、自動変速機の制御装置を提供することができる。
【0017】
第2の発明に係る車両の制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、検知手段は、変速動作に先立って行なわれた変速動作に基づいて、バックラッシュの状態を検知するための手段を含む。
【0018】
第2の発明によると、検知手段は、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへガレージシフトする前の変速が、後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションである場合には、車両の走行方向が逆方向になる変速動作であるので、バックラッシュの状態は、ガタ詰めショックが発生する状態であることを検知することができる。
【0019】
第3の発明に係る車両の制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、検知手段は、作動油の油温に基づいて、バックラッシュの状態を検知するための手段を含む。
【0020】
第3の発明によると、作動油の油温が低いと作動油の粘性が高く、作動油が粘り、ガレージシフトされる前にガタが詰まりやすく、作動油の油温が高いと作動油の粘性が低く、自動変速機のクラッチに引き摺られなく、ガレージシフトされる前にガタは詰まりにくい。すなわち、作動油の油温が高いとガレージシフトされる前にガタが詰まっていない状態であり、バックラッシュの状態は、ガタ詰めショックが発生する状態であることを検知することができる。
【0021】
第4の発明に係る車両の制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、検知手段は、変速動作に先立って行なわれた変速動作および作動油の油温に基づいて、バックラッシュの状態を検知するための手段を含む。
【0022】
第4の発明によると、検知手段は、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへガレージシフトする前の変速が、後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションであって、作動油の油温が高い場合には、車両の走行方向が逆方向になる変速動作でありかつ作動油の油温が高いとガレージシフトされる前にガタが詰まっていない状態であるので、バックラッシュの状態は、ガタ詰めショックが発生する状態であることを検知することができる。
【0023】
第5の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜4のいずれかの発明の構成に加えて、制御手段は、バックラッシュが詰まっていない状態であると、自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を下げるように制御するための手段を含む。
【0024】
第5の発明によると、制御手段は、バックラッシュが詰まっていない状態であると、自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を下げて摩擦要素を緩やかに係合させてバックラッシュによるガタ詰めショックを防止する。このようにすると、バックラッシュが発生している状態で、作動油の油温が高い場合にガレージシフトを行なっても、急にバックラッシュの位置が変化することはなくガタ詰めショックが生じにくい。
【0025】
第6の発明に係る車両の制御装置においては、第5の発明の構成に加えて、制御手段は、自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を、予め定められた時間だけ、下げるように制御するための手段を含む。
【0026】
第6の発明によると、ガタ詰めが終わるまでの間だけ、作動油の油圧を下げるようにして、その後は油圧を上げて速やかに変速動作を実行させることができる。このとき、たとえば、最初は小口径のオリフィスを用いて、その後、大口径のオリフィスを用いることなどにより、作動油の油圧を制御できる。
【0027】
第7の発明に係る車両の制御装置は、第5の発明の構成に加えて、エンジン回転数とタービン回転数との差回転を検知するための手段をさらに含む。制御手段は、自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を、差回転が予め定められた値以上になるまで、下げるように制御するための手段を含む。
【0028】
第7の発明によると、エンジン回転数とタービン回転数との差回転が予め定められた値以上になると、前進走行時に係合される必要があるクラッチやブレーキ、または後進走行時に係合される必要があるクラッチやブレーキが、十分に係合していると判断して、ガタ詰めが終了していると判断できる。ガタ詰めが終わると、油圧を上げて速やかに変速動作を実行させることができる。
【0029】
第8の発明に係る車両の制御装置は、第1〜7のいずれかの発明の構成に加えて、ブレーキの状態またはアクセルの状態を検知するための手段と、ブレーキがオフになるかまたはアクセルが踏まれると、制御手段による油圧制御を中止するための手段とをさらに含む。
【0030】
第8の発明によると、ガレージシフト時に、バックラッシュのガタ詰めに起因するショックの発生を防止すべく作動油の油圧を制御しているときに、ブレーキがオフにされたりアクセルが踏まれたりして車両の走行要求が発生すると、制御手段による作動油の油圧を緩やかに上昇させることを中止して作動油の油圧を上昇させてガレージシフトを完了させて速やかに車両が発進できるようにする。このようにすると、運転者の発進要求に速やかに対応することができる。
【0031】
第9の発明に係る車両の制御装置は、第1〜8のいずれかの発明の構成に加えて、エンジン回転数とタービン回転数との差回転の時間変化率を算出するための手段と、時間変化率に基づいて、自動変速機の作動油の油圧の変化を学習制御するための学習制御手段とをさらに含む。
【0032】
第9の発明によると、エンジン回転数とタービン回転数との差回転の時間変化率が予め定められた変化率よりも急過ぎる変化率であると、発進させるためのクラッチを早く係合させ過ぎているので自動変速機の作動油の初期油圧を下げたり、油圧の上昇速度を下げたりする。一方、差回転の時間変化率が予め定められた変化率よりも緩やか過ぎる変化率であると、発進させるためのクラッチを遅く係合させて過ぎているので自動変速機の作動油の初期油圧を上げたり、油圧の上昇速度を上げたりする。このような学習制御を実行して最適な変速制御を行なうようにする。
【0033】
第10の発明に係る車両の制御装置においては、第9の発明の構成に加えて、学習制御手段は、変速動作を開始させる際の作動油の初期作動油圧を変更することにより学習制御するための手段を含む。
【0034】
第10の発明によると、エンジン回転数とタービン回転数との差回転の時間変化率が予め定められた変化率よりも急過ぎる変化率であると、発進させるためのクラッチを早く係合させ過ぎているので自動変速機の作動油の初期油圧を下げる。差回転の時間変化率が予め定められた変化率よりも緩やか過ぎる変化率であると、発進させるためのクラッチを遅く係合させて過ぎているので自動変速機の作動油の初期油圧を上げる。このような学習制御を実行して最適な変速制御を行なうようにする。
【0035】
第11の発明に係る車両の制御方法は、自動変速機を搭載した車両を制御する。この制御方法は、車両が停止状態から走行状態への変速動作を検出する検出ステップと、車両の駆動系を構成する機械部品のバックラッシュの状態を検知する検知ステップと、変速動作を自動変速機に実行させるときに、バックラッシュの状態に基づいて、自動変速機の作動油の油圧を制御する制御ステップとを含む。
【0036】
第11の発明によると、検出ステップにて、ガレージシフトのようにニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへの変速動作を検出すると、検知ステップにてバックラッシュの状態を検知する。このとき、検知ステップは、ガレージシフトされる前の変速動作(ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへガレージシフトする前の変速動作)が、後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションへの変速動作であると、車両の走行方向が逆方向になる変速動作であることを検知して、これに基づいて、バックラッシュの状態を検知したり、自動変速機の作動油の油温に基づいてバックラッシュの状態を検知したりする。車両の走行状態が逆になる場合において、作動油の油温が高く作動油の粘性が低い場合にはバックラッシュの状態は自動変速機内のクラッチに引き摺られないため、ニュートラル(N)ポジションであっても後進走行(R)ポジション側に片寄ったままの状態になり、車両の走行方向が逆になるとバックラッシュによるガタ詰めショックが発生する状態になる。すなわち、この状態で、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションにガレージシフトされると、歯車機構におけるバックラッシュの位置が急激に変化して、歯面どうしが衝撃的に当たるガタ詰めショックが生じてしまう。このため、制御ステップは、このようなバックラッシュの状態である場合には、前進走行(D)ポジションを形成するための摩擦要素を係合させる作動油の油圧を低くしたり、最初低くして次に高くしたり、最初低くして次に徐々に高くしたりして、摩擦要素を緩やかに係合させてバックラッシュによるガタ詰めショックを防止する。このようにすると、バックラッシュが発生している状態で、車両の走行方向が逆になるような変速を行なっても、急にバックラッシュの位置が変化することはなくガタ詰めショックが生じない。このような油圧制御を実行するとガレージシフトに要する時間が長くなるが、バックラッシュの状態を検知してガタ詰めショックが生じる場合に限定して、このような油圧制御を行なうので、毎回ガレージシフトするときに変速時間が長引くわけではない。その結果、ガレージシフト時に、変速時間を極力長引かせないようにして、バックラッシュの詰まり状態に応じて自動変速機を制御することにより、ガタ詰めショックによる運転者に不快感を与えない、自動変速機の制御方法を提供することができる。
【0037】
第12の発明に係る車両の制御方法においては、第11の発明の構成に加えて、検知ステップは、変速動作に先立って行なわれた変速動作に基づいて、バックラッシュの状態を検知するステップを含む。
【0038】
第12の発明によると、検知ステップは、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへガレージシフトする前の変速が、後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションである場合には、車両の走行方向が逆方向になる変速動作であるので、バックラッシュの状態は、ガタ詰めショックが発生する状態であることを検知することができる。
【0039】
第13の発明に係る車両の制御方法においては、第11の発明の構成に加えて、検知ステップは、作動油の油温に基づいて、バックラッシュの状態を検知するステップを含む。
【0040】
第13の発明によると、作動油の油温が低いと作動油の粘性が高く、作動油が粘り、ガレージシフトされる前にガタが詰まりやすく、作動油の油温が高いと作動油の粘性が低く、自動変速機のクラッチに引き摺られなく、ガレージシフトされる前にガタは詰まりにくい。すなわち、作動油の油温が高いとガレージシフトされる前にガタが詰まっていない状態であり、バックラッシュの状態は、ガタ詰めショックが発生する状態であることを検知することができる。
【0041】
第14の発明に係る車両の制御方法においては、第11の発明の構成に加えて、検知ステップは、変速動作に先立って行なわれた変速動作および作動油の油温に基づいて、バックラッシュの状態を検知するステップを含む。
【0042】
第14の発明によると、検知ステップは、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへガレージシフトする前の変速が、後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションであって、作動油の油温が高い場合には、車両の走行方向が逆方向になる変速動作でありかつ作動油の油温が高いとガレージシフトされる前にガタが詰まっていない状態であるので、バックラッシュの状態は、ガタ詰めショックが発生する状態であることを検知することができる。
【0043】
第15の発明に係る車両の制御方法においては、第11〜14のいずれかの発明の構成に加えて、制御ステップは、バックラッシュが詰まっていない状態であると、自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を下げるように制御するステップを含む。
【0044】
第15の発明によると、制御ステップは、バックラッシュが詰まっていない状態であると、自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を下げて摩擦要素を緩やかに係合させてバックラッシュによるガタ詰めショックを防止する。このようにすると、バックラッシュが発生している状態で、作動油の油温が高い場合にガレージシフトを行なっても、急にバックラッシュの位置が変化することはなくガタ詰めショックが生じにくい。
【0045】
第16の発明に係る車両の制御方法においては、第15の発明の構成に加えて、制御ステップは、自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を、予め定められた時間だけ、下げるように制御するステップを含む。
【0046】
第16の発明によると、ガタ詰めが終わるまでの間だけ、作動油の油圧を下げるようにして、その後は油圧を上げて速やかに変速動作を実行させることができる。このとき、たとえば、最初は小口径のオリフィスを用いて、その後、大口径のオリフィスを用いることなどにより、作動油の油圧を制御できる。
【0047】
第17の発明に係る車両の制御方法は、第15の発明の構成に加えて、エンジン回転数とタービン回転数との差回転を検知するステップをさらに含む。制御ステップは、自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を、差回転が予め定められた値以上になるまで、下げるように制御するステップを含む。
【0048】
第17の発明によると、エンジン回転数とタービン回転数との差回転が予め定められた値以上になると、前進走行時に係合される必要があるクラッチやブレーキ、または後進走行時に係合される必要があるクラッチやブレーキが、十分に係合していると判断して、ガタ詰めが終了していると判断できる。ガタ詰めが終わると、油圧を上げて速やかに変速動作を実行させることができる。
【0049】
第18の発明に係る車両の制御方法は、第11〜17のいずれかの発明の構成に加えて、ブレーキの状態またはアクセルの状態を検知するステップと、ブレーキがオフになるかまたはアクセルが踏まれると、制御ステップによる油圧制御を中止するステップとをさらに含む。
【0050】
第18の発明によると、ガレージシフト時に、バックラッシュのガタ詰めに起因するショックの発生を防止すべく作動油の油圧を制御しているときに、ブレーキがオフにされたりアクセルが踏まれたりして車両の走行要求が発生すると、制御ステップによる作動油の油圧を緩やかに上昇させることを中止して作動油の油圧を上昇させてガレージシフトを完了させて速やかに車両が発進できるようにする。このようにすると、運転者の発進要求に速やかに対応することができる。
【0051】
第19の発明に係る車両の制御方法は、第11〜18のいずれかの発明の構成に加えて、エンジン回転数とタービン回転数との差回転の時間変化率を算出するステップと、時間変化率に基づいて、自動変速機の作動油の油圧の変化を学習制御する学習制御ステップとをさらに含む。
【0052】
第19の発明によると、エンジン回転数とタービン回転数との差回転の時間変化率が予め定められた変化率よりも急過ぎる変化率であると、発進させるためのクラッチを早く係合させ過ぎているので自動変速機の作動油の初期油圧を下げたり、油圧の上昇速度を下げたりする。一方、差回転の時間変化率が予め定められた変化率よりも緩やか過ぎる変化率であると、発進させるためのクラッチを遅く係合させて過ぎているので自動変速機の作動油の初期油圧を上げたり、油圧の上昇速度を上げたりする。このような学習制御を実行して最適な変速制御を行なうようにする。
【0053】
第20の発明に係る車両の制御方法においては、第19の発明の構成に加えて、学習制御ステップは、変速動作を開始させる際の作動油の初期作動油圧を変更することにより学習制御するステップを含む、請求項19に記載の車両の制御方法。
【0054】
第20の発明によると、エンジン回転数とタービン回転数との差回転の時間変化率が予め定められた変化率よりも急過ぎる変化率であると、発進させるためのクラッチを早く係合させ過ぎているので自動変速機の作動油の初期油圧を下げる。差回転の時間変化率が予め定められた変化率よりも緩やか過ぎる変化率であると、発進させるためのクラッチを遅く係合させて過ぎているので自動変速機の作動油の初期油圧を上げる。このような学習制御を実行して最適な変速制御を行なうようにする。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0056】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、図1に示すECU(Electronic Control Unit)1000により実現される。本実施の形態では、自動変速機を流体継手としてトルクコンバータを備え、遊星歯車式減速機構を有する自動変速機として説明する。
【0057】
図1を参照して、本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、詳しくは、図1に示すECT(Electronic Controlled Automatic Transmission)_ECU1020により実現される。
【0058】
図1に示すように、この車両のパワートレーンは、エンジン100と、トルクコンバータ200と、自動変速機300と、ECU1000とから構成される。
【0059】
エンジン100の出力軸は、トルクコンバータ200の入力軸に接続される。エンジン100とトルクコンバータ200とは回転軸により連結されている。したがって、エンジン回転数センサ400により検知されるエンジン100の出力軸回転数NE(エンジン回転数NE)とトルクコンバータ200の入力軸回転数(ポンプ回転数)とは同じである。
【0060】
トルクコンバータ200は、入力軸と出力軸とを直結状態にするロックアップクラッチ210と、入力軸側のポンプ羽根車220と、出力軸側のタービン羽根車230と、ワンウェイクラッチ250を有し、トルク増幅機能を発現するステータ240とから構成される。トルクコンバータ200と自動変速機300とは、回転軸により接続される。トルクコンバータ200の出力軸回転数NT(タービン回転数NT)は、タービン回転数センサ410により検知される。自動変速機300の出力軸回転数NOUTは、出力軸回転数センサ420により検知される。
【0061】
図2に自動変速機300の作動表を示す。図2に示す作動表によると、摩擦要素であるクラッチ要素(図中のC1〜C4)や、ブレーキ要素(B1〜B4)、ワンウェイクラッチ要素(F0〜F3)が、どのギヤ段の場合に係合および解放されるかを示している。車両の発進時に使用される1速時には、クラッチ要素(C1)、ワンウェイクラッチ要素(F0、F3)が係合する。これらのクラッチ要素の中で、特に、クラッチ要素C1を入力クラッチ310という。この入力クラッチ310は、前進クラッチやフォワードクラッチとも呼ばれ、図2の作動表に示すように、パーキング(P)ポジション、後進走行(R)ポジション、ニュートラル(N)ポジション以外の、車両が前進するための変速段を構成する際に必ず係合状態で使用される。
【0062】
また、クラッチ要素C3をダイレクトクラッチ312という。図2の作動表に示すように、パーキング(P)ポジション、前進走行(D)ポジション、ニュートラル(N)ポジション以外の、車両が後退するための変速段を構成する際に必ず係合状態で使用される。
【0063】
前進走行(D)ポジションと後進走行(R)ポジションとは、ニュートラル(N)ポジションを経由して切換えられる。このような、前進走行(D)ポジションからニュートラル(N)ポジションを介した後進走行(R)ポジションへの変速、後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションを介した前進走行(D)ポジションへの変速を、ガレージシフトという。
【0064】
これらのパワートレーンを制御するECU1000は、エンジン100を制御するエンジンECU1010と、自動変速機300を制御するECT(Electronic Controlled Automatic Transmission)_ECU1020と、VSC(Vehicle Stability Control)_ECU1030とを含む。
【0065】
ECT_ECU1020には、タービン回転数センサ410からタービン回転数NTを表わす信号が、出力軸回転数センサ420から出力軸回転数NOUTを表わす信号が入力される。また、ECT_ECU1020には、エンジンECU1010から、エンジン回転数センサ400にて検知されたエンジン回転数NEを表わす信号と、スロットルポジションセンサにて検知されたスロットル開度を表わす信号とが入力される。
【0066】
これら回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機300の出力軸に取り付けられた回転検出用ギヤの歯に対向して設けられている。これらの回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機300の出力軸の僅かな回転の検出も可能なセンサであり、たとえば、一般的に半導体式センサと称される磁気抵抗素子を使用したセンサである。
【0067】
さらに、ECT_ECU1020には、VSC_ECU1030から、Gセンサにて検知された車両加速度を表わす信号と、ブレーキがオン状態であることを表わす信号とが入力される。ECT_ECU1020には、自動変速機300の作動油の油温センサからの信号が入力される。また、ECT_ECU1020から、自動変速機300に、入力クラッチ310やダイレクトクラッチ312の係合圧指令信号と、ソレノイド制御信号が出力される。また、図示しないが、ECT_ECU1020から、自動変速機300に設けられた図3に示すオリフィス切換え回路の切換えバルブに切換え制御信号が出力される。
【0068】
図3を参照して、本発明の実施の形態に係るオリフィス切換回路について説明する。図3に示すように、このオリフィス切換回路は、切換バルブがECT_ECU1020から受けた制御信号により大オリフィスが設けられた油路と小オリフィスが設けられた油路のいずれかの油路を油圧回路により選択的に切換える。すなわち、ECT_ECU1020は、大オリフィスを経由する油路と、小オリフィスを経由する油路との2つの油路のうちのいずれかを、クラッチ(たとえば、入力クラッチ310またはダイレクトクラッチ312)に作動油を供給する油路につながるように切換バルブを制御する。
【0069】
なお、クラッチへの流量を低く抑えたいときには小オリフィスのみを、クラッチへの流量を多くしたいときには大オリフィスが設けられた油路のみを使うように、または小オリフィスが設けられた油路および大オリフィスが設けられた油路を使うように、切換バルブをECT_ECU1020が制御するようにしてもよい。
【0070】
図4を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
【0071】
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、ECT_ECU1020は、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジション、ニュートラル(N)ポジションから後進走行(R)ポジションへの変速要求があったか否かを判断する。この判断は、車両の運転者のシフトレバーの操作を表わす信号を検知することにより行なわれる。ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへの変速要求またはニュートラル(N)ポジションから後進走行(R)ポジションへの変速要求のいずれかが検知されると(S100にてYES)、処理はS102へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS104へ移され、ニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジション、ニュートラル(N)ポジションから後進走行(R)ポジションへの変速要求があるまで待つ。なお、このような変速要求(ガレージシフト)の操作は、車両の飛出しを防止する観点から、運転者がブレーキを踏んでいるときのみ許可される。
【0072】
S102にて、ECT_ECU1020は、前の変速動作をメモリから読出す。S104にて、ECT_ECU1020は、AT油温を検知する。このとき、ECT_ECU1020は、自動変速機300に設けられた油温センサからの信号に基づいて、AT油温を検知する。
【0073】
S106にて、ECT_ECU1020は、バックラッシュがあるか否かを判断する。このとき、S100にて検知された変速要求が、ニュートラル(N)から前進走行(D)ポジションへの変速要求であって、その前の変速操作が後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションへの変速操作であったり、S100にて検知された変速要求がニュートラル(N)ポジションから後進走行(R)ポジションへの変速要求であってその前の変速操作が前進走行(D)ポジションからニュートラル(N)ポジションへの変速操作である場合には、バックラッシュがあると判断される。また、AT油温が予め定められた油温以上である場合には、バックラッシュがあると判断される。また、これらの判断を前操作とAT油温の両方の条件を満たす場合にバックラッシュがあると判断するようにしてもよい。バックラッシュがあると判断されると(S106にてYES)、処理はS114へ移される。もしそうでないと(S106にてNO)、処理はS118へ移される。
【0074】
S110にて、ECT_ECU1020は、ガタ詰め制御を行なう。すなわち、切換バルブに小オリフィス側への切換指示を出力する。S112にて、ECT_ECU1020は、予め定められた時間が経過したか否かを判断する。予め定められた時間が経過すると(S112にてYES)、処理はS116へ移される。もしそうでないと(S112にてNO)、処理はS114へ移される。S114にて、ECT_ECU1020は、ブレーキがオフにされたか否かを判断する。この判断は、VSC_ECU1030からECT_ECU1020へ入力されたブレーキ信号に基づいて行なわれる。ブレーキがオフになると(S114にてYES)、処理はS116へ移される。もしそうでないと(S114にてNO)、処理はS112へ戻される。すなわち、ブレーキがオフにされない限り、予め定められた時間が経過するまでS116への処理は進まない。逆に、予め定められた時間が経過する前にブレーキがオフにされると、ガタ詰め制御に割込み処理が発生してガタ詰め処理を中止して処理をS116に進める。
【0075】
S116にて、ECT_ECU1020は、切換バルブに大オリフィス側への切換指示を出力する。S118にて、ECT_ECU1020は、S100にて要求された変速処理を実行する。
【0076】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るECT_ECU1020を搭載した車両の動作について説明する。
【0077】
ガレージシフトと呼ばれるニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションへの変速要求または、ニュートラル(N)ポジションから後進走行(R)ポジションへの変速要求があると(S100にてYES)、前操作が読出され(S102)、AT油温が検知される(S104)。
【0078】
変速要求の内容がニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジションであって前操作が後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションへの変速操作である場合や、ニュートラル(N)ポジションから後進走行(R)ポジションへの変速要求であって前操作が前進走行(D)ポジションからニュートラル(N)ポジションへの変速要求である場合にはバックラッシュがあると判断される(S106にてYES)。また、AT油温が予め定められた油温よりも高いと、バックラッシュがあると判断される(S106にてYES)。
【0079】
バックラッシュがある場合には、S100にて要求されたガレージシフトの前にガタ詰め制御が行なわれる。すなわち、切換バルブに小オリフィス側への切換指示が実行される。この状態で、入力クラッチ310やダイレクトクラッチ312へ小オリフィスが設けられた油路を経由して少量の作動油が供給される。
【0080】
すなわち、図5に示すように、クラッチに供給される作動油は小オリフィスを経由しているため、その係合開始圧は低いものである。そのため、クラッチ圧も徐々に上昇する。このような操作が予め定められた時間が経過するまで実行される。この予め定められた時間が経過するまでにブレーキがオフにされたりアクセルがオンにされたりすると、このような小オリフィスを用いて作動油の油量を制限した制御を中止して直ちに変速処理を行なう(S116、S118)。
【0081】
予め定められた時間が経過するまでブレーキオフされないと予め定められた時間が経過した後切換バルブに大オリフィス側への切換指示が行なわれる(S116)。このとき、図5に示すように、小オリフィスが設けられた油路から、大オリフィスが設けられた油路に切換えられ、クラッチの圧力が上昇する。予め定められた時間の間、小オリフィスが設けられた油路を経由して作動油がクラッチに供給されていたためクラッチ圧は緩やかに上昇し、そのため、バックラッシュがあった場合であっても、急激にバックラッシュが詰まることはなく、ガタ詰めショックが生じにくい。
【0082】
また、エンジン回転数NE、タービン回転数NTはそれぞれ図5に示すようになり特にタービン回転数NTは緩やかに変化し、その結果、変速時間が長引くことになる。また、アウトプットトルクは、このような制御を行なうことにより、変更前に発生していたガタ詰め時の音やショックが発生しなくなる。
【0083】
以上のようにして、本実施の形態に係るECT_ECUによる油圧制御を実行することにより、ガレージシフト時にバックラッシュが発生している場合には、入力クラッチやダイレクトクラッチへの作動油の供給圧をオリフィスが設けられた油路を切換えることにより制御する。このようにして、クラッチを係合させる作動油の油圧を最初低くして次に高くすることにより、バックラッシュが発生している状態で車両の走行状態が逆になるような変速を行なっても、急にバックラッシュの位置が変化することはなくガタ詰めショックが生じない。また、このような油圧制御を実行するとガレージシフトに要する時間が長くなることになるが、バックラッシュの状態を検知してガタ詰めショックが生じる場合に限定してこのような油圧制御を行なうため、毎回ガレージシフトするときの変速時間が長引くわけではない。その結果、ガレージシフト時に、変速時間を極力長引かせないようにして、バックラッシュの詰まり状態に応じて自動変速機を制御することにより、ガタ詰めショックによる運転者に不快感を与えないようにすることができる。
【0084】
<第1の実施の形態 変形例>
以下、本発明の第1の実施の形態の変形例について説明する。本変形例は、ECT_ECU1020が前述の第1の実施の形態とは異なるプログラムを実行する。その他については前述の第1の実施の形態と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
【0085】
図6を参照して、本変形例に係るECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、図6に示すフローチャートの中で、前述の図4に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0086】
S200にて、ECT_ECU1020は、エンジン回転数NEおよびタービン回転数NTを検知する。S202にて、ECT_ECU1020は、スリップ回転数ΔNとして、ΔN=(エンジン回転数NE−タービン回転数NT)を算出する。
【0087】
S204にて、ECT_ECU1020は、スリップ回転数ΔNが予め定められたしきい値よりも大きいか否かを判断する。スリップ回転数ΔNがしきい値よりも大きいと(S204にてYES)、処理はS116へ移される。もしそうでないと(S204にてNO)、処理はS114へ移される。
【0088】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本変形例に係る制御装置であるECT_ECUを搭載した車両の場合には、前述の第1の実施の形態においてはガタ詰め制御を予め定められた時間が経過するまで行なっていたことに対して、ガタ詰め制御をスリップ回転数が予め定められたしきい値よりも大きくなるまで行なう。すなわち、図5に示すようにエンジン回転数とタービン回転数との差が予め定められたしきい値よりも大きくなるとガタ詰めが終了していると判断して大オリフィスに切換える。
【0089】
このようにして、本変形例においても前述の第1の実施の形態と同様の作用効果を発現することができる。
【0090】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る制御装置について説明する。本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020は、前述の第1の実施の形態とは異なるプログラムを実行する。その他については、前述の第1の実施の形態と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
【0091】
図7を参照して、本実施の形態に係るECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、図7に示すフローチャートの中で、前述の図4に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0092】
S300にて、ECT_ECU1020は、ガタ詰め制御を行なう。このとき、入力クラッチ(C1)310またはダイレクトクラッチ(C3)312への供給圧を制御する。このとき、供給圧は、最初低く途中から予め定められた傾斜に従って上昇させるように制御される。S302にて、ECT_ECU1020は、予め定められた時間が経過したか否かを判断する。予め定められた時間が経過すると(S302にてYES)、処理はS306へ移される。もしそうでないと(S302にてNO)、処理はS304へ移される。
【0093】
S304にて、ECT_ECU1020は、ブレーキオフされたか否かを判断する。ブレーキオフされると(S304にてYES)、処理はS306へ移される。もしそうでないと(S304にてNO)、処理はS300へ戻され、予め定められた時間が経過するまでガタ詰め制御が継続して行なわれる。
【0094】
S306にて、ECT_ECU1020は、ガタ詰め制御を終了する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020を搭載した車両の動作について説明する。なお、前述の第1の実施の形態に係る動作と同じ動作についての説明はここでは繰返さない。
【0095】
図8に示すように、ガタ詰め制御が実行される場合には入力クラッチ(C1)310への供給圧の指令値が段階的に変更される。図8に示すように、予め定められた時間Tが経過するまでは、係合初期圧の状態を時間T(1)の間だけ保持し、その後予め定められた上昇速度で係合圧を上昇させる。この時間がT(2)である。予め定められた時間Tが経過すると変速処理が実行されるため、入力クラッチ(C1)310への供給圧指令値は通常のニュートラル(N)ポジションから前進走行(D)ポジション変速時の供給圧指令値と同じ状態になる。
【0096】
以上のようにして、本実施の形態に係るECT_ECUによる油圧制御を実行することにより、ガレージシフト時においてバックラッシュがある場合であっても、入力クラッチやダイレクトクラッチへの供給圧を緩やかに変化させるため、ガタ詰めショックを発生させることを防止することができる。
【0097】
<第2の実施の形態 変形例>
以下、本発明の第2の実施の形態の変形例について説明する。本変形例は、ECT_ECU1020が前述の第2の実施の形態とは異なるプログラムを実行する。その他については前述の第2の実施の形態と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
【0098】
図9を参照して、本変形例に係るECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、図9に示すフローチャートの中で、前述の図4または図7に示した処理と同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについての処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0099】
S400にて、ECT_ECU1020は、エンジン回転数NEおよびタービン回転数NTを検知する。S402にて、ECT_ECU1020は、スリップ回転数ΔNとして、ΔN=(エンジン回転数NE−タービン回転数NT)を算出する。
【0100】
S404にて、ECT_ECU1020は、スリップ回転数ΔNが予め定められたしきい値よりも大きいか否かを判断する。スリップ回転数ΔNが予め定められたしきい値よりも大きいと(S404にてYES)、処理はS306へ移される。もしそうでないと(S404にてNO)、処理はS406へ移される。
【0101】
S406にて、ECT_ECU1020は、ブレーキオフされたか否かを判断する。ブレーキオフされると(S406にてYES)、処理はS306へ移される。もしそうでないと(S406にてNO)、処理はS300へ戻され、スリップ回転数ΔNが予め定められたしきい値よりも大きくなるまでブレーキオフされないと、スリップ回転数ΔNが予め定められたしきい値を越えるまでガタ詰め制御が継続的に行なわれる。
【0102】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本変形例に係る制御装置を搭載した車両の動作について説明する。なお、以下に示す動作の説明において、前述の第1の実施の形態または第2の実施の形態において説明した動作と同じ説明についてはここでは繰返さない。
【0103】
ガタ詰め制御が実行され、入力クラッチ(C1)310またはダイレクトクラッチ(C3)312への供給圧が制御される。このとき、図8に示すように、クラッチ供給圧の指令値が緩やかに変化される。このような供給圧の変化によりエンジン回転数NEとタービン回転数NTとの差であるスリップ回転数ΔNは徐々に広がり、予め定められたしきい値以上になるとガタ詰め制御を終了する。なお、図8においては、ガタ詰め制御開始から時間Tでスリップ回転数ΔNがしきい値を越えるものとして記載している。
【0104】
以上のようにして、本変形例においても、前述の第2の実施の形態と同様の作用効果を発現することができる。
【0105】
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態に係る制御装置について説明する。
【0106】
本実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020は、前述の第1の実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020で実行されるプログラムおよび第2の実施の形態に係る制御装置であるECT_ECU1020で実行されるプログラムに加えて、以下に示すプログラム(学習制御)を実行することが特徴である。その他については、前述の第1の実施の形態および第2の実施の形態と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
【0107】
図10を参照して、本実施の形態に係るECT_ECU1020で実行されるプログラム(学習制御)の制御構造について説明する。
【0108】
S500にて、ECT_ECU1020は、ガタ詰め制御が終了したか否かを判断する。すなわち、係合が開始したか否かを判断する。ガタ詰め制御が終了すると(S500にてYES)、処理はS502へ移される。もしそうでないと(S500にてNO)、ガタ詰め制御が終了するまで待つ。
【0109】
S502にて、ECT_ECU1020は、エンジン回転数NEとタービン回転数NTとを検知する。S504にて、ECT_ECU1020は、スリップ回転数ΔNとして、ΔN=(エンジン回転数NE−タービン回転数NT)を算出する。S506にて、ECT_ECU1020は、スリップ回転数の時間微分値dΔN/dtを算出する。
【0110】
S508にて、ECT_ECU1020は、スリップ回転数の時間微分値(dΔN/dt)が、(予め定められた目標値−α)以上、かつ(予め定められた目標値+β)以下であるか否かを判断する。なお、ここで、αおよびβは、正の数である。スリップ回転数の時間微分値(dΔN/dt)が(目標値−α)と(目標値+β)との間にあると(S508にてNO)、この処理は終了する。すなわち、特に学習制御を実行しない。もしそうでないと(S508にてNO)、処理はS510へ移される。
【0111】
S510にて、ECT_ECU1020は、スリップ回転数の時間微分値(dΔN/dt)が(目標値−α)よりも小さいか否かを判断する。スリップ回転数の時間微分値(dΔN/dt)が(目標値−α)よりも小さいと(S510にてYES)、処理はS512へ移される。もしそうでないと(S510にてNO)、処理はS514へ移される。
【0112】
S512にて、ECT_ECU1020は、初期係合圧を上昇させるように学習する。S514にて、ECT_ECUは、スリップ回転数の時間微分値(dΔN/dt)は(目標値+β)よりも大きいと判断する。S516にて、ECT_ECU1020は、初期係合圧を低下させるように学習する。
【0113】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るECT_ECUを搭載した車両の動作について説明する。ここでは、特に学習制御動作についてのみ説明する。
【0114】
ガタ詰め制御が終了したときに(S500にてYES)、エンジン回転数NEおよびタービン回転数NTが検知される(S502)。エンジン回転数NEとタービン回転数NTとの差であるスリップ回転数ΔNが算出され(S504)、スリップ回転数の時間微分値(dΔN/dt)が算出される(S506)。
【0115】
このスリップ回転数ΔNの時間微分値(dΔN/dt)は、図11(A)〜(C)に示すように、ガタ詰め制御の終了時におけるスリップ回転数ΔNの変化の傾きを示す。スリップ回転数の時間微分値(dΔN/dt)が(目標値−α)と(目標値+β)との間に入っていると(S508にてYES)、良好な制御動作を行なっていると判断され学習は特に実行されない。
【0116】
スリップ回転数の時間微分値(dΔN/dt)が(目標値−α)よりもさらに小さいと(S510にてYES)、図11(B)のようにスリップ回転数の立上がりが遅いため初期係合圧を上昇させるように学習される(S512)。一方、図11(C)に示すように、スリップ回転数の時間微分値(dΔN/dt)が(目標値+β)よりも大きい場合には(S514)、初期係合圧を低下させるように学習される(S516)。
【0117】
以上のようにして、本実施の形態に係るECT_ECUによると、エンジン回転数とタービン回転数との差であるスリップ回転数の時間変化率が予め定められた目標値よりも急過ぎる変化率を示すとクラッチを早く係合させ過ぎているので作動油の初期係合圧を下げる。一方、スリップ回転数の時間変化率が目標値よりも緩やか過ぎる変化率であるとクラッチを遅く係合させ過ぎているので作動油の初期係合圧を上げる。このような学習制御をすることにより、最適な変速制御を実行することができる。
【0118】
<第4の実施の形態>
図12を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、図12に示すECU2000により実現される。本実施の形態では、自動変速機をベルト式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)として説明する。
【0119】
図12に示すように、この車両のパワートレーンは、エンジン100と、トルクコンバータ200と、前後進切換え装置290と、CVT1300と、デファレンシャルギヤ800と、ECU2000と、油圧制御部1100とから構成される。
【0120】
エンジン100の出力軸は、トルクコンバータ200の入力軸に接続される。エンジン100とトルクコンバータ200とは回転軸により連結されている。したがって、エンジン回転数センサにより検知されるエンジン100の出力軸回転数NE(エンジン回転数NE)とトルクコンバータ200の入力軸回転数(ポンプ回転数)とは同じである。
【0121】
トルクコンバータ200は、入力軸と出力軸とを直結状態にするロックアップクラッチ210と、入力軸側のポンプ羽根車220と、出力軸側のタービン羽根車230と、ワンウェイクラッチ250を有し、トルク増幅機能を発現するステータ240とから構成される。トルクコンバータ200とCVT1300とは、回転軸により接続される。トルクコンバータ200の出力軸回転数NT(タービン回転数NT)は、タービン回転数センサ1400により検知される。
【0122】
CVT1300は、前後進切換え装置290を介してトルクコンバータ200に接続される。CVT1300は、入力側のプライマリプーリ500と、出力側のセカンダリプーリ600と、プライマリプーリ500とセカンダリプーリ600とに巻き掛けられた金属製のベルト700とから構成される。プライマリプーリ500は、プライマリシャフトに固定された固定シーブおよびプライマリシャフトに摺動のみ自在に支持されている可動シーブからなる。セカンダリプーリ700は、セカンダリシャフトに固定されている固定シーブおよびセカンダリシャフトに摺動のみ自在に支持されている可動シーブからなる。CVT1300の、プライマリプーリの回転数NINは、プライマリプーリ回転数センサ1410により、セカンダリプーリの回転数NOUTは、セカンダリプーリ回転数センサ1420により、検知される。
【0123】
これら回転数センサは、プライマリプーリやセカンダリプーリの回転軸やこれに繋がるドライブシャフトに取り付けられた回転検出用ギヤの歯に対向して設けられている。これらの回転数センサは、CVT1300の、入力軸であるプライマリプーリや出力軸であるセカンダリプーリの僅かな回転の検出も可能なセンサであり、たとえば、一般的に半導体式センサと称される磁気抵抗素子を使用したセンサである。
【0124】
前後進切換え装置290は、ダブルピニオンプラネタリギヤ、リバース(後進用)ブレーキB1および入力クラッチC1を有している。プラネタリギヤは、そのサンギヤが入力軸に連結されており、第1および第2のピニオンP1,P2を支持するキャリヤCRがプライマリ側固定シーブに連結されており、そしてリングギヤRが後進用摩擦係合要素となるリバースブレーキB1に連結されており、またキャリヤCRとリングギヤRとの間に入力クラッチC1が介在している。
【0125】
この入力クラッチ310は、前進クラッチやフォワードクラッチとも呼ばれ、パーキング(P)ポジション、後進走行(R)ポジション、ニュートラル(N)ポジション以外の、車両が前進するときに必ず係合状態で使用される。
【0126】
また、このリバース(後進用)ブレーキ314は、パーキング(P)ポジション、前進走行(D)ポジション、ニュートラル(N)ポジション以外の、車両が後退するための変速段を構成する際に必ず係合状態で使用される。
【0127】
前述の第1の実施の形態と同じく、前進走行(D)ポジションと後進走行(R)ポジションとは、ニュートラル(N)ポジションを経由して切換えられる。このような、前進走行(D)ポジションからニュートラル(N)ポジションを介した後進走行(R)ポジションへの変速、後進走行(R)ポジションからニュートラル(N)ポジションを介した前進走行(D)ポジションへの変速を、ガレージシフトという。
【0128】
この場合においても、前述の第1〜2の実施の形態に係る有段式の自動変速機と同様にして、油温やガレージシフト前のシフト状態等に基づいて、バックラッシュの状態を検知する。バックラッシュの状態がそのままガレージシフトすると打音が発生するような状態であると、入力クラッチ310やリバース(後進用)ブレーキ314を係合させるための作動油の油圧を緩やかに上昇させるように制御する。
【0129】
このようにすると、自動変速機がベルト式無段変速機である場合であっても、ガレージシフト時のバックラッシュの詰まりに起因する打音の発生を防止することができる。
【0130】
また、前述の第3の実施の形態に係る有段式の自動変速機と同様にして、所帰係合圧を学習制御すると、エンジン回転数とタービン回転数との差であるスリップ回転数の時間変化率に応じて作動油の初期係合圧を学習する。
【0131】
このようなにすると、自動変速機がベルト式無段変速機である場合であっても、ガレージシフト時のバックラッシュの詰まりに起因する打音の発生を最適に防止することができる。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る自動変速機の制御ブロック図である。
【図2】図1に示す自動変速機の作動表である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るオリフィス切換え回路を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るECT_ECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るECT_ECUが搭載された車両の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態の変形例に係るECT_ECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るECT_ECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るECT_ECUが搭載された車両の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態の変形例に係るECT_ECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るECT_ECUで実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るECT_ECUが搭載された車両の動作を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る自動変速機の制御ブロック図である。
【符号の説明】
100 エンジン、200 トルクコンバータ、210 ロックアップクラッチ、220 ポンプ羽根車、230 タービン羽根車、240 ステータ、250 ワンウェイクラッチ、300 自動変速機、310 入力クラッチ、312ダイレクトクラッチ、314 リバース(後進用)ブレーキ、400 エンジン回転数センサ、410 タービン回転数センサ、420 出力軸回転数センサ、500 プライマリプーリ、600 セカンダリプーリ、700 ベルト、800 デファレンシャルギヤ、1000、2000 ECU、1010 エンジンECU、1020 ECT_ECU、1030 VSC_ECU、1100 油圧制御部、1110 変速速度制御部、1120 ベルト挟圧力制御部、1130 ロックアップ係合圧制御部、1140 クラッチ圧力制御部、1150 マニュアルバルブ、1200 変速制御用デューティソレノイド(1)、1210 変速制御用デューティソレノイド(2)、1220 リニアソレノイド、1230 ロックアップソレノイド、1240 ロックアップ係合圧制御用デューティソレノイド、1300 CVT、1400 タービン回転数センサ、1410 プライマリプーリ回転数センサ、1420 セカンダリプーリ回転数センサ。

Claims (20)

  1. 自動変速機を搭載した車両の制御装置であって、
    前記車両が停止状態から走行状態への変速動作を検出するための検出手段と、前記車両の駆動系を構成する機械部品のバックラッシュの状態を検知するための検知手段と、
    前記変速動作を前記自動変速機に実行させるときに、前記バックラッシュの状態に基づいて、前記自動変速機の作動油の油圧を制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。
  2. 前記検知手段は、前記変速動作に先立って行なわれた変速動作に基づいて、前記バックラッシュの状態を検知するための手段を含む、請求項1に記載の車両の制御装置。
  3. 前記検知手段は、前記作動油の油温に基づいて、前記バックラッシュの状態を検知するための手段を含む、請求項1に記載の車両の制御装置。
  4. 前記検知手段は、前記変速動作に先立って行なわれた変速動作および前記作動油の油温に基づいて、前記バックラッシュの状態を検知するための手段を含む、請求項1に記載の車両の制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記バックラッシュが詰まっていない状態であると、前記自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を下げるように制御するための手段を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の車両の制御装置。
  6. 前記制御手段は、前記自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を、予め定められた時間だけ、下げるように制御するための手段を含む、請求項5に記載の車両の制御装置。
  7. 前記制御装置は、エンジン回転数とタービン回転数との差回転を検知するための手段をさらに含み、
    前記制御手段は、前記自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を、前記差回転が予め定められた値以上になるまで、下げるように制御するための手段を含む、請求項5に記載の車両の制御装置。
  8. 前記制御装置は、
    ブレーキの状態またはアクセルの状態を検知するための手段と、
    ブレーキがオフになるかまたはアクセルが踏まれると、前記制御手段による油圧制御を中止するための手段とをさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載の車両の制御装置。
  9. 前記制御装置は、
    エンジン回転数とタービン回転数との差回転の時間変化率を算出するための手段と、
    前記時間変化率に基づいて、前記自動変速機の作動油の油圧の変化を学習制御するための学習制御手段とをさらに含む、請求項1〜8のいずれかに記載の車両の制御装置。
  10. 前記学習制御手段は、前記変速動作を開始させる際の作動油の初期作動油圧を変更することにより学習制御するための手段を含む、請求項9に記載の車両の制御装置。
  11. 自動変速機を搭載した車両の制御方法であって、
    前記車両が停止状態から走行状態への変速動作を検出する検出ステップと、
    前記車両の駆動系を構成する機械部品のバックラッシュの状態を検知する検知ステップと、
    前記変速動作を前記自動変速機に実行させるときに、前記バックラッシュの状態に基づいて、前記自動変速機の作動油の油圧を制御する制御ステップとを含む、車両の制御方法。
  12. 前記検知ステップは、前記変速動作に先立って行なわれた変速動作に基づいて、前記バックラッシュの状態を検知するステップを含む、請求項11に記載の車両の制御方法。
  13. 前記検知ステップは、前記作動油の油温に基づいて、前記バックラッシュの状態を検知するステップを含む、請求項11に記載の車両の制御方法。
  14. 前記検知ステップは、前記変速動作に先立って行なわれた変速動作および前記作動油の油温に基づいて、前記バックラッシュの状態を検知するステップを含む、請求項11に記載の車両の制御方法。
  15. 前記制御ステップは、前記バックラッシュが詰まっていない状態であると、前記自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を下げるように制御するステップを含む、請求項11〜14のいずれかに記載の車両の制御方法。
  16. 前記制御ステップは、前記自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を、予め定められた時間だけ、下げるように制御するステップを含む、請求項15に記載の車両の制御方法。
  17. 前記制御方法は、エンジン回転数とタービン回転数との差回転を検知するステップをさらに含み、
    前記制御ステップは、前記自動変速機において係合される摩擦要素に供給される作動油の油圧を、前記差回転が予め定められた値以上になるまで、下げるように制御するステップを含む、請求項15に記載の車両の制御方法。
  18. 前記制御方法は、
    ブレーキの状態またはアクセルの状態を検知するステップと、
    ブレーキがオフになるかまたはアクセルが踏まれると、前記制御ステップによる油圧制御を中止するステップとをさらに含む、請求項11〜17のいずれかに記載の車両の制御方法。
  19. 前記制御方法は、
    エンジン回転数とタービン回転数との差回転の時間変化率を算出するステップと、
    前記時間変化率に基づいて、前記自動変速機の作動油の油圧の変化を学習制御する学習制御ステップとをさらに含む、請求項11〜18のいずれかに記載の車両の制御方法。
  20. 前記学習制御ステップは、前記変速動作を開始させる際の作動油の初期作動油圧を変更することにより学習制御するステップを含む、請求項19に記載の車両の制御方法。
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