JP2010053941A - 自動変速機の制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アクセル全閉での走行中、手動操作によるダウンシフト変速指令やN→D、N→Rへの変速指令があった場合に、変速機側からのエンジン回転の持ち上げに起因する反動ショックを軽減できる自動変速機の制御方法を提供する。
【解決手段】ポンプインペラとタービンランナとの間にワンウエイクラッチ39及びトーショナルダンパー37とを直列に介設したトルクコンバータ3を備えた自動変速機において、アクセル全閉での走行中、手動操作によって自動変速機のNレンジからDレンジへの切替、NレンジからRレンジへの切替、もしくはダウンシフト変速指令時に、エンジン回転数が変速後のタービン回転数に相当する目標値の近傍値まで上昇した時点で、ダウンシフト変速により係合される係合要素の油圧を一時的に減圧することで、トーショナルダンパーによる反動ショックを軽減する。
【選択図】 図6

Description

本発明は自動変速機の制御方法、特にワンウエイクラッチ付きトルクコンバータを備えた自動変速機の制御方法に関するものである。
従来、エンジンと自動変速機との間にトルクコンバータを設けた車両が一般に広く使用されているが、エンジンブレーキの効きが良くないという問題がある。このような問題を解決するため、ポンプインペラとタービンランナとの間に、タービン軸の回転数がエンジン出力軸の回転数を上回る時のみ係合状態となるワンウエイクラッチを設けたトルクコンバータが提案されている(特許文献1)。
図9はワンウエイクラッチ付きトルクコンバータの一例を示す。このトルクコンバータ3は、エンジン1の出力軸11に連結されたコンバータケース30の一側部に固定され、エンジン出力軸11と一体回転するポンプインペラ31と、ポンプインペラ31と対向するようにコンバータケース30内に回転自在に設けられたタービンランナ32と、ポンプインペラ31とタービンランナ32との間に介設されてトルク増幅作用を行うステータ33とを備えている。タービンランナ32はタービン軸34を介して変速機2に接続され、ステータ33は第1のワンウエイクラッチ35を介してミッションケース36に連結されている。タービン軸34とコンバータケース30との間には、トーショナルダンパー37を介してロックアップクラッチ38が設けられている。なお、ロックアップクラッチ38は省略可能である。トーショナルダンパー37は、スプリング力を利用してロックアップクラッチ38をコンバータケース30に対して締結する時の締結ショック及び締結後のエンジントルク変動を吸収するものである。エンジン出力軸11とタービン軸34との間に、第2のワンウエイクラッチ39が配置されている。このワンウエイクラッチ39は、タービン軸34により変速機2が駆動される通常運転時には、フリーになり、エンジン出力がトルクコンバータ3の流体を介して変速機2側に伝達される。一方、タービン軸34の回転数がエンジン出力軸11の回転数を上回る減速走行時には、ワンウエイクラッチ39が係合状態となり、変速機2側からの駆動トルクが流体を介さずにエンジン1に伝達され、エンジンブレーキを効果的に作用させることができる。また、減速運転時にフューエルカットを行うエンジンを用いた場合に、減速運転時のエンジン回転数の落ち込みを抑制して長期間に亘ってフューエルカットを実施できる。
図10は、前記のようなワンウエイクラッチ付きのトルクコンバータを備えた車両において、アクセル全閉にした走行状態で、シフトレバーの操作によってマニュアルダウンシフト変速(例えば4速→3速)を実施した場合の車両加速度、エンジン回転数、タービン回転数、係合側及び開放側のクラッチ油圧の各時間変化を示す。t1が変速指令時、t2が係合側クラッチ(C2)の係合開始時である。図10に示すように、時刻t2で係合側クラッチ(C2)が係合を開始すると、係合側クラッチ(C2)の伝達トルクの上昇に伴いタービン回転数が上昇し、タービン回転によってエンジン回転が持ち上げられると共に、減速領域が生じる。すなわち、変速機側からの入力によりワンウエイクラッチ39を介してエンジン回転が急速に持ち上げられ、エンジンブレーキが作用する。しかし、タービン回転数が変速後の回転数に到達した時点t3でワンウエイクラッチ39がフリーになり、変速機側からの入力により捩じられていたトーショナルダンバー37が同時に解放されるため、エンジン回転がイナーシャによってオーバーシュートする。その結果、トーショナルダンパー37が逆方向に捩られ、その反動でエンジン側に衝撃入力が作用し、大きなショックが発生するという問題がある。
同様な問題は、例えばNレンジで惰行走行中(アクセル全閉にした走行中)に、シフトレバーをDレンジ又はRレンジに切り替えた場合にも発生する可能性がある。すなわち、Nレンジで惰行走行中、全ての係合要素は解放されているが、Dレンジへ切り替えると、その時の車速に応じた変速段が決定され、所定の係合要素が締結される。係合要素が締結されると、タービン回転数が上昇し、ワンウエイクラッチの作用によりエンジン回転数が持ち上げられて減速状態となり、前述のマニュアルダウンシフト変速と同様なショックが発生する可能性がある。
特開平1−247868号公報
本発明の目的は、アクセル全閉での走行中、手動操作によるダウンシフト変速指令やN→D、N→Rへの変速指令があった場合に、変速機側からのエンジン回転の持ち上げに起因する反動ショックを軽減できる自動変速機の制御方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の第1実施形態は、エンジンの出力軸に連結されたポンプインペラと、タービン軸に接続されたタービンランナと、前記ポンプインペラとタービンランナとの間に直列に介設されたワンウエイクラッチ及びトーショナルダンパーとを備え、前記ワンウエイクラッチは前記タービン軸の回転数がエンジン出力軸の回転数を上回る時のみ係合状態となり、前記トーショナルダンパーはエンジン出力軸とタービン軸との間の捩れ振動を吸収するものである、トルクコンバータを備えた自動変速機において、アクセル全閉での走行中であることを検出する工程と、前記アクセル全閉での走行中、手動操作によって、前記自動変速機のNレンジからDレンジへの切替、NレンジからRレンジへの切替、もしくはダウンシフト変速の指令が出たことを検出する工程と、前記手動操作による前記変速指令時に、エンジン回転数が変速後のタービン回転数に相当する目標値の近傍値まで上昇した時点で、前記変速指令により係合される係合要素の油圧を一時的に減圧する工程と、を備えることを特徴とする自動変速機の制御方法を提供する。
本発明の第2実施形態は、エンジンの出力軸に連結されたポンプインペラと、タービン軸に接続されたタービンランナと、前記ポンプインペラとタービンランナとの間に直列に介設されたワンウエイクラッチ及びトーショナルダンパーとを備え、前記ワンウエイクラッチは前記タービン軸の回転数がエンジン出力軸の回転数を上回る時のみ係合状態となり、前記トーショナルダンパーはエンジン出力軸とタービン軸との間の捩れ振動を吸収するものである、トルクコンバータを備えた自動変速機において、アクセル全閉での走行中であることを検出する工程と、前記アクセル全閉での走行中、手動操作によって、前記自動変速機のNレンジからDレンジへの切替、NレンジからRレンジへの切替、もしくはダウンシフト変速の指令が出たことを検出する工程と、前記手動操作による前記変速指令時に、変速指令時のタービン回転数と変速後のタービン回転数との差回転が大きい程、前記変速指令により係合される係合要素の油圧の立ち上がりを緩やかに制御する工程と、を備えることを特徴とする自動変速機の制御方法を提供する。
アクセル全閉での走行中に、手動操作によるダウンシフト変速指令、N→D、N→Rへの変速指令があった場合、係合側クラッチの伝達トルクの上昇に伴いタービン回転数が上昇し、ワンウエイクラッチの作用によりエンジン回転が持ち上げられる。その際、係合側クラッチを瞬間的に滑らせることで、タービン回転がエンジン回転を持ち上げる入力を弱め、タービン回転数が変速後の回転数に到達した時点でのエンジン回転のオーバーシュートをなくすことができる。つまり、クラッチを瞬間的に滑らせることにより、タービン側の捩れを軽減し、トーショナルダンパーによる反動ショックを回避している。この実施形態では、短時間でトーショナルダンパーの捩れトルクを吸収するため、変速時間の遅延を防止できる。
第1実施形態では、エンジン回転数が変速後のタービン回転数に相当する目標値の近傍値まで上昇した時点で、係合側クラッチの油圧を一時的に減圧しているが、第2実施形態では、変速指令時のタービン回転数と変速後のタービン回転数との差回転に応じて、係合側係合要素の油圧の立ち上がり特性を変更している。つまり、差回転が大きい程、係合要素の油圧の上昇勾配を緩やかにしている。このようにクラッチを滑らせながらつなぐことにより、タービン側の捩れを軽減し、ショックを回避できる。
手動操作によるダウンシフト変速指令の例としては、例えばP,R,N,Dレンジ以外にマニュアルレンジ(例えばSレンジ)を備えた自動変速機において、シフトレバーをマニュアルレンジでダウンシフト側へ操作した場合や、シフトレバーとは別にアップスイッチ及びダウンスイッチを備えた自動変速機において、Dレンジ状態で走行中にダウンスイッチを操作した場合、さらにOD(オーバードライブ)スイッチを備えた自動変速機において、OD状態(例えば4速)で走行している時にODスイッチをオフすることで、3速へダウンシフトする場合などが考えられる。
以上のように、本発明によれば、ポンプインペラとタービンランナとの間にワンウエイクラッチとトーショナルダンパーとを直列接続したトルクコンバータを用いた自動変速機において、手動操作によるダウンシフト変速時に係合側クラッチの油圧を一時的に減圧するか、あるいは油圧勾配を緩くすることにより、タービン回転によってエンジン回転を持ち上げる入力を弱め、エンジン回転がオーバーシュートするのを防止できる。その結果、トーショナルダンパーの捩れによる反動ショックを軽減できる。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、実施例を参照して説明する。
図1は本発明にかかる車両のシステムの一例を示す。エンジン1の出力軸11はトルクコンバータ3を経て自動変速機2の入力軸(タービン軸)40に接続されている。トルクコンバータ3は、図9に示した従来のワンウエイクラッチ付きトルクコンバータと同様であり、図9と同じ部分には同一符号を付して重複説明を省略する。入力軸40は変速機構4を介して出力軸47と接続されている。変速機構4は複数の摩擦係合要素(クラッチ及びブレーキ)と遊星歯車装置とを備えており、各摩擦係合要素には油圧制御装置48から油圧が供給される。油圧制御装置48は複数の変速制御用ソレノイド弁21を備えており、これらソレノイド弁21をATコントローラ20で制御することにより、変速機構4に内蔵されている各摩擦係合要素を選択的に係合させ、所望の変速段を構成している。なお、変速制御用ソレノイド弁21の個数は任意であり、さらにロックアップクラッチ制御用やライン圧制御用などの別の機能を持つソレノイド弁を追加してもよい。
ATコントローラ20には、各センサからエンジン回転数、アクセル開度、車速などの信号が入力されている。さらに、後述するスイッチ23又はNSSからマニュアルダウン信号又はN→D、N→Rの切替信号が入力されている。ATコントローラ20のメモリには、変速マップ、パワーオン/オフの判定値マップ、変速制御用プログラムなどが格納されている。走行時の車速及びアクセル開度から変速マップによって変速段を決定し、ソレノイド弁21を制御している。なお、ATコントローラ20には上記以外の信号を入力してもよいことは勿論である。
図2は変速機構4の一例を示す。この実施例の変速機構4は、摩擦係合要素である3個のクラッチC1〜C3及び2個のブレーキB1,B2、ワンウエイクラッチF、ラビニヨウ型遊星歯車装置41、差動装置44などを備えている。遊星歯車装置41のフォワードサンギヤ41aと入力軸40とはC1クラッチを介して連結されており、リヤサンギヤ41bと入力軸40とはC2クラッチを介して連結されている。キャリヤ41cはセンターシャフト45と連結され、センターシャフト45はC3クラッチを介して入力軸40と連結されている。また、キャリヤ41cはB2ブレーキとキャリヤ41cの正転(エンジン回転方向)のみを許容するワンウェイクラッチFとを介して変速機ケース46に連結されている。キャリヤ41cは2種類のピニオンギヤ41d,41eを支持しており、フォワードサンギヤ41aは軸長の長いロングピニオン41dと噛み合い、リヤサンギヤ41bは軸長の短いショートピニオン41eを介してロングピニオン41dと噛み合っている。ロングピニオン41dのみと噛み合うリングギヤ41fは出力ギヤ42に結合されている。出力ギヤ42は中間軸43を介して差動装置44と接続されている。
図3は、変速機構4を構成するクラッチC1,C2,C3、ブレーキB1,B2及びワンウェイクラッチFの作動状況を示し、前進4段、後退1段の変速段を実現している。C1クラッチはRレンジのみ係合され、C2クラッチはDレンジの1〜3速で係合され、C3クラッチはDレンジの3,4速で係合され、B1ブレーキはDレンジの2,4速で係合され、B2ブレーキはRレンジとLレンジ(図示せず)で係合される。
図4は自動変速機2のシフトレバー22を操作するためのゲート構造の一例を示す。すなわち、P,R,N,D,Lの各レンジの他、Dレンジの側部にマニュアルシフトレンジであるSレンジが設けられている。シフトレバー22をDレンジからSレンジへ横方向に操作した後、前後(+又は−)方向に操作することにより、1速段ずつアップシフト(+)又はダウンシフト(−)することができる。Sレンジで達成できる変速段はDレンジと同様であり、係合/解放される摩擦係合要素も図3と同じである。シフトレバー22には、Sレンジでアップシフト方向及びダウンシフト方向に操作した時のマニュアルシフト信号を出力できるスイッチ23が設けられている。なお、このスイッチ23は、マニュアルシフト信号を出力するための専用スイッチであってもよいが、例えばニュートラルスタートスイッチ(NSS)で代用することも可能である。
ここで、本発明に係る自動変速機の制御方法の一例を、図5を参照しながら説明する。まず、車両が走行中であるかどうかを判定し(ステップS1)、走行中である場合にはアクセル全閉であるかどうかを判定する(ステップS2)。これはワンウエイクラッチ39が係合状態であるかどうかを判定していることに等しい。次に、アクセル全閉で走行している状態において、シフトレバー22をマニュアルダウンシフト方向に操作するか、あるいはN→D、N→Rのいずれかに操作すると、スイッチ23から検出信号が出力され、その信号に応答してATコントローラ20は所望の変速段への変速指令信号を出力する(ステップS3)。もし、ダウンシフト変速指令、N→D、N→Rのいずれかの変速指令があった場合、ATコントローラ20は変速後のタービン回転数をギヤ比と車速とから計算で求め、この回転数を目標エンジン回転数として決定する(ステップS4)。そして、ATコントローラ20はソレノイド弁21を制御し、係合側クラッチの油圧を所定の上昇勾配で上昇させる(ステップS5)。その際、エンジン回転数を常時モニターしておき、エンジン回転数が目標エンジン回転数Nrより所定回転数(例えば200rpm)だけ低い値(近傍値)Na以上になったかどうかを判定する(ステップS6)。エンジン回転数が近傍値Na以上になった時点で、ATコントローラ20は係合側クラッチの油圧を一時的に減圧するべくソレノイド弁21を制御し(ステップS7)、その後、締結させる。このように、タービン回転数が変速後のタービン回転数に到達する直前に、係合側クラッチを一時的に滑らせることで、タービン回転によるエンジン回転の持ち上げ入力を弱め、エンジン回転数のオーバーシュートを防止することができる。
図6は、本発明に係るマニュアルダウンシフト(4速→3速)を実施した場合のタイムチャートの一例を示す。アクセル全閉状態で、かつ変速段が4速状態で走行している時刻t1でシフトレバー22をマニュアルダウンシフト方向に操作すると、スイッチ23から信号が出力され、ATコントローラ20がダウンシフト変速指令信号を出力する。変速指令に伴い、係合要素(B1)の油圧が低下すると共に係合要素(C2)の油圧が上昇を開始する。時刻t2で係合要素(C2)の油圧勾配が大きくなり、係合要素(C2)が係合を開始する。時刻t4でエンジン回転数が目標値Nrより所定回転数ΔNだけ低い近傍値Naに達すると、係合要素(C2)の油圧を一時的に減圧する。この油圧は、係合要素(C2)が係合を開始する油圧(時刻t2の油圧)より高く、係合要素(C2)を一時的に滑らせて変速機からエンジンに伝えられるイナーシャを下げる働きをする。時刻t3でタービン回転数が変速後のタービン回転数に到達すると、係合要素(C2)の油圧を締結状態まで上昇させる。このように係合要素(C2)の油圧を一時的に減圧することで、エンジン回転数のオーバーシュートを防止できると共に、エンジン回転数が変速後のタービン回転数に同期した後の加速度の変動(図10参照)も抑制できる。
前述ではマニュアルダウンシフト(4速→3速)を実施した例を示したが、アクセルOFFで走行中に、シフトレバーをD→N→Dに切り替えた場合にも本発明を適用できる。図7は、Nレンジの惰性走行中にシフトレバーをDレンジへ切り替えた時のタイムチャートの一例を示す。アクセル全閉状態で、かつNレンジで走行している時刻t1でシフトレバー22をDレンジへ操作すると、スイッチ23から信号が出力され、ATコントローラ20が変速指令信号を出力する。変速指令に伴い、その時の車速とアクセル開度(全閉)とに応じて変速段が決定され、その変速段で締結される係合要素に油圧が供給される。例えば、3速状態と判断された場合には、C2クラッチとC3クラッチに油圧が供給される。C2クラッチの伝達トルクの上昇に伴ってタービン回転数が上昇し、ワンウエイクラッチ39の作用によりエンジン回転が持ち上げられるが、エンジン回転数が目標回転数Nrより所定回転数ΔNだけ低い近傍値Naまで上昇すると、係合要素(C2)の油圧を一時的に減圧するため、タービン回転によるエンジン回転の持ち上げ入力が一時的に低下する。そのため、エンジン回転数が目標値に到達した時点t3でのエンジン回転のオーバーシュートがなく、トーショナルダンパー37による反動ショックを解消できる。
図8は、本発明に係るマニュアルダウンシフト(4速→3速)を実施した場合のタイムチャートの他の例を示す。アクセル全閉状態で、かつ変速段が4速状態で走行している時刻t1でシフトレバー22をマニュアルダウンシフト方向に操作すると、スイッチ23から信号が出力され、ATコントローラ20がダウンシフト変速指令信号を出力する。変速指令に伴い、係合要素(B1)の油圧が低下すると共に係合要素(C2)の油圧が上昇を開始する。ここまでの動作は第1実施例(図6)と同様である。係合要素(C2)が係合を開始する時刻t2から、係合要素(C2)の油圧が上昇するが、その上昇勾配が従来の上昇勾配(破線で示す)より緩やかに設定されている。例えば、車速、変速段に最適なタービン回転数の変化率をマップとして設定しておき、その変化率になるように係合側クラッチの油圧の傾きを制御する。タービン回転数の目標変化率は、タービン回転数の差回転、つまり変速指令時のタービン回転数と変速後のタービン回転数との差に応じて設定され、差回転が大きいほど目標変化率を小さく設定する。その結果、タービン回転数及びエンジン回転数は通常の自動変速によるダウンシフト時より緩やかに上昇し、変速後のタービン回転数(目標回転数)に到達した時点(t3)で、エンジン回転数のオーバーシュートを回避できる。タービン回転数が変速後の回転数まで到達した時点で、トーショナルダンパー37は殆ど捩られていないので、その反動ショックも発生しない。
図8ではマニュアルダウンシフト時における係合要素(C2)の油圧制御について説明したが、アクセルOFF状態での惰性走行中に、シフトレバーをD→N→Dに切り替えた場合にも同様に適用できる。
本発明に係る自動変速機とは、多板クラッチを用いた有段式の自動変速機のほか、無段変速機でも適用できる。また、マニュアルシフトを有しない自動変速機にも適用できる。
本発明に係る車両のシステム図である。 図1の自動変速機の変速機構のスケルトン図である。 図2に示す変速機構の摩擦係合要素の作動表である。 自動変速機のシフトレバーを操作するためのゲート構造図である。 本発明に係る制御方法の一例のフローチャート図である。 マニュアルダウンシフト時の本発明に係る制御方法の一例のタイムチャート図である。 N→D切り替え時の本発明に係る制御方法のタイムチャート図である。 マニュアルダウンシフト時の本発明に係る制御方法の他の例のタイムチャート図である。 ワンウエイクラッチ付きトルクコンバータの概略図である。 従来のマニュアルダウンシフト時の制御方法のタイムチャート図である。
符号の説明
1 エンジン
2 自動変速機
3 トルクコンバータ
4 変速機構
11 エンジン出力軸
20 ATコントローラ
21 ソレノイド弁
22 シフトレバー
23 スイッチ
24 アクセルペダル
25 センサ
31 ポンプインペラ
32 タービンランナ
33 ステータ
34 タービン軸
37 トーショナルダンパー
38 ロックアップクラッチ
39 ワンウエイクラッチ

Claims (2)

  1. エンジンの出力軸に連結されたポンプインペラと、タービン軸に接続されたタービンランナと、前記ポンプインペラとタービンランナとの間に直列に介設されたワンウエイクラッチ及びトーショナルダンパーとを備え、前記ワンウエイクラッチは前記タービン軸の回転数がエンジン出力軸の回転数を上回る時のみ係合状態となり、前記トーショナルダンパーはエンジン出力軸とタービン軸との間の捩れ振動を吸収するものである、トルクコンバータを備えた自動変速機において、
    アクセル全閉での走行中であることを検出する工程と、
    前記アクセル全閉での走行中、手動操作によって、前記自動変速機のNレンジからDレンジへの切替、NレンジからRレンジへの切替、もしくはダウンシフト変速の指令が出たことを検出する工程と、
    前記手動操作による前記変速指令時に、エンジン回転数が変速後のタービン回転数に相当する目標値の近傍値まで上昇した時点で、前記変速指令により係合される係合要素の油圧を一時的に減圧する工程と、を備えることを特徴とする自動変速機の制御方法。
  2. エンジンの出力軸に連結されたポンプインペラと、タービン軸に接続されたタービンランナと、前記ポンプインペラとタービンランナとの間に直列に介設されたワンウエイクラッチ及びトーショナルダンパーとを備え、前記ワンウエイクラッチは前記タービン軸の回転数がエンジン出力軸の回転数を上回る時のみ係合状態となり、前記トーショナルダンパーはエンジン出力軸とタービン軸との間の捩れ振動を吸収するものである、トルクコンバータを備えた自動変速機において、
    アクセル全閉での走行中であることを検出する工程と、
    前記アクセル全閉での走行中、手動操作によって、前記自動変速機のNレンジからDレンジへの切替、NレンジからRレンジへの切替、もしくはダウンシフト変速の指令が出たことを検出する工程と、
    前記手動操作による前記変速指令時に、変速指令時のタービン回転数と変速後のタービン回転数との差回転が大きい程、前記変速指令により係合される係合要素の油圧の立ち上がりを緩やかに制御する工程と、を備えることを特徴とする自動変速機の制御方法。
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