JP2004331845A - シード粒子およびシード粒子の製造方法、並びに重合体粒子 - Google Patents
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Abstract
【課題】短時間で安定に粒子径が大きく、かつ均一性に優れるシード粒子およびシード粒子の製造方法が提供され、並びに該シード粒子を用いることにより、粒子径が大きく、かつ均一性に優れる重合体粒子が提供される。
【解決手段】水溶性重合開始剤の存在下の水性媒体100質量部中、エチレン性不飽和単量体2〜15質量部をソープフリー乳化重合して得られる平均粒子径が0.5〜3μmを有するシード粒子であって、前記水溶性重合開始剤が、カルボキシル基、または水酸基、あるいはカルボキシル基と水酸基との両方の基を有する水溶性重合開始剤であり、かつ前記エチレン性不飽和単量体に対して0.5質量%以上の前記水溶性重合開始剤の存在下で得られるシード粒子。
【選択図】 なし
【解決手段】水溶性重合開始剤の存在下の水性媒体100質量部中、エチレン性不飽和単量体2〜15質量部をソープフリー乳化重合して得られる平均粒子径が0.5〜3μmを有するシード粒子であって、前記水溶性重合開始剤が、カルボキシル基、または水酸基、あるいはカルボキシル基と水酸基との両方の基を有する水溶性重合開始剤であり、かつ前記エチレン性不飽和単量体に対して0.5質量%以上の前記水溶性重合開始剤の存在下で得られるシード粒子。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真球状で粒子径の大きいシード粒子、該シード粒子の製造方法に関するものである。また、本発明は、スペーサー、ブロッキング防止剤、塗料用添加剤、クロマトグラフ用充填剤、診断試薬用、プラスチゾル用として有用な、大粒子径で均一径の重合体粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在までに、真球状で粒子径の大きいシード粒子を得る方法としては、乳化剤の不存在下の水性媒体中でエチレン性不飽和単量体を、水溶性重合開始剤を用いて重合するソープフリー重合が一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、0.5μm以上のシード粒子を得るためには、水性媒体、エチレン性不飽和単量体、および水溶性重合開始剤の比率を正確に合わせる必要があり、そのうえ、水溶性重合開始剤の使用量を少なくしなければならないために長時間の重合を行う必要もあった。さらに、乳化剤の不存在下で長時間重合することにより釜内壁および攪拌羽に多くの凝集物が付着する問題があった。
【0003】
また、大粒子径で均一径の重合体粒子を製造する方法としては、均一径のシード粒子に単量体を吸収させ、重合させる方法が知られている。この方法は、シード粒子を重合の場とすることで粒子数を変化させずに粒子径を大きくする手法である。しかしながら、生産技術として見たとき、シード粒子の粒子径が小さいため、所望の粒子径を得るには重合を繰り返す工程が多くなり反応時間が長くなるといった問題があった。
【0004】
また、シード粒子に大量の単量体を吸収させて重合を行い、繰り返される重合の回数を減らす手法も知られている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、この方法では、大量の単量体をシード粒子に吸収させる目的で特定の油成分をシード粒子に吸収させる必要があり、得られる重合体粒子の純度の低下と性能への影響が問題になっていた。
【0005】
【特許文献1】
特公昭49−5615号公報
【特許文献2】
特公昭57−24369号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、短時間で安定に粒子径が大きく、かつ均一性に優れるシード粒子およびシード粒子の製造方法を提供すること、並びに該シード粒子を用いることにより、粒子径が大きく、かつ均一性に優れる重合体粒子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討をした結果、上記の課題を解決できた。
すなわち、本発明は、水溶性重合開始剤の存在下の水性媒体100質量部中、エチレン性不飽和単量体2〜15質量部をソープフリー乳化重合して得られる平均粒子径が0.5〜3μmを有するシード粒子であって、前記水溶性重合開始剤が、カルボキシル基、または水酸基、あるいはカルボキシル基と水酸基との両方の基を有する水溶性重合開始剤であり、かつ前記エチレン性不飽和単量体に対して0.5質量%以上の前記水溶性重合開始剤の存在下で得られるシード粒子を提供するものである。
また、本発明は、前記水溶性重合開始剤が、アゾ系重合開始剤である前記のシード粒子を提供するものである。
また、本発明は、前記エチレン性不飽和単量体が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも一種を含む前記のシード粒子を提供するものである。
また、本発明は、(イ)水性媒体中に水溶性重合開始剤を添加し、攪拌しながら重合反応温度60〜90℃まで昇温する工程;および(ロ)前記水性媒体中にエチレン性不飽和単量体を添加し、前記重合反応温度を一定に保ちながら、重合反応を行う工程を含むシード粒子の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記シード粒子が分散する分散水性媒体100質量部中に、エチレン性不飽和単量体20〜200質量部と乳化剤0.1〜5質量部とを添加して、前記シード粒子に前記エチレン性不飽和単量体を吸収させて重合して得られる平均粒子径が1μm〜15μmを有する重合体粒子を提供するものである。
また、本発明は、前記エチレン性不飽和単量体が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも一種を含む前記の重合体粒子を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明に記述する粒子径は全て体積平均粒子径である。
<シード粒子>
本発明のシード粒子は、水溶性重合開始剤の存在下の水性媒体100質量部中、エチレン性不飽和単量体2〜15質量部をソープフリー乳化重合して得られる平均粒子径が0.5〜3μmを有するシード粒子であって、前記水溶性重合開始剤が、カルボキシル基、または水酸基、あるいはカルボキシル基と水酸基との両方の基を有する水溶性重合開始剤であり、かつ前記エチレン性不飽和単量体に対して0.5質量%以上の前記水溶性重合開始剤の存在下で得られるものである。なお、前記ソープフリー乳化重合とは、乳化重合の一種であり、乳化剤を使用しない乳化重合のことをいう。
【0009】
本発明のシード粒子を得るために使用されるエチレン性不飽和単量体としては、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、エチルビニルベンゼン、α−メチルスチレン、フルオロスチレンなどの芳香族モノビニル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−、i−、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジエンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート単量体;スルホン酸基または硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体;シリコン変性単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどのエポキシ基含有単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミドなどのアミド基含有単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体などが挙げられ、これらは1種または2種以上で使用することができる。使用するエチレン性不飽和単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0010】
前記エチレン性不飽和単量体は、水性媒体100質量部に対して2〜15質量部を使用することが好ましく、より好ましくは3〜10質量部である。使用するエチレン性不飽和単量体が2質量部より少ない時には、粒子径の大きいシード粒子を得ることができず、後述の重合体粒子の製造における重合反応に長時間を費やす欠点がある。一方で、使用するエチレン性不飽和単量体が15質量部より多い時には、反応容器の壁に粗粒が付着しやすいという欠点がある。
【0011】
本発明におけるソープフリー乳化重合で使用される水溶性重合開始剤としては、カルボキシル基、または水酸基、あるいはカルボキシル基と水酸基との両方の基を有する水溶性重合開始剤であればよく、例えば、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系重合開始剤、過酸化水素、コハク酸パーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。本発明では、特に、アゾ系重合開始剤が好ましい。
【0012】
前記水溶性重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽和単量体に対して0.5質量%以上であり、好ましくは1質量%以上である。使用量が0.5質量%未満では、重合速度が遅くなるという欠点がある。
【0013】
<シード粒子の製造方法>
本発明のシード粒子の製造方法は、(イ)水性媒体中に水溶性重合開始剤を添加し、攪拌しながら重合反応温度60〜90℃まで昇温する工程;および(ロ)前記水性媒体中にエチレン性不飽和単量体を添加し、前記重合反応温度を一定に保ちながら、0.5〜2時間で重合反応を行う工程を含む。
【0014】
本発明においては、上記水溶性重合開始剤と還元剤とを併用するレドックス重合も行うことができる。さらに、メルカプタン類、アルコール系有機溶剤、脂肪族系有機溶剤、芳香族系有機溶剤等を分子量調整剤として併用することも可能である。
【0015】
<重合体粒子>
本発明の重合体粒子は、上記にて得られたシード粒子が分散する分散水性媒体100質量部中に、エチレン性不飽和単量体20〜200質量部と乳化剤0.1〜5質量部とを添加して、前記シード粒子に前記エチレン性不飽和単量体を吸収させて重合して得られる平均粒子径が1μm〜15μmを有する重合体粒子である。
【0016】
本発明の重合体粒子を得るために使用される乳化剤は、特に制限はなく、一般的なシード重合反応に用いられている乳化剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類の塩類等のアニオン乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン乳化剤等を挙げることができる。
また、ビニルスルホン酸塩類、アクリル酸ポリオキシエチレン硫酸塩類、メタクリル酸ポリオキシエチレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルケニルフェニルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルケニルフェニル硫酸塩類、ナトリウムアリルアルキルスルホコハク酸塩類、メタクリル酸ポリオキシプロピレンスルホン酸塩類等のアニオン系反応性乳化剤;ポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンメタクリロイルエーテル等のノニオン系反応性乳化剤などの反応性乳化剤も用いることができる。これらの乳化剤は、複数種用いることも可能である。
【0017】
本発明の重合体粒子を得るために使用されるエチレン性不飽和単量体としては、上記のシード粒子を得るために使用できるものと同様のものが挙げられる。使用するエチレン性不飽和単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0018】
また、重合反応時にさらに水溶性重合開始剤を追加することも可能である。重合反応時に追加される水溶性重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系重合開始剤、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系重合開始剤、過酸化水素、コハク酸パーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤を使用することができる。また、本発明においては、上記水溶性重合開始剤と還元剤とを併用するレドックス重合も行うことができる。
また、必要であれば、その他の添加剤、例えば、メルカプタン類、アルコール系有機溶剤、脂肪族系有機溶剤、芳香族系有機溶剤などの分子量調整剤等を使用することも可能である。
【0019】
<重合体粒子の製造方法>
本発明における、重合体粒子の製造方法は、通常のシード重合方法に従って行えばよく、例えば、(1)上記にて得られたシード粒子が分散する分散水性媒体を攪拌しながら重合反応温度60〜90℃まで昇温する工程;および(2)前記分散水性媒体中にエチレン性不飽和単量体と乳化剤との混合溶液を添加し、前記重合反応温度を一定に保ちながら、0.5〜4時間で重合反応を行う工程を含む。
【0020】
本発明における重合体粒子の製造方法では、上記のシード粒子を得る工程からそのまま連続して重合体粒子を得る工程を行うことができるが、得られた上記シード粒子の一部を取り出し濃度調製等を行った後、重合体粒子を得る工程を行うことも可能である。濃度調製は、シード粒子が2〜13質量%の濃度になるまで行うことができる。濃度が2質量%より低いと、重合体粒子の反応時間が長くなるため好ましくない。また、13質量%より高いと、反応容器の壁に粗粒が付着しやすいという欠点がある。
【0021】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれらに何ら限定されるものではない。なお、粒子径に関するデータは、MICROTRAC HRA(日機装(株)製 粒度分析計)にて測定した体積平均粒子径に基づいた値である。また、「部」は「質量部」を示す。
【0022】
(実施例1)シード粒子1の製造例
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を取り付けた3リットルの4つ口フラスコに、水950部と、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)1部とを仕込み、撹拌しつつ内部温度を75℃に上げた。次に、その中にメチルメタクリレート25部とエチルアクリレート25部との混合物を反応容器中へ加えて、内部温度を75℃に保つように反応を行った。そして、2時間重合反応し、シード粒子の分散液を得た。シード粒子1の平均粒子径は、0.98μmであった。
【0023】
(実施例2)シード粒子2の製造例
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を取り付けた3リットルの4つ口フラスコに、水880部と、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)2部とを仕込み、撹拌しつつ内部温度を75℃に上げた。次に、その中にスチレン70部とn−ブチルアクリレート50部との混合物を反応容器中へ加えて、内部温度を75℃に保つように反応を行った。そして、2時間重合反応し、シード粒子の分散液を得た。シード粒子2の平均粒子径は、1.31μmであった。
【0024】
(実施例3)シード粒子3の製造例
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を取り付けた3リットルの4つ口フラスコに、水980部と、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)1部とを仕込み、撹拌しつつ内部温度を75℃に上げた。次に、その中にメチルメタクリレート10部とn−ブチルアクリレート10部との混合物を反応容器中へ加えて、内部温度を75℃に保つように反応を行った。そして、2時間重合反応し、シード粒子の分散液を得た。シード粒子3の平均粒子径は、0.82μmであった。
【0025】
(実施例4)シード粒子4の製造例
実施例1の2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)を4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)に変更した以外は同じ操作でシード粒子の分散液を得た。シード粒子4の平均粒子径は、1.01μmであった。
【0026】
(実施例5)シード粒子5の製造例
実施例1の2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)を2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミドに変更した以外は同じ操作でシード粒子の分散液を得た。シード粒子5の平均粒子径は、1.05μmであった。
【0027】
(比較例1)シード粒子6の製造例
<水性媒体100質量部に対してエチレン性不飽和単量体1質量部の場合>
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を取り付けた3リットルの4つ口フラスコに、水990部と、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)0.5部とを仕込み、撹拌しつつ内部温度を75℃に上げた。次に、その中にメチルメタクリレート5部とブチルアクリレート5部との混合物を反応容器中へ加えて、内部温度を75℃に保つように反応を行った。そして、2時間重合反応し、シード粒子6の分散液を得た。シード粒子の平均粒子径は、0.31μmであった。
【0028】
(比較例2)シード粒子7の製造例
<水性媒体100質量部に対してエチレン性不飽和単量体20質量部の場合>
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を取り付けた1リットルの4つ口フラスコに、水800部と、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)2部とを仕込み、撹拌しつつ内部温度を75℃に上げた。次に、その中にメチルスチレン100部とブチルアクリレート100部との混合物を反応容器中へ加えて、内部温度を75℃に保つように反応を行った。そして、2時間重合反応し、シード粒子の分散液を得たが、反応容器の内壁に多くの凝集物が確認された。シード粒子7の平均粒子径は、1.63μmであった。
【0029】
(比較例3)シード粒子8の製造例
<水溶性重合開始剤が過硫酸塩系重合開始剤である場合>
実施例1の2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)を過硫酸カリウムに変更した以外は同じ操作でシード粒子の分散液を得た。シード粒子8の平均粒子径は、0.32μmであった。
【0030】
(比較例4)シード粒子9の製造例
<水溶性重合開始剤がエチレン性不飽和単量体に対して0.5質量%未満の場合>
実施例1の2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)1部を0.2部に変更した以外は同じ操作で反応を行った。そして、8時間重合反応し、サンプルを採取したところ多くの単量体が残存していたので反応を終了した。
【0031】
(実施例6〜12、比較例5、比較例6)重合体粒子の製造例
得られたシード粒子1〜8それぞれが分散する分散液1000部を撹拌しつつ内部温度を75℃に保った。そして、表1に示したそれぞれの単量体の混合物にジアルキルスルホコハク酸ナトリウムを単量体質量の0.5質量%加えて混合溶液をつくり、その混合溶液を前記シード粒子分散液中に3時間にわたって均一滴下した。反応温度は内部温度を75℃に保った。その後、反応容器を80℃に昇温し1時間反応させてから冷却し、重合体粒子の分散液を得た。重合体粒子の平均粒子径(μm)を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、短時間で安定に粒子径が大きく、かつ均一性に優れるシード粒子およびシード粒子の製造方法が提供され、並びに該シード粒子を用いることにより、粒子径が大きく、かつ均一性に優れる重合体粒子が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、真球状で粒子径の大きいシード粒子、該シード粒子の製造方法に関するものである。また、本発明は、スペーサー、ブロッキング防止剤、塗料用添加剤、クロマトグラフ用充填剤、診断試薬用、プラスチゾル用として有用な、大粒子径で均一径の重合体粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在までに、真球状で粒子径の大きいシード粒子を得る方法としては、乳化剤の不存在下の水性媒体中でエチレン性不飽和単量体を、水溶性重合開始剤を用いて重合するソープフリー重合が一般的に知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、0.5μm以上のシード粒子を得るためには、水性媒体、エチレン性不飽和単量体、および水溶性重合開始剤の比率を正確に合わせる必要があり、そのうえ、水溶性重合開始剤の使用量を少なくしなければならないために長時間の重合を行う必要もあった。さらに、乳化剤の不存在下で長時間重合することにより釜内壁および攪拌羽に多くの凝集物が付着する問題があった。
【0003】
また、大粒子径で均一径の重合体粒子を製造する方法としては、均一径のシード粒子に単量体を吸収させ、重合させる方法が知られている。この方法は、シード粒子を重合の場とすることで粒子数を変化させずに粒子径を大きくする手法である。しかしながら、生産技術として見たとき、シード粒子の粒子径が小さいため、所望の粒子径を得るには重合を繰り返す工程が多くなり反応時間が長くなるといった問題があった。
【0004】
また、シード粒子に大量の単量体を吸収させて重合を行い、繰り返される重合の回数を減らす手法も知られている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、この方法では、大量の単量体をシード粒子に吸収させる目的で特定の油成分をシード粒子に吸収させる必要があり、得られる重合体粒子の純度の低下と性能への影響が問題になっていた。
【0005】
【特許文献1】
特公昭49−5615号公報
【特許文献2】
特公昭57−24369号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、短時間で安定に粒子径が大きく、かつ均一性に優れるシード粒子およびシード粒子の製造方法を提供すること、並びに該シード粒子を用いることにより、粒子径が大きく、かつ均一性に優れる重合体粒子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討をした結果、上記の課題を解決できた。
すなわち、本発明は、水溶性重合開始剤の存在下の水性媒体100質量部中、エチレン性不飽和単量体2〜15質量部をソープフリー乳化重合して得られる平均粒子径が0.5〜3μmを有するシード粒子であって、前記水溶性重合開始剤が、カルボキシル基、または水酸基、あるいはカルボキシル基と水酸基との両方の基を有する水溶性重合開始剤であり、かつ前記エチレン性不飽和単量体に対して0.5質量%以上の前記水溶性重合開始剤の存在下で得られるシード粒子を提供するものである。
また、本発明は、前記水溶性重合開始剤が、アゾ系重合開始剤である前記のシード粒子を提供するものである。
また、本発明は、前記エチレン性不飽和単量体が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも一種を含む前記のシード粒子を提供するものである。
また、本発明は、(イ)水性媒体中に水溶性重合開始剤を添加し、攪拌しながら重合反応温度60〜90℃まで昇温する工程;および(ロ)前記水性媒体中にエチレン性不飽和単量体を添加し、前記重合反応温度を一定に保ちながら、重合反応を行う工程を含むシード粒子の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記シード粒子が分散する分散水性媒体100質量部中に、エチレン性不飽和単量体20〜200質量部と乳化剤0.1〜5質量部とを添加して、前記シード粒子に前記エチレン性不飽和単量体を吸収させて重合して得られる平均粒子径が1μm〜15μmを有する重合体粒子を提供するものである。
また、本発明は、前記エチレン性不飽和単量体が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも一種を含む前記の重合体粒子を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明に記述する粒子径は全て体積平均粒子径である。
<シード粒子>
本発明のシード粒子は、水溶性重合開始剤の存在下の水性媒体100質量部中、エチレン性不飽和単量体2〜15質量部をソープフリー乳化重合して得られる平均粒子径が0.5〜3μmを有するシード粒子であって、前記水溶性重合開始剤が、カルボキシル基、または水酸基、あるいはカルボキシル基と水酸基との両方の基を有する水溶性重合開始剤であり、かつ前記エチレン性不飽和単量体に対して0.5質量%以上の前記水溶性重合開始剤の存在下で得られるものである。なお、前記ソープフリー乳化重合とは、乳化重合の一種であり、乳化剤を使用しない乳化重合のことをいう。
【0009】
本発明のシード粒子を得るために使用されるエチレン性不飽和単量体としては、特に限定されるものではなく、例えば、スチレン、エチルビニルベンゼン、α−メチルスチレン、フルオロスチレンなどの芳香族モノビニル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−、i−、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジエンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート単量体;スルホン酸基または硫酸エステル基を有するエチレン性不飽和単量体;シリコン変性単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどのエポキシ基含有単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミドなどのアミド基含有単量体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体などが挙げられ、これらは1種または2種以上で使用することができる。使用するエチレン性不飽和単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0010】
前記エチレン性不飽和単量体は、水性媒体100質量部に対して2〜15質量部を使用することが好ましく、より好ましくは3〜10質量部である。使用するエチレン性不飽和単量体が2質量部より少ない時には、粒子径の大きいシード粒子を得ることができず、後述の重合体粒子の製造における重合反応に長時間を費やす欠点がある。一方で、使用するエチレン性不飽和単量体が15質量部より多い時には、反応容器の壁に粗粒が付着しやすいという欠点がある。
【0011】
本発明におけるソープフリー乳化重合で使用される水溶性重合開始剤としては、カルボキシル基、または水酸基、あるいはカルボキシル基と水酸基との両方の基を有する水溶性重合開始剤であればよく、例えば、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系重合開始剤、過酸化水素、コハク酸パーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。本発明では、特に、アゾ系重合開始剤が好ましい。
【0012】
前記水溶性重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽和単量体に対して0.5質量%以上であり、好ましくは1質量%以上である。使用量が0.5質量%未満では、重合速度が遅くなるという欠点がある。
【0013】
<シード粒子の製造方法>
本発明のシード粒子の製造方法は、(イ)水性媒体中に水溶性重合開始剤を添加し、攪拌しながら重合反応温度60〜90℃まで昇温する工程;および(ロ)前記水性媒体中にエチレン性不飽和単量体を添加し、前記重合反応温度を一定に保ちながら、0.5〜2時間で重合反応を行う工程を含む。
【0014】
本発明においては、上記水溶性重合開始剤と還元剤とを併用するレドックス重合も行うことができる。さらに、メルカプタン類、アルコール系有機溶剤、脂肪族系有機溶剤、芳香族系有機溶剤等を分子量調整剤として併用することも可能である。
【0015】
<重合体粒子>
本発明の重合体粒子は、上記にて得られたシード粒子が分散する分散水性媒体100質量部中に、エチレン性不飽和単量体20〜200質量部と乳化剤0.1〜5質量部とを添加して、前記シード粒子に前記エチレン性不飽和単量体を吸収させて重合して得られる平均粒子径が1μm〜15μmを有する重合体粒子である。
【0016】
本発明の重合体粒子を得るために使用される乳化剤は、特に制限はなく、一般的なシード重合反応に用いられている乳化剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類の塩類等のアニオン乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン乳化剤等を挙げることができる。
また、ビニルスルホン酸塩類、アクリル酸ポリオキシエチレン硫酸塩類、メタクリル酸ポリオキシエチレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルケニルフェニルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルケニルフェニル硫酸塩類、ナトリウムアリルアルキルスルホコハク酸塩類、メタクリル酸ポリオキシプロピレンスルホン酸塩類等のアニオン系反応性乳化剤;ポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンメタクリロイルエーテル等のノニオン系反応性乳化剤などの反応性乳化剤も用いることができる。これらの乳化剤は、複数種用いることも可能である。
【0017】
本発明の重合体粒子を得るために使用されるエチレン性不飽和単量体としては、上記のシード粒子を得るために使用できるものと同様のものが挙げられる。使用するエチレン性不飽和単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0018】
また、重合反応時にさらに水溶性重合開始剤を追加することも可能である。重合反応時に追加される水溶性重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系重合開始剤、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系重合開始剤、過酸化水素、コハク酸パーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤を使用することができる。また、本発明においては、上記水溶性重合開始剤と還元剤とを併用するレドックス重合も行うことができる。
また、必要であれば、その他の添加剤、例えば、メルカプタン類、アルコール系有機溶剤、脂肪族系有機溶剤、芳香族系有機溶剤などの分子量調整剤等を使用することも可能である。
【0019】
<重合体粒子の製造方法>
本発明における、重合体粒子の製造方法は、通常のシード重合方法に従って行えばよく、例えば、(1)上記にて得られたシード粒子が分散する分散水性媒体を攪拌しながら重合反応温度60〜90℃まで昇温する工程;および(2)前記分散水性媒体中にエチレン性不飽和単量体と乳化剤との混合溶液を添加し、前記重合反応温度を一定に保ちながら、0.5〜4時間で重合反応を行う工程を含む。
【0020】
本発明における重合体粒子の製造方法では、上記のシード粒子を得る工程からそのまま連続して重合体粒子を得る工程を行うことができるが、得られた上記シード粒子の一部を取り出し濃度調製等を行った後、重合体粒子を得る工程を行うことも可能である。濃度調製は、シード粒子が2〜13質量%の濃度になるまで行うことができる。濃度が2質量%より低いと、重合体粒子の反応時間が長くなるため好ましくない。また、13質量%より高いと、反応容器の壁に粗粒が付着しやすいという欠点がある。
【0021】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれらに何ら限定されるものではない。なお、粒子径に関するデータは、MICROTRAC HRA(日機装(株)製 粒度分析計)にて測定した体積平均粒子径に基づいた値である。また、「部」は「質量部」を示す。
【0022】
(実施例1)シード粒子1の製造例
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を取り付けた3リットルの4つ口フラスコに、水950部と、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)1部とを仕込み、撹拌しつつ内部温度を75℃に上げた。次に、その中にメチルメタクリレート25部とエチルアクリレート25部との混合物を反応容器中へ加えて、内部温度を75℃に保つように反応を行った。そして、2時間重合反応し、シード粒子の分散液を得た。シード粒子1の平均粒子径は、0.98μmであった。
【0023】
(実施例2)シード粒子2の製造例
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を取り付けた3リットルの4つ口フラスコに、水880部と、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)2部とを仕込み、撹拌しつつ内部温度を75℃に上げた。次に、その中にスチレン70部とn−ブチルアクリレート50部との混合物を反応容器中へ加えて、内部温度を75℃に保つように反応を行った。そして、2時間重合反応し、シード粒子の分散液を得た。シード粒子2の平均粒子径は、1.31μmであった。
【0024】
(実施例3)シード粒子3の製造例
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を取り付けた3リットルの4つ口フラスコに、水980部と、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)1部とを仕込み、撹拌しつつ内部温度を75℃に上げた。次に、その中にメチルメタクリレート10部とn−ブチルアクリレート10部との混合物を反応容器中へ加えて、内部温度を75℃に保つように反応を行った。そして、2時間重合反応し、シード粒子の分散液を得た。シード粒子3の平均粒子径は、0.82μmであった。
【0025】
(実施例4)シード粒子4の製造例
実施例1の2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)を4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)に変更した以外は同じ操作でシード粒子の分散液を得た。シード粒子4の平均粒子径は、1.01μmであった。
【0026】
(実施例5)シード粒子5の製造例
実施例1の2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)を2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミドに変更した以外は同じ操作でシード粒子の分散液を得た。シード粒子5の平均粒子径は、1.05μmであった。
【0027】
(比較例1)シード粒子6の製造例
<水性媒体100質量部に対してエチレン性不飽和単量体1質量部の場合>
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を取り付けた3リットルの4つ口フラスコに、水990部と、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)0.5部とを仕込み、撹拌しつつ内部温度を75℃に上げた。次に、その中にメチルメタクリレート5部とブチルアクリレート5部との混合物を反応容器中へ加えて、内部温度を75℃に保つように反応を行った。そして、2時間重合反応し、シード粒子6の分散液を得た。シード粒子の平均粒子径は、0.31μmであった。
【0028】
(比較例2)シード粒子7の製造例
<水性媒体100質量部に対してエチレン性不飽和単量体20質量部の場合>
攪拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却器を取り付けた1リットルの4つ口フラスコに、水800部と、2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)2部とを仕込み、撹拌しつつ内部温度を75℃に上げた。次に、その中にメチルスチレン100部とブチルアクリレート100部との混合物を反応容器中へ加えて、内部温度を75℃に保つように反応を行った。そして、2時間重合反応し、シード粒子の分散液を得たが、反応容器の内壁に多くの凝集物が確認された。シード粒子7の平均粒子径は、1.63μmであった。
【0029】
(比較例3)シード粒子8の製造例
<水溶性重合開始剤が過硫酸塩系重合開始剤である場合>
実施例1の2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)を過硫酸カリウムに変更した以外は同じ操作でシード粒子の分散液を得た。シード粒子8の平均粒子径は、0.32μmであった。
【0030】
(比較例4)シード粒子9の製造例
<水溶性重合開始剤がエチレン性不飽和単量体に対して0.5質量%未満の場合>
実施例1の2,2’−アゾビス(N−(2−カルボキシエチル)−2―メチル−プロピオンアミジン)1部を0.2部に変更した以外は同じ操作で反応を行った。そして、8時間重合反応し、サンプルを採取したところ多くの単量体が残存していたので反応を終了した。
【0031】
(実施例6〜12、比較例5、比較例6)重合体粒子の製造例
得られたシード粒子1〜8それぞれが分散する分散液1000部を撹拌しつつ内部温度を75℃に保った。そして、表1に示したそれぞれの単量体の混合物にジアルキルスルホコハク酸ナトリウムを単量体質量の0.5質量%加えて混合溶液をつくり、その混合溶液を前記シード粒子分散液中に3時間にわたって均一滴下した。反応温度は内部温度を75℃に保った。その後、反応容器を80℃に昇温し1時間反応させてから冷却し、重合体粒子の分散液を得た。重合体粒子の平均粒子径(μm)を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、短時間で安定に粒子径が大きく、かつ均一性に優れるシード粒子およびシード粒子の製造方法が提供され、並びに該シード粒子を用いることにより、粒子径が大きく、かつ均一性に優れる重合体粒子が提供される。
Claims (6)
- 水溶性重合開始剤の存在下の水性媒体100質量部中、エチレン性不飽和単量体2〜15質量部をソープフリー乳化重合して得られる平均粒子径が0.5〜3μmを有するシード粒子であって、前記水溶性重合開始剤が、カルボキシル基、または水酸基、あるいはカルボキシル基と水酸基との両方の基を有する水溶性重合開始剤であり、かつ前記エチレン性不飽和単量体に対して0.5質量%以上の前記水溶性重合開始剤の存在下で得られるシード粒子。
- 前記水溶性重合開始剤が、アゾ系重合開始剤である請求項1に記載のシード粒子。
- 前記エチレン性不飽和単量体が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも一種を含む請求項1または2に記載のシード粒子。
- (イ)水性媒体中に水溶性重合開始剤を添加し、攪拌しながら重合反応温度60〜90℃まで昇温する工程;および
(ロ)前記水性媒体中にエチレン性不飽和単量体を添加し、前記重合反応温度を一定に保ちながら、重合反応を行う工程を含むシード粒子の製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載のシード粒子が分散する分散水性媒体100質量部中に、エチレン性不飽和単量体20〜200質量部と乳化剤0.1〜5質量部とを添加して、前記シード粒子に前記エチレン性不飽和単量体を吸収させて重合して得られる平均粒子径が1μm〜15μmを有する重合体粒子。
- 前記エチレン性不飽和単量体が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルよりなる群から選ばれる少なくとも一種を含む請求項5に記載の重合体粒子。
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