JP2002129093A - エマルションの製造方法およびこのエマルションを用いた塗料組成物 - Google Patents

エマルションの製造方法およびこのエマルションを用いた塗料組成物

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JP2002129093A
JP2002129093A JP2000329491A JP2000329491A JP2002129093A JP 2002129093 A JP2002129093 A JP 2002129093A JP 2000329491 A JP2000329491 A JP 2000329491A JP 2000329491 A JP2000329491 A JP 2000329491A JP 2002129093 A JP2002129093 A JP 2002129093A
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monomer
emulsion
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polymerizable unsaturated
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JP2000329491A
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Tetsuo Ogawa
哲夫 小川
Takeshi Fujii
毅 藤井
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Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分子量の制御が容易で、臭気の問題がなく、
低分子量の場合においても水分散安定性や機械安定性に
優れたエマルションを得る。 【解決手段】 (A)カルボキシル基含有モノマーを5
モル%以上含有し且つスチレン系モノマー及びメタクリ
ロイル基含有モノマーを主体とするモノマー混合物
(a)を、MSDの存在下にラジカル重合してラジカル
重合体を得る工程、(B)上記ラジカル重合体の存在下
に、上記モノマー混合物(a)よりカルボキシル基含有
モノマーのモル分率が低く、且つスチレン系モノマー又
はメタクリロイル基含有モノマーを主体とするモノマー
混合物(b)をラジカル重合してエチレン性不飽和基を
有するマクロモノマーを得る工程及び(C)上記マクロ
モノマーの存在下にエチレン性不飽和化合物をエマルシ
ョン重合する工程、を有するエマルションの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2,4−ジフェニ
ル−4−メチル−1―ペンテンを用いて得たマクロモノ
マーを用いた水性エマルションの製造方法、及びこの水
性エマルションを用いた塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、
エマルション重合においては、分子量制御が困難であ
り、エマルション重合で得られるポリマーの分子量は、
溶液重合で得られるポリマーの分子量と比較すると、通
常、かなり高くなる。このように従来の分子量が高くな
ったエマルションを塗料やフィルムに使用すると、得ら
れる塗膜やフィルムの仕上り外観が悪いといった問題が
あった。
【0003】エマルション重合で低分子量のポリマーを
得る方法としてメルカプタンを連鎖移動剤として使用す
ることが一般に行われているが、メルカプタンには臭気
の問題があり、用途が限定され、また、低分子量化は可
能であるが、生成するエマルションの粘度が高くなった
り、貯蔵安定性や機械安定性が悪くなり易いといった問
題があった。
【0004】本発明の目的は、分子量の制御が容易で、
臭気の問題がなく、低分子量の場合においても水分散安
定性や機械安定性に優れたエマルションを得ることであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、2、4−
ジフェニル−4−メチル−1―ペンテンの存在下にスチ
レン系モノマーまたはメタクリロイル基を有するエチレ
ン性不飽和化合物を主体とするモノマー成分を重合して
得たマクロモノマーの存在下にエマルション重合を行う
ことにより、分子量の制御が容易で、臭気の問題がな
く、貯蔵安定性や機械安定性に優れたエマルションを得
ることが可能であり、上記目的を達成できることを見出
し本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明によれば、(A)カルボキ
シル基含有重合性不飽和モノマーを5モル%以上含有し
且つスチレン系モノマー及びメタクリロイル基含有重合
性不飽和モノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマ
ーを70モル%以上含有するモノマー混合物(a)を、
2,4−ジフェニル−4−メチル−1―ペンテンの存在
下にラジカル重合してラジカル重合体を得る工程、
(B)上記ラジカル重合体の存在下に、上記モノマー混
合物(a)よりカルボキシル基含有重合性不飽和モノマ
ーのモル分率が低く、且つスチレン系モノマー及びメタ
クリロイル基含有重合性不飽和モノマーから選ばれる少
なくとも1種のモノマーを70モル%以上含有するモノ
マー混合物(b)をラジカル重合して下記式(1)
【0007】
【化2】
【0008】で表されるエチレン性不飽和基を有するマ
クロモノマーを得る工程及び(C)水性媒体中にて上記
マクロモノマーの存在下にエチレン性不飽和化合物をエ
マルション重合する工程を有することを特徴とするエマ
ルションの製造方法(以下、「第1の方法」ということ
がある)が提供される。
【0009】また本発明によれば、(D)カルボキシル
基含有重合性不飽和モノマーを5モル%以上含有し且つ
スチレン系モノマー及びメタクリロイル基含有重合性不
飽和モノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマーを
70モル%以上含有するモノマー混合物(a)と、上記
モノマー混合物(a)よりカルボキシル基含有重合性不
飽和モノマーの含有量が少なく且つスチレン系モノマー
及びメタクリロイル基含有重合性不飽和モノマーから選
ばれる少なくとも1種のモノマーを70モル%以上含有
するモノマー混合物(b)とを、モノマー添加開始時に
おけるモノマー混合物(a)の添加比率[モノマー混合
物(a)/モノマー混合物(b)]が最も大きく、経時
でモノマー混合物(a)の添加比率が徐々に小さくなる
ようにして反応容器内へ添加しながら、2,4−ジフェ
ニル−4−メチル−1―ペンテンの存在下にラジカル重
合を行い、前記式(1)で表されるエチレン性不飽和基
を有するマクロモノマーを得る工程及び(E)水性媒体
中にて上記マクロモノマーの存在下にエチレン性不飽和
化合物をエマルション重合する工程を有することを特徴
とするエマルションの製造方法(以下、「第2の方法」
ということがある)が提供される。
【0010】さらに本発明によれば、前記及び上記製造
方法によって得られたエマルションを含有する塗料組成
物が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のエマルションの製造方法
には、第1の方法と第2の方法があり、まず、第1の方
法ついて詳細に説明する。
【0012】本発明第1の方法は、下記の工程(A)、
(B)及び(C)を有する。工程(A) 工程(A)において、モノマー混合物(a)を、2,4
−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの存在下にラ
ジカル重合する。
【0013】モノマー混合物(a)は、カルボキシル基
含有重合性不飽和モノマーを5モル%以上、好ましくは
7〜70モル%含有し且つスチレン系モノマー及びメタ
クリロイル基含有重合性不飽和モノマーから選ばれるモ
ノマー(以下、「特定モノマー」ということがある)を
70モル%以上、好ましくは80モル%以上含有するも
のであり、必要に応じて上記カルボキシル基含有重合性
不飽和モノマーや特定モノマー以外のその他モノマーを
含有することができる。本明細書において、カルボキシ
ル基とは「カルボン酸無水基」も包含するものとする。
【0014】上記カルボキシル基含有重合性不飽和モノ
マーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ク
ロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、2−カ
ルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシ
プロピル(メタ)アクリレート、5−カルボキシペンチ
ル(メタ)アクリレート、イタコン酸無水物、マレイン
酸無水物などを挙げることができ、なかでもアクリル
酸、メタクリル酸を好適に使用することができる。
【0015】スチレン系モノマーとしては、スチレン;
及びスチレンにおける芳香環に任意の置換基の付いた化
合物、例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、
α−クロルスチレン、p−tert−ブトキシスチレン等を
挙げることができる。
【0016】メタクリロイル基含有重合性不飽和モノマ
ー(以下、「メタクリロイルモノマー」と略称することが
ある)は、1分子中に1個のメタクリロイル基を有する
モノマーであり、その具体例としては、例えば、メチル
メタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピル
メタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブ
チルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert
−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリ
レート、n−オクチルメタクリレート、ラウリルメタク
リレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタ
クリレート等のC1 24アルキルメタクリレート;2−
ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピル
メタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート
などのヒドロキシアルキルメタクリレート;3,4−エ
ポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、グリシジ
ルメタクリレートなどのエポキシ基含有メタクリレー
ト;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N
−ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどのアミノ
アルキルメタクリレート;メタアクリルアミド、N,N
−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジ
エチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアミノプロピルメタクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールメタク
リルアミドブチルエーテルなどのメタクリルアミド又は
その誘導体;3−エチル−3−メタクリロイルオキシメ
チルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキ
シメチルオキセタン、3−ブチル−3−メタクリロイル
オキシメチルオキセタンなどのオキセタン環含有メタク
リレート;γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、β−メタクリロイルオキシエチルトリメト
キシシランなどのアルコキシシリル基含有メタクリレー
ト;サイラプレンFM−0711(チッソ(株)製)な
どのジメチルポリシロキサン含有メタクリレート;ヘキ
サフルオロイソプロピルメタクリレート、パーフルオロ
オクチルメチルメタクリレート、パーフルオロオクチル
エチルメタクリレートなどの含フッ素メタクリレート;
カヤマーPM−1、カヤマーPM−2(以上、いずれも
日本化薬社製のリン酸基含有メタクリレート)、2−メ
タクリロイルオキシエチルホスフェートなどのリン酸基
含有メタクリレート;2−メタクリロイルオキシエチル
スルホニックアシッド・ナトリウム塩などのスルホン酸
基含有メタクリレート;メタクリロニトリル、及びメタ
クリル酸などを挙げることができる。これらのメタクリ
ロイルモノマーは、1種で、又は2種以上を組合せて使
用することができる。
【0017】メタクリロイルモノマーとしてメタクリル
酸を例示しているが、本明細書において、カルボキシル
基含有重合性不飽和モノマーとしてメタクリル酸などの
カルボキシル基とメタクリロイル基とを有するモノマー
を使用する場合には、モノマー混合物(a)におけるメ
タクリロイルモノマーの量は、メタクリル酸などのカル
ボキシル基とメタクリロイル基とを有するモノマーを包
含するメタクリロイルモノマーの量を意味する。
【0018】モノマー混合物(a)中に必要に応じて含
有することができる、その他モノマーとしては、例え
ば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプ
ロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブ
チルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート等
のC1 24アルキルアクリレート;2−ヒドロキシエチ
ルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレー
ト;3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレー
ト、グリシジルアクリレートなどのエポキシ基含有アク
リレート;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,
N−ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどのアミ
ノアルキルアクリレート;アクリルアミド、N,N−ジ
メチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジエチル
アミノエチルアクリルアミド、N−メチロールアクリル
アミドメチルエーテル、N−メチロールアクリルアミド
ブチルエーテルなどのアクリルアミド又はその誘導体;
3−エチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタ
ン、3−メチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセ
タンなどのオキセタン環含有アクリレート;AR−20
0(大八化学社製のリン酸基含有アクリレート)などの
リン酸基含有不飽和モノマー;2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホニックアシッド、スチレンスル
ホン酸ソーダなどのスルホン酸基含有不飽和モノマー;
アクリロニトリルなどを挙げることができる。これらの
モノマーは、1種で、又は2種以上を組合せて使用する
ことができる。
【0019】モノマー混合物(a)は、水酸基などの官
能基を有するモノマーを含有すると、得られるエマルシ
ョンは、これらの官能基と反応性を有する基を持つ硬化
剤と反応することができ、硬化性の向上に寄与すること
ができる。
【0020】モノマー混合物(a)は、後記工程(B)
で得られるマクロモノマーの親水性部を構成することが
できるものである。モノマー混合物(a)は、カルボキ
シル基含有重合性不飽和モノマー以外に、さらにスルホ
ン酸基やリン酸基などの酸基含有モノマーを含有するこ
とによって親水性を向上させることができる。
【0021】上記モノマー混合物(a)のラジカル重合
は、付加開裂型の連鎖移動剤である2,4−ジフェニル
−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレンダイ
マーとも呼称される、以下、「MSD」と略称すること
がある)及び必要に応じてラジカル重合開始剤の存在下
で、例えば、有機溶剤中での溶液重合法などの方法によ
って行うことができる。
【0022】上記MSDの使用量は、特に限定されるも
のではないが、通常、モノマー混合物(a)100重量
部に対して、1〜50重量部、好ましくは5〜30重量
部の範囲内であることが適当である。MSDの使用量が
多くなるに従い、工程(A)で得られる重合体が低分子
量となりやすくなる。
【0023】上記ラジカル重合開始剤としては、例え
ば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシク
ロヘキサノンパーオキサイド、1,1−ビス(tert−ブ
チルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキ
サン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロ
ヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパ
ーオキシ)バレレート、クメンハイドロパーオキサイ
ド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパ
ーオキサイド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ
−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイ
ソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミ
ルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロ
イルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,
4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ビス(tert−
ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、te
rt−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等の過
酸化物系重合開始剤;2,2´−アゾビス(イソブチロ
ニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−
カルボニトリル)、アゾクメン、2,2´−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビスジ
メチルバレロニトリル、4,4´−アゾビス(4−シア
ノ吉草酸)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロ
パン、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチルペ
ンタン)、2,2´−アゾビス(2−メチルプロパ
ン)、ジメチル2,2´−アゾビス(2−メチルプロピ
オネート)等のアゾ系重合開始剤を挙げることができ
る。上記ラジカル重合開始剤の使用量は、特に限定され
るものではないが、通常、モノマー混合物(a)100
重量部に対して、20重量部以下、好ましくは0.1〜
10重量部の範囲内であることが適当である。
【0024】上記ラジカル重合を有機溶剤中で行う場合
に使用される有機溶剤としては、モノマー混合物(a)
及び重合によって得られる重合体を溶解又は分散できる
ものであれば特に制限なく使用することができる。上記
有機溶剤の具体例としては、例えば、ヘプタン、トルエ
ン、キシレン、オクタン、ミネラルスピリット等の炭化
水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブ
チル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテー
ト等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、n−ブタノール、 sec−ブタノール、イソ
ブタノール等のアルコール系溶剤;n−ブチルエーテ
ル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテ
ル系溶剤;コスモ石油社製のスワゾール310、スワゾ
ール1000、スワゾール1500等の芳香族石油系溶
剤等を挙げることができる。なかでも、この後の工程で
エマルション重合することから親水性溶剤であることが
好適である。これらの有機溶剤は1種で又は2種以上を
組合せて使用することができる。ラジカル重合時におい
て、上記有機溶剤は、モノマー混合物(a)の合計量に
対して、通常、200重量%以下となる範囲で使用され
る。
【0025】有機溶剤中でモノマー混合物(a)のラジ
カル重合反応を行う場合、付加開裂型連鎖移動剤である
MSD、ラジカル重合開始剤、モノマー混合物(a)及
び有機溶剤を混合し、撹拌しながら加熱してもよいが、
反応熱による系の温度上昇を抑えるために以下の
(1)、(2)の方法が好適に用いられる。 (1)MSDおよび有機溶剤を反応槽に仕込み、60℃
〜200℃の温度で撹拌しながら、モノマー混合物
(a)とラジカル重合開始剤を所定の時間かけて混合滴
下または分離滴下する方法。 (2)上記(1)の方法において、MSDの一部または
全部をモノマーとともに混合滴下、又は分離滴下する方
法。
【0026】上記重合反応において、重合反応はラジカ
ル重合一般で行われるように窒素やアルゴンなどの不活
性ガスを吹き込みながら行うことが好ましい。
【0027】工程(A)において、上記のようにして得
られるラジカル重合体は、末端に連鎖移動剤であるMS
Dに基づく下記式(1)
【0028】
【化3】
【0029】で示されるエチレン性不飽和基を有してお
り、また、このラジカル重合体は数平均分子量が200
〜100,000、特に400〜40,000の範囲内
にあることが好適である。
【0030】工程(B) 工程(B)においては、上記工程(A)によって製造さ
れた末端にエチレン性不飽和基を有するラジカル重合体
の存在下に、下記モノマー混合物(b)をラジカル重合
して末端にエチレン性不飽和基を有するABブロック共
重合体であるマクロモノマーを製造する。
【0031】上記マクロモノマーを製造するために使用
されるモノマー混合物(b)は、上記モノマー混合物
(a)よりもカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー
のモル分率が低く、且つスチレン系モノマー及びメタク
リロイル基含有重合性不飽和モノマーから選ばれる少な
くとも1種のモノマーを70モル%以上、好ましくは8
0モル%以上含有する。
【0032】モノマー混合物(b)は、スチレン系モノ
マー及びメタクリロイルモノマーから選ばれる少なくと
も1種のモノマー(特定モノマー)と、必要に応じて、
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー、その他モノ
マーからなる。
【0033】上記特定モノマー、カルボキシル基含有重
合性不飽和モノマー及びその他モノマーとしては、前記
工程(A)で説明した各モノマーを使用することができ
る。
【0034】上記マクロモノマーの製造における、工程
(A)で得られたラジカル重合体とモノマー混合物
(b)との配合比率は、特に限定されるものではない
が、通常、前者:後者の比で、5:95〜95:5、好
ましくは10:90〜90:10の範囲内にあることが
好適である。ラジカル重合体の比率が大きくなるに従い
低分子量のマクロモノマーが得られ易くなる。
【0035】モノマー混合物(b)のラジカル重合は、
工程(A)で得られたラジカル重合体及び必要に応じて
ラジカル重合開始剤の存在下に、前記工程(A)におけ
ると同様の重合方法によって行うことができる。上記ラ
ジカル重合開始剤としては、工程(A)で使用可能なも
のとして記載したラジカル重合開始剤を同様に使用する
ことができる。ラジカル重合を有機溶剤中で行う場合に
は、有機溶剤としては、工程(A)で使用可能なものと
して記載した有機溶剤を同様に使用することができる。
【0036】工程(B)によって製造されるマクロモノ
マーは、工程(A)で得られたラジカル重合体にモノマ
ー混合物(b)のポリマー鎖がブロック状に導入された
ものであり、工程(A)で得られたラジカル重合体のエ
チレン性不飽和基はほとんど消費されず、得られるマク
ロモノマーは末端に前記式(1)で表されるエチレン性
不飽和基を有する。
【0037】マクロモノマーは、数平均分子量が300
〜200,000、特に500〜50,000の範囲内
にあり、樹脂酸価が1〜1000KOHmg/g、特に
5〜500KOHmg/gの範囲内にあることが好適で
ある。
【0038】工程(C) 工程(C)においては、水性媒体中にて上記工程(B)
で得られたマクロモノマーの存在下にエチレン性不飽和
化合物をエマルション重合する。
【0039】水性媒体は、水、又は有機溶剤と水との混
和溶液である。混和溶液における水の量は、50重量%
以上、特に70重量%以上であることが好適である。混
和溶液における有機溶剤としては、水と均一に混合でき
るものであり、例えば、前記工程(A)において溶液重
合の際に使用可能な有機溶剤のうち、アルコール系、エ
ステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤などを好
適に使用することができる。マクロモノマーを、溶液重
合で得られたマクロモノマーの有機溶剤溶液の形態で使
用する場合には、この溶液に含まれる有機溶剤が系中に
持ち込まれ、この有機溶剤が水との混和溶液を構成す
る。
【0040】エマルション重合を行うに際して、マクロ
モノマーは有機溶剤溶液の形態で使用することができる
が、公知の脱溶剤法や乾燥法により有機溶剤を除去して
固形樹脂として使用することもできる。また、マクロモ
ノマーは、中和により水分散性を付与、向上して、エマ
ルション重合に供することができる。中和に用いられる
中和剤としては、アミン化合物、アンモニア、アルカリ
金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物など塩基性化
合物を挙げることができる。中和当量はマクロモノマー
中のカルボキシル基に対して、通常、1.2以下、特に
0.2〜1.0であることが好ましい。ここで、カルボ
ン酸無水基1個はカルボキシル基2個として計算する。
【0041】エマルション重合されるエチレン性不飽和
化合物としては、ラジカル重合性を有するものであれば
種類に制限なく使用でき、得られるエマルションに望ま
れる性能に応じて適宜選択することができる。具体的な
例として、前記工程(A)でモノマー混合物(a)のモ
ノマー成分として使用されるカルボキシル基含有重合性
不飽和モノマー、スチレン系モノマー及びメタクリロイ
ル基含有重合性不飽和モノマーとして説明したモノマー
ならびにその他モノマーを挙げることができる。これら
のモノマーは、単独で又は2種以上を組合せて使用する
ことができる。
【0042】上記エチレン性不飽和化合物をエマルショ
ン重合する際には、分散安定化剤として前記マクロモノ
マーを利用することができ、必要に応じて分散安定性向
上のため、その他のアニオン性乳化剤、カチオン性乳化
剤、ノニオン性乳化剤を併用してもよい。上記のアニオ
ン性乳化剤は、特に限定されるものではなく、例えばス
ルホン酸基、リン酸基等を有する乳化剤を用いることが
できる。また、ノニオン性乳化剤としては、ポリエチレ
ングリコール型、多価アルコール型、アマイド系等のノ
ニオン性乳化剤を用いることができ、一般にはHLBが
5〜20のものが使用される。カチオン性乳化剤として
はアンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩な
どのカチオン性基を有するものを使用することができ
る。これらのアニオン性、カチオン性及びノニオン性の
乳化剤は、ラジカル反応性不飽和基を有する反応性乳化
剤であってもよい。
【0043】エマルション重合する際の、エチレン性不
飽和化合物とマクロモノマーとの配合比率は、特に限定
されるものではないが、通常、前者/後者の固形分比で
95/5〜5/95、特に90/10〜10/90の範
囲内にあることが好適である。マクロモノマーの配合比
率が大きくなるに従い低分子量のエマルション樹脂が得
られ易くなる。
【0044】得られるエマルションの固形分濃度は10
〜80重量%の範囲にあることがエマルション重合の際
のエマルションの安定性等の点から好ましい。エマルシ
ョンの粒子径は一般に1μm以下程度であることが好ま
しく、粒子径は使用する乳化剤やマクロモノマーの組成
や量によって調整することができる。
【0045】エマルション重合方法としては、(1)マ
クロモノマーをエマルション重合されるエチレン性不飽
和化合物に溶解させて、水性媒体(必要に応じて乳化剤
が分散されていてもよい)中に滴下してエマルション重
合を行う方法、(2)水性媒体中にマクロモノマー及び
必要に応じて乳化剤を分散しておき、この中にエチレン
性不飽和化合物を滴下してエマルション重合を行う方法
などを好適に用いることができる。(3)水性媒体中に
マクロモノマー、エチレン性不飽和化合物及び必要に応
じて乳化剤を仕込み攪拌してエマルション化し、エマル
ション重合を行う方法、(4)水性媒体、マクロモノマ
ー、エチレン性不飽和化合物及び必要に応じて乳化剤を
含有するプレエマルションを作成し水性媒体中に滴下す
る方法及び(5)水性媒体、エチレン性不飽和化合物及
び乳化剤を含有するプレエマルションを作成しマクロモ
ノマーが分散された水性媒体中に滴下する方法などを挙
げることができる。上記エマルション重合において、レ
ドックス系重合開始剤や水溶性の過酸化物、アゾ系開始
剤などの従来公知の重合開始剤を使用することができ
る。また、エマルション重合反応温度は200℃以下が
好ましい。
【0046】エマルション重合において、エチレン性不
飽和化合物は、必要に応じて組成の異なる成分に分けて
仕込んだり、傾斜配合によりフィードして配合してもよ
い。
【0047】次に本発明第2の方法ついて詳細に説明す
る。本発明第2の方法は、下記の工程(D)及び(E)
を有する。工程(D) 工程(D)においては、モノマー混合物(a)とモノマ
ー混合物(b)とを、モノマー添加開始時におけるモノ
マー混合物(a)の添加比率[モノマー混合物(a)/
モノマー混合物(b)]が最も大きく、経時でモノマー
混合物(a)の添加比率が徐々に小さくなるようにして
反応容器内へ添加しながら、2,4−ジフェニル−4−
メチル−1―ペンテン(及び必要に応じてラジカル重合
開始剤)の存在下にラジカル重合を行う。
【0048】上記モノマー混合物(a)は、前記本発明
第1の方法における工程(A)で説明したモノマー混合
物(a)と同様のものである。また、上記モノマー混合
物(b)は、前記本発明第1の方法における工程(B)
で説明したモノマー混合物(b)と同様のものである。
【0049】上記モノマー混合物(a)の添加比率をモ
ノマー添加開始時から経時で徐々に小さくなるようにし
て反応容器内へ添加する方法は、特に制限されるもので
はなく、例えば、モノマー混合物(a)の槽及びモノマ
ー混合物(b)の槽から、それぞれ別々に反応系内にモ
ノマー配合速度を調整しながら配合することができる
が、モノマー混合物(a)槽内の攪拌下に、モノマー混
合物(b)の槽からモノマー混合物(a)の槽内へモノ
マー混合物(b)を送りながら、モノマー混合物(a)
の槽から反応系へモノマーを配合することによって好適
に行うことができる。
【0050】このラジカル重合反応における2,4−ジ
フェニル−4−メチル−1―ペンテンの配合量は、モノ
マー混合物(a)とモノマー混合物(b)との合計量1
00重量部に対して、0.5〜40重量部、特に1〜2
0重量部の範囲内にあることが好適である。
【0051】ラジカル重合反応において用いることがで
きるラジカル重合開始剤としては、前記本発明第1の方
法の工程(A)で説明したるラジカル重合開始剤と同様
のものを使用することができる。ラジカル重合開始剤の
使用量は、特に限定されるものではないが、通常、モノ
マー混合物(a)とモノマー混合物(b)との合計量1
00重量部に対して、20重量部以下、特に0.1〜1
0重量部の範囲内にあることが好適である。
【0052】上記ラジカル重合を有機溶剤中で行う場合
に使用される有機溶剤としては、モノマー混合物
(a)、モノマー混合物(b)及び重合によって得られ
るマクロモノマーを溶解又は分散できるものであれば特
に制限なく使用することができ、具体例としては前記本
発明第1の方法の工程(A)において説明した、ラジカ
ル重合を有機溶剤中で行う場合に使用される有機溶剤と
同様のものを使用することができる。上記有機溶剤は、
通常、モノマー混合物(a)とモノマー混合物(b)と
の合計量に対して、200重量%以下の範囲内にあるこ
とが好適である。
【0053】有機溶剤中でモノマー混合物(a)とモノ
マー混合物(b)のラジカル重合反応を行う場合、付加
開裂型連鎖移動剤であるMSD、ラジカル重合開始剤、
モノマー混合物及び有機溶剤を混合し、撹拌しながら加
熱してもよいが、反応熱による系の温度上昇を抑えるた
めに以下の(1)、(2)の方法が好適に用いられる。 (1)MSDおよび有機溶剤を反応槽に仕込み、60℃
〜200℃の温度で撹拌しながら、モノマー混合物とラ
ジカル重合開始剤を所定の時間かけて混合滴下または分
離滴下する方法。 (2)上記(1)の方法において、MSDの一部または
全部をモノマーとともに混合滴下、又は分離滴下する方
法。
【0054】上記重合反応において、重合反応はラジカ
ル重合一般で行われるように窒素やアルゴンなどの不活
性ガスを吹き込みながら行うことが好ましい。
【0055】工程(D)において得られるマクロモノマ
ーは、末端に連鎖移動剤であるMSDに基づく前記式
(1)で示されるエチレン性不飽和基を有しており、ま
た、分子中のカルボキシル基の存在割合が、前記式
(1)で示されるエチレン性不飽和基に近づくに従って
少なくなるように設計されたものである。このラジカル
重合体は数平均分子量が300〜200,000、特に
500〜50,000の範囲内にあり、樹脂酸価が1〜
1000KOHmg/g、特に5〜500KOHmg/
gの範囲内にあることが好適である。
【0056】工程(E) 工程(E)においては、水性媒体中にて上記工程(D)
で得られたマクロモノマーの存在下にエチレン性不飽和
化合物をエマルション重合する。このエマルション重合
方法は、前記本発明第1の方法の工程(C)において、
前記工程(B)で得られたマクロモノマーの代わりに、
上記工程(D)で得られたマクロモノマーを使用する以
外は同様のエマルション重合方法である。
【0057】工程(E)において得られるエマルション
の固形分濃度は10〜80重量%の範囲にあることがエ
マルション重合の際のエマルションの安定性等の点から
好ましい。エマルションの粒子径は一般に1μm以下程
度であることが好ましく、粒子径は使用する乳化剤やマ
クロモノマーの組成や量によって調整することができ
る。
【0058】本発明第1の方法及び第2の方法によっ
て、得られるエマルションの分子量の制御を容易に行う
ことができる。本発明方法で得られるエマルションは、
低分子量の場合においても水分散安定性や機械安定性に
優れるが、本発明者らは、分散安定化剤として働くマク
ロモノマーが、分子中でのカルボキシル基の濃度分布が
制御され、親水部と疎水部とを形成し、エマルションの
分散安定化に寄与しているためと考えている。
【0059】本発明方法で得られるエマルションは、い
ずれも塗料、フィルム、接着剤、表面調整剤などの分野
で好適に使用される。
【0060】本発明方法によるエマルションは、水性塗
料用に好適に使用できる。該エマルションと架橋剤とを
組合せることによって架橋反応性の水性塗料を得ること
ができる。
【0061】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。なお、以下「部」および「%」はそれぞれ重量部
および重量%を示す。
【0062】<マクロモノマーの製造> 製造例1 フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル45
部および2,4−ジフェニル−4−メチル−1―ペンテ
ン15部を仕込み、160℃で窒素を吹き込みながら攪
拌し、この中にメチルメタクリレート15.5部、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート58部、メタクリル酸
11.5部及び「パーヘキシルD」(日本油脂社製の過
酸化物系ラジカル重合開始剤)2部の混合液を3時間か
けて滴下した後、同温度で30分間攪拌し、冷却して固
形分68%の樹脂溶液a−1を得た。
【0063】別のフラスコにエチレングリコールモノブ
チルエーテル45.9部および上記の固形分68%の樹
脂a−1溶液98.0部を仕込み、120℃で窒素を吹
き込みながら攪拌し、この中にn−ブチルメタクリレー
ト50部、メチルメタクリレート30.7部、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート19.3部及び「V59」
(和光純薬工業社製のアゾ系ラジカル重合開始剤)1.
2部の混合液を3時間かけて滴下し、同温度で30分間
攪拌した後、冷却して固形分68%のマクロモノマーA
−1溶液を得た。
【0064】製造例2 フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル4
5.5部および2,4−ジフェニル−4−メチル−1―
ペンテン20部を仕込み、160℃で窒素を吹き込みな
がら攪拌し、この中にメチルメタクリレート10.5
部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート58部、メタ
クリル酸11.5部及び「パーヘキシルD」1.5部の
混合液を3時間かけて滴下した後、同温度で30分間攪
拌し、冷却して固形分68%の樹脂a−2溶液を得た。
【0065】別のフラスコにエチレングリコールモノブ
チルエーテル23.9部および上記の固形分68%の樹
脂a−2溶液97.9部を仕込み、120℃で窒素を吹
き込みながら攪拌し、この中にn−ブチルメタクリレー
ト50部、メチルメタクリレート30.7部、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート19.3部及び「V59」
1.2部の混合液を3時間かけて滴下し、同温度で30
分間攪拌した後、冷却して固形分68%のマクロモノマ
ーA−2溶液を得た。
【0066】製造例3 フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル45
部および2,4−ジフェニル−4−メチル−1―ペンテ
ン15部を仕込み、160℃で窒素を吹き込みながら攪
拌し、この中にスチレン50部、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート12部、メタクリル酸23部及び「パー
ヘキシルD」2部の混合液を3時間かけて滴下した後、
同温度で30分間攪拌し、冷却して固形分68%の樹脂
a−3溶液を得た。
【0067】別のフラスコにエチレングリコールモノブ
チルエーテル45.9部および上記の固形分68%の樹
脂a−3溶液98部を仕込み、120℃で窒素を吹き込
みながら攪拌し、この中にn−ブチルメタクリレート6
0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート40部及び
「V59」1.2部の混合液を3時間かけて滴下した
後、同温度で30分間攪拌し、冷却して固形分68%の
マクロモノマーA−3溶液を得た。
【0068】製造例4 フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル45
部および2,4−ジフェニル−4−メチル−1―ペンテ
ン5部を仕込み、160℃で窒素を吹き込みながら攪拌
し、この中にスチレン50部、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート30部、メタクリル酸11.5部、「ライ
トエステルPM」(共栄社製のリン酸基含有モノマー)
3.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート30部
及び「パーヘキシルD」2部との混合液を3時間かけて
滴下した後、同温度で30分間攪拌し、冷却して固形分
68%の樹脂a−4溶液を得た。
【0069】別のフラスコにエチレングリコールモノブ
チルエーテル9.2部および上記の固形分68%の樹脂
a−4溶液117.6部を仕込み、120℃で窒素を吹
き込みながら攪拌し、この中にn−ブチルメタクリレー
ト20部及び「V59」0.2部の混合液を3時間かけ
て滴下した後、同温度で30分間攪拌し、冷却して固形
分68%のマクロモノマーA−4溶液を得た。
【0070】製造例5 滴下槽Aにメタクリル酸10部、エチレングリコールモ
ノブチルエーテル15部及び「パーヘキシルD」0.2
部の混合液を予め仕込んだ。また、滴下槽Bに2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート25部、n−ブチルメタク
リレート50部及び「パーヘキシルD」1.8部の混合
液を予め仕込んだ。フラスコにエチレングリコールモノ
ブチルエーテル30部および2,4−ジフェニル−4−
メチル−1―ペンテン15部を仕込み、160℃で窒素
を吹き込みながら攪拌し、滴下槽B中の混合液を滴下槽
A中に一定速度で3時間かけて滴下しながら、滴下槽A
内を攪拌し、滴下槽Aから混合液を一定速度で3時間か
けてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、フラスコの内
容物を同温度で30分間攪拌し、冷却して固形分68%
のマクロモノーA−5溶液を得た。
【0071】製造例6 (比較用) フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル4
0.4部を仕込み、110℃で窒素を吹き込みながら攪
拌し、この中にメチルメタクリレート15.5部、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート58部、メタクリル酸
11.5部、2−メルカプトエタノール5部及び「V5
9」2部の混合液を3時間かけて滴下した後、同温度で
30分間攪拌し、冷却して固形分68%の樹脂ac−6
溶液を得た。
【0072】上記製造例1〜6得た各樹脂及び各マクロ
モノーの数平均分子量及び重量平均分子量を下記表1に
示す。
【0073】
【表1】
【0074】<エマルションの製造> 実施例1 製造例1で得た固形分68%のマクロモノマーA−1溶
液を、マクロモノマー中のカルボキシル基の中和当量が
1.0となる量のN,N−ジメチルアミノエタノールで
中和し、脱イオン水で希釈して樹脂固形分40%のマク
ロモノーA−1水溶液を得た。フラスコに脱イオン水1
25.7部および上記の40%マクロモノーA−1水溶
液83.3部を仕込み、90℃で窒素を吹き込みながら
攪拌し、この中に、n−ブチルメタクリレート100
部、「VA−086」(和光純薬工業社製の水溶性アゾ
系ラジカル重合開始剤)1部、「ニューコールN−50
6」(日本乳化剤社製のノニオン系乳化剤、固形分65
%)3.1部及び脱イオン水131.3部の混合物を機
械的に強制分散してなるプレエマルションを3時間かけ
て滴下した後、同温度で30分間攪拌し、冷却して固形
分30%のエマルションB−1を得た。
【0075】実施例2〜5及び比較例1 実施例1において、固形分68%のマクロモノマーA−
1溶液の代わりに、下記表2に示すマクロモノマー溶液
又は樹脂溶液を使用する以外は実施例1と同様に行い、
固形分30%の各エマルションを得た。
【0076】実施例6 製造例2で得た固形分68%のマクロモノマーA−2溶
液を、マクロモノマー中のカルボキシル基の中和当量が
1.0となる量のN,N−ジメチルアミノエタノールで
中和し、脱イオン水で希釈して樹脂固形分40%のマク
ロモノーA−2水溶液を得た。滴下漏斗にn−ブチルメ
タクリレート100部を予め仕込み、また別の滴下漏斗
に「VA−086」1部と脱イオン水134.4部との
混合液を予め仕込んだ。
【0077】フラスコに脱イオン水125.7部および
上記の40%マクロモノーA−2水溶液83.3部を仕
込み、90℃で窒素を吹き込みながら攪拌し、この中
に、上記2つの滴下漏斗から内容物を同時に3時間かけ
て滴下した後、フラスコ内を同温度で30分間攪拌し、
冷却して固形分30%のエマルションB−6を得た。
【0078】実施例7 実施例1において、n−ブチルメタクリレート100部
の代わりに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10
部、2−エチルヘキシルメタクリレート60部及びn−
ブチルメタクリレート30部の混合液を用いる以外は実
施例1と同様にして固形分30%のエマルションB−7
を得た。
【0079】比較例2 製造例6で得た固形分68%の樹脂ac−6溶液を、樹
脂中のカルボキシル基の中和当量が1.0となる量の
N,N−ジメチルアミノエタノールで中和し、脱イオン
水で希釈して樹脂固形分40%の樹脂AC−6水溶液を
得た。
【0080】滴下漏斗にn−ブチルメタクリレート10
0部を予め仕込み、また別の滴下漏斗に「VA−08
6」1部と脱イオン水134.4部との混合液を予め仕
込んだ。
【0081】フラスコに脱イオン水125.7部および
上記40%樹脂AC−6水溶液83.3部を仕込み、9
0℃で窒素を吹き込みながら攪拌し、この中に、上記2
つの滴下漏斗から内容物を同時に3時間かけて滴下しよ
うとしたところ、滴下量が約3分の1となった時点で凝
集物が沈降しはじめたために、滴下を中断した。
【0082】上記実施例1〜7及び比較例1で得たエマ
ルションの粒子径ならびにエマルション樹脂の数平均分
子量及び重量平均分子量を後記表2に示す。エマルショ
ンの粒子径は、COULTER(コールター)N4型サ
ブミクロン粒子分析装置(COULTER社製)により
測定した。また、エマルション樹脂の数平均分子量及び
重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー)測定によるものであり、エマルション
は1%塩酸水溶液に滴下し沈降した樹脂分を乾燥させた
ものをGPCでポリスチレン基準で測定したものであ
る。
【0083】
【表2】
【0084】作成例1 (水性樹脂E水分散液の作成) フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル4
0.4部を仕込み、110℃で窒素を吹き込みながら攪
拌し、この中にメチルメタクリレート40.0部、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート20部、n−ブチルア
クリレート30部、メタクリル酸5部及び「V59」2
部との混合液を3時間かけて滴下した後、同温度で30
分間攪拌し、冷却して固形分68%の樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液を樹脂中のカルボキシル基の中和当量が
1.0となる量のN,N−ジメチルアミノエタノールで
中和し、脱イオン水で希釈して樹脂固形分40%の水性
樹脂E水分散液を得た。 <塗料組成物の調製> 実施例8〜14及び比較例3 後記表3に示す配合にて各成分を混合し、固形分30%
の各水性塗料組成物を得た。
【0085】得られた各水性塗料組成物について、下記
試験方法に基づき、貯蔵安定性及び塗膜外観の試験を行
った。試験結果を後記表3に示す。
【0086】試験方法 貯蔵安定性:各水性塗料組成物を密閉したガラス瓶に入
れ、30℃の恒温室で10日間まで貯蔵し、毎日粘度変
化を調べた。貯蔵10日間で粘度変化がほとんどみられ
ないものを良好とする。
【0087】塗膜外観:各水性塗料組成物をブリキ板に
乾燥膜厚が約30μmとなるようにアプリケータで塗装
し、130℃で20分間焼付けた塗膜の外観を目視評価
した。塗膜にハジキ、ヘコミなどの塗膜欠陥のないもの
を良好とする。
【0088】下記表3中の(註)は下記の意味を有す
る。 (注1)サイメル350:三井サイテック(株)製のメ
チル化メラミン樹脂。
【0089】
【表3】
【0090】
【発明の効果】本発明方法においては、エマルション製
造時の臭気の問題がなく、マクロモノマーの分子量をM
SDの量により調整でき、また、エマルションの分子量
をマクロモノマーの分子量、配合量によって調整でき、
分子量の制御を容易に行うことができる。また本発明方
法によって得られるエマルションは、低分子量の場合で
も水分散安定性、機械安定性に優れており、塗料、フィ
ルム、接着剤、表面調整剤などの分野で好適に用いられ
る。また、塗料に用いた場合、塗料の貯蔵安定性に優
れ、塗膜は塗面平滑性に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 125/04 C09D 125/04 133/04 133/04 Fターム(参考) 4J011 KA06 KA19 KA21 4J038 CP061 CP071 GA02 GA06 GA07 GA09 GA11 GA12 GA13 GA14 MA08 MA10 NA01 NA26 NA27 PA19 PC02 4J100 AB02P AB03P AB04P AB07P AB08P AB15S AJ01R AJ02R AJ08R AJ09R AK32R AL03Q AL04Q AL05Q AL08Q AL08R AL10Q AM15Q AM19Q AM21Q BA04P BA16R BA29Q BA77Q BB10Q BB18Q BC43S BC53Q CA05 CA06 JA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)カルボキシル基含有重合性不飽和
    モノマーを5モル%以上含有し且つスチレン系モノマー
    及びメタクリロイル基含有重合性不飽和モノマーから選
    ばれる少なくとも1種のモノマーを70モル%以上含有
    するモノマー混合物(a)を、2,4−ジフェニル−4
    −メチル−1―ペンテンの存在下にラジカル重合してラ
    ジカル重合体を得る工程、 (B)上記ラジカル重合体の存在下に、上記モノマー混
    合物(a)よりカルボキシル基含有重合性不飽和モノマ
    ーのモル分率が低く、且つスチレン系モノマー及びメタ
    クリロイル基含有重合性不飽和モノマーから選ばれる少
    なくとも1種のモノマーを70モル%以上含有するモノ
    マー混合物(b)をラジカル重合して下記式(1) 【化1】 で表されるエチレン性不飽和基を有するマクロモノマー
    を得る工程及び (C)水性媒体中にて上記マクロモノマーの存在下にエ
    チレン性不飽和化合物をエマルション重合する工程を有
    することを特徴とするエマルションの製造方法。
  2. 【請求項2】 カルボキシル基含有重合性不飽和モノマ
    ーがメタクリル酸及び/又はアクリル酸である請求項1
    記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 モノマー混合物(a)が水酸基含有重合
    性不飽和モノマーを含有する請求項1又は2記載の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 モノマー混合物(a)がスルホン酸基含
    有重合性不飽和モノマー及び/又はリン酸基含有重合性
    不飽和モノマーを含有する請求項1〜3のいずれか一項
    に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 (D)カルボキシル基含有重合性不飽和
    モノマーを5モル%以上含有し且つスチレン系モノマー
    及びメタクリロイル基含有重合性不飽和モノマーから選
    ばれる少なくとも1種のモノマーを70モル%以上含有
    するモノマー混合物(a)と、上記モノマー混合物
    (a)よりカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーの
    含有量が少なく且つスチレン系モノマー及びメタクリロ
    イル基含有重合性不飽和モノマーから選ばれる少なくと
    も1種のモノマーを70モル%以上含有するモノマー混
    合物(b)とを、モノマー添加開始時におけるモノマー
    混合物(a)の添加比率[モノマー混合物(a)/モノ
    マー混合物(b)]が最も大きく、経時でモノマー混合
    物(a)の添加比率が徐々に小さくなるようにして反応
    容器内へ添加しながら、2,4−ジフェニル−4−メチ
    ル−1―ペンテンの存在下にラジカル重合を行い、前記
    式(1)で表されるエチレン性不飽和基を有するマクロ
    モノマーを得る工程及び (E)水性媒体中にて上記マクロモノマーの存在下にエ
    チレン性不飽和化合物をエマルション重合する工程を有
    することを特徴とするエマルションの製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項に記載の製
    造方法によって得られたエマルションを含有する塗料組
    成物。
JP2000329491A 2000-10-27 2000-10-27 エマルションの製造方法およびこのエマルションを用いた塗料組成物 Pending JP2002129093A (ja)

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