JP5293919B2 - シード粒子、ビニル系重合体およびこれらの製造方法 - Google Patents
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そして、本発明は、シード粒子を用いてビニル系重合体を製造する方法を提供することを目的としている。
該シード粒子が分散している水性媒体にビニルモノマーを添加して、該ビニルモノマーをシード粒子に吸収させて、該ビニル系モノマーを重合させ、該シード粒子が膨張するように重合させて得られる重合体粒子の表面に前記膨張したシード粒子の表面に偏在していた前記モノマーに由来する極性基および反応開始剤に由来する極性基を少なくとも三種類存在させて、水性媒体中でビニル系重合体を製造する方法であり、該ビニル重合体の平均粒子径が0.1〜35μmの範囲内にあることを特徴とするビニル系重合体の製造方法にある。
むものであることが好ましい。
工程で得られたシード粒子が分散している水性媒体にビニル系モノマーを添加して、該ビニル系モノマーを取り込みながら(共)重合させる工程を少なくとも備えた重合工程を経て製造される。
このように乳化剤の含有率を低くできるのは、出発物質として自己分散性を有するように表面に極性基が存在する特定の平均粒子径を有するシード粒子を使用しているからであり、従来のように表面に極性基を有していないシード粒子を使用したり、本発明で規定するシード粒子の平均粒子径から逸脱するシード粒子を使用したのでは、ビニル系モノマーの乳化に多量の乳化剤を必要としたり、重合中の安定性に影響を与えるため、本発明のように優れた耐水性、耐候性、透明性を有するビニル系重合体を製造することはできない。
アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよびイソノニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
ス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、2,2'-アゾビス(2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド等を使用することができる。これらの中でもスルフォ
ネート基をシード粒子の表面に存在させる場合には、反応開始剤として過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムを使用することが好ましい。さらに、反応開始剤として過硫酸塩を使用する場合には、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤を併用してもよい。
常は0.1〜20重量部、好ましくは2〜8重量部で使用し、さらに反応開始剤は、上記
モノマーの合計量100重量部に対して、通常は0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜0.5重量部の量で使用する。
が必要であり、さらに0.2〜10μmの範囲内にあることが好ましく、0.3〜5μmの範囲内にあることが特に好ましい。
チレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のふっ素含有モノマー、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の珪素含有モノマー等を挙げることができる。
好ましくは0.1〜2重量部の量で配合する。
量、最適には0.3重量%以下の量になるように使用される。なお、乳化剤を使用する場
合に、ここで使用される乳化剤には特に制限はなく、上記ビニル系モノマーおよび反応開始剤の混合物を乳化できるようなHLB値を有するようにアニオン系乳化剤およびノニオン系乳化剤の中から適宜選定することができる。また、ここで使用する乳化剤として、上述の反応性乳化剤を使用することもできる。反応性乳化剤は、反応後は乳化剤としての機能がほとんどなくなるので、反応性乳化剤を使用する場合には、上記の値よりも多く用いても得られるビニル系重合体の耐水性が低下しにくい。
このように乳化剤の含有率を低くできるのは、出発物質として自己分散性を有するように表面に極性基が存在する特定の平均粒子径を有するシード粒子を使用しているからであり、従来のように表面に極性基を有していないシード粒子を使用したり、本発明で規定するシード粒子の平均粒子径から逸脱するシード粒子を使用したのでは、ビニル系モノマーの乳化に多量の乳化剤を必要としたり、重合中の安定性に影響を与えるため、本発明のように優れた耐水性、耐候性、透明性を有するビニル系重合体を製造することはできない。
〔合成例1〕
<シードポリマーAの合成例>
容量2リットルの4口フラスコに、水360gおよび過硫酸カリウム3.6gを計量し
て仕込んだ。この4口フラスコの口にはそれぞれ、ジムロート、温度計、窒素ガス吹き込み管、滴下ロートが備えられている。
酸24g、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸(商品名;TBAS−Q)、日東化学
工業(株)製)24g、アクリロニトリル36g、アクリル酸ブチル1116g、n-ドデシルメルカプタン0.5gを加えてたモノマー乳化液を調製した。
の平均粒子径は0.52μmであった。また、このエマルジョンAに含有される乳化剤量は、シードポリマー100重量部に対して0.5重量部であった。
〔合成例2〕
<シードポリマーBの合成例>
容量2リットルの4口フラスコに、水360g、過硫酸カリウム3.6gを計量して仕
込んだ。この4口フラスコの口にはそれぞれ、ジムロート、温度計、窒素ガス吹き込み管、滴下ロートが備えられている。
であった。また、このエマルジョンBに含有される乳化剤量は、シードポリマー100重量部に対して0.5重量部であった。
〔合成比較例1〕
<シードポリマーCの合成例>
容量2リットルの4口フラスコに、水360g、過硫酸カリウム3.6gを計量して仕
込んだ。この4口フラスコの口にはそれぞれ、ジムロート、温度計、窒素ガス吹き込み管、滴下ロートが備えられている。
であった。また、このエマルジョンCに含有される乳化剤量は、シードポリマー100重量部に対して0.5重量部であった。
由来するスルホネート基が存在していた。
〔合成例3〕
合成例1において、モノマー乳化液の組成を、アクリル酸24g、2-ヒドロキシエチ
ルアクリレート24g、アクリロニトリル36g、アクリル酸ブチル1116gとした以外は同様にして重合反応を行った。
であった。このシード粒子Dの表面には、モノマーに由来するカルボキシル基、水酸基、重合開始剤に由来するスルホネート基が存在していた。
〔比較合成例1〕
合成例1において、モノマー乳化液の組成を、アッシドホスホオキシエチルメタクリレート48g、アクリロニトリル36g、アクリル酸ブチル1116gとした以外は同様にして重合反応を行った。
であった。このシード粒子Eの表面には、モノマーに由来するりん酸基、重合開始剤に由来するスルホネート基が存在していた。
〔比較合成例2〕
合成例1において、モノマー乳化液の組成を、アクリル酸ブチル1200gにした以外は同様にして重合反応を行おうとしたが、モノマー滴下1時間後にフラスコ全体が凝集し、重合が不可能となった。
〔比較合成例3〕
合成例1において、モノマー乳化液の組成を、アクリル酸ブチル1200gにし、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ24gに変えた以外は同様にして重合反応を行った。
であった。このシード粒子Fの表面には、重合開始剤に由来するスルホネート基が存在していた。
〔実施例1〕
容量2リットルのフラスコに、上記合成例1で得られたシード粒子分散液(エマルジョンA)240gと水50gを仕込み、これに反応開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド5gを加え、この反応装置内の空気を窒素ガスで置換しながら30分間撹拌した。
シード粒子分散液およびモノマーの種類及び量を次表1に示す配合にした以外は、実施
例1と同様にしてビニル系重合体を製造した。
「BA」はブチルアクリレートであり、
「VAc」はビニル酢酸である。
*部分的に凝集物が発生し、濾過が不可能であった。
Claims (2)
- 水性媒体中において、カルボキシル基、スルホネート基、リン酸基、アミド基および水酸基よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の極性基を有する反応開始剤および/またはこれらの基を形成可能な反応開始剤の存在下に、モノマー成分100重量部に対して0.5重量部以下の量の乳化剤を用いて、カルボキシル基、スルホネート基、リン酸基、アミド基および水酸基よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の極性基を有する極性基含有モノマーを二種以上含むモノマー群を反応させて、シード粒子の表面近傍に極性基含有モノマーに由来する極性基および反応開始剤に由来する極性基が偏在して存在する平均粒子径が0.05〜15μmの範囲内にあるシード粒子を調製した後、
該シード粒子が分散している水性媒体にビニル系モノマーを添加して、該ビニル系モノマーをシード粒子に吸収させて、該ビニル系モノマーを重合させ、該シード粒子が膨張するように重合させて得られる重合体粒子の表面に前記膨張したシード粒子の表面に偏在していた前記モノマーに由来する極性基および反応開始剤に由来する極性基を少なくとも三種類存在させて、水性媒体中でビニル系重合体を製造する方法であり、該ビニル重合体の平均粒子径が0.1〜35μmの範囲内にあることを特徴とするビニル系重合体の製造方法。 - 上記極性基含有モノマーとして、t-ブチルアクリルアミドスルホン酸を含むことを特徴とする請求項第1項記載のビニル系重合体の製造方法。
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