JP4518309B2 - 改質天然ゴムラテックス組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、従来、親水性溶剤へ安定的に混合することが困難であった天然ゴムラテックスの混合安定性を改良した、改質天然ゴムラテックス組成物に関する。
従来、水系接着剤の皮膜物性を調節するための手法として、様々なゴム系ラテックスや樹脂エマルジョンが混合され使用されている。特に、ゴムの樹(Hevea brasiliensis)から得られる天然ゴムラテックスは、その優れたゴム弾性から、接着剤の主ポリマーや改質ポリマーとして広く利用されている。天然ゴムラテックスを利用した接着剤としては、天然ゴムラテックスをそのまま使用する場合や、天然ゴムラテックスを一旦改質した上で原料として使用する場合がある。
一般に、接着剤の構成としては、ポリマー成分のほかに、充填材や防腐剤、軟化剤として使用される親水性溶剤などの様々な原料が加えられている。しかしながら、昨今の環境に対する配慮が重要視されている状況においては、使用する原料自体の安全性が望まれている。そこで、環境負荷物質の位置付けにありながらも使用不可欠な原料である場合、その使用量を極力少なく抑えることが重要である。特に皮膜物性の微調節や造膜性の向上のために使用される親水性溶剤は、溶剤排出規制などの観点からも極力使用量を少なくすることが必要である。
親水性溶剤の使用量を少なくする技術としては、造膜性などの特性を付与したいポリマー成分などに、直接、親水性溶剤を加え、十分改質してから接着剤原料として使うことが有効であり、必要最低限の親水性溶剤量とすることも可能である。しかしながら、天然ゴムラテックスは、機械的、化学的な各種安定性が一般の合成ラテックスと比べて劣るため、同様の方法で改質しようとした場合、凝集物が発生する、さらに系全体が固まり混合不能となる、経時的に粘度が著しく上昇し、使用不可能となるなどの問題があり、接着剤の原料として使うことが困難であった。
天然ゴムラテックスを改質する方法としては、グラフト化することが知られているが(例えば、特許文献1)、上記のような問題を解決することはできない。
特開2002−138266号公報
本発明の課題は、親水性溶剤と混合する際に、凝集物の発生、固化がなく、著しく粘度上昇することのない、親水性溶剤との混合安定性に優れた改質天然ゴムラテックス組成物を得ることである。
本発明は、天然ゴムラテックスの存在下で、天然ゴムラテックス100重量部(固形分)に対して、(メタ)アクリル酸エステル、または(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸エステル以外のビニルモノマーからなるモノマーを合計で5〜50重量部用い、重合工程が外部から強制的に機械的な攪拌を行わずにそのままの状態で重合させる静置重合により重合させて得られる改質天然ゴムラテックス組成物であって、且つ、天然ゴムラテックス粒子の周囲を、モノマーが重合してなる粒子径0.01〜0.1μmのポリマー粒子が被覆しており、乾燥皮膜のシクロヘキサンへの不溶解分が90%以上であり、しかも親水性溶剤の混合安定性に優れた、改質天然ゴムラテックス組成物に関するものである。
ここで、静置重合において、天然ゴムラテックス100重量部(固形分換算)に対し、重合開始剤を0.15〜3.0重量部用い、重合温度30〜75℃、重合時間30分〜6時間で行うことが好ましい。
本発明は、天然ゴムラテックスの存在下で、(メタ)アクリル酸エステル、または(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸エステル以外のビニルモノマーからなるモノマーを静置重合させることで得ることができる改質天然ゴムラテックス組成物であって、その粒子形態によって、親水性溶剤との混合性が付与されている。通常、天然ゴムラテックスに親水性溶剤を混合する場合は、界面活性剤や保護コロイド剤などの安定化剤で天然ゴムラテックスを安定化させた後に親水性溶剤を添加していたが、上記組成物では安定化剤の必要がない。これによって、安定化剤の添加によって低下していた接着力などの実用物性の低下を抑えることが可能となる。さらに、効率良く天然ゴム粒子を改質できるため、混合する親水性溶剤の使用量を少なくすることが可能であるため、溶剤使用などの作業環境に関するメリットもある。
本発明の組成物は、親水性溶剤との混合安定性が改良された改質天然ゴムラテックス組成物であって、天然ゴムラテックス粒子の周囲を、粒子径0.01〜0.1μmのポリマー微小粒子が被覆することで、親水性溶剤との混合安定性が付与されているものであり、天然ゴムラテックスの存在下で、モノマーを重合させることで得ることができる。
ここで、親水性溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メチルペンタン−2,4−ジオールなどを挙げることができ、これらと水の混合溶剤も含まれる。
上記組成物は、天然ゴムラテックス粒子とポリマー粒子が比較的強固に結合することで、乾燥皮膜の溶剤への溶解性を小さくすることができ、例えば、シクロヘキサンへの不溶解分を90重量%以上とすることができる。
本発明に用いられる天然ゴムラテックスは、天然に産するゴムのエマルジョンをいい、通常「天然ゴムラテックス」と称されるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、高アンモニアタイプ、低アンモニアタイプ、脱タンパク質タイプなどが挙げられる。
天然ゴムラテックス存在下で重合させるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、該(メタ)アクリル酸エステルモノマー以外のビニルモノマー、例えば、芳香族ビニル系モノマー、シアン化ビニル系モノマー、エチレン性不飽和酸モノマー、エチレン性不飽和アルコールおよびそのエステル、エチレン性不飽和シランなどが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸エステルモノマーが好ましい。
これらを1種または2種以上使用することもできる。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、従来の水性アクリルエマルジョンにも使用されている、アクリル酸およびメタクリル酸の脂肪族、脂環族あるいは芳香族の非置換アルコールとのエステルである。ここでいう非置換とは、炭化水素基以外の基を持たないことを意味する。(メタ)アクリル酸エステルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。又、 (メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、 (メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの置換基を含有することもあるシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル類、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、 (メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、および (メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどの水酸基を含有するアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類なども挙げられる。なかでもメタクリル酸メチルが好ましい。
上記芳香族ビニル系モノマーの例には、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−アミノスチレン、p−アセトキシスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウムなどがあり、なかでもスチレンが好ましい。
上記シアン化ビニル系モノマーの例には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン、α−メトキシアクリロニトリルなどがあり、とくにアクリロニトリルが好ましい。
上記エチレン性不飽和酸モノマーの例には、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和スルホン酸などが使用される。エチレン性不飽和カルボン酸の例にはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などがあり、エチレン性不飽和スルホン酸の例にはビニルスルホン酸、イソプレンスルホン酸などがある。
上記エチレン性不飽和アルコールおよびそのエステルの例には、アリルアルコール、メタアリルアルコール、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸アリル、カプロン酸メタアリル、ラウリン酸アリル、安息香酸アリルなどがある。
上記エチレン性不飽和シランの例には、ビニルトリエチルシラン、メチルビニルジクロロシラン、ジメチルアリルクロロシラン、ビニルトリクロロシランなどがある。
重合させる上記モノマーの量は、天然ゴムラテックス100重量部(固形分換算)に対して5〜50重量部が好ましい。さらに好ましくは、10〜40重量部である。この量が5重量部未満では、モノマーが重合してなるポリマー粒子の量が十分でなく、天然ゴム粒子の表面を十分に被覆することができず、混合安定性が付与できない。一方、50重量部を超えると、天然ゴムが有している皮膜物性が変化し実用上、好ましくない。
本発明の組成物は、天然ゴムラテックス粒子の周囲を、上記のようなモノマーから得られる粒子径0.01〜0.1μmのポリマーの粒子が被覆することを特徴とする。天然ゴムラテックス粒子の周囲の微小粒子であるポリマー粒子の粒子径が0.01μm未満であると、天然ゴムラテックス粒子を被覆することによる混合安定性の効果が小さく、親水性溶剤との混合時に不安定化したり、経時的に著しく粘度上昇する。一方、0.1μmを超えると、天然ゴムラテックス粒子の大多数を被覆するために必要なモノマー量が過多となり、結果として天然ゴムが有している皮膜物性が変化し、実用上好ましくない。好ましくは、0.01〜0.1μm、さらに好ましくは0.02〜0.08μmである。
また、被覆とは、天然ゴムラテックス粒子の周囲全面を上記ポリマー粒子が被覆している状態をいうが、一部覆われていなくてもよい。
ここで、ポリマー粒子の粒子径の測定方法は、透過型電子顕微鏡写真による。同一品について5枚以上の写真を撮り、個々の写真から天然ゴム粒子に付着する粒子の直径を5箇所測定し、計25個以上の測定値を平均して、微小粒子の平均粒子径とする。
本発明の組成物は、天然ゴムラテックス粒子の周囲を、上記のようなモノマーから得られる粒子径0.01〜0.1μmの微小粒子であるポリマー粒子が被覆しているが、このような形状は、同様の粒子径をもつ合成樹脂エマルジョンなどと天然ゴムラテックスを単純に混合しただけで得られるものでなく、天然ゴムラテックスとモノマーを混合後、静置重合することで得られる。すなわち、重合方法は、下記のような重合工程時に撹拌を行わない方法である静置重合で得ることができる。


ここで、静置重合とは、重合反応工程において、外部から強制的に機械的な撹拌などを行わずに、そのままの状態で重合させることを意味するものである。重合反応工程とは、重合開始剤が分解を始め、重合反応が進む工程のことをいう。このように、重合工程では機械的な攪拌は行わないが、重合開始前、天然ゴムラテックスにモノマーを添加中および添加後は機械的攪拌を行うことが好ましい。また、重合開始剤や還元剤など重合を開始させる化合物の添加時にも、攪拌することが好ましい。
重合に先だって、天然ゴムラテックスとモノマーを混合する方法に関しては、特に制限されるものではない。すなわち、天然ゴムラテックス攪拌中にモノマーを添加する方法や、天然ゴムラテックス攪拌中に界面活性剤などを用いて乳化したモノマーエマルジョンを添加する方法や、モノマーやモノマーエマルジョン攪拌中に天然ゴムラテックスを添加する方法などを含む。また、使用するモノマー全量を一括に天然ゴムラテックスと混合することや、2回以上に分割して天然ゴムラテックスに混合することも可能である。なかでも、天然ゴムラテックス撹拌中にモノマーを添加する方法が良好である。モノマー添加の所要時間は、5分〜3時間程度であるがこれに限定されるものではない。
天然ゴムラテックスとモノマーを混合する過程では、充分な撹拌を行うことが好ましい。使用される撹拌機としては、回転式ミキサー、反転式(往復回転式)ミキサー、噴流撹拌式ミキサーなどが挙げられ、なかでも添加したモノマーが即座に分散する回転式ミキサーが好ましい。場合によっては、添加中または添加後に分散機を用い、更にモノマーを細かく分散することができる。分散機としては、例えば、ホモミキサー、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイデックス社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、バイブロミキサー(冷化工業株式会社製)、超音波振動分散機などが挙げられる。
モノマーをモノマーエマルジョン化して使用する場合は、使用される攪拌機として、回転式ミキサー、反転式(往復回転式)ミキサー、噴流撹拌式ミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイデックス社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、バイブロミキサー(冷化工業株式会社製)などが挙げられる。なかでもホモミキサーが望ましい。
ここで、天然ゴムラテックスと混合したモノマーを重合させるための重合開始剤としては、加硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの加硫酸塩、過酸化水素などの無機系開始剤、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドなどの有機系開始剤を例示できる。重合開始剤は、天然ゴムラテックス100重量部(固形分換算)に対して、通常、0.15〜3.0重量部使用される。
また、重合を促進させるために、還元剤を添加することができる。還元剤としては、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸およびその塩などが挙げられる。還元剤は、天然ゴムラテックス100重量部(固形分換算)に対して、通常、0.03〜1.5重量部使用される。
重合反応が開始し、混合物の温度が上昇する。重合反応中の液温は30〜75℃に保つことが好ましい。この温度が30℃未満では、反応が完全に進まず、一方、75℃を超えると天然ゴムの劣化が促進し、ゴム弾性を損ねる可能性があり好ましくない。さらに好ましくは35〜70℃である。なお、静置重合の場合は、自然対流によって重合を進めるものであるため、ラテックス中には温度勾配があるが、ここでいう温度とは、液面の上層部、具体的には、液面の高さが3mの場合、液面下から約30cm地点の温度である。
ここで、重合時間は、30分〜6時間が好ましい。この時間が30分未満では、モノマーの未反応部分が多く、天然ゴムラテックスの表面を覆う粒子が十分でない。又、残留モノマーによる天然ゴムの膨潤が発生し、安定性が悪くなる。通常、6時間重合すれば充分であり、これ以上重合させる意味はなく、高温化で長時間攪拌を続けると、天然ゴムの劣化が促進し、ゴム弾性を損ねる可能性があり好ましくない。
所定時間静置重合後は、天然ゴムラテックス中の未反応モノマーを反応させるためにエージング工程を設けても良い。エージング工程は通常30分〜5時間行うが、これに限定されるものではない。冷却して、ろ過を行い本発明の改質天然ゴムラテックス組成物を得ることができる。
モノマーを用いる天然ゴムラテックスの改質方法としては、通常よく知られるグラフト化天然ゴムがあるが、この方法は、天然ゴム分子にモノマーをグラフト共重合させることを目的とするため、天然ゴムラテックス粒子内部へのモノマーの浸透および粒子内部での重合反応を重視する。本発明の組成物は、むしろ天然ゴムラテックス粒子外部での、ポリマー粒子の形成を主眼とする部分が、通常のグラフト化天然ゴムと一線を画する部分である。
上記の本発明の組成物は、天然ゴムラテックス粒子とポリマー粒子が比較的強固に結合することで、その乾燥皮膜の溶剤への溶解性を小さくすることができ、例えば、シクロヘキサンのような溶媒への不溶解分を90重量%以上とすることができる。
天然ゴムポリマーはシクロヘキサンのような溶媒には溶解するが、(メタ)アクリル酸エステルポリマーのようなポリマーはシクロヘキサンのような溶媒には溶解しにくいという特徴がある。そこで、天然ゴムラテックス粒子表面をこのようなポリマー粒子が被覆することで、シクロヘキサンのような溶媒への不溶解性を付与できる。上記の如く、天然ゴムラテックス粒子表面をポリマー粒子が被覆した本発明の組成物は、親水性溶剤への混合安定性が良好である。溶剤への不溶解分が90重量%より低いと、親水性溶剤への混合安定性が悪く、好ましくない。ここで、溶媒とは、シクロヘキサン、エチルエーテル、n−オクタン、酢酸ブチルなどである。
溶剤への不溶解分の測定方法を以下に説明する。まず、改質天然ゴムラテックス組成物を35℃にて12〜18時間乾燥し、乾燥皮膜を得る。含水率が1%以下であることを確認した乾燥皮膜を一辺が1〜2mmの立方体状に切断し、ほぼ0.2mgとしたものを、攪拌中の溶剤(60ml)中に導入する。密栓し、20±5℃にて、12〜18時間静置し、さらに1時間攪拌した後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液の固形分を測定する。ろ液の固形分と、溶剤中へ導入した乾燥皮膜重量から、不溶解分を算出する。
本発明の組成物には、必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、フェノール系、有機ホスファイト系、チオエーテル系などの酸化防止剤;光安定剤;紫外線吸収剤;アミド系、有機金属塩系、エステル系などの滑剤;含臭素有機系、リン酸系、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、赤リンなどの難燃剤;有機顔料;無機顔料;金属イオン系などの無機、有機抗菌剤、安定剤、老化防止剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤などを添加することができる。
本発明の改質天然ゴムラテックス組成物は、固形分濃度が、通常、45〜60重量%、好ましくは48〜58重量%、粘度が、通常、10〜500mPa・s、好ましくは20〜350mPa・sに調整される。
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明は本実施例および以下の実施例に限定解釈されるものではない。なお、実施例中の測定値は以下の方法で測定した。
<ポリマー粒子の粒子径>
透過型電子顕微鏡写真による。同一品について5枚以上の写真を撮り、個々の写真から天然ゴム粒子に付着する粒子の直径を5箇所測定し、計25個以上の測定値を平均して、ポリマー粒子の平均粒子径とする。
<シクロヘキサンへの不溶解分>
改質天然ゴムラテックス組成物を35℃にて12〜18時間乾燥し、乾燥皮膜を得た。含水率が1%以下であることを確認した乾燥皮膜を一辺が1〜2mmの立方体状に切断し、ほぼ0.2mgとし、これを、攪拌中のシクロヘキサン(60ml)中に導入する。密栓し、20℃にて、16時間静置し、さらに1時間攪拌した後、No.2のろ紙でろ過し、ろ液の固形分を測定する。ろ液の固形分と、シクロヘキサン中へ導入した乾燥皮膜重量から、不溶解分を算出する。
<混合安定性>
攪拌中の改質天然ゴムラテックス組成物100gに下記の親水性溶剤を100g添加し、その状態を観察し、5点法で判定した(5良好←→1劣悪)。
5:混合性良好
4:微量の凝集物ができるが、混合可能
3:凝集物がダマ状に分散しているが、混合可能。
2:組成物添加で凝集物が発生し、混合不可能。
1:組成物少量で即座に凝集物が発生し、混合不可能
親水性溶剤
(1)エチレングリコールモノブチルエーテル
(2)2−メチルペンタン−2,4−ジオール
(3)エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
<粘度上昇>
混合安定性で5から3であったものについて、作製直後、3日後の粘度を測定し、作製直後と比べ、以下のような評価基準で判定した。
5:粘度がほとんど変化ないもの
4:上昇傾向にあるが、粘度測定可能なもの
3:粘度が大きく上昇するが、粘度測定可能なもの
2:ゲル化によって粘度測定が不可能なもの
1:固化によって粘度測定が不可能なもの
<皮膜弾性>
天然ゴムラテックスを乾燥し、皮膜化したものを用いた。試験長さ20mmを60mmまで荷重をかけて延伸し、荷重開放後に歪として残る皮膜の長さを測定した(測定値=試験後の長さ−試験長さ20mm)。
5:0〜20mm
4:21〜30mm
3:31〜40mm
2:41〜50mm
1:51mmより上かあるいは破断
実施例1
反応器に、天然ゴムラテックス100重量部(固形分換算)を入れ、攪拌しながらメタクリル酸メチル20重量部を添加した。添加終了後、重合開始剤としてt−ブチルハイドロパーオキサイド1.0重量部と、さらに還元剤としてテトラエチレンペンタミン1.0重量部を添加した。重合反応が進み、4時間後、重合転化率98%以上を確認し、反応終了とした。なお、重合温度は45℃であった。このようにして得られた改質天然ゴムラテックス組成物について、上記のように評価した。評価結果を表1に示す。
実施例2、3
使用するメタクリル酸メチルの量を実施例2は8重量部、実施例3は45重量部とした以外は全て実施例1と同様とし、重合を実施した。このようにして得られた改質天然ゴムラテックス組成物について、上記のように評価した。評価結果を表1に示す。
実施例4
使用するモノマーとしてメタクリル酸メチル15重量部とメタクリル酸ブチル5重量部を併用した以外は全て実施例1と同様とし、重合を実施した。このようにして得られた改質天然ゴムラテックス組成物について、上記のように評価した。評価結果を表1に示す。
実施例5
使用するモノマーとしてメチルメタクリレート15重量部とスチレン5重量部を併用した以外は全て実施例1と同様とし、重合を実施した。このようにして得られた改質天然ゴムラテックス組成物について、上記のように評価した。評価結果を表1に示す。
比較例1
全く改質しない天然ゴムラテックスを用い、上記のように評価した。評価結果を表1に示す。
比較例2
天然ゴムラテックス100重量部(固形分換算)にノニオン系界面活性剤(花王社製レベノールWX)2重量部を添加し、十分に攪拌したものを作製し、上記のように評価した。評価結果を表1に示す。
比較例3、4
使用するメチルメタクリレートの量を比較例3は4重量部、比較例4は55重量部とした以外は全て実施例1と同様とし、重合を実施した。このようにして得られた改質天然ゴムラテックス組成物について、上記のように評価した。評価結果を表1に示す。
比較例5
使用するメチルメタクリレート量を増やし、改質ポリマー粒子径を粗大化した以外は、実施例1と同様とし、重合を実施した。このようにして得られた改質天然ゴムラテックス組成物について、上記のように評価した。評価結果を表1に示す。

Figure 0004518309
本発明の改質天然ゴムラテックス組成物は、親水性溶剤との混合安定性に優れ、従来、水系接着剤の主ポリマーや改質ポリマーとして利用できる。具体的な用途としては、建材用接着剤や塩化ビニル、オレフィンなどの粘着テープ、ラベルなどに利用することができる。

Claims (1)

  1. 天然ゴムラテックスの存在下で、天然ゴムラテックス100重量部(固形分)に対して、重合開始剤を0.15〜3.0重量部、および(メタ)アクリル酸エステル、または(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸エステル以外のビニルモノマーからなるモノマーを合計で5〜50重量部用い、重合温度30〜75℃、重合時間30分〜6時間で、かつ重合工程が外部から強制的に機械的な攪拌を行わずに、そのままの状態で重合させる静置重合により得られる改質天然ゴムラテックス組成物であって、且つ、天然ゴムラテックス粒子の周囲を、モノマーが重合してなる粒子径0.01〜0.1μmのポリマー粒子が被覆しており、乾燥皮膜のシクロヘキサンへの不溶解分が90%以上であり、しかも親水性溶剤の混合安定性に優れた、改質天然ゴムラテックス組成物。
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