JP2004322495A - プリント配線板、プリント配線板用絶縁層ならびにプリント配線板用プリプレグ - Google Patents
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Abstract
【課題】アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層を備えるプリント配線板において、当該絶縁層上に形成した配線の十分な引き剥がし強さを確保する。また、当該絶縁層の吸水率を低減し、吸湿時の耐熱性を向上する。
【解決手段】アラミド繊維不織布基材熱硬化性樹脂の絶縁層を備えたプリント配線板であって、当該絶縁層表面に、アラミド繊維を含まない厚さ3μm以上、好ましくは5μm以上の樹脂層が形成される。このような樹脂層をもつ絶縁層は、アラミド繊維不織布基材の嵩密度を400kg/m3以上にし、樹脂含有量を60質量%以上にしたプリプレグ層を加熱加圧成形することにより容易に構成できる。
【選択図】 なし
【解決手段】アラミド繊維不織布基材熱硬化性樹脂の絶縁層を備えたプリント配線板であって、当該絶縁層表面に、アラミド繊維を含まない厚さ3μm以上、好ましくは5μm以上の樹脂層が形成される。このような樹脂層をもつ絶縁層は、アラミド繊維不織布基材の嵩密度を400kg/m3以上にし、樹脂含有量を60質量%以上にしたプリプレグ層を加熱加圧成形することにより容易に構成できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層を備えるプリント配線板、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持したプリント配線板用絶縁層ならびにアラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂が保持されたプリント配線板用プリプレグに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、高性能化に伴い、プリント配線板の高密度化が急速に進行し、配線幅、配線間幅もますます狭ピッチ化されている。
従来のプリント配線形成は、主として、銅張り積層板に感光性ドライフィルムを貼り付け、露光、現像処理を行なった後エッチングにより不要な銅部分を除去し配線形成(サブトラクティブ法)をしていた(例えば、特許文献1)。
しかし、この方法では、配線幅/配線間幅は50/50μmが限界であり、製造歩留まりも非常に悪くなる。
【0003】
さらなる配線高密度化を実現するには、サブトラクティブ法からアディティブ法へと主流が移りつつある。アディティブ法は、樹脂絶縁層表面に粗化剤により微細な凹凸を付与し、当該表面にめっきにより配線を付加する方法である。アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層に前記アディティブ法を適用して配線を形成しようとすると、絶縁層表面の粗化処理によって絶縁層表面に露出したアラミド繊維が、形成した配線の引き剥がし強さの低下や絶縁層の耐湿特性の低下を招いたり、めっき液等の薬液が、露出した繊維に沿って内部に染み込んで不具合を起こす心配があることがわかってきた。
【0004】
露出したアラミド繊維とその上に形成した配線との接着力は弱く、付加した配線がアラミド繊維に直接接触している箇所があれば、局部的に配線の引き剥がし強さの低下を招く。絶縁層の耐湿特性の低下は、部品実装のリフロー工程における熱によって絶縁層に膨れ等を発生させる原因となるし、めっき液等の染み込みは絶縁不良の原因となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−26944号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層を備えるプリント配線板において、当該絶縁層上に形成した配線の十分な引き剥がし強さを確保することである。また、当該絶縁層の吸水率を低減して、吸湿時の耐熱性を向上することである。
さらに、本発明は、上記プリント配線板のためのアラミド繊維不織布基材絶縁層ならびにプリプレグを提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係るプリント配線板は、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層を備えたものであって、当該絶縁層は、表面にアラミド繊維を含まない厚さ3μm以上の樹脂層を一体に有することを特徴とする。前記樹脂層の厚さは、好ましくは5μm以上である。
アラミド繊維不織布とは、アラミド繊維からなる不織布だけでなく、アラミド繊維を主繊維とする不織布をその概念に含む。また、プリント配線板は、片面プリント配線板、両面プリント配線板のみならず、多層プリント配線板をその概念に含む。
【0008】
本発明に係る絶縁層は、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層であって、当該絶縁層は、表面にアラミド繊維を含まない厚さ3μm以上の樹脂層を一体に有することを特徴とする。前記絶縁層とは、当該絶縁層の少なくとも片面に金属箔が一体化されている金属箔張り積層板をその概念に含む。
【0009】
上記のように、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持して構成した絶縁層が、その表面にアラミド繊維を含まない樹脂層を一体に有する結果、当該樹脂層に粗化剤による処理を施して微細な凹凸を付与したときにアラミド繊維の露出を防止することができる。アラミド繊維の露出防止は、アラミド繊維を含まない樹脂層厚さを3μm以上とすることにより可能であり、5μm以上の厚さとすれば、粗化剤による処理にバラツキがあっても確実に対応できる。
【0010】
本発明に係るプリント配線板用プリプレグは、嵩密度が400kg/m3以上であるアラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂が保持され、樹脂含有量が60質量%以上であることを特徴とする。
【0011】
上記のようなプリプレグの層を加熱加圧成形して絶縁層を構成すると、アラミド繊維を含まない厚さ3μm以上の樹脂層を表面に一体に有する絶縁層を容易に形成することができる。アラミド繊維不織布基材の嵩密度を高くしていることから、プリプレグ作製時に基材内部に樹脂が浸透しにくく、基材表面に樹脂が上付きしたプリプレグとなっている。加えて、プリプレグの樹脂含有量も多くしていることから、このようなプリプレグの層を加熱加圧成形することによって、表面にアラミド繊維を含まない樹脂層を有する絶縁層を容易に形成できるのである。
【0012】
アラミド繊維不織布基材の嵩密度が400kg/m3以上かつ樹脂含有量が60質量%以上の条件を満足しないプリプレグを用いる場合は、アラミド繊維を含まない所定の樹脂層を表面に有する絶縁層を構成するために、別途工夫をしなければならなくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に使用するアラミド繊維不織布基材は、パラ型アラミド繊維を主体繊維とし水中に分散して抄造したものである。繊維同士を結着するバインダ成分は、水溶性樹脂や有機高分子重合体からなるフィブリッドである。前者は抄造物にスプレーして適用し、後者は前記繊維と一緒に抄造して適用する。前記両バインダは、併用しても差し支えない。パラ型アラミド繊維は、ポリパラフェニレンテレフタラミド繊維(デュポン製「ケブラー」)やポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタラミド繊維(帝人製「テクノーラ」)等である。そのチョップ及び/又はパルプを水中に分散して抄造する。
【0014】
アラミド繊維不織布基材の嵩密度の調整は、バインダの配合量加減や、水溶性樹脂をバインダとする場合はその加熱による硬化度合いを加減することよって実施する。例えば、ポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタラミド繊維を主体とする不織布基材においては、抄造物に適用する水溶性樹脂バインダ量を多くし、加熱ロールに通してバインダを硬化させるときに前記ロール温度を下げてバインダの硬化度を低くしておく。そうすると、その後のカレンダ処理工程で不織布基材を十分圧縮することが可能となるので、不織布基材の嵩密度を高くすることができる。また、ポリパラフェニレンテレフタラミド繊維を主体とする不織布基材においては、繊維自体がフィブリル化しやすいため、不織布基材のカレンダ処理工程で圧力を調整して十分に圧縮し、不織布基材の嵩密度を高くすることができる。
【0015】
プリプレグを製造するに当たって、樹脂含有量の調整は、不織布基材に熱硬化性樹脂ワニスを含浸した後に通すスクイズロールのギャップを加減することにより実施する。樹脂含有量を増やすときはギャップを広くし、樹脂含有量を減らすときはギャップを狭くすることにより調整可能である。また、熱硬化性樹脂ワニスの粘度や含浸速度(不織布基材の移送速度)を加減することにより樹脂含有量を調整することもできる。
【0016】
アラミド繊維不織布基材に保持させる熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂組成物、フェノール樹脂組成物、ポリウレタン樹脂組成物、メラミン樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物などである。これら樹脂組成物には、必要に応じ、無機充填材(例えば、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、微粉末シリカ等)を適宜配合することができる。
【0017】
【実施例】
本発明に係る実施例を、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層について以下に説明する。
以下の各例で使用するアラミド繊維不織布基材は、パラ系アラミド繊維(帝人製「テクノーラ」)チョップを主繊維として水中に分散して抄造し、抄造物に水を分散媒とするエマルジョン形態のエポキシ樹脂バインダをスプレーして繊維同士を結着した不織布基材である。発明の実施の形態において述べた方法により、種々の嵩密度の不織布基材を準備し、これらにエポキシ樹脂ワニスを含浸して、種々の樹脂含有量のプリプレグを調製した。
【0018】
実施例1
嵩密度が500kg/m3であるアラミド繊維不織布基材に臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含浸し加熱乾燥して、樹脂含有量60質量%のプリプレグを得た。
上記プリプレグ層の両面に離型フィルムを載置し金属鏡面板に挟んで、温度185℃,圧力4MPaで加熱加圧成形し絶縁層を得た。
【0019】
実施例2
プリプレグの樹脂含有量を70質量%とする以外は実施例1と同様にして絶縁層を得た。
【0020】
実施例3
嵩密度が400kg/m3であるアラミド繊維不織布基材を用いる以外は実施例1と同様にして絶縁層を得た。
【0021】
実施例4
嵩密度が400kg/m3であるアラミド繊維不織布基材に臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含浸し加熱乾燥して、樹脂含有量65質量%のプリプレグを得た。
上記プリプレグ層の両面に離型フィルムを載置し金属鏡面板に挟んで、温度185℃,圧力4MPaで加熱加圧成形し絶縁層を得た。
【0022】
比較例1
嵩密度が350kg/m3であるアラミド繊維不織布基材に臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含浸し加熱乾燥して、樹脂含有量65質量%のプリプレグを得た。
上記プリプレグ層の両面に離型フィルムを載置し金属鏡面板に挟んで、温度185℃,圧力4MPaで加熱加圧成形し絶縁層を得た。
【0023】
比較例2
嵩密度が400kg/m3であるアラミド繊維不織布基材に臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含浸し加熱乾燥して、樹脂含有量55質量%のプリプレグを得た。
上記プリプレグ層の両面に離型フィルムを載置し金属鏡面板に挟んで、温度185℃,圧力4MPaで加熱加圧成形し絶縁層を得た。
【0024】
比較例3
嵩密度が500kg/m3であるアラミド繊維不織布基材に臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含浸し加熱乾燥して、樹脂含有量55質量%のプリプレグを得た。
上記プリプレグ層の両面に離型フィルムを載置し金属鏡面板に挟んで、温度185℃,圧力4MPaで加熱加圧成形し絶縁層を得た。
【0025】
上記各実施例、比較例における絶縁層の仕様と特性を測定した結果を表2にまとめて示す。各特性の測定法は、次のとおりである。
樹脂層厚み:340×500mm□絶縁層の面内から無作為に選択した9点の断面(注型により固定)を観察し、表面のアラミド繊維を含まない樹脂層厚さを測定する。
吸水率:JIS C6481に準拠して測定する。
表面性状:絶縁層をシプレイ製「サーキューポジット200MLBプロセス」による粗化処理に供し(すなわち、膨潤(80℃,7分)−表面粗化(75℃,10分)−中和(40℃,6分)の処理工程)、その後に光学顕微鏡で絶縁層表面の繊維の露出有無を観察する。繊維露出なしを「○」、繊維露出ありを「×」で示す。処理工程の詳細は、表1のとおりである。
配線剥がし強さ:上記表2の工程による粗化処理面に化学めっきを施し(日立化成工業製めっき液「CUST−201」使用)、さらに、20μm厚さの電解めっきを施して形成した10mm幅の配線の引き剥がし強さを測定する。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
上記実施例のプリプレグは、ビルドアップ法による多層プリント配線板の製造に供して、加熱加圧成形により絶縁層を構成すれば、その絶縁層は、アラミド繊維を含まない樹脂層を表面に一体に有するものとなる。
【0029】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係るプリント配線板は、絶縁層に粗化剤による微細な凹凸処理を施してもアラミド繊維の露出を回避でき、引き剥がし強さの大きい配線を形成することができる。また、吸水率も小さく、吸湿時の耐熱性も向上させることができる。また、本発明に係るプリプレグは、上記プリント配線板ないし絶縁層を容易に形成するために有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層を備えるプリント配線板、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持したプリント配線板用絶縁層ならびにアラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂が保持されたプリント配線板用プリプレグに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、高性能化に伴い、プリント配線板の高密度化が急速に進行し、配線幅、配線間幅もますます狭ピッチ化されている。
従来のプリント配線形成は、主として、銅張り積層板に感光性ドライフィルムを貼り付け、露光、現像処理を行なった後エッチングにより不要な銅部分を除去し配線形成(サブトラクティブ法)をしていた(例えば、特許文献1)。
しかし、この方法では、配線幅/配線間幅は50/50μmが限界であり、製造歩留まりも非常に悪くなる。
【0003】
さらなる配線高密度化を実現するには、サブトラクティブ法からアディティブ法へと主流が移りつつある。アディティブ法は、樹脂絶縁層表面に粗化剤により微細な凹凸を付与し、当該表面にめっきにより配線を付加する方法である。アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層に前記アディティブ法を適用して配線を形成しようとすると、絶縁層表面の粗化処理によって絶縁層表面に露出したアラミド繊維が、形成した配線の引き剥がし強さの低下や絶縁層の耐湿特性の低下を招いたり、めっき液等の薬液が、露出した繊維に沿って内部に染み込んで不具合を起こす心配があることがわかってきた。
【0004】
露出したアラミド繊維とその上に形成した配線との接着力は弱く、付加した配線がアラミド繊維に直接接触している箇所があれば、局部的に配線の引き剥がし強さの低下を招く。絶縁層の耐湿特性の低下は、部品実装のリフロー工程における熱によって絶縁層に膨れ等を発生させる原因となるし、めっき液等の染み込みは絶縁不良の原因となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−26944号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層を備えるプリント配線板において、当該絶縁層上に形成した配線の十分な引き剥がし強さを確保することである。また、当該絶縁層の吸水率を低減して、吸湿時の耐熱性を向上することである。
さらに、本発明は、上記プリント配線板のためのアラミド繊維不織布基材絶縁層ならびにプリプレグを提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係るプリント配線板は、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層を備えたものであって、当該絶縁層は、表面にアラミド繊維を含まない厚さ3μm以上の樹脂層を一体に有することを特徴とする。前記樹脂層の厚さは、好ましくは5μm以上である。
アラミド繊維不織布とは、アラミド繊維からなる不織布だけでなく、アラミド繊維を主繊維とする不織布をその概念に含む。また、プリント配線板は、片面プリント配線板、両面プリント配線板のみならず、多層プリント配線板をその概念に含む。
【0008】
本発明に係る絶縁層は、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層であって、当該絶縁層は、表面にアラミド繊維を含まない厚さ3μm以上の樹脂層を一体に有することを特徴とする。前記絶縁層とは、当該絶縁層の少なくとも片面に金属箔が一体化されている金属箔張り積層板をその概念に含む。
【0009】
上記のように、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持して構成した絶縁層が、その表面にアラミド繊維を含まない樹脂層を一体に有する結果、当該樹脂層に粗化剤による処理を施して微細な凹凸を付与したときにアラミド繊維の露出を防止することができる。アラミド繊維の露出防止は、アラミド繊維を含まない樹脂層厚さを3μm以上とすることにより可能であり、5μm以上の厚さとすれば、粗化剤による処理にバラツキがあっても確実に対応できる。
【0010】
本発明に係るプリント配線板用プリプレグは、嵩密度が400kg/m3以上であるアラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂が保持され、樹脂含有量が60質量%以上であることを特徴とする。
【0011】
上記のようなプリプレグの層を加熱加圧成形して絶縁層を構成すると、アラミド繊維を含まない厚さ3μm以上の樹脂層を表面に一体に有する絶縁層を容易に形成することができる。アラミド繊維不織布基材の嵩密度を高くしていることから、プリプレグ作製時に基材内部に樹脂が浸透しにくく、基材表面に樹脂が上付きしたプリプレグとなっている。加えて、プリプレグの樹脂含有量も多くしていることから、このようなプリプレグの層を加熱加圧成形することによって、表面にアラミド繊維を含まない樹脂層を有する絶縁層を容易に形成できるのである。
【0012】
アラミド繊維不織布基材の嵩密度が400kg/m3以上かつ樹脂含有量が60質量%以上の条件を満足しないプリプレグを用いる場合は、アラミド繊維を含まない所定の樹脂層を表面に有する絶縁層を構成するために、別途工夫をしなければならなくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に使用するアラミド繊維不織布基材は、パラ型アラミド繊維を主体繊維とし水中に分散して抄造したものである。繊維同士を結着するバインダ成分は、水溶性樹脂や有機高分子重合体からなるフィブリッドである。前者は抄造物にスプレーして適用し、後者は前記繊維と一緒に抄造して適用する。前記両バインダは、併用しても差し支えない。パラ型アラミド繊維は、ポリパラフェニレンテレフタラミド繊維(デュポン製「ケブラー」)やポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタラミド繊維(帝人製「テクノーラ」)等である。そのチョップ及び/又はパルプを水中に分散して抄造する。
【0014】
アラミド繊維不織布基材の嵩密度の調整は、バインダの配合量加減や、水溶性樹脂をバインダとする場合はその加熱による硬化度合いを加減することよって実施する。例えば、ポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタラミド繊維を主体とする不織布基材においては、抄造物に適用する水溶性樹脂バインダ量を多くし、加熱ロールに通してバインダを硬化させるときに前記ロール温度を下げてバインダの硬化度を低くしておく。そうすると、その後のカレンダ処理工程で不織布基材を十分圧縮することが可能となるので、不織布基材の嵩密度を高くすることができる。また、ポリパラフェニレンテレフタラミド繊維を主体とする不織布基材においては、繊維自体がフィブリル化しやすいため、不織布基材のカレンダ処理工程で圧力を調整して十分に圧縮し、不織布基材の嵩密度を高くすることができる。
【0015】
プリプレグを製造するに当たって、樹脂含有量の調整は、不織布基材に熱硬化性樹脂ワニスを含浸した後に通すスクイズロールのギャップを加減することにより実施する。樹脂含有量を増やすときはギャップを広くし、樹脂含有量を減らすときはギャップを狭くすることにより調整可能である。また、熱硬化性樹脂ワニスの粘度や含浸速度(不織布基材の移送速度)を加減することにより樹脂含有量を調整することもできる。
【0016】
アラミド繊維不織布基材に保持させる熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂組成物、フェノール樹脂組成物、ポリウレタン樹脂組成物、メラミン樹脂組成物、ポリイミド樹脂組成物などである。これら樹脂組成物には、必要に応じ、無機充填材(例えば、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、微粉末シリカ等)を適宜配合することができる。
【0017】
【実施例】
本発明に係る実施例を、アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層について以下に説明する。
以下の各例で使用するアラミド繊維不織布基材は、パラ系アラミド繊維(帝人製「テクノーラ」)チョップを主繊維として水中に分散して抄造し、抄造物に水を分散媒とするエマルジョン形態のエポキシ樹脂バインダをスプレーして繊維同士を結着した不織布基材である。発明の実施の形態において述べた方法により、種々の嵩密度の不織布基材を準備し、これらにエポキシ樹脂ワニスを含浸して、種々の樹脂含有量のプリプレグを調製した。
【0018】
実施例1
嵩密度が500kg/m3であるアラミド繊維不織布基材に臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含浸し加熱乾燥して、樹脂含有量60質量%のプリプレグを得た。
上記プリプレグ層の両面に離型フィルムを載置し金属鏡面板に挟んで、温度185℃,圧力4MPaで加熱加圧成形し絶縁層を得た。
【0019】
実施例2
プリプレグの樹脂含有量を70質量%とする以外は実施例1と同様にして絶縁層を得た。
【0020】
実施例3
嵩密度が400kg/m3であるアラミド繊維不織布基材を用いる以外は実施例1と同様にして絶縁層を得た。
【0021】
実施例4
嵩密度が400kg/m3であるアラミド繊維不織布基材に臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含浸し加熱乾燥して、樹脂含有量65質量%のプリプレグを得た。
上記プリプレグ層の両面に離型フィルムを載置し金属鏡面板に挟んで、温度185℃,圧力4MPaで加熱加圧成形し絶縁層を得た。
【0022】
比較例1
嵩密度が350kg/m3であるアラミド繊維不織布基材に臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含浸し加熱乾燥して、樹脂含有量65質量%のプリプレグを得た。
上記プリプレグ層の両面に離型フィルムを載置し金属鏡面板に挟んで、温度185℃,圧力4MPaで加熱加圧成形し絶縁層を得た。
【0023】
比較例2
嵩密度が400kg/m3であるアラミド繊維不織布基材に臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含浸し加熱乾燥して、樹脂含有量55質量%のプリプレグを得た。
上記プリプレグ層の両面に離型フィルムを載置し金属鏡面板に挟んで、温度185℃,圧力4MPaで加熱加圧成形し絶縁層を得た。
【0024】
比較例3
嵩密度が500kg/m3であるアラミド繊維不織布基材に臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含浸し加熱乾燥して、樹脂含有量55質量%のプリプレグを得た。
上記プリプレグ層の両面に離型フィルムを載置し金属鏡面板に挟んで、温度185℃,圧力4MPaで加熱加圧成形し絶縁層を得た。
【0025】
上記各実施例、比較例における絶縁層の仕様と特性を測定した結果を表2にまとめて示す。各特性の測定法は、次のとおりである。
樹脂層厚み:340×500mm□絶縁層の面内から無作為に選択した9点の断面(注型により固定)を観察し、表面のアラミド繊維を含まない樹脂層厚さを測定する。
吸水率:JIS C6481に準拠して測定する。
表面性状:絶縁層をシプレイ製「サーキューポジット200MLBプロセス」による粗化処理に供し(すなわち、膨潤(80℃,7分)−表面粗化(75℃,10分)−中和(40℃,6分)の処理工程)、その後に光学顕微鏡で絶縁層表面の繊維の露出有無を観察する。繊維露出なしを「○」、繊維露出ありを「×」で示す。処理工程の詳細は、表1のとおりである。
配線剥がし強さ:上記表2の工程による粗化処理面に化学めっきを施し(日立化成工業製めっき液「CUST−201」使用)、さらに、20μm厚さの電解めっきを施して形成した10mm幅の配線の引き剥がし強さを測定する。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
上記実施例のプリプレグは、ビルドアップ法による多層プリント配線板の製造に供して、加熱加圧成形により絶縁層を構成すれば、その絶縁層は、アラミド繊維を含まない樹脂層を表面に一体に有するものとなる。
【0029】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係るプリント配線板は、絶縁層に粗化剤による微細な凹凸処理を施してもアラミド繊維の露出を回避でき、引き剥がし強さの大きい配線を形成することができる。また、吸水率も小さく、吸湿時の耐熱性も向上させることができる。また、本発明に係るプリプレグは、上記プリント配線板ないし絶縁層を容易に形成するために有用である。
Claims (5)
- アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層を備えるプリント配線板において、前記絶縁層は、表面にアラミド繊維を含まない厚さ3μm以上の樹脂層を一体に有することを特徴とするプリント配線板。
- アラミド繊維を含まない樹脂層が、5μm以上の厚さであることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板。
- アラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層において、前記絶縁層は、表面にアラミド繊維を含まない厚さ3μm以上の樹脂層を一体に有することを特徴とするプリント配線板用絶縁層。
- 嵩密度が400kg/m3以上であるアラミド繊維不織布基材に熱硬化性樹脂が保持され、樹脂含有量が60質量%以上であることを特徴とするプリント配線板用プリプレグ。
- アラミド繊維不織布基材を構成する主繊維が、パラ型アラミド繊維であることを特徴とする請求項4記載のプリント配線板用プリプレグ。
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JP2003121087A JP2004322495A (ja) | 2003-04-25 | 2003-04-25 | プリント配線板、プリント配線板用絶縁層ならびにプリント配線板用プリプレグ |
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JP2007294487A (ja) * | 2006-04-20 | 2007-11-08 | Matsushita Electric Works Ltd | プリプレグ、プリント配線板の製造方法 |
JP2015111579A (ja) * | 2008-03-25 | 2015-06-18 | 味の素株式会社 | 絶縁樹脂シート及び該絶縁樹脂シートを用いた多層プリント配線板の製造方法 |
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2003
- 2003-04-25 JP JP2003121087A patent/JP2004322495A/ja not_active Abandoned
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