JP2006315392A - 金属箔張り積層板の製造方法 - Google Patents

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清 斉藤
Fumio Ishigami
富美男 石上
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Abstract

【課題】特定のプリプレグを使用して、ガラスクロスの高開繊処理の度合いを適用化させ、レーザー加工性および成形性に優れた金属箔張り積層板の製造法を提供する。
【解決手段】ガラスクロスに熱硬化性樹脂組成物を含浸したプリプレグと金属箔を重ね合わせ、次いで加熱加圧してなる金属箔張り積層板の製造方法において、前記ガラスクロスの通気度が20〜60cm/cm/sである金属箔張り積層板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気・電子機器等に使用される金属箔張り積層板の製造方法に関するものである。
プリント多層配線板の材料となる金属箔張り積層板は、例えばガラスクロスの基材にエポキシ樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物を含浸した後、加熱乾燥して半硬化(Bステージ化)させることによってプリプレグを作製し、このプリプレグを所要枚数重ねるとともに、銅箔等の金属箔をその片側又は両側に配して積層し、加熱加圧して成形を行うことによって作製される。
近年の電子機器の高機能、モバイル化により、プリント配線板は高密度化の方向へと進み、ビルドアッププリント配線板を代表とするIVH(Interstitial Via Hole)およびSVH(Surface Via Hole)等のプリント配線板の層間接続用の穴径も細径化が進んでいる。そのため、穴明け加工方法の一つドリル加工では、細径化には限界があり、細いドリルを使用した場合では穴位置精度、ドリル寿命が悪くなってしまう。そこで小径加工に優れたレーザー穴明け機が多く使用されるようになってきた。
しかしながら、積層板のガラスクロスのたて糸とよこ糸の交点とその間の隙間部分とではレーザー加工時の加工性に違いがあり、加工穴の形状(真円性、穴内壁粗さ)にばらつきが生じるという問題があった。
そこで、特許文献1に示されるように、ガラスクロスの開繊度を表す通気度を10cm/cm/sec以下とすることにより、面内のガラス量が均一化され、レーザー加工性に優れた金属張り積層板が提案されている。
特開2003−031957号公報
しかしながら、IPC−4412に定められた厚み60μmの1080および1078スタイルに通気度が10cm/cm/sec以下の高開繊ガラスクロスを使用した場合、レーザー加工性は優れるが、金属張り積層板に成形する際、ボイド不良の発生率が高くなることがわかった。本発明は、レーザー加工性および成形性に優れた金属箔張り積層板の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するために検討を重ねた結果、ガラスクロスの高開繊処理の度合いを適性化することにより、レーザー加工性および成形性に優れた金属箔張り積層板の製造方法を得られることを見い出し、本発明に至った。
本発明は以下の通りである。
(1)ガラスクロスに熱硬化性樹脂組成物を含浸したプリプレグと金属箔を重ね合わせ、次いで加熱加圧してなる金属箔張り積層板の製造方法において、前記ガラスクロスの通気度が20〜60cm/cm/sであることを特徴とする金属箔張り積層板の製造方法。
(2)ガラスクロスの厚みが、10μmから150μmである項(1)に記載の金属箔張り積層板の製造方法。
(3)ガラスクロスの厚みが、60μmである項(1)に記載の金属箔張り積層板の製造方法。
レーザー加工性および成形性に優れた金属箔張り積層板の製造方法を提供することが可能となった。
本発明に係る金属張積層板は、特定のガラスクロスに熱硬化性樹脂組成物を含浸後硬化させて得たプリプレグと金属箔を積層し加熱加圧して得られる。
なお、本発明に用いるガラスクロスの通気度は、20〜60cm/cm/sに限定される。ガラスクロスの通気度が20cm/cm/s未満の場合は、たて糸とよこ糸の隙間のバスケットホールが小さいため、ガラスクロス内部への樹脂の含浸が不十分となり、ボイドが発生する。また、60cm/cm/sを超える場合、ガラス開繊処理による面内のガラスクロスの均一性が不十分となり、レーザー加工穴の形状にばらつきが生じてくる。
本発明に用いるガラスクロスの厚みは、特に限定しないが、10μmから150μmが好ましく、20μmから100μmがより好ましく、30μmから80μmが特に好ましい。ガラスクロスの厚みが10μm未満の場合はガラスクロスの製造に使用する単糸が細くなって、ガラスクロスの製造が困難になる傾向がある。また、ガラスクロスの厚みが150μmを超える場合、プリプレグ面内および厚み方向における均一化が困難でありレーザー加工性に劣る傾向がある。また、IPC−4412に規定される1080または1078スタイルの厚み60μmのガラスクロスが、最も好適に使用できる。
本発明に用いられる熱硬化性樹脂組成物としては、金属箔張り積層板の製造に用いる熱硬化性樹脂組成物が適用でき、具体的にはエポキシ樹脂系、フェノール樹脂系、ポリイミド樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、ポリフェニレンエーテル樹脂系等の単独、変性物、混合物のように、熱硬化性樹脂全般を用いることができる。
この熱硬化性樹脂組成物中には、熱硬化性樹脂を含有し、必要に応じてその熱硬化性樹脂の硬化剤、硬化促進剤、無機充填材及び溶剤等を含有することができる。なおエポキシ樹脂等のように自己硬化性の低い熱硬化性樹脂は、その樹脂を硬化するための硬化剤等も含有することが必要である。
なお、熱硬化性樹脂組成物が、エポキシ樹脂系の場合、電気特性及び接着性のバランスが良好であり好ましい。エポキシ樹脂系の樹脂組成物に含有するエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びこれらエポキシ樹脂構造体中の水素原子の一部をハロゲン化することにより難燃化したエポキシ樹脂等が挙げられる。
また、このエポキシ樹脂系の樹脂組成物に含有する硬化剤としては、例えばジシアンジアミド、脂肪族ポリアミド等のアミド系硬化剤や、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミン系硬化剤や、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、p−キシレン−ノボラック樹脂等のフェノール系硬化剤や、酸無水物類等が挙げられる。
なお、上記熱硬化性樹脂組成物に含有することができる無機充填材としては、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク等の無機質粉末充填材や、ガラス繊維、パルプ繊維、合成繊維、セラミック繊維等の繊維質充填材が挙げられ、また、上記熱硬化性樹脂組成物に含有することができる溶剤としてはN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
この熱硬化性樹脂組成物をガラスクロスに含浸する方法としては特に限定するものではないが、速度、温度、樹脂含浸量を調整するためのロールのギャップを制御する装置がついていることが望ましい。
なお、熱硬化性樹脂組成物をガラスクロスに含浸した後、加熱乾燥しBステージ化した一般的にいうプリプレグを得る。
本発明に用いられる金属箔としては、銅、アルミニウム、真鍮、ニッケル等の単独、合金、複合の金属箔を用いることができ、金属箔の代わりに金属箔が積層成形された片面金属張積層板、両面金属張積層板を用いることもできる。なお、この金属箔は、金属箔張り積層板の作製のみに用いることに限定するものではなく、内層用基板とプリプレグとを積層したその積層物の片側又は両側に積層して用いてもよい。この金属箔の厚みとしては、金属箔張り積層板の作製に用いる場合0.003〜0.070mmが一般的である。
金属箔張り積層板を製造するときの加熱加圧する条件としては、熱硬化性樹脂組成物が硬化する条件で適宜調整して加熱加圧すればよいが、加圧の圧力が高いと導体回路の寸法収縮のばらつきが大きくなる場合があるため、成形性を満足する範囲内で、できるだけ低圧で加圧することが好ましい。なお、加熱加圧を300Torr以下の減圧雰囲気下で行うと、ボイドなどの発生を抑制できるため好ましい。
金属箔張り積層板表面の金属箔をエッチングする方法としては特に限定するものではなく、金属箔及びそのエッチングに用いるエッチングレジストにより一般の方法が適用可能である。
(実施例1)
厚みが60μmで、かつ通気度が20cm/cm/sであるIPC4412に規定される1078ガラスクロスを基材とした。
熱硬化性樹脂組成物として、下記のエポキシ樹脂2種類、硬化剤、硬化促進剤及び溶剤2種類よりなるエポキシ樹脂系樹脂組成物を使用した。
・エポキシ樹脂1:テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂[東都化成社製、商品名YDB−500]を固形分として87.5重量部
・エポキシ樹脂2:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂[東都化成社製、商品名YDCN−220]を固形分として12.5重量部
・硬化剤:ジシアンジアミドを2.8重量部
・硬化促進剤:2−エチル−4−メチルイミダゾールを0.18重量部
・溶剤1:N,N−ジメチルホルムアミドを25重量部
・溶剤2:メチルエチルケトンを100重量部
この樹脂組成物を、たて型塗工機を用いて、上記ガラスクロスに、乾燥後の熱硬化性樹脂組成物の量が、熱硬化性樹脂組成物及びガラスクロスの合計100重量部に対し、60重量部となるように調整し、含浸した後、最高温度185℃で乾燥して厚み0.065mmのプリプレグを作製した。
このプリプレグの両側に厚み12μmの銅箔を配して積層した後、この積層物を金属プレートで挟み、最高温度180℃、圧力3.0MPaで90分加熱加圧成形して厚み0.06mmの両面銅張り積層板を作製した。
(実施例2)
厚みが60μmで、かつ通気度が60cm/cm/sであるIPC−4412に規定される1078ガラスクロスを基材とした以外は実施例1と同様にして0.06mmの両面銅張り積層板を得た。
(比較例1)
厚みが60μmで、かつ通気度が15cm/cm/sであるIPC−4412に規定される1078ガラスクロスを基材とした以外は実施例1と同様にして0.06mmの両面銅張り積層板を得た。
(比較例2)
厚みが60μmで、かつ通気度が70cm/cm/sであるIPC−4412に規定される1078ガラスクロスを基材とした以外は実施例1と同様にして0.06mmの両面銅張り積層板を得た。
(評価、結果)
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた金属張積層板について成形性、レーザー加工性を評価し、下記表1に示した。成形性の評価は、金属張積層板を全面エッチング後、顕微鏡により表面を観察し、ボイド発生率を調べた。レーザー加工性の評価基準は、加工穴壁面の粗さが小さく真円性に優れる場合や、加工穴壁面の粗さが小さく真円性に問題のないレベルの場合は良好とし、加工穴壁面の粗さが大きく真円性のバラツキが大きい場合は、やや劣るとした。
Figure 2006315392
結果は表1に示した通り、実施例1〜2は比較例1〜2と比べ、成形性とレーザー加工性の両立が図れることが確認された。

Claims (3)

  1. ガラスクロスに熱硬化性樹脂組成物を含浸したプリプレグと金属箔を重ね合わせ、次いで加熱加圧してなる金属箔張り積層板の製造方法において、前記ガラスクロスの通気度が20〜60cm/cm/sであることを特徴とする金属箔張り積層板の製造方法。
  2. ガラスクロスの厚みが、10μmから150μmである請求項1に記載の金属箔張り積層板の製造方法。
  3. ガラスクロスの厚みが、60μmである請求項1に記載の金属箔張り積層板の製造方法。


























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