JP2004307275A - 感光性セラミックス組成物 - Google Patents

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充代 榛葉
Tomoya Yamaho
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Abstract

【課題】高周波領域において十分な特性をえることができるようにするため、フォトリソグラフィー法を用いた高アスペクト比かつ高精細のビアホール形成が可能なであることが必須である。そのためには露光光の透過性、直進性が高いことが必要であり、それに対したセラミックス組成物を提供する。
【解決手段】無機粉末と感光性有機成分を必須成分とする感光性セラミックス組成物であって、無機粉末は少なくともガラス粉末とセラミックス粉末を含有し、セラミックス粉末の少なくとも一部がフェノール樹脂によって表面処理されており、感光性セラミックス組成物全体のうちフェノール樹脂によって表面処理されたセラミックス粉末を3重量%以上35重量%以下含有する感光性セラミックス組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性セラミックス組成物に関する。本発明の感光性セラミックス組成物は高周波無線用セラミックス多層基板などの回路材料などに用いられる。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話をはじめとする無線通信技術の普及が著しい。従来の携帯電話は800MHz〜1.5GHzの準マイクロ波帯を用いたものであったが、情報量の増大に伴い、搬送周波数をより高周波であるマイクロ波帯からミリ波帯とした無線技術が提案され、実現される状況にある。こうした高周波無線回路は、移動体通信やネットワーク機器としての応用が期待されており、中でもブルートゥース(Blnetooth)やITS(Intelligent Transport System),高度交通情報システム)での利用によってますます重要な技術となりつつある。
【0003】
これらの高周波回路を実現するためには、そこで使用される基板材料も、使用周波数帯、すなわち、1〜100GHzで優れた高周波伝送特性をもつ必要がある。優れた高周波伝送特性を実現させるためには、低誘電率でかつ誘電損失が低いこと、加工精度が高いこと、寸法安定性がよいといった要件が必要であり、なかでもセラミックス基板が有望視されてきた。
【0004】
しかしながら、これまでのセラミックス基板は、寸法安定性に優れているものの、微細加工度が低かったため、特に高周波領域において十分な特性を得ることができなかった。このような微細加工精度の問題を改良する方法として、感光性セラミックス組成物から形成したグリーンシートを用いたフォトリソグラフィー技術によるビアホール形成方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら感光性セラミックス組成物の感度や解像度が低いため高アスペクト比のもの、例えば50μmを超えるような厚みのシートに対し、100μm以下のビアホールを精度良く、かつ均一に形成できないという欠点があった。
【0005】
また、マトリックス樹脂中のフィラー粒子が小さい場合、充分に分散することが困難で、どうしてもフィラー粒子が凝集する凝集塊が存在してしまうという問題があった。このような凝集の問題を改良する方法として、フィラー含有スラリー組成物が提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−202323号公報(第8頁−9頁)
【0007】
【特許文献2】
特開2002−285003号公報(第4頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
高周波領域において十分な特性を得ることができるようにするため、フォトリソグラフィー法を用いた高アスペクト比かつ高精細のビアホール形成が可能なであることが必須である。そのためには露光光の透過性、直進性が高いことが必要であり、それに適したセラミックス組成物を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は無機粉末と感光性有機成分を必須成分とする感光性セラミックス組成物であって、無機粉末は少なくともガラス粉末とセラミックス粉末を含有し、セラミックス粉末の少なくとも一部がフェノール樹脂によって表面処理されており、感光性セラミックス組成物全体のうちフェノール樹脂によって表面処理されたセラミックス粉末を3重量%以上35重量%以下含有する感光性セラミックス組成物である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。本発明の感光性セラミックス組成物に用いるセラミックス粉末は、少なくとも一部がフェノール樹脂によって表面処理されている。このような表面処理を施したセラミックス粉末を用いることによって無機粉末の凝集を避け、粉末の分散性を向上させることができる。これは、フェノール樹脂がセラミックス粉末の表面上に存在することによってセラミックス粉末どうしの凝集が妨げられることによるものと考えられる。フェノール樹脂によって表面処理されたセラミックス粉末を用いることによって粉末の凝集を避け、分散性を向上させることは、露光に用いる光の透過性、直進性を上げる意味からも好ましい。
【0011】
また、フェノール樹脂によって表面処理されたセラミックス粉末を用いることによって無機粉末の凝集を避け粉末の分散性を向上させることは、より多くの無機粉末を感光性セラミックス組成物に充填することが可能となることからも好ましい。さらに、感光性有機成分との密着性が向上するため、焼成基板の機械的強度等の特性がより良好なものとなる。
【0012】
本発明の感光性セラミックス組成物に用いるセラミックス粉末は、少なくとも一部がフェノール樹脂によって表面処理されており、感光性セラミックス組成物全体のうちフェノール樹脂によって表面処理されたセラミックス粉末を3重量%以上35重量%以下含有することが好ましい。より好ましくは7重量%以上32重量%以下である。含有量が3重量%未満では、分散不足によって光感度向上の効果が得られず、また35重量%を超えるとチキソトロピー性が増加し、感光性セラミックス組成物の流動性が失われることにより作業性が劣るだけでなく、さらにはゲル化が進行し現像性を損なう恐れがある。また、流動性が失われることにより感光性セラミックス組成物に気泡を巻き込み易くなるため、光散乱が増えることにより光感度が低下する。これはパターン形成性が低下するうえ、焼成時のクラック等、基板欠陥を引き起こす。
【0013】
本発明によれば、光感度が向上するが、それは全光線透過率や、光線直進透過率によって評価できる。全光線透過率は、試料に照射した光量のうち、試料を通過した全光量の割合を示す。光線直進透過率は、試料に照射した光量のうち、光路を変えず平行光のまま試料を通過した光量の割合を示す。全光線透過率が高いと透明性が高く、シート厚みを厚くした際に底部まで露光光が到達し易くなる。また、光線直進透過率が高いと、フォトマスクのパターンの転写性が高くなり、露光・現像後のビア断面形状が矩形に近づく。すなわち、全光線透過率が高いほど厚いシートへの貫通穴形成ができ、光線直進透過率が高いほど高アスペクト比のビア断面を得ることができる。また測定に用いる光線は露光にて使用する光源と同じ波長の光源、例えば高圧水銀灯やそのうちの選択された波長光源(g線 436nmやi線 365nm、またこれらの波長領域と同じ挙動を示す光源(ハロゲンランプなどの可視光源))による測定が好ましい。
【0014】
本発明では、セラミックス粉末の表面の一部が処理されていればよく、例えば無機粉末表面積(S1)に対するフェノール樹脂により表面処理された部分の面積(S2)の面積比(S2/S1)は、1であることが勿論最も好ましいが、完全に覆い尽くされていなくても差し支えない。「一部」とは、S2/S1が1以下であるような形態を示すが、その場合S2/S1は、好ましくは0.4以上(より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.8以上)である。
【0015】
また、フェノール樹脂によって表面処理されたセラミックス粉末および、フェノール樹脂によって表面処理されていないセラミックス粉末の平均粒子径が0.01μm以上3μm以下であることが好ましい。ここで言う粒子径とはレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて得られた値である。また、平均粒子径は、50%分布粒子径とする。なお、50%分布粒子径とは粒度分布が50%のところの粒子径を指し、今後特に断りがない限り平均粒子径とはこの粒子径を指す。セラミックス粉末の平均粒子径が0.01μmより小さい場合、感光性有機成分と混合、分散することが困難となる。そのため、散乱・反射が増え、光感度が低下することによりパターン形成性が低下する。一方、セラミックス粉末の平均粒子径が3μmより大きい場合、主として使用する光の波長である紫外線領域から可視領域にかけて、光の散乱体として無視できなくなる。そのため、散乱・反射が増加し、光感度が低下することによりパターン形成性が低下する。3μmより小さい場合、粒子そのものの光の散乱が少なくなること、また感光性有機成分と混合、分散した際に、粘度が安定し、シート化した際のシート面内での強度ばらつきを抑制することができるからである。また、露光・現像によって得られた断面形状を比較的平滑に得ることができるから、高解像度のパターンを必要とする場合に好適に用いられる。またさらには平均粒子径が0.03μmよりも大きいとより好ましく使用することができる。平均粒子径以上とすることで、感光性有機成分と混合、分散した状態において露光光が効率よく吸収され、かつ現像時に現像液に浸漬した際に現像液が均一に拡散する。これにより露光・現像の工程時間が短縮されるからである。
【0016】
さらに本発明で用いるセラミックス粉末は、2種以上の異なる平均粒子径をもつセラミックス粉末を含有し、少なくとも一番小さい平均粒子径のセラミックス粉末に対しフェノール樹脂での表面処理を施すことが好ましい。セラミックス粉末の粒度が小さいものほど比表面積が増えるため、粉末の凝集性が上がり感光性有機成分内への分散性が低下し易い。そのため光散乱が増え、光感度が低下することによりパターン形成性が低下するが、少なくとも一番小さい平均粒子径のセラミックス粉末に対し表面処理を施すことによってこれを防止することが可能である。
【0017】
本発明の感光性セラミックス組成物に含有される無機粉末は焼成工程において焼結するものであり、本発明の目的とする基板形成は1000℃以下、特に700℃〜900℃の温度での焼成が好ましいので、いわゆる低温焼成無機粉末が好ましい。もちろん、これらの無機粉末が基板の電気的特性、強度、熱膨張係数などの基板物性を決めるものであるため、目的とする特性に応じて選択されるものである。
【0018】
本発明で用いる無機粉末は、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、コーディエライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、シリカおよび窒化アルミの群から少なくとも1種類を含むことが好ましい。これらの材料は、ガラスセラミックスにおいて基板の機械的強度の向上や、熱膨張係数などの熱物性の制御、あるいは誘電率や誘電正接の制御等を目的として、ガラスセラミックス中に含まれる材料である。これらの材料の熱膨張係数は10−6〜10−7/℃と小さく(測定領域:25から300℃)、熱による変形が小さい。
【0019】
本発明で用いる無機粉末は、Cu、Ag、Auなどを配線導体として多層化が可能な600〜900℃での焼成が可能であるとともに、GaAsなどのチップ部品やプリント基板の熱膨張係数と近似した熱膨張係数を有し、高周波領域においても低誘電率でかつ誘電損失が低い基板を与えるものであることが好ましい。
【0020】
無機粉末はフィラー成分を含むことが可能であり、フィラー成分としてセラミックス粉末が用いられることが多く、基板の機械的強度の向上や熱膨張係数を制御するのに有効であり、特に、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コーディエライト、アノーサイトはその効果が優れている。これらのセラミックス粉末の割合が70重量%を越えると焼結しにくくなり、また40重量%未満では、熱膨張係数の制御や低誘電率の基板が得られにくくなる。従って、セラミックス粉末の混合量をこの範囲にすることにより、焼成温度を800〜900℃とし、強度、誘電率、熱膨張係数、焼結密度、体積固有抵抗、収縮率を所望の特性とすることができる。
【0021】
ガラス粉末のSiO、Al、CaOおよびBなどの成分は、ガラス粉末中で総量85重量%以上であることが好ましい。残りの15重量%以下はNaO、KO、BaO、PbO、Fe、Mn酸化物、Cr酸化物、NiO、Co酸化物などを含有することができる。ガラス粉末30〜60重量%と組み合わされるセラミックス粉末70〜40重量%はフィラー成分となる。ガラス粉末中のSiOは30〜70重量%の範囲であることが好ましく、30重量%未満の場合は、ガラス層の強度や安定性が低下し、また誘電率や熱膨張係数が高くなり所望の値から外れやすい。また、70重量%より多くなると焼成基板の熱膨張係数が高くなり、1000℃以下の焼成が困難となる。Alは0〜40重量%の範囲で配合することが好ましい。40重量%を越えるとガラス組成をフリット化する温度が高くなりすぎる。CaOは3〜25重量%の範囲で配合するのが好ましい。3重量%より少なくなると所望の熱膨張係数が得られなくなり、また1000℃での焼成が困難となる。25重量%を越えると誘電率や熱膨張係数が大きくなり好ましくない。Bはガラスフリットを1300〜1450℃付近の温度で溶解するため、およびAlが多い場合でも誘電率、強度、熱膨張係数、焼結温度などを電気、機械および熱的特性を損なうことのないように焼成温度を800〜900℃の範囲に制御するために配合することが望ましく、配合量として3〜50重量%の範囲が好ましい。
【0022】
本発明の感光性セラミックス組成物は、上記無機粉末の他に感光性有機成分を必須成分とする。
【0023】
本発明の感光性有機成分は感光性セラミックス組成物中の有機成分の総体を指し、感光性セラミックス組成物のうち無機粉末を除いた成分全体を意味する。なお、本発明の感光性セラミックス組成物は、ペースト体として、塗布・積層に際し、好適に溶媒が用いられるものではあるが、感光性有機成分の組成に関するパラメータ(無機粉末と感光性有機成分の比など)についての以下の説明においては、原則として溶媒成分は除外して算出されたものであるとする。
【0024】
本発明の感光性セラミックス組成物中の無機粉末と感光性有機成分の重量比は7:3〜8:2の範囲内であることが好ましい。すなわち、感光性有機成分は20〜30重量%であることが好ましい。感光性有機成分が20重量%より小さいと可撓性が低下し、30重量%より大きいと、組成物中の無機粉末の間隙を埋め尽くしてしまい通気性が損なわれてしまうので、これらの特性の両立を維持するためには上記の範囲内とすることが好ましい。
【0025】
本発明で用いられる感光性有機成分は、アルカリ水溶液での現像が可能になる点から、側鎖にカルボキシル基を有する重合体を含有していることが好ましい。側鎖にカルボキシル基を有する重合体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニルまたはこれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマーおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのモノマーを選択し、ラジカル重合開始剤を用いて重合または共重合させることにより得られるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
また側鎖にカルボキシル基を有する重合体の酸価50〜140であることが好ましい。酸価を140以下とすることで、現像許容幅を広くすることができ、酸価を50以上とすることで、未露光部の現像液に対する溶解性が低下することがなく、従って現像液を濃くする必要がなく露光部の損傷を防ぎ、高精細なパターンを得ることができる。なお、酸化の測定方法は、一般的に酸・塩基滴定法を用いる。すなわち、試料のエーテル・エタノール溶液をKOHで滴定し、測定対象物1gに対するKOHの消費量(mg)で酸化を表示するものである。
【0027】
側鎖にカルボキシル基を有する重合体として、焼成時の熱分解温度が低いことから、(メタ)アクリル酸エステル(ここで「(メタ)アクリ・・・」とは「アクリ・・・」および/または「メタクリ・・・」を意味する、以下も同様)および(メタ)アクリル酸を共重合成分とする共重合体が好ましく用いられる。
【0028】
さらに、側鎖にカルボキシル基を有する重合体が側鎖にエチレン性不飽和基を有することも、パターン形成性が向上するので好ましい。側鎖にカルボキシル基を有する重合体において、エチレン性不飽和基としては、架橋反応性を考慮すれば一般的に立体障害が小さく分子運動の自由度が大きい方が好ましく、つまり、エチレン性不飽和基に大きな置換基が多数あることは好ましくない。従って、一置換基ついで二置換基が好ましいが、置換基の化学的特性によっては、かえって架橋反応性が向上する場合もある。具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。特に、アクリロイル基やメタクリロイル基を有することが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0029】
このような側鎖をポリマーに付加する方法は、ポリマー中の活性水素含有基であるメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させる。グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジル、イソクロトン酸グリシジルなどがある。イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネートなどがある。また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中の活性水素含有基に対して0.05〜0.95モル当量付加させることが好ましい。活性水素含有基がメルカプト基、アミノ基、水酸基の場合にはその全量を側鎖基の導入に利用することもできるが、カルボキシル基の場合には、ポリマーの酸価が好ましい範囲で付加することが好ましい。
【0030】
側鎖にカルボキシル基を有する重合体を用いる場合は、感光性有機成分中の10〜80重量%であることが好ましい。前記数値範囲の下限値を下回ると光硬化不足となり、上限値を上回ると光硬化過剰となり好ましくないからである。
【0031】
感光性有機成分に含有される側鎖にカルボキシル基を有する重合体には、一般的に活性光線のエネルギーを吸収する能力はないので、光反応を開始するためには光重合開始剤を加えることが好ましい。場合によっては光重合開始剤の効果を補助するために増感剤を用いることがある。このような光重合開始剤には1分子系直接開裂型、イオン対間電子移動型、水素引き抜き型、2分子複合型など機構的に異なる種類があり、それらを選択して用いる。本発明に用いる光重合開始剤は、活性ラジカル種を発生するものが好ましい。光重合開始剤や増感剤は1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、光硬化性有機成分に対し、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で添加され、より好ましくは0.1〜10重量%である。光重合開始剤の添加量をこの範囲内とすることにより、露光部の残存率を保ちつつ良好な光感度を得ることができる。
【0032】
前記の通り、感光性有機成分を構成する主成分は、好適には、上記の重合体の他に光重合開始剤あるいは感光性モノマーがある。感光性モノマーは、光によって開始された反応、すなわち架橋反応や重合反応を生起してパターン形成において重要な役割をする。このような感光性モノマーとしては、1個以上の光重合可能な(メタ)アクリレート基またはアリル基を有するモノマーなどが挙げられる。これらの具体例としては、アルコール類(例えばエタノール、プロパノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)のアクリル酸またはメタクリル酸エステル、カルボン酸(例えば酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸など)とアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジル、またはテトラグリシジルメタキシリレンジアミンとの反応生成物、アミド誘導体(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなど)、エポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との反応物などを挙げることができる。また、多官能モノマーにおいて、不飽和基は、アクリル、メタクリル、ビニル、アリル基が混合して存在してもよい。これらは単独で用いてもよく、また組み合わせて用いてもよい。
【0033】
感光性セラミックス組成物においてパターン形成性を高いレベルに保持するためには、無機粉末と感光性有機成分との屈折率を整合させることも必要である。無機粉末の屈折率は無機粉末の組成比で制御することが可能なため、無機粉末と感光性有機成分の平均屈折率との整合の一つの方法は、上記組成比で制御することが挙げられる。あるいは、感光性有機成分の屈折率を高める手段を用いることもあり、その場合には、硫黄原子、臭素原子、沃素原子、ナフタレン環、ビフェニル環、アントラセン環、カルバゾール環の群から選ばれた基を有する化合物を20重量%以上含有させるなどの方法を適用することができる。
【0034】
無機粉末の粒子径および比表面積は、作製しようとするグリーンシートの厚みや焼成収縮率を考慮して選ばれる。無機粉末の形状は粒状または球状であるものを用いることによって高アスペクト比で高精細のビアホールの形成が可能であるので、球形率80個数%以上の無機粉末を用いることが好ましい。なお、球形率の測定は以下の通りに行えばよい。まず、測定対象である粉末を光学顕微鏡で300倍の倍率にて撮影して計算する。そして球状のもの(短径/長径≧0.8)である個数の比率を算出した値を球形率とする。但し、前記撮影像では、立体的に球形であることを判別することは困難であることが多いので、平面画像である前記撮影像で円形のもの(短径/長径≧0.8)である個数の比率を算出した値である円形率を球形率としてもよい。このような粒径およびその分布を有する無機粉末を用いることにより、粉末の充填性が向上し、グリーンシート中の粉末比率を増加させても気泡を巻き込むことが少なくなり、余分な光散乱が少ないため、パターン形成性を高めることになる。無機粉末の粒度が上記範囲より小さいと比表面積が増えるため、粉末の凝集性があがり、感光性有機成分内への分散性が低下し、気泡を巻き込み易くなる。そのため、光散乱が増え、パターン形成性が低下する。逆に上記範囲より大きい場合には、粉末のかさ密度が下がるため充填性が低下し、感光性有機成分の量が不足し、気泡を巻き込みやすくなり、やはり光散乱を起こしやすくなる。さらに、無機粉末の粒度は上記範囲にあると、粉末充填比率が高いので焼成収縮率が低くなり、焼成時にビアホール形状が崩れにくい。
【0035】
感光性セラミックス組成物から形成されたグリーンシートの焼成を行う場合、グリーンシートの上面および下面に難焼結性のセラミックスシートを積層して焼成してもよい。それによって、厚み方向のみ収縮させ、X−Y平面にほぼ無収縮となるようにできる。X−Y平面方向の焼成収縮率が1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。
【0036】
難焼結性のセラミックスとは、基板焼結温度では焼結しないセラミックス粉末で、アモルファスシリカ、石英、アルミナ、マグネシア、ヘマタイト、チタン酸バリウムおよび窒化硼素などから選択して用いることができる。これらの材料から得られるシートは、ダミー用グリーンシートまたは拘束シートなどと称せられる。このシートには、しばしば酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムなどの酸化剤やガラス・セラミックスグリーンシートとの密着性改良材となる酸化物粉末が1〜5重量%添加されることが好ましい。このような難焼結性のセラミックスシートの例としては、アルミナ粉末にポリビニルブチラール、ジオクチルフタレート、適当な酸化物、有機溶媒などを加えて、ドクターブレード法によってシート状に形成したものをあげることができる。
【0037】
グリーンシートの上下の面に拘束シートを配置した状態での焼成工程によりX−Y平面方向の収縮は制限されるが、組成物の成分や配合組成、焼成時の諸条件により不可避の収縮が存在するので、収縮率を1%以下に抑制できるならば、ほぼ無収縮を達成したものと考えることができるが、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下に抑制することが好ましい。このような条件はスクリーン印刷機等で形成した塗布膜にも適用(セラミックス等よりなる基板に感光性セラミックス組成物のペーストを塗布する手法であり、一般的には、前記基板はそのまま残り完成品の一部を構成する)することが可能であり、塗布膜の場合には、膜の下面には既に基板が存在しているので、こちら側に拘束シートを設ける必要が無く、膜の上面にだけ拘束シートを配した状態で実施することができる。
【0038】
本発明の感光性セラミックス組成物は、例えば次のようにして調製することができる。
【0039】
まず、フェノール樹脂によるセラミックス粉末の表面処理は、通常一般的に行われている方法に従って行えばよいが、例えば、フェノール樹脂、有機溶媒などを含む溶液を調製し、これにセラミックス粉末を浸漬、またあるいは混合、攪拌して表面処理を行う湿式コート法などがある。また、フェノール樹脂により表面処理を施したセラミックス粉末の形態としては特に限定されるものではなく、前記表面処理方法で得られたセラミックス粉末であれば、セラミックス粉末を含む溶液として使用することは勿論、その後溶媒を蒸発させ、粉末として使用することも可能である。
【0040】
フェノール樹脂はノボラック型、レゾール型のいずれであってもよく、特にノボラック型であることが好ましい。ノボラック型であれば、官能基の構造に関わらず、同様の効果が得られる。
【0041】
次に、感光性有機成分である側鎖にカルボキシル基を有する重合体および光重合開始剤に、必要に応じて溶媒や各種添加剤を混合した後、濾過し、有機ビヒクルを作製する。これに、無機粉末(予め表面処理を行ったセラミックス粉末とガラス粉末)を添加し、ボールミルなどの混練機で均質に混合、分散して感光性ガラスセラミックス組成物のスラリーまたはペーストを作製する。このスラリーまたはペーストの粘度は無機粉末と有機成分の配合比、有機溶媒の量、可塑剤その他の添加剤の添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は1〜5Pa・sが好ましい。スラリーもしくはペーストを構成する際に用いる溶媒は、感光性有機成分を溶解し得るものであればよい。例えば、メチルセルソルブ、エチルセルソブル、ブチルセルソブル、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、トルエン、トリクロロエチレン、メチルイソブチルケトン、イソフォロンなどや、これのうち1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。なお、前記溶媒がペーストに含まれる量が目的用途に応じて様々であり、前記粘度範囲内となるならば、何等制限されるものではないが、例えば、塗布段階においては、ペースト(無機粉末を除く)中に10〜30重量%含まれることが好ましい。但し、現像段階においては溶媒含量は実質上0であることが好適である。
【0042】
得られたペーストをドクターブレード法、押し出し成形法などの一般的な方法でポリエステルなどのフィルム上に厚さ0.05〜0.5mmに連続的に成形し、溶媒を乾燥除去することにより、感光性セラミックス組成物であるグリーンシートが得られる。ビアホールは、この感光性セラミックス組成物であるグリーンシートに対して、ビアホール形成用パターンを有するフォトマスクを通したパターン露光を行い、アルカリ水溶液で現像することによって形成される。露光に用いる光源は超高圧水銀灯が最も好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。露光条件は感光性グリーンシートの厚みによって異なり、5〜100mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いて5秒〜30分間露光を行う。なおビアホール形成と同じ手法でシート積層時のアライメント用ガイド孔を形成しておくことができる。
【0043】
本発明の感光性セラミックス組成物の感光性有機成分には、側鎖にカルボキシル基を有する重合体が含有されているので、アルカリ水溶液で現像することができる。アルカリ水溶液としては、ナトリウムやカリウムなどの金属アルカリ水溶液が使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとしては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどがあげられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.05〜1重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%である。アルカリ濃度が低すぎれば可溶部が完全に除去されず、アルカリ濃度が高すぎれば、露光部のパターンを剥離させたり、侵食したりするおそれがある。現像時の温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。現像方法としては、一般的な浸漬法、スプレー法が用いられる。また、超音波を併用して現像時間の短縮や現像ムラの減少化を図る方法もある。
【0044】
このようにして、焼成前の厚みが10〜500μm、最密なビアホールパターン部分がビアホール直径20〜200μm、ビアホールピッチ30〜250μmのシートを作製することができる。本発明では、この状態のシートの物理的特性が良好であるため、後工程の歩留まりが向上することを特徴としている。
【0045】
次に必要な枚数の配線パターンの形成されたシートをガイド孔を用いて積み重ね、80〜150℃の温度で5〜25MPaの圧力で接着し、多層シートを作製する。このグリーンシート積層体の両面に、このグリーンシートの焼結温度では実質的に焼結収縮を示さない無機組成物(例:アルミナやジルコニア)を主成分とする拘束シートを積層配置し、作製したグリーンシート多層体を焼成処理し、その後、この拘束シートを取り除く無収縮焼成を行って目的とする多層基板を作製することができる。焼成は焼成炉において行う。焼成雰囲気や温度は感光性セラミックス組成物中の無機粉末や有機成分の種類によって異なるが、空気中、窒素雰囲気中、または水素還元雰囲気中で焼成する。本発明の感光性セラミックス組成物の焼成は600〜950℃の温度で行う。このようにして得られたセラミックス多層基板は高周波回路用基板として用いられる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において濃度(%)は特に断らない限り重量%である。実施例に用いた有機成分および無機微粒子成分は次の通りである。
【0047】
A.無機粉末
セラミックス粉末I:NanoTek Al(シーアイ化成(株)製)
平均粒子径0.037μm
セラミックス粉末II:“スミコランダム”AA−2(住友化学工業(株)製)
平均粒子径2μm
セラミックス粉末III:酸化アルミニウム C(日本アエロジル(株)製)
平均粒子径0.013μm
ガラス粉末:平均粒子径2μm
ガラス粉末の組成:SiO(60.0%)、PbO(17.5%)、CaO(7.5%)、MgO(3%)、NaO(3.2%)、KO(2.3%)、B(5.8%)。
【0048】
B.フェノール樹脂
フェノール樹脂I:フェノールノボラック
フェノール樹脂II:クレゾールノボラック。
【0049】
C.感光性有機成分
ポリマーI:スチレン30%、メチルメタクリレート30%およびメタクリル酸40%からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応したものであり、重合平均分子量43,000、酸化95ポリマーII:ダイセル化学工業(株)製サイクロマーP(ACA)250(メタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体に3,4−エポキシシクロヘキシルメタクリレートを付加して得られたもの)、重量平均分子量10,000、酸化75
モノマーI:パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成(株)製)
モノマーII:ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート(東亞合成(株)製)
光重合開始剤:Irgacure−369(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)。
【0050】
D.有機ビヒクルの作製
溶媒およびポリマーを混合し、撹拌しながら60℃に加熱し、すべてのポリマーを溶解させた。溶液を室温まで冷却し、モノマー、光重合開始剤を加えて溶解させた。その溶液を真空脱泡した後、250メッシュのフィルターで濾過し、有機ビヒクルを作製した。
【0051】
E.粉末表面処理
フェノール樹脂、有機溶媒などを含む溶液を調製し、これにセラミックス粉末を添加して十分混合、攪拌し表面処理を行った。
【0052】
F.ペースト調整
上記の有機ビヒクルに無機粉末を混合し、ボールミルで20時間湿式混合しスラリーまたはペーストとした。有機ビビクル中の感光性有機成分を合わせた25重量部に対して無機成分の量は75重量部とした。
【0053】
G.グリーンシートの作製
成形は紫外線を遮断した室内でポリエステルのキャリアフィルムとブレードとの間隔を0.1〜0.8mmとし、成形速度0.2m/min.でドクターブレード法によって行った。特に、シートの厚みは150μmであった。
【0054】
H.ビアホ−ルの形成
グリーンシートを100mm角に切断した後、温度80℃で1時間乾燥し、溶媒を蒸発させた。ビア径30〜150μm、ビアホールピッチ500μmのクロムマスクを用いて、シートの上面から15〜25mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いてシートとマスクの間を密着条件下で、1分間パターン露光した。次に、25℃に保持した0.5重量%モノエタノールアミンの水溶液により現像し、その後、スプレーを用いてビアホールを水洗浄した。
【0055】
I.光透過性の測定
上記に示したグリーンシートの作製方法と同じ方法で光透過性の測定を行うための試料を作製した。その時の厚みを50μmとした。このグリーンシートを100mm角に切断した後、温度80℃で1時間乾燥し、溶媒を蒸発させた。次に、スガ試験機(株)ヘーズコンピューターHGM−2DPを用いて、光透過率を測定した。測定項目は、全光線透過率、光線直進透過率である。(光源:ハロゲンランプを使用)全光線透過率は、試料に照射した光量のうち、試料を通過した全光量の割合を示す。光線直進透過率は、試料に照射した光量のうち、光路を変えず平行光のまま試料を通過した光量の割合を示す。
【0056】
J.焼成時に用いる拘束シートの作製
アルミナ粉末またはジルコニア粉末またはマグネシア粉末に有機バインダーとしてポリビニルブチラール、可塑剤としてジオクチルフタレート、有機溶媒としてトルエン、キシレン、アルコール類等を添加し、ボールミルにて十分混合しスラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレード法によってキャリアフィルム上に拘束シートを作製した。
【0057】
K.多層基板の作製
本発明の感光性セラミックス組成物からなるグリーンシートを5〜6枚積層し、上下に無収縮焼成のための拘束シートを配置し、80℃でプレス圧力150kg/cmにて熱圧着した。得られた多層体を空気中で、900℃の温度で30分間焼成して、多層基板を作製した。
【0058】
以下に示す組成物の割合は、無機粉末、ポリマー、モノマーおよび光重合開始剤の和を100%とする。
【0059】
実施例1
セラミックス粉末I、セラミックス粉末Iをフェノール樹脂Iを用いて表面処理した表面処理セラミックス粉末I−I、ガラス粉末を、それぞれ25%:25%:50%(無機粉末合計100%)の割合で混合して複合系セラミックス粉末を作製し、これを無機粉末Iとした。
【0060】
無機粉末として無機粉末I(75%)、感光性有機成分としてポリマーI(15%)、モノマーI(7.5%)および光重合開始剤(2.5%)を用い、光透過性評価試料および厚み150μmのグリーンシートを得た。光透過性の測定を行ったところ、全光線透過率が47%、光線直進透過率が5.3%であった。
【0061】
ビアホールの形成を試みたところ、50μmのビアホール(アスペクト比3)が形成できた。表面を光学顕微鏡で観察した結果、無機粉末が十分に分散できていることが確認され、またビアホール断面を走査電子顕微鏡で観察したところ、ホールの形状も良好であった。ペーストの流動性は良好でゲル化現象はなく、現像時にホール詰まりや部分的なハガレ等の問題はなかった。
【0062】
また、得られたシートを硬化させた後、アルミナ拘束シートを用いて、900℃、30分間焼成して得られた多層白基板にクラック等の欠陥は見られなかった。
【0063】
実施例2〜9
表1および表2として、表面処理セラミックス粉末の詳細および無機粉末の詳細を示した。
【0064】
表3にあるような各成分を用いて実施例1にある操作を繰り返した。またその結果を表3に示した。
【0065】
【表1】
Figure 2004307275
【0066】
【表2】
Figure 2004307275
【0067】
【表3】
Figure 2004307275
【0068】
なお、粉末の分散性、ペーストのゲル化および焼成基板のクラックに関し、観察した結果について、各評価の判断基準は以下のとおりである。
(分散性)分散している:○/分散していない:×
(ゲル化)ゲル化しない:○/ゲル化する:×
(クラック)クラック無し:○/クラック有り:×。
【0069】
比較例1
無機粉末として無機粉末VIII(75%)、感光性有機成分としてポリマーI(15%)、モノマーI(7.5%)および光重合開始剤(2.5%)を用い、光透過性評価試料および厚み150μmのグリーンシートを得た。光透過性の測定を行ったところ、全光線透過率が36%、光線直進透過率が3.5%であった。
【0070】
ビアホールの形成を試みたところ、150μmのビアホール(アスペクト比1)までしか形成できなかった。表面を光学顕微鏡で観察した結果、無機粉末が表面上に凝集しており、またビアホール断面を走査電子顕微鏡で観察したところ、凝集粒子の脱落によりホール形状は不良であった。ペーストの流動性は良好でゲル化現象はなく、現像時にホール詰まりや部分的なハガレ等の問題はなかった。
【0071】
また、得られたシートを硬化させた後、アルミナ拘束シートを用いて、900℃、30分間焼成して得られた多層白基板にクラック等の欠陥は見られなかった。
【0072】
比較例2
セラミックス粉末Iをフェノール樹脂Iを用いて表面処理した表面処理セラミックス粉末I−Iとガラス粉末を、それぞれ50%:50%(無機粉末計合計100%)の割合で混合して複合系セラミックス粉末を作製し、これを無機粉末IXとした。
【0073】
無機粉末として無機粉末IX(75%)、感光性有機成分としてポリマーI(15%)、モノマーI(7.5%)および光重合開始剤(2.5%)を用い、光透過性評価試料および厚み150μmのグリーンシートを得た。光透過性の測定を行ったところ、全光線透過率が60%、光線直進透過率が7.8%であった。
【0074】
表面を光学顕微鏡で観察した結果、無機粉末が十分に分散できていることが確認されたが、ビアホールの形成を試みたところ、ペーストのゲル化によるホール詰まりや部分的なハガレ等の問題が発生し、良好なホールを形成することができなかった。
【0075】
また、得られたシートを硬化させた後、アルミナ拘束シートを用いて、900℃、30分間焼成して得られた多層白基板はクラック等の欠陥が見られた。
【0076】
【発明の効果】
本発明では、前記の通りの無機粉末を含む感光性セラミックス組成物を用いることにより、フォトリソグラフィー法を用いて高精細のビアホール形成が可能なセラミックス基板材料を得ることができる。

Claims (4)

  1. 無機粉末と感光性有機成分を必須成分とする感光性セラミックス組成物であって、無機粉末は少なくともガラス粉末とセラミックス粉末を含有し、セラミックス粉末の少なくとも一部がフェノール樹脂によって表面処理されており、感光性セラミックス組成物全体のうちフェノール樹脂によって表面処理されたセラミックス粉末を3重量%以上35重量%以下含有する感光性セラミックス組成物。
  2. フェノール樹脂によって表面処理されたセラミックス粉末および、フェノール樹脂によって表面処理されていないセラミックス粉末の平均粒子径が0.01μm以上3μm以下である請求項1記載の感光性セラミックス組成物。
  3. 2種以上の異なる平均粒子径をもつセラミックス粉末を含有し、少なくとも一番小さい平均粒子径のセラミックス粉末がフェノール樹脂によって表面処理された請求項1記載の感光性セラミックス組成物。
  4. 無機粉末と感光性有機成分が7:3〜8:2の重量比である請求項1記載の感光性セラミックス組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007277050A (ja) * 2006-04-07 2007-10-25 Tdk Corp セラミックグリーンシート組成物及びセラミックグリーンシート
JP2013151399A (ja) * 2012-01-26 2013-08-08 Ngk Insulators Ltd ガラス−セラミックス複合材料
CN116462914A (zh) * 2023-06-02 2023-07-21 揭阳市良伟塑料模具厂有限公司 一种具有高耐磨性的复合pp材料制备工艺

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