JP2007197312A - 拘束シートおよび焼結体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セラミックグリーンシートなどの被拘束物の焼結時に用いる拘束シートに関して、被拘束物を拘束する十分な拘束力が得られて、焼結時のデラミネーションなどが生じず、かつ焼結後にも被拘束物を焼結して得られる焼結体に残渣が残らず、十分な剥離性を有する拘束シートを提供する。
【解決手段】セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の焼結時に用いられる拘束シートであって、当該拘束シートは、(a)拘束するセラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の焼結温度では焼結しない無機粒子と(b)有機成分を有し、(a)の無機粒子のうち、平均粒子径10nm以上500nm未満の無機粒子が拘束シートに含まれる無機粒子全体に対し、1〜30重量%含まれる拘束シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の焼成時に用いられる拘束シートに関する。
近年、携帯電話をはじめとする無線通信技術の普及が著しい。従来の携帯電話は800MHz〜1.5GHzの準マイクロ波帯を用いたものであったが、情報量の増大に伴い、搬送周波数をより高周波であるマイクロ波帯からミリ波帯とした無線技術が提案され、実現される状況にある。こうした高周波無線回路は、移動体通信やネットワーク機器としての応用が期待されており、中でもブルートゥース(Bluetooth)やITS(Intelligent Transport System、高度交通情報システム)での利用によってますます重要な技術となりつつある。
これらの高周波回路を実現するためには、そこで使用される基板材料も、使用波長帯、すなわち、1〜100GHzで優れた高周波伝送特性をもつ必要がある。優れた高周波伝送特性を実現するためには、低誘電率でかつ誘電損失が低いこと、加工精度が高いこと、寸法安定性がよいといった要件が必要であり、なかでも焼結体であるセラミック基板が有望視されてきた。
従来から広く用いられている多層セラミック基板としては、表層または内部にタングステン、モリブデン等の高融点金属が配線形成されたアルミナ基板がある。しかし、これらが高周波回路としての役割を果たすためには、タングステン、モリブデン等の高融点金属の導体抵抗が大きいために高周波領域での信号伝播速度が遅いことや、アルミナ基板の誘電率が高いなどの問題があった。
これらの問題を解決する方法として、近年では、ガラスとセラミックスの混合物を焼成して得られる焼結体であるガラスセラミックス、いわゆるLTCC基板が注目されてきた。LTCC基板は誘電率が低く、1000℃以下の低温で焼成することが可能であるためにCu、Ag、Auといった導体抵抗の低い金属を配線として用いることができるという利点がある。しかしながら、LTCC基板には各種基板構成材料や製造プロセスに起因する焼結時の収縮が生じるため、寸法安定性などの問題が課題となっていた。
これらの問題を解決する方法として、拘束シートを用いたセラミックグリーンシートの平面方向の収縮を減少させる焼成方法、いわゆる無収縮焼成技術(特許文献1参照)が提案されている。この方法によると、焼成時にほとんど収縮しない拘束シートが焼成時のセラミックグリーンシートの平面方向の収縮を抑制し、厚み方向のみに収縮が起こるため、LTCC基板の寸法安定性が向上するとされている。しかしながら、拘束力にムラがあるとセラミックグリーンシートと拘束シートの間でデラミネーションが発生したり、セラミック基板の変形や反り、拘束シート剥離性の悪さなどが依然として解決できていなかった。
これらの問題を解決する方法として、平均粒子径が1μmよりも小さく、かつ全容量の50%以上の粒子が平均粒子径1μm以下の粒子からなる無機粒子を用いた拘束シート(特許文献2参照)が提案されている。この方法によると、平均粒子径1μm以下の無機粒子を拘束シートに用いることでセラミック基板からの拘束シートの剥離性が良くなるとされている。しかしながら、大部分がサブミクロン以上の無機粒子であるために拘束シートによるセラミックグリーンシートの拘束力が不十分であった。
また、拘束シートを用いた感光性有機成分を有するセラミックグリーンシートの無収縮焼成技術(特許文献3参照)が提案されている。この方法では、感光性シートが一般的なセラミックグリーンシートよりも有機成分の割合が多いため、従来の拘束シートを用いるとセラミックグリーンシートと拘束シートの間でデラミネーションが起こりやすいといった問題があった。
特開平4−243978号公報 特開平7−330445号公報(段落2〜11) 特開2005−247592号公報(段落37〜39)
本発明はセラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の焼結時に用いる拘束シートが十分な拘束力を持ち、焼結時にデラミネーションなどが生じず、かつ焼結後にも焼結体に残渣が残らず、焼結体からの十分な剥離性を有する拘束シートを提供するものである。
すなわち本発明は、セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の焼結時に用いられる拘束シートであって、当該拘束シートは、(a)拘束するセラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の焼結温度では焼結しない無機粒子と(b)有機成分を有し、(a)の無機粒子のうち、平均粒子径10nm以上500nm未満の無機粒子が拘束シートに含まれる無機粒子全体に対し、1〜30重量%含まれる拘束シートである。
本発明の拘束シートをセラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の焼結時に用いると、セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の収縮が非常に小さくて済む程度の十分な拘束力が得られ、焼結時にセラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物と拘束シートの間でデラミネーションなどが生じず、かつ焼結後にも焼結体からの十分な剥離性が得られる。
本発明は、セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の焼結時に用いられる拘束シートであって、当該拘束シートは、(a)拘束するセラミックグリーンシートもしくは感光性組成物の焼結温度では焼結しない無機粒子と(b)有機成分を有し、(a)の無機粒子のうち、平均粒子径10nm以上500nm未満の無機粒子が拘束シートに含まれる無機粒子全体に対し、1〜30重量%含まれる拘束シートである。以下、この拘束シートについて詳細に説明する。
本発明の拘束シートは、セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物(以下とくに断らない限り、これら2つの態様をまとめて被拘束物という)の焼結温度では焼結しない無機粒子を有する。この拘束シートを被拘束物の焼結時に用いると、被拘束物を構成する成分や配合組成、焼結時の諸条件により存在する不可避の収縮を、厚み方向にのみ収縮させ、X−Y平面はほぼ無収縮にすることができる。ここでいう無収縮とは、被拘束物焼結時のX−Y平面方向の収縮率を1%以下に抑制することで、好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。
本発明の拘束シートに用いられる無機粒子としては、被拘束物の焼結温度よりも十分高い融点を持つ無機粒子であれば特に制限されない。好ましくはアルミナ、ジルコニア、シリカ、マグネシア、チタニア、ヘマタイト、フェライト、チタン酸バリウム、窒化硼素、窒化アルミニウム、炭化珪素、高融点ガラスなどが挙げられる。本発明の拘束シートには、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムなどの酸化物やセラミックグリーンシートとの密着性改良剤となる酸化物粉末が1〜5重量%添加されることが好ましい。
本発明の拘束シートに用いられる無機粒子は、平均粒子径10nm以上500nm未満の無機粒子を無機粒子全体の1〜30重量%有する。平均粒子径500nm未満の無機粒子を添加することで被拘束物との密着性が向上し、さらに平均粒子径を10nm以上とすることで焼結後の焼結体(被拘束物を焼結した後のもの)からの容易な剥離性が得られる。無機粒子全体の70重量%を超えて99重量%未満分に該当する無機粒子は特に制限されないが、好ましくは平均粒子径0.5μm以上10μm以下の無機粒子が良い。本発明の拘束シートで用いる無機粒子としては入手の容易性や経済性を考慮すると、平均粒子径1〜5μmのアルミナ粒子と平均粒子径20〜300nmのアルミナ粒子の組み合わせが好ましく、平均粒子径1.5〜3μmのアルミナ粒子と平均粒子径30〜200nmのアルミナ粒子の組み合わせがさらに好ましい。また、前記無機粒子全体に対して、平均粒子径10nm以上500nm未満の無機粒子は1〜30重量%含まれるが、5〜15重量%含まれるのがさらに好ましい。拘束シートに含まれる無機粒子全体に対して、平均粒子径10nm以上500nm未満の無機粒子の濃度を1重量%以上とすることで被拘束物との密着性が向上し、30重量%以下とすることで被拘束物を焼結した後の焼結体からの容易な剥離性が得られる。無機粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱法(マイクロトラック法)にて測定したD50を意味する。ただし、粒子径が1μm以下になるとレーザー回折散乱法にて正確に測定することは困難となるので、BET法換算値を用いるのが好ましい。BET法換算値とは、BET法にて比表面積を測定した後に、粒子を球と仮定して平均粒子径に換算した値である。
本発明の拘束シートに含まれる無機粒子の濃度は、拘束シート全体に対して70〜95重量%であるのが好ましく、80〜90重量%がさらに好ましい。拘束シートに含まれる無機粒子の濃度を70重量%以上とすることで、焼結時の被拘束物への拘束力が得られ、95重量%以下とすることで拘束シートの形成性が得られる。
本発明の拘束シートは前記無機粒子の他にバインダーポリマー、可塑剤などの有機成分を有する。拘束シート中での有機成分の役割としては、無機粒子の分散、シート形成性、被拘束物との密着性などが挙げられる。拘束シート全体に含まれる有機成分の濃度は5〜30重量%であることが好ましい。有機成分の濃度を5重量%以上とすることでシート形成性が得られ、30重量%以下とすることで焼成時の収縮を抑制することができる。十分なシート形成性が得られ、焼成時の収縮を抑制するための有機成分濃度は好ましくは5〜15重量%である。
本発明の拘束シートに用いることが可能なバインダーポリマーとしては、従来の被拘束物に用いられているものが使用でき、焼成工程での熱分解を考えると被拘束物に用いているものと同じバインダーポリマーを使用するのが好ましい。拘束シートおよび被拘束物に用いられるバインダーポリマーの具体例としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、セルロース誘導体、ポリビニルアルコールなどの各種ポリマーを用いることができるが、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが好ましい。さらに、被拘束物が感光性有機成分を含む場合、拘束シートおよび被拘束物に用いられるバインダーポリマーはカルボキシル基や水酸基、エチレン性不飽和二重結合などの反応性官能基を有していることが好ましい。
また、バインダーポリマーの熱分解温度が500℃以下であること、さらには450℃以下であること、また150℃以上、さらに好ましくは400℃以上であることが好ましい。熱分解温度が150℃以上のバインダーポリマーを用いると、拘束シートの熱安定性が保持され、焼成時の良好な拘束力が得られる。また500℃以下のバインダーポリマーを用いると、焼成工程でのクラック、剥がれ、反りや変形を防止できる。バインダーポリマーの熱分解温度を調整する手法は、共重合成分のモノマーを選択することで可能となる。特に低温で熱分解するモノマーを共重合成分とすることで共重合体の熱分解温度を低くできる。このように低温で熱分解する成分として、例えばメチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、α−メチルスチレン等を挙げることができる。熱分解温度は、TG測定装置(TGA−50、(株)島津製作所(株)製)にて約5mgの試料をセットし、空気雰囲気で流量20ml/min、昇温速度20〜0.6℃/minで700℃まで昇温する。その結果、温度(縦軸)と重量変化(横軸)の関係がプロットされたチャートを印刷し、分解前(横軸に平行納部分)の部分と分解中の部分の接線を引き、その交点の温度を熱分解温度とする、等の方法で測定できる。
また、バインダーポリマーのTg(ガラス転移温度)は、−60〜100℃が好ましい。より好ましくは−40〜60℃で、さらに好ましくは−20〜30℃である。Tgを−60℃以上とすることでシートの粘着性を低減することができ、Tgを100℃以下とすることでシートの柔軟性を保持することができる。バインダーポリマーのTgの測定法は、島津製作所(株)製DSC−50型測定装置を用い、サンプル重量10mg、窒素気流下で昇温速度20℃/分で昇温し、ベースラインの偏起が開始する温度をTgとした。
さらに用いるバインダーポリマーの重量平均分子量は5000〜100000が好ましく、より好ましくは15000〜75000である。重量平均分子量が5000を下回るとシート形成性が悪くなるおそれがあるため好ましくなく、重量平均分子量が100000を上回るとシートが硬化して、良好な柔軟性が得られなくなるおそれがあるため好ましくない。バインダーポリマーの重量平均分子量はテトラヒドロフランを移動相としたサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。カラムはShodex KF−803を用い、重量平均分子量はポリスチレン換算により計算した。
バインダーポリマーは、さらに側鎖に二重結合等の反応性官能基を有することが好ましい。このようなバインダーポリマーは、上述のようなエチレン性不飽和二重結合含有化合物の共重合により、あるいは共重合で得られたバインダーポリマーの反応性官能基の一部に、反応性官能基を有するエチレン性不飽和基含有化合物を付加するなどして得ることができる。具体的には、不飽和カルボン酸を共重合成分に持つバインダーポリマーのカルボキシル基の一部に、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有アクリレート化合物を付加させる方法により、カルボキシル基とエチレン性不飽和二重結合を有するバインダーポリマーが得られる。
このようなバインダーポリマーの酸価は10〜500(mgKOH/g)であることが好ましい。酸価が10を下回ると無機粒子の良好な分散性が得られなくなるおそれがあるために好ましくなく、酸価が500を上回ると無機粒子との相互作用が強くなりすぎるおそれがあるために好ましくない。さらに、バインダーポリマーの二重結合密度を0.01〜10mmol/gとすることが好ましい。二重結合密度が0.01を下回ると焼結時の熱分解挙動が異なり、デラミネーションなどが生じるおそれがあるため好ましくなく、二重結合密度が10を上回ると焼結時に発生する応力により、拘束シートが被拘束物から剥離してしまうおそれがあるため好ましくない。なお、酸価の測定は、バインダーポリマー1gをエタノール100mlに溶解した後、0.1N水酸化カリウム水溶液を用いた滴定を行い、求める。
反応性官能基を有するバインダーポリマーの好ましい具体例としては、メチルメタクリレート−メタクリル酸−スチレン共重合体にグリシジルメタクリレートを付加したもの、ブチルメタクリレート−2−エチルヘキシルメタクリレート−アクリル酸の共重合体にグリシジルメタクリレートを付加したもの、エチルアクリレート−メチルアクリレート−メタクリル酸の共重合体にグリシジルメタクリレートを付加したもの等が挙がられる。
本発明の拘束シートには可塑剤を添加することが好ましい。可塑剤はバインダーポリマーのガラス転移温度(Tg)を下げる働きをし、被拘束物と拘束シートの密着性を向上させる働きがある。可塑剤としては、例えばジブチルフタレートやジオクチルフタレートなどのフタル酸エステル、ポリアルキレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。拘束シートに含まれる可塑剤の濃度は、バインダーポリマーの種類によっても異なるが、バインダーポリマーの1〜30重量%含まれるのが好ましい。
本発明に好ましく用いられる拘束シートの作製方法は、まず無機粒子とバインダーポリマー、可塑剤、溶剤などを混ぜた後、三本ロールやボールミルなどで混練してペーストを作製する。さらに作製した前記ペーストをドクターブレード法、押し出し成形法、スリットダイ、スクリーン印刷法などの一般的な方法で、必要に応じて各種コーテイング処理などの施されたポリエステルやポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックフィルム、ガラス、ガラスセラミックス、アルミ、スチールなどの支持体上に成形し、溶剤を乾燥除去することにより、支持体付き拘束シートを作製する。拘束シートは支持体から剥離した状態で使用するため、支持体は取り扱いの容易なプラスチックフィルムが好ましい。
本発明の拘束シート全体の厚みは、拘束する被拘束物の種類や膜厚によって異なるが、工程管理上10〜500μmであることが好ましい。拘束シート全体の厚みが10μm未満であると、拘束シートの拘束力が低下するおそれがあるため好ましくなく、500μmより大きいと有機成分の揮散性および焼結体からの拘束シートの剥離性が低下するおそれがあるため好ましくない。
被拘束物と拘束シートの積層方法は、必要な枚数の被拘束物および拘束シートをガイド孔などを用いて積み重ね、50〜150℃の温度で5〜30MPaの圧力で接着する。必要に応じて被拘束物上に直接拘束シートを形成する組成物を塗布、乾燥してもよい。ここでの被拘束物は特に限定されないが、内層および表層にビアホールやキャビティなどのパターンと導体配線を有するものが好ましい。
被拘束物と拘束シートの積層形態は、拘束シートが被拘束物の少なくとも片面に積層される。このような積層形態の一例を図1〜3に示す。図1は被拘束物11の片面にのみ拘束シート12が積層されたものである。図2は被拘束物11の両面に拘束シート12が積層されたものである。図3は被拘束物11と拘束シート12が交互に積層されたもの、つまり被拘束物11の内部に拘束シート12が積層されたものである。被拘束物と拘束シートの積層形態は、図1〜3のいずれか、またはこれらの組み合わせとして適時選択することができる。
次に被拘束物と拘束シートの積層体から有機成分を除去した後、被拘束物の焼結温度で焼結を行う。有機成分の除去温度は有機バインダーの種類によって異なるが、通常200〜600℃の温度で行うのが好ましい。さらに被拘束物の焼結温度は、被拘束物が含む無機物の組成によって異なるが、通常350〜950℃で焼結するのが好ましい。焼結雰囲気は被拘束物中の導体の種類、無機粉末や有機成分の種類によって異なるが、空気中、酸素雰囲気中、窒素雰囲気中、水素還元雰囲気中などで焼結することができる。
このようにして被拘束物を焼結して得られた焼結体には、拘束シートに含まれていた未焼結の無機粒子が残るため、これら拘束シートを除去する必要がある。拘束シートの除去方法は特に制限されるものではないが、例えば超音波照射、研磨、サンドブラスト、ウェットブラスト等が挙げられる。一方、図3に示した被拘束物内部に拘束シートが積層されたものにおいて、焼結後に拘束シートがそのままセラミック基板内部に取り込まれてもよい。このような拘束シートは、焼結後に焼結体内部に絶縁層として残るため、焼結後の焼結体から拘束シートを除去する必要は無い。
本発明の拘束シートを用いることができる被拘束物としては、無機バインダーとしてのガラス粉末やセラミックのフィラー粉末などの無機粉末と、有機バインダー、可塑剤、溶剤などの有機成分を有する一般的なセラミックグリーンシートもしくは感光性組成物である。
セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物には必要に応じてキャビティやビアホールなどのパターン加工が施され、例えば、回路用セラミック基板などに使用する場合は、導体ペーストや抵抗体ペーストなどを用いて、ビアホールの孔埋め、配線の形成など、必要とされるパターンの形成を行うことができる。配線の形成はスクリーン印刷、オフセット印刷などにより印刷で形成してもよいし、感光性導体ペーストを用いたフォトリソ加工、さらにはインクジェット法による配線、配線パターンの転写などで形成してもよい。
また、拘束される被拘束物は単層であってもよいし、複数枚積層したものであってもよい。例えば、回路用セラミック基板などに使用する場合は、前記パターン形成及び配線形成されたセラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物を複数枚積層したものが好ましく用いられる。
本発明の拘束シートは、平均粒子径10nm以上500nm未満の無機粒子を含むセラミックグリーンシートもしくは平均粒子径0.1μm以上10μm以下のガラス粒子を含む感光性組成物に対して好ましく用いられる。前記セラミックグリーンシートは平均粒子径500nm未満の微細な無機粒子を含むため、焼結時の無機バインダーの流れ性が悪く、従来の拘束シートを用いると十分な拘束力が得られずに、セラミックグリーンシートと拘束シートの間のデラミネーションなどが生じやすかった。しかし、本発明の拘束シートを用いることで十分なセラミックグリーンシート拘束力が得られ、焼結時のデラミネーションなどを解消することが可能である。前記ガラス粉末を含む感光性組成物は平均粒子径10μm以下のガラス粒子を含むため、焼結時のガラスの収縮が大きく、従来の拘束シートを用いると十分な拘束力が得られずに、収縮を抑制することが困難であった。しかし、本発明の拘束シートを用いることで十分な拘束力が得られ、焼結時の収縮を抑制することが可能である。
本発明で用いる無機粉末を有する感光性組成物とは、有機成分として感光性有機成分とガラス粉末やセラミック粉末などの無機粉末を含む組成物であり、ペースト体(感光性ペースト体という)もしくはシート状(感光性シートという)として供される。感光性ペースト体は基材に部分的あるいは全体に塗布することや型に流し込むなどの手段により、所望の形状や厚みの成形体を得ることができ、感光性シートは支持体上にシート状に成形される。これらはフォトリソグラフィーによるパターン加工が可能である。無機粉末を有する感光性組成物は一般的なセラミックグリーンシートよりも有機成分の濃度が多く、焼結までの収縮が大きいため、従来の拘束シートを用いると焼結時にデラミネーションなどが生じやすかった。しかし、本発明の拘束シートを用いることで無機粉末を有する感光性組成物を拘束する十分な拘束力が得られ、焼結時のデラミネーション等を解消することが可能である。
本発明において、感光性有機成分とは無機粉末を有する感光性組成物を形成する組成物中の有機成分の総体を指す。なお、本発明において感光性組成物は、ペースト体として、塗布、積層に際して、好適に溶媒が用いられるものではあるが、感光性有機成分の組成に関するパラメータ(各成分の含有割合など)についての以下の説明においては、原則として溶媒成分を除外して算出されたものである。
本発明における感光性有機成分は酸性基を有する重合体、エチレン性不飽和基含有化合物、重合開始剤等を含有することが好ましい。
酸性基を有する重合体は、酸性基を有していればどのようなものでも構わないが、好ましくはカルボキシル基を有する重合体であり、より好ましくは側鎖にエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する重合体である。側鎖にエチレン性不飽和基を有することでパターン形成性が向上し、また側鎖にカルボキシル基を含有することにより、アルカリ水溶液での現像を可能にする。このような重合体は例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニルまたはこれらの酸無水物などのカルボキシル基含有モノマーおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどのモノマーを選択し、ラジカル重合開始剤を用いて重合または共重合させて重合体を得たのち、ポリマー中の活性水素含有基であるメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させることにより得られるが、これらに限定されるものではない。グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジル、イソクロトン酸グリシジルなどがある。イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリロイルイソシアネート、メタアクリロイルイソシアネート、アクリロイルエチルイソシアネート、メタアクリロイルエチルイソシアネートなどがある。また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中の活性水素含有基に対して0.05〜0.95モル当量付加させることが好ましい。活性水素含有基がメルカプト基、アミノ基、水酸基の場合にはその全量を側鎖基の導入に利用することもできるが、カルボキシル基の場合には、ポリマーの酸価が好ましい範囲になるよう付加量を調整することが好ましい。
酸性基を有する重合体の酸価は50〜200mgKOH/gであることが好ましい。酸価を50mgKOH/g以上とすることで、可溶部分の現像液に対する溶解性が低下することがなく、200mgKOH/g以下とすることで、現像許容幅を広くすることができる。なお、酸価の測定は、バインダーポリマー1gをエタノール100mlに溶解した後、0.1N水酸化カリウム水溶液を用いた滴定を行い、求める。
酸性基を有する重合体は、焼成時の熱分解温度が低いことから、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、アクリル酸、メタアクリル酸を共重合成分とする共重合体が好ましく用いられる。酸性基を有する重合体の重量平均分子量は、好ましくは5000〜100000、より好ましくは15000〜75000、さらに好ましくは20000〜50000である。前記範囲内であれば、柔軟性が良好で、かつ現像時の溶解性も良好である。バインダーポリマーの重量平均分子量はテトラヒドロフランを移動相としたサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。カラムはShodex KF−803を用い、重量平均分子量はポリスチレン換算により計算した。
酸性基を有する重合体のTg(ガラス転移温度)は、−60〜100℃が好ましく、より好ましくは−60〜30℃である。Tgを−60℃以上とすることで無機粉末を有する感光性組成物の粘着性を低減することができ、Tgを100℃以下とすることで無機粉末を有する感光性組成物の柔軟性を保持することができる。Tgを30℃以下とすることで無機粉末を有する感光性組成物の密着性を保持することができる。無機粉末を有する感光性組成物の粘着性を低減しつつ、柔軟性も保持するためのTgは、より好ましくは−40〜60℃で、さらに好ましくは−20〜30℃である。重合体のTgの測定法は、島津製作所(株)製DSC−50型測定装置を用い、サンプル重量10mg、窒素気流下で昇温速度20℃/分で昇温し、ベースラインの偏起が開始する温度をTgとした。
酸性基を有する重合体の添加量は、感光性有機成分中の10〜80重量%であることが好ましい。添加量が、感光性有機成分中の10重量%を下回ると無機粉末を有する感光性組成物が形成できず、一方、80重量%を上回ると無機粉末を有する感光性組成物上にパターンが形成できなくなる。
エチレン性不飽和基含有化合物は、光によるパターン形成をより効果的に行うために用いられる。エチレン性不飽和基含有化合物の分子構造形態について、直鎖状、分枝状、環状、あるいはそれらの組み合わせなど、なんら限定されるものではないが、相溶性の点から直鎖状が好ましい。エチレン性不飽和基含有化合物の重量平均分子量は好ましくは100〜100000、より好ましくは100〜50000、更に好ましくは300〜45000である。前記範囲内であれば、柔軟性が良好で、かつ現像時の溶解性も良好である。エチレン性不飽和基含有化合物の重量平均分子量はテトラヒドロフランを移動相としたサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。カラムはShodex KF−803を用い、重量平均分子量はポリスチレン換算により計算した。
本発明におけるエチレン性不飽和基含有化合物に含まれるエチレン性不飽和基は、架橋反応性を考慮すれば一般的に立体障害が小さく分子運動の自由度が大きい方が好ましい。従って、一置換ついで二置換が好ましい。具体的には、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。特に、アクリロイル基やメタクリロイル基を有することが好ましい。
アクリロイル基やメタクリロイル基を有する化合物の具体例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレート、フェノール−エチレンオキサイド付加物のアクリレート、パラクミルフェノール−エチレンオキサイド付加物のアクリレート、ノニルフェノールのエチレンオキサイド付加物のアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレートおよびこれらのアクリレートの一部または全てをメタクリレートに代えたものなどが挙げられるがこれに限定されない。
エチレン性不飽和基含有化合物は、エチレン性不飽和基以外に有機基(結合)を有してもよい。そのような有機基(結合)の例としては、アルキレンオキサイド基、アルキル基、アリール基、アリーレン基、アラルキル基、ヒドロキシアルキル基、ウレタン結合などが例示できる。これらの中でも、相溶性の点からアルキレンオキサイド、特にエチレンオキサイドなどの極性基が好ましい。エチレン性不飽和基含有化合物中のエチレンオキサイド含有量としては、エチレン性不飽和基含有化合物に対して8〜70重量%が好ましい。このような化合物の中でも、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを含む化合物は、熱分解性が良いため特に好ましい。
エチレン性不飽和基含有化合物の添加量は、感光性有機成分中の10〜80重量%であることが好ましい。添加量が、感光性有機成分中の10重量%を下回ると無機粉末を有する感光性組成物が形成できず、一方、80重量%を上回ると無機粉末を有する感光性組成物上にパターンが形成できなくなる。
感光性有機成分に含有される酸性基を有する重合体及びエチレン性不飽和基含有化合物には、一般的に活性光線のエネルギーを吸収する能力は低いので、光反応を開始するためには、光重合開始剤を加えることが好ましい。また光重合開始剤の効果を補助するために増感剤を用いてもよい。このような光重合開始剤には1分子系直接開裂型、イオン対間電子移動型、水素引き抜き型、2分子複合系など機構的に異なる種類があり、それらから選択して用いる。本発明に用いられる光重合開始剤としては、活性ラジカル種を発生するものが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられる。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどが挙げられる。
本発明において、光重合開始剤や増感剤は1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤の添加量は、感光性有機成分に対し0.05〜10重量%が好ましい。光重合開始剤の添加量をこの範囲内とすることにより、良好な光感度を得ることができる。増感剤を添加する場合、その添加量は感光性有機成分に対して0.05〜30重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20重量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
また、感光性組成物での散乱光の吸収剤として有機系染料を添加するのが好ましい。有機系染料の中でも350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、クマリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は紫外線吸収剤として添加した場合にも、焼成後の基板中に残存しないで紫外線吸収剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でもアゾ系、クマリン系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。ペースト中の有機系染料の添加量は0.01〜5重量%が好ましい。より好ましくは0.02〜1重量%である。0.01重量%未満では紫外線吸収剤の添加効果が減少し、5重量%を越えると焼成後の絶縁膜特性が低下するので好ましくない。
さらに、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤の具体的な例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤を添加する場合、その添加量は、感光性組成物に対し、0.001〜1重量%が好ましい。
また、可塑剤、酸化防止剤を添加してもよい。可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリンなどがあげられる。酸化防止剤の具体的な例として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤を添加する場合、その添加量はペースト組成物に対し0.001〜1重量%が好ましい。
感光性組成物中の感光性有機成分の配合量は10〜40重量%、さらには15〜35重量%であることが好ましい。10〜40重量%の配合量であれば、感光性組成物の可撓性と通気性の両方の特性を満足させることができる。
本発明で用いられる感光性組成物の作製方法は次のとおりである。まず感光性有機成分、例えば、必要に応じて側鎖にカルボキシル基とエチレン性不飽和基を有する重合体、エチレン性不飽和基を有する化合物やイオン触媒、光重合開始剤、溶媒や各種添加剤などを混合した後、濾過し、有機ビヒクルを作製する。これに、必要に応じて前処理された無機粉末を添加し、ボールミルや三本ロールなどの混練機で均等に混合・分散して感光性組成物のスラリーまたはペーストを作製する。このスラリーまたはペーストの粘度は無機粉末と感光性有機成分の配合比、有機溶媒の量、可塑剤その他の添加剤の添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は2〜200Pa・sが好ましい。
スラリーもしくはペーストを作製する際に用いる溶媒は、感光性有機成分を溶解できるものであればよい。例えば、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、3−メチルメトキシブタノール、トルエン、トリクロロエチレン、メチルイソブチルケトン、イソフォロン、メチルメトキシブタノール、ベンジルアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる、溶媒は単種でも複数種用いてもよい。なお、有機溶媒がペーストに含まれる量は目的用途に応じて様々であり、前記粘度範囲であれば、なんら制限されるものではないが、例えば、塗布時には、ペースト(無機粉末を除く)中に10〜30重量%含まれていることが好ましい。
本発明において用いられる感光性組成物は、上記感光性有機成分の他に無機粉末を必須成分とする。この無機粉末は焼成工程において焼結するものであり、本発明の目的とする焼結体形成では、1000℃以下、特に450〜900℃の温度での焼成が好ましいので、いわゆる低温焼成無機粉末が好ましい。もちろん、これらの無機粉末が焼結体の電気的特性、強度、熱膨張係数などの基本物性を決めるものであるため、目的とする特性に応じて選択されるものである。本発明でいう焼結体とは被拘束物を焼結した成形体のことを指し、高周波無線用セラミックス多層基板部材用途のセラミックス基板、フィールドエミッションディスプレイ部材用途の絶縁層などが挙げられる。無機粉末の感光性組成物中における含有量としては、60〜90重量%が好ましく、65〜85重量%がより好ましい。60重量%以上とすることで、焼成時のパターン形状を好ましくすることができ、一方、90重量%以下とすることで良好な感光特性が得られる。
本発明で用いられるセラミックスグリーンシートに含まれる無機粉末は6つの態様が挙げられる。
前記の第1の態様は、一般式RO−Al−SiO系材料(x=1のとき、Rはアルカリ土類金属から選ばれ、x=2のときRはアルカリ金属から選ばれる)で表されるアルミノケイ酸塩系化合物である。特に限定されるものではないが、アノーサイト(CaO−Al−2SiO)、セルジアン(BaO−Al−2SiO)などであり、低温焼結セラミックス材料として用いられる無機粉末である。
第2の態様の無機粉末としては、ホウ珪酸ガラス粉末50〜90重量%と、石英粉末および/またはアモルファスシリカ粉末10〜50重量%の割合からなるものである。この時高純度シリカ(石英)は、ホウ珪酸ガラスと溶融しないことが好ましい。また、球状シリカである方が、スラリーの充填性が上がり好ましい。
第3の態様は、ホウ珪酸ガラス粉末30〜60重量%、石英粉末および/またはアモルファスシリカ粉末20〜50重量%およびコーディエライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイトおよびセルジアンの群から選ばれた少なくとも1種類のセラミックス粉末20〜50重量%との混合物である。
第4の態様では、ガラス粉末は酸化物換算表記でSiO:30〜70重量%、Al:5〜40重量%、CaO:3〜25重量%、B:3〜50重量%の組成範囲で、無機粉末としては前記の組成で示された態様を有するガラス粉末が30〜70重量%と、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、コーディエライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、シリカおよび窒化アルミの群から選ばれた少なくとも1種類のセラミックス粉末30〜70重量%との混合物である。
第5の態様は、酸化物換算表記でSiO:80〜90重量%、B:10〜15重量%、Al:0〜5重量%、KO:0〜5重量%の割合で含まれる無機粉末である。
第6の態様では、ガラス粉末は酸化物表記で、SiO:45〜60重量%、Al:0.1〜10重量%、B:9〜24重量%、CaO:2〜15重量%、MgO:0.1〜12重量%、NaO:0.1〜1.5重量%、ZrO:0.1〜5重量%、KO:0.1〜1重量%、TiO:0.1〜5重量%の組成範囲で、無機粉末としては前記の組成で示された態様を有するガラス粉末が30〜70重量%と、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、コーディエライト、および窒化アルミから選ばれる少なくとも1種類のセラミックス粉末30から70重量%との混合物である。
第4の態様および第6の態様におけるフィラー成分としてのセラミックス粉末は、基板の機械的強度の向上や熱膨張係数を制御するのに有効である。特に、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コーディエライト、アノーサイトはその効果が優れている。これらのセラミックス粉末の混合により、焼成温度を800〜900℃とし、強度、誘電率、熱膨張係数、焼結密度、体積固有抵抗、収縮率を所望の特性とすることができる。
また上記の態様の無機粉末に含まれるガラス成分の平均粒子径は、1〜10μmであることが好ましく、さらには2〜3μmが好ましい。上記の態様の無機粉末に含まれるセラミックス粉末の平均粒子径は0.01μm以上0.5μm未満、さらには0.3μm以下がより好ましく、0.15μm以下がさらに好ましい。パターン加工に有効な活性光線の波長(500nm〜350nm)と同等、または活性光線波長より小さいサイズの無機粉末を複合することにより、活性光線照射時の光散乱が少なくなり、感光性を有する場合、シート下部まで露光される。その結果、高精細で高アスペクト比のパターン加工が可能となる。平均粒子径が500nmを超えると、光散乱の割合が高くなり活性光線が深部まで届かない。またはパターン周辺が散乱光により露光されるため、得られるパターンが高精細で高アスペクト比にならない場合がある。平均粒子径500nm未満の無機粉末の含有量は、用途に応じて異なるが、無機粉末全体に対して5〜90重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましい。5重量%以上とすることで焼成後の誘電率特性が保たれる。一方、90重量%以下とすることで感光性組成物の光透過率を保持することができる。無機粉末は、Cu、Ag、Au、Pdなどを配線導体として多層化した場合、600〜900℃での焼成が可能であり、チップ部品やプリント基板の熱膨張係数と近似した熱膨張係数を有し、高周波領域においても低誘電率でかつ誘電損失が低い基板を与える材料を選ぶ必要がある。
無機粉末を有する感光性組成物は平均粒子径0.1μm以上10μm以下のガラス粒子を有していてもよい。また0.1〜2μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。平均粒子径0.1μm以上のガラス粉末を使用することにより分散安定性の良好な感光性組成物が得られ、薄膜での微細なフォトリソグラフィーによる加工が可能となる。
被拘束物は低融点ガラスを含んでいてもよい。低融点ガラスとしては、成分として、SiO、Al、B、ZnO、PbO、Bi、ZrO、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物などを含有したものであって、例えば、ホウケイ酸ガラス、アルカリ珪酸ガラス、Pb系ガラス、Bi系ガラスなどが挙げられる。低融点ガラスの組成としては、非酸化鉛系または低酸化鉛系であることが望ましい。また、結晶化ガラスである場合は結晶化温度が600℃以下であるガラスを利用することが望ましい。低温焼成によるコスト削減と生産性の向上はもちろんのこと、安価なガラス基板を利用できるメリットが生じる。低融点ガラスの熱軟化点温度は350℃から700℃であることが好ましい。被拘束物をフィールドエミッションディスプレイの絶縁層などに用いる場合は、低融点ガラスの熱軟化点温度は350℃から600℃であることが好ましい。さらには、無アルカリガラスであることが望ましい。以上より、本発明で低融点ガラスを用いる場合は、Ba−Bi系およびBi−Zr系ガラスが好ましいが、これに限定されるものではない。
低融点ガラス成分には、SiOが3〜60重量%の範囲で含むことが望ましく、より好ましくは5〜40重量%である。3重量%未満の場合は、焼結時において、無機成分の緻密性、強度や安定性が低下し、無機成分が基板から剥がれやすくなる。また、60重量%を超えると熱軟化点が高くなり、ガラス基板への焼付けが難しくなる。
一般に非晶質ガラスは、結晶化温度まで加熱されると結晶化する性質を有している。結晶化したガラス中にはガラスの結晶が数10から90体積%前後まで形成されるので、強度や熱膨張率を改善できる。これを利用して、焼成時における収縮を抑制することが可能である。また、すでに結晶化されたガラスを使用することも可能である。この場合、結晶化ピーク温度に近づくに従って結晶化するために逆にガラスが固まる性質を持っている。非晶質ガラスおよび結晶化ガラス共に利用可能である。
また、上記の低融点ガラスなどのほかにフィラーを入れてもよい。具体的なフィラーとしては、SiO、Al、ZrO、ムライト、スピネル、マグネシア、ZnO、酸化チタンなどのセラミックス粉末が挙げられ、これらは単独種で用いても複数種組み合わせて用いてもよい。フィラーの添加量は、感光性組成物の全体積に対して、10体積%未満が好ましい。それ以上にすると焼結時にひび割れが発生する場合がある。フィラーは焼結時において溶融しないものであることが好ましい。またフィラーの平均粒子径は0.01μm以上0.5μm未満であることが好ましく、さらには0.01〜0.05μmであることが好ましい。0.01μm以上のフィラー添加により、焼成後の部材の強度を向上することができ、0.5μm未満のフィラーを使用することにより、良好な感光特性を得ることができる。
なお、用いる無機粉末によっては、その屈折率が大きく、感光性有機成分との屈折率差から光が散乱生じ、フォトリソグラフィーによるパターン加工が困難となる場合がある。このような場合には紫外線吸収染料に加え、紫外線を吸収し、その光を光重合開始剤が吸収可能な別の光に変換するような化合物(波長変換物質)を含有することが好ましい。具体的には、クマリン系蛍光増白剤、オキサゾール系蛍光増白剤、スチルベン系蛍光増白剤、イミダゾール系蛍光増白剤、トリアゾール系蛍光増白剤などの蛍光増白剤、イミダゾロン系、オキサシアニン系、メチン系、ピリジン系、アントラピリダジン系、カルボスチリル系の蛍光増白剤が用いられる。またこれらは単独でも組み合わせて使用してもよい。
波長変換物質の含有量は、感光性有機成分に対して、0.1〜30重量%が好ましく、特にフィールドエミッションディスプレイ部材用途では2〜20重量%が好ましく、5〜15重量%がさらに好ましい。高周波無線用セラミック多層基板部材用途では0.5〜5重量%がより好ましく、1〜3重量%がさらに好ましい。この範囲内であれば精細なパターン加工が可能となる。
感光性ペースト体は感光性有機成分と無機粉末を有する感光性組成物を含み、次のようにして調製できる。まず感光性有機成分に、必要に応じて各種添加剤を混合した後、濾過し、有機ビヒクルを調製する。これに、必要に応じて前処理された無機粉末を添加し、ボールミルなどの混練機で均質に混合、分散してペースト状の感光性組成物すなわち感光性ペースト体が得られる。
感光性ペースト体の粘度は無機成分、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は2〜200Pa・s(パスカル・秒)である。例えばガラス基板への塗布をスピンコート法で行う場合は、2〜5Pa・sが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、50〜200Pa・sが好ましい。ブレードコーター法やダイコーター法などを用いる場合は、2〜20Pa・sが好ましい。
溶液の粘度を調整するために用いられる有機溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。
セラミックスグリーンシートや感光性シートはドクターブレード法、押し出し成形法、スリットダイ、スクリーン印刷法などの一般的な方法で、必要に応じて各種コーテイング処理などの施されたポリエステルやポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのプラスチックフィルム、ガラス、ガラスセラミックス、アルミ、スチールなどの支持体上に成形し、溶媒を乾燥除去することにより形成される。感光性ペースト体を用いる場合は、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、スリットダイコーター等の一般的な方法を用いて基板に塗布されたり、金型等の型に流し込む場合はディスペンサー等を用いて注入される。基板として、ガラス基板、セラミック基板、金属基板や半導体基板(AlN、CuW、CuMo、SiC基板など)、ガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板としては、ソーダライムガラスや耐熱ガラス(旭硝子(株)製PD200、日本電気硝子(株)製PP8、サンゴバン(株)製CS25、セントラル硝子(株)製CP600Vなど)などが挙げられる。これら基板の上に、必要に応じて、絶縁体、半導体、導体を一層以上、あるいはそれらを組み合わせたものを形成しても構わない。
次に感光性シートや感光性ペースト体に対して活性光線をパターン状に照射する方法として、ビアホールやキャビティなどのパターンを有するフォトマスクを通して活性光線を照射する方法や、レーザー光を用いてパターンを直描する方法が挙げられる。ここで照射する活性光線の種類としては、赤外線、近赤外線、可視光線、紫外線、X線などが挙げられるが、これらの中でも、紫外線が好ましく用いられる。紫外線に用いる光源は、超高圧水銀灯が特に好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。露光量は感光性シートの厚みや材料の感度によって異なるが、0.5〜100mW/cmの出力の超高圧水銀灯であれば1秒〜30分間露光を行うことが好ましい。なお、ビアホール形成と同じ手法でパターン加工済みの感光性シート積層時のアライメント用ガイド孔を形成しておくことができる。
次に活性光線を照射した感光性シートや感光性ペースト体を現像液で処理することで、現像液に可溶な部分(ネガ型では活性光線が照射されない部分、ポジ型では活性光線照射部)を溶解・除去し、感光性シートや感光性ペースト体内にパターンを形成する。感光性シートや感光性ペースト体の現像方法としては浸漬法、スプレー法、超音波法またはこれらを組み合わせて行うことができる。感光性シートや感光性ペースト体に対してダメージが少なく、かつ均一なパターンを形成するための現像方法としては、好ましくは超音波法、さらに好ましくは周波数変調型超音波法である。
超音波を用いた現像方法は現像液の他に超音波を照射することにより、可溶部分の溶解、除去を促進し、感光性シートや感光性ペースト体上に精細なパターンを得る方法である。さらに超音波の基本周波数を所定の幅で連続変調させて照射することで、超音波応力の分布を無くして、感光性シートや感光性ペースト体のダメージを軽減し、かつ均一なパターンが形成された感光性シートや感光性ペースト体を得る。本発明においては、超音波の周波数変調範囲は20〜50KHzが好ましい。周波数が20KHzを下回ると必要以上に超音波応力が強くなり、感光性シートや感光性ペースト体のダメージが大きくなる。一方、50KHzを上回ると超音波応力が弱くなり、可溶部分の現像液の浸食が弱まるために好ましくない。
超音波の基板面積当たりの仕事密度は好ましくは40〜100W/cmである。仕事密度が40W/cmを下回ると可溶部分が除去しきれないことがあり、一方、100W/cmを上回るとパターンの残存部分(ネガ型の場合は活性光線照射部、ポジ型の場合は活性光線が照射されない部分(以下硬化部分という)の現像液による浸食や感光性シートや感光性ペースト体のダメージが大きくなる。また、超音波現像時間は5〜120秒が好ましい。現像時間が5秒を下回ると可溶部分が除去しきれないため好ましくなく、一方、120秒を上回ると硬化部分の侵食や感光性シートや感光性ペースト体のダメージが大きくなるため好ましくない。可溶部分の除去が十分に行われつつ、硬化部分の侵食と感光性シートや感光性ペースト体のダメージを抑えるための超音波現像時間は、より好ましくは5〜60秒、さらに好ましくは10〜30秒である。
本発明において感光性シートや感光性ペースト体に対する超音波の照射位置は特に限定はされないが、超音波方向に対して感光性シートや感光性ペースト体が垂直に位置し、表面側から照射するように配置するのが好ましい。また、現像液中で基板を振動、回転、往復運動させるなどのように動かしてもよい。あるいは現像液を循環、振動させるなどしてもよい。
本発明で用いる現像方法は浸積法、スプレー法などの現像方法と組み合わせて用いられることが好ましい。ここでいう浸積法とは、例えば露光後の感光性シートや感光性ペースト体を現像液に浸すことで、現像液に対し可溶部分の溶解・除去を進める方法である。またスプレー法とは、同様に活性光線照射後の感光性シートや感光性ペースト体の可溶部分をスプレーの物理的な力も利用しながら溶解・除去を進める現像方法である。このスプレー法は、常に現像液の流出による入れ替わりがあり、現像液の溶解力低下が少なく、結果として現像時間が短くなる利点があり、特に好ましい。また、現像基板面積当たりのスプレー圧力は0.5〜20kg/cmが好ましい。スプレー圧力が0.5kg/cmを下回ると物理的な力が不十分であり、現像時間が長くなる。一方、20kg/cmを上回ると硬化部分への現像液の浸食により、感光性シートや感光性ペースト体へのダメージが大きくなる。物理的な力を保持しつつ、硬化部分の侵食や感光性シートや感光性ペースト体のダメージを抑えるためのスプレー圧力は、より好ましくは1〜10kg/cm、更に好ましくは1〜5kg/cmである。なお、スプレー散布器と感光性シートや感光性ペースト体を相対的に移動させることにより、少ない散布器で面積の大きい支持体付きシートに現像液をスプレー散布することができ、感光性シートの特定位置に現像液の散布が集中することが抑制されて好ましい。これら浸積法、スプレー法等と周波数変調型超音波照射を組み合わせることで現像時間の短縮につながるため、感光性シートや感光性ペースト体のダメージ軽減につながる。
感光性シートや感光性ペースト体の現像液としては、感光性組成物の活性光線照射部と非照射部に対して、異なった溶解性、膨潤性、親和性を有するものであれば、いずれも使用可能であるが、本発明においては、アルカリ水溶液が好ましい。アルカリ水溶液としては、ナトリウムやカリウムなどの金属アルカリ水溶液、有機アルカリ水溶液が使用できる。金属アルカリ水溶液としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属イオンを含んでいる化合物を用いることができる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどが挙げられる。有機アルカリ水溶液としては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的にはメチルアミン、n−プロピルアミン、t−ブチルアミン、モノエタノールアミン、TMAH(テトラメチルハイドロオキサイド)などが挙げられる。また、アルカリ水溶液の濃度は0.01〜10重量%が好ましい。アルカリ水溶液の濃度が0.01重量%を下回ると可溶部分が完全に除去されない場合がある。一方、10重量%を上回ると硬化部分の侵食やパターンの剥離が起こることがある。可溶部分の除去が十分に行われつつ、硬化部分の侵食やパターンの剥離を抑えるためのアルカリ濃度は、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.5〜1.5重量%である。また現像液の温度は、工程管理上20〜50℃が好ましい。
本発明の拘束シートおよび拘束シートを用いた焼結体の製造方法は、焼結体表面の表層および内層用電極の微細な回路パターン形成を必要とする半導体素子の高密度実装用回路基板、高周波無線用回路基板、特に多層回路基板、フラットパネルディスプレイの各種部材の焼結時に好適に用いられる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、濃度(%)は特に断らない限り重量%である。実施例に用いた無機粒子および有機成分は次の通りである。
A.有機成分
バインダーポリマーI:40重量部の2−エチルヘキシルアクリレート、40重量部のブチルメタクリレート、20重量部のアクリル酸からなる共重合体にグリシジルメタクリレートを付加反応させたもので、得られたバインダーポリマーIの重量平均分子量36000、酸価100mgKOH/g、Tgは15℃である。なお、バインダーポリマーの重量平均分子量はテトラヒドロフランを移動相としたサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。カラムはShodex KF−803を用い、ポリスチレン換算により計算した。Tgの測定法は、島津製作所(株)製DSC−50型測定装置を用い、サンプル重量10mg、窒素気流下で昇温速度20℃/分で昇温し、ベースラインの偏起が開始する温度をTgとした。また、酸価の測定は、バインダーポリマー1gをエタノール100mlに溶解した後、0.1N水酸化カリウム水溶液を用いた滴定を行い、求めた。
バインダーポリマーII:ポリメチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
バインダーポリマーIII:40重量部のメタクリル酸メチル、20重量部のアクリル酸エチル、40重量部のメタクリル酸からなる共重合体のカルボキシル基に対し、0.4当量のグリシジルメタクリレート(GMA)を付加反応させた重量平均分子量16000、酸価105mgKOH/g、粘度11.2Pa・sのポリマーである。Tgは74℃である。粘度の測定は、回転粘度計(RVDVII+、ブルックフィールド社製)にて、温度25±0.1℃、回転数10rpm、測定開始から5分後の粘度を測定した。
エチレン性不飽和基含有化合物I:ポリエチレングリコールジアクリレート“M−245”(東亞合成(株)製)
エチレン性不飽和基含有化合物II:ウレタンアクリレート(“UV6100B”日本合成化学工業(株)製)
エチレン性不飽和基含有化合物III:“カラヤッドTPA−330”(日本化薬(株)製)
光重合開始剤I:“イルガキュア819”(チバ・スペシャリティケミカルズ社製)
光重合開始剤II:“DETX−S”(日本化薬(株)製)
光重合開始剤III:“イルガキュア369”(チバスペシャルティケミカルズ社製)
紫外線吸収剤I:“スダンIV”(東京化成工業(株)製)
紫外線吸収剤II:4−アミノアゾベンゼン(和光純薬工業(株)製)
波長変換物質:”カヤライトB“(日本化薬(株)製)
分散剤:“ノプコスパース”(サンノプコ(株)製)
重合禁止剤:p−メトキシフェノール(和光純薬工業(株)製)
可塑剤I:ポリグリセリン“PGL−06”(ダイセル化学工業(株)製)
可塑剤II:ジブチルフタレート(和光純薬工業(株)製)
溶剤:“ソルフィット”((株)クラレ製)
非感光性有機成分:80%のバインダーポリマーII、20%の可塑剤IIを有する。
B.無機粒子
アルミナ粉末I:平均粒子径10nm
アルミナ粉末II:平均粒子径37nm
アルミナ粉末III:平均粒子径450nm
アルミナ粉末IV:平均粒子径700nm
アルミナ粉末V:平均粒子径2μm
ガラス粉末I:酸化物換算でSiO(60%)、PbO(17.5%)、CaO(7.5%)、MgO(3%)、NaO(3.2%)、KO(2%)、B(5.8%)の組成のものを用いた。このガラス粉末のガラス軟化点は686℃、平均粒子径は2μmである。
ガラス粉末II:酸化物換算でLiO(7%)、SiO(21%)、B(31%)、BaO(4%)、Al(23%)、ZnO(2%)、MgO(6%)、NaO(2%)、CaO(4%)の組成のガラス粉末を用いた。このガラス粉末のガラス転移点は490℃、軟化点は530℃、平均粒子径0.5μm、屈折率(n)は1.58であった。
ガラス粉末III:酸化物換算でBi(26%)、SiO(13%)、B(18%)、ZnO(21%)、BaO(14%)、Al(4%)の組成のガラス粉末を用いた。このガラス粉末のガラス軟化点は525℃、平均粒子径0.5μm、屈折率(n)は1.93であった。
なお、アルミナ粉末I〜IVの平均粒子径は日機装(株)製比表面積測定装置にて測定を実施し、Nガス吸着量から比表面積を求め、平均粒子径に換算した値である。アルミナ粉末Vおよびガラス粉末I〜IIIの平均粒子径は日機装(株)製マイクロトラック粒度分布測定装置“HRA”にて測定したD50である。ガラスの軟化点はガラス粉末を白金セルに入れ、示差熱分析装置(TG8120、理学電機(株)製)を用いて、常温から700℃まで20℃/分の昇温速度で示差熱分析を行い、最初に現れる吸熱部の極小点を経て吸熱が終了する温度を軟化点(Ts)とした。平均粒子径はアルミナ粉末と同様の方法で測定した。屈折率は、石英ガラス上にガラス膜を作製した後、エリプソメーターを用いたエリプソメトリー法によって、25℃における436nmの波長の光に関して測定を行った。
C.拘束シートの作製
表1に示した組成に溶剤を添加して混合し、これを3本ロールで5回通した後、400メッシュのフィルターを用いて濾過してペーストを作製した。これを支持体PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上にドクターブレード法を用いて塗布し、100℃で2時間乾燥を行った。100μmと200μmの拘束シートを得た。
D.導電パターンを有するシートの作製
表1に示した組成に溶剤を添加して混合し、これを3本ロールで5回通した後、400メッシュのフィルターを用いて濾過してペーストを作製した。前記作製したペーストを支持体PETフィルム上にドクターブレード法を用いて塗布し、85℃で30分間乾燥を行った。得られたシートの膜厚は100μmであった。前記シートは100mm角の正方形に切断し、パンチング装置を用いた打ち抜きによりキャビティおよびビアホールのパターン加工を行った後、導体Agペーストによるビア埋めおよび配線印刷を行い、導体パターンを有するシートを作製した。なお、感光性ペーストの場合はガラス基板上に上記感光性ペーストを、スクリーン印刷を用いて均一に塗布し、80℃で15分間保持して乾燥し、厚さ20μmの感光性ペーストの層を形成した。その後、0.5kw出力の超高圧水銀灯で紫外線露光、アルカリ現像液による現像処理を経て、約20μmおよび約30μmの孔径をもつビアホールのパターン加工を行い、パターンを有する感光性ペースト層を作製した。
E.拘束シートと被拘束物の積層
積層体I:導体パターンを有するシートを3枚積層して、その両面に拘束シートを1枚ずつ積層したものを25MPa、90℃の条件で10分間熱圧着した。
積層体II:導体パターンを有するシートを3枚積層して、その片面に拘束シートを1枚積層したものを25MPa、90℃の条件で10分間熱圧着した。
積層体III:導体パターンを有するシート3枚と、拘束シート2枚を交互に積層して、25MPa、90℃の条件で10分間熱圧着した。
積層体IV:導体パターンを有するシート2枚を積層して、その両面に拘束シートを1枚ずつ積層したものを25MPa、90℃の条件で10分間熱圧着した。
積層体V:導体パターンを有するシート5枚を積層して、その両面に拘束シートを1枚ずつ積層したものを25MPa、90℃の条件で10分間熱圧着した。
積層体VI:導体パターンを有するシート20枚を積層して、その両面に拘束シートを1枚ずつ積層したものを25MPa、90℃の条件で10分間熱圧着した。
積層体VII:パターンを有する感光性ペースト層の片面に拘束シートを1枚積層したものを25MPa、90℃の条件で10分間熱圧着した。
前記積層体I〜VIIについて、各20セットずつ作製した。
F.被拘束物の焼結
導体パターンを有するシートと拘束シートを積層したものは600℃で有機成分を除去した後、900℃で焼結を行った。パターンを有する感光性ペースト層と拘束シートを積層したものは400〜450℃で有機成分を除去した後、ガラス粉末の軟化点付近まで昇温し、20分保持して焼結を行った。焼結後の焼結体より超音波を用いて拘束シートの除去を行った。超音波照射は、水の入った出力70Wの超音波浴槽にて周波数42KHzで10分間照射した。
G.焼結体の評価
デラミネーション発生割合(%):焼結体20セット中で、デラミネーションが発生した焼結体セットの割合をデラミネーション発生割合とした。
収縮率(%):導体パターンを有するシートおよびパターンを有する感光性ペースト層平面のXY方向を任意に定めて、焼結前後のXY方向を同一として、下記の式を参考に求めたX方向収縮率およびY方向収縮率の平均値を収縮率とした。
X方向収縮率(%)=(焼結前の導体パターンを有するシート、あるいはパターンを有する感光性ペースト層のX方向長さ−焼結後の焼結体のX方向長さ)/焼結前の導体パターンを有するシート、あるいはパターンを有する感光性ペースト層のX方向長さ×100
Y方向収縮率(%)=(焼結前の導体パターンを有するシート、あるいはパターンを有する感光性ペースト層のY方向長さ−焼結後の焼結体のY方向長さ)/焼結前の導体パターンを有するシート、あるいはパターンを有する感光性ペースト層のY方向長さ×100
収縮率(%)=(X方向収縮率+Y方向収縮率)/2
焼結時のデラミネーション等で焼結体に反りなどが発生し、収縮率が計測不能の場合は表において“−”と表した。
残渣割合(%):超音波照射後の焼結体において、拘束シートが積層されていた面(100mm角の平面)を10mm角の正方形を1区画として100等分し、全100区画中に拘束シートの無機粒子残渣が残っていた区画の割合を残渣割合とした。なお、残渣は光学顕微鏡にて確認できるものとした。焼結時のデラミネーション等で焼結体に反りなどが発生し、残渣割合が計測不能の場合は表において“−”と表した。
実施例1
無機粒子としてアルミナ粉末Iとアルミナ粉末Vを、有機成分としてバインダーポリマーIと添加剤を表1に示す組成で混合したものに溶剤を添加し、これを3本ロールで5回通した後、400メッシュのフィルターを用いて濾過してペーストを作製した。前記作製したペーストは支持体PETフィルム上にドクターブレード法を用いて塗布し、100℃で2時間乾燥を行った。得られた拘束シートの膜厚は200μmであった。
次に無機粒子としてアルミナ粉末IIとガラス粉末Iを、有機成分としては感光性有機成分(72%のバインダーポリマーI、10%のエチレン性不飽和基含有化合物I、10%のエチレン性不飽和基含有化合物II、5%の光重合開始剤、0.2%の紫外線吸収剤、1.8%の分散剤、1%の重合禁止剤)を表1に示す組成で混合したものに溶剤を添加し、これを3本ロールで5回通した後、400メッシュのフィルターを用いて濾過してペーストを作製した。前記作製したペーストは支持体PETフィルム上にドクターブレード法を用いて塗布し、85℃で30分間乾燥を行った。得られたシートの膜厚は100μmであった。前記シートは100mm角に切断し、200μmのビアパターン/800μmピッチ、2mm角のキャビティ/8mmピッチを持つネガ型クロムマスクを用いて、上面から0.5kw出力の超高圧水銀灯で紫外線露光した。露光量は100mJ/cmであった。次に25℃に保持したTMAH(テトラメチルハイドロオキサイド)0.5重量%の水溶液に120秒間浸漬し、その後周波数が38KHz、出力60W/cmの超音波を20秒照射して、光硬化していない部分を除去して200μmのビアパターン/800μmピッチ、2mm角のキャビティ/8mmピッチを持つキャビティおよびビアホールのパターン加工を行った後、導体Agペーストによるビア埋めおよび配線印刷を行い、導体パターンを有するシートを作製した。
さらに導体パターンを有するシートを3枚積層して、その両面に前記作製した200μmの拘束シートを1枚ずつ積層したものを、25MPa、90℃の条件で10分間熱圧着した。これを600℃で有機成分を除去した後、900℃で焼結を行った。得られた焼結体は拘束シートのデラミネーションが無く、超音波を用いて拘束シートの除去を行った後に焼結体の収縮率を測定した。この結果、焼結体の収縮率は0.3%であり、拘束シートの剥離性も良好であった。
実施例2〜8
実施例1と同様にして、表1に示す組成の拘束シートと導体パターンを有するシートを作製し、これらを積層して焼結を行い、得られた焼結体の評価を行った。結果は表1に示した。
実施例9〜11
実施例1と同様にして、表1に示す組成の拘束シートを作製し、次に無機粒子として表1に示した組成の無機粒子を、有機成分としては非感光性有機成分(80%のバインダーポリマーII、20%の可塑剤II)を表1に示す組成で混合したものに溶剤を添加し、実施例1と同様にしてペーストおよび膜厚100μmのシートを作製した。前記シートは100mm角に切断し、200μmのビアパターン/800μmピッチ、2mm角のキャビティ/8mmピッチでパンチング装置を用いて打ち抜きによりキャビティおよびビアホールのパターン加工を行った後、導体Agペーストによるビア埋めおよび配線印刷を行い、導体パターンを有するシートを作製した。得られたシートを用いて実施例1と同様にして焼結体を作製し、その評価を行った。結果は表1に示した。
Figure 2007197312
実施例12〜16
実施例1と同様にして、表2に示す組成の拘束シートと導体パターンを有するシートを作製し、これらを積層して積層体II〜VIを作製した後に焼結を行い、得られた焼結体の評価を行った。結果は表2に示した。
実施例17
実施例1と同様の方法で表2に示す組成の拘束シートを作製し、膜厚が100μmの拘束シートを得た。次に、無機粒子としてガラス粉末II、有機成分としては感光性有機成分(72%のバインダーポリマーIII、20%のエチレン性不飽和基含有化合物III、2.5%の光重合開始剤II、2.5%の光重合開始剤III、0.2%の紫外線吸収剤I、1.8%の分散剤、1%の重合禁止剤)を表2に示す組成で混合したものに溶剤を添加し、これを3本ロールで5回通した後、400メッシュのフィルターを用いて濾過して感光性ペーストを作製した。前記感光性ペーストをガラス基板上にスクリーン印刷を用いて均一に塗布し、80℃で15分間保持して乾燥し、厚さ20μmの感光性ペーストの層を形成した。その後、20μmのビアパターン/60μmピッチ、30μmのビアパターン/90μmピッチを持つネガ型クロムマスクを用いて、上面から0.5kw出力の超高圧水銀灯で紫外線露光した。露光量は300mJ/cmであった。次に25℃に保持した炭酸ナトリウム0.2重量%の水溶液をシャワーで40秒間現像し、その後シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していない部分を除去してガラス基板上に20μmおよび30μmの孔径をもつビアホールパターン加工を行い、パターンを有する感光性ペースト層を作製した。
さらに、その片面に前記作製した拘束シートを1枚積層したものを、25MPa、90℃の条件で10分間熱圧着した。これを400℃で有機成分を除去した後、540℃で焼結を行った。得られた焼結体は拘束シートのデラミネーションが無く、超音波を用いて拘束シートの除去を行った後に焼結体の収縮率を測定した。この結果、焼結体の収縮率は0.5%であり、拘束シートの剥離性も良好であった
実施例18
実施例17の感光性有機成分が36%のバインダーポリマーIII、36%のエチレン性不飽和基含有化合物III、5%の光重合開始剤II、5%の光重合開始剤III、14%の波長変換物質、1%の紫外線吸収剤I、1%の分散剤、2%の重合禁止剤とした以外は実施例17と同様にして評価を行った。結果は表2に示した。
Figure 2007197312
比較例1
無機粒子としてアルミナ粉末Vを、有機成分としてバインダーポリマーIと添加剤を表3に示す組成で混合したものに溶剤を添加し、これを3本ロールで5回通した後、400メッシュのフィルターを用いて濾過してペーストを作製した。前記作製したペーストは支持体PETフィルム上にドクターブレード法を用いて塗布し、100℃で2時間乾燥を行った。得られた拘束シートの膜厚は200μmであった。
次に無機粒子としてアルミナ粉末IIとガラス粉末Iを、有機成分としては感光性有機成分(72%のバインダーポリマーI、10%のエチレン性不飽和基含有化合物I、10%のエチレン性不飽和基含有化合物II、5%の光重合開始剤、0.2%の紫外線吸収剤、1.8%の分散剤、1%の重合禁止剤)を表3に示す組成で混合したものに溶剤を添加し、これを3本ロールで5回通した後、400メッシュのフィルターを用いて濾過してペーストを作製した。前記作製したペーストは支持体PETフィルム上にドクターブレード法を用いて塗布し、85℃で30分間乾燥を行った。得られたシートの膜厚は100μmであった。得られたシートを用いて、実施例1と同様にして導体パターンを有するシートを作製した。
さらに導体パターンを有するシートを3枚積層して、その両面に前記作製した拘束シートを1枚ずつ積層したものを、25MPa、90℃の条件で10分間熱圧着した。これを600℃で有機成分を除去した後、900℃で焼結を行った。得られた焼結体には拘束シートのデラミネーションが発生したために反りが生じ、焼結時に十分な拘束力が得られなかった。
比較例2〜4、6
比較例1と同様にして、表3に示す組成の拘束シートと導体パターンを有するシートを作製し、これらを積層して焼結を行い、得られた焼結体の評価を行った。結果は表3に示した。
比較例5
比較例1と同様にして、表3に示す組成の拘束シートを作製し、次に無機粒子としてアルミナ粉末IIとガラス粉末Iを、有機成分としては非感光性有機成分(80%のバインダーポリマーII、20%の可塑剤II)を表3に示す組成で混合したものに溶剤を添加し、実施例9と同様にしてペーストおよびシートを作製した。得られたシートの膜厚は100μmであった。得られたシートを用いて実施例9と同様にして焼結体を作製し、評価を行った。結果は表3に示した。
比較例7
表3に示す組成の拘束シートと導体パターンを有するシートを比較例1と同様にして作製し、これらを積層して焼結を行った。得られた焼結体は拘束シートのデラミネーションが無く、超音波を用いて拘束シートの除去を行った後にセラミック基板の収縮率を測定した。この結果、セラミック基板の収縮率は0.6%であったが、拘束シートの残渣割合が多く、剥離性が不十分であった。
Figure 2007197312
拘束シートが被拘束物に対して片面に積層された積層体の断面図 拘束シートが被拘束物に対して両面に積層された積層体の断面図 拘束シートが被拘束物の内部に積層された積層体の断面図
符号の説明
11 被拘束物(セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物)
12 拘束シート

Claims (5)

  1. セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の焼結時に用いられる拘束シートであって、当該拘束シートは、(a)拘束するセラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の焼結温度では焼結されない無機粒子と(b)有機成分を有し、(a)の無機粒子のうち、平均粒子径10nm以上500nm未満の無機粒子が拘束シートに含まれる無機粒子全体に対し、1〜30重量%含まれる拘束シート。
  2. 感光性組成物が感光性有機成分と無機粉末を有し、無機粉末がガラス粉末を含有する感光性ガラス組成物である請求項1記載の拘束シート。
  3. セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の少なくとも片面に、(a)セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の焼結温度では焼結されない無機粒子と(b)有機成分を有し、(a)の無機粒子のうち、平均粒子径10nm以上500nm未満の無機粒子が拘束シートに含まれる無機粒子全体に対して1〜30重量%含まれる拘束シートを積層する工程と、セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物および拘束シートから有機成分を除去する工程と、セラミックグリーンシートもしくは無機粉末を有する感光性組成物の焼結温度で焼結する工程を有する焼結体の製造方法。
  4. セラミックグリーンシートが平均粒子径10nm以上500nm未満の無機粒子を含む請求項3記載の焼結体の製造方法。
  5. 無機粉末を有する感光性組成物が平均粒子径0.1μm以上10μm以下のガラス粒子を含む請求項3記載の焼結体の製造方法。
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