JP2002148786A - 感光性セラミックス組成物 - Google Patents

感光性セラミックス組成物

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JP2002148786A
JP2002148786A JP2001260891A JP2001260891A JP2002148786A JP 2002148786 A JP2002148786 A JP 2002148786A JP 2001260891 A JP2001260891 A JP 2001260891A JP 2001260891 A JP2001260891 A JP 2001260891A JP 2002148786 A JP2002148786 A JP 2002148786A
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photosensitive ceramic
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JP2001260891A
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Tomoya Yamaho
智也 山舗
Yoshiki Masaki
孝樹 正木
Hiroshi Oshita
浩 大下
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フォトリソグラフィー法を用いた高アスペクト
比かつ高精細のビアホール形成が可能な感光性セラミッ
クス組成物を得て、無収縮焼成に供する。 【解決手段】無機粉末と感光性有機成分を必須成分とす
る感光性セラミックス組成物であって、最大の屈折率を
持つ成分の屈折率をN1、最小の屈折率を持つ成分の屈
折率をN2とした時に、N1−N2の値が0.25以下
であり、かつ焼成前後の収縮率がX−Y面方向で5%以
下であることを特徴とする感光性セラミックス組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光性セラミック
ス組成物に関する。本発明の感光性セラミックス組成物
は、高周波無線用積層基板などの回路材料などに用いら
れる。
【0002】
【従来の技術】携帯電話をはじめとする無線通信技術の
普及が著しい。従来の携帯電話は800MHz〜1.5
GHzの準マイクロ波帯を用いたものであったが、情報
量の増大に伴い、搬送周波数をより高周波であるマイク
ロ波帯からミリ波帯とした無線技術が提案され、実現さ
れる状況にある。こうした高周波無線回路は、移動体通
信やネットワーク機器としての応用が期待されており、
中でもITS(Intelligent Transport System,高度交
通情報システム)での利用によってますます重要な技術
となりつつある。
【0003】これらの高周波回路を実現するためには、
そこで使用される基板材料も、使用波長帯、すなわち、
数〜100GHzで優れた高周波伝送特性をもつ必要が
ある。優れた高周波伝送特性を実現するためには、誘電
損失が低いこと、加工精度が高いこと、寸法安定性がよ
いといった要件が必要である。これらの要件を備えてい
る材料としては、従来アルミナを中心とするセラミック
ス基板が使用されてきた。セラミックス基板は寸法安定
性に優れ、誘電正接(tanδ)が低いことから、高周波
帯で使用するセラミックス多層基板モジュールや部品に
使用されている。しかしながら、一方で、小型化するた
めにビアホールなどの微細加工を行うことが難しく、パ
ンチングやドリルによる切削加工といった方法では、せ
いぜい直径80μm程度の加工しかできなかった。前述
したように、セラミックス材料は、例えばアルミナの場
合、誘電率は8.0前後、誘電正接は0.0003程度
であり、加工精度が粗いと実装密度が低下するだけでな
く、高誘電率区間を長距離伝送することとなる。そのた
め、誘電損失が上昇し、寸法安定性が高いにもかかわら
ず、十分な特性を出すことができなくなるという問題が
あった。特に、マイクロ波以上の領域の高周波回路で
は、その効果が顕著になる。
【0004】すなわち、これまでのセラミックス基板材
料は誘電正接が低く、寸法安定性に優れているものの、
微細加工度が低かったため、特に高周波領域において十
分な特性を得ることができなかった。このような微細加
工精度の問題を改良する方法として、特開平1−183
456号公報、特開平6−202323号公報におい
て、感光性セラミックス組成物から形成したグリーンシ
ートを用いたフォトリソグラフィー技術によるビアホー
ル形成方法が提案されている。しかしながら、感光性セ
ラミックス組成物の感度や解像度が低いため高アスペク
ト比のもの、例えば50μmを越えるような厚みのシー
トに対し、100μm以下のビアホールを精度良く、か
つ均一に形成できないという欠点があった。
【0005】また、セラミックス基板材料を多層基板と
して使用する際には、使用する際には、セラミックスグ
リーンシートにビアホールを形成する工程、ビアホール
に導体ペーストあるいは導電性金属粉末を充填する工
程、セラミックスグリーンシート表面に電極や回路など
の導体パターンを形成する工程、ビアホールおよび導体
パターンが形成されたセラミックスグリーンシートを積
層および圧着し、適当な基板サイズにカットした後、焼
成する工程を経ることとなる。このとき、焼成工程によ
って通常10〜20%収縮するが、必ずしも均一には収
縮しないため寸法精度の低下が生じており、歩留まりを
下げる要因となっていた。このような収縮率のバラツキ
は、特開平5−102666号公報に示されるように、
セラミックスグリーンシートの上面および下面に難焼結
性のセラミックスグリーンシートを積層し、焼成するこ
とによって厚み方向のみ収縮させ、X−Y平面にはほぼ
無収縮にする事で低減できることが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】寸法安定性に優れ、誘
電正接の低いセラミックス基板材料の微細加工度を高め
て、高周波領域において十分な特性を得ることができる
ようにするため、フォトリソグラフィー法を用いた高ア
スペクト比かつ高精細のビアホール形成が可能な感光性
セラミックス組成物を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、無機
粉末と感光性有機成分を必須成分とする感光性セラミッ
クス組成物であって、最大の屈折率を持つ成分の屈折率
をN1、最小の屈折率を持つ成分の屈折率をN2とした
時に、N1−N2の値が0.25以下であり、かつ焼成
前後の収縮率がX−Y面方向で5%以下であることを特
徴とする感光性セラミックス組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、感光性セラミックス組
成物中の各成分の屈折率制御を行うことによって、それ
ぞれの成分の界面においての反射・散乱を削減し、高ア
スペクト比かつ高精細なビアホール形成を可能にするこ
と、さらに焼成前後での収縮率を小さくできる無機成分
と焼成方法を加えることによって、さらなる寸法安定性
を保証できるようにしたことを特徴とする。
【0009】本発明の感光性セラミックス組成物は無機
粉末と感光性有機成分を必須成分とする。本組成物は、
グリーンシートもしくは塗布膜に形成した後、無収縮焼
成して基板材料などとしてそれぞれの用途に提供され
る。これらの形態に成形される前の段階において組成物
はペーストあるいはスラリーと称せられる状態を経る。
【0010】ペーストから塗布膜あるいはグリーンシー
ト状態などに形成されるが、この間にはペーストに含ま
れる溶媒を乾燥揮発させる工程が含まれる。このような
ペーストを経て形成された塗布膜やグリーンシートにお
いては、感光性セラミックス組成物は、有機感光性成分
が形成している連続媒体中に無機粉末が分散した形態を
有しているものである。このような無機粉末を分散状態
で含有する感光性セラミックス組成物にフォトリソグラ
フィー技術でパターン形成する場合には、それぞれの成
分の屈折率が近似し整合していることが重要な条件とな
る。
【0011】この場合、感光性有機成分については種々
の構成成分が含有されているが、それらから形成される
膜状物を用いて測定された「平均屈折率」をエリプソメ
トリー法で測定(測定波長436nm)したものを用い
る。無機粉末については、それぞれの成分が有する固有
の屈折率を用いるが、複合無機成分(例えば、ガラス成
分など)についてはベッケ線検出法によって測定した値
を用いる。ベッケ線検出法は、光学顕微鏡光源部に高圧
水銀灯とg線用の干渉フィルターを用いて、25℃で測
定する。
【0012】本発明の感光性セラミックス組成物が含有
する成分のうち、最大の屈折率を持つ成分の屈折率をN
1、最小の屈折率をもつ成分の屈折率をN2とした時
に、N1−N2の値が0.25以下であることが高アス
ペクト比かつ高精細のビアホールなどのパターン形成に
好ましい。この値はこの値は0.15以下であるとさら
に好ましく、またさらに、0.1以下であるとさらに良
好なパターン形成が可能となる。0.07以下となると
それ以上に好ましい結果を得ることができる。
【0013】感光性セラミックス組成物に用いられる感
光性有機成分の平均屈折率は通常は1.45〜1.7程
度であるが、平均屈折率を高める方法も知られているの
で配合する無機粉末成分に応じた対応がある程度まで可
能である。有機成分の平均屈折率を高くするには、硫黄
原子、臭素原子、沃素原子、ナフタレン環、ビフェニル
環、アントラセン環、カルバゾール環の群から選ばれた
基を有する化合物を10重量%以上用いることが有効で
ある。また、ベンゼン環を有する化合物を20重量%以
上含有させることによっても高屈折率化ができる。
【0014】セラミックス成分やガラス成分を用いる無
機粉末の屈折率は一般的には有機成分より高い場合が多
いが、本発明では全てにおいて用いる無機成分の屈折率
が感光性有機成分の平均屈折率より高いとは限らない。
すなわち、最小の屈折率を有する成分が感光性有機成分
に限定されるとは限らない。従って、用いる無機成分の
少なくとも1重量%以上含有される各成分の相互の屈折
率の差にも配慮することが重要であり、それらを包含し
て、N1−N2の差を0.25以下に制御することが好
ましい。このような範囲に屈折率を制御することによ
り、各成分の界面での反射・散乱が低減され、高アスペ
クト比で高精細なビアホールが形成される。
【0015】本発明の感光性セラミックス組成物は、グ
リーンシートあるいは塗布膜であることを特徴としてい
る。いずれもペーストあるいはスラリーと称される状態
を経て形成される形態である。グリーンシートは多層セ
ラミックス基板の作製に用いられるシート状物で、この
シート上に導電ペーストと絶縁ペーストを交互に印刷積
層して多層化、一回で焼成を完了するグリーンシート印
刷法や、多層化する時に、導体を印刷して熱圧着後、焼
成して多層化するグリーンシート積層法に用いられるも
のである。塗布膜は基板などの機能性材料の上に塗布形
成された膜を示す。本発明の感光性セラミックス組成物
は、グリーンシートあるいは塗布膜である。
【0016】さらに、本発明の感光性セラミックス組成
物であるグリーンシートの焼成を行う場合、グリーンシ
ートの上面および下面に難焼結性のセラミックスシート
を積層して焼成する。それによって、厚み方向のみ収縮
させ、X−Y平面にはほぼ無収縮となるようにするが、
本発明ではX−Y平面方向の焼成収縮率が5%以下であ
ることを好ましく、より好ましくは3%以下、さらに好
ましくは1%以下である。
【0017】難焼結性のセラミックスとは、基板焼結温
度では焼結しないセラミックス粉末で、シリカ、アルミ
ナ、マグネシア、ヘマタイト、チタン酸バリウムおよび
窒化硼素などから選択して用いられる。これらの材料か
ら得られるシートは、ダミー用グリーンシートまたは拘
束シートなどと称せられる。このシートには、しばしば
酸化鉛、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化
バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムなどの
酸化剤やガラス・セラミックスグリーンシートとの密着
性改良材となる酸化物粉末が1〜5重量%添加されると
好ましい。
【0018】難焼結性のセラミックスシートの例として
は、アルミナ粉末にポリビニルブチラール、ジオクチル
フタレート、適当な酸化物、有機溶媒などを加えて、ド
クターブレード法によってシート状に形成したものをあ
げることができる。
【0019】グリーンシートの上下の面に拘束シートを
配置した状態での焼成工程によりX−Y平面方向の収縮
は制限されるが、組成物の成分や配合組成、焼成時の諸
条件により、不可避の収縮が存在するので、収縮率を5
%以下に抑制できるならば、ほぼ無収縮を達成したもの
と考えることができるが、より好ましくは2%以下、さ
らに好ましくは1%以下である。
【0020】このような条件は塗布膜にも適用すること
が可能であり、塗布膜の場合には、膜の上面に拘束シー
トを配した状態で実施することができる。
【0021】感光性セラミックス組成物の必須成分であ
る感光性有機成分は、本発明では側鎖にカルボキシル基
を有するアクリル系共重合体、光反応性化合物および光
重合開始剤を含有することが好ましい。必要に応じて、
バインダーポリマー、増感剤、紫外線吸収剤、分散剤、
界面活性剤、有機染料、可塑剤、増粘剤、酸化防止剤、
ゲル化防止剤などの添加剤成分を加えることができる。
【0022】本発明に用いる感光性有機成分は、側鎖に
カルボキシル基を有するアクリル系共重合体を含有して
いる。このような側鎖にカルボキシル基を有するアクリ
ル系共重合体を用いた感光性ペーストは、パターン露光
後の現像をアルカリ水溶液で実施することができるとい
うメリットを有している。側鎖にカルボキシル基を有す
るアクリル酸系共重合体は、例えば、アクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマ
ル酸、ビニル酢酸またはこれらの酸無水物などのカルボ
キシル基含有不飽和モノマーおよびメタクリル酸エステ
ル、アクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチルアクリ
レートなどのモノマーを選択し、適当なラジカル重合開
始剤を用いて共重合することにより得られるが、これに
限定されるものではない。不飽和基を有する他の重合性
モノマーを共重合成分として加えることも可能である。
側鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体の酸
価は、50〜140であることが好ましい。酸価を14
0以下とすることで、現像許容幅を広くすることがで
き、酸価を50以上とすることで、未露光部の現像液に
対する溶解性が低下することがなく、従って現像液を濃
くする必要がなく露光部の剥がれを防ぎ、高精細なパタ
ーンを得ることができる。側鎖にカルボキシル基を有す
るアクリル系共重合体は、焼成時の熱分解温度が低いこ
とから好ましく用いられる。
【0023】さらに、側鎖にカルボキシル基を有するア
クリル系共重合体が、側鎖にエチレン性不飽和基を有す
ることも好ましく、該エチレン性不飽和基としては、ビ
ニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基
などがあげられる。このようなエチレン性不飽和基側鎖
をポリマーに付加させる方法は、ポリマー中の活性水素
含有基であるメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボ
キシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を
有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライ
ド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを
付加反応させる。グリシジル基を有するエチレン性不飽
和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル
酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアク
リル酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、イソクロト
ン酸グリシジルなどがある。イソシアネート基を有する
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイ
ルイソシアネート、(メタ)アクリロイルエチルイソシ
アネートなどがある。また、グリシジル基やイソシアネ
ート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸ク
ロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロラ
イドは、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基
やカルボキシル基に対して0.05〜0.95モル当量
付加させることが好ましい。活性水素含有基がメルカプ
ト基、アミノ基、水酸基の場合にはその全量を側鎖基の
導入に利用することもできるが、カルボキシル基の場合
には、ポリマーの酸価が好ましい範囲に保持される範囲
で付加することが好ましい。
【0024】感光性有機成分には光反応性化合物が含有
され、これらの光反応性化合物の光反応による架橋反応
や重合反応が重要な役割をする。このような役割をする
光反応性化合物としては、活性な炭素−炭素二重結合を
有する化合物で、官能基としてビニル基、アリル基、ア
クリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基な
どを有する単官能および多官能化合物から選んだ少なく
とも1種が用いられる。光反応性化合物の選択は無機粉
末の混合・分散性に影響を与えることもあるので、その
ためには好適な光反応性化合物を実験的に選択すること
が必要である。光反応性化合物は一種に限定されるもの
ではなく複数種を混合して用いることも可能であり、無
機粉末の安定分散性を保持することと共に形成されるグ
リーンシートの形状安定性やパターン形成性にも留意し
て選択することが好ましい。これに限定されるものでは
ないが、エチレン性不飽和基を有するアミン化合物やウ
レタン結合を有するアクリロイルまたはメタクリロイル
誘導体などを用いることが好ましい。
【0025】不飽和基を有する光反応性化合物類には、
一般的に活性光線のエネルギーを吸収する能力はないの
で、光反応を開始するためには、光重合開始剤を加える
ことが必要である。場合によっては光重合開始剤の効果
を補助するために増感剤を用いることがある。このよう
な光重合開始剤には1分子系直接開裂型、イオン対間電
子移動型、水素引き抜き型、2分子複合系など機構的に
異なる種類があり、それらから選択して用いる。本発明
に用いる光重合開始剤は、活性ラジカル種を発生するも
のが好ましい。光重合開始剤や増感剤は1種または2種
以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性有
機成分に対し、好ましくは0.05〜10重量%の範囲
で添加され、より好ましくは0.1〜10重量%であ
る。光重合開始剤の添加量をこの範囲内とすることによ
り、露光部の残存率を保ちつつ良好な光感度を得ること
ができる。
【0026】感光性セラミックス組成物中の感光性有機
成分の含有率は5〜50重量%、さらには5〜30重量
%であることが好ましい。感光性セラミックス組成物を
塗布膜もしくはグリーンシートに形成した場合、それら
の形成体の可撓性や通気性を両立させることが重要であ
り、感光性有機成分の含有量はこれらの特性に影響を与
える。可撓性を向上させるためには、組成物中の有機成
分含有率の高い方が望ましいが、あまり多くなると無機
粉末の間隙を埋め尽くしてしまい通気性を損なってしま
う。
【0027】感光性セラミックス組成物は必須成分とし
て無機粉末を含有する。無機粉末は焼成工程において焼
結するものであり、本発明の目的とする基板形成では、
1000℃以下、特に600〜950℃の温度での焼成
が好ましいので、いわゆる低温焼成無機粉末が好まし
い。もちろん、これらの無機粉末が基板の電気的特性、
強度、熱膨張係数などの基本物性を決めるものであり、
慎重に選択することが必要である。低温焼成が可能なセ
ラミックス材料やガラス・セラミックス材料が選択され
る。ガラス・セラミックス材料においては、ガラス成分
が焼結されるが、セラミックス成分はフィラーとしての
役割を果たすものを用いることができるので形成された
基板の強度や誘電的特性上好ましい無機粉末となる。
【0028】従来のガラスセラミックスは、その殆どは
誘電損失が高く、十分満足できる高周波特性を有するも
のでなかった。従って、本発明の無機粉末は、Cu、A
g、Auなどを配線導体として多層化が可能な600〜
950℃での焼成が可能であるとともに、GaAsなど
のチップ部品やプリント基板の熱膨張係数と近似した熱
膨張係数を有し、高周波領域においても低誘電率でかつ
誘電損失が低い基板を与えるものであることが好まし
い。
【0029】本発明の感光性セラミックス組成物の無機
粉末として有用な成分には5つの態様がある。
【0030】第一の態様は、一般式RO−Al23−S
iO2(Rはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を表
す)で表されるアルミノケイ酸塩系化合物である。これ
に限定されるものではないが、アノーサイト(CaO−
Al23−2SiO2)、セルジアン(BaO−Al2
3−2SiO2)などであり、低温焼結セラミックス材料
として用いられる無機粉末である。
【0031】第二の態様の無機粉末は、酸化物換算表記
で、SiO2:50〜90重量%、ZnO:3〜40重
量%、B23:1〜20重量%、アルカリ金属酸化物:
3〜10重量%からなるものである。Si、Zn、Bお
よびアルカリ金属を構成元素として含有する複合酸化物
で、1000℃以下の低温で焼結体を形成することがで
きる。アルカリ金属としては、少なくともLiを含むこ
とが望ましく、さらには、LiとK、Na、Csおよび
Rbの群から選ばれる少なくとも1種との組み合わせか
らなることが望ましい。
【0032】第三の態様の無機粉末としては、ガラス粉
末Aを50〜95重量%と、クオーツ粉末および/また
はアモルファスシリカ粉末を総量で5〜50重量%の割
合からなるものが好ましい。ガラス粉末Aは酸化物換算
表記で、SiO2:45〜55重量%、Al23:3〜
10重量%、MgO:13〜24重量%、CaO:20
〜30重量%からなることを特徴とする。ここに記載し
た組成範囲で構成されたSiO2、Al23、MgOお
よびCaOを含むディオプサイド型酸化物結晶相を析出
可能なガラス粉末は、ガラスの軟化点が500〜800
℃であることで望ましい。ディオプサイド型酸化物結晶
相を析出可能なガラス粉末Aの熱膨張係数をコントロー
ルするため、高膨張係数を有するクオーツを特定量添加
することができる。低熱膨張化が必要な場合には、ガラ
スとクオーツの含有割合を変えるか、またはクオーツの
一部または全てを熱膨張係数の小さいアモルファスシリ
カに代えればよく、目的の特性に応じて適宜調整するこ
とができる。ディオプサイドおよびクオーツはミリ波帯
での誘電損失が小さいものであることから、低誘電損失
化を図ることができる。
【0033】本発明の無機粉末として有用な第四の態様
は、ガラス粉末Bを30〜95重量%と、ZnO:0〜
30重量%、SiO2:5〜55重量%、B23:0〜
10重量%からなる混合物を含有する。ガラス粉末B
は、酸化物換算表記で、SiO 2:40〜55重量%、
Al23:10〜35重量%、MgO:4〜24重量
%、ZnO:2〜20重量%、B23:5〜20重量%
からなる組成のものが好ましい。この無機粉末から形成
される基板は、Si、Al、MgおよびZnを構成元素
として含む複合酸化物焼結体からなり、SiO2を主体
とする第1の結晶相と、少なくともZnOとAl23
を主体とする第2の結晶相とを主結晶相として含有し、
かつ、室温から400℃における熱膨張係数が7ppm
/℃以上であることが特徴であり、これらの混合物を成
形後、1000℃以下の温度で焼成して得ることができ
る。
【0034】無機粉末の第五の態様は、酸化物換算表記
でSiO2:30〜70重量%、Al23:5〜40重
量%、CaO:3〜25重量%、B23:3〜50重量
%の組成範囲で、総量が85重量%以上となるガラス粉
末Cを30〜60重量%と、アルミナ、ジルコニア、マ
グネシア、ベリリア、ムライト、コーディライト、スピ
ネル、フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、
シリカおよび窒化アルミの群から選ばれた少なくとも1
種類のセラミックス粉末70〜40重量%との混合物で
ある。ガラス粉末CのSiO2、Al23、CaOおよ
びB23などの成分は、ガラス粉末中で総量85重量%
以上であることが好ましい。残りの15重量%以下はN
2O、K2O、BaO、PbO、Fe23、Mn酸化
物、Cr酸化物、NiO、Co酸化物などを含有するこ
とができる。ガラス粉末C30〜60重量%と組み合わ
されるセラミックス粉末70〜40重量%はフィラー成
分となる。ガラス粉末C中のSiO2は30〜70重量
%の範囲であることが好ましく、30重量%未満の場合
は、ガラス層の強度や安定性が低下し、また誘電率や熱
膨張係数が高くなり所望の値から外れやすい。また、7
0重量%より多くなると焼成基板の熱膨張係数が高くな
り、1000℃以下の焼成が困難となる。Al23は5
〜40重量%の範囲で配合することが好ましい。5重量
%未満ではガラス相中の強度が低下する上、1000℃
以下での焼成が困難となる。40重量%を越えるとガラ
ス組成をフリット化する温度が高くなりすぎる。CaO
は3〜25重量%の範囲で配合するのが好ましい。3重
量%より少なくなると所望の熱膨張係数が得られなくな
り、また1000℃以下での焼成が困難となる。25重
量%を越えると誘電率や熱膨張係数が大きくなり好まし
くない。B23はガラスフリットを1300〜1450
℃付近の温度で溶解するため、およびAl23が多い場
合でも誘電率、強度、熱膨張係数、焼結温度などの電
気、機械および熱的特性を損なうことのないように焼成
温度を800〜1000℃の範囲に制御するために配合
することが望ましく、配合量として3〜50重量%の範
囲が好ましい。 フィラー成分としてセラミックス粉末
は、基板の機械的強度の向上や熱膨張係数を制御するの
に有効であり、特に、アルミナ、ジルコニア、ムライ
ト、コーディライト、アノーサイトはその効果が優れて
いる。これらのセラミックス粉末の割合が70重量%を
越えると焼結しにくくなり、また40重量%未満では、
熱膨張係数の制御や低誘電率の基板が得られにくくな
る。従って、セラミックス粉末の混合量をこの範囲にす
ることにより、焼成温度を800〜1000℃とし、強
度、誘電率、熱膨張係数、焼結密度、体積固有抵抗、収
縮率を所望の特性とすることができる。
【0035】これら5つの態様で用いられる無機粉末の
粒子径および比表面積は、作製しようとするグリーンシ
ートの厚みや焼成収縮率を考慮して選ばれるが、平均粒
子径が1〜5μm、10重量%粒子径が0.4〜2μ
m、90重量%粒子径が4〜15μm、最大粒子径が3
0μm以下、比表面積1.5〜4m2/gを有するもの
が適している。粉末の形状は粒状または球状であるもの
を用いることによって高アスペクト比で高精細のビアホ
ールの形成が可能であるので、球形率80個数%以上の
無機粉末を用いることが好ましい。このような粒径およ
びその分布を有する無機粉末を用いることにより、粉末
の充填性が向上し、グリーンシート中の粉末比率を増加
させても気泡を巻き込むことが少なくなり、余分な光散
乱が小さいため、パターン形成性を高めることになる。
無機粉末の粒度が上記範囲より小さいと比表面積が増え
るため、粉末の凝集性があがり、有機成分内への分散性
が低下し、気泡を巻き込み易くなる。そのため、光散乱
が増え、パターン形成性が低下する。逆に上記範囲より
大きい場合には、粉末のかさ密度が下がるため充填性が
低下し、感光性有機成分の量が不足し、気泡を巻き込み
やすくなり、やはり光散乱を起こしやすくなる。さら
に、無機粉末の粒度は上記範囲にあると、粉末充填比率
が高いので焼成収縮率が低くなり、焼成時にビアホール
形状が崩れにくい。
【0036】本発明の感光性セラミックス成分中に、上
述した従来の粒子形状や粒子サイズを有するセラミック
スに加えて、焼結体の緻密性を向上させるために、ある
いは熱や電気、機械特性を上げるためにナノ粒子のセラ
ミックス成分を添加すると好ましい。ナノ粒子のサイズ
は、平均粒子径0.002〜0.1μmを有するもの、
好ましくは、0.004〜0.05,さらに好ましくは
0.004〜0.01μmである。本発明の感光性セラ
ミックス組成物に適用することができるナノ粒子の材料
は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、イット
リア、セリア、酸化亜鉛、酸化錫、炭化物、窒化物など
から選択することができる。
【0037】ナノ粒子状態で組成物中に分散されたセラ
ミックス粒子径は、パターン露光に用いる光の波長より
も小さいので露光光を分散させることがなく、優れたパ
ターン形成性を与えることができる。この場合には屈折
率による散乱阻害を低減することができるので好まし
い。
【0038】感光性セラミックス組成物は次のようにし
て調製することができる。まず感光性有機成分である側
鎖にカルボキシル基を有するアクリル系共重合体、光反
応性化合物および光重合開始剤に、必要に応じて溶媒や
各種添加剤を混合した後、濾過し、有機ビヒクルを作製
する。これに、必要に応じて前処理された無機粉末を添
加し、ボールミルなどの混練機で均質に混合・分散して
感光性セラミックス組成物のペーストを作製する。グリ
ーンシート形成用感光性セラミックス組成物における無
機粉末の量は70〜95重量%であり、感光性有機成分
の量は5〜30重量%であることが好ましい。このペー
ストの粘度は無機粉末、増粘剤、有機溶媒、可塑剤その
他の添加剤の添加割合によって適宜調整されるが、その
範囲は1〜5Pa・sである。ペーストもしくはスラリ
ーを構成する際に用いる溶媒は、感光性有機成分を溶解
し得るものであればよい。例えば、メチルセルソルブ、
エチルセルソブル、ブチルセルソブル、メチルエチルケ
トン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シク
ロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルア
ルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシ
ド、γ−ブチロラクトン、トルエン、トリクロロエチレ
ン、メチルイソブチルケトン、イソフォロンなどや、こ
れのうち1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられ
る。
【0039】得られたペーストをドクターブレード法、
押し出し成形法などの一般的な方法でポリエステルなど
のフィルム上に厚さ0.05〜0.5mmに連続的に成
形し、溶媒を乾燥除去することにより、感光性セラミッ
クス組成物であるグリーンシートが得られる。ビアホー
ルは、この感光性セラミックス組成物であるグリーンシ
ートに対して、ビアホール形成用パターンを有するフォ
トマスクを通したパターン露光を行い、アルカリ水溶液
で現像することによって形成される。露光に用いる光源
は超高圧水銀灯が最も好ましいが、必ずしもこれに限定
されるものではない。露光条件はグリーンシートの厚み
によって異なり、5〜100mW/cm 2の出力の超高
圧水銀灯を用いて5秒〜30分間露光を行う。
【0040】本発明の感光性セラミックス組成物の感光
性有機成分には、側鎖にカルボキシル基を有するアクリ
ル系共重合体が含有されているので、アルカリ水溶液で
現像することができる。アルカリ水溶液としては、ナト
リウムやカリウムなどの金属アルカリ水溶液が使用でき
るが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカ
リ成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリとし
ては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具
体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、
トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノ
エタノールアミン、ジエタノールアミンなどがあげられ
る。アルカリ水溶液の濃度は通常0.05〜1重量%、
より好ましくは0.1〜0.5重量%である。アルカリ
濃度が低すぎれば可溶部が完全に除去されず、アルカリ
濃度が高すぎれば、露光部のパターンを剥離させたり、
侵食したりするおそれがある。現像時の温度は、20〜
50℃で行うことが工程管理上好ましい。現像方法とし
ては、一般的な浸漬法、スプレー法が用いられる。ま
た、超音波を併用して現像時間の短縮や現像ムラの減少
化を図る方法もある。
【0041】ビアホール形成と同じ手法でシート積層時
のアライメント用ガイド孔を形成しておくことができ
る。
【0042】このようにして、焼成前の厚みが10〜5
00μm、最密なビアホールパターン部分がビアホール
直径20〜200μm、ビアホールピッチ30〜250
μmであることを特徴とするシートが作製される。
【0043】次に必要な枚数の配線パターンの形成され
たシートをガイド孔を用いて積み重ね、80〜150℃
の温度で5〜25MPaの圧力で接着し、多層シートを
作製する。このグリーンシート積層体の両面に、このグ
リーンシートの焼結温度では実質的に焼結収縮を示さな
い無機組成物(例:アルミナやジルコニア)を主成分と
する拘束シートを積層配置し、作製したグリーンシート
積層体を焼成処理し、その後、この拘束シートを取り除
くことを特徴とする無収縮焼成を行って目的とする多層
基板を作製することができる。焼成は焼成炉において行
う。焼成雰囲気や温度は感光性セラミックス組成物中の
無機粉末や有機成分の種類によって異なるが、空気中、
窒素雰囲気中、または水素還元雰囲気中で焼成する。焼
成温度は600〜950℃で行う。このようにして得ら
れたセラミックス基板は高周波回路用基板として用いら
れる。
【0044】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて具体的に説
明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0045】A.無機粉末 無機粉末1:BaO−Al23−SiO2系材料 無機粉末2:ガラス粉末C55重量%とアルミナ粉末4
5重量%との混合物 ガラス粉末Cの組成:Al23(34.5重量%)、S
iO2(38.2重量%)、B23(9.2重量%)、
BaO(5.1重量%)、MgO(4.8重量%)、C
aO(4.4重量%)、TiO2(2.1重量%) ガラス粉末Cの特性:屈折率1.584、球形率80個
数%、平均粒子径2.5μm、最大粒子径13.1μ
m、比表面積2.41m2/g、ガラス転移点652
℃、荷重軟化点746℃。
【0046】無機粉末3:組成がSiO2(70重量
%)、ZnO(12重量%)、Li2O(8重量%)、
23(10重量%)の複合酸化物粉末、平均粒子径が
1μm以下のZn2SiO4粉末、ZnO・2B23粉末
または4ZnO・3B23粉末で示される化合物、溶融
SiO2(アモルファス)、アルカリ金属炭酸塩の粉末
を原料とする。この混合物を大気中、750℃で1時間
仮焼処理した後、粉砕処理したものを用いる。
【0047】無機粉末4:ガラス粉末B70重量%とS
iO2:30重量%との混合物 ガラス粉末Bの組成:SiO2(44重量%)、Al2
3(29重量%)、MgO(11重量%)、ZnO(7
重量%)、B23(9重量%)。
【0048】無機粉末5:ガラス粉末B70重量%、Z
nO:20重量%とSiO2:10重量%の混合物 ガラス粉末Bの組成:SiO2(44重量%)、Al2
3(26重量%)、MgO(19重量%)、ZnO(1
重量%)、B23(10重量%)。
【0049】無機粉末6:ガラス粉末A80重量%とク
オーツ20重量%の混合物 ガラス粉末Aの組成:SiO2(50重量%)、Al2
3(5.5重量%)、MgO(18.5重量%)、Ca
O(26重量%)。
【0050】B.感光性有機成分 ポリマー1:メタクリル酸40重量%、メチルメタクリ
レート30重量%およびスチレン30重量%からなる共
重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジ
ルメタクリレートを付加反応させた重量平均分子量4
3,000、酸価95を有するポリマー ポリマー2:サイクロマーP(ダイセル化学工業(株)
製、ACA250)、重量平均分子量10,000、酸
価75を有するポリマー。
【0051】光反応性化合物1:ビス(2−ヒドロキシ
−3−メタクリロイルオキシプロピル)イソプロピルア
ミン(GMPA) 光反応性化合物2:TN−1(根上工業(株)製、ウレ
タンプレポリマー、分子量約12,000) 光反応性化合物3:ビス(4−メタクリロイルチオフェ
ニル)スルフィド(住友精化(株)製:高屈折率モノマ
ーMPSMA) 光重合開始剤:IC−369(チバ・ガイギー社製、Ir
gacure-369) 溶媒:メチルエチルケトンとn−ブチルアルコールの
9:1混合溶媒。
【0052】有機ビヒクルの作製 溶媒およびポリマーを混合し、撹拌しながら60℃に加
熱し、すべてのポリマーを溶解させた。溶液を室温まで
冷却し、光反応性化合物、光重合開始剤を加えて溶解さ
せた。その溶液を真空脱泡した後、250メッシュのフ
ィルターで濾過し、有機ビヒクルを作製した。ポリマー
10重量部、光反応性化合物(複数種を用いる場合は均
等割り)10重量部、光開始剤3.5重量部の配合比と
した。
【0053】ペースト調製 上記の有機ビヒクルに無機粉末を混合し、ボールミルで
20時間湿式混合し、ペーストとした。有機ビヒクル中
のポリマーと光反応性化合物とを合わせた20重量部に
対して無機粉末の量は80重量部とした。
【0054】グリーンシートの作製 成形は紫外線を遮断した室内でポリエステルのキャリア
フィルムとブレードとの間隔を0.1〜0.8mmと
し、成形速度0.2m/min.でドクターブレード法
によって行った。シートの厚みは100または150μ
mである。
【0055】ビアホールの形成 グリーンシートを100mm角に切断した後、温度80
℃で1時間乾燥し、溶媒を蒸発させた。ビア径30〜6
0μm、ビアホールピッチ500μmのクロムマスクを
用いて、シートの上面から15〜25mW/cm2の出
力の超高圧水銀灯でパターン露光した。次に、25℃に
保持したモノエタノールアミンの0.5%水溶液により
現像し、その後、スプレーを用いてビアホールを水洗浄
した。
【0056】焼成時に用いる拘束シートの作製 アルミナ粉末またはジルコニア粉末またはマグネシア粉
末にポリビニルブチラール、ジオクチルフタレート、有
機溶媒などを加えて、ドクターブレード法によってシー
ト状に形成したものを用いた。
【0057】積層基板の作製 本発明の感光性セラミックス組成物からなるグリーンシ
ートを5枚積層し、上下に無収縮焼成のための拘束シー
トを配置し、80℃でプレス圧力150kg/cm2
て熱圧着した。得られた積層体を空気中で、所定の焼成
温度で30分〜2時間焼成して、多層基板を作製した。
焼成収縮率は、X−Y面方向で測定した。
【0058】実施例1 無機粉末として無機粉末1を、感光性有機成分として
は、ポリマー2、光反応性化合物1および2、光重合開
始剤を用い、厚み100μmのグリーンシートを得た。
この感光性セラミックス組成物のN1−N2は0.06
であった。マスク上のビア径50μmのビアホールを形
成した後、アルミナシートを拘束シートに用いて900
℃、30分焼成して得られた多層基板でのビアホール径
は55μmであった。焼成収縮率は2%であった。
【0059】実施例2 無機粉末として無機粉末2を、感光性有機成分として
は、ポリマー1、光反応性化合物3、光重合開始剤を用
い、厚み100μmのグリーンシートを得た。この感光
性セラミックス組成物のN1−N2は0.21であっ
た。マスク上のビア径30μmのビアホールを形成した
後、アルミナシートを拘束シートに用いて900℃、3
0分焼成して得られた多層基板でのビアホール径は35
μmであった。焼成収縮率は1%であった。
【0060】実施例3 無機粉末として無機粉末3を、感光性有機成分として
は、ポリマー2、光反応性化合物1、光重合開始剤を用
い、厚み150μmのグリーンシートを得た。この感光
性セラミックス組成物のN1−N2は0.12であっ
た。マスク上のビア径60μmのビアホールを形成した
後、ジルコニアシートを拘束シートに用いて950℃、
60分焼成して得られた多層基板でのビアホール径は7
0μmであった。焼成収縮率は1%であった。
【0061】実施例4 無機粉末として無機粉末4を、感光性有機成分として
は、ポリマー2、光反応性化合物1、光重合開始剤を用
い、厚み150μmのグリーンシートを得た。この感光
性セラミックス組成物のN1−N2は0.05であっ
た。マスク上のビア径50μmのビアホールを形成した
後、マグネシアシートを拘束シートに用いて850℃、
60分焼成して得られた多層基板でのビアホール径は5
5μmであった。焼成収縮率は2%であった。
【0062】実施例5 無機粉末として無機粉末5を、感光性有機成分として
は、ポリマー2、光反応性化合物1、光重合開始剤を用
い、厚み100μmのグリーンシートを得た。この感光
性セラミックス組成物のN1−N2は0.05であっ
た。マスク上のビア径40μmのビアホールを形成した
後、ジルコニアシートを拘束シートに用いて900℃、
60分焼成して得られた多層基板でのビアホール径は5
0μmであった。焼成収縮率は2%であった。
【0063】実施例6 無機粉末として無機粉末6を、感光性有機成分として
は、ポリマー2,光反応化合物1および2,光重合開始
剤を用い、表面処理したアルミナシート上にこのペース
トを塗布して厚み100μmの塗布膜を形成した。この
感光性セラミックス組成物のN1−N2は0.06であ
った。マスク上のビア径50μmのクロムマスクを通し
て露光し、現像した後、上面にマグネシアシートをおい
て950℃、15分の無収縮焼成をおこなった。得られ
たビアホール径は55μmであった。焼成収縮率は1%
であった。
【0064】比較例1 無機粉末としてアルミナ55重量%とシリカ45重量%
を、感光性有機成分としては、ポリマー2、光反応性化
合物1および2、光重合開始剤を用い、厚み100μm
のグリーンシートを得た。この感光性セラミックス組成
物のN1−N2は0.33であった。ビアホールの形成
を試みたところ、径60μmのビアホールを形成するこ
とができず、より大きい径を持つマスクを用いてビアホ
ールの形成を試みたところ、最小径は120μmであっ
た。アルミナシートを拘束シートに用いて900℃、3
0分焼成して得られた多層基板でのビアホール径は13
5μmであった。焼成収縮率は7%と大きかった。
【0065】比較例2 無機粉末として実施例1で用いたものと同じ組成を、感
光性有機成分としては、ポリマー2、光反応性化合物1
および2、光重合開始剤を用い、厚み100μmのグリ
ーンシートを得た。このとき、有機成分の配合比を変化
させ、成分中の最小屈折率は1.48であった。この感
光性セラミックス組成物のN1−N2は0.26であっ
た。ビアホールの形成を試みたところ、径60μmのビ
アホールを形成することができず、より大きい径を持つ
マスクを用いてビアホールの形成を試みたところ、最小
径は90μmであった。アルミナシートを拘束シートに
用いて900℃、30分焼成して得られた多層基板での
ビアホール径は105μmであった。焼成収縮率は3%
であった。
【0066】比較例3 無機粉末としてジルコニアシートを、感光性有機成分と
しては、ポリマー2、光反応性化合物1および2、光重
合開始剤を用い、厚み100μmのグリーンシートを得
た。この感光性セラミックス組成物のN1−N2は0.
46であった。ビアホールの形成を試みたところ、径6
0μmのビアホールを形成することができず、より大き
い径を持つマスクを用いてビアホールの形成を試みたと
ころ、最小径は200μmであった。アルミナシートを
拘束シートに用いて900℃、30分焼成して得られた
多層基板でのビアホール径は230μmであった。焼成
収縮率は4%であった。
【0067】
【発明の効果】本発明の感光性セラミックス組成物を構
成する成分のうち、最大の屈折率を有する成分の屈折率
N1と最小の屈折率を有する成分の屈折率N2との差を
0.25以下に調整することにより、高アスペクト比か
つ高精細なビアホールなどの加工が可能になり、無収縮
焼成により優れた特性を有する高周波用回路基板を得る
ことができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA02 AA03 AA20 AB17 AC01 AD01 BC14 BC66 CA00 CB13 CB14 CB43 CC08 FA17 4G030 AA07 AA08 AA17 AA35 AA36 AA37 AA51 BA12 HA04 HA09 HA18 HA25 5E346 AA12 AA43 CC17 DD03 EE23 HH11

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】無機粉末と感光性有機成分を必須成分とす
    る感光性セラミックス組成物であって、最大の屈折率を
    持つ成分の屈折率をN1、最小の屈折率を持つ成分の屈
    折率をN2とした時に、N1−N2の値が0.25以下
    であり、かつ焼成前後の収縮率がX−Y面方向で5%以
    下であることを特徴とする感光性セラミックス組成物。
  2. 【請求項2】有機感光性成分が、側鎖にカルボキシル基
    を有するアクリル系共重合体、光反応性化合物および光
    重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1記載の
    感光性セラミックス組成物。
  3. 【請求項3】無機粉末が、一般式RO−Al23−Si
    2系材料(Rはアルカリ金属あるいはアルカリ土類金
    属を表す)であることを特徴とする請求項1記載の感光
    性セラミックス組成物。
  4. 【請求項4】無機粉末が、酸化物換算表記でSiO2
    50〜90重量%、ZnO:3〜40重量%、B23
    1〜20重量%、アルカリ金属酸化物:3〜10重量%
    であることを特徴とする請求項1記載の感光性セラミッ
    クス組成物。
  5. 【請求項5】無機粉末が、ガラス粉末Aを50〜96重
    量%と、クオーツ粉末および/またはアモルファスシリ
    カ粉末の総量5〜50重量%の割合で含有することを特
    徴とする請求項1記載の感光性セラミックス組成物。
  6. 【請求項6】ガラス粉末Aが、酸化物換算表記で、Si
    2:45〜55重量%、Al23:3〜10重量%、
    MgO:13〜24重量%、CaO:20〜30重量%
    であることを特徴とする請求項5記載の感光性セラミッ
    クス組成物。
  7. 【請求項7】無機粉末が、ガラス粉末Bを30〜95重
    量%とZnO:0〜30重量%、SiO2:5〜55重
    量%、B23:0〜10重量%からなる混合物を含有す
    ることを特徴とする請求項1記載の感光性セラミックス
    組成物。
  8. 【請求項8】ガラス粉末Bが、酸化物換算表記で、Si
    2:40〜55重量%、Al23:10〜35重量
    %、MgO:4〜24重量%、ZnO:2〜20重量
    %、B23:5〜20重量%であることを特徴とする請
    求項7記載の感光性セラミックス組成物。
  9. 【請求項9】無機粉末が、酸化物換算表記で、Si
    2:30〜70重量%、Al23:5〜40重量%、
    CaO:3〜25重量%、B23:3〜50重量%、の
    組成範囲で、総量が85重量%以上となるガラス粉末C
    30〜60重量%と、アルミナ、ジルコニア、マグネシ
    ア、ベリリア、ムライト、コーディライト、スピネル、
    フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、シリカ
    および窒化アルミの群から選ばれた少なくとも1種類の
    セラミックス粉末70〜40重量%との混合物であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の感光性セラミックス組成
    物。
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