JP2004306613A - 光触媒作用および加熱により変質可能な物質を伴う印刷用供給式回転印刷装置に使用される湿式オフセット・プリンティングフォームおよび印刷用供給式回転印刷装置に使用される湿式オフセット・プリンティングフォームのプリント・イメージを生成するためおよび/またはプリント・イメージを消去するための方法及び装置 - Google Patents

光触媒作用および加熱により変質可能な物質を伴う印刷用供給式回転印刷装置に使用される湿式オフセット・プリンティングフォームおよび印刷用供給式回転印刷装置に使用される湿式オフセット・プリンティングフォームのプリント・イメージを生成するためおよび/またはプリント・イメージを消去するための方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な鮮明度を伴うプリンティング・スタイルを生成することを可能にする、湿式オフセット・プリンティング・フォームを提供することである。
【解決手段】湿式オフセット・プリンティング・フォームは、光触媒作用および熱利用により変質可能な材料を含む頂上層11を有する。この材料は、光触媒作用を通じ、光の照射によって親水性状態に、また加熱によって親油性状態に変質させることができる。親水性状態は、イラストレーションが可能な表面を形成し、親油性状態は、イラストレーションの行われた後の表面を形成する。湿式オフセット・プリンティング・フォームの頂上層11に、照射のための吸収中心、特にNIR範囲のレーザ放射エネルギに関する吸収中心を含ませてもよく、それによってイメージのパターンに従った頂上層の加熱が達成される。

Description

本発明は、プリンティング・スタイルを用いたイラストレーションが可能な、あるいはイラストレーションが行われた表面を伴う湿式オフセット・プリンティング・フォームに関し、それにおいてこの表面は、光触媒作用および加熱により変質可能な物質を、均一に分布する成分として含む物質によって形成されるか、あるいはその種の物質単独で形成される。本発明においては、光触媒作用および加熱により変質可能な物質を、光の照射によって光触媒作用を利用して親水性状態に変質させ、かつ熱的に、すなわち加熱によって親油性状態に変質させることができる物質として定義する。さらに本発明は、前記タイプの印刷用供給式回転印刷装置に使用される湿式オフセット・プリンティングフォームの、プリンティグ・スタイルを生成するための方法、つまりプリンティング・スタイルのイラストレーションを行うための方法、プリンティング・スタイルを消去するための方法、プリンティング・スタイルのイラストレーションを行うための装置、およびプリンティング・スタイルを消去するための装置にも関係する。本発明は、特に好ましくは、たとえば複数回にわたって異なるプリンティング・スタイルを用いて同一プリンティング・フォームのイラストレーションを行うための、プリンティング・フォームのイラストレーションおよび消去に関する方法ならびに装置に関する。これらのプリンティング・フォーム、方法および装置は、好ましくは巻き取り紙式ロータリ印刷機、特に新聞印刷機に使用される。
以下においては、イラストレーションを、ピクセルを形成するエリア内においてプリンティング・フォームを作用させ、その結果、プリンティング・フォーム上に潜像が生成されるオペレーションとして定義する。消去については、本発明の意味において、プリンティング・フォームが、好ましくは画像に依存しない形で、その全表面にわたって処理され、その結果イラストレーション、つまりプリンティング・スタイルが削除されるオペレーションとして定義する。イラストレーションの間に行われるアクションは、好ましくはイメージのパターンに従った加熱とするが、原理的には、イメージのパターンに従って紫外線(UV光)を照射することもできる。
新聞の印刷は、湿式オフセットが主流である。本発明が好ましくは関係する印刷機は、通常、ラバー・ブランケット・シリンダ、プレート・シリンダ、インク・ユニット、およびダンピング・ユニットを伴ったプリンティング・ユニットを包含する。プリンティング・フォーム・シリンダ上にマウントされるプリンティング・フォームは、多くは頂上層の形式の表面を有し、イラストレーション後の状態においては、それが親水性(水と親和する)エリアおよび親油性(水をはじく)エリアを有する。プリンティング・フォームは、一般にプリンティング・プレートによって形成され、それがプレート・シリンダとして設計されたプリンティング・フォーム・シリンダ上にマウントされる。プリンティング・フォームは、イメージのパターンに適用される親油性エリアを有する。非イメージ・エリアは親水性であり、インクよりは水と強く結びつく。親油性エリアは水をはじき、したがってインクを惹きつける作用を示す。原理的には、親水性エリアおよび親油性エリアに分けることができるあらゆる表面をオフセット・プロセスに使用することができる。
プリンティング・フォームの生成については、対応するプリンティング・フォームを使用する多数の方法および装置が知られている。たとえば、イメージのパターンに従ってプリンティング・フォームにレーザを照射し、その後化学的に現像することができる。さらに、レーザ・アブレーションによってプリンティング・フォームの準備を行うことも可能である。この方法では、親水性層の下側において親油性エリアが露光され、あるいは親油性層の下側において親水性エリアが露光される。イメージの生成に関して決定的となる露光オペレーションは、本発明に従って好ましいとされているように、別体のユニット内、あるいは印刷機内のいずれかにおいて実行することができる。印刷機における露光またはイラストレーションに関してはアウター・ドラムの原理が知られている。ほとんどのケースでは、化学的現像を必要としない、いわゆるプロセス‐フリー・プリンティング・フォームが使用される。
現在使用されているプリンティング・フォームは、一度しか使用することができない。しかしながら、経済的および環境的な理由からみれば、これらのプリンティング・フォームが複数回にわたって使用できることが望ましい。
光触媒作用によるプリンティング・フォームのイラストレーションは、EP0 911 155 A1から知ることができる。プリンティング・スタイルを生成するためには、親水性の非イメージ・エリアにUVレーザ光を照射する。このようにして露光され、その結果としてイラストレーションが行われたプリンティング・フォームは、加熱によって消去される。このプロセスにおいては、プリンティング・フォームが高温に到達しなければならない。さらに、プリンティング・フォームからインクの残渣を除去するために、使用後のプリンティング・フォームのプリンティング・スタイルの消去用のクリーニング手段が必要になる。クリーニングを行わずにプリンティング・フォームを加熱して消去を行うと、プリンティング・フォーム表面へのインク残渣の焼き付けがもたらされ、その結果、プリンティング・フォームが使用できなくなることがある。
EP 0 911 155 A1は、イメージのパターンに従った加熱によるイラストレーションおよびUV照射による消去について説明している。さらに詳細な説明は、EP 1 020 304 A2にある。
本発明の第1の目的は、良好な鮮明度を伴うプリンティング・スタイルを生成することを可能にする、前述したタイプの印刷用供給式回転印刷装置に使用される湿式オフセット・プリンティングフォームを提供することである。プリンティング・フォームの使用後は、好ましくは、特にプリンティング・スタイルの消去を目的としたクリーニングを行う必要がないものとする。プリンティング・フォームのイラストレーションおよび/またはプリンティング・フォームのプリンティング・スタイルの消去は、好ましくは湿式オフセット・プリンティング・プロセスにおいて具体化されるものとする。
好ましい実施態様において、本発明は、イラストレーションの可能な、あるいはイラストレーションの行われた表面を形成する光触媒作用および加熱により変質可能な物質の原子もしくは分子を、それらの常態である励起状態からイラストレーションによる低エネルギ状態に転換することによって、プリンティング・フォームの局部的なぬれの振る舞い、つまり親水性または親油性の性質を引き出すというアイデアを基礎としている。逆を言えば、消去の間においては、原子または分子が低エネルギ状態から励起状態に転換される。したがって、イラストレーション・オペレーションが実行される前、もしくは消去オペレーションが実行された後においては、プリンティング・フォームが親水性の初期状態におかれ、それが局部的な、好ましくは短時間のイメージのパターンに従った光触媒作用および加熱により変質可能な物質の加熱によって使用状態、すなわちイメージのパターンに従って親油性または親水性を有する状態に転換される。
このタイプのイラストレーションの1つの利点は、イラストレーションが行われないプリンティング・フォームの太陽光の下での取り扱いが、問題を招くことなしに可能になることである。イラストレーションではなく、プリンティング・スタイルの消去が、好ましくは全エリアにわたって、プリンティング・スタイルを有する表面に対して自然太陽光もしくは人工太陽光またはUV光を作用させることによって行われる。一方、印刷機内のプリンティング・フォームは、影響が現れる程度の消去をもたらし得るまで太陽光に暴露されないことから、プリンティング・フォームのマウント状態におけるイラストレーションの喪失の可能性がない。別の利点は、イメージの消去の間に注目される、光触媒作用および加熱により変質可能な物質によって形成された表面の自己クリーニング特性である。プリンティング・フォームの表面が親水性になるだけでなく、触媒作用による有機物の残渣の酸化も行われる。したがって、全エリアの加熱による消去オペレーションとは対照的に、消去を目的としたプリンティング・フォームのクリーニングが必要なくなる。必要な高温までの全エリアの加熱が、太陽光またはUV光を用いた照射よりわずかに余分の努力によって実行することができる。自然太陽光は、特に、光触媒作用および加熱により変質可能な物質の、常態で生じている親水性特性を引き起こす波長の短い紫外線(UV)を有している。
イメージのパターンに従った局部的な照射による、好ましくはレーザの照射によるプリンティング・フォームのイラストレーションに起因して、プリンティング・フォーム全体ではなく、プリンティング・フォームの、表面近傍のイン‐デプス・エリア(in-depth area)が短時間にわたって加熱される。全体としてプリンティング・フォームは、周囲温度に維持され、概してそれは通常の室温に対応する。
表面にプリンティング・スタイルが生成される頂上層においては、本発明に従ったプリンティング・フォームが、放射エネルギを吸収することによって頂上層内に熱を生成するために、放射エネルギに関する吸収中心、または放射エネルギ吸収領域を有する。吸収中心は、光、好ましくは赤外線(IR)を吸収する物質の粒子によって形成されるが、それを可視領域まで、つまり近赤外線(NIR)範囲まで広げることもできる。吸収物質は、微粒子の形で、光触媒作用および加熱により変質可能な物質内に均一に分散される。吸収物質の粒子は、好ましくはナノ粒子、つまり空間における最大の伸びがナノメートル台となる粒子とする。
光触媒作用および加熱により変質可能な物質は、すでに単一物質層として、光触媒作用および加熱により変質可能な物質内の均一かつ微細な吸収中心の分布を伴って作られている。従来技術の光触媒物質は、透明であることが知られている。透明であることは、物質のバンド構造の直接的な結果である。実際、光触媒物質の励起を、注目する物質の表面にOH基の結合を移動させることが可能になる状態にするためには、3eVより大きなバンド・ギャップが必要になる。しかしながら、このバンド・ギャップ・エネルギにおいては、低エネルギの、より波長の長い光子の相互作用が可能ではない。したがって、従来技術の光触媒半導体は、可視領域において透明になる。そのため、光触媒物質内における光熱効果および変化は、間接的にしか達成することができない。本発明は、光触媒作用および加熱により変質可能な物質内における微細な吸収中心の分布に帰する光触媒作用および加熱により変質可能な物質を提供する。吸収中心を形成するための物質の特に好ましい例として半導体が挙げられる。
イラストレーションが行われるか、すでにイラストレーションが行われている表面を形成する頂上層は、したがって、光触媒作用を通じて光相互作用する物質および吸収中心を包含し、吸収中心は、以下において、単に光触媒物質と呼ぶこともある光触媒作用を通じて相互作用する物質内に微細に分布されている。光触媒物質は、吸収中心によって吸収され、熱に変換される放射エネルギの波長もしくは波長の範囲より短い波長の光と相互作用する。少なくとも3eVのそのバンド・ギャップ・エネルギに基づけば、光触媒物質は、波長が400ナノメートルより短い光とのみ相互作用する。結果的に、吸収中心を形成する物質は、400ナノメートルもしくはそれより長い波長の放射エネルギと相互作用し、好ましくはそれが、IR波長範囲からの光を吸収する。
光触媒および吸収特性をともに有する新しい物質が本発明によって作り出された。1つの利点は、両方の相互作用、すなわち光触媒および吸収が単一層内において生じ、したがって吸収だけのために意図された専用の吸収層を排除することが可能になるため、キャリア物質のコーティングが単純化されることである。しかも、光触媒作用および加熱により変質可能な物質の厚さがそれほど決定的でなくなる。マルチ層・システムの場合には、光加熱により変質可能な頂上層の厚さが、加熱に大きな影響をもたらしていたが、単一層内に吸収中心が均質に分布しているのであれば、その層内においてより均一な加熱を達成することができる。さらに、熱を生成する吸収中心が、イラストレーションが可能であり、あるいはすでにイラストレーションが行われている表面の近傍に位置することから、より急峻な温度勾配がその表面内において可能になる。
表面上に特に吸収な温度勾配を生成できるということは、プリンティング・スタイルの鮮明度が向上するため、イメージのパターンに従った加熱による好ましいイラストレーションにとって特に有利である。しかしながら、原理的に述べれば、本発明に従ったプリンティング・フォームは、イメージのパターンに従った表面の親水性化によってイラストレーションの達成が可能であり、かつ全エリアの疎水性化によって消去の達成が可能なイラストレーション・プロセスに対しても有利である。
本発明に従ったプリンティング・フォームは、表面にプリンティング・スタイルが生成される頂上層の下に吸収層を有する。この吸収層は、短時間の局部的な放射によって、相応して局部的に加熱され、つまりイメージのパターンに従って加熱され、イメージのパターン内の、局部的に熱いエリアおよび熱いエリアに比較して冷たいエリアを伴う。吸収層は、基本的に熱が吸収層と垂直に、光触媒作用および加熱により変質可能な物質を用いた頂上層に対して放出されるように、イメージのパターンに従った加熱に関して均一に薄いものとする必要があり、それにおいて頂上層は、好ましくはその上に直接位置し、吸収層内における、イメージのパターンに従った吸収層の局部的に熱いエリアと冷たいエリアの間の、接線方向の熱の均等化を防止する。イメージのパターンに従って局部的に吸収層内に生成された熱は、吸収層から頂上層に、熱伝導によって伝達され、その結果、プリンティング・スタイルの親油性エリアが頂上層の表面に形成される。これら2つの層は、全エリアにわたって互いに、熱を伝導する態様で接続されている。吸収層は、好ましくは頂上層に直接隣接する。2つの層のそれぞれは、特定の波長範囲からの放射エネルギと相互作用し、頂上層は、特に吸収層によって大部分は吸収される放射エネルギとわずかに相互作用するか、あるいはまったく相互作用しない;つまりその放射エネルギにとって透明になる。頂上層は、頂上層によって通過が許される別の波長範囲、好ましくはIR範囲からの放射エネルギと光触媒作用を通じて相互作用する。頂上層は、イメージのパターンに従って加熱された吸収層からの熱伝導に起因して、イメージのパターンに従い相応じて加熱され、この加熱に起因してその表面上に親油性イメージのエリアを形成する。
吸収層とプリンティング・フォーム・キャリアの間には、キャリア上の熱損失を最小化するために、好ましくは断熱層が備えられる。断熱層は、吸収層が存在するか否かによらず、頂上層とキャリアの間に備えることができる。
頂上層の下側に薄い吸収層が形成される場合には、頂上層内の吸収中心を省略することができる。この組み合わせは、さらに別の発明性のある特徴を表す。他方、吸収層および頂上層内の吸収中心もまた、互いに都合よく組み合わせることができる。
本発明に従った吸収層を用いるプリンティング・フォームの形成は、UV光の照射によってイラストレーションが行われ、加熱によって消去が行われるイラストレーションにとっても好都合である。
キャリアの原子の拡散、特にFeまたはAl原子の拡散を防止するために、キャリアと頂上層の間に拡散バリアを備えると好都合なことがある。拡散バリアは、たとえばSiO2クオーツ・層によって形成することができる。拡散バリアとして作用する層は、最大でもその厚さを10μmとする必要があり、その種の層は、好ましくは100ナノメートルもしくはそれ以下の均一な厚さを有するものとする。たとえばFeまたはAl原子の頂上層への漸進的拡散は、プリンティング・フォームのオペレーションの間に、頂上層の電子バンド構造がその種の拡散効果によって不都合な変質を受けるおそれのあることから、本発明に従って使用される半導体の作用と干渉する可能性がある。拡散バリアは、断熱層と同時に設計することができる。また拡散バリアを、この目的のために特別に用意した層によって形成してもよく、原理的にはそれを、本発明に従ったプリンティング・フォームの前記層のそれぞれの間に配置することができる。好ましい実施態様においては、拡散バリアとして特別に用意される層が、吸収層が備えられる場合には、キャリアと吸収層の間に形成される。断熱層があるときには、キャリアとその断熱層の間、もしくはその断熱層と、選択肢の1つとして存在し得る吸収層の間にそれを備えることができる。拡散バリアとして作用するこの種の層は、特に好ましくは頂上層のすぐ下に配置する。夾雑原子は、キャリアだけでなく、別の機能層からも生じる可能性があり、この配置においては、それらの頂上層への拡散をもっとも高い信頼性をもって防止することができる。
プリンティング・フォームの消去オペレーションは、表面にUV光を照射することによって行われる。本発明に従った消去プロセスの間においては、活性化されるプリンティング・フォーム表面上に、消去プロセスをサポートする高い湿分が確保されるが、これは、活性化される表面上に湿分が存在しなければ、UV光によって生成される電子‐正孔ペア再結合され、その結果、表面の恒久的な親水性化が達成されなくなることによる。好ましくは、表面において高い湿分を設定することによって、消去プロセスの間の表面に水を供給する。周囲環境との比較において湿分を増加することは、特に水蒸気内に送り込むことによって、あるいは印刷機のダンピング・ユニットを用いることによって達成することが可能であり、この場合にはそれが、水を噴霧する手段に関連している。表面における湿分、および表面近傍における湿分は、好ましくは、それに隣接する空気の湿分の飽和をもたらすものとする。
しかしながら、ダンピング・ユニット内における高い湿分は、概して好ましくない。たとえば、それによって結露が形成され、それがシリンダ上に滴下し、プリ
プリンティング・スタイルに外乱をもたらす。また周囲の空気の湿分が飽和していることによって表面の水分、すなわちプリンティング・フォームの表面に配されるか、あるいはインク・フィルムのクラッキングの間にプリンティング・フォームの表面に到達する水分の蒸発が困難となるようであれば、プロダクションの間のオフセット・プロセスにも悪影響が及ぶことになる。
したがって、湿分および好ましくは温度もまた、本発明の変形においてメンテナンスが行われ、つまりプリンティング・ユニットの空気調和が行われ、その結果、UV照射を用いた親水性化の間は60%を超える高い湿分、好ましくは80%を超える高い湿分に設定され、表面の疎水性化の間は、それより著しく低い湿分に設定される。さらに、プリンティング・プロセスの間、および好ましくは親水性化を除くすべての期間にわたって、湿分レベルのメンテナンスによって、好ましくは空気調和によって著しく低い湿分が設定される。プリンティング・ユニットのカプセル化は、プリンティング・ユニット内、特にプリンティング・フォームにおける所望の値の湿分および好ましくは所望の値の温度の設定ならびにメンテナンスを簡素化する。さらに、湿分センサ、および好ましくは温度センサを配置することによって、湿分または環境のモニタを行うことが可能になる。
次に、図面に基づいて本発明の好ましい例として示す実施態様について説明する。本発明を特徴付けする各種の新しい特徴は、これに付随し、この開示の一部をなす特許請求の範囲に詳細に指摘されている。本発明、その機能上の利点、ならびにその使用によって達成される具体的な目的のよりよい理解のために、本発明の好ましい実施態様を図示した添付図面ならびに説明資料を参照する。
図面、特に図1aを参照すると、湿式オフセット・プリンティング・フォーム31の表面130が示されているが、この表面は、UV範囲に含まれる光の照射によって親水性化されており、以下においてはそれをUV‐親水性表面と呼ぶこともある。表面130は、プリンティング・フォーム31の頂上層11によって形成されており、光触媒作用および加熱により変質可能な物質を含むか、あるいは完全にその種の物質からなる。頂上層11が、少なくともスペクトルの1成分としてUV光を放出する光源によって、好ましくは太陽光源および/またはUV光源12によって照射されることから、常態で生じている励起状態が、たとえば自然太陽光または人工太陽光の照射から生じる。層11には、高エネルギの光子17が照射され、その結果、頂上層11の表面130近傍において、電子が、光触媒作用および加熱により変質可能な物質の価電子バンドから伝導バンドに励起される。価電子バンド内の電子の欠落は、正孔h+を残す。この正孔h+の電位が充分に高ければ、光触媒作用および加熱により変質可能な物質が水の分子14と反応することが可能になり、その結果、光触媒作用および加熱により変質可能な物質の原子または分子と結合するヒドロキシル・イオン基OHが形成される。表面130の親水性特性は、表面130のOH基の数の増加とともに高くなる。水の分子14は、OH基との結合、より詳細には水素結合を介した結合が可能であり、それにおいてOH基自体は、頂上層11の正孔h+と結合する。
図1bは、水滴140による頂上層11のUV‐親水性表面130のぬれを示している。水滴140のエッジと表面130の間において形成される鋭角の接触角は、表面130の親水性の指標である。
プリンティング・フォーム31の頂上層11に好ましい光触媒作用および加熱により変質可能な物質は、アナターゼ結晶構造を有する二酸化チタンTiO2である。アナターゼ結晶構造内における価電子バンドから伝導バンドへの励起エネルギは、約3.2eVであり、これは387ナノメートルの波長に対応する。TiO2の価電子の、半導体の伝導バンドへの励起は、紫外線の作用に起因して生じ、その波長は387ナノメートルを超えない。正孔h+は、同時に価電子バンド内に形成される。活性化された半導体表面に別の物質がすでに結合していれば、励起された電子がフォール・バックして正孔h+と結合することが防止される。アナターゼ二酸化チタンおよび特定の別の半導体の場合には、たとえば水が存在するとき、これが可能になる。親水性状態は、光触媒作用および加熱により変質可能な物質上にUV光が作用しなくなった後においても存続し得る。
本発明の意味における光触媒作用および加熱により変質可能な物質は、必ず、2つの互いに対向するエネルギ・バンドのエッジにおいて測定される、価電子バンド・エネルギおよび伝導バンド・エネルギを有している必要があり、それらが、水の還元および酸化に適している。したがって、伝導バンド・エネルギは、水の還元に必要なエネルギ(酸性溶液において0.0V)と少なくとも同程度に負である必要があり、また価電子バンドは、水の酸化に必要なエネルギ(+1.23V)と少なくとも同程度に正である必要がある。表面を形成し、かつ高いパーセンテージの光熱的に変質可能な物質から、あるいはそれのみから作られる頂上層は、好ましくは、少なくとも3.2eVに等しいバンド・ギャップ・エネルギを有する。価電子バンドから伝導バンドへの電子の励起に必要なエネルギがバンド・ギャップ・エネルギと呼ばれるエネルギである。励起によってもたらされた価電子バンドの正孔は、この場合、水に関して強い反応性を示すOHイオン基を形成する。特に好ましい物質は、前述したアナターゼTiO2、およびここに述べている方法に従ったUV光による励起に起因して物質表面上のヒドロキシル基と結合する適切な電子構造を伴うそのほかの物質である。その種の、同様に適切な物質の例として、酸化亜鉛、ZrO2、SrTiO3、KTaO3、またはKTa0.77Nb0.23O3が挙げられ、これらはTiO2と同様に単独で、あるいはTiO2を含めた上記の物質の少なくとも2つを含む物質の組み合わせとして光触媒作用および加熱により変質可能な物質を形成する。プリンティング・フォーム31は、好ましくはUV‐親水性表面に関して決定的なイン‐デプス・エリア内に、重量パーセントにして、つまりこのエリアを形成するプリンティング・フォームの物質の総重量に基づく測定値として、少なくとも40%の光触媒作用および加熱により変質可能な物質を含む。光触媒作用および加熱により変質可能な物質が、物質の組み合わせによって形成される場合には、TiO2およびSiO2の組み合わせが特に好ましい物質であると言える。SiO2は、好都合にも前述した複数の物質に含まれる別の1つもしくは複数とともに、光触媒作用および加熱により変質可能な物質を含む物質を形成することができる。
光触媒反応の効果を持つアナターゼ二酸化チタンの親水性は知られており、例えば建物の自己洗浄面や特に自動車のくもり防止ガラスに利用されている。
二酸化チタン層の別の好都合な性質は、表面上の有機体粒子が光触媒作用によって時間とともに分解するため、自己洗浄作用を持つことである。これは上述した他の物質にも当てはまる。
通常の作業環境では、光触媒・熱変性物質で形成された表面を連続的に励起する紫外線が、ある量、常に存在するので、このような表面は通常は親水性であると考えられる。印刷版は、天然または人工の昼光により消去される。UV光源を加えると、この消去が促進される。単独で、または昼光とともに使用されるUV放射源は、波長が387nmのUV光線を十分な割合で含むスペクトルを持つべきである。発光スペクトルのピークは、3.2eVのバンドギャップエネルギーに対応する387nmの波長、またはこれより短い波長であることが望ましい。放射のスペクトル分布は、主として387nmを下回ることが望ましい。すなわちUVレーザまたはUVレーザシステムが、UV放射源として使用されるのである。単数または複数のレーザ用の合焦光学システムは省略されることが望ましい。
UV親水性表面は、赤外線(IR)レーザ光線を用いた処理により、局所的にインキ誘引性となる。このプロセスでは、印刷版全体が実質的に加熱されることはない。印刷版は、10℃から40℃の範囲という印刷機に通常生じる温度に維持されるのである。
図1cは、UV親水性表面の親水性を取り除いた状態を示す。これは、表面11を像のパターンで局所的に加熱することにより達成される。露光または照明は、レーザ光線18の照射により実行される。レーザ光線18の波長は、可視範囲から近赤外線(NIR)までの範囲、つまり約400nmと3,000nmの間である。照明には、700nmから3,000nm、特に望ましくは800nmから1,100nmの範囲からのレーザ光線が使用されることが望ましい。レーザ光線18の局所的露光により、表面上のレーザスポットに対応する親油性表面範囲131が、表面130上に生成される。OH基が結合された原子または分子への熱伝達は、結合の破壊を引き起こす。続いて、正孔h+を持つ層11の光触媒・熱変性物質の伝導帯からの電子が再結合される。その結果、親水性が低下して、印刷版31の照射表面範囲131は親油性となるのに対して、レーザ光線18で照射されていない表面範囲130では親水状態が維持される。各々が例えば50×50μm2のサイズの画素に対応する局所的表面要素は、照明中、1μsecから100μsecの時間にわたって400℃から600℃の温度まで加熱されるのに対して、層11の他の範囲130は大気温度に維持される。印刷中に保存された潜像が、照明後には湿性オフセット印刷版31の上に現れる。親油性画素131は、印刷作業中にインキを伝達する。
図1dは、未照射表面範囲130と照射表面範囲131において層11が水により湿潤された状態を示す。照射された、結果的に加熱された表面範囲131の物質では、水による湿潤はわずかである。表面範囲131と表面範囲131の水滴141との間に形成される接触角は大きく、この表面範囲131で層11は親油性である。露光開始時と印刷作業終了時の間に、環境からのUV光線により光触媒・熱変性物質が再励起されるのを防止するには、印刷版が暗状態に置かれる(直接UV光線から遮蔽される)だけで十分である。通常の場合、印刷版を印刷機に取り付けた後にはこれが保証される。
図2aから2dは、層ごとに積み重ねられ、印刷原板として設計されることが望ましく、印刷版シリンダへ取り付けることができるかすでに取り付けられた印刷版31の好適な実施例を示す。
図2aの印刷版31は、担体層21と、担体層21に直接形成されて、自由表面に印刷スタイルが形成されるか、照明済みの印刷版31の場合には印刷スタイルがすでに存在する単一の頂上層24とを備える二層設計を持つ。画素ごとの微細な照明を可能にするため、層24は、光触媒・熱変性物質24aを十分に高い割合で含有する。図2aはまた、層24が光触媒・熱変性物質24aのみで構成される場合を示す。
他の例でもそうだが、担体層21は可撓性鋼板またはアルミニウム板で形成され、以下、単に担体と呼ぶ。
UV照射により親水性表面を形成する光触媒・熱変性物質が電子帯構造を持つことから、このような物質は可視範囲のスペクトルと近赤外線(NIR)を通過させると考えられる。ゆえに、可視範囲スペクトルからのレーザ光線およびNIR、またはこれよりも長い波長の光線との間に、相互作用は生じない。それにもかかわらず照明に必要な熱を発生させるには、NIR範囲または全IR範囲のレーザ光線に対する吸収中心が、印刷版の頂上層に形成されると好都合である。こうして頂上層の光触媒・熱変性物質は、熱伝導によって間接的に加熱される。
実施例の頂上層24は、光触媒・熱変性物質24aと、この物質24aに微小な均一分布で分散された吸収粒子とが分散されたものである。吸収粒子は、IR波長範囲からの放射を吸収して周囲の光触媒・熱伝導物質24aに放出する半導体物質のナノ粒子である。吸収粒子は、加熱に使用される放射の吸収中心24bを形成する。吸収中心24bが複数の半導体物質の粒子によって形成されてもよい。
印刷版31の頂上層内で横方向に拡散する熱が多くなりすぎるのを防止するため、頂上層に直接隣接する下層は、熱を吸収するようなものである。担体層21などの印刷版担体によって直接形成されてもよいこのような下層に適した物質は、考えられる良好な熱伝導を行い良好な熱容量を持つものである。印刷版担体は印刷機内での永続的取付けを可能にするため高い機械的強度を備えるべきでなので、このような担体は例えば鋼またはアルミニウムで構成されるとよい。
頂上層で局所的に発生する熱の像形成作用を高めるため、頂上層の感度に応じて担体への放熱量を低下させると好都合である。例えば、担体への熱伝導を減少させる絶縁層を、頂上層と担体との間に設けてもよい。絶縁層の物質は明らかに、低い熱伝導性を備えるべきである。
図2bは、最初に担体21に吸収層23が形成され、この吸収層に頂上層24が形成される実施例を示す。この3層構造では、照明中、照射により吸収層23の像のパターンで、熱が局所的に発生する。吸収層23で発生する熱は、接触面を介して、光触媒・熱変性物質24aを含有する頂上層24に伝達され、頂上層24の表面に到達する。上述のように、OH基が結合された表面上の原子または分子への熱伝達は、これら結合の破壊を引き起こし、その結果、再結合と親水性の低下とが生じる。吸収層23の層厚さは、1μmから5μmであると好都合である。
特殊吸収層23の実施例では、頂上層24は望ましくは0.05μmから5μm、特に望ましくは0.05μmから2μmの均一な厚さを持つ。例えば第一実施例のように吸収層がない場合、頂上層24は、好都合なのは1μmから30μm、特に好都合なのは1μmから10μmの層厚さを持つ。
図2cは、好適な第三実施例を示す。第三実施例では、光触媒・熱変性物質24aを備える頂上層24が上に直接配置された熱絶縁中間層22が、担体21の上に直接配置されている。中間層22の厚さは、望ましくは1μmから30μmの間である。さらに第一実施例のように、頂上層24には吸収中心24bが均一分布状態で存在する。頂上層24は、望ましくは1μmから30μmの厚さ、特に望ましくは1μmから10μmの厚さを持つ。
図2dは第四実施例を示す。この例では、望ましくは1μmと30μmの間の厚さを持つ熱絶縁中間層22が、基板21の上に直接配置されている。層の厚さが望ましくは1μmと5μmの間である吸収層23が、中間層22の上に直接配置されている。光触媒・熱変性物質24aを含有するかこのような物質のみで構成され、望ましくは0.05μmから5μm、特に望ましくは0.05μmから2μmの厚さを持つ頂上層24が、吸収層23の上に配置されている。
図2bと2dによる実施例では、吸収層23のため光触媒・熱変性物質への吸収中心の混合は行なわれないが、頂上層24には同様に吸収中心が分散されている。それでも図2dによる実施例では、吸収中心24bが分散された頂上層24が形成されている。
例を挙げると、頂上層と一つ以上の追加層を形成するには、ゾル−ゲルプロセスやCVD(化学蒸着)プロセスが適当である。一つ以上の層は別の層の上に直接、つまり結合層などの中間層なしで形成される。
図3は、印刷版シリンダ32と、関連のゴム製ブランケットシリンダ38と、印刷される巻取り紙37用の印刷間隙をゴム製ブランケットシリンダ38とともに形成するインキロール39とを備える印刷ユニットを示す。2枚の印刷原板31が、周知の方法で印刷版シリンダ32に固定されている。2枚の印刷原板31の各々は、本発明による、例えば図2aから2dに図示された実施例の一つによる印刷版によって形成される。像形成手段33と二つの消去手段34とインキ塗布ロール35と湿潤剤塗布ロール36とが、印刷版シリンダ32の外周に分散された状態で印刷機に配置されている。湿潤剤の膜、望ましくは水膜が、周知の方法で湿潤剤塗布ロール36により印刷版31に形成される。最初は印刷版31からゴム製ブランケットシリンダ38に、そしてここから巻取り紙37に転写されるインキは、印刷中、インキ塗布ロール35により、周知の方法と同様にして像のパターンで転写される。インキロール39自体は、別の両面印刷用印刷ユニットのゴム製ブランケットシリンダか、片面印刷用の鋼製シリンダか、衛星印刷ユニット、例えば9または10本シリンダ印刷ユニットの鋼製シリンダでよい。
像形成手段33は、描写される印刷版31の表面と直接に対向し、印刷版シリンダ32の回転軸と平行に配置されている。像形成ユニット33は、印刷版シリンダ32の回転軸に沿って相互に隣接して配置された複数のレーザを有する。これらレーザのレーザスポットは印刷版31の表面に合焦されている。像形成手段33のレーザは、相互に隣接して配置された一つ以上のレーザアレイ内に組み込まれることが望ましい。像形成手段の好適な実施例は、DE 199 11 907 A1(EP1036656も参照)に記載されており、その内容は、例として挙げられた引例としてここに取り入れられている。
二つの消去手段34はそれぞれ、少なくとも一つの昼光放射源および/または少なくとも一つのUV放射源を有する。消去手段34は、印刷版シリンダ32の回転軸と平行に、印刷版シリンダ32の外周にわたって相互に離間した位置に配置されている。UV範囲の光線を用いた全範囲照射による特定の印刷形式に関しては、各表面を形成する光熱変性物質を通常の親水性の状態に復帰させることにより、印刷版31の描写表面を消去するには、原則として単一の消去手段34で十分であろう。
消去手段34は、照明中にオフに切り換えられる。印刷版シリンダ32の最もスムーズな回転を保証するため、描写中には印刷版シリンダ32、特に印刷版31とロールやシリンダが接触しないことが望ましい。印刷終了後には消去手段34がオンに切り換えられる。UV放射により励起された前の親油性表面範囲をOH基の結合により永続的に親水性とするため、消去中に印刷版31の表面は水で湿潤される。そのためには、特に湿潤ユニットまたは蒸気発生器が使用される。
変形例では、印刷版シリンダ32とゴム製ブランケットシリンダ38とを含む印刷ユニットがケースに収納され、温度だけでなく湿度を特定の作業条件に適合させられるように、空気が環境に対して調節される。ゆえに消去作業中には、少なくとも60%、望ましくは少なくとも80%の均一な高湿度がケース40内で発生するべきで、描写と連続印刷作業用には湿度をはるかに低くすべきである。ケース40はまた、実施例ではインキロール39も包囲することが望ましい。印刷ユニットが追加シリンダを含む場合には、この印刷ユニットに属する追加シリンダもケース40に包囲されることが望ましい。印刷機の印刷ユニットがゴム製印刷ユニットの場合、ケース40は、相互に嵌合する二つのゴム製ブラケットシリンダとこれらに関連する印刷版シリンダとを包囲することが望ましい。このように形成された印刷ユニットの場合、ケース40は、4本のゴム製ブランケットシリンダの各々と各版シリンダ用に通常のHまたはNブリッジ形状に形成されてもよい。9または10本のシリンダユニットを備える衛星印刷ユニットでは、これらユニットがそれ自身のケース40で包囲されることが望ましい。
UV放射のために高湿度を設定して照射中にケース40内でこれを維持するためには、本来の湿潤ユニットでもすでに好都合であるが、ケース40内でのプリセット温度の設定と維持を同時に行なう空調も好適である。プリセット湿度Fsollとプリセット温度Tsellを設定および維持するのに使用される空調装置は、実施例では、ケース40と給水手段の他に、ケース40内に配置された湿潤剤塗布ロール36と湿度温度調整器43と少なくとも一つの湿度センサ41と、ケース40内に配置された少なくとも一つの温度センサ42とを含む。センサ41,42はケース40内の湿度と温度を検出して、それぞれ、湿度と温度の両方を制御変数FistとTistとして調整器43に送る。調整器43は、記録された湿度および温度の値とプリセット値との差からそれぞれの差Fsoll−FistとTsoll−Tistを求め、給水のためと湿度差および温度差と相関させて温度に影響を与えるためにケース40内で作動する手段のため、湿度操作された変数Fと温度操作された変数Tとを求める。
印刷版が印刷中に固定されるかシリンダに一体化された印刷機における描写および消去、特に印刷版シリンダにおける照明および消去が望ましい。しかし描写と消去は原則的に印刷機の外部で実行されてもよい。作業の一つを印刷機で実行し他の作業を印刷機外部で実行することも、除外されない。
本発明の原理の応用を説明するため発明の特定実施例について詳細に図示および記載したが、このような原理から逸脱せずに発明を具体化できることは理解できるだろう。
図1aはUV‐親水性表面を示した概要図、図1bは表面のぬれを示した概要図、図1cは表面の親水性特性の局部的な除去のための露光オペレーションを示した概要図、図1dは露光オペレーションの後のぬれを示した概要図である。 図2aは本発明に従った第1の例とする実施態様によるプリンティング・フォームを示した断面図、図2bは本発明に従った第2の例とする実施態様によるプリンティング・フォームを示した断面図、図2cは本発明に従った第3の例とする実施態様によるプリンティング・フォームを示した断面図、図2dは本発明に従った第4の例とする実施態様によるプリンティング・フォームを示した断面図である。 本発明に従った巻き取り紙式湿式オフセット・ロータリ印刷機のプリンティング・ユニットを示した概要図である。

Claims (13)

  1. 湿式オフセット・プリンティング・フォームのプリンティング・スタイルの消去またはイラストレーションを行うための方法において:プリンティング・スタイルを形成する表面上に、光の照射によって親水性状態に、加熱によって親油性状態に変質させることが可能な光触媒作用および加熱により変質可能な物質を用意するステップと、前記表面にUV放射エネルギを照射することによってプリンティング・スタイルの消去もしくは生成を行うステップと、前記照射の間において前記表面に水を供給するステップとを包含する方法。
  2. 前記UVの照射の間に前記表面において少なくとも60%、好ましくは80%の湿分が生成され、前記UVの照射の持続する間にわたってそれが維持される請求項1記載の方法。
  3. プリセット温度が設定され、前記UVの照射の持続する間にわたってそれが維持される請求項1記載の方法。
  4. 消去のために、前記プリンティング・フォームの前記イラストレーションが行われる表面が、その全エリアにわたって照射される請求項1記載の方法。
  5. 湿式オフセット・プリンティング・フォームの繰り返しイラストレーションを行うための装置において:イラストレーションの可能な、もしくはすでにイラストレーションが行われた表面を伴うフォームであって、光の照射によって親水性状態に、加熱によって親油性状態に変質させることが可能な光触媒作用および加熱により変質可能な物質を有するフォームと、前記光触媒作用および加熱により変質可能な物質をイメージのパターンに従って加熱することによってプリンティング・スタイルを生成するためのイメージ形成手段と、生成されたプリンティング・スタイルを消去するための消去手段であって、太陽光および/またはUV光に関する1ないしは複数の放射エネルギ源を有する消去手段と、前記プリンティング・フォームを取り巻く環境温度及び湿度を設定し且つ維持しうる空調装置とを有する装置。
    においてプリセットされた湿分を生成し、それを維持することができる空気調和のための給湿ユニットとを包含する装置。
  6. 前記給湿ユニットが、前記印刷用供給式回転印刷装置に使用される湿式オフセット・プリンティングフォームおよびプリンティング・ユニットの複数のシリンダのためのカプセル封入を含み、プリセットされた湿分が前記カプセル封入内において生成され、維持される請求項5記載の装置。
  7. 前記給湿ユニットが、前記カプセル封入内に配置される少なくとも1つの湿分センサおよびレギュレータを包含し、前記湿分センサによって検出された湿分値がコントロール変数として前記レギュレータに渡されることを特徴とする請求項6記載の装置。
  8. 前記消去手段が、前記表面の全エリア照射のための1ないしは複数の放射エネルギ源を有することを特徴とする請求項5記載の装置。
  9. 前記消去手段の前記放射エネルギ源または複数の前記放射エネルギ源が、大きなパーセンテージで長くとも387ナノメートルの波長の放射エネルギを放射し、それにおいて前記放射エネルギ源によって照射される波長スペクトルは、好ましくは387ナノメートルの波長にピークを有するものとしたことを特徴とする請求項5記載の装置。
  10. 前記プリンティング・フォームが、巻き取り紙式湿式オフセット・ロータリ印刷機内のプリンティング・フォーム・シリンダ上に着脱可能および着脱不能に配置されており、前記消去手段が、前記プリンティング・フォーム・シリンダに直接指向されており、かつ好ましくは前記プリンティング・フォーム・シリンダの回転軸と平行に測定したときの前記プリンティング・フォームの長さを超えて伸び、プリンティング・フォームの全エリアの、均一な照射の達成が可能になる範囲を覆うことを特徴とする請求項5記載の装置。
  11. 前記イメージ形成手段が、イメージのパターンに従って前記プリンティング・フォームの照射を行うための複数の放射エネルギ源を包含することを特徴とする請求項5記載の装置。
  12. 前記イメージ形成手段の前記放射エネルギ源が、IRレーザおよびNIRレーザのうちのいずれか一方であることを特徴とする請求項5記載の装置。
  13. 前記プリンティング・フォームが、湿式オフセット印刷機内のプリンティング・フォーム・シリンダ上に着脱可能または着脱不能に配置されており、前記イメージ形成手段の前記放射エネルギ源が、前記プリンティング・フォーム・シリンダに直接指向されており、かつ前記プリンティング・フォーム・シリンダの回転軸と平行かつ互いに隣接して配置されていることを特徴とする請求項5記載の装置。
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