JP3897635B2 - 平版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機 - Google Patents

平版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、再生使用可能な平版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、印刷技術一般として、印刷工程のデジタル化が進行しつつある。これは、パソコンで作製したり、スキャナ等で読み込んだりした画像や原稿のデータをデジタル化し、このデジタルデータから直接印刷用版材を作製するというものである。このことによって、印刷工程全体の省力化が図れるとともに、高精細な印刷を行なうことが容易になる。
【0003】
従来、印刷に用いる版としては、陽極酸化アルミを親水性の非画線部とし、その表面上に感光性樹脂を硬化させて形成した疎水性の画線部を有する、いわゆるPS版(Presensitized Plate)が一般的に用いられてきた。このPS版を用いて印刷用版を作製するには複数の工程が必要であり、このため版の製作には時間がかかり、コストも高くなるため、印刷工程の時間短縮および印刷の低コスト化を推進しにくい状況である。特に少部数の印刷においては印刷コストアップの要因となっている。また、PS版では現像液による現像工程を必要とし、手間がかかるだけでなく、現像廃液の処理が環境汚染防止という観点から重要な課題となっている。
【0004】
さらに、PS版では、一般に原画像が穿設されたフィルムを版面に密着させて露光する方法が用いられており、デジタルデータから直接版を作製し印刷工程のデジタル化を進めるうえで印刷用版の作製が障害となっている。また、一つの絵柄の印刷が終わると、版を交換して次の印刷を行なわなければならず、版は使い捨てにされていた。
【0005】
上記PS版の欠点に対して、印刷工程のデジタル化に対応し、さらに現像工程を省略できる方法が提案され商品化されているものもある。例えば、特開昭63−102936号公報では、液体インクジェットプリンタのインクとして感光性樹脂を含むインクを用い、これを印刷用版材に噴射し、その後で、光照射により、画像部を硬化させることを特徴とする製版方法が開示されている。また、特開平11−254633号公報には、固体インクを吐出するインクジェットヘッドによりカラーオフセット印刷用版を作製する方法が開示されている。
【0006】
また、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上にカーボンブラック等のレーザ吸収層、さらにその上にシリコン樹脂層を塗布したものに、レーザ光線で画像を書き込むことによりレーザ吸収層を発熱させ、この熱によりシリコン樹脂層を焼き飛ばして印刷用版を作製する方法、あるいは、アルミ版の上に親油性のレーザ吸収層を塗布し、さらにその上に塗布した親水層を前記と同様にレーザ光線で焼き飛ばして印刷用版とする方法、等が知られている。
【0007】
この他にも、親水性ポリマーを版材として使用し、画像露光により照射部を親油化させ版を作製する手段も提案されている。
さらに、デジタルデータからPS版へ光で直接画像を書き込む方式も提案され、例えば、405nmのブルーレーザを用いた書き込み装置やマイクロミラーとUVランプとを用いた書き込み装置、いわゆるCTP(Computer To Plate)が市販されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような方法では、デジタルデータから直接版を作製することは可能であるが、1つの絵柄の印刷が終わると新しい版に交換しなければ次の印刷が出来ず、従って、一度使用された版が廃棄されることに変わりはない。
【0009】
これに対し、版の再生を含んだ技術も提案されている。例えば、特開平10−250027号公報においては、酸化チタン光触媒を用いた潜像版下、潜像版下の製造方法、及び、潜像版下を有する印刷装置が、また特開平11−147360号公報においても、光触媒を用いた版材によるオフセット印刷法が開示されており、これらには、いずれも画像書き込みには光触媒を活性化させる光、すなわち実質的に紫外線を用い、加熱処理で光触媒を疎水化して版を再生する方法が提案されている。また、特開平11−105234号公報で開示された平版印刷版の作製方法では、光触媒を活性光、すなわち紫外線で親水化した後、ヒートモード描画にて画線部を書き込む方法が提案されている。
【0010】
しかし、東大・藤嶋教授、橋本教授らにより加熱処理で酸化チタン光触媒は親水化することが確認されており〔三邊ら「酸化チタン表面の構造変化に伴う光励起親水化現象の挙動に関する研究」、光機能材料研究会第5回シンポジウム「光触媒反応の最近の展開」資料、(1998)p.124−125〕、これによれば、上記各公開公報で開示された方法、即ち、加熱処理で光触媒を疎水化して版を再生しようとすることはできず、この方法では、版の再生利用あるいは版の作製は不可能ということになる。
【0011】
これに対し、本発明者らは、光触媒のバンドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーをもつ活性光を用いた書き込み装置で版材への画像を迅速に書き込むことが可能で、印刷後は迅速に版を再生し、再利用することが可能な版材と、この版材の作製方法及び印刷用版の再生方法に関し、鋭意研究を行なった。本研究によれば、版材への画像書き込みの際や版の再生時の画像データ消去を行なう際に、版材表面を親水化することが必要になるが、この際、版材の表面をより弱い光で如何に速やかに親水化させるかが重要な課題となっている。
【0012】
このような光誘起親水化(以下、親水化という)に関する技術として、入江ら「TiO2/WO3積層界面の親水化特性に及ぼす影響に関する研究」〔光機能材料研究会第8回シンポジウム「光触媒反応の最近の展開」資料、(2001)p.44−45〕には、WO3(酸化タングステン)薄膜上にTiO2(酸化チタン)薄膜を積層することによって光触媒活性、特に光誘起親水化を高感度化する技術が開示されている。
【0013】
ところで、最近の研究によれば、酸化チタンの親水化には正孔が寄与していると考えられている。つまり、上記の親水化の高感度化は、TiO2とWO3とを複合化することで、活性光照射でTiO2内に発生した電子がWO3に移行することでTiO2の電荷分離(電子と正孔の再結合を防ぐこと)の効率が向上するとともに、WO3中で発生した正孔がTiO2に供給されることによって実現していると考えられる。
【0014】
したがって、このような技術を印刷用版材に適用すれば、感光層の親水化を高感度化でき(即ち、親水化するためのエネルギーを小さくでき)、より弱い光で版材への画像の書き込みが可能になるとともに、版材への画像書き込み時間及び版再生時間の短縮が可能となるが、印刷工程の迅速化においては、これらのさらなる短縮が求められる。
【0015】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、版を再生して繰り返し使用できるようにするとともに、印刷工程に占める画像書き込み時間及び版再生時間をさらに短縮できるようにした、平版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、電荷分離効率の向上に着目し、さらに鋭意研究を行なった結果、光触媒を含む層(感光層)と2種類以上の酸化物半導体からなる層とを複合化することにより、感光層の親水化とともに、有機物分解反応をもさらに高感度化できることを見出した。
【0017】
すなわち、本発明の平版印刷用版材(請求項1)は、酸化チタン光触媒あるいは酸化チタン光触媒加工物である光触媒を含む層を有し、該光触媒のバンドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーをもつ活性光により画像を書き込み、湿式現像処理なしに版作製が可能で、且つ、版を繰り返し再生し利用することが可能な平版印刷用版材であって、基材と、 該基材表面にそなえられ、該活性光に反応する該光触媒を含む感光層と、該基材と該感光層との間に介装され、酸化タングステンと酸化スズとを含み該感光層の電荷分離効率を向上させる中間層とから構成されることを特徴としている。なお、以下、本発明の光触媒に触媒活性を発現させる有効なエネルギーをもつ光を活性光と呼ぶこととする。
【0018】
該光触媒は、酸化チタン光触媒あるいは酸化チタン光触媒加工物である
ここで、酸化チタン光触媒加工物とは、酸化チタン光触媒をベースとして、酸化チタン光触媒に本来含有される元素以外の元素(金属元素又は非金属元素)をドーピング又は担持したもの、あるいは酸化チタン光触媒のTi元素とO元素との比率を化学量論的比率、即ちTi原子1に対して酸素原子2の比率からずらしたもの、などをいう。通常、酸化チタン光触媒は、例えばアナターゼ型結晶を有する場合、バンドギャップエネルギーは3.2eVで、波長380nm以下の光が活性光であるが、上記の酸化チタン加工物では、バンドギャップ内に不純物準位を形成することでバンドギャップエネルギーを低下させ、波長600nm以下の光を活性光として利用することが可能である。
【0019】
該中間層は、酸化タングステン(特にWO3)と酸化スズ(特にSnO2)とを含んでいるこれら2種類の酸化物半導体を含むことにより、これらの酸化物半導体を含まない場合又はこれらの酸化物半導体の一方のみを含む場合に比べて、上記の光触媒が親水化する作用と光触媒が有機系化合物を分解する作用との両方の作用が活性化される。
【0020】
該酸化タングステンと該酸化スズとの混合比が、それぞれWO3とSnO2として、その重量比で1対1であることが好ましい(請求項)。
該活性光は、波長600nm以下の光であることが好ましい(請求項)。
上記の版材への画像書き込み時及び版の再生時には、該感光層表面の特性が親水性と疎水性との間で変換されることが好ましい(請求項)。
【0021】
該活性光が照射されると該感光層表面の特性が疎水性から親水性へ変換されることが好ましい(請求項)。すなわち、版材表面に活性光を照射することにより、その照射面を親水性に変換することが可能である。これは、光触媒が親水化する作用による、あるいは、後述のように光触媒の作用により分解される性質を有する疎水性の有機系化合物を用いて感光層表面を疎水化している場合は、光触媒が親水化する作用、及び、有機系化合物を分解する作用の両方の作用によるものである。そして、親水性に変換された版面は湿し水が優先的に付着し、疎水性インキが付着しない非画線部として機能する。一方、活性光が照射されなかった版面は疎水性であり、疎水性インキが優先的に付着し、湿し水が付着しない画線部として機能する。
【0022】
上記の版の再生時には、該活性光が照射されると該光触媒の作用により分解される性質を有する疎水性の有機系化合物が該感光層表面に供給されること、及び、該感光層表面に光又は電気のエネルギー束が照射されること、及び、該感光層表面に摩擦が加えられること、の何れかによって該感光層表面が疎水化されることが好ましい(請求項)。
【0023】
本発明の平版印刷用版材の作製方法(請求項)は、光触媒を含む層を有し、該光触媒のバンドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーをもつ活性光により画像を書き込み、湿式現像処理なしに版作製が可能で、且つ、版を繰り返し再生し利用することが可能な平版印刷用版材の作製方法であって、基材表面に酸化タングステンと酸化スズとを含み電荷分離効率を向上させる中間層を形成する中間層形成工程と、該中間層表面に該光触媒を含む感光層を形成する感光層形成工程とをそなえていることを特徴としている。
【0024】
該中間層形成工程は、該基材表面に上記の酸化タングステンと酸化スズとを含むゾル液を塗布した後、上記の酸化タングステンと酸化スズとを含むゾル液を硬化させる工程であり、該感光層形成工程は、該光触媒を含むゾル液を塗布した後、上記の光触媒を含むゾル液を硬化させる工程であることが好ましい(請求項8)。
該中間層形成工程は、上記の酸化タングステン及び酸化スズのターゲットを用いてスパッタリングにより上記の酸化タングステンと酸化スズとを含む層を該基材表面に形成する工程であり、該感光層形成工程は、該光触媒を含むターゲットを用いてスパッタリングにより該光触媒を含む層を形成した後焼成する工程であることが好ましい(請求項9)。
【0025】
発明の印刷機(請求項1)は、請求項記載の平版印刷用版材が取り付けられる版胴と、該版材表面を疎水化する版面の疎水化装置と、上記の疎水化された版材表面に波長600nm以下の活性光を照射して画像を書き込む画像書き込み装置と、上記の画像書き込みが行なわれた版材表面にインキを塗布するインキングローラと、該版材表面に塗布されたインキを除去する版クリーニング装置と、該インキの除去後、該版材表面に該活性光を照射することにより該版材表面を親水化して該版材表面の画像履歴を消去する画像履歴消去装置とをそなえていることを特徴としている。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施形態にかかる平版印刷用版材を示すもので、図1はその版材表面が疎水性を示している場合の模式的な断面図、図2はその版材表面が親水性を示している場合の模式的な断面図である。
【0027】
図1に示すように、この平版印刷用版材5は、基材1と、中間層2と、感光層3とから基本的に構成されている。なお、平版印刷用版材5を単に版材ともいい、また、表面に印刷用の画線部を形成された版材については版という。
基材1は、アルミニウムやステンレス等の金属、ポリマーフィルム等により構成されている。ただし、アルミニウムやステンレス等の金属あるいはポリマーフィルムに限定されるものではない。
【0028】
感光層3は、酸化チタン光触媒を含んで構成されている。
感光層3表面は、光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーをもつ活性光が照射されることにより、感光層3表面に付着している有機系化合物を分解する作用と、高い親水性を示す作用とが同時に発現する。
【0029】
本来、光触媒は、活性光が照射されなければ前記光触媒活性を示さない。例えば、アナターゼ型酸化チタン光触媒では、バンドギャップエネルギーが3.2eVもあるため、波長380nm以下の紫外線にしか応答しない。本実施形態では、このバンドギャップ内に新たな準位を形成することで波長600nm以下の光にも応答する光触媒を用いている。ここでいう波長600nm以下の光の中には紫外線も含まれるが、本実施形態の光触媒においては、活性光の中に紫外線が含まれていてもいなくても同様に応答することが特徴である。
【0030】
なお、可視光領域の光にも反応する光触媒の製造方法としては、公知の方法を用いれば良い。例えば、特開2001−207082号公報には、窒素原子をドーピングした可視光応答型光触媒、また、特開2001−205104号公報には、クロム原子および窒素原子をドーピングした可視光応答型光触媒が開示されている。さらに、特開平11−197512号公報には、クロム等の金属イオンをイオン注入した可視光応答型光触媒が開示されている。この他にも、低温プラズマを利用した可視光応答型の光触媒や白金担持した可視光応答型の光触媒が公表されている。本実施形態にかかる平版印刷用版材5の作製にあたっては、これら公知の方法で製造された可視光応答型光触媒(酸化チタン光触媒加工物)を使用すれば良い。
【0031】
また、可視光応答型光触媒を含む感光層(なお、感光層は光触媒を含むので光触媒層ともいう)3には、上記性質及び親水特性を維持すること、あるいは、基材1と感光層3との密着性や感光層3の強度を向上させることを目的として、次に示すような物質を添加しても良い。例えば、シリカ,シリカゾル,オルガノシラン,シリコン樹脂等のシリカ系化合物、また、ジルコニウム,アルミニウム,チタニウム等の金属酸化物又は金属水酸化物、さらには、フッ素系樹脂を挙げることができる。
【0032】
酸化チタン光触媒としては、ルチル型,アナターゼ型,ブルッカイト型があるが、本実施形態においてはいずれも利用可能であり、これらの混合物を用いても良いが、光触媒活性を考慮すると、結晶構造上活性度が最も高いアナターゼ型が好ましい。
また、後述するように、上記活性光照射下で画線部を分解する光触媒活性を高くするためには、酸化チタン光触媒の粒子径はある程度小さい方が好ましい。具体的には、酸化チタン光触媒の粒径は0.1μm以下、さらに好ましくは、粒径0.05μm以下であると良い。なお、光触媒としては酸化チタン光触媒が好適であるが、もちろん、これに限定されるものではない。
【0033】
また、感光層3の膜厚は、0.005〜1μmの範囲内にあることが好ましい。この理由は、膜厚があまりに小さければ、上記性質を十分に活かすことが困難であり、また、膜厚があまりに大きければ、感光層3がひび割れしやすくなり耐刷性低下の要因となるためである。なお、このひび割れは、膜厚が10μmを越えるようなときに顕著に観察されるため、上記範囲を緩和するとしても10μmをその上限として認識する必要がある。また、実際上は、0.03〜0.5μm程度の膜厚とするのが、より好ましい。
【0034】
また、基材1と感光層3との間には、中間層2が形成されている。
本発明者らは、この中間層2として、2種類以上の酸化物半導体を含むことにより、活性光照射下で、感光層3に含まれる光触媒自身が親水化する作用と光触媒が有機系化合物を分解する作用とを同時に向上させることができることを見出した。
【0035】
つまり、本実施形態にかかる平版印刷用版材5では、中間層2として、2種類以上の酸化物半導体を含んでいることが特徴の1つであり、本実施形態では、中間層(なお、中間層は酸化物半導体を含むので酸化物層ともいう)2が酸化タングステンと酸化スズとを含んで構成されている。
なお、酸化タングステン(WO3),酸化スズ(SnO2),酸化クロム(Cr23),酸化バナジウム(V25),酸化モリブデン(MoO3),酸化アンチモン(Sb23),酸化鉄(Fe23),酸化銅(Cu2O)、酸化ニオブ(Nb25)などの中から2種類以上の酸化物半導体を適宜選択して用いても良い。また、2種類以上の酸化物半導体は、これらに限定されるものではない。
【0036】
このような2種類以上の酸化物半導体を含有する中間層2が、上記光触媒作用の向上に有効な理由は明確ではないが、おそらく活性光照射により光触媒中に発生する正孔と電子との再結合を抑制し、正孔と電子との電荷分離効率が高くなるためと推定される。
【0037】
また、この中間層2には、基材1がポリマーフィルムなどの場合、基材1を保護する効果がある。さらに、後述する感光層3形成のために加熱処理を行なう場合には、基材1から不純物が熱拡散して感光層3に混入して光触媒活性が低下してしまうのを防止する効果もある。
【0038】
さらに、この中間層2の形成方法としては、ゾル塗布法,有機チタネート法,スパッタリング法,CVD法,PVD法等を適宜選択して形成すれば良いが、この中でも、特にゾル塗布法は、2種類以上の酸化物を含む中間層2を形成する工程が簡単な点で好ましい。また、ゾル塗布法を採用するのであれば、それに用いられるゾル塗布液には、酸化チタン光触媒及び感光層3の強度や基材1と感光層3との密着性を向上させる上記各種の物質の他に、溶剤,架橋剤,界面活性剤等を添加しても良い。また、ゾル塗布液は、常温乾燥タイプでも加熱乾燥タイプでも良いが、後者の方がより好ましい。この理由は、加熱により感光層3の強度を高めた方が、版材5の耐刷性を向上させるのに有利となるからである。
【0039】
なお、ゾル塗布法により中間層2及び感光層3を形成する場合、まず、基材1表面に酸化物半導体を含むゾル液を塗布した後、このゾル液を硬化させて中間層2を形成する(中間層形成工程)。その後、中間層2表面に光触媒を含むゾル液を塗布した後、このゾル液を硬化させて感光層3を形成する(感光層形成工程)。
【0040】
また、例えば、2種類以上の酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により中間層2を基材1表面に形成し(中間層形成工程)、そして、光触媒を含むターゲットを用いてスパッタリングにより中間層2表面に感光層3を形成した後焼成する(感光層形成工程)ようにしても良い。これにより、版材5の膜強度を高くすることができ、また、高い耐刷性を得ることが可能である。
【0041】
なお、本発明における活性光、即ち、波長600nm以下の光、に応答する光触媒を含む層(感光層)3の上に、波長380nm以下の光に応答する光触媒を含む層を保護層として設けたり、親水性を維持し易くする目的でシリカ層を設けたりしても良い。また、本実施形態における感光層3が、上記のような層を有する場合もある。
【0042】
次に、本実施形態にかかる版の作製方法及び再生方法について説明する。
図3に示すように、版の作製及び再生のフローは、疎水化工程(ステップS100),画像書き込み工程(非画線部書き込み工程)(ステップS110),印刷工程(ステップS120),インキ除去工程(ステップS130),親水化工程(画像履歴消去工程)(ステップS140)のステップからなる。
【0043】
まず、版の作製方法について説明する。
なお、以下において、「版の作製」とは、版材5表面(即ち、感光層3表面)が疎水化された状態(初期状態)から、版材5表面の少なくとも一部をデジタルデータに基づいて可視光以下の波長を有する光(活性光)を照射して親水性の非画線部を形成し、活性光が照射されなかった版材5表面の疎水性部分と併せて、版面上に疎水性画線部と親水性非画線部とからなる潜像を形成することを言うものとする。
【0044】
まず、図4(a)に示すように、疎水化工程において、前工程(親水化工程)で全面を親水化された感光層3表面を疎水化する。ここで、感光層3表面の疎水化の方法としては、活性光が照射されると光触媒の作用により分解される性質を有する疎水性の有機系化合物を感光層3表面に供給すること、及び、感光層3表面に光,電気等のエネルギー束を単独あるいは複数組み合わせて照射すること、及び、感光層3表面に摩擦等の機械的エネルギーを投入すること、の何れかを用いることができる。
【0045】
なお、図4(a)は、版材5全面が疎水化された初期状態を示している。ここで、疎水性の版材5表面とは、水6の接触角が50°以上、好ましくは80°以上の版材5表面であり、印刷用の疎水性インキが容易に付着し、一方、湿し水の付着は困難な状態となっている。
また、感光層3表面のこの状態を「版作製時の初期状態」という。この「版作製時の初期状態」とは、実際上の印刷工程におけるその開始時とみなして良い。より具体的にいえば、任意の画像に関して、それをデジタル化したデータが既に用意されていて、これを版材5表面に書き込みしようとするときの状態を指すものとみなせる。
【0046】
そして、図4(b)に示すように、画像書き込み工程において、疎水性状態となっている感光層3表面に非画線部を書き込む。
この非画線部は、画像に関するデジタルデータに基づいて、そのデータに対応するように感光層3表面に書き込まれる。ここで、非画線部とは、図2に示すように、水6の接触角が10°以下の親水性の部分であり、湿し水が容易に付着し、一方、印刷用インキの付着は困難な状態になっている。
【0047】
この親水性の非画線部を画像データに基づいて現出させる方法として、波長600nm以下の光、即ち、活性光によって触媒活性を発現する光触媒を含む感光層3に活性光を照射して、光触媒の作用で感光層3表面を親水化させる。一方、活性光が照射されなかった感光層3表面は疎水性のままであることから、版材5表面には親水性部分と疎水性部分とが形成され、版を作製することができる。
【0048】
ここでは、図4(b)に示すように、可視光、例えば波長405nmのバイオレットレーザを用いた書き込みヘッドによって、非画線部を書き込み、疎水性の感光層3表面に非画線部を形成するようにしている。
なお、親水性の非画線部を画像データに基づいて現出させる方法としては、波長405nmのバイオレットレーザを用いた書き込みヘッド以外に、例えば、ベイシスプリント社(ドイツ)が発表しているUVセッター710に用いられている波長360nm〜450nmの光を発生する光源とマイクロミラーとを用いた書き込みヘッド等、活性光を用いて画像を書き込めるものであれば良い。
【0049】
上記の画像書き込み工程が終了した時点で、図4(c)に示すように、感光層3表面には画線部と非画線部とが形成され、印刷が可能な状態となる。
この印刷工程において、版材5表面に湿し水及び印刷用の疎水性インキと湿し水とを混合したいわゆる乳化インキを塗布する。
したがって、例えば、図5に示すような画像が書き込まれた場合には、網掛けされた部分(即ち、疎水性の画線部)3bには、疎水性インキが付着した状態を示しており、残りの白地の部分(即ち、親水性の非画線部)3aには、湿し水が優先的に付着する一方、疎水性インキははじかれて付着しなかった状態を示している。このように画像(絵柄)が浮かび上がることにより、感光層3表面は、版としての機能を有することになる。この後、通常の印刷工程、即ち、紙への印刷を実行し、印刷を終了する。
【0050】
次に、印刷用版の再生方法について説明する。
なお、以下において、「版の再生」とは、少なくとも一部が疎水性を示し、残りの部分が親水性を示す版材5表面を、全面均一に親水化した後、活性光が照射されると光触媒の作用により分解される性質を有する有機系化合物を版材5表面に供給すること、及び、光,電気等のエネルギー束を単独あるいは複数組み合わせて版材5表面に照射すること、及び、感光層3表面に摩擦等の機械的エネルギーを版材5表面に投入すること、の何れかによって光触媒特性を親水性から疎水性へ変換させ、再び「版作製時の初期状態」に復活させることをいうものとする。
【0051】
まず、インキ除去工程として、印刷終了後の版材3表面に付着したインキ,湿し水,紙粉等を除去する。この除去方法としては、版材5表面へのインキ供給を止めて刷り減らす方法、インキ拭き取り用の布状テープを巻き取る機構でインキを拭き取る方法、インキ拭き取り用の布状物を巻きつけたローラでインキを拭き取る方法、洗浄液をスプレーで吹き付けてインキを洗浄する方法等を適宜用いれば良い。
【0052】
その後、親水化工程において、図4(e)に示すように、感光層3全面に活性光を照射することにより、画線部3bをも親水化して、感光層3全面を水6の接触角が10°以下の親水性表面にすることができる。即ち、感光層3全面を図2に示す状態にすることができ、画像履歴を全て消去することができる。
なお、活性光を照射することによって、感光層3表面に存在する疎水性の画線部が高い親水性を有する表面に変換するという特性は、例えば、酸化チタン光触媒を用いることにより達成することができる。ここでは、図4(e)に示すように、紫外線ランプを用いて、紫外線照射で疎水性画線部を親水性に変換し、感光層3全面を親水性にして、版の履歴を消去する場合を示している。
【0053】
また、このとき、感光層3表面への活性光照射と同時に、感光層3表面を加熱するようにしても良い。これにより、上記の有機系化合物を用いて感光層3表面の疎水化を行なった場合、感光層3表面の有機系化合物の分解反応を加速させ、短時間で行なうことができる。なお、このときの加熱方法としては、感光層3表面を加熱する熱風送風又は光照射が好ましい。ここで、照射する光としては、加熱効率を考慮すると赤外線がより好ましい。
【0054】
そして、疎水化工程において、光,電気等のエネルギー束を単独あるいは複数組み合わせて版材5表面に照射すること、及び、摩擦等の機械的エネルギーを版材5表面に加えること、及び、疎水性の有機系化合物を版材5表面に供給すること、の何れかにより光触媒特性を親水性から疎水性へ変換させ、版作製時の初期状態に戻す。
【0055】
なお、親水化工程は、版の履歴解消を完全に行なうために工程の1つとして加えられているが、インキ除去工程において、版材5表面に付着したインキが少なくとも次の印刷に影響しない程度に充分に除去される場合は、この親水化工程を飛ばして、インキ除去工程から疎水化工程へ直接移っても差しつかえない。
【0056】
以上説明したことを、まとめて示しているのが図6に示したグラフである。これは、横軸に時間あるいは操作、縦軸に版材5表面の水6の接触角をとったグラフであって、本実施形態における平版印刷用版材5に関して、その感光層3表面の水6の接触角が時間あるいは操作に伴ってどのように変化するかを示したものである。図6において、一点鎖線は感光層3の非画線部3aの接触角を、実線は画線部3bの接触角を、各々示している。
【0057】
まず、感光層3表面に活性光を照射して、感光層3表面の水6の接触角が10°以下の高い親水性を示すようにしておく。
そして、疎水化工程(図6中に示すAの工程)として、光,電気等のエネルギー束を単独あるいは複数組み合わせて版材5表面に照射すること、及び、摩擦等の機械的エネルギーを版材5表面に加えること、及び、疎水性の有機系化合物を版材5表面に供給すること、の何れかにより光触媒特性を親水性から疎水性へ変換させる。即ち、版材5表面の水6の接触角が50°以上、好ましくは80°以上になる。なお、疎水化処理が終わった時点〔図6中の時点(b)〕が「版作製時の初期状態」である。
【0058】
次に、画像書き込み工程(図6中に示すBの工程)として、疎水性の感光層3表面に活性光により非画線部の書き込みを開始する〔図6中の時点(b)〕。これにより、活性光を照射された感光層3表面は光触媒の作用により疎水性から親水性へ変換される。即ち、感光層3の水6の接触角が10°以下となる。一方、活性光を照射してない感光層3表面は疎水性の状態を保つため、感光層3表面は活性光未照射部分が疎水性の画線部となり、活性光照射部分が親水性の非画線部となるため、版として機能することができるようになる。
【0059】
そして、非画線部の書き込みが完了した後、印刷工程(図6中に示すCの工程)として、印刷を開始する〔図6中の時点(c)〕。
印刷が終了した後、インキ除去工程(図6中に示すDの工程)として、感光層3表面のインキ、汚れ等を除去する〔図6中の時点(d)〕。
インキ除去完了後に、親水化工程(図6中に示すEの工程)として、感光層3表面への活性光照射を開始する〔図6中の時点(e)〕。これにより、光触媒の作用によって疎水性画線部は親水性に変換され、感光層3の全面は再び親水性に戻る。
【0060】
この後、次の疎水化工程(図6中に示すA′の工程)として、光,電気等のエネルギー束を単独あるいは複数組み合わせて版材5表面に照射すること、及び、摩擦等の機械的エネルギーを版材5表面に加えること、及び、疎水性の有機系化合物を版材5表面に供給すること、の何れかにより〔図6中の時点(a′)〕、「版作製時の初期状態」に戻すことができ、版材5を再利用することができる。
【0061】
なお、上記の印刷及び版再生を印刷機上で行なうためには、図7に示すような印刷機10を用いるのが好ましい。
この印刷機10は、版胴11を中心として、その周囲に版クリーニング装置12,画像書き込み装置13,版面の疎水化装置14,加熱装置15,画像履歴消去装置としての親水化処理用活性光照射装置16,インキングローラ17,湿し水供給装置18,ブランケット胴19を備えたものとなっている。なお、版材5は、版胴11に巻き付けられて設置されている。
【0062】
以下、図7を参照して版の再生及び作製を説明すると、まず、版クリーニング装置12を版胴11に対して接した状態とし、版材5表面に付着したインキ,湿し水,紙粉等をきれいに拭き取る。図7では、版クリーニング装置12としてインキ拭き取り用の布状テープを巻き取る機構を有する装置を示しているが、これに限るものではない。
【0063】
その後、版クリーニング装置12を版胴11から脱離させ、加熱装置15で版材5表面を加熱しながら親水化処理用活性光照射装置16により版材5全面に活性光を照射して版材5全面を親水化する。なお、ここでは、活性光として、波長380nm以下の紫外線を用いているが、光触媒が波長400nm〜600nmの光でも活性を示す場合は、波長400nm〜600nmの光を用いても良い。
【0064】
そして、版面の疎水化装置14により版材5全面を疎水化する。なお、図7では、版面の疎水化装置14を、疎水性の有機系化合物をローラにより供給する装置として図示しているが、これに限るものではなく、もちろん、光,電気等のエネルギー束を単独あるいは複数組み合わせて照射する装置、又は、版材5表面に摩擦等の機械的エネルギーを加える装置として構成しても良い。
【0065】
次に、予め用意された画像のデジタルデータに基づいて画像書き込み装置13により版材5表面に活性光を照射して非画線部3aを書き込む(即ち、版材5表面に画像を書き込む)。なお、画像書き込み装置13の活性光として、波長600nm以下の光を用いることができる。
画像を書き込んだ後、インキングローラ17,湿し水供給装置18,ブランケット胴19を版胴11に対して接する状態とし、紙20がブランケット胴19に接するようする。そして、図7に示す矢印の方向にそれぞれ回転することによって版材5表面に湿し水及びインキが順次供給されて、紙20に印刷が行われるようになっている。
【0066】
このように、印刷機10においては、版胴11に取り付けられた版材5表面のクリーニングを行なう版クリーニング装置12と、活性光照射により画線部の消去(画像履歴消去)を行なう親水化処理用活性光照射装置16と、版材5表面を疎水化する疎水化装置14と、版材5表面を加熱して親水化を促進する加熱装置15とが、版を再生する再生装置として機能しており、さらに、版材5表面に画像書き込みを行なう画像書き込み装置13がそなえられることにより、版材5を印刷機10の版胴11に取り付けた状態で一連の版の再生及び作製の工程を行なうことができる。これによれば、印刷機10を停止することなく、また、版材5の交換作業を挟むことなく連続的な印刷作業の実施を行なうことが可能となる。
【0067】
また、画像書き込み時、波長600nm以下の光を用いるので、より取り扱いが容易な光で画像を書き込むことが可能である。
なお、この印刷機10では、版材5を版胴11に巻き付けるように構成しているが、これに限定されるものではなく、光触媒を含む感光層3を、版胴11表面に直接設ける、即ち、版胴11と版材5とを一体に構成したものを用いても良いことはいうまでもない。
【0068】
次に、本実施形態にかかる版材の作製方法及び版の再生方法について、版材作製及び版再生の手順及びその効果を、本願発明者らが確認したより具体的な実施例をあげて説明する。
【0069】
〈触媒調製〉
原料の硫酸チタン(和光純薬)に攪拌しながらアンモニア水を加えて、硫酸チタンの加水分解物を得た。この加水分解物をヌッチェを用いて濾過し、濾液の電気伝導度が2μS/cm以下になるまでイオン交換水で洗浄した。洗浄後、加水分解物を室温乾燥し、その後大気中で400℃で2時間焼成した。この焼成物を、まず乳鉢で祖粉砕し光触媒粉末を得た。
【0070】
〈可視光活性の確認〉
前記光触媒粉末を0.2gを採取し、密閉できるパイレックス(R)ガラス製の円筒容器(容量500mL)の底に均一に広げた。次いで、反応容器内を脱気した後、高純度空気で置換した。そして、アセトンを反応容器内濃度が500ppmになるように注入後、25℃で吸着平行に達するまで暗所で10時間吸着させた。その後、日亜化学製の青色LED(主波長470nm)を照射し、アセトン及びCO2量を島津製ガスクロマトグラフで追跡した結果、青色LED照射20時間でアセトンは無くなり、代わりにアセトンの化学量論比に一致するCO2の発生が確認された。すなわち、前記光触媒粉末が波長470nmの光で触媒活性を示すことが確認できた。
【0071】
〈版材作製〉
(a)基板の準備
面積が280×204mm、厚さが0.1mmのステンレス(SUS301)製の基材1を用意し、アルカリ脱脂処理し、版材基板とした。
(b)中間層形成
パラタングステン酸アンモニウム(和光純薬)をメチルアミン(和光純薬)の10wt%水溶液に溶解し、パラタングステン酸アンモニウム溶液を調製した。前記パラタングステン酸アンモニウム溶液と透明導電材料セラメースS−8(多木化学製、酸化スズ超微粒子の8wt%水溶液)とを重量比でWO3/SnO2=1/1の比率で混合し中間層コーティング液とした。この中間層コーティング液を前記版材基板1にディップコートし、風乾後、500℃で1時間焼成し、中間層2を形成した。なお、このときの中間層2の厚みは約0.12μmであった。
【0072】
(c)感光層形成
前記光触媒粉末をイオン交換水中に分散させ固形分20重量%のスラリーとした。このスラリーを湿式ミル(商品名ダイノミルPILOT)で粉砕し光触媒分散液とした。
その後、感光層形成工程において、前記光触媒分散液にテイカ株式会社製の酸化チタンコーティング剤TKC−301をTiO2として重量比6:4の割合で混合した液を前記版材基板にディップコートし、風乾後、350℃で1時間焼成して、感光層3を形成し、版材5とした。このときの感光層3の厚みは約0.1μmであった。版材5表面について、協和界面科学製のCA−W型接触角計で水6の接触角を測定したところ、接触角は8°となり、十分な親水性を示した。
【0073】
〈版材表面の疎水化〉
次に、1,2−エポキシドデカン(和光純薬)をイソパラフィン(商品名アイソパーL、エクソンモービル製)に溶解し、1wt%溶液とした。この1,2−エポキシドデカン溶液を版材5表面にロールコートし、60℃で10分間乾燥した。その後、接触角計で水6の接触角を測定したところ、接触角は83°となり、十分な疎水性を示し、版材5表面が版作製時の初期状態になっていることを確認した。
【0074】
〈画像書き込み〉
次に、波長405nm,出力5mW/チャンネル,ビーム径15μmの半導体レーザを用いた画像書き込み装置により、版材5表面に画線率10%〜100%までの10%刻みの網点画像を書き込んだ。書き込み終了後の版材5表面の水6の接触角を接触角計で測定したところ、半導体レーザで書き込んだ部分について接触角は8°で親水性の非画線部となり、書き込んでいないところは接触角83°の疎水性を保った画線部となっていることを確認した。
【0075】
〈印刷〉
この版材5を(株)アルファー技研の卓上オフセット印刷機ニューエースプロに取り付け、東洋インキ製のインキ(HYECOOB紅MZ)と三菱重工業製の湿し水リソフェロー1%溶液とを用いて、アイベスト紙に印刷速度3500枚/時にて印刷を開始した。印刷開始1枚目から紙面上には網点画像が印刷できた。
【0076】
〈再生〉
次に印刷用版材5の再生にかかる実施例を説明する。
印刷終了後、版材5表面上に付着したインキ,湿し水,紙粉等をきれいに拭き取った版材5全面に、低圧水銀ランプを用いて波長254nm,照度10mW/cm2の紫外線を20秒照射した。その後、網点を書き込んでいた部分について直ちに接触角計で水6の接触角を測定したところ、接触角は8°となり、十分な親水性を示した。
【0077】
次に、前記1,2−エポキシドデカン溶液を版材5表面にロールコートし、60℃で10分間乾燥した後、接触角計で水6の接触角を測定したところ、接触角は84°となり、十分な疎水性を示した。これにより、版材5が「版作製時の初期状態」に戻り、版再生ができたことを確認した。
【0078】
〈比較例〉
以下3点の比較例サンプルを作製した。
(サンプル1)
前記実施例の中間層2の替わりに、パラタングステン酸アンモニウム溶液を版材基板にディップコートし、風乾後、500℃で1時間焼成し、中間層2を形成した以外は、実施例と同様にして版材5を作製した。酸化タングステンからなる中間層2の厚みは約0.1μmであった。
【0079】
(サンプル2)
前記実施例の中間層2の替わりに、透明導電材料セラメースS−8(多木化学製、酸化スズ超微粒子の8wt%水溶液)を前記版材基板にディップコートし、風乾後、500℃で1時間焼成し、中間層2を形成した以外は、実施例と同様にして版材5を作製した。酸化スズからなる中間層2の厚みは約0.09μmであった。
【0080】
(サンプル3)
前記実施例の中間層2を形成せず、SUS基板に直接、感光層3を形成した以外は、実施例と同様にして版材5を作製した。
【0081】
〈評価〉
次に、実施例で作製した酸化タングステンと酸化スズとからなる中間層2を有する版材5と上記の各サンプルについて、波長405nmの光に対する光触媒活性、即ち、有機系化合物の分解と同時に感光層3が水6の接触角10°以下まで親水化する光触媒活性を評価した。
【0082】
測定手順としては、各サンプルを、実施例と同様に、1,2−エポキシドデカン溶液を版材5表面にロールコートし、60℃で10分間乾燥して、版材5表面を水6の接触角81°〜85°に疎水化した後、波長405nmの光を照射し、版材5表面が接触角10°以下になるまでの光の照射エネルギーを測定する。なお、この照射エネルギーが、親水性の非画線部を書き込むために必要なエネルギーである。
【0083】
図8に示すように、酸化タングステンと酸化スズとからなる中間層2を有する版材5では、波長405nmの光を約90mJ/cm2照射すると、版材5表面は接触角10°以下まで親水化し、非画線部の書き込みができたことを確認した。
一方、酸化タングステンからなる中間層2を有する版材5(サンプル1)の照射エネルギー、及び、酸化スズからなる中間層2を有する版材5(サンプル2)の照射エネルギーは、それぞれ約650mJ/cm2と約850mJ/cm2であり、中間層2のない版材5(サンプル3)よりも照射エネルギーは小さいが、酸化タングステンと酸化スズとからなる中間層2を有する版材5と比較すると、照射エネルギーが数倍必要であることがわかる。
【0084】
すなわち、酸化タングステンと酸化スズとからなる中間層2を有する版材5は酸化タングステンのみ又は酸化スズのみからなる中間層2を有する版材5よりも、光触媒活性が数倍高いことが確認できた。
次に、酸化タングステンと酸化スズとからなる中間層2の、酸化タングステンと酸化スズとの組成比を変えて、水6の接触角と照射エネルギーとの関係を調べた。
【0085】
図9に示すように、版材5表面が接触角10°以下の親水性を示すのに必要とする照射エネルギーは、酸化タングステンと酸化スズを重量比でWO3/SnO2=0.3/0.7の比率で混合した場合には約330mJ/cm2、酸化タングステンと酸化スズとを重量比でWO3/SnO2=0.5/0.5の比率で混合した場合には約90mJ/cm2、酸化タングステンと酸化スズを重量比でWO3/SnO2=0.7/0.3の比率で混合した場合には約150mJ/cm2であり、酸化タングステンと酸化スズとの重量比が0.5対0.5(1対1)である時に最も小さく、この比率以外では、より大きな照射エネルギーを必要とすることがわかる。
【0086】
つまり、中間層2に含まれる酸化タングステンと酸化スズとの重量比を0.5対0.5にすることで、より低い照射エネルギーで版材5表面を親水化することができる。言い換えれば、同じ照射エネルギーで版材5表面を親水化しようとする場合、酸化タングステンと酸化スズとの重量比が0.5対0.5である時に最も短い時間で親水化することができ、版の作製及び再生にかかる時間を短縮することが可能である。
【0087】
以上詳述したように、本発明の一実施形態にかかる平版印刷用版材5によれば、版の再利用が可能であるという効果もさることながら、そのサイクルを迅速化できる効果をも得ることができる。
すなわち、基材1と光触媒を含む感光層3との間に、2種類以上の酸化物を含む層、いわゆる中間層2を設けることにより、感光層3の光触媒の触媒活性を高めることができる。つまり、版を作製するにも、版を再生するにも、いずれにしても、それらを実現するための作業に時間がかからないこととなっている。従って、印刷工程全体を極めて速やかに完了させることが可能なものとなっている。
【0088】
また、可視光を含む波長600nm以下の光を活性光として使用できることから、画像書き込みや履歴消去において可視光を使用することが可能であり、版材5の取り扱い、及び、書き込み操作が容易である。
さらに、版の再生・再利用を可能としたことから、使用後に廃棄される版材5の量を著しく減少させることができる。また、画線部としてポリマーを用いないことから、版再生時に画線部ポリマーを洗浄するための洗浄液も不要である。したがって、環境に優しいだけでなく、版材5に関わるコストを大幅に低減することができる。
【0089】
また、平版印刷用版材5を印刷機10に取り付けた状態で、版の作製及び再生ができ、版交換作業を必要とせず操作性を向上させることができる。さらに、画像に関するデジタルデータから、版材5への画像書き込みを直接実施することが可能であることから、印刷工程のデジタル化対応がなされており、その相応分の大幅な時間短縮、またはコスト削減を図ることができる。
【0090】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の平版印刷用版材によれば、光触媒が、酸化チタン光触媒あるいは酸化チタン光触媒加工物であるので、活性光照射下で光触媒を含む感光層に付着している有機系化合物を分解できるとともに、光触媒自身の親水性を高めることができ、基材と感光層との間に介装された中間層が、酸化タングステンと酸化スズとを含んでいるので、活性光照射下において酸化チタン光触媒を含む感光層が有機系化合物を分解する作用と親水化する作用とを同時に向上させることができ、より低い活性光照射エネルギーで感光層表面を親水化することができる。
【0091】
したがって、版材表面への活性光による画像書き込み速度を早めて版作製時間を短縮することができるとともに、活性光による画像履歴消去速度を早めて版再生時間を短縮することができる。これにより、印刷準備時間をさらに短縮することができる。
また、版材を再生し繰り返し使用することにより、使用後に廃棄される版材の量を著しく減少させることができるとともに、版材に関わるコストを低減できる。
【0093】
請求項記載の本発明の平版印刷用版材によれば、酸化タングステンと酸化スズとの混合比をそれぞれWO3とSnO2として、その重量比で1対1とすることで、感光層表面の親水化にかかる活性光照射エネルギーを大幅に低減することができる。
請求項記載の本発明の平版印刷用版材によれば、活性光は、可視光を含む波長600nm以下の光であるので、可視光〜紫外光の波長の光で画像書き込みが可能であり、画像書き込み時の照射光の選択肢を広げることができる。
【0094】
請求項記載の本発明の平版印刷用版材によれば、版材への画像書き込み時及び版の再生時には、感光層表面の特性が親水性と疎水性との間で変換されるので、これら2つの状態により画像を形成することができるとともに、2つの状態のうちどちらか一方の状態にすることにより版の再生を行なうことができる。
請求項記載の本発明の平版印刷用版材によれば、活性光が照射されると感光層表面の特性が疎水性から親水性へ変換されるので、疎水性の感光層表面に活性光を照射して、その照射面を親水化することで、版材表面に疎水性の画線部と親水性の非画線部とからなる画像を形成することができる。また、版材表面の全面に活性光を照射することで、版材表面の全面を親水化して画像履歴を消去でき、版を再生することができる。
【0095】
請求項記載の本発明の平版印刷用版材によれば、版の再生時には、活性光が照射されると光触媒の作用により分解される性質を有する疎水性の有機系化合物を感光層表面に供給すること、及び、感光層表面に光又は電気のエネルギー束を照射すること、及び、感光層表面に摩擦を加えること、の何れかによって感光層表面を疎水化するので、このように疎水化された感光層表面に活性光を照射することで照射面のみを親水化することができ、疎水性の画線部と親水性の非画線部とからなる画像を確実に形成することができる。
【0096】
請求項記載の本発明の平版印刷用版材の作製方法によれば、基材表面に酸化タングステンと酸化スズとを含み電荷分離効率を向上させる中間層を形成する中間層形成工程と、中間層表面に活性光に反応する光触媒を含む感光層を形成する感光層形成工程とをそなえているので、活性光照射下において光触媒を含む感光層が有機系化合物を分解する作用と親水化する作用とを同時に向上させることができるとともに、感光層の光触媒活性を高めることができ、より低い活性光照射エネルギーで感光層表面を親水化することが可能な平版印刷用版材を作製できる。
【0097】
したがって、版材表面への活性光による画像書き込み速度を早めて版作製時間を短縮することができるとともに、活性光による画像履歴消去速度を早めて版再生時間を短縮することができる。これにより、印刷準備時間をさらに短縮することができる。
また、版材を再生し繰り返し使用することにより、使用後に廃棄される版材の量を著しく減少させることができるとともに、版材に関わるコストを低減できる。
【0098】
請求項記載の本発明の平版印刷用版材の作製方法によれば、中間層形成工程は、該基材表面に上記の酸化タングステンと酸化スズとを含むゾル液を塗布した後、酸化物半導体を含むゾル液を硬化させる工程であり、感光層形成工程は、光触媒ゾルを含むゾル液を塗布した後、光触媒ゾルを含むゾル液を硬化させる工程であるので、平版印刷用版材をゾル塗布法により作製することができる。
【0099】
請求項記載の本発明の平版印刷用版材の作製方法によれば、中間層形成工程は、酸化タングステン及び酸化スズのターゲットを用いてスパッタリングにより上記の酸化タングステンと酸化スズとを含む層を基材表面に形成する工程であり、感光層形成工程は、光触媒を含むターゲットを用いてスパッタリングにより光触媒を含む層を形成した後焼成する工程であるので、平版印刷用版材をスパッタリング法により作製することができる。
【0100】
請求項12記載の本発明の平版印刷用版材の作製方法によれば、2種類以上の酸化物半導体は、酸化タングステン及び酸化スズを含んでいるので、活性光照射下において光触媒を含む感光層が有機系化合物を分解する作用と親水化する作用とを同時に向上させることができる。
【0101】
請求項1記載の本発明の印刷機によれば、請求項記載の平版印刷用版材が取り付けられる版胴と、版材表面を疎水化する版面の疎水化装置と、疎水化された版材表面に600nm以下の活性光を照射して画像を書き込む画像書き込み装置と、画像書き込みが行なわれた版材表面にインキを塗布するインキングローラと、版材表面に塗布されたインキを除去する版クリーニング装置と、インキの除去後、版材表面に活性光を照射することにより版材表面を親水化して版材表面の画像履歴を消去する画像履歴消去装置とをそなえているので、平版印刷用版材を印刷機に取り付けた状態で、版の作製及び再生ができ、版交換作業を必要とせず操作性を向上させることができる。
【0102】
また、活性光は、可視光を含む波長600nm以下の光であるので、可視光〜紫外光の波長の光で画像書き込みが可能であり、画像書き込み時の照射光の選択肢を広げることができる。
さらに、版材を再生し繰り返し使用することにより、使用後に廃棄される版材の量を著しく減少させることができるとともに、版材に関わるコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる平版印刷用版材の版材表面が疎水性を示している場合の模式的断面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる平版印刷用版材の版材表面が親水性を示している場合の模式的断面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる平版印刷用版の作製及び再生を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態にかかる平版印刷用版の画像書き込みから再生までのサイクルを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる平版印刷用版の一例を示す模式的な斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる時間(又は操作)と版材表面の水の接触角との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態にかかる印刷及び版再生を行なう印刷機を示す模式的な図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる照射エネルギーと平版印刷用版材の水の接触角との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の一実施形態にかかる照射エネルギーと平版印刷用版材の水の接触角との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基材
2 2種類以上の酸化物半導体を含む中間層
3 光触媒を含む感光層
3a 非画線部
3b 画線部
5 平版印刷用版材
6 水
10 印刷機
11 版胴
12 版クリーニング装置
13 画像書き込み装置
14 版面の疎水化装置
15 加熱装置
16 親水化処理用活性光照射装置(画像履歴消去装置)
17 インキングローラ
18 湿し水供給装置
19 ブランケット胴
20 紙

Claims (10)

  1. 酸化チタン光触媒あるいは酸化チタン光触媒加工物である光触媒を含む層を有し、該光触媒のバンドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーをもつ活性光により画像を書き込み、湿式現像処理なしに版作製が可能で、且つ、版を繰り返し再生し利用することが可能な平版印刷用版材であって、
    基材と、
    該基材表面にそなえられ、該活性光に反応する該光触媒を含む感光層と、
    該基材と該感光層との間に介装され、酸化タングステンと酸化スズとを含み該感光層の電荷分離効率を向上させる中間層とから構成される
    ことを特徴とする、平版印刷用版材。
  2. 該酸化タングステンと該酸化スズとの混合比が、それぞれWO3とSnO2として、その重量比で1対1である
    ことを特徴とする、請求項記載の平版印刷用版材。
  3. 該活性光は、波長600nm以下の光である
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の平版印刷用版材。
  4. 上記の版材への画像書き込み時及び版の再生時には、該感光層表面の特性が親水性と疎水性との間で変換される
    ことを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の平版印刷用版材。
  5. 該活性光が照射されると該感光層表面の特性が疎水性から親水性へ変換される
    ことを特徴とする、請求項記載の平版印刷用版材。
  6. 上記の版の再生時には、該活性光が照射されると該光触媒の作用により分解される性質を有する疎水性の有機系化合物が該感光層表面に供給されること、及び、該感光層表面に光又は電気のエネルギー束が照射されること、及び、該感光層表面に摩擦が加えられること、の何れかによって該感光層表面が疎水化される
    ことを特徴とする、請求項又は記載の平版印刷用版材。
  7. 光触媒を含む層を有し、該光触媒のバンドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーをもつ活性光により画像を書き込み、湿式現像処理なしに版作製が可能で、且つ、版を繰り返し再生し利用することが可能な平版印刷用版材の作製方法であって、
    基材表面に酸化タングステンと酸化スズとを含み電荷分離効率を向上させる中間層を形成する中間層形成工程と、
    該中間層表面に該光触媒を含む感光層を形成する感光層形成工程とをそなえている
    ことを特徴とする、平版印刷用版材の作製方法。
  8. 該中間層形成工程は、
    該基材表面に上記の酸化タングステンと酸化スズとを含むゾル液を塗布した後、上記の酸化タングステンと酸化スズとを含むゾル液を硬化させる工程であり、
    該感光層形成工程は、
    該光触媒を含むゾル液を塗布した後、上記の光触媒を含むゾル液を硬化させる工程である
    ことを特徴とする、請求項7記載の平版印刷用版材の作製方法。
  9. 該中間層形成工程は、
    上記の酸化タングステン及び酸化スズのターゲットを用いてスパッタリングにより上記の酸化タングステンと酸化スズとを含む層を該基材表面に形成する工程であり、
    該感光層形成工程は、
    該光触媒を含むターゲットを用いてスパッタリングにより該光触媒を含む層を形成した後焼成する工程である
    ことを特徴とする、請求項7記載の平版印刷用版材の作製方法。
  10. 請求項記載の平版印刷用版材が取り付けられる版胴と、
    該版材表面を疎水化する版面の疎水化装置と、
    上記の疎水化された版材表面に600nm以下の活性光を照射して画像を書き込む画像書き込み装置と、
    上記の画像書き込みが行なわれた版材表面にインキを塗布するインキングローラと、
    該版材表面に塗布されたインキを除去する版クリーニング装置と、
    該インキの除去後、該版材表面に該活性光を照射することにより該版材表面を親水化して該版材表面の画像履歴を消去する画像履歴消去装置とをそなえている
    ことを特徴とする、印刷機。
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