JP2003312158A - 平版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機 - Google Patents

平版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機

Info

Publication number
JP2003312158A
JP2003312158A JP2002126722A JP2002126722A JP2003312158A JP 2003312158 A JP2003312158 A JP 2003312158A JP 2002126722 A JP2002126722 A JP 2002126722A JP 2002126722 A JP2002126722 A JP 2002126722A JP 2003312158 A JP2003312158 A JP 2003312158A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plate material
photocatalyst
photosensitive layer
plate
image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002126722A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3897635B2 (ja
Inventor
Yasuharu Suda
康晴 須田
Toyoo Ofuji
豊士 大藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Heavy Industries Ltd filed Critical Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority to JP2002126722A priority Critical patent/JP3897635B2/ja
Priority to US10/421,942 priority patent/US6938546B2/en
Priority to EP03008845A priority patent/EP1356930B1/en
Priority to DE60324218T priority patent/DE60324218D1/de
Publication of JP2003312158A publication Critical patent/JP2003312158A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3897635B2 publication Critical patent/JP3897635B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Rotary Presses (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光触媒を含む感光層を有する再生使用可能な
平版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機に関し、
版を再生して繰り返し使用できるようにするとともに、
印刷工程に占める画像書き込み時間及び版再生時間をさ
らに短縮できるようにする。 【解決手段】 光触媒を含む層を有し、この光触媒のバ
ンドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーをもつ
活性光により画像を書き込み、湿式現像処理なしに版作
製が可能で、且つ、版を繰り返し再生し利用することが
可能な平版印刷用版材5であって、基材1と、上記活性
光に反応する光触媒を含む感光層3との間に、2種類以
上の酸化物半導体を含み感光層3の電荷分離効率を向上
させる中間層2とを介装する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再生使用可能な平
版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、印刷技術一般として、印刷工程の
デジタル化が進行しつつある。これは、パソコンで作製
したり、スキャナ等で読み込んだりした画像や原稿のデ
ータをデジタル化し、このデジタルデータから直接印刷
用版材を作製するというものである。このことによっ
て、印刷工程全体の省力化が図れるとともに、高精細な
印刷を行なうことが容易になる。
【0003】従来、印刷に用いる版としては、陽極酸化
アルミを親水性の非画線部とし、その表面上に感光性樹
脂を硬化させて形成した疎水性の画線部を有する、いわ
ゆるPS版(Presensitized Plate)が一般的に用いら
れてきた。このPS版を用いて印刷用版を作製するには
複数の工程が必要であり、このため版の製作には時間が
かかり、コストも高くなるため、印刷工程の時間短縮お
よび印刷の低コスト化を推進しにくい状況である。特に
少部数の印刷においては印刷コストアップの要因となっ
ている。また、PS版では現像液による現像工程を必要
とし、手間がかかるだけでなく、現像廃液の処理が環境
汚染防止という観点から重要な課題となっている。
【0004】さらに、PS版では、一般に原画像が穿設
されたフィルムを版面に密着させて露光する方法が用い
られており、デジタルデータから直接版を作製し印刷工
程のデジタル化を進めるうえで印刷用版の作製が障害と
なっている。また、一つの絵柄の印刷が終わると、版を
交換して次の印刷を行なわなければならず、版は使い捨
てにされていた。
【0005】上記PS版の欠点に対して、印刷工程のデ
ジタル化に対応し、さらに現像工程を省略できる方法が
提案され商品化されているものもある。例えば、特開昭
63−102936号公報では、液体インクジェットプ
リンタのインクとして感光性樹脂を含むインクを用い、
これを印刷用版材に噴射し、その後で、光照射により、
画像部を硬化させることを特徴とする製版方法が開示さ
れている。また、特開平11−254633号公報に
は、固体インクを吐出するインクジェットヘッドにより
カラーオフセット印刷用版を作製する方法が開示されて
いる。
【0006】また、PET(ポリエチレンテレフタレー
ト)フィルム上にカーボンブラック等のレーザ吸収層、
さらにその上にシリコン樹脂層を塗布したものに、レー
ザ光線で画像を書き込むことによりレーザ吸収層を発熱
させ、この熱によりシリコン樹脂層を焼き飛ばして印刷
用版を作製する方法、あるいは、アルミ版の上に親油性
のレーザ吸収層を塗布し、さらにその上に塗布した親水
層を前記と同様にレーザ光線で焼き飛ばして印刷用版と
する方法、等が知られている。
【0007】この他にも、親水性ポリマーを版材として
使用し、画像露光により照射部を親油化させ版を作製す
る手段も提案されている。さらに、デジタルデータから
PS版へ光で直接画像を書き込む方式も提案され、例え
ば、405nmのブルーレーザを用いた書き込み装置や
マイクロミラーとUVランプとを用いた書き込み装置、
いわゆるCTP(Computer To Plate)が市販されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような方法では、デジタルデータから直接版を作製する
ことは可能であるが、1つの絵柄の印刷が終わると新し
い版に交換しなければ次の印刷が出来ず、従って、一度
使用された版が廃棄されることに変わりはない。
【0009】これに対し、版の再生を含んだ技術も提案
されている。例えば、特開平10−250027号公報
においては、酸化チタン光触媒を用いた潜像版下、潜像
版下の製造方法、及び、潜像版下を有する印刷装置が、
また特開平11−147360号公報においても、光触
媒を用いた版材によるオフセット印刷法が開示されてお
り、これらには、いずれも画像書き込みには光触媒を活
性化させる光、すなわち実質的に紫外線を用い、加熱処
理で光触媒を疎水化して版を再生する方法が提案されて
いる。また、特開平11−105234号公報で開示さ
れた平版印刷版の作製方法では、光触媒を活性光、すな
わち紫外線で親水化した後、ヒートモード描画にて画線
部を書き込む方法が提案されている。
【0010】しかし、東大・藤嶋教授、橋本教授らによ
り加熱処理で酸化チタン光触媒は親水化することが確認
されており〔三邊ら「酸化チタン表面の構造変化に伴う
光励起親水化現象の挙動に関する研究」、光機能材料研
究会第5回シンポジウム「光触媒反応の最近の展開」資
料、(1998)p.124−125〕、これによれ
ば、上記各公開公報で開示された方法、即ち、加熱処理
で光触媒を疎水化して版を再生しようとすることはでき
ず、この方法では、版の再生利用あるいは版の作製は不
可能ということになる。
【0011】これに対し、本発明者らは、光触媒のバン
ドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーをもつ活
性光を用いた書き込み装置で版材への画像を迅速に書き
込むことが可能で、印刷後は迅速に版を再生し、再利用
することが可能な版材と、この版材の作製方法及び印刷
用版の再生方法に関し、鋭意研究を行なった。本研究に
よれば、版材への画像書き込みの際や版の再生時の画像
データ消去を行なう際に、版材表面を親水化することが
必要になるが、この際、版材の表面をより弱い光で如何
に速やかに親水化させるかが重要な課題となっている。
【0012】このような光誘起親水化(以下、親水化と
いう)に関する技術として、入江ら「TiO2/WO3
層界面の親水化特性に及ぼす影響に関する研究」〔光機
能材料研究会第8回シンポジウム「光触媒反応の最近の
展開」資料、(2001)p.44−45〕には、WO
3(酸化タングステン)薄膜上にTiO2(酸化チタン)
薄膜を積層することによって光触媒活性、特に光誘起親
水化を高感度化する技術が開示されている。
【0013】ところで、最近の研究によれば、酸化チタ
ンの親水化には正孔が寄与していると考えられている。
つまり、上記の親水化の高感度化は、TiO2とWO3
を複合化することで、活性光照射でTiO2内に発生し
た電子がWO3に移行することでTiO2の電荷分離(電
子と正孔の再結合を防ぐこと)の効率が向上するととも
に、WO3中で発生した正孔がTiO2に供給されること
によって実現していると考えられる。
【0014】したがって、このような技術を印刷用版材
に適用すれば、感光層の親水化を高感度化でき(即ち、
親水化するためのエネルギーを小さくでき)、より弱い
光で版材への画像の書き込みが可能になるとともに、版
材への画像書き込み時間及び版再生時間の短縮が可能と
なるが、印刷工程の迅速化においては、これらのさらな
る短縮が求められる。
【0015】本発明は、上述の課題に鑑み創案されたも
ので、版を再生して繰り返し使用できるようにするとと
もに、印刷工程に占める画像書き込み時間及び版再生時
間をさらに短縮できるようにした、平版印刷用版材及び
その作製方法並びに印刷機を提供することを目的とす
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電荷分離
効率の向上に着目し、さらに鋭意研究を行なった結果、
光触媒を含む層(感光層)と2種類以上の酸化物半導体
からなる層とを複合化することにより、感光層の親水化
とともに、有機物分解反応をもさらに高感度化できるこ
とを見出した。
【0017】すなわち、本発明の平版印刷用版材(請求
項1)は、光触媒を含む層を有し、該光触媒のバンドギ
ャップエネルギーよりも大きなエネルギーをもつ活性光
により画像を書き込み、湿式現像処理なしに版作製が可
能で、且つ、版を繰り返し再生し利用することが可能な
平版印刷用版材であって、基材と、該基材表面にそなえ
られ、該活性光に反応する該光触媒を含む感光層と、該
基材と該感光層との間に介装され、2種類以上の酸化物
半導体を含み該感光層の電荷分離効率を向上させる中間
層とから構成されることを特徴としている。なお、以
下、本発明の光触媒に触媒活性を発現させる有効なエネ
ルギーをもつ光を活性光と呼ぶこととする。
【0018】該光触媒は、酸化チタン光触媒あるいは酸
化チタン光触媒加工物であることがことが好ましい(請
求項2)。ここで、酸化チタン光触媒加工物とは、酸化
チタン光触媒をベースとして、酸化チタン光触媒に本来
含有される元素以外の元素(金属元素又は非金属元素)
をドーピング又は担持したもの、あるいは酸化チタン光
触媒のTi元素とO元素との比率を化学量論的比率、即
ちTi原子1に対して酸素原子2の比率からずらしたも
の、などをいう。通常、酸化チタン光触媒は、例えばア
ナターゼ型結晶を有する場合、バンドギャップエネルギ
ーは3.2eVで、波長380nm以下の光が活性光で
あるが、上記の酸化チタン加工物では、バンドギャップ
内に不純物準位を形成することでバンドギャップエネル
ギーを低下させ、波長600nm以下の光を活性光とし
て利用することが可能である。
【0019】該中間層は、酸化タングステン(特にWO
3)と酸化スズ(特にSnO2)とを含んでいることが好
ましい(請求項3)。これら2種類の酸化物半導体を含
むことにより、これらの酸化物半導体を含まない場合又
はこれらの酸化物半導体の一方のみを含む場合に比べ
て、上記の光触媒が親水化する作用と光触媒が有機系化
合物を分解する作用との両方の作用が活性化される。
【0020】該酸化タングステンと該酸化スズとの混合
比が、それぞれWO3とSnO2として、その重量比で1
対1であることが好ましい(請求項4)。該活性光は、
波長600nm以下の光であることが好ましい(請求項
5)。上記の版材への画像書き込み時及び版の再生時に
は、該感光層表面の特性が親水性と疎水性との間で変換
されることが好ましい(請求項6)。
【0021】該活性光が照射されると該感光層表面の特
性が疎水性から親水性へ変換されることが好ましい(請
求項7)。すなわち、版材表面に活性光を照射すること
により、その照射面を親水性に変換することが可能であ
る。これは、光触媒が親水化する作用による、あるい
は、後述のように光触媒の作用により分解される性質を
有する疎水性の有機系化合物を用いて感光層表面を疎水
化している場合は、光触媒が親水化する作用、及び、有
機系化合物を分解する作用の両方の作用によるものであ
る。そして、親水性に変換された版面は湿し水が優先的
に付着し、疎水性インキが付着しない非画線部として機
能する。一方、活性光が照射されなかった版面は疎水性
であり、疎水性インキが優先的に付着し、湿し水が付着
しない画線部として機能する。
【0022】上記の版の再生時には、該活性光が照射さ
れると該光触媒の作用により分解される性質を有する疎
水性の有機系化合物が該感光層表面に供給されること、
及び、該感光層表面に光又は電気のエネルギー束が照射
されること、及び、該感光層表面に摩擦が加えられるこ
と、の何れかによって該感光層表面が疎水化されること
が好ましい(請求項8)。
【0023】本発明の平版印刷用版材の作製方法(請求
項9)は、光触媒を含む層を有し、該光触媒のバンドギ
ャップエネルギーよりも大きなエネルギーをもつ活性光
により画像を書き込み、湿式現像処理なしに版作製が可
能で、且つ、版を繰り返し再生し利用することが可能な
平版印刷用版材の作製方法であって、基材表面に2種類
以上の酸化物半導体を含み電荷分離効率を向上させる中
間層を形成する中間層形成工程と、該中間層表面に該活
性光に反応する光触媒を含む感光層を形成する感光層形
成工程とをそなえていることを特徴としている。
【0024】該中間層形成工程は、該酸化物半導体を含
むゾル液を塗布した後、上記の酸化物半導体を含むゾル
液を硬化させる工程であり、該感光層形成工程は、該光
触媒を含むゾル液を塗布した後、上記の光触媒を含むゾ
ル液を硬化させる工程であることが好ましい(請求項1
0)。該中間層形成工程は、上記の2種類以上の酸化物
半導体のターゲットを用いてスパッタリングにより該酸
化物半導体を含む層を該基材表面に形成する工程であ
り、該感光層形成工程は、該光触媒を含むターゲットを
用いてスパッタリングにより該光触媒を含む層を形成し
た後焼成する工程であることが好ましい(請求11)。
【0025】上記の2種類以上の酸化物半導体は、酸化
タングステンと酸化スズとを含んでいることが好ましい
(請求項12)。本発明の印刷機(請求項13)は、請
求項8記載の平版印刷用版材が取り付けられる版胴と、
該版材表面を疎水化する版面の疎水化装置と、上記の疎
水化された版材表面に波長600nm以下の活性光を照
射して画像を書き込む画像書き込み装置と、上記の画像
書き込みが行なわれた版材表面にインキを塗布するイン
キングローラと、該版材表面に塗布されたインキを除去
する版クリーニング装置と、該インキの除去後、該版材
表面に該活性光を照射することにより該版材表面を親水
化して該版材表面の画像履歴を消去する画像履歴消去装
置とをそなえていることを特徴としている。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の
一実施形態にかかる平版印刷用版材を示すもので、図1
はその版材表面が疎水性を示している場合の模式的な断
面図、図2はその版材表面が親水性を示している場合の
模式的な断面図である。
【0027】図1に示すように、この平版印刷用版材5
は、基材1と、中間層2と、感光層3とから基本的に構
成されている。なお、平版印刷用版材5を単に版材とも
いい、また、表面に印刷用の画線部を形成された版材に
ついては版という。基材1は、アルミニウムやステンレ
ス等の金属、ポリマーフィルム等により構成されてい
る。ただし、アルミニウムやステンレス等の金属あるい
はポリマーフィルムに限定されるものではない。
【0028】感光層3は、酸化チタン光触媒を含んで構
成されている。感光層3表面は、光触媒のバンドギャッ
プエネルギーよりも高いエネルギーをもつ活性光が照射
されることにより、感光層3表面に付着している有機系
化合物を分解する作用と、高い親水性を示す作用とが同
時に発現する。
【0029】本来、光触媒は、活性光が照射されなけれ
ば前記光触媒活性を示さない。例えば、アナターゼ型酸
化チタン光触媒では、バンドギャップエネルギーが3.
2eVもあるため、波長380nm以下の紫外線にしか
応答しない。本実施形態では、このバンドギャップ内に
新たな準位を形成することで波長600nm以下の光に
も応答する光触媒を用いている。ここでいう波長600
nm以下の光の中には紫外線も含まれるが、本実施形態
の光触媒においては、活性光の中に紫外線が含まれてい
てもいなくても同様に応答することが特徴である。
【0030】なお、可視光領域の光にも反応する光触媒
の製造方法としては、公知の方法を用いれば良い。例え
ば、特開2001−207082号公報には、窒素原子
をドーピングした可視光応答型光触媒、また、特開20
01−205104号公報には、クロム原子および窒素
原子をドーピングした可視光応答型光触媒が開示されて
いる。さらに、特開平11−197512号公報には、
クロム等の金属イオンをイオン注入した可視光応答型光
触媒が開示されている。この他にも、低温プラズマを利
用した可視光応答型の光触媒や白金担持した可視光応答
型の光触媒が公表されている。本実施形態にかかる平版
印刷用版材5の作製にあたっては、これら公知の方法で
製造された可視光応答型光触媒(酸化チタン光触媒加工
物)を使用すれば良い。
【0031】また、可視光応答型光触媒を含む感光層
(なお、感光層は光触媒を含むので光触媒層ともいう)
3には、上記性質及び親水特性を維持すること、あるい
は、基材1と感光層3との密着性や感光層3の強度を向
上させることを目的として、次に示すような物質を添加
しても良い。例えば、シリカ,シリカゾル,オルガノシ
ラン,シリコン樹脂等のシリカ系化合物、また、ジルコ
ニウム,アルミニウム,チタニウム等の金属酸化物又は
金属水酸化物、さらには、フッ素系樹脂を挙げることが
できる。
【0032】酸化チタン光触媒としては、ルチル型,ア
ナターゼ型,ブルッカイト型があるが、本実施形態にお
いてはいずれも利用可能であり、これらの混合物を用い
ても良いが、光触媒活性を考慮すると、結晶構造上活性
度が最も高いアナターゼ型が好ましい。また、後述する
ように、上記活性光照射下で画線部を分解する光触媒活
性を高くするためには、酸化チタン光触媒の粒子径はあ
る程度小さい方が好ましい。具体的には、酸化チタン光
触媒の粒径は0.1μm以下、さらに好ましくは、粒径
0.05μm以下であると良い。なお、光触媒としては
酸化チタン光触媒が好適であるが、もちろん、これに限
定されるものではない。
【0033】また、感光層3の膜厚は、0.005〜1
μmの範囲内にあることが好ましい。この理由は、膜厚
があまりに小さければ、上記性質を十分に活かすことが
困難であり、また、膜厚があまりに大きければ、感光層
3がひび割れしやすくなり耐刷性低下の要因となるため
である。なお、このひび割れは、膜厚が10μmを越え
るようなときに顕著に観察されるため、上記範囲を緩和
するとしても10μmをその上限として認識する必要が
ある。また、実際上は、0.03〜0.5μm程度の膜
厚とするのが、より好ましい。
【0034】また、基材1と感光層3との間には、中間
層2が形成されている。本発明者らは、この中間層2と
して、2種類以上の酸化物半導体を含むことにより、活
性光照射下で、感光層3に含まれる光触媒自身が親水化
する作用と光触媒が有機系化合物を分解する作用とを同
時に向上させることができることを見出した。
【0035】つまり、本実施形態にかかる平版印刷用版
材5では、中間層2として、2種類以上の酸化物半導体
を含んでいることが特徴の1つであり、本実施形態で
は、中間層(なお、中間層は酸化物半導体を含むので酸
化物層ともいう)2が酸化タングステンと酸化スズとを
含んで構成されている。なお、酸化タングステン(WO
3),酸化スズ(SnO2),酸化クロム(Cr 23),
酸化バナジウム(V25),酸化モリブデン(Mo
3),酸化アンチモン(Sb23),酸化鉄(Fe2
3),酸化銅(Cu2O)、酸化ニオブ(Nb25)など
の中から2種類以上の酸化物半導体を適宜選択して用い
ても良い。また、2種類以上の酸化物半導体は、これら
に限定されるものではない。
【0036】このような2種類以上の酸化物半導体を含
有する中間層2が、上記光触媒作用の向上に有効な理由
は明確ではないが、おそらく活性光照射により光触媒中
に発生する正孔と電子との再結合を抑制し、正孔と電子
との電荷分離効率が高くなるためと推定される。
【0037】また、この中間層2には、基材1がポリマ
ーフィルムなどの場合、基材1を保護する効果がある。
さらに、後述する感光層3形成のために加熱処理を行な
う場合には、基材1から不純物が熱拡散して感光層3に
混入して光触媒活性が低下してしまうのを防止する効果
もある。
【0038】さらに、この中間層2の形成方法として
は、ゾル塗布法,有機チタネート法,スパッタリング
法,CVD法,PVD法等を適宜選択して形成すれば良
いが、この中でも、特にゾル塗布法は、2種類以上の酸
化物を含む中間層2を形成する工程が簡単な点で好まし
い。また、ゾル塗布法を採用するのであれば、それに用
いられるゾル塗布液には、酸化チタン光触媒及び感光層
3の強度や基材1と感光層3との密着性を向上させる上
記各種の物質の他に、溶剤,架橋剤,界面活性剤等を添
加しても良い。また、ゾル塗布液は、常温乾燥タイプで
も加熱乾燥タイプでも良いが、後者の方がより好まし
い。この理由は、加熱により感光層3の強度を高めた方
が、版材5の耐刷性を向上させるのに有利となるからで
ある。
【0039】なお、ゾル塗布法により中間層2及び感光
層3を形成する場合、まず、基材1表面に酸化物半導体
を含むゾル液を塗布した後、このゾル液を硬化させて中
間層2を形成する(中間層形成工程)。その後、中間層
2表面に光触媒を含むゾル液を塗布した後、このゾル液
を硬化させて感光層3を形成する(感光層形成工程)。
【0040】また、例えば、2種類以上の酸化物ターゲ
ットを用いてスパッタリング法により中間層2を基材1
表面に形成し(中間層形成工程)、そして、光触媒を含
むターゲットを用いてスパッタリングにより中間層2表
面に感光層3を形成した後焼成する(感光層形成工程)
ようにしても良い。これにより、版材5の膜強度を高く
することができ、また、高い耐刷性を得ることが可能で
ある。
【0041】なお、本発明における活性光、即ち、波長
600nm以下の光、に応答する光触媒を含む層(感光
層)3の上に、波長380nm以下の光に応答する光触
媒を含む層を保護層として設けたり、親水性を維持し易
くする目的でシリカ層を設けたりしても良い。また、本
実施形態における感光層3が、上記のような層を有する
場合もある。
【0042】次に、本実施形態にかかる版の作製方法及
び再生方法について説明する。図3に示すように、版の
作製及び再生のフローは、疎水化工程(ステップS10
0),画像書き込み工程(非画線部書き込み工程)(ス
テップS110),印刷工程(ステップS120),イ
ンキ除去工程(ステップS130),親水化工程(画像
履歴消去工程)(ステップS140)のステップからな
る。
【0043】まず、版の作製方法について説明する。な
お、以下において、「版の作製」とは、版材5表面(即
ち、感光層3表面)が疎水化された状態(初期状態)か
ら、版材5表面の少なくとも一部をデジタルデータに基
づいて可視光以下の波長を有する光(活性光)を照射し
て親水性の非画線部を形成し、活性光が照射されなかっ
た版材5表面の疎水性部分と併せて、版面上に疎水性画
線部と親水性非画線部とからなる潜像を形成することを
言うものとする。
【0044】まず、図4(a)に示すように、疎水化工
程において、前工程(親水化工程)で全面を親水化され
た感光層3表面を疎水化する。ここで、感光層3表面の
疎水化の方法としては、活性光が照射されると光触媒の
作用により分解される性質を有する疎水性の有機系化合
物を感光層3表面に供給すること、及び、感光層3表面
に光,電気等のエネルギー束を単独あるいは複数組み合
わせて照射すること、及び、感光層3表面に摩擦等の機
械的エネルギーを投入すること、の何れかを用いること
ができる。
【0045】なお、図4(a)は、版材5全面が疎水化
された初期状態を示している。ここで、疎水性の版材5
表面とは、水6の接触角が50°以上、好ましくは80
°以上の版材5表面であり、印刷用の疎水性インキが容
易に付着し、一方、湿し水の付着は困難な状態となって
いる。また、感光層3表面のこの状態を「版作製時の初
期状態」という。この「版作製時の初期状態」とは、実
際上の印刷工程におけるその開始時とみなして良い。よ
り具体的にいえば、任意の画像に関して、それをデジタ
ル化したデータが既に用意されていて、これを版材5表
面に書き込みしようとするときの状態を指すものとみな
せる。
【0046】そして、図4(b)に示すように、画像書
き込み工程において、疎水性状態となっている感光層3
表面に非画線部を書き込む。この非画線部は、画像に関
するデジタルデータに基づいて、そのデータに対応する
ように感光層3表面に書き込まれる。ここで、非画線部
とは、図2に示すように、水6の接触角が10°以下の
親水性の部分であり、湿し水が容易に付着し、一方、印
刷用インキの付着は困難な状態になっている。
【0047】この親水性の非画線部を画像データに基づ
いて現出させる方法として、波長600nm以下の光、
即ち、活性光によって触媒活性を発現する光触媒を含む
感光層3に活性光を照射して、光触媒の作用で感光層3
表面を親水化させる。一方、活性光が照射されなかった
感光層3表面は疎水性のままであることから、版材5表
面には親水性部分と疎水性部分とが形成され、版を作製
することができる。
【0048】ここでは、図4(b)に示すように、可視
光、例えば波長405nmのバイオレットレーザを用い
た書き込みヘッドによって、非画線部を書き込み、疎水
性の感光層3表面に非画線部を形成するようにしてい
る。なお、親水性の非画線部を画像データに基づいて現
出させる方法としては、波長405nmのバイオレット
レーザを用いた書き込みヘッド以外に、例えば、ベイシ
スプリント社(ドイツ)が発表しているUVセッター7
10に用いられている波長360nm〜450nmの光
を発生する光源とマイクロミラーとを用いた書き込みヘ
ッド等、活性光を用いて画像を書き込めるものであれば
良い。
【0049】上記の画像書き込み工程が終了した時点
で、図4(c)に示すように、感光層3表面には画線部
と非画線部とが形成され、印刷が可能な状態となる。こ
の印刷工程において、版材5表面に湿し水及び印刷用の
疎水性インキと湿し水とを混合したいわゆる乳化インキ
を塗布する。したがって、例えば、図5に示すような画
像が書き込まれた場合には、網掛けされた部分(即ち、
疎水性の画線部)3bには、疎水性インキが付着した状
態を示しており、残りの白地の部分(即ち、親水性の非
画線部)3aには、湿し水が優先的に付着する一方、疎
水性インキははじかれて付着しなかった状態を示してい
る。このように画像(絵柄)が浮かび上がることによ
り、感光層3表面は、版としての機能を有することにな
る。この後、通常の印刷工程、即ち、紙への印刷を実行
し、印刷を終了する。
【0050】次に、印刷用版の再生方法について説明す
る。なお、以下において、「版の再生」とは、少なくと
も一部が疎水性を示し、残りの部分が親水性を示す版材
5表面を、全面均一に親水化した後、活性光が照射され
ると光触媒の作用により分解される性質を有する有機系
化合物を版材5表面に供給すること、及び、光,電気等
のエネルギー束を単独あるいは複数組み合わせて版材5
表面に照射すること、及び、感光層3表面に摩擦等の機
械的エネルギーを版材5表面に投入すること、の何れか
によって光触媒特性を親水性から疎水性へ変換させ、再
び「版作製時の初期状態」に復活させることをいうもの
とする。
【0051】まず、インキ除去工程として、印刷終了後
の版材3表面に付着したインキ,湿し水,紙粉等を除去
する。この除去方法としては、版材5表面へのインキ供
給を止めて刷り減らす方法、インキ拭き取り用の布状テ
ープを巻き取る機構でインキを拭き取る方法、インキ拭
き取り用の布状物を巻きつけたローラでインキを拭き取
る方法、洗浄液をスプレーで吹き付けてインキを洗浄す
る方法等を適宜用いれば良い。
【0052】その後、親水化工程において、図4(e)
に示すように、感光層3全面に活性光を照射することに
より、画線部3bをも親水化して、感光層3全面を水6
の接触角が10°以下の親水性表面にすることができ
る。即ち、感光層3全面を図2に示す状態にすることが
でき、画像履歴を全て消去することができる。なお、活
性光を照射することによって、感光層3表面に存在する
疎水性の画線部が高い親水性を有する表面に変換すると
いう特性は、例えば、酸化チタン光触媒を用いることに
より達成することができる。ここでは、図4(e)に示
すように、紫外線ランプを用いて、紫外線照射で疎水性
画線部を親水性に変換し、感光層3全面を親水性にし
て、版の履歴を消去する場合を示している。
【0053】また、このとき、感光層3表面への活性光
照射と同時に、感光層3表面を加熱するようにしても良
い。これにより、上記の有機系化合物を用いて感光層3
表面の疎水化を行なった場合、感光層3表面の有機系化
合物の分解反応を加速させ、短時間で行なうことができ
る。なお、このときの加熱方法としては、感光層3表面
を加熱する熱風送風又は光照射が好ましい。ここで、照
射する光としては、加熱効率を考慮すると赤外線がより
好ましい。
【0054】そして、疎水化工程において、光,電気等
のエネルギー束を単独あるいは複数組み合わせて版材5
表面に照射すること、及び、摩擦等の機械的エネルギー
を版材5表面に加えること、及び、疎水性の有機系化合
物を版材5表面に供給すること、の何れかにより光触媒
特性を親水性から疎水性へ変換させ、版作製時の初期状
態に戻す。
【0055】なお、親水化工程は、版の履歴解消を完全
に行なうために工程の1つとして加えられているが、イ
ンキ除去工程において、版材5表面に付着したインキが
少なくとも次の印刷に影響しない程度に充分に除去され
る場合は、この親水化工程を飛ばして、インキ除去工程
から疎水化工程へ直接移っても差しつかえない。
【0056】以上説明したことを、まとめて示している
のが図6に示したグラフである。これは、横軸に時間あ
るいは操作、縦軸に版材5表面の水6の接触角をとった
グラフであって、本実施形態における平版印刷用版材5
に関して、その感光層3表面の水6の接触角が時間ある
いは操作に伴ってどのように変化するかを示したもので
ある。図6において、一点鎖線は感光層3の非画線部3
aの接触角を、実線は画線部3bの接触角を、各々示し
ている。
【0057】まず、感光層3表面に活性光を照射して、
感光層3表面の水6の接触角が10°以下の高い親水性
を示すようにしておく。そして、疎水化工程(図6中に
示すAの工程)として、光,電気等のエネルギー束を単
独あるいは複数組み合わせて版材5表面に照射するこ
と、及び、摩擦等の機械的エネルギーを版材5表面に加
えること、及び、疎水性の有機系化合物を版材5表面に
供給すること、の何れかにより光触媒特性を親水性から
疎水性へ変換させる。即ち、版材5表面の水6の接触角
が50°以上、好ましくは80°以上になる。なお、疎
水化処理が終わった時点〔図6中の時点(b)〕が「版
作製時の初期状態」である。
【0058】次に、画像書き込み工程(図6中に示すB
の工程)として、疎水性の感光層3表面に活性光により
非画線部の書き込みを開始する〔図6中の時点
(b)〕。これにより、活性光を照射された感光層3表
面は光触媒の作用により疎水性から親水性へ変換され
る。即ち、感光層3の水6の接触角が10°以下とな
る。一方、活性光を照射してない感光層3表面は疎水性
の状態を保つため、感光層3表面は活性光未照射部分が
疎水性の画線部となり、活性光照射部分が親水性の非画
線部となるため、版として機能することができるように
なる。
【0059】そして、非画線部の書き込みが完了した
後、印刷工程(図6中に示すCの工程)として、印刷を
開始する〔図6中の時点(c)〕。印刷が終了した後、
インキ除去工程(図6中に示すDの工程)として、感光
層3表面のインキ、汚れ等を除去する〔図6中の時点
(d)〕。インキ除去完了後に、親水化工程(図6中に
示すEの工程)として、感光層3表面への活性光照射を
開始する〔図6中の時点(e)〕。これにより、光触媒
の作用によって疎水性画線部は親水性に変換され、感光
層3の全面は再び親水性に戻る。
【0060】この後、次の疎水化工程(図6中に示す
A′の工程)として、光,電気等のエネルギー束を単独
あるいは複数組み合わせて版材5表面に照射すること、
及び、摩擦等の機械的エネルギーを版材5表面に加える
こと、及び、疎水性の有機系化合物を版材5表面に供給
すること、の何れかにより〔図6中の時点(a′)〕、
「版作製時の初期状態」に戻すことができ、版材5を再
利用することができる。
【0061】なお、上記の印刷及び版再生を印刷機上で
行なうためには、図7に示すような印刷機10を用いる
のが好ましい。この印刷機10は、版胴11を中心とし
て、その周囲に版クリーニング装置12,画像書き込み
装置13,版面の疎水化装置14,加熱装置15,画像
履歴消去装置としての親水化処理用活性光照射装置1
6,インキングローラ17,湿し水供給装置18,ブラ
ンケット胴19を備えたものとなっている。なお、版材
5は、版胴11に巻き付けられて設置されている。
【0062】以下、図7を参照して版の再生及び作製を
説明すると、まず、版クリーニング装置12を版胴11
に対して接した状態とし、版材5表面に付着したイン
キ,湿し水,紙粉等をきれいに拭き取る。図7では、版
クリーニング装置12としてインキ拭き取り用の布状テ
ープを巻き取る機構を有する装置を示しているが、これ
に限るものではない。
【0063】その後、版クリーニング装置12を版胴1
1から脱離させ、加熱装置15で版材5表面を加熱しな
がら親水化処理用活性光照射装置16により版材5全面
に活性光を照射して版材5全面を親水化する。なお、こ
こでは、活性光として、波長380nm以下の紫外線を
用いているが、光触媒が波長400nm〜600nmの
光でも活性を示す場合は、波長400nm〜600nm
の光を用いても良い。
【0064】そして、版面の疎水化装置14により版材
5全面を疎水化する。なお、図7では、版面の疎水化装
置14を、疎水性の有機系化合物をローラにより供給す
る装置として図示しているが、これに限るものではな
く、もちろん、光,電気等のエネルギー束を単独あるい
は複数組み合わせて照射する装置、又は、版材5表面に
摩擦等の機械的エネルギーを加える装置として構成して
も良い。
【0065】次に、予め用意された画像のデジタルデー
タに基づいて画像書き込み装置13により版材5表面に
活性光を照射して非画線部3aを書き込む(即ち、版材
5表面に画像を書き込む)。なお、画像書き込み装置1
3の活性光として、波長600nm以下の光を用いるこ
とができる。画像を書き込んだ後、インキングローラ1
7,湿し水供給装置18,ブランケット胴19を版胴1
1に対して接する状態とし、紙20がブランケット胴1
9に接するようする。そして、図7に示す矢印の方向に
それぞれ回転することによって版材5表面に湿し水及び
インキが順次供給されて、紙20に印刷が行われるよう
になっている。
【0066】このように、印刷機10においては、版胴
11に取り付けられた版材5表面のクリーニングを行な
う版クリーニング装置12と、活性光照射により画線部
の消去(画像履歴消去)を行なう親水化処理用活性光照
射装置16と、版材5表面を疎水化する疎水化装置14
と、版材5表面を加熱して親水化を促進する加熱装置1
5とが、版を再生する再生装置として機能しており、さ
らに、版材5表面に画像書き込みを行なう画像書き込み
装置13がそなえられることにより、版材5を印刷機1
0の版胴11に取り付けた状態で一連の版の再生及び作
製の工程を行なうことができる。これによれば、印刷機
10を停止することなく、また、版材5の交換作業を挟
むことなく連続的な印刷作業の実施を行なうことが可能
となる。
【0067】また、画像書き込み時、波長600nm以
下の光を用いるので、より取り扱いが容易な光で画像を
書き込むことが可能である。なお、この印刷機10で
は、版材5を版胴11に巻き付けるように構成している
が、これに限定されるものではなく、光触媒を含む感光
層3を、版胴11表面に直接設ける、即ち、版胴11と
版材5とを一体に構成したものを用いても良いことはい
うまでもない。
【0068】次に、本実施形態にかかる版材の作製方法
及び版の再生方法について、版材作製及び版再生の手順
及びその効果を、本願発明者らが確認したより具体的な
実施例をあげて説明する。
【0069】〈触媒調製〉原料の硫酸チタン(和光純
薬)に攪拌しながらアンモニア水を加えて、硫酸チタン
の加水分解物を得た。この加水分解物をヌッチェを用い
て濾過し、濾液の電気伝導度が2μS/cm以下になる
までイオン交換水で洗浄した。洗浄後、加水分解物を室
温乾燥し、その後大気中で400℃で2時間焼成した。
この焼成物を、まず乳鉢で祖粉砕し光触媒粉末を得た。
【0070】〈可視光活性の確認〉前記光触媒粉末を
0.2gを採取し、密閉できるパイレックス(R)ガラ
ス製の円筒容器(容量500mL)の底に均一に広げ
た。次いで、反応容器内を脱気した後、高純度空気で置
換した。そして、アセトンを反応容器内濃度が500p
pmになるように注入後、25℃で吸着平行に達するま
で暗所で10時間吸着させた。その後、日亜化学製の青
色LED(主波長470nm)を照射し、アセトン及び
CO2量を島津製ガスクロマトグラフで追跡した結果、
青色LED照射20時間でアセトンは無くなり、代わり
にアセトンの化学量論比に一致するCO2の発生が確認
された。すなわち、前記光触媒粉末が波長470nmの
光で触媒活性を示すことが確認できた。
【0071】〈版材作製〉 (a)基板の準備面積が280×204mm、厚さが
0.1mmのステンレス(SUS301)製の基材1を
用意し、アルカリ脱脂処理し、版材基板とした。 (b)中間層形成 パラタングステン酸アンモニウム(和光純薬)をメチル
アミン(和光純薬)の10wt%水溶液に溶解し、パラ
タングステン酸アンモニウム溶液を調製した。前記パラ
タングステン酸アンモニウム溶液と透明導電材料セラメ
ースS−8(多木化学製、酸化スズ超微粒子の8wt%
水溶液)とを重量比でWO3/SnO2=1/1の比率で
混合し中間層コーティング液とした。この中間層コーテ
ィング液を前記版材基板1にディップコートし、風乾
後、500℃で1時間焼成し、中間層2を形成した。な
お、このときの中間層2の厚みは約0.12μmであっ
た。
【0072】(c)感光層形成 前記光触媒粉末をイオン交換水中に分散させ固形分20
重量%のスラリーとした。このスラリーを湿式ミル(商
品名ダイノミルPILOT)で粉砕し光触媒分散液とし
た。その後、感光層形成工程において、前記光触媒分散
液にテイカ株式会社製の酸化チタンコーティング剤TK
C−301をTiO2として重量比6:4の割合で混合
した液を前記版材基板にディップコートし、風乾後、3
50℃で1時間焼成して、感光層3を形成し、版材5と
した。このときの感光層3の厚みは約0.1μmであっ
た。版材5表面について、協和界面科学製のCA−W型
接触角計で水6の接触角を測定したところ、接触角は8
°となり、十分な親水性を示した。
【0073】〈版材表面の疎水化〉次に、1,2−エポ
キシドデカン(和光純薬)をイソパラフィン(商品名ア
イソパーL、エクソンモービル製)に溶解し、1wt%
溶液とした。この1,2−エポキシドデカン溶液を版材
5表面にロールコートし、60℃で10分間乾燥した。
その後、接触角計で水6の接触角を測定したところ、接
触角は83°となり、十分な疎水性を示し、版材5表面
が版作製時の初期状態になっていることを確認した。
【0074】〈画像書き込み〉次に、波長405nm,
出力5mW/チャンネル,ビーム径15μmの半導体レ
ーザを用いた画像書き込み装置により、版材5表面に画
線率10%〜100%までの10%刻みの網点画像を書
き込んだ。書き込み終了後の版材5表面の水6の接触角
を接触角計で測定したところ、半導体レーザで書き込ん
だ部分について接触角は8°で親水性の非画線部とな
り、書き込んでいないところは接触角83°の疎水性を
保った画線部となっていることを確認した。
【0075】〈印刷〉この版材5を(株)アルファー技
研の卓上オフセット印刷機ニューエースプロに取り付
け、東洋インキ製のインキ(HYECOOB紅MZ)と
三菱重工業製の湿し水リソフェロー1%溶液とを用い
て、アイベスト紙に印刷速度3500枚/時にて印刷を
開始した。印刷開始1枚目から紙面上には網点画像が印
刷できた。
【0076】〈再生〉次に印刷用版材5の再生にかかる
実施例を説明する。印刷終了後、版材5表面上に付着し
たインキ,湿し水,紙粉等をきれいに拭き取った版材5
全面に、低圧水銀ランプを用いて波長254nm,照度
10mW/cm2の紫外線を20秒照射した。その後、
網点を書き込んでいた部分について直ちに接触角計で水
6の接触角を測定したところ、接触角は8°となり、十
分な親水性を示した。
【0077】次に、前記1,2−エポキシドデカン溶液
を版材5表面にロールコートし、60℃で10分間乾燥
した後、接触角計で水6の接触角を測定したところ、接
触角は84°となり、十分な疎水性を示した。これによ
り、版材5が「版作製時の初期状態」に戻り、版再生が
できたことを確認した。
【0078】〈比較例〉以下3点の比較例サンプルを作
製した。 (サンプル1)前記実施例の中間層2の替わりに、パラ
タングステン酸アンモニウム溶液を版材基板にディップ
コートし、風乾後、500℃で1時間焼成し、中間層2
を形成した以外は、実施例と同様にして版材5を作製し
た。酸化タングステンからなる中間層2の厚みは約0.
1μmであった。
【0079】(サンプル2)前記実施例の中間層2の替
わりに、透明導電材料セラメースS−8(多木化学製、
酸化スズ超微粒子の8wt%水溶液)を前記版材基板に
ディップコートし、風乾後、500℃で1時間焼成し、
中間層2を形成した以外は、実施例と同様にして版材5
を作製した。酸化スズからなる中間層2の厚みは約0.
09μmであった。
【0080】(サンプル3)前記実施例の中間層2を形
成せず、SUS基板に直接、感光層3を形成した以外
は、実施例と同様にして版材5を作製した。
【0081】〈評価〉次に、実施例で作製した酸化タン
グステンと酸化スズとからなる中間層2を有する版材5
と上記の各サンプルについて、波長405nmの光に対
する光触媒活性、即ち、有機系化合物の分解と同時に感
光層3が水6の接触角10°以下まで親水化する光触媒
活性を評価した。
【0082】測定手順としては、各サンプルを、実施例
と同様に、1,2−エポキシドデカン溶液を版材5表面
にロールコートし、60℃で10分間乾燥して、版材5
表面を水6の接触角81°〜85°に疎水化した後、波
長405nmの光を照射し、版材5表面が接触角10°
以下になるまでの光の照射エネルギーを測定する。な
お、この照射エネルギーが、親水性の非画線部を書き込
むために必要なエネルギーである。
【0083】図8に示すように、酸化タングステンと酸
化スズとからなる中間層2を有する版材5では、波長4
05nmの光を約90mJ/cm2照射すると、版材5
表面は接触角10°以下まで親水化し、非画線部の書き
込みができたことを確認した。一方、酸化タングステン
からなる中間層2を有する版材5(サンプル1)の照射
エネルギー、及び、酸化スズからなる中間層2を有する
版材5(サンプル2)の照射エネルギーは、それぞれ約
650mJ/cm2と約850mJ/cm2であり、中間
層2のない版材5(サンプル3)よりも照射エネルギー
は小さいが、酸化タングステンと酸化スズとからなる中
間層2を有する版材5と比較すると、照射エネルギーが
数倍必要であることがわかる。
【0084】すなわち、酸化タングステンと酸化スズと
からなる中間層2を有する版材5は酸化タングステンの
み又は酸化スズのみからなる中間層2を有する版材5よ
りも、光触媒活性が数倍高いことが確認できた。次に、
酸化タングステンと酸化スズとからなる中間層2の、酸
化タングステンと酸化スズとの組成比を変えて、水6の
接触角と照射エネルギーとの関係を調べた。
【0085】図9に示すように、版材5表面が接触角1
0°以下の親水性を示すのに必要とする照射エネルギー
は、酸化タングステンと酸化スズを重量比でWO3/S
nO2=0.3/0.7の比率で混合した場合には約3
30mJ/cm2、酸化タングステンと酸化スズとを重
量比でWO3/SnO2=0.5/0.5の比率で混合し
た場合には約90mJ/cm2、酸化タングステンと酸
化スズを重量比でWO3/SnO2=0.7/0.3の比
率で混合した場合には約150mJ/cm2であり、酸
化タングステンと酸化スズとの重量比が0.5対0.5
(1対1)である時に最も小さく、この比率以外では、
より大きな照射エネルギーを必要とすることがわかる。
【0086】つまり、中間層2に含まれる酸化タングス
テンと酸化スズとの重量比を0.5対0.5にすること
で、より低い照射エネルギーで版材5表面を親水化する
ことができる。言い換えれば、同じ照射エネルギーで版
材5表面を親水化しようとする場合、酸化タングステン
と酸化スズとの重量比が0.5対0.5である時に最も
短い時間で親水化することができ、版の作製及び再生に
かかる時間を短縮することが可能である。
【0087】以上詳述したように、本発明の一実施形態
にかかる平版印刷用版材5によれば、版の再利用が可能
であるという効果もさることながら、そのサイクルを迅
速化できる効果をも得ることができる。すなわち、基材
1と光触媒を含む感光層3との間に、2種類以上の酸化
物を含む層、いわゆる中間層2を設けることにより、感
光層3の光触媒の触媒活性を高めることができる。つま
り、版を作製するにも、版を再生するにも、いずれにし
ても、それらを実現するための作業に時間がかからない
こととなっている。従って、印刷工程全体を極めて速や
かに完了させることが可能なものとなっている。
【0088】また、可視光を含む波長600nm以下の
光を活性光として使用できることから、画像書き込みや
履歴消去において可視光を使用することが可能であり、
版材5の取り扱い、及び、書き込み操作が容易である。
さらに、版の再生・再利用を可能としたことから、使用
後に廃棄される版材5の量を著しく減少させることがで
きる。また、画線部としてポリマーを用いないことか
ら、版再生時に画線部ポリマーを洗浄するための洗浄液
も不要である。したがって、環境に優しいだけでなく、
版材5に関わるコストを大幅に低減することができる。
【0089】また、平版印刷用版材5を印刷機10に取
り付けた状態で、版の作製及び再生ができ、版交換作業
を必要とせず操作性を向上させることができる。さら
に、画像に関するデジタルデータから、版材5への画像
書き込みを直接実施することが可能であることから、印
刷工程のデジタル化対応がなされており、その相応分の
大幅な時間短縮、またはコスト削減を図ることができ
る。
【0090】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の平版印刷用版材によれば、基材と感光層との間に
介装された中間層が、2種類以上の酸化物半導体を含み
感光層の電荷分離効率を向上させるので、感光層の光触
媒活性を高めることができ、より低い活性光照射エネル
ギーで感光層表面を親水化することができる。
【0091】したがって、版材表面への活性光による画
像書き込み速度を早めて版作製時間を短縮することがで
きるとともに、活性光による画像履歴消去速度を早めて
版再生時間を短縮することができる。これにより、印刷
準備時間をさらに短縮することができる。また、版材を
再生し繰り返し使用することにより、使用後に廃棄され
る版材の量を著しく減少させることができるとともに、
版材に関わるコストを低減できる。
【0092】請求項2記載の本発明の平版印刷用版材に
よれば、光触媒が、酸化チタン光触媒あるいは酸化チタ
ン光触媒加工物であるので、活性光照射下で光触媒を含
む感光層に付着している有機系化合物を分解できるとと
もに、光触媒自身の親水性を高めることができる。請求
項3記載の本発明の平版印刷用版材によれば、中間層
が、酸化タングステンと酸化スズとを含んでいるので、
活性光照射下において酸化チタン光触媒を含む感光層が
有機系化合物を分解する作用と親水化する作用とを同時
に向上させることができる。
【0093】請求項4記載の本発明の平版印刷用版材に
よれば、酸化タングステンと酸化スズとの混合比をそれ
ぞれWO3とSnO2として、その重量比で1対1とする
ことで、感光層表面の親水化にかかる活性光照射エネル
ギーを大幅に低減することができる。請求項5記載の本
発明の平版印刷用版材によれば、活性光は、可視光を含
む波長600nm以下の光であるので、可視光〜紫外光
の波長の光で画像書き込みが可能であり、画像書き込み
時の照射光の選択肢を広げることができる。
【0094】請求項6記載の本発明の平版印刷用版材に
よれば、版材への画像書き込み時及び版の再生時には、
感光層表面の特性が親水性と疎水性との間で変換される
ので、これら2つの状態により画像を形成することがで
きるとともに、2つの状態のうちどちらか一方の状態に
することにより版の再生を行なうことができる。請求項
7記載の本発明の平版印刷用版材によれば、活性光が照
射されると感光層表面の特性が疎水性から親水性へ変換
されるので、疎水性の感光層表面に活性光を照射して、
その照射面を親水化することで、版材表面に疎水性の画
線部と親水性の非画線部とからなる画像を形成すること
ができる。また、版材表面の全面に活性光を照射するこ
とで、版材表面の全面を親水化して画像履歴を消去で
き、版を再生することができる。
【0095】請求項8記載の本発明の平版印刷用版材に
よれば、版の再生時には、活性光が照射されると光触媒
の作用により分解される性質を有する疎水性の有機系化
合物を感光層表面に供給すること、及び、感光層表面に
光又は電気のエネルギー束を照射すること、及び、感光
層表面に摩擦を加えること、の何れかによって感光層表
面を疎水化するので、このように疎水化された感光層表
面に活性光を照射することで照射面のみを親水化するこ
とができ、疎水性の画線部と親水性の非画線部とからな
る画像を確実に形成することができる。
【0096】請求項9記載の本発明の平版印刷用版材の
作製方法によれば、基材表面に2種類以上の酸化物半導
体を含み電荷分離効率を向上させる中間層を形成する中
間層形成工程と、中間層表面に活性光に反応する光触媒
を含む感光層を形成する感光層形成工程とをそなえてい
るので、感光層の光触媒活性を高めることができ、より
低い活性光照射エネルギーで感光層表面を親水化するこ
とが可能な平版印刷用版材を作製できる。
【0097】したがって、版材表面への活性光による画
像書き込み速度を早めて版作製時間を短縮することがで
きるとともに、活性光による画像履歴消去速度を早めて
版再生時間を短縮することができる。これにより、印刷
準備時間をさらに短縮することができる。また、版材を
再生し繰り返し使用することにより、使用後に廃棄され
る版材の量を著しく減少させることができるとともに、
版材に関わるコストを低減できる。
【0098】請求項10記載の本発明の平版印刷用版材
の作製方法によれば、中間層形成工程は、酸化物半導体
を含むゾル液を塗布した後、酸化物半導体を含むゾル液
を硬化させる工程であり、感光層形成工程は、光触媒ゾ
ルを含むゾル液を塗布した後、光触媒ゾルを含むゾル液
を硬化させる工程であるので、平版印刷用版材をゾル塗
布法により作製することができる。
【0099】請求項11記載の本発明の平版印刷用版材
の作製方法によれば、中間層形成工程は、2種類以上の
酸化物半導体のターゲットを用いてスパッタリングによ
り酸化物半導体を含む層を基材表面に形成する工程であ
り、感光層形成工程は、光触媒を含むターゲットを用い
てスパッタリングにより光触媒を含む層を形成した後焼
成する工程であるので、平版印刷用版材をスパッタリン
グ法により作製することができる。
【0100】請求項12記載の本発明の平版印刷用版材
の作製方法によれば、2種類以上の酸化物半導体は、酸
化タングステン及び酸化スズを含んでいるので、活性光
照射下において光触媒を含む感光層が有機系化合物を分
解する作用と親水化する作用とを同時に向上させること
ができる。
【0101】請求項13記載の本発明の印刷機によれ
ば、請求項8記載の平版印刷用版材が取り付けられる版
胴と、版材表面を疎水化する版面の疎水化装置と、疎水
化された版材表面に600nm以下の活性光を照射して
画像を書き込む画像書き込み装置と、画像書き込みが行
なわれた版材表面にインキを塗布するインキングローラ
と、版材表面に塗布されたインキを除去する版クリーニ
ング装置と、インキの除去後、版材表面に活性光を照射
することにより版材表面を親水化して版材表面の画像履
歴を消去する画像履歴消去装置とをそなえているので、
平版印刷用版材を印刷機に取り付けた状態で、版の作製
及び再生ができ、版交換作業を必要とせず操作性を向上
させることができる。
【0102】また、活性光は、可視光を含む波長600
nm以下の光であるので、可視光〜紫外光の波長の光で
画像書き込みが可能であり、画像書き込み時の照射光の
選択肢を広げることができる。さらに、版材を再生し繰
り返し使用することにより、使用後に廃棄される版材の
量を著しく減少させることができるとともに、版材に関
わるコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる平版印刷用版材の
版材表面が疎水性を示している場合の模式的断面図であ
る。
【図2】本発明の一実施形態にかかる平版印刷用版材の
版材表面が親水性を示している場合の模式的断面図であ
る。
【図3】本発明の一実施形態にかかる平版印刷用版の作
製及び再生を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態にかかる平版印刷用版の画
像書き込みから再生までのサイクルを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる平版印刷用版の一
例を示す模式的な斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態にかかる時間(又は操作)
と版材表面の水の接触角との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態にかかる印刷及び版再生を
行なう印刷機を示す模式的な図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる照射エネルギーと
平版印刷用版材の水の接触角との関係を示すグラフであ
る。
【図9】本発明の一実施形態にかかる照射エネルギーと
平版印刷用版材の水の接触角との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1 基材 2 2種類以上の酸化物半導体を含む中間層 3 光触媒を含む感光層 3a 非画線部 3b 画線部 5 平版印刷用版材 6 水 10 印刷機 11 版胴 12 版クリーニング装置 13 画像書き込み装置 14 版面の疎水化装置 15 加熱装置 16 親水化処理用活性光照射装置(画像履歴消去装
置) 17 インキングローラ 18 湿し水供給装置 19 ブランケット胴 20 紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/004 521 G03F 7/004 521 4G069 Fターム(参考) 2C034 BA02 BA11 2H025 AA00 AB02 AC01 AD03 BH03 DA40 2H084 AA14 AA30 AA36 AA38 AE05 CC05 2H096 AA06 BA09 BA20 CA20 EA02 2H114 AA04 AA22 AA23 AA28 BA01 BA10 DA08 DA64 EA01 EA06 EA08 FA06 GA01 GA27 GA29 GA34 GA38 4G069 BA04A BA04B BA48A BC22A BC22B BC60A BC60B CD10 EA08 FB02

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒を含む層を有し、該光触媒のバン
    ドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーをもつ活
    性光により画像を書き込み、湿式現像処理なしに版作製
    が可能で、且つ、版を繰り返し再生し利用することが可
    能な平版印刷用版材であって、 基材と、 該基材表面にそなえられ、該活性光に反応する該光触媒
    を含む感光層と、 該基材と該感光層との間に介装され、2種類以上の酸化
    物半導体を含み該感光層の電荷分離効率を向上させる中
    間層とから構成されることを特徴とする、平版印刷用版
    材。
  2. 【請求項2】 該光触媒は、酸化チタン光触媒あるいは
    酸化チタン光触媒加工物であることを特徴とする、請求
    項1記載の平版印刷用版材。
  3. 【請求項3】 該中間層は、酸化タングステンと酸化ス
    ズとを含んでいることを特徴とする、請求項2記載の平
    版印刷用版材。
  4. 【請求項4】 該酸化タングステンと該酸化スズとの混
    合比が、それぞれWO3とSnO2として、その重量比で
    1対1であることを特徴とする、請求項3記載の平版印
    刷用版材。
  5. 【請求項5】 該活性光は、波長600nm以下の光で
    あることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記
    載の平版印刷用版材。
  6. 【請求項6】 上記の版材への画像書き込み時及び版の
    再生時には、該感光層表面の特性が親水性と疎水性との
    間で変換されることを特徴とする、請求項1〜5の何れ
    か1項に記載の平版印刷用版材。
  7. 【請求項7】 該活性光が照射されると該感光層表面の
    特性が疎水性から親水性へ変換されることを特徴とす
    る、請求項6記載の平版印刷用版材。
  8. 【請求項8】 上記の版の再生時には、該活性光が照射
    されると該光触媒の作用により分解される性質を有する
    疎水性の有機系化合物が該感光層表面に供給されるこ
    と、及び、該感光層表面に光又は電気のエネルギー束が
    照射されること、及び、該感光層表面に摩擦が加えられ
    ること、の何れかによって該感光層表面が疎水化される
    ことを特徴とする、請求項6又は7記載の平版印刷用版
    材。
  9. 【請求項9】 光触媒を含む層を有し、該光触媒のバン
    ドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーをもつ活
    性光により画像を書き込み、湿式現像処理なしに版作製
    が可能で、且つ、版を繰り返し再生し利用することが可
    能な平版印刷用版材の作製方法であって、 基材表面に2種類以上の酸化物半導体を含み電荷分離効
    率を向上させる中間層を形成する中間層形成工程と、 該中間層表面に該光触媒を含む感光層を形成する感光層
    形成工程とをそなえていることを特徴とする、平版印刷
    用版材の作製方法。
  10. 【請求項10】 該中間層形成工程は、 該酸化物半導体を含むゾル液を塗布した後、上記の酸化
    物半導体を含むゾル液を硬化させる工程であり、 該感光層形成工程は、 該光触媒を含むゾル液を塗布した後、上記の光触媒を含
    むゾル液を硬化させる工程であることを特徴とする、請
    求項9記載の平版印刷用版材の作製方法。
  11. 【請求項11】 該中間層形成工程は、 上記の2種類以上の酸化物半導体のターゲットを用いて
    スパッタリングにより該酸化物半導体を含む層を該基材
    表面に形成する工程であり、 該感光層形成工程は、 該光触媒を含むターゲットを用いてスパッタリングによ
    り該光触媒を含む層を形成した後焼成する工程であるこ
    とを特徴とする、請求項9記載の平版印刷用版材の作製
    方法。
  12. 【請求項12】 上記の2種類以上の酸化物半導体は、
    酸化タングステンと酸化スズとを含んでいることを特徴
    とする、請求項9〜11の何れか1項に記載の平版印刷
    用版材の作製方法。
  13. 【請求項13】 請求項8記載の平版印刷用版材が取り
    付けられる版胴と、 該版材表面を疎水化する版面の疎水化装置と、 上記の疎水化された版材表面に600nm以下の活性光
    を照射して画像を書き込む画像書き込み装置と、 上記の画像書き込みが行なわれた版材表面にインキを塗
    布するインキングローラと、 該版材表面に塗布されたインキを除去する版クリーニン
    グ装置と、 該インキの除去後、該版材表面に該活性光を照射するこ
    とにより該版材表面を親水化して該版材表面の画像履歴
    を消去する画像履歴消去装置とをそなえていることを特
    徴とする、印刷機。
JP2002126722A 2002-04-26 2002-04-26 平版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機 Expired - Fee Related JP3897635B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002126722A JP3897635B2 (ja) 2002-04-26 2002-04-26 平版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機
US10/421,942 US6938546B2 (en) 2002-04-26 2003-04-24 Printing press, layered formation and making method thereof, and printing plate and making method thereof
EP03008845A EP1356930B1 (en) 2002-04-26 2003-04-25 Printing press, layered formation and making method thereof, and printing plate and making method thereof
DE60324218T DE60324218D1 (de) 2002-04-26 2003-04-25 Druckmaschine, in Schichten angeordnetes Element und Verfahren zu seiner Herstellung, Druckplatte und Verfahren zu ihrer Herstellung

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002126722A JP3897635B2 (ja) 2002-04-26 2002-04-26 平版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003312158A true JP2003312158A (ja) 2003-11-06
JP3897635B2 JP3897635B2 (ja) 2007-03-28

Family

ID=29541055

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002126722A Expired - Fee Related JP3897635B2 (ja) 2002-04-26 2002-04-26 平版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3897635B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004066549A (ja) * 2002-08-02 2004-03-04 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 層状構成物及びその製造方法、平版印刷用版材及びその製造方法並びに印刷機
JP2010023510A (ja) * 2008-07-16 2010-02-04 Heidelberger Druckmas Ag 再利用可能な印刷表面を少なくとも1つの液体で処理する方法
JPWO2023013287A1 (ja) * 2021-08-04 2023-02-09

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004066549A (ja) * 2002-08-02 2004-03-04 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 層状構成物及びその製造方法、平版印刷用版材及びその製造方法並びに印刷機
JP2010023510A (ja) * 2008-07-16 2010-02-04 Heidelberger Druckmas Ag 再利用可能な印刷表面を少なくとも1つの液体で処理する方法
JPWO2023013287A1 (ja) * 2021-08-04 2023-02-09
WO2023013287A1 (ja) * 2021-08-04 2023-02-09 三井金属鉱業株式会社 タングステン酸溶液およびその製造方法、酸化タングステン粉末およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3897635B2 (ja) 2007-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3422754B2 (ja) 印刷用版材の作製方法、再生方法及び印刷機
JP3534697B2 (ja) 印刷用版材の作製方法、再生方法及び印刷機
US20060144271A1 (en) Coating formulation for printing plate precursor, printing plate precursor, printing press, fabrication process of printing plate, and regeneration process of printing Plate
US6938546B2 (en) Printing press, layered formation and making method thereof, and printing plate and making method thereof
JP3897635B2 (ja) 平版印刷用版材及びその作製方法並びに印刷機
JP3686361B2 (ja) 印刷版材用塗布液および印刷用版材の作製方法
EP1479527B1 (en) Printing press, printing plate manufacturing method, and process for regenerating printing plate
EP1481814A1 (en) Plate material for printing and method for regenerating/reusing plate material for printing and printing machine
US20040173114A1 (en) Plate material for printing and method for regenerating/reusing plate material for printing and printing machine
JP3848849B2 (ja) 印刷用版材の作製方法,再生方法及び印刷機及び印刷用版材
JP3868319B2 (ja) 印刷用版材の再生方法及び再生装置並びに印刷機
WO2003080362A1 (fr) Procede permettant de regenerer une plaque d'impression lithographique, dispositif de regeneration, imprimante, plaque d'impression lithographique et procede de fabrication associe, et corps de structure stratifiee et procede de fabrication associe
JP3572279B2 (ja) 印刷用版材、印刷用版材の製造方法及び印刷用版材の再生方法
JP2004085375A (ja) 光触媒活性の評価方法及び評価装置、並びに光触媒を含む層
EP1473171A1 (en) Plate material for printing and printing machine
JP3935686B2 (ja) 印刷用版材の再生方法
JP3782682B2 (ja) 印刷用版材用塗布液、印刷用版材、印刷用版材の作製方法及び再生方法
JP3124264B2 (ja) 印刷用版材の再生方法及び印刷機
JP3810653B2 (ja) 印刷用版材用塗布液、印刷用版材、印刷用版材の作製方法、再生方法及び印刷機
JP2004066549A (ja) 層状構成物及びその製造方法、平版印刷用版材及びその製造方法並びに印刷機
JP2003280185A (ja) 感光層,感光層を有する印刷用版材,印刷機,平版印刷版の作製方法
JP2004025788A (ja) 印刷用版材及びその作製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050405

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060607

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060620

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060821

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060912

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061128

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061219

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees