JP2004025788A - 印刷用版材及びその作製方法 - Google Patents

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Yasuharu Suda
須田 康晴
Kozo Iida
飯田 耕三
Yasunori Taga
多賀 康訓
Takeshi Owaki
大脇 健史
Kenji Morikawa
森川 健志
Toyoo Ofuji
大藤 豊士
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Abstract

【課題】扱いやすく且つコンパクトな装置を用いてデジタルデータから直接版を作製することができ、且つ再生により繰り返し使用することが可能な印刷用版材を提供する。
【解決手段】版材5表面を形成する層に紫外線のみならず可視光にも応答する窒素含有型酸化チタン光触媒を含むことで、可視光の照射による版材5表面への画像の書き込みと、書き込まれた画像の消去による版材5表面の再生とにより繰り返し使用可能にする。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の照射による版材表面への画像の書き込みと、光の照射により前記画像を消去する前記版材表面の再生とにより繰り返し使用可能な、印刷用版材及びその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷技術一般として、昨今、印刷工程のデジタル化が進行しつつある。これは、パソコンで画像,原稿を作成したり、スキャナ等で画像を読み込んだりすることにより当該画像データをデジタル化し、このデジタルデータから直接印刷用版を製作するというものである。このことによって、印刷工程全体の省力化が図れるとともに、高精細な印刷を行うことが容易になる。
【0003】
従来、印刷に用いる版としては、陽極酸化アルミを親水性の非画線部とし、その表面上に感光性樹脂を硬化させて形成した疎水性の画線部を有する、いわゆるPS版(Presensitized Plate)が一般的に用いられてきた。このPS版を用いて印刷用版を作製するには複数の工程が必要であり、このため、版の製作には時間がかかり、コストも高くなるため、印刷工程の時間短縮および印刷の低コスト化を推進しにくい状況である。特に少部数の印刷においては印刷コストアップの要因となっている。また、PS版ではアルカリ現像液による現像工程を必要とし、手間がかかるだけでなく、現像廃液の処理が環境汚染防止という観点から重要な課題となっている。
【0004】
さらに、PS版では、一般に原画像が穿設されたフィルムを版材表面に密着させて露光する方法が用いられており、デジタルデータから直接版を作製し印刷工程のデジタル化を進めるうえで印刷用版の作製が障害となっている。また、一つの絵柄の印刷が終わると、版を交換して次の印刷を行わなければならず、版は使い捨てにされていた。
【0005】
前記PS版の欠点に対して、印刷工程のデジタル化に対応し、さらに現像工程を省略できる方法が提案され商品化されているものもある。例えば、特開昭63−102936号公報には、液体インクジェットプリンタのインクとして感光樹脂を含むインクを用い、これを印刷製版材に噴射し、その後で、光照射により、画像部を硬化させることを特徴とする製版方法が開示されている。また、特開平11−254633号公報には、固体インクを吐出するインクジェットヘッドによりカラーオフセット印刷用刷版を作製する方法が開示されている。
【0006】
さらにまた、PET(Polyethylene Terephthalate)フィルム上にカーボンブラックなどのレーザ吸収層、さらにその上にシリコン樹脂層を塗布したものに、レーザ光線で画像を書き込むことによりレーザ吸収層を発熱させ、その熱によりシリコン樹脂層を焼き飛ばして印刷用版を作製する方法、或いは、アルミ版の上に親油性のレーザ吸収層を塗布し、さらにその上に塗布した親水層を前記と同様にレーザ光線で焼き飛ばして印刷用版とする方法、などが知られている。
【0007】
この他にも、親水性ポリマーを版材として使用し、画像露光により照射部を親油化させ版を作製する手段も提案されている。さらに、PS版へデジタルデータから直接レーザで画像を書き込む方式も提案され、例えば波長405nmのバイオレットレーザやマイクロミラーとUVランプを用いた書き込み装置、いわゆるCTP(Computer to Plate)も市販されている。
【0008】
しかし、このような方法では、デジタルデータから直接版を作製することは可能であるが、一つの絵柄の印刷が終わると新しい版に交換しなければ次の印刷が出来ず、従って、一度使った版は廃棄されることに変わりはない。
さらにまた、例えば、特開平10−250027号公報には、酸化チタン光触媒を用いた潜像版下、潜像版下の製造方法、及び潜像版下を有する印刷装置が、また特開平11−147360号公報においても、光触媒を用いた版材によるオフセット印刷法が開示されている。しかし、これらは、いずれも画像書き込みには光触媒を活性化させる光、すなわち実質的に紫外線を用い、加熱処理で光触媒を疎水化して版を再生する方法を提案している。
【0009】
また、特開平11−105234号公報で開示された平版印刷版の作製方法では、光触媒を活性光、すなわち紫外線で親水化した後、ヒートモード描画にて画線部を書き込む方法を提案している。
しかし、東京大学・藤嶋教授、橋本教授らにより、酸化チタン光触媒は加熱処理で親水化することが確認されており〔三邊ら「酸化チタン表面の構造変化に伴う光励起親水化現象の挙動に関する研究」、光機能材料研究会第5回シンポジウム「光触媒反応の最近の展開」資料、(1998)p.124−125〕、これによれば、前記各公開公報で開示された方法では、版の再生利用、或いは版の作製は不可能である。
【0010】
さらにまた、前記酸化チタン光触媒を用いた版材では、紫外線を用いることから、人体への影響、印刷機のゴム製部品や樹脂製部品の劣化などの懸念もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前記事情に対して、本発明者らは、アルカリ現像処理なしでデジタルデータから直接版を作製することができ、且つ再生により繰り返し使用することが可能であり、さらに紫外線を必ずしも必要としない光触媒を用いた印刷用版材について鋭意研究を重ねた。
【0012】
すなわち、本発明は、扱いやすく且つコンパクトな装置を用いてデジタルデータから直接版を作製することができ、且つ再生により繰り返し使用することが可能な印刷用版材及びその作製方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の印刷用版材(請求項1)は、光の照射による版材表面への画像の書き込みと、光の照射により前記画像を消去する前記版材表面の再生とにより繰り返し使用可能な印刷用版材(単に版材ともいう)であって、前記版材が、基材上に窒素含有型酸化チタン光触媒を含む光触媒層をそなえていることを特徴としている。
【0014】
ここで、窒素含有型酸化チタン光触媒は、酸化チタン結晶の酸素サイトの一部を窒素原子で置換、又は、酸化チタン結晶の格子間に窒素原子をドーピング、又は、酸化チタン結晶の多結晶集合体の粒界に窒素原子を配してなる光触媒である。例えば、酸化チタンに窒素を含有することにより、酸素が支配する半導体の価電子帯が影響を受け、酸化チタンのバンドギャップの内側に新しいエネルギー準位が形成され、バンドギャップが狭くなる。この結果、紫外線よりも長い波長の可視光をも吸収して、電子と正孔とを生成し、光触媒活性を発現することが可能となる。
【0015】
光触媒は、バンドギャップエネルギーより高いエネルギーの波長の光が照射されることで活性化するが、従来の酸化チタン光触媒を用いた版材の提案では紫外線を用いることが具体例として挙げられていた。確かに紫外線は波長が短くエネルギーが高いので光触媒を活性化させることは容易であるが、その半面、取り扱いに注意を要するとともに画像を書き込む照射装置が大型になってしまう。
【0016】
そこで、本発明の印刷用版材では、可視光を照射することでも活性化する窒素含有型酸化チタン光触媒を用いることで、画像の書き込み装置として可視光の照射装置を用いることを可能にし、扱いやすさと装置のコンパクトさとを実現した。
なお、ここでいう可視光とは波長600nm以下、さらに好ましくは波長520nm以下の光である(請求項2)。このような窒素含有型酸化チタン光触媒を用いることで、可視光、具体的には約380nm以上600nm以下の波長の光のみでも、後述する画像書き込みが可能である。
以下、前記印刷用版材の光触媒に触媒活性を発現させる有効なエネルギーを持った光を活性光と呼ぶこととする。
【0017】
光触媒には、活性光に反応することにより光触媒自身の特性が疎水性から親水性へ変換するという特徴と、表面に存在する有機系化合物を分解するという特徴とがある。本発明では、光触媒自身が疎水性から親水性へ変換すること、或いは光触媒層表面に存在する有機系化合物が分解されて親水性の光触媒表面が露出すること、のいずれかによって光触媒層表面の特性が疎水性から親水性へ変換する。そして、この光触媒層表面の特性の変換により、前記版材表面への画像の書き込みと前記版材表面の再生とが行なわれることをさらなる特徴としている(請求項3)。
【0018】
これにより前記印刷用版材の版材表面に活性光で画像を書き込むことが可能になる。そして、活性光で画像を書き込んで親水性に変換された面には、湿し水が優先的に付着し、疎水性インキが付着しない非画線部として機能する。一方、活性光が照射されなかった版材表面は疎水性であり、疎水性インキが優先的に付着し、湿し水が付着しない画線部として機能する。
【0019】
さらに、印刷終了後、版材表面のインキや紙粉などを洗浄し、あるいは拭き取り、例えば版全面に活性光を照射することで、版全面を親水性にして版材表面の画像履歴を消去することが可能である。
なお、照射する活性光としては、可視光だけでなく紫外線も用いることができる。
【0020】
そして、光触媒の特性を親水性から疎水性へ変換することにより、全面親水性の版材表面を疎水性にして版を再生することができる。光触媒の特性を親水性から疎水性へ変換する方法としては、光,電気等のエネルギー束を版材表面に照射する、及び、摩擦等の機械的刺激を版材表面に加える、及び、光触媒作用で分解する有機系化合物を版材表面に供給する、のいずれかを行なうことが好ましい。
【0021】
また、前記版材が、前記基材と前記光触媒層との間に酸化物層をそなえていても良い(請求項4)。さらに、前記酸化物層は、シリカであることが好ましい(請求項5)。この酸化物層は、作製過程における焼成工程において基材から光触媒層へ不純物が拡散することを防止したり、基材を光触媒作用から保護したり、光触媒層の基材への付着性を向上させたり、有機系化合物の分解性を促進したりする効果を有する。
【0022】
また、本発明の印刷用版材の作製方法(請求項6)は、請求項1〜3の何れか1項に記載の印刷用版材を作製する方法であって、前記基材上に、スパッタリング法により前記光触媒層を成膜することを特徴としている。
また、本発明の印刷用版材の作製方法(請求項7)は、請求項4又は5記載の印刷用版材を作製する方法であって、前記基材上に、スパッタリング法により前記酸化物層を成膜した後、前記酸化物層上に、スパッタリング法により前記光触媒層を成膜することを特徴としている。
【0023】
そして、前記光触媒層の成膜後、前記光触媒層を熱処理することによって前記光触媒層を結晶化することが好ましい(請求項8)。
このような作製方法により、可視光領域における高い触媒活性,高い膜強度及び高い付着性を兼ね備えることが可能で、繰り返し使用に対しても十分な耐久性を有する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下では本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる印刷用版材の表面を模式的に示す断面図である。この印刷用版材(以下、単に版材ともいう)5は、基材1と、酸化物層2と、窒素含有型酸化チタン光触媒を含む光触媒層(以下、単に光触媒層ともいう)3とから基本的に構成されている。
【0025】
基材1は、ここではアルミニウムやステンレス等の金属等で構成されている。ただし、本発明の版材5の基材1が上記のアルミニウムやステンレス等の金属に限定されるものではない。
【0026】
そして、基材1の表面上には、酸化物層2が形成されている。酸化物層2としては、例えば、シリカ(SiO)等がその材質として利用される。ただし、本発明は酸化物層2が上記のシリカ等に限定されるものではない。また、酸化物層2に利用される酸化物としては、アモルファスでも結晶性のものでも良い。なお、この酸化物層2は、基材1と、後述する光触媒層3との付着を確実なものとならしめること、又は、基材1から光触媒層3への不純物拡散を防止すること、又は、基材1を光触媒作用から保護すること、又は、光触媒層3の有機系化合物の分解活性を向上させることを目的として形成されるものであるが、酸化物層2がなくてもこれらが満足される場合は、版材5に酸化物層2を特にそなえなくとも良い。
【0027】
また、酸化物層2上(或いは基材1上)には、窒素含有型酸化チタン光触媒を含む光触媒層3が形成されている。この光触媒層3の表面(即ち、版材5の表面)は、光触媒のバンドギャップエネルギーより高いエネルギーをもつ活性光が照射されることによって、有機系化合物を分解したり、光触媒自身が親水化するという光触媒活性を示したりするようになる。
【0028】
通常のアナターゼ型酸化チタン光触媒では、バンドギャップエネルギーが3.2eVもあるために波長380nm以下の紫外線にしか応答しない。しかしながら、本発明では、窒素を含有した酸化チタン光触媒を用いており、窒素原子を含有することにより酸化チタンのバンドギャップ内に新たな準位が形成されることで紫外線よりも波長の長い光にも応答させることができ、これにより、活性光として紫外線のみならず波長が600nm以下の領域にある可視光も使用可能となっている。
【0029】
次に、このような可視光でも応答する窒素含有型酸化チタン光触媒を含む光触媒層3の形成方法について説明する。
まず、用意した基材1表面を洗浄し、スパッタリング装置(図示省略)の真空チェンバー内に、酸化チタン(TiO)ターゲットとともにセットし、真空排気する。そして、所定の真空度まで排気した後、Ar等の不活性ガス及び窒素ガスを導入し、(Ar+N)プラズマ中で酸化チタンターゲットをスパッタし、基材1上に、窒素含有型酸化チタン光触媒を含む光触媒層3を形成する。なお、基材1と光触媒層3との間に酸化物層2を介装する場合は、基材1上に光触媒層3を形成する前に、スパッタリング法により基材1上に酸化物層2を形成すればよい。
【0030】
その後、真空チェンバー内、もしくは一旦空気中に取り出した後、酸素雰囲気中において、例えば550℃で熱処理する。この熱処理によって、光触媒層3を結晶化させる。
なお、このような光触媒層3の上に、必要に応じてさらに酸化物層2をスパッタリング法により形成してもよい。即ち、高い親水性及びその維持特性を向上させるために、シリカ層或いは酸化チタン層を設けても良い。なお、本発明では、このような光触媒層3の上に形成された酸化物層(図示省略)を含めて、光触媒層3ということとする。
【0031】
このように、本発明の版材5は、光触媒層3をスパッタリング法により形成するため、光触媒層3の機械的強度及び基材1に対する付着性が、例えばゾルゲル法で形成した光触媒層3よりも高く、印刷における耐刷性が非常に高いという特徴を有する。
また、ベースとなる酸化チタン光触媒としては、ルチル型,アナターゼ型,ブルッカイト型があるが、本実施形態においてはいずれも利用可能であり、これらの混合物を用いてもよい。
【0032】
また、光触媒層3の膜厚は、0.1〜2μmの範囲内にあることが好ましい。この理由は、膜厚があまりに小さければ、前記した性質を十分に生かすことが困難であり、また、膜厚があまりに大きければ、光触媒層3にヒビ割れが発生し易くなり、耐刷性低下の要因となるためである。
【0033】
以下、版材5を用いた版の作製方法と再生方法について説明する。図3は、版の作製と再生の概念図を示すものである。なお、以下において「版の作製」とは、版材5表面を疎水化した後、この版材5表面の少なくとも一部をデジタルデータに基づいて活性光を照射して親水性の非画線部を形成し、活性光が照射されなかった版材5表面の疎水性部分と併せて、版材5表面上に疎水性画線部と親水性非画線部とからなる潜像を形成することをいうものとする。
【0034】
まず、版材5表面(光触媒層3表面でもある)に活性光を照射し、版材5表面の全面を水6の接触角が10°以下の親水性表面として図2に示すような状態を現出させる。これによって版材5表面を全面親水性にして、版の履歴を解消する。このときの活性光としては、勿論可視光を用いることもできるが、好ましくは図3(e)に示すように紫外線照射ランプ(UVランプ)8による弱い紫外線を用いる。紫外線照射ランプ8を用いるのは、履歴の解消には画像の書き込みと異なり弱い活性光で足りるのと、紫外線照射ランプ8は一般に出回っているために低コストで手に入れることができるからである。
【0035】
次に、光,電気等のエネルギー束を版材5表面に照射する、又は、摩擦等の機械的刺激を版材5表面に加える、又は、有機系化合物の薄膜を版材5表面に形成することにより、光触媒層3表面の特性を親水性から疎水性へ変換させて版材5全面を疎水化する。光触媒は放置しておくと次第に親水性から疎水性へ特性が変換していくが、このように、版材5表面に、エネルギー束を照射したり、摩擦等の機械的刺激を加えたり、あるいは有機系化合物の薄膜を形成したりすることで親水性から疎水性への特性の変換を促進することができる。
【0036】
図3(a)は、版材5全面を疎水化した状態を示している。ここでいう疎水性の版材5表面とは、図1に示すように、水6の接触角が50°以上、好ましくは80°以上の版材5表面であり、印刷用の疎水性インキが容易に付着する一方、湿し水の付着は困難な状態になっている。
版材5表面のこの状態を「版作製時の初期状態」という。なお、前記でいう「版作製時の初期状態」とは、実際上の印刷工程におけるその開始時とみなしてよい。より具体的にいえば、ある任意の画像に関して、それをデジタル化したデータが既に用意されていて、これを版材5表面上に書き込みしようとするときの状態を指すものとみなせる。
【0037】
次に、図3(b)に示すように、疎水性状態となっている版材5表面に対して画像書き込み工程として、非画線部3aを書き込む。この非画線部3aの書き込みは、画像に関するデジタルデータに準拠して、そのデータに対応するように行われる。なお、ここでいう非画線部3aとは、図2に示すように、水6の接触角が10°以下の親水性の部分であり、湿し水が容易に付着する一方、印刷用インキの付着は困難な状態になっている。
【0038】
親水性の非画線部3aを画像データに基づいて現出させる方法としては、版材5表面、即ち、光触媒層3表面に活性光を照射して、光触媒の作用で版材5表面を親水化させる方法が用いられる。活性光が照射されなかった版材5表面は疎水性のままであることから、版材5表面上には疎水性画線部3bと親水性非画線部3aとからなる潜像が形成され、これにより版が作製される。ここでは、図3(b)に示すように、可視光、例えば波長405nmのバイオレットレーザを用いた書き込みヘッド7によって、非画線部3aを書き込み、疎水性の版材5表面に非画線部3aを形成するようにしている。これにより、図3(c)に示すように、版材5表面への画線部3bと非画線部3aとの形成が完了し、印刷可能な状態となる。
【0039】
なお、ここでは取り扱いの容易さと装置のコンパクトさという利点から可視光を用いているが、活性光としては、このような可視光の他に紫外線を用いることも勿論可能である。例えばベイシスプリント社(ドイツ)が発表しているUVセッター710に用いられているUV光源とマイクロミラーとを用いた書き込みヘッド等、波長600nm以下、好ましくは波長500nm以下の光を用いたシステムであれば、版材5表面への画像の書き込み装置として使用できることはいうまでもない。
【0040】
前記までの処理が終了したら、版材5表面に湿し水、及び、印刷用の疎水性インキと湿し水とを混合した、いわゆる乳化インキを塗布する。これにより、例えば図4に示すような印刷用版が製作されたことになる。図4において、網掛けされた部分は、前記疎水性の画線部3bに疎水性インキが付着した状態を示している。残りの白地の部分、すなわち親水性の非画線部3aには湿し水が優先的に付着する一方、疎水性インキははじかれて付着しなかった状態を示している。このように絵柄が浮かび上がることにより、版材5表面は版としての機能を有することになる。この後、通常の印刷工程を実行し、これを終了させる。
【0041】
次に、版材5の再生方法について説明する。なお、「版の再生」とは、少なくとも一部が疎水性を示し、残りの部分が親水性を示す版材5表面を、全面均一に親水化した後、この親水性の版材5表面に、光,電気等のエネルギー束を単独或いは複数組み合わせて版材5表面に照射する、又は、摩擦等の機械的刺激を版材5表面に加える、又は、有機系化合物の薄膜を版材5表面に形成することにより光触媒層3表面の特性を親水性から疎水性へ変換させることによって、再び「版作製時の初期状態」に復活させることをいうものとする。
【0042】
図3(d)に示すように、まずインキ除去工程として、印刷終了後の版材5表面に付着したインキ,湿し水,紙粉などを除去する。この方法としては、版材5表面へのインキ供給を止めて刷り減らす方法、インキ拭き取り用の布状テープを巻き取る機構で版材5表面のインキを拭き取る方法、インキ拭き取り用の布状物を巻きつけたローラで版材5表面のインキを拭き取る方法、洗浄液をスプレーにより版材5表面に吹き付けてインキを洗い流す方法等を適宜用いればよい。
【0043】
その後、図3(e)に示すように、少なくとも一部が疎水性を示す版材5表面の全面に活性光を照射する。こうすることで画線部3bを親水化して、版材5表面の全面を水6の接触角が10°以下の親水性表面にすること、即ち、図2に示す状態とすることができる。前述のように、このときの活性光としては紫外線照射ランプ8による弱い紫外線を用いるのが好ましい。
【0044】
次に、紫外線照射により全面親水性に回復した版材5表面に、光,電気等のエネルギー束を単独或いは複数組み合わせて版材5表面に照射する、又は、摩擦等の機械的刺激を版材5表面に加える、又は、有機系化合物の薄膜を版材5表面に形成することにより、図3(a)に示すように、光触媒層3表面の特性を親水性から疎水性へ変換させて版材5表面を版作製時の初期状態に戻す。なお、図3(e)の工程は、版の履歴解消を完全に行なうために設けているが、図3(d)の工程で版材5表面に付着したインキの除去が少なくとも次の印刷に影響しない程度に充分に除去される場合には、図3中点線矢印で示すように、図3(e)の工程を飛ばして、図3(d)の工程から直ぐに図3(a)の工程に移っても差し支えない。
【0045】
以上説明したことを、まとめて示しているのが図5に示したグラフである。これは、横軸に時間(或いは操作)、縦軸に版材5表面の水6の接触角をとったグラフであって、本実施形態における印刷用版材5に関して、その版材5表面の接触角(即ち、疎水,親水状態)が時間或いは操作に伴ってどのように変化するかを示したものである。この図5において、一点鎖線は版材5表面の非画線部3aの接触角を、実線は画線部3bの接触角を、各々示している。
【0046】
これによれば、まず、版材5表面に活性光を照射して、版材5表面の、水6の接触角を10°以下の高い親水性を示すようにしておく(時点a)。
そして、最初に、再生工程(Aの工程)として、版材5表面に、光,電気等のエネルギー束を単独或いは複数組み合わせて版材5表面に照射する、又は、摩擦等の機械的刺激を版材5表面に加える、又は、有機系化合物の薄膜を版材5表面に形成することにより、光触媒層3表面の光触媒特性を親水性から疎水性へ変換する。疎水化による再生が終了した状態が「版作製時の初期状態」であり、この状態では版材5表面の水6の接触角は50°以上、好ましくは80°以上である。
【0047】
次に、非画線部書き込み工程(Bの工程)として、疎水性の版材5表面上に活性光により非画線部3aの書き込みを開始する(時点b)。こうすることによって、活性光を照射された版材5表面は光触媒の作用により疎水性から親水性へ変換する、即ち、版材5表面の水6の接触角が10°以下となる。一方、活性光を照射してない版材5表面は疎水性の状態を保つため、版材5表面は、活性光未照射部分が疎水性の画線部3bとなり、活性光照射部分が親水性の非画線部3aとなるため、版として機能することができるようになる。非画線部3aの書き込みが完了した後、印刷工程(Cの工程)として、印刷を開始することになる(時点c)。
【0048】
印刷が終了すると(時点d)、インキ除去工程(Dの工程)として、版材5表面のインキ,汚れなどを除去する。インキ除去完了後には、画線部3bの親水化工程(Eの工程)として、光触媒層3表面への活性光の照射を開始する(時点e)。こうすることにより、光触媒の作用により疎水性画線部3bは親水性非画線部3aに特性が変換され、光触媒層3の全面は再び親水性に戻る(時点a′)。
【0049】
この後、次の再生工程(A′の工程)として、光,電気等のエネルギー束を単独或いは複数組み合わせて版材5表面に照射する、又は、摩擦等の機械的刺激を版材5表面に加える、又は、有機系化合物の薄膜を版材5表面に形成することで、版材5表面は「版作製時の初期状態」に戻ることになり、この版材5は再利用に供されることになる。
【0050】
以上述べたように、本実施形態にかかる印刷用版材5は、再利用が可能となっているという利点もさることながら、そのサイクルを迅速化できる利点をも備えている。すなわち、光触媒自身の特性を親水性と疎水性にスイッチングさせることで、版を作製するにも版を再生するにも、いずれにしてもそれらを実現するための作業に時間がかからないこととなっている。従って、印刷工程全体を極めて速やかに完了させることが可能なものとなっている。
【0051】
また、版材5の再生・再利用を可能としたことから、使用後に廃棄される版材5の量を著しく減少させることができる。また、画線部3bにポリマーなどの疎水性物質を用いないで良い事から、版再生時にポリマーなどの廃棄物が発生しないだけでなく、ポリマーを洗浄するための洗浄液も不要である。したがって、環境に優しいだけでなく、版材5に関わるコストを大幅に低減することができる。
【0052】
また、画像に係わるデジタルデータから、版材5への画像書き込みを直接実施することが可能であることから、印刷工程のデジタル化対応がなされており、その相応分の大幅な時間短縮、またはコスト削減を図ることができる。
そして、さらに、本実施形態にかかる印刷用版材5によれば、光触媒層3に波長600nm以下の光に応答する光触媒を用いることで、画像の書き込み装置として可視光の照射装置を用いることが可能であるので、活性光として紫外線を用いなければならないものに比較して、より扱いやすく且つよりコンパクトな装置で版の作製や再生を行なうことができるという利点を備えている。
【0053】
以下では、版材5の作製及び再生にかかわる、本願発明者らが確認したより具体的な実施例について説明する。
1.光触媒層形成
基材1としてステンレス基板(SUS301,3/4H,厚さ0.1mm,サイズ204mm×150mm)を使用した。この基板を基板ホルダーに固定した後、基板ホルダーをRFマグネトロンスパッタ装置内の所定の位置にセットした。
【0054】
また、スパッタ装置内には、基板に対向するように、酸化チタン(TiO)ターゲットおよびシリカ(SiO)ターゲットを設置した。その後、スパッタ装置を5×10−5Pa以下まで真空排気した。
そして、Arおよび酸素ガスを5×10−1Paになるように導入し、Ar+Oプラズマ中で、シリカターゲットをスパッタし、基板表面上にシリカ膜(酸化物層2)を300nm成膜した。
【0055】
さらに、ガスをAr及び窒素に切り換え、5×10−1PaのAr+Nプラズマ中で、酸化チタンターゲットをスパッタし、シリカ膜上に窒素含有型酸化チタン(TiON)膜(光触媒層3)を200nm成膜し、続いて、5×10−1PaのAr+Oプラズマ中で、酸化チタンターゲットをスパッタし、TiON膜上にTiO膜を100nm成膜した。
最終的には、ステンレス基板上に、順にSiO,TiON,TiO膜を形成した。さらに、光触媒層3の結晶化を促進させるため、酸素雰囲気中で550℃,90minの熱処理を行った。
【0056】
2.可視光活性の確認
光触媒層3と酸化物層2とを有する版材5表面に低圧水銀ランプ(波長254nmの光量5mW/cm)を照射して版材5表面(即ち、光触媒層3表面)の水6の接触角を8°とした。版材5表面の水6の接触角は協和界面科学製のCA−W型接触角計で測定した。
【0057】
1,2−エポキシドデカン(和光純薬)1重量部をイソパラフィン(商品名アイソパーL,エクソンモービル製)99重量部に溶解した液(有機系化合物溶液)を、前記版材5表面にロールコートし(液膜約100μm)、60℃で10分間乾燥させた。この状態における版材5表面の水6の接触角を測定したところ、接触角は80°となり、十分な疎水性を示した。
【0058】
次いで、豊田合成製の青色LED(主波長470nm)を照射し、光照射に伴う版材5表面の水6の接触角変化を観察したところ、光照射エネルギー0.15J/cmで、版材5表面の水6の接触角は8°に戻った。すなわち、前記光触媒層3を有する版材5が、波長470nmの光で光触媒活性を示し、有機系化合物を分解することが確認できた。
【0059】
3.印刷準備
前記可視光活性の確認と同様にして、前記有機系化合物溶液を、前記版材5表面にロールコートし(液膜約100μm)、60℃で10分間乾燥させた。その後、前記接触角計で水6の接触角を測定したところ、接触角は81°となり、十分な疎水性を示し、前記版材5が版作製時の初期状態になっていることを確認した。
【0060】
4.画像書き込み
次に、波長405nm,出力5mW/チャンネル,ビーム径15μmの半導体レーザを用いた画像書き込み装置により版材5表面に画線率10%から100%までの10%刻みの網点画像を書き込んだ。書き込み終了後の版材5表面の水6の接触角を前記接触角計で測定したところ、半導体レーザで書き込んだ部分について接触角は7°で親水性の非画線部3aとなり、書き込んでいないところは接触角81°の疎水性を保った画線部3bとなっていることを確認した。
【0061】
5.印刷
この版材5を(株)アルファー技研の卓上オフセット印刷機ニューエースプロに取り付け、東洋インキ製のインキHYECOO−B紅MZと三菱重工業製の湿し水リソフェロー1%溶液を用いて、アイベスト紙に印刷速度3500枚/時にて印刷を開始し、印刷開始1枚目から紙面上には網点画像が印刷できた。印刷を2時間続けて7000枚印刷したが、印刷開始時と終了時の画質の差は無かった。
【0062】
6.再生
次に、版材5の再生に係わる実施例を説明する。
印刷終了後、版材5表面上に付着したインキ,湿し水,紙粉などをきれいに拭き取った版材5表面の全面に、低圧水銀ランプを用いて波長254nm,照度5mW/cmの紫外線を25秒照射した。
【0063】
その後、網点を書き込んでいた部分について直ちに前記接触角計で水6の接触角を測定したところ、接触角は8°となり、十分な親水性を示した。
次に、前記の有機系化合物溶液を、前記版材5表面にロールコートし(液膜約100μm)、60℃で10分間乾燥させ、直ちに前記接触角計で水6の接触角を測定したところ、接触角は80°となり、十分な疎水性を示し、前記版材5が「版作製時の初期状態」に戻り、版再生ができたことを確認した。
【0064】
7.耐刷性確認
前記の画像書き込み,印刷,再生の工程を50回繰り返し、1回の印刷毎に7000枚印刷し、計35万枚印刷終了した後、版材5表面を観察したが、光触媒層3の剥離は観察されなかった。
【0065】
なお、上記の印刷及び版再生を印刷機上で行なうためには、図6に示すような印刷機10を用いるのが好ましい。
この印刷機10は、版胴11を中心として、その周囲に版クリーニング装置12,画像書き込み装置13,版面の疎水化装置14,加熱装置15,画像履歴消去装置としての親水化処理用活性光照射装置16,インキングローラ17,湿し水供給装置18,ブランケット胴19を備えたものとなっている。なお、版材5は、版胴11に巻き付けられて設置されている。
【0066】
この印刷機10においては、前記したように印刷を終了した版の再生工程は、次のように行われる。
以下、図6を参照して版の再生及び作製を説明すると、まず、版クリーニング装置12を版胴11に対して接した状態とし、版材5表面に付着したインキ,湿し水,紙粉等をきれいに拭き取る。図6では、版クリーニング装置12としてインキ拭き取り用の布状テープを巻き取る機構を有する装置を示しているが、これに限るものではない。
【0067】
その後、版クリーニング装置12を版胴11から離隔させ、加熱装置15で版材5表面を加熱しながら親水化処理用活性光照射装置16により版材5全面に活性光を照射して版材5全面を親水化する。なお、ここで、版材5表面の親水化を行なう活性光として、600nm以下の波長の光を用いることができる。また、この活性光照射による親水化処理は、版の履歴を解消するために必要に応じて行なえばよく、必ずしも毎回行なう必要はない。
【0068】
そして、版面の疎水化装置14により版材5全面を疎水化する。なお、図6では、版面の疎水化装置14を、前記有機系化合物をローラにより版材5表面に供給して版材5表面を疎水化する装置として図示しているが、これに限るものではなく、上述したように、もちろん、光,電気等のエネルギー束を単独或いは複数組み合わせて照射する装置、又は、版材5表面に摩擦等の機械的エネルギーを加える装置として構成しても良い。
【0069】
次に、予め用意された画像のデジタルデータに基づいて画像書き込み装置13により版材5表面に活性光を照射して非画線部3aを書き込む(即ち、版材5表面に画像を書き込む)。なお、画像書き込み装置13の活性光として、波長600nm以下の光を用いることができる。
画像を書き込んだ後、インキングローラ17,湿し水供給装置18,ブランケット胴19を版胴11に対して接する状態とし、紙20がブランケット胴19に接するようする。そして、図6に示す矢印の方向にそれぞれ回転することによって版材5表面に湿し水及びインキが順次供給されて、紙20に印刷が行われるようになっている。
【0070】
このように、印刷機10においては、版胴11に取り付けられた版材5表面のクリーニングを行なう版クリーニング装置12と、活性光照射により画線部の消去(画像履歴消去)を行なう親水化処理用活性光照射装置16と、版材5表面を疎水化する疎水化装置14と、版材5表面を加熱して親水化を促進する加熱装置15とが、版を再生する再生装置として機能しており、さらに、版材5表面に画像書き込みを行なう画像書き込み装置13がそなえられることにより、版材5を印刷機10の版胴11に取り付けた状態で一連の版の再生及び作製の工程を行なうことができる。これによれば、印刷機10を停止することなく、また、版材5の交換作業を挟むことなく連続的な印刷作業の実施を行なうことが可能となる。
【0071】
また、画像書き込み時、波長600nm以下の光を用いるので、より取り扱いが容易な光で画像を書き込むことが可能である。
なお、この印刷機10では、版材5を版胴11に巻き付けるように構成しているが、これに限定されるものではなく、光触媒層3を、版胴11表面に直接設ける、即ち、版胴11と版材5とを一体に構成したものを用いても良いことはいうまでもない。
【0072】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の印刷用版材によれば、版材表面を形成する層に波長600nm以下の光に応答する窒素含有型酸化チタン光触媒を含む光触媒層を用いることで、波長600nm以下の可視光の照射による書き込みが可能であるので、活性光として紫外線を用いなければならないものに比較して、より扱いやすく且つよりコンパクトな装置で版の作製を行なうことができるという利点がある。また、可視光のみならず紫外線でも書き込みが可能であるので、書き込み装置の選択肢が広がるという利点もある。
【0073】
また、版材を再生し繰り返し使用することにより、使用後に廃棄される版材の量を著しく減少させることができるとともに、版材に関わるコストが低減できるようになるという利点がある。
さらに、印刷工程に占める版再生時間、特に画像書き込み時間を短縮できるため、印刷準備時間を短縮できるという利点もある。
【0074】
そして、本発明の印刷用版材の作製方法によれば、スパッタリング法により前記光触媒層を形成することにより、ゾルゲル法などで形成した光触媒層よりも機械的強度が高く且つ基材への付着性がよく、耐刷性が高いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる印刷用版材の表面を示す断面図である。また、この図は光触媒層表面が疎水性を示している状態も同時に示している。
【図2】本発明の一実施形態にかかる印刷用版材の表面を示す断面図である。また、この図は光触媒層表面親水性を示している状態も同時に示している。
【図3】本発明の一実施形態にかかる印刷用版材を用いた版の作製と再生の手順を示す概念図である。
【図4】版材表面に描かれた画像(画線部)とその白地(非画線部)の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる印刷用版材の版材表面の水の接触角(即ち、疎水,親水状態)が時間或いは操作に伴ってどのように変化するかを示したグラフである。
【図6】本発明の一実施形態にかかる印刷用版材が適用される印刷機の構成の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 基材
2 酸化物層
3 窒素含有型酸化チタン光触媒を含む光触媒層
3a 光触媒層(非画線部)
3b 光触媒層(画線部)
5 版材(印刷用版材)
6 水
10 印刷機
11 版胴
12 版クリーニング装置
13 画像書き込み装置
14 版面の疎水化装置
15 加熱装置
16 親水化処理用活性光照射装置(画像履歴消去装置)
17 インキングローラ
18 湿し水供給装置
19 ブランケット胴
20 紙

Claims (8)

  1. 光の照射による版材表面への画像の書き込みと、光の照射により前記画像を消去する前記版材表面の再生とにより繰り返し使用可能な印刷用版材であって、
    前記版材が、基材上に窒素含有型酸化チタン光触媒を含む光触媒層をそなえている
    ことを特徴とする、印刷用版材。
  2. 前記画像書き込み及び前記画像消去のために利用される光が、600nm以下の波長の光である
    ことを特徴とする、請求項1記載の印刷用版材。
  3. 前記版材表面への前記光の照射により前記光触媒層表面の特性が疎水性から親水性へ変換する
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載の印刷用版材。
  4. 前記版材が、前記基材と前記光触媒層との間に酸化物層をそなえている
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の印刷用版材。
  5. 前記酸化物層は、シリカである
    ことを特徴とする、請求項4記載の印刷用版材。
  6. 請求項1〜3の何れか1項に記載の印刷用版材を作製する方法であって、
    前記基材上に、スパッタリング法により前記光触媒層を成膜する
    ことを特徴とする、印刷用版材の作製方法。
  7. 請求項4又は5記載の印刷用版材を作製する方法であって、
    前記基材上に、スパッタリング法により前記酸化物層を成膜した後、
    前記酸化物層上に、スパッタリング法により前記光触媒層を成膜する
    ことを特徴とする、印刷用版材の作製方法。
  8. 前記光触媒層の成膜後、前記光触媒層を熱処理することによって前記光触媒層を結晶化する
    ことを特徴とする、請求項6又は7記載の印刷用版材の作製方法。
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