JP3706563B2 - 印刷用版材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光を用いて画像を書き込む印刷用版材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは、先に、基材の表面に光触媒を含むコート層を直接または中間層を介して形成した再生可能な印刷用版材を提案した。この印刷用版材では、その表面に熱可塑性樹脂を含む液を塗布した後、この熱可塑性樹脂の上方から上記光触媒に対して不活性な光、例えば赤外線(IR)等を用いて画像を書き込み、これによって、該熱可塑性樹脂を上記コート層に加熱溶融させて疎水性画線部を形成する。そして、印刷終了後は、版全面に紫外線(UV)を照射して、画線部を光触媒作用で分解除去すると同時に、版全面を親水化して該版を再生する。
一方、アルミニウムからなる基材の上面に感光性樹脂層を形成し、露光によってこの感光性樹脂層を硬化させて疎水性の画線部を形成するようにしたいわゆるPS版 (Presensitized Plate)と呼ばれている印刷用版材も従来から多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した印刷用版材においては、画像書き込み用の光を熱に変換する効率が高いほど、以下の点で有利となる。
(1) 画像の書き込み速度の向上。
(2) より低い出力の書き込み装置での書き込みを実現。それによる書き込み装置の小型化およびコストダウン。
(3) 画線部材料の固着性の向上に伴う耐刷性の向上。
本発明は、このような考察に基づき、書き込み用光の吸収効率を向上することができる印刷用版材を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材上に光触媒を含む実質的に透明なコート層を形成し、版の形成時に前記コート層の表面上に有機系化合物層を形成して、この有機系化合物層に画像書き込み光を入射させる印刷用版材であって、前記基材の表面に黒色化処理を施した構成を有する。
この発明によれば、上記基材表面の黒色化処理によって画像書き込み光の吸収性が向上する。
前記基材上面の黒色化処理として、黒色のめっきを施すことができる。また、同処理として、黒色塗料を塗布することができる。
前記基材としては、黒色の粒子を含むポリマーフィルムを採用することができる。
前記基材と前記コート層との間に、該コート層のバインダーとしての機能を有する実質的に透明な中間層を設けても良い。
本発明は、基材上に光触媒を含む実質的に透明なコート層を形成し、版を形成時に前記コート層の表面上に有機系化合物層を形成して、この有機系化合物層に画像書き込み光を入射させる印刷用版材であって、前記基材と前記コート層との間に黒色化した中間層を設けた構成を有する。
この発明によれば、上記黒色化した中間層によって画像書き込み光の吸収性が向上する。
前記黒色化した中間層と前記コート層との間に、該コート層のバインダーとしての機能を有する実質的に透明な中間層を設けても良い。
本発明は、基材とこの基材上に形成した実質的に透明な画像形成用樹脂層とを有し、前記樹脂層を画像書き込み光によって反応させることにより画像を形成する印刷用版材において、前記基材と前記画像形成用樹脂層の間に、黒色の親水膜性を形成した構成を有する。
この発明によれば、上記黒色の親水膜によって画像書き込み光の吸収性が向上する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1に断面図を示すように、本発明に係る印刷用版材Pは、基材1と、コート層3とを備えている。なお、版を形成する際には、コート層3の表面(版材表面、版面)上に後述する有機系化合物層4が形成される。
【0006】
基材1は、アルミニウムやステンレス等の金属、ポリマーフィルムなどで形成されている。ただし、基材1の材質は、これらに限定されるものではない。
この基材1上には、酸化チタンを光触媒として含む実質的に透明なコート層3が形成されている。このコート層3の表面は、光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーをもつ波長の光、例えば紫外線を照射することによって高い親水性を示すようになる。このような性質は、酸化チタン光触媒の備える性質によるものである。
【0007】
図2は、有機系化合物層4における非画線部の有機系化合物を除去することによって、紫外線の照射で親水性を呈しているコート層3を露出させた状態を表わしている。この親水性を示すコート層3の露出により、印刷用版材Pの非画線部を形成することが可能となる。
【0008】
このコート層3は、親水性を維持するために、あるいはその強度や基材1との密着性を向上させるために、次に示す様な物質を添加したものとして良い。この物質とは、例えば、シリカ、シリカゾル、オルガノシラン、シリコン樹脂等のシリカ系化合物、また、ジルコニウム、アルミニウム等からなる金属酸化物または金属水酸化物、さらにはフッ素系樹脂を挙げることができる。
酸化チタン光触媒としては、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型があるが、本実施形態においてはいずれも利用可能であり、また、それらの混合物を用いてもよい。
後述するように、光触媒のバンドギャップエネルギーより高いエネルギーをもつ光照射下で、有機系化合物を分解する光触媒性能を高くするためには、酸化チタン光触媒の粒子径はある程度小さい方が好ましく、具体的に酸化チタン光触媒の粒径は0.1μm以下であることが好ましい。
なお、光触媒としては酸化チタン光触媒が好適であるが、これに限定されるものではない。
【0009】
本実施形態において使用可能でかつ市販されている具体的な酸化チタン光触媒としては、石原産業製のST−01,ST−21、その加工品ST−K01,ST−K03、水分散タイプSTS−01,STS−02,STS−21、また、堺化学工業製のSSP−25,SSP−20,SSP−M,CSB,CSB−M,塗料タイプのLACTl−01,LACTI−03−A、テイカ製のTK−201,TKS−202,TKC−301,TKC−302、田中転写製のPTA,TO,TPX、等を挙げることができる。ただし、これらの酸化チタン光触媒以外にあっても適用可能なことは、もちろんである。
【0010】
また、コート層3の膜厚は、0.01〜10μmの範囲内にあることが好ましい。というのは、膜厚があまりに小さければ、前記した性質を十分に生かすことが困難となり、また、膜厚があまりに大きければ、コート層3がヒビ割れし易くなって、耐刷性低下の要因となるためである。なお、このヒビ割れは、膜厚が20μmを越えるようなときに顕著に観察されるから、前記範囲を緩和するとしても、当該20μmをその上限として認識する必要がある。また、実際上は0.1〜3μm程度の膜厚とするのが、より好ましい。
【0011】
さらに、このコート層3の形成方法としては、ゾル塗布法、有機チタネート法、蒸着法等を採用することができる。このとき、例えば、ゾル塗布法を採用するのであれば、それに用いられる塗布液には、酸化チタン光触媒およびコート層3の強度や基材1との密着性を向上させる前記各種の物質の他に、溶剤、架橋剤、界面活性剤等を添加しても良い。この塗布液は、常温乾燥タイプでも加熱乾燥タイプでも良いが、後者の方がより好ましい。というのは、加熱によりコート層3の強度を高めた方が、版の耐刷性を向上させるのに有利となるからである。
また、例えば、真空中で金属基板上へ蒸着法にて不定形の酸化チタン層を成長させた後、加熱処理により結晶化させる方法など、物理的手法により高い強度をもつ光触媒コート層を作製することも可能である。
【0012】
有機系化合物層4は、コート層3の表面上に反応ないし固着された際に疎水化剤として作用する有機系化合物を水や有機溶剤といった液体中に溶解あるいは分散させ、この液をコート層3の表面上に塗布して乾燥させることにより形成される。
なお、ここで言う「有機系化合物」とは、「加熱処理によりコート層3の表面(版材表面)に反応ないし固着される性質と、光触媒のバンドギャップエネルギーより高いエネルギーをもつ光を照射することで光触媒の作用により分解される性質とを併せ持つ」有機系化合物である。以下、有機系化合物とは、こうした性質を有するものであるとする。
また、「有機系化合物を含む液」は、後述する有機系化合物の種類に応じて水性または油性に調整される。「水性」の基準は、塗布する段階での液中の有機溶剤含有量が30wt%以下であることであり、また「油性」の基準としては、塗布する段階での液中の有機溶剤含有量が30wt%を越えるものである。
ここで用いる有機溶剤としては、有機系化合物が溶解あるいは分散可能なものであればよい。取扱性やコストの点からは、パラフィン系またはイソパラフィン系の溶剤が好適であるが、これに限定されるものではない。
【0013】
ところで、上記版材を用いて版を作成する場合には、後述するように、光触媒のバンドギャップエネルギーより低いエネルギーをもつ画像書き込み光(可視光や赤外線などのように光触媒を活性させない光が使用される)の照射によって少なくとも一部の有機系化合物層4を加熱する処理が実行される。
この加熱処理の効率を向上させるには、上記光のエネルギーを効率良く吸収して熱に変換する必要があり、そのためこの実施形態では、以下に例示するような手段を講じている。
【0014】
(1) 基材1の表面に黒色化処理を施す。この黒色化処理として、基材1の表面に黒色のめっきを施すことができる。この黒色のめっきとしては、例えばNiO等を用いたニッケルめっき、CrO等を用いたクロムめっきを採用することができる。なお、耐熱性、膜強度などの観点からすると、クロムめっきを採用することが好ましいが、ニッケルめっきを採用しても実用上支障は生じない。
黒色化処理として、基材1の上面に耐熱性黒色塗料を塗布しても良い。この場合、耐熱性黒色塗料の材料は、製造工程および画像書き込み時の温度履歴などを考慮して適宜選定する。
なお、基材1の材料としては、ステンレス(SUS)や、耐熱性黒色塗料と同程度の耐熱性を有するポリマーフィルム、あるいは、カーボンブラック等の黒色の粒子を練り込んだ耐熱性のポリマーフィルムを採用することができる。
また、基材1とコート層3との間に、該コート層のバインダーとしての機能を有する実質的に透明な中間層(図示せず)を設けても良い。
この中間層は、例えば、シリカ(SiO2)、シリコーン樹脂、シリコーンゴム等のシリコーン形化合物等で形成される。そのうち、特に、シリコーン樹脂としては、シリコーンアルキド、シリコーンウレタン、シリコーンエポキシ、シリコーンアクリル、シリコーンポリエステル等が使用される。
この中間層は、コート層3の付着性を向上させるために形成したものであるから、コート層3の付着強度が十分に確保できる場合には、この中間層を省略してもさしつかえない。ただし、基材1がポリマーフィルムから構成されている場合は、必要に応じて、基材1の保護のためにこの中間層が形成される。
【0015】
(2) 図3に示すように、基材1とコート層3との間に黒色化した中間層2を設ける。
この黒色の中間層2は、例えば、基材1の上に黒色微粒子を含むSiO2ゾルを塗布し、このゾルを室内乾燥または加熱乾燥してゲル化させることにより形成することができる。上記黒色微粒子としては、例えば、MnO2,FeO,Cr2O3 ,CuO等の金属酸化物、あるいは、カーボンブラック等がある。
なお、耐熱性の観点からは金属酸化物、更に言えば、高温に曝されても酸化により変色しないMnO2,CrO,FeO,CuOなどが好ましい。
上記SiO2ゾルに代えて、TiO2ゾル、Al2O3ゾルなどの無機系ゾルを用いても良いことは言うまでもない。
上記のような黒色化された中間層2を形成する場合の基材1の材質としては、SUS、アルミニウムなどの金属のほか、ポリマーフィルムを用いても良い。要するに、版としての耐久性、製造工程および画像書き込み時の温度履歴などを考慮して、適正な材質を選択すればよい。
なお、上記黒色化した中間層2と前記コート層3との間に、該コート層3のバインダーとしての機能を有する実質的に透明な別の中間層を設けても良い。この中間層は(1)で述べた中間層と同様の材料で形成することができる。
【0016】
(3) 基材1の表面に(1)の黒色化処理を施すとともに、(2)の黒色化中間層2を設ける。
【0017】
次に、図4を参照して上記印刷用版材Pを用いた版の作製方法および再生方法について説明する。なお、以下において「版の作製」とは、有機系化合物を含む液を版材表面上に塗布した後、該版材表面の少なくとも一部をデジタルデータに基づいて加熱処理して疎水性画線部を形成し、加熱処理されなかった版材表面上の前記有機系化合物を除去することをいうものとする。
【0018】
先ず、コート層3の表面に、酸化チタン光触媒のバンドギャップエネルギーより高いエネルギーをもつ波長の光を照射し、図2に示すような状態、すなわち印刷用版材Pの版材表面全面を水Wの接触角が10°以下の親水性表面とするような状態を現出させておく。
なお、酸化チタン光触媒のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーをもつ波長の光とは、より具体的には、波長380nm以下の光を含む紫外線である。
【0019】
次に、疎水化剤塗布工程として、上記親水性のコート層3の表面に有機系化合物を含む液(図4では、符号4Lで示す)を塗布し、必要に応じて室温程度の温度で乾燥させ、図1または図3の状態、すなわちコート層3上に有機系化合物層4が形成された状態を作る。図4(a)は、前記有機系化合物を含む液を塗布した状態を、図4(b)は、前記塗布液を室温程度の常温で乾燥させた状態をそれぞれ示している。
【0020】
コート層3の表面のこの状態を「版作製時の初期状態」という。なお、上記でいう「版作製時の初期状態」とは、実際上の印刷工程の開始時とみなしてよい。より具体的にいえば、ある与えられた任意の画像に関して、それをデジタル化したデータが既に用意されていて、これを版材上に書き込みしようとするときの状態を指すものとみなせる。
【0021】
有機系化合物層4に覆われた上記状態のコート層3の表面に対して、画線部書き込み工程として画線部を書き込む。
この画線部は、画像に関するデジタルデータに準拠して、そのデータに対応するように書き込まれる。なお、ここでいう画線部とは、水の接触角が50°以上、好ましくは80°以上の疎水性部分であり、印刷用の疎水性インキが容易に付着し、一方、湿し水の付着は困難な状態になっている。
この疎水性の画線部を画像データに基づいて現出させる方法としては、有機系化合物層4を加熱して、前記有機系化合物をコート層3上に反応ないし固着させる方法が好適である。上記画線部を加熱した後、加熱されなかった部分(非加熱部分)、つまり、疎水性画線部以外の部分に塗布された有機系化合物を除去することにより、非画線部を現出させて版を作製することができる。
【0022】
有機系化合物層4の好ましい加熱方法としては、光触媒のバンドギャップエネルギーより低いエネルギーをもつ光を照射することにより加熱処理を行う方法がある。この「光触媒のバンドギャップエネルギーより低いエネルギーをもつ光」とは、具体的には赤外線である。このような光を照射すれば、有機系化合物を分解させることなくコート層3上に反応ないし固着させることができる。
【0023】
ここでは、図4(c)に示すように、赤外線書き込みヘッド6を用いた赤外線照射によって、少なくとも一部の有機系化合物層4を加熱し、この有機系化合物層4の有機系化合物をコート層3の表面に反応あるいは固着させて画線部4aを形成している。
前述したように、本実施形態では、上記赤外線のエネルギーの吸収効率を向上する手段の1つとして、基材1の表面に黒色化処理を施し、また、該手段の他の1つとして、基材1とコート層3との間に黒色化中間層2を設けている。
上記赤外線は、実質的に透明なコート層3を通過して上記黒色化処理された基材1の表面、あるいは上記黒色化中間層2に吸収されて効率良く熱に変換されるので、画像の書き込み速度が向上する。また、より低い出力の書き込み装置での書き込みが可能になるので、書き込み装置の小型化およびコストダウンを図ることができ、かつ、画線部材料の固着性が向上するので耐刷性も向上する。
そして、上記各吸収効率向上手段を併用すれば、上記上記赤外線のエネルギーをより一層効率よく熱に変換して、画像の書き込み速度等を更に向上することができる。
【0024】
画線部4aを形成した後、図4(d)に示すように、洗浄スプレー7を用いて水または水を含む洗浄液を有機系化合物層4に吹き付け、非加熱部分の有機系化合物層4を洗浄・除去して、非画線部5を現出させる。これにより、図4(e)に示すように、コート層3の表面における画線部4aと非画線部5の形成が完了し、印刷可能な状態となる。
非加熱部分の有機系化合物層4を洗浄・除去する方法としては、湿し水で溶解したり、インキの粘着力で除去するなどの他の方法も適用可能である。
【0025】
上記までの処理が終了したら、印刷用の疎水性インキと湿し水とを混合した液をコート層3の表面に塗布する。これにより、例えば図5に示すような、印刷用版材Pが製作されたことになる。
この図5において、網掛けされた部分は、有機系化合物が光触媒を含むコート層3の表面と反応もしくは固着して形成された部分(すなわち、疎水性部分の画線部4a)に疎水性インキが付着した状態を示している。残りの白地の部分、すなわち、親水性部分である非画線部5は、湿し水が優先的に付着する一方、疎水性インキははじかれて付着しなかった状態を示している。このように絵柄が浮かび上がることにより、コート層3表面は、印刷用版としての機能を有することになる。
この後、通常の印刷工程を実行し、これを終了させる。
【0026】
次に、印刷用版材Pの再生方法について説明する。
なお、「版の再生」とは、少なくとも一部が疎水性を示し残りが親水性を示す版材表面を、全面均一に親水化した後、この親水性の版材表面に有機系化合物を含む液を塗布し、必要に応じて室温程度の温度で乾燥させることによって、再び「版作製時の初期状態」に復活させることをいうものとする。
【0027】
まず、インキ除去工程として、印刷終了後のコート層3表面に付着したインキ、湿し水、紙粉などを拭き取る。
その後、再生工程として、少なくとも一部が疎水性を示すコート層3の表面全域に、光触媒のバンドギャップエネルギーより高いエネルギーをもつ光を照射する。
こうすることで、画線部4aを形成する有機系化合物を分解して除去し、コート層3表面全面を、水の接触角が10°前後の親水性表面とする、すなわち図2に示す状態とすることが可能である。
【0028】
光触媒のバンドギャップエネルギーより高いエネルギーをもつ波長の光、例えば紫外線を照射することによって、コート層3表面に存在する有機系化合物を分解・除去し、かつ高い親水性を有するという性質は、酸化チタン光触媒の備える性質に依るものである。
ここでは、図4(f)に示すように、紫外線照射ランプ8を用いて、紫外線照射のみで画線部4aを形成する有機系化合物を分解し、コート層3a表面、すなわち親水性表面を露出させる場合を示している。
紫外線照射により全面が親水性を持つように回復したコート層3表面に、有機系化合物を含む液4Lを再度常温で塗布し、必要に応じて室温程度の温度で乾燥させることによって、版作製時の初期状態に戻すことが可能である。
【0029】
また、コート層3表面全域に、光触媒のバンドギャップエネルギーより高いエネルギーをもつ光を照射して有機系化合物を分解する操作と、水または水を含む洗浄液でコート層3表面を洗浄する操作とを交互に繰り返すことにより、さらに容易にコート層3の表面全域を水の接触角が10°前後の親水性表面とすることが可能である。
【0030】
上記有機系化合物としては、加熱により版材表面の親水性部分と反応もしくは強く固着して親水性表面に疎水性を付与する作用を有する一方、常温では前記反応しくは固着が実質的に起らないことはもちろん、それとともに紫外線照射下において酸化チタン光触媒の作用で容易に分解されるものが好ましい。
【0031】
具体的には、熱可塑性樹脂が好ましい。さらに好ましくは、熱可塑性樹脂を微粒子化し、水系溶媒あるいは有機系溶媒に分散させた液を用いるのがよい。熱可塑性樹脂は、加熱により溶融し酸化チタン光触媒表面に固着する。その際、酸化チタン表面に存在する水酸基と相互作用するような官能基を樹脂分子構造の一部に付与しておくと、更に強固に酸化チタン光触媒表面に固着できる。
また、微粒子とすることで、非加熱部分の疎水化剤は粒子状を保った状態なので、酸化チタン表面との接触が点接触であるため、洗浄あるいはインキの粘着力で容易に除去することが可能である。
【0032】
熱可塑性樹脂として種々の樹脂が知られているが、本発明に適用する版材用疎水化剤としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン・アクリル酸、スチレン・アクリル酸エステルなどのスチレン・アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、エチレン、エチレン・アクリル酸、エチレン・アクリル酸エステル、エチレン酢酸ビニル、変性エチレン酢酸ビニル樹などのエチレン系樹脂、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテルなどのビニル系樹脂が好適である。
これらの樹脂は単独で用いてもよいし、必要に応じて混合して用いても良い。さらに、これらの樹脂は、再生時の光触媒作用による分解時間が短く、分解時に塩素化合物などの有害成分を生成しないという利点がある。
なお、熱可塑性樹脂はこれらに限るものでは無い。さらに必要に応じて疎水性の油脂、フッ素系化合物などを混合して用いても良いことは言うまでもない。
【0033】
以上説明したことを、まとめて示しているのが図6に示したグラフである。これは、横軸に時間(あるいは操作)、縦軸に水の接触角をとったグラフであって、本実施形態における印刷用版材Pに関して、そのコート層3表面の接触角(すなわち、疎水、親水状態)が時間あるいは操作に伴ってどのように変化するかを示したものである。この図において、一点鎖線はコート層3表面または非画線部5を、実線は画線部4を、各々示している。
【0034】
まず、コート層3表面に紫外線を照射して、コート層3表面の、水の接触角が10°前後、好ましくは10°以下である高い親水性を示すようにしておく。
最初に、疎水化剤塗布工程(Aの工程)として、コート層3表面に、前記有機系化合物を含む液を塗布し(点a)、その後、必要があれば液を室温程度の常温で乾燥させる。なお、この図においては、乾燥工程を必要としない場合を示している。有機系化合物を含む液を塗布し終わった状態が、つまり「版作製時の初期状態」である。
【0035】
次に、画線部書き込み工程(Bの工程)として、コート層3表面上の有機系化合物の画線部相当部分を加熱して、画線部の書き込みを開始する(点b)。こうすることによって、有機系化合物はコート層3表面と反応または固着し、画線部は高い疎水性を示すようになる。一方、非画線部では有機系化合物と版面との反応または固着は実質的に起らず、画線部書き込み前と同じ状態を維持する。
【0036】
画線部書き込みが完了したら、疎水化剤除去工程(Cの工程)として、非画線部の有機系化合物を、洗浄等の方法によるコート層3の表面から除去を開始する(点c)。すなわち、非画線部5として親水性のコート層3表面を露出させる。これにより、コート層3表面は、有機系化合物が反応または固着して形成された疎水性の画線部と、有機系化合物が除去された親水性の非画線部が現出し、印刷用版として機能を有するようになる。
非画線部5の除去が完了した後、印刷工程(Dの工程)として、印刷を開始することになる(点d)。
【0037】
印刷が終了すると、インキ除去工程(Eの工程)として、コート層3表面のインキ、汚れなどを拭き取ってクリーニングを開始する(点e)。
クリーニング完了、すなわちインキの拭き取りが完了した後に、再生工程(Fの工程)として、コート層3表面への紫外線照射を開始する。こうすることにより、前記の有機系化合物で形成された画線部4aを分解・除去し、コート層3表面を再び親水性に戻す。
この後、次の疎水化剤除去工程(A’の工程)として、再び有機系化合物を含む液を塗布する(点a’)ことにより、「版作製時の初期状態」に戻ることになり、この印刷用版材Pは再利用に供されることになる。
【0038】
ところで、本発明は、いわゆるPS版 (Presensitized Plate)と呼ばれている印刷用版材にも適用することができ、図7には、このような印刷用版材に係る実施の形態が示されている。
この印刷用版材P′は、アルミニウムからなる基材10の上面に黒色の親水性中間層11を形成し、この中間層11の上面に実質的に透明な感光性樹脂層12を形成した構成を有する。この実施形態においては、黒色の親水性中間層11の材料としてCrO やNiOを採用しているが、黒色で親水性を有する材料であれば他の材料を採用しても良い。
【0039】
この印刷用版材P′は、露光によってこの感光性樹脂層12を反応させ、例えば該感光性樹脂を硬化させて疎水性の画線部12aを形成するが、その際、露光用の光(例えば、IR光)が上記黒色の親水性中間層11によって吸収されて効率よく熱に変換される。
したがって、上記黒色の親水性中関層11を備えていない従来のPS版に比して、画像の書き込み速度が向上する。また、より低い出力の書き込み装置での書き込みが可能になるので、書き込み装置の小型化およびコストダウンを図ることができ、かつ、画線部材料(感光性樹脂)の固着性が向上するので耐刷性も向上する。
なお、感光性樹脂層12における非露光部、つまり未硬化部は、溶剤で洗浄除去されるので、その除去された部位には親水膜11の上面からなる非画線部12bが形成されることになる。
【0040】
以下、本発明の印刷用版材の具体的な実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
(1)面積が280×204mm、厚さが0.1mmのステンレス(SUS304)製の基材1を用意し、この基材1にアルカリ脱脂処理を行なった後、水洗した。
【0041】
(2)このステンレス基材1に酸化クロムCrO処理を施して、該基材の表面を厚さ約1μmの黒色皮膜で被覆した。この黒色化処理により、830nmの赤外線の吸収率は処理前の30%から、処理後は90%以上に向上した。この黒色化処理SUS基板を版材基板として用いた。
【0042】
(3)固形分5wt%のシリカゾルを版材基板にディップコートした後、500℃で30分加熱処理し、厚さ約0.07μmの中間層を形成した。
【0043】
(4)テイカ株式会社製の酸化チタンコーティング剤TKC−301を上記中間層処理した基板にディップコートし、350℃で加熱して、アナターゼ型酸化チタン光触媒層を版材表面に形成した。この光触媒層の厚みは約0.1μmであった。
【0044】
(5)版全面に低圧水銀ランプを用いて波長254nm、照度20mW/cm2の紫外線を10秒照射した。紫外線照射部分について直ちにCA−W型接触角計で水の接触角を測定したところ、接触角は7°となり、非画線部として十分な親水性を示した。
【0045】
(6)ジョンソンポリマー製のスチレン・アクリル系樹脂(商品名は「J−678」)をエタノールに溶解し、濃度1wt%の樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液中に、界面活性剤イオネット T−60−C(三洋化成製)を樹脂に対して10wt%添加した後、樹脂溶液70部に対してイオン交換水(冷水)30重量部を添加し、樹脂微粒子を析出させた。その後、エバポレータを用いて液温40℃にてエタノールを脱気し、熱可塑性樹脂微粒子の水分散液を調製して疎水化剤とした。走査電子顕微鏡で樹脂粒子を観察すると、粒径0.07〜0.1μmの球状粒子であった。
【0046】
(7)紫外線を照射して親水性となっている版全面に、ロールコートにより上記疎水化剤を塗布した後、25℃で5分間風乾した。次に、波長830nm、出力100mW/チャンネル、ビーム径15μmの赤外線レーザを用いた画像書き込み装置により版面に画線率10%から100%までの10%刻みの網点画像を3m/秒の書き込み速度で書き込むことで、照射部分の樹脂微粒子を加熱溶融して版面に固着させ、フィルム層(4)を形成した。この樹脂微粒子が固着した部分についてCA−W型接触角計で水の接触角を測定したところ、その接触角が82°であること、つまり、画線部が形成されていることが確認された。
【0047】
(8)この版材を(株)アルファー技研の卓上オフセット印刷機ニューエースプロに取り付け、東洋インキ製のインキHYECOO B紅MZと三菱重工業製の湿し水リソフェロー1%溶液を用いて、アイベスト紙に印刷速度3500枚/時にて印刷を開始した。印刷開始1〜2枚目は、画線部が印刷されるだけでなく、本来インキが付かない非画線部にもインキが部分的に付着し汚れているような印刷物であったが、次第に汚れは消えていき、5枚目には網点画像が印刷できた。
すなわち、画像書き込みした部分の熱可塑性樹脂粒子は赤外線で加熱されて版面に固着しインキ受理層として作用し、一方、非画線部の熱可塑性樹脂微粒子はインキ粘着力および/又は湿し水の洗浄効果により版材表面から除去された、親水性の非画線部が露出したことを確認した。
【0048】
次に、印刷用版材の再生に係わる実施例を説明する。
印刷終了後、版面上に付着したインキ、湿し水、紙粉などをきれに拭き取った版全面に、低圧水銀ランプを用いて波長254nm、照度20mW/cm2の紫外線を20秒照射した。その後、網点を書き込んでいた部分について直ちにCA−W型接触角計で水の接触角を測定したところ、その接触角が8°で、十分な親水性を示すことを確認した。すなわち、版材は疎水化剤塗布前の状態に戻り、版再生ができたことを確認した。
【0049】
【比較例】
(1)黒色化処理に対する比較として、面積が280×204mm、厚さが0.1mmのステンレス(SUS304)製の基材1を用意し、この基材にアルカリ脱脂処理を行なった後、水洗した。このSUS基板を版材基板として用いた。この状態の830nmの赤外線の吸収率は、前記のように30%である。
【0050】
(2)実施例1と同様に、固形分5wt%のシリカゾルを用いてSUS版材基板に厚さ約0.07μmの中間層を形成し、さらに酸化チタンコーティング剤TKC−301を用いて、厚み約0.1μmのアナターゼ型酸化チタン光触媒層を版材表面に形成した。
【0051】
(3)版全面に低圧水銀ランプを用いて波長254nm、照度20mW/cm2の紫外線を10秒照射した後、紫外線照射部分について直ちにCA−W型接触角計で水の接触角を測定したところ、接触角は7°となり、非画線部として十分な親水性を示した。
【0052】
(4)この黒色化処理無しの版に実施例1と同様に、ロールコートにより上記疎水化剤を塗布した後、25℃で5分間風乾し、次に、波長830nm、出力100mW/チャンネル、ビーム径15μmの赤外線レーザを用いた画像書き込み装置により版面に画線率10%から100%までの10%刻みの網点画像を3m/秒の書き込み速度で書き込んだ。
【0053】
(5)この版材を(株)アルファー技研の卓上オフセット印刷機ニューエースプロに取り付け、東洋インキ製のインキHYECOO B紅MZと三菱重工業製の湿し水リソフェロー1%溶液を用いて、アイベスト紙に印刷速度3500枚/時にて印刷を開始した。
印刷開始1〜5枚目は、画線部が印刷されるだけでなく、本来インキが付かない非画線部にもインキが部分的に付着し汚れているような印刷物であったが、次第に汚れは消えていき、10枚目には全体が非画線部となり画像は印刷できなかった。
すなわち、画像書き込みした部分の熱可塑性樹脂粒子は赤外線で溶融せず、版面に固着できなかったため、非画線部の熱可塑性樹脂微粒子がインキ粘着力 および/又は 湿し水の洗浄効果により版材表面から除去されるのとほぼ同時に、画線部の疎水化剤粒子も除去されたことを確認した。
なお、書き込み速度を0.25m/秒まで低下させると、黒色化処理をしていない版材基板の場合も、画像を印刷することができたことから、実施例1の黒色化処理により書き込み速度が10倍以上速くなったことを確認できた。
【0054】
【実施例2】
(1)実施例1と同様の面積が280×204mm、厚さが0.1mmのステンレス(SUS304)製の基材1にアルカリ脱脂処理を行なった後、水洗した。
【0055】
(2)このステンレス基材に酸化クロムCrO処理を施して、該基材表面を厚さ約1μmの黒色皮膜で被覆した。この黒色化処理により、830nmの赤外線の吸収率は処理前の30%から、処理後は90%以上に向上した。この黒色化処理SUS基板を版材基板として用いた。
【0056】
(3)それ以後は実施例1と同様にして、固形分5wt%のシリカゾルを用いて厚さ約0.07μmの中間層を形成し、さらに、酸化チタンコーティング剤TKC−301を用いて厚み約0.1μmのアナターゼ型酸化チタン光触媒層を版材表面に形成した。
【0057】
(4)この版材を用いて、実施例1と同様に画像を書き込み、印刷を行った。その結果、画像を印刷することができ、かつ、3m/秒の速度で画像書き込みが可能なことを確認した。
【0058】
【実施例3】
(1)実施例1と同様に、面積が280×204mm、厚さが0.1mmのステンレス(SUS304)製の基材1にアルカリ脱脂処理を行なった後、水洗した。
【0059】
(2)日産化学のシリカゾル、スノーテッククスOにカーボンブラックを添加し、湿式ミルでカーボンブラックを分散させた。カーボンブラックの添加比率は、シリカゾルのSiO2固形分10部に対してカーボンブラック2部である。
このカーボンブラック含有シリカゾルを上記脱脂処理した基材に2回ディップコートした後、200℃で30分加熱処理し、厚さ約0.5μmの黒色中間層を形成した。この黒色中間層処理後に測定した830nmの赤外線の吸収率は87%であった。
【0060】
(3)この黒色中間層処理SUS基板を版材基板として用いて、テイカ株式会社製の酸化チタンコーティング剤TKC−301を上記中間層処理した基板にディップコートし、350℃で加熱して、アナターゼ型酸化チタン光触媒層を版材表面に形成した。光触媒層の厚みは約0.1μmであった。
【0061】
(4)この版材を用いて、実施例1と同様に、画像を書き込みと印刷を行った結果、画像を印刷することができ、かつ、3m/秒で画像の書き込みが可能であることを確認した。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る印刷用版材によれば、画像書き込み光が黒色化処理された基材の表面に吸収されて効率良く熱に変換されるので、画像の書き込み速度が向上する。また、より低い出力の書き込み装置での書き込みが可能になるので、書き込み装置の小型化およびコストダウンを図ることができ、かつ、画線部材料の固着性が向上するので耐刷性も向上する。
また、本発明に係る印刷用版材によれば、画像書き込み光が基材とコート層との間に設けられた黒色化中間層に吸収されて効率良く熱に変換されるので、上記と同様の効果が得られる。
【0063】
更に、本発明によれば、基材とこの基材上に形成した実質的に透明な画像形成用樹脂層とを有し、この樹脂層を画像書き込み光によって反応硬化させることにより画像を形成する印刷用版材において、基材と画像形成用樹脂層の間に親水性を有する中間層を形成している。
この版材においても、画像書き込み光が親水性中間層に吸収されて効率良く熱に変換されることから、上記と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る印刷用版材の実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1の版材におけるコート層の表面が親水性を示している状況を示す断面図である。
【図3】本発明に係る印刷用版材の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】版の作製と再生の手順を示す概念図である。
【図5】版材表面に描かれた画像(画線部)とその白地(非画線部)の一例を示す斜視図である。
【図6】親水性の版材表面へ有機系化合物により画線部を形成し、印刷終了後、紫外線照射により画線部を消去する様子を時間に沿って示したグラフ図である。
【図7】本発明に係る印刷用版材の更に別の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
P,P’ 印刷用版材(版材)
1 基材
2 黒色化中間層
3 コート層
4 有機系化合物層
4a,12a 画線部
5,12b 非画線部
Claims (5)
- 基材上に光触媒を含む実質的に透明なコート層を形成し、版の形成時に前記コート層の表面上に有機系化合物層を形成して、この有機系化合物層に前記光触媒を活性化させない画像書き込み光を入射させ、かつ、前記コート層の表面に存在する前記有機系化合物層を構成する有機系化合物を活性光照射下で分解する前記光触媒の特性を利用して再生することが可能な印刷用版材であって、
前記基材の表面に黒色化処理を施したことを特徴とする印刷用版材。 - 前記黒色化処理が、前記基材の上面に黒色のめっきを施すことである請求項1に記載の印刷用版材。
- 前記基材と前記コート層との間に、該コート層のバインダーとしての機能を有する実質的に透明な中間層を設けたことを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の印刷用版材。
- 基材上に光触媒を含む実質的に透明なコート層を形成し、版の形成時に前記コート層の表面上に有機系化合物層を形成して、この有機系化合物層に前記光触媒を活性化させない画像書き込み光を入射させ、かつ、前記コート層の表面に存在する前記有機系化合物層を構成する有機系化合物を活性光照射下で分解する前記光触媒の特性を利用して再生することが可能な印刷用版材であって、
前記基材と前記コート層との間に、カーボンブラックを含有するシリカゾルから形成される黒色化した中間層を設けたことを特徴とする印刷用版材。 - 前記黒色化した中間層と前記コート層との間に、該コート層のバインダーとしての機能を有する実質的に透明な中間層を設けたことを特徴とする請求項4に記載の印刷用版材。
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