JP2004292075A - シート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸着盤が最上層の1枚の印刷版のみを吸着枚葉するに必要な最低限の第1の負圧P1状態に制御されて吸着枚葉が実施され、しかもその後には、印刷版を搬送供給するために必要な第2の負圧P2状態に制御されて印刷版の搬送供給が実施される(線Z)。このため、印刷版が吸着される際に吸着盤の形状に倣って凹形状に変形する程度が少なくなり、多数枚の印刷版を多重吸着してしまうことが低減される。したがって、大きな吸着負圧PXが不要となり、吸着盤の吸着面積あるいは真空ポンプの能力等を増大させる必要がなくなる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着し下層の他のシート体と分離して枚葉し次工程へ搬送供給するシート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
支持体上に記録層(感光層)が設けられた印刷版(例えば、サーマル版、フォトポリマー版などのPS版)を用い、この印刷版の感光層に直接レーザビーム等で画像を記録する技術が開発されてきている(印刷版露光装置)。このような技術では、印刷版への迅速な画像記録が可能となっている。
【0003】
このような印刷版への画像記録の技術を用いる印刷版自動露光装置では、多数枚の印刷版が積層してカセット内に収容されているが、印刷版の画像形成面は傷つき易くこの画像形成面の保護のために、印刷版の画像形成面には保護シート(合紙)が重ね合わされ、これらが順次層状に積層されてカセット内に収容されている。印刷版を枚葉する際には、カセット内に積層された複数枚の印刷版のうち最上層の印刷版の一端部を吸着盤によって吸着して他と分離し、1枚ずつ取り出して反転させながら次工程(例えば、露光工程)へ枚葉(搬送供給)するようになっている。
【0004】
ここで、前述の如く印刷版を吸着盤によって吸着して1枚ずつ取り出し反転させながら枚葉する際に、吸着盤が吸着した最上層の印刷版と次の(下層の)印刷版との間の真空密着や静電気によって、前記次の(下層の)印刷版までもがそのまま持ち上げられてしまう場合がある。このため、従来では、吸着盤により吸着して持ち上げて上昇する移動軌跡の途中に(例えば、カセットの上端角部に)所謂「さばき板」を設け、印刷版をこの「さばき板」に接触させながら通過させたり、一定時間停止させることで、前記次の(下層の)印刷版を分離させていた(特許文献1、あるいは特許文献2参照)。
【0005】
またここで、このような吸着盤によって印刷版を真空吸着して搬送する際には、一般的には、圧力センサを用いて吸着圧力が「吸着持上げ」・「さばき板による分離枚葉」・「反転させて搬送」、の全ての過程において必要吸着圧力になるしきい値に到達したことを検知して、一連の吸着枚葉動作が開始されるようになっている(特許文献3参照)。この場合、前記「さばき板による分離枚葉」の際に当該必要吸着圧力が最も大きくなることが一般的である。
【0006】
ところで、吸着盤の直下の(最上層の)印刷版は、吸着盤によって吸着される際に当該吸着盤の形状に倣って凹形状に変形する。このため、前述した如く当該印刷版の変形(凹形状)がその下の印刷版との間で新たに真空を発生させ、下側に位置する印刷版を更に密着してしまう(所謂、最上層の印刷版と次の(下層の)印刷版との間の真空密着が生じてしまう)場合があった。この真空密着は、同様にその次の(下層の)印刷版へと順次進行していき、結果的に多数枚の印刷版を多重吸着してしまう場合があった。ここで、このように複数枚の印刷版を多重吸着しても、その後に印刷版を「さばき板」に接触させながら通過させたり、一定時間停止させることで、前記次の(下層の)印刷版を分離させることができる。
【0007】
しかしながら、このような吸着盤を用いた従来の吸着枚葉装置では、前述の如く多数枚の印刷版を多重吸着しても最終的にはこれらを分離して1枚ずつ搬送供給することができるものの、反面、多数枚の印刷版を吸着するに足りる(多数枚の印刷版を多重吸着しても充分な)吸着力(吸着負圧)が必要であった。
【0008】
このため、吸着盤の吸着面積(大きさや個数)あるいは負圧源(例えば、真空ポンプ)の能力等を増大させて、多数枚の印刷版を多重吸着しても充分なように設定しなければならず、装置が大型でコスト高になる原因であった。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−128297号公報
【特許文献2】
特開2001−151360号公報
【特許文献3】
特開2000−247489号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、吸着盤の吸着面積(大きさや個数)や負圧発生源の能力を必要最小限にすることができ、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能になるシート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置を得ることが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明のシート体の吸着枚葉方法は、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着盤によって吸着し下層の他のシート体と分離して枚葉し次工程へ搬送供給するシート体の吸着枚葉方法であって、前記吸着盤の吸着負圧を、前記吸着盤が前記最上層のシート体のみを前記吸着枚葉するに必要な最低限の第1の負圧状態とし、当該第1の負圧状態で前記吸着盤による前記吸着枚葉を実施し、かつ、前記吸着枚葉の後に、前記吸着盤の吸着負圧を、その後に前記搬送供給するために必要な第2の負圧状態とし、当該第2の負圧状態で前記吸着盤による前記搬送供給を実施する、ことを特徴としている。
【0012】
請求項1記載のシート体の吸着枚葉方法では、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体が吸着盤によって吸着され下層の他のシート体と分離されて枚葉され次工程へ搬送供給される。
【0013】
ここで、このシート体の吸着枚葉方法では、吸着盤の吸着負圧が、この吸着盤が最上層のシート体のみを吸着枚葉するに必要な最低限の第1の負圧状態となった状態で、吸着盤による吸着枚葉が実施される。しかも、この吸着枚葉の後に、吸着盤の吸着負圧が、その後に搬送供給するために必要な第2の負圧状態となった状態で、吸着盤による搬送供給が実施される。
【0014】
このため、吸着盤の直下の(最上層の)印刷版が吸着盤によって吸着される際に、吸着盤の形状に倣って当該印刷版が凹形状に変形する程度が少なくなる。したがって、その下の印刷版との間で新たな真空が発生し難くなり、下側に位置する印刷版を更に密着してしまう(所謂、最上層の印刷版と次の(下層の)印刷版との間の真空密着が生じてしまう)ことが防止される。すなわち、多数枚の印刷版を多重吸着してしまうことが低減される。
【0015】
したがって、そもそも、多数枚の印刷版を吸着するに足りる(多数枚の印刷版を多重吸着しても充分な)吸着力が不要となり、吸着盤の吸着面積(大きさや個数)あるいは負圧発生源(例えば、真空ポンプ)の能力等を増大させる必要がなくなる。これにより、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0016】
このように、請求項1記載のシート体の吸着枚葉方法では、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、吸着盤の吸着面積(大きさや個数)や負圧発生源の能力を必要最小限にすることができ、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0017】
請求項2に係る発明のシート体の吸着枚葉装置は、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着し下層の他のシート体と分離して枚葉し次工程へ搬送供給するシート体の吸着枚葉装置であって、前記シート体の幅方向に沿って複数設けられ、負圧によって前記シート体を前記吸着枚葉すると共に前記搬送供給する吸着盤と、前記各吸着盤に接続され、前記各吸着盤が前記最上層のシート体のみを前記吸着枚葉するに必要な最低限の第1の負圧及びその後に前記搬送供給するために必要な第2の負圧を発生する負圧発生源と、前記各吸着盤の吸着負圧を、前記第1の負圧状態及び第2の負圧状態に制御可能な負圧制御手段と、を備え、前記負圧制御手段によって前記各吸着盤の吸着負圧を前記第1の負圧に制御して前記各吸着盤による前記吸着枚葉を実施し、かつ、前記吸着枚葉の後に、前記負圧制御手段によって前記各吸着盤の吸着負圧を前記第2の負圧に制御して前記各吸着盤による前記搬送供給を実施する、ことを特徴としている。
【0018】
請求項2記載のシート体の吸着枚葉装置では、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体が吸着盤によって吸着され下層の他のシート体と分離されて枚葉され次工程へ搬送供給される。
【0019】
ここで、このシート体の吸着枚葉装置では、負圧制御手段によって各吸着盤の吸着負圧が、第1の負圧(すなわち、最上層のシート体のみを吸着枚葉するに必要な最低限の負圧)に制御され、この状態で各吸着盤による吸着枚葉が実施される。しかも、この吸着枚葉の後に、負圧制御手段によって各吸着盤の吸着負圧が第2の負圧(その後に搬送供給するために必要な負圧)に制御され、この状態で各吸着盤による搬送供給が実施される。
【0020】
このため、吸着盤の直下の(最上層の)印刷版が吸着盤によって吸着される際に、吸着盤の形状に倣って当該印刷版が凹形状に変形する程度が少なくなる。したがって、その下の印刷版との間で新たな真空が発生し難くなり、下側に位置する印刷版を更に密着してしまう(所謂、最上層の印刷版と次の(下層の)印刷版との間の真空密着が生じてしまう)ことが防止される。すなわち、多数枚の印刷版を多重吸着してしまうことが低減される。
【0021】
したがって、そもそも、多数枚の印刷版を吸着するに足りる(多数枚の印刷版を多重吸着しても充分な)吸着力が不要となり、吸着盤の吸着面積(大きさや個数)あるいは負圧発生源(例えば、真空ポンプ)の能力等を増大させる必要がなくなる。これにより、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0022】
このように、請求項2記載のシート体の吸着枚葉装置では、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、吸着盤の吸着面積(大きさや個数)や負圧発生源の能力を必要最小限にすることができ、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0023】
【発明の実施の形態】
「第1の実施の形態」
図3には、本発明の実施の形態に係る吸着枚葉装置50が適用された印刷版自動露光装置10の概略的な全体構成が示されている。
【0024】
この印刷版自動露光装置10は、シート体としての印刷版12の画像形成層に光ビームを照射して画像を露光する露光部14と、印刷版12を枚葉して前記露光部14へ搬送する枚葉搬送部15と、の2つのブロックに分かれている。また、この印刷版自動露光装置10によって、露光処理された印刷版12は、印刷版自動露光装置10に隣接した設置された図示しない現像装置へ送り出されるようになっている。
[露光部14の構成]
露光部14は、印刷版12を周面に巻付けて保持する回転ドラム16を主要部として構成されており、印刷版12は、搬送ガイドユニット18に案内されて、この回転ドラム16の接線方向から送り込まれるようになっている。搬送ガイドユニット18は、給版ガイド20と排版ガイド22とで構成されており、この搬送ガイドユニット18における、枚葉搬送部15との境界側には、搬送ローラ108とガイド板109とが配設されている。
【0025】
搬送ガイドユニット18の給版ガイド20と排版ガイド22とは、互いの相対位置関係が横V字型とされ、図3の右端部側の中心として、所定角度回動する構造となっている。この回動によって、給版ガイド20を選択的に前記回転ドラム16に対応させる位置(回転ドラム16の接線方向に配置させる位置)と、回転ドラム16の上方に設けられたパンチャー24への挿入方向位置とに配置することができる。前記枚葉搬送部15から送り込まれた印刷版12は、まず、給版ガイド20に案内されてパンチャー24へ送り込まれ、この印刷版12の先端に位置決め用の切欠きを形成する。また、印刷版12は、必要に応じてパンチャー24による処理後、一旦給版ガイド20に戻されることで、回転ドラム16に対応する位置に移動される構成である。
【0026】
回転ドラム16は、図示しない駆動手段によって、印刷版12の装着露光方向(図3の矢印A方向)及び装着露光方向と反対方向となる印刷版12の取外し方向(図3の矢印B方向)へ回転される。
【0027】
また、回転ドラム16には、外周面の所定の位置に、先端チャック26が取付けられている。露光部14では、この回転ドラム16に印刷版12を装着するときに、先ず、先端チャック26が、搬送ガイドユニット18の給版ガイド20によって送り込まれる印刷版12の先端に対向する位置(印刷版装着位置)で回転ドラム16を停止させる。
【0028】
さらに、露光部14には、印刷版装着位置で先端チャック26に対向して装着ユニット28が設けられている。先端チャック26は、この装着ユニット28の伸縮ロッド28Aが伸長して一端側が押圧されることにより、回転ドラム16の周面との間に印刷版12の挿入が可能となる。印刷版12の先端が先端チャック26と回転ドラム16の間に挿入された状態で、装着ユニット28の伸縮ロッド28Aを引き戻して先端チャック26への押圧を解除することにより、印刷版12の先端を先端チャック26と回転ドラム16の周面との間で挟持して保持する構成である。なお、このときには、印刷版12は、先端が回転ドラム16に設けられた位置決めピン(図示省略)に突き当てられて位置決めされる。回転ドラム16に印刷版12の先端が固定されると、回転ドラム16を装着露光方向へ回転する。これにより、搬送ガイドユニット18の給版ガイド20から送り込まれる印刷版12は、回転ドラム16の周面に巻き付けられる構成である。
【0029】
回転ドラム16の周面近傍には、印刷版装着位置よりも装着露光方向(図3の矢印A方向)の下流側にスクイズローラ30が配置されている。このスクイズローラ30は、回転ドラム16に向けて移動することにより回転ドラム16に巻き付けられる印刷版12を回転ドラム16へ向けて押圧し、印刷版12を回転ドラム16の周面に密着させることができる。
【0030】
また、露光部14には、先端チャック26よりも回転ドラム16の装着露光方向上流側近傍に後端チャック着脱ユニット32が配置されている。後端チャック着脱ユニット32には、回転ドラム16へ向けて突出されたガイドに沿って後端チャック36が移動するようになっている。回転ドラム16に巻き付けた印刷版12の後端が、後端チャック着脱ユニット32に対向すると、後端チャック36を回転ドラム16方向へ移動させて、後端チャック36を回転ドラム16の所定の位置に装着する。これにより、後端チャック36が、回転ドラム16との間で印刷版12の後端を挟持して保持する構成である。
【0031】
印刷版12の先端及び後端を回転ドラム16に保持させると、スクイズローラ30を離間させる(図3の鎖線参照)。この後、露光部14では、回転ドラム16を所定の回転速度で高速回転させながら、この回転ドラム16の回転に同期させて、記録ヘッド部37から画像データに基づいて変調した光ビームを照射する。これにより、印刷版12が画像データに基づいて走査露光されるようになっている。
【0032】
印刷版12への走査露光が終了すると、印刷版12の後端を保持している後端チャック36が後端チャック着脱ユニット32に対向する位置で回転ドラム16を一時停止させ、回転ドラム16から後端チャック36を取り外す。これにより、印刷版12の後端が開放される。その後、回転ドラム16を印刷版12の取出し方向へ回転させることで、印刷版12は後端側から回転ドラム16の接線方向に沿って、搬送ガイドユニット18の排版ガイド22へ排出され、その後、次工程の現像装置へ搬送される構成である。
[枚葉搬送部15の構成]
図3に示す如く、枚葉搬送部15には、所定のスペースのカセットストッカ部11が設けられ、装置設置面に対して平行とされたカセット38が設けられている。カセット38は、複数段積み重ねられている。このカセット38には、印刷版12が複数枚収容されている。図4に示す如く、印刷版12は、支持体12Aに乳剤面12B(画像記録面)が形成された構成であり、カセット38内には、印刷版12の乳剤面12B保護用の保護シートとしての合紙13と、乳剤面12Bが下向きとされた印刷版12とが交互に積層されて収容されている。
【0033】
ここで、本実施の形態のカセット38は、互いに水平方向にオフセットされた状態で積み重ねられている。このオフセット量は、後述する吸着枚葉装置50の吸着盤40による各カセット38からの印刷版12(及び保護シートとしての合紙13)の持出時の移動軌跡に基づいて設定されている。
【0034】
また、枚葉搬送部15には、後に詳述する吸着枚葉装置50が設けられている。この吸着枚葉装置50は、印刷版12の幅方向に沿って複数(本実施の形態においては、9個))の吸着盤40が所定のピッチ間隔で配設されている。
【0035】
カセット38の上部には、吸着盤40を吊り下げ支持すると共に当該吊り下げ支持する基点70をカセット38の図3の左右方向へ略水平移動可能な移動機構72が設けられている。移動機構72は、吸着枚葉装置50を反転させながら水平方向へ移動させるためのものであり、複数の吸着盤40を支持する基点70は、回動可能とされている。
【0036】
吸着枚葉装置50によって各カセット38から印刷版12を持ち出す際には、カセット38内には合紙13と乳剤面12Bが下向きとされた印刷版12とが交互に積層されているため、吸着盤40は、カセット38内の上層側の合紙13に接触することになる。接触した時点で吸着盤40に吸着力を持たせると、上層の合紙13はもちろん、その下層の印刷版12にも吸着力が伝えられ、合紙13と印刷版12とが対(1組)となって(共に同時に)吸着されて、持ち上げられる(吸着持上げ動作)。さらに、図3では、吸着盤40の昇降については省略しているが、各カセットの高さ位置まで下降し、各カセット38に設けられたさばき板39によって、吸着した合紙13及び印刷版12以外の下層の合紙13及び印刷版12から「捌き(分離)」し、この状態で上端位置まで上昇する(分離枚葉動作)ようになっている。
【0037】
このとき、印刷版12の長さ(図3の左右方向長さ)により、各段のカセット38からの垂直方向の持ち出しにおいて、異なる移動軌跡となる。すなわち、本実施の形態にように3段の場合、最上段のカセット38からの持出時は印刷版12の先端部のみが持ち上げられ、中段のカセット38からの持出時は、印刷版12の2/3程度が持ち上げられ、下段のカセット38からの持出時は、印刷版12が全て吊り下げられた状態となる。
【0038】
このような状態で吸着盤40を支持するプレートは、基点70を中心に図3の反時計方向へ回転し始め、かつカセット38の図3の左方向へ移動を開始する。これにより、吸着盤40の吸着点は所謂サイクロイド曲線ないし近似サイクロイド曲線を描きながら移動することになる。この移動軌跡に基づいて、各カセット38のオフセット量を設定することで、何れのカセット38から合紙13及び印刷版12を持ち出しても、上層側のカセット38と干渉することなく持ち出すことが可能となっている。
【0039】
なお、印刷版12と上層側のカセット38とは全く干渉しないのが最も好ましいが、カセット38に当接する面が合紙13(印刷版12の裏面側)であるため、カセットストッカ部11の平面視上のスペースを小さくすることを前提とすれば、吸着盤40の昇降方向(垂直方向)移動時並びに回転移動時での接触を回避しさえすれば、吸着盤40の移動左右方向(水平方向)移動時には多少の接触があってもよい。
【0040】
前記吸着盤40が180°回転すると、図3の状態では下側が合紙13、上側が印刷版12となって、搬送ローラ108へ受け渡されるようになっている。
【0041】
搬送ローラ108の下側のローラ108Aに隣接するローラ107にはベルト56が巻き掛けられている。このベルト56は露光部14の搬送ガイドユニット18近傍に配設された一対のローラ74の右側のローラ74Aにも巻き掛けられている。一対のローラ74の下方には、さらに一対のローラ76が設けられ、ベルト56は、この下方のローラ76の右側のローラ76A、並びに一対の小ローラ78のそれぞれに巻き掛けられ、全体として略L字型のループを形成して図3の矢印D方向へ駆動する。
【0042】
なお、上方の一対のローラ74の左側のローラ74B及び下方の一対のローラ76の左側のローラ76Bとの間にはベルト80が渡してある。
【0043】
ローラ74Bは搬送方向に対して逆方向に回転するローラであり、合紙13との摩擦力が大きくなる構造となっている。通常搬送時には、ローラ74Bは搬送面より下側に待避している。印刷版12及び合紙13がローラ74B上を通過した後に上昇し摩擦力により合紙13をローラ74間に引き込み、ローラ74Bは待避する。合紙13は、下方の一対のローラ76へと送られて廃棄される構成である(図3の鎖線矢印E参照)。
【0044】
一方、印刷版12は、上方の一対のローラ74の上方を通過し、給版ガイド20へと送り込まれるようになっている(図3の実線矢印F参照)。
[吸着枚葉装置50の構成]
図2には、第1の実施の形態に係る吸着枚葉装置50の全体構成が概略的に示されている。
【0045】
この吸着枚葉装置50は、印刷版12の幅方向に沿って、複数の吸着盤40が所定の間隔で配設されている(なお、図2においては、4個の吸着盤40のみを示している)。
【0046】
各吸着盤40は、そのスカート部の凹形状部分(所謂、空気溜まり)の高さ寸法が比較的低く設定されており、印刷版12を吸着する際の変形度合いが小さくなっている。また、これらの吸着盤40は、負圧発生源としての真空ポンプ52に管路54を介して接続されている。真空ポンプ52は、ピストンやダイヤフラムを用いた往復動タイプのものとされており、各吸着盤40が印刷版12を吸着枚葉するに必要な負圧、及びその後に搬送供給するために必要な負圧を発生する。
【0047】
また、管路54には、負圧制御手段を構成する電磁式2方弁58と、逆止弁60付きの可変絞り弁64とが接続されており、管路54(吸着盤40)の吸着負圧を各吸着盤40が印刷版12を吸着できる範囲内で大気開放することができる構成である。
【0048】
またさらに、管路54には、圧力検出センサ(スイッチ)62が接続されている。この圧力検出センサ62は、図1に示す如く、吸着盤40が最上層の(1枚の)印刷版12のみを吸着枚葉するに必要な最低限の第1の負圧P1と、吸着枚葉の後に印刷版12を搬送供給するために必要な第2の負圧P2とを検出することができるようになっている。
【0049】
これにより、吸着盤40で印刷版12を吸着して枚葉する際には、吸着盤40の吸着負圧を圧力検出センサ62によって検出し電磁式2方弁58を作動させて吸着盤40(管路54)の吸着負圧を大気開放させることにより、吸着盤40の吸着負圧を、この吸着盤40が最上層の印刷版12のみを吸着枚葉するに必要な最低限の前記第1の負圧P1状態とし、しかも、吸着枚葉の後に印刷版12を搬送供給する際には、吸着盤40の吸着負圧を、搬送供給するために必要な前記第2の負圧P2状態とするように設定されている。
【0050】
換言すれば、吸着盤40で印刷版12を吸着して枚葉する際には、前記第1の負圧P1状態とするために電磁式2方弁58を作動させて吸着盤40(管路54)の吸着負圧を前記大気開放させるように設定されており、吸着枚葉の後に印刷版12を搬送供給する際には、前記第2の負圧P2状態とするために同様に電磁式2方弁58を作動させて吸着盤40(管路54)の吸着負圧の前記大気開放を停止するように設定されている。
【0051】
なお、圧力検出センサ62としてアナログ出力するタイプのものを適用し、前記第1の負圧P1と第2の負圧P2とを吸着枚葉装置50の制御装置(制御回路)によって設定するように構成することもできる。
【0052】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0053】
上記構成の印刷版自動露光装置10では、カセット38から印刷版12(及び合紙13)を取り出すとき、複数段に重ねられたカセット38の1つを特定する。カセット38が特定されると、吸着盤40を当該特定されたカセット38の図4の右端部近傍へ位置決めする。位置決め後は、吸着枚葉装置50(吸着盤40)をカセット38の高さ位置まで下降させるが、このとき、それぞれのカセット38の高さ位置が異なるが、それぞれ単純な直線的な移動となる。
【0054】
吸着枚葉装置50が下降すると、当該特定されたカセット38での最上層に位置する合紙13に吸着盤40が接触する。この状態で、各吸着盤40に接続された真空ポンプ52が作動して、所定の負圧を発生する。これにより、吸着盤40は、最上層の合紙13と共に印刷版12を吸着する。吸着後には、吸着盤40が上昇し、この上昇時に印刷版12がカセット38のさばき板39に係合して次の(下層の)他の合紙13(印刷版12)が確実に分離され(所謂、捌かれ)、最上層の合紙13及び印刷版12のみが安定してカセット38から持ち出される(枚葉される)。
【0055】
吸着枚葉装置50の吸着盤40が印刷版12(及び合紙13)をカセット38から持ち出し、最上点となると、基点70を中心に180°回転しながら、露光部14方向へ水平移動する。このとき、印刷版12のピックアップ位置(吸着盤40の吸着点)は、所謂サイクロイド曲線を描いて移動する。このため、下層側のカセット38から持ち出された印刷版12(及び合紙13)は、自身の腰の強さと共に上層側のカセット38に対して回り込みながら搬送されるため、ほとんど接触することがない。なお、上層側のカセット38と接触するのは、印刷版12の裏面側であるため、多少の接触は許容できる。
【0056】
180°回転した印刷版12(及び合紙13)は、搬送ローラ108へ受け渡される。さらに、搬送方向に対して逆方向に回転するローラ74Bによって合紙13が印刷版12から剥離される。剥離された合紙13は、ローラ74間に引き込まれ、下方のローラ76へと送られ、図示しない廃棄ボックスへ廃棄される。
【0057】
一方、印刷版12は、ガイド板109を略水平に搬送し続け、給版ガイド20へと送り込まれる。給版ガイド20上の印刷版12は、回転ドラム16へ送り込まれ、先端チャック26によって印刷版12の先端部が保持され、この状態で回転ドラム12が回転することで回転ドラム16の周面に緊密に巻き付けられ、その後、後端チャック36によって印刷版12の後端が保持されることで、露光のための準備が完了する。
【0058】
この状態で、画像データを読み込み、記録ヘッド部37からの光ビームによって露光処理が開始される。露光処理は、回転ドラム16を高速で回転させながら(主走査)、記録ヘッド部37を回転ドラム16の軸線方向へ移動する、所謂走査露光である。
【0059】
露光処理が終了すると、搬送ガイドユニット18を切り換え(排版ガイド22を回転ドラム16へ対応させ)、次いで、回転ドラム16に巻きつけた印刷版12を接線方向から排出していく。このとき、印刷版12は、排版ガイド22に送られる。印刷版12が排版ガイド22に送られると、搬送ガイドユニット18を切り換え、排版ガイド22を排出口へ対応させ、印刷版12を排出させる。この排出方向には、現像部が設けられており、印刷版12は続けて現像処理される。
【0060】
ここで、前述の如き吸着盤40によって印刷版12を真空吸着して1枚ずつ搬送する際には、吸着盤40に作用する負荷は、図1に線Aにて示す如く、「吸着持上げ」・「さばき板による分離枚葉」・「反転させて搬送」、の全ての過程において順次変化していくが、前記「さばき板による分離枚葉」の際に当該負荷が最も大きくなることが一般的である。
【0061】
またここで、従来では、多数枚の印刷版12を多重吸着しても最終的にはこれらを分離して1枚ずつ搬送供給することができるものの、反面、図1に線Bにて示す如く、多数枚の印刷版12を多重吸着すればそのときの吸着盤40に掛かる負荷は大きなものとなる。したがって、図1に線Xにて示す如く、多数枚の印刷版12を吸着するに足りる(多数枚の印刷版12を多重吸着しても充分な)吸着力(吸着負圧PX)が必要であった。このため、吸着盤40の吸着面積(大きさや個数)あるいは負圧源(真空ポンプ52)の能力等を増大させて、多数枚の印刷版12を多重吸着しても充分なように設定しなければならず、装置が大型でコスト高になる原因であった。
【0062】
これに対し、本実施の形態に係る吸着枚葉装置50では、前述の如くカセット38内の合紙13及び印刷版12を吸着盤40によって吸着し枚葉するに際して、吸着盤40の吸着負圧が圧力検出センサ62によって検出され、図1に線Zにて示す如く、この吸着盤40が最上層の印刷版12のみを吸着枚葉するに必要な最低限の第1の負圧P1状態に制御され、すなわち電磁式2方弁58の作動により吸着盤40(管路54)の吸着負圧が大気開放させることで前記第1の負圧P1状態とされ、この状態で各吸着盤40による吸着枚葉が実施される。しかも、この吸着枚葉の後に印刷版12を搬送供給する際には、同様に吸着盤40の吸着負圧が圧力検出センサ62によって検出され、吸着盤40の吸着負圧が、搬送供給するために必要な第2の負圧P2状態となるように、電磁式2方弁58が作動されて吸着盤40(管路54)の吸着負圧が制御され、この状態で各吸着盤40による搬送供給が実施される。
【0063】
このため、吸着盤40の直下の(最上層の)印刷版12が吸着盤40によって吸着される際に、吸着盤40の形状に倣って当該印刷版12が凹形状に変形する程度が少なくなる。したがって、その下の印刷版12との間で新たな真空が発生し難くなり、下側に位置する印刷版12を更に密着してしまう(最上層の印刷版12と次の(下層の)印刷版12との間の真空密着が生じてしまう)ことが防止される。すなわち、多数枚の印刷版12を多重吸着してしまうことが低減される。
【0064】
したがって、そもそも、図1に線Xにて示す如き多数枚の印刷版12を吸着するに足りる(多数枚の印刷版12を多重吸着しても充分な)吸着力(吸着負圧PX)が不要となり、換言すれば、吸着負圧PXよりも遙かに小さな第2の負圧P2を発生すれば事足りることになり、吸着盤40の吸着面積(大きさや個数)あるいは真空ポンプ52(負圧発生源)の能力等を増大させる必要がなくなる。これにより、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0065】
このように、第1の実施の形態に係る吸着枚葉装置50では、積層された複数枚の印刷版12のうち最上層の印刷版12を吸着して枚葉する際に、最上層の印刷版12を次の(下層の)他の印刷版12と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、吸着盤40の吸着面積(大きさや個数)や真空ポンプ52(負圧発生源)の能力を必要最小限にすることができ、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0066】
次ぎに、本発明の他の実施の形態を説明する。
【0067】
なお、前記第1の実施の形態と基本的に同一の部品には前記第1の実施の形態と同一の符号を付与し、その説明を省略する。
「第2の実施の形態」
図5には第2の実施の形態に係る吸着枚葉装置90の全体構成が概略的に示されている。
【0068】
この吸着枚葉装置90は、前記第1の実施の形態に係る吸着枚葉装置50と基本的に同様の構成であるが、各吸着盤40は、負圧発生源としての真空ポンプ92に接続されている。真空ポンプ92は、「DCポンプ」または「ACポンプ」とされており、しかも、「DCポンプ」の場合は電圧を制御することにより、「ACポンプ」の場合は周波数を制御することにより、各吸着盤40の吸着負圧を制御することができる。
【0069】
これにより、吸着盤40で印刷版12を吸着して枚葉する際には、吸着盤40の吸着負圧を圧力検出センサ62によって検出し、吸着盤40の吸着負圧を、この吸着盤40が最上層の印刷版12のみを吸着枚葉するに必要な最低限の前記第1の負圧P1状態とし、しかも、吸着枚葉の後に印刷版12を搬送供給する際には、吸着盤40の吸着負圧を、搬送供給するために必要な前記第2の負圧P2状態とするように設定されている。
【0070】
上記構成の第2の実施の形態に係る吸着枚葉装置90では、前述の如くカセット38内の合紙13及び印刷版12を吸着盤40によって吸着し枚葉するに際して、吸着盤40の吸着負圧が圧力検出センサ62によって検出され、真空ポンプ92の駆動状態を制御することにより、吸着盤40が最上層の印刷版12のみを吸着枚葉するに必要な最低限の第1の負圧P1状態にされ、この状態で各吸着盤40による吸着枚葉が実施される。しかも、この吸着枚葉の後に印刷版12を搬送供給する際には、同様に吸着盤40の吸着負圧が圧力検出センサ62によって検出され、真空ポンプ92の駆動状態を制御することにより、吸着盤40の吸着負圧が、搬送供給するために必要な前記第2の負圧P2状態とされ、この状態で各吸着盤40による搬送供給が実施される。
【0071】
このため、吸着盤40の直下の(最上層の)印刷版12が吸着盤40によって吸着される際に、吸着盤40の形状に倣って当該印刷版12が凹形状に変形する程度が少なくなる。したがって、その下の印刷版12との間で新たな真空が発生し難くなり、下側に位置する印刷版12を更に密着してしまう(最上層の印刷版12と次の(下層の)印刷版12との間の真空密着が生じてしまう)ことが防止される。すなわち、多数枚の印刷版12を多重吸着してしまうことが低減される。
【0072】
したがって、そもそも、多数枚の印刷版12を吸着するに足りる(多数枚の印刷版12を多重吸着しても充分な)吸着力が不要となり、吸着盤40の吸着面積(大きさや個数)あるいは真空ポンプ92(負圧発生源)の能力等を増大させる必要がなくなる。これにより、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0073】
このように、第2の実施の形態に係る吸着枚葉装置90では、積層された複数枚の印刷版12のうち最上層の印刷版12を吸着して枚葉する際に、最上層の印刷版12を次の(下層の)他の印刷版12と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、吸着盤40の吸着面積(大きさや個数)や真空ポンプ92(負圧発生源)の能力を必要最小限にすることができ、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能になる。
「第3の実施の形態」
図6には第3の実施の形態に係る吸着枚葉装置(吸着枚葉方法)における吸着枚葉時及び搬送供給時における吸着盤の吸着負圧の状態が線図にて示されている。
【0074】
この第3の実施の形態に係る吸着枚葉装置は、前記第2の実施の形態に係る吸着枚葉装置90と基本的に同様の構成であり、各吸着盤40は、負圧発生源としての真空ポンプ92に接続されている。この真空ポンプ92は、図6に示す如く、吸着盤40が印刷版12を吸着枚葉及び搬送供給するために必要な負圧Pを発生することができる。
【0075】
またここで、図6に示す如く、吸着盤40の吸着負圧が、この吸着盤40が最上層の印刷版12のみを吸着枚葉するに必要な最低限の第1の負圧P1に達した時点(時間T1)で直ちに吸着盤40の吸着枚葉動作を開始し、しかも、吸着枚葉の後には、吸着盤40の吸着負圧が、印刷版12を搬送供給するために必要な第2の負圧P2に達した時点(時間T2)で印刷版12の搬送供給を開始するように設定されている。
【0076】
上記構成の第3の実施の形態に係る吸着枚葉装置では、前述の如くカセット38内の合紙13及び印刷版12を吸着盤40によって吸着し枚葉するに際して、吸着盤40の吸着負圧が最上層の印刷版12のみを吸着枚葉するに必要な最低限の第1の負圧P1に達した時点(時間T1)で直ちに吸着盤40の吸着枚葉動作が開始され、この状態で各吸着盤40による吸着枚葉が実施される。しかも、この吸着枚葉の後には、吸着盤40の吸着負圧が印刷版12を搬送供給するために必要な第2の負圧P2に達した時点(時間T2)で印刷版12の搬送供給が実施される。
【0077】
このため、吸着盤40の直下の(最上層の)印刷版12が吸着盤40によって吸着される際に、吸着盤40の形状に倣って当該印刷版12が凹形状に変形する程度が少なくなる。したがって、その下の印刷版12との間で新たな真空が発生し難くなり、下側に位置する印刷版12を更に密着してしまう(最上層の印刷版12と次の(下層の)印刷版12との間の真空密着が生じてしまう)ことが防止される。すなわち、多数枚の印刷版12を多重吸着してしまうことが低減される。
【0078】
したがって、そもそも、多数枚の印刷版12を吸着するに足りる(多数枚の印刷版12を多重吸着しても充分な)吸着力が不要となり、吸着盤40の吸着面積(大きさや個数)あるいは真空ポンプ92(負圧発生源)の能力等を増大させる必要がなくなる。これにより、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0079】
このように、第3の実施の形態に係る吸着枚葉装置では、積層された複数枚の印刷版12のうち最上層の印刷版12を吸着して枚葉する際に、最上層の印刷版12を次の(下層の)他の印刷版12と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、吸着盤40の吸着面積(大きさや個数)や真空ポンプ92(負圧発生源)の能力を必要最小限にすることができ、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能になる。
【0080】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明に係るシート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置は、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、吸着盤の吸着面積(大きさや個数)や負圧発生源の能力を必要最小限にすることができ、装置の小型化や低コスト化を図ることが可能になるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る吸着枚葉装置の吸着枚葉時及び搬送供給時における吸着盤の吸着負圧の状態を従来と比較して示す線図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る吸着枚葉装置の全体構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る吸着枚葉装置が適用された印刷版自動露光装置の概略図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る吸着枚葉装置が吸着するカセット内の合紙と印刷版との集積状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る吸着枚葉装置の全体構成図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る吸着枚葉装置(吸着枚葉方法)における吸着枚葉時及び搬送供給時の吸着盤の吸着負圧の状態を示す線図である。
【符号の説明】
10 印刷版自動露光装置
12 印刷版(シート体)
12A 支持体
12B 乳剤面
13 合紙(シート体)
38 カセット
40 吸着盤
50 吸着枚葉装置
52 真空ポンプ(負圧発生源)
54 管路
58 電磁式2方弁(負圧制御手段)
60 逆止弁(負圧制御手段)
64 可変絞り弁(負圧制御手段)
Claims (2)
- 積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着盤によって吸着し下層の他のシート体と分離して枚葉し次工程へ搬送供給するシート体の吸着枚葉方法であって、
前記吸着盤の吸着負圧を、前記吸着盤が前記最上層のシート体のみを前記吸着枚葉するに必要な最低限の第1の負圧状態とし、当該第1の負圧状態で前記吸着盤による前記吸着枚葉を実施し、
かつ、前記吸着枚葉の後に、前記吸着盤の吸着負圧を、その後に前記搬送供給するために必要な第2の負圧状態とし、当該第2の負圧状態で前記吸着盤による前記搬送供給を実施する、
ことを特徴とするシート体の吸着枚葉方法。 - 積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着し下層の他のシート体と分離して枚葉し次工程へ搬送供給するシート体の吸着枚葉装置であって、
前記シート体の幅方向に沿って複数設けられ、負圧によって前記シート体を前記吸着枚葉すると共に前記搬送供給する吸着盤と、
前記各吸着盤に接続され、前記各吸着盤が前記最上層のシート体のみを前記吸着枚葉するに必要な最低限の第1の負圧及びその後に前記搬送供給するために必要な第2の負圧を発生する負圧発生源と、
前記各吸着盤の吸着負圧を、前記第1の負圧状態及び第2の負圧状態に制御可能な負圧制御手段と、
を備え、
前記負圧制御手段によって前記各吸着盤の吸着負圧を前記第1の負圧に制御して前記各吸着盤による前記吸着枚葉を実施し、かつ、前記吸着枚葉の後に、前記負圧制御手段によって前記各吸着盤の吸着負圧を前記第2の負圧に制御して前記各吸着盤による前記搬送供給を実施する、
ことを特徴とするシート体の吸着枚葉装置。
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