JP2004283949A - 切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い靭性を有する複合繊維体状の芯材と被覆層とからなる複合繊維体を切削工具に応用する場合に、複合繊維体の特性を十分に切削工具に反映し、実用的で高い耐欠損性を有する切削工具を提供する。
【解決手段】芯材11と、芯材11の外周を被覆し芯材11とは異なる組成の被覆層12とからなる複合繊維体13を複数本ランダムな方向に配置した複合構造体15からなる切削工具1を特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に安価で量産性に優れるとともに被削材との反応性も低く、かつ耐欠損性および耐摩耗性が改善された切削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、鋼などの各種材料を加工するための切削工具として使用されるスローアウェイチップは超硬合金やセラミックスなどで形成され、特にセラミック工具についてはAlマトリックス中にSiCウイスカーやTiCウイスカー等のウイスカーを分散させて工具の靭性および耐欠損性を高める方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、上記Alマトリックス中にSiCウイスカーを分散させた工具では、工具の靭性は向上するものの、被削材としてインコネル等のNiおよびFeを含有する材質を切削する場合には被削材がSiCと反応して溶着したり摩耗が進行しやすいという問題があった。また、Alマトリックス中にTiCウイスカー等の他のウイスカーを分散させた工具については、研究・開発用としては優れた性能を発揮するものの、実用化するにはウイスカーが高価であることおよび安定した特性のウイスカーを大量に供給できない等の問題があり実用化に至っていないのが現状である。
【0004】
一方、近年、芯材の外周を表皮材で被覆した複合繊維体を一方向に整列させて集束した複合構造体が注目され、構造体の靭性を高めることができること(特許文献3参照)や、ドリルビットの表面等に貼り付けることによってビットの耐摩耗性を向上できることが記載されている(特許文献4)が、かかる複合繊維体を一方向に整列させたものを切削工具に転用すると、硬度や靭性等の特性に大きな異方性があるために、すくい面方向または逃げ面方向と繊維体の方向によって工具の耐欠損性が変化してしまうことからすくい面および逃げ面の耐欠損性をともに向上させることはできないものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−65903号公報
【特許文献2】
特開平2−133369公報
【特許文献3】
米国特許第5645781号明細書
【特許文献4】
米国特許第6063502号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献4には掘削工具用としての具体例について記載されているが、特許文献3、4のいずれにも旋削やフライス切削などの切削工具については記載されておらず、複合繊維体をこのような切削工具に応用する際の繊維体の特性を十分に発揮するための具体的な構造については全く検討されていない。また、上記複合構造体を切削工具にそのまま転用すると構造体自体が異方性を有するために構造体の向きと切刃の向きとの関係によって特定の部分にて耐欠損性および/または耐摩耗性が著しく低下する可能性があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、高い靭性を有する複合繊維体状の芯材と被覆層とからなる複合繊維体を切削工具に応用する場合に、複合繊維体の特性を十分に切削工具に反映し、実用的で高い耐欠損性を有する切削工具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる複合繊維体を集束して複合構造体を形成し、この複合構造体によって切削工具の切刃を形成する場合、複合構造体中の複合繊維体をランダムな方向に配置させることによって、複合構造体の持つ高い靭性を維持したまま構造体として異方性を持たず等方的な特性を有していずれの部分においても優れた耐欠損性および耐摩耗性を有することを見出し、これによって、複合繊維体の特長を生かしつつすくい面および逃げ面の切削に関するいずれの面においても耐欠損性および耐摩耗性に優れた切削工具が形成できることを知見した。
【0009】
すなわち、本発明の切削工具は、芯材と、該芯材の外周を被覆し芯材とは異なる組成の被覆層とからなる複合繊維体を複数本ランダムな方向に配置した複合構造体からなることを特徴とするものである。
【0010】
ここで、前記切削工具の切刃先端において、ホーニングにより切刃稜線部に芯材を露出させたことによって切刃の耐摩耗性を特に向上させることができる。
【0011】
また、複合繊維体の形状として、繊維体の平均長さ:aが0.1〜50mm、平均繊維径:bが5〜300μmで、かつa/bが3以上であることが切削工具としての耐摩耗性および耐欠損性を高める点で望ましい。
【0012】
さらに、前記芯材がAl質セラミックスからなることが複合構造体としての耐靭性と耐摩耗性を兼ね備えた鋼、鋳鉄、耐熱合金等の切削用の切削工具として特に好適に使用可能なものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
図1は本発明の切削工具を示す概略斜視図であり、図2は、図1の切削工具中に含有される複合繊維体の模式図である。
【0014】
図1に示す切削工具1は、主面2が多角形状の平板状をなして複数のコーナー部3を有しており、主面がすくい面2aおよび着座面2b、側面が逃げ面4、コーナー部3を含むすくい面2aと逃げ面4との交差稜線部が切刃5として使用される。
【0015】
本発明によれば、切削工具1が、図2に示すような、芯材11と、芯材11の外周を被覆し芯材11とは異なる組成の被覆層12とからなる複合繊維体13を複数本ランダムな方向に配置した複合構造体15からなることを特徴とするものであり、これによって、複合構造体15の持つ高い靭性を維持したまま構造体として異方性を持たず等方的な特性を有していずれの部分においても優れた耐欠損性および耐摩耗性を有する構造体15とすることができ、複合繊維体13の特長を生かしつつすくい面2aおよび逃げ面4の切削に関するいずれの面においても耐欠損性および耐摩耗性に優れた切削工具1が形成できる。
【0016】
つまり、前記複合繊維体13が整列し一方向に揃った複合構造体15をそのまま切削工具として使用すると、切削時にかかる様々な応力の方向のうちの1つが複合繊維体13の芯材11と被覆層12との境界で剥離が発生する方向と合致した場合には前記境界で引張応力がかかるために、切削時に切刃5に位置するこの境界部にて剥離してチッピングや欠損を生じやすくなる恐れがある。
【0017】
なお、切削工具1の切刃5先端、すなわち図1のコーナー部3において、ホーニング等により芯材11を露出させると常に芯材11の外周に存在する被覆層12を予め研磨して切刃稜線部分を高硬度な芯材11にて形成することができることから切刃5の耐摩耗性を特に向上させることができる。
【0018】
図2(a)(b)は、本発明において用いられている複合繊維体の概略斜視図である。(a)の複合繊維体13は、芯材11とこの芯材11の外周を被覆し芯材11とは異なる組成の材料からなる被覆層12とからなるシングルタイプの繊維体である。また、(b)の複合繊維体17は、(a)のシングルタイプの繊維体11の集合体を伸延したものでマルチタイプの繊維体である。本発明によれば、切削工具1を形成する複合構造体15は、このような(a)または(b)の複合繊維体13、17を寄せ集めた構造体によって形成されている。望ましくは、(b)のマルチタイプの繊維体17を用いることが耐欠損性に優れる。
【0019】
また、上記シングルタイプの複合繊維体13またはマルチタイプの複合繊維体17の形状としては、繊維体の平均長さ:aが0.1〜50mm、特に5〜30mmであること、および複合繊維体13、17の平均繊維径(マルチタイプの複合繊維体17の場合には複数本集束される各々の複合繊維体の平均直径):bが5〜300μm、特に10〜100μmであることがクラックディフレクション(偏向)の効果を高める点で望ましく、かつa/bが3以上、特に5〜100であることが、成形時に繊維体が配向した組織となることを防止してランダムな配置を維持し、切削工具としての耐摩耗性および耐欠損性を高める点、および製造上の取り扱いの容易性の点で望ましい
さらに、切削工具1の中央部には、バイトなどの工具に取り付けるためのクランプねじ等が挿通される取付孔(図示せず)を形成してもよく、本発明によれば、切削工具としてはソリッドタイプの工具であっても良いが、低コスト、製造の容易さ等の点でスローアウェイ式の工具であることが望ましい。
【0020】
さらに、工具本体の切刃部分を切り欠いて複合構造体15からなる切刃チップを取付座にはめ込んでろう付け等で固定する、いわゆるロウ付けタイプの切削工具(図示せず)にも適応可能であるが、本発明は汎用の工具全体を一体的に同じ部材にて形成するシンプルで安価な工具に適応した場合に特に有効な効果を発揮するものである。
【0021】
本発明において用いる複合繊維体13の芯材11を構成する材質としては、周期律表4a、5aおよび6a族金属、アルミニウム、シリコンの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物および炭窒化物からなる第1のセラミックス、中でもAl−炭化チタン(炭窒化チタン)、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、硼化チタンの群から選ばれる少なくとも1種、さらにはAl炭化チタン(炭窒化チタン)および/または炭化珪素が好適に使用可能である。なお、第1のセラミックス中には適宜焼結助剤成分を含有せしめることも可能である。
【0022】
また、芯材11を構成する他の材質としては、周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子、特に炭化タングステン、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタン、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化クロムおよび炭化モリブデンの群から選ばれる少なくとも1種、さらには炭化タングステン、炭化チタンまたは炭窒化チタンの群から選ばれる少なくとも1種を、望ましくは65〜98質量%とし、これに、鉄、コバルトおよびニッケルの群から選ばれる少なくとも1種、特にコバルトおよび/またはニッケルからなる結合金属2〜35質量%にて結合してなる第1の硬質焼結体、特に超硬合金またはサーメットが好適に使用可能である。
【0023】
さらに、芯材11を構成するさらに他の材質として、上記硬質焼結体以外にも、ダイヤモンド60〜99質量%を、鉄族金属、特にコバルトおよび/またはニッケルからなる結合金属1〜40質量%にて結合してなるダイヤモンド焼結体が好適に使用可能である。なお、ダイヤモンド焼結体中には適宜周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる硬質粒子を含有せしめることも可能である。
【0024】
また、芯材11を構成するさらに他の材質としては、立方晶窒化硼素(以下cBNとする)20〜99質量%を、周期律表4a、5a、6a族金属およびシリコン、アルミニウムの炭化物、窒化物、炭窒化物、硼素化物および酸化物と、鉄族金属の1種以上からなる結合材1〜80質量%にて結合してなるcBN焼結体が好適に使用可能である。
【0025】
上記芯材11のうち、Alを主成分とする、すなわち50質量%以上がAlからなるAl質セラミックスを用いることが望ましく、これによって複合構造体15としての耐靭性と耐摩耗性を兼ね備えた鋼、鋳鉄、耐熱合金切削用の切削工具1として特に好適に使用可能なものとなる。
【0026】
一方、芯材11の外周を覆う被覆層12の材質としては、芯材11とは異なる材質の硬質焼結体またはセラミックスを用いる。また、鉄、コバルトおよびニッケルなどの金属も単独で使用可能である。
【0027】
さらに、芯材11−被覆層12との組み合わせは、例えば超硬合金−サーメット、超硬合金−cBN焼結体、超硬合金−ダイヤモンド焼結体、超硬合金−Al、超硬合金−窒化珪素、サーメット−超硬合金、サーメット−cBN焼結体、サーメット−ダイヤモンド焼結体、サーメット−Al、サーメット−窒化珪素、(Al,炭窒化チタン)−Al、(Al,炭窒化チタン)−窒化ケイ素、(Al,炭窒化チタン)−(Al,炭窒化チタン)、(Al,ZrO)−Al、(Al,ZrO)−窒化ケイ素、(Al,ZrO)−(Al,炭窒化チタン)、(Al,炭窒化チタン)−(Al,ZrO)、窒化珪素−炭化珪素、(炭化珪素、窒化珪素)−窒化珪素、炭化珪素−ダイヤモンド焼結体、cBN焼結体−サーメット、cBN焼結体−超硬合金、およびダイヤモンド焼結体−超硬合金の群から選ばれる1種が特に好適に使用可能である。
【0028】
一方、芯材11をなす焼結体、例えばAl質セラミックスの結晶粒子の平均粒径は、複合繊維体13の硬度および強度向上の点、および芯材11と被覆層12中の結合材(結合金属、焼結助剤)の含有量を適正化する点で0.05〜10μm、特に0.1〜3μmであることが望ましく、他方、被覆層12をなす結晶粒子の平均粒径は、複合繊維体13の靭性向上の点で、0.01〜5μm、特に0.01〜2μmであることが望ましい。
【0029】
次に、本発明の切削工具の製造方法について説明する。まず、本発明において用いられる複合繊維体の製造方法について説明する。図3は、図2の複合繊維体13および17の製造方法を説明するための工程図である。
【0030】
複合繊維体13、17を作製するにあたり、まず、芯材用成形体21を作製する。芯材用成形体21を作製する方法は基本的には公知の粉末冶金法、つまり原料粉末と結合剤(バインダ)とを混合して成形する方法によって作製することができる。
【0031】
具体的な方法として、上述した芯材のうちAl質セラミックスを選択した場合について説明すると、初めに、平均粒径0.01〜10μmのAl粉末を55〜80質量%、特に65〜75質量%と、平均粒径0.01〜10μmのTiCN粉末を5〜35質量%と焼結助剤を0〜10質量%の割合で混合し、さらに有機バインダ、可塑剤、溶剤を添加して混錬し、プレス成形または鋳込み成形等の成形法により円柱形状に成形して芯材用成形体21を作製する(図3(a)参照)。
【0032】
ここで、後述する共押出成形によって均質な複合成形体を得るためには、前記有機バインダの添加量を30〜70体積%、特に40〜60体積%とすることが望ましい。
【0033】
有機バインダとしては、パラフィンワックス、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン‐エチルアクリレート、エチレン‐ビニルアセテート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ジブチルフタレート等を使用することができる。
【0034】
一方、芯材用成形体21とは異なる組成の被覆層をなす材料を前述したバインダとともに混錬してプレス成形、押出成形または鋳込み成形等の成形方法により半割円筒形状の2本の被覆層用成形体22を作製し、この被覆層用成形体22を芯材用成形体21の外周を覆うように配置した成形体23を作製する(図3(b)および(c)参照)。
【0035】
そして、押出機100を用いて芯材用成形体21と被覆層用成形体22とからなる上記成形体23を共押出成形することにより、芯材用成形体21の周囲に被覆層用成形体22が被覆され、細い径に伸延された図2(a)のシングルタイプの複合繊維体24を作製することができる(図3(d)参照)。
【0036】
また、複合繊維体17の形成にあたり、図3(e)に示すように、上記共押出した長尺状の複合繊維体24を複数本集束した集束体25を再度共押出成形することによって、図2(b)の繊維密度の高いマルチタイプの複合繊維体26を作製することができる。なお、複合繊維体24、26の断面は、円形のみならず、四角形、三角形でもよい。
【0037】
次に、図4に示したように、この長尺状の複合繊維体24または26を0.1mm〜10mmの所定長さに切断した後、これを成形型28内にランダムに充填して加熱加圧して複合成形体27を得る。さらに、この積層体27を必要に応じ、図5に示すように、一対のローラ30間に通して圧延処理し、さらに高密度の複合成形体31を作製してもよい。
【0038】
そして、前記複合成形体27、31を300〜700℃で10〜200時間で昇温または保持させて脱バインダ処理し、ついで真空中、大気中または不活性雰囲気中、所定温度、時間で焼成して一体化することにより複合構造体15を作製することができる。
【0039】
さらに、この複合構造体15の切刃をなすコーナー部3に、端部に芯材11が露出するようにチャンファホーニングまたはRホーニングを施して本発明の切削工具を作製することができる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
実施例1
平均粒径0.6μmのAl粉末70重量%と、平均粒径0.8μmのTiCN粉末28重量%と、平均粒径0.5μmのYb粉末0.5重量%、平均粒径0.5μmのCo粉末0.5重量%、平均粒径0.5μmのTiO粉末0.5重量%、平均粒径0.5μmのMg粉末をMgO換算で0.5重量%、の割合で添加し、粉末に対し有機バインダとしてエチレンエチルアクリレート、エチレンビニルアセテート、メトキシポリエチレングリコールを、総量で50体積部加えて混錬して、円柱形状に押出成形して芯材用成形体を作製した。
【0042】
一方、平均粒径0.6μmのAl粉末30重量%と、平均粒径0.8μmのTiCN粉末68重量%と、平均粒径0.5μmのYb粉末0.5重量%、平均粒径0.5μmのCo粉末0.5重量%、平均粒径0.5μmのTiO粉末0.5重量%、平均粒径0.5μmのMg粉末をMgO換算で0.5重量%との割合で添加し、これに、上記同様の有機バインダを加えて混錬し、半割円筒形状の表皮部材用成形体2つを押出成形にて作製し、前記芯材用成形体の外周を覆うように配置して複合構造体を作製した。
【0043】
そして、上記複合繊維体を共押出して直径が2mmの伸延された複合成形体を作製した後、この伸延された複合成形体100本を集束して再度共押出成形し、直径が1mmのマルチタイプの複合繊維体を作製した。
【0044】
次に、このマルチタイプの複合繊維体を長さ5mmづつに切断し、切断された繊維をカーボン製の成形型内にランダムに充填した後、140℃に加熱した状態で成形して複合成形体を得た。
【0045】
その後、前記成形体に対して100〜700℃まで70時間で昇温することによって脱バインダ処理を行った後、昇温速度10℃/分で昇温し、1700℃で1時間ホットプレスにて焼成し、複合構造体を作製した。なお、複合構造体の断面を観察したところ、芯材の直径は20μm、表皮部材の厚みは1μmであり、芯材と表皮部材との間に剥離等は見られなかった。
【0046】
そして、この複合構造体をRNGN120700タイプの切削工具形状に加工してさらに、コーナー部の切刃先端部分に芯材が露出するようにC面加工および/またはRホーニング加工を施すことによってスローアウェイタイプの切削工具を作製した。
【0047】
得られたスローアウェイチップについて以下の条件
<切削条件>
被削材:Inconel718
切削速度300m/min
切り込み:1.5mm
送り0.2mm/rev
状態:湿式切削
で切削試験を行った結果、10分間切削後最大0.28mmの境界摩耗が発生したが、工具欠損は発生しなかった。
【0048】
実施例2
実施例1の表皮部材用原料を、平均粒径0.3μmのSi粉末60重量%、平均粒径1.5μmのY粉末6重量%、平均粒径0.5μmのAl粉末2重量%、平均粒径0.8μmのTiCN粉末32重量%の割合からなる混合粉末に換える以外は実施例1と同様にして複合構造体を作製し、同条件で切削試験を行った結果、10分間切削後最大0.30mmの境界摩耗が発生したが、工具欠損は発生しなかった。
【0049】
実施例3
実施例1の表皮部材用原料を、平均粒径0.3μmのAl粉末85重量%、平均粒径1.5μmのZrO粉末15重量%の割合からなる混合粉末に換える以外は実施例1と同様にして複合構造体を作製し、同条件で切削試験を行った結果、10分間切削後最大0.29mmの境界摩耗が発生したが、工具欠損は発生しなかった。
【0050】
比較例1
実施例1の芯材のみの組成でRNGN120700タイプの切削工具を作製し上記条件で切削テストを行った結果、切削試験開始後4分後に欠損を起こし切削不能となった。
【0051】
比較例2
比較例1に対して、Al粉末68質量%−SiCウィスカー30質量%−MgO粉末0.5質量%−Y粉末0.5質量%−SiO粉末0.5質量%−NiO粉末0.5質量%で芯材のみとする以外は比較例1と同様の方法にて切削工具を作製し、上記条件で切削テストを行った結果、切削試験開始後6分後に被削材と工具との拡散反応によって摩耗が大きく進行し切削不能となった。このとき逃げ面摩耗が0.4mm及び境界摩耗が0.6mmであった。
【0052】
比較例3
実施例1のマルチタイプの複合繊維体を、図6(a)に示すように整列した状態で図6(b)に示すようにカーボン製の成形型内に充填して、実施例1と同様な条件で成形して複合成形体を得た後、実施例1と同様に脱バインダ処理およびホットプレス焼成を行って複合構造体を作製した。なお、複合構造体の断面を観察したところ、芯材の直径および表皮部材の厚みは実施例1と同じであり、芯材と表皮部材との間に剥離等は見られなかった。
【0053】
そして、この複合構造体を実施例1と同様に加工して切削工具を作製し、実施例1の切削条件で切削試験を行った結果、10分間切削後、複合繊維体の表皮材に沿って繊維が脱落し0.6mmのチッピングが発生し、摩耗量は最大0.65mmとなった。
【0054】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明によれば、複合構造体中の複合繊維体をランダムな方向に配置させることによって、複合構造体の持つ高い靭性を維持したまま構造体として異方性を持たず等方的な特性を有していずれの部分においても優れた耐欠損性および耐摩耗性を有し、複合繊維体の特長を生かしつつすくい面および逃げ面の切削に関するいずれの面においても耐欠損性および耐摩耗性に優れた切削工具が形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる切削工具の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の切削工具をなす(a)シングルタイプの複合繊維体、(b)マルチタイプの複合繊維体の構造を説明するための図である。
【図3】複合繊維体の製造方法を示す工程図である。
【図4】複合繊維体の成形工程を説明するための工程図である。
【図5】複合繊維体の成形工程の変形例を説明するための工程図である。
【図6】比較例3の切削工具を構成する複合構造体の成形方法を説明するための工程図である。
【図7】比較例3の切削工具における複合繊維体の配列方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 切削工具
2 主面
2a すくい面
2b 着座面
3 コーナー部
4 逃げ面
5 切刃
11 芯材
12 被覆層
13 複合繊維体
15 複合構造体

Claims (4)

  1. 芯材と、該芯材の外周を被覆し芯材とは異なる組成の被覆層とからなる複合繊維体を複数本ランダムな方向に配置した複合構造体からなることを特徴とする切削工具。
  2. 前記切削工具の切刃先端において、ホーニングにより前記芯材を露出させたことを特徴とする請求項1記載の切削工具。
  3. 前記複合繊維体の平均長さ:aが0.1〜50mm、前記複合繊維体の平均繊維径:bが5〜300μmであり、かつa/bが3以上であることを特徴とする請求項1または2記載の切削工具。
  4. 前記芯材がAl質セラミックスからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の切削工具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006232622A (ja) * 2005-02-24 2006-09-07 Kyocera Corp 複合焼結体および切削工具
JP2009083096A (ja) * 2007-09-14 2009-04-23 Sumitomo Electric Ind Ltd 切削工具
JP2012250351A (ja) * 2011-05-31 2012-12-20 Mitsuboshi Diamond Industrial Co Ltd スクライブ方法

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