JP4484535B2 - ダイヤモンド質焼結体および切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、特に耐摩耗性および耐欠損性が改善されたダイヤモンド質焼結体および切削工具に関する。
ダイヤモンドは最も硬い物質であり、そのダイヤモンドを用いたダイヤモンド質焼結体は優れた耐摩耗性を有するので、切削工具や掘削工具等の各種工具や線引きダイスのような耐摩耗分野で用いられている。このようなダイヤモンド質焼結体は、一般にCo等の鉄族金属を結合材としている。
かかるダイヤモンド質焼結体は、例えば特許文献1に示されているように、ダイヤモンド粉末をWC−Co超硬合金母材上に配置して、高温高圧下で超硬合金母材からCoあるいはCo−W−C共晶液相をダイヤモンド粉末中に溶浸させて焼結することによって得る方法や、特許文献2に示されているように、ダイヤモンド粉末と鉄族金属をあらかじめ混合し、この混合粉末を高温高圧下で焼結することによってダイヤモンド質焼結体を得る方法、さらに、特許文献3に記載されるように、ダイヤモンド粒子に対してMg、Ca、Sr、およびBaの炭酸塩および酸化物のうちの1種または2種以上からなる焼結助剤成分を用いて焼結することによって、耐熱性を改善したダイヤモンド質焼結体を得る方法が提案されている。
特公昭52−12126号公報 特開昭54−114513号公報 特開平4−74766号公報
しかしながら、上記のようなダイヤモンド質焼結体では、耐摩耗性、耐熱性を損なわないようにするため結合材をできるだけ少量に抑え、残部をダイヤモンドが直接結合した組織を形成するようにしているため、このような焼結体で、Al−Si合金やTi合金の切削加工あるいは掘削加工に使用すると、加工中にダイヤモンド粒子が脱落することによって摩耗が大きく進行したり、あるいはダイヤモンド粒子境界面を起点として焼結体が欠損するという問題があった。
したがって、本発明の目的は、ダイヤモンド粒子の脱落や粒子界面での欠損を防止して、高い耐摩耗性と耐欠損性を有するダイヤモンド質焼結体を提供することにある。
本発明者は、ダイヤモンド粒子と結合相から成るダイヤモンド質焼結体に特定量のカーボンナノチューブを複合化することによって、カーボンナノチューブの特長である高い靭性および体積膨張率を生かし、ダイヤモンド粒子の脱落や粒子界面での欠損を防止して耐摩耗性および耐欠損性に優れたダイヤモンド質焼結体が形成できることを見出し、本発明に至った。
より詳細には、ダイヤモンド質焼結体中にカーボンナノチューブを含有せしめることによって、クラック進行を抑制するとともに、ダイヤモンド粒子の脱落を防止する繊維強化作用と、ダイヤモンド質焼結体と結合相間の熱膨張係数差などにより発生する残留応力を緩和する効果を発揮して欠損を効果的に抑制することができる。また、カーボンナノチューブはダイヤモンドに匹敵する程の硬度を有し、かつダイヤモンド粒子よりも結合相と強固に結合するとともに繊維強化作用のために、少ない結合相量においてもダイヤモンド粒子の脱粒を抑制することができる結果、耐摩耗性が向上する。その結果、本発明のダイヤモンド質焼結体の構造に起因して焼結体全体として強度が高く、靱性に優れた焼結体となるのである。
すなわち、本発明のダイヤモンド質焼結体は、平均粒径50μm以下のダイヤモンド粒子50〜98体積%と、カーボンナノチューブ1〜40体積%と、鉄族金属またはアルカリ土類金属化合物の少なくとも一種と、を含有することを特徴とする。
特に、前記カーボンナノチューブの平均直径が1〜500nm、アスペクト比が2〜500であることが、複合構造体として繊維強化作用を高め、優れた強度、靱性を発揮する点で望ましい。
さらに、ダイヤモンド質焼結体中のカーボンナノチューブの表面の一部または全部が周期律表第4a、5a、6a族元素およびAl、Siのうちの少なくとも一種を含む金属または炭化物で被覆されていることが、カーボンナノチューブが焼結中に結合相へ溶解することを抑制する点で望ましい。
また、ダイヤモンド質焼結体中のカーボンナノチューブが一方向に配向していることが、外部応力に対してカーボンナノチューブの繊維強化作用を効果的に発揮させる点および切削工具として用いる際の切刃位置でのカーボンナノチューブの配列状態を調整できる点で望ましい。
ここで、本発明の切削工具は、少なくとも切刃部が上記ダイヤモンド質焼結体からなるものであり、さらに、前記カーボンナノチューブが一方向に配向しているとともに、切刃部分を構成しているダイヤモンド質焼結体中のカーボンナノチューブの繊維方向とすべての切刃稜線の接線とのなす角度αが2°以上であり、特にカーボンナノチューブの配向方向とノーズR部の頂点の接線とのなす角度αが45°以上となるように配置することによって、カーボンナノチューブの特性が十分に発揮され、切刃の高い耐欠損性を実現することができる。
これは、切削時にかかる応力の方向がカーボンナノチューブの高強度な長手方向で応力を受け止め、応力を分散させることができる結果、切刃における欠損を効果的に抑制することができるのである。
また、切削工具を工具本体と、該工具本体の取付座にろう付けされた切刃チップとに分離し、該切刃チップを前記ダイヤモンド質焼結体で形成することによって、工具の切刃形状に対するダイヤモンド質焼結体中のカーボンナノチューブの繊維方向を容易に制御することができるとともに、複数のコーナーに切刃を設ける場合のダイヤモンド質焼結体中のカーボンナノチューブの配列も容易に行うことができる。
上記本発明のダイヤモンド質焼結体および切削工具によれば、ダイヤモンド粒子と結合相から成るダイヤモンド質焼結体に特定量のカーボンナノチューブを複合することによって、耐摩耗性および耐欠損性に優れたダイヤモンド質焼結体および切削工具を形成することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
本発明において用いるダイヤモンド質焼結体は、平均粒径50μm以下のダイヤモンド粒子50〜98体積%と、カーボンナノチューブ1〜40体積%と、鉄族金属またはアルカリ土類金属化合物の少なくとも一種、特にCo(コバルト)および/またはNi(ニッケル)の鉄族金属またはMg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)の炭酸塩および酸化物(MgCO、CaCO、SrCO、BaCO、MgO、CaO、SrO、BaO)またはこれが炭化した炭化物にて結合してなるダイヤモンド質焼結体である。
ここで、上記ダイヤモンド質焼結体中のダイヤモンド粒子の含有量が50体積%よりも少ないと、焼結体としては低硬度となり、切削工具としての耐摩耗性が低下して切削工具11が早期に寿命となり、98体積%より多くなるとダイヤモンド粒子を保持できなくなり、ダイヤモンド粒子の脱粒によって摩耗が進行する。ダイヤモンド粒子の望ましい含有量は75〜92体積%である。
さらに、ダイヤモンド質焼結体中のカーボンナノチューブの含有量が1体積%より小さいとカーボンナノチューブを含有する効果が発揮されず、また40体積%より多いとカーボンナノチューブの凝集物が生成し、その凝集物が破壊源となり欠損が発生する。
ここで、カーボンナノチューブとは、炭素でできた直径がnmオーダーの管のことであるが、本発明においては、ダイヤモンド質焼結体中のカーボンナノチューブの平均直径は1〜500nm、アスペクト比が2〜500であることが望ましく、カーボンナノチューブの特長を効果的に発揮させるには平均直径は5〜200nm、アスペクト比が5〜200とすることが望ましい。
上記カーボンナノチューブの平均直径が1nmより小さいと均一に混合分散させることが困難となり、500nmより大きいと破壊源となる可能性が大きくなる。カーボンナノチューブのアスペクト比が5より小さいと粒子形状に近くなりカーボンナノチューブとしての効果が低下し、500より大きいと通常の混合方法での均一分散が困難になる。
さらに、ダイヤモンド質焼結体中のカーボンナノチューブの表面の一部または全部を周期律表第4a、5a、6a族元素およびAl(アルミニウム)、Si(シリコン)のうちの少なくとも一種を含む金属または炭化物で被覆されていることがカーボンナノチューブの結合相への溶出を抑制して、繊維強化効果が低下することを防止し、また、加工中の耐酸化性を高めるという点で望ましい。特に、上記カーボンナノチューブを被覆する物質としては、製法上の簡便なTi(チタン)、Si(シリコン)が望ましく、より細いカーボンナノチューブに用いると効果的である。
なお、ダイヤモンド質焼結体中の結合剤としてはコバルトを必須として含有することがダイヤモンド粒子の脱粒を抑制できる点で望ましく、また、その含有量は4〜10体積%であることが望ましい。
また、ダイヤモンド質焼結体中には、上記以外にも、周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる硬質粒子を10体積%以下の比率で含有せしめることも可能である。
さらに、上記ダイヤモンド質焼結体を用いた切削工具の一実施態様について説明する。
図1は本発明の切削工具を示す概略斜視図であり、図2は、図1の切削工具の要部断面図である。
図1に示す切削工具11は、平板状をなし、工具本体12の角部に形成された取付座13には、裏板19と上述したダイヤモンド質焼結体16とが一体化された切刃チップ14がろう付けされている。また、この切削工具11によれば、すくい面15と横逃げ面との交差稜線部に切刃17が構成されている。さらに、切削工具11の中央部には、バイトなどの工具に取り付けるためのクランプねじ等が挿通される取付孔18が形成されている。
図1の切削工具では、その要部断面図である図2に示すように、ダイヤモンド質焼結体16中にはカーボンナノチューブ32が含有され、そのカーボンナノチューブ32が配向した組織からなる。
また、カーボンナノチューブ32は長手方向の強度が高く、その方向が応力の作用面となるように配置することが望ましい。
図1、2の切削工具によれば、幅方向に並列に整列したカーボンナノチューブ32の配向(繊維)方向が、切刃17の稜線と平行にならないように配置することが望ましい。
即ち、図3の切刃チップの平面図に示すように、カーボンナノチューブ32、32、・・・の配向方向Lと、切刃17における稜線での接線Lとのなす角度αが、切刃部分のどの場所においても2°以上、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上であることが望ましい。つまり、切刃17における点1での角度α、点2での角度α、点3での角度αが、いずれも上記範囲を満足することが望ましい。
特に、切刃17のうち、切刃17のノーズR部の頂点Pとなる点2における接線Lc2とのなす角度αは45°以上、特に70°以上、より望ましくは85°以上であることがよい。
これによって、切削時にかかる最も高い応力の方向が配列されたカーボンナノチューブ32の繊維方向からずれることによって、切削による応力が集中するのを防止し、且つ発生した応力を高強度で高靭性であるカーボンナノチューブ32の長手方向に応力を分散させることができる結果、切削工具における切刃17全体における耐欠損性を高めることができる。
従って、前記角度αが上記範囲よりも小さいと、切削時にかかる応力にてカーボンナノチューブ32との境界で剥離が発生するように引張応力がかかるために、切削時に切刃17に位置するこの境界部にて剥離してチッピングや欠損を生じやすくなる場合がある。
ここで、上記角度αは、工具形状に対するカーボンナノチューブ32の配置方向、および切刃17の形成領域、すなわちノーズR部の形状や角度R等の工具形状そのものを調整することによって制御される。例えばノーズR部の角度Rが90°未満、特に80°以下、さらに60°以下ですくい面15が三角形形状あるいは菱形形状からなる、いわゆるT、D、Vタイプ形状のスローアウェイチップが適応可能である。なお、図3によれば、ノーズR部は、頂点(P)から両方向に拡がり、直線部42との境であるつなぎ部43までの稜線を意味する。
なお、図3によれば、カーボンナノチューブ32の配向方向LとノーズR部の頂点Pにおける接線Lc2とのなす角度αが90°、すなわち、カーボンナノチューブ32の配向方向LがノーズR部の頂点Pに向かって垂直に伸びるように整列した配列となっている。
また、このノーズRの角度Rが90°ですくい面15の形状が正方形形状からなる、いわゆるSタイプ形状のスローアウェイチップにおいては、図4のようにノーズR部の片側のみを切刃17として用い、逆側45は切刃として使用しない、すなわち右勝手または左勝手に限定されたスローアウェイチップであれば、カーボンナノチューブ32の配向方向Lと各切刃位置での接線LC1とのそれぞれの角度αが2°以上を満足する限り、カーボンナノチューブ32の配向方向LとノーズR部の頂点Pにおける接線Lc2とのなす角度αが45°以下となっても差し支えない。
本発明によれば、切削工具としてはソリッドタイプの工具であっても良いが、低コスト、製造の容易さ等の点でスローアウェイ式の工具であることが望ましい。さらに、図1、2のように、工具本体12の切刃部分を切り欠いてダイヤモンド質焼結体16を有する切刃チップ14を取付座13にはめ込んでろう付け等で固定することによって、工具の切刃形状に対するカーボンナノチューブ32の配向方向を容易に制御することができ、また、複数のコーナーに切刃を設ける際にもカーボンナノチューブ32の配列が容易に行えるというメリットがある。
(製造方法)
次に、本発明の切削工具として用いる場合の製造方法について説明する。まず、本発明において用いられるダイヤモンド成形体の製造方法について説明する。図5は、図1乃至4の繊維状のダイヤモンド質焼結体16の製造方法を説明するための工程図である。
ダイヤモンド質焼結体16を作製するにあたり、まず、押出成形体31を作製する。押出成形体31を作製する方法は基本的には公知の粉末冶金法、つまり原料粉末と結合剤(バインダ)とを混合して成形する方法によって作製することができる。
具体的な方法として、上述した押出成形体31の一実施例について説明すると、初めに、平均粒径50μm以下、特に0.1〜10μmのダイヤモンド粉末を50〜98質量%、特に80〜95質量%と、平均粒径0.01〜10μmの鉄族金属粉末またはアルカリ土類金属の炭酸塩および酸化物の少なくとも一種、特にCo(コバルト)および/またはNi(ニッケル)の鉄族金属またはMg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)の炭酸塩および酸化物(MgCO、CaCO、SrCO、BaCO、MgO、CaO、SrO、BaO)を2〜50質量%を秤量する。
これに、平均直径が1〜500nm、アスペクト比が2〜500のカーボンナノチューブを1〜40質量%の割合で添加して混合し、さらに有機バインダ、可塑剤、溶剤を添加して混錬し、所望によって、プレス成形または鋳込み成形等の成形法により円柱形状に成形して円柱成形体33を作製する(図5(a)参照)。
ここで、押出し成形によって均質な成形体を得るためには、前記有機バインダの添加量を30〜70体積部、特に40〜60体積部とすることが望ましい。
有機バインダとしては、パラフィンワックス、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン‐エチルアクリレート、エチレン‐ビニルアセテート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ジブチルフタレート等を使用することができる。
そして、押出機100を用いて上記混練物または円柱成形体33を押出し成形することにより、押出し成形体31を作製することができる(図5(b)参照)。このとき、図6に示す模式図のように、押出し成形体31の繊維方向と配向したカーボンナノチューブ32の繊維方向は同様となっている。また、押出し方向への配向は押出し成形時のせん断速度や吐出口の大きさ等で制御可能であるが、吐出部に電場をつくることによって、より効果的に配向させることもできる。
また、押出し成形体31の形成にあたり、図7に示すように、押出し成形体31を複数本集束した集束体36を再度押出成形することによって、カーボンナノチューブがより配向した押出し成形体31mを作製することができる。なお、押出し成形体31、31mの断面は、円形のみならず、四角形、三角形でもよい。
そして、図8(a)〜(c)に示したように、この長尺状の押出し成形体31を2列〜100列に整列させて型内で加熱加圧して複合シート34sを得、所望により、さらにこの複合シート34sの複数枚を、隣接する複合シート34s、34sの押出し成形体31同士の向きが異なる角度となるように複合シート34sを厚み方向に複数枚積層して多層構造の複合積層シート34mを得ることもできる。但し、この場合、複合シート34sのうち切刃を形成する最上層の複合シート34sにおける押出し成形体31の繊維方向が前述したように切刃稜線17との関係で特定の角度になるように調整することが望ましい。
また、この複合積層シート34mを必要に応じ、図9に示すように、一対のローラ37間に通して圧延処理し、さらに高密度の複合積層体38を作製することもできる。
そして、単層の複合シート34s、多層の複合積層シート34mまたは複合積層体38を超硬合金製の裏打板22上に載置する。
このとき、単層の複合シート34s、多層の押出し成形体34mまたは複合積層体38の具体的な載置方向としては、幅方向に並列に整列した複数の押出し成形体31の繊維方向、すなわち押出し成形体31に含有するカーボンナノチューブ32の繊維方向が、切刃17の稜線と平行にならないように配置する。
即ち、図3の切刃チップの平面図に示すように、押出し成形体31、31、・・・の繊維方向、すなわちカーボンナノチューブ32の繊維方向Lと、切刃17における稜線での接線Lとのなす角度αが、切刃部分のどの場所においても2°以上、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上であるように配置する。つまり、切刃17における点1での角度α、点2での角度α、点3での角度αが、いずれも上記範囲を満足する。
そして、300〜700℃、10〜200時間で昇温または保持させて脱バインダ処理し、ついで、超高圧装置内にセットして加圧圧力4〜6GPa、温度1350〜1600℃、時間1〜60分で焼成して一体化することにより裏板19と接合一体化されたダイヤモンド質焼結体16とからなる切刃チップ14を作製することができる。
さらに、切削工具11の切刃稜17との関係が前述したように所定の角度θとなるように、ワイヤー放電加工機、切削、研磨等で切刃形状に加工する。
そして、裏板19とダイヤモンド質焼結体16とが一体化された切刃チップ14を、取付座13に銀ろうなどを用いてろう付けする。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
平均粒径1.8μmのダイヤモンド粒子と、平均直径150nmで平均長2〜3μmのカーボンナノチューブおよび平均直径20nmで平均長100〜300nmのカーボンナノチューブを混合し、有機バインダとしてセルロース、ポリエチレングリコールを、溶剤としてポリビニルアルコールを総量で100体積部加えて混練して、直径が20mmの円柱形状にプレス成形して押出用成形体を作製した。ここで、平均直径20nmのカーボンナノチューブは、予めSi/SiO混合粉末を配置したアルミナ坩堝に入れ、1300℃、真空中で被覆処理を行なった。
そして、上記円柱成形体を押出して直径が2mmの伸延された押出し成形体を作製した。なお、伸延された押出し成形体をミクロトームで薄片に切断し、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて観察したところ、添加したカーボンナノチューブは明らかに押出し方向(繊維長手方向)に配向していた。
この伸延された押出し成形体を100mmの長さにカットし、並列に整列させてシート状とし、このシート3枚を繊維方向がすべて同一方向となるように積層して積層体を作製した。
その後、この積層体の下面に厚さ5mmの超硬合金の焼結体からなる裏板を配し、これを300〜700℃まで100時間で昇温することによって脱バインダ処理を行った後、超高圧装置に配置し、1450℃×10分の条件で焼成し、複合構造体と裏板が一体化された切刃チップを作製した。焼結後、切刃チップ中のカーボンナノチューブは一方向に配向していることが確認された。その後、この切刃チップを加工して、超硬合金からなる工具本体の取付座に、銀ろうを用いて700℃でろう付けした。
ここで、表1にこの切削工具において、前記ダイヤモンド質焼結体中のカーボンナノチューブの繊維方向Lと切刃チップの切刃稜線における接線Lとのなすそれぞれの角度αのうち最も小さい角度をαminとし、チップ先端角度(ノーズR)を表1に示した。なお、表1中、試料No.11、12、13についてはノーズR部において切刃として用いる部分はノーズR頂点Pから右半分のみ、すなわち右勝手の刃先仕様とした。また、ノーズR頂点Pにおける繊維方向Lと頂点Pにおける接線Lとのなす角度αpを表1に示した。
なお、カーボンナノチューブの繊維方向Lと切刃チップの切刃稜線における接線Lとのなすそれぞれの角度αは、切刃稜線近傍の組織をSEMで走査しながら観察し各点での角度の平均値を求めた。
比較として、カーボンナノチューブを含まない組成のダイヤモンド質焼結体を用いて前述と同様の方法にて切削工具を作製した。
さらに、前述と同様の組成および構造のダイヤモンド質焼結体中のカーボンナノチューブの繊維方向LとノーズR頂点の接線Lとが平行となる形状に切刃チップを作製し、ダイヤモンド質焼結体中のカーボンナノチューブの繊維方向LとノーズR頂点の接線Lc2とが平行となるように配置してろう付けする以外は前述と同様の方法にて切削工具を作製した。
上記のようにして作製した各切削工具を用いて、
切込み量d=1mm、
切削速度V=250m/分、
送りf=0.1mm/rev
にて複数の被削材(ADC12、8本溝入り)を切削し、欠損またはチッピングが発生するまでの被削材の加工数(最大2000個)を評価した。
Figure 0004484535
表1から明らかなとおり、本発明に従う試料No.2〜6、9〜12の試料は、範囲外の試料に対して寿命に至るまでの被削材の加工数が多く、高い耐摩耗性、耐欠損性を有することがわかった。
本発明にかかるダイヤモンド質焼結体を切削工具の切刃部に用いた一実施形態を示す概略斜視図である。 図1の切削工具の切刃チップ付近の概略断面図である。 図1の切刃チップのすくい面側から見た平面模式図である。 本発明の他の実施態様について、すくい面側から見た模式図である。 (a)、(b)は本発明のダイヤモンド質焼結体の製造方法について、成形方法を示す工程図である。 図5の成形方法によって得られたダイヤモンド質焼結体の基本となる成形体繊維の構造を説明するための模式図である。 本発明のダイヤモンド質焼結体の製造方法について、成形方法の他の実施態様を示す工程図である。 (a)〜(c)は図6の成形体繊維の配置例を説明するための概略図である。 ダイヤモンド積層体の製造方法の一例を説明するための概略図である。
符号の説明
11 切削工具
12 工具本体
13 取付座
14 切刃チップ
15 すくい面
16 ダイヤモンド質焼結体
17 切刃
19 裏板
31 押出成形体
32 カーボンナノチューブ
33 円柱成形体
42 直線部
43 つなぎ部

Claims (8)

  1. 平均粒径50μm以下のダイヤモンド粒子50〜98体積%と、カーボンナノチューブ1〜40体積%と、鉄族金属またはアルカリ土類金属化合物の少なくとも一種と、を含有することを特徴とするダイヤモンド質焼結体。
  2. 前記ダイヤモンド質焼結体の断面観察において、前記カーボンナノチューブの平均直径が1〜500nm、アスペクト比が2〜500であることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド質焼結体。
  3. 前記カーボンナノチューブの表面の一部または全部が周期律表第4a、5a、6a族元素およびAl、Siのうちの少なくとも一種を含む金属または炭化物、窒化物および炭窒化物の少なくとも1種で被覆されていることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド質焼結体。
  4. 前記カーボンナノチューブが配向していることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンド質焼結体。
  5. 少なくとも切刃部が請求項4記載のダイヤモンド質焼結体からなることを特徴とする切削工具。
  6. 前記カーボンナノチューブが、該カーボンナノチューブの配向方向とすべての切刃稜線の接線とのなす角度αが2°以上となるように配向していることを特徴とする請求項5記載の切削工具。
  7. 前記カーボンナノチューブの配向方向とノーズR部の頂点における接線とのなす角度αが45°以上であることを特徴とする請求項6記載の切削工具。
  8. 前記切削工具が、工具本体と、該工具本体の取付座にろう付けされた切刃チップとからなり、該切刃チップが前記ダイヤモンド質焼結体からなることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか記載の切削工具。
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