JP4220814B2 - 切削工具およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は切削工具に関し、特に耐欠損性および耐摩耗性が改善された切削工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼などの各種材料を加工するための切削工具として使用されるスローアウェイチップの切刃は、一般に、超硬合金などで形成されている。この切削工具は、精密切削から汎用切削まで幅広く使用されているが、従来の切削工具では靭性が十分ではなく切刃の耐欠損性をより高めることが必要とされている。
【0003】
また、特許文献1によれば、超高圧装置内で超硬合金からなる裏打板(超硬合金支持体)上に貼り合わされたダイヤモンド焼結体を作製する方法が記載され、同号公報によれば、裏打板とダイヤモンド焼結体との間にW薄板を介装することにより両者間に生じるクラックの発生を防止できることが記載されている。
【0004】
また、下記特許文献2によれば、ダイヤモンド等からなる複合繊維体状の芯材の外周にWC等からなる被覆層を配置した靭性の高い複合繊維体が開示され、この複合繊維体を掘削工具等の刃先全周に貼り付けることによって掘削工具の耐欠損性を改善することが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特公平3−21601号公報
【特許文献2】
米国特許第6063502号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に示す中間層を介装した切削工具では、製造上コスト高および工程増などのデメリットがあり、また、中間層と超高圧焼結体との熱膨張差によって、特に超高圧焼結体と中間層との接合面の端部付近に大きな応力集中が発生して切削条件によっては上記接合面で剥離が発生したり、切刃部でチッピングが発生する等の問題があった。
【0007】
また、特許文献2には、掘削工具用としての具体例について記載されているが、旋削やフライス切削などの切削工具については記載されておらず、複合繊維体をこのような切削工具に応用する際の繊維体の特性を十分に発揮するための具体的な構造については全く検討されていない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、高い硬度と高い靭性を有する複合繊維体状の超高圧焼結体からなる芯材と被覆層の複合繊維体を切刃チップとして工具本体の先端に接合する切削工具に応用する場合に、複合繊維体の特性を十分に切削工具に反映し、工具本体への切刃チップの密着性が良好であり、かつ高い耐摩耗性および耐欠損性を有する切削工具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ダイヤモンド焼結体やcBN焼結体のような超高圧焼結体を切刃とする切刃チップを工具本体の角部にロウ付けする切削工具において、単純で均一な組織からなる従来の超高圧焼結体に代えて、芯材が超高圧焼結体−被覆層が超硬合金またはサーメット等の周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の少なくとも1種以上と鉄族金属3〜50体積%の硬質焼結体からなる複合繊維体を集束した複合構造体を用いることによって、複合繊維体の特長を生かし、芯材と被覆層との選択できる組成および特性幅が広がり、切削工具として最適な特性に調整した複合構造体からなる超高圧焼結体を用いることができ、優れた切削特性を有するとともに、裏打板と超高圧焼結体との熱収縮に伴って発生する残留応力を分散して裏打板との応力集中が発生することを緩和でき、または芯材と被覆層との組成、および寸法調整が容易にできて、残留応力そのものを低減できることが可能となることから、優れた性能を備えるとともに、従来は超高圧焼結体の組成が限定されていた中間層を介装することがなくても超高圧複合焼結体と裏打板との界面に残留応力が発生することなく、耐欠損性および耐摩耗性に優れた切削工具が形成できることが大きな特徴である。
【0010】
即ち、本発明の切削工具は、超硬質粒子90体積%以上を含有する超高圧焼結体からなる芯材の外周を、周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物または炭窒化物を鉄族金属3〜50体積%からなる被覆層にて被覆した複合繊維体とし、これを集束した複合構造体であって、焼成前の複合繊維体である複合成形体を並べて複合シートを形成し、該複合シートの下面に炭化タングステン粒子を敷き詰めて超硬合金からなる裏打板を配して焼成することにより、該超硬合金からなる裏打板に前記複合構造体を接合して切刃チップとし、工具本体の角部に形成された取付座に接合したことを特徴とするものである。
【0011】
ここで、前記芯材がダイヤモンド粒子96体積%以上を含有し熱膨張係数αが3.5〜3.9×10−6/℃のダイヤモンド焼結体であり、前記被覆層が炭化タングステンとコバルト3〜10体積%で熱膨張係数αが5.0〜5.5×10−6/℃の超硬合金であることにより、芯材と被覆層との界面で剥離等の発生がない良好な複合構造体および切削工具を形成することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の切削工具を示し、図1(a)は概略斜視図であり、図1(b)は部分断面図である。
【0016】
図1に示す切削工具11は、切刃チップ12を、工具本体13の角部に形成された取付座14にロウ付け接合したものである。また、図1の切削工具11によれば、工具本体13は主面が多角形の平板状であり、この主面がすくい面15および着座面16を、側面が逃げ面17をなして、すくい面15と逃げ面17との交差稜線部に切刃稜18が構成されている。さらに、切削工具11の中央部には、バイトなどの工具に取り付けるためのクランプねじ等が挿通される取付孔20が形成されている。
【0017】
本発明によれば、切刃チップ12が、図2の模式図に示すような超硬質粒子90体積%以上を含有する超高圧焼結体からなる芯材32の外周を、周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物または炭窒化物を鉄族金属3〜50体積%からなる被覆層33にて被覆した複合繊維体31(31s、31m)を、図3の模式図に示すように、複数本集束した複合構造体34とし、これを超硬合金からなる裏打板22に直接ろう付けしてなることが大きな特徴である。これによって、複合繊維体31の芯材32と被覆層33との組成および特性の選択領域が広がり、高硬度、高靭性で切削工具として優れた特性を有する複合構造体34を作製できるとともに、複合構造体34全体にかかる応力を各複合繊維体31、さらには芯材32および被覆層33にて分散して裏打板22との熱膨張差による応力集中を緩和でき、または芯材32と被覆層33との組成および組織制御によって複合構造体34自体の熱膨張率を調整することが可能となることから、従来超高圧焼結体の組成が限定されていた中間層を介装することなく、耐欠損性および耐摩耗性に優れた切削工具11が形成できる。
【0018】
ここで、本発明における超硬質粒子としては、ダイヤモンド粒子、cBN粒子、ダイヤモンドライクカーボン粒子およびB4C粒子の群から選ばれる少なくとも1種、特にダイヤモンド粒子および/またはcBN粒子、さらにはダイヤモンド粒子からなることが切削性能の点で望ましい。
【0019】
本発明において用いる複合繊維体31(31s、31m)の芯材32を構成する超高圧焼結体としては、ダイヤモンド粒子を90体積%以上含有し、鉄族金属、特にコバルトおよび/またはニッケルからなる結合金属10体積%以下にて結合してなるダイヤモンド焼結体が好適に使用可能である。なお、ダイヤモンド焼結体中には適宜周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる硬質粒子を含有せしめることも可能である。
【0020】
また、芯材32を構成する他の超高圧焼結体としては、立方晶窒化硼素(以下cBNとする)90体積%を、周期律表4a、5a、6a族金属およびシリコン、アルミニウムの炭化物、窒化物、炭窒化物、硼素化物および酸化物と、鉄族金属の1種以上からなる結合金属10体積%以下にて結合してなるcBN焼結体が好適に使用可能である。
【0021】
ここで、上記超高圧焼結体中のダイヤモンド粒子またはcBN粒子の超硬質粒子の含有量が90体積%よりも少ないと、切削工具としての耐摩耗性が低下して切削工具11が早期に寿命となってしまう。なお、結合金属としてはコバルトを必須として含有することが超硬質粒子の分解を抑制できる点で望ましく、また、その含有量は4〜10体積%であることが望ましい。
【0022】
一方、芯材32の外周を覆う被覆層33としては、周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物または炭窒化物を鉄族金属3〜50体積%からなる材料を用いる。
【0023】
具体的には、被覆層33を構成する材質としては、周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上の硬質粒子として、特に炭化タングステン、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタン、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化ジルコニウム、窒化ジルコニウム、炭化バナジウム、炭化クロムおよび炭化モリブデンの群から選ばれる少なくとも1種、さらには炭化タングステン、炭化チタンまたは炭窒化チタンの群から選ばれる少なくとも1種を50〜97体積%、特に炭化タングステン、炭化チタンまたは炭窒化チタンを、鉄族金属、特にコバルトおよび/またはニッケルからなる結合金属3〜50体積%にて結合してなる硬質焼結体、さらに超硬合金またはサーメットが好適に使用可能である。
【0024】
一方、芯材32をなす焼結体の超硬質粒子の平均粒径は、複合繊維体31の硬度および強度向上の点、および芯材32と被覆層33中の結合材(結合金属、焼結助剤)の含有量を適正化する点で0.05〜10μm、特に0.1〜3μmであることが望ましく、他方、被覆層33をなす硬質粒子の平均粒径は、複合繊維体31の靭性向上の点で、0.01〜5μm、特に0.1〜2μmであることが望ましい。
【0025】
ここで、図2(a)(b)は本発明において用いられる複合繊維体の概略斜視図である。(a)の複合繊維体31sは、芯材32とこの芯材32の外周を被覆し芯材32とは異なる組成の材料からなる被覆層33とからなるシングルタイプの繊維体である。また、(b)の複合繊維体31mは、(a)のシングルタイプの繊維体の集合体を伸延したものでマルチタイプの繊維体である。本発明によれば、切刃稜18を形成する前記複合構造体34は、このような(a)または(b)の複合繊維体31を集束した構造体によって形成される。望ましくは、(b)のマルチタイプの繊維体を用いることが耐欠損性に優れる。
【0026】
また、複合繊維体31のサイズは、裏打板22との密着性向上および工具11としての耐欠損性を高めるために、芯材32の直径が5〜300μm、被覆層33を含めた複合繊維体31の1本の直径が6〜500μmであることが望ましい。
【0027】
ここで、本発明によれば、芯材32の熱膨張係数α1が3.5〜4.8×10-6/℃である場合でも、被覆層33の熱膨張係数α2を5.0〜9×10-6/℃とすることにより芯材32と被覆層33との界面で剥離等の発生がない良好な複合構造体34および切削工具11を形成することができる。
【0028】
また、図1の切削工具11の切刃チップ12部分についての平面である図4に示すように、複合構造体34において幅方向に並列に整列した複数の複合繊維体31、31、・・・の繊維方向Lfと、切刃稜18における稜線での接線LCとのなす角度θが、切刃部分のどの場所、つまり、切刃稜18における点1での角度θ1、点2での角度θ2、点3での角度θ3のいずれにおいても角度θが2°以上、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上であることが、切削時にかかる最も高い応力の方向が配列された複合繊維体31の境界方向、または複合繊維体31の芯材32と被覆層33との界面方向からずれることによって、この界面に切削による応力が集中するのを防止し、且つ発生した応力を高強度で高靭性である複合繊維体31の長手方向に分散させて、切刃稜線18における耐チッピング性および耐欠損性を高める点で望ましい。
【0029】
なお、上記角度θは、工具形状に対する複合繊維体31における複合繊維体31の配置方向、および切刃稜18の形成領域、すなわちノーズR部の形状や角度R等の工具形状そのものを調整することによって制御される。例えばノーズR部の角度Rが90°未満、特に80°以下、さらに60°以下ですくい面15が菱形形状からなる、いわゆるT、D、Vタイプ形状のスローアウェイチップが適応可能である。また、図4によれば、ノーズR部は、頂点(P)から両方向に拡がり、直線部42との境であるつなぎ部43までの稜線を意味する。
【0030】
ちなみに、図4によれば、複合繊維体31の繊維方向LfとノーズR部の頂点Pにおける接線Lc2とのなす角度θ(θ2)が90°、すなわち、複合繊維体31の繊維方向LfがノーズR部の頂点Pに向かって垂直に伸びるように整列した配列となっている。また、このノーズRの角度Rが90°ですくい面15の形状が正方形形状からなる、いわゆるSタイプ形状のスローアウェイチップにおいては、図5のようにノーズR部の片側のみを切刃稜18として用い、逆側45は切刃として使用しない、すなわち右勝手または左勝手に限定されたスローアウェイチップであれば、複合繊維体31の繊維方向Lfと各切刃位置での接線LC1とのそれぞれの角度θが2°以上を満足する限り、複合繊維体31の繊維方向LfとノーズR部の頂点Pにおける接線Lc2とのなす角度θが45°以下となっても差し支えない。
【0031】
さらに、本発明によれば、図3に示すように、複合構造体34が、複数の複合繊維体31を一方向に並べて整列させたものからなり、図3(a)に示すように単層のシート状34sであってもよいが、単層の複合構造体34sを厚み方向に複数層積層した多層の複合構造体34mであることが複合構造体34m中でより高い応力分散効果がある点で望ましい。また、本発明によれば、図3(c)に示すように、多層構造の複合構造体34mを作製するにあたって、複合シート34sの向きが隣接する複合シート34s,34s間で複合繊維体31の向きが異なるように積層することが望ましく、これによって複合構造体34mの靭性をさらに高めて、切削工具11としての耐欠損性をさらに向上させることができる。
【0032】
さらに、複合繊維体31の繊維方向がすくい面15に平行であるか、または複合繊維体31の繊維方向と工具本体13の座面とのなす角度が0°〜30°の範囲にあることが切刃稜線18のすくい面15における耐チッピング性および耐欠損性を高め、かつ逃げ面17における耐摩耗性を向上できる点で望ましい。
【0033】
なお、本発明によれば、切削工具としてはソリッドタイプの工具であっても良いが、低コスト、製造の容易さ等の点でスローアウェイ式の工具であることが望ましい。
【0034】
さらに、本発明の切削工具は、図1、図2のように、工具本体13の切刃部分を切り欠いて複合繊維体31(31s、31m)からなる複合構造体34を有する切刃チップ12を取付座14にはめ込んでろう付け等で固定した構造からなることから、工具の切刃形状に対する複合繊維体31の繊維方向を容易に制御することができ、また、複数のコーナーに切刃稜18を設ける際にも複合繊維体31の配列が容易に行えるというメリットがある。
【0035】
(製造方法)
次に、本発明の切削工具の製造方法について説明する。まず、本発明において用いられる複合繊維体の製造方法について説明する。図6、図7は、図2の複合繊維体31の製造方法を説明するための工程図である。
【0036】
複合繊維体31を作製するにあたり、まず、芯材用成形体32aを作製する。芯材用成形体32aを作製する方法は基本的には公知の粉末冶金法、つまり原料粉末と結合剤(バインダ)とを混合して成形する方法によって作製することができる。
【0037】
具体的な方法として、上述した芯材32のうちダイヤモンド質焼結体を選択した場合について説明すると、初めに、平均粒径0.01〜10μm、特に0.1〜3.5μmのダイヤモンド粉末を50質量%以上、特に80質量%以上と、所望により、平均粒径0.01〜10μmの鉄族金属粉末を50質量%以下と、の割合で混合し、さらに有機バインダ、可塑剤、溶剤を添加して混錬し、プレス成形または鋳込み成形等の成形法により円柱形状に成形して芯材用成形体32aを作製する(図6(a)参照)。
【0039】
ここで、後述する共押出成形によって均質な複合成形体を得るためには、前記有機バインダの添加量を30〜70体積部、特に40〜60体積部とすることが望ましい。有機バインダとしては、パラフィンワックス、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン‐エチルアクリレート、エチレン‐ビニルアセテート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ジブチルフタレート等を使用することができる。
【0040】
一方、芯材用成形体32aとは異なる組成の被覆層をなす材料を前述したバインダとともに混錬してプレス成形、押出成形または鋳込み成形等の成形方法により半割円筒形状の2本の被覆層用成形体33aを作製し、この被覆層用成形体33aを芯材用成形体32aの外周を覆うように配置した成形体31aを作製する(図6(b)および(c)参照)。
【0041】
そして、押出機100を用いて芯材用成形体32aと被覆層用成形体33aとからなる上記成形体31aを共押出成形することにより、芯材用成形体32aの周囲に被覆層用成形体33aが被覆され、細い径に伸延された図2(a)のシングルタイプの複合繊維体31sを作製することができる(図6(d)参照)。
【0042】
また、複合繊維体31の形成にあたり、図7に示すように、上記共押出した長尺状の複合繊維体31sを複数本集束した集束体36を再度共押出成形することによって、図2(b)の繊維密度の高いマルチタイプの複合繊維体31mを作製することができる。なお、複合繊維体31s、31mの断面は、円形のみならず、四角形、三角形でもよい。
【0043】
そして、図3(a)〜(c)に示したように、この長尺状の複合繊維体31を2列〜100列に整列させて型内で加熱加圧して複合シート34sを得、所望により、さらにこの複合シート34sの複数枚を、隣接する複合シート34s、34sの複合繊維体31同士の向きが異なる角度となるように複合シート34sを厚み方向に複数枚積層して多層構造の複合構造体34mを得る。但し、この場合、複合シート34sのうち切刃を形成する最上層の複合シート34sにおける複合繊維体31の繊維方向が前述したように切刃稜線18との関係で特定の角度になるように調整することが望ましい。
【0044】
また、この複合構造体34mを必要に応じ、図8に示すように、一対のローラ37間に通して圧延処理し、さらに高密度の複合積層体38を作製することもできる。
【0045】
そして、単層の複合シート34s、多層の複合構造体34mまたは複合積層体38の下面に炭化タングステン粒子を敷き詰めて超硬合金製の裏打板22上に載置して、300〜700℃、10〜200時間で昇温または保持させて脱バインダ処理し、ついで、超高圧装置内にセットして加圧圧力4〜6GPa、温度1350〜1600℃、時間1〜60分で焼成して一体化することにより裏打板22と接合一体化された複合構造体34からなる切刃チップ12を作製することができる。
【0046】
この複合構造体34は、切削工具11の切刃稜18との関係が前述したように所定の角度θとなるように、ワイヤー放電加工機、切削、研磨等で切刃形状に加工する。
【0047】
そして、裏打板22と複合構造体34とが一体化された切刃チップ12を、取付座14に銀ろうなどを用いてろう付けする。
【0048】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
焼結体中の超硬質粒子の平均粒径が表1となるダイヤモンド粉末に、有機バインダとしてセルロース、ポリエチレングリコールを、溶剤としてポリビニルアルコールを総量で100体積部加えて混錬して、直径が20mmの円柱形状にプレス成形して芯材用成形体を作製した。
【0049】
一方、被覆層をなす焼結体中の硬質粒子の平均粒径が表1となるWC粉末、TiCN粉末に、焼結体が表1の組成となるように平均粒径2μmのTiC粉末、TiN粉末、Co粉末、Ni粉末および平均粒径0.2μmのSi34粉末とを混合し、これに上記と同様の有機バインダと溶剤を加えて混錬して半割円筒形状の厚さが1mmの被覆層用成形体をプレス成形にて2つ作製し、これらを前記芯材用成形体の外周を覆うように配置して複合繊維体を作製した。なお、Si34粉末には微量の焼結助剤(MgO粉末、Y23粉末)を添加した。
【0050】
そして、上記複合繊維体を共押出して直径が1mmの伸延された複合成形体を作製した後、この伸延された複合成形体100本を集束して再度共押出成形し、直径が1mmのマルチフィラメント構造の複合繊維体を作製した。
【0051】
次に、上記マルチフィラメント構造の複合繊維体を100mmの長さにカットし、並列に整列させてシート状とし、この複合シート3枚を積層して積層体を作製した。
【0052】
その後、この積層体の下面に平均粒径2μmのWC粒子を敷き詰めて表1の組成からなる厚さ5mmの超硬合金からなる裏打板を配し、これを300〜700℃まで100時間で昇温することによって脱バインダ処理を行った後、超高圧装置に配置し、表1の焼成条件で15分焼成し、複合構造体と裏板が一体化された切刃チップを作製した。その後、この切刃チップを加工して、超硬合金からなる工具本体の取付座に銀ろうを用いて700℃でろう付けした(試料No.1〜15)。
【0053】
なお、表1の切削工具において、前記シートを構成する複合繊維体の繊維方向Lfと切刃チップの切刃稜線における接線Lcとのなすそれぞれの角度θのうち最も小さい角度が30°とし、チップ先端角度(ノーズR)を60°とした。
【0054】
上記のようにして作製したダイヤモンド焼結体切削工具に対して、
被削材:ADC12、4本溝入り
切込み量d=2mm
切削速度V=250m/分
送りf=0.2mm/刃
の条件にて切削試験を行い、欠損またはチッピングが発生するまでの被削材の加工数(最大4000個)を評価するとともに、4000個加工できた試料についてはその時点での摩耗量を測定した。結果は表1に示した。
実施例2
実施例1の芯材の超硬質粒子をcBN粉末とする以外は同様の製法にて表1に示す組成からなる実施例1と同様な構造の切削工具を作製した(試料No.16)。また、実施例1の芯材の原料組成をcBN粉末90質量%、TiN0.8粉末8質量%、Al粉末2質量%とし、被覆層の原料組成をWC粉末89.5質量%、TiC粉末0.5質量%、Co粉末10質量%として同様の製法にて実施例1と同様な構造の切削工具を作製した(試料No.17)。
【0055】
得られた切削工具に対して、下記条件
被削材:SKD11、HRC60、4本溝入り
切込み量d=0.5mm、
切削速度V=100m/分、
送りf=0.1mm/rev
にて切削試験を行い、欠損またはチッピングが発生するまでの被削材の加工数(最大100個)、および100個加工した時点での摩耗量を評価した。結果は表1に示した。
【0056】
また、上記複合繊維体をなす芯材、被覆層および裏打板を棒状に成形する以外は表1と同じ組成および粒径からなる焼結体をそれぞれ作製し、各焼結体について25℃における熱膨張係数αを測定した。結果は表1に示した。
【0057】
【表1】
Figure 0004220814
【0058】
表1から明らかなとおり、超高圧焼結体を単純なダイヤモンド粒子分散超硬合金(20Dia−72WC−8Co)の均一組成からなる焼結体にて作製した試料No.14では、摩耗の進行が早く加工数300個の切削試験途中で中断となった。また、超高圧焼結体を単純なダイヤモンド焼結体(Dia−4Co)の均一組成からなる焼結体にて作製した試料No.15では、切削試験初期に欠損してしまった。
【0059】
さらに、芯材中の超硬質粒子の含有量が90体積%より少ない試料No.8、および被覆層中の鉄族金属の含有量が50体積%より多い試料No.6、13は、摩耗幅が大きく、耐摩耗性が悪いものであった。また、被覆層中の鉄族金属量が3体積%より少ない試料No.1では超高圧焼結体の裏打板との界面部分に脆性相が生成して超高圧焼結体が剥離してしまった。
【0060】
さらには、被覆層をダイヤモンド焼結体にて形成した試料No.11および窒化珪素にて形成した試料No.12では、ともに焼結時に発生した残留応力の緩和が不十分なために初期で欠損した。
【0061】
これに対して、本発明に従い、超硬質粒子を90体積%含有する芯材と、WC粒子またはTiCN粒子を鉄族金属3〜50体積%からなる被覆層とからなる複合繊維体を用いて、これを集束した複合構造体を作製し、裏打板に直接接合した切刃チップを具備する試料No.2〜5、7、9、10、16、17では、いずれも摩耗量が少なく、かつチッピングや欠損の発生も少ないものであった。
【0062】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明によれば、ダイヤモンド焼結体やcBN焼結体のような超高圧焼結体を切刃とする切刃チップを工具本体の角部にロウ付けする切削工具において、単純な組織からなる超高圧焼結体を、芯材が超高圧焼結体−被覆層が超硬合金またはサーメット等の周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の少なくとも1種以上を鉄族金属3〜50体積%の硬質焼結体からなる複合繊維体を集束した複合構造体に代えるとともに、焼成前の複合繊維体である複合成形体を並べて複合シートを形成し、該複合シートの下面に炭化タングステン粒子を敷き詰めて超硬合金からなる裏打板を配して焼成することによって、複合繊維体の特長を生かし、芯材と被覆層との選択できる組成幅が広がり高硬度、高靭性の構造体を作製できるとともに、応力を分散して裏打板との熱膨張差を緩和でき、または芯材と被覆層との組成制御によって調整することが可能となることから、従来超高圧焼結体の組成が限定されていた中間層を介装することなく、耐欠損性および耐摩耗性に優れた切削工具が形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる切削工具の一実施形態を示す(a)斜視図、(b)切刃チップ付近の断面図である。
【図2】本発明にかかる切削工具の複合繊維体の構造を示す斜視図である。
【図3】本発明にかかる切削工具の複合構造体の構造を説明するための概略斜視図である。
【図4】図1の切刃チップのすくい面側から見た平面図である。
【図5】本発明の他の実施態様について、すくい面側から見た模式図である。
【図6】本発明にかかる切削工具のシングルタイプの複合繊維体の製造方法を示す工程図である。
【図7】本発明にかかる切削工具のマルチタイプの複合繊維体の製造方法を示す工程図である。
【図8】本発明にかかる切削工具の複合積層体の製造方法の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
11 切削工具
12 切刃チップ
13 工具本体
14 取付座
15 すくい面
16 着座面
17 逃げ面
18 切刃稜
20 取付孔
22 裏打板
31 複合繊維体
32 芯材
33 被覆層
34 複合構造体
42 直線部
43 つなぎ部

Claims (3)

  1. 超硬質粒子90体積%以上を含有する超高圧焼結体からなる芯材の外周を、周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物または炭窒化物と鉄族金属3〜50体積%からなる被覆層にて被覆した複合繊維体を複数本集束した複合構造体であって、焼成前の複合繊維体である複合成形体を並べて複合シートを形成し、該複合シートの下面に炭化タングステン粒子を敷き詰めて超硬合金からなる裏打板を配して焼成することにより、該超硬合金からなる裏打板に前記複合構造体を接合して切刃チップとし、工具本体の角部に形成された取付座に前記切刃チップを接合したことを特徴とする切削工具。
  2. 前記芯材がダイヤモンド粒子96体積%以上を含有し熱膨張係数αが3.5〜3.9×10−6/℃のダイヤモンド焼結体であり、前記被覆層が炭化タングステンとコバルト3〜10体積%で熱膨張係数αが5.0〜5.5×10−6/℃の超硬合金であることを特徴とする請求項1記載の切削工具。
  3. 焼成前の複合繊維体を並べた複合シートを形成し、該複合シートの下面に炭化タングステン粒子を敷き詰めて超硬合金からなる裏打板を配して焼成することにより、該超硬合金からなる裏打板に、超硬質粒子90体積%以上を含有する超高圧焼結体からなる芯材の外周を周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物または炭窒化物と鉄族金属3〜50体積%からなる被覆層にて被覆した複合繊維体を複数本集束した複合構造体を接合して切刃チップとし、工具本体の角部に形成された取付座に前記切刃チップを接合することを特徴とする切削工具の製造方法。
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