JP4328118B2 - 複合構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芯材の外周をこの芯材とは異なる組成からなる表皮材にて被覆してなる複合構造体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、繊維等長尺状の芯材の外周を他の部材にて被覆することにより、構造体の硬度や強度に加えて靭性を改善する技術が研究されており、例えば、特許文献1には、多量の有機バインダ(熱可塑性ポリマー)を含有させた第1セラミック粉末からなる円筒状の芯材用成形体の外周に、この芯材とは異なる第2セラミック粉末と、有機バインダとからなる表皮材用成形体を配した積層成形体を共押出して伸延し、これを焼結して非脆性破壊特性を示す靭性に優れた複合構造体を得ることができると記載されている。
【0003】
【特許文献1】
米国特許5645781号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1にて開示された方法で得られた複合構造体では、共押出成形を行うために多量の有機バインダを添加する必要があることから、焼成中に多量の有機バインダを分解揮散させる必要があるが、実際には脱バインダ処理に限界があり、特に複合構造体の内部に位置する芯材中に有機バインダが分解揮散しきれず残存した残留炭素が多く残ってしまう結果、芯材が焼結不良になって、焼結密度が上がらず複合構造体の強度が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためのもので、その目的は特に有機バインダを多量に加えて成形、焼成することにより複合構造体を作製する場合でも、効率よく脱バインダ処理を行うことができ、強度、硬度および靭性に優れた複合構造体およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題について検討した結果、芯材を構成する原料中に鉄族金属酸化物粉末を添加し、焼結前または焼成中時に前記鉄族金属酸化物粉末を還元させて酸素を放出させ、有機バインダの残渣として残存する残留炭素とを反応させること等により、芯材中に残存する余分な残留炭素の残存量を低減することができるとともに、前記酸化物粉末を結合金属または主として粒界相となる焼結助剤に変質させることができる結果、硬度、靭性に優れるとともに強度に優れた複合構造体となることを知見した。
【0007】
すなわち、本発明の複合構造体の製造方法は、 (a)周期律表4a、5a、6a族金属、Siの炭化物、窒化物、炭窒化物および酸化物の群から選ばれる少なくとも1種の粉末と、Co 粉末を0.1〜20重量%と、有機バインダとからなる混合物、または周期律表4a、5a、6a族金属、Al、Siの群から選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物および酸化物粉末と、Co 粉末を0.1〜20重量%とY およびMgOとの焼結助剤粉末を20重量%以下と、有機バインダとからなる混合物を混合し長尺状に成形して芯材用成形体を作製する工程と、
(b)周期律表4a、5a、6a族金属、Siの炭化物、窒化物、炭窒化物および酸化物の群から選ばれる少なくとも1種の粉末と、Co 粉末を0.1〜20重量%と、有機バインダとからなる混合物、または周期律表4a、5a、6a族金属、Al、Siの群から選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物および酸化物粉末をと、Co 粉末を0.1〜20重量%とY およびMgOとの焼結助剤粉末を20重量%以下と、有機バインダとからなる混合物、並びに焼成によって多結晶ダイヤモンド、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、cBNを作製しうる混合物であって、前記(a)工程の成形体とは異なる組成からなる表皮材用成形体を成形して前記(a)工程の芯材用成形体の外周を被覆するように配した複合成形体を作製する工程と、
(c)前記複合成形体を焼成して、
周期律表4a、5a、6a族金属、Siの群から選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子をCoからなる結合金属にて結合してなる第1の硬質焼結体、または周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、Siの群から選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物および酸化物の少なくとも1種からなる第1のセラミック粒子をCoとY およびMgOとの焼結助剤にて結合してなる第1のセラミックスからなる長尺状の芯材の外周を、前記第1の硬質焼結体および前記第1のセラミックスとは異なる組成からなる第2の硬質焼結体または第2のセラミックスからなる表皮材にて被覆してなる複合構造体を作製する工程とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
ここで、前記芯材中の多孔度がA04以下であることが、構造体としての硬度、強度および靭性向上の点で望ましい。
【0012】
ここで、前記有機バインダを30〜70体積%添加することによって均一で所望のサイズに制御された複合成形体および複合構造体を作製することができる。
【0015】
さらには、前記(b)工程で得られた複合成形体を共押出成形により伸延すること、前記共押出成形にて伸延された複合成形体を複数本集束して再度共押出成形してマルチフィラメント構造の複合成形体を作製することが複合構造体の靭性向上の点で望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の複合構造体についてその一実施形態についての概略斜視図である図1を基に説明する。
【0017】
図1によれば、複合構造体1は長尺状の芯材2の外周を表皮材3にて被覆した構造からなる。
【0018】
本発明によれば、芯材2を構成する材質としては、周期律表4a、5a、6a族金属、Siの炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子、特にWC、TiC、TiCN、TiN、TaC、NbC、ZrC、ZrN、VC、CrおよびMoCの群から選ばれる少なくとも1種、さらにはWC、TiCまたはTiCNのいずれか1種を主成分とする第1の硬質粒子と、Coからなる結合金属にて結合してなる第1の硬質焼結体、特に超硬合金またはサーメットが好適に使用可能である。
【0019】
また、本発明によれば、芯材2を構成する材質としては、上記硬質焼結体以外にも、周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、Siの群から選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物および酸化物からなる第1のセラミック粒子、中でもTiC(TiCN)(TiC(N)硬質焼結体はサーメット(Co,Niの結合金属で結合した焼結合金)、TiC(N)セラミックスはAl−TiC(N)セラミックス(結合材は粒界相(ガラス相またはセラミックス)のセラミックス)、SiC、Si、AlおよびTiBの群から選ばれる少なくとも1種、さらにはSiおよび/またはSiCが好適に使用可能である。なお、第1のセラミックス中には適宜焼結助剤成分を含有せしめることも可能である。
【0020】
そして、本発明によれば、芯材2の外周を覆う表皮材3の材質としては前記芯材2とは異なる材質の第2の硬質焼結体または第2のセラミックスを用いる。なお、本発明によれば、表皮材3の原料中にも鉄族金属酸化物粉末を添加し、芯材2同様に金属に還元しても良く、これによればより効果的に遊離炭素量を低減させて構造体1の強度を高めることができる。
【0021】
第2の硬質焼結体または第2のセラミックスとしては、上述した芯材2に用いられる材質の他、多結晶ダイヤモンド、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、cBNをも用いることができる。
【0022】
さらに、芯材2(をなす第1の硬質焼結体または第1のセラミックス)−表皮材3(をなす第2の硬質焼結体または第2のセラミックス)の組み合わせは、例えば、超硬合金−サーメット、超硬合金−cBN、超硬合金−ダイヤモンド焼結体、超硬合金−アルミナ、超硬合金−窒化珪素、サーメット−超硬合金、サーメット−ダイヤモンド焼結体、サーメット−アルミナ、サーメット−窒化珪素、(アルミナ、炭窒化チタン)−アルミナ、炭化珪素−窒化珪素、(炭化珪素、窒化珪素)−窒化珪素、炭化珪素−ダイヤモンド焼結体、アルミナ−サーメット、アルミナ−超硬合金、(アルミナ、炭窒化チタン)−超硬合金、(アルミナ、炭窒化チタン)−サーメット、アルミナ−ジルコニア、(アルミナ、炭窒化チタン)−ジルコニア、(アルミナ、炭窒化チタン)−(アルミナ、ジルコニア)、窒化ケイ素−アルミナ、窒化ケイ素−(希土類酸化物、アルミナ、シリカ)、窒化ケイ素−超硬合金、窒化ケイ素−サーメット、(アルミナ、炭窒化チタン)−炭化ケイ素、アルミナ−炭化ケイ素の群から選ばれる1種が特に好適に使用可能であり、中でも、硬度、靭性のバランスがよく切削工具として好適に使用可能な点で、超硬合金−サーメット、超硬合金−ダイヤモンド焼結体および(アルミナ、炭窒化チタン)−アルミナの群から選ばれる1種が最適である。
【0023】
また、本発明によれば、芯材2中には前記第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子とともに鉄族金属からなる結合金属または鉄族金属を含む焼結助剤が存在する。
【0024】
本発明によれば、上記鉄族金属が原料中に酸化物粉末として添加され、焼成時に金属に還元されたものからなることが大きな特徴であり、これによって、複合構造体1の内部に位置する芯材2中に有機バインダが分解揮散しきれず残存した残留炭素が多く残存して、芯材2が焼結不良となることなく複合構造体1の強度を向上させることができるという効果がある。
【0026】
なお、芯材2中の残留炭素量Cinと表皮材3中の残留炭素量Coutとの比Cin/Coutは0.5〜2であることが望ましい。
【0027】
また、芯材2の緻密化を図り複合構造体1の強度を向上させる点で、芯材2中の残留炭素量Cinが1重量%以下、特に0.5重量%以下、さらには0.2重量%以下であることが望ましい。換言すれば、複合構造体1の芯材2および表皮材3のANSI/ASTM B276−54に基づく多孔度はともにA04以下またはB04以下、望ましくはA02以下となる。なお、本発明における残留炭素量とは、金属と結合して炭化物や炭窒化物を構成する炭素成分を除いた遊離炭素成分の芯材2(または表皮材3)全量に対する含有比率を指す。
【0028】
さらに、本発明によれば、複合構造体1の鉄族金属酸化物が反応して生成された鉄族金属が焼結体中で結合金属または大部分が粒界相として存在する焼結助剤として機能して構造体の靭性を高めることができる。また、本発明によれば、原料鉄族金属酸化物の添加量、製造工程の特に焼成条件等の各種条件を制御して結合金属または焼結助剤中の酸素含有量をも制御することもでき、特性の制御も可能である。なお、表皮材3中にも上記鉄族金属酸化物粒子か、または他の金属酸化物粒子を分散含有せしめることも可能である。
【0029】
一方、芯材2をなす第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子の平均粒径は、複合構造体1の硬度および強度向上の点、および芯材2と表皮材3中の結合材(結合金属、焼結助剤)の含有量を適正化する点で0.05〜10μm、特に0.1〜3μmであることが望ましく、他方、表皮材3をなす第2の硬質粒子または第2のセラミック粒子の平均粒径は、複合構造体1の靭性向上の点で、0.01〜5μm、特に0.01〜2μmであることが望ましい。
【0030】
また、複合構造体1の構成として、硬度および靭性の両立を図る点で、芯材2の直径D1が2〜1000μm、特に10〜500μm、さらに、50〜200μm、表皮材3の厚みD2が1〜500μm、特に2〜100μm、さらに10〜50μmであることが望ましい。
【0031】
さらに、本発明によれば、上述した芯材2の外周に表皮材3を被覆した複合構造体1を図1(a)のように複数本集束したマルチフィラメント構造とすることもでき、これによって、さらに複合構造体の靭性を向上できる。しかも、本発明によれば、かかる複合構造体1を多数本集束するような場合においても、有機バインダの脱バインダ性が低下することなく良好に集束体の中心付近に位置する複合構造体の残留炭素量を減じて構造体全体が緻密化した高強度な構造体となる。
【0032】
なお、本発明によれば、複合構造体1、またはその集束体の直径、または厚みが、特に1mm以上、特に5mm以上、さらに10mm以上、および/または長尺長さが10mm以上、特に30mm以上、さらに50mm以上の場合においても、構造体の中心付近に存在する複合構造体の芯材の残留炭素量をも効率よく低減することができるとともに、芯材2と表皮材3との剥離をも低減せしめることができるものである。
【0033】
さらに、本発明においては、上記長尺状の複合構造体を並列に整列せしめてシート状となすこともでき、さらには、該シート複数枚を隣接するシートの長尺体同士が0°、45°、90°等の所定の角度をなすように積層することも可能である。
【0034】
(製造方法)
次に、本発明の複合構造体を製造する方法について、図2の模式図をもとにその一例について説明する。
【0035】
まず、例えば、平均粒径0.01〜10μmの周期律表4a、5a、6a族金属、Si、ZnおよびSnの炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子、または周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、SiおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物および炭窒化物からなる第1のセラミック粉末を30〜95重量%、特に50〜93重量%と、平均粒径0.01〜10μmの鉄族金属酸化物粉末を0.1〜20重量%と、鉄族金属酸化物粉末以外の焼結助剤成分粉末20重量%以下と、所望により、第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子を構成する金属成分と同じ金属粉末を30重量%以下、特に20重量%以下と、所望により、平均粒径0.01〜10μmの周期律表4a、5a、6a族金属、Si、ZnおよびSnの酸化物粉末を0.01〜50重量%、特に0.1〜20重量%の割合で混合し、これにパラフィンワックス、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート、エチレン−ビニルアセテート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ジブチルフタレート等の有機バインダ、可塑剤、溶剤を添加して混錬し、プレス成形または鋳込み成形等の成形法により円柱形状に成形して芯材用成形体12を作製する。(図2(a)参照)
ここで、本発明の鉄族金属酸化物粉末としてはCoO、Co23、Co34、NiO、FeO、Fe23等が挙げられるが、中でも結合金属または焼結助剤として有効に機能し、かつ効率よく残留炭素成分を酸化する点でCo34を必須として含有することが望ましい。
【0036】
また、後述する共押出成形によって均質な複合成形体を得るためには、前記有機バインダの添加量を30〜70体積%、特に40〜60体積%とすることが望ましい。
【0037】
一方、前記芯材用成形体12とは違う組成の表皮材3をなす混合材料を前述したバインダとともに混錬してプレス成形、押出成形または鋳込み成形等の成形方法により半割円筒形状の2本の表皮材用成形体13を作製し、この表皮材用成形体13を芯材用成形体12の外周を覆うように配置した成形体11を作製する。(図2(a)参照)
そして、上記成形体11を押出成形して芯材用成形体12と表皮材用成形体13を共押出成形することにより芯材用成形体12の周囲に表皮材用成形体13が被覆され、細い径に伸延された複合成形体15を作製する(図2(b)参照)。また、マルチフィラメント構造の構造体を作製するには、上記共押出した長尺状の複合成形体15を複数本集束して再度共押出成形すれば良い(図2(c)参照)。
【0038】
さらに上記伸延された長尺状の複合成形体15を所望により再度共押出成形して、断面が円形、三角形、四角形をなす長尺状に成形することもでき、また、上記長尺状の複合成形体15を整列させてシートとし、このシート複数枚を長尺状の複合成形体15同士が並行、直交または45°等の所定の角度をなすように積層された積層体とすることもでき、さらに、公知のラピッドプロトダイビング法等の成形方法によって任意の形状に成形することも可能である。さらには、上記整列したシートまたはこのシートを断面方向にスライスした複合構造体のシートを従来の超硬合金等の硬質合金焼結体(塊状体)の表面に貼り合わせ、または接合することも可能である。
【0039】
そして、上記複合成形体15を100〜700℃で10〜200時間昇温または保持する脱バインダ処理した後、真空中、または不活性雰囲気中、所定温度、時間で焼成することにより本発明の複合構造体を作製することができる。
【0040】
本発明によれば、芯材2中に添加した第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子の金属成分と同じ金属酸化物粉末が、焼結時に炭化または窒化して酸素を放出し、特に、前記有機バインダの残渣として残存する残留炭素と反応して炭化物を生成させることにより、余分な残留炭素の残存を低減することができるとともに、金属酸化物粉末がより高硬度、高強度な炭化物、窒化物および炭窒化物の群から選ばれる少なくとも1種に変質することによって、硬度、靭性、強度に優れた焼結体を作製することができる。
【0041】
なお、本発明によれば、原料中の金属粉末を脱バインダ後の残留炭素と反応せしめて炭化物を生成させる必要があるために、真空または不活性ガス雰囲気中、1000〜1500℃、特に1150〜1400℃で、0.5〜5時間、特に1〜3時間熱処理することが望ましく、また、800℃以上の昇温速度を3℃/分以下に制御することが望ましい。また、焼成は真空または不活性雰囲気中、1300〜1900℃、特に1400〜1800℃で0.5〜5時間特に1〜5時間の条件とすることが望ましい。さらに、芯材2と表皮材3との間の残留応力を抑制する点で、降温速度を3℃/分以下とすることが望ましい。
【0042】
さらに、本発明によれば、鉄族酸化物粉末とともに硬質粒子やセラミック粒子とおなじ成分の金属粉末および/または酸化物粉末を添加してその一部については、酸化、硼化または窒化せしめることも可能である。
【0043】
【実施例】
(実施例1)
平均粒径0.2μmのAl23粉末、平均粒径0.5μmのTiC粉末、平均粒径0.5μmのTiN粉末、平均粒径1μmのY23粉末、平均粒径1μmのMgO粉末、平均粒径1μmのCo34粉末、平均粒径1.5μmのTiO2粉末、平均粒径0.2μmのSi34粉末、平均粒径1μmのZrO2粉末を用いて表1に示す割合で添加し、総粉末量に対し有機バインダとしてエチレンエチルアクリレート、エチレンビニルアセテート、メトキシポリエチレングリコールを総量で50体積部加えて混錬して、円柱形状に押出成形して芯材用成形体を、半割円筒形状の表皮材用成形体2つを押出成形にて作製し、表1の芯材用成形体の外周を覆うように表2の組み合わせで配置して複合構造体を作製した。
【0044】
そして、上記成形体を共押出して伸延された複合成形体を作製した後、この伸延された複合成形体700本を集束して再度共押出成形し、マルチフィラメントタイプの成形体を作製した。
【0045】
次に、上記マルチフィラメントタイプの複合成形体を100mmの長さにカットし、並列に整列させてシート状とし、このシート6枚を隣接するシート内の複合構造体同士が45°の角度となるように積層して直方体形状の積層成形体を作製した。
【0046】
その後、前記積層成形体に対して100〜700℃まで100時間で昇温することによって脱バインダ処理を行った後、昇温速度2.5℃/分で昇温し、真空中、1300℃で1時間保持し、1550℃で2時間焼成し、さらに3℃/分で降温して複合構造体を作製した。
【0047】
得られた複合構造体に対して、構造体全体の遊離炭素量を測定するとともに、芯材中の残留炭素量Cinと表皮材中の残留炭素量Coutをそれぞれ測定した。また、複合構造体の断面を観察して芯材の直径、表皮材の厚みを測定し、組織の多孔度を測定するとともに、芯材と表皮材との間に剥離等が発生したか観察した。さらに、X線回折測定から芯材の表皮材との界面における残留応力を測定した。また、複合部材の3点曲げ強度を測定した。結果は表2に示した。
【0048】
【表1】
Figure 0004328118
【0049】
【表2】
Figure 0004328118
【0050】
表2の結果より、原料中に鉄族金属酸化物を添加しなかった試料No.2では残留炭素量が多く、芯材と表皮材との間に剥離が見られ曲げ強度も低いものであった。これに対して、原料中に鉄族金属酸化物を添加した試料No.1,3,4ではいずれも残留炭素量が少なく、芯材と表皮材との間に剥離もなく曲げ強度も高いものであった。
【0051】
(実施例2)
平均粒径1.5μmのWC粉末90質量%、平均粒径1.5μmのTiC粉末2質量%、平均粒径1.0μmのCo34粉末4質量%、平均粒径1.0μmのCo粉末4質量%の割合で添加した芯材用組成と、平均粒径1.5μmのTiCN粉末50重量%と、平均粒径1.5μmのTiC粉末13重量%と、平均粒径1μmのCo粉末2重量%と、平均粒径1μmのCo34粉末5重量%と、平均粒径1μmのNi粉末5重量%と、平均粒径1.5μmのWC粉末14重量%と、平均粒径2μmのMo2C粉末6重量%と、平均粒径2μmのVC粉末5重量%との割合で添加した表皮材用組成を用いて、実施例1と同様に有機バインダを添加、混練して円柱形状に押出成形して芯材用成形体を、半割円筒形状の表皮材用成形体2つを押出成形にて作製し、芯材用成形体の外周を覆うように表皮材を配置して複合構造体を作製した。
【0052】
そして、上記成形体を共押出して伸延された複合成形体を作製した後、この伸延された複合成形体700本を集束して再度共押出成形し、マルチフィラメントタイプの成形体を作製した。
【0053】
次に、上記マルチフィラメントタイプの複合成形体を100mmの長さにカットし、並列に整列させてシート状とし、このシート6枚を隣接するシート内の複合構造体同士が45°の角度となるように積層して直方体形状の積層成形体を作製した。
【0054】
その後、前記積層成形体に対して100〜700℃まで100時間で昇温することによって脱バインダ処理を行った後、昇温速度2.5℃/分で昇温し、真空中、1300℃で1時間保持し、1550℃で2時間焼成し、さらに3℃/分で降温して複合構造体を作製した。
【0055】
得られた複合構造体に対して、構造体全体の遊離炭素量を測定するとともに、芯材中の残留炭素量Cinと表皮材中の残留炭素量Coutをそれぞれ測定したところ、Cinが0.1質量%以下、Coutが0.1質量%以下であった。また、複合構造体の断面観察から芯材の直径は90μm、表皮材の厚みは5μmであり、芯材の多孔度はA02、表皮材の多孔度はA01であった。さらに、芯材と表皮材との間に剥離の発生は見られなかった。また、芯材の表皮材との界面における残留応力は80MPa、複合部材の3点曲げ強度は2200MPaであった。
【0056】
(比較例)
実施例2の複合構造体に対して、芯材の原料組成を、平均粒径1.5μmのWC粉末90重量%と、平均粒径1μmのCo粉末8重量%と、平均粒径2μmのTiC粉末2重量%との割合からなる混合粉末に代える以外は実施例2と同様に複合構造体を作製し、同様に評価した結果、芯材中の残留炭素量Cinが0.6質量%、表皮材中の残留炭素量Coutが0.4質量%、芯材の多孔度はC06、表皮材の多孔度はC0であった。さらに、芯材と表皮材との間には剥離が発生していた。また、複合部材の3点曲げ強度は500MPaであった。
【0057】
以上より、本発明の複合構造体の製造方法によれば、芯材を構成する原料中に鉄族金属酸化物粉末を添加し、焼結時に前記鉄族金属酸化物粉末を還元して有機バインダの残渣として残存する残留炭素とを反応させること等により、芯材中に残存する余分な残留炭素の残存量を低減することができる結果、硬度、靭性に優れるとともに強度に優れた複合構造体となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合構造体の一例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の複合部材の製造工程を説明するための図である。
【符号の説明】
1 複合構造体
2 芯材
3 表皮材
11 複合成形体
12 芯材用成形体
13 表皮材用成形体
15 複合成形体

Claims (4)

  1. (a)周期律表4a、5a、6a族金属、Siの炭化物、窒化物、炭窒化物および酸化物の群から選ばれる少なくとも1種の粉末と、Co 粉末を0.1〜20重量%と、有機バインダとからなる混合物、または周期律表4a、5a、6a族金属、Al、Siの群から選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物および酸化物粉末と、Co 粉末を0.1〜20重量%とY およびMgOとの焼結助剤粉末を20重量%以下と、有機バインダとからなる混合物を混合し長尺状に成形して芯材用成形体を作製する工程と、
    (b)周期律表4a、5a、6a族金属、Siの炭化物、窒化物、炭窒化物および酸化物の群から選ばれる少なくとも1種の粉末と、Co 粉末を0.1〜20重量%と、有機バインダとからなる混合物、または周期律表4a、5a、6a族金属、Al、Siの群から選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物および酸化物粉末と、Co 粉末を0.1〜20重量%とY およびMgOとの焼結助剤粉末を20重量%以下と、有機バインダとからなる混合物、並びに焼成によって多結晶ダイヤモンド、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、cBNを作製しうる混合物であって、前記(a)工程の成形体とは異なる組成からなる表皮材用成形体を成形して前記(a)工程の芯材用成形体の外周を被覆するように配した複合成形体を作製する工程と、
    (c)前記複合成形体を焼成して、
    周期律表4a、5a、6a族金属、Siの群から選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子をCoからなる結合金属にて結合してなる第1の硬質焼結体、または周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、Siの群から選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物および酸化物の少なくとも1種からなる第1のセラミック粒子をCoとY およびMgOとの焼結助剤にて結合してなる第1のセラミックスからなる長尺状の芯材の外周を、前記第1の硬質焼結体および前記第1のセラミックスとは異なる組成からなる第2の硬質焼結体または第2のセラミックスからなる表皮材にて被覆してなる複合構造体を作製する工程とを具備することを特徴とする複合構造体の製造方法。
  2. 前記芯材中の多孔度がA04以下であることを特徴とする請求項記載の複合構造体の製造方法
  3. 前記有機バインダを30〜70体積%添加することを特徴とする請求項1または2記載の複合構造体の製造方法。
  4. 前記(b)工程で得られた複合成形体を共押出成形により伸延し、該共押出成形にて伸延された複合成形体を複数本集束して再度共押出成形してマルチフィラメント構造の複合成形体を作製することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の複合構造体の製造方法。
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