JP4109507B2 - 複合構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芯材の外周をこの芯材とは異なる組成からなる表皮部材にて被覆してなる複合構造体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、繊維等長尺状の芯材の外周を他の部材にて被覆することにより、構造体の硬度や強度に加えて靭性を改善する技術が研究されており、例えば、USP5645781号には、多量の有機バインダ(熱可塑性ポリマー)を含有させた第1セラミック粉末からなる円筒状の芯材用成形体の外周に、この芯材とは異なる第2セラミック粉末と、有機バインダとからなる表皮部材用成形体を配した積層成形体を共押出して伸延し、これを焼結して非脆性破壊特性を示す靭性に優れた複合構造体を得ることができると記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記USP5645781号にて開示された方法で得られた複合構造体では、共押出成形を行うために多量の有機バインダを添加する必要があることから、焼成中に多量の有機バインダを分解揮散させる必要があるが、実際には脱バインダ処理に限界があり、特に複合構造体の内部に位置する芯材中に有機バインダが分解揮散しきれず残存した残留炭素が多く残ってしまう結果、芯材が焼結不良になって、焼結密度が上がらず複合構造体の強度が低下するという問題があった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためのもので、その目的は特に有機バインダを多量に加えて成形、焼成することにより複合構造体を作製する場合でも、効率よく脱バインダ処理を行うことができ、強度、硬度および靭性に優れた複合構造体およびその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題について検討した結果、芯材を構成する原料中に酸化物粉末を添加し、焼結時に前記酸化物粉末を炭化または窒化させて酸素を放出させ、有機バインダの残渣として残存する残留炭素とを反応させること等により、芯材中に残存する余分な残留炭素の残存量を低減することができるとともに、前記酸化物粉末をより高硬度な炭化物、窒化物または炭窒化物に変質させることができる結果、硬度、靭性に優れるとともに強度に優れた複合構造体となることを知見した。
【0008】
また、本発明の複合構造体の製造方法は、 周期律表4a、5a、6a族金属の酸化物、SiO、ZnOおよびSnOの群から選ばれる少なくとも1種の粉末と、結合金属粉末と、有機バインダと、周期律表4a、5a、6a族金属、Si、ZnおよびSnの炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子とからなる混合物を長尺状に成形して芯材用成形体を作製する(A)工程と、前記第1の硬質粒子とは異なる組成の硬質粒子と、結合金属粉末と、有機バインダとからなるか、またはセラミック粒子と、焼結助剤粉末と、有機バインダとからなる表皮部材用成形体を成形して前記芯材用成形体の外周を被覆するように配した複合成形体を作製する(B)工程と、前記周期律表4a、5a、6a族金属の酸化物、SiO 、ZnOおよびSnO の群から選ばれる少なくとも1種の粉末が炭化または窒化しながら、または炭化または窒化した後、前記複合成形体を焼成する(C)工程とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
さらに、本発明の複合構造体の製造方法は、周期律表4a、5a、6a族金属の酸化物、SiO、ZnOおよびSnOの群から選ばれる少なくとも1種の粉末と、焼結助剤粉末と、有機バインダと、周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、SiおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物および炭窒化物からなる第1のセラミック粉末とからなる混合物を長尺状に成形して芯材用成形体を作製する(A)工程と、前記第1のセラミック粒子とは異なる組成のセラミック粒子と、焼結助剤粉末と、有機バインダとからなるか、または硬質粒子と、結合金属粉末と、有機バインダとからなる表皮部材用成形体を成形して前記芯材用成形体の外周を被覆するように配した複合成形体を作製する(B)工程と、前記周期律表4a、5a、6a族金属の酸化物、SiO 、ZnOおよびSnO の群から選ばれる少なくとも1種の粉末が炭化または窒化しながら、または炭化または窒化した後、前記複合成形体を焼成する(C)工程とを具備することを特徴とするものである。
【0010】
ここで、前記有機バインダを30〜70体積%添加すること、前記(c)工程において、真空または不活性雰囲気中、1000〜1500℃で0.5〜5時間熱処理して、前記周期律表4a、5a、6a族金属の酸化物、SiO 、ZnOおよびSnO の群から選ばれる少なくとも1種の粉末を炭化または窒化させた後、真空または不活性雰囲気中、1300〜1900℃で0.5〜5時間焼成することが望ましい。
【0011】
さらに、前記(c)工程において、前記周期律表4a、5a、6a族金属の酸化物、SiO 、ZnOおよびSnO の群から選ばれる少なくとも1種の粉末が前記(a)工程の有機バインダの残渣と反応して炭化すること、前記(b)工程で得られた複合成形体を共押出成形により伸延すること、前記共押出成形にて伸延された複合成形体を複数本収束して再度共押出成形してマルチフィラメント構造の複合成形体を作製することが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の複合構造体についてその一実施例についての概略斜視図である図1を基に説明する。
【0013】
図1によれば、複合構造体1は長尺状の芯材2の外周を表皮部材3にて被覆した構造からなる。
【0014】
本発明によれば、芯材2を構成する材質としては、周期律表4a、5a、6a族金属、Si、ZnおよびSnの炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子、特にWC、TiC、TiCN、TiN、TaC、NbC、ZrC、ZrN、VC、Cr2CおよびMo2Cの群から選ばれる少なくとも1種、さらにはWC、TiCまたはTiCNを主成分とする第1の硬質粒子と、Fe、CoおよびNiの群から選ばれる少なくとも1種、特にCoおよび/またはNiからなる結合金属にて結合してなる第1の硬質焼結体、特に超硬合金またはサーメットが好適に使用可能である。
【0015】
また、本発明によれば、芯材2を構成する材質としては、上記硬質焼結体以外にも、周期律表4a、5aおよび6a族金属、Si、ZnおよびSnの群から選ばれる少なくとも1種の炭化物、窒化物および炭窒化物からなる第1のセラミック粒子、中でもTiC(TiCN)、SiC、Si34およびTiB2の群から選ばれる少なくとも1種、さらにはSi34および/またはSiCが好適に使用可能である。なお、第1のセラミックス中には適宜焼結助剤成分を含有せしめることも可能である。
【0016】
そして、本発明によれば、芯材2の外周を覆う表皮部材3の材質としては前記芯材2とは異なる材質の第2の硬質焼結体または第2のセラミックスを用いる。
【0017】
第2の硬質焼結体または第2のセラミックスとしては、上述した芯材2に用いられる材質の他、多結晶ダイヤモンド、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、cBNをも用いることができる。
【0018】
さらに、芯材2(をなす第1の硬質焼結体または第1のセラミックス)−表皮部材3(をなす第2の硬質焼結体または第2のセラミックス)との組み合わせは、例えば超硬合金−サーメット、超硬合金−cBN、超硬合金−ダイヤモンド焼結体、超硬合金−アルミナ、超硬合金−窒化珪素、サーメット−超硬合金、サーメット−ダイヤモンド焼結体、サーメット−アルミナ、サーメット−窒化珪素、(アルミナ、炭窒化チタン)−アルミナ、炭化珪素−窒化珪素、(炭化珪素、窒化珪素)−窒化珪素、炭化珪素−ダイヤモンド焼結体、アルミナ−サーメット、アルミナ−超硬合金、(アルミナ、炭窒化チタン)−超硬合金、(アルミナ、炭窒化チタン)−サーメット、アルミナ−ジルコニア、(アルミナ、炭窒化チタン)−ジルコニア、(アルミナ、炭窒化チタン)−(アルミナ、ジルコニア)、窒化ケイ素−アルミナ、窒化ケイ素−(希土類酸化物、アルミナ、シリカ)、ダイヤモンド焼結体−cBN、窒化ケイ素−超硬合金、窒化ケイ素−サーメット、ダイヤモンド−(アルミナ、炭窒化チタン)、cBN−(アルミナ、炭窒化チタン)、(アルミナ、炭窒化チタン)−炭化ケイ素、アルミナ−炭化ケイ素の群から選ばれる1種が特に好適に使用可能であり、中でも、硬度、靭性のバランスがよく切削工具として好適に使用可能な点で、超硬合金−サーメット、超硬合金−ダイヤモンド焼結体および(アルミナ、炭窒化チタン)−アルミナの群から選ばれる1種が最適である。
【0019】
ここで、本発明によれば、上記芯材2をなす第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子が酸化物粉末の少なくとも一部を焼成時に炭化または窒化したものからなることが大きな特徴であり、これによって、複合構造体1の内部に位置する芯材2中に有機バインダが分解揮散しきれず残存した残留炭素が多く残存して、芯材2が焼結不良となることなく複合構造体1の強度を向上させることができるという効果がある。なお、芯材2中の残留炭素量Cinと表皮部材3中の残留炭素量Coutとの比Cin/Coutは0.5〜2であることが望ましい。
【0020】
また、芯材2の緻密化を図り複合構造体1の強度を向上させる点で、芯材2中の残留炭素量Cinが1重量%以下、特に0.5重量%以下、さらには0.2重量%以下であることが望ましい。換言すれば、複合構造体1の芯材2および表皮部材3のANSI/ASTM B276−54に基づく多孔度はともにA04以下またはB04以下、望ましくはA02以下となる。なお、本発明における残留炭素量とは、金属と結合して炭化物や炭窒化物を構成する炭素成分を除いた遊離炭素成分の芯材2(または表皮部材3)全量に対する含有比率を指す。
【0021】
さらに、本発明によれば、複合構造体1の金属酸化物が反応して生成された炭化物、窒化物または炭窒化物が粒子分散強化機構に寄与して構造体の靭性を高めることができる点で、芯材2中に第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子を構成する金属成分と同じ金属の酸化物が混在したものであってもよい。なお、表皮部材3中にも上記第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子を構成する金属成分と同じ金属酸化物粒子か、または他の金属酸化物粒子を分散含有せしめることも可能である。
【0022】
一方、芯材2をなす第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子の平均粒径は、複合構造体1の硬度および強度向上の点、および芯材2と表皮部材3中の結合材(結合金属、焼結助剤)の含有量を適正化する点で0.05〜10μm、特に0.1〜3μmであることが望ましく、他方、表皮部材3をなす第2の硬質粒子または第2のセラミック粒子の平均粒径は、複合構造体1の靭性向上の点で、0.01〜5μm、特に0.01〜2μmであることが望ましい。
【0023】
また、複合構造体1の構成として、硬度および靭性の両立を図る点で、芯材2の直径D1が2〜1000μm、特に10〜500μm、さらに、50〜200μm、表皮部材3の厚みD2が1〜500μm、特に2〜100μm、さらに10〜50μmであることが望ましい。
【0024】
さらに、本発明によれば、上述した芯材2の外周に表皮部材3を被覆した複合構造体1を図1(a)のように複数本収束したマルチフィラメント構造とすることもでき、これによって、さらに複合構造体の靭性を向上できる。しかも、本発明によれば、かかる複合構造体1を多数本収束するような場合においても、有機バインダの脱バインダ性が低下することなく良好に収束体の中心付近に位置する複合構造体の残留炭素量を減じて構造体全体が緻密化した高強度な構造体となる。
【0025】
なお、本発明によれば、複合構造体1、またはその収束体の直径、または厚みが、特に1mm以上、特に5mm以上、さらに10mm以上、および/または長尺長さが10mm以上、特に30mm以上、さらに50mm以上の場合においても、構造体の中心付近に存在する複合構造体の芯材の残留炭素量をも効率よく低減することができるとともに、芯材2と表皮部材3との剥離をも低減せしめることができるものである。
【0026】
さらに、本発明においては、上記長尺状の複合構造体を並列に整列せしめてシート状となすこともでき、さらには、該シート複数枚を隣接するシートの長尺体同士が0°、45°、90°等の所定の角度をなすように積層することも可能である。
【0027】
(製造方法)
次に、本発明の複合構造体を製造する方法について、図2の模式図をもとにその一例について説明する。
【0028】
まず、例えば、平均粒径0.01〜10μmの周期律表4a、5a、6a族金属、Si、ZnおよびSnの酸化物粉末を0.01〜50重量%、特に0.1〜20重量%、さらに10〜20重量%と、平均粒径0.01〜10μmの周期律表4a、5a、6a族金属、Si、ZnおよびSnの炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子、または周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、SiおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物および炭窒化物からなる第1のセラミック粉末を30〜80重量%、特に50〜70重量%と、所望により、第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子を構成する金属成分と同じ金属粉末を30重量%以下、特に20重量%以下と、所望により、平均粒径0.01〜10μmの鉄族金属粉末を5〜20重量%と、焼結助剤成分粉末1〜20重量%との割合で混合し、これにパラフィンワックス、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレート、エチレン−ビニルアセテート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ジブチルフタレート等の有機バインダ、可塑剤、溶剤を添加して混錬し、プレス成形または鋳込み成形等の成形法により円柱形状に成形して芯材用成形体12を作製する。(図2(a)参照)
ここで、後述する共押出成形によって均質な複合成形体を得るためには、前記有機バインダの添加量を30〜70体積%、特に40〜60体積%とすることが望ましい。
【0029】
一方、前記芯材用成形体12とは違う組成の表皮部材3をなす混合材料を前述したバインダとともに混錬してプレス成形、押出成形または鋳込み成形等の成形方法により半割円筒形状の2本の表皮部材用成形体13を作製し、この表皮部材用成形体13を芯材用成形体12の外周を覆うように配置した成形体11を作製する。(図2(a)参照)
そして、上記成形体11を押出成形して芯材用成形体12と表皮部材用成形体13を共押出成形することにより芯材用成形体12の周囲に表皮部材用成形体13が被覆され、細い径に伸延された複合成形体15を作製する(図2(b)参照)。また、マルチフィラメント構造の構造体を作製するには、上記共押出した長尺状の複合成形体15を複数本収束して再度共押出成形すれば良い(図2(c)参照)。
【0030】
さらに上記伸延された長尺状の複合成形体15を所望により再度共押出成形して、断面が円形、三角形、四角形をなす長尺状に成形することもでき、また、上記長尺状の複合成形体15を整列させてシートとし、このシート複数枚を長尺状の複合成形体15同士が並行、直交または45°等の所定の角度をなすように積層された積層体とすることもでき、さらに、公知のラピッドプロトダイビング法等の成形方法によって任意の形状に成形することも可能である。さらには、上記整列したシートまたはこのシートを断面方向にスライスした複合構造体のシートを従来の超硬合金等の硬質合金焼結体(塊状体)の表面に貼り合わせ、または接合することも可能である。
【0031】
そして、上記複合成形体15を100〜700℃で10〜200時間昇温または保持する脱バインダ処理した後、真空中、または不活性雰囲気中、所定温度、時間で焼成することにより本発明の複合構造体を作製することができる。
【0032】
本発明によれば、芯材2中に添加した第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子の金属成分と同じ金属酸化物粉末が、焼結時に炭化または窒化して酸素を放出し、特に、前記有機バインダの残渣として残存する残留炭素と反応して炭化物を生成させることにより、余分な残留炭素の残存を低減することができるとともに、金属酸化物粉末がより高硬度、高強度な炭化物、窒化物および炭窒化物の群から選ばれる少なくとも1種に変質することによって、硬度、靭性、強度に優れた焼結体を作製することができる。
【0033】
なお、本発明によれば、原料中の金属粉末を脱バインダ後の残留炭素と反応せしめて炭化物を生成させる必要があるために、真空または不活性ガス雰囲気中、1000〜1500℃、特に1150〜1400℃で、0.5〜5時間、特に1〜3時間熱処理することが望ましく、また、800℃以上の昇温速度を3℃/分以下に制御することが望ましい。また、焼成は真空または不活性雰囲気中,1300〜1900℃特に1400〜1800℃で0.5〜5時間特に1〜5時間の条件とすることが望ましい。さらに、芯材2と表皮部材3との間の残留応力を抑制する点で、降温速度を3℃/分以下とすることが望ましい。
【0034】
さらに、本発明によれば、酸化物粉末とともに金属粉末を添加してその一部については、酸化、硼化または窒化せしめることによって体積膨張させることも可能である。
【0035】
【実施例】
(実施例1)
平均粒径1.5μmのWC粉末80重量%と、平均粒径1μmのCo粉末10重量%と、平均粒径2μmのTiC粉末5重量%と、平均粒径1μmのTiO2粉末5重量%と、の割合で添加し、それに有機バインダとしてセルロース、ポリエチレングリコールを、溶剤としてポリビニルアルコールを総量で100体積部加えて混錬して、円柱形状に押出成形して芯材用成形体を作製した。
【0036】
一方、平均粒径1.5μmのTiCN粉末50重量%と、平均粒径1.5μmのTiC粉末13重量%と、平均粒径1μmのCo粉末7重量%と、平均粒径1.5μmのWC粉末19重量%と、平均粒径2μmのMo2C粉末6重量%と、平均粒径2μmのVC粉末5重量%との割合で添加し、これに、上記同様の有機バインダ、溶剤を加えて混錬し、半割円筒形状の表皮部材用成形体2つを押出成形にて作製し、前記芯材用成形体の外周を覆うように配置して複合構造体を作製した。
【0037】
そして、上記成形体を共押出して伸延された複合成形体を作製した後、この伸延された複合成形体100本を収束して再度共押出成形し、マルチフィラメントタイプの成形体を作製した。
【0038】
次に、上記マルチフィラメントタイプの複合成形体を100mmの長さにカットし、並列に整列させてシート状とし、このシート6枚を隣接するシート内の複合構造体同士が45°の角度となるように積層して直方体形状の積層成形体を作製した。
【0039】
その後、前記積層成形体に対して100〜700℃まで100時間で昇温することによって脱バインダ処理を行った後、昇温速度2.5℃/分で昇温し、真空中、1300℃で1時間保持し、1450℃で2時間焼成し、さらに3℃/分で降温して複合構造体を作製した。
【0040】
得られた複合構造体に対して、構造体全体の遊離炭素量を測定するとともに、芯材中の残留炭素量Cinと表皮部材中の残留炭素量Coutをそれぞれ測定したところ、芯材中の残留炭素量Cinは0.01重量%、表皮部材中の残留炭素量Coutは0.1重量%であった。
【0041】
なお、複合構造体の断面を観察したところ、芯材の直径は90μm、表皮部材の厚みは5μmであり、芯材と表皮部材との間に剥離等は見られず、さらに、X線回折測定から芯材の表皮部材との界面における残留応力を測定した結果、芯材2には230MPaの圧縮応力がかかっていることがわかった。また、複合部材の3点曲げ強度を測定した結果、2500MPaであった。また、多孔度は表皮部材がA02、芯材がA01であった。
【0042】
(比較例)
実施例1の芯材用原料を、平均粒径1.5μmのWC粉末85重量%と、平均粒径1μmのCo粉末10重量%と、平均粒径2μmのTiC粉末5重量%と、の割合からなる混合粉末に代える以外は実施例1と同様に複合構造体を作製し、同様に評価したところ、芯材中の残留炭素量Cinは4.56重量%、表皮部材中の残留炭素量Coutは2.00重量%であった。また、複合構造体の断面観察を行った結果、芯材と表皮部材との界面に多数の剥離が見られた。さらにまた、複合構造体の3点曲げ強度は500MPaであった。また、多孔度は表皮部材がC01、芯材がC06であった。
【0043】
(実施例2)
実施例1の表皮部材用原料を、平均粒径1.5μmのTiCN粉末50重量%と、平均粒径1.5μmのTiC粉末10重量%と、平均粒径1μmのCo粉末7重量%と、平均粒径1.5μmのWC粉末19重量%と、平均粒径2μmのMo2C粉末6重量%と、平均粒径2μmのVC粉末5重量%と平均粒径1.0μmのTiO2粉末3重量%との割合からなる混合粉末に代える以外は実施例1と同様に複合構造体を作製し、同様に評価したところ、芯材中の残留炭素量Cinは0.01重量%、表皮部材中の残留炭素量Coutは0.01重量%であった。さらに、X線回折測定から芯材の表皮部材との界面における残留応力を測定した結果、芯材2には200MPaの圧縮応力がかかっていることがわかった。また、複合構造体の3点曲げ強度は2600MPaであった。また、多孔度は表皮部材がA00、芯材がA00であった。
【0044】
(実施例3)
実施例1の芯材用原料を、平均粒径0.2μmのAl23粉末70重量%、平均粒径0.5μmのTiC粉末21重量%、平均粒径0.5μmのTiN粉末5重量%、平均粒径1μmのY230.5重量%、平均粒径1μmのMgO0.5重量%、平均粒径1μmのCo340.5重量%、平均粒径1.5μmのTiO22.5重量%の割合からなる混合粉末に代えるとともに、表皮部材用原料を、平均粒径0.2μmのAl23粉末84重量%と、平均粒径0.5μmのZrO2粉末12重量%と、平均粒径1μmのY230.5重量%、平均粒径1μmのMgO0.5重量%、平均粒径1μmのCo340.5重量%、平均粒径1.5μmのTiO2粉末2.5重量%の割合からなる混合粉末に代える以外は実施例1と同様にして直方体形状の積層成形体を作製した。
【0045】
その後、前記積層成形体に対して100〜700℃まで100時間で昇温することによって脱バインダ処理を行った後、昇温速度2.5℃/分で昇温し、真空中、1300℃で1時間保持し、1600℃で2時間焼成し、さらに3℃/分で降温して複合構造体を作製した。
【0046】
実施例1と同様に評価したところ、芯材中の残留炭素量Cinは0.015重量%、表皮部材中の残留炭素量Coutは0.012重量%であった。さらに、芯材の表皮部材との界面における残留応力を測定した結果、芯材2には250MPaの圧縮応力がかかっていることがわかった。また、複合構造体の3点曲げ強度は950MPaであった。さらに、多孔度は表皮部材がA01、芯材がA01であった。
【0047】
【発明の効果】
以上より、本発明の複合構造体によれば、芯材を構成する原料中に第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子の金属成分と同じ金属酸化物粉末を添加し、焼結時に前記金属酸化物粉末を炭化または窒化して有機バインダの残渣として残存する残留炭素とを反応させること等により、芯材中に残存する余分な残留炭素の残存量を低減することができる結果、硬度、靭性に優れるとともに強度に優れた複合構造体となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合構造体の一例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の複合部材の製造工程を説明するための図である。
【符号の説明】
1 複合構造体
2 芯材
3 表皮部材
11 複合成形体
12 芯材用成形体
13 表皮部材用成形体
15 複合成形体

Claims (6)

  1. 周期律表4a、5a、6a族金属の酸化物、SiO、ZnOおよびSnOの群から選ばれる少なくとも1種の粉末と、結合金属粉末と、有機バインダと、周期律表4a、5a、6a族金属、Si、ZnおよびSnの炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子とからなる混合物を長尺状に成形して芯材用成形体を作製する(A)工程と、
    前記第1の硬質粒子とは異なる組成の硬質粒子と、結合金属粉末と、有機バインダとからなるか、またはセラミック粒子と、焼結助剤粉末と、有機バインダとからなる表皮部材用成形体を成形して前記芯材用成形体の外周を被覆するように配した複合成形体を作製する(B)工程と、
    前記周期律表4a、5a、6a族金属の酸化物、SiO、ZnOおよびSnOの群から選ばれる少なくとも1種の粉末が炭化または窒化しながら、または炭化または窒化した後、前記複合成形体を焼成する(C)工程と
    を具備することを特徴とする複合構造体の製造方法。
  2. 周期律表4a、5a、6a族金属の酸化物、SiO、ZnOおよびSnOの群から選ばれる少なくとも1種の粉末と、焼結助剤粉末と、有機バインダと、周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、SiおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物および炭窒化物からなる第1のセラミック粉末とからなる混合物を長尺状に成形して芯材用成形体を作製する(A)工程と、
    前記第1のセラミック粒子とは異なる組成のセラミック粒子と、焼結助剤粉末と、有機バインダとからなるか、または硬質粒子と、結合金属粉末と、有機バインダとからなる表皮部材用成形体を成形して前記芯材用成形体の外周を被覆するように配した複合成形体を作製する(B)工程と、
    前記周期律表4a、5a、6a族金属の酸化物、SiO、ZnOおよびSnOの群から選ばれる少なくとも1種の粉末が炭化または窒化しながら、または炭化または窒化した後、前記複合成形体を焼成する(C)工程と
    を具備することを特徴とする複合構造体の製造方法。
  3. 前記有機バインダを30〜70体積%添加することを特徴とする請求項又は請求項に記載の複合構造体の製造方法。
  4. 前記(c)工程において、真空または不活性雰囲気中、1000〜1500℃で0.5〜5時間熱処理し、前記周期律表4a、5a、6a族金属の酸化物、SiO、ZnOおよびSnOの群から選ばれる少なくとも1種の粉末を炭化または窒化させた後、真空または不活性雰囲気中、1300〜1900℃で0.5〜5時間焼成することを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の複合構造体の製造方法。
  5. 前記(c)工程において、前記周期律表4a、5a、6a族金属の酸化物、SiO、ZnOおよびSnOの群から選ばれる少なくとも1種の粉末が前記(a)工程の有機バインダの残渣と反応して炭化することを特徴とする請求項乃至のいずれか記載の複合構造体の製造方法。
  6. 前記(b)工程で得られた複合成形体を共押出成形により伸延し、該共押出成形にて伸延された複合成形体を複数本収束して再度共押出成形してマルチフィラメント構造の複合成形体を作製することを特徴とする請求項乃至のいずれか記載の複合構造体の製造方法。
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