JP2008121119A - 複合構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 複合部材の焼結時の収縮や焼結不良による複合部材の強度低下を防ぐことができる複合構造体を提供する。
【解決手段】 周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子を結合金属にて結合してなる第1の硬質焼結体、または周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、SiおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物および炭窒化物からなる第1のセラミック粒子を焼結助剤にて結合してなる第1のセラミックスからなる芯材2の外周を、前記第1の硬質焼結体とは異なる組成からなる第2の硬質焼結体または第2のセラミックスからなる表皮部材3にて被覆してなる複合構造体1において、芯材2および表皮部材3のANSI/ASTM B276−54に基づく多孔度をともにA04以下またはB04以下とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子を結合金属にて結合してなる第1の硬質焼結体、または周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、SiおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物および炭窒化物からなる第1のセラミック粒子を焼結助剤にて結合してなる第1のセラミックスからなる芯材2の外周を、前記第1の硬質焼結体とは異なる組成からなる第2の硬質焼結体または第2のセラミックスからなる表皮部材3にて被覆してなる複合構造体1において、芯材2および表皮部材3のANSI/ASTM B276−54に基づく多孔度をともにA04以下またはB04以下とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、芯材の外周を前記芯材とは異なる組成からなる表皮部材にて被覆してなる複合構造体とその製造方法に関する。
従来から、繊維等長尺状の芯材の外周を他の部材にて被覆することにより、構造体の硬度や強度に加えて靭性を改善する技術が研究されており、例えば、USP5645781号には、多量の有機バインダ(熱可塑性ポリマー)を含有させた第1セラミック粉末からなる円筒状の芯材用成形体の外周に、前記芯材とは異なる第2セラミック粉末と、有機バインダとからなる表皮部材用成形体を配した積層成形体を共押出して伸延し、これを焼結して非脆性破壊特性を示す靭性に優れた複合構造体を得ることができるとされている。
米国特許第5645781号明細書
しかしながら、上記USP5645781号にて開示された方法で得られた複合構造体では、共押出成形を行うために多量の有機バインダを添加する必要があることから、焼成中に多量の有機バインダが分解揮散した部分が空隙となってしまい、焼成中にこの空隙を消失させて構造体を緻密化する際に大きな焼成収縮が生じる結果、焼成後の複合構造体においては芯材と表皮部材との間に大きな残留応力が発生したり、場合によっては両者間に剥離が生じやすくなり、複合構造体の強度が低下してしまうという問題があった。
さらに、上記方法では、多量の有機バインダを分解揮散させる必要があるが、実際には脱バインダ処理に限界があり、特に複合構造体の内部に位置する芯材中に有機バインダが分解揮散しきれず残存した残留炭素が多く残ってしまう結果、芯材が焼結不良になって、焼結密度が上がらず複合構造体の強度が低下するという問題もあった。
本発明は上記課題を解決するためのもので、その目的は特に有機バインダを多量に加えて成形、焼成することにより複合構造体を作製する場合でも、強度、硬度および靭性に優れた複合構造体を提供することにある。
本発明者は上記課題について検討した結果、芯材を構成する原料中に第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子の金属成分と同じ金属粉末を添加し、焼結時に前記金属粉末と有機バインダの残渣として残存する残留炭素とを反応させて金属炭化物を生成させること等により、芯材中に残存する余分な残留炭素の残存量を低減することができるとともに、芯材の焼結に伴う収縮量を減じて芯材と表皮部材との間に生じる残留応力を低減することができる結果、芯材と表皮部材との間に発生する剥離や残留応力を防止することができ、硬度、靭性に優れるとともに強度に優れた複合構造体となることを知見した。
すなわち、本発明の第1の複合構造体は、周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子を結合金属にて結合してなる第1の硬質焼結体、または周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、SiおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物からなる第1のセラミック粒子を焼結助剤にて結合してなる第1のセラミックスからなる長尺状の芯材の外周を、前記第1の硬質焼結体とは異なる組成からなる第2の硬質焼結体または第2のセラミックスからなる表皮部材にて被覆してなる複合構造体であって、前記芯材および前記表皮部材のANSI/ASTM B276−54に基づく多孔度がともにA04以下またはB04以下であることを特徴とする。
また、本発明の第2の複合構造体は、周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子を結合金属にて結合してなる第1の硬質焼結体、または周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、SiおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物からなる第1のセラミック粒子を焼結助剤にて結合してなる第1のセラミックスからなる長尺状の芯材の外周を、前記第1の硬質焼結体とは異なる組成からなる第2の硬質焼結体または第2のセラミックスからなる表皮部材にて被覆してなる複合構造体であって、該複合構造体を粒径1μmのダイヤモンド砥粒を使って研磨した検鏡面に対して顕微鏡を用いて前記芯材および前記表皮部材をそれぞれ100倍に拡大した観察面において、ともに直径10μm未満の細孔が0.06面積%以下、直径10〜25μmの細孔が0.06面積%以下、かつ遊離炭素の析出が見られないことを特徴とする。
ここで、前記第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子の少なくとも一部は、金属粉末を焼成によって炭化したものであることを特徴とする。
また、前記芯材表面に存在する引張り応力が20kg/cm2以下であることが望ましい。
さらに、前記複合構造体を、外周を前記表皮部材にて被覆された前記芯材が複数本束ねられた状態で配置されているマルチフィラメント構造の構造体とすることもできる。
また、前記芯材の直径が2〜1000μm、前記表皮部材の厚みが1〜500μmであることが望ましい。
本発明の複合構造体によれば、芯材を構成する原料中に第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子の金属成分と同じ金属粉末を添加し、焼結時に前記金属粉末と有機バインダの残渣として残存する残留炭素とを反応させて金属炭化物を生成させること等により、芯材中に残存する余分な残留炭素の残存量を低減することができるとともに、芯材の焼結に伴う収縮量を減じて芯材と表皮部材との間に生じる残留応力を低減することができる結果、芯材と表皮部材との間に発生する剥離や残留応力を防止することができ、硬度、靭性に優れるとともに強度に優れた複合構造体となる。
本発明の複合構造体についてその一実施例についての概略斜視図である図1を基に説明する。
図1によれば、複合構造体1は長尺状の芯材2の外周を表皮部材3にて被覆した構造からなる。
本発明によれば、芯材2を構成する材質としては、周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子、特にWC、TiC、TiCN、TiN、TaC、NbC、ZrC、ZrN、VC、Cr2C3およびMo2Cの群から選ばれる少なくとも1種、さらにはWC、TiCまたはTiCNを主成分とすることが望ましく、また、Fe、CoおよびNiの群から選ばれる少なくとも1種、特にCoおよび/またはNiからなる結合金属にて結合してなる第1の硬質焼結体、特に超硬合金またはサーメットが好適に使用可能である。
また、本発明によれば、芯材2の構成する材質としては、上記硬質焼結体以外にも、周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、SiおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物および炭窒化物からなる第1のセラミックス、中でもAl2O3−TiC(TiCN)、SiC、Si3N4、ZrO2、TiB2およびZnO−TiCの群から選ばれる少なくとも1種、さらにはAl2O3−TiC(TiCN)および/またはSiCが好適に使用可能である。なお、第1のセラミックス中には適宜焼結助剤成分を含有せしめることも可能である。
そして、本発明によれば、芯材2の外周を覆う表皮部材3の材質としては前記芯材2とは異なる材質の第2の硬質焼結体または第2のセラミックスを用いる。
第2の硬質焼結体または第2のセラミックスとしては、上述した芯材2に用いられる材質の他、多結晶ダイヤモンド、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、cBNをも用いることができる。
さらに、芯材2(をなす第1の硬質焼結体または第1のセラミックス)−表皮部材3(をなす第2の硬質焼結体または第2のセラミックス)との組み合わせは、例えば超硬合金−サーメット、超硬合金−cBN、超硬合金−ダイヤモンド焼結体、超硬合金−アルミナ、超硬合金−窒化珪素、サーメット−超硬合金、サーメット−ダイヤモンド焼結体、サーメット−アルミナ、サーメット−窒化珪素、(アルミナ,炭窒化チタン)−アルミナ、炭化珪素−窒化珪素、(炭化珪素,窒化珪素)−窒化珪素、炭化珪素−ダイヤモンド焼結体の群から選ばれる1種が特に好適に使用可能であり、中でも、硬度、靭性のバランスがよく切削工具として好適に使用可能な点で、超硬合金−サーメット、超硬合金−ダイヤモンド焼結体および(アルミナ,炭窒化チタン)−アルミナの群から選ばれる1種が最適である。
ここで、本発明によれば、芯材2中の遊離炭素成分の含有比率である残留炭素量Cinと表皮部材3中の遊離炭素成分の含有比率である残留炭素量Coutとの比Cin/Coutが0.5〜2であることが望ましく、これによって、複合構造体1の内部に位置する芯材2中に有機バインダが分解揮散しきれず残存した残留炭素が多く残存して、芯材2が焼結不良となることなく複合構造体1の強度を向上させることができるという効果がある。すなわち、芯材2中の残留炭素量Cinと表皮部材3中の残留炭素量Coutとの比Cin/Coutが0.5より小さくなると均一な長尺状の複合構造体1を作製することができず、逆にCin/Coutが2を超えると、芯材2が焼結不良となって複合構造体1の強度が低下する。
また、芯材2の緻密化を図り複合構造体1の強度を向上させる点で、芯材2中の残留炭素量Cinが1重量%以下、特に0.5重量%以下、さらには0.2重量%以下であることが望ましい。換言すれば、複合構造体1の芯材2および表皮部材3のANSI/ASTM B276−54に基づく多孔度はともにA04以下またはB04以下、望ましくはA02以下となる。すなわち、上記規格を換言して表現すれば、複合構造体1を粒径1μmのダイヤモンド砥粒を使って研磨した検鏡面に対して顕微鏡を用いて芯材2および表皮部材3をそれぞれ100倍に拡大した観察面において、ともに直径10μm未満の細孔が0.06面積%以下、直径10〜25μmの細孔が0.06面積%以下、かつ遊離炭素の析出が見られない組織となる。なお、本発明における残留炭素量とは、金属と結合して炭化物や炭窒化物を構成する炭素成分を除いた遊離炭素成分の芯材2(または表皮部材3)全量に対する含有比率を指す。
さらに、本発明によれば、複合構造体1の熱伝導向上および/または導電性付与の点で、芯材2中に第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子を構成する金属成分と同じ金属が望ましくは金属粒子として存在することが望ましい。なお、表皮部材3中にも上記第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子を構成する金属成分と同じ金属粒子か、または他の金属粒子を分散含有せしめることも可能である。
一方、芯材2をなす第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子の平均粒径は、複合構造体1の硬度および強度向上の点、および芯材2と表皮部材3中の結合材(結合金属、焼結助剤)の含有量を適正化する点で0.05〜10μm、特に0.1〜3μmであることが望ましく、他方、表皮部材3をなす第2の硬質粒子または第2のセラミック粒子の平均粒径は、複合構造体1の靭性向上の点で、0.01〜5μm、特に0.01〜2μmであることが望ましい。
また、複合構造体1の構成として、硬度および靭性の両立を図る点で、芯材2の直径D1が2〜1000μm、特に10〜500μm、さらに、50〜200μm、表皮部材3の厚みD2が1〜500μm、特に2〜100μm、さらに10〜50μmであることが望ましい。
さらに、本発明によれば、上述した構成により、芯材2の表皮部材3との界面に存在する引張り応力を20kg/cm2以下、特に15kg/cm2以下と低下せしめて両者間の剥離や強度低下を防止することが可能である。
さらにまた、本発明によれば、上述した芯材2の外周に表皮部材3を被覆した複合構造体1を図1(a)のように前記芯材が複数本束ねられた状態に配置されているマルチフィラメント構造とすることもでき、これによって、さらに複合構造体の靭性を向上できる。しかも、本発明によれば、かかる複合構造体1を多数本収束するような場合においても、有機バインダの脱バインダ性が低下することなく良好に収束体の中心付近に位置する複合構造体の残留炭素量を減じて構造体全体が緻密化した高強度な構造体となる。
なお、本発明によれば、複合構造体1、またはその収束体の直径、または厚みが、特に1mm以上、特に5mm以上、さらに10mm以上、および/または長尺長さが10mm以上、特に30mm以上、さらに50mm以上の場合においても、構造体の中心付近に存在する複合構造体の芯材の残留炭素量をも効率よく低減することができるとともに、芯材2と表皮部材3との剥離をも低減せしめることができるものである。
さらに、本発明においては、上記長尺状の複合構造体を並列に整列せしめてシート状となすこともでき、さらには、該シート複数枚を隣接するシートの長尺体同士が0°、45°、90°等の所定の角度をなすように積層することも可能である。
(製造方法)
次に、本発明の複合構造体を製造する方法について、図2の模式図をもとに説明する。
次に、本発明の複合構造体を製造する方法について、図2の模式図をもとに説明する。
まず、平均粒径0.01〜10μmの周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子、または周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、SiおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物および炭窒化物からなる第1のセラミック粉末を0〜80重量%、特に20〜70重量%と、平均粒径0.01〜10μmの第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子を構成する金属成分と同じ金属粉末を3〜80重量%、特に5〜50重量%、さらに10〜30重量%と、所望により、平均粒径0.01〜10μmの鉄族金属粉末を5〜20重量%と、焼結助剤成分粉末1〜20重量%との割合で混合し、これにパラフィンワックス、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン‐エチルアクリレート、エチレン‐ビニルアセテート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ジブチルフタレート等の有機バインダ、可塑剤、溶剤を添加して混錬し、プレス成形または鋳込み成形等の成形法により円柱形状に成形して芯材用成形体12を作製する。(図2(a)参照)ここで、後述する共押出成形によって均質な複合成形体を得るためには、前記有機バインダの添加量を30〜70体積%、特に40〜60体積%とすることが望ましい。
一方、前記芯材用成形体12とは違う組成の表皮部材3をなす混合材料を前述したバインダとともに混錬してプレス成形、押出成形または鋳込み成形等の成形方法により半割円筒形状の2本の表皮部材用成形体13を作製し、この表皮部材用成形体13を芯材用成形体12の外周を覆うように配置した成形体11を作製する。(図2(a)参照)そして、上記成形体11を押出成形して芯材用成形体12と表皮部材用成形体13を共押出成形することにより芯材用成形体12の周囲に表皮部材用成形体13が被覆され、細い径に伸延された複合成形体15を作製する(図2(b)参照)。また、マルチフィラメント構造の構造体を作製するには、上記共押出した長尺上の複合成形体15を複数本収束して再度共押出成形すれば良い(図2(c)参照)。
さらに上記伸延された長尺状の複合成形体15を所望により再度共押出成形して、断面が円形、三角形、四角形をなす長尺状に成形することもでき、また、上記長尺状の複合成形体15を整列させてシートとし、このシート複数枚を長尺状の複合成形体15同士が並行、直行または45°等の所定の角度をなすように積層された積層体とすることもでき、さらに、公知のラピッドプロトダイビング法等の成形方法によって任意の形状に成形することも可能である。さらには、上記整列したシートまたはこのシートを断面方向にスライスした複合構造体のシートを従来の超硬合金等の硬質合金焼結体(塊状体)の表面に貼り合わせ、または接合することも可能である。
そして、上記複合成形体15を300〜700℃で10〜200時間昇温または保持する脱バインダ処理した後、真空中、または不活性雰囲気中、所定温度、時間で焼成することにより本発明の複合構造体を作製することができる。
本発明によれば、芯材2中に添加した第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子の金属成分と同じ金属粉末が、焼結時に前記有機バインダの残渣として残存する残留炭素とを反応して炭化物を生成させることにより、余分な残留炭素の残存を低減することができるとともに、芯材の焼結に伴う収縮を抑制して芯材と表皮部材との間に生じる残留応力を低減し、かつ剥離を防止することができる。
なお、本発明によれば、原料中の金属粉末を脱バインダ後の残留炭素と反応せしめて炭化物を生成させる必要があるために、800℃以上の昇温速度を3℃/分以下に制御することが望ましく、また、芯材2と表皮部材3との間の残留応力を抑制する点で、降温速度を3℃/分以下とすることが望ましい。
さらに、本発明によれば、金属粉末の一部については、酸化、硼化または窒化せしめることによって体積膨張させることも可能である。
(実施例1)
平均粒径1.5μmのWC粉末75重量%と、平均粒径1μmのCo粉末10重量%と、平均粒径2μmのTiC粉末5重量%と、平均粒径1μmの金属W粉末10重量%と、の割合で添加し、それに有機バインダとしてセルロース、ポリエチレングリコールを、溶剤としてポリビニルアルコールを総量で100体積部加えて混錬して、円柱形状に押出成形して芯材用成形体を作製した。
平均粒径1.5μmのWC粉末75重量%と、平均粒径1μmのCo粉末10重量%と、平均粒径2μmのTiC粉末5重量%と、平均粒径1μmの金属W粉末10重量%と、の割合で添加し、それに有機バインダとしてセルロース、ポリエチレングリコールを、溶剤としてポリビニルアルコールを総量で100体積部加えて混錬して、円柱形状に押出成形して芯材用成形体を作製した。
一方、平均粒径1.5μmのTiCN粉末50重量%と、平均粒径1.5μmのTiC粉末10重量%と、平均粒径1μmのCo粉末7重量%と、平均粒径1.5μmのWC粉末20重量%と、平均粒径2μmのMo2C粉末7重量%と、平均粒径2μmのVC粉末6重量%と、の割合で添加し、これに、上記同様の有機バインダ、溶剤を加えて混錬し、半割円筒形状の表皮部材用成形体2つを押出成形にて作製し、前記芯材用成形体の外周を覆うように配置して複合構造体を作製した。
そして、上記成形体を共押出して伸延された複合成形体を作製した後、この伸延された複合成形体100本を収束して再度共押出成形し、マルチフィラメントタイプの成形体を作製した。
次に、上記マルチフィラメントタイプの複合成形体を100mmの長さにカットし、並列に整列させてシート状とし、このシート6枚を隣接するシート内の複合構造体同士が45°の角度となるように積層して直方体形状の積層成形体を作製した。
その後、前記積層成形体に対して300〜700℃まで100時間で昇温することによって脱バインダ処理を行った後、昇温速度2.5℃/分で昇温し、真空中、1450℃で2時間焼成し、さらに3℃/分で降温して複合構造体を作製した。
得られた複合構造体に対して、構造体全体の遊離炭素量を測定するとともに、構造体の切断面における芯材の中心と表皮部材の中心にて各成分の含有量を定量したところ、芯材中の残留炭素量Cinと表皮部材中の残留炭素量Coutをそれぞれ測定したところ、芯材中の残留炭素量Cinは0.3重量%、表皮部材中の残留炭素量Coutは0.26重量%であり、その比Cin/Coutは1.2であった。
なお、複合構造体の断面を観察したところ、芯材の直径は90μm、表皮部材の厚みは15μmであり、芯材と表皮部材との間に剥離等は見られず、さらに、X線回折測定から芯材の表皮部材との界面における残留応力を測定した結果、3.0kg/mm2の引っ張り応力がかかっていることがわかった。また、複合部材の3点曲げ強度を測定した結果、2000MPaであった。また、多孔度は表皮部材がA00、芯材がA01であった。
(比較例)
実施例1の芯材用原料を、平均粒径1.5μmのWC粉末85重量%と、平均粒径1μmのCo粉末10重量%と、平均粒径2μmのTiC粉末5重量%と、の割合からなる混合粉末に代える以外は実施例1と同様に複合構造体を作製し、同様に評価したところ、芯材中の残留炭素量Cinは3.06重量%、表皮部材中の残留炭素量Coutは0.62重量%であり、その比Cin/Coutは4.9であった。また、複合構造体の断面観察を行った結果、芯材と表皮部材との界面に多数の剥離が見られ、さらに、芯材の表皮部材との界面における残留応力を測定した結果、25.0kg/mm2の引っ張り応力がかかっていることがわかった。さらにまた、複合構造体の3点曲げ強度は500MPaであった。また、多孔度は表皮部材がC01、芯材がC06であった。
実施例1の芯材用原料を、平均粒径1.5μmのWC粉末85重量%と、平均粒径1μmのCo粉末10重量%と、平均粒径2μmのTiC粉末5重量%と、の割合からなる混合粉末に代える以外は実施例1と同様に複合構造体を作製し、同様に評価したところ、芯材中の残留炭素量Cinは3.06重量%、表皮部材中の残留炭素量Coutは0.62重量%であり、その比Cin/Coutは4.9であった。また、複合構造体の断面観察を行った結果、芯材と表皮部材との界面に多数の剥離が見られ、さらに、芯材の表皮部材との界面における残留応力を測定した結果、25.0kg/mm2の引っ張り応力がかかっていることがわかった。さらにまた、複合構造体の3点曲げ強度は500MPaであった。また、多孔度は表皮部材がC01、芯材がC06であった。
(実施例2)
実施例1の表皮部材用原料を、平均粒径0.2μmのWC粉末80重量%と、平均粒径0.5μmのCo粉末8重量%と、平均粒径0.8μmのVC粉末0.3重量%と、平均粒径0.8μmのCr3C2粉末0.7重量%と、平均粒径0.3μmの金属W粉末11重量%との割合からなる混合粉末に代える以外は実施例1と同様に複合構造体を作製し、同様に評価したところ、芯材中の残留炭素量Cinは0.38重量%、表皮部材中の残留炭素量Coutは0.30重量%であり、その比Cin/Coutは1.3であった。さらに、X線回折測定から芯材の表皮部材との界面における残留応力を測定した結果、4.2kg/mm2の引っ張り応力がかかっていることがわかった。また、複合構造体の3点曲げ強度は1800MPaであった。また、多孔度は表皮部材がA01、芯材がA02であった。
実施例1の表皮部材用原料を、平均粒径0.2μmのWC粉末80重量%と、平均粒径0.5μmのCo粉末8重量%と、平均粒径0.8μmのVC粉末0.3重量%と、平均粒径0.8μmのCr3C2粉末0.7重量%と、平均粒径0.3μmの金属W粉末11重量%との割合からなる混合粉末に代える以外は実施例1と同様に複合構造体を作製し、同様に評価したところ、芯材中の残留炭素量Cinは0.38重量%、表皮部材中の残留炭素量Coutは0.30重量%であり、その比Cin/Coutは1.3であった。さらに、X線回折測定から芯材の表皮部材との界面における残留応力を測定した結果、4.2kg/mm2の引っ張り応力がかかっていることがわかった。また、複合構造体の3点曲げ強度は1800MPaであった。また、多孔度は表皮部材がA01、芯材がA02であった。
(実施例3)
実施例1の芯材用原料を、平均粒径2μmの炭化珪素粉末50重量%、平均粒径2μmの窒化アルミニウム粉末23重量%と、アルミナ粉末17重量%と、金属シリコン粉末10重量%と、の割合からなる混合粉末に代えるとともに、表皮部材用原料を、平均粒径2μmのSi3N4粉末97重量%と、平均粒径1.5μmのY2O3粉末2重量%と、平均粒径1μmのAl2O3粉末1重量%と、の割合からなる混合粉末に代え、構造体の焼成温度を1900℃とする以外は実施例1と同様に複合構造体を作製し、同様に評価したところ、芯材中の残留炭素量Cinは0.20重量%、表皮部材中の残留炭素量Coutは0.21重量%であり、これらの比Cin/Coutは0.95であった。さらに、芯材の表皮部材との界面における残留応力を測定した結果、10.2kg/mm2の引っ張り応力がかかっていることがわかった。また、複合構造体の3点曲げ強度は950MPaであった。さらに、多孔度は表皮部材がA01、芯材がA01であった。
実施例1の芯材用原料を、平均粒径2μmの炭化珪素粉末50重量%、平均粒径2μmの窒化アルミニウム粉末23重量%と、アルミナ粉末17重量%と、金属シリコン粉末10重量%と、の割合からなる混合粉末に代えるとともに、表皮部材用原料を、平均粒径2μmのSi3N4粉末97重量%と、平均粒径1.5μmのY2O3粉末2重量%と、平均粒径1μmのAl2O3粉末1重量%と、の割合からなる混合粉末に代え、構造体の焼成温度を1900℃とする以外は実施例1と同様に複合構造体を作製し、同様に評価したところ、芯材中の残留炭素量Cinは0.20重量%、表皮部材中の残留炭素量Coutは0.21重量%であり、これらの比Cin/Coutは0.95であった。さらに、芯材の表皮部材との界面における残留応力を測定した結果、10.2kg/mm2の引っ張り応力がかかっていることがわかった。また、複合構造体の3点曲げ強度は950MPaであった。さらに、多孔度は表皮部材がA01、芯材がA01であった。
1 複合構造体
2 芯材
3 表皮部材
11 複合成形体
12 芯材用成形体
13 表皮部材用成形体
15 複合成形体
2 芯材
3 表皮部材
11 複合成形体
12 芯材用成形体
13 表皮部材用成形体
15 複合成形体
Claims (7)
- 周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子を結合金属にて結合してなる第1の硬質焼結体、または周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、SiおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物からなる第1のセラミック粒子を焼結助剤にて結合してなる第1のセラミックスからなる長尺状の芯材の外周を、前記第1の硬質焼結体とは異なる組成からなる第2の硬質焼結体または第2のセラミックスからなる表皮部材にて被覆してなる複合構造体であって、
前記芯材および前記表皮部材のANSI/ASTM B276−54に基づく多孔度がともにA04以下またはB04以下であることを特徴とする複合構造体。 - 周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物の1種以上からなる第1の硬質粒子を結合金属にて結合してなる第1の硬質焼結体、または周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、SiおよびZnの群から選ばれる少なくとも1種の酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物からなる第1のセラミック粒子を焼結助剤にて結合してなる第1のセラミックスからなる長尺状の芯材の外周を、前記第1の硬質焼結体とは異なる組成からなる第2の硬質焼結体または第2のセラミックスからなる表皮部材にて被覆してなる複合構造体であって、
該複合構造体を粒径1μmのダイヤモンド砥粒を使って研磨した検鏡面に対して顕微鏡を用いて前記芯材および前記表皮部材をそれぞれ100倍に拡大した観察面において、ともに直径10μm未満の細孔が0.06面積%以下、直径10〜25μmの細孔が0.06面積%以下、かつ遊離炭素の析出が見られないことを特徴とする複合構造体。 - 前記第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子の少なくとも一部は、金属粉末を焼成によって炭化したものであることを特徴とする請求項1または2記載の複合構造体。
- 前記芯材中に前記第1の硬質粒子または第1のセラミック粒子を構成する金属成分と同じ金属が存在することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の複合構造体。
- 前記芯材表面に存在する引張り応力が20kg/cm2以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の複合構造体。
- 外周を前記表皮部材にて被覆された前記芯材が複数本束ねられた状態に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の複合構造体。
- 前記芯材の直径が2〜1000μm、前記表皮部材の厚みが1〜500μmであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の複合構造体。
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JP2003268415A (ja) * | 2002-03-15 | 2003-09-25 | Kyocera Corp | 複合構造体およびその製造方法 |
-
2007
- 2007-11-28 JP JP2007307351A patent/JP2008121119A/ja active Pending
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