JP3825347B2 - 複合構造体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長尺状の芯材とその外周を被覆した表皮部材で構成される複合構造体において、芯材および/または表皮部材が、結晶粒子を結合相にて結合した焼結体からなる複合構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、結晶粒子を結合相にて結合したセラミックスやサーメット等が知られており、例えば、周期律表4a、5a、6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素などの硬質粒子を鉄族金属にて結合した焼結体は、高硬度を有する結晶粒子と高靭性の鉄族金属の含有量を調整することにより、切削工具、掘削工具や耐摩耗部材として利用されている。一般に、上記従来の硬質材料では、硬度と靭性とは反比例関係にあり、高硬度と高靭性の両立は困難であることが知られていた。
【0003】
一方、繊維等長尺状の芯材の外周を他の部材にて被覆することにより、構造体の硬度や強度に加えて靭性を改善する技術が研究されており、例えば、米国特許6063502号公報では、サーメット(例えばWC−Co)、ダイヤモンド焼結体、cBN焼結体等の高硬度焼結体からなる芯材の外周に、芯材とは異なる組成の高靭性焼結体を被覆した複合構造体を作製することによって、硬度を低下させることなく、構造体の破壊抵抗を増大して靭性を高められることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記米国特許6063502号公報に記載された複合構造体では、芯材および/または表皮部材中に液相を出現させ最終的に結合相となる成分が存在する場合には、液相が焼成中に芯材および表皮部材間を拡散してしまい、芯材と表皮部材が同じ特性となって靭性向上効果がなくなる場合があった。また、芯材と表皮部材との焼結温度が大きく異なる場合には、焼結温度の低い側から高い側に液相成分が移動してしまい焼結温度の低い側は緻密化できず、多量の空孔(ボイド)が残存する等の問題もあった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、結晶粒子を結合相にて結合してなる焼結体を芯材および/または表皮部材として含有する複合構造体において、芯材と表皮部材とをともに緻密化できるとともに、芯材と表皮部材の特性を容易に制御でき、高硬度で高靭性などの特性の両立を可能とした複合構造体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題について検討した結果、構造体中の芯材と表皮部材の間に結合相の溶浸や拡散を抑制する中間層を介装することにより、芯材と表皮部材の組成を容易に制御できるとともに、空孔のない緻密化した健全な焼結体を作製できることから、高硬度と高靭性の両立等、目的の特性を容易に達成し得る複合構造体となることを知見した。
【0007】
すなわち、本発明の複合構造体は、長尺の状芯材の外周を、該芯材とは異なる組成からなる表皮部材で被覆した複合構造体において、前記芯材および前記表皮部材が、周期律表4a、5a、6a族金属の群から選ばれる1種以上の金属元素の炭化物、窒化物および炭窒化物、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素のうちの1種以上の硬質粒子からなる結晶粒子を鉄族金属からなる結合相にて結合した焼結体からなり、前記芯材中の結合相量と前記表皮部材中の結合相量とが異なるとともに、前記芯材と前記表皮部材の間に中間層を1層以上配設し、該中間層は前記結合相の含有量が前記芯材および/または表皮部材側から前記中間層の内部に向かって漸次減少する領域を有し、Ti、SiおよびAlの群から選ばれる金属元素の金属、炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物の1種または2種以上を含有する(ただし、立方晶窒化硼素は含有しない。)とともに、前記中間層を構成する粒子の平均粒径が前記結合相を含有する芯材および/または表皮部材を構成する結晶粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする複合構造体である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の複合構造体について、その一実施例である図1の断面図を基に説明する。
【0009】
図1によれば、複合構造体1は、結晶粒子2、2間を結合相3にて結合した硬質焼結体(4)からなる長尺状の芯材4の外周を、組成の異なる結晶粒子6を結合相7にて結合した硬質焼結体(8)からなる表皮部材8にて被覆してなる。
【0010】
本発明によれば、芯材4と表皮部材8の間に結合相3、7を含有する芯材4および表皮部材8側から結合相3、7の含有量が漸次減少する領域を有する中間層9を配設したことが大きな特徴であり、これによって、芯材4と表皮部材8の組成を容易に制御できるとともに、空孔のない緻密化した健全な焼結体を作製できることから、高硬度と高靭性の両立等、ねらった目的の特性を有する複合構造体1を容易に実現することができる。
【0011】
つまり、上記構成によれば、芯材4と表皮部材8との間に両者またはいずれかに含有される結合材3、7との濡れ性や拡散係数が低い、すなわちなじみが低い材質または液相が出現する前に反応生成物を生じて液相の浸透を抑制する材質からなる中間層9が介装されることから、焼成時に結合相3、7が芯材4と表皮部材8との間を拡散することを抑制でき、芯材4と表皮部材8の焼結性を損なわず両者をともに緻密化させることができ、かつ芯材4中の結合相3量および表皮部材8中の結合相7量を容易に制御して芯材4および表皮部材8を所望の特性に制御することができることから、複合構造体1全体の特性を容易に制御することができる。
【0012】
これによって、芯材4中の結合相3量と表皮部材8中の結合相7量とを異ならせて、表皮部材8側に圧縮残留応力を付与するなどの構造的な制御による特異的な効果を発揮させることができ、高硬度と高靭性の両立や、高強度と高熱伝導の両立等特性の制御が容易となる。
【0013】
ここで、中間層9として第1に好適な材質は、芯材4および表皮部材8に含有される結晶粒子2、6よりも芯材4および表皮部材8に含有される結合相3、7との濡れ性が悪く、拡散係数の低い金属、またはその炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物および酸化物の少なくとも1種、特に炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物の1種以上であり、例えば、芯材4および/または表皮部材8がWC−Coからなる場合には、中間層9としてはTiの金属、炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物の1種または2種以上を含有することが望ましい。
【0014】
なお、中間層9をなす成分は、芯材4および表皮部材8に含有される結晶粒子2、6とは異なる金属元素、または芯材4および/または表皮部材8中に副成分として含有される金属元素を主成分として含有するものであってもよい。また、本発明では主成分とは芯材4および表皮部材8をなす硬質焼結体の総金属量中に50atm%以上含有される成分を指し、副成分とは芯材4および表皮部材8をなす硬質焼結体の総金属量中に40atm%以下、特に20atm%以下、さらに10atm%以下の割合で含有される成分を指す。
【0015】
また、中間層9として第2に好適な材質は、芯材4および表皮部材8に含有される結合相3、7の融点よりも融点または液相出現温度が低く、望ましくは芯材4および表皮部材8との反応性が高い金属、またはその炭化物、窒化物、炭窒化物、硼化物、酸化物の少なくとも1種であり、例えば、芯材4および/または表皮部材8がWC−Coからなる場合には、中間層9としては金属Alまたは金属Siが望ましい。上記構成によれば、中間層9の少なくとも一部が液相となることにより芯材4および表皮部材8中の結合相3、7が液相となっても反対側に拡散することを抑制でき、また、中間層9の液相が芯材4および/または表皮部材8の成分と反応する等によって反応生成物を先に生ぜしめる場合にはさらに結合相3、7の液相が拡散することを防止できる。
【0016】
なお、中間層9として金属Ti、金属Al、金属Si等の金属を用いる場合、その一部またはすべてが焼成後に炭化物、窒化物または炭窒化物の群から選ばれる少なくとも1種の化合物、例えばTiC、TiCN、TiN、Si3N4、SiCおよびAlNの群から選ばれる少なくとも1種に変質することができ、耐塑性変形性の点ではすべてが化合物となることが望ましく、耐熱性や導電性を持たせる場合には金属として少なくとも一部が残存することが望ましい。
【0017】
また、中間層9を構成する粒子の平均粒径は、芯材4と表皮部材8の結合相3、7が毛管現象によって中間層9内に溶浸することを抑制する点では、結合相3、7を含有する芯材4および表皮部材8を構成する結晶粒子の平均粒径よりも大きいことが重要であり、特に芯材4の結晶粒子2または表皮部材8の結晶粒子6の平均粒径d1(両者に結合相3、7が存在する場合には小さい方の平均粒径)と、中間層9の粒子の平均粒径d2との比(d2/d1)が1.1〜5、特に2.5〜4であることが望ましい。
【0018】
さらに、芯材4および/または表皮部材8と中間層9との界面には、芯材4および/または表皮部材8に含有される結晶粒子2、6と中間層9に含有される金属成分との複合化合物、特に複合炭化物、複合窒化物および複合炭窒化物のいずれか1種が存在することが望ましい。これによって、芯材4および/または表皮部材8と中間層9との結合力を高めることができる。
【0019】
また、複合構造体1の特性を本来の目的である芯材4および表皮部材8の特性にて達成するため、特に構造体1全体に対して芯材4に比較し表皮部材8の占有率が低い場合には、中間層9の平均厚みD1と表皮部材8の平均厚みD2との比(D1/D2)が0.01〜0.5、特に0.05〜0.2であることが望ましい。
【0020】
なお、本発明によれば、芯材4および/または表皮部材8としては、液相焼結するセラミックスまたはサーメットのいずれであってもよいが、特に、結晶粒子2、6としては、周期律表4a、5a、6a族金属の群から選ばれる1種以上の金属元素の炭化物、窒化物および炭窒化物、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素のうちの1種以上からなるものであり、結合相3、7としては鉄族金属、中でもCoおよび/またはNiからなる。また、芯材4または表皮部材8の片方は液相を生成しない固相焼結にて形成されるものであってもよい。
【0021】
さらに、図1では芯材4が1本、すなわち単体の周囲に表皮部材8が被覆された場合について示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図2に示すように、図1の構造体1を例えば4本以上の複数本収束したマルチフィラメント構造であってもよい。
【0022】
次に、本発明の複合構造体1を製造する方法について、その一例である芯材および表皮部材中に結合相としていずれにも鉄族金属を含有するものについて図4の模式図をもとに説明する。
【0023】
まず、平均粒径0.01〜3.5μmの硬質粉末または結晶粒子形成成分を50〜98重量%と平均粒径10μm以下の鉄族金属粉末を2〜50重量%以下の割合で混合し、これにパラフィンワックス、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン−エチルアクリレ−ト、エチレン−ビニルアセテート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ジブチルフタレート等の有機バインダを添加、混錬して、プレス成形、押出成形または鋳込成形等の成形方法により円柱形状に芯材用成形体11を作製する(工程(a)参照)。
【0024】
一方、平均粒径0.01〜10μmの結晶粒子または結晶粒子形成成分を50〜98重量%と平均粒径10μm以下の鉄族金属粉末を2〜50重量%との割合で混合し、これに前述のバインダ等を添加、混錬して、プレス成形、押出成形または鋳込成形等の成形方法により半割円筒形状の2本の表皮部材用成形体12を作製する(工程(a)参照)。
【0025】
また、平均粒径0.01〜10μmの上述した中間層形成用の原料粉末、例えば、Si、Al、周期律表4a、5a、6a族金属元素の金属粒子、またはその金属元素の炭化物、窒化物または炭窒化物粉末の群から選ばれる少なくとも1種に前述のバインダを添加、混錬して、上記同様にプレス成形、押出成形または鋳込成形等の成形方法により半割円筒形状の2本の中間層用成形体13を作製し、芯材用成形体11の外周を覆うように中間層用成形体13と表皮部材用成形体12を順次に配置した複合成形体14を作製する(工程(a)参照)。
【0026】
なお、本発明によれば、前記中間層用成形体(所望によっては表皮部材用成形体も)を作製することに代えて、中間層用のスラリーを調製して該スラリー中に芯材用成形体を浸漬する方法や中間層形成用の溶液を調整して芯材用成形体表面にスプレーする方法、中間層形成用の金属箔を巻きつける方法等も適宜採用することができる。
【0027】
次に、上記複合成形体を共押出成形することにより芯材用成形体の外周に中間層用成形体および表皮部材用成形体が被覆され細い径に伸延された複合成形体15を作製する(工程(b)参照)。また、マルチフィラメント構造の成形体16を作製するには、上記共押出しした長尺状の複合成形体15を複数本収束して再度共押出し成形すればよく、さらに、上記伸延された長尺状の成形体を所望により円柱、三角柱、四角柱に成形してもよい。(工程(c)参照)。
【0028】
また、上記長尺状の成形体を整列させてシートとなし、該シートの複合成形体同士が平行、直行または45°等の所定の角度をなすように積層させた積層体とすることもできる。また、公知のラピッドプロトダイビング法等の成形方法によって任意の形状に成形することも可能である。さらには、上記整列したシートまたは該シートを断面方向にスライスした複合構造体シートを従来の超硬合金等の硬質合金焼結体(塊状体)の表面に貼り合わせ、または接合することも可能である。
【0029】
その後、前記成形体を脱バインダ処理した後、焼成することにより本発明の複合構造体を作製することができる。焼成方法は、芯材および表皮部材によって、真空焼成、ガス圧焼成、ホットプレス、放電プラズマ焼結、超高圧焼結などが用いられる。焼成温度は1200℃〜1800℃とすることが望ましい。
【0030】
なお、上記製造方法では芯材および表皮部材のいずれも硬質粒子を結合相にて結合した焼結体からなるものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、芯材または表皮部材のいずれか一方が金属のみからなるものであってもよく、または固相焼結、すなわち結合相がない場合であってもよい。
【0031】
【実施例】
(実施例1)
平均粒子径2μmのダイヤモンド粒子95重量%、平均粒径2μmのCo粉末5重量%添加し、これにバインダ、滑剤を添加、混錬した後、プレス成形により直径18mmの芯材用成形体を作製した。
【0032】
一方、平均粒子径3μmのWC粉末90重量%、平均粒子径2μmのCo粉末10重量%添加し、これにバインダ、滑剤を添加、混錬した後、プレス成形により肉厚0.8mmで半割円筒状の表皮部材用成形体を2本作製し、前記芯材用成形体の周囲に被覆した複合成形体を作製した。
【0033】
また、平均粒子径5μmのTiC0.6(炭素含有量が少ない炭化チタン)粉末にバインダ、滑剤を添加、混錬した後、プレス成形により肉厚0.2mmで半割円筒状の中間層用成形体を2本作製した。
【0034】
そして、前記芯材用成形体の周囲に中間層用成形体、表皮部材用成形体を順次被覆し、複合成形体を作製した。比較として中間層用成形体を配置しない複合成形体も作製した。
【0035】
そして、前記複合成形体を共押出した伸延された成形体を作製した後、該伸延された成形体100本を収束して再度共押出し成形し、マルチフィラメントタイプの成形体を作製した。その後、該成形体に対して脱バインダ処理を行い、続いて試料を超高圧装置内にセットして圧力5GPa、焼成温度1500℃で焼成して複合構造体を作製した。
【0036】
得られた複合構造体に対して、ヴィッカース硬度(JISR1601に準じる)を測定した結果、62GPaであった。
【0037】
また、試料の研磨断面についてSEM観察をしたところ芯材および表皮部材ともに空孔のない健全な焼結体であり、さらに、波長分散型X線マイクロアナリシス分析を行ったところ、図4のような芯材および表皮部材側から中間層に向かってCoの含有量が減少する分布が見られた。なお、EPMAの条件は、加速電圧15kV、プローブ電流3×10-7A、スポットサイズ2μmとした。また、中間層のXRD回折パターンから中間層はTiCとなっていることが確認された。
【0038】
(比較例1)
実施例1に対して中間層を配設しない以外は実施例1とまったく同様に複合構造体を作製し、同様に評価した結果、ヴィッカース硬度は46GPaであり、また、EPMA分析の結果、多量のCoが芯材から表皮部材側へ拡散していることがわかった。
【0039】
(実施例2)
平均粒子径3μmのcBN粒子50重量%、平均粒子径3μmのTiN粒子45重量%、平均粒径8μmのAl粉末5重量%添加し、これにバインダ、滑剤を添加、混錬した後、プレス成形により直径18mmの芯材用成形体を作製した。
【0040】
一方、平均粒子径1μmのTiCN粉末を60重量%、平均粒子径3.5μmのMo2C粉末を20重量%、平均粒径2μmのNi粉末を10重量%、平均粒径3μmのCo粉末を10重量%添加し、これにバインダ、滑剤を添加、混錬した後、プレス成形により肉厚0.8mmで半割円筒状の表皮部材用成形体を2本作製し、前記芯材用成形体の周囲に被覆した複合成形体を作製した。
【0041】
また、平均粒子径10μmのTi粉末およびAl粉末にバインダ、滑剤を添加、混錬した後、プレス成形により肉厚0.2mmで半割円筒状の中間層用成形体を2本作製した。
【0042】
そして、実施例1と同様にしてマルチフィラメントタイプの複合成形体を作製し、同様に脱バインダ処理を行った後、続いて試料を超高圧装置内にセットして圧力5GPa、焼成温度1400℃で焼成して複合構造体を作製した。
【0043】
得られた複合構造体に対して、実施例1と同様な条件でヴィッカース硬度を測定したところ26GPaであり、EPMA分析より表皮部材側から中間層に向かってNiおよびCoの総量が漸減していることが確認された。また、XRDにて中間層はTiN、TiB2およびAlNの混相となっていることが確認された。
【0044】
(比較例2)
実施例2に対して、中間層を介装しない以外は全く同様に複合構造体を作製し、同様に評価した結果、ヴィッカース硬度は20GPaであり、また、EPMA分析の結果、多量のNiおよびCoが表皮部材から芯材側へ拡散していることがわかった。
【0045】
(実施例3)
平均粒子径1μmのTiC粉末を60重量%、平均粒子径3μmのMo2C粉末を20重量%、平均粒径2μmのNi粉末を20重量%添加し、これにバインダ、滑剤を添加、混錬した後、プレス成形により直径18mmの芯材用成形体を作製した。
【0046】
一方、平均粒子径1μmのWC粉末90重量%、平均粒径2μmのCo粉末10重量%添加し、これにバインダ、滑剤を添加、混錬した後、プレス成形により肉厚0.9mmで半割円筒状の表皮部材用成形体を2本作製した。
【0047】
また、平均粒子径10μmのSi粉末にバインダ、滑剤、溶剤を添加してスラリー状とし、芯材の外周に肉厚0.1mmの中間層用成形体を塗布した。そして、中間層用成形体を被覆した芯材用成形体の外周に表皮部材用成形体を被覆し、複合成形体を作製した後、実施例1と同様に成形してマルチフィラメントタイプの成形体を作製した。その後、該成形体に対して脱バインダ処理を行い、焼成温度1500℃にて焼成し、複合構造体を作製した。
【0048】
得られた焼結体を観察したところ、芯材および表皮部材ともに多孔度A02未満と空孔のない健全な焼結体であった。また、XRDより中間層はSiCからなることを確認した。
【0049】
(比較例3)
実施例3の複合構造体に対して、中間層を形成しない以外は全く同様に複合構造体を作製したところ、表皮部材の多孔度がB06〜B08と大きな空孔が多数残存していることを確認した。
【0050】
(実施例4)
平均粒子径1μmのWC粉末を94.5重量%、平均粒子径3μmのVC粉末を0.5重量%、平均粒径3μmのCo粉末を5重量%添加し、これにバインダ、滑剤を添加、混錬した後、プレス成形により直径18mmの芯材用成形体を作製した。
【0051】
一方、平均粒子径1μmのWC粉末60重量%、平均粒子径3μmのTiC粉末を20重量%、平均粒子径3μmのVC粉末を5重量%、平均粒径3μmのCo粉末15重量%添加し、これにバインダ、滑剤を添加、混錬した後、プレス成形により肉厚0.8mmで半割円筒状の表皮部材用成形体を2本作製した。
【0052】
また、平均粒子径10μmのTi粉末にバインダ、溶剤を添加して溶液状とし、芯材の外周に肉厚0.2mmの中間層用成形体をスプレーした。そして、中間層用成形体を被覆した芯材用成形体の外周に表皮部材用成形体を被覆し、複合成形体を作製した後、実施例1と同様に成形してマルチフィラメントタイプの成形体を作製した。その後、該成形体に対して脱バインダ処理を行い、焼成温度1450℃にて焼成し、複合構造体を作製した。
【0053】
得られた焼結体を観察したところ、EPMA分析の結果、Coの濃度は芯材で5重量%、表皮部材で15重量%と両者間に拡散はなく、また、芯材および表皮部材から中間層に向かって漸次減少している領域を確認した。また、XRDより中間層はTiCからなることを確認した。
【0054】
(比較例4)
実施例4の複合構造体に対して、中間層を形成しない以外は全く同様に複合構造体を作製したところ、Coが拡散して芯材と表皮部材中のCoが均一な分布となってしまった。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明の複合構造体によれば、結晶粒子と結合相からなる焼結体を芯材または表皮部材に含有する複合構造体において、芯材と表皮部材の間に両者の少なくとも一方に含有される結合相の拡散を防止する中間層を配置することによって、芯材と表皮部材の結合力を損なうことなく複合構造体中の芯材と表皮部材を目的の組成に容易に制御することができる結果、高硬度で、かつ高靭性などのねらった特性に容易に制御可能な複合構造体となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合構造体の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の複合構造体の他の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の複合構造体の製造方法を説明するための工程図である。
【図4】本発明の実施例1の複合成形体を波長分散型X線マイクロアナリシス分析した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 複合構造体
2 結晶粒子
3 結合相
4 芯材
6 結晶粒子
7 結合相
8 表皮部材
9 中間層
Claims (5)
- 長尺状の芯材の外周を、該芯材とは異なる組成からなる表皮部材で被覆した複合構造体において、前記芯材および前記表皮部材が、周期律表4a、5a、6a族金属の群から選ばれる1種以上の金属元素の炭化物、窒化物および炭窒化物、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素のうちの1種以上の硬質粒子からなる結晶粒子を鉄族金属からなる結合相にて結合した焼結体からなり、前記芯材中の結合相量と前記表皮部材中の結合相量とが異なるとともに、前記芯材と前記表皮部材の間に中間層を1層以上配設し、該中間層は前記結合相の含有量が前記芯材および/または表皮部材側から前記中間層の内部に向かって漸次減少する領域を有し、Ti、SiおよびAlの群から選ばれる金属元素の金属、炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物の1種または2種以上を含有する(ただし、立方晶窒化硼素は含有しない。)とともに、前記中間層を構成する粒子の平均粒径が前記結合相を含有する芯材および/または表皮部材を構成する結晶粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする複合構造体。
- 前記中間層が芯材と表皮部材に含有される結晶粒子とは異なるTi、SiおよびAlの群から選ばれる金属元素の金属、炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物の1種または2種以上を含有する(ただし、立方晶窒化硼素は含有しない。)ことを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
- 前記中間層が前記結合金属を含有する芯材および/または表皮部材中に副成分として含有されるTi、SiおよびAlの群から選ばれる金属元素の金属、炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物の1種または2種以上を主成分として含有する(ただし、立方晶窒化硼素は含有しない。)ことを特徴とする請求項1記載の複合構造体。
- 前記芯材および/または表皮部材と前記中間層との界面に、前記芯材および/または表皮部材に含有される金属成分と前記中間層に含有される金属成分との複合化合物(炭化物、複合窒化物および複合炭窒化物のいずれか1種)が存在することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の複合構造体。
- 前記中間層の平均厚みD1と前記表皮部材の平均厚みD2との比(D1/D2)が0.01〜0.5であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の複合構造体。
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