JP3828831B2 - 複合硬質焼結体およびソリッドドリル - Google Patents

複合硬質焼結体およびソリッドドリル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた耐折損性、耐摩耗性および耐欠損性を備えた複合硬質焼結体、およびこれを用いたソリッドドリルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、配線回路基板の回路パターンを形成する方法の1つとして基板の所定位置にソリッドドリルを用いて孔開け加工する方法が用いられているが、近年、回路基板の高集積化につれてドリル加工に対しても加工数の増加および高速化、加工径の小径化が要求されている。このように高速加工すると、ドリルの回転数が上がり外周側に設けられた外周刃の摩耗が顕著になり、一方、中心軸付近では外周側ほど速度が上がらずスラスト荷重によって圧壊や折損を生じるという問題があった。また、ドリル径が小径化すると耐折損性はますます低下する傾向にある。
【0003】
ところで、材料の硬度および強度とともに靱性を改善するために、金属の酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物等の焼結体で形成される長繊維状の芯材の外周を他の焼結体で形成される表皮部材で被覆した複合硬質焼結体の開発が種々なされている。このような複合硬質焼結体としては、例えば米国特許6063502号明細書、米国特許5645781号明細書、特表2001−506930等に記載されたものが挙げられる。
【0004】
しかしながら、ソリッドドリルには前記のように高い耐折損性、耐摩耗性および耐欠損性が備わっていることが必要であり、上記のような従来の複合硬質焼結体では、これらの特性を全て充分に満足するものは得られていないのが実情である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、優れた耐折損性、耐摩耗性および耐欠損性を備えた複合硬質焼結体およびこれを用いたソリッドドリルを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明にかかる複合硬質焼結体は、硬質粒子を結合金属にて結合した硬質焼結体またはセラミック粒子を焼結助剤にて結合したセラミックスからなる長繊維状芯材を、硬質粒子を結合金属にて結合した硬質焼結体またはセラミック粒子を焼結助剤にて結合したセラミックスからなり、かつ前記芯材と組成の異なる表皮部材で被覆した繊維状構造体の複数本を集束・一体化して得られるマルチフィラメント構造のものであって、横断面の中心部に断面積の小さな芯材Aが密集し、この中心部の周囲に前記芯材Aよりも断面積の大きな芯材Bが配置された断面構造を有し、前記芯材Bの横断面形状は長軸の長さ/短軸の長さの比が1より大きい長片状であり、芯材Bの長軸が中心部から外周に向かって放射状に配向していることを特徴とする。
【0007】
本発明の複合硬質焼結体では、横断面の中心部に断面積の小さな芯材Aを密集させることによって靱性を高め、耐折損性を向上させている。一方、前記中心部の周囲に、前記芯材Aよりも断面積が大きく、横断面形状が長片状の芯材Bを、該芯材Bの長軸が中心部から外周に向かって放射状に配向するように配置することによって、外力に対する耐摩耗性および耐欠損性を向上させている。ここで、長軸とは芯材Bの横断面における最大長さの軸をいい、短軸とは芯材Bの横断面の最小長さの軸をいう。
【0008】
このような本発明の複合硬質焼結体は、耐折損性、耐摩耗性および耐欠損性が必要とされる切削工具などに好適に使用することができる。特に、本発明の複合硬質焼結体はソリッドドリルに好適に使用することができる。すなわち、ソリッドドリルの場合には、複合硬質焼結体の外周付近に外周刃が形成されるので、この外周刃の耐摩耗性および耐欠損性が向上するとともに、シャンク(柄)部分で折損しにくくなる。したがって、本発明のソリッドドリルは、上記複合硬質焼結体からなり、外周刃部とシャンク部が一体に形成されたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の複合硬質焼結体を示す横断面図である。図1に示すように、複合硬質焼結体11は、横断面の中心部に断面積の小さな芯材Aが密集し、この中心部の周囲に前記芯材Aよりも断面積の大きな芯材Bが配置された断面構造を有し、前記芯材Bの横断面形状は長軸の長さ/短軸の長さの比が1より大きい長片状であり、芯材Bの長軸が中心部から外周に向かって放射状に配向している円柱状の焼結体である。また、複数本の芯材Aおよび芯材Bの隙間を埋めているのは、前記芯材Aおよび芯材Bとは異なる組成の表皮部材Cである。
【0010】
芯材Aおよび芯材Bは、例えば金属の炭化物、窒化物、炭窒化物等の硬質粒子を結合金属にて結合した硬質焼結体またはセラミック粒子を焼結助剤にて結合したセラミックスからなるものである。硬質粒子としては、例えば周期律表4a、5aおよび6a族金属の炭化物、窒化物および炭窒化物からなる群より選ばれる少なくとも1種等が挙げられる。硬質粒子の具体例としては、例えばWC、TiC、TiCN、TiN、TaC、NbC、ZrC、ZrN、VC、Cr2CおよびMo2Cからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらのうち、特にWC、TiCまたはTiCNを主成分とするのが好ましい。芯材Aおよび芯材B中における硬質粒子は、平均粒径が0.01〜10μm、好ましくは0.01〜2μmであるのがよい。また、結合金属としては、例えばFe、CoおよびNiからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらのうち、特にCoおよび/またはNiを主成分とするのが好ましい。上記の硬質粒子を結合金属にて結合した硬質焼結体のうち、特に超硬合金またはサーメットが好適に使用可能である。
【0011】
また、セラミック粒子としては、例えば周期律表4a、5aおよび6a族金属、Al、Siの酸化物、炭化物、窒化物、炭窒化物および硼化物からなる群より選ばれる少なくとも1種等が挙げられる。セラミック粒子の具体例としては、例えばAl23−TiC(TiCN)、SiC、Si34、ZrO2、TiB2等が挙げられる。これらのうち、特にAl23−TiC(TiCN)および/またはSiCが好適に使用可能である。芯材Aおよび芯材B中におけるセラミック粒子は、平均粒径が0.01〜10μm、好ましくは0.05〜3μmであるのがよい。また、焼結助剤成分としては、周期律表2a、3a族金属、Al、Siの酸化物、窒化物、酸窒化物等を使用することができる。硬質焼結体またはセラミックスには、上記した材質の他、多結晶ダイヤモンド、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、cBNをも用いることができる。
【0012】
表皮部材Cは、例えば硬質粒子を結合金属にて結合した硬質焼結体またはセラミック粒子を焼結助剤にて結合したセラミックスからなるものである。これらの硬質粒子、結合金属、セラミック粒子および焼結助剤としては、上記の芯材Aおよび芯材B用として例示したものと同様のものを使用することができる。表皮部材C中における硬質粒子は、平均粒径が0.01〜10μm、好ましくは0.1〜3μmであるのがよく、セラミック粒子は、平均粒径が0.01〜10μm、好ましくは0.1〜5μmであるのがよい。
【0013】
本発明の複合硬質焼結体11は、芯材AおよびBと表皮部材Cとが異なる組成を有する。ここで、異なる組成とは、例えば芯材AおよびBと、表皮部材Cとのいずれか一方が靱性に優れ、他方が高い硬度および強度を有するような組成にすることを意味している。すなわち、本発明の複合硬質焼結体11では、芯材AおよびBと表皮部材Cとのいずれが靱性に優れ、いずれが高硬度および高強度なものであってもよく、その構造に起因して、耐折損性、耐摩耗性および耐欠損性が向上する。靱性、硬度および強度を調節するには、例えば前記結合金属の含有量を調節すればよい。具体的には、例えば芯材AおよびBの硬度および強度が高く、表皮部材Cの靱性が優れるようにする場合には、後述する芯材用成形体12中の結合金属含有量を表皮部材用成形体13中の結合金属含有量の1.2〜20倍、好ましくは1.5〜5倍、より好ましくは2〜3倍になるように調節すればよい。
【0014】
複合硬質焼結体11中で芯材Aが占める領域は、およそ中心から半径の50%、好ましくは半径の30%、より好ましくは半径の20%の領域であるのがよい。そして、この芯材Aの領域を囲むように芯材Bの領域が形成される。しかし、これらの領域は明確に区分されているわけではなく、境界部において芯材Aと芯材Bとが混在していたり、あるいは芯材Aの断面積が中心から外周に向かって連続的に大きくなっていくような形態であってもよい。いずれの場合であっても中心部に芯材Aが密集して存在し、その周囲に長片状の芯材Bが放射状に配置された構造であればよい。
【0015】
芯材Bのアスペクト比(長軸の長さ/短軸の長さ)は、1より大きく、好ましくは1.1〜10、より好ましくは1.2〜7、さらに好ましくは1.25〜5であるのがよい。
【0016】
また、複合硬質焼結体11の外径は、切削工具等の用途に応じて決定すればよく特に限定されないが、0.1〜6mm、好ましくは0.2〜3mm、より好ましくは0.3〜1mmであるのがよい。
【0017】
以下、本発明の複合硬質焼結体11の製造方法について図2の模式図を参照して説明する。
<芯材用成形体の成形工程>
まず、平均粒径が0.01〜10μmの前記硬質粒子70〜99重量%、好ましくは85〜98重量%と、平均粒径が0.01〜10μmの結合金属粉末1〜30重量%、好ましくは2〜15重量%とを混合して混合物を得、必要に応じて、さらにこの混合物に焼結助剤成分粉末、有機バインダ、可塑剤、溶剤、分散剤、滑剤等を添加し混練した後、得られた混合物をプレス成形または鋳込み成形等の成形法により円柱形状に成形して芯材用成形体12を作製する(図2(a)参照)。ここで、後述する共押出成形によって均質な繊維状構造体および複合集束体を得るためには、前記有機バインダの添加量を30〜70体積%、特に40〜60体積%とするのが望ましい。
【0018】
有機バインダ、可塑剤としては、パラフィンワックス、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン‐エチルアクリレート、エチレン‐ビニルアセテート、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ジブチルフタレート等を使用することができる。溶剤、分散剤および滑剤としてはポリエチレングリコール、ミネラルオイル、ブチルオリエート、ステアリン酸等を使用することができる。
【0019】
<表皮部材用成形体の成形工程>
また、平均粒径が0.01〜10μmの前記硬質粒子70〜98重量%、好ましくは80〜90重量%と、平均粒径が0.01〜10μm程度の結合金属粉末2〜30重量%、好ましくは10〜20重量%とを混合して混合物を得、必要に応じて、さらにこの混合物に上記した焼結助剤成分粉末、有機バインダ、可塑剤、溶剤等を添加し、得られた混合物をプレス成形または鋳込み成形等の成形法により半割円筒形状に成形して2つの表皮部材用成形体13,13を作製する(図2(b)参照)。得られた表皮部材用成形体13,13を芯材用成形体12の外周面を覆うように配置して成形体11aを作製する(図2(c)参照)。
【0020】
<押出成形工程>
ついで、図2(d)に示すように、押出機100を用いて、上記成形体11aを押出成形(芯材用成形体12と表皮部材用成形体13,13を共押出成形)することによって、芯材用成形体12が表皮部材用成形体13で被覆され、長く延伸された繊維状構造体11bを得る。この繊維状構造体11bは芯材の外周を表皮部材で被覆した構造を有する。このとき、繊維状構造体11bの断面は、押出機100の出口形状を変えることによって、円形の他、三角形、四角形、五角形、六角形、楕円形等の任意形状に成形することもできる。繊維状構造体11bの断面が円形の場合、外径は0.1〜5mm、好ましくは0.3〜2mmであるのがよい。
【0021】
<集束体作製工程>
ついで、複数本の繊維状構造体11bを束ねて押出機101内に投入し、共押出成形してマルチフィラメント構造の複合集束体11cを得る(図2(e)参照)。このとき、繊維状構造体11bの押出機101への投入量は、繊維状構造体11bを束ねたとき、押出機101の中心に位置する押出口102の内径に対して約10〜100倍の径となるようにすればよい。この状態で繊維状構造体11bを80〜160℃、好ましくは100〜150℃に加熱して押出速度10〜10000m/分、好ましくは50〜1000m/分の条件で、中心部と外周部の流量を制御し、押出成形することによって、前記した芯材Aと芯材Bとを有する花びら状の断面形状を有する複合集束体11cが得られる。なお、前記した芯材Aと芯材Bとを有する花びら状の断面形状を有する複合集束体11cは、図4に示すような均一なマルチフィラメント構造となる条件に対して、押出温度を5℃以上低く設定するか、あるいは押出速度を5倍以上に上げることにより作製できる。また、このとき芯材と表皮部材の混練物の溶融粘度をほぼ同一に調整する必要がある。
【0022】
<焼成工程>
ついで、上記複合集束体11cを300〜700℃で10〜200時間昇温または保持して脱バインダ処理した後、真空中または不活性雰囲気中において、所定時間で焼成して複合硬質焼結体11を得ることができる。得られた複合硬質焼結体11は、公知のラピッドプロトダイビング法等の成形方法によってドリル等の任意の形状に成形される。
【0023】
なお、以上の説明は複合硬質焼結体が硬質焼結体である場合であるが、芯材Aおよび芯材Bの一方または両方がセラミックスからなる場合には、芯材用成形体12の成形工程において、平均粒径が0.01〜10μmの前記セラミック粒子70〜99重量%、好ましくは80〜98重量%と、平均粒径が0.01〜10μmの焼結助剤粉末1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%とを混合して混合物を得る他は、上記と同様にして複合硬質焼結体11を作製することができる。
【0024】
また、表皮部材Cがセラミックスからなる場合には、表皮部材用成形体の成形工程において、平均粒径が0.05〜10μmの前記セラミック粒子70〜95重量%、好ましくは80〜90重量%と、平均粒径が0.01〜10μmの焼結助剤粉末5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%とを混合して混合物を得る他は、上記と同様にして複合硬質焼結体11を作製することができる。
【0025】
本発明の複合硬質焼結体は、耐摩耗性および耐欠損性に優れているので、例えばドリル、フライス、エンドミル、ドリルビット等の切削工具等の材料として使用した場合であっても、充分な耐摩耗性および耐欠損性が得られ、特にソリッドドリルの材料として好適である。図3は、本発明のソリッドドリルの一例を示す側面図である。このソリッドドリル21は、外周刃部22とシャンク部23が一体に形成されたものであり、円柱状に成形された前記複合硬質焼結体11を公知の方法により切削して螺旋状の外周刃を形成することにより得られる。また、シャンク部23は同図に示すようなストレートシャンクの他、テーパシャンクであってもよい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0027】
実施例
下記の芯材用の硬質粒子と結合金属粉末とを下記の割合で混合し、これに有機バインダ36体積%と溶剤10体積%とを添加し、混練して混合物を得た。この混合物を円柱形状に押出成形して図2(a)に示すような芯材用成形体12を作製した。
【0028】
<芯材の材料>
芯材用の硬質粒子:平均粒径0.5μmのWC粉末(94重量%)
結合金属粉末:平均粒径1μmのCo粉末(6重量%)
有機バインダ:エチレン‐エチルアクリレート
溶剤:ミネラルオイル
【0029】
一方、下記の表皮部材用の硬質粒子と結合金属粉末とを下記の割合で混合し、これに有機バインダ38体積%と溶剤10体積%とを添加、混練して混合物を得た。この混合物を半割円筒形状に押出成形して図2(b)に示すような表皮部材用成形体13を作製した。
【0030】
<表皮部材の材料>
表皮部材用の硬質粒子:平均粒径1.2μmのWC粉末(84重量%)
結合金属粉末:平均粒径1μmのCo粉末(16重量%)
有機バインダ:エチレン‐エチルアクリレート
溶剤:ミネラルオイル
【0031】
得られた2つの表皮部材用成形体13で上記芯材用成形体12の外周面を被覆して、図2(c)に示すような成形体11aを作製した。ついで、この成形体11aを共押出成形して、図2(d)に示すように長く延伸された繊維状構造体11b(外径1mm)を作製した。
【0032】
ついで、100本の繊維状構造体11bを束ねて上記したと同様な押出機101を用いて、再度共押出成形してマルチフィラメント構造の複合集束体11cを得た。このとき、押出速度は1000m/分とし、押出機101内の繊維状構造体11bは温度100℃に加熱した。
【0033】
この複合集束体11cを300〜700℃まで100時間で昇温させることによって脱バインダ処理を行った後、昇温速度2.5℃/分でさらに昇温し、真空中、1500℃で2時間焼成し、さらに3℃/分で降温することによって、図1に示すような花びら形断面形状を有する外径6mmの複合硬質焼結体11を得た。
【0034】
得られた複合硬質焼結体11をソリッドドリル形状に切削加工し、さらにこの表面に2μmのTiN膜をPVD法によりコーティングすることによりドリル径5mmφのソリッドドリルを得た。
【0035】
比較例1
複合集束体11cを押出成形する際の押出速度を100m/分、押出機101内の繊維状構造体11bの温度130℃とした他は実施例と同様にして図4に示すような断面形状を有する複合硬質焼結体を作製した。この複合硬質焼結体を使用して実施例と同様にして、ソリッドドリルを作製した。前記複合硬質焼結体は、略円形でほぼ均一大きさで、均一に分布する芯材32と表皮部材33とを有する。
【0036】
比較例2
実施例と同様にして繊維状構造体11bを作製し、この繊維状構造体11bを300〜700℃まで100時間で昇温させることによって脱バインダ処理を行った後、昇温速度2.5℃/分でさらに昇温し、真空中、1500℃で2時間焼成して、図5に示すように芯材42を表皮部材43で被覆した単芯構造の複合焼結体を作製した。得られた焼結体を実施例と同様にして切削加工し、TiN膜をコーティングしてソリッドドリルを得た。
【0037】
比較例3
下記の硬質粒子と結合金属粉末とを下記の割合で混合し、これに有機バインダ35体積%と溶剤10体積%とを添加、混練して混合物を得た。この混合物を円柱形状に押出成形して成形体を得、これを300〜700℃まで100時間で昇温して脱バインダ処理を行った後、昇温速度2.5℃/分でさらに昇温し、真空中、1500℃で2時間焼成して、外径6mmの円柱状の焼結体(単一組成)を作製した。得られた焼結体を実施例と同様にして切削加工し、TiN膜をコーティングしてソリッドドリルを得た。
【0038】
<焼結体の材料>
芯材用の硬質粒子:平均粒径1μmのWC粉末(95重量%)
結合金属粉末:平均粒径1μmのCo粉末(5重量%)
有機バインダ:セルロース、ポリエチレングリコール
溶剤:ポリビニルアルコール
【0039】
試験例
実施例および比較例1,2,3で得た各ソリッドドリルを用いて、切削速度50m/分、送り0.2mm/revにて、複数の被削材(SUS304)に穴開け加工を行い、外周刃の欠損またはシャンク部分での折損が生じたときの穴開け回数を調べた。その結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003828831
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた耐折損性、耐摩耗性および耐欠損性を備えた複合硬質焼結体を得ることができるという効果がある。
したがって、この複合硬質焼結体を用いた本発明のソリッドドリルは、外周刃の耐摩耗性および耐欠損性が良好で、しかもシャンク部分での折損が生じにくいので、耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる複合硬質焼結体の一実施形態を示す横断面図である。
【図2】本発明の複合硬質焼結体の製造方法を示す模式図である。
【図3】本発明のソリッドドリルの一例を示す側面図である。
【図4】比較例1で作製した複合硬質焼結体を示す横断面図である。
【図5】比較例2で作製した焼結体を示す横断面図である。
【符号の説明】
A,B 芯材
C 表皮部材
11 複合硬質焼結体

Claims (2)

  1. 硬質粒子を結合金属にて結合した硬質焼結体またはセラミック粒子を焼結助剤にて結合したセラミックスからなる長繊維状芯材を、硬質粒子を結合金属にて結合した硬質焼結体またはセラミック粒子を焼結助剤にて結合したセラミックスからなり、かつ前記芯材と組成の異なる表皮部材で被覆した繊維状構造体の複数本を集束・一体化して得られるマルチフィラメント構造の複合硬質焼結体であって、
    横断面の中心部に断面積の小さな芯材Aが密集し、この中心部の周囲に前記芯材Aよりも断面積の大きな芯材Bが配置された断面構造を有し、前記芯材Bの横断面形状は長軸の長さ/短軸の長さの比が1より大きい長片状であり、芯材Bの長軸が中心部から外周に向かって放射状に配向していることを特徴とする複合硬質焼結体。
  2. 請求項1記載の複合硬質焼結体からなり、外周刃部とシャンク部が一体に形成されたことを特徴とするソリッドドリル。
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