JP2004281316A - 固体電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体電解質電池では、充放電を繰り返すことにより固体電解質と電極の界面が剥離してしまい、内部抵抗が増大し良好なサイクル特性が得られない。
【解決手段】少なくとも一方の電極と固体電解質との界面に少なくとも電極構成材料の一元素と固体電解質構成材料の一元素が化合物を構成する領域を形成し、その領域は酸化物、水酸化物、窒化物の少なくともいずれからなり、なおかつ領域層の厚みを0.01nm〜300nmとする。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも一方の電極と固体電解質との界面に少なくとも電極構成材料の一元素と固体電解質構成材料の一元素が化合物を構成する領域を形成し、その領域は酸化物、水酸化物、窒化物の少なくともいずれからなり、なおかつ領域層の厚みを0.01nm〜300nmとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内部抵抗が小さく、サイクル特性に優れた固体電解質電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のICカードや電子タグ、小型センサ、医療用マイクロマシンなどの高機能小型機器・部品の開発が盛んに行われており、それに伴い動力源となる電池にも高信頼性、薄型化、小型化が要求されている。これらの要求を達成するために薄膜電池、特に電解質に無機固体電解質を用いた固体電解質二次電池の研究が盛んに行われている。Oak Ridge National Laboratory(ORNL)のBatesらは、固体電解質にLiPONを用いた全固体電池を報告している。例えば、SiまたはAl2O3基板上に、スパッタリングにより、LiCoO2からなる正極、LiPONからなる固体電解質、金属Liからなる負極を積層した薄型電池を開発している(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第5597660号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、薄膜電池は携帯電話やノートパソコンで使用されているようなサイズのリチウムイオン電池では発生しなかった問題が生じてくる。例えば、薄膜二次電池の場合、充放電を繰り返すことにより、固体電解質と電極の界面が剥離してしまい、内部抵抗が増大し良好なサイクル特性が得られないという欠点がある。
【0005】
本発明は上記の現状に鑑みてなされたもので、内部抵抗が小さく、サイクル特性に優れた固体電解質電池を提供するものである。
【0006】
すなわち、本発明は、固体電解質を用いた電池であって、少なくとも一方の電極と固体電解質との界面に少なくとも電極構成材料の一元素と固体電解質構成材料の一元素が化合物を構成する領域を形成し、その領域は酸化物、水酸化物、窒化物の少なくともいずれかからなり、なおかつ領域層の厚みが0.01nm〜300nmであることを特徴とする固体電解質電池を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の固体電解質電池は固体電解質を用いた電池であって、少なくとも一方の電極と固体電解質との界面に少なくとも電極構成材料の一元素と固体電解質構成材料の一元素が化合物を構成する領域を形成するものである。
【0008】
さらに、領域は酸化物、水酸化物、窒化物の少なくともいずれかからなるものである。
【0009】
さらに、領域の厚みが0.01nm〜300nmであるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本実施の形態について述べる。
【0011】
(実施の形態1)
本発明の固体電解質電池は電極と固体電解質の界面に少なくとも電極構成材料の一元素と固体電解質構成材料の一元素が化合物を構成する領域を設けた電池である。電極や固体電解質表面層に酸素や水酸が存在すると、それらの構造が不安定なため、安定化させるために他の物質と結合して酸化物や水酸化物、窒化物にしなければならない。従って、電極界面にこれらの領域層が存在すると、自己組織的にまたは強制的に上下の層をつなぐように酸化物や水酸化物、窒化物が形成され、電極界面の密着性が改善され、サイクル時の内部抵抗の急激な上昇を抑えることができる。
【0012】
また、電極活物質と固体電解質の界面や集電体と電極活物質の界面に何らかの基を形成することによって界面の密着性が良好になるので、炭酸化物など、酸化物や水酸化物、窒化物以外で構成される領域層でも同様の効果があるのは言うまでもない。また、剥離は集電体と電極との界面でも発生する。従って、集電体と電極の界面にも同様な領域層を形成することによっても同様な効果が得られる。
【0013】
本発明の固体電解質電池に用いられている領域層について、酸化物、窒化物、水酸化物のいずれに関しても特に限定はない。例えば、正極にコバルト酸リチウムを用いた場合であれば、領域層として酸化リチウム等のリチウム酸化物、Co3O4やCoO2などのコバルト酸化物、Li1.47Co3O4等のCo−Oの結合を有する化合物などがある。正極にCo以外の遷移金属を含む場合は、その遷移金属の酸化物やリチウム酸化物が形成される。また、負極に金属Liを用いた場合であれば、酸化リチウム(Li−O結合)や水酸化リチウム(Li−OH結合)、炭酸リチウム等の物質が考えられるが特に限定されない。さらに、CoN、Co3N4などのCo−Nの結合を有するコバルト窒化物、Li3N、P3N5、Si3N4などの窒化物(−N結合)やリチウム窒化物、酸化物の酸素の一部が窒素と置換された窒化物などがある。一般的には電極と固体電解質の構成元素からなる酸化物、水酸化物、および窒化物が領域層として界面に形成される。
【0014】
本発明の領域層の作製方法には、特に限定はないが、以下のような製造法がある。例えば、正極や固体電解質、負極いずれかの成膜直後に水分を含有したガスを流すことにより領域層を形成する。あるいは、水分を含有したガスを流すのではなく、酸素雰囲気や窒素雰囲気下、湿潤雰囲気下に放置することによっても領域層を形成することは可能である。さらに、スパッタリングや蒸着によって領域層を成膜することも可能である。また、領域層を形成するタイミングも任意である。
【0015】
例えば、正極成膜直後や固体電解質成膜直後に領域層を形成したり、熱処理時に上記の雰囲気にすることにより領域層を形成することが可能である。表面をレーザーやプラズマ等にさらすことにより表面を活性化させ、領域層を形成することも可能である。
【0016】
また、電極や固体電解質を積層した後に界面部分や電池全体に熱などのエネルギーを加えて領域層形成をすることも可能である。
【0017】
また、表面を酸化剤にさらすなど、その目的とする領域層の構成に応じた化学的処理により表面を活性化させ、領域層を形成することも可能である。
【0018】
さらに、領域層の厚みは0.01nmより厚く、300nmより薄くなければならない。厚みが0.01nm以下であると電極と固体電解質の界面の密着が十分でなく、300nm以上であると領域層が充放電を阻害してしまうからである。
【0019】
ここで、本発明の固体電解質電池の一例を断面図で図1に示す。図1の電池は、基板1の上に順次形成された正極集電体2、正極3、固体電解質4、負極5、および負極集電体6からなる。正極3は、その全体が固体電解質4で覆われており、負極5と負極集電体6は、固体電解質4を介することにより、正極3と正極集電体2から隔絶されている。
【0020】
このような電池において、正極3と固体電解質4の間に領域層3aを設けることにより、サイクル特性に優れた固体電解質電池が得られる。なお、図1では領域層3aは正極3と固体電解質4の間に形成されているが、固体電解質4と負極5の間や正極集電体2と正極3の間、負極5と負極集電体6の間に領域層3aが形成される場合も当然可能である。また、領域層3aが複数存在することも当然可能である。
【0021】
また、図1では、基板上に電池が1つしか形成されていないが、複数の電池を積層した固体電解質電池を製造することも当然可能である。
【0022】
このように、固体電解質電池は正極、負極等の各部材を基板上に順次成膜し、正極、固体電解質、負極作成後に領域層を形成することにより製造することができる。成膜は、スパッタリング法、蒸着法、電子ビーム蒸着法、レーザーアブレーション法、イオンプレーティング法、CVD法、ゾル・ゲル法、スクリーン印刷法、化学処理法などを用いて行うことができる。また、必要ならば熱処理等の工程で、正極、負極等の各部材の結晶化を行うことができる。ここでいう結晶化とは、微結晶や部分結晶、結晶と非晶質との混在した状態をも含む。
【0023】
図1に示したような電池を製造する場合、基板1には、Pt、Au、Fe、Ni、Cu、Al、ステンレス鋼(SUS)、Al2O3、Si、SiO2、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを用いることが好ましい。さらに、その上に薄膜形成が可能な基板であれば、特に限定されることなく用いることができる。また、様々な回路基板上に、正極集電体もしくは負極集電体を成膜することも可能である。
【0024】
正極集電体2には、好ましくはPt、Cu、Ni、Ti、Coなどが用いられるが特に限定はない。また、基板1として導電性材料を用いることにより、基板1と正極集電体2または基板1と負極集電体6とを兼用させることも可能である。正極集電体2の厚さは、一般に0.1〜10μmであるが、特に限定はない。
【0025】
次いで、正極集電体2に正極3を成膜する。正極3としては、好ましくはLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiNi0.4Mn1.6O4、LiCo0.3Ni0.7O2、V2O5、MnO2等の遷移金属酸化物、LiCoPO4、LiFePO4、LiCoPO4F、LiFePO4F等のオリピン系酸化物、Li4Ti5O12、Li4Fe0.5Ti5O12、Li4Zn0.5Ti5O12などのスピネル構造を有するリチウムチタン酸化物、TiS2、LiFeS2等の硫化物、およびこれらの混合物等が用いられる。ただし、リチウムイオンを吸蔵・放出できる材料であれば、特に限定なく正極3に用いることができる。正極3の厚さは、一般に0.1〜10μmであるが、特に限定はない。
【0026】
次いで、正極3の上に、上記リチウムイオン導電体の薄膜を固体電解質4として成膜する。固体電解質4は、図1に示されるように、正極3または負極5を完全に覆うように成膜する。固体電解質4としては、Li2S−P2S5、Li4GeS4等の硫化物リチウムイオン導電体、LiZr2(PO4)3、LiTi2(PO4)3、Li4SiO4、LiTaO3、LiNbO3、Li3PO4等の酸化物リチウムイオン導電体、またはそれらの酸窒化物などがあるが特に限定はない。また、固体電解質4の形態として結晶質やガラス質、またはそれらの混合体でも可能である。固体電解質4の厚さは、一般に0.1〜10μmであるが、特に限定はない。
【0027】
次いで、固体電解質4の上に、既に成膜された下方の正極3と対向するように、対極となる負極5を成膜する。負極5としては、好ましくはLi、Al、Zn、Sn、In、Si等の合金、グラファイト等の炭素材料、Li4Ti5O12、Li4Fe0.5Ti5O12、Li4Zn0.5Ti5O12などのスピネル構造を有するリチウムチタン酸化物、TiS2等の硫化物、LiCo2.6O0.4N等の窒素化合物、およびこれらの混合物等が用いられる。ただし、リチウムイオンを吸蔵・放出できる材料であれば、特に限定なく負極5に用いることができる。負極5の厚さは、一般に0.1〜10μmであるが、特に限定はない。
【0028】
その後、その電極を完全に覆うように負極集電体6を成膜する。負極集電体6には、好ましくはPt、Cu、Ni、Ti、Coなどが用いられるが特に限定はない。負極集電体6の厚さは、一般に0.1〜10μmであるが、特に限定はない。
【0029】
なお、図1では、正極集電体2が基板1と接しているが、負極集電体6が基板1と接する構造も当然可能である。
【0030】
【実施例】
次に、本発明の固体電解質電池について、実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
高周波スパッタリング法を用い、下記手順にて固体電解質電池を作製した。
【0032】
(i)正極集電体の作製
図1に基づいて説明する。基板1には、酸化膜(SiO2)でコーティングされたSi基板を用いた。この基板1上に、Ptをターゲットとする高周波スパッタリングにより、正極集電体2として厚さ0.2μmのPt薄膜を形成した。このときのスパッタリングは3mTorrのAr雰囲気下で行った。ターゲットサイズはφ3インチ、高周波出力は75Wとした。
【0033】
Pt薄膜の形成においては、正方形の開口を有するステンレス鋼製マスク(厚さ20μm)を基板1上に載置し、Pt薄膜が1.2cm角の形状で形成されるようにした。
【0034】
(ii−a)正極の作製
正極集電体2上に、LiCoO2をターゲットとする高周波スパッタリングにより、正極3として厚さ0.3μmのLiCoO2薄膜を形成した。このときのスパッタリングは11mTorrのArと4mTorrのO2の混合雰囲気下で行った。ターゲットサイズはφ4インチ、高周波出力は200Wとした。スパッタリング後にAr雰囲気の中、700℃で2時間保持した。
【0035】
LiCoO2薄膜の形成においては、正方形の開口を有するステンレス鋼製マスク(厚さ20μm)をPtが成膜された基板1の上に載置し、LiCoO2薄膜が1.0cm角の形状で形成されるようにした。
【0036】
(ii−b)水分の導入
正極3の成膜後、露点−20℃のArガス雰囲気下に放置した。このとき、放置時間を変えて様々な領域厚みの試料を作製した。
【0037】
(iii)固体電解質の作製
正極3の上に、Li4SiO4をターゲットとする高周波スパッタリングにより、固体電解質4として厚さ1μmのリチウムイオン導電体薄膜を形成した。このときのスパッタリングは15mTorrのN2雰囲気下で行った。ターゲットサイズはφ4インチ、高周波出力は200Wとした。
【0038】
リチウムイオン導電体薄膜の形成においては、正方形の開口を有するステンレス鋼製マスク(厚さ20μm)を正極集電体2、正極3が順次成膜された基板1の上に載置し、リチウムイオン導電体薄膜が1.5cm角の形状で形成されるようにした。
【0039】
水分の導入後に続けて固体電解質4を成膜することにより、正極3と固体電解質4の界面に酸化物や水酸化物の領域層3aが形成される。このときに形成された領域層3aの成分はLi−O、Li−OH、Co−O、Co−OHの各結合に由来する成分であった。領域層の組成と厚みはSIMS測定から求めた。
【0040】
(iv)負極の作製
固体電解質4の上に、リチウムをソースとする抵抗加熱による真空蒸着により、負極5として厚さ0.5μmのリチウム薄膜を形成した。リチウム薄膜の形成においては、正方形の開口を有するステンレス鋼製マスク(厚さ20μm)を正極集電体2、正極3、固体電解質4が順次成膜された基板1の上に載置し、リチウム薄膜が1cm角の形状で形成されるようにした。
【0041】
(v)負極集電体の作製
負極5の上に、Cuをターゲットとする高周波スパッタリングにより、負極集電体6として厚さ0.5μmのCu薄膜を形成した。このときのスパッタリングは4mTorrのAr雰囲気下で行った。ターゲットサイズはφ4インチ、高周波出力は100Wとした。
【0042】
Cu薄膜の形成においては、正方形の開口を有するステンレス鋼製マスク(厚さ20μm)を正極集電体2、正極3、固体電解質4、負極5が順次成膜された基板1の上に載置し、Cu薄膜が1.2cm角の形状で形成されるようにした。
【0043】
(実施例2)
実施例1と同様の方法により固体電解質電池を作製した。ただし、(ii−b)工程は行わず、(iii)において固体電解質4の成膜後、露点−20℃のN2ガス雰囲気に5分放置した後に、負極5を成膜して領域層3aを固体電解質4と負極5の界面に形成した。SIMS測定より、このときに形成された領域層3aはLi−N、Li−O、Li−OH、Si−N、Si−O、Si−OHの各結合に由来する成分であった。
【0044】
(実施例3)
実施例1と同様の方法により固体電解質電池を作製した。ただし、(ii−b)工程は行わず、(iii)において固体電解質4の成膜後、露点−20℃のArガス雰囲気に5分放置した後に、負極5を成膜して領域層3aを固体電解質4と負極5の界面に形成した。SIMS測定より、このときに形成された領域層3aの成分はLi−N、Li−O、Li−OH、Si−N、Si−O、Si−OHの各結合に由来する成分であった。
【0045】
(実施例4)
実施例1と同様の方法により固体電解質電池を作製した。ただし、(ii−b)工程は行わず、(i)において正極集電体2の成膜後、露点−20℃のArガス雰囲気に5分放置した後に、正極3を成膜して領域層3aを正極集電体2と正極3の界面に形成した。SIMS測定より、このときに形成された領域層3aの成分はLi−O、Li−OH、Co−O、Co−OHの各結合に由来する成分であった。
【0046】
[評価方法および結果]
(サイクル特性)
実施例1〜4で作製した固体電解質電池の充放電試験を行った。具体的には、初回充放電のみ充電電流10μA/cm2、放電電流10μA/cm2で、以降充電電流0.1mA/cm2、放電電流0.1mA/cm2で、電池の充放電を20サイクル繰り返した。初回充放電のみ電流値が小さいのは小電流充放電により初期容量をできるだけ正確に求めるためである。このとき得られた容量維持率(20サイクル後の容量の初期容量に対する百分率値)を(表1)に示す。なお、充電終止電圧は4.3V、放電終止電圧は3.0Vとした。また、剥離を評価するためにサイクル試験前後の内部抵抗の測定を行った。
【0047】
【表1】
【0048】
(表1)において、領域層の厚みが大きいほど内部抵抗が大きくなっており、領域厚みが300nmよりも大きい試料(試料No.9、10)は内部抵抗が大きいために十分な放電容量が得られないことが示された。また、領域層の存在しない試料(試料No.1)は内部抵抗が小さいが、サイクル試験後に正極と固体電解質の界面が剥離したため、試験後の内部抵抗の測定は不可能になった。よって、本発明は電気特性の改善だけでなく、力学的性質の改善にも有効であることが分かった。
【0049】
さらに、領域層を固体電解質と負極の界面に形成した試料(試料No.11、12)や正極集電体と正極の界面に形成した試料(試料No.13)についても内部抵抗が小さく、良好なサイクル特性を示すことが確認できた。
【0050】
【発明の効果】
以上の結果から、本発明に示すように少なくとも電極構成材料の一元素と固体電解質構成材料の一元素が化合物を構成する領域を形成することにより、界面の剥離が抑制され、良好な内部抵抗をもつ固体電解質電池が得られる。さらに、内部抵抗を抑制することによりサイクル特性に優れた固体電解質電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体電解質電池の一例の断面図
【符号の説明】
1 基板
2 正極集電体
3 正極
3a 領域層
4 固体電解質
5 負極
6 負極集電体
【発明の属する技術分野】
本発明は内部抵抗が小さく、サイクル特性に優れた固体電解質電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のICカードや電子タグ、小型センサ、医療用マイクロマシンなどの高機能小型機器・部品の開発が盛んに行われており、それに伴い動力源となる電池にも高信頼性、薄型化、小型化が要求されている。これらの要求を達成するために薄膜電池、特に電解質に無機固体電解質を用いた固体電解質二次電池の研究が盛んに行われている。Oak Ridge National Laboratory(ORNL)のBatesらは、固体電解質にLiPONを用いた全固体電池を報告している。例えば、SiまたはAl2O3基板上に、スパッタリングにより、LiCoO2からなる正極、LiPONからなる固体電解質、金属Liからなる負極を積層した薄型電池を開発している(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第5597660号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、薄膜電池は携帯電話やノートパソコンで使用されているようなサイズのリチウムイオン電池では発生しなかった問題が生じてくる。例えば、薄膜二次電池の場合、充放電を繰り返すことにより、固体電解質と電極の界面が剥離してしまい、内部抵抗が増大し良好なサイクル特性が得られないという欠点がある。
【0005】
本発明は上記の現状に鑑みてなされたもので、内部抵抗が小さく、サイクル特性に優れた固体電解質電池を提供するものである。
【0006】
すなわち、本発明は、固体電解質を用いた電池であって、少なくとも一方の電極と固体電解質との界面に少なくとも電極構成材料の一元素と固体電解質構成材料の一元素が化合物を構成する領域を形成し、その領域は酸化物、水酸化物、窒化物の少なくともいずれかからなり、なおかつ領域層の厚みが0.01nm〜300nmであることを特徴とする固体電解質電池を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の固体電解質電池は固体電解質を用いた電池であって、少なくとも一方の電極と固体電解質との界面に少なくとも電極構成材料の一元素と固体電解質構成材料の一元素が化合物を構成する領域を形成するものである。
【0008】
さらに、領域は酸化物、水酸化物、窒化物の少なくともいずれかからなるものである。
【0009】
さらに、領域の厚みが0.01nm〜300nmであるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本実施の形態について述べる。
【0011】
(実施の形態1)
本発明の固体電解質電池は電極と固体電解質の界面に少なくとも電極構成材料の一元素と固体電解質構成材料の一元素が化合物を構成する領域を設けた電池である。電極や固体電解質表面層に酸素や水酸が存在すると、それらの構造が不安定なため、安定化させるために他の物質と結合して酸化物や水酸化物、窒化物にしなければならない。従って、電極界面にこれらの領域層が存在すると、自己組織的にまたは強制的に上下の層をつなぐように酸化物や水酸化物、窒化物が形成され、電極界面の密着性が改善され、サイクル時の内部抵抗の急激な上昇を抑えることができる。
【0012】
また、電極活物質と固体電解質の界面や集電体と電極活物質の界面に何らかの基を形成することによって界面の密着性が良好になるので、炭酸化物など、酸化物や水酸化物、窒化物以外で構成される領域層でも同様の効果があるのは言うまでもない。また、剥離は集電体と電極との界面でも発生する。従って、集電体と電極の界面にも同様な領域層を形成することによっても同様な効果が得られる。
【0013】
本発明の固体電解質電池に用いられている領域層について、酸化物、窒化物、水酸化物のいずれに関しても特に限定はない。例えば、正極にコバルト酸リチウムを用いた場合であれば、領域層として酸化リチウム等のリチウム酸化物、Co3O4やCoO2などのコバルト酸化物、Li1.47Co3O4等のCo−Oの結合を有する化合物などがある。正極にCo以外の遷移金属を含む場合は、その遷移金属の酸化物やリチウム酸化物が形成される。また、負極に金属Liを用いた場合であれば、酸化リチウム(Li−O結合)や水酸化リチウム(Li−OH結合)、炭酸リチウム等の物質が考えられるが特に限定されない。さらに、CoN、Co3N4などのCo−Nの結合を有するコバルト窒化物、Li3N、P3N5、Si3N4などの窒化物(−N結合)やリチウム窒化物、酸化物の酸素の一部が窒素と置換された窒化物などがある。一般的には電極と固体電解質の構成元素からなる酸化物、水酸化物、および窒化物が領域層として界面に形成される。
【0014】
本発明の領域層の作製方法には、特に限定はないが、以下のような製造法がある。例えば、正極や固体電解質、負極いずれかの成膜直後に水分を含有したガスを流すことにより領域層を形成する。あるいは、水分を含有したガスを流すのではなく、酸素雰囲気や窒素雰囲気下、湿潤雰囲気下に放置することによっても領域層を形成することは可能である。さらに、スパッタリングや蒸着によって領域層を成膜することも可能である。また、領域層を形成するタイミングも任意である。
【0015】
例えば、正極成膜直後や固体電解質成膜直後に領域層を形成したり、熱処理時に上記の雰囲気にすることにより領域層を形成することが可能である。表面をレーザーやプラズマ等にさらすことにより表面を活性化させ、領域層を形成することも可能である。
【0016】
また、電極や固体電解質を積層した後に界面部分や電池全体に熱などのエネルギーを加えて領域層形成をすることも可能である。
【0017】
また、表面を酸化剤にさらすなど、その目的とする領域層の構成に応じた化学的処理により表面を活性化させ、領域層を形成することも可能である。
【0018】
さらに、領域層の厚みは0.01nmより厚く、300nmより薄くなければならない。厚みが0.01nm以下であると電極と固体電解質の界面の密着が十分でなく、300nm以上であると領域層が充放電を阻害してしまうからである。
【0019】
ここで、本発明の固体電解質電池の一例を断面図で図1に示す。図1の電池は、基板1の上に順次形成された正極集電体2、正極3、固体電解質4、負極5、および負極集電体6からなる。正極3は、その全体が固体電解質4で覆われており、負極5と負極集電体6は、固体電解質4を介することにより、正極3と正極集電体2から隔絶されている。
【0020】
このような電池において、正極3と固体電解質4の間に領域層3aを設けることにより、サイクル特性に優れた固体電解質電池が得られる。なお、図1では領域層3aは正極3と固体電解質4の間に形成されているが、固体電解質4と負極5の間や正極集電体2と正極3の間、負極5と負極集電体6の間に領域層3aが形成される場合も当然可能である。また、領域層3aが複数存在することも当然可能である。
【0021】
また、図1では、基板上に電池が1つしか形成されていないが、複数の電池を積層した固体電解質電池を製造することも当然可能である。
【0022】
このように、固体電解質電池は正極、負極等の各部材を基板上に順次成膜し、正極、固体電解質、負極作成後に領域層を形成することにより製造することができる。成膜は、スパッタリング法、蒸着法、電子ビーム蒸着法、レーザーアブレーション法、イオンプレーティング法、CVD法、ゾル・ゲル法、スクリーン印刷法、化学処理法などを用いて行うことができる。また、必要ならば熱処理等の工程で、正極、負極等の各部材の結晶化を行うことができる。ここでいう結晶化とは、微結晶や部分結晶、結晶と非晶質との混在した状態をも含む。
【0023】
図1に示したような電池を製造する場合、基板1には、Pt、Au、Fe、Ni、Cu、Al、ステンレス鋼(SUS)、Al2O3、Si、SiO2、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを用いることが好ましい。さらに、その上に薄膜形成が可能な基板であれば、特に限定されることなく用いることができる。また、様々な回路基板上に、正極集電体もしくは負極集電体を成膜することも可能である。
【0024】
正極集電体2には、好ましくはPt、Cu、Ni、Ti、Coなどが用いられるが特に限定はない。また、基板1として導電性材料を用いることにより、基板1と正極集電体2または基板1と負極集電体6とを兼用させることも可能である。正極集電体2の厚さは、一般に0.1〜10μmであるが、特に限定はない。
【0025】
次いで、正極集電体2に正極3を成膜する。正極3としては、好ましくはLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiNi0.4Mn1.6O4、LiCo0.3Ni0.7O2、V2O5、MnO2等の遷移金属酸化物、LiCoPO4、LiFePO4、LiCoPO4F、LiFePO4F等のオリピン系酸化物、Li4Ti5O12、Li4Fe0.5Ti5O12、Li4Zn0.5Ti5O12などのスピネル構造を有するリチウムチタン酸化物、TiS2、LiFeS2等の硫化物、およびこれらの混合物等が用いられる。ただし、リチウムイオンを吸蔵・放出できる材料であれば、特に限定なく正極3に用いることができる。正極3の厚さは、一般に0.1〜10μmであるが、特に限定はない。
【0026】
次いで、正極3の上に、上記リチウムイオン導電体の薄膜を固体電解質4として成膜する。固体電解質4は、図1に示されるように、正極3または負極5を完全に覆うように成膜する。固体電解質4としては、Li2S−P2S5、Li4GeS4等の硫化物リチウムイオン導電体、LiZr2(PO4)3、LiTi2(PO4)3、Li4SiO4、LiTaO3、LiNbO3、Li3PO4等の酸化物リチウムイオン導電体、またはそれらの酸窒化物などがあるが特に限定はない。また、固体電解質4の形態として結晶質やガラス質、またはそれらの混合体でも可能である。固体電解質4の厚さは、一般に0.1〜10μmであるが、特に限定はない。
【0027】
次いで、固体電解質4の上に、既に成膜された下方の正極3と対向するように、対極となる負極5を成膜する。負極5としては、好ましくはLi、Al、Zn、Sn、In、Si等の合金、グラファイト等の炭素材料、Li4Ti5O12、Li4Fe0.5Ti5O12、Li4Zn0.5Ti5O12などのスピネル構造を有するリチウムチタン酸化物、TiS2等の硫化物、LiCo2.6O0.4N等の窒素化合物、およびこれらの混合物等が用いられる。ただし、リチウムイオンを吸蔵・放出できる材料であれば、特に限定なく負極5に用いることができる。負極5の厚さは、一般に0.1〜10μmであるが、特に限定はない。
【0028】
その後、その電極を完全に覆うように負極集電体6を成膜する。負極集電体6には、好ましくはPt、Cu、Ni、Ti、Coなどが用いられるが特に限定はない。負極集電体6の厚さは、一般に0.1〜10μmであるが、特に限定はない。
【0029】
なお、図1では、正極集電体2が基板1と接しているが、負極集電体6が基板1と接する構造も当然可能である。
【0030】
【実施例】
次に、本発明の固体電解質電池について、実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
高周波スパッタリング法を用い、下記手順にて固体電解質電池を作製した。
【0032】
(i)正極集電体の作製
図1に基づいて説明する。基板1には、酸化膜(SiO2)でコーティングされたSi基板を用いた。この基板1上に、Ptをターゲットとする高周波スパッタリングにより、正極集電体2として厚さ0.2μmのPt薄膜を形成した。このときのスパッタリングは3mTorrのAr雰囲気下で行った。ターゲットサイズはφ3インチ、高周波出力は75Wとした。
【0033】
Pt薄膜の形成においては、正方形の開口を有するステンレス鋼製マスク(厚さ20μm)を基板1上に載置し、Pt薄膜が1.2cm角の形状で形成されるようにした。
【0034】
(ii−a)正極の作製
正極集電体2上に、LiCoO2をターゲットとする高周波スパッタリングにより、正極3として厚さ0.3μmのLiCoO2薄膜を形成した。このときのスパッタリングは11mTorrのArと4mTorrのO2の混合雰囲気下で行った。ターゲットサイズはφ4インチ、高周波出力は200Wとした。スパッタリング後にAr雰囲気の中、700℃で2時間保持した。
【0035】
LiCoO2薄膜の形成においては、正方形の開口を有するステンレス鋼製マスク(厚さ20μm)をPtが成膜された基板1の上に載置し、LiCoO2薄膜が1.0cm角の形状で形成されるようにした。
【0036】
(ii−b)水分の導入
正極3の成膜後、露点−20℃のArガス雰囲気下に放置した。このとき、放置時間を変えて様々な領域厚みの試料を作製した。
【0037】
(iii)固体電解質の作製
正極3の上に、Li4SiO4をターゲットとする高周波スパッタリングにより、固体電解質4として厚さ1μmのリチウムイオン導電体薄膜を形成した。このときのスパッタリングは15mTorrのN2雰囲気下で行った。ターゲットサイズはφ4インチ、高周波出力は200Wとした。
【0038】
リチウムイオン導電体薄膜の形成においては、正方形の開口を有するステンレス鋼製マスク(厚さ20μm)を正極集電体2、正極3が順次成膜された基板1の上に載置し、リチウムイオン導電体薄膜が1.5cm角の形状で形成されるようにした。
【0039】
水分の導入後に続けて固体電解質4を成膜することにより、正極3と固体電解質4の界面に酸化物や水酸化物の領域層3aが形成される。このときに形成された領域層3aの成分はLi−O、Li−OH、Co−O、Co−OHの各結合に由来する成分であった。領域層の組成と厚みはSIMS測定から求めた。
【0040】
(iv)負極の作製
固体電解質4の上に、リチウムをソースとする抵抗加熱による真空蒸着により、負極5として厚さ0.5μmのリチウム薄膜を形成した。リチウム薄膜の形成においては、正方形の開口を有するステンレス鋼製マスク(厚さ20μm)を正極集電体2、正極3、固体電解質4が順次成膜された基板1の上に載置し、リチウム薄膜が1cm角の形状で形成されるようにした。
【0041】
(v)負極集電体の作製
負極5の上に、Cuをターゲットとする高周波スパッタリングにより、負極集電体6として厚さ0.5μmのCu薄膜を形成した。このときのスパッタリングは4mTorrのAr雰囲気下で行った。ターゲットサイズはφ4インチ、高周波出力は100Wとした。
【0042】
Cu薄膜の形成においては、正方形の開口を有するステンレス鋼製マスク(厚さ20μm)を正極集電体2、正極3、固体電解質4、負極5が順次成膜された基板1の上に載置し、Cu薄膜が1.2cm角の形状で形成されるようにした。
【0043】
(実施例2)
実施例1と同様の方法により固体電解質電池を作製した。ただし、(ii−b)工程は行わず、(iii)において固体電解質4の成膜後、露点−20℃のN2ガス雰囲気に5分放置した後に、負極5を成膜して領域層3aを固体電解質4と負極5の界面に形成した。SIMS測定より、このときに形成された領域層3aはLi−N、Li−O、Li−OH、Si−N、Si−O、Si−OHの各結合に由来する成分であった。
【0044】
(実施例3)
実施例1と同様の方法により固体電解質電池を作製した。ただし、(ii−b)工程は行わず、(iii)において固体電解質4の成膜後、露点−20℃のArガス雰囲気に5分放置した後に、負極5を成膜して領域層3aを固体電解質4と負極5の界面に形成した。SIMS測定より、このときに形成された領域層3aの成分はLi−N、Li−O、Li−OH、Si−N、Si−O、Si−OHの各結合に由来する成分であった。
【0045】
(実施例4)
実施例1と同様の方法により固体電解質電池を作製した。ただし、(ii−b)工程は行わず、(i)において正極集電体2の成膜後、露点−20℃のArガス雰囲気に5分放置した後に、正極3を成膜して領域層3aを正極集電体2と正極3の界面に形成した。SIMS測定より、このときに形成された領域層3aの成分はLi−O、Li−OH、Co−O、Co−OHの各結合に由来する成分であった。
【0046】
[評価方法および結果]
(サイクル特性)
実施例1〜4で作製した固体電解質電池の充放電試験を行った。具体的には、初回充放電のみ充電電流10μA/cm2、放電電流10μA/cm2で、以降充電電流0.1mA/cm2、放電電流0.1mA/cm2で、電池の充放電を20サイクル繰り返した。初回充放電のみ電流値が小さいのは小電流充放電により初期容量をできるだけ正確に求めるためである。このとき得られた容量維持率(20サイクル後の容量の初期容量に対する百分率値)を(表1)に示す。なお、充電終止電圧は4.3V、放電終止電圧は3.0Vとした。また、剥離を評価するためにサイクル試験前後の内部抵抗の測定を行った。
【0047】
【表1】
【0048】
(表1)において、領域層の厚みが大きいほど内部抵抗が大きくなっており、領域厚みが300nmよりも大きい試料(試料No.9、10)は内部抵抗が大きいために十分な放電容量が得られないことが示された。また、領域層の存在しない試料(試料No.1)は内部抵抗が小さいが、サイクル試験後に正極と固体電解質の界面が剥離したため、試験後の内部抵抗の測定は不可能になった。よって、本発明は電気特性の改善だけでなく、力学的性質の改善にも有効であることが分かった。
【0049】
さらに、領域層を固体電解質と負極の界面に形成した試料(試料No.11、12)や正極集電体と正極の界面に形成した試料(試料No.13)についても内部抵抗が小さく、良好なサイクル特性を示すことが確認できた。
【0050】
【発明の効果】
以上の結果から、本発明に示すように少なくとも電極構成材料の一元素と固体電解質構成材料の一元素が化合物を構成する領域を形成することにより、界面の剥離が抑制され、良好な内部抵抗をもつ固体電解質電池が得られる。さらに、内部抵抗を抑制することによりサイクル特性に優れた固体電解質電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体電解質電池の一例の断面図
【符号の説明】
1 基板
2 正極集電体
3 正極
3a 領域層
4 固体電解質
5 負極
6 負極集電体
Claims (3)
- 固体電解質を用いた電池であって、少なくとも一方の電極と固体電解質との界面に少なくとも電極構成材料の一元素と固体電解質構成材料の一元素が化合物を構成する領域を形成することを特徴とする固体電解質電池。
- 領域は酸化物、水酸化物、窒化物の少なくともいずれかからなることを特徴とする請求項1記載の固体電解質電池。
- 領域の厚みが0.01nm〜300nmであることを特徴とする請求項1記載の固体電解質電池。
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