JP2004210507A - エレベータシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】各駆動装置のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内まで加減速時のモータ電流を抑制させながら、通常運転時の定格速度まで加速させて乗りかごを運転し、乗りかごを救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置のいずれかが故障してから乗客を救出できるまでの時間を短くする。
【解決手段】各駆動装置5、6のいずれか、例えば駆動装置5が故障したとき、故障した駆動装置5を切り離させた後、通常運転パターンより小さな加速度、減速度にされた救出運転パターンで、正常な駆動装置6から3相駆動電圧を出力させ、最寄りの階まで乗りかご2を移動させ、乗客を救出する。
【選択図】 図1
【解決手段】各駆動装置5、6のいずれか、例えば駆動装置5が故障したとき、故障した駆動装置5を切り離させた後、通常運転パターンより小さな加速度、減速度にされた救出運転パターンで、正常な駆動装置6から3相駆動電圧を出力させ、最寄りの階まで乗りかご2を移動させ、乗客を救出する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物などに設置された乗りかごを運転させて、乗客を目的階まで移動させるエレベータシステムに係わり、特に各駆動装置の1つが故障しても、残っている駆動装置を運転させて、乗客を救出させるエレベータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高層化された建物では、乗客の大量輸送を行うことができる、大容量の超々高速エレベータシステムや、上かごと下かごとを連結させ、一度に2台分の乗客まを輸送させることができるダブルデッキエレベータシステムなどが設置されることが多い。
【0003】
そして、このようなエレベータシステムでは、容量が大きい多巻線型の巻上機を設置し、複数の駆動装置を使用して、巻上機を駆動させることが多い。
【0004】
図14は、このような複数の駆動装置を持つエレベータシステムの一例を示すブロック図である。
【0005】
この図に示すエレベータシステム101は、建物の昇降路内に昇降自在に設けられた乗りかご102を昇降させる駆動機構103と、商用電源122から供給される3相電源電圧を用いて複数の3相駆動電圧を生成する複数の駆動装置104、105と、各駆動装置104、105を制御して、商用電源122から出力される3相電源電圧をコンバートさせて、運転パターンに対応した複数の直流電圧を生成させるコンバータ制御装置106と、各駆動装置104、105を制御して、各直流電圧をインバートさせ、運転パターンに対応した周波数の3相駆動電圧を生成させて、駆動機構103を動作させるインバータ制御装置107とを備えている。そして、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご102内に設けられた呼び入力装置などが操作されたとき、これら各呼び入力装置の操作内容、予め設定されている運転パターンなどに基づき、コンバータ制御装置106、インバータ制御装置107によって、各駆動装置104、105を制御させて、指定された階から指定された階にまで乗りかご102を移動する。
【0006】
駆動機構103は、乗りかご102の重量と対応する重量にされ、昇降路内に昇降自在に配置されるカウンターウェート108と、カウンターウェート108の上部と乗りかごと102の上部とを連結するメインロープ109と、各駆動装置104、105から出力される複数の3相駆動電圧を用いて、メインロープ109を走行させ、乗りかご102を昇降させる多巻線型の巻上機110と、乗りかご102の下部とカウンターウェート108の下部とを連結するコンペン111と、コンペン111の走行をサポートするコンペンシープ112とを備えており、各駆動装置104、105から出力される複数の3相駆動電圧を用いて駆動力を発生し、乗りかご102を昇降、停止させる。
【0007】
また、各駆動装置104、105は各々、商用電源122から供給される3相電源電圧を導通/遮断するコンタクタ113と、このコンタクタ113を介して供給される3相電源電圧の電流値を検出する変流器114と、コンバータ制御装置106から出力される制御信号に基づき、変流器114を介して供給される3相電源電圧をコンバートし、指定された電圧値の直流電圧を生成するコンバータ装置115と、このコンバータ装置115から出力される直流電圧の電流値を検出する電流検出器116と、コンバータ装置115から出力される直流電圧を平滑するコンデンサ117と、インバータ制御装置107から出力される制御信号に基づき、コンデンサ117によって平滑化された直流電圧をインバートし、指定された周波数の3相駆動電圧を生成するインバータ装置118と、このインバータ装置118から出力される3相駆動電圧の電流値を検出する変流器119と、インバータ装置118から出力される3相駆動電圧を導通/遮断するコンタクタ120とを備えており、各コンタクタ113、120が投入されているとき、コンバータ制御装置106、インバータ制御装置107から出力される各制御信号に基づき、商用電源122から供給される3相電源電圧をコンバート、インバートして、指定された電圧値、周波数を持つ3相駆動電圧を生成し、駆動機構103の巻上機110を駆動する。
【0008】
また、コンバータ制御装置106は、通信線121を介して、インバータ制御装置107と通信を行いながら、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご102内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器114、119、各電流検出器116などから出力される検出結果、インバータ制御装置107から供給される電圧値指示などに基づき、制御信号を生成して、各コンバータ装置115から出力される直流電圧の電圧値を制御するコンバータ制御部などを備えており、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご102内に設けられた呼び入力装置などが操作されたとき、これら各呼び入力装置の操作内容、各変流器114、119、各電流検出器116などから出力される検出結果、インバータ制御装置107から供給される電圧値指示などに基づき、制御信号を生成し、各駆動装置104、105の各コンバータ装置115から運転パターンに対応する電圧値の直流電圧を出力させる。
【0009】
また、インバータ制御装置107は、通信線121を介して、コンバータ制御装置106と通信を行いながら、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご102内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器114、119、各電流検出器116などから出力される検出結果、予め設定されている運転パターンなどに基づき、制御信号を生成して、各インバータ装置118から出力される3相駆動電圧の周波数などを制御するインバータ制御部などを備えている。そして、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご102内に設けられた呼び入力装置などが操作されたとき、これら各呼び入力装置の操作内容、各変流器114、119、各電流検出器116などから出力される検出結果、予め設定されている運転パターンなどに基づき、コンバータ制御装置106と協調しながら、制御信号を生成し、各駆動装置104、105の各インバータ装置118から運転パターンに対応する周波数の3相駆動電圧を出力させ、駆動機構103の巻上機110を駆動させる。なお、先行技術文献としては以下のものがある。
【0010】
【特許文献1】
特開昭63−230487号
【0011】
【特許文献2】
特開平02−249883号
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなエレベータシステム101では、設備コスト上の関係から、2つの駆動装置104、105から出力される各3相駆動電圧を合成した電流によって、巻線機110を駆動させることができるように、各駆動装置104、105から出力される各3相駆動電圧の電流値を決めているので、これら各駆動装置104、105のいずれか一方が故障すると、乗りかご102を昇降させることができなくなり、閉じ込め事故が発生してしまうという問題があった。
【0013】
特に、近年の建物のように、高層化が進んだ建物に設置されるエレベータシステムでは、高層化された分だけ、乗りかご102の行程を長くさせなければならず、また多数の乗客を輸送させるために、乗りかご102を大きくさせなければならないことから、閉じ込め事故が発生し、手巻き救出などによって、乗りかご102内の乗客を救出させるとき、長い距離に渡り、乗りかご102を移動させなければならず、その分だけ多大な労力と、長い時間とが必要になり、閉じ込め状態も長時間になってしまうという問題があった。
【0014】
そこで、このような問題を解決する1つの方法として、各駆動装置104、105のうち、異常になった駆動装置、例えば駆動装置104を切り離して、残っている駆動装置105を通常時と同様な運転パターンで、運転させ、乗りかご102内に閉じ込められている乗客を救出させることも考えられるが、このような方法では、駆動装置105に大きな負荷がかかり、乗客を救出する前に、駆動装置105が故障してしまう恐れがある。
【0015】
また、このような問題を解決する他の方法として、各駆動装置104、105のうち、異常になった駆動装置104を切り離して、残っている駆動装置105を低速で、運転させ、乗りかご102内に閉じ込められている乗客を救出させることも考えられるが、このような方法では、低速にさせる分だけ、長い時間、乗りかご102を移動させなければならず、乗りかご102内の乗客を救出するまでに、時間が掛かりすぎて、乗客を不安にさせてしまうという問題がある。
【0016】
本発明は上記の事情に鑑み、各駆動装置のいずれかが故障したとき、乗りかごを救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置のいずれかが故障してから乗客を救出できるまでの時間を短くすることができるエレベータシステムを提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、請求項1では、複数の駆動装置によって得られた複数の駆動電圧を多巻線型の巻上機に供給して、乗りかごを昇降させるエレベータシステムにおいて、前記各駆動装置のいずれかが故障したとき、制御装置によって、加減速度を通常以下にした救出運転パターンを用いさせて、正常な駆動装置を動作させ、前記乗りかごを救出運転させる。これにより、各駆動装置のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内まで、加減速時のモータ電流を抑制させながら、通常運転時の定格速度まで加速させて、乗りかごを運転させ、これによって乗りかごを救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くする。
【0018】
また、請求項2では、請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、前記乗りかごに取り付けられた荷重検出器の検出結果に基づき、前記制御装置によって、上昇方向、または下降方向のどちらに乗りかごを運転させた方が前記巻上機のモータ電流を小さくできるかを判定させ、この判定結果に基づき、乗りかごの運転方向を決定させるとともに、加減速度を通常以下にした救出運転パターンを用いさせて、正常な駆動装置を動作させ、前記乗りかごを救出運転させる。これにより、各駆動装置のいずれかが故障したとき、乗りかごに乗り込んでいる乗客の数に応じて、乗りかごの救出運転方向(上昇、または下降)を決定させて、正常な駆動装置の定格出力の範囲内で、加減速時のモータ電流を最適化させながら、通常運転時の定格速度まで加速させて、乗りかごを運転させ、これによって乗りかごを救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くする。
【0019】
また、請求項3では、請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、前記乗りかごに取り付けられた荷重検出器の検出結果に基づき、前記制御装置によって、前記巻上機のモータ電流を小さくさせるように、前記乗りかごの運転方向(上昇方向、または下降方向)と、加速度、減速度を決定させるとともに、これら加速度、減速度にされた救出運転パターンを用いさせて、正常な駆動装置を動作させ、前記乗りかごを救出運転させる。これにより、各駆動装置のいずれかが故障したとき、乗りかごに乗り込んでいる乗客の数に応じて、乗りかごの救出運転方向(上昇、または下降)と、加速度、減速度とを最適化させて、乗りかごを運転させ、これによって乗りかごを救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くする。
【0020】
また、請求項4では、請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、前記制御装置によって、正常な駆動装置から出力可能な最大モータ電流値以下となるように、全負荷上昇時、または無負荷下降時の加速度“α”、減速度“β”を決定させて、救出運転時の速度指令パターンを作成させるとともに、かご位置検出器で検出された乗りかごの位置と、予め設定されている救出階位置とに基づき、乗りかごの運転方向(上昇、または下降)を決めさせて、正常な駆動装置を動作させ、前記乗りかごを救出運転させる。これにより、各駆動装置のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内で、加減速時のモータ電流を最適化させながら、乗りかごの停止位置と、救出階の位置とに応じて、乗りかごの運転方向(上昇、または下降)を決めさせて、乗りかごを運転させ、これによって各駆動装置のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くする。
【0021】
また、請求項5では、請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、前記制御装置によって、荷重検出器で検出された検出荷重“W”に基づき、乗りかごを上昇させるときの加速度“α”、減速度“β”、乗りかごを下降させるときの加速度“α”、減速度“β”を求めさせるとともに、かご位置検出器で検出された乗りかごの位置と、予め設定されている救出階位置とに基づき、乗りかごを上昇させて、乗りかごより上にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンと、乗りかごを下降させて、乗りかごより下にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンとを求めさせ、これら各速度指令パターンのうち、運転時間が短い方を選択させて、乗りかごを救出運転させる。これにより、各駆動装置のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内で、乗りかごに乗り込んでいる乗客の数に応じて、加減速時のモータ電流を最適化させながら、乗りかごを近い方の救出階へ運転させ、これによって各駆動装置のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くする。
【0022】
【発明の実施の形態】
《第1の実施形態》
図1は本発明によるエレベータシステムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【0023】
この図に示すエレベータシステム1aは、建物の昇降路内に昇降自在に設けられた乗りかご2を昇降させる駆動機構3と、商用電源4から供給される3相電源電圧を用いて複数の3相駆動電圧を生成する複数の駆動装置5、6と、各駆動装置5,6を制御して、商用電源4から出力される3相電源電圧をコンバートさせ、運転パターンに対応した複数の直流電圧を生成させるコンバータ制御装置7と、各駆動装置5、6を制御して、各直流電圧をインバートさせ、運転パターンに対応した周波数の3相駆動電圧を生成させ、駆動機構3を動作させるインバータ制御装置8aとを備えている。
【0024】
駆動機構3は、乗りかご2の重量と対応する重量にされ、昇降路内に昇降自在に配置されるカウンターウェート9と、カウンターウェート9の上部と乗りかご2との上部とを連結するメインロープ10と、各駆動装置5、6から出力される2つの3相駆動電圧を用いて、メインロープ10を走行させ、乗りかご2を昇降させる多巻線型の巻上機11と、巻上機11の回転数を検出する回転センサ12と、乗りかご2の下部とカウンターウェート9の下部とを連結するコンペン13と、コンペン13の走行をサポートするコンペンシープ14とを備えている。
【0025】
また、各駆動装置5,6は、商用電源4から供給される3相電源電圧を導通/遮断するコンタクタ15と、このコンタクタ15を介して供給される3相電源電圧の電流値を検出する変流器16と、コンバータ制御装置7から出力される制御信号に基づき、変流器16を介して供給される3相電源電圧をコンバートし、指定された電圧値の直流電圧を生成するコンバータ装置17と、このコンバータ装置17から出力される直流電圧の電流値を検出する電流検出器18と、コンバータ装置17から出力される直流電圧を平滑するコンデンサ19と、インバータ制御装置8aから出力される制御信号に基づき、コンデンサ19によって平滑化された直流電圧をインバートし、指定された周波数の3相駆動電圧を生成するインバータ装置20と、このインバータ装置20から出力される3相駆動電圧の電流値を検出する変流器21と、インバータ装置20から出力される3相駆動電圧を導通/遮断するコンタクタ22とを備えている。
【0026】
また、コンバータ制御装置7は、通信線23を介して、インバータ制御装置8aと通信を行いながら、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果、回転センサ12から出力される回転速度検出信号、インバータ制御装置8aから供給される電圧値指示などに基づき、制御信号を生成して、各コンバータ装置17から出力される直流電圧の電圧値を制御するコンバータ制御部などを備えている。
【0027】
また、インバータ制御装置8aは、図2に示すように、各駆動装置5、6が正常に動作しているとき、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果など基づき、通常の運転パターンとなる、通常時の速度指令パターンを出力し、また各駆動装置5、6のいずれかが故障したとき、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果など基づき、救出運転パターンとなる、救出時の速度指令パターンを出力する速度パターン部24aと、速度パターン部24aから出力される速度指令パターンと回転センサ12から出力される回転速度検出信号の値(回転速度“θ”)と比較し、これらを一致させるのに必要な速度制御指示を出力する速度制御部25と、速度制御部25から出力される速度制御指示に応じた電圧値指示を生成して、通信線23で接続されているコンバータ制御装置7に供給するとともに、速度制御指示に応じた周波数指示など示す制御信号を生成し、各駆動装置5、6から速度制御指示に応じた周波数の3相駆動電圧を出力させるインバータ制御部26とを備えている。
【0028】
次に、図3のフローチャートを参照しながら、エレベータシステム1aの動作を説明する。
【0029】
まず、各駆動装置5、6が正常に動作しているとき、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果などに基づき、インバータ制御装置8bと、コンバータ制御装置7とによって各駆動装置5、6が制御されて、通常時の速度指令パターンに対応した電圧値、周波数の3相駆動電圧が出力され、これにより指定された階から指定された階にまで乗りかご2が移動する(ステップS1、S2)。
【0030】
また、各駆動装置5、6に何らかの故障、例えば駆動装置5側のインバータ装置20で過電流異常などの故障が発生すると、異常検出装置(図示は省略する)などによって、各検出器などから出力される各検出結果がチェックされて、どの部分で、どのような異常が発生したかを示すエラーコードが生成され、不揮発性メモリなどに記憶される(ステップS2)。
【0031】
次いで、異常検出装置からの停止指示などに基づき、各駆動装置5、6の運転が停止させられて、乗りかご2が運転停止状態にされるとともに(ステップS3)、各駆動装置5、6の各コンタクタ15、22が開状態にされて、商用電源4と、各駆動装置5、6と、巻上機11とが切り離される(ステップS4)。
【0032】
この後、不揮発性メモリなどに記憶されているエラーコードが解析されて、各駆動装置5、6のどちらが故障しているか調査され、この調査結果に基づき、故障していない駆動装置6の各コンタクタ15、22が閉状態にされて、商用電源4と、駆動装置6と、巻線機11とが接続される(ステップS6)。
【0033】
次いで、速度パターン部24aから、救出時の速度指令パターンが出力されるとともに(ステップS7)、インバータ制御部26によって、救出時の速度指令パターンに応じた電圧値指示が生成され、これがコンバータ制御装置7に供給されて、駆動装置6のコンバータ装置17から電圧値指示に応じた電圧値の直流電圧が出力される。
【0034】
また、この動作と並行し、インバータ制御部26によって、正常な駆動装置6側に設けられたインバータ装置20の制御が開始される。このインバータ装置20から救出時の速度指令パターンに応じた電圧値、周波数の3相駆動電圧が出力されて、巻線機11が起動され、救出時の速度指令パターンに応じた速度で、乗りかご2が上昇、または下降し、最寄り階で停止する(ステップS8)。
【0035】
この際、次の(1)式で示す「定常上昇トルク式」、(2)式で示す「上昇加速トルク式」、(3)式で示す「上昇減速トルク式」、(4)式で示す「電流式」から明らかなように、乗りかご2を上昇、または下降させているとき、加速度、減速度を除いた他の要素が固定値になることから、加速度“α”と、減速度“β”とをインバータ装置20の最大出力以下の値にするだけで、巻線機11のモータトルク、モータ電流を抑制することができ、これによって故障した駆動装置5を切り離し、正常な駆動装置6のみで、乗りかご2を加速運転、定速運転、減速運転させて、中の乗客を救出することができる。
【0036】
【数1】
例えば、オーバーバランスが“0.48”であれば、乗りかご2の乗客が満員である全負荷上昇運転の加速時に、巻線機11のモータ電流値が最大になることから、全負荷上昇運転時に加速度“α”を発生させるのに必要なモータ電流値と、駆動装置6から出力させることができるモータ電流値(最大モータ電流値)とが一致するように、全負荷上昇運転時の加速度“α”を設定するとともに、加速度“α”に対応したモータ電流値と、減速度“β”に対応するモータ電流値とを同一値に設定することにより、正常な駆動装置6を過負荷状態にすことなく、乗りかご2を救出運転させて、乗客を救出することができる。
【0037】
このように、第1の実施形態では、各駆動装置5、6のいずれか、例えば駆動装置5が故障したとき、故障した駆動装置5を切り離した後、通常運転パターンより小さな加速度、減速度にされた救出運転パターンで、正常な駆動装置6から3相駆動電圧を出力させて、最寄りの階まで、乗りかご2を移動し、乗客を救出するようにしているので、各駆動装置5、6のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内まで、加減速時のモータ電流を抑制しつつ、通常運転時の定格速度まで加速して、乗りかご2を運転することができ、これによって乗りかご2を救出運転する行程が長くなっても、各駆動装置5、6のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くすることができる。
【0038】
《第2の実施形態》
図4は本発明によるエレベータシステムの第2の実施形態を示すブロック図である。なお、この図において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
【0039】
この図に示すエレベータシステム1bが図1に示すエレベータシステム1aと異なる点は、乗りかご2の下部に荷重検出器27を取り付けるとともに、乗りかご2を救出運転させるとき、乗りかご2を上昇方向(または、下降方向)にのみ運転させるインバータ制御装置8aに代えて、荷重検出器27の検出結果に応じて、乗りかご2を上昇方向、または下降方向のどちらに運転させた方がモータ電流を小さくできるか判定し、この判定結果に応じて、乗りかご2の運転方向を決定して、乗りかご2を救出運転させるインバータ制御装置8bを設けたことである。
【0040】
次に、図5のフローチャートを参照しながら、エレベータシステム1bの動作を説明する。
【0041】
まず、各駆動装置5、6が正常に動作しているとき、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果などに基づき、インバータ制御装置8bと、コンバータ制御装置7とによって各駆動装置5、6が制御されて、通常時の速度指令パターンに対応した電圧値、周波数の3相駆動電圧が出力され、これにより指定された階から指定された階にまで乗りかご2が移動する(ステップS11、S12)。
【0042】
また、各駆動装置5、6に何らかの故障、例えば駆動装置5側のインバータ装置20で過電流異常などの故障が発生すると、異常検出装置(図示は省略する)などによって、各検出器などから出力される各検出結果がチェックされて、どの部分で、どのような異常が発生したかを示すエラーコードが生成され、不揮発性メモリなどに記憶される(ステップS12)。
【0043】
次いで、異常検出装置からの停止指示などに基づき、各駆動装置5、6の運転が停止させられて、乗りかご2が運転停止状態にされるとともに(ステップS13)、各駆動装置5、6の各コンタクタ15、22が開状態にされて、商用電源4と、各駆動装置5、6と、巻上機11とが切り離される(ステップS14)。
【0044】
この後、不揮発性メモリなどに記憶されているエラーコードが解析されて、各駆動装置5、6のどちらが故障しているか調査され、この調査結果に基づき、故障していない駆動装置6の各コンタクタ15、22が閉状態にされて、商用電源4と、駆動装置6と、巻線機11とが接続される(ステップS16)。
【0045】
次いで、速度パターン部24bによって、通常時の運転パターンに対応した速度指令パターンに代えて、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターン、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンが選択されるとともに(ステップS17)、荷重検出器27から出力される荷重検出信号が取り込まれて(ステップS18)、荷重検出信号の値(検出荷重“W”)と、ロードバランス時の値(設定荷重“WBL”)とが比較される。
【0046】
そして、オーバーバランスが“0.48”であれば、乗りかご2が満員になり、全負荷上昇を行わせるときの加速時に、巻線機11のモータ電流値が最大になることから、乗りかご2が満員であるとき(ステップS19)、すなわち検出荷重“W”が設定荷重“WBL”より大きいとき(W≧WBL)、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターン、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンのうち、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンに基づき、インバータ制御装置8bと、コンバータ制御装置7とにより、正常な駆動装置6の制御が開始されて、乗りかご2が下降させられれ、最寄り階で停止する(ステップS20)。
【0047】
また、オーバーバランスが“0.48”であれば、乗りかご2が空になり、無負荷で下降させているときの加速時に、巻線機11のモータ電流値が最大になることから、乗りかご2内の乗客数が予め設定されている数に満たないとき(ステップS19)、すなわち検出荷重“W”が設定荷重“WBL”より小さいとき(W<WBL)、速度パターン部24bによって、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンが選択されるとともに、この速度指令パターンに基づき、インバータ制御装置8bと、コンバータ制御装置7とによって、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2が上昇して最寄り階で停止する(ステップS21)。
【0048】
このように、第2の実施形態では、各駆動装置5、6のいずれか、例えば駆動装置5が故障したとき、故障した駆動装置5を切り離した後、乗りかご2の荷重に応じて、乗りかご2の運転方向を決定させ、通常の運転パターンより小さな加速度、減速度にされた救出運転パターンで、正常な駆動装置6から3相駆動電圧を出力させ、最寄りの階まで乗りかご2を移動させ、乗客を救出させるようにしているので、各駆動装置5、6のいずれかが故障したとき、乗りかご2に乗り込んでいる乗客の数に応じて、乗りかご2の救出運転方向(上昇、または下降)を決定させて、正常な駆動装置の定格出力の範囲内で、加減速時のモータ電流を最適化させながら、通常運転時の定格速度まで加速させて、乗りかご2を運転させることができ、これによって乗りかご2を救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置5、6のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くすることができる。
【0049】
《第3の実施形態》
図6は本発明によるエレベータシステムの第3の実施形態を示すブロック図である。なお、この図において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
【0050】
この図に示すエレベータシステム1cが図1に示すエレベータシステム1aと異なる点は、乗りかご2の下部に荷重検出器27を取り付けるとともに、乗りかご2を救出運転させるとき、乗りかご2を上昇方向(または、下降方向)にのみ運転させるインバータ制御装置8aに代えて、荷重検出器27の検出結果に応じて、モータ電流を小さくさせることができるように、乗りかご2の運転方向(上昇方向、または下降方向)と、加速度、減速度を決定させ、乗りかご2を救出運転させるインバータ制御装置8cを設けたことである。
【0051】
次に、図7のフローチャートを参照しながら、エレベータシステム1cの動作を説明する。
【0052】
まず、各駆動装置5、6が正常に動作しているとき、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果などに基づき、インバータ制御装置8cと、コンバータ制御装置7とによって各駆動装置5、6が制御されて、通常時の速度指令パターンに対応した電圧値、周波数の3相駆動電圧が出力され、これにより指定された階から指定された階にまで乗りかご2が移動する(ステップS25、S26)。
【0053】
また、各駆動装置5、6に何らかの故障、例えば駆動装置5側のインバータ装置20で過電流異常などの故障が発生すると、異常検出装置(図示は省略する)などによって、各検出器などから出力される各検出結果がチェックされて、どの部分で、どのような異常が発生したかを示すエラーコードが生成され、不揮発性メモリなどに記憶される(ステップS26)。
【0054】
次いで、異常検出装置からの停止指示などに基づき、各駆動装置5、6の運転が停止させられて、乗りかご2が運転停止状態にされるとともに(ステップS27)、各駆動装置5、6の各コンタクタ15、22が開状態にされて、商用電源4と、各駆動装置5、6と、巻上機11とが切り離される(ステップS28)。
【0055】
この後、不揮発性メモリなどに記憶されているエラーコードが解析されて、各駆動装置5、6のどちらが故障しているか調査され(ステップS29)、この調査結果に基づき、故障していない駆動装置6の各コンタクタ15、22が閉状態にされて、商用電源4と、駆動装置6と、巻線機11とが接続される(ステップS30)。
【0056】
次いで、速度パターン部24cによって、荷重検出器27から出力される荷重検出信号が取り込まれ(ステップS31)、図8(a)、(b)に示すように、荷重検出信号で示される検出荷重“W”が大きくなるほど、乗りかご2の加速度“α”が小さくなるように、かつ減速度“β”が大きくなるように、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンが修正されるとともに、図9に示すように、検出荷重“W”が小さくなるほど、乗りかごの加速度“α”が小さくなるように、かつ減速度“β”が大きくなるように、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンが修正される(ステップS32)。
【0057】
この後、速度パターン部24cによって、荷重検出信号の値(検出荷重“W”)と、ロードバランス時の値(設定荷重“WBL”)とが比較され、検出荷重“W”が設定荷重“WBL”より大きいとき(W≧WBL)、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンが選択されるとともに、インバータ制御装置8cと、コンバータ制御装置7とにより、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2が下降して最寄り階で停止する(ステップS33、S34)。
【0058】
また、検出荷重“W”が設定荷重“WBL”より小さいとき(W<WBL)、速度パターン部24cによって、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンが選択されるとともに、インバータ制御装置8cと、コンバータ制御装置7とにより、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2が上昇して最寄り階で停止する(ステップS33、S35)。
【0059】
このように、第3の実施形態では、各駆動装置5、6のいずれか、例えば駆動装置5が故障したとき、故障した駆動装置5を切り離した後、乗りかご2の荷重に応じて、乗りかご2の運転方向(上昇方向、または下降方向)を決定させ、その加速度と、減速度とを最適な値に修正させ、通常運転パターンより小さな加速度、減速度にされた救出運転パターンで、正常な駆動装置6から3相駆動電圧を出力させ、最寄りの階まで、乗りかご2を移動させ、乗客を救出させるようにしているので、各駆動装置5、6のいずれかが故障したとき、乗りかご2に乗り込んでいる乗客の数に応じて、乗りかご2の救出運転方向(上昇、または下降)と、加速度と、減速度とを最適化させて、乗りかご2を運転させることができ、これによって乗りかご2を救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置5、6のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くすることができる。
【0060】
《第4の実施形態》
図10は本発明によるエレベータシステムの第4の実施形態を示すブロック図である。なお、この図において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
【0061】
この図に示すエレベータシステム1dが図1に示すエレベータシステム1aと異なる点は、乗りかご2の位置を検出するかご位置検出器28を取り付けるとともに、乗りかご2を救出運転させるとき、乗りかご2を上昇方向(または、下降方向)にのみ運転させるインバータ制御装置8aに代えて、各駆動装置5、6のいずれか一方から出力可能な最大モータ電流値以下となるように、全負荷上昇時の加速度“α”、減速度“β”、または無負荷下降時の加速度“α”、減速度“β”を決定して、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンと、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンとを作成した後、かご位置検出器28によって検出された乗りかご2の位置と、予め設定されている各救出階位置とに基づき、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターン、または乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンのいずれか一方を用いて、乗りかご2を救出運転させるインバータ制御装置8dを設けたことである。
【0062】
次に、図11のフローチャートを参照しながら、エレベータシステム1dの動作を説明する。
【0063】
まず、各駆動装置5、6が正常に動作しているとき、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果などに基づき、インバータ制御装置8dと、コンバータ制御装置7とによって各駆動装置5、6が制御されて、通常時の速度指令パターンに対応した電圧値、周波数の3相駆動電圧が出力され、これにより指定された階から指定された階にまで乗りかご2が移動する(ステップS41、S42)。
【0064】
また、各駆動装置5、6に何らかの故障、例えば駆動装置5側のインバータ装置20で過電流異常などの故障が発生すると、異常検出装置(図示は省略する)などによって、各検出器などから出力される各検出結果がチェックされて、どの部分で、どのような異常が発生したかを示すエラーコードが生成され、不揮発性メモリなどに記憶される(ステップS42)。
【0065】
次いで、異常検出装置からの停止指示などに基づき、各駆動装置5、6の運転が停止させられて、乗りかご2が運転停止状態にされるとともに(ステップS43)、各駆動装置5、6の各コンタクタ15、22が開状態にされて、商用電源4と、各駆動装置5、6と、巻上機11とが切り離される(ステップS44)。
【0066】
この後、不揮発性メモリなどに記憶されているエラーコードが解析されて、各駆動装置5、6のどちらが故障しているか調査され(ステップS45)、この調査結果に基づき、故障していない駆動装置6の各コンタクタ15、22が閉状態にされて、商用電源4と、駆動装置6と、巻線機11とが接続されるとともに(ステップS46)、インバータ制御装置8dの速度パターン部24dによって、かご位置検出器28で検出された乗りかご2の位置情報が取り込まれて、メモリに記憶される(ステップS47)。
【0067】
次いで、速度パターン部24dによって、正常な駆動装置6から出力可能な最大モータ電流値以下となるように、全負荷上昇時の加速度“α”、減速度“β”、または無負荷下降時の加速度“α”、減速度“β”が決定されて、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンと、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンとが作成される(ステップS48)。
【0068】
この後、速度パターン部24dによって、メモリに記憶されている乗りかご2の位置情報と、予め設定されている各救出階の位置とに基づき、乗りかご2の現在位置から最も近い救出階が求められ(ステップS49)、この救出階が乗りかご2の現在位置より下にあれば、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンが選択されるとともに、インバータ制御装置8dと、コンバータ制御装置7とによって、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンに応じた速度で、乗りかご2が下降させられて、救出階で停止させられる(ステップS50、S51)。
【0069】
また、乗りかご2の現在位置から最も近い救出階が乗りかご2の現在位置より上にあれば(ステップS50)、速度パターン部24dによって、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンが選択されるとともに、インバータ制御装置8dと、コンバータ制御装置7とによって、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンに応じた速度で、乗りかご2が上昇させられて、救出階で停止させられる(ステップS52)。
【0070】
このように、第4の実施形態では、各駆動装置5、6のいずれか、例えば駆動装置5が故障したとき、故障した駆動装置5を切り離した後、正常な駆動装置6から出力可能な最大モータ電流値以下となるように、全負荷上昇時の加速度“α”、減速度“β”、または無負荷下降時の加速度“α”、減速度“β”を決定させるとともに、乗りかご2の位置と、救出階の位置とに応じて、乗りかご2の運転方向を決定させて、通常運転パターンより小さな加速度、減速度にされた救出運転時の速度指令パターンを作成させ、最寄りの救出階まで、乗りかご2を移動させて、乗客を救出させるようにしているので、各駆動装置5、6のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内で、加減速時のモータ電流を最適化させながら、乗りかご2の停止位置と、救出階の位置とに応じて、乗りかごの運転方向(上昇、または下降)を決めて、乗りかご2を運転させることができ、これによって各駆動装置5、6のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くすることができる。
【0071】
《第5の実施形態》
図12は本発明によるエレベータシステムの第5の実施形態を示すブロック図である。なお、この図において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
【0072】
この図に示すエレベータシステム1eが図1に示すエレベータシステム1aと異なる点は、乗りかご2の位置を検出するかご位置検出器28を取り付けるとともに、乗りかご2の下部に荷重検出器27を取り付け、さらに乗りかご2を救出運転させるとき、乗りかご2を上昇方向(または、下降方向)にのみ運転させるインバータ制御装置8aに代えて、荷重検出器27によって検出された検出荷重“W”に基づき、乗りかご2を上昇させるときの加速度“α”、減速度“β”、乗りかご2を下降させるときの加速度“α”、減速度“β”を求めさせるとともに、かご位置検出器28によって検出された乗りかご2の位置と、予め設定されている各救出階位置とに基づき、乗りかご2を上昇させて、乗りかご2より上にある救出階まで移動させるときに必要な救出運転時の速度指令パターンと、乗りかご2を下降させて、乗りかご2より下にある救出階まで移動させるときに必要な救出運転時の速度指令パターンとを求めさせ、これら各速度指令パターンのうち、運転時間が短い方を選択させて、乗りかご2を救出運転させるインバータ制御装置8eを設けたことである。
【0073】
次に、図13のフローチャートを参照しながら、エレベータシステム1eの動作を説明する。
【0074】
まず、各駆動装置5、6が正常に動作しているとき、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果などに基づき、インバータ制御装置8eと、コンバータ制御装置7とによって各駆動装置5、6が制御されて、通常時の速度指令パターンに対応した電圧値、周波数の3相駆動電圧が出力され、指定された階から指定された階にまで、乗りかご2が移動させられ、乗客が乗り降りさせられる(ステップS61、S62)。
【0075】
また、各駆動装置5、6に何らかの故障、例えば駆動装置5側のインバータ装置20で過電流異常などの故障が発生すると、異常検出装置(図示は省略する)などによって、各検出器などから出力される各検出結果がチェックされて、どの部分で、どのような異常が発生したかを示すエラーコードが生成され、不揮発性メモリなどに記憶される(ステップS62)。
【0076】
次いで、異常検出装置からの停止指示などに基づき、各駆動装置5、6の運転が停止させられて、乗りかご2が運転停止状態にされるとともに(ステップS63)、各駆動装置5、6の各コンタクタ15、22が開状態にされて、商用電源4と、各駆動装置5、6と、巻上機11とが切り離される(ステップS64)。
【0077】
この後、不揮発性メモリなどに記憶されているエラーコードが解析されて、各駆動装置5、6のどちらが故障しているか調査され(ステップS65)、この調査結果に基づき、故障していない駆動装置6の各コンタクタ15、22が閉状態にされて、商用電源4と、駆動装置6と、巻線機11とが接続されるとともに(ステップS66)、インバータ制御装置8eの速度パターン部24eによって、荷重検出器27から出力される荷重検出信号の値(検出荷重“W”)と、かご位置検出器28で検出された乗りかごの位置情報とが取り込まれて、メモリに記憶される(ステップS67、S68)。
【0078】
次いで、速度パターン部24eによって、メモリに記憶されている検出荷重“W”、駆動装置6から出力可能な最大モータ電流値が参照されて、乗りかご2を上昇させるときの加速度“α”、減速度“β”、乗りかご2を下降させるときの加速度“α”、減速度“β”が求められるとともに、かご位置検出器28によって検出された乗りかご2の位置と、予め設定されている各救出階位置とが比較され、これらの各比較結果に基づき、乗りかご2を上昇させて、乗りかご2より上にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンと、乗りかご2を下降させて、乗りかご2より下にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンとが作成される(ステップS69)。
【0079】
この後、速度パターン部24eによって、これら各速度指令パターンの運転時間が比較され、乗りかご2を下降させる速度指令パターンの方が乗りかご2を上昇させる速度指令パターンより、短い運転時間で、乗りかご2を救出階に到達させることができるとき(ステップS70、S71)、インバータ制御装置8eと、コンバータ制御装置7とによって、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンに応じた速度で、乗りかご2が下降させられて、救出階で停止させられる(ステップS72)。
【0080】
また、乗りかご2を上昇させる速度指令パターンの方が乗りかご2を下降させる速度指令パターンより、短い運転時間で、乗りかご2を救出階に到達させることができるときには(ステップS71)、インバータ制御装置8eと、コンバータ制御装置7とによって、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンに応じた速度で、乗りかご2が上昇させられて、救出階で停止させられる(ステップS73)。
【0081】
このように、第5の実施形態では、各駆動装置5、6のいずれか、例えば駆動装置5が故障したとき、故障した駆動装置5を切り離した後、荷重検出器27によって検出された検出荷重“W”に基づき、乗りかご2を上昇させるときの加速度“α”、減速度“β”、乗りかご2を下降させるときの加速度“α”、減速度“β”を求めさせるとともに、かご位置検出器28によって検出された乗りかご2の位置と、予め設定されている各救出階位置とに基づき、乗りかご2を上昇させて、乗りかご2より上にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンと、乗りかご2を下降させて、乗りかご2より下にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンとを求めさせ、これら各速度指令パターンのうち、運転時間が短い方を選択させて、乗りかご2を救出運転させるようにしているので、各駆動装置5、6のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内で、乗りかご2に乗り込んでいる乗客の数に応じて、加減速時のモータ電流を最適化させながら、時間的に近い方の救出階へ乗りかご2を運転させることができ、これによって各駆動装置5、6のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くすることができる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、各駆動装置のいずれかが故障したとき、乗りかごを救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエレベータシステムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すエレベータシステムで使用される通常時の速度指令パターンと、救出運転時の速度指令パターンの一例を示す模式図である。
【図3】図1に示すエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図4】本発明によるエレベータシステムの第2の実施形態を示すブロック図である。
【図5】図4に示すエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図6】本発明によるエレベータシステムの第3の実施形態を示すブロック図である。
【図7】図6に示すエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図8】図6に示すエレベータシステムにおける、乗りかごを上昇運転させるときの加速度例、減速度例、速度指令パターン例を示す模式図である。
【図9】図6に示すエレベータシステムにおける、乗りかごを下降運転させるときの加速度例、減速度例を示す模式図である。
【図10】本発明によるエレベータシステムの第4の実施形態を示すブロック図である。
【図11】図10に示すエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図12】本発明によるエレベータシステムの第5の実施形態を示すブロック図である。
【図13】図12に示すエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図14】従来から知られているエレベータシステムの一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1a〜1e:エレベータシステム
2:乗りかご
3:駆動機構
4:商用電源
5:駆動装置
6:駆動装置
7:コンバータ制御装置(制御装置)
8a〜8e:インバータ制御装置(制御装置)
9:カウンターウェート
10:メインロープ
11:巻上機
12:回転センサ
13:コンペン
14:コンペンシープ
15:コンタクタ
16:変流器
17:コンバータ装置
18:電流検出器
19:コンデンサ
20:インバータ装置
21:変流器
22:コンタクタ
23:通信線
24a〜24e:速度パターン部
25:速度制御部
26:インバータ制御部
27:荷重検出器
28:かご位置検出器
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物などに設置された乗りかごを運転させて、乗客を目的階まで移動させるエレベータシステムに係わり、特に各駆動装置の1つが故障しても、残っている駆動装置を運転させて、乗客を救出させるエレベータシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高層化された建物では、乗客の大量輸送を行うことができる、大容量の超々高速エレベータシステムや、上かごと下かごとを連結させ、一度に2台分の乗客まを輸送させることができるダブルデッキエレベータシステムなどが設置されることが多い。
【0003】
そして、このようなエレベータシステムでは、容量が大きい多巻線型の巻上機を設置し、複数の駆動装置を使用して、巻上機を駆動させることが多い。
【0004】
図14は、このような複数の駆動装置を持つエレベータシステムの一例を示すブロック図である。
【0005】
この図に示すエレベータシステム101は、建物の昇降路内に昇降自在に設けられた乗りかご102を昇降させる駆動機構103と、商用電源122から供給される3相電源電圧を用いて複数の3相駆動電圧を生成する複数の駆動装置104、105と、各駆動装置104、105を制御して、商用電源122から出力される3相電源電圧をコンバートさせて、運転パターンに対応した複数の直流電圧を生成させるコンバータ制御装置106と、各駆動装置104、105を制御して、各直流電圧をインバートさせ、運転パターンに対応した周波数の3相駆動電圧を生成させて、駆動機構103を動作させるインバータ制御装置107とを備えている。そして、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご102内に設けられた呼び入力装置などが操作されたとき、これら各呼び入力装置の操作内容、予め設定されている運転パターンなどに基づき、コンバータ制御装置106、インバータ制御装置107によって、各駆動装置104、105を制御させて、指定された階から指定された階にまで乗りかご102を移動する。
【0006】
駆動機構103は、乗りかご102の重量と対応する重量にされ、昇降路内に昇降自在に配置されるカウンターウェート108と、カウンターウェート108の上部と乗りかごと102の上部とを連結するメインロープ109と、各駆動装置104、105から出力される複数の3相駆動電圧を用いて、メインロープ109を走行させ、乗りかご102を昇降させる多巻線型の巻上機110と、乗りかご102の下部とカウンターウェート108の下部とを連結するコンペン111と、コンペン111の走行をサポートするコンペンシープ112とを備えており、各駆動装置104、105から出力される複数の3相駆動電圧を用いて駆動力を発生し、乗りかご102を昇降、停止させる。
【0007】
また、各駆動装置104、105は各々、商用電源122から供給される3相電源電圧を導通/遮断するコンタクタ113と、このコンタクタ113を介して供給される3相電源電圧の電流値を検出する変流器114と、コンバータ制御装置106から出力される制御信号に基づき、変流器114を介して供給される3相電源電圧をコンバートし、指定された電圧値の直流電圧を生成するコンバータ装置115と、このコンバータ装置115から出力される直流電圧の電流値を検出する電流検出器116と、コンバータ装置115から出力される直流電圧を平滑するコンデンサ117と、インバータ制御装置107から出力される制御信号に基づき、コンデンサ117によって平滑化された直流電圧をインバートし、指定された周波数の3相駆動電圧を生成するインバータ装置118と、このインバータ装置118から出力される3相駆動電圧の電流値を検出する変流器119と、インバータ装置118から出力される3相駆動電圧を導通/遮断するコンタクタ120とを備えており、各コンタクタ113、120が投入されているとき、コンバータ制御装置106、インバータ制御装置107から出力される各制御信号に基づき、商用電源122から供給される3相電源電圧をコンバート、インバートして、指定された電圧値、周波数を持つ3相駆動電圧を生成し、駆動機構103の巻上機110を駆動する。
【0008】
また、コンバータ制御装置106は、通信線121を介して、インバータ制御装置107と通信を行いながら、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご102内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器114、119、各電流検出器116などから出力される検出結果、インバータ制御装置107から供給される電圧値指示などに基づき、制御信号を生成して、各コンバータ装置115から出力される直流電圧の電圧値を制御するコンバータ制御部などを備えており、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご102内に設けられた呼び入力装置などが操作されたとき、これら各呼び入力装置の操作内容、各変流器114、119、各電流検出器116などから出力される検出結果、インバータ制御装置107から供給される電圧値指示などに基づき、制御信号を生成し、各駆動装置104、105の各コンバータ装置115から運転パターンに対応する電圧値の直流電圧を出力させる。
【0009】
また、インバータ制御装置107は、通信線121を介して、コンバータ制御装置106と通信を行いながら、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご102内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器114、119、各電流検出器116などから出力される検出結果、予め設定されている運転パターンなどに基づき、制御信号を生成して、各インバータ装置118から出力される3相駆動電圧の周波数などを制御するインバータ制御部などを備えている。そして、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご102内に設けられた呼び入力装置などが操作されたとき、これら各呼び入力装置の操作内容、各変流器114、119、各電流検出器116などから出力される検出結果、予め設定されている運転パターンなどに基づき、コンバータ制御装置106と協調しながら、制御信号を生成し、各駆動装置104、105の各インバータ装置118から運転パターンに対応する周波数の3相駆動電圧を出力させ、駆動機構103の巻上機110を駆動させる。なお、先行技術文献としては以下のものがある。
【0010】
【特許文献1】
特開昭63−230487号
【0011】
【特許文献2】
特開平02−249883号
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなエレベータシステム101では、設備コスト上の関係から、2つの駆動装置104、105から出力される各3相駆動電圧を合成した電流によって、巻線機110を駆動させることができるように、各駆動装置104、105から出力される各3相駆動電圧の電流値を決めているので、これら各駆動装置104、105のいずれか一方が故障すると、乗りかご102を昇降させることができなくなり、閉じ込め事故が発生してしまうという問題があった。
【0013】
特に、近年の建物のように、高層化が進んだ建物に設置されるエレベータシステムでは、高層化された分だけ、乗りかご102の行程を長くさせなければならず、また多数の乗客を輸送させるために、乗りかご102を大きくさせなければならないことから、閉じ込め事故が発生し、手巻き救出などによって、乗りかご102内の乗客を救出させるとき、長い距離に渡り、乗りかご102を移動させなければならず、その分だけ多大な労力と、長い時間とが必要になり、閉じ込め状態も長時間になってしまうという問題があった。
【0014】
そこで、このような問題を解決する1つの方法として、各駆動装置104、105のうち、異常になった駆動装置、例えば駆動装置104を切り離して、残っている駆動装置105を通常時と同様な運転パターンで、運転させ、乗りかご102内に閉じ込められている乗客を救出させることも考えられるが、このような方法では、駆動装置105に大きな負荷がかかり、乗客を救出する前に、駆動装置105が故障してしまう恐れがある。
【0015】
また、このような問題を解決する他の方法として、各駆動装置104、105のうち、異常になった駆動装置104を切り離して、残っている駆動装置105を低速で、運転させ、乗りかご102内に閉じ込められている乗客を救出させることも考えられるが、このような方法では、低速にさせる分だけ、長い時間、乗りかご102を移動させなければならず、乗りかご102内の乗客を救出するまでに、時間が掛かりすぎて、乗客を不安にさせてしまうという問題がある。
【0016】
本発明は上記の事情に鑑み、各駆動装置のいずれかが故障したとき、乗りかごを救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置のいずれかが故障してから乗客を救出できるまでの時間を短くすることができるエレベータシステムを提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、請求項1では、複数の駆動装置によって得られた複数の駆動電圧を多巻線型の巻上機に供給して、乗りかごを昇降させるエレベータシステムにおいて、前記各駆動装置のいずれかが故障したとき、制御装置によって、加減速度を通常以下にした救出運転パターンを用いさせて、正常な駆動装置を動作させ、前記乗りかごを救出運転させる。これにより、各駆動装置のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内まで、加減速時のモータ電流を抑制させながら、通常運転時の定格速度まで加速させて、乗りかごを運転させ、これによって乗りかごを救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くする。
【0018】
また、請求項2では、請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、前記乗りかごに取り付けられた荷重検出器の検出結果に基づき、前記制御装置によって、上昇方向、または下降方向のどちらに乗りかごを運転させた方が前記巻上機のモータ電流を小さくできるかを判定させ、この判定結果に基づき、乗りかごの運転方向を決定させるとともに、加減速度を通常以下にした救出運転パターンを用いさせて、正常な駆動装置を動作させ、前記乗りかごを救出運転させる。これにより、各駆動装置のいずれかが故障したとき、乗りかごに乗り込んでいる乗客の数に応じて、乗りかごの救出運転方向(上昇、または下降)を決定させて、正常な駆動装置の定格出力の範囲内で、加減速時のモータ電流を最適化させながら、通常運転時の定格速度まで加速させて、乗りかごを運転させ、これによって乗りかごを救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くする。
【0019】
また、請求項3では、請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、前記乗りかごに取り付けられた荷重検出器の検出結果に基づき、前記制御装置によって、前記巻上機のモータ電流を小さくさせるように、前記乗りかごの運転方向(上昇方向、または下降方向)と、加速度、減速度を決定させるとともに、これら加速度、減速度にされた救出運転パターンを用いさせて、正常な駆動装置を動作させ、前記乗りかごを救出運転させる。これにより、各駆動装置のいずれかが故障したとき、乗りかごに乗り込んでいる乗客の数に応じて、乗りかごの救出運転方向(上昇、または下降)と、加速度、減速度とを最適化させて、乗りかごを運転させ、これによって乗りかごを救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くする。
【0020】
また、請求項4では、請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、前記制御装置によって、正常な駆動装置から出力可能な最大モータ電流値以下となるように、全負荷上昇時、または無負荷下降時の加速度“α”、減速度“β”を決定させて、救出運転時の速度指令パターンを作成させるとともに、かご位置検出器で検出された乗りかごの位置と、予め設定されている救出階位置とに基づき、乗りかごの運転方向(上昇、または下降)を決めさせて、正常な駆動装置を動作させ、前記乗りかごを救出運転させる。これにより、各駆動装置のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内で、加減速時のモータ電流を最適化させながら、乗りかごの停止位置と、救出階の位置とに応じて、乗りかごの運転方向(上昇、または下降)を決めさせて、乗りかごを運転させ、これによって各駆動装置のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くする。
【0021】
また、請求項5では、請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、前記制御装置によって、荷重検出器で検出された検出荷重“W”に基づき、乗りかごを上昇させるときの加速度“α”、減速度“β”、乗りかごを下降させるときの加速度“α”、減速度“β”を求めさせるとともに、かご位置検出器で検出された乗りかごの位置と、予め設定されている救出階位置とに基づき、乗りかごを上昇させて、乗りかごより上にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンと、乗りかごを下降させて、乗りかごより下にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンとを求めさせ、これら各速度指令パターンのうち、運転時間が短い方を選択させて、乗りかごを救出運転させる。これにより、各駆動装置のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内で、乗りかごに乗り込んでいる乗客の数に応じて、加減速時のモータ電流を最適化させながら、乗りかごを近い方の救出階へ運転させ、これによって各駆動装置のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くする。
【0022】
【発明の実施の形態】
《第1の実施形態》
図1は本発明によるエレベータシステムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【0023】
この図に示すエレベータシステム1aは、建物の昇降路内に昇降自在に設けられた乗りかご2を昇降させる駆動機構3と、商用電源4から供給される3相電源電圧を用いて複数の3相駆動電圧を生成する複数の駆動装置5、6と、各駆動装置5,6を制御して、商用電源4から出力される3相電源電圧をコンバートさせ、運転パターンに対応した複数の直流電圧を生成させるコンバータ制御装置7と、各駆動装置5、6を制御して、各直流電圧をインバートさせ、運転パターンに対応した周波数の3相駆動電圧を生成させ、駆動機構3を動作させるインバータ制御装置8aとを備えている。
【0024】
駆動機構3は、乗りかご2の重量と対応する重量にされ、昇降路内に昇降自在に配置されるカウンターウェート9と、カウンターウェート9の上部と乗りかご2との上部とを連結するメインロープ10と、各駆動装置5、6から出力される2つの3相駆動電圧を用いて、メインロープ10を走行させ、乗りかご2を昇降させる多巻線型の巻上機11と、巻上機11の回転数を検出する回転センサ12と、乗りかご2の下部とカウンターウェート9の下部とを連結するコンペン13と、コンペン13の走行をサポートするコンペンシープ14とを備えている。
【0025】
また、各駆動装置5,6は、商用電源4から供給される3相電源電圧を導通/遮断するコンタクタ15と、このコンタクタ15を介して供給される3相電源電圧の電流値を検出する変流器16と、コンバータ制御装置7から出力される制御信号に基づき、変流器16を介して供給される3相電源電圧をコンバートし、指定された電圧値の直流電圧を生成するコンバータ装置17と、このコンバータ装置17から出力される直流電圧の電流値を検出する電流検出器18と、コンバータ装置17から出力される直流電圧を平滑するコンデンサ19と、インバータ制御装置8aから出力される制御信号に基づき、コンデンサ19によって平滑化された直流電圧をインバートし、指定された周波数の3相駆動電圧を生成するインバータ装置20と、このインバータ装置20から出力される3相駆動電圧の電流値を検出する変流器21と、インバータ装置20から出力される3相駆動電圧を導通/遮断するコンタクタ22とを備えている。
【0026】
また、コンバータ制御装置7は、通信線23を介して、インバータ制御装置8aと通信を行いながら、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果、回転センサ12から出力される回転速度検出信号、インバータ制御装置8aから供給される電圧値指示などに基づき、制御信号を生成して、各コンバータ装置17から出力される直流電圧の電圧値を制御するコンバータ制御部などを備えている。
【0027】
また、インバータ制御装置8aは、図2に示すように、各駆動装置5、6が正常に動作しているとき、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果など基づき、通常の運転パターンとなる、通常時の速度指令パターンを出力し、また各駆動装置5、6のいずれかが故障したとき、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果など基づき、救出運転パターンとなる、救出時の速度指令パターンを出力する速度パターン部24aと、速度パターン部24aから出力される速度指令パターンと回転センサ12から出力される回転速度検出信号の値(回転速度“θ”)と比較し、これらを一致させるのに必要な速度制御指示を出力する速度制御部25と、速度制御部25から出力される速度制御指示に応じた電圧値指示を生成して、通信線23で接続されているコンバータ制御装置7に供給するとともに、速度制御指示に応じた周波数指示など示す制御信号を生成し、各駆動装置5、6から速度制御指示に応じた周波数の3相駆動電圧を出力させるインバータ制御部26とを備えている。
【0028】
次に、図3のフローチャートを参照しながら、エレベータシステム1aの動作を説明する。
【0029】
まず、各駆動装置5、6が正常に動作しているとき、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果などに基づき、インバータ制御装置8bと、コンバータ制御装置7とによって各駆動装置5、6が制御されて、通常時の速度指令パターンに対応した電圧値、周波数の3相駆動電圧が出力され、これにより指定された階から指定された階にまで乗りかご2が移動する(ステップS1、S2)。
【0030】
また、各駆動装置5、6に何らかの故障、例えば駆動装置5側のインバータ装置20で過電流異常などの故障が発生すると、異常検出装置(図示は省略する)などによって、各検出器などから出力される各検出結果がチェックされて、どの部分で、どのような異常が発生したかを示すエラーコードが生成され、不揮発性メモリなどに記憶される(ステップS2)。
【0031】
次いで、異常検出装置からの停止指示などに基づき、各駆動装置5、6の運転が停止させられて、乗りかご2が運転停止状態にされるとともに(ステップS3)、各駆動装置5、6の各コンタクタ15、22が開状態にされて、商用電源4と、各駆動装置5、6と、巻上機11とが切り離される(ステップS4)。
【0032】
この後、不揮発性メモリなどに記憶されているエラーコードが解析されて、各駆動装置5、6のどちらが故障しているか調査され、この調査結果に基づき、故障していない駆動装置6の各コンタクタ15、22が閉状態にされて、商用電源4と、駆動装置6と、巻線機11とが接続される(ステップS6)。
【0033】
次いで、速度パターン部24aから、救出時の速度指令パターンが出力されるとともに(ステップS7)、インバータ制御部26によって、救出時の速度指令パターンに応じた電圧値指示が生成され、これがコンバータ制御装置7に供給されて、駆動装置6のコンバータ装置17から電圧値指示に応じた電圧値の直流電圧が出力される。
【0034】
また、この動作と並行し、インバータ制御部26によって、正常な駆動装置6側に設けられたインバータ装置20の制御が開始される。このインバータ装置20から救出時の速度指令パターンに応じた電圧値、周波数の3相駆動電圧が出力されて、巻線機11が起動され、救出時の速度指令パターンに応じた速度で、乗りかご2が上昇、または下降し、最寄り階で停止する(ステップS8)。
【0035】
この際、次の(1)式で示す「定常上昇トルク式」、(2)式で示す「上昇加速トルク式」、(3)式で示す「上昇減速トルク式」、(4)式で示す「電流式」から明らかなように、乗りかご2を上昇、または下降させているとき、加速度、減速度を除いた他の要素が固定値になることから、加速度“α”と、減速度“β”とをインバータ装置20の最大出力以下の値にするだけで、巻線機11のモータトルク、モータ電流を抑制することができ、これによって故障した駆動装置5を切り離し、正常な駆動装置6のみで、乗りかご2を加速運転、定速運転、減速運転させて、中の乗客を救出することができる。
【0036】
【数1】
例えば、オーバーバランスが“0.48”であれば、乗りかご2の乗客が満員である全負荷上昇運転の加速時に、巻線機11のモータ電流値が最大になることから、全負荷上昇運転時に加速度“α”を発生させるのに必要なモータ電流値と、駆動装置6から出力させることができるモータ電流値(最大モータ電流値)とが一致するように、全負荷上昇運転時の加速度“α”を設定するとともに、加速度“α”に対応したモータ電流値と、減速度“β”に対応するモータ電流値とを同一値に設定することにより、正常な駆動装置6を過負荷状態にすことなく、乗りかご2を救出運転させて、乗客を救出することができる。
【0037】
このように、第1の実施形態では、各駆動装置5、6のいずれか、例えば駆動装置5が故障したとき、故障した駆動装置5を切り離した後、通常運転パターンより小さな加速度、減速度にされた救出運転パターンで、正常な駆動装置6から3相駆動電圧を出力させて、最寄りの階まで、乗りかご2を移動し、乗客を救出するようにしているので、各駆動装置5、6のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内まで、加減速時のモータ電流を抑制しつつ、通常運転時の定格速度まで加速して、乗りかご2を運転することができ、これによって乗りかご2を救出運転する行程が長くなっても、各駆動装置5、6のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くすることができる。
【0038】
《第2の実施形態》
図4は本発明によるエレベータシステムの第2の実施形態を示すブロック図である。なお、この図において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
【0039】
この図に示すエレベータシステム1bが図1に示すエレベータシステム1aと異なる点は、乗りかご2の下部に荷重検出器27を取り付けるとともに、乗りかご2を救出運転させるとき、乗りかご2を上昇方向(または、下降方向)にのみ運転させるインバータ制御装置8aに代えて、荷重検出器27の検出結果に応じて、乗りかご2を上昇方向、または下降方向のどちらに運転させた方がモータ電流を小さくできるか判定し、この判定結果に応じて、乗りかご2の運転方向を決定して、乗りかご2を救出運転させるインバータ制御装置8bを設けたことである。
【0040】
次に、図5のフローチャートを参照しながら、エレベータシステム1bの動作を説明する。
【0041】
まず、各駆動装置5、6が正常に動作しているとき、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果などに基づき、インバータ制御装置8bと、コンバータ制御装置7とによって各駆動装置5、6が制御されて、通常時の速度指令パターンに対応した電圧値、周波数の3相駆動電圧が出力され、これにより指定された階から指定された階にまで乗りかご2が移動する(ステップS11、S12)。
【0042】
また、各駆動装置5、6に何らかの故障、例えば駆動装置5側のインバータ装置20で過電流異常などの故障が発生すると、異常検出装置(図示は省略する)などによって、各検出器などから出力される各検出結果がチェックされて、どの部分で、どのような異常が発生したかを示すエラーコードが生成され、不揮発性メモリなどに記憶される(ステップS12)。
【0043】
次いで、異常検出装置からの停止指示などに基づき、各駆動装置5、6の運転が停止させられて、乗りかご2が運転停止状態にされるとともに(ステップS13)、各駆動装置5、6の各コンタクタ15、22が開状態にされて、商用電源4と、各駆動装置5、6と、巻上機11とが切り離される(ステップS14)。
【0044】
この後、不揮発性メモリなどに記憶されているエラーコードが解析されて、各駆動装置5、6のどちらが故障しているか調査され、この調査結果に基づき、故障していない駆動装置6の各コンタクタ15、22が閉状態にされて、商用電源4と、駆動装置6と、巻線機11とが接続される(ステップS16)。
【0045】
次いで、速度パターン部24bによって、通常時の運転パターンに対応した速度指令パターンに代えて、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターン、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンが選択されるとともに(ステップS17)、荷重検出器27から出力される荷重検出信号が取り込まれて(ステップS18)、荷重検出信号の値(検出荷重“W”)と、ロードバランス時の値(設定荷重“WBL”)とが比較される。
【0046】
そして、オーバーバランスが“0.48”であれば、乗りかご2が満員になり、全負荷上昇を行わせるときの加速時に、巻線機11のモータ電流値が最大になることから、乗りかご2が満員であるとき(ステップS19)、すなわち検出荷重“W”が設定荷重“WBL”より大きいとき(W≧WBL)、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターン、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンのうち、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンに基づき、インバータ制御装置8bと、コンバータ制御装置7とにより、正常な駆動装置6の制御が開始されて、乗りかご2が下降させられれ、最寄り階で停止する(ステップS20)。
【0047】
また、オーバーバランスが“0.48”であれば、乗りかご2が空になり、無負荷で下降させているときの加速時に、巻線機11のモータ電流値が最大になることから、乗りかご2内の乗客数が予め設定されている数に満たないとき(ステップS19)、すなわち検出荷重“W”が設定荷重“WBL”より小さいとき(W<WBL)、速度パターン部24bによって、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンが選択されるとともに、この速度指令パターンに基づき、インバータ制御装置8bと、コンバータ制御装置7とによって、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2が上昇して最寄り階で停止する(ステップS21)。
【0048】
このように、第2の実施形態では、各駆動装置5、6のいずれか、例えば駆動装置5が故障したとき、故障した駆動装置5を切り離した後、乗りかご2の荷重に応じて、乗りかご2の運転方向を決定させ、通常の運転パターンより小さな加速度、減速度にされた救出運転パターンで、正常な駆動装置6から3相駆動電圧を出力させ、最寄りの階まで乗りかご2を移動させ、乗客を救出させるようにしているので、各駆動装置5、6のいずれかが故障したとき、乗りかご2に乗り込んでいる乗客の数に応じて、乗りかご2の救出運転方向(上昇、または下降)を決定させて、正常な駆動装置の定格出力の範囲内で、加減速時のモータ電流を最適化させながら、通常運転時の定格速度まで加速させて、乗りかご2を運転させることができ、これによって乗りかご2を救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置5、6のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くすることができる。
【0049】
《第3の実施形態》
図6は本発明によるエレベータシステムの第3の実施形態を示すブロック図である。なお、この図において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
【0050】
この図に示すエレベータシステム1cが図1に示すエレベータシステム1aと異なる点は、乗りかご2の下部に荷重検出器27を取り付けるとともに、乗りかご2を救出運転させるとき、乗りかご2を上昇方向(または、下降方向)にのみ運転させるインバータ制御装置8aに代えて、荷重検出器27の検出結果に応じて、モータ電流を小さくさせることができるように、乗りかご2の運転方向(上昇方向、または下降方向)と、加速度、減速度を決定させ、乗りかご2を救出運転させるインバータ制御装置8cを設けたことである。
【0051】
次に、図7のフローチャートを参照しながら、エレベータシステム1cの動作を説明する。
【0052】
まず、各駆動装置5、6が正常に動作しているとき、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果などに基づき、インバータ制御装置8cと、コンバータ制御装置7とによって各駆動装置5、6が制御されて、通常時の速度指令パターンに対応した電圧値、周波数の3相駆動電圧が出力され、これにより指定された階から指定された階にまで乗りかご2が移動する(ステップS25、S26)。
【0053】
また、各駆動装置5、6に何らかの故障、例えば駆動装置5側のインバータ装置20で過電流異常などの故障が発生すると、異常検出装置(図示は省略する)などによって、各検出器などから出力される各検出結果がチェックされて、どの部分で、どのような異常が発生したかを示すエラーコードが生成され、不揮発性メモリなどに記憶される(ステップS26)。
【0054】
次いで、異常検出装置からの停止指示などに基づき、各駆動装置5、6の運転が停止させられて、乗りかご2が運転停止状態にされるとともに(ステップS27)、各駆動装置5、6の各コンタクタ15、22が開状態にされて、商用電源4と、各駆動装置5、6と、巻上機11とが切り離される(ステップS28)。
【0055】
この後、不揮発性メモリなどに記憶されているエラーコードが解析されて、各駆動装置5、6のどちらが故障しているか調査され(ステップS29)、この調査結果に基づき、故障していない駆動装置6の各コンタクタ15、22が閉状態にされて、商用電源4と、駆動装置6と、巻線機11とが接続される(ステップS30)。
【0056】
次いで、速度パターン部24cによって、荷重検出器27から出力される荷重検出信号が取り込まれ(ステップS31)、図8(a)、(b)に示すように、荷重検出信号で示される検出荷重“W”が大きくなるほど、乗りかご2の加速度“α”が小さくなるように、かつ減速度“β”が大きくなるように、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンが修正されるとともに、図9に示すように、検出荷重“W”が小さくなるほど、乗りかごの加速度“α”が小さくなるように、かつ減速度“β”が大きくなるように、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンが修正される(ステップS32)。
【0057】
この後、速度パターン部24cによって、荷重検出信号の値(検出荷重“W”)と、ロードバランス時の値(設定荷重“WBL”)とが比較され、検出荷重“W”が設定荷重“WBL”より大きいとき(W≧WBL)、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンが選択されるとともに、インバータ制御装置8cと、コンバータ制御装置7とにより、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2が下降して最寄り階で停止する(ステップS33、S34)。
【0058】
また、検出荷重“W”が設定荷重“WBL”より小さいとき(W<WBL)、速度パターン部24cによって、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンが選択されるとともに、インバータ制御装置8cと、コンバータ制御装置7とにより、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2が上昇して最寄り階で停止する(ステップS33、S35)。
【0059】
このように、第3の実施形態では、各駆動装置5、6のいずれか、例えば駆動装置5が故障したとき、故障した駆動装置5を切り離した後、乗りかご2の荷重に応じて、乗りかご2の運転方向(上昇方向、または下降方向)を決定させ、その加速度と、減速度とを最適な値に修正させ、通常運転パターンより小さな加速度、減速度にされた救出運転パターンで、正常な駆動装置6から3相駆動電圧を出力させ、最寄りの階まで、乗りかご2を移動させ、乗客を救出させるようにしているので、各駆動装置5、6のいずれかが故障したとき、乗りかご2に乗り込んでいる乗客の数に応じて、乗りかご2の救出運転方向(上昇、または下降)と、加速度と、減速度とを最適化させて、乗りかご2を運転させることができ、これによって乗りかご2を救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置5、6のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くすることができる。
【0060】
《第4の実施形態》
図10は本発明によるエレベータシステムの第4の実施形態を示すブロック図である。なお、この図において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
【0061】
この図に示すエレベータシステム1dが図1に示すエレベータシステム1aと異なる点は、乗りかご2の位置を検出するかご位置検出器28を取り付けるとともに、乗りかご2を救出運転させるとき、乗りかご2を上昇方向(または、下降方向)にのみ運転させるインバータ制御装置8aに代えて、各駆動装置5、6のいずれか一方から出力可能な最大モータ電流値以下となるように、全負荷上昇時の加速度“α”、減速度“β”、または無負荷下降時の加速度“α”、減速度“β”を決定して、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンと、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンとを作成した後、かご位置検出器28によって検出された乗りかご2の位置と、予め設定されている各救出階位置とに基づき、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターン、または乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンのいずれか一方を用いて、乗りかご2を救出運転させるインバータ制御装置8dを設けたことである。
【0062】
次に、図11のフローチャートを参照しながら、エレベータシステム1dの動作を説明する。
【0063】
まず、各駆動装置5、6が正常に動作しているとき、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果などに基づき、インバータ制御装置8dと、コンバータ制御装置7とによって各駆動装置5、6が制御されて、通常時の速度指令パターンに対応した電圧値、周波数の3相駆動電圧が出力され、これにより指定された階から指定された階にまで乗りかご2が移動する(ステップS41、S42)。
【0064】
また、各駆動装置5、6に何らかの故障、例えば駆動装置5側のインバータ装置20で過電流異常などの故障が発生すると、異常検出装置(図示は省略する)などによって、各検出器などから出力される各検出結果がチェックされて、どの部分で、どのような異常が発生したかを示すエラーコードが生成され、不揮発性メモリなどに記憶される(ステップS42)。
【0065】
次いで、異常検出装置からの停止指示などに基づき、各駆動装置5、6の運転が停止させられて、乗りかご2が運転停止状態にされるとともに(ステップS43)、各駆動装置5、6の各コンタクタ15、22が開状態にされて、商用電源4と、各駆動装置5、6と、巻上機11とが切り離される(ステップS44)。
【0066】
この後、不揮発性メモリなどに記憶されているエラーコードが解析されて、各駆動装置5、6のどちらが故障しているか調査され(ステップS45)、この調査結果に基づき、故障していない駆動装置6の各コンタクタ15、22が閉状態にされて、商用電源4と、駆動装置6と、巻線機11とが接続されるとともに(ステップS46)、インバータ制御装置8dの速度パターン部24dによって、かご位置検出器28で検出された乗りかご2の位置情報が取り込まれて、メモリに記憶される(ステップS47)。
【0067】
次いで、速度パターン部24dによって、正常な駆動装置6から出力可能な最大モータ電流値以下となるように、全負荷上昇時の加速度“α”、減速度“β”、または無負荷下降時の加速度“α”、減速度“β”が決定されて、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンと、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンとが作成される(ステップS48)。
【0068】
この後、速度パターン部24dによって、メモリに記憶されている乗りかご2の位置情報と、予め設定されている各救出階の位置とに基づき、乗りかご2の現在位置から最も近い救出階が求められ(ステップS49)、この救出階が乗りかご2の現在位置より下にあれば、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンが選択されるとともに、インバータ制御装置8dと、コンバータ制御装置7とによって、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンに応じた速度で、乗りかご2が下降させられて、救出階で停止させられる(ステップS50、S51)。
【0069】
また、乗りかご2の現在位置から最も近い救出階が乗りかご2の現在位置より上にあれば(ステップS50)、速度パターン部24dによって、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンが選択されるとともに、インバータ制御装置8dと、コンバータ制御装置7とによって、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンに応じた速度で、乗りかご2が上昇させられて、救出階で停止させられる(ステップS52)。
【0070】
このように、第4の実施形態では、各駆動装置5、6のいずれか、例えば駆動装置5が故障したとき、故障した駆動装置5を切り離した後、正常な駆動装置6から出力可能な最大モータ電流値以下となるように、全負荷上昇時の加速度“α”、減速度“β”、または無負荷下降時の加速度“α”、減速度“β”を決定させるとともに、乗りかご2の位置と、救出階の位置とに応じて、乗りかご2の運転方向を決定させて、通常運転パターンより小さな加速度、減速度にされた救出運転時の速度指令パターンを作成させ、最寄りの救出階まで、乗りかご2を移動させて、乗客を救出させるようにしているので、各駆動装置5、6のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内で、加減速時のモータ電流を最適化させながら、乗りかご2の停止位置と、救出階の位置とに応じて、乗りかごの運転方向(上昇、または下降)を決めて、乗りかご2を運転させることができ、これによって各駆動装置5、6のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くすることができる。
【0071】
《第5の実施形態》
図12は本発明によるエレベータシステムの第5の実施形態を示すブロック図である。なお、この図において、図1の各部と対応する部分には、同じ符号が付してある。
【0072】
この図に示すエレベータシステム1eが図1に示すエレベータシステム1aと異なる点は、乗りかご2の位置を検出するかご位置検出器28を取り付けるとともに、乗りかご2の下部に荷重検出器27を取り付け、さらに乗りかご2を救出運転させるとき、乗りかご2を上昇方向(または、下降方向)にのみ運転させるインバータ制御装置8aに代えて、荷重検出器27によって検出された検出荷重“W”に基づき、乗りかご2を上昇させるときの加速度“α”、減速度“β”、乗りかご2を下降させるときの加速度“α”、減速度“β”を求めさせるとともに、かご位置検出器28によって検出された乗りかご2の位置と、予め設定されている各救出階位置とに基づき、乗りかご2を上昇させて、乗りかご2より上にある救出階まで移動させるときに必要な救出運転時の速度指令パターンと、乗りかご2を下降させて、乗りかご2より下にある救出階まで移動させるときに必要な救出運転時の速度指令パターンとを求めさせ、これら各速度指令パターンのうち、運転時間が短い方を選択させて、乗りかご2を救出運転させるインバータ制御装置8eを設けたことである。
【0073】
次に、図13のフローチャートを参照しながら、エレベータシステム1eの動作を説明する。
【0074】
まず、各駆動装置5、6が正常に動作しているとき、建物の各階に設けられた呼び入力装置、乗りかご2内に設けられた呼び入力装置などの操作内容、各変流器16、21、各電流検出器18などから出力される検出結果などに基づき、インバータ制御装置8eと、コンバータ制御装置7とによって各駆動装置5、6が制御されて、通常時の速度指令パターンに対応した電圧値、周波数の3相駆動電圧が出力され、指定された階から指定された階にまで、乗りかご2が移動させられ、乗客が乗り降りさせられる(ステップS61、S62)。
【0075】
また、各駆動装置5、6に何らかの故障、例えば駆動装置5側のインバータ装置20で過電流異常などの故障が発生すると、異常検出装置(図示は省略する)などによって、各検出器などから出力される各検出結果がチェックされて、どの部分で、どのような異常が発生したかを示すエラーコードが生成され、不揮発性メモリなどに記憶される(ステップS62)。
【0076】
次いで、異常検出装置からの停止指示などに基づき、各駆動装置5、6の運転が停止させられて、乗りかご2が運転停止状態にされるとともに(ステップS63)、各駆動装置5、6の各コンタクタ15、22が開状態にされて、商用電源4と、各駆動装置5、6と、巻上機11とが切り離される(ステップS64)。
【0077】
この後、不揮発性メモリなどに記憶されているエラーコードが解析されて、各駆動装置5、6のどちらが故障しているか調査され(ステップS65)、この調査結果に基づき、故障していない駆動装置6の各コンタクタ15、22が閉状態にされて、商用電源4と、駆動装置6と、巻線機11とが接続されるとともに(ステップS66)、インバータ制御装置8eの速度パターン部24eによって、荷重検出器27から出力される荷重検出信号の値(検出荷重“W”)と、かご位置検出器28で検出された乗りかごの位置情報とが取り込まれて、メモリに記憶される(ステップS67、S68)。
【0078】
次いで、速度パターン部24eによって、メモリに記憶されている検出荷重“W”、駆動装置6から出力可能な最大モータ電流値が参照されて、乗りかご2を上昇させるときの加速度“α”、減速度“β”、乗りかご2を下降させるときの加速度“α”、減速度“β”が求められるとともに、かご位置検出器28によって検出された乗りかご2の位置と、予め設定されている各救出階位置とが比較され、これらの各比較結果に基づき、乗りかご2を上昇させて、乗りかご2より上にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンと、乗りかご2を下降させて、乗りかご2より下にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンとが作成される(ステップS69)。
【0079】
この後、速度パターン部24eによって、これら各速度指令パターンの運転時間が比較され、乗りかご2を下降させる速度指令パターンの方が乗りかご2を上昇させる速度指令パターンより、短い運転時間で、乗りかご2を救出階に到達させることができるとき(ステップS70、S71)、インバータ制御装置8eと、コンバータ制御装置7とによって、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2を下降させるのに必要な救出時の速度指令パターンに応じた速度で、乗りかご2が下降させられて、救出階で停止させられる(ステップS72)。
【0080】
また、乗りかご2を上昇させる速度指令パターンの方が乗りかご2を下降させる速度指令パターンより、短い運転時間で、乗りかご2を救出階に到達させることができるときには(ステップS71)、インバータ制御装置8eと、コンバータ制御装置7とによって、正常な駆動装置6の制御が開始され、乗りかご2を上昇させるのに必要な救出時の速度指令パターンに応じた速度で、乗りかご2が上昇させられて、救出階で停止させられる(ステップS73)。
【0081】
このように、第5の実施形態では、各駆動装置5、6のいずれか、例えば駆動装置5が故障したとき、故障した駆動装置5を切り離した後、荷重検出器27によって検出された検出荷重“W”に基づき、乗りかご2を上昇させるときの加速度“α”、減速度“β”、乗りかご2を下降させるときの加速度“α”、減速度“β”を求めさせるとともに、かご位置検出器28によって検出された乗りかご2の位置と、予め設定されている各救出階位置とに基づき、乗りかご2を上昇させて、乗りかご2より上にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンと、乗りかご2を下降させて、乗りかご2より下にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンとを求めさせ、これら各速度指令パターンのうち、運転時間が短い方を選択させて、乗りかご2を救出運転させるようにしているので、各駆動装置5、6のいずれかが故障したとき、正常な駆動装置の定格出力の範囲内で、乗りかご2に乗り込んでいる乗客の数に応じて、加減速時のモータ電流を最適化させながら、時間的に近い方の救出階へ乗りかご2を運転させることができ、これによって各駆動装置5、6のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くすることができる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、各駆動装置のいずれかが故障したとき、乗りかごを救出運転させる行程が長くなっても、各駆動装置のいずれかが故障してから、乗客を救出できるまでの時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるエレベータシステムの第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示すエレベータシステムで使用される通常時の速度指令パターンと、救出運転時の速度指令パターンの一例を示す模式図である。
【図3】図1に示すエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図4】本発明によるエレベータシステムの第2の実施形態を示すブロック図である。
【図5】図4に示すエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図6】本発明によるエレベータシステムの第3の実施形態を示すブロック図である。
【図7】図6に示すエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図8】図6に示すエレベータシステムにおける、乗りかごを上昇運転させるときの加速度例、減速度例、速度指令パターン例を示す模式図である。
【図9】図6に示すエレベータシステムにおける、乗りかごを下降運転させるときの加速度例、減速度例を示す模式図である。
【図10】本発明によるエレベータシステムの第4の実施形態を示すブロック図である。
【図11】図10に示すエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図12】本発明によるエレベータシステムの第5の実施形態を示すブロック図である。
【図13】図12に示すエレベータシステムの動作例を示すフローチャートである。
【図14】従来から知られているエレベータシステムの一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1a〜1e:エレベータシステム
2:乗りかご
3:駆動機構
4:商用電源
5:駆動装置
6:駆動装置
7:コンバータ制御装置(制御装置)
8a〜8e:インバータ制御装置(制御装置)
9:カウンターウェート
10:メインロープ
11:巻上機
12:回転センサ
13:コンペン
14:コンペンシープ
15:コンタクタ
16:変流器
17:コンバータ装置
18:電流検出器
19:コンデンサ
20:インバータ装置
21:変流器
22:コンタクタ
23:通信線
24a〜24e:速度パターン部
25:速度制御部
26:インバータ制御部
27:荷重検出器
28:かご位置検出器
Claims (5)
- 複数の駆動装置によって得られた複数の駆動電圧を多巻線型の巻上機に供給して、乗りかごを昇降させるエレベータシステムにおいて、
前記各駆動装置のいずれかが故障したとき、加減速度を通常以下にした救出運転パターンを用いて、正常な駆動装置を動作させ、前記乗りかごを救出運転させる制御装置、
を備えたことを特徴とするエレベータシステム。 - 請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、
前記制御装置は、前記乗りかごに取り付けられた荷重検出器の検出結果に応じて、上昇方向、または下降方向のどちらに乗りかごを運転させた方が前記巻上機のモータ電流を小さくできるかを判定し、この判定結果に応じて、乗りかごの運転方向を決定して、加減速度を通常以下にした救出運転パターンを用いて、正常な駆動装置を動作させ、前記乗りかごを救出運転させる、
ことを特徴とするエレベータシステム。 - 請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、
前記制御装置は、前記乗りかごに取り付けられた荷重検出器の検出結果に応じて、前記巻上機のモータ電流を小さくさせるように、前記乗りかごの運転方向(上昇方向、または下降方向)と、加速度、減速度を決定するとともに、これら加速度、減速度にされた救出運転パターンを用いて、正常な駆動装置を動作させ、前記乗りかごを救出運転させる、
ことを特徴とするエレベータシステム。 - 請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、
前記制御装置は、正常な駆動装置から出力可能な最大モータ電流値以下となるように、全負荷上昇時、または無負荷下降時の加速度“α”、減速度“β”を決定して、救出運転時の速度指令パターンを作成し、かご位置検出器によって検出された乗りかごの位置と、予め設定されている救出階位置とに基づき、乗りかごの運転方向(上昇、または下降)を決めて、正常な駆動装置を動作させ、前記乗りかごを救出運転させる、
ことを特徴とするエレベータシステム。 - 請求項1に記載のエレベータシステムにおいて、
前記制御装置は、荷重検出器によって検出された検出荷重“W”に基づき、乗りかごを上昇させるときの加速度“α”、減速度“β”、乗りかごを下降させるときの加速度“α”、減速度“β”を求めるとともに、かご位置検出器によって検出された乗りかごの位置と、予め設定されている救出階位置とに基づき、乗りかごを上昇させて、乗りかごより上にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンと、乗りかごを下降させて、乗りかごより下にある救出階まで移動させるときの速度指令パターンとを求め、これら各速度指令パターンのうち、運転時間が短い方を選択させて、乗りかごを救出運転させる、
ことを特徴とするエレベータシステム。
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- 2003-01-07 JP JP2003001273A patent/JP2004210507A/ja active Pending
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