JP6324303B2 - 停電時のエレベータ非常救出運転装置 - Google Patents

停電時のエレベータ非常救出運転装置 Download PDF

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本発明は、停電時に蓄電装置を電力源としてエレベータの非常救出運転を行う停電時のエレベータ非常救出運転装置に関する。
一般に、エレベータは、昇降路内を昇降する乗りかごと、この乗りかごと主ロープを介して連結され、昇降路内に吊下げられた釣合い錘と、これらの乗りかご及び釣合い錘を駆動する電動機とを備えている。釣合い錘は、例えば、乗りかごの定格積載荷重の50%と釣合うように、釣合い錘の重量が調整されている。
このような構成のエレベータは、従来より、電力源である商用電源が停電すると、電力源を商用電源から非常用のバッテリ等の蓄電装置に切替え、最寄階等の指定された階へ乗りかごを昇降させる非常救出運転を行う。その際、乗りかごの運転方向は、蓄電装置の電力を確保するために、電動機の駆動力が軽負荷となる回転方向に選択される。
この種のエレベータの非常救出運転に関する従来技術の1つとして、例えば、下記の特許文献1が知られている。この特許文献1には、軽負荷のときは上昇方向の運転指令が発せられて上昇運転され、重負荷のときは下降方向の運転指令が発せられて下降運転される旨が記載されている。
また、他の従来技術の1つとして、例えば、下記の特許文献2が知られている。この特許文献2には、商用電源が正常な場合の起動時のかご内荷重の検出値を、不揮発性メモリに記憶しておき、商用電源の停電時における非常救出運転の起動補償を、この記憶されたかご内荷重を用いて行う旨、及び不揮発性メモリに記憶しておくデータを、商用電源の正常時における最後の起動時の起動補償トルク等の起動補償値としてもよい旨が記載されている。
特開昭54−3749号公報 特開平2−138084号公報
上述した特許文献1の従来技術は、停電時のエレベータの非常救出運転における乗りかごの運転方向を、当該運転の開始時の乗りかご内の荷重に基づいて決定しているが、主ロープ、テールコード、及びコンペンセーション装置等のように乗りかご内の荷重以外の電動機にかかる負荷を考慮していない。そのため、電動機の駆動力が軽負荷となる回転方向へ電動機が適切に制御されておらず、エレベータの非常救出運転の消費電力が高くなることが問題になっている。
一方、特許文献2の従来技術は、停電時のエレベータの非常救出運転における乗りかごの運転方向を、商用電源が正常時の乗りかご内の荷重の検出値又は起動補償トルク等の起動補償値に基づいて決定しており、この起動補償値を乗りかごの運転方向の決定に用いた場合には、乗りかご内の荷重以外の電動機にかかる負荷も起動補償値に含まれる。しかしながら、商用電源が正常時におけるエレベータの起動時の乗りかごの位置と停電の発生後における非常救出運転の開始時の乗りかごの位置が異なると、乗りかご内の荷重以外の電動機にかかる負荷が変わることになる。
その具体例として、商用電源が正常時におけるエレベータの起動時に乗りかごが最上階に位置し、かつ乗りかご内の荷重が定格積載荷重の50%以下であれば、乗りかごが上方向へ移動するのを抑制する起動補償トルクが発生し、これと同時にその起動補償トルクの起動補償値が不揮発性メモリに記憶される。その後、乗りかごが最下階の付近を走行中に商用電源の停電が発生し、蓄電装置の電力でエレベータの非常救出運転が行われるとき、不揮発性メモリに記憶された起動補償値により、電動機の駆動力が軽負荷となる回転方向として乗りかごの上昇方向が判定される。
しかしながら、乗りかご内の荷重以外の電動機にかかる負荷を考慮すると、電動機の乗りかご側の負荷は、乗りかご内の荷重に主ロープ、テールコード、及びコンペンセーション装置の重量等を加えた負荷となるので、乗りかごの定格積載荷重に応じて調整された釣合い錘の重量を含む電動機の釣合い錘側の負荷よりも大きくなる場合がある。従って、実際には乗りかごの上昇方向は、電動機の駆動力が重負荷となる方向の可能性があるので、上述した特許文献1の従来技術と同様に、エレベータの非常救出運転の消費電力が高くなることが懸念されている。
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、エレベータの非常救出運転の消費電力を低減させることができる停電時のエレベータ非常救出運転装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明の停電時のエレベータ非常救出運転装置は、昇降路内を昇降する乗りかごと、この乗りかごと主ロープを介して連結され、前記昇降路内に吊下げられた釣合い錘と、これらの乗りかご及び釣合い錘を駆動する電動機と、停電時に前記電動機に供給するための電力を蓄える蓄電装置とを備えたエレベータに設けられ、停電時に前記蓄電装置を電力源として前記エレベータの非常救出運転を行う制御装置を備えた停電時のエレベータ非常救出運転装置において、前記乗りかごの位置を検出する位置検出装置と、前記乗りかご内の荷重を検出する荷重検出装置とを備え、前記制御装置は、前記位置検出装置によって検出された前記乗りかごの位置、及び前記荷重検出装置によって検出された前記乗りかご内の荷重に基づいて、前記電動機にかかる前記乗りかご側の負荷及び前記釣合い錘側の負荷をそれぞれ演算する負荷演算部と、前記負荷演算部によって演算された前記電動機の前記乗りかご側の負荷と前記釣合い錘側の負荷とを比較し、前記電動機の駆動力が軽負荷となる回転方向を演算する方向演算部と、前記エレベータの非常救出運転における前記電動機の回転方向が、前記方向演算部によって演算された回転方向になるように前記電動機の駆動を制御する駆動制御部とを含み、前記負荷演算部は、乗りかご側の負荷及び釣合い重り側の負荷を算出する計算式を有しており、前記乗りかごと前記制御装置とを通信接続するテールコード及び前記乗りかごの昇降に伴う前記乗りかごと前記釣合い錘にかかる前記主ロープの重量の不均衡を補正するコンペンセーション装置の双方を備えたエレベータ、前記テールコードを備え前記コンペンセーション装置を備えていないエレベータ、前記コンペンセーション装置を備え前記テールコードを備えていないエレベータ、K:1のローピング方式のエレベータについて、乗りかご側の負荷及び釣合い重り側の負荷を算出することを特徴としている。
本発明の停電時のエレベータ非常救出運転装置によれば、エレベータの非常救出運転の消費電力を低減させることができる。なお、上述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明に係る停電時のエレベータ非常救出運転装置の第1実施形態が適用されるエレベータの構成を示す全体図である。 本発明の第1実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るマイコンの具体的な構成を示す機能ブロック図である。 乗りかごが最下階に停止しているときの電動機への負荷を説明する図であり、特に主ロープ、テールコード、及びコンペンセーション装置の自重のうち電動機にそれぞれ作用する部分を示す図である。 乗りかごが昇降路内を走行しているときの電動機への負荷を説明する図であり、特に主ロープ、テールコード、及びコンペンセーション装置の自重のうち電動機にそれぞれ作用する部分を示す図である。
以下、本発明に係る停電時のエレベータ非常救出運転装置を実施するための形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明に係る停電時のエレベータ非常救出運転装置の第1実施形態が適用されるエレベータの構成を示す全体図である。
本発明に係る停電時のエレベータ非常救出運転装置の第1実施形態は、例えば、図1に示す1:1ローピング方式のエレベータ1に適用される。このエレベータ1は、建物の昇降路2内を昇降する乗りかご3と、一端が乗りかご3に取付けられた主ロープ4と、この主ロープ4の他端が取付けられ、昇降路2内に釣瓶状に吊り下げられた釣合い錘5とを備えている。
また、エレベータ1は、昇降路2の上方に位置する機械室6に設けられ、主ロープ4が巻き掛けられた駆動シーブを含む巻上機7と、この巻上機7の駆動シーブを回転させて乗りかご3及び釣合い錘5を駆動することにより、乗りかご3を釣合い錘5に対して相対的に昇降させる電動機8と、巻上機7の駆動シーブの回転を制動することにより、建物の各階の乗り場の位置に合わせて乗りかご3を停止させるブレーキ装置(図示せず)とを備えている。
さらに、エレベータ1は、後述の制御装置17を介して電力を電動機8に供給する電源9(図2参照)と、後述の操作盤15等の乗りかご3の各機器と制御装置17とを通信接続し、これらの乗りかご3の各機器と制御装置17との間で各種の信号を伝送するテールコード11と、乗りかご3の昇降動作に伴って乗りかご3と釣合い錘5にかかる主ロープ4の重量の不均衡を補正するコンペンセーション装置12と、乗りかご3の位置を検出するためのエンコーダ13と、乗りかご3内の荷重を検出するための距離センサ14とを備えている。
また、エレベータ1は、乗りかご3の内壁に設置され、乗りかご3の行先階を指定する操作盤15と、建物の各階の乗り場1Aに設置され、乗りかご3を乗り場1Aへ呼び寄せるために操作する乗り場釦16(図3参照)と、機械室6に設置され、操作盤15及び乗り場釦16の操作に応じて、乗りかご3の運転を含む当該エレベータ1全体の運転を制御する制御装置17とを備えている。
釣合い錘5は、例えば、図示されないが、鉛直方向に縦長に形成された枠体と、この枠体内に積層状態で挿入された複数の錘片とから構成されており、乗りかご3の定格積載荷重の50%と釣合うように、枠体内における錘片の枚数を調整して全体の重量を設定している。電源9は、例えば、電力会社から送電され、接続された装置に一定の周波数の交流電圧を出力する商用電源から成っている。
テールコード11は、例えば、一端が昇降路2の壁面に取付けられた中継器18に接続され、他端が乗りかご3の底部に接続されている。そのため、テールコード11は、両端が乗りかご3及び中継器18に保持されることにより、昇降路2内においてU字状に垂れ下がった状態になっている。なお、本発明の第1実施形態では、昇降路2内におけるテールコード11の振動や中継器18の接続部分にかかる負荷を軽減するために、乗りかご3の昇降動作に伴ってテールコード11の巻き取り及び繰り出しが行われるようになっている。
中継器18は、昇降路2の壁面に沿って配設された通信ケーブル19を介して制御装置17に通信接続され、乗りかご3の各機器と制御装置17との通信を中継するものである。また、中継器18の取付位置は、例えば、乗りかご3が最下階から最上階まで昇降する距離を示す昇降行程H(図4、図5参照)の半分の高さに予め設定されている。
コンペンセーション装置12は、例えば、一端が乗りかご3の底部に取付けられ、他端が釣合い錘5の底部に取付けられたチェーンから構成されている。そして、コンペンセーション装置12は、テールコード11と同様に、昇降路2内においてU字状に垂れ下がった状態になっている。なお、コンペンセーション装置12は、チェーンの代わりに、ロープから構成されても良い。
エンコーダ13は、例えば、電動機8の軸に取り付けられ、電動機7の回転角に応じてパルス信号を制御装置17へ送信する。距離センサ14は、例えば、乗りかご3内に乗車した利用者等の荷重によって乗りかご3が停止位置から下方へ移動した距離を計測し、その計測結果の情報を、テールコード11を介して制御装置17へ送信する。
次に、制御装置17の具体的な構成について、図2を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の第1実施形態に係る制御装置17のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、制御装置17は、商用電源9から出力された交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ21と、このコンバータ21から出力される直流電圧を可変電圧可変周波数の交流電圧に変換し、変化した交流電圧を電動機8へ出力するインバータ22と、これらのコンバータ21とインバータ22との間に設けられた平滑コンデンサ23と、商用電源9とコンバータ21との間に設けられ、商用電源9からの電力が正常に供給されたときに閉じ、商用電源9に停電が発生したときに開く常開接点を含む接触器24A〜24Cとを有している。
平滑コンデンサ23は、一端が直流母線の高電位側に接続されると共に、他端が直流母線の低電位側に接続され、直流電圧の脈動を除去するようになっている。このような構成の制御装置17では、商用電源9からコンバータ21へ交流電圧が出力されると、交流電圧はコンバータ21で直流電圧に変換される。変換された直流電圧は平滑コンデンサ23によって脈動が除去された後、インバータ22に入力されて電動機8の駆動に適した可変電圧可変周波数の交流電圧に再び変換される。そして、インバータ22から電動機8へ変換された交流電圧が出力されると、電動機8がこの交流電圧を受けて駆動する。
また、制御装置17は、商用電源9から供給される電力の出力量を調整する電源トランス25と、この電源トランス25から電力が供給され、エレベータ1全体の運転を制御するための各種の演算を行うマイクロコンピュータ(以下、便宜的にマイコンと称する)26と、接触器24A〜24Cと電源トランス25との間に設けられ、商用電源9からの電力が正常に供給されたときに閉じ、商用電源9に停電が発生したときに開く常開接点を含む接触器27A,27Bとを有している。なお、マイコン26の機能を示す具体的な構成の詳細については、後述する。
さらに、制御装置17は、これらの機器の他、図示されないが、マイコン26による演算を実行するためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置と、マイコン26がプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)とを含むハードウェアとを有している。
そして、制御装置17は、停電時に電動機8に供給するための電力を蓄える蓄電装置としてのバッテリ28と、このバッテリ28とコンバータ21との間に設けられ、商用電源9に停電が発生したときに閉じ、商用電源9からの電力が正常に供給されたときに開く常開接点を含む接触器29A,29Bと、バッテリ28とマイコン26との間に設けられ、商用電源9に停電が発生したときに閉じ、商用電源9からの電力が正常に供給されたときに開く常開接点を含む接触器30A,30Bとを有している。
このような構成の制御装置17では、商用電源9に停電が発生すると、接触器24A〜24Cの常開接点及び接触器27A,27Bの常開接点が開いて商用電源9とコンバータ21との接続関係が開路となり、接触器29A,29Bの常開接点及び接触器30A,30Bの常開接点が閉路となる。これにより、バッテリ28が放電を開始することにより、バッテリ28からコンバータ21及びインバータ22を介して電動機8へ電力が供給されると共に、バッテリ28からマイコン26へ電力が供給される。
次に、マイコン26の機能を示す具体的な構成について、図3を参照しながら詳細に説明する。
図3は本発明の第1実施形態に係るマイコン26の具体的な構成を示す機能ブロック図である。
マイコン26は、エンコーダ7からのパルス信号を受信し、このパルス信号を乗りかご3の所定の基準位置からカウントする計数部26Aと、計数部26Aでカウントした計数値に基づいて、乗りかご3の位置を演算する位置演算部26Bとを含んでいる。すなわち、エンコーダ13、マイコン26の計数部26A、及び位置演算部26Bが、乗りかご3の位置を検出する位置検出装置として機能する。なお、本発明の第1実施形態では、乗りかご3の位置は、例えば、乗りかご3の最下階からの高さを示している。
また、マイコン26は、距離センサ14によって計測された乗りかご3の停止位置からの移動距離に基づいて、乗りかご3内の荷重を演算する荷重演算部26Cを含んでいる。すなわち、距離センサ14及びマイコン26の荷重演算部26Cが、乗りかご3内の荷重を検出する荷重検出装置として機能する。
さらに、マイコン26は、エレベータ1の運転状態に従って電動機8の駆動を制御する駆動制御部26Dを含んでおり、この駆動制御部26Dは、商用電源9に停電が発生していないときには、エレベータ1の通常運転を行う。すなわち、駆動制御部26Dは、操作盤15によって指定された行先階、乗り場釦16の操作が行われた階、及び位置演算部26Bによって演算された乗りかご3の位置に応じて、電動機8の回転方向及び回転速度を設定して電動機8の駆動を制御する。
一方、駆動制御部26Dは、商用電源9に停電が発生したときには、停電時のエレベータ1の非常救出運転を行う。このエレベータ1の非常救出運転とは、例えば、エレベータ1の通常運転の速度よりも低速で乗りかご3を最寄階や予め指定された階まで走行させた後、乗りかご3を開放して乗客を救出する運転である。このようなエレベータ1の非常救出運転が行われる場合には、電力源としてバッテリ28に蓄積された電力を使用するので、可能な限りバッテリ28の消費電力を抑制する必要がある。
そこで、本発明の第1実施形態に係るマイコン26は、位置演算部26Bによって演算された乗りかご3の位置、及び荷重演算部26Cによって演算された乗りかご3内の荷重に基づいて、電動機8にかかる乗りかご3側の負荷G1及び釣合い錘5側の負荷G2をそれぞれ演算する負荷演算部26Eと、この負荷演算部26Eによって演算された電動機8の乗りかご3側の負荷と釣合い錘5側の負荷とを比較し、電動機8の駆動力が軽負荷となる回転方向を演算する方向演算部26Fとを含んでいる。そして、本発明の第1実施形態に係る駆動制御部26Dは、エレベータ1の非常救出運転における電動機8の回転方向が、方向演算部26Fによって演算された回転方向になるように電動機8の駆動を制御するようにしている。
以下、負荷演算部26Eによる電動機8の乗りかご3側の負荷G1及び釣合い錘5側の負荷G2の演算について、図4及び図5に示す2つの具体例を挙げて詳細に説明する。なお、以下の説明において、乗りかご3の昇降行程をH、乗りかご3の最下階からの高さをL、乗りかご3の重量をW1、乗りかご3内の荷重をW2、釣合い錘5の重量をW3、単位長さあたりの主ロープ4の重量をRp、単位長さあたりのテールコード11の重量をTal、単位長さあたりのコンペンセーション装置12の重量をClと定義する。
図4は乗りかご3が最下階に停止しているときの電動機8への負荷を説明する図であり、特に主ロープ4、テールコード11、及びコンペンセーション装置12の自重のうち電動機8にそれぞれ作用する部分を示す図であり、図5は乗りかご3が昇降路2内を走行しているときの電動機8への負荷を説明する図であり、特に主ロープ4、テールコード11、及びコンペンセーション装置12の自重のうち電動機8にそれぞれ作用する部分を示す図である。なお、図4、図5のG1,G2の各矢印は、電動機8に作用する力の向きを示している。
図4に示すように、乗りかご3が最下階に停止しているときには、乗りかご3の重量W1及び乗りかご3内の荷重W2に加え、主ロープ4の全重量のうち昇降行程Hの長さ分Laの重量H×Rpが電動機8の乗りかご3側にかかる。また、釣合い錘5の重量W3に加え、コンペンセーション装置12の全重量のうち昇降行程Hの長さ分Lbの重量H×Clが電動機8の釣合い錘5側にかかる。
一方、テールコード11の全自重のうち最下階から中継器18までの長さ分Lcの重量、すなわち昇降行程Hの半分の長さ分の重量(H/2)×Talは、中継器18が取付けられた昇降路2の壁面にかかる。従って、下記の数式(1)、(2)が成立する。

一方、図5に示すように、乗りかご3が昇降路2内を走行しているときには、乗りかご3の重量W1、乗りかご3内の荷重W2に加え、主ロープ4の全重量のうち昇降行程Hから乗りかご3の最下階からの高さLを減算した長さ分Ldの重量(H−L)×Rp、テールコード11の全重量のうち乗りかご3の最下階からの高さLの長さ分Leの重量L×Tal、及びコンペンセーション装置12の全重量のうち乗りかご3の最下階からの高さLの長さ分Lfの重量L×Clが電動機8の乗りかご3側にかかる。
また、釣合い錘5の重量W3に加え、主ロープ4の全重量のうち釣合い錘5が乗りかご3と相対的に移動した距離、すなわち乗りかご3の最下階からの高さLの長さ分Lgの重量L×Rp、コンペンセーション装置12の全重量のうち昇降行程Hから乗りかご3の最下階からの高さLの長さ分Lhの重量(H−L)×Clが電動機8の釣合い錘5側にかかる。一方、テールコード11の全自重のうち最下階から中継器18の下面までの長さ分Lcの重量、すなわち昇降行程Hの半分の長さ分の重量(H/2)×Talは、中継器18が取付けられた昇降路2の壁面にかかる。従って、下記の数式(3)、(4)が成立する。

従って、負荷演算部26Eは、これらの数式(3)、(4)に対して、予め設定された昇降行程H、乗りかご3の重量W1、釣合い錘5の重量W2(乗りかご3の定格積載荷重の50%)、単位長さあたりの主ロープ4の重量Rp、単位長さあたりのテールコード11の重量Tal、単位長さあたりのコンペンセーション装置12の重量Cl、位置演算部26Bによって演算された乗りかご3の位置L、及び荷重演算部26Cによって演算された乗りかご3内の荷重W2を代入することにより、電動機8にかかる乗りかご3側の負荷G1及び釣合い錘5側の負荷G2を演算することができる。なお、上記の数式(1)、(2)は、乗りかご3が最下階に位置することから、上記の数式(3)、(4)にL=0を代入した数式に相当する。
方向演算部26Fは、負荷演算部26Eによって演算された電動機8にかかる乗りかご3側の負荷G1と釣合い錘5側の負荷G2との大小関係を比較し、乗りかご3側の負荷G1が釣合い錘5側の負荷G2以上であるかどうかを判断する。そして、方向演算部26Fは、電動機8にかかる乗りかご3側の負荷G1が釣合い錘5側の負荷G2以上であると判断した場合には(G1≧G2)、乗りかご3を下降させる方向を電動機8の駆動力が軽負荷となる回転方向として算出する。一方、方向演算部26Fは、電動機8にかかる乗りかご3側の負荷G1が釣合い錘5側の負荷G2未満であると判断した場合には(G1<G2)、乗りかご3を上昇させる方向を電動機8の駆動力が軽負荷となる回転方向として算出する。
このように構成した本発明の第1実施形態によれば、負荷演算部26Eが電動機8にかかる乗りかご3側の負荷G1及び釣合い錘5側の負荷G2をそれぞれ演算することにより、乗りかご3と釣合い錘5とを懸架する主ロープ4のように、乗りかご3内の荷重以外の電動機8にかかる負荷を考慮した上で、方向演算部26Fが駆動制御部26Dによる電動機8の駆動に必要とされる回転方向を算出するようにしているので、エレベータ1の非常救出運転において、電動機8の駆動力が軽負荷となる回転方向へ電動機8の駆動を適切に制御することができる。これにより、エレベータ1の非常救出運転の消費電力を低減させることができるので、停電時にバッテリ28の電力を有効に活用することができる。
また、本発明の第1実施形態では、負荷演算部26Eによる電動機8にかかる乗りかご3側の負荷G1及び釣合い錘5側の負荷G2の演算において、主ロープ4の他に、昇降路2内に吊り下げられたテールコード11の重量も考慮しているので、方向演算部26Fが、電動機8の駆動力が軽負荷となる回転方向を精度良く算出することができる。これにより、停電中にバッテリ28の電力量を高く維持できるので、エレベータ1の非常救出運転における乗りかご3の走行距離を伸ばすことができる。
また、本発明の第1実施形態では、負荷演算部26Eによる電動機8にかかる乗りかご3側の負荷G1及び釣合い錘5側の負荷G2の演算において、主ロープ4及びテールコード11の他に、昇降路2内に吊り下げられたコンペンセーション装置12の重量も考慮しているので、方向演算部26Fが、電動機8の駆動力が軽負荷となる回転方向をより精度良く算出することができる。これにより、停電時において優れた省電力性能を実現できるので、バッテリ28の小型化を図ることができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態に係るエレベータ1が、乗りかご3の昇降動作に伴って乗りかご3と釣合い錘5にかかる主ロープ4の重量の不均衡を補正するコンペンセーション装置12を備えた場合について説明したが、第2実施形態に係るエレベータ(図示せず)は、このようなコンペンセーション装置12を備えていないことである。この場合には、負荷演算部26Eによる電動機8の乗りかご3側の負荷G1及び釣合い錘5側の負荷G2の演算に用いられる上記の数式(3)、(4)は、下記の数式(5)、(6)になる。

従って、負荷演算部26Eは、これらの数式(5)、(6)に対して、昇降行程H、乗りかご3の重量W1、釣合い錘5の重量W2、単位長さあたりの主ロープ4の重量Rp、単位長さあたりのテールコード11の重量Tal、位置演算部26Bによって演算された乗りかご3の位置L、及び荷重演算部26Cによって演算された乗りかご3内の荷重W2を代入すれば良い。その他の第2実施形態の構成は、上述した第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同一又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。このように構成した本発明の第2実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態に係るエレベータ1が、乗りかご3の各機器と制御装置17とを通信接続するテールコード11を備えた場合について説明したが、第3実施形態に係るエレベータ(図示せず)は、このようなテールコード11を備えていないテールコードレス化になっていることである。この場合には、負荷演算部26Eによる電動機8の乗りかご3側の負荷G1及び釣合い錘5側の負荷G2の演算に用いられる上記の数式(3)、(4)は、下記の数式(7)、(8)になる。

従って、負荷演算部26Eは、これらの数式(7)、(8)に対して、昇降行程H、乗りかご3の重量W1、釣合い錘5の重量W2、単位長さあたりの主ロープ4の重量Rp、単位長さあたりのコンペンセーション装置12の重量Cl、位置演算部26Bによって演算された乗りかご3の位置L、及び荷重演算部26Cによって演算された乗りかご3内の荷重W2を代入すれば良い。その他の第3実施形態の構成は、上述した第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同一又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。このように構成した本発明の第3実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態が前述した第1実施形態と異なるのは、第1実施形態は1:1のローピング方式のエレベータ1に対して適用した場合について説明したが、第4実施形態は、図示されないが、K:1のローピング方式のエレベータ1に対して適用したことである(Kは任意の自然数)。この場合には、負荷演算部26Eによる電動機8の乗りかご3側の負荷G1及び釣合い錘5側の負荷G2の演算に用いられる上記の数式(3)、(4)は、下記の数式(9)、(10)になる。

従って、負荷演算部26Eは、これらの数式(9)、(10)に対して、昇降行程H、乗りかご3の重量W1、釣合い錘5の重量W2、単位長さあたりの主ロープ4の重量Rp、単位長さあたりのテールコード11の重量Tal、単位長さあたりのコンペンセーション装置12の重量Cl、位置演算部26Bによって演算された乗りかご3の位置L、及び荷重演算部26Cによって演算された乗りかご3内の荷重W2を代入すれば良い。その他の第4実施形態の構成は、上述した第1実施形態と同様であるので、第4実施形態と同一又は対応する部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略している。このように構成した本発明の第4実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、上述した本実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
また、本発明の第1実施形態では、蓄電装置がバッテリ28から成る場合について説明したが、この場合に限らず、蓄電装置は、例えば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等の二次電池や電気コンデンサ等の大容量キャパシタから構成されても良い。
1 エレベータ
2 昇降路
3 乗りかご
4 主ロープ
5 釣合い錘
8 電動機
11 テールコード
12 コンペンセーション装置
13 エンコーダ(位置検出装置)
14 距離センサ(荷重検出装置)
17 制御装置
26A 計数部(位置検出装置)
26B 位置演算部(位置検出装置)
26C 荷重演算部(荷重検出装置)
26D 駆動制御部
26E 負荷演算部
26F 方向演算部
28 バッテリ(蓄電装置)

Claims (1)

  1. 昇降路内を昇降する乗りかごと、この乗りかごと主ロープを介して連結され、前記昇降路内に吊下げられた釣合い錘と、これらの乗りかご及び釣合い錘を駆動する電動機と、停電時に前記電動機に供給するための電力を蓄える蓄電装置とを備えたエレベータに設けられ、
    停電時に前記蓄電装置を電力源として前記エレベータの非常救出運転を行う制御装置を備えた停電時のエレベータ非常救出運転装置において、
    前記乗りかごの位置を検出する位置検出装置と、
    前記乗りかご内の荷重を検出する荷重検出装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記位置検出装置によって検出された前記乗りかごの位置、及び前記荷重検出装置によって検出された前記乗りかご内の荷重に基づいて、前記電動機にかかる前記乗りかご側の負荷及び前記釣合い錘側の負荷をそれぞれ演算する負荷演算部と、
    前記負荷演算部によって演算された前記電動機の前記乗りかご側の負荷と前記釣合い錘側の負荷とを比較し、前記電動機の駆動力が軽負荷となる回転方向を演算する方向演算部と、
    前記エレベータの非常救出運転における前記電動機の回転方向が、前記方向演算部によって演算された回転方向になるように前記電動機の駆動を制御する駆動制御部と
    を含み、
    前記負荷演算部は、乗りかご側の負荷及び釣合い重り側の負荷を算出する計算式を有しており、前記乗りかごと前記制御装置とを通信接続するテールコード及び前記乗りかごの昇降に伴う前記乗りかごと前記釣合い錘にかかる前記主ロープの重量の不均衡を補正するコンペンセーション装置の双方を備えたエレベータ、前記テールコードを備え前記コンペンセーション装置を備えていないエレベータ、前記コンペンセーション装置を備え前記テールコードを備えていないエレベータ、K:1のローピング方式のエレベータについて、乗りかご側の負荷及び釣合い重り側の負荷を算出することを特徴とする停電時のエレベータ非常救出運転装置。
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