JP2004210392A - 湿分吸収包装容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外層側から順に、ガスバリア層、ポリオレフィン樹脂に吸湿性無機化合物を配合した吸湿性樹脂組成物からなる吸湿層、ポリオレフィン樹脂からなるガスブロック層、からなることを特徴とする湿分吸収包装容器を提供する。吸湿層の吸湿性無機化合物が酸化カルシウムを主成分とするとさらに好ましく、ガスブロック層が、ポリオレフィン樹脂に吸湿性無機化合物または吸湿性有機化合物またはこれらを配合しても好ましく、ガスブロック層がシーラント層である場合も好ましい。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿気を嫌う食品、医薬品、精密機器、電子部品等各種製品の湿分吸収包装容器に関し、詳しくは、前記湿分吸収包装容器が充填製品を常にドライな状態にするために吸収した湿分を再度放出することの無いよう保持可能にするため、吸湿性樹脂組成物の内層側にガスブロック層を配した構成の、湿分吸収包装容器もしくは開封自在な湿分吸収包装容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、湿気を嫌う食品、医薬品、精密機器、電子部品等各種製品の保存には、容器内部の湿気を除去するため、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト等乾燥剤を詰めた小袋を製品と一緒に入れて保管しており、またこの手法を用いた構成は現在も広く一般的に用いられている。しかし、これらの乾燥剤は、粒状あるいは粉末状の形態で紙や不織布に包装されるか、容器等に封入された状態で使用されており、そのため、容器容積を占有されたり、製品の充填に支障があったり、さらに乾燥剤を詰めた包装材破損による製品への乾燥剤の付着、混入などの問題が発生する可能性がある。
【0003】
そこで、上記の欠点を改良するために、熱可塑性樹脂に乾燥剤を配合した形態の包装材料を用いて、容器内の湿気を除去することも考えられているが、この手法はすでに公知の技術である。
【0004】
しかし乾燥剤となる吸湿性無機化合物の中には、環境中の水分を吸収すると同時に環境中の炭酸ガスなどの成分を吸収し、一度吸収した水分を放出してしまう材料もある。その場合、容器内の水分が一時的に増え湿度上昇を伴うため内容物である製品に影響を与えるばかりでなく、湿分吸収包装容器の乾燥能力の低下を伴うため、機能設計や保証の意味で好ましくない。
【0005】
また、乾燥剤である吸湿性無機化合物を熱可塑性樹脂に配合した吸湿層を、内容物である製品に接する最内層に配した場合、製品と吸湿層が直接接触するため、内容物の衛生性に影響を与えたり、もしくは吸湿性無機化合物の選定を限定する必要があるなどが考えられる。特に乾燥剤が酸化カルシウムの場合、酸化カルシウムは吸湿により水酸化カルシウムに変化するが、水酸化カルシウムは水分存在下でアルカリ性を示すため、このアルカリ性の成分と内容物である製品の直接接触による影響が懸念される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は上記の実情を考慮したものであり、熱可塑性樹脂に配合した乾燥剤である吸湿性無機化合物が、確実に吸湿効果を発揮するため吸収した水分を保持可能な湿分吸収包装容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を克服するために考え出されたものである。
【0008】
請求項1記載の発明は、外層側から順に、ガスバリア層、樹脂に吸湿性無機化合物を配合した吸湿性樹脂組成物からなる吸湿層、ガスブロック層、からなることを特徴とする湿分吸収包装容器を提供するものである。
【0009】
これにより、充填製品に対して容易かつ安全に、吸湿効果の得られる湿分吸収包装容器を得ることができる。
【0010】
請求項2の発明は、前記吸湿層の吸湿性無機化合物が酸化カルシウムを主成分とすることを特徴とする、請求項1記載の湿分吸収包装容器を提供するものである。
【0011】
これにより、充填製品に対して安価で高能力、かつ確実な吸湿効果の得られる湿分吸収包装容器を得ることができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記ガスブロック層が、ポリオレフィン樹脂に吸湿性無機化合物または吸湿性有機化合物またはこれらを配合してなることを特徴とする、請求項1、2記載のプラスチック容器を提供するものである。
【0013】
これにより、確実な吸収効果を維持しながら、かつ容器内の湿分吸収速度を向上させた湿分吸収包装容器を得ることができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1、2または3記載の発明において、前記ガスブロック層がシーラント層であることを特徴とする、湿分吸収包装容器を提供するものである。
【0015】
これにより、確実な吸収効果を維持しながら、最小構成である湿分吸収包装容器を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の湿分吸収包装容器を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
【0017】
本発明の湿分吸収包装容器は、水蒸気や気体に対してガスバリア効果を発揮するガスバリア層と、その内層側に樹脂に吸湿性無機化合物を配合した吸湿性樹脂組成物からなる吸湿層と、さらにその内層側にガスブロック層、からなる層で構成される。
【0018】
なお、このときのガスバリア層は、必要により水蒸気、酸素、二酸化炭素などの各種の気体全てにガスバリア効果を持つものでも、特定の気体のガスバリア効果を持つものでも構わない。また、そのガスバリア効果は、完全に遮断するものの他、内容物に必要とする程度の適度なガスバリア効果で十分な場合もある。
【0019】
本発明の湿分吸収包装容器は、ガスバリア層と吸湿層、ガスブロック層を含めこれらが一体化した構成と、ガスブロック層のみが独立した複合容器の形態構成も含む。そのため、内容物側の材料から順にガスブロック層があり、その外側に吸湿層、さらに外側にガスバリア層を配し、最終的にこのガスバリア層を含む層が内容物を容器外環境から密閉すれば良い。さらにガスブロック層は、製品や容器内環境に接触する吸湿層の表面をほぼ覆うことでその効果を得るため、吸湿層の端面などガスブロック層に覆われていない面が部分的にあっても構わない。
【0020】
よって開封自在な包装形態の場合、使用期間や状況によって、吸湿部材の吸湿が進行し吸湿成分が飽和に至った場合にも、別の吸湿層に交換することも可能なように、湿分吸収包装容器に着脱性を持たせることも可能である。
【0021】
なお各層の構成は、少なくともガスバリア層と吸湿層、ガスブロック層がこの順で構成されてあれば良く、もちろんこれらの層間にも、これらの層以外に、必要に応じて接着層や印刷層、バリア機能を有する層を多層にするなど、目的に応じた容器構成が可能であり、また単一材料層である必要はない。
【0022】
ガスバリア層としては、特に制限されるものではないが、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどのαオレフィン−エチレン共重合体、あるいはニ種以上のα−オレフィンを共重合させたもの、エチレン−環状オレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはポリ酢酸ビニルの部分あるいは完全けん化物、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ナイロン、セルロースフィルム、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、無機化合物蒸着フィルム、オーバーコート層を設けた無機化合物蒸着フィルムなどによる防湿あるいはガスバリア層が使用可能である。
【0023】
吸湿層に用いるポリオレフィン系樹脂としては、特に制限されるものではないが、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなどのαオレフィン−エチレン共重合体、あるいはニ種以上のα−オレフィンを共重合させたものなどが挙げられる。またエチレン−環状オレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂も使用可能である。またポリオレフィン樹脂とは区別されるが、エチレン−α,β不飽和カルボン酸のエステル化物あるいはそのイオン架橋物、特にエチレン−(メタ)アクリル酸メチル、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル、エチレン−(メタ)アクリル酸n−ブチル、エチレン−(メタ)アクリル酸i−ブチル、エチレン−(メタ)アクリル酸t−ブチル等も使用可能である。
【0024】
これらから選ばれる樹脂の単体あるいは二種以上のブレンド物から選択されるのが好ましい。
【0025】
なお、吸湿層に用いる樹脂は各種のものが使用できるが、ポリオレフィンであればコスト的にも材料的 にも汎用性が高いので好ましい場合がある。
【0026】
吸湿層のポリオレフィン系樹脂に配合する吸湿性無機化合物としては、汎用性が高く高吸収を示し、また樹脂への分散性が良い酸化カルシウムが好ましい。酸化カルシウムは水分を吸収し水酸化カルシウムに変化するが、この水酸化カルシウムは炭酸ガスを吸収し炭酸カルシウムに変化する。ここで水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変化する際、それまでに吸収した水分を放出してしまう。一時的な湿分吸収だけで、それまでに吸収した水分を放出してしまう湿分吸収包装容器は機能しないため、酸化カルシウムを配合した吸湿層に、炭酸ガスをブロックするガスブロック層を配することで、それまでに吸収した水分の放出を防止する。
【0027】
ガスブロック層としては、特に制限されるものではなく、吸湿層に使用されるポリオレフィン系樹脂から選択的に使用可能である。
【0028】
なお、ガスブロック層は各種のものが使用できるが、ポリオレフィンであればコスト的にも材料的 にも汎用性が高いので好ましい場合がある。
【0029】
本発明によれば、ガスブロック層の樹脂組成は、ポリオレフィン系樹脂等に吸湿性無機化合物や吸湿性有機化合物などを配合した吸湿性樹脂組成物からなる層から構成されている場合を含めるものとしている。
【0030】
吸湿層の内層となるガスブロック層に、吸湿性有機化合物または吸湿性無機化合物もしくはこれらを配合することにより、容器内の湿分がガスブロック層を透過しやすくなり吸湿層に到達しやすくなる。また吸湿層の吸湿性無機化合物が湿分を吸収する主な成分であるが、ガスブロック層に吸湿成分を配合することで、吸湿速度を早め吸湿量に幅を持たせることが可能となる。
【0031】
ガスブロック層に配合する吸湿性無機化合物としては、ゼオライト、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムなどの硫酸塩化合物、アルミナ、活性炭、粘土鉱物、シリカゲルが挙げられ、これらの中から1種以上が選択される。
【0032】
この場合、ガスブロック層に配合した吸湿性無機化合物が、最内層にある場合もあるが、ガスブロック層に配合する無機化合物はポリオレフィン樹脂等の樹脂の透湿性改善が目的であるため吸湿層に比べ配合量は少量で良く、また、内容物に接しても問題は生じない無機化合物を選定するため、衛生性に問題は生じない。
【0033】
ガスブロック層に配合する吸湿性有機化合物としては、デンプン、セルロースなどの多糖類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリα,β不飽和カルボン酸あるいはそのイオン架橋物、エチレン−酢酸ビニル共重合体あるいはポリ酢酸ビニルの部分または完全けん化物、ポリエチレンオキサイドあるいはポリプロピレンオキサイドなどのポリアルキレンオキサイド誘導体、ポリエステル、ポリアミドから1種以上が選択される。
【0034】
ガスブロック層は、吸湿層に使用されるポリオレフィン系樹脂から選択的に選ばれ、また吸湿性化合物を配合してもよいように、ガス透過度による物性的な制限は無く、その厚みにおいても制限されるものではない。内容物適性や包装材料物性などに応じて適切に設計される。
【0035】
必要に応じて、これらの樹脂に対し、各種添加剤(酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤、分散剤、各種フィラーなど)を配合しても構わない。
【0036】
本発明の湿分吸収包装容器は、押出ラミネーション成形、押出キャスト成形、インフレーション成形などの各種成形法を用いて積層体としたり、また公知のブロー成形法、延伸ブロー成形法、射出成形法、シート成形法などを用いて成形することができる。前述した成形法で得た積層体の中で特に各層のフィルムについては、その後工程でドライラミネーションやウェットラミネーション、ノンソルベントラミネーションにより積層体を得ることも可能である。容器の形態としては、パウチ形状、ボトル形状、トレー形状、ケース形状など種々の形状に適用することが可能である。
【0037】
以下に本発明の構成例を示すが、これらに限られるものではなく、各種用途の包装形態に対応が可能である。
【0038】
(構成例1)
容器形態:パウチ
層構成:外層側から順に
[ガスバリア層]内層側から順に、アルミ箔とポリエステル樹脂の積層
[吸湿層]低密度ポリエチレン樹脂に酸化カルシウムを配合したもの
[ガスブロック層]低密度ポリエチレン樹脂
成形法:押出やドライラミネーションなど
【0039】
(構成例2)
容器形態:カップまたはトレー容器
層構成:外層側から順に
[ガスバリア層]ポリプロピレン樹脂
[吸湿層]ポリプロピレン樹脂に酸化カルシウムを配合したもの
[ガスブロック層]ポリプロピレン樹脂
成形法:押出成形、射出成形など
【0040】
(構成例3)
容器形態:中空容器(必要に応じて蓋材を含めて)
層構成:外層側から順に
[ガスバリア層]ポリプロピレン樹脂
[吸湿層]低密度ポリエチレン樹脂に酸化カルシウムを配合したもの
[ガスブロック層]低密度ポリエチレン樹脂
成形法:押出成形、射出成形、ブロー成形など
【0041】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、容器形態や吸収能力などこれに限定されるものではない。
「ガスバリア層Aの選定」
内層側から順に、ポリエステルフィルム(PET)12μm、アルミ箔7μmをガスバリア層基材とした。
【0042】
「吸湿層B−1の調製」
低密度ポリエチレン樹脂70wt%に対し、あらかじめ200℃にて数時間の加熱処理を行った酸化カルシウム(CaO)が30wt%になるよう調整した混合物の、ニ軸押出機によるコンパウンドを行い、空冷ペレタイズによるペレタイズ化を行った。
【0043】
「吸湿層B−2の調製」
低密度ポリエチレン樹脂70wt%に対し、あらかじめ200℃にて数時間の加熱処理を行った酸化カルシウム(CaO)が30wt%を配合した混合物100wt%に対し、酸化ケイ素(SiO2)を5wt%配合した混合物を調製し、ニ軸押出機によるコンパウンドを行い、空冷ペレタイズによるペレタイズ化を行った。
【0044】
「ガスブロック層C−1の調製」
低密度ポリエチレン樹脂90wt%に対し、ポリビニルアルコール10wt%とした。
【0045】
「ガスブロック層C−2の調製」
低密度ポリエチレン樹脂100wt%とした。
【0046】
「湿分吸収包装容器の構成」
【0047】
(実施例1)
吸湿層B−1とガスブロック層C−1を多層押出にてフィルム化し、これにガスバリア層Aをドライラミネートにより接着、積層体とした。また同様に吸湿層が吸湿層B−2を用いた積層体も作成した。層構成を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
(実施例2)
吸湿層B−1とガスブロック層C−2を多層押出にてフィルム化し、これにガスバリア層Aをドライラミネートにより接着、積層体とした。また同様に吸湿層が吸湿層B−2を用いた積層体も作成した。層構成を表1に、このフィルム断面図を図1に示す。
【0050】
(比較例1)
吸収層B−1のみを押出成形にてフィルム化し、これにガスバリア層Aをドライラミネートにより接着、積層体とした。また同様に吸湿層が吸湿層B−2を用いた積層体も作成した。層構成を表1に示す。
「湿分吸収包装容器の形状」
吸収層の調製時より製膜、積層、容器形状化に至るまで、樹脂中の酸化カルシウムが環境中にできるだけ暴露しないように配慮するものとする。
【0051】
後述する評価方法1で使用する湿分吸収包装容器の形状は、四方シールパウチ形態で、その外寸サイズはa×bが210mm×300mmとし、シール幅を除くとa×bが200mm×290mmとした。このパウチに使用する積層体は、実施例および比較例で吸湿層B−1を用いた積層体を使用した。
【0052】
また後述する評価方法2で使用する試料の形状は、□100mmに積層体を切り抜いたものとし、この試料に使用する積層体は、実施例および比較例で吸湿層B−2を用いた積層体を使用した。
【0053】
[湿分吸収包装容器の作成と評価方法1]
実施例および比較例において、吸湿層B−1を用いた積層体を前記形状に三方シールし、その中に、測定範囲が0〜100%Rhの高分子静電容量式の湿度センサーを充填、三方シールパウチ中の空気をできるだけ除いた後シールを施し密封した。その後この湿度センサー入り湿分吸収包装容器を40℃環境において、その環境に十分になじませてから、シリンジを用いて軽く容器内を減圧した後、容器内に40℃90%Rhの空気を1リットル注入・シールし、その場で保管、経時における湿度変化を評価した。
【0054】
これら実施例および比較例における湿度変化グラフを図2に示す。
【0055】
[評価試料の作成と評価方法2]
また実施例および比較例において、吸湿層B−2を用いた積層体を、それぞれ□100mmにカットしたフィルムを各8枚用意し、これをガスブロック層もしくは吸湿層側全面が環境に接するように25℃65%Rh環境の恒温恒湿槽に保管した。このフィルムを保管時間別に取り出し、X線回折装置にて、測定方法は薄膜法(2θスキャン)、測定条件は管球銅40kV×40mA、スキャンステップ0.05°、スキャンスピード2.0°/min、測定試料面10mm×15mmで測定評価した。解析は測定結果の酸化ケイ素の主ピークを内部標準とし、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムの三成分について、それぞれの主ピークとの比をとり、その推移を成分量の推移とした。これら実施例および比較例の酸化カルシウム成分量の推移を図3に示す。
【0056】
これら実施例および比較例の水酸化カルシウム成分量の推移を図4に示す。
【0057】
これら実施例および比較例の炭酸カルシウム成分量の推移を図5に示す。
【0058】
本発明の実施例では、吸湿速度の比較がし易い高湿の40℃90%Rh空気を充填し比較した。結果は、湿分吸収包装容器内空気に吸湿層が直接接触する比較例の方が吸湿速度は早い。しかし吸湿の速度的な差は大きくないばかりか、長期保存を想定した、標準的な環境である25℃65%Rhに保存した積層体のX線回折分析による結果から、比較例では保存時間に応じて炭酸カルシウムが生成しているのに対し、実施例のガスブロック層を配した構成の場合、いずれも炭酸カルシウムの生成が抑制されているのが明確である。よってガスブロック層を配することにより、乾燥剤である酸化カルシウムが吸湿により水酸化カルシウムの状態となるが、この水酸化カルシウムが吸湿した水分を放出してしまう炭酸カルシウムに形態変化することを抑制でき、結果として安定した湿分吸収能力を保持可能となる。
【0059】
また本発明の実施例では、容器内に多量の高湿空気を封入する評価や、高湿環境に長時間保管する評価法を用いたが、これらは促進試験であり、特に開封自在な湿分吸収包装容器や長期保存容器においては、その使用環境によって使用の延長に予想できる結果である。
【0060】
【発明の効果】
本発明の湿分吸収包装容器は、その吸収能力を最大限に発揮しながら、容器構成も多様な対応が可能であることから、あらゆる用途の吸湿性容器として展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例2で示した湿分吸収包装容器のフィルム断面図である。
【図2】実施例および比較例の容器内湿度推移のグラフである。
【図3】実施例および比較例の酸化カルシウム成分のX線回折解析結果である。
【図4】実施例および比較例の水酸化カルシウム成分のX線回折解析結果である。
【図5】実施例および比較例の炭酸カルシウム成分のX線回折解析結果である。
【符号の説明】
A:ガスバリア層
B:吸湿層
C:ガスブロック層
Claims (4)
- 外層側から順に、ガスバリア層、樹脂に吸湿性無機化合物を配合した吸湿性樹脂組成物からなる吸湿層、ガスブロック層、からなることを特徴とする湿分吸収包装容器。
- 前記吸湿層の吸湿性無機化合物が酸化カルシウムを主成分とすることを特徴とする請求項1記載の湿分吸収包装容器。
- 前記ガスブロック層が、ポリオレフィン樹脂に吸湿性無機化合物または吸湿性有機化合物またはこれらを配合してなるものであることを特徴とする、請求項1または2記載の湿分吸収包装容器。
- 前記ガスブロック層がシーラント層であることを特徴とする、請求項1、2または3記載の湿分吸収包装容器。
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