JP7255278B2 - 消臭積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、包装体に包装される内容物に変味や変臭を生じることを防ぎ、該臭気成分が包装体内に充満して開封時に異臭を感じることを防ぎ、内容物に水分が影響されることを防ぎ、内容物の長期間の耐臭味変化性や耐水分劣化性に優れた消臭包積層体、および該消臭包積層体から作製された消臭包装材料、消臭包装体に関する。
包装材料において、臭気を吸着する臭気吸着剤を内包した包装材料が提案されている(特許文献1)。このような包装材料においては、合成ゼオライトや活性炭といった臭気吸着剤が、樹脂材料中に練り込まれている。
しかしながら、このような包装材料は、臭気だけでなく、大気中の湿気をも吸着し、且つ、一度吸着した臭気を、脱離させてしまうという問題があるため、十分な臭気吸着効果が得られていない。
無機多孔体上に化学吸着剤を担持させてなる臭気吸着剤を含有した包装材料も知られているが(特許文献2)、主な吸着対象物は特定の官能基を有する臭気成分を吸着するのみであって、樹脂材料を選定しない状況では、官能基を有さない有機物の発生量を抑制できず、臭気成分を十分に吸着し得るものではない。
さらに、内容物の加水分解によって異臭が発生することを抑制する吸湿性の包装材料も知られているが(特許文献3)、臭気発生抑制効果はあるものの、発生した臭気成分はそのまま残留する為に、十分な臭気改善効果が得られなかった
特許第2538487号公報 特開2014-233408公報 特開2006-327690号公報
本発明は、上述の問題を解決し、製造適正に優れ、包装体に包装される内容物が食品や医薬品の場合には、加水分解されることによって発生する臭気成分が内容物に変味や変臭を生じることを防いで臭味改善効果を与え、該臭気成分が包装体内に充満して開封時に異臭を感じることを防ぎ、内容物が水分を嫌う電子部品、電子機器、産業資材等の場合には、劣化を防ぎ、長期間の耐臭味変化性や水分による耐劣化性に優れた消臭包装体を提供することを課題とする。
本発明者らは、種々検討の結果、少なくとも、基材層と特定の消臭剤を含有する消臭層と特定の加水分解抑制剤を含有する加水分解抑制層とを有する積層体が、上記の目的を達成することを見出した。
すなわち、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.基材層とシーラント層とを有する包装材料用の消臭性積層体であって、
該シーラント層は、消臭層と、加水分解抑制層とを有し、
該消臭層は、消臭剤とポリオレフィン系樹脂とを含有し、
該消臭剤は、化学臭気吸着剤、および/または、SiO2/Al23モル比が30/1~10000/1の疎水性ゼオライトを含有し、
該加水分解抑制層は、加水分解抑制剤とポリオレフィン系樹脂とを含有し、
該加水分解抑制剤は、吸湿性アルカリ金属化合物、および/または、吸湿性アルカリ土類金属化合物、SiO2/Al23モル比が1/1~20/1の親水性ゼオライトからなる群から選ばれる1種または2種以上を含有し、
該消臭層中の該消臭剤の含有量は、0.5質量%以上、15質量%以下であり、
該加水分解抑制層中の該加水分解抑制剤の含有量は、1質量%以上、50質量%以下であることを特徴とする、消臭性積層体。
2.前記消臭性積層体は、前記基材層と、前記消臭層および前記加水分解抑制層との間に、さらに、ガスバリア層を有し、
該ガスバリア層は、ガスバリア性樹脂フィルム、金属箔、金属蒸着層付き樹脂フィルム、金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルム、ガスバリア性樹脂塗膜からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、
上記1に記載の消臭性積層体。
3.前記シーラント層の外部表面の層が、前記消臭層または前記加水分解抑制層であることを特徴とする、
上記1または2に記載の消臭性積層体。
4.前記シーラント層の外部表面の層、または、前記シーラント層の外部表面の層と最基材層側の層とが、ポリオレフィン系樹脂を含有し、前記消臭剤および前記加水分解抑制剤を含有しないヒートシール層であることを特徴とする、
上記1または2に記載の消臭性積層体。
5.前記ポリオレフィン系樹脂が、密度が0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下の、LDPEおよび/またはLLDPEであることを特徴とする、
上記1~4の何れかに記載の消臭性積層体。
6.上記1~5の何れかに記載された消臭性積層体からなる、消臭包装材料。
7.上記6に記載された消臭包装材料を用いて作製されたことを特徴とする、消臭包装体。
8.上記6に記載された消臭包装材料を用いて作製されたことを特徴とする、消臭包装袋。
9.上記6に記載された消臭包装材料を用いて作製されたことを特徴とする、消臭パウチ袋。
本発明のガス吸着包装体は、製造適正に優れ、包装体に包装される内容物の水分による劣化、及び加水分解により発生する臭気成分が内容物に変味や変臭を生じることを防いで、内容物が食品や医薬品の場合には、臭味改善効果を与え、該臭気成分が包装体内に充満して開封時に異臭を感じることを防ぎ、内容物が水分を嫌う電子部品、電子機器、産業資材等の場合には、劣化を防ぐことができる。
そして、一度吸着した臭気、及び水分を脱離し難く効率的に吸着するため、長期にわたって高い吸湿効果と消臭効果を発揮する消臭包装体を提供することができる。
したがって、本発明の消臭包装体は、乾燥された食品、医薬品、医療品、水分を嫌う電子部品、電子機器、産業資材用の包装体用途として好適である。
本発明の消臭包装体について、その一例を示す概略的外観図である。 本発明の消臭包装体の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の消臭包装体の層構成について、その別態様の一例を示す概略的断面図である。 本発明の消臭包装体の層構成について、その別態様の一例を示す概略的断面図である。 本発明における、化学臭気吸着剤担持無機多孔体の臭気吸着メカニズムを示す概略図である。
各図においては、解り易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見易さの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
更に、各図において、凹凸部は明確な角を有するパターンとして例示されているが、角が丸まった形状でもよい。
本発明の消臭包装体について、以下に更に詳しく説明する。具体例を示しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<消臭積層体の層構成>
本発明の包装材料用の消臭積層体は、基材層とシーラント層とを有する。
そして、消臭性積層体は、必要に応じて、基材層と消臭層および前記加水分解抑制層との間に、さらに、ガスバリア層を有することもできる。
<基材層>
基材層には、樹脂フィルムを用いることが好ましく、1層で構成されていてもよく、組成が同一または異なる樹脂フィルムを2層以上含む多層構成であってもよい。
また、基材層を構成する各層間または他層との間には、接着性を向上させるために、接着剤層を設けたり、各層の表面に、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けたりすることができる。
例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスまたは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いたる酸化処理等の前処理を任意に施して、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
或いは、表面に、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、蒸着アンカーコート剤層等の各種コート剤層を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の各種コート剤層には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンもしくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂またはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を用いることができる。
基材層の厚さは、素材にもよるが、樹脂フィルムの場合には、好ましくは5~30μm、より好ましくは10~30μmである。
基材層に用いられる樹脂フィルムには、熱可塑性樹脂をフィルム化したものを用いることができ、化学的または物理的強度に優れ、金属酸化物の蒸着膜を形成する条件に耐え、それら金属酸化物の蒸着膜の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができる熱可塑性樹脂であることが好ましい。
このような樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種の樹脂が挙げられる。
本発明においては、樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリプロピレン(PP)が好ましい。
本発明において、基材層に用いられる熱可塑性樹脂は、公知公用の各種製膜法でフィルム化することができる。
例えば、1種の樹脂を使用して、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて製膜する方法、2種以上の樹脂を使用して多層共押し出し製膜する方法、2種以上の樹脂を製膜する前に混合して上記製膜法で製膜する方法、等が挙げられる。さらに、テンター方式やチューブラマ方式等を利用して1軸または2軸方向に延伸したフィルムとすることができる。
または、他の樹脂フィルム上に、1種または2種以上の樹脂を、塗布及び乾燥してコーティングしたり、Tダイ法等によって溶融した樹脂を積層したりすることもできる。
本発明においては、樹脂フィルムとしては、二軸延伸PETフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸PPフィルムまたはシートが好ましく用いられる。
なお、樹脂フィルムには、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等を使用することができる。
<シーラント層>
シーラント層は、消臭層と、加水分解抑制層とを有する。そして、シーラント層は、必要に応じて、ヒートシール層を更に有することもできる。
シーラント層の外部表面の層は、消臭層または加水分解抑制層であってもよく、ヒートシール層であってもよい。さらに、シーラント層の最基材層側の層が、ヒートシール層であってもよい。
ヒートシール層がヒートシール性に優れることによって、シーラント層の外部表面の層がヒートシール層の場合には消臭積層体のヒートシール性を優れたものにできる。
また、シーラント層の最基材層側の層をヒートシール層にすることによって、消臭積層体の内部のシーラント層界面の接着強度を高いものにできる。
シーラント層は、さらに、滑剤、酸化防止剤、アンチブロック剤、その他の添加剤を含むこともできる。
(シーラント層の製膜・積層方法)
本発明において、シーラント層またはシーラント層を構成する各層の製膜、積層方法は特に限定されず、公知または慣用の製膜方法、積層方法を適用することができる。
シーラント層、または消臭層や加水分解抑制層やヒートシール層を、押出しまたは共押出しで、他の層上に、エクストルージョンコート法で積層したり、インフレーション法やキャスト法により製膜後に接着層を介して積層したりすることもできる。エクストルージョンコート法の場合でも、必要に応じて接着層を介して、積層してもよい。
または、予め製膜されたシーラント層、消臭層、加水分解抑制層、ヒートシール層用の
フィルムを、エクストルージョンコート法、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法等により積層された接着層を介して積層、接着してもよい。
エクストルージョンコート法により積層する場合においては、まず、シーラント層、消臭層、加水分解抑制層、ヒートシール層等を形成する樹脂組成物を加熱して溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に(共)押出し、該溶融樹脂を被積層面上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、シーラント層、消臭層、加水分解抑制層、ヒートシール層等の形成と、被積層面への積層および接着や、各層間の積層および接着等を、同時に行うことができる。
エクストルージョンコート法により積層する場合の、シーラント層に含まれる樹脂成分のメルトフローレート(MFR)は、0.2~50g/10分が好ましく、0.5~30g/10分がより好ましい。なお、本明細書において、MFRとはJIS K7210に準拠した手法から測定された値である。
MFRが0.2g/10分未満、又は50g/10分よりも大きいと、加工適正が劣り易い。
インフレーション法を用いる場合の、シーラント層に含まれる樹脂成分のメルトフローレート(MFR)は、0.2~10g/10分が好ましく、0.2~9.5g/10分がより好ましい。
MFRが0.2g/10分未満、又は10g/10分よりも大きいと、加工適正が劣り易い。
[ヒートシール層]
ヒートシール層は、消臭剤および前記加水分解抑制剤を含有せず、ポリオレフィン系樹脂を含有する層であり、ヒートシール性に優れる層である。
[消臭層]
消臭層は、消臭剤とポリオレフィン系樹脂とを含有する層であり、消臭作用を奏する層であり、1層構成であってもよく、組成が同一または異なる2層以上であってもよい。
消臭層中の消臭剤の含有量は、0.5質量%以上、15質量%以下が好ましく、0.8質量%以上、15質量%以下がより好ましい。上記範囲よりも少ないと消臭効果が発現し難く、上記範囲よりも多いと製膜性が悪化し易い。
(消臭剤)
消臭剤は、内容物自体、及び内容物の加水分解によって生成した臭気物質を消臭する作用を有する化合物である。
消臭剤には、化学臭気吸着剤および/またはSiO2/Al23モル比が30/1~10000/1の疎水性ゼオライトを用いることができる。さらには、必要に応じて、臭気分解性金属化合物を用いても良い。
化学臭気吸着剤とは、内容物自体、及び内容物の加水分解によって生成した臭気物質と化学反応を起こして結合する反応性官能基を有する化合物であり、例えば、アルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類等と結合する反応性を有する官能基を有する化合物である。
このような化合物としては、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、水酸基含有化合物、炭酸塩、炭酸水素塩等が挙げられる。
アミノ基含有化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、等のアルキルアミン、メタフェニレンジアミン等のフェニルアミン、テトラメチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン、エタノールアミン、ピペラジン、ピペリジン、等が挙げられる。
カルボキシル基含有化合物の具体例としては、2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
水酸基含有化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の金属水酸化物が挙げられる。
炭酸塩の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩が挙げられる。
炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素ナトリウム等の金属炭酸水素塩が挙げられる。
化学臭気吸着剤は、無機多孔体上に担持させて、化学臭気吸着剤担持無機多孔体として用いることもできる。
化学臭気吸着剤の臭気物質に対する吸着機構を、図5(a)~(b)の具体例を用いてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。図5(a)~(b)においては、化学臭気吸着剤は、例えば無機多孔体上に担持して用いられている。
例えば、臭気物質がカルボン酸系臭気物質である場合は、図5(a)に示すように、化学臭気吸着剤として、例えばヒドロキシル基を有する化合物を用いることができる。これにより、カルボキシル基とヒドロキシル基とが化学反応を起こして結合し、臭気物質が吸着される。
また、臭気物質がアルデヒド類である場合は、図5(b)に示すように、化学臭気吸着剤として、例えばアミノ基を有する化合物を用いることができる。これにより、アルデヒド基とアミノ基とが化学反応を起こして結合し、臭気物質が吸着される。
この際、臭気物質の吸着は化学吸着であることにより、一旦吸着した臭気物質は脱離することがなく、効率的に臭気吸着を行うことができる。
さらに、臭気と水蒸気とが同一の吸着部位に吸着される物理吸着剤とは異なり、本発明における化学臭気吸着剤は、臭気物質を化学臭気吸着剤の特定の官能基と結合させるため、臭気吸着能を低下させる種々の物質、例えば水蒸気等の影響を受けにくい。
化学臭気吸着が担持した剤無機多孔体の形状は、球状、棒状、楕円状等の任意の外形形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、樹脂中に分散させた際の、均一な分散性や混練特性、製膜性等の観点から、粉体状が好ましい。
本発明において、化学臭気吸着が担持した剤無機多孔体の平均粒子径は、用途に応じて、任意の平均粒子径のものを適宜選択することができるが、平均粒子径0.01μm~10μmのものが好ましい。ここで、平均粒子径は、動的光散乱法により測定された値である。
平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合には化学臭気吸着が担持した剤無機多孔体の凝集が生じ易く、分散性が低下する傾向にある。また、平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、化学臭気吸着が担持した剤無機多孔体を含む層の製膜性が劣る傾向になる為に、化学臭気吸着が担持した剤無機多孔体を多くは添加し難い傾向となり、更に表面積も減少する為に、十分な消臭効果が得られない可能性が生じる。
疎水性ゼオライトのSiO2/Al23モル比は、30/1~10000/1が好ましく、35/1~9000/1がより好ましく、40/1~8500/1がさらに好ましい。
一般的にゼオライトはSiO2/Al23モル比が高い程、疎水性が高くなる。そして、疎水性が高くなることによって、極性の高い水分子等を吸着し難くなり、逆に極性の低い臭気物質、疎水性ガス、親油性ガス(溶剤系ガスも含む)との親和性が高くなり、これらを吸着し易くなる。更に、ゼオライト表面に存在する、Ca、Na、K等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の効果によりゼオライト表面は塩基性を示し、酸性ガスは中和反応
によって吸着され易くなる。
本発明においては、臭気物質の吸着性能と入手し易さのバランスから、上記範囲のモル比の疎水性ゼオライトが好ましく用いられる。
また、疎水性ゼオライトは耐熱性が高く、230℃以上の高温に晒されても、臭気物質の吸着効果を維持することができる。
疎水性ゼオライトの形状は、球状、棒状、楕円状等の任意の外形形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、樹脂中に分散させた際の、均一な分散性や混練特性、製膜性等の観点から、粉体状が好ましい。
本発明において、疎水性ゼオライトの平均粒子径は、用途に応じて、任意の平均粒子径のものを適宜選択することができるが、平均粒子径0.01μm~10μmのものが好ましい。ここで、平均粒子径は、動的光散乱法により測定された値である。
平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合には疎水性ゼオライトの凝集が生じ易く、分散性が低下する傾向にある。また、平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、疎水性ゼオライトを含む層の製膜性が劣る傾向になる為に、疎水性ゼオライトを多くは添加し難い傾向となり、更に表面積も減少する為に、十分な消臭効果が得られない可能性が生じる。
臭気分解性金属化合物とは、臭気物質を化学的に分解する作用を有する金属化合物である。
臭気分解性金属化合物は、臭気分解性金属化合物中に保持された金属原子がイオン化して、臭気物質の分解反応を促進する触媒作用を発揮することによって、消臭効果を奏するものである。
臭気分解性金属化合物は、硫黄系臭気物質の消臭効果も高い。
臭気分解性金属化合物は、銅、亜鉛、銀、白金、金、鉄、コバルトからなる群から選ばれる1種または2種以上の元素の、酸化物および/または塩が好ましい。
金属酸化物としては、例えば、CuO、Cu2O、ZnO、Ag2O、PtO2、Au23、FeO、Fe34、Fe23、CoO、Co23、Co34等が挙げられる。これらの中でも、CuO(酸化銅(II))、ZnOが好ましい。
臭気分解性金属化合物は、触媒として臭気物質の分解反応を促進するため、化学吸着、物理吸着を利用して表面積に依存する場合に比べて、消臭容量を増大させることができ、消臭効果を長期間に亘って安定して発揮することができる。
臭気分解性金属化合物の粒子径分布は、重量平均粒子径が1μm以上、30μm以下であり、D96が40μm以下であることが好ましい。ここで、平均粒子径は、動的光散乱法により粒度分布測定を行って測定された値であり、D96は、累積分布させたときの積分値が96質量%に当たる粒径を意味する。
平均粒子径が1μmよりも小さい場合には臭気分解性金属化合物の凝集が生じ易く、シーラント層中での分散性が低下する傾向にある。また、平均粒子径が30μmよりも大きい場合にはシーラント層の製膜性が劣る傾向になる為に、臭気分解性金属化合物を多くは添加し難い傾向となり、更に表面積も減少する為、十分な消臭効果を得難いおそれがある。
96が40μmを超えると、樹脂中への均一分散が困難になり易く、製膜性が低下するおそれがある。
臭気分解性金属化合物は、無機物に混錬または担持させて用いることもできる。
(消臭剤の分散方法)
消臭剤を消臭剤分散樹脂中に分散させる方法としては、公知または慣用の混練方法を適
用することができる。
消臭剤を直接、消臭剤分散樹脂と混合して混練することも可能であり、或いは、消臭剤を高濃度で熱可塑性樹脂と混合した後に溶融混練(メルトブレンド)してマスターバッチを作製し、これを、目標含有率に応じた比率で、消臭層用の消臭剤分散樹脂と混合、溶融混練する、いわゆるマスターバッチ方式によっても可能である。
マスターバッチ方式の場合には、凝集が発生し易い、消臭剤と樹脂の組み合わせであっても、効率的に、均質に分散させることができる。
マスターバッチ中の、消臭剤の含有率は、0.5質量%以上、40質量%以下が好ましく、1質量%以上、20質量%以下がより好ましい。上記範囲内未満では、層内における消臭剤または加水分解抑制剤の含有率の自由度が小さくなりやすく、上記範囲よりも多いと、優れた分散性を得ることが困難になり易い。
マスターバッチに用いる熱可塑性樹脂としては、汎用のポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー、酸変性ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、及びこれらの樹脂の混合物等が挙げられるが、これらの樹脂に限定されない。
この際、マスターバッチ中の熱可塑性樹脂は、消臭層中の消臭剤分散樹脂と同一であっても、異なっていてもよく、目的に応じて異なる種類の樹脂を消臭層のヒートシール性や製膜性に大きな悪影響を与えない範囲内で組み合わせることが可能である。
例えば、消臭層中の消臭剤分散樹脂と同一の樹脂をマスターバッチに用いていれば、消臭層は均質になり易く、良好な、製膜性、ヒートシール性、層間接着強度、消臭性を、効率的に得ることが可能である。
[加水分解抑制層]
加水分解抑制層は、加水分解抑制剤とポリオレフィン系樹脂とを含有する層であり、吸湿によって内容物の加水分解を抑制する作用を奏する層である。
加水分解抑制層は、1層構成であってもよく、組成が同一または異なる2層以上であってもよい。
(加水分解抑制剤)
加水分解抑制剤は、内容物の加水分解を抑制する為の吸湿性を有する化合物である。内容物の加水分解には水が必須である為、加水分解抑制剤が吸湿して水分量を低下させることによって、加水分解の進行を抑制し、臭気物質の発生を抑制することができる。また、内容物が水分を嫌う電子部品、電子機器、産業資材等の場合には、劣化を抑制することができる。
加水分解抑制剤は、吸湿性アルカリ金属化合物、吸湿性アルカリ土類金属化合物、親水性ゼオライトからなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
加水分解抑制層中の加水分解抑制剤の含有量は、1質量%以上、50質量%以下が好ましく、5質量%以上、50質量%以下がより好ましい。上記範囲よりも少ないと加水分解抑制剤効果が発現し難く、上記範囲よりも多いと製膜性が悪化し易い。
吸湿性アルカリ金属化合物または吸湿性アルカリ土類金属化合物としては、具体的には、Li2O、Na2O、K2O、MgO、CaO、BaO、LiCl、LiOHが好ましく、これらの中でも、MgO、CaOがより好ましい。
親水性ゼオライトのSiO2/Al23モル比は、1/1~20/1が好ましく、1.5/1~10/1がより好ましく、2/1~5/1がさらに好ましい。
一般的にゼオライトはSiO2/Al23モル比が低い程、親水性が高くなる。そして、親水性が高くなることによって、極性の高い水分子等を吸着し易くなり、逆に極性の低
い臭気物質、疎水性ガス、親油性ガス(溶剤系ガスも含む)との親和性が低くなり、これらを吸着し難くなる。
本発明においては、吸湿性能と入手し易さのバランスから、上記範囲のモル比の親水性ゼオライトが好ましく用いられる。
また、親水性ゼオライトは耐熱性が高く、230℃以上の高温に晒されても、吸湿効果を維持することができ、エクストルージョンによる230℃以上の高温積層に用いることもできる。
加水分解抑制剤の形状は、球状、棒状、楕円状等の任意の外形形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、樹脂中に分散させた際の、均一な分散性や混練特性、製膜性等の観点から、粉体状が好ましい。
本発明において、加水分解抑制剤の平均粒子径は、用途に応じて、任意の平均粒子径のものを適宜選択することができるが、平均粒子径0.01μm~10μmのものが好ましい。ここで、平均粒子径は、動的光散乱法により測定された値である。
平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合には加水分解抑制剤の凝集が生じ易く、分散性が低下する傾向にある。また、平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、加水分解抑制剤を含む層の製膜性が劣る傾向になる為に、加水分解抑制剤を多くは添加し難い傾向となり、更に表面積も減少する為に、十分な吸湿効果が得られない可能性が生じる。
(加水分解抑制剤の分散方法)
加水分解抑制剤を加水分解抑制剤分散樹脂中に分散させる方法としては、公知または慣用の混練方法を適用することができる。
加水分解抑制剤を直接、加水分解抑制剤分散樹脂と混合して混練することも可能であり、或いは、加水分解抑制剤を高濃度で熱可塑性樹脂と混合した後に溶融混練(メルトブレンド)してマスターバッチを作製し、これを、目標含有率に応じた比率で、加水分解抑制層用の加水分解抑制剤分散樹脂と混合、溶融混練する、いわゆるマスターバッチ方式によっても可能である。
マスターバッチ方式の場合には、凝集が発生し易い、加水分解抑制剤と加水分解抑制剤分散樹脂の組み合わせであっても、効率的に、均質に分散させることができる。
マスターバッチ中の、吸湿性アルカリ金属化合物の含有率は、0.5質量%以上、65質量%以下が好ましく、1質量%以上、60質量%以下がより好ましい。
マスターバッチ中の、吸湿性アルカリ土類金属化合物の含有率は、0.5質量%以上、65質量%以下が好ましく、1質量%以上、60質量%以下がより好ましい。
マスターバッチ中の、親水性ゼオライトの含有率は、0.5質量%以上、65質量%以下が好ましく、1質量%以上、60質量%以下がより好ましい。上記範囲内未満では、層内における消臭剤または加水分解抑制剤の含有率の自由度が小さくなりやすく、上記範囲よりも多いと、優れた分散性を得ることが困難になり易い。
マスターバッチに用いる熱可塑性樹脂としては、汎用のポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー、酸変性ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、及びこれらの樹脂の混合物等が挙げられるが、これらの樹脂に限定されない。
この際、マスターバッチ中の熱可塑性樹脂は、加水分解抑制層中の加水分解抑制剤分散樹脂と同一であっても、異なっていてもよく、目的に応じて異なる種類の樹脂を,加水分解抑制層のヒートシール性や製膜性に大きな悪影響を与えない範囲内で組み合わせることが可能である。
例えば、加水分解抑制層中の加水分解抑制剤分散樹脂と同一の樹脂をマスターバッチに用いていれば、加水分解抑制層は均質になり易く、良好な、製膜性、ヒートシール性、層間接着強度、加水分解抑制性を、効率的に得ることが可能である。
(ポリオレフィン系樹脂)
消臭層および/または加水分解抑制層に含有されるポリオレフィン系樹脂は、消臭剤および/または加水分解抑制剤の分散性とヒートシール性に優れたものが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メチルメタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等の低溶出化されたもの及びそれらの樹脂の混合物が挙げられる。
上記の中でも、ポリエチレン系の樹脂が好ましく、ポリエチレン系の樹脂の中でも、LDPEおよび/またはLLDPEがより好ましく、密度が0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下の、LDPEおよび/またはLLDPEが更に好ましい。
<ガスバリア層>
ガスバリア層は、本発明の消臭積層体を用いて作製した消臭包装体において、消臭包装体の外部から内部へ、更には内容物へと、水蒸気や酸素等が浸透して来るのを抑制する層であり、内容物の加水分解や酸化による臭気物質の生成や、水分による劣化を抑制することができる。
ガスバリア層には、ガスバリア性樹脂フィルム、金属箔、金属蒸着層付き樹脂フィルム、金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルム、ガスバリア性樹脂塗膜からなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
ガスバリア性樹脂フィルムとしては、公知公用のガスバリア性を有する樹脂フィルムを用いることができる。例えば、ガスバリア性フィルムとしては、具体的には、PET、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の樹脂からなる樹脂フィルム、上述の基材フィルムの少なくともいずれか一方の面上にシリカ蒸着膜やアルミナ蒸着膜等の蒸着膜を設けた蒸着フィルム、アルミニウム箔等の金属箔を使用することができるが、これらに限定されない。
金属箔としてはアルミニウム箔が好ましく、金属蒸着層付き樹脂フィルムとしてはアルミニウム蒸着膜付き樹脂フィルムが好ましく、金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルムとしては酸化アルミニウム蒸着膜付き樹脂フィルムが好ましく、ガスバリア性樹脂塗膜としては、金属アルコキシドと水溶性高分子とから形成されたゾルゲル法加水分解重縮合物を含有する塗膜が好ましい。
商業的にも入手可能な酸化アルミニウム蒸着膜付き樹脂フィルムとしては、例えば、PVD法によりアルミナを片面に蒸着したPETフィルムである、大日本印刷株式会社製のアルミナ蒸着IB-PET-PIR(厚さ12μm)、シリカ蒸着IB-ON-UB(厚さ15μm)が挙げられる。
ガスバリア層用の金属箔、金属蒸着層付き樹脂フィルム、または金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルムは、ドライラミネート接着剤を用いて、他の層と接着することができる。
あるいは、金属蒸着層付き樹脂フィルムまたは金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルムの樹脂フィルムに、基材層用の樹脂フィルムを用いて、基材層への積層を省略することもできる。
<消臭包装材料>
本発明の消臭包装材料は、本発明の消臭性積層体から作製された包装材料である。
消臭包装材料は、必要に応じて、消臭性積層体に各種の機能層を追加して含むこともできる。
<消臭包装体>
本発明の消臭包装体は、本発明の消臭包装材料から作製された包装体である。
<消臭包装袋>
本発明の消臭包装袋は、本発明の消臭包装体の一形態として、袋状に製袋されたものである。
製袋方法としては、例えば、消臭シーラントフィルムの消臭シーラント層と該加水分解抑制シーラントフィルムの加水分解抑制シーラント層とを対向させて重ね合わせ、その周辺端部を例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールすることにより作製することができる。
ヒートシールの方法としては、例えばバーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知方法を適用することができる。
<消臭パウチ袋>
本発明の消臭パウチ袋は、本発明の消臭包装袋の一形態として、パウチ袋状に製袋されたものである。
<原材料>
実施例に用いた原料の詳細は下記の通りである。
[消臭剤]
(化学臭気吸着剤担持無機多孔体)
・ケスモンNS-241:東亞合成(株)社製、アミノ基含有化合物担持無機多孔体。平均粒子径3.5μm。
・ケスモンNS-80E:東亞合成(株)製、ヒドロキシル基担持ジルコニウム、平均粒子径2μm。
(疎水性ゼオライト]
・ミズカシーブスEX-122:水澤化学工業(株)製。SiO2/AL23モル比=32/1、平均粒子径2.5~5.5μm。
・シルトンMT400:水澤化学工業(株)社製。SiO2/AL23モル比=400/1、平均粒子径5~7μm。
・シルトンMT-8000:水澤化学工業(株)製。SiO2/AL23モル比=8000/1、平均粒子径0.8μm。
[加水分解抑制剤]
(吸湿性アルカリ土類金属化合物)
・酸化カルシウム:(株)高純度化学研究所社製。平均粒子径5μm。
・酸化マグネシウム:神島化学工業(株)社製。スターマグPSF-150、平均粒子径0.6μm。
(親水性ゼオライト)
・ミズカシーブス5AP:水澤化学工業(株)製。SiO2/AL23モル比=2/1、平均粒子径5μm。
[その他]
・PETフィルム1:東レフィルム加工(株)社製エスペットT4012。膜厚:12μm。
・アルミニウム箔1:7μm厚。
・DL接着剤1:ロックペイント(株)社製ドライラミネート用接着剤RU004/H-1。
・蒸着フィルム1:大日本印刷(株)社製片面酸化アルミニウム蒸着層付きPETフィルム、IB-PET-PIR。12μm厚。
・LDPE1:日本ポリエチレン(株)社製ノバテックLC600A。
・LLDPE1:プライムポリマー(株)社製エボリューSP2020。MFR:2.3g/10分、密度:0.916g/cm3
<マスターバッチ>
マスターバッチを下記のように調整した。
(マスターバッチ1の調整)
LDPE1と、化学臭気吸着剤担持無機多孔体であるケスモンNS-241とを下記割合でメルトブレンドし、マスターバッチ1(MB1)を得た。
LDPE1 90質量部
ケスモンNS-241 10質量部
[マスターバッチ2~11の調整]
表1、表2の配合に従って、マスターバッチ1と同様に、メルトブレンドし、マスターバッチ2~11(MB2~11)を得た。
Figure 0007255278000001
Figure 0007255278000002
[実施例1]
(消臭層用樹脂組成物の調整)
MB1とLLDPE1とを下記質量比でドライブレンドして、消臭層用樹脂組成物を得た。
マスターバッチ1 83.3質量部
LLDPE1 16.7質量部
(加水分解抑制層用樹脂組成物の調整)
MB9とLLDPE1とを下記質量比でドライブレンドして、加水分解抑制層用樹脂組成物を得た。
マスターバッチ9 66.7質量部
LLDPE1 33.3質量部
(シーラントフィルムの作製)
上記で得た消臭層用樹脂組成物と加水分解抑制層用樹脂組成物とヒートシール層用のLLDPE1とを、160℃でインフレーション製膜によって積層し、下記3層構成のシーラントフィルムを得た。
ヒートシール層(10μm)/消臭層(30μm)/加水分解抑制層(30μm)
(消臭性積層体の作製)
次に、得られたシーラントフィルムと、基材層用のPETフィルム1と、ガスバリア層用のアルミニウム箔1とを、DL接着剤1(塗布量3.5g/m2)を介したドライラミネーション(乾燥温度70℃)によって貼り合せ、下記層構成の消臭性積層体を得た。
基材層(12μm)/接着層(3.5g/m2)/ガスバリア層(7μm)/接着層(3.5g/m2)/シーラント層[ヒートシール層(10μm)/消臭層(30μm)/加水分解抑制層(30μm)]
(消臭包装袋の作製)
上記で作製した消臭性積層体を20×20cmにカットし、シーラント面を重ね合せ、三方端部をヒートシールテスター(テスター産業社製:TP-701-A)を用いてヒートシールして、消臭包装袋を作製した。
そして、消臭性積層体と消臭包装袋を用いて、各種評価を実施した。
<実施例2~23、比較例1、2>
表3~7の記載のシーラント層やガスバリア層の構成に従って、MBやガスバリア層素材を選択して、消臭層用樹脂組成物と加水分解抑制層用樹脂組成物を調整し、実施例1と同様に操作して、シーラントフィルムを作製し、消臭性積層体、消臭包装袋を得て、同様に評価した。
<結果まとめ>
実施例1~22の消臭性積層体及消臭包装袋は、良好な製膜性、製袋性、ヒートシール性、消臭効果、相対加湿度低下効果を示した。
消臭層と加水分解抑制層を有していない比較例1は、不十分な消臭効果、相対加湿度低下効果を示し、消臭層中の消臭剤含有量と、加水分解抑制層中の加水分解抑制剤含有量とが高すぎる実施例2は、不十分な製膜性、製袋性を示した。
<評価方法>
[製膜性]
シーラントフィルムの外観を観察し、官能的に評価した。評価基準は以下の通りである。
○:シーラントフィルムに皺やぶつが生じることなく製膜が可能。
×:シーラントフィルムに皺やぶつが多数生じ、製膜が困難。
[製袋性]
○:消臭包装袋が容易に作製できた。
×:消臭包装袋が容易に作製できず、未融着部分や皺が多数生じた。
[ヒートシール性]
消臭性積層体を10cm×10cmに切り分け、2枚をシーラント層面同士を対向させて重ね合せ、ヒートシールテスター(テスター産業社製:TP-701-A)を用いて、1cm×10cmの領域をヒートシールして、端部はヒートシールされずに接着しておらず、二股に分かれている状態のサンプルを作製した。
このサンプルを、15mm幅で短冊状に切り、二股に分かれている各端部を引張試験機に装着して引張強度(N/15mm)を測定して、合否判定した。
(ヒートシール条件)
温度:160℃
圧力:1kgf/cm2
時間:1秒
(引張強度試験条件)
試験速度:300mm/分
荷重レンジ:50N
(合否判定基準)
○:30N/15mm以上であり、合格。
×:30N/15mm未満であり、不合格。
[消臭性能、相対湿度]
消臭性積層体を20×20cmにカットし、相対加湿度80%以上の空気で濃度調整した臭気成分、並びに温度・湿度データロガー((株)ティアンドデイ社、TR-72wf)と共に、1000mlをガスサンプリングバック(IB-PET-PIR12μm/接着層/ONy15μm/接着層/LLDPEフィルム60μm)に入れ、2日放置後の臭気変化を官能評価により、また相対湿度を温度・湿度データロガーにより測定した。臭気成分としては、アセトアルデヒドを200ppm、酢酸を30ppmとなる様に調整した。
臭気官能評価の評価基準は以下のとおりである
・1=初期と変化無く臭い
・2=初期から多少臭いが緩和された
・3=初期と比較して大幅に臭いが緩和された
・4=全く臭いがしない
Figure 0007255278000003
Figure 0007255278000004
Figure 0007255278000005
Figure 0007255278000006
Figure 0007255278000007
1 消臭積層体
2 基材層
3 ガスバリア層
4 シーラント層、シーラントフィルム
5 消臭層
6 加水分解抑制層
7 ヒートシール層

Claims (9)

  1. 基材層とシーラント層とを有する包装材料用の消臭性積層体であって、
    該シーラント層は、消臭層と、加水分解抑制層とを有し、
    該消臭層は、消臭剤とポリオレフィン系樹脂とを含有し、
    該消臭剤は、化学臭気吸着剤、および/または、SiO/Alモル比が30/1~10000/1の疎水性ゼオライトを含有し、
    該加水分解抑制層は、加水分解抑制剤とポリオレフィン系樹脂とを含有し、
    該加水分解抑制剤は、吸湿性アルカリ金属化合物または吸湿性アルカリ土類金属化合物である、Li O、Na O、K O、MgO、BaO、LiCl、LiOHからなる群から選ばれる1種または2種以上を含有するか、
    または、該加水分解抑制剤は、吸湿性アルカリ金属化合物または吸湿性アルカリ土類金属化合物である、Li O、Na O、K O、MgO、BaO、LiCl、LiOHからなる群から選ばれる1種または2種以上、及び、SiO /Al モル比が1/1~20/1の親水性ゼオライトを含有し、
    該消臭層中の該消臭剤の含有量は、0.5質量%以上、15質量%以下であり、
    該加水分解抑制層中の該加水分解抑制剤の含有量は、1質量%以上、50質量%以下であることを特徴とする、消臭性積層体。
  2. 前記消臭性積層体は、前記基材層と、前記消臭層および前記加水分解抑制層との間に、さらに、ガスバリア層を有し、
    該ガスバリア層は、ガスバリア性樹脂フィルム、金属箔、金属蒸着層付き樹脂フィルム、金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルム、ガスバリア性樹脂塗膜からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、
    請求項1に記載の消臭性積層体。
  3. 前記シーラント層の外部表面の層が、前記消臭層または前記加水分解抑制層であることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の消臭性積層体。
  4. 前記シーラント層の外部表面の層、または、前記シーラント層の外部表面の層と最基材層側の層とが、ポリオレフィン系樹脂を含有し、前記消臭剤および前記加水分解抑制剤を含有しないヒートシール層であることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の消臭性積層体。
  5. 前記ポリオレフィン系樹脂が、密度が0.90g/cm以上、0.94g/cm以下の、LDPEおよび/またはLLDPEであることを特徴とする、
    請求項1~4の何れか1項に記載の消臭性積層体。
  6. 請求項1~5の何れか1項に記載された消臭性積層体からなる、消臭包装材料。
  7. 請求項6に記載された消臭包装材料を用いて作製されたことを特徴とする、消臭包装体。
  8. 請求項6に記載された消臭包装材料を用いて作製されたことを特徴とする、消臭包装袋。
  9. 請求項6に記載された消臭包装材料を用いて作製されたことを特徴とする、消臭パウチ袋。
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