JP7255279B2 - 消臭積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、包装材料が元から含有している溶出性の有機物と、殺菌・滅菌処理の際に包装材料から発生する臭気成分とが、包装体内の内容物に移って内容物に変味や変臭を与えてしまうことを防ぎ、且つ内容物自体から生じる臭味成分に対する臭味改善効果を有する、長期間の耐臭味変化性に優れた、消臭積層体、及び該消臭積層体を用いて作製した、包装材料、消臭包装体に関する。
包装材料において、臭気を吸着する臭気吸着剤を内包した包装材料が提案されている(特許文献1)。このような包装材料においては、合成ゼオライトや活性炭といった臭気吸着剤が、樹脂材料中に練り込まれている。
しかしながら、このような包装材料は、臭気だけでなく、大気中の湿気をも吸着し、且つ、一度吸着した臭気を、脱離させてしまうという問題があるため、十分な臭気吸着効果が得られていない。
無機多孔体上に化学吸着剤を担持させてなる臭気吸着剤を含有した包装材料も知られているが(特許文献2)、主な吸着対象物は特定の官能基を有する臭気成分を吸着するのみであって、樹脂材料を選定しない状況では、官能基を有さない有機物の発生量を抑制できず、臭気成分を十分に吸着し得るものではない。
特許第2538487号公報 特開2014-233408公報
本発明は、上述の問題を解決し、製造適正に優れ、積層体が元から含有している臭気有機物と、本発明の積層体を用いて包装袋充填体を作製した場合における内容物自体から生じる臭味成分に対して、高い吸着作用による消臭効果を長期間にわたって発揮して、内容物への長期間の耐臭味変化性に優れた積層体、及び該積層体を用いた包装材料、包装体を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々検討の結果、少なくとも、基材層と、ガスバリア層と、特定の消臭剤を含有し、エクストリュージョンコート法、またはキャスト製膜法によって形成されたシーラント層とを有する積層体が、上記の目的を達成することを見出した。
すなわち、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも、基材層とガスバリア層とシーラント層とを、この順で積層された構成を有する消臭積層体であり、
該シーラント層は、エクストリュージョンコート法、またはキャスト製膜法によって形成された層であり、臭気吸着層を有し、
該臭気吸着層は、ポリオレフィン系樹脂と臭気吸着剤とを含有し、
該臭気吸着剤は、SiO2/AL23モル比が30/1以上、10000/1以下の疎水性ゼオライト、および/または無機化学臭気吸着剤であることを特徴とする、消臭積層体。
2.前記ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.90g/cm3以上、0.94g/cm3
下の、LDPEおよび/またはLLDPEであることを特徴とする、
上記1に記載の、消臭積層体。
3.前記臭気吸着層中の前記臭気吸着剤の含有量が、0.5質量%以上、15質量%であることを特徴とする、上記1または2に記載の、消臭積層体。
4.前記シーラント層が、エクストリュージョンコート法、またはキャスト製膜法により、250℃以上、350℃以下で積層された層であることを特徴とする、
上記1~3の何れかに記載の、消臭積層体。
5.前記シーラント層が、ヒートシール層をさらに含み、
該ヒートシール層は、ポリオレフィン系樹脂を含有し、前記臭気吸着剤を含有しない層であることを特徴とする、
上記1~4の何れかに記載の、消臭積層体。
6.上記1~5の何れかに記載の消臭積層体から作製されたことを特徴とする、消臭包装材料。
7.上記6に記載の消臭包装材料から作製されたことを特徴とする、消臭包装体。
本発明によれば、製造適正に優れ、積層体が元から含有している臭気有機物と、本発明の積層体を用いて包装袋充填体を作製した場合における内容物自体から生じる臭味成分に対して、高い吸着作用による消臭効果を長期間にわたって発揮して、内容物への長期間の耐臭味変化性に優れた積層体、及び該積層体を用いた包装材料、包装体を提供することができる。
本発明の消臭積層体について、その一例を示す概略的外観図である。 本発明の消臭積層体の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の消臭積層体の層構成について、その別態様の一例を示す概略的断面図である。
各図においては、解り易くする為に、部材の大きさや比率を変更または誇張して記載することがある。また、見易さの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
本発明の消臭積層体について、以下に更に詳しく説明する。具体例を示しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<消臭積層体の層構成>
本発明の消臭積層体は、少なくとも、基材層とガスバリア層とシーラント層とを、この順で積層された構成を有する消臭積層体である。
そして、基材層とガスバリア層との間に、必要に応じて、エクストリュージョンコート法、またはキャスト製膜法によって形成された接着剤層を有することもできる。
[基材層]
基材層には、公知公用の、樹脂フィルムや紙材等を用いることができ、1層で構成されていてもよく、組成が同一または異なる2層以上を含む多層構成であってもよい。
また、基材層1を構成する各層間または他層との間には、接着性を向上させるために、接着剤層を設けたり、各層の表面に、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けたりすることができる。
例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスまたは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いたる酸化処理等の前処理を任意に施して、コ
ロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
或いは、表面に、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、蒸着アンカーコート剤層等の各種コート剤層を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の各種コート剤層には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンもしくはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂またはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を用いることができる。
基材層の厚さは、素材にもよるが、樹脂フィルムの場合には、好ましくは5~30μm、より好ましくは10~30μmである。
基材層に用いられる樹脂フィルムには、熱可塑性樹脂をフィルム化したものを用いることができ、化学的または物理的強度に優れ、金属酸化物の蒸着膜を形成する条件に耐え、それら金属酸化物の蒸着膜の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができる熱可塑性樹脂であることが好ましい。
このような樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種の樹脂が挙げられる。
本発明においては、樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリプロピレン(PP)が好ましい。
本発明において、基材層に用いられる熱可塑性樹脂は、公知公用の各種製膜法でフィルム化することができる。
例えば、1種の樹脂を使用して、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて製膜する方法、2種以上の樹脂を使用して多層共押し出し製膜する方法、2種以上の樹脂を製膜する前に混合して上記製膜法で製膜する方法、等が挙げられる。さらに、テンター方式やチューブラマ方式等を利用して1軸または2軸方向に延伸したフィルムとすることができる。
または、他の樹脂フィルム上に、1種または2種以上の樹脂を、塗布及び乾燥してコーティングしたり、Tダイ法等によって溶融した樹脂を積層したりすることもできる。
本発明においては、樹脂フィルムとしては、二軸延伸PETフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸PPフィルムまたはシートが好ましく用いられる。
なお、樹脂フィルムには、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、改質用樹脂等を使用することが
できる。
[ガスバリア層]
ガスバリア層は、本発明の消臭積層体を用いて作製した消臭包装体において、消臭包装体の外部から内部へ、更には内容物へと、水蒸気や酸素等が浸透して来るのを抑制する層であり、内容物の加水分解や酸化による臭気物質の生成や、水分による劣化を抑制することができる。
ガスバリア層には、ガスバリア性樹脂フィルム、金属箔、金属蒸着層付き樹脂フィルム、金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルム、ガスバリア性樹脂塗膜からなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
ガスバリア性樹脂フィルムとしては、公知公用のガスバリア性を有する樹脂フィルムを用いることができる。例えば、例えば、ガスバリア性フィルムとしては、具体的には、PET、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体等の樹脂からなる樹脂フィルム、上述の基材フィルムの少なくともいずれか一方の面上にシリカ蒸着膜やアルミナ蒸着膜等の蒸着膜を設けた蒸着フィルム、アルミニウム箔等の金属箔を使用することができるが、これらに限定されない。
金属箔としてはアルミニウム箔が好ましく、金属蒸着層付き樹脂フィルムとしてはアルミニウム蒸着膜付き樹脂フィルムが好ましく、金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルムとしては酸化アルミニウム蒸着膜付き樹脂フィルムが好ましく、ガスバリア性樹脂塗膜としては、金属アルコキシドと水溶性高分子とから形成されたゾルゲル法加水分解重縮合物を含有する塗膜が好ましい。
商業的にも入手可能な酸化アルミニウム蒸着膜付き樹脂フィルムとしては、例えば、PVD法によりアルミナを片面に蒸着したPETフィルムである、大日本印刷株式会社製のアルミナ蒸着IB-PET-PIR(厚さ12μm)、シリカ蒸着IB-ON-UB(厚さ15μm)が挙げられる。
ガスバリア層用の金属箔、金属蒸着層付き樹脂フィルム、または金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルムは、ドライラミネート接着剤を用いて、他の層と接着することができる。
あるいは、金属蒸着層付き樹脂フィルムまたは金属酸化物蒸着層付き樹脂フィルムの樹脂フィルムに、基材層用の樹脂フィルムを用いて、基材層への積層を省略することもできる。
[シーラント層]
本発明におけるシーラント層は、エクストリュージョンコート法、またはキャスト製膜法によって形成された層であり、臭気吸着層を有する層である。そして、シーラント層は、必要に応じて、ヒートシール層を更に有することもできる。
シーラント層の外部表面の層は、消臭層であってもよく、ヒートシール層であってもよい。さらに、シーラント層の最基材層側の層が、ヒートシール層であってもよい。
ヒートシール層がヒートシール性に優れることによって、シーラント層の外部表面の層がヒートシール層の場合には消臭積層体のヒートシール性を優れたものにできる。
また、シーラント層の最基材層側の層をヒートシール層にすることによって、消臭積層体の内部のシーラント層界面の接着強度を高いものにできる。
シーラント層は、さらに、滑剤、酸化防止剤、アンチブロック剤、その他の添加剤を含むこともできる。
(シーラント層の製膜・積層方法)
本発明において、シーラント層またはシーラント層を構成する各層の製膜、積層方法は
、250℃以上、350℃以下のエクストリュージョンコート法、またはキャスト製膜法であることが好ましい。
シーラント層、または消臭層やヒートシール層を、押出しまたは共押出しで、他の層上に、エクストルージョンコート法で積層するが、その際に、必要に応じて接着層を介して、積層してもよい。
エクストルージョンコート法により積層する場合においては、まず、シーラント層、消臭層、加水分解抑制層、ヒートシール層等を形成する樹脂組成物を加熱して溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に(共)押出し、該溶融樹脂を被積層面上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、シーラント層、消臭層、加水分解抑制層、ヒートシール層等の形成と、被積層面への積層および接着や、各層間の積層および接着等を、同時に行うことができる。
エクストルージョンコート法により積層する場合の、シーラント層に含まれる樹脂成分のメルトフローレート(MFR)は、0.2~50g/10分が好ましく、0.5~30g/10分がより好ましい。なお、本明細書において、MFRとはJIS K7210に準拠した手法から測定された値である。
MFRが0.2g/10分未満、又は50g/10分よりも大きいと、加工適正が劣り易い。
(ヒートシール層)
ヒートシール層は、ポリオレフィン系樹脂を含有し、臭気吸着剤を含有しない層であり、ヒートシール性に優れる層である。
(臭気吸着層)
臭気吸着層は、ポリオレフィン系樹脂と臭気吸着剤とを含有する層であり、臭気吸着作用を奏する層であり、1層構成であってもよく、組成が同一または異なる2層以上であってもよい。
臭気吸着層中の臭気吸着剤の含有量は、0.5質量%以上、15質量%以下が好ましく、0.8質量%以上、15質量%以下がより好ましい。上記範囲よりも少ないと消臭効果が発現し難く、上記範囲よりも多いと製膜性が悪化し易い。
(臭気吸着剤)
臭気吸着剤は、臭気物質を吸着する作用を有する化合物である。臭気物質の由来は、内容物、積層体、外部の何れでもよい。
臭気吸着剤が含有されるシーラント層が、エクストリュージョンコート法、又はキャスト製膜法により、250℃以上、350℃以下で積層されることから、臭気吸着剤としては、この高温に耐えて、臭気吸着性能を劣化させ難いものが好ましく、有機化合物を含むものは耐熱性が低い為に好ましくなく、無機化合物のみからなるものが好ましい。
具体的には、SiO2/AL23モル比が30/1以上且つ10000/1以下の疎水性ゼオライト、および/または無機化学臭気吸着剤が好ましい。
臭気吸着剤の形状は、球状、棒状、楕円状等の任意の外形形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、樹脂中に分散させた際の、均一な分散性や混練特性、製膜性等の観点から、粉体状が好ましい。
本発明において、臭気吸着剤の平均粒子径は、用途に応じて、任意の平均粒子径のものを適宜選択することができるが、平均粒子径0.01μm~10μmのものが好ましい。ここで、平均粒子径は、動的光散乱法により測定された値である。
平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合には臭気吸着剤の凝集が生じ易く、分散性が低下する傾向にある。また、平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、臭気吸着剤を含む層の製膜性が劣る傾向になる為に、臭気吸着剤を多くは添加し難い傾向となり、更
に表面積も減少する為に、十分な消臭効果が得られない可能性が生じる。
(疎水性ゼオライト)
疎水性ゼオライトのSiO2/Al23モル比は、30/1~10000/1が好ましく、35/1~9000/1がより好ましく、40/1~8500/1がさらに好ましい。
一般的にゼオライトはSiO2/Al23モル比が高い程、疎水性が高くなる。そして、疎水性が高くなることによって、極性の高い水分子等を吸着し難くなり、逆に極性の低い臭気物質、疎水性ガス、親油性ガス(溶剤系ガスも含む)との親和性が高くなり、これらを吸着し易くなる。更に、ゼオライト表面に存在する、Ca、Na、K等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の効果によりゼオライト表面は塩基性を示し、酸性ガスは中和反応によって吸着され易くなる。
本発明においては、臭気物質の吸着性能と入手し易さのバランスから、上記範囲のモル比の疎水性ゼオライトが好ましく用いられる。
また、疎水性ゼオライトは耐熱性が高く、230℃以上の高温に晒されても、臭気物質の吸着効果を維持することができる。
(無機化学臭気吸着剤)
無機化学臭気吸着剤は、ゼオライト以外の無機系化合物からなる吸着剤である。
具体的には、銅、亜鉛、銀、白金、金、鉄、コバルトからなる群から選ばれる1種または2種以上の元素の、酸化物および/または塩が好ましい。金属酸化物としては、例えば、CuO、Cu2O、ZnO、Ag2O、PtO2、Au23、FeO、Fe34、Fe23、CoO、Co23、Co34等、及び各種酸化金属を含んだアルミノケイ酸、が挙げられる。これらの中で、酸化銅・酸化亜鉛複合化アルミノケイ酸が好ましく用いられる。
(ポリオレフィン系樹脂)
シーラント層に含有されるポリオレフィン系樹脂は、臭気吸着剤の分散性とヒートシール性に優れたものが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メチルメタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等の低溶出化されたもの及びそれらの樹脂の混合物が挙げられる。
上記の中でも、ポリプロピレン系樹脂、またはポリエチレン系の樹脂が好ましく、ポリエチレン系の樹脂の中でも、LDPEおよび/またはLLDPEがより好ましく、密度が0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下の、LDPEおよび/またはLLDPEが更に好ましい。
<消臭包装材料>
本発明の消臭包装材料は、本発明の消臭積層体から作製された包装材料である。
消臭包装材料は、必要に応じて、消臭積層体に各種の機能層を追加して含むこともできる。
<消臭包装体>
本発明の消臭包装体は、本発明の消臭包装材料から作製された包装体である。
<原材料>
実施例に用いた原料の詳細は下記の通りである。
[ポリエチレン]
・LDPE1:日本ポリエチレン(株)社製LDPE、ノバテックLC600A。密度0.918g/cm3
・LDPE2:日本ポリエチレン(株)社製LDPE、ノバテックLC520。密度0.923g/cm3
[樹脂フィルム]
・PETフィルム1:エスペットT4102、膜厚:12μm、東レフィルム加工社。
[疎水性ゼオライト]
・ミズカシーブスEX-122:水澤化学工業(株)製。SiO2/AL23モル比=32/1、平均粒子径=2.5~5.5μm。
・シルトンMT400:水澤化学工業(株)社製。SiO2/AL23モル比=400/1、平均粒子径=5~7μm。
・シルトンMT2000:水澤化学工業(株)社製。SiO2/AL23モル比=2000/1、平均粒子径=2~4μm。
・シルトンMT-8000:水澤化学工業(株)製。SiO2/AL23モル比=8000/1、平均粒子径=0.8μm。
[無機化学臭気吸着剤]
・ダッシュライトCZU=(株)シナネンゼオミック製。酸化銅・酸化亜鉛複合化アルミノケイ酸、平均粒子径=3~5μm。
[その他]
・AC剤1:三井化学ポリウレタン(株)製、アンカーコート剤A3210/A3075、希釈溶媒は酢酸エチル。
・アルミニウム箔1:7μm厚
・ミズカシーブス5AP:水澤化学工業(株)製、親水性ゼオライト。
・ケスモンNS-241:東亞合成(株)社製、有機化学臭気吸着剤担持無機多孔体、アミノ基含有。平均粒子径3.5μm。
<マスターバッチの調製>
[マスターバッチ1の調製]
LDPE1と、疎水性ゼオライトであるミズカシーブスEX-122とを下記割合でメルトブレンドし、マスターバッチ1(MB1)を得た。
LDPE1 90質量部
ミズカシーブスEX-122 10質量部
[マスターバッチ2~11の調製]
表1と表2の配合に従って、マスターバッチ1と同様に、メルトブレンドし、マスターバッチ2~11(MB2~11)を得た。
Figure 0007255279000001
Figure 0007255279000002
[実施例1]
(積層体前駆体の作製)
PETフィルム1の積層面にAC剤1を、乾燥後の塗布量が0.3g/m2になるように塗布および乾燥して、AC層を形成した。
上記のPETフィルム1のAC層側面にLDPE1をEC(エクストリュージョンコーティング、押出温度:280℃)法で押出し、アルミニウム箔1を積層してロールで加圧して積層し、積層体前駆体を得た。
(シーラント層用の樹脂組成物の調製)
上記で得たMB1とLDPE2とを下記の割合でドライブレンドして、シーラント層の臭気吸着層樹脂組成物を得た。
マスターバッチ1 30質量部
LDPE2 70質量部
(消臭積層体の作製)
上記で得た積層体前駆体のアルミニウム箔面上に、AC剤1を、乾燥後の塗布量が0.3g/m2になるように塗布および乾燥してAC層を形成し、上記で得た臭気吸着層樹脂組成物をEC(エクストリュージョンコーティング、押出温度:280℃)によって押出し、ロールで加圧して臭気吸着層を形成し、下記の層構成を有する消臭積層体を得た。
基材層(12μm)/AC層(0.3g/m2)/接着剤層(15μm)/アルミニウム
箔(7μm)/AC層(0.3g/m2)/シーラント層[臭気吸着層(30μm)]
次いで、得られた消臭積層体について、各種評価を行った。
[実施例2~11、14、比較例3~5]
実施例1と同様に操作して、消臭積層体前駆体を得た。
そして、表3~6の記載のマスターバッチ種とLDPE2との配合比に従って、実施例1と同様に操作して、シーラント層の臭気吸着層樹脂組成物を調製した。
次いで、得られた臭気吸着層樹脂組成物と消臭積層体前駆体とを用いて、実施例1と同様に操作して、消臭積層体または積層体を得て、同様に評価した。
[実施例12]
シーラント層を、臭気吸着層樹脂組成物と非臭気吸着層用のLDPE2とのEC(エクストリュージョンコーティング、押出温度:280℃)による共押出によって形成したこと以外は、実施例1と同様に操作して、下記の層構成を有する消臭積層体を得た。
基材層(12μm)/AC層(0.3g/m2)/接着剤層(15μm)/アルミニウム箔(7μm)/AC層(0.3g/m2)/シーラント層[臭気吸着層(30μm)/非臭気吸着層(10μm)]
次いで、得られた消臭積層体について、実施例1と同様に評価を行った。
[実施例13]
実施例13と同様に操作して、消臭積層体前駆体を得て、表5の記載に従って臭気吸着層樹脂組成物を調製し、非臭気吸着層用のLDPE2とともにシーラント層を形成して、消臭積層体を作製した。但し、臭気吸着層が消臭積層体の表面層になるように共押出して、下記の層構成を有する消臭積層体を得た。
基材層(12μm)/AC層(0.3g/m2)/接着剤層(15μm)/アルミニウム箔(7μm)/AC層(0.3g/m2)/シーラント層[非臭気吸着層(10μm)/臭気吸着層(30μm)]
[比較例1、2]
シーラント層を、非臭気吸着層用のLDPE2のみで、EC(エクストリュージョンコーティング、押出温度:280℃)によって押出して形成したしたこと以外は、実施例1と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。
[結果まとめ]
本願発明の実施例の消臭積層体及びそれから作製した包装袋は、良好な製膜性、製袋性、ヒートシール性、消臭効果を示した。
一方、比較例の、本願発明に該当しない積層体及びそれから作製した包装袋は、不十分な製膜性、製袋性、ヒートシール性、または不十分な消臭効果を示した。
<評価方法>
[製膜性]
シーラント層の外観を観察し、官能的に評価した。評価基準は以下の通りである。
○:シーラント層に皺やぶつが生じることなく製膜が可能。
×:シーラント層に皺やぶつが多数生じ、製膜が困難。
[製袋性]
○:包装袋が容易に作製できた。
×:包装袋が容易に作製できず、未融着部分や皺が多数生じた。
[ヒートシール性]
積層体を10cm×10cmに切り分け、シーラント層面を重ね合せ、ヒートシールテスター(テスター産業社製:TP-701-A)を用いて、1cm×10cmの領域をヒートシールして、端部はヒートシールされずに接着しておらず、二股に分かれている状態のサンプルを作製した。
このサンプルを、15mm幅で短冊状に切り、二股に分かれている各端部を引張試験機に装着して引張強度(N/15mm)を測定して、合否判定した。
(ヒートシール条件)
温度:160℃
圧力:1kgf/cm2
時間:1秒
(引張強度試験条件)
試験速度:300mm/分
荷重レンジ:50N
(合否判定基準)
○:20N/15mm以上であり、合格。
×:20N/15mm未満であり、不合格。
[臭味官能評価]
積層体を20×20cmにカットし、各臭気ガス1000mlをガスサンプリングバック(IB-PET-PIR12μm/接着層/ONy15μm/接着層/LLDPEフィルム60μm)に入れ、2日放置後の臭気変化を官能評価により測定した。臭気成分としては、アセトアルデヒドを200ppm、酢酸を30ppmとなる様に調整した。
臭気官能評価の評価基準は以下のとおりである
・1=初期と変化無く臭い
・2=初期から多少臭いが緩和された
・3=初期と比較して大幅に臭いが緩和された
・4=全く臭いがしない
[充填水TOC増加濃度]
樹脂フィルムまたは実施例及び比較例で作製した積層体を用いて、パウチ袋(15cm×44cm)の包装体を作製した。パウチ袋の内面には予めUV照射殺菌処理を施した。
そして、得られた包装体に、65℃の水(高速液体クロマトグラフィー用蒸留水、純正化学)1000gを充填して包装体液体充填物を作製し、35℃、2週間保管後に、(株)島津製作所社製TOC-L全有機体炭素計により充填水のTOC濃度を測定した。
次いで、充填前の水についても同様にTOC濃度を測定した。
各包装体におけるTOC増加濃度を下記式から求めた。
TOC増加濃度=保管後の充填水TOC濃度-充填前の水のTOC濃度
充填前の水のTOC濃度:0.02ppm
UV照射殺菌処理条件
UV波長:253.7nm
照射時間:10秒
温度:25℃
Figure 0007255279000003
Figure 0007255279000004
Figure 0007255279000005
Figure 0007255279000006
1 消臭積層体、消臭包装材料
2 基材層
3 ガスバリア層
4 シーラント層
4a 臭気吸着層
4b ヒートシール層

Claims (6)

  1. 少なくとも、基材層とガスバリア層とシーラント層とを、この順で積層された構成を有する消臭積層体であり、
    該シーラント層は、エクストリュージョンコート法、またはキャスト製膜法によって形成された層であり、臭気吸着層を有し、
    該臭気吸着層は、ポリオレフィン系樹脂と臭気吸着剤とを含有し、
    該臭気吸着剤は、SiO /AL モル比が30/1以上、10000/1以下の疎水性ゼオライト、および無機化学臭気吸着剤であるか、
    または、該臭気吸着剤は、無機化学臭気吸着剤であり、
    該無機化学臭気吸着剤は、銅、亜鉛、銀、金、コバルトからなる群から選ばれる1種または2種以上の元素の、酸化物および/または塩であり、
    該臭気吸着層中の臭気吸着剤の含有量が、0.5質量%以上、15質量%であることを特徴とする、消臭積層体。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.90g/cm以上、0.94g/cm以下の、LDPEおよび/またはLLDPEであることを特徴とする、
    請求項1に記載の、消臭積層体。
  3. 前記シーラント層が、エクストリュージョンコート法、またはキャスト製膜法により、250℃以上、350℃以下で積層された層であることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の、消臭積層体。
  4. 前記シーラント層が、ヒートシール層をさらに含み、
    該ヒートシール層は、ポリオレフィン系樹脂を含有し、前記臭気吸着剤を含有しない層であることを特徴とする、
    請求項1~の何れか1項に記載の、消臭積層体。
  5. 請求項1~の何れか1項に記載の消臭積層体から作製されたことを特徴とする、消臭包装材料。
  6. 請求項に記載の消臭包装材料から作製されたことを特徴とする、消臭包装体。
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