JP7275502B2 - 液体内容物包装用の消臭積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、包装材料が元から含有している溶出性の有機物と、殺菌・滅菌処理の際に包装材料から発生する臭気成分とが、包装体内の液体内容物に移って内容物に変味や変臭を与えてしまうことを防ぎ、長期間の耐臭味変化性に優れた積層体、包装材料、及び該包装材料を用いて作製した、消臭包装体に関する。
包装材料において、臭気を吸着する臭気吸着剤を内包した包装材料が提案されている(特許文献1)。このような包装材料においては、合成ゼオライトや活性炭といった臭気吸着剤が、樹脂材料中に練り込まれている。
しかしながら、このような包装材料は、臭気だけでなく、大気中の湿気をも吸着し、且つ、一度吸着した臭気を、脱離させてしまうという問題があるため、十分な臭気吸着効果が得られていない。
無機多孔体上に化学吸着剤を担持させてなる臭気吸着剤を含有した包装材料も知られているが(特許文献2)、主な吸着対象物は特定の官能基を有する臭気成分を吸着するのみであって、樹脂材料を選定しない状況では、官能基を有さない有機物の発生量を抑制できず、臭気成分を十分に吸着し得るものではない。
特許第2538487号公報 特開2014-233408公報
本発明は、上述の問題を解決し、製造適正に優れ、積層体が元から含有している臭気有機物と、UV照射、ホットパック、ボイル、γ線照射、EB照射等の殺菌・滅菌処理の際に、積層体を構成する樹脂の分解等により発生する臭気に対して、高い吸着または分解作用による消臭効果を長期間にわたって発揮し、液体内容物への長期間の耐臭味変化性に優れ、製膜性、シール強度、摺動性、耐ピンホール性に優れた積層体、及び該積層体を用いた包装材料、包装体を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々検討の結果、少なくとも、1方の表面に、低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体とを含有する臭気吸着シーラント層を有し、他方の表面に摩擦抵抗低減剤を含有する低摩擦シーラント層を有する積層体、及び該積層体を用いて作製した包装材料、更には該包装材料を用いて作製した包装体が、上記の目的を達成することを見出した。
すなわち、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.両表面のそれぞれにシーラント層を有する積層体であって、
該積層体の、一方の面の該シーラント層は、低溶出性ポリエチレンと摩擦抵抗低減剤とを含有する低摩擦シーラント層であり、
該積層体の、他方の面の該シーラント層は、該低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体とを含有する臭気吸着シーラント層であり、
該低溶出性ポリエチレンに含まれる溶出性TOCの濃度は、1.5ppm以上、250ppm以下であり、
該摩擦抵抗低減剤は、スリップ剤と、アンチブロッキング剤とからなり、
該臭気吸着体は、SiO2/Al23モル比が30/1~10000/1の疎水性ゼオライト、および/または、化学吸着剤担持無機多孔体、を含む、
液体内容物包装用の積層体。
2.前記低摩擦シーラント層中の、前記スリップ剤の含有量は、0.01質量%以上、0.2質量%以下である、
上記1に記載の、液体内容物包装用の積層体。
3.前記低摩擦シーラント層中の、前記アンチブロッキング剤の含有量は、0.05質量%以上、1質量%以下である、
上記1または2に記載の、液体内容物包装用の積層体。
4.前記スリップ剤が、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、脂肪酸エステル、炭化水素系ワックス、高級脂肪酸系ワックス、金属石鹸からなる群から選ばれる1種または2種以上である、
上記1~3の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
5.前記アンチブロッキング剤が、合成ゼオライト、天然ゼオライト、タルク、シリカ、珪藻土、カオリン、PMMAからなる群から選ばれる1種または2種以上である、
上記1~4の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
6.さらに、樹脂フィルムからなる中間層を含む、
上記1~5の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
7.前記中間層の樹脂フィルムが、ポリアミド系樹脂を含む、
上記6に記載の、液体内容物包装用の積層体。
8.前記ポリアミド系樹脂が、ポリアミド6/66共重合体である、
上記7に記載の、液体内容物包装用の積層体。
9.前記低溶出性ポリエチレンの密度が、0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下である、上記1~8の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
10.前記低溶出性ポリエチレンが、LLDPEである、
上記1~9の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
11.前記低溶出性ポリエチレンが、C4-LLDPE、C6-LLDPE、C8-LLDPEからなる群から選ばれる1種または2種以上である、
上記1~9の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
12.前記臭気吸着体が、熱可塑性樹脂と、予め、臭気吸着体/熱可塑性樹脂の質量比が、0.5/99.5~40/60の割合で溶融混練されている、
上記1~11の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
13.前記熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、0.2~10g/10分である、
上記12に記載の、液体内容物包装用の積層体。
14.前記臭気吸着シーラント層中の、前記臭気吸着体の含有量が、0.3質量%以上、15質量%以下である、
上記1~13の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
15.前記臭気吸着シーラント層は、臭気吸着層と非臭気吸着層とからなる、多層構成であり、
該臭気吸着層は、前記臭気吸着体と前記低溶出性ポリエチレンとを含有し、
該非臭気吸着層は、前記臭気吸着体を含有せず、前記低溶出性ポリエチレンを含有し、
該臭気吸着層の片面または両面に、該非臭気吸着層を有する、
上記1~14の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
16.前記化学吸着剤が、アルデヒド類、ケトン類、及びカルボン酸類からなる群から選択される1種または2種以上との反応性を有する官能基を有するものである、
上記1~15の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
17.前記化学吸着剤が、アミノ基またはヒドロキシル基を有するものである、
上記1~16の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
18.前記疎水性ゼオライトの含有量が、前記臭気吸着シーラント層中に0.3質量%以上、15質量%以下である、
上記1~17の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
19.23℃における5000回のゲルボフレックス後のピンホール発生個数が、0個、または1個以上、160個以下である、
上記1~18の何れかに記載の、液体内容物包装用の積層体。
20.上記1~19の何れかに記載の液体内容物包装用の積層体を用いて作製された、液体内容物用包装材料。
21.上記20に記載の液体内容物用包装材料から作製された、液体内容物用包装体。
本発明の積層体は、製造適正に優れ、積層体が元から含有している臭気有機物と、UV照射、ホットパック、ボイル、γ線照射、EB照射等の殺菌・滅菌処理の際に、積層体を構成する樹脂の分解等により発生する臭気に対して、高い吸着または分解作用による消臭効果を長期間にわたって発揮し、液体内容物への長期間の耐臭味変化性に優れ、製膜性、シール強度、摺動性、耐ピンホール性に優れた積層体、及び該積層体を用いた包装材料、包装体を提供することができる。
そして、本発明の積層体は、1方の表面に低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体とを含有する臭気吸着シーラント層を有し、他方の表面に摩擦抵抗低減剤を含有する低摩擦シーラント層を有することから、少ない層構成で、製造適正に優れ、液体内容物への消臭効果と両面のヒートシール性と片表面の摺動性を同時に発揮することができ、液体内容物の臭味変化を抑制することができる。
本発明の積層体の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の積層体の層構成について、別態様の一例を示す概略的断面図である。 化学吸着剤担持無機多孔体の臭気物質に対する吸着機構を示す図である。 静止摩擦係数を測定する為の錘を示す概略的俯瞰図である。 本発明の積層体を錘に固定した状態を示す俯瞰図である。 静止摩擦係数の測定方法を示す図である。
本発明の積層体及び該積層体を用いて作製した包装材料、包装体について、以下に更に詳しく説明する。具体例を示しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<積層体>
本発明の積層体は、液体内容物包装用の積層体であって、図1に示すように、両表面にシーラント層を有し、一方の面のシーラント層は、低溶出性ポリエチレンと摩擦抵抗低減剤とを含有する低摩擦シーラント層であり、他方の面のシーラント層は、低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体とを含有する臭気吸着シーラント層であり、さらには、必要に応じて、中間層等の他の層を含むこともできる。
積層体は、優れた耐ピンホール性を有することが好ましい。具体的には、23℃における5000回のゲルボフレックス後のピンホール発生個数が、0個、または1個以上、160個以下であることが好ましい。上記の耐ピンホール性を有する積層体から作製された包装材料や包装体ならば、包装工程中や輸送中の振動による局所的繰り返し屈曲によって疲労破壊が進行しても、ピンホーの発生を抑えることができる。
[低摩擦シーラント層]
低摩擦シーラント層は、少なくとも、低溶出性ポリエチレンと摩擦抵抗低減剤とを含有する層である。
低摩擦シーラント層は、低溶出性ポリエチレンを含有することによって、積層体からの有機物の溶出が抑えられ、積層体は優れたヒートシール性を発揮することができ、摩擦抵抗低減剤を含有することによって、積層体表面片側の摩擦抵抗を小さくすることができる。
本発明において、摩擦抵抗低減剤は、スリップ剤と、アンチブロッキング剤とからなるものである。
低摩擦シーラント層中の、スリップ剤の含有量は、0.01質量%以上、0.2質量%以下が好ましい。上記範囲よりも少ないと、スリップ剤を添加した効果が発現され難く、上記範囲よりも多いと、ブリードを生じ易くなる。
低摩擦シーラント層中の、アンチブロッキング剤の含有量は、0.05質量%以上、1質量%以下が好ましい。上記範囲よりも少ないと、アンチブロッキング剤を添加した効果が発現され難く、上記範囲よりも多いと、製膜性の悪化を生じたり、積層体、包装材料、包装体同士が擦れた際に白化現象が生じたりする虞がある。
低摩擦シーラント層は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、他にも、任意の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、フィルムや積層体の成形加工性や生産性、各種の物性を調整するために一般に使用される種々の樹脂用添加剤、例えば、酸化防止剤、顔料、流動制御材、難燃剤、充填剤、紫外線吸収剤、界面活性剤等が挙げられる。
低摩擦シーラント層中において、摩擦抵抗低減剤は、層中に均一に分散していてもよく、濃度勾配を持って分散していてもよい。
例えば、包装体形成時の内側表面から外側表面に向かって、増加傾向の濃度勾配をもって分散していてもよく、この構成により、ヒートシール性が向上する。これとは逆に、包装体形成時の内側表面から外側表面に向かって、減少傾向の濃度勾配をもって分散していてもよく、この構成により、層間接着強度が向上する。
更に、低摩擦シーラント層の厚み方向中心部から両表面に向かって、減少傾向の濃度勾配をもって分散していてもよく、この構成により、ヒートシール性と層間接着強度とが向上する。
低摩擦シーラント層の厚さは、5μm以上、300μm以下が好ましく、10μm以上、200μm以下がより好ましい。
上記範囲よりも薄いと、充分なヒートシール強度、ラミネート強度、低摩擦効果を得ることが困難であり、上記範囲よりも厚いとシーラント層としてのヒートシール性と剛性とのバランスが困難になり易い。
低摩擦シーラント層は、1層で構成されていても、2層以上の多層構成であってもよく、多層構成の場合は、各層は同じ組成であっても異なる組成であってもよい。
低摩擦シーラント層が多層構成の場合には、低溶出性ポリエチレンと摩擦抵抗低減剤を
含有する低摩擦層と、低溶出性ポリエチレンを含有するが摩擦抵抗低減剤を含有しない非低摩擦層で構成されていてもよい。この場合、低摩擦層が積層体の最表面に積層されていることが、良好な低摩擦性を得る為には好ましい。
低摩擦シーラント層は、低溶出性ポリエチレンと摩擦抵抗低減剤とを含有するフィルムを接着剤を介して貼り付けて形成してもよく、低溶出性ポリエチレンおよび/または摩擦抵抗低減剤を含有する樹脂組成物を、(共)押出製膜によって他の層に積層して形成してもよく、臭気吸着シーラント層と共に共押出製膜によって形成されてもよい。
本発明において、低摩擦シーラント層または低摩擦シーラント層中の各層の製膜や積層方法は特に限定されず、公知または慣用の製膜方法、積層方法を適用することができる。
例えば、低摩擦シーラント層を、場合により接着層を介して、被積層面上にエクストルージョンコート法により積層する方法がある。
また、低摩擦シーラント層を構成する1層または多層を、インフレーション法やキャスト法の(共)押出しにより形成する方法があり、この場合には、臭気吸着シーラント層とともに共押出ししてもよい。
あるいは、一旦低摩擦シーラント層用のシーラントフィルムを作製して、接着剤の、エクストルージョンコート法、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法等により、接着層を介して被積層面に積層してもよい。
ここで、接着剤には、汎用の接着剤を用いても、低溶出性ポリエチレンを用いてもよい。
エクストルージョンコート法により積層する場合においては、まず、低摩擦シーラント層を形成する樹脂組成物を加熱して溶融して、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に(共)押出し、該溶融樹脂を被積層面上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、低摩擦シーラント層の形成と被積層面への接着と積層を同時に行うことができる。
[低溶出性ポリエチレン]
低溶出性ポリエチレンは、水への有機成分の溶出量が少ないポリエチレンである。
本発明の積層体のシーラントフィルムが、ヒートシール性を有し、低溶出性ポリエチレンを含有することによって、該積層体を含む包装材料は、優れたヒートシール性を有し、有機物の溶出量が少なく、包装体内の液体内容物のTOCの濃度増加を低くすることができる。
また、ポリエチレンは、UV等の滅菌・殺菌処理に対して耐性があって分解され難い性質があるという点で、好適である。
低溶出性ポリエチレンを用いることによって、本発明の液体内容物用包装体に充填された液体内容物中に溶出する有機物の濃度を低減して、液体内容物の臭味変化を抑制することができる。
ここで、液体内容物中の有機物の濃度は、本発明においては、全有機体炭素(TOC=Total Organic Carbon)の濃度によって示される。
TOCは、水中の酸化され得る有機物(有機炭素体)全量の濃度を炭素量の濃度で示したものであり、代表的な水質指標の一つとして用いられているものであって、JIS K
0805(有機体炭素(TOC)自動計測器)等で規格化されている。
低溶出性ポリエチレンの具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メチルメタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体等の低溶出化されたもの及びそれらの樹脂の混合物が挙げられるが、これらの樹脂に限定されない。
低溶出性ポリエチレンは、分子構造の分類として、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることが好ましく、さらには、C4-LLDPE、C6-LLDPE、C8-LLDPEからなる群から選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
ここで、C4-LLDPEとは、エチレンと1-ブテンおよび/または4-メチル-1-ペンテンとの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンであり、C6-LLDPEとは、エチレンと1-ヘキセンとの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンであり、C8-LLDPEとは、エチレンと1-オクテンとの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレンである。
また、C4、C6、C8とは、LLDPEと一部共重合して、記載数値数の炭素数の側鎖が存在することを示している。例えば、C4は1-ブテン由来の、C6は1-ヘキセン由来の、4-メチル-1-ペンテン由来の、C8は1-オクテン由来の構造の側鎖を表す。
低溶出性ポリエチレンに含まれる溶出性TOCの濃度は、1.5ppm以上、250ppm以下が好ましい。
上記範囲よりも低いものを得ることは困難であり、且つ実用上の効果に有意差を示し難い。上記範囲よりも高いと、包装袋を作製した際の液体内容物への長期間の耐臭味変化性が劣る虞がある。
尚、上記の低溶出性ポリエチレンに含まれる溶出性TOCの濃度は、フィルム化された低溶出性ポリエチレンにおいて測定された値である。フィルム化された状態で測定する理由は、低溶出性ポリエチレンは、シーラント層形成等のフィルム化される際に、様々な熱履歴等を与えられてTOCの溶出量を増加させてしまう可能性を考慮してのことであり、実際のフィルム化または積層時に相当する熱履歴を与えることが好ましい。
ここで、フィルム化された低溶出性ポリエチレンで作製したパウチ袋に含有されている溶出性成分の全量が充填水1000gに溶出した場合の、充填水中のTOCの増加濃度は、下記のように算出される。
パウチ袋比重:S[g/cm3
パウチ袋サイズ:15cm×44cm×50μm厚
パウチ袋重量:W=15×44×50×10-4×2×S=6.6×S[g]
パウチ袋中に含まれる溶出性TOCの濃度:C[ppm]
とすると、
パウチ袋中に含まれる溶出性TOCの全重量=C×W[g]
これが水1000gに溶出するので、
充填水中のTOCの増加濃度=C×W/1000=C×6.6×S×10-3[ppm]
例えば、パウチ袋を構成する低溶出性ポリエチレンフィルムの比重が0.92、含有される溶出性TOCの濃度が1.7ppmの場合は、
充填水中のTOCの増加濃度=1.7×6.6×0.92×10-3=0.01[ppm]
の様に算出される。
具体的なTOCの増加濃度の求め方としては、例えば、上記のパウチ包装袋内に、充填水として40℃~80℃の蒸留水を1000g充填し、25℃~50℃、数日~4週間保管後の該充填水のTOC濃度を全有機体炭素計や、HS-GCで測定して、ブランクとして該蒸留水のTOC濃度を差し引いて求めることができる。
本発明においては、積層体を用いて、パウチ袋(15cm×44cm)の包装体を作製し、65℃の水(高速液体クロマトグラフィー用蒸留水、純正化学)1000gを充填して包装体液体充填物を作製し、35℃、2週間保管後に、(株)島津製作所社製TOC-L全有機体炭素計により充填水のTOC濃度を測定することを標準方法として、TOCの増加濃度を求める。
そして、得られた充填水のTOC増加濃度と、充填水の質量部とシーラント層の質量部から、シーラント層に含有されていた溶出性TOC濃度を算出する。
一般的に、ポリエチレンには、密度の下限値は0.90g/cm3よりも小さいものが存在し、上限値は0.96g/cm3程度のものまで存在し、低密度ポリエチレンの密度は0.910g/cm3以上、0.930g/cm3未満であり、直鎖状低密度ポリエチレンの密度は0.910g/cm3以上、0.925g/cm3以下であるが、本発明における低溶出性ポリエチレンには、密度が0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下のものを用いることが好ましい。
密度が上記範囲である低溶出性ポリエチレンは、有機物の溶出量を低くし得る傾向にある。
さらに、低溶出性ポリエチレンフィルムからの有機物の溶出量を低くする為には、下記の方法が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリエチレンを製造する際に、未反応原料残存量や低分子量生成物や副生成物の量を低減することや、重合触媒を除去することが効果的である。具体的には、原料純度を向上したり、反応温度や圧力等の条件を精密に制御したり、蒸留や洗浄によって未反応原料や低分子量生成物や副生成物や重合触媒を除去したり、高温のままで空気中の酸素に触れることによる酸化を防止したりする方法が挙げられる。
そして、低溶出性ポリエチレンは、滑剤、酸化防止剤、アンチブロック剤、溶剤、その他の添加剤を少量含むこともできるが、製造されたポリエチレンをペレット化や、フィルム化する際には、有機物の溶出量を上昇させてしまいそうな、添加剤の使用を制限し、高温による酸化を防止することもできる。
[摩擦抵抗低減剤]
本発明において、該摩擦抵抗低減剤は、スリップ剤と、アンチブロッキング剤とからなる。
(スリップ剤)
本発明において、スリップ剤には、公知のスリップ剤を特に制限無く用いることができる。
例えば、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドやエチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、グリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル、炭化水素系ワックス、高級脂肪酸系ワックス、金属石鹸、親水性シリコーン、シリコーンをグラフトしたアクリル、シリコーンをグ
ラフトしたエポキシ樹脂、シリコーンをグラフトしたポリエーテル、シリコーンをグラフトしたポリエステル、ブロック型シリコーンアクリル共重合体、ポリグリセロール変性シリコーン、パラフィン等が挙げられる。これらのスリップ剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
さらには、スリップ剤のポリエチレン系樹脂組成物中での分散性を高くするために、スリップ剤をポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂と予め高濃度で溶融混合しておいて、マスターバッチ化して用いることが好ましい。
上記の中でも、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、脂肪酸エステル、グリセリン酸エステル、炭化水素系ワックス、高級脂肪酸系ワックス、金属石鹸からなる群から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることがより好ましく、エルカ酸アミドを用いることが更に好ましい。
(アンチブロッキング剤)
本発明において、アンチブロッキングには、公知のアンチブロッキング剤を特に制限無く用いることができる。
例えば、合成ゼオライト、天然ゼオライト、タルク、シリカ、珪藻土、カオリン、PMMA等が挙げられ、これらからなる群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
上記の中でも、合成ゼオライトとタルクとを組み合わせて用いることが好ましい。
さらには、アンチブロッキング剤のポリエチレン系樹脂組成物中での分散性を高くするために、アンチブロッキング剤をポリエチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂と予め高濃度で溶融混合しておいて、マスターバッチ化して用いることが好ましい。
[臭気吸着シーラント層]
臭気吸着シーラント層は、少なくとも、低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体とを含有する層である。
臭気吸着シーラント層は、低溶出性ポリエチレンを含有することによって、積層体からの有機物の溶出が抑えられ、積層体は優れたヒートシール性を発揮することができ、臭気吸着体を含有することによって、積層体から液体内容物への臭気物質の移動を抑えることができる。
本発明において、臭気吸着体は、SiO2/Al23モル比が30/1~10000/1の疎水性ゼオライトおよび/または化学吸着剤担持無機多孔体を含むものである。
臭気吸着シーラント層中の、臭気吸着体の含有量は、0.3質量%以上、15質量%以下が好ましく、1質量%以上、14質量%以下がより好ましい。
上記範囲よりも少ないと、臭気吸着効果が発現され難く、上記範囲よりも多いと、製膜性が悪化する虞がある。
臭気吸着体として、前記疎水性ゼオライトまたは化学吸着剤担持無機多孔体をそれぞれ単体で用いてもよく、併用してもよい。
臭気吸着シーラント層中の、前記疎水性ゼオライトの含有量は、0.3質量%以上、15質量%以下が好ましく、0.5質量%以上、14質量%以下がより好ましい。
さらに、臭気吸着シーラント層中の、化学吸着剤担持無機多孔体の含有量は、ゼロ質量%でもよいが、0.1質量%以上、10質量%以下が好ましく、0.2質量%以上、5質量%以下がより好ましい。
前記疎水性ゼオライトと化学吸着剤担持無機多孔体とを併用した場合には、相乗効果を得ることもできる。
臭気吸着シーラント層は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、他にも、任意の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、フィルムや積層体の成形加工性や生産性、各種の物性を調整するために一般に使用される種々の樹脂用添加剤、例えば、スリップ剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、顔料、流動制御材、難燃剤、充填剤、紫外線吸収剤、界面活性剤等が挙げられる。
臭気吸着シーラント層中において、臭気吸着体は、層中に均一に分散していてもよく、濃度勾配を持って分散していてもよい。
例えば、包装体形成時の内側表面から外側表面に向かって、増加傾向の濃度勾配をもって分散していてもよく、この構成により、ヒートシール性が向上する。これとは逆に、包装体形成時の内側表面から外側表面に向かって、減少傾向の濃度勾配をもって分散していてもよく、この構成により、層間接着強度が向上する。
更に、臭気吸着シーラント層の厚み方向中心部から両表面に向かって、減少傾向の濃度勾配をもって分散していてもよく、この構成により、ヒートシール性と層間接着強度とが向上する。
臭気吸着シーラント層の厚さは、5μm以上、300μm以下が好ましく、10μm以上、200μm以下がより好ましい。層間接着強度及び消臭性を得るためには、10μm以上、200μm以下が好ましい。
上記範囲よりも薄いと、充分なヒートシール強度、ラミネート強度、臭気吸着効果を得ることが困難であり、上記範囲よりも厚いとシーラント層としてのヒートシール性と剛性とのバランスが困難になり易い。
臭気吸着シーラント層は、1層で構成されていても、2層以上の多層構成であってもよく、多層構成の場合は、各層は同じ組成であっても異なる組成であってもよい。
臭気吸着シーラント層が多層構成の場合には、低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体を含有する臭気吸着層と、低溶出性ポリエチレンを含有するが臭気吸着体を含有しない非臭気吸着層で構成されていてもよい。この場合、臭気吸着層の片面または両面に非臭気吸着層が積層されていることが好ましい。非臭気吸着層が積層体の最表面に積層されていれば、良好なヒートシール性を得ることができ、臭気吸着シーラント層以外の層との界面に非臭気吸着層が積層されていれば、好な層間接着強度(ラミネート強度)を得ることができる。
臭気吸着シーラント層は、低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体とを含有するフィルムを接着剤を介して貼り付けて形成してもよく、低溶出性ポリエチレンおよび/または臭気吸着体を含有する樹脂組成物を、(共)押出コーティングによって他の層に積層して形成してもよく、低摩擦シーラント層と共に共押出コーティングによって形成されてもよい。
本発明において、臭気吸着シーラント層または臭気吸着シーラント層中の各層の製膜や
積層方法は特に限定されず、公知または慣用の製膜方法、積層方法を適用することができる。
例えば、臭気吸着シーラント層を、場合により接着層を介して、被積層面上にエクストルージョンコート法により積層する方法がある。
また、臭気吸着シーラント層を構成する1層または多層を、インフレーション法やキャスト法の(共)押出しにより形成する方法があり、この場合には、低摩擦シーラント層とともに共押出ししてもよい。
あるいは、一旦臭気吸着シーラント層用のシーラントフィルムを作製して、接着剤の、エクストルージョンコート法、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法等により、接着層を介して被積層面に積層してもよい。
ここで、接着剤には、汎用の接着剤を用いても、低溶出性ポリエチレンを用いてもよい。
エクストルージョンコート法により積層する場合においては、まず、臭気吸着シーラント層を形成する樹脂組成物を加熱して溶融して、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に(共)押出し、該溶融樹脂を被積層面上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、臭気吸着シーラント層の形成と被積層面への接着と積層を同時に行うことができる。
[臭気吸着体]
臭気吸着体は、SiO2/Al23モル比が30/1~10000/1の疎水性ゼオライトおよび/または化学吸着剤担持無機多孔体を含むものである。
臭気吸着体は、予め、熱可塑性樹脂と、臭気吸着体/熱可塑性樹脂の質量比が、0.5/99.5~40/60の割合で溶融混練されていることが好ましい。これによって、臭気吸着体は、臭気吸着シーラント層中で、より良好な分散状態を得易い。
臭気吸着体と溶融混合される熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.2~10g/10分が好ましい。この範囲のMFRであれば、臭気吸着体との溶融混錬が容易であり、臭気吸着シーラント層中に臭気吸着体を分散させ易く、臭気吸着シーラント層の製膜性も維持し易い。
(臭気吸着体の熱可塑性樹脂への分散方法)
臭気吸着体と熱可塑性樹脂とを混練する方法としては、公知または慣用の混練方法を適用することができる。
臭気吸着体を直接、熱可塑性樹脂と混合して混練することも可能であり、或いは、臭気吸着体を高濃度で熱可塑性樹脂と混合した後に溶融混練(メルトブレンド)してマスターバッチを作製し、これを、目標含有率に応じた比率で熱可塑性樹脂と混合、溶融混練する、いわゆるマスターバッチ方式によっても可能である。
凝集が発生し易い臭気吸着体を用いる場合であっても、マスターバッチ方式を採用することで、臭気吸着体を臭気吸着シーラント層中に、効率的且つ均質に分散させることができる。
マスターバッチに用いる熱可塑性樹脂としては、臭気吸着シーラント層に含有されている低溶出性ポリエチレンと相溶性が高く、同等程度のヒートシール性を有する樹脂が好ま
しく、汎用のポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー、酸変性ポリオレフィン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、及びこれらの樹脂の混合物等が挙げられるが、これらの樹脂に限定されず、臭気吸着シーラント層全体のヒートシール性や製膜性に大きな悪影響を与えない範囲内で用いることができる。
この際、マスターバッチ中の熱可塑性樹脂は、臭気吸着シーラント層中の熱可塑性樹脂と同一であっても、異なっていてもよく、目的に応じて熱可塑性樹脂の種類を選ぶことができる。
例えば、低溶出性ポリエチレンを選べば、臭気吸着シーラント層は、良好な製膜性、均質性、ヒートシール性、層間接着強度、臭気吸着性を、効率的に得ることができる。
マスターバッチ中の、前記疎水性ゼオライトの含有率は、0.5質量%以上、40質量%以下が好ましく、1質量%以上、20質量%以下がより好ましい。
マスターバッチ中の、化学吸着剤担持無機多孔体の含有率は、0.5質量%以上、40質量%以下が好ましく、1質量%以上、20質量%以下がより好ましい。
(疎水性ゼオライト)
本発明において用いられる疎水性ゼオライトは、SiO2/Al23モル比が、30/1~8000/1であることが好ましい。ゼオライトは、一般的にSiO2/Al23モル比が高い程、疎水性が高くなる。
疎水性ゼオライトは、本発明の積層体が230℃以上に晒される場合であっても、臭気成分の吸着効果が維持される。
疎水性ゼオライトは、球状、棒状、楕円状等の任意の外形形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、樹脂中に分散させた際の、均一な分散性や混練特性、製膜性等の観点から、粉体状が好ましい。
本発明において、疎水性ゼオライトの平均粒子径は、用途に応じて、任意の平均粒子径のものを適宜選択することができるが、平均粒子径0.01μm~10μmのものが好ましい。ここで、平均粒子径は、動的光散乱法により測定された値である。
平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合には疎水性ゼオライトの凝集が生じ易く、分散性が低下する傾向にある。また、平均粒子径が10μmよりも大きい場合には、該疎水性ゼオライトを含む層の製膜性が劣る傾向になる為に、疎水性ゼオライトを多くは添加し難い傾向となり、更に表面積も減少する為、十分な消臭効果が得られない可能性が生じる。
疎水性ゼオライトは、疎水性である為に、極性の高い水分子等は吸着し難く、逆に極性の低い、臭い分子、疎水性ガス、親油性ガス(溶剤系ガスも含む)との親和性が高く、これらを吸着し易い。更に、ゼオライト表面に存在する、Ca、Na、K等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の効果によりゼオライト表面は塩基性を示し、酸性ガスを中和反応によって吸着し易い。
(化学吸着剤担持無機多孔体)
本発明において、化学吸着剤担持無機多孔体とは、無機多孔体に化学吸着剤を担持させたものであり、溶出性の有機物や、UV照射、γ線照射、EB照射や、ホットパック、ボイル等の殺菌・滅菌処理時に包装体から発生する臭気物質を吸着する機能を有するものである。
担持方法としては、公知または慣用の担持方法を適用することができ、例えば、下記で説明する化学吸着剤を含有する溶液を、無機多孔体に含浸させて、乾燥することにより、担持させることができる。
本発明において、化学吸着剤担持無機多孔体を用いることにより、化学吸着剤の単位質量当たりの吸着能を大幅に高めることができ、積層体中の化学吸着剤及び化学吸着剤担持無機多孔体の含有率を減らすことができる。また無機多孔体の孔部分に対する物理吸着特性も期待できる。
これらにより、高い接着強度やシール強度が得られ、接着層として求められる優れた接着性及び塗布性や製膜性を保持することができ、シーラント層として求められる優れたヒートシール性及び製膜性を保持することができる。
化学吸着剤担持無機多孔体は、銅、亜鉛、銀、白金、鉄、コバルトなる群から選択される1種または2種以上の元素を含有することが好ましい。
また、化学吸着剤担持無機多孔体は、球状、棒状、楕円状等の任意の外形形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、上記製膜性や、均一な分散性や混練特性等の観点から、粉体状が好ましい。
化学吸着剤担持無機多孔体は、用途に応じて、任意の平均粒子径のものを適宜選択することができるが、本発明においては特に、平均粒子径0.01μm~10μmのものが好ましく、0.1μm~8μmのものがより好ましく、1μm~7μmのものが更に好ましい。ここで、平均粒子径は、動的光散乱法により測定された値である。
平均粒子径が0.01μmよりも小さい場合には、化学吸着剤担持無機多孔体の凝集が生じ易く、分散性が低下する傾向にある。
また、平均粒子径が10μmよりも大きい場合には上記製膜性が劣るために、化学吸着剤担持無機多孔体を多くは含有し難い傾向となり、十分な吸着効果が得られない可能性が生じる。
市販品の具体例としては、東亞合成(株)社製のNS-241、NS-231(アミノ基含有化合物担持無機多孔体)、(株)シナネンゼオミック社製のダッシュライトM(アミノ基含有化合物担持無機多孔体)、ダッシュライトCZU(化学吸着剤担持銅亜鉛含有無機多孔体。)等を本発明において好適な臭気吸着体として用いることができる。
(無機多孔体)
本発明において、無機多孔体としては、その表面に多数の細孔を有する任意の無機化合物を用いることができ、例えば、ゼオライト、二酸化ケイ素、ケイ酸塩、活性炭、チタニア、燐酸カルシウム等の無機燐酸塩、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
特に、吸着対象物質の分子サイズやクラスターサイズに対して有効な孔サイズの多孔状態を有することや安全面の観点から、水酸化アルミニウム、ゼオライト、ケイ酸塩を適用することが好ましい。
また、これらは、球状、棒状、楕円状等の任意の外形形状であってよく、粉体状、塊状、粒状等いかなる形態であってもよいが、化学吸着剤を担持して化学吸着剤担持無機多孔
体とした後で、上記製膜性や均一な分散や混練特性等の観点から、粉体状が好ましい。
無機多孔体は、用途に応じて、任意の平均粒子径のものを適宜選択することができるが、上記、化学吸着剤担持無機多孔体の平均粒子径を達成するために、平均粒子径0.01μm~10μmのものが好ましく、0.1μm~8μmのものがより好ましく、1μm~7μmのものが更に好ましい。
(化学吸着剤)
本発明において、化学吸着剤とは、溶出性の有機物や、殺菌・滅菌処理時に樹脂の分解等により発生する臭気物質と化学反応を起こして結合する反応性官能基を有し、且つ、上記無機多孔体上に担持され得る化合物である。
より具体的には、UV照射、γ線照射、EB照射や、ホットパック、ボイル等の殺菌・滅菌処理時に生じる種々のアルデヒド類、ケトン類、カルボン酸類等からなる群から選択される1種または2種以上と結合する反応性を有する官能基を有する化合物である。
このような化合物としては、アミノ基を含有する化合物、例えばアルキルアミン、テトラメチレンジアミン等のポリアミン、エタノールアミン、ピペリジン、ヒドロキシル基等の塩基性官能基を有する化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、炭酸水素塩、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のアミド基含有化合物等が挙げられる。
本発明において、特に優れた吸着効果を発揮する化学吸着剤としては、アミノ基またはヒドロキシル基を有する化合物、例えばポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ピペラジン、メタフェニレンジアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等が挙げられるが、これらに限定されない。
化学吸着剤の、溶出する有機物や臭気物質等の吸着対象物質に対する吸着機構を、図4(a)~(b)の具体例を用いてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
例えば、吸着対象物質が酸系臭気物質である場合は、図4(a)に示すように、化学吸着剤として、例えばヒドロキシル基を有する化合物を無機多孔体上に担持してなる化学吸着剤担持無機多孔体を用いることができる。これにより、カルボキシル基とヒドロキシル基とが化学反応を起こして結合し、吸着対象物質が吸着される。
また、吸着対象物質がアルデヒド類である場合は、図4(b)に示すように、化学吸着剤として、例えばアミノ基を有する化合物を無機多孔体上に担持してなる化学吸着剤担持無機多孔体を用いることができる。これにより、アルデヒド基とアミノ基とが化学反応を起こして結合し、吸着対象物質が吸着される。
この際、化学吸着であることにより、一旦吸着した吸着対象物質は脱離することがなく、効率的に臭気吸着を行うことができる。
さらに、臭気と水蒸気とが同一の吸着部位に吸着される物理吸着剤とは異なり、本発明における化学吸着剤は、吸着対象物質は化学吸着剤の特定の官能基と結合するため、臭気吸着能を低下させる種々の物質、例えば水蒸気等の影響を受けにくい。
[中間層]
本発明において、樹脂フィルムからなる中間層は、必要に応じて積層体に含まれる層である。
樹脂フィルムには、包装される内容物の種類や、物流において要求される機械的強度、耐薬品性、耐溶剤性、製造性等に応じて、種々の樹脂フィルムが適用され得る。
樹脂フィルムは、未延伸であっても、1軸延伸であっても、2軸延伸であってもよい。
樹脂の種類としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種の樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
上記の樹脂の中でも、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂が好ましく、ポリアミド6/66共重合体がより好ましい。
ここで、ポリアミド6/66共重合体は、ポリアミド6の原料となるモノマーとポリアミド66の原料となるモノマーとを混合して共重合して得られたポリマーであってもよく、ポリアミド6のオリゴマーとポリアミド66のオリゴマーとを重合して得られたポリマーであってもよい。
また、上記の樹脂には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸着剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤等の種々の改質用樹脂やプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。
この場合、これら添加剤を樹脂に、極微量~数10質量%まで、その目的に応じて任意に含有させればよい。
中間層は、上記から選択される1種または2種以上の樹脂を用いたフィルムを含み、1層で構成されていても、同一組成または異なる組成の2層以上で構成されていてもよい。
本発明において、中間層は、押出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて単層、又は多層製膜したものを用いることができる。
中間層の厚みは、包装用途に応じて、当業者が適宜に決定することができるが、好ましくは6~150μm、より好ましくは9~130μmである。
<接着層>
本発明では、各層間に接着層を設けて積層することも可能である。接着層は、接着剤または任意のアンカーコート剤からなってよい。
接着剤は、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等であってよく、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの形態でもよく、また、その性状は、フィルム/シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよい。
また、接着剤は、EC(エクストルージョンコート)用接着剤、ドライラミネート用接着剤、ノンソルベントラミネート用接着剤、共押出形成用の接着性ポリオレフィン等の何れでもよい。
具体的な接着剤としては、ポリ酢酸ビニルや酢酸ビニル-エチレン共重合体等のポリ酢酸ビニル系接着剤;ポリアクリル酸とポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル等との共重合体からなるポリアクリル酸系接着剤;シアノアクリレート系接着剤;エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体からなるエチレン共重合体系接着剤;セルロース系接着剤;ポリウレタン系接着剤;ポリエステル系接着剤;ポリアミド系接着剤;ポリイミド系接着剤;LDPE、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系接着剤;尿素樹脂又はメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤;フェノール樹脂系接着剤;エポキシ系接着剤;反応型(メタ)アクリル系接着剤;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等からなるエラストマー系接着剤;シリコーン系接着剤;アルカリ金属シリケート;低融点ガラス等からなる無機系接着剤等が挙げられる。
アンカーコート剤としては、例えば、有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、酸変性ポリエチレン系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤を使用することができる。
EC用接着剤を用いる場合は、特に限定されないが、例えば、まず、接着剤を加熱溶融して、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に押出し、該溶融物を接着対象層上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、接着層の形成と接着対象層への接着と積層を同時に行う。
共押出用接着剤を用いる場合には、特に限定されないが、例えば、加熱溶融した接着剤をシーラント層や中間層に積層して他層と接しめることで、接着層の形成と接着対象層への接着と積層を同時に行う。
ドライラミネート用接着剤を用いる場合は、特に限定されないが、例えば、溶媒へ分散または溶解した接着剤を一方の被接着対象層上に塗布し乾燥させて、もう一方の被接着対象層を重ねて積層した後に、30~120℃で数時間~数日間エージングすることで、接着剤を硬化させて積層する。
ノンソルベントラミネート用接着剤を用いる場合は、溶媒へ分散または溶解せずに接着剤自身を被接着対象層上に、例えば、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート等で塗布し乾燥させて、もう一方の被接着対象層を重ねて積層した後に、30~120℃で数時間~数日間エージングすることで、接着剤を硬化させて積層する。
接着層が良好な接着性を得る為には、乾燥状態で、0.1μm以上、10μm以下の厚さ、または、0.1g/m2以上、10g/m2以下のコーティング量が好ましい。
<液体内容物用包装材料>
本発明の液体内容物用包装材料は、本発明の液体内容物包装用の積層体の積層体から作成される包装材料であり、必要に応じて、基材層、機能材層等を有することもできる。基材層、機能層等は、公知のものを公知の方法で積層して用いることができる。
<液体内容物用包装体>
本発明の液体内容物包装体は、本発明の液体内容物用包装材料から作製された包装体で
ある。
液体内容物包装体は、例えば、本発明の液体内容物用包装材料を製袋してなる包装袋であり、臭気吸着シーラント層が対向するように、包装材料を折り曲げるかまたは2枚を重ね合せ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等の形態にヒートシールすることにより作製することができる。
ヒートシールの方法としては、例えばバーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知方法を適用することができる。
<液体内容物>
本発明において、液体内容物とは、飲料水、ジュース類、点滴用輸液、醤油、ソース、等の調味液体、つゆ、はちみつ、タレ、ドレッシング等の液体全般を指すものである。
実施例に用いた原料の詳細は下記の通りである。
[低溶出性ポリエチレン]
下記の充填水のTOC増加濃度は、サイズ15cm×44cm×50μm厚のパウチ袋に、水量1000gを充填した際の、測定値である。
・低溶出性ポリエチレン1:(株)プライムポリマー社製、ウルトゼックス1520L。C6-LLDPE、密度0.916g/cm3、MFR2.3g/10分。溶出性TOCの濃度(充填水のTOC増加濃度)0.56ppm。
・低溶出性ポリエチレン2:(株)プライムポリマー社製、ウルトゼックス2021L。C6-LLDPE、密度0.920g/cm3、MFR2.0g/10分。溶出性TOCの濃度(充填水のTOC増加濃度)0.39ppm。
・低溶出性ポリエチレン3:三菱ケミカル(株)社製、カーネルKF283。エチレン/α‐オレフィン共重合体、密度0.921g/cm3、MFR2.5g/10分。溶出性TOCの濃度(充填水のTOC増加濃度)0.55ppm。
・低溶出性ポリエチレン4:(株)プライムポリマー社製、ウルトゼックス3520L。C6-LLDPE、密度0.931g/cm3、MFR2.1g/10分。溶出性TOCの濃度(充填水のTOC増加濃度)0.26ppm。
・低溶出性ポリエチレン5:(株)プライムポリマー社製、ネオゼックス3510F。C4-LLDPE、密度0.933g/cm3、MFR1.6g/10分。溶出性TOCの濃度(充填水のTOC増加濃度)0.32ppm。
[汎用ポリエチレン]
・汎用ポリエチレン1:日本ポリエチレン(株)社製、ノバテックLC600A。LDPE。密度が0.918g/cm3、MFR7g/10分。
・汎用ポリエチレン2:(株)プライムポリマー社製エボリューSP2020。C6-LLDPE、密度0.916g/cm3、MFR2.1g/10分。
[臭気吸着体]
・疎水性ゼオライト1:水澤化学工業(株)製疎水性ゼオライト、ミズカシーブスEX-122。SiO2/AL23モル比=32/1、平均粒子径=2.5~5.5μm。
・疎水性ゼオライト2:水澤化学工業(株)社製疎水性ゼオライト、シルトンMT400。SiO2/AL23モル比=400/1、平均粒子径=5~7μm。
・疎水性ゼオライト3:水澤化学工業(株)製疎水性ゼオライト、シルトンMT-8000。SiO2/AL23モル比=8000/1、平均粒子径=0.8μm。
・化学吸着剤担持無機多孔体1:東亞合成(株)社製、ケスモンNS-241。アミノ基含有化合物担持無機多孔体。平均粒子径3.5μm。
・化学吸着剤担持無機多孔体2:東亞合成(株)社製、ケスモンNS-80E。ヒドロキシル基含有化合物担持無機多孔体。平均粒子径2μm。
[アンチブロッキング剤]
・アンチブロッキング剤1:東京インキ(株)社製、PEX-ABT-16。合成ゼオライト・タルク添加マスターバッチ。合成ゼオライト45質量%、タルク5質量%、低密度ポリエチレン50質量%を含有。
[スリップ剤]
・スリップ剤1:三井住友ポリオレフィン(株)社製、EMB-10。スリップ剤のマスターバッチ。エルカ酸アミド4質量%含有。
[中間層]
・ナイロン樹脂1:宇部興産(株)社製、UBE5033B。ポリアミド6/66共重合体。
[接着剤]
・接着剤1:三井化学社(株)社製、アドマーNF557。変性ポリオレフィン。
[マスターバッチの調整]
臭気吸着層に使用するマスターバッチは下記のように調整して作製した。
(マスターバッチ1の調整)
汎用ポリエチレン1と、疎水性ゼオライト1とを下記の割合でメルトブレンドし、マスターバッチ1(MB1)を得た。
汎用ポリエチレン1 90質量部
疎水性ゼオライト1 10質量部
[マスターバッチ2~6の調整]
表1の配合に従って、マスターバッチ1と同様に、メルトブレンドし、マスターバッチ2~6(MB2~6)を得た。
Figure 0007275502000001
[低摩擦シーラント層樹脂組成物の調整]
表2に示された配合で各原料をドライブレンドすることによって、低摩擦シーラント層樹脂組成物1~9を得た。
Figure 0007275502000002
[臭気吸着シーラント層樹脂組成物の調整]
表3に示された配合で各原料をドライブレンドすることによって、臭気吸着シーラント層樹脂組成物1~12を得た。
Figure 0007275502000003
<実施例1>
上記で得た低摩擦シーラント層樹脂組成物1と、ナイロン樹脂1と、接着剤1と、臭気吸着シーラント層樹脂組成物1とを用いて、インフレーション法により、下記層構成の積層体を得た。
そして、得られた積層体を包装材料として用いて、各種評価を実施した。層構成及び評価結果を表4に示す。
(積層体層構成)
低摩擦シーラント層樹脂組成物1(45μm)/接着剤1(5μm)/ナイロン樹脂1(20μm)/接着剤1(5μm)/臭気吸着シーラント層樹脂組成物1(45μm)(計120μm)
<実施例2~16、比較例1~4>
表4~7に示された各水準の原料を用いて、実施例1と同様に操作して、積層体を得て、同様に評価した。
<評価方法>
[製膜性]
積層体の外観を観察し、官能的に評価した。評価基準は以下の通りである。
○:積層体に皺やぶつが生じることなく製膜が可能。
×:積層体に皺やぶつが多数生じ、製膜が困難。
[静止摩擦係数]
図4に記載の錘13に、図5に記載のように、カットした積層体12の臭気吸着シーラント層側の面上に乗せて、積層体12の端を上に折って錘13に両面テープにより積層体を固定した。
そして、常温常湿環境下(23℃、50%RH)で、図6に記載のように、積層体12を貼り付けた錘13を一定速度(100mm/min)で引っ張り、積層体10の低摩擦シーラント層面-金属板14間の摩擦係数を測定した。
測定は個々に5回行い、その平均値を求めた。
詳細条件は下記の通り。
使用機器:東洋精機 Friction Tester TR-2
[耐ピンホール性]
積層体をA4サイズ(30cm×21cm)に断裁し、ゲルボフレックステスター(テスター産業(株)社製、BE-1005)で、屈曲後に、各サンプルの30cm×21cmの面内に発生したピンホールの数をカウントした。
温度:23℃
ゲルボ屈曲回数:5000回
[吸着効果]
(充填水のTOC増加濃度)
積層体を用いて、パウチ袋(15cm×44cm)状の包装体を作製した。パウチ袋の内面には予めUV照射殺菌処理を施した。
そして、得られたパウチ袋に、65℃の水(純正化学(株)社製高速液体クロマトグラフィー用蒸留水)1000gをホットパック充填して包装体液体充填物を作製し、35℃、2週間保管後に、(株)島津製作所社製TOC-L全有機体炭素計により充填水のTOC濃度を測定した。
次いで、充填前の水についても同様にTOC濃度を測定し、各包装体におけるTOC増加濃度を下記式から求めた。
TOC増加濃度=保管後の充填水TOC濃度-充填前の水のTOC濃度
充填前の水のTOC濃度:0.02ppm
UV照射殺菌処理条件
UV波長:253.7nm
照射時間:10秒
温度:25℃
(充填水の臭味変化)
積層体を用いて、パウチ袋(13cm×17cm)を作製した。パウチ袋の内面には予めUV照射殺菌処理を施した。UV照射殺菌処理は、TOC増加濃度と同条件で実施した。
そして、得られたパウチ袋に、65℃の水(サントリー(株)社製、日本の天然水)1
00gをホットパック充填して包装体液体充填物を作製し、10℃、1週間保管後に官能評価を実施した。
官能評価の指標は下記の通り。官能評価実験の参加者は5人であり、平均値を算出して評価結果とした。
1:臭味がきつい
2:臭味が多少軽減している
3:臭味が大幅に軽減している
4:充填前の天然水と同等
Figure 0007275502000004
Figure 0007275502000005
Figure 0007275502000006
Figure 0007275502000007
<結果まとめ>
低溶出性ポリエチレンを用いた全実施例の包装体は良好な、製膜性、低摩擦シーラント層の静止摩擦係数、TOC溶出濃度、臭味変化を示した。
低溶出性ポリエチレンを使用しない比較例1、2、3では、TOC溶出濃度が大きく、臭味変化も悪かった。また低溶出性ポリエチレンを使用せず、臭気吸着剤を高濃度添加した比較例4ではTOC溶出濃度は抑制できたが、製膜性が劣る結果を示した。
1 積層体
2 低摩擦シーラント層
3 臭気吸着シーラント層
4 接着層
5 中間層
10 化学吸着剤担持無機多孔体
12 積層体(低摩擦シーラント層が外側)
13 錘
14 金属板(鏡面真鍮板)
15 ヒーター
16 滑車
17 フォースゲージ
18 縦型電動計測スタンド

Claims (21)

  1. 両表面のそれぞれにシーラント層を有する積層体であって、
    該積層体の、一方の面の該シーラント層は、低溶出性ポリエチレンと摩擦抵抗低減剤とを含有する低摩擦シーラント層であり、
    該積層体の、他方の面の該シーラント層は、該低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体とを含有する臭気吸着シーラント層であり、
    該低溶出性ポリエチレンのフィルム中に含まれる溶出性TOCの濃度は、17ppm以上、93ppm以下であり、
    該摩擦抵抗低減剤は、スリップ剤と、アンチブロッキング剤とからなり、
    該臭気吸着体は、SiO/Alモル比が30/1~10000/1の疎水性ゼオライト、および/または、化学吸着剤担持無機多孔体、を含む、
    液体内容物包装用の積層体。
  2. 前記低摩擦シーラント層中の、前記スリップ剤の含有量は、0.01質量%以上、0.2質量%以下である、
    請求項1に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  3. 前記低摩擦シーラント層中の、前記アンチブロッキング剤の含有量は、0.05質量%以上、1質量%以下である、
    請求項1または2に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  4. 前記スリップ剤が、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、脂肪酸エステル、炭化水素系ワックス、高級脂肪酸系ワックス、金属石鹸からなる群から選ばれる1種または2種以上である、
    請求項1~3の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  5. 前記アンチブロッキング剤が、合成ゼオライト、天然ゼオライト、タルク、シリカ、珪藻土、カオリン、PMMAからなる群から選ばれる1種または2種以上である、
    請求項1~4の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  6. さらに、樹脂フィルムからなる中間層を含む、
    請求項1~5の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  7. 前記中間層の樹脂フィルムが、ポリアミド系樹脂を含む、
    請求項6に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  8. 前記ポリアミド系樹脂が、ポリアミド6/66共重合体である、
    請求項7に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  9. 前記低溶出性ポリエチレンの密度が、0.90g/cm以上、0.94g/cm以下である、請求項1~8の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  10. 前記低溶出性ポリエチレンが、LLDPEである、
    請求項1~9の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  11. 前記低溶出性ポリエチレンが、C4-LLDPE、C6-LLDPE、C8-LLDPEからなる群から選ばれる1種または2種以上である、
    請求項1~9の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  12. 前記臭気吸着体が、熱可塑性樹脂と、予め、臭気吸着体/熱可塑性樹脂の質量比が、0.5/99.5~40/60の割合で溶融混練されている、
    請求項1~11の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  13. 前記熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、0.2~10g/10分である、
    請求項12に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  14. 前記臭気吸着シーラント層中の、前記臭気吸着体の含有量が、0.3質量%以上、15質量%以下である、
    請求項1~13の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  15. 前記臭気吸着シーラント層は、臭気吸着層と非臭気吸着層とからなる、多層構成であり、
    該臭気吸着層は、前記臭気吸着体と前記低溶出性ポリエチレンとを含有し、
    該非臭気吸着層は、前記臭気吸着体を含有せず、前記低溶出性ポリエチレンを含有し、
    該臭気吸着層の片面または両面に、該非臭気吸着層を有する、
    請求項1~14の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  16. 前記化学吸着剤が、アルデヒド類、ケトン類、及びカルボン酸類からなる群から選択される1種または2種以上との反応性を有する官能基を有するものである、
    請求項1~15の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  17. 前記化学吸着剤が、アミノ基またはヒドロキシル基を有するものである、
    請求項1~16の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  18. 前記疎水性ゼオライトの含有量が、前記臭気吸着シーラント層中に0.3質量%以上、15質量%以下である、
    請求項1~17の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  19. 23℃における5000回のゲルボフレックス後のピンホール発生個数が、0個、または1個以上、160個以下である、
    請求項1~18の何れか1項に記載の、液体内容物包装用の積層体。
  20. 請求項1~19の何れか1項に記載の液体内容物包装用の積層体を用いて作製された、液体内容物用包装材料。
  21. 請求項20に記載の液体内容物用包装材料から作製された、液体内容物用包装体。
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