JP2019064630A - 液体内容物包装用のシーラントフィルム、及び液体内容物用包装材料、液体内容物用包装体 - Google Patents
液体内容物包装用のシーラントフィルム、及び液体内容物用包装材料、液体内容物用包装体Info
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Description
1.少なくとも、低溶出性ポリエチレン含有層を有する、液体内容物包装用のシーラントフィルムであって、
前記低溶出性ポリエチレン含有層は、低溶出性ポリエチレンを含有する樹脂組成物から形
成され、
前記低溶出性ポリエチレンからなるフィルムに含まれる溶出性TOCの濃度は、1.5ppm以上、250ppm以下である、
液体内容物包装用のシーラントフィルム。
2.前記低溶出性ポリエチレンの密度が、0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下である、上記1に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
3.前記低溶出性ポリエチレンが、LLDPEである、上記1または2に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
4.前記低溶出性ポリエチレンが、C4−LLDPE、C6−LLDPE、C8−LLDPEなる群から選ばれる1種または2種以上である、上記1〜3の何れかに記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
5.前記低溶出性ポリエチレン単体からなる50μm厚のフィルムの、23℃における5000回のゲルボフレックス後のピンホール発生個数が、0個、または1個以上、160個以下である、上記1〜4の何れかに記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。6.上記1〜5の何れかに記載の液体内容物包装用のシーラントフィルムを用いて作製された、液体内容物用包装材料。
7.上記6に記載の液体内容物用包装材料から形成された、液体内容物用包装体。
本発明の液体内容物用包装材料を用いて液体内容物用包装体を作製した場合に、充填された液体内容物中に溶出する有機物の量を低減し、臭味変化を抑制することができる。
したがって、本発明の液体内容物用包装材料は、殺菌・滅菌処理に付される、液体の食品や医薬品、医療品の包装材料として好適である。
<本発明の液体内容物包装用のシーラントフィルムの層構成>
本発明の液体内容物包装用のシーラントフィルムは、少なくとも、低溶出性ポリエチレンを含有する樹脂組成物から形成された低溶出性ポリエチレン含有層を有する液体内容物包装用のシーラントフィルムであって、シーラントとして機能する層のみであってもよく、低溶出性ポリエチレン含有層3のみからなる層であってもよく、基材層や接着剤層を含んでいてもよい。
よい。
また、図3に示されるように、低溶出性ポリエチレン含有層3は、主体となる低溶出性ポリエチレンの種類や含有量が同一または異なる3a、3b等の多層構造であってもよい。
本発明の液体内容物包装用のシーラントフィルムを用いた包装材料によって液体内容物用包装体を作製した際は、該包装体の液体内容物と接する最内層は、低溶出性ポリエチレン含有層3であっても、非低溶出性ポリエチレン含有層2であってもよい。
さらに、図示しないが、低溶出性ポリエチレン含有層3は、主体となる低溶出性ポリエチレンの種類や含有量が同一または異なる3層またはそれ以上からなっていてもよい。
本発明のシーラントフィルムは、ヒートシール性を有し、有機物の溶出量が少ない、低溶出性ポリエチレンを含有する樹脂組成物から形成された低溶出性ポリエチレン含有層を有する。
有機物の溶出量が少ないことによって、本発明のシーラントフィルムを用いた液体内容物用包装体に充填された液体内容物中に溶出する有機物の濃度を低減して、臭味変化を抑制することができる。
TOCは、水中の酸化され得る有機物(有機炭素体)全量の濃度を炭素量の濃度で示したものであり、代表的な水質指標の一つとして用いられているものであって、JIS K0805(有機体炭素(TOC)自動計測器)等で規格化されている。
前記低溶出性ポリエチレンからなるフィルムに含まれる溶出性TOCの濃度は、1.5ppm以上、250ppm以下である。
本発明における低溶出性ポリエチレンからなる、15cm×44cm×50μm厚のパウチ包装袋内に、充填水として蒸留水を1kg充填して溶出させた後の、前記充填水中のTOCの増加濃度は、0.01ppm以上、1.5ppm以下であることが好ましく、0.02ppm以上、1.45ppm以下であることがより好ましく、0.025ppm以上、1.4ppm以下であることが更に好ましい。
充填水中のTOCの増加濃度が1.5ppmよりも大きいと、充填水の臭味の変化を抑制することが困難であり、0.01ppmよりも小さいものを得る為には費用が高くなる一方で効果は限定的である。コストと性能の両立の観点から、上記の範囲であることが好ましい。
パウチ袋比重:S[g/cm3]
パウチ袋サイズ:15cm×44cm×50μm厚
パウチ袋重量:W=15×44×50×10-4×2×S=6.6×S[g]
パウチ袋中に含まれる溶出性TOCの濃度:C[ppm]
とすると、
パウチ袋中に含まれる溶出性TOCの全重量=C×W[g]
これが水1000gに溶出するので、
充填水中のTOCの増加濃度=C×W/1000=C×6.6×S×10-3[ppm
]
例えば、パウチ袋を構成する低溶出性ポリエチレンフィルムの比重が0.92、含有される溶出性TOCの濃度が1.7ppmの場合は、
充填水中のTOCの増加濃度=1.7×6.6×0.92×10-3=0.01[ppm]
のように算出される。
そして、得られた充填水のTOC増加濃度と、充填水質量部とシーラントフィルム質量部から、シーラントフィルムに含有されていた溶出性TOC濃度を算出する。
ポリエチレンをフィルム化する際には、有機物の溶出量を上昇させてしまいそうな、滑剤、酸化防止剤、溶剤、その他、の添加剤の使用を制限し、高温による酸化を防止したりする方法が挙げられる。
本発明のシーラントフィルムが、ヒートシール性を有し、低溶出性ポリエチレンを含有することによって、該シーラントフィルムを含む包装材料は、優れたヒートシール性を有し、有機物の溶出量が少なく、包装体内の液体内容物のTOCの濃度増加を低くすることができる。
これらの低溶出性ポリエチレンの中でも、タイプとしては、LLDPEが好ましく、また更には、C4、C6、C8の側鎖を有するLLDPEは、有機物の溶出量を低くし得る
傾向にある為、C4−LLDPE、C6−LLDPE、C8−LLDPE等が更に好ましい。
ここで、C4、C6、C8とは、LLDPEと一部共重合して、記載数値数の炭素数のモノマーが側鎖に存在することを示している。例えば、C4はブテン-1、C6はヘキセン−1、または4メチルペンテン−1、C8はオクテン-1の構造の側鎖を表す。
また更に、本発明における低溶出性ポリエチレンは、単体でフィルムにした際に、屈曲に起因する耐ピンホール性に優れていることが好ましい。
包装体は、包装工程中や輸送中の振動による局所的繰り返し屈曲によって疲労破壊が進行してピンホールを発生することがある為、特に食品・医療用品等用の包装材料は耐ピンホール性が重要である。
<低溶出性ポリエチレン含有層>
本発明における低溶出性ポリエチレン含有層は、上記の低溶出性ポリエチレンを含む樹脂組成物から形成される。
更には、高溶出性のポリエチレンや、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー、酸変性ポリオレフィン系樹脂、及びこれらの熱可塑性樹脂の混合物等を、シーラントフィルムの低溶出性やヒートシール性を阻害しない範囲内で含むことが可能であるが、これらの樹脂に限定されない。
本発明における非低溶出性ポリエチレン含有層は、低溶出性ポリエチレンを含有しない層であり、必要に応じて有する層である。
汎用のポリエチレンや、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー、酸変性ポリオレフィン系樹脂、及びこれらの熱可塑性樹脂の混合物等を、シーラントフィルムの低溶出性やヒートシール性を阻害しない範囲内で含むことが可能であるが、これらの樹脂に限定されない。
(製膜・積層方法)
本発明において、シーラントフィルムの各層の製膜、積層方法は特に限定されず、公知または慣用の製膜方法、積層方法を適用することができる。
低溶出性ポリエチレン含有層や非低溶出性ポリエチレン含有層を、場合により接着層を介して、他の層上にエクストルージョンコーティングすることにより積層することや、例えば、複数の、低溶出性ポリエチレン含有層と非低溶出性ポリエチレン含有層とを、インフレーション法やキャスト法により共押出しにより形成することもできる。
MFRが0.2g/分未満、又は50g/分以上では加工適正の面で有効になり難い。
インフレーション法を用いる場合においては、低溶出性ポリエチレン含有層に含まれる低溶出性ポリエチレンや非低溶出性ポリエチレン含有層に含まれる熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)は、0.2〜10.0g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.2〜9.5g/10分である。
MFRが0.2g/10min未満、又は10.0g/10分以上では加工適正の面で劣る傾向にある。
本発明では、シーラントフィルム-基材フィルム間、並びにシーラントフィルムの各層間に、接着層を設けて積層することも可能である。
接着層は、接着剤または任意のアンカーコート剤からなってよい。
接着剤は、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等であってよく、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの形態でもよく、また、その性状は、フィルム/シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよい。
また、接着層は、EC(エクストルージョンコート)層、ドライラミネート用接着剤、ノンソルベントラミネート用接着剤等からなる層であってよい。
とができる。
エクストルージョンコーティングにおいては、まず、接着剤を加熱し溶融させて、Tダイスで必要な幅方向に拡大伸張させてカーテン状に押出し、該溶融物を接着対象層上へ流下させて、ゴムロールと冷却した金属ロールとで挟持することで、接着層の形成と接着対象層への接着と積層を同時に行う。
ノンソルベントラミネート用接着剤を用いる場合は、溶媒へ分散または溶解せずに接着剤自身を層上に塗布し乾燥させて、もう一方の接着対象層を重ねて積層した後に、30〜120℃で数時間〜数日間エージングすることで、接着剤を硬化させて積層する。
シーラントフィルムの各層間をサンドラミネーションにより積層する場合に、接着層は、加熱溶融させて押出機で適用可能な任意の樹脂を用いることができる。具体的には、上記の非臭気吸着層に用いられる熱可塑性樹脂を好ましく使用できる。
本発明の液体内容物包装用包装材料は、本発明の液体内容物包装用のシーラントフィルムからなる層を含むものであり、シーラントフィルムのみからなるものであってもよく、必要に応じて、基材層、機能材層、接着層等を有することもできる。基材層、機能層、接着剤層には、公知のものを公知の方法で積層して用いることができる。
本発明の液体内容物包装体は、例えば、本発明の液体内容物包装用包装材料を製袋してなるものであり、ヒートシール性が良好な面が対向するように、包装材料を折り曲げるかまたは2枚を重ね合せ、その周辺端部を例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールすることにより作製することができる。
ヒートシールの方法としては、例えばバーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知方法を適用することができる。
本発明において、液体内容物とは、飲料水、ジュース類、点滴用輸液、醤油、ソース、等の調味液体、つゆ、はちみつ、タレ、ドレッシング等の液体全般を指すものである。
[低溶出性ポリエチレン及び高溶出性ポリエチレン]
表1記載のウルトゼックス1520Lを用いて、製膜温度160℃のインフレーション製膜により、膜厚50μmの単層のシーラントフィルムを得た。
次いで、このシーラントフィルムによる、耐ピンホール性、TOC増加濃度、臭味変化について評価した。評価結果は表2に示す。
表1の記載に従ってポリエチレンを選択して用いて、実施例1と同様に製膜して、膜厚50μmの単層のシーラントフィルムを得て、同様に評価した。
表1記載の、エボリューSP2020とウルトゼックス3500ZAとを用いて、製膜温度160℃のインフレーション製膜によって積層して、非臭気吸着層3μm/臭気吸着層44μm/非臭気吸着層3μmなる3層構成のシーラントフィルムを得た。
次いで、実施例1と同様に評価した。積層体の構成及び評価結果を表2に示す。
[製膜性]
シーラントフィルムの外観を観察し、官能的に評価した。評価基準は以下の通りである。
○:フィルムに皺やぶつが生じることなく製膜が可能。
×:フィルムに皺やぶつが多数生じ、製膜が困難。
実施例及び比較例で作製したシーラントフィルムと、PETフィルムとを、接着層材料のEC(エクストリュージョンコーティング)により下記条件でラミネートし、フィルム状の積層体を得て、このフィルム積層体を10cm×10cmに切り分け、半分に折って重ね合せ、ヒートシールテスター(テスター産業社製:TP−701−A)を用いて、1cm×10cmの領域をヒートシールして、端部はヒートシールされずに接着しておらず、二股に分かれている状態のサンプルを作製した。
このサンプルを、15mm幅で短冊状に切り、二股に分かれている各端部を引張試験機に装着して引張強度(N/15mm)を測定して、合否判定した。
PETフィルム(12μm)/EC層(15μm)/シーラント層(50μm)
(ラミネート条件)
押出し温度:330℃
接着層材料:LDPE(ノバテックLC520)
接着層厚:15μm
(ヒートシール条件)
温度:160℃
圧力:1kgf/cm2
時間:1秒
(引張強度試験条件)
試験速度:300mm/分
荷重レンジ:50N
(合否判定基準)
○:30N/15mm以上であり、合格。
×:30N/15mm未満であり、不合格。
実施例及び比較例で得られた各シーラントフィルムを用いて、パウチ袋(15cm×44cm)を作製し、シーラントフィルムには予めUV照射殺菌処理を施した。
そして、得られた各包装体に、65℃の水(高速液体クロマトグラフィー用蒸留水、純正化学)1000gをホットパック充填して包装体液体充填物を作製し、35℃、2週間保管後に、(株)島津製作所社製TOC-L全有機体炭素計により充填水のTOC濃度を測定した。
各包装体におけるTOC増加濃度を下記式から求めた。
TOC増加濃度=保管後の充填水TOC濃度−充填前の水のTOC濃度
充填前の水のTOC濃度:0.02ppm
UV照射殺菌処理条件
UV波長:253.7nm
照射時間:10秒
温度:25℃
実施例及び比較例で作製したシーラントフィルムをA4サイズ(30cm×21cm)に断裁し、ゲルボフレックステスター(テスター産業(株)社製、BE−1005)で、屈曲後、各サンプルの30cm×21cmの面内に発生したピンホールの数をカウントした。
温度:23℃
ゲルボ屈曲回数:5000回
実施例及び比較例で得られた各シーラントフィルムを用いて、パウチ袋(13cm×17cm)を作製した。シーラントフィルムには予めUV照射殺菌処理を施した。UV照射殺菌処理条件は下記の通り。
UV照射殺菌処理条件
UV波長:253.7nm
照射時間:10秒
温度:25℃
ここで得られたパウチ袋に、65℃に加熱した水(サントリー(株)社製、日本の天然水)100gをホットパック充填して包装体液体充填物を作製し、その後、10℃、1週間保管後に官能評価を実施した。
1:臭味がきつい
2:臭味が多少軽減している
3:臭味が大幅に軽減している
4:充填前の水と同等
低溶出性ポリエチレンを用いた全実施例の包装体は良好な製膜性とシール強度を示し、TOC増加濃度も小さく、良好な臭味変化を示した。
更に、実施例1〜6と9は、実施例7、8よりも、優れた耐ピンホール性を示した。
低溶出性ポリエチレンを含まない比較例1は、良好な製膜性とシール強度を示したが、TOC増加濃度が大き、きつい臭味変化を示した。
2.非低溶出性ポリエチレン含有層
3.低溶出性ポリエチレン含有層
3a.低溶出性ポリエチレン含有層(濃度a)
3b.低溶出性ポリエチレン含有層(濃度b)
Claims (7)
- 少なくとも、低溶出性ポリエチレン含有層を有する、液体内容物包装用のシーラントフィルムであって、
前記低溶出性ポリエチレン含有層は、低溶出性ポリエチレンを含有する樹脂組成物から形成され、
前記低溶出性ポリエチレンからなるフィルムに含まれる溶出性TOCの濃度は、1.5ppm以上、250ppm以下である、
液体内容物包装用のシーラントフィルム。 - 前記低溶出性ポリエチレンの密度が、0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下である、請求項1に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
- 前記低溶出性ポリエチレンが、LLDPEである、請求項1または2に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
- 前記低溶出性ポリエチレンが、C4−LLDPE、C6−LLDPE、C8−LLDPEなる群から選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜3の何れか1項に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
- 前記低溶出性ポリエチレン単体からなる50μm厚のフィルムの、23℃における5000回のゲルボフレックス後のピンホール発生個数が、0個、または1個以上、160個以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の液体内容物包装用のシーラントフィルムを用いて作製された、液体内容物用包装材料。
- 請求項6に記載の液体内容物用包装材料から形成された、液体内容物用包装体。
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