JP7035422B2 - 液体内容物包装用のシーラントフィルム、及び液体内容物用包装材料、液体内容物用包装体 - Google Patents
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1.少なくとも、臭気吸着層を有する、液体内容物包装用のシーラントフィルムであって、
前記シーラントフィルムは、低溶出性ポリエチレンを含有する樹脂組成物から形成され、前記臭気吸着層は、低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体とを含有する樹脂組成物から形成され、
前記低溶出性ポリエチレンからなるフィルムに含まれる溶出性TOCの濃度は、1.5ppm以上、250ppm以下であり、
前記臭気吸着体は、化学吸着剤を担持した無機多孔体である、
液体内容物包装用のシーラントフィルム。
2.前記低溶出性ポリエチレンの密度が、0.90g/cm3以上、0.94g/cm3以下である、上記1に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
3.前記低溶出性ポリエチレンが、LLDPEである、上記1または2に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
4.前記低溶出性ポリエチレンが、C4-LLDPE、C6-LLDPE、C8-LLDPEなる群から選ばれる1種または2種以上である、上記1~3の何れかに記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
5.前記低溶出性ポリエチレン単体からなる50μm厚のフィルムの、23℃における5000回のゲルボフレックス後のピンホール発生個数が、0個、または1個以上、160個以下である、上記1~4の何れかに記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。6.前記臭気吸着体が、熱可塑性樹脂と、予め、臭気吸着体/熱可塑性樹脂の質量比が、0.5/99.5~40/60の割合で溶融混練されている、上記1~5の何れかに記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
7. 前記熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、0.2~10.0g/10分である、上記6に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
8.前記臭気吸着体の含有量が、全シーラントフィルム中に0.3質量%以上、15質量%以下である、上記1~7の何れかに記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。9.前記シーラントフィルムが、前記臭気吸着層の、表面及び/または裏面に、非臭気吸着層を有するものである、上記1~8の何れかに記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
10.前記化学吸着剤が、アルデヒド類、ケトン類、及びカルボン酸類なる群から選択される1種または2種以上との反応性を有する官能基を有するものである、上記1~9の何れかに記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
11.前記化学吸着剤が、アミノ基を有するものである、上記1~10の何れかに記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
12.上記1~11の何れかに記載の液体内容物包装用のシーラントフィルムを用いて作製された、液体内容物用包装材料。
13.上記12に記載の液体内容物用包装材料から形成された、液体内容物用包装体。
本発明の液体内容物包装用のシーラントフィルムは、少なくとも、臭気吸着層を有する液体内容物包装用のシーラントフィルムであって、シーラントとして機能する層のみであってもよく、臭気吸着層3のみからなる層であってもよく、基材層や接着剤層を含んでいてもよい。
本発明のシーラントフィルムは、ヒートシール性を有し、有機物の溶出量が少ない、低溶出性ポリエチレンを含有する。
パウチ袋比重:S[g/cm3]
パウチ袋サイズ:15cm×44cm×50μm厚
パウチ袋重量:W=15×44×50×10-4×2×S=6.6×S[g]
パウチ袋中に含まれる溶出性TOCの濃度:C[ppm]
とすると、
パウチ袋中に含まれる溶出性TOCの全重量=C×W[g]
これが水1000gに溶出するので、
充填水中のTOCの増加濃度=C×W/1000=C×6.6×S×10-3[ppm]
例えば、パウチ袋を構成する低溶出性ポリエチレンフィルムの比重が0.92、含有される溶出性TOCの濃度が1.7ppmの場合は、
充填水中のTOCの増加濃度=1.7×6.6×0.92×10-3=0.01[ppm]のように算出される。
本発明における臭気吸着層は、上記の低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体を含む樹脂組成物から形成される。
本発明において、臭気吸着体は、無機多孔体に化学吸着剤を担持させたものであり、溶出性の有機物や、UV照射、γ線照射、EB照射や、ホットパック、ボイル等の殺菌・滅菌処理時に包装体から発生する臭気物質を吸着する機能を有するものである。
本発明において、無機多孔体としては、その表面に多数の細孔を有する任意の無機化合物を用いることができ、例えば、ゼオライト、二酸化ケイ素、ケイ酸塩、活性炭、チタニア、燐酸カルシウム等の無機燐酸塩、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
本発明において、化学吸着剤とは、溶出性の有機物や、殺菌・滅菌処理時に樹脂の分解等により発生する臭気物質と化学反応を起こして結合する反応性官能基を有し、且つ、上記無機多孔体上に担持され得る化合物である。
本発明における非臭気吸着層は、低溶出性ポリエチレン、または低溶出性ポリエチレンを含む樹脂組成物(以降、両者を総称して、「低溶出性ポリエチレンを含む樹脂組成物」とも記載する)からなる層であるが、臭気吸着体を含有しない層である。
(臭気吸着体の分散方法)
臭気吸着体と低溶出性ポリエチレンとを混練する方法としては、公知または慣用の混練方法を適用することができる。
本発明において、シーラントフィルムの各層の製膜、積層方法は特に限定されず、公知または慣用の製膜方法、積層方法を適用することができる。
本発明では、シーラントフィルム-基材フィルム間、並びにシーラントフィルムの各層間に、接着層を設けて積層することも可能である。
本発明の液体内容物包装用包装材料は、本発明の液体内容物包装用のシーラントフィルムからなる層を含むものであり、シーラントフィルムのみからなるものであってもよく、必要に応じて、基材層、機能材層、接着層等を有することもできる。基材層、機能層、接着剤層には、公知のものを公知の方法で積層して用いることができる。
本発明の液体内容物包装体は、例えば、本発明の液体内容物包装用包装材料を製袋してなるものであり、ヒートシール性が良好な面が対向するように、包装材料を折り曲げるかまたは2枚を重ね合せ、その周辺端部を例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールすることにより作製することができる。
本発明において、液体内容物とは、飲料水、ジュース類、点滴用輸液、醤油、ソース、等の調味液体、つゆ、はちみつ、タレ、ドレッシング等の液体全般を指すものである。
・ケスモンNS-241:東亞合成(株)社製、アミノ基含有化合物担持無機多孔体。平均粒子径3.5μm。
・ダッシュライトM:(株)シナネンゼオミック製、アミノ基含有化合物担持無機多孔体。平均粒子径6~7μm。
低溶出性ポリエチレンのLLDPEであるウルトゼックス1520Lと、臭気吸着体であるケスモンNS-241とを下記の割合でメルトブレンドし、マスターバッチ1(MB1)を得た。
ウルトゼックス1520L 90質量部
ケスモンNS-241 10質量部
汎用の非低溶出性ポリエチレンのLDPEであるノバテックLC600A(日本ポリエチレン(株)社製、MFR=7.0g/10分)と、臭気吸着体であるケスモンNS-241とを下記の割合でメルトブレンドし、マスターバッチ2(MB2)を得た。
ノバテックLC600A 90質量部
ケスモンNS-241 10質量部
ノバテックLC600Aと、臭気吸着体であるダッシュライトMとを下記の割合でメルトブレンドし、マスターバッチ3(MB3)を得た。
ノバテックLC600A 90質量部
ダッシュライトM 10質量部
上記で得たマスターバッチ1とウルトゼックス1520Lとを下記の割合でドライブレンドして、臭気吸着層用の混合物Aを得た。
マスターバッチ1 16.7質量部
ウルトゼックス1520L 83.3質量部
上記で得たマスターバッチ2と非臭気吸着層用のウルトゼックス1520Lとを下記の割合でドライブレンドして、臭気吸着層用の混合物Bを得た。
マスターバッチ2 16.7質量部
ウルトゼックス1520L 83.3質量部
ウルトゼックス1520Lを、表2の構成に従って各種ポリエチレンに変更し、実施例2と同様に操作して、シーラントフィルムを得て、同様に評価した。
上記で得たマスターバッチ3とウルトゼックス1520Lとを下記の割合でドライブレンドして、臭気吸着層用の混合物Cを得た。
マスターバッチ3 16.7質量部
ウルトゼックス1520L 83.3質量部
低溶出性ポリエチレンではないLLDPEのエボリューSP2020を用いて、160℃でインフレーション製膜し、シーラントフィルム(50μm)を得た。
[製膜性]
シーラントフィルムの外観を観察し、官能的に評価した。評価基準は以下の通りである。
○:フィルムに皺やぶつが生じることなく製膜が可能。
×:フィルムに皺やぶつが多数生じ、製膜が困難。
実施例及び比較例で作製したシーラントフィルムと、PETフィルムとを、接着層材料のEC(エクストリュージョンコーティング)により下記条件でラミネートし、フィルム状の積層体を得て、このフィルム積層体を10cm×10cmに切り分け、半分に折って重ね合せ、ヒートシールテスター(テスター産業社製:TP-701-A)を用いて、1cm×10cmの領域をヒートシールしたサンプルを作製した(端部はヒートシールされずに接着しておらず、二股に分かれている状態)。
PETフィルム(12μm)/EC層(15μm)/シーラント層(50μm)
押出し温度:330℃
接着層材料:LDPE(ノバテックLC520)
接着層厚:15μm
ヒートシール条件
温度:160℃
圧力:1kgf/cm2
時間:1秒
引張強度試験条件
試験速度:300mm/分
荷重レンジ:50N
合否判定
○:30N/15mm以上であり、合格。
×:30N/15mm未満であり、不合格。
実施例及び比較例で得られた各シーラントフィルムを用いて、パウチ袋(15cm×44cm)の包装体を各々2個作製し、1つの包装体にはUV照射殺菌処理を施した。
各包装体におけるTOC増加濃度を下記式から求めた。
TOC増加濃度=保管後の充填水TOC濃度-充填前の水のTOC濃度
充填前の水のTOC濃度:0.02ppm
UV照射殺菌処理条件
UV波長:253.7nm
照射時間:10秒
温度:25℃
実施例及び比較例で作製したシーラントフィルムをA4サイズ(30cm×21cm)に断裁し、ゲルボフレックステスター(テスター産業(株)社製、BE-1005)で、屈曲後、各サンプルの30cm×21cmの面内に発生したピンホールの数をカウントした。
温度:23℃
ゲルボ屈曲回数:5000回
低溶出性ポリエチレンを用いた全実施例の包装体は良好な製膜性とシール強度を示し、TOC増加濃度も小さかった。
2.非臭気吸着層
3.臭気吸着層
3a.臭気吸着層(濃度a)
3b.臭気吸着層(濃度b)
Claims (11)
- 少なくとも、臭気吸着層を有する、液体内容物包装用のシーラントフィルムであって、
前記臭気吸着層は、包装材料が含有している溶出性の有機物と共に、殺菌・滅菌処理の際に包装材料を構成する樹脂から発生する臭気物質を吸着するための層であり、
前記シーラントフィルムは、低溶出性ポリエチレンを含有し、
前記低溶出性ポリエチレンの密度は、0.90g/cm 3 以上、0.94g/cm 3 以下であり、
前記低溶出性ポリエチレンからなるフィルムに含まれる溶出性TOCの濃度は、42ppm以上、99ppm以下であり、
前記臭気吸着層は、低溶出性ポリエチレンと臭気吸着体とを含有する樹脂組成物から形成され、
前記シーラントフィルムは、前記臭気吸着層のみからなる1層、または、前記臭気吸着層と非臭気吸着層からなる2層、または、非臭気吸着層と前記臭気吸着層と非臭気吸着層がこの順に配置された3層のいずれかの層構成であり、
前記臭気吸着体は、化学吸着剤を担持した無機多孔体である、
液体内容物包装用のシーラントフィルム。 - 前記低溶出性ポリエチレンが、LLDPEである、請求項1に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
- 前記低溶出性ポリエチレンが、C4-LLDPE、C6-LLDPE、C8-LLDPEなる群から選ばれる1種または2種以上である、請求項1または2に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
- 前記低溶出性ポリエチレン単体からなる50μm厚のフィルムの、23℃における5000回のゲルボフレックス後のピンホール発生個数が、0個、または1個以上、160個以下である、請求項1~3の何れか1項に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
- 前記臭気吸着体が、熱可塑性樹脂と、予め、臭気吸着体/熱可塑性樹脂の質量比が、0
.5/99.5~40/60の割合で溶融混練されている、請求項1~4の何れか1項に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。 - 前記熱可塑性樹脂のメルトフローレートは、0.2~10.0g/10分である、請求項5に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
- 前記臭気吸着体の含有量が、全シーラントフィルム中に0.3質量%以上、15質量%以下である、請求項1~6の何れか1項に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
- 前記化学吸着剤が、アルデヒド類、ケトン類、及びカルボン酸類なる群から選択される1種または2種以上との反応性を有する官能基を有するものである、請求項1~7の何れか1項に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
- 前記化学吸着剤が、アミノ基を有するものである、請求項1~8の何れか1項に記載の、液体内容物包装用のシーラントフィルム。
- 請求項1~9の何れか1項に記載の液体内容物包装用のシーラントフィルムを用いて
作製された、液体内容物用包装材料。 - 請求項10に記載の液体内容物用包装材料から形成された、液体内容物用包装体。
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